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特許7523924少なくとも2つの集光器の被照射面を映し出す発光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】少なくとも2つの集光器の被照射面を映し出す発光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/148 20180101AFI20240722BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/33 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/36 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/365 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/39 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 41/32 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240722BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20240722BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240722BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20240722BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240722BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240722BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240722BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20240722BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20240722BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240722BHJP
   F21Y 107/90 20160101ALN20240722BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20240722BHJP
【FI】
F21S41/148
F21S41/19
F21S41/265
F21S41/275
F21S41/33
F21S41/36
F21S41/365
F21S41/39
F21S41/37
F21S41/32
F21S43/14
F21S43/20
F21S43/31
F21V5/00 320
F21V5/00 610
F21V7/09 510
F21V7/09 100
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:55
F21W102:13
F21W102:135
F21Y115:10
F21Y107:90
F21W105:00
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020044441
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2020149975
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】1902618
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】シルバン、ジロー
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、エルミット
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-109493(JP,A)
【文献】特開2010-153270(JP,A)
【文献】特開2017-016819(JP,A)
【文献】特開2014-107048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/148
F21S 41/19
F21S 41/265
F21S 41/275
F21S 41/33
F21S 41/36
F21S 41/365
F21S 41/39
F21S 41/37
F21S 41/32
F21S 43/14
F21S 43/20
F21S 43/31
F21V 5/00
F21V 7/09
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/55
F21W 102/13
F21W 102/135
F21Y 115/10
F21Y 107/90
F21W 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動車両用の発光装置(2;102;202;302)であって、
- それぞれが光線を放出することのできる第1光源(4;104;204;304)および第2光源(14;114;214;314)と、
- 前記第1光源(4;104;204;304)および前記第2光源(14;114;214;314)によって放出された光線をそれぞれ集光して反射するように構成される反射面(6.2,16.2;106.2,116.2;206.2,216.2;306.2,316.2)を各自有した第1集光器(6;106;206;306)および第2集光器(16;116;216;316)と、
- 前記第1集光器(6;106;206;306)および前記第2集光器(16;116;216;316)の前記反射面(6.2,16.2;106.2,116.2;206.2,216.2;306.2,316.2)によって反射された光線を投射して、それぞれ当該発光装置の光軸(8;108;208;308)に沿った第1光ビーム(12;112;212;312)および第2光ビーム(18;118;218;318)とするように構成された光学系(10;110;210;310)と、
を備えた発光装置(2;102;202;302)において、
前記光学系(10;110;210;310)は、前記第1集光器(6;106;206;306)および前記第2集光器(16;116;216;316)それぞれの前記反射面(6.2,16.2;106.2,116.2;206.2,216.2;306.2,316.2)の発光像を形成するように構成されており、
前記光学系(10;110;210;310)は、軸方向で前記第1集光器(6;106;206;306)の前記反射面(6.2;106.2;206.2;306.2)における前方境界の後方に位置した第1焦点(10.5;110.5;210.5;310.5)と、軸方向で前記第2集光器(16;116;216;316)の前記反射面(16.2;116.2;216.2;316.2)における前方境界の後方に位置した第2焦点(10.6;110.6;210.6;310.6)とを有しており、
