(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】移動式建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240722BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240722BHJP
B60P 1/64 20060101ALN20240722BHJP
B60P 3/025 20060101ALN20240722BHJP
B60P 3/32 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
E04B1/343 H
E04H1/12 307
B60P1/64 Z
B60P3/025 A
B60P3/025 Z
B60P3/32
(21)【出願番号】P 2020061208
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 珠希
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】辻 千佳
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-344000(JP,A)
【文献】特開平03-153428(JP,A)
【文献】特開2007-001745(JP,A)
【文献】実開平02-045841(JP,U)
【文献】特開2019-203266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04H 1/12
B60P 1/64
B60P 3/025
B60P 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床
壁を有するコンテナ本体と、
前記コンテナ本体の
前記床壁の下方に床下空間を形成するように、前記コンテナ本体を支持する支持部と、
前記コンテナ本体の
前記床下空間に配置され、
前記床壁の裏面に対面する上面を有し、前記コンテナ本体から上下動可能に吊り下げられる重量物支持台とを備える、移動式建築物。
【請求項2】
前記重量物支持台を前記コンテナ本体の床に向けて付勢する弾性部材をさらに備える、請求項1に記載の移動式建築物。
【請求項3】
前記重量物支持台の上下動を駆動する、上下動駆動手段をさらに備える、請求項1または2に記載の移動式建築物。
【請求項4】
前記重量物支持台は、貯水槽を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の移動式建築物。
【請求項5】
前記支持部は、アンカーボルトを介して地面に固定される脚台を含み、
前記重量物支持台は、下方に移動することで、前記重量
物支持台の下面が前記アンカーボルトを覆う、請求項1~4のいずれか1項に記載の移動式建築物。
【請求項6】
前記支持部は、前記コンテナ本体に回転可能に取り付けられた車輪を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の移動式建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動式建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
移動できる建築物として、たとえば特開2018-100039号公報(特許文献1)が提案されている。特許文献1の機能性移動式躯体は、トラックの荷台に収納できる第一箱状部材を備えている。第一箱状部材はトラックの荷台に載置して移動でき、トラックの荷台と分離して設置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の機能性移動式躯体は、トラックと分離して設置する場合、脚状部材を固定せずに設置している。この場合、機能性移動式躯体の重心の位置が高く、強風により転倒し易いという課題がある。また、脚状部材が固定されていないため、盗難され易いという課題がある。
【0005】
これらの課題を解決する方法として、脚状部材にアンカーボルトを取り付けることが考えられる。しかし、仮に脚状部材にアンカーボルトを取り付けても、アンカーボルトは常に見えている状態となる。