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▶ カウテックス マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】流体静力学的なリニア駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/028 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
F15B11/028 F
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020060120
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2020183806
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】10 2019 110 917.5
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501317630
【氏名又は名称】カウテックス マシーネンバウ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】KAUTEX MASCHINENBAU GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】アルント・ヴェレンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ミンカ・チェコルスキー・オルロフ
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-038731(JP,A)
【文献】特公昭48-030110(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0155975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22;21/14
B22D 17/26
B29C 45/00
B29C 49/56
B21D 24/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体静力学的なリニア駆動システム(1)において、
-第1の液圧作用面(4)と第1の液体ポート(6)とを有する単動シリンダ(2)であって、前記第1の液体ポート(6)を介して、前記第1の液圧作用面(4)は、前記単動シリンダ(2)の伸長方向(8)に作動液(7)で加圧可能である、単動シリンダ(2)と、
-大きさが一致する第2の液圧作用面(13)および第3の液圧作用面(14)と、第2の液体ポート(15)および第3の液体ポート(16)とを有する両ロッドシリンダ(9)であって、前記第2の液圧作用面(13)は、前記第2の液体ポート(15)を介して、前記伸長方向(8)に、かつ前記第3の液圧作用面(14)は、前記第3の液体ポート(16)を介して、前記伸長方向(8)とは逆向きの収縮方向(17)に、前記作動液(7)で加圧可能である、両ロッドシリンダ(9)と、
を備え、
-前記単動シリンダ(2)の前記第1の液圧作用面(4)は、前記両ロッドシリンダ(9)の液圧作用式の前記第2の液圧作用面(13)または前記第3の液圧作用面(14)よりも大きく、さらに、
-前記作動液(7)の体積流を供給するための、第1の圧力ポート(21)および第2の圧力ポート(22)を有する第1の液圧ポンプ(19)であって、前記第1の圧力ポート(21)と前記第2の圧力ポート(22)の間の体積流の流れ方向(23.1,23.2)が逆転可能である、第1の液圧ポンプ(19)と、
-前記両ロッドシリンダ(9)と前記第1の液圧ポンプ(19)とを有する、予圧下にある閉じた液圧回路(18)であって、前記第1の圧力ポート(21)は、前記第2の液体ポート(15)に、かつ前記第2の圧力ポート(22)は、前記第3の液体ポート(16)に、それぞれ流体連通されている、液圧回路(18)と、
-周囲へ向けて開いた、前記作動液(7)のための補償容器(30)であって、該補償容器(30)は、前記単動シリンダ(2)の前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、補償容器(30)と、
-前記補償容器(30)と前記単動シリンダ(2)との間の流体連通部に設けられた第1の遮断機構(33)であって、該第1の遮断機構(33)は、双方向での前記作動液の通流を可能にする、第1の遮断機構(33)と、
-前記作動液(7)の体積流を一時的に供給するように調整された、低圧ポート(27)と高圧ポート(28)を有する第2の液圧ポンプ(26)であって、前記低圧ポート(27)は、前記補償容器(30)に流体連通されており、前記高圧ポート(28)は、前記単動シリンダ(2)の前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、第2の液圧ポンプ(26)と、
-前記単動シリンダ(2)と前記両ロッドシリンダ(9)との間の機械的な連結部材と、を備える、流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項2】
流体静力学的なリニア駆動システム(1)において、
-シリンダチューブ(43)を有するシリンダと、該シリンダチューブ(43)を一端面で閉鎖するシリンダベース(44)と、反対の側の端面に配置されたピストンロッドガイド(45)と、
-前記シリンダベース(44)から前記シリンダチューブ(43)内へと延在するガイドピン(48)と、該ガイドピン(48)を包囲する環状のピストン(47)と、前記ガイドピン(48)を包囲する中空室(49)を有するピストンロッド(46)と、
-第1の液圧作用面(4)であって、該第1の液圧作用面(4)は、前記シリンダベース(44)に面する環状の第1のピストン面(47.1)によって形成されるとともに、前記環状のピストン(47)と前記シリンダベース(44)との間の第1のシリンダ室(5)を端面側で画定する、第1の液圧作用面(4)と、
-第2の液圧作用面(13)であって、該第2の液圧作用面(13)は、前記ピストンロッド(46)内に設けられた前記中空室(49)の部分表面(50)によって形成されるとともに、前記ガイドピン(48)の端面に対向する、第2の液圧作用面(13)と、
-第3の液圧作用面(14)であって、該第3の液圧作用面(14)は、前記ピストンロッドガイド(45)に面する環状の第2ピストン面(47.2)によって形成されるとともに、前記環状のピストン(47)と前記ピストンロッドガイド(45)との間の第2のシリンダ室(51)を端面側で画定し、前記第2の液圧作用面(13)と前記第3の液圧作用面(14)とは、大きさが一致する、第3の液圧作用面(14)と、
-第1の液体ポート(6)であって、該第1の液体ポート(6)を介して、前記第1の液圧作用面(4)は、前記シリンダの伸長方向(8)に作動液(7)で加圧可能である、第1の液体ポート(6)と、
-第2の液体ポート(15)および第3の液体ポート(16)であって、前記第2の液圧作用面(13)は、前記第2の液体ポート(15)を介して、前記伸長方向(8)に、かつ前記第3の液圧作用面(14)は、前記第3の液体ポート(16)を介して、前記伸長方向(8)とは逆向きの収縮方向(17)に、前記作動液(7)で加圧可能である、第2の液体ポート(15)および第3の液体ポート(16)と、
を備え、
-前記第1の液圧作用面(4)は、前記第2の液圧作用面(13)または前記第3の液圧作用面(14)よりも大きく、さらに、
-前記作動液(7)の体積流を供給するための、第1の圧力ポート(21)および第2の圧力ポート(22)を有する第1の液圧ポンプ(19)であって、前記第1の圧力ポート(21)と前記第2の圧力ポート(22)の間の体積流の流れ方向(23.1,23.2)が逆転可能である、第1の液圧ポンプ(19)と、
-前記第1の液圧ポンプ(19)を有する、予圧下にある閉じた液圧回路(18)であって、前記第1の圧力ポート(21)は、前記第2の液体ポート(15)に、かつ前記第2の圧力ポート(22)は、前記第3の液体ポート(16)に、それぞれ流体連通されている、液圧回路(18)と、