前記第1光ビーム(12;112;212;312)および前記第2光ビーム(18;118;218;318)のそれぞれが、当該第1および第2ビームの他の照明または合図機能とは別個の照明または合図機能の一部ないし全部を形成する、発光装置(2;102;202;302)。
【請求項2】
前記第1集光器(6;106;206;306)と前記第2集光器(16;116;216;316)の少なくとも一方は、当該集光器の前記反射面(6.2,16.2;106.2,116.2;206.2,216.2;306.2,316.2)の後方部分によって反射された光線が前記光軸(8;108;208;308)と平行であるか、または鉛直面内において前記軸に対して25°以下の傾斜角度を有するように構成されている、請求項1記載の発光装置(2;102;202;302)。
【請求項3】
前記第1光源(4;104;204;304)および前記第2光源(14;114;214;314)は、前記光軸(8;108;208;308)に垂直な主方向、または前記光軸に垂直な方向に対して25°以下の角度だけ傾いた主方向へ放出するように構成されており、前記第1集光器(6;106;206;306)および第2集光器(16;116;216;316)の前記反射面(6.2,16.2;106.2,116.2;206.2,216.2;306.2,316.2)は、楕円状または放物線状のプロファイルを有している、請求項1または2に記載の発光装置(2;102;202;302)。
【請求項4】
前記光学系は、前記第1光ビーム(12;112;212;312)の光線のための第1入光面(10.1;110.1;210.1;310.1)と前記第2光ビーム(18;118;218;318)の光線のための第2入光面(10.2;110.2;210.2;310.2)とを有したレンズ(10;110;210;310)である、請求項1からのいずれか一項に記載の発光装置(2;102;202;302)。
【請求項5】
前記第1および第2入光面(10.1,10.2;110.1,110.2;210.1,210.2;310.1,310.2)は、前記光軸(8;108;208;308)に対して垂直な方向に整列させられている、請求項4に記載の発光装置(2;102;202;302)。
【請求項6】
前記レンズ(10;310”)は、前記第1および第2入光面(10.1,10.2;310”.1,310”.2)に共通の出光面(10.3,10.4;310”.3,310”.4)を有している、請求項4または5に記載の発光装置(2;302)。
【請求項7】
前記第1集光器(6;306)および前記第1光源(4;304)がそれぞれ前記光軸(8;308)に対して前記第2集光器(16;316)および前記第2光源(14;314)とは反対の側にあるか、または一方の前記第1集光器(106;206)および前記第1光源(104;204)と、他方の前記第2集光器(116;216)および前記第2光源(114;214)とが横並びで配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の発光装置(2;102;202;302)。
【請求項8】
前記第1集光器(6;106;206;306)と前記第2集光器(16;116;216;316)の少なくとも一方の前記反射面(6.2,16.2;106.2,116.2;206.2,216.2;306.2,316.2)は、凹形であると共に、対応する前記光ビームの全体的な伝播方向に対しての前方縁部(6.2.1,16.2.1)と後方縁部(6.2.2,16.2.2)とを有しており、前記前方縁部は、対応する集光器の発光像の上方縁部および下方縁部の一方を画定し、前記後方縁部は、対応する集光器の発光像の上方縁部および下方縁部の他方を画定している、請求項1からのいずれか一項に記載の発光装置(2;102;202;302)。
【請求項9】
前記第1集光器(6;106;206;306)および前記第1光源(4;104;204;304)は、当該装置が機能する姿勢に定位されたときに前記光軸(8;108;208;308)の上方に位置し、前記第1ビーム(12;112;212;312)は、前記第1集光器(6;106;206;306)の前記反射面(6.2;106.2;206.2;306.2)における前記後方縁部(6.2.2)によって形成される平坦な上方カットオフを含んだ照明ビームである、請求項8に記載の発光装置(2;102;202;302”)。
【請求項10】
前記第1焦点(10.5;310.5)が、前記第1集光器(6;306)の反射面(6.2;306.2)の後方縁部(6.2.2)の近傍に位置し、前記第2焦点(10.6; 310.6)が、前記第2集光器(16;316)の反射面(16.2;316.2)の後方縁部(16.2.2)の近傍に位置している、請求項1から9のいずれか一項に記載の発光装置(2;102;202;302”)。
【請求項11】
当該発光装置は、前記第1および第2光源(104;114;204;214)の少なくとも一方と、対応する前記第1集光器(6;106;206;306)および/または前記第2集光器(16;116;216;316)の前記反射面との虚像(104,114,106.2,116.2;204,214,206.2,216.2)を形成するように構成された反射鏡(126;226)を更に備え、前記光学系(110;210)は、前記虚像(104,114,106.2,116.2;204,214,206.2,216.2)の像を形成する、請求項1からのいずれか一項に記載の発光装置(102;202)。
【請求項12】
前記光学系の第1焦点は、前記第1集光器の虚像の反射面の後方縁部の近傍に配置されており、前記光学系の第2焦点は、前記第2集光器の後方縁部の近傍に配置されている、請求項11に記載の発光装置(102;202)。
【請求項13】
前記光学系の第1焦点は、前記第1集光器の反射面の後方縁部の近傍に配置されており、前記光学系の第2焦点は、前記第2集光器の虚像の反射面の後方縁部の近傍に配置されている、請求項11に記載の発光装置(102’;202’)。
【請求項14】
前記第1集光器(106;206)および前記第1光源(104;204)は、当該装置が機能する姿勢に定位されたときに前記光軸(108;208)の下方に位置し、前記第1ビーム(112;212)は、前記第1集光器(106;206)の前記反射面(106.2;206.2)における後方縁部によって形成される上方カットオフを含んだ照明ビームである、請求項11または13に記載の発光装置(102’;202’)。
【請求項15】
前記第2集光器(116;216)および前記第2光源(114;214)は、当該装置が機能する姿勢に定位されたときに前記光軸(108;208)の上方に位置し、前記第2ビーム(118;218)は、前記第2集光器(116;216)の前記反射面(116.2;216.2)の前方部分によって形成される、平坦なカットオフを伴わない上方部分を有した照明ビームである、請求項11または12に記載の発光装置(102;202)。
【請求項16】
