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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20240722BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240722BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L31/12 E
H05K1/02 B
H05K1/02 J
H05K1/14 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020033371
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021136385
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 匠
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-022675(JP,A)
【文献】特開2019-216273(JP,A)
【文献】特開2010-197813(JP,A)
【文献】特表2016-509759(JP,A)
【文献】特開2003-234500(JP,A)
【文献】特開2013-145842(JP,A)
【文献】特開2013-187380(JP,A)
【文献】特開2017-118085(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0037442(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0131238(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0095674(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/12-31/173
H05K 1/02-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1フレキシブル基板と、前記第1フレキシブル基板に重ねられた第2フレキシブル基板と、を備え、
前記第1フレキシブル基板は、
複数の第1島状部と、前記複数の第1島状部を接続する複数の第1帯部と、を有する第1絶縁基材と、
前記複数の第1島状部にそれぞれ配置された複数の第1電気素子と、
前記複数の第1帯部にそれぞれ配置された複数の第1配線と、を備え、
前記第2フレキシブル基板は、
複数の第2島状部と、前記複数の第2島状部を接続する複数の第2帯部と、を有する第2絶縁基板と、
前記複数の第2島状部にそれぞれ配置された複数の第2電気素子と、
前記複数の第2帯部にそれぞれ配置された複数の第2配線と、を備え
前記複数の第1電気素子は、第1ピッチで配列され、
前記複数の第2電気素子は、前記第1ピッチよりも大きい第2ピッチで配列されている、
電子機器。
【請求項2】
前記第1電気素子は、光を放つ発光素子であり、
前記第2電気素子は、光を検知する受光素子である、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2フレキシブル基板に重ねられた光学部材をさらに備え、
前記光学部材は、前記複数の第2電気素子と重なる複数の透光部と、前記複数の透光部を囲む遮光部と、を有する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記光学部材は、前記第1フレキシブル基板と前記第2フレキシブル基板の間に配置されている、
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
記複数の透光部は、前記第2ピッチよりも小さい第3ピッチで配列されている、
請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記遮光部は、前記透光部よりも小さい弾性率を有している、
請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記遮光部の前記弾性率は、前記第1フレキシブル基板および前記第2フレキシブル基板の弾性率よりも小さい、
請求項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1フレキシブル基板および前記第2フレキシブル基板の弾性率が同等である、