-周囲へ向けて開いた、前記作動液(7)のための補償容器(30)であって、該補償容器(30)は、前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、補償容器(30)と、
-前記補償容器(30)と前記シリンダの前記第1の液体ポート(6)との間の流体連通部に設けられた第1の遮断機構(33.1)であって、該第1の遮断機構(33.1)は、双方向での前記作動液の通流を可能にする、第1の遮断機構(33.1)と、
-前記作動液(7)の体積流を一時的に供給するように調整された、低圧ポート(27)と高圧ポート(28)を有する第2の液圧ポンプ(26)であって、前記低圧ポート(27)は、前記補償容器(30)に流体連通されており、前記高圧ポート(28)は、前記シリンダの前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、第2の液圧ポンプ(26)と、
を備える、流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項3】
-前記第2の液圧ポンプ(26)の前記高圧ポート(28)は、前記第1の液圧ポンプ(19)の前記第2の圧力ポート(22)に流体連通されており、
-前記第1の液圧ポンプ(19)と前記第2の液圧ポンプ(26)との間の前記流体連通部に逆止弁(40)が配置されていて、前記第2の液圧ポンプ(26)の方へ向かう前記作動液(7)の逆流が遮断されており、
-前記第1の圧力ポート(21)と前記第1の液体ポート(6)との間の流体連通部(38)と、該流体連通部(38)に設けられた第2の遮断機構(39)とを備える、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項4】
前記第1の液圧ポンプ(19)および/または前記第2の液圧ポンプ(26)の吐出量および/または駆動回転数が可変であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項5】
前記第1の液圧ポンプ(19)の前記第1の圧力ポート(21)および前記第2の圧力ポート(22)および/または前記第2の液圧ポンプ(26)の前記高圧ポート(28)が、蓄圧器に接続されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項6】
前記第1の遮断機構(33;33.1)および/または前記第2の遮断機構(39)が、遮断弁として構成されていることを特徴とする、請求項に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項7】
前記予圧が、周囲圧力よりも高いことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項8】
前記予圧が、5bar~50barであることを特徴とする、請求項7に記載の流体静力学的なリニア駆動システム。
【請求項9】
前記補償容器(30)と前記第1の液体ポート(6)との間の流体連通部に絞りが配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項10】
前記単動シリンダ(2)が、プランジャシリンダであることを特徴とする、請求項1に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【請求項11】
各々の前記第1の遮断機構(33;33.1)および前記第2の遮断機構(39)および各々の前記第1の液圧ポンプ(19)および前記第2の液圧ポンプ(26)のための制御装置を備え、該制御装置は、前記流体静力学的なリニア駆動システム(1)がクイックモーションでは前記伸長方向(8)および前記収縮方向(17)で運転可能であるとともに、パワーモーションでは前記伸長方向(8)で運転可能であるように調整されていることを特徴とする、請求項3又は6に記載の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にブロー成形設備の型締めユニットのための流体静力学的なリニア駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
流体静力学的なリニア駆動システムは、さらに、たとえば液圧プレス、深絞り機または射出成形機にも使用される。この種の機械は、通常、複数の運動プロセスを有する。これらの運動プロセスのうちの1つは、いわゆるパワーモーションであり、パワーモーションでは、加工されるべき工作物または動かされるべき部品に比較的低い速度で大きな力が加えられる。別の1つの運動ロセスは、いわゆるクイックモーションであり、クイックモーションにおいては比較的小さな力が加えられるが、クイックモーションは、比較的迅速な動きを可能にする。
【0003】
この種のリニア駆動システムは、たとえば、独国特許出願公開第102016113882号明細書において公知である。この公知のリニア駆動システムは、電動機によって駆動される、流れ方向を逆転可能な液圧ポンプを有する。液圧ポンプは、マスタシリンダとして第1の単ロッドシリンダを有する閉じた流体回路において作動液の可変の体積流を供給するために用いられる。単ロッドシリンダのロッド側の環状のピストン面は、ピストン側のピストン面よりも小さい。閉じた液圧回路は、その周囲に対して閉鎖されているとともに、運転時には、周囲に対する過圧を有する。この過圧は、予圧源によって自体公知の方法で生成される。単ロッドシリンダが伸縮方向に運動する際の単ロッドシリンダの様々な容積を補償するために、駆動システムは補償容器を必要とする。補償容器は、好適には、第2の単ロッドシリンダとして構成されており、第2の単ロッドシリンダのシリンダ室は、ピストン側で、周囲へ向けて開いていて、その環状面は、マスタシリンダのピストン面と環状面との間の差に相応する。両単ロッドシリンダのピストンロッドは、機械的に連結されている。補償容器として働く第2のシリンダの環状室とマスタシリンダの環状室との間の接続ラインには、2ポート2位置方向制御弁が配置されている。補償容器として働く第2のシリンダの環状室とマスタシリンダのピストン室との間の別の接続ラインには、別の2ポート2位置方向制御弁が配置されている。パワーモーションでマスタシリンダを伸縮するために、両単ロッドシリンダの両環状室の間の2ポート2位置方向制御弁が開弁される一方、別の2ポート2位置方向制御弁は、遮断されている。クイックモーションでマスタシリンダを伸縮するために、単ロッドシリンダの両環状室の間の2ポート2位置方向制御弁が遮断される一方、別の2ポート2位置方向制御弁は、開弁されている。
【0004】
単ロッドシリンダとして構成された補償容器では、つまるところ、クイックモーションでのメインシリンダの伸縮運動が、常に、補償容器として働く第2のシリンダの抵抗に抗して行われ、これにより、パワーモーションでの大きな力と同時にクイックモーションでの高い移動速度を実現することができない。クイックモーションまたはパワーモーションで駆動システムを運転するには、さらに2つの2ポート2位置方向制御弁が必須である。
【0005】
特許第4614544号公報は、3面シリンダを有する流体静力学的なリニア駆動システムを開示しており、その流体静力学的なリニア駆動システムには、パワーモーションのための1つの液圧作用面とスピーディーモーションのための2つの液圧作用面とが設けられている。クイックモーションでの3面シリンダの伸縮は、スピーディーモーションのための両液圧作用面によって行われ、両液圧作用面は、液圧ポンプを有する閉じた液圧回路を介して、選択的に加圧することができる。パワーモーションのための液圧作用面に対応付けられたシリンダ室には、クイックモーションでの伸長時に、予圧がかけられた補償容器を介して流体が充填される。パワーモーションでは、このシリンダ室は、吸込側でタンクに接続されたポンプと、予圧がかけられた補償容器とに流体連通されている。同時に、予圧がかけられた補償容器の圧力は、伸長方向とは逆向きに、スピーディーモーションのための両液圧作用面のうちの1つに作用する。
【0006】