前記反射鏡(126)が、対応する前記集光器(106,116)の前記反射面の延長箇所にあるか、または前記反射鏡(226)が前記光軸(208)上にある、請求項11~15のいずれか一項に記載の発光装置(102;202)。
【請求項17】
前記第1光ビーム(312)は、平坦な上方カットオフを伴うか、または平坦な上方カットオフを伴わない照明ビームであり、前記第2光ビーム(318)は合図ビームであり、前記光学系(310)は、前記第2光ビーム(318)を散乱させるように構成された粗面化加工屈折面(328.2)を備えている、請求項1から16のいずれか一項に記載の発光装置(302”)。
【請求項18】
前記粗面化加工屈折面は、前記第2入光面(310”.2)上に形成されている、請求項4から6のいずれか一項に従属する請求項17に記載の発光装置(302”)。
【請求項19】
前記レンズ(310)は主レンズであり、前記光学系は前記粗面化加工屈折面(328.2)を有した中間レンズ(328)を備えており、当該レンズは光学的に、前記第2集光器(316)の前記反射面(316.2)と前記主レンズ(310)との間に配置されている、請求項4から6のいずれか一項に従属する請求項17に記載の発光装置(302”)。
【請求項20】
前記第1光源(4;104;204;304)と前記第2光源(14;114;214;314)とが共通のプラテン上に配置されている、請求項1から19のいずれか一項に記載の発光装置(2;102;202;302)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光による照明や合図の分野、より特定的には自動車両の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(FR 3 047 541 A1)は、向い合って配置される2つの光学モジュールを備えた照明装置を開示している。これら2つの光学モジュールはそれぞれ本質的に、光源と、反射面を有した集光器とを備えている。これら2つの光源は、共通保持体の両側の2面上に配置されている。それぞれの反射面は、光源の共通保持体によって境界付けられた半分の空間内における回転面である。かくして2つの反射面は、互いに向い合った2つの半殻体を成している。2つの光学モジュールの一方は、いわゆるロービームに相当する、平坦なカットオフを含んだ照明ビームを形成するように構成されている。これを為すために当該装置は、「カットオフ」縁部と呼ばれる縁部を有した反射面を備え、当該縁部が反射面の焦点のところに位置している。カットオフ縁部の後方で当該面に当たった光線が投射レンズの上方部分に向かって反射されるのに対して、当該縁部の前方を通過する光線は逸らされることなく当該レンズの下方部分に当たる。この効果によって、ビームの本質的に平坦なカットオフが保証される。2つの光学モジュールの他方は、本質的に同様に機能するが、唯一の例外は反射面の焦点がカットオフ縁部の前方に位置していることである。2番目の光学モジュールによって作り出されるビームは、1番目の系のビームと組み合わされてハイビーム(即ち、平坦なカットオフを伴わないビーム)を生じさせる。この構成は、カットオフを含んだビームを利用してハイビームを生じさせるという点において有利である。
【0003】
そのような発光装置は、偏向器とカットオフ縁部との位置決めに高い精度を必要とする欠点を有している。かくして投射レンズは、その短い焦点距離ゆえに厚いレンズでなければならず、これにより、その重量が増大すると共に(特にヒケの点で)製造を困難にしてしまう。また、集光器は相当の高さを有し、それに伴って相当の高さ方向の体積を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】仏国特許出願公開第3047541号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、上述した先行技術における欠点の少なくとも1つを軽減することである。より特定的には、本発明の目的は、複数の照明および/または合図機能を遂行することのできる、コンパクトで、より経済的に製造される発光装置を提供することである。
【0006】
本発明の主題は、特に自動車両用の発光装置であって、それぞれが光線を放出することのできる第1光源および第2光源と、第1光源および第2光源によって放出された光線をそれぞれ集光して反射するように構成される反射面を各自有した第1集光器および第2集光器と、第1集光器および第2集光器の反射面によって反射された光線を投射して、それぞれ当該装置の光軸に沿った第1光ビームおよび第2光ビームとするように構成された光学系とを備えた発光装置において、光学系は、第1集光器および第2集光器それぞれの反射面の発光像を形成するように構成されており、第1光ビームおよび第2光ビームのそれぞれが、当該第1および第2ビームの他の照明または合図機能とは別個の照明または合図機能の一部ないし全部を形成する、という点において注目すべき発光装置である。
【0007】
当該発光装置は、その構成要素(例えば、各光源、各集光器、および光学系など)のそれぞれが、その他の構成要素に対して、特に特定の保持体(詳述せず)を介して不動に固定され、かくして、その他の構成要素に対して光学的に定置される、という点においてスタンドアローンの組立体を形成している。かくして、必要な規定の照明および合図機能の全てを(適切な場合には、組み合わせて)遂行するために、ヘッドランプのケーシング内に1つないし複数の発光装置を配置してもよい。
【0008】
第1集光器および第1光源が、第2集光器および第2光源に対して次のように配置されていることが有利である。即ち、第1集光器の反射面の発光像が、光軸に関して、第2集光器の反射面の発光像に対して反転しされるようにである。
【0009】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1集光器と第2集光器の少なくとも一方は、当該集光器の反射面の後方部分によって反射された光線が光軸と平行であるか、または鉛直面内において当該軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角度を有するように構成されている。
【0010】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1光源および第2光源は、光軸に垂直な主方向、または当該光軸に垂直な方向に対して25°以下の角度だけ傾いた主方向へ放出するように構成されている。第1集光器および第2集光器の反射面は、楕円状または放物線状のプロファイルを有しているのが有利である。その反射面は、当該プロファイルの回転面であることが好ましい。回転は、光軸と平行であるのが有利な軸線回りのものである。一変形例によれば反射面は、自由曲面やスィープ面や非対称面である。その面はまた、複数の部分を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の有利な一実施形態によれば、光学系は、軸方向で第1集光器の反射面における前方境界の後方に位置した第1焦点、および/または軸方向で第2集光器の反射面における前方境界の後方に位置した第2焦点を有している。
【0012】
本発明の有利な一実施形態によれば、光学系は、第1光ビームのための第1入光面と第2光ビームのための第2入光面とを有したレンズである。