請求項1乃至のうちいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、可撓性および伸縮性を有したフレキシブル基板の利用が種々の分野で検討されている。一例を挙げると、マトリクス状に電気素子が配列されたフレキシブル基板を電子機器の筐体や人体等の曲面に貼り付ける利用形態が考えられる。電気素子としては、例えばタッチセンサ、温度センサおよび光センサ等の各種センサや表示素子が適用され得る。
【0003】
フレキシブル基板においては、屈曲や伸縮による応力で配線が損傷しないように対策を講じる必要がある。このような対策としては、例えば、配線を支持する基材にハニカム形状の開口を設けることや、配線を蛇行した形状(ミアンダ形状)とすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-198101号公報
【文献】特開2017-118109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば光センサのような電子機器においては、発光素子と受光素子のように異なる機能を有した電気素子が別々の基板に配置されることがある。この場合、フレキシブル性が阻害されないように電子機器の構造を工夫する必要がある。
【0006】
本開示は、異なる機能を有した電気素子を備える電子機器において、良好なフレキシブル性を発揮させることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る電子機器は、第1フレキシブル基板と、前記第1フレキシブル基板に重ねられた第2フレキシブル基板と、を備えている。前記第1フレキシブル基板は、複数の第1島状部および前記複数の第1島状部を接続する複数の第1帯部を有する第1絶縁基材と、前記複数の第1島状部にそれぞれ配置された複数の第1電気素子と、前記複数の第1帯部にそれぞれ配置された複数の第1配線と、を備えている。前記第2フレキシブル基板は、複数の第2島状部および前記複数の第2島状部を接続する複数の第2帯部を有する第2絶縁基板と、前記複数の第2島状部にそれぞれ配置された複数の第2電気素子と、前記複数の第2帯部にそれぞれ配置された複数の第2配線と、を備えている。さらに、前記複数の第1電気素子は、第1ピッチで配列され、前記複数の第2電気素子は、前記第1ピッチよりも大きい第2ピッチで配列されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器の概略的な分解斜視図である。
図2図2は、電子機器の回路構成を概略的に示す図である。
図3図3は、電子機器が備える第1フレキシブル基板および第2フレキシブル基板の一部を拡大した概略的な平面図である。
図4図4は、島状部における第1フレキシブル基板の概略的な断面図である。
図5図5は、第1帯部および第2帯部における第1フレキシブル基板の概略的な断面図である。
図6図6は、島状部における第2フレキシブル基板の概略的な断面図である。
図7図7は、第1帯部および第2帯部における第2フレキシブル基板の概略的な断面図である。
図8図8は、第1電気素子、第2電気素子および透光部の関係を概略的に示す平面図である。
図9図9は、電子機器の概略的な断面図である。
図10図10は、図9に示した電子機器に引張力が作用した状態を示す概略的な断面図である。
図11図11は、第1フレキシブル基板の他の一例を示す概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
本実施形態においては一例として、発光素子と受光素子を備えた光センサである電子機器を開示する。ただし、当該電子機器の構成は、他種のセンサや表示装置などの種々の電子機器に適用し得る。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電子機器EDの概略的な分解斜視図である。本実施形態においては、図示したように第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。これら第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは垂直に交わるが、垂直以外の角度で交わってもよい。以下、第3方向Zと平行に電子機器EDやその構成要素を見ることを平面視と呼ぶ。また、第3方向Zの矢印が示す方向を上、その反対方向を下と呼ぶことがある。
【0012】
電子機器EDは、第1フレキシブル基板SUB1と、第2フレキシブル基板SUB2と、光学部材OMと、第1伸縮部材EM1と、第2伸縮部材EM2と、第3伸縮部材EM3と、第4伸縮部材EM4とを備えている。図1の例においては、これらの要素がいずれも第1方向Xに延びる2辺と第2方向Yに延びる2辺を有する矩形状である。ただし、これらの要素は、矩形以外の多角形状、円形、あるいは楕円形などの他の形状を有してもよい。
【0013】