独国特許出願公開第102010051140号明細書は、プレスフレームを有する、絞りプレス用のリニア駆動システムを開示している。プレスフレームには、上型を支持するラムと、ダイクッションプレートを有するダイクッションとが支持されており、絞りクッションプレートには、工作物押さえが支持されている。ダイクッションプレートは、ラムに、支柱を介して機械的に連結されている。工具押さえを液圧駆動式に上下動させるための工具押さえの動作を加速するために、スピーディーモーションシリンダが設けられている。さらに、ダイクッションプレートに支持された、プランジャとして構成されたクランプシリンダが設けられており、クランプシリンダは、ダイクッションプレートに対して相対的に工作物押さえを動かして力を加えるために用いられる。クランプシリンダのピストンとスピーディーモーションシリンダのピストンとが連結されている。前加速プロセスのために、押さえに上型を載置する直前に、スピーディーモーションシリンダが、押さえとクランプシリンダのピストンとをラムの運動方向に前加速することが設定されている。この場合、クランプシリンダチャンバが、遮断弁を通じて、予圧がかけられた低圧蓄圧器に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102016113882号明細書
【文献】特許第4614544号公報
【文献】独国特許出願公開第102010051140号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような背景技術から出発して、本発明の根底を成す課題は、クイックモーションでのより高い伸縮速度、パワーモーションでのより強い力および低減されたエネルギ消費量と同時に、より簡単でよりコンパクトな構造を有する、リニア駆動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題の解決手段は、クイックモーションでの伸縮運動が、パワーモーションでのみ圧力下にある作動液で加圧される比較的大きな液圧作用面から独立した、別個の液圧作用面によってもたらされるという思想に基づく。クイックモーションで比較的大きな液圧作用面が圧力下にある作動液に抗して作動するのではなく、シリンダ室から押し退けられるべき作動液が、周囲に対して開いた、つまり予圧がかけられない補償容器に供給される、またはシリンダ室に供給されるべき作動液が、補償容器から後吸込みされることによって、機械抵抗および液圧抵抗が低減される。しかし、パワーモーションでの伸長運動中には、これらの液圧作用面が相互作用し、これは、駆動システムのコンパクトな構造とともに高い力の生成に寄与する。
【0010】
具体的には、この課題は、独立請求項1および独立請求項2の特徴を有するリニア駆動システムによって解決される。
【0011】
請求項1に記載の構成によれば、クイックモーションでのシリンダの伸縮は、専ら、閉じた液圧回路に組み込まれた両ロッドシリンダによってもたらされる。クイックモーションでは、作動液による単動シリンダの第1の液圧作用面の加圧が遮断される。
【0012】
パワーモーションでのシリンダの伸長は、主として、第1の液圧作用面が伸長方向に作動液で加圧される単動シリンダによってもたらされる。ただし、単動シリンダは、伸長時に、第2の液圧作用面が伸長方向に同様に作動液で加圧される両ロッドシリンダによって補助される。単動シリンダと両ロッドシリンダとの間の機械的な連結は、特に、両シリンダのピストンロッドの間の連結部材を介して行われる。
【0013】
単動シリンダがプランジャタイプシリンダとも称されるプランジャシリンダであることによって、機械抵抗およびエネルギ消費量のさらなる低減が達成される。プランジャシリンダのピストンロッドは、同時にピストンとして用いられる。プランジャシリンダは、従来の単動シリンダよりも良好な機械効率を有する。
【0014】
独立請求項2に記載の構成は、独立請求項1に記載の構成の単動シリンダの液圧作用面と両ロッドシリンダの液圧作用面とが1つの構成部材に統合され、これにより、特にコンパクトな構造に寄与するシリンダ(以下、3面シリンダとも称される)を有する、リニア駆動システムに関する。
【0015】
クイックモーションでの3面シリンダの伸縮は、請求項1に記載の構成の場合と同様に、専ら、第2の液圧作用面または第3の液圧作用面が作動液で加圧されることによってもたらされる。クイックモーションでは、比較的大きな第1の液圧作用面の加圧が遮断される。
【0016】
パワーモーションでの3面シリンダの伸長は、主として、比較的大きな第1の液圧作用面が作動液で加圧されることによってもたらされる。しかも、伸長は、請求項1に記載の構成の場合のように、伸長方向での第2の液圧作用面の加圧によって補助される。
【0017】
第2の液圧ポンプの低圧ポートは、補償容器に流体連通されており、高圧ポートは、請求項1に記載の構成では、単動シリンダの第1の液体ポートに、または請求項2によれば、3面シリンダの第1の液体ポートに流体連通されている。
【0018】
第2の液圧ポンプの高圧ポートと第1の液体ポートとの間の流体連通は、直接に、または請求項3の特徴による本発明の一形態では、間接に行うことができる:
・直接の流体連通の場合、リニア駆動システムのクイックモーションで、第1の液圧作用面の加圧を、第2の液圧ポンプの停止だけで遮断することができる。遮断機構は、この好適な形態では、不要である。というのも、第2の液圧ポンプの高圧ポートが、単動シリンダまたは3面シリンダの第1の液体ポートにのみ流体連通されているからである。したがって、この形態は、リニア駆動システムの簡単でコンパクトな構造に寄与する。
・請求項3による発明の形態では、第2の液圧ポンプの高圧ポートは、第1の液圧ポンプの第2の圧力ポートを介して、第1の液体ポートに間接に流体連通されている。本発明のこのような形態では、逆止弁が、第2の液圧ポンプと第1の液圧ポンプとの流体連通部に配置されていて、第2の液圧ポンプの方へ向かう作動液の逆流が遮断されている。第1の液圧ポンプの第1の圧力ポートと第1の液体ポートとの間に、第2の遮断機構を有する流体連通部が設けられている。この遮断機構によって、リニア駆動システムのクイックモーションで、第1の液圧作用面の加圧が遮断される。リニア駆動システムのパワーモーションでは、開いた遮断機構を介して、第1の液圧作用面が作動液で加圧される。
【0019】
請求項3に記載の発明の形態では、第2の液圧ポンプは、第1の液圧ポンプよりも弱く設計することができる。というのも、第2の液圧ポンプは、原則として、付加的な体積の作動液を供給するだけでよく、その一方で、圧力上昇は、主として第1の液圧ポンプを介して行われるからである。しかも当然ながら、請求項3に記載の構成では、相応により強く設計された第2の液圧ポンプが、パワーモーションでの圧力上昇に極めて大きく寄与することもできる。付加的に、請求項3に記載の構成では、第2の液圧ポンプは、閉じた液圧回路内の油漏れを補償するとともに、閉じた液圧回路に予圧をかけることができる。
【0020】
パワーモーションまたはクイックモーションでのリニア駆動システムの速度および力を制御するために、本発明の好適な一形態では、第1の液圧ポンプおよび/または第2の液圧ポンプが、作動液の可変の体積流を供給する。そのために、請求項4の特徴によれば、第1の液圧ポンプおよび/または第2の液圧ポンプの吐出量および/または駆動速度が可変であってよい。
【0021】
液圧ポンプの駆動は、たとえば、回転数および回転方向が可変である電動機を介して行われ、これにより、体積流量および流れ方向が変化させられる。駆動が回転数一定の電動機を介して行われる場合には、体積流量を変化させるために、液圧ポンプの吐出量が可変であってよい。吐出量は、可変容量ポンプの場合には、たとえば斜板の調整によって無段階に変化させられる。ゼロ位置を通過して斜板が調整されると、体積流の流れ方向が変わるので、流れ方向が逆転するとともに、可変容量ポンプの高圧側と低圧側とが切り替わる。全体効率が最適化された特に省エネの運転は、好適には、電動機の回転数の変化と可変容量ポンプの吐出量の変化との組合せによって達成される。
【0022】
本発明の好適な一形態では、第1の液圧ポンプおよび/または第2の液圧ポンプの圧力ポートが、蓄圧器に接続されている。ポートへの接続は、圧力ポートから蓄圧器の方へ向かう逆流を阻止する逆止弁を介して行われる。圧力ポートに圧力容器内よりも低い圧力が作用すると、逆止弁が開弁する。したがって、蓄圧器によって、リニア駆動システムの動特性を改善する、かつ/またはエネルギを節約することができる。