【0013】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1および第2入光面は、光軸に対して垂直な方向に整列させられている。
【0014】
本発明の有利な一実施形態によれば、レンズは、第1および第2入光面に共通の出光面を有している。
【0015】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1集光器および第1光源がそれぞれ光軸に対して第2集光器および第2光源とは反対の側にあるか、または一方の第1集光器および第1光源と、他方の第2集光器および第2光源とが横並びで配置されている。
【0016】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1集光器と第2集光器の少なくとも一方の反射面は、凹形であると共に、対応する光ビームの全体的な伝播方向に対しての前方縁部と後方縁部とを有しており、当該縁部同士が反対方向で、対応する発光像を境界付けている。
【0017】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1集光器および第1光源は、当該装置が機能する姿勢に定位されたときに光軸の上方に位置し、第1ビームは、第1集光器の反射面における後方縁部によって形成される平坦な上方カットオフを含んだ照明ビームである。
【0018】
本発明の有利な一実施形態によれば、当該発光装置は、第1および第2光源の少なくとも一方と、対応する第1集光器および/または第2集光器の反射面との虚像を形成するように構成された反射鏡を更に備えている。
【0019】
本発明の有利な一実施形態によれば、反射鏡が、対応する集光器の反射面の延長箇所にあるか、または反射鏡が光軸上にある。
【0020】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1集光器および第1光源は、当該装置が機能する姿勢に定位されたときに光軸の下方に位置し、第1ビームは、第1集光器の反射面における後方縁部によって形成される平坦な上方カットオフを含んだ照明ビームである。
【0021】
本発明の有利な一実施形態によれば、第2集光器および第2光源は、当該装置が機能する姿勢に定位されたときに光軸の上方に位置し、第2ビームは、第2集光器の反射面の前方部分によって形成される、平坦なカットオフを伴わない上方部分を有した照明ビームである。
【0022】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1光ビームは、平坦な上方カットオフを伴うか、または平坦な上方カットオフを伴わない照明ビームであり、第2光ビームは合図ビームであり、光学系は、第2光ビームを散乱させるように構成された粗面化加工屈折面を備えている。
【0023】
本発明の有利な一実施形態によれば、粗面化加工屈折面は、第2入光面上に形成されている。
【0024】
本発明の有利な一実施形態によれば、レンズは主レンズであり、光学系は粗面化加工屈折面を有した中間レンズを備えており、当該レンズは光学的に、第2集光器の反射面と主レンズとの間に配置されている。
【0025】
本発明の有利な一実施形態によれば、第1光源と第2光源とが共通のプラテン上に配置されている。
【0026】
本発明の手段は、複数の別個の照明または合図機能の全部ないし一部を同じ装置で遂行することを可能とし、その装置が、種々の構成要素の向きを合わせるのに必要な精度が先行技術におけるものよりも低いという点においてコンパクト性や組立ての容易性の利点を有している、という有利さがある。より特定的には、照らされた反射面それぞれの像を作り出すことは、これらの反射面の後方縁部付近における光の集中を、それらの像が含んでおり、かくして水平な軸線上に光を集中させることを可能としているという事実のために有利なのである。
【0027】
本発明のその他の特徴および利点は、明細書および図面によってもっと理解が深まることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態による発光装置の模式的表現である。
図2図1の発光装置の上方集光器の斜視図である。
図3図1の発光装置における集光器の内側の被照射面を光軸に沿って外側から見た図である。
図4図1の発光装置によって作り出される照明ビームの発光像の図式的表現である。
図5】本発明の第1実施形態による発光装置の一変形例の模式的表現である。
図6】本発明の第2実施形態による発光装置の模式的表現である。
図7】本発明の第2実施形態による発光装置の一変形例の模式的表現である。
図8】本発明の第3実施形態による発光装置の模式的表現である。
図9】本発明の第3実施形態による発光装置の一変形例の模式的表現である。
図10】本発明の第4実施形態による発光装置の模式的表現である。
図11】本発明の第4実施形態による発光装置の第1変形例の模式的表現である。
図12】本発明の第4実施形態による発光装置の第2変形例の模式的表現である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明において、光軸の「上方」および「下方」の概念は、発光装置が機能する姿勢にあるときの(即ち、その装置がそれに合わせて設計されているところの向きに相当した向きでの)当該発光装置に対するものであると理解されたい。同様に、「前方」および「後方」の概念は、発光装置が機能する姿勢にあるときの当該発光装置の光軸に沿った光の全体的な方向に対するものであると理解されたい。
【0030】
図1から図4は、本発明による発光装置の第1実施形態を示している。
【0031】
図1は、当該発光装置と、その作動原理との模式的表現である。発光装置2は本質的に、第1光源4と、当該装置の光軸8に沿った第1光ビーム12を形成するために第1光源によって放出された光線を反射することのできる集光器6と、当該ビームを投射するためのレンズ10とを備えている。投射レンズ以外の投射用の光学系、特に1つないし複数の反射鏡などが想定可能である。発光装置2は更に、光軸8に対して第1光源4とは反対の側にある第2光源14と、やはり第1集光器6とは反対の側にある第2集光器16とを備えている。その第2集光器16は、当該装置の光軸8に沿った第2光ビーム18を形成するために第2光源14によって放出された光線を反射することのできるものである。
【0032】
光源4および14は、半導体光源、特に発光ダイオードであることが有利である。光源4および14のそれぞれは、当該光源の主面によって境界付けられる半分の空間内において、図示例では当該面と光軸8とに垂直な主方向へ光線を放出する。本発明によれば、放出の主方向は或いは、光軸に垂直な方向に対して25°以下の角度だけ傾けられることとなる。
【0033】