第1フレキシブル基板SUB1と第2フレキシブル基板SUB2は、第3方向Zに重ねられている。第1フレキシブル基板SUB1は、発光領域LAと、発光領域LAにおいてマトリクス状に配列された複数の第1電気素子1と、これら第1電気素子1を支持する第1絶縁基材10とを備えている。第2フレキシブル基板SUB2は、検知領域DAと、検知領域DAにおいてマトリクス状に配列された複数の第2電気素子2と、これら第2電気素子2を支持する第2絶縁基材20とを備えている。
【0014】
光学部材OMは、第1フレキシブル基板SUB1と第2フレキシブル基板SUB2の間に配置されている。光学部材OMは、光を透過する複数の透光部TPと、光を遮る遮光部BPとを有している。各透光部TPは、第3方向Zにおいていずれかの第2電気素子2と重なっている。さらに、各透光部TPは、第3方向Zにおいていずれかの第1電気素子1と重なってもよい。遮光部BPは、例えば黒色の樹脂であり、各透光部TPを囲っている。
【0015】
図1の例においては、各透光部TPが第3方向Zに長尺な円柱状である。ただし、透光部TPは、多角柱状などの他の形状を有してもよい。各透光部TPの側面は遮光部BPによって覆われている。一方、各透光部TPの上面と下面は遮光部BPから露出している。
【0016】
第1伸縮部材EM1は、第1フレキシブル基板SUB1の下方に配置されている。第2伸縮部材EM2は、第1フレキシブル基板SUB1の上方に配置されている。第3伸縮部材EM3は、第2フレキシブル基板SUB2の下方に配置されている。第4伸縮部材EM4は、第2フレキシブル基板SUB2の上方に配置されている。これら伸縮部材EM1~EM4は、例えば伸縮性を有する透明な樹脂材料で形成することができる。
【0017】
本実施形態において、第1電気素子1は発光素子であり、第2電気素子2は受光素子である。第1電気素子1は、例えば第3方向Zに向けて可視光である光Lを放つ。光Lは、第3方向Zだけでなく、第3方向Zと交差する方向や第1電気素子1の下方にも放たれてもよい。また、光Lは、可視光以外の波長域の光であってもよい。
【0018】
電子機器EDの上方に対象物Oが存在する場合、第1電気素子1が放つ光Lが当該対象物Oによって反射される。この反射光RLは、第2伸縮部材EM2、第1フレキシブル基板SUB1および第1伸縮部材EM1を順に透過して光学部材OMに至る。
【0019】
第3方向Zと平行に近い角度で透光部TPに入射する反射光RLは透光部TPを透過し、さらに第4伸縮部材EM4を透過して第2電気素子2により受光される。第2電気素子2は、受光した光に応じた信号を出力する。一方、遮光部BPの上面に入射する光や、第3方向Zに対して大きく傾いて透光部TPに入射する光は、遮光部BPにより吸収される。このように、光学部材OMは、第2電気素子2に入射する光を調整するコリメータとして機能する。
【0020】
第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2は、コントローラCTによって制御される。コントローラCTは、電子機器EDの構成要素であってもよいし、電子機器EDに接続された他の装置であってもよい。
【0021】
例えば、コントローラCTは、第1フレキシブル基板SUB1に対して各第1電気素子1を発光させるための信号(電圧)を供給する。また、コントローラCTは、第2フレキシブル基板SUB2に対して各第2電気素子2を動作させるための信号を供給するとともに、各第2電気素子2が出力する信号に基づいて各種の処理を実行する。
【0022】
電子機器EDの用途は特に限定されないが、一例として電子機器EDは生体センサとして利用できる。この場合の対象物Oは指や手首などの人体の一部であり、コントローラCTは各第2電気素子2が出力する信号に基づいて脈波等に関する生体情報を生成する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る電子機器EDの回路構成を概略的に示す図である。この図においては、第1フレキシブル基板SUB1の一部を破断している。
第1フレキシブル基板SUB1は、上述の第1電気素子1に加え、複数の第1電源線11と、複数の第2電源線12とを備えている。複数の第1電源線11は、発光領域LAにおいて第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の第2電源線12は、発光領域LAにおいて第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。
【0024】
第1電気素子1は、発光部13を備えている。発光部13としては電圧印加に応じて光を放つことが可能な種々の要素を適用できるが、本実施形態においては発光部13が発光ダイオード(LED)である場合を想定する。ただし、発光部13は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子などであってもよい。