【0023】
第1の液圧ポンプの圧力ポートが蓄圧器に接続されている場合には、蓄圧器は、同時に閉じた液圧回路のための予圧源として用いることができる。しかし、予圧は、主として液圧ポンプによって生成される。
【0024】
閉じた液圧回路内の予圧は、周囲圧力よりも高い。周囲圧力とは、リニア駆動システムの設置場所で作用する空気の静圧である。平均的な雰囲気の空気圧(大気圧)は、基準通りだと約1barである。予圧は、5bar~50bar、好適には10bar~25barである。
【0025】
液圧ラインに設けられた遮断機構は、作動液の体積流を遮断するまたは解放するために用いられる。遮断機構は、好適には遮断弁、特に2ポート2位置方向制御弁である。2ポート2位置方向制御弁は、2つのポートと2つの切換位置とを有する。第1の閉じた切換位置では、2ポート2位置方向制御弁を通る通流は遮断されており、第2の開いた切換位置では、2ポート2位置方向制御弁を通る通流は解放されている。
【0026】
単動シリンダの減圧段階で補償容器の損傷を回避するために、本発明の好適な一形態では、補償容器と単動シリンダまたは3面シリンダにおける第1の液体ポートとの間の流体連通部に絞りが配置されている。この絞りによって、流体連通部内を通流する作動液の圧力が低下される。絞りは、遮断弁の一体の構成部材として構成されてよい。
【0027】
以下、本発明を、実施の形態に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】単動シリンダと両ロッドシリンダとを有する流体静力学的なリニア駆動システムの第1の実施形態を示す。
図1A】クイックモーションでの伸長中を示す。
図1B】パワーモーションでの伸長中を示す。
図1C】パワーの解消中を示す。
図1D】クイックモーションでの収縮中を示す。
図2】単動シリンダと両ロッドシリンダとを有する流体静力学的なリニア駆動システムの第2の実施形態を示す。
図2A】クイックモーションでの伸長中を示す。
図2B】パワーモーションでの伸長中を示す。
図2C】パワーの解消中を示す。
図2D】クイックモーションでの収縮中を示す。
図3】3面シリンダを有する流体静力学的なリニア駆動システムの第1の実施形態を示す。
図3A】クイックモーションでの伸長中を示す。
図3B】パワーモーションでの伸長中を示す。
図3C】パワーの解消中を示す。
図3D】クイックモーションでの収縮中を示す。
図4】3面シリンダを有する流体静力学的なリニア駆動システムの第2の実施形態を示す。
図4A】クイックモーションでの伸長中を示す。
図4B】パワーモーションでの伸長中を示す。
図4C】パワーの解消中を示す。
図4D】クイックモーションでの収縮中を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、プランジャシリンダとして構成された単動シリンダ2を有する流体静力学的なリニア駆動システム1の第1の実施形態を示す。プランジャシリンダは、ピストンロッド3と、第1の液圧作用面4と、作動液7のための第1の液体ポート6を具備する第1のシリンダ室5とを有する。プランジャシリンダとしての単動シリンダ2の構成に基づいて、ピストンロッド3は、同時にピストンである。ピストンロッド3の、シリンダ室5に面する端面が、ピストン面であり、液圧的に作用する。
【0030】
第1の液体ポート6を介して、単動シリンダ2の第1の液圧作用面4が、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。
【0031】
リニア駆動システム1は、さらに、ピストン10の両側にピストンロッド11,12を具備する両ロッドシリンダ9を有する。ピストンロッド11,12を包囲する環状のピストン面が、大きさが一致する第2の液圧作用面13と第3の液圧作用面14とを形成する。両ロッドシリンダ9は、第2の液体ポート15と第3の液体ポート16とを有し、この場合、第2の液体ポート15は、ピストン10の左側で環状の第2のシリンダ室35に開口し、第3の液体ポート16は、ピストン10の右側で環状の第3のシリンダ室36に開口する。
【0032】
第2の液体ポート15を介して、第2の液圧作用面13が、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。第3の液体ポート16を介して、第3の液圧作用面14が、収縮方向17に作動液7で加圧可能である。
【0033】
予圧下にある閉じた液圧回路18は、両ロッドシリンダ9と、第1の圧力ポート21と第2の圧力ポート22とを具備する第1の液圧ポンプ19とを有する。電動機20が、液圧ポンプ19を、一定のまたは可変のモータ回転数で駆動する。液圧ポンプ19は、好適には、斜板構造形式のアキシャルピストン可変容量ポンプである。斜板を調整することによって、第1の液圧ポンプ19の体積流量を無段階に変化させることができる。ゼロ位置を通過して斜板が調整されると、体積流の流れ方向23.1,23.2が変わる。この場合、傾転角の調整は、液圧式に調整ピストンを介して行われる。
【0034】
流れ方向23.1/23.2に応じて、第1の圧力ポート21が第1の液圧ポンプ19の高圧側であり、第2の圧力ポート22が低圧側である、またはその逆である。
【0035】
第1の圧力ポート21は、第2の液体ポート15に、かつ第2の圧力ポート22は、第3の液体ポート16に、それぞれ液圧ライン24,25を介して流体連通されている。閉じた液圧回路18内の作動液の予圧は、たとえば圧力ポート21,22に接続された図示されていない圧力源(たとえばフィードオイルポンプ)によって生成することができる。閉じた液圧回路18の予圧は、当業者には知られているので、そのために必要な構成要素の図示は、見やすくするために省略した。
【0036】
単動シリンダ2の第1の液圧作用面4を作動液7で加圧するために、低圧ポート27と高圧ポート28とを有する第2の液圧ポンプ26が設けられている。低圧ポート27は、液圧ライン29を介して補償容器30に流体連通されており、高圧ポート28は、液圧ライン31を介して、単動シリンダ2の第1の液体ポート6に流体連通されている。
【0037】
周囲へ向けて開いた補償容器30は、作動液7を収容するとともに、さらに、液圧ライン32を介して、単動シリンダ2の第1の液体ポート6に流体連通されている。補償容器30と単動シリンダ2との間の液圧ライン32には、第1の遮断機構33として2ポート2位置方向制御弁33.1が配置されている。
【0038】
最後に、単動シリンダ2のピストンロッド3と両ロッドシリンダ9のピストンロッド12とが、連接部材34によって、両シリンダが専ら同期運動するように機械的に相互に結合されている。
【0039】
図1Aによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、第2の液圧作用面13が、第2の液体ポート15を介して、流れ方向23.1で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、両ロッドシリンダ9のピストン10が、伸長方向8に運動する。連接部材34を介して両ロッドシリンダ9のピストンロッド12に結合された、単動シリンダ2のピストンロッド3は、同様に伸長方向8に運動させられ、その際、ピストンロッド3の液圧作用面4は、作動液7で加圧されない。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、補償容器30から、第1の液体ポート6を介して、単動シリンダ2のシリンダ室5に至る(後吸込)。同様に第1の液体ポート6に接続された第2の液圧ポンプ26は、非作動である。
【0040】
図1Dによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の収縮時には、第3の液圧作用面14が、第3の液体ポート16を介して、そのときには逆向きの流れ方向23.2で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、両ロッドシリンダ9のピストン10が収縮方向17に運動する。連接部材34を介して両ロッドシリンダ9のピストンロッド12に結合された、単動シリンダ2のピストンロッド3は、同様に収縮方向17に運動させられ、その際、ピストンロッド3の液圧作用面4は、作動液7で加圧されない。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、単動シリンダ2のシリンダ室5から、補償容器30に押し退けられる。第1の液体ポート6に接続された第2の液圧ポンプ26は、非作動である。