集光器6および16のそれぞれは、殻体ないしキャップの形状の保持体6.1および16.1と、保持体6.1および16.1の内面上の反射面6.2および16.2とを備えている。反射面6.2および16.2は、楕円状ないし放物線状のプロファイルを有しているのが有利である。それらの反射面の少なくとも一方は、光軸と平行な軸線周りの回転面であることが有利である。或いは、それは自由曲面やスィープ面や非対称面の問題であってもよい。その面はまた、複数の部分を含んでいてもよい。殻体ないしキャップの形状の集光器6および16は、優れた耐熱性を有する材料から、例えばガラス、またはポリカーボネートPCやポリエーテルイミドPEIなどの合成高分子化合物で作られているのが有利である。表現「放物線状」は一般的には、自らの表面が単一の焦点を有している反射器、即ち光線同士が集束する1つの部位(即ち、この集束の部位に配置された光源によって放出された光線が、当該表面から反射された後に長大な距離まで投射されるような1つの部位)を有している反射器に当てはまる。長大な距離まで投射されるとは、これらの光線が、反射器の寸法の少なくとも10倍の所に位置した部位へ向かっては集束しないことを意味する。換言すれば、反射された光線同士が、ある1つの集束の部位に向かって集束しないか、或いは集束するとしても、この集束の部位が反射器の寸法の10倍以上の距離に位置しているのである。従って放物線状の表面は、放物線状の部分を含んでいてもいなくてもよい。そのような表面を有する反射器は、一般的には単独で光ビームを作り出すのに用いられる。或いは、その反射器は、楕円状反射器と関連付けられる投射面として用いられてもよい。この場合は、放物線状反射器の光源が、楕円状反射器によって反射される光線の集束の部位なのである。
【0034】
光源4および14のそれぞれは、自らの光線が集められて光軸8に沿って反射されるように、対応する反射面6.2および16.2の焦点の所に配置されている。これらの反射された光線の少なくとも一部は、鉛直面内で当該軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角度αを有している。それは、無非点収差(即ち、投射された像の鮮明性)が得られることを可能とする所謂ガウス条件のもとにあるようにである。それは、反射面6.2および16.2の後方部分によって反射された光線の問題であることが有利である。
【0035】
投射レンズ10は、第1光ビーム12に対応した光線のための第1入光面10.1、第2光ビーム18に対応した光線のための第2入光面10.2、第1光ビーム12のための第1出光面10.3、および第2光ビーム18のための第2出光面10.4を有している。第1および第2出光面10.3および10.4は、2つの入光面10.1および10.2に共通の出光面を出光面を形成しているのが有利である。レンズ10は、薄いもの、例えば装置の光軸に沿って7mm未満の厚さのものであると考えられる。それは特に、その低いレンズ高と長い焦点距離とが理由である。レンズ10は、第1焦点10.5および第2焦点10.6を有していてよい。その第1焦点10.5はレンズ10の上方部分に対応し、第2焦点10.6はレンズ10の下方部分に対応している。当該の第1および第2焦点10.5および10.6のそれぞれは、対応する第1ないし第2集光器6/16の反射面6.2/16.2と、対応する第1ないし第2光源4/14との間に位置した区域6.3および16.3内に置かれているのが有利である(これらの区域は破線で示されている)。この場合、少なくとも一方の焦点は、対応する第1ないし第2集光器6/16の反射面6.2/16.2上に位置していてもよい。この焦点は、その近傍(好ましくは、10mm未満、できれば5mm未満の範囲内)にあれば、反射面6.2/16.2の後方や前方に位置させることもできる、ということに留意されたい。
【0036】
反射面は、それが楕円状である場合には、レンズ10の前方に位置して光軸8から距離の置かれた第2の焦点を有している。この焦点は、レンズの近傍にあるのであれば、レンズの入光面上でのビームの幅を減少させるよう、レンズの後方および/または光軸上に位置させることもできる、ということに留意されたい。
【0037】
再び図1を参照すると、一方の第1光源4および第1集光器6と、他方の第2光源14および第2集光器16とが光軸8に対して反対の側にあること分かるであろう。特に、第1光源4は第1プラテン20上に配置され、第2光源14は、第1プラテン20から隔てられた別個の第2プラテン22上に配置されている。第1および第2光源4および16には、ヒートシンク24が、第1および第2プラテン20および22の保持体の役目をする部分24.1を介して熱的に結合されている。ヒートシンク24は、冷却フィン群を有した放散部分24.2をも備えている。この構成は、熱的な観点から特に有利である。但し、第1および第2光源を共通のプラテンの両面上に配置することもできる、ということを理解されたい。
【0038】
発光装置は、第1および第2集光器6および16とレンズ10との間に位置して光軸8上に広がる吸収スクリーン26を備えていることが有利である。それは、そのスクリーン26に当たる如何なる光線をも吸収することで、寄生反射を防止するようにである。
【0039】
再び図1を参照すると、第1光ビーム12は、平坦な上方カットオフを含んだ照明ビーム(即ち、ロービーム)であることが有利である。また、第2光ビーム18は、カットオフlを伴わないビーム(即ち、第1光ビーム12との組合せにおけるハイビーム)であることが有利である。
【0040】
図2は、図1の発光装置2における第1および第2集光器6および16の一方の(但し、第1集光器のような向きでの)後方斜視図である。保持体6.1/16.1の殻体ないしキャップの形状と、反射面(図示せず)が前方縁部6.2.1/16.2.1および後方縁部6.2.2/16.2.2を有しているという事実とが分かるであろう。保持体6.1/16.1が、従って反射面6.2/16.2が、平面によって境界付けられた、好適には対称な回転面の殻体を形成しているという事実のために、当該の平面が後方縁部6.2.2/16.2.2を含んでいるのである。後方縁部は、この平面内において、回転の軸線の両側で左右へ伸びている。反射面6.2/16.2に光源から光が当てられたときには、その表面の全体が照らされるが、当該表面は、前方縁部6.2.1/16.2.1と後方縁部6.2.2/16.2.2とによって境界付けられているのである。
【0041】
図3は、光軸に沿って外側から見た第1集光器の反射面6.2上における光強度を表現したものである。具体的には、それは表面の放射照度、即ち、当該表面の方向に垂直な電磁放射の入射における、W/mで表される単位面積当たりの仕事率の問題である。表面の大部分に及ぶ暗い区域がより低い放射照度に対応するのに対して、もっと明るい中央区域はより高い放射照度に対応している。暗い区域が縁部6.2.1および6.2.2によって明瞭に境界付けられているのが分かるであろう。換言すれば、被照射面6.2は本来、この面を映し出す投射照明ビーム内にカットオフを形成することのできる明瞭な縁部を有しているのである。同じ論法が第2集光器に当てはまるが、唯一の相違は光強度分布が光軸回りに180°回転されることである。
【0042】
図4は、図1の発光装置によって投射される像の図式的表現である。水平軸線Hと鉛直軸線Vとが発光装置の光軸上で交差している。実線が第1光ビーム12に対応し、破線が第2光ビーム18に対応している。これらの曲線は等照度曲線、即ちルクスで表される輝度が同じである光ビームの部位に対応した曲線である。中央部の曲線は、周縁部よりも高い輝度レベルに対応している。
【0043】