【0025】
一例として、発光部13は、最長の一辺の長さが100μm以下のマイクロLEDである。ただし、発光部13は、例えば最長の一辺の長さが100μmより大きく300μm未満のミニLEDであってもよい。また、発光部13は、最長の一辺の長さが300μm以上のLEDであってもよい。
【0026】
図2の例において、発光部13は、第1電源線11および第2電源線12に接続されている。第1電源線11にはコントローラCTから第1電圧V1が供給され、第2電源線12にはコントローラCTから第2電圧V2が供給される。例えば、第1電圧V1は高電圧であり、第2電圧V2は第1電圧V1よりも小さい低電圧である。発光部13は、第1電圧V1と第2電圧V2の電位差に応じて発光する。
【0027】
第2フレキシブル基板SUB2は、上述の第2電気素子2に加え、複数の走査線21と、複数の電源線22と、複数の信号線23と、第1ドライバDR1と、第2ドライバDR2とを備えている。複数の走査線21は、検知領域DAにおいて第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の電源線22は、検知領域DAにおいて第1方向Xに延びるとともに第2方向Yに並んでいる。複数の信号線23は、検知領域DAにおいて第2方向Yに延びるとともに第1方向Xに並んでいる。
【0028】
第2電気素子2は、入射する光に応じた信号を生成する受光部24と、スイッチング素子SWとを備えている。スイッチング素子SWのゲート電極は走査線21に接続され、スイッチング素子SWのソース電極およびドレイン電極はそれぞれ信号線23および受光部24に接続されている。受光部24には電源線22も接続されている。電源線22には共通電圧が供給される。例えば、受光部24としてはフォトダイオードを用いることができる。
【0029】
第1ドライバDR1および第2ドライバDR2は、検知領域DAの外に配置されている。第1ドライバDR1には各走査線21が接続されている。第2ドライバDR2には各信号線23が接続されている。
【0030】
第1ドライバDR1は、各走査線21に走査信号を順次供給する。各第2電気素子2において、走査線21に走査信号が供給されるとスイッチング素子SWがオンされる。このとき、受光部24が生成する信号が信号線23に出力される。第2ドライバDR2は、信号線23に出力された信号を取り込み、コントローラCTに出力する。
【0031】
第1電気素子1が放つ光の波長は、電子機器EDの用途に応じて適宜に選択し得る。例えば複数の第1電気素子1は、赤色の波長域の光を放つ第1電気素子1と、緑色の波長域の光を放つ第1電気素子1と、青色の波長域の光を放つ第1電気素子1とを含んでもよい。この場合においては、各色の第1電気素子1を同時に発光させることで白色光を得ることができる。また、例えば電子機器EDにより上述の脈波を検知する場合には、血中のヘモグロビンによる吸収率が高い緑色の波長域の光を光源として用いることが好ましい。そこで、このような用途においては全ての第1電気素子1が緑色の波長域の光を放つようにしてもよい。
【0032】
例えば、図2に示す第1フレキシブル基板SUB1の構成においては、発光領域LAの全ての第1電気素子1が同時に発光する。ただし、第1フレキシブル基板SUB1は、第2フレキシブル基板SUB2と同じくアクティブマトリクス方式の回路構成を有してもよい。この場合においては、発光部13と接続されたスイッチング素子が各第1電気素子1に設けられる。さらに、当該スイッチング素子に接続された走査線と信号線が発光領域LAに配置される。各第1電気素子1においては、走査線に走査信号が供給されるとスイッチング素子がオンされ、信号線に供給された信号(電圧)に応じて発光部13が発光する。
【0033】
図3は、第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2の一部を拡大した概略的な平面図である。第1フレキシブル基板SUB1において、第1絶縁基材10は、複数の島状部10aを有している。島状部10aは、第1方向Xおよび第2方向Yにマトリクス状に配置されている。図3の例においては島状部10aが正方形であるが、島状部10aは長方形、ひし形、正円形あるいは楕円形など他の形状であってもよい。
【0034】
第1絶縁基材10は、複数の第1帯部10bと、複数の第2帯部10cとをさらに有している。第1帯部10bは、第1方向Xに隣り合う2つの島状部10aを繋いでいる。第2帯部10cは、第2方向Yに隣り合う2つの島状部10aを繋いでいる。図3の例においては、第1帯部10bおよび第2帯部10cがそれぞれ島状部10aの角部に接続されている。他の例として、第1帯部10bおよび第2帯部10cは、島状部10aの直線状の辺にそれぞれ接続されてもよい。