【0041】
図1Bによる、パワーモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、単動シリンダ2の第1の液圧作用面4が、第1の液体ポート6を介して、起動された第2の液圧ポンプ26によって、作動液7で加圧され、これにより、単動シリンダ2が伸長方向8に運動する。パワーモーションでの伸長時には、さらに、第1の液圧ポンプ19が流れ方向23.1で起動されるので、第2の液体ポート15を介して、両ロッドシリンダ9の第2の液圧作用面13が、作動液7で加圧される。両ロッドシリンダは、この両ロッドシリンダが連接部材34を介して連結された単動シリンダ2と伸長方向8に同期運動する。液圧ライン32を介する補償容器30への作動液7の流入は、2ポート2位置方向制御弁33.1の閉弁によって阻止される。パワーモーションでの伸長時に生成される力は、単動シリンダ2と伸長方向8に加圧される両ロッドシリンダ9との相互作用によって生成される。
【0042】
パワーモーションを終了するために、図1Cに応じて、第1の液圧ポンプ19および第2の液圧ポンプ26が停止され、2ポート2位置方向制御弁33.1が開弁されるので、作動液7が、第1のシリンダ室5から、液圧ライン32に設けられた開いた2ポート2位置方向制御弁33.1を介して補償容器30に流入することができる。
【0043】
図2は、プランジャシリンダとして構成された単動シリンダ2を有する流体静力学的なリニア駆動システム1の第2の実施形態を示す。プランジャシリンダは、ピストンロッド3と、第1の液圧作用面4と、作動液7のための第1の液体ポート6を具備する第1のシリンダ室5とを有する。プランジャシリンダとしての単動シリンダ2の構成に基づいて、ピストンロッド3は、同時にピストンである。ピストンロッド3の、シリンダ室5に面する端面が、ピストン面であり、液圧的に作用する。
【0044】
第1の液体ポート6を介して、単動シリンダ2の第1の液圧作用面4が、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。
【0045】
リニア駆動システム1は、さらに、ピストン10の両側にピストンロッド11,12を具備する両ロッドシリンダ9を有する。ピストンロッド11,12を包囲する環状のピストン面が、大きさが一致する第2の液圧作用面13と第3の液圧作用面14とを形成する。両ロッドシリンダ9は、第2の液体ポート15と第3の液体ポート16とを有し、この場合、第2の液体ポート15は、ピストン10の左側で環状の第2のシリンダ室35に開口し、第3の液体ポート16は、ピストン10の右側で環状の第3のシリンダ室36に開口する。
【0046】
第2の液体ポート15を介して、第2の液圧作用面13が、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。第3の液体ポート16を介して、第3の液圧作用面14が、収縮方向17に作動液7で加圧可能である。
【0047】
予圧下にある閉じた液圧回路18は、両ロッドシリンダ9と、第1の圧力ポート21と第2の圧力ポート22とを具備する第1の液圧ポンプ19とを有する。電動機20が、液圧ポンプ19を、一定のまたは可変のモータ回転数で駆動する。液圧ポンプ19は、好適には、図1による実施形態のような斜板構造形式のアキシャルピストン可変容量ポンプである。
【0048】
第1の圧力ポート21は、第2の液体ポート15に、かつ第2の圧力ポート22は、第3の液体ポート16に、それぞれ液圧ライン24,25を介して流体連通されている。閉じた液圧回路18内の作動液の予圧は、たとえば圧力ポート21,22に接続された図示されていない圧力源によって生成することができる。
【0049】
単動シリンダ2の第1の液圧作用面4を作動液7で加圧するために、単動シリンダ2の第1の液体ポート6は、液圧ライン38を介して、第1の液圧ポンプ19の第1の圧力ポート21に流体連通されている。液圧ライン38には、2ポート2位置方向制御弁39.1として構成された第2の遮断機構39が配置されている。第2の液圧ポンプ26の高圧ポート28は、液圧ライン31を介して、第1の液圧ポンプ19の第2の圧力ポート22に流体連通されている。液圧ライン31に設けられた逆止弁40が、第2の液圧ポンプ26の方へ向かう作動液7の逆流を阻止する。
【0050】
第2の液圧ポンプ26の低圧ポート27は、液圧ライン29を介して補償容器30に流体連通されている。ただし、図1による実施形態とは相違して、第2の液圧ポンプ26の高圧ポート28は、単動シリンダ2の第1の液体ポート6に直接には流体連通されておらず、開いた2ポート2位置方向制御弁39.1と流れ方向23.1で起動された第1の液圧ポンプ19とによって解放された流れ経路を介して間接に流体連通されている。
【0051】
周囲へ向けて開いた補償容器30は、作動液7を収容するとともに、さらに、液圧ライン32を介して、単動シリンダ2の第1の液体ポート6に流体連通されている。補償容器30と単動シリンダ2との間の液圧ライン32には、第1の遮断機構33として2ポート2位置方向制御弁33.1が配置されている。
【0052】
最後に、単動シリンダ2のピストンロッド3と両ロッドシリンダ9のピストンロッド12とが、連接部材34によって、両シリンダが専ら同期運動するように機械的に相互に結合されている。
【0053】
図2Aによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、第2の液圧作用面13が、第2の液体ポート15を介して、流れ方向23.1で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、両ロッドシリンダ9のピストン10が、伸長方向8に運動する。連接部材34を介して両ロッドシリンダ9のピストンロッド12に結合された、単動シリンダ2のピストンロッド3は、同様に伸長方向8に運動させられ、その際、ピストンロッド3の液圧作用面4は、作動液7で加圧されない。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、補償容器30から、第1の液体ポート6を介して、単動シリンダ2のシリンダ室5に至る(後吸込)。単動シリンダ2の第1の液圧作用面4の加圧は行われない。というのも、液圧ライン38に設けられた2位置方向制御弁39.1が閉弁されているからである。
【0054】
図2Dによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の収縮時には、第3の液圧作用面14が、第3の液体ポート16を介して、そのときには逆向きの流れ方向23.2で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、両ロッドシリンダ9のピストン10が収縮方向17に運動する。連接部材34を介して両ロッドシリンダ9のピストンロッド12に結合された、単動シリンダ2のピストンロッド3は、同様に収縮方向17に運動させられ、その際、ピストンロッド3の液圧作用面4は、作動液7で加圧されない。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、単動シリンダ2のシリンダ室5から、補償容器30に押し退けられる。液圧ライン38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1は、閉弁されている。
【0055】