図4では、第1光ビーム12が、本質的に水平軸線Hと同じ高さにある平坦な上方カットオフを含んでいることが分かるであろう。カットオフは完全に真っ直ぐではなく、かくして作り出される像の収差に対応した湾曲を有している。いずれにしても平坦なカットオフは、第1集光器6の反射面6.2の後方縁部(図2)であるところの縁部6.2.2(図3)によって作り出されるものである。この目的のためには、この縁部6.2.2(図3)の近傍、即ち第1光源4の後方に、レンズ10の第1焦点10.5(図1)が位置しているのが有利である。作り出される照明ビームが、前方縁部6.2.1に対応した明瞭な輪郭を水平軸線の下方に有していることも分かるであろう。
【0044】
これもまた図4において、第2光ビーム18は、本質的に第1光ビーム12の上下反転版に相当し、第1光ビーム12を完全なものとするように水平軸線H上と当該軸線の上方とに光を集めるものであることが分かるであろう。この第2ビームの最大部分における光の集中は、反射面16.2における後方縁部16.2.2近傍の部分を通じて成し遂げられる。この目的のためには、レンズ10の第2焦点10.6(図1)が後方縁部16.2.2(図2)の近傍に位置していてよい。
図5は、本発明の第1実施形態(即ち、図1に示した実施形態)の発光装置2における一変形例の模式的表現である。この変形例は、レンズ10’がもはや共通の出光面は有しておらず、むしろ別々の出光面を有している点で図1とは異なっている。この場合、第2入光面10’.2および第2出光面10’.4は、第1入光面10’.1および第1出光面10’.3に対して軸方向に偏位されていることが分かるであろう。より特定的には、この偏位は、第2入光面10’.2および第2出光面10’.4が、第1入光面10’.1および第1出光面10’.3よりも第1および第2集光器6および16から遠く離れているようなものである。これにより、特に容積上の制約を満たすことが可能となる。
【0045】
図6は、本発明の第2実施形態による発光装置の模式図である。対応したり同一であったりする要素を示すのに第1実施形態の参照符号が用いられているが、これらの符号の数字は100だけ増やされている。更に、これら要素の第1実施形態の文脈でなされた説明が援用される。この実施形態に特有の要素を示すのに、100から200の間に含まれる特有の符号が用いられている。
【0046】
この発光装置102において、第2光源114および第2集光器116は、もはや装置の光軸に対して第1光源104および第1集光器106と反対の側にはなく、代わりに後者の光源および集光器の隣に位置している。第1光源104および第1集光器106は、第2光源114および第2集光器116の裏側に位置しているので見えていない。発光装置102は更に、集光器116の反射面116.2の延長箇所に配置された反射鏡126を備えている。反射鏡126は、保持体126.1と、保持体126.1上に形成された平坦な反射面126.2とを備えている。その保持体126.1は、集光器116の保持体116.1と連なっていても、或いは隣接していてもよい。光源114は、その光線が集められて反射鏡126へ向かって反射されるように、集光器116における反射面116.2の焦点の所に配置されている。反射鏡126は、投射レンズ110に向かって、反射面116.2の虚像116.2、第2集光器116の虚像116、および光源114の虚像114を反射する(これらの虚像は、図6に破線で示されている)。第1実施形態と同様、反射鏡126によって反射されたこれらの光線の少なくとも一部は、鉛直面内で前記軸に対して25°以下、好ましくは10°以下の傾斜角度αを有している。それは、無非点収差(即ち、投射された像の鮮明性)が得られることを可能とする所謂ガウス条件のもとにあるようにである。それは、第2集光器116の反射面116.2の後方部分によって反射された光線の問題であることが有利である。
【0047】
そしてレンズ110は、第1および第2光ビーム112および118のための2つの別個の部分を備えている。これら2つの部分同士は、横並びで配置されており、もはや第1実施形態のように光軸の両側にあるわけではない。そしてレンズ110は、第1ビーム112を形成するための第1入光面110.1および第1出光面110.3と、第2ビーム118を形成するための第2入光面110.2および第2出光面110.4とを有している。但し、2つの出光面110.3および110.4が、図1のように共通の出光面を形成していたり、図5のように寧ろ別個の、軸方向に偏位し合うこともあり得る出光面を形成していたりしてもよい、ということに留意されたい。
【0048】
レンズの第2部分、即ち第2入光および出光面110.2および110.4がある部分は、両凸型であって、光軸108の上方に位置した虚光軸(virtual optical axis)108(一点鎖線)に関して対称であることが有利である、ということにも留意されたい。レンズのこの部分は、この虚光軸上において集光器の虚像の反射面における後方縁部の近傍に位置した焦点110.6を有している。これにより、レンズ110のこの部分が、本発明の第1実施形態と同様に、第2集光器116の被照射面を映し出すことが可能となる。
【0049】
ここまで説明してきた構成は、特に下方への容積上の制約を有している用途に対して有利である。
【0050】
図7は、本発明の第2実施形態(即ち、図6に示した実施形態)の発光装置102における一変形例の模式的表現である。この変形例による発光装置102’は、光軸108回りに回転されているのがもはや第2光源114および第2集光器116ではなく寧ろ第1光源104および第1集光器106である点において図6とは異なっている。同様に、光源104は、その光線が集められて反射鏡126へ向かって反射されるように、第1集光器106における反射面106.2の焦点の所に配置されている。反射鏡126は、投射レンズ110に向かって、第1集光器106の反射面106.2の虚像106.2および光源104の虚像104を反射する(これらの虚像は、図6に破線で示されている)。換言すれば、この発明は、同じ向きを有した光源同士から2つの相反する光ビーム(12&18)が得られることを可能とするのである。かくして第1光源104および第1集光器106は、回転にもかかわらず、図4に示す第1実施形態の第1光ビーム12と同様の光ビーム、即ち自らの上方部分における(この場合、水平軸線と同じ高さの)光の集中を伴ったビームを作り出し得るのである。
【0051】
レンズ110’の第1入光および出光面110’.1および110’.3は見えるであろうが、第2入光および出光面110’.3および110’.4は見えていない。そして、レンズ110’の第1部分は、図6のレンズの第2部分と同様、両凸型であって、光軸108の下方に位置した虚光軸(一点鎖線)に関して対称であることが有利である。レンズのこの部分は、この虚光軸上において集光器の虚像の反射面における後方縁部の近傍に位置した焦点110’.6を有している。
【0052】
同様に、ここまで説明してきた構成は、特に上方への容積上の制約を有している用途に対して有利である。
【0053】