【0035】
第1帯部10bおよび第2帯部10cは、いずれも非直線状である。図3の例においては、第1帯部10bおよび第2帯部10cが大きく2回屈曲し、全体としてS字型に蛇行した形状を有している。このような形状は、ミアンダパターンと呼ばれることがある。ただし、第1帯部10bおよび第2帯部10cの形状は図3の例に限られず、例えば1回のみ屈曲する形状や3回以上屈曲する形状、あるいは第1方向Xおよび第2方向Yと交差する方向へ直線状に延びる形状など種々の形状を適用し得る。第1帯部10bおよび第2帯部10cの形状が互いに異なってもよい。
【0036】
第1絶縁基材10は、例えばポリイミドによって形成されている。この場合において、各島状部10a、各第1帯部10bおよび各第2帯部10cは、ポリイミド膜をパターニングすることにより一体的に形成することができる。なお、第1絶縁基材10の材料はポリイミドに限られず、他の樹脂材料を用いることもできる。
【0037】
発光部13を含む第1電気素子1は、島状部10aの上に配置されている。また、第1電源線11は第1帯部10bの上に配置され、第2電源線12は第2帯部10cの上に配置されている。第1電源線11および第2電源線12は、第1帯部10bおよび第2帯部10cと同様に蛇行している。第1電源線11および第2電源線12は、第1配線の一例である。
【0038】
このように第1絶縁基材10を複数の島状部10aとこれら島状部10aを繋ぐ第1帯部10bおよび第2帯部10cとで構成することにより、第1フレキシブル基板SUB1に伸縮性を与えることができる。すなわち、特定の方向への張力または圧縮力が第1フレキシブル基板SUB1に働くと、この張力または圧縮力に応じて第1帯部10bおよび第2帯部10cが伸縮する。これにより、第1フレキシブル基板SUB1が張力または圧縮力に応じた形状に変形する。
【0039】
第2絶縁基材20も第1絶縁基材10と同様の形状を有している。すなわち、第2絶縁基材20は、マトリクス状に配置された複数の島状部20aと、第1方向Xに隣り合う2つの島状部20aを繋ぐ複数の第1帯部20bと、第2方向Yに隣り合う2つの島状部20aを繋ぐ複数の第2帯部20cとを有している。第2絶縁基材20は、第1絶縁基材10と同じくポリイミドによって形成することができるが、他の樹脂材料によって形成されてもよい。
【0040】
受光部24を含む第2電気素子2は、島状部20aの上に配置されている。また、走査線21および電源線22は第1帯部20bの上に配置され、信号線23は第2帯部20cの上に配置されている。走査線21、電源線22および信号線23は、第1帯部20bおよび第2帯部20cと同様に蛇行している。走査線21、電源線22および信号線23は、第2配線の一例である。
【0041】
このように第2絶縁基材20を複数の島状部20aと第1帯部20bおよび第2帯部20cとで構成することにより、第2フレキシブル基板SUB2にも第1フレキシブル基板SUB1と同様の伸縮性を与えることができる。
【0042】
図4は、島状部10aにおける第1フレキシブル基板SUB1の概略的な断面図である。図5は、第1帯部10bおよび第2帯部10cにおける第1フレキシブル基板SUB1の概略的な断面図である。これらの図においては、第1伸縮部材EM1および第2伸縮部材EM2も示している。
【0043】
図4に示すように、第1電気素子1は、上述の発光部13に加え、第1電極14と、接続層15と、絶縁層16と、第2電極17とを備えている。第1電極14は、島状部10aの上に配置されている。第1電極14と島状部10aの間に絶縁層や導電層が介在してもよい。接続層15は、例えば半田であり、第1電極14の上面に接触している。
【0044】
発光部13は、接続層15の上に配置されている。発光部13は、陽極ANと、陰極CAと、陽極ANと陰極CAの間に配置された発光層LIとを備えている。陽極ANは、接続層15の上面に接触している。絶縁層16は、第1電極14、接続層15および発光部13の側面を覆っている。陰極CAは、絶縁層16から露出している。第2電極17は、陰極CAおよび絶縁層16の上に配置され、陰極CAと接触している。
【0045】
図5に示すように、第1電源線11は第1帯部10bの上に配置され、第2電源線12は第2帯部10cの上に配置されている。第1電源線11と第1帯部10bの間、および、第2電源線12と第2帯部10cの間にそれぞれ絶縁層が介在してもよい。第1電源線11および第2電源線12は、それぞれ絶縁層16によって覆われている。
【0046】
図4および図5の断面とは異なる位置において、第1電極14は第1電源線11に接続され、第2電極17は第2電源線12に接続されている。すなわち、陽極ANには第1電極14を介して第1電源線11の第1電圧V1が印加され、陰極CAには第2電極17を介して第2電源線12の第2電圧V2が印加される。発光層LIは、陽極ANと陰極CAの電位差に応じて光を放つ。