図2Bによる、パワーモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、単動シリンダ2の第1の液圧作用面4が、第1の液体ポート6を介して、作動液7で加圧され、これにより、単動シリンダ2が伸長方向8に運動する。液圧ライン38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1は、そのときには開弁されている。第1の液圧ポンプ19および第2の液圧ポンプ26の両方が起動されていて、作動液7を、一致する流れ方向23.1に、単動シリンダ2の第1の液体ポート6の方へ向けて圧送する。起動された第2の液圧ポンプ26は、第1の液体ポート6を介して単動シリンダ2の第1の液圧作用面4に、さらに第2の液体ポート15を介して両ロッドシリンダ9の第2の液圧作用面13を作動液7で加圧するために必要とされる付加的な体積の作動液7を補償容器30から供給する。両ロッドシリンダ9は、この両ロッドシリンダ9が連接部材34を介して連結された単動シリンダ2と伸長方向8に同期運動する。液圧ライン32を介する補償容器30への作動液7の流入は、2ポート2位置方向制御弁33.1の閉弁によって阻止される。
【0056】
パワーモーションを終了するために、図2Cに応じて、第1の液圧ポンプ19および第2の液圧ポンプ26が停止され、2ポート2位置方向制御弁33.1が開弁され、液圧回路38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1が閉弁されるので、作動液7が、第1のシリンダ室5から、液圧ライン32に設けられた開いた2ポート2位置方向制御弁33.1を介して補償容器30に流入する。
【0057】
図3は、図1および図2による実施形態の単動シリンダ2の機能と両ロッドシリンダ9の機能とを1つの構造群に統合した3面シリンダ42を有する、流体静力学的なリニア駆動システム1の第3の実施形態を示している。図1および図2による実施形態と機能的に一致する、3面シリンダ42の構成部材には、一致する参照符号を付してある。3面シリンダ42は、シリンダチューブ43と、シリンダチューブ43を一端面で閉鎖するシリンダベース44と、反対の側の端面に配置されたピストンロッドガイド45とを有する。ピストンロッドガイド45は、ピストンロッド46を軸方向にガイドする。ピストンロッド46の一端には、環状のピストン47が配置されている。シリンダベース44からシリンダチューブ43内へとガイドピン48が延在する。環状のピストン47は、ガイドピン48を包囲するとともに、ガイドピン48に沿って伸長方向8および収縮方向17にスライドガイドされている。
【0058】
ピストンロッド46は、環状のピストン47に設けられた中央の通路から出発してピストンロッド46内へと延在してガイドピン48を包囲する袋穴の形態の中空室49を有する。
【0059】
3面シリンダは、3つの液圧作用面4,13,14を有する。第1の液圧作用面4は、シリンダベース44に面する環状の第1のピストン面47.1によって形成され、環状の第1のシリンダ室5を画定する。
【0060】
第2の液圧作用面13は、ガイドピン48の端面に対向する、中空室49の部分表面50によって形成される。
【0061】
第3の液圧作用面14は、ピストンロッドガイド45に面する、環状の第2のピストン面47.2によって形成される。
【0062】
環状の第2のシリンダ室51は、環状のピストン面47.2と、ピストンロッド46の外周面と、シリンダチューブ43の内面と、端面側でピストンロッドガイド45とによって形成される。
【0063】
第2の液圧作用面13と第3の液圧作用面14とは、大きさが一致する。
【0064】
第1のシリンダ室5は、第1の液体ポート6を有する。第1の液体ポート6を介して、第1の液圧作用面4が、第3面シリンダ42の伸長方向8に作動液7で加圧可能である。
【0065】
第2の液圧作用面13が、第2の液体ポート15を介して、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。第2の液体ポート15は、シリンダベース44に位置する。そこから、作動液7は、流体チャネル52を介して、ガイドピン48の端面に配置された流出口に至る。
【0066】
第3の液圧作用面14が、第3の液体ポート16を介して、収縮方向17に作動液7で加圧可能である。第3の液体ポート16は、環状の第2のシリンダ室51に開口する。
【0067】
第1の液体ポート6を介して、第1の液圧作用面4が、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。
【0068】
第2の液体ポート15を介して、第2の液圧作用面13が、伸長方向8に作動液7で加圧可能である。
【0069】
第3の液体ポート16を介して、第3液圧作用面14が、伸長方向17に作動液7で加圧可能である。
【0070】
予圧下にある閉じた液圧回路18は、第1の液圧ポンプ19を有し、この場合、第1の圧力ポート21は、液圧ライン24を介して、第2の液体ポート15に流体連通されており、第2の圧力ポート22は、液圧ライン25を介して、第3の液体ポート16に流体連通されている。
【0071】
電動機20は、第1の液圧ポンプ19を、一定のまたは可変のモータ回転数で駆動する。液圧ポンプ19は、好適には、斜板構造形式のアキシャルピストン可変容量ポンプである。斜板を調整することによって、第1の液圧ポンプの体積流量を無段階に変化させることができ、またその逆も可能である。
【0072】
閉じた液圧回路18における作動液の予圧は、たとえば、圧力ポート21,22に接続された図示されていない圧力容器によって、または外部の液圧ポンプを介して生成することができる。
【0073】
3面シリンダ42の第1の液圧作用面4を作動液7で加圧するために、低圧ポート27と高圧ポート28とを有する第2の液圧ポンプ26が設けられている。低圧ポート27は、液圧ライン29を介して、補償容器30に流体連通されており、高圧ポート28は、液圧ライン31を介して、第1の液体ポート6に流体連通されている。
【0074】
周囲へ向けて開いた補償容器30は、作動液7を収容するとともに、さらに、液圧ライン32を介して、3面シリンダ42の第1の液体ポート6に流体連通されている。補償容器30と第1の液体ポート6との間の液圧ライン32には、第1の遮断機構33として2ポート2位置方向制御弁33.1が配置されている。
【0075】
図3Aによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、第2の液圧作用面13が、第2の液体ポート15を介して、流れ方向23.1で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、環状のピストン47が、ピストンロッド46とともに、伸長方向8に運動する。液圧作用面4は、クイックモーションでは、作動液7で加圧されない。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、補償容器30から、第1の液体ポート6を介して、3面シリンダ42の第1のシリンダ室5に流入する(後吸込)。同様に第1の液体ポート6に接続された第2の液圧ポンプ26は、非作動である。
【0076】
図3Dによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の収縮時に、第3の液圧作用面14が、そのときには逆向きの流れ方向23.2で作動する第1の液圧ポンプ19によって、第3の液体ポート16を介して、作動液7で加圧され、これにより、環状のピストン47が、ピストンロッド46とともに、収縮方向17に運動する。液圧作用面4は、作動液7で加圧されない。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、第1のシリンダ室5のシリンダ室5から、補償容器30に押し退けられる。第1の液体ポート6に接続された第2の液圧ポンプ26は、非作動である。
【0077】
図3Bによる、パワーモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、3面シリンダ42の第1の液圧作用面4が、第1の液体ポート6を介して、起動された第2の液圧ポンプ26によって、作動液7で加圧され、これにより、3面シリンダ42が、伸長方向8に運動する。パワーモーションでの伸長時には、さらに、第1の液圧ポンプ19が、流れ方向23.2で起動されているので、第2の液体ポート15を介して、第2の液圧作用面13が、作動液7で加圧される。第1のシリンダ室5から液圧ライン32を介する補償容器30への作動液7の流入は、2ポート2位置方向制御弁33.1の閉弁によって阻止される。パワーモーションでの伸長時に生成される力は、比較的大きな第1の液圧作用面4と比較的小さな第2の液圧作用面13との相互作用によって生成される。