図8は、本発明の第3実施形態による発光装置の模式図である。対応したり同一であったりする要素を示すのに第1および第2実施形態の参照符号が用いられているが、これらの符号の数字はそれぞれ200および100だけ増やされている。更に、これら要素の第1および第2実施形態の文脈でなされた説明が援用される。この実施形態に特有の要素を示すのに、200から300の間に含まれる特有の符号が用いられている。
【0054】
この第3実施形態は、次の点において第2実施形態(図6)と同様である。即ち、この発光装置202において、第2光源214および第2集光器216は、もはや装置の光軸に対して第1光源204および第1集光器206と反対の側にはなく、代わりに後者の光源および集光器の隣に位置している。第1光源204および第1集光器206は、第2光源214および第2集光器216の裏側に位置しているので見えていない。装置202は、保持体226.1と反射面226.2とが設けられた反射鏡226を備えている。その反射面226.2は、平坦であるのが有利である。反射鏡226、より特定的には反射面226.2が光軸208上にある。それらは当該軸と平行であることが有利であるが、僅かに(例えば、20°または10°までの傾斜で)傾いている変形例を構想し得る、ということを理解されたい。第2集光器216の反射面216.2は、第2光源214によって放出された光線を反射面226.2に向かって反射するように構成されている。そして反射面226.2は、これらの光線を、第2光源214の虚像214および第2集光器216の反射面216.2の虚像216.2を形成するように反射する。これらの虚像(破線)は、光軸208の下方に位置している。換言すれば当該装置202は、第2集光器216の被照射面の反転した発光像(これは、第2集光器216の虚像216(破線)に対応し、主に水平軸線の上方に位置している)を作り出しつつ、当該軸線と同じ高さの下方部分における光の集中を達成することとなる。
【0055】
そして第2実施形態と同様に、レンズ210は、第1および第2光ビーム212および218のための2つの別個の部分を備えている。これら2つの部分同士は、横並びで配置されており、もはや第1実施形態のように光軸の両側にあるわけではない。そしてレンズ210は、第1ビーム212を形成するための第1入光面210.1および第1出光面210.3と、第2ビーム218を形成するための第2入光面210.2および第2出光面210.4とを有している。但し、2つの出光面210.3および210.4が、図1のように共通の出光面を形成していたり、図5のように寧ろ別個の、軸方向に偏位し合うこともあり得る出光面を形成していたりしてもよい、ということに留意されたい。
【0056】
レンズの第2部分、即ち第2入光および出光面210.2および210.4がある部分は、両凸型であって、光軸208の下方に位置した虚光軸(一点鎖線)に関して対称であることが有利である、ということにも留意されたい。レンズのこの部分は、この虚光軸208上において集光器の虚像の反射面における後方縁部の近傍に位置した焦点210.6を有している。これにより、レンズ210のこの部分が、本発明の第1実施形態と同様に、第2集光器216の被照射面を映し出すことが可能となる。
【0057】
図9は、本発明の第3実施形態(即ち、図8に示した実施形態)の発光装置202における一変形例の模式的表現である。この変形例による発光装置202’は、光軸208回りに回転されているのがもはや第2光源214および第2集光器216ではなく寧ろ第1光源204および第1集光器206である点において図8とは異なっている。同様に、第1集光器の反射面206.2は、第1光源204によって放出された光線を反射スクリーン226の(平面であるのが有利な)反射面226.2に向かって反射するように構成されている。この反射面206.2はそして、レンズ210’に向かって、より正確にはレンズ210’の第1入光および出光面210’.1および210’.3に対応した第1部分に向かって光線を反射する。かくして、破線で描かれた集光器の虚像206および虚光源204によって作り出されたかのような発光像の反転を生じさせる。換言すれば、この反転によって、第1光源204および第1集光器206を下向きに裏返したことで生じる反転を相殺することが可能となるのである。かくして第1光源204および第1集光器206は、回転にもかかわらず、図4に示す第1実施形態の第1光ビーム12と同様の光ビーム、即ち自らの上方部分における(この場合、水平軸線と同じ高さの)光の集中を伴ったビームを作り出し得るのである。
【0058】
レンズ210’の第1入光および出光面210’.1および210’.3は見えるであろうが、第2入光および出光面210’.3および210’.4は見えていない。そして、レンズ210’の第1部分は、図8のレンズの第2部分と同様、両凸型であって、光軸208の上方に位置した虚光軸208(一点鎖線)に関して対称であることが有利である。レンズのこの部分は、この虚光軸上において集光器の虚像の反射面における後方縁部の近傍に位置した焦点210’.5を有している。
【0059】
同様に、ここまで説明してきた構成は、特に上方への容積上の制約を有している用途に対して有利である。
【0060】
図10は、本発明の第4実施形態による発光装置の模式図である。対応したり同一であったりする要素を示すのに第1実施形態の参照符号が用いられているが、これらの符号の数字は300だけ増やされている。更に、これら要素の第1実施形態の文脈でなされた説明が援用される。この実施形態に特有の要素を示すのに、300から400の間に含まれる特有の符号が用いられている。
【0061】
図10の発光装置302は本質的に、光ビームのうちの一方が合図用光ビームである点において図1における第1実施形態の発光装置と異なっている。具体的には、第1実施形態においては第1および第2光ビーム12および18が照明ビームであって、実際には平坦なカットオフを含んだビーム(ロービーム機能)およびカットオフを含んでいないビーム(ハイビーム機能)であるという有利性がある。図10の場合には、第1光ビーム312が合図用光ビームとなっている。この目的のために、レンズの第1入光面310.1上に粗面化加工が施されている。かくして第1光源304と、第1集光器306と、第1入光および出光面310.1および310.3に対応するレンズ310の第1部分とによって、第1の拡散光ビーム312が形成される。第2光源、第2集光器、およびレンズの第2部分は、第1、第2、および第3実施形態のうちの1つにおけるものと同様である。かくして、第2光ビームはカットオフを含んでいてもいなくてもよく、第2光源および第2集光器は光軸308の上方に位置していても下方に位置していてもよい、ということを理解されたい。
【0062】
図11は、図10の第4実施形態の第1変形例を示している。この変形例による発光装置302’は、対応するレンズの入光面上に代えて、中間レンズ328の入光および出光面328.1および328.2の少なくとも一方の上に位置した粗面化加工を有している。その中間レンズ328は、光学的に第1集光器306と主レンズ310との間に位置している。第1集光器306の反射面306.1によって反射された各光線は、中間レンズを通過してから主レンズ10へ到達する。それらの光線が、中間レンズの粗面化加工された出光面328.2によって形成される屈折面を通じて散乱させられる有利性があるのである。
【0063】