【0047】
第1電極14は、例えば金属材料で形成されているが、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電材料で形成されてもよい。第2電極17は、ITOなどの透明導電材料で形成されている。絶縁層16は、感光性アクリル樹脂などの有機絶縁材料で形成されている。第1電源線11および第2電源線12は、金属材料で形成されている。
【0048】
島状部10a、第1帯部10b、第2帯部10cおよびこれらに配置された各要素は、第1伸縮部材EM1と第2伸縮部材EM2の間に位置している。島状部10a、第1帯部10bおよび第2帯部10cの下面は、第1伸縮部材EM1に接触している。島状部10a、第1帯部10bおよび第2帯部10cが無い領域においては、第1伸縮部材EM1と第2伸縮部材EM2が接触している。第1伸縮部材EM1および第2伸縮部材EM2は、例えば第1絶縁基材10よりも弾性率(ヤング率)が小さい樹脂で形成されている。
【0049】
図6は、島状部20aにおける第2フレキシブル基板SUB2の概略的な断面図である。図7は、第1帯部20bおよび第2帯部20cにおける第2フレキシブル基板SUB2の概略的な断面図である。これらの図においては、第3伸縮部材EM3および第4伸縮部材EM4も示している。
【0050】
図6に示すように、第2電気素子2は、上述の受光部24に加え、回路層25と、絶縁層26とを備えている。回路層25は、島状部20aの上に配置されている。回路層25と島状部20aの間に絶縁層や導電層が介在してもよい。回路層25は、上述のスイッチング素子SWなどの各種の薄膜トランジスタや配線を含む。絶縁層26は、回路層25を覆っている。
【0051】
受光部24は、絶縁層26の上に配置されている。受光部24は、例えば有機光検出器(OPD:Organic Photodetector)であり、第1電極27と、第2電極28と、第1電極27および第2電極28の間に配置された活性層29とを備えている。第1電極27は、絶縁層26の上に配置され、コンタクトホールCHを通じて回路層25(スイッチング素子SW)に接続されている。
【0052】
図7に示すように、走査線21および電源線22は第1帯部20bの上に配置され、信号線23は第2帯部20cの上に配置されている。走査線21および電源線22と第1帯部20bの間に絶縁層が介在してもよい。同様に、信号線23と第2帯部20cの間に絶縁層が介在してもよい。走査線21、電源線22および信号線23は、それぞれ絶縁層26によって覆われている。
【0053】
図7の例においては走査線21および電源線22が同層に配置されているが、走査線21および電源線22は異なる層に配置されてもよい。この場合、第3方向Zにおいて走査線21および電源線22が絶縁層を介して対向してもよい。図6および図7の断面とは異なる位置において、走査線21および信号線23は回路層25(スイッチング素子SW)に接続され、電源線22は第2電極28に接続されている。すなわち、第2電極28には電源線22の共通電圧が印加される。
【0054】
第1電極27は、例えば金属材料で形成されているが、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電材料で形成されてもよい。第2電極28は、ITOなどの透明導電材料で形成されている。絶縁層26は、感光性アクリル樹脂などの有機絶縁材料で形成されている。走査線21、電源線22および信号線23は、金属材料で形成されている。
【0055】
活性層29は、有機材料で形成された電子供与体(p型半導体)および電子受容体(n型半導体)を含む。第1電極27と活性層29の間には電子輸送層が形成され、第2電極28と活性層29の間には正孔輸送層が形成されている。活性層29に光が入射すると、この光に応じた電流が生じる。当該電流は、第1電極27およびスイッチング素子SWを介して信号線23に出力される。
【0056】
島状部20a、第1帯部20b、第2帯部20cおよびこれらに配置された各要素は、第3伸縮部材EM3と第4伸縮部材EM4の間に位置している。島状部20a、第1帯部20bおよび第2帯部20cの下面は、第3伸縮部材EM3に接触している。島状部20a、第1帯部20bおよび第2帯部20cが無い領域においては、第3伸縮部材EM3と第4伸縮部材EM4が接触している。第3伸縮部材EM3および第4伸縮部材EM4は、例えば第2絶縁基材20よりも弾性率が小さい樹脂で形成されている。各伸縮部材EM1~EM4は、全て同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