【0078】
パワーモーションを終了するために、図3Cに応じて、第1の液圧ポンプ19および第2の液圧ポンプ26が停止され、2ポート2位置方向制御弁33.1が開弁されるので、作動液7が、第1のシリンダ室5から、液圧ライン32に設けられた開いた2ポート2位置方向制御弁33.1を介して、補償容器30に流入することができる。
【0079】
図4は、図1および図2による実施形態の単動シリンダ2の機能と両ロッドシリンダ9の機能とを1つの構造群に統合した3面シリンダ42を有する、流体静力学的なリニア駆動システム1の第4の実施形態を示している。この3面シリンダ42は、第3の実施形態の3面シリンダ42に相応して構成されているので、繰り返しを回避するために、図3の説明が参照される。相違点は、以下に詳しく説明される、3面シリンダ42の液圧供給の関連にある。この相違点は、第1の実施形態に対する第2の実施形態の相違点に相応する。
【0080】
第1の液圧作用面4を作動液7で加圧するために、3面シリンダ42の第1の液体ポート6は、液圧ライン38を介して、第1の液圧ポンプ19の第1の圧力ポート21に流体連通されている。液圧ライン38には、2ポート2位置方向制御弁39.1として構成された第2の遮断機構39が配置されている。第2の液圧ポンプ26の高圧ポート28は、液圧ライン31を介して、第1の液圧ポンプ19の第2の圧力ポート22に流体連通されている。液圧ライン31に設けられた逆止弁40が、第2の液圧ポンプ26の方へ向かう作動液7の逆流を阻止する。
【0081】
第2の液圧ポンプ26の低圧ポート27は、液圧ライン29を介して、補償容器30に流体連通されている。しかし、図3による実施形態とは相違して、第2の液圧ポンプ26の高圧ポート28は、3面シリンダ42の第1の液体ポート6に直接には流体連通されておらず、2ポート2位置方向制御弁39.1の開弁と流れ方向23.1で起動された第1の液圧ポンプ19とによって解放された流れ経路を介して間接に流体連通されている。
【0082】
周囲へ向けて開いた補償容器30は、作動液7を収容するとともに、液圧ライン32を介して、3面シリンダ42の第1の液体ポート6に流体連通されている。液圧ライン32には、2ポート2位置方向制御弁33.1が配置されている。
【0083】
図4Aによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、第2の液圧作用面13が、第2の液体ポート15を介して、流れ方向23.1で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、環状のピストン47が、ピストンロッド46とともに、伸長方向8に運動する。
【0084】
作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、補償容器30から、第1の液体ポート6を介して、3面シリンダ42のシリンダ室5に至る(後吸込)。第1の液圧作用面4の加圧は行われない。というのも、液圧ライン38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1が、閉弁されているからである。
【0085】
図4Dによる、クイックモーションでのリニア駆動システム1の収縮時に、第3の液圧作用面14が、第3の液体ポート16を介して、そのときには逆向きの流れ方向23.2で作動する第1の液圧ポンプ19によって、作動液7で加圧され、これにより、環状のピストン47が、ピストンロッド46とともに、収縮方向17に運動する。作動液7は、2ポート2位置方向制御弁33.1の開弁によって、3面シリンダ42のシリンダ室5から、補償容器30に押し退けられる。液圧ライン38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1は、閉弁されている。
【0086】
図4Bによる、パワーモーションでのリニア駆動システム1の伸長時には、第1の液圧作用面4が、第1の液体ポート6を介して、作動液7で加圧され、これにより、3面シリンダ42が、伸長方向8に運動する。液圧ライン38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1は、そのときには開弁されている。第1の液圧ポンプ19および第2の液圧ポンプ26の両方が起動されていて、作動液7を、一致する流れ方向23.1で、第1の液体ポート6の方へ向けて圧送する。起動された第2の液圧ポンプ26は、第1の液体ポート6を介して3面シリンダ42の第1の液圧作用面4を、さらに第2の液体ポート15を介して第2の液圧作用面13を作動液7で加圧するために必要とされる付加的な体積の作動液7を、補償容器30から供給する。液圧ライン32を介する補償容器30への作動液7の流入は、2ポート2位置方向制御弁33.1の閉弁によって阻止される。
【0087】
パワーモーションを終了するために、図4Cに応じて、第1の液圧ポンプ19および第2の液圧ポンプ26が停止され、2ポート2位置方向制御弁33.1が開弁され、液圧ライン38に設けられた2ポート2位置方向制御弁39.1が閉弁されるので、作動液7が、第1のシリンダ室5から、液圧ライン32に設けられた2ポート2位置方向制御弁33.1を介して、補償容器30に流入する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
流体静力学的なリニア駆動システム(1)において、
-第1の液圧作用面(4)と第1の液体ポート(6)とを有する単動シリンダ(2)であって、前記第1の液体ポート(6)を介して、前記第1の液圧作用面(4)は、前記シリンダの伸長方向(8)に作動液(7)で加圧可能である、単動シリンダ(2)と、
-大きさが一致する第2の液圧作用面(13)および第3の液圧作用面(14)と、第2の液体ポート(15)および第3の液体ポート(16)とを有する両ロッドシリンダ(9)であって、前記第2の液圧作用面(13)は、前記第2の液体ポート(15)を介して、前記伸長方向(8)に、かつ前記第3の液圧作用面(14)は、前記第3の液体ポート(16)を介して、前記伸長方向(8)とは逆向きの収縮方向(17)に、前記作動液(7)で加圧可能である、両ロッドシリンダ(9)と、
を備え、
-前記単動シリンダ(2)の前記第1の液圧作用面(4)は、前記両ロッドシリンダ(9)の液圧作用式の前記第2の液圧作用面(13)または前記第3の液圧作用面(14)よりも大きく、さらに、
-前記作動液(7)の体積流を供給するための、第1の圧力ポート(21)および第2の圧力ポート(22)を有する第1の液圧ポンプ(19)であって、前記圧力ポート(21,22)の間の体積流の流れ方向(23.1,23.2)が逆転可能である、第1の液圧ポンプ(19)と、
-前記両ロッドシリンダ(9)と前記第1の液圧ポンプ(19)とを有する、予圧下にある閉じた液圧回路(18)であって、前記第1の圧力ポート(21)は、前記第2の液体ポート(15)に、かつ前記第2の圧力ポート(22)は、前記第3の液体ポート(16)に、それぞれ流体連通されている、液圧回路(18)と、
-周囲へ向けて開いた、前記作動液(7)のための補償容器(30)であって、該補償容器(30)は、前記単動シリンダ(2)の前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、補償容器(30)と、
-前記補償タンク(30)と前記単動シリンダ(2)との間の流体連通部に設けられた第1の遮断機構(33)であって、該第1の遮断機構(33)は、双方向での前記作動液の通流を可能にする、第1の遮断機構(33)と、
-前記作動液(7)の体積流を一時的に供給するように調整された、低圧ポート(27)と高圧ポート(28)を有する第2の液圧ポンプ(26)であって、前記低圧ポート(27)は、前記補償容器(30)に流体連通されており、前記高圧ポート(28)は、前記単動シリンダ(2)の前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、第2の液圧ポンプ(26)と、
-前記単動シリンダ(2)と前記両ロッドシリンダ(9)との間の機械的な連結部材と、を備える、流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
2.