図12は、図10の第4実施形態の第2変形例を示している。この変形例による発光装置302”は、完全に、即ち光軸308の一側(この場合は、光軸の上方)に第1光源304および第1集光器306を、光軸の他側(この場合は、光軸の下方)に第2光源314および第2集光器316を伴って示されている。図11の第1変形例と同様に、中間レンズ328が設けられている。この場合、その中間レンズは、光学的に第2集光器316と主レンズ310”との間に配置されている。もっと具体的には、中間レンズ328は、第2集光器316の近傍に、いずれにしても主レンズ310”から距離を置いて配置されている。それは、第2光ビームを、レンズ310の第2入光面310”.3の方だけではなく、第1入光面310”.1の方へも散乱させるようにである。かくして拡散した第2光ビーム318が、第1光ビーム312(この場合は、平坦なカットオフを含んでいるのが好ましい照明ビーム)と重ね合わされる。
【0064】
これら種々の実施形態や、それらの変形例を考慮すれば、所与の発光装置において照明および/または合図用光ビームの種々の組合せが可能である、ということを理解されたい。特に、光源および対応する集光器の数は、2つには限定されない。具体的には、もっと多くの光源や、もっと多くの対応した集光器を設けることが構想され得る。上述した諸実施形態で既に強調してきたように、様々な光源と集光器との対によって作り出される種々の光ビーム同士を、並べ、および/または重ね合わせてもよい。図12の、第3実施形態の変形例においては、光軸の下方に位置した光源および集光器によって作り出される第2ビーム(当該ビームはこの場合、拡散している)が、少なくとも部分的に第1光ビームと重ね合わされている。更に、第1および第2光源(並びに、任意に追加される各光源)のそれぞれが、対応した集光器に向かって光線を放出する随意に点灯可能な複数の発光部位で構成されていてもよい。
【0065】
網羅している訳ではないが、特にもっと多くの数の集光器および当該集光器に関連付けられる光源が設けられている場合には、所与の発光装置において以下の様々な組合せが可能である。
【0066】
- 第1照明機能の一部を成す平坦なカットオフを含んだ第1照明ビームの形態をとる第1光ビーム、同じ第1照明機能の別の一部を成す湾曲したカットオフを伴った第2照明ビームの形態をとる第2光ビーム、第2照明機能の全部ないし一部を成すカットオフを伴わない第3照明ビームの形態をとる第3光ビーム。
例えば、第1照明ビームがロービーム機能の一部を成す平坦なカットオフを含んだビームであって、第2照明ビームがロービーム機能の第2の部分を成す湾曲したカットオフを伴ったビームであって、第1照明ビームと第2照明ビームとの重ね合わせによってロービーム機能が成されていてもよい。第3照明ビームは、第1および第2照明ビームと重ね合わされたときにハイビーム機能を成す、補完ハイビーム機能と称されるハイビーム機能の一部を成していてもよい。
或いは第3光ビームは、第2照明機能の一部を成す光輝セグメントの形態をとる第3照明ビームであってもよく、発光装置は、この第2照明機能の一部を成す光輝セグメントの形態をとる複数の補助光ビームを放出し、それぞれの光輝セグメントが選択的に点灯可能となっている。
例えば、第3照明ビームによって形成される光輝セグメント同士がハイビーム機能の一部を成し、第3照明ビームと補助光ビームとによって形成される全ての光輝セグメントの、第1および第2照明ビームとの重ね合わせが、ハイビーム機能を成す。
上記代替案のそれぞれにおいて、発光装置2;102;202;302は、照明または合図ビームの形態をとる追加的な光ビームをも放出してよい。
【0067】
- 第1照明機能を成すカットオフを伴わない照明ビームの形態をとる第1光ビーム、および合図機能を成す合図ビームの形態をとる第2光ビーム。
例えば、照明ビームがハイビーム機能を成し、合図ビームが、方向指示機能、デイタイムランニングライト(昼間走行灯)機能、およびポジションライト(車幅灯)機能の中から選択された合図機能を成していてよい。
或いは、第1光ビームが、第1照明機能の一部を成す平坦なカットオフを含んだ第1照明ビームの形態をとっていてもよく、同じ第1照明機能の別の一部を成す湾曲したカットオフを伴った第2照明ビームの形態をとる第3光ビームを放出してもよい。
例えば、第1照明ビームがロービーム機能の一部を成す平坦なカットオフを含んだビームであって、第2照明ビームがロービーム機能の第2の部分を成す湾曲したカットオフを伴ったビームであって、第1照明ビームと第2照明ビームとの重ね合わせによってロービーム機能が成されていてもよい。
そして発光装置2;102;202;302は、平坦なカットオフを含んだビーム、湾曲したカットオフを含んだビーム、および合図ビームを放出する。
それぞれの代替案において、発光装置2;102;202;302が、第2の合図ビームの形態をとる追加的な光ビームを放出するようにすることも可能である。例えば、この第2の合図ビームは、方向指示機能、デイタイムランニングライト機能、およびポジションライト機能の中から選択された合図機能を成していてよい。
【0068】
また、一方では光源同士が、他方では関連した集光器同士が横並びで配置されていてもよい。或いは、各光源と、それらの関連する集光器との一部が、光軸に対して、各光源と、それらの関連する集光器との別の一部とは反対の側にあってもよい。
【0069】
一変形例によれば、全ての集光器同士が横並びで配置されることへの備えがなされていてもよい。
【0070】
例えば、かくして発光装置は、自らの機能する姿勢において、平坦なカットオフを含んだ照明ビームの形成に関与する集光器と、湾曲したカットオフを伴ったビームの形成に関与する集光器と、ハイビーム機能の一部を成す光ビームの形成に関与する集光器とを備え、これらの集光器同士が横並びで配置されていてよい。
【0071】
別の変形例によれば、第1および第2集光器とそれぞれ関連付けられる第1および第2光源であって、第3光源および第3光源の関連付けられる第3集光器とは光軸に対して反対の側にある第1および第2光源を有することが可能である。
【0072】
例えば、自らの機能する姿勢において発光装置は、光軸の上方で平坦なカットオフを含んだ照明ビームおよび湾曲したカットオフを伴ったビームの形成にそれぞれ関与する第1および第2集光器と、光軸の下方でハイビーム機能の一部を成す光ビームの形成に関与する第3集光器とを備えていてよい。
【0073】
別の例では、かくして発光装置は、自らの機能する姿勢において、光軸の上方で照明機能および合図機能の成立にそれぞれ関与する第1および第2集光器と、光軸の下方で合図機能の全部ないし一部を成立させる光ビームの形成に関与する第3集光器とを備えていてもよい。
【0074】
別の変形例によれば、第1集光器と関連付けられる第1光源であって、第2光源および第2光源と関連付けられる第2集光器とは、第1集光器と共に光軸に対して反対の側に位置した第1光源を有することが可能である。
【0075】
例えば、かくして発光装置は、自らの機能する姿勢において、光軸の上方で第1照明ビームを形成するカットオフを伴わない照明ビームの形成に関与する第1集光器と、光軸の下方で合図ビームの形成に関与する第2集光器とを備えていてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12