【0057】
図8は、第1電気素子1、第2電気素子2および透光部TPの関係を概略的に示す平面図である。図示したように、複数の第1電気素子1は、第1方向Xにおいて第1ピッチpx1で並び、第2方向Yにおいて第1ピッチpy1で並んでいる。複数の第2電気素子2は、第1方向Xにおいて第2ピッチpx2で並び、第2方向Yにおいて第2ピッチpy2で並んでいる。また、複数の透光部TPは、第1方向Xにおいて第3ピッチpx3で並び、第2方向Yにおいて第3ピッチpy3で並んでいる。
【0058】
なお、第1ピッチpx1および第1ピッチpy1は島状部10aのピッチでもあり、第2ピッチpx2および第2ピッチpy2は島状部20aのピッチでもある。一例として、第1ピッチpx1と第1ピッチpy1は同じであり、第2ピッチpx2と第2ピッチpy2は同じであり、第3ピッチpx3と第3ピッチpy3は同じである。
【0059】
第1フレキシブル基板SUB1が発する光の強度を高める観点からは、第1電気素子1が第2電気素子2よりも高い精細度で配置されていることが好ましい。この場合においては、第2ピッチpx2が第1ピッチpx1よりも大きく(px1<px2)、かつ第2ピッチpy2が第1ピッチpy1よりも大きい(py1<py2)。
【0060】
また、第2電気素子2と透光部TPの関係によっては透光部TPに起因したモアレが生じ、第2電気素子2によるセンシングに悪影響が生じ得る。そこで、このようなモアレを低減すべく、透光部TPの精細度を第2電気素子2の精細度よりも高めることが好ましい。この場合においては、第3ピッチpx3が第2ピッチpx2よりも小さく(px2>px3)、かつ第3ピッチpy3が第2ピッチpy2よりも小さい(py2>py3)。
【0061】
なお、第1電気素子1、第2電気素子2および透光部TPの精細度の関係はここで例示したものに限られない。他の例として、第1方向Xにおける各ピッチpx1~px3が同じであってもよい。同様に、第2方向Yにおける各ピッチpy1~py3が同じであってもよい。
【0062】
図9は、電子機器EDの概略的な断面図である。第1伸縮部材EM1は、第1フレキシブル基板SUB1の下面および光学部材OMの上面に密着している。第4伸縮部材EM4は、第2フレキシブル基板SUB2の上面および光学部材OMの下面に密着している。
【0063】
図9の例においては第1電気素子1、第2電気素子2および透光部TPが第3方向Zに重なっているが、この例に限られない。第1電気素子1は、透光部TPと第3方向Zに重ならない位置に配置されてもよい。また、第2電気素子2よりも幅が小さい複数の透光部TPが第2電気素子2とZ方向に重なってもよい。
【0064】
本実施形態においては、遮光部BPの弾性率が透光部TPの弾性率よりも小さい。一例として、透光部TPの弾性率が遮光部BPの弾性率の10倍以上であることが好ましい。また、遮光部BPの弾性率は、第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2の弾性率よりも小さいことが好ましい。
【0065】
図10は、図9に示した電子機器EDに第1方向Xと平行な引張力Fが作用した状態を示す概略的な断面図である。本実施形態においては、第1絶縁基材10および第2絶縁基材20が図3に示した形状を有している。そのため、フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2は、いずれも第1方向Xおよび第2方向Yを含むX-Y平面内で伸縮可能である。
【0066】
さらに、上述のように遮光部BPおよび伸縮部材EM1~EM4の弾性率が第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2の弾性率よりも小さければ、これらの要素もX-Y平面内で伸縮可能である。したがって、引張力Fが作用すると、電子機器EDの全体が第1方向Xに引き延ばされる。
【0067】
図10の例においては、第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2が引き延ばされたために、隣り合う第1電気素子1の間隔および隣り合う第2電気素子2の間隔がいずれも図9の例に比べて大きい。
【0068】