流体静力学的なリニア駆動システム(1)において、
-シリンダチューブ(43)を有するシリンダと、該シリンダチューブ(43)を一端面で閉鎖するシリンダベース(44)と、反対の側の端面に配置されたピストンロッドガイド(45)と、
-前記シリンダベース(44)から前記シリンダチューブ(43)内へと延在するガイドピン(48)と、該ガイドピン(48)を包囲する環状のピストン(47)と、前記ガイドピン(48)を包囲する中空室(49)を有するピストンロッド(46)と、
-第1の液圧作用面(4)であって、該第1の液圧作用面(4)は、前記シリンダベース(44)に面する環状の第1のピストン面(47.1)によって形成されるとともに、前記環状のピストン(47)と前記シリンダベース(44)との間の第1のシリンダ室(5)を端面側で画定する、第1の液圧作用面(4)と、
-第2の液圧作用面(13)であって、該第2の液圧作用面(13)は、前記ピストンロッド(46)内に設けられた前記中空室(49)の部分表面(50)によって形成されるとともに、前記ガイドピン(48)の端面に対向する、第2の液圧作用面(13)と、
-第3の液圧作用面(14)であって、該第3の液圧作用面(14)は、前記ピストンロッドガイド(45)に面する環状の第2ピストン面(47.2)によって形成されるとともに、前記環状のピストン(47)と前記ピストンロッドガイド(45)との間の第2のシリンダ室(51)を端面側で画定し、前記第2の液圧作用面(13)と前記第3の液圧作用面(14)とは、大きさが一致する、第3の液圧作用面(14)と、
-第1の液体ポート(6)であって、該第1の液体ポート(6)を介して、前記第1の液圧作用面(4)は、前記シリンダの伸長方向(8)に作動液(7)で加圧可能である、第1の液体ポート(6)と、
-第2の液体ポート(15)および第3の液体ポート(16)であって、前記第2の液圧作用面(13)は、前記第2の液体ポート(15)を介して、前記伸長方向(8)に、かつ前記第3の液圧作用面(14)は、前記第3の液体ポート(16)を介して、前記伸長方向(8)とは逆向きの収縮方向(17)に、前記作動液(7)で加圧可能である、第2の液体ポート(15)および第3の液体ポート(16)と、
を備え、
-前記第1の液圧作用面(4)は、前記第2の液圧作用面(13)または前記第3の液圧作用面(14)よりも大きく、さらに、
-前記作動液(7)の体積流を供給するための、第1の圧力ポート(21)および第2の圧力ポート(22)を有する第1の液圧ポンプ(19)であって、前記圧力ポート(21,22)の間の体積流の流れ方向(23.1,23.2)が逆転可能である、第1の液圧ポンプ(19)と、
-前記第1の液圧ポンプ(19)を有する、予圧下にある閉じた液圧回路(18)であって、前記第1の圧力ポート(21)は、前記第2の液体ポート(15)に、かつ前記第2の圧力ポート(22)は、前記第3の液体ポート(16)に、それぞれ流体連通されている、液圧回路(18)と、
-周囲へ向けて開いた、前記作動液(7)のための補償容器(30)であって、該補償容器(30)は、前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、補償容器(30)と、
-前記補償容器(30)と前記シリンダの前記第1の液体ポート(6)との間の流体連通部に設けられた第1の遮断機構(33.1)であって、該第1の遮断機構(33.1)は、双方向での前記作動液の通流を可能にする、第1の遮断機構(33.1)と、
-前記作動液(7)の体積流を一時的に供給するように調整された、低圧ポート(27)と高圧ポート(28)を有する第2の液圧ポンプ(26)であって、前記低圧ポート(27)は、前記補償容器(30)に流体連通されており、前記高圧ポート(28)は、前記シリンダの前記第1の液体ポート(6)に流体連通されている、第2の液圧ポンプ(26)と、
を備える、流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
3.
-前記第2の液圧ポンプ(26)の前記高圧ポート(28)は、前記第1の液圧ポンプ(19)の前記第2の圧力ポート(22)に流体連通されており、
-前記第1の液圧ポンプ(19)と前記第2の液圧ポンプ(26)との間の前記流体連通部に逆止弁(40)が配置されていて、前記第2の液圧ポンプ(26)の方へ向かう前記作動液(7)の逆流が遮断されており、
-前記第1の圧力ポート(21)と前記第1の液体ポート(6)との間の流体連通部(38)と、該流体連通部(38)に設けられた第2の遮断機構(39)とを備える、
ことを特徴とする、上記1または2の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
4.
前記第1の液圧ポンプ(19)および/または前記第2の液圧ポンプ(26)の吐出量および/または駆動回転数が可変であることを特徴とする、上記1から3までのいずれか1つの流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
5.
前記第1の液圧ポンプ(19)の前記圧力ポート(21,22)および/または前記第2の液圧ポンプ(26)の前記高圧ポート(28)が、蓄圧器に接続されていることを特徴とする、上記1から4までのいずれか1つの流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
6.
前記第1の遮断機構(33)および/または前記第2の遮断機構(39)が、遮断弁として構成されていることを特徴とする、上記1から5までのいずれか1つの流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
7.
前記予圧が、周囲圧力よりも高いことを特徴とする、上記1から6までのいずれか1つの流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
8.
前記予圧が、5bar~50barであることを特徴とする、上記7の流体静力学的なリニア駆動システム。
9.
前記補償タンク(30)と前記第1の液体ポート(6)との間の流体連通部に絞りが配置されていることを特徴とする、上記1から8までのいずれか1つの流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
10.
前記単動シリンダ(2)が、プランジャシリンダであることを特徴とする、上記1の流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
11.
各々の前記遮断機構(33,39)および各々の前記液圧ポンプ(19,26)のための制御装置を備え、該制御装置は、前記リニア駆動システム(1)がクイックモーションでは前記伸長方向(8)および前記収縮方向(17)で運転可能であるとともに、パワーモーションでは前記伸長方向(8)で運転可能であるように調整されていることを特徴とする、上記1から10までのいずれか1つの流体静力学的なリニア駆動システム(1)。
【符号の説明】
【0088】
1 リニア駆動システム
2 単動シリンダ
3 単動シリンダのピストンロッド
4 第1の液圧作用面
5 第1のシリンダ室
6 第1の液体ポート
7 作動液
8 伸長方向
9 両ロッドシリンダ
10 ピストン
11 両ロッドシリンダのピストンロッド
12 両ロッドシリンダのピストンロッド
13 第2の液圧作用面
14 第3の液圧作用面
15 第2の液体ポート
16 第3の液体ポート
17 収縮方向
18 閉じた液圧回路
19 第1の液圧ポンプ
20 電動機
21 第1の圧力ポート
22 第2の圧力ポート
23.1 流れ方向
23.2 逆向きの流れ方向
24 液圧ライン
25 液圧ライン
26 第2の液圧ポンプ
27 低圧ポート
28 高圧ポート
29 液圧ライン
30 補償容器
31 液圧ライン
32 液圧ライン
33 第1の遮断機構
33.1 2ポート2位置方向制御弁
34 連接部材
35 第2のシリンダ室
36 第3のシリンダ室
38 液圧ライン
39 第2の遮断機構
39.1 2ポート2位置方向制御弁
40 逆止弁
41 液圧ライン
42 3面シリンダ
43 シリンダチューブ
44 シリンダベース
45 ピストンロッドガイド
46 ピストンロッド
47 環状のピストン
47.1 第1のピストン面
47.2 第2のピストン面
48 ガイドピン
49 中空室
50 部分表面
51 第2のシリンダ室
52 流体チャネル
図1
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図4A
図4B
図4C
図4D