第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2が引き延ばされる前後で第1電気素子1と第2電気素子2の位置関係が変化すると、電子機器EDのセンシングが不安定となり得る。そこで、第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2の弾性率は同等であることが好ましい。この場合においては、所定の引張力や圧縮力に対する第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2の延伸率が同等になり、第1電気素子1と第2電気素子2の位置関係が保たれる。結果として、第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2が引き延ばされた場合であっても電子機器EDのセンシングが安定する。なお、第1フレキシブル基板SUB1および第2フレキシブル基板SUB2の弾性率は異なっていてもよい。その場合でも引き延ばされる前後で第1電気素子1と第2電気素子2の位置関係が保たれるか、第1電気素子1と第2電気素子2の位置関係が変化したとしても、第1電気素子1と第2電気素子2とが重ならないように配置されていることが好ましい。
【0069】
光学部材OMにおいては、上述のように遮光部BPの弾性率が透光部TPの弾性率よりも小さいために、遮光部BPが透光部TPよりも変形しやすい。そのため、引張力Fが作用すると主に遮光部BPが引き延ばされる。このように遮光部BPが主に変形すれば、引張力Fが加わった場合でも透光部TPと第2電気素子2との位置関係が保たれる。結果として、透光部TPの変形や透光部TPと第2電気素子2の位置ずれに起因して第2電気素子2に不所望な光が集光することを抑制できる。
【0070】
なお、以上述べた効果は、第1方向Xの引張力F以外の力が電子機器EDに加わった場合でも同様に得ることができる。このような力としては、第1方向Xの圧縮力、第2方向Yの引張力または圧縮力、第1方向Xおよび第2方向Yと交わる方向の引張力Fまたは圧縮力などが想定される。また、電子機器EDは、任意の形状に曲げることも可能である。
このように、本実施形態によれば、良好なフレキシブル性を発揮するとともに、センシングの精度にも優れた電子機器EDを得ることができる。
【0071】
第1フレキシブル基板SUB1、第2フレキシブル基板SUB2および光学部材OMの構成は、本実施形態に例示したものに限られない。
図11は、第1フレキシブル基板SUB1の他の一例を示す概略的な平面図である。この図の例においては、第1電気素子1が第1発光部13a、第2発光部13bおよび第3発光部13cを備えている。
【0072】
第1発光部13a、第2発光部13bおよび第3発光部13cは、例えば異なる波長域の光を放つLEDである。一例として、第1発光部13aは赤色の波長域の光を放ち、第2発光部13bは緑色の波長域の光を放ち、第3発光部13cは青色の波長域の光を放つ。
【0073】
第1発光部13a、第2発光部13bおよび第3発光部13cは、同時に発光してもよい。また、第1フレキシブル基板SUB1にアクティブマトリクス方式の回路構成を適用して、第1発光部13a、第2発光部13bおよび第3発光部13cの選択的な発光や個別の輝度調整を可能としてもよい。
【0074】
その他にも、第1電気素子1が備える発光部13の数は3つに限られず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。第2電気素子2も同様に、複数の受光部24を備えてもよい。
【0075】
第1電気素子1は、例えば赤色、緑色および青色の波長域を含む広波長域の光を放つLED等の発光部を備えてもよい。この場合において、発光部が放つ光から特定の波長域の光を取り出すための分光部材を第1電気素子1に設けてもよい。
【0076】
本実施形態においては、図1に示したように第2フレキシブル基板SUB2の上方(対象物Oと第2フレキシブル基板SUB2の間)に第1フレキシブル基板SUB1が位置する構成を例示した。他の例として、第2フレキシブル基板SUB2の下方に第1フレキシブル基板SUB1が位置してもよい。この場合において、第1フレキシブル基板SUB1の各第1電気素子1が放つ光は、第2フレキシブル基板SUB2および透光部TPを透過して対象物Oに照射されてもよい。
【0077】
以上、本発明の実施形態として説明した電子機器を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての電子機器も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0078】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0080】
ED…電子機器、SUB1…第1フレキシブル基板、SUB2…第2フレキシブル基板、OM…光学部材、EM1~EM4…伸縮部材、CT…コントローラ、1…第1電気素子、2…第2電気素子、10…第1絶縁基材、13…発光部、20…第2絶縁基材、10a,20a…島状部、10b,20b…第1帯部、10c,20c…第2帯部、24…受光部。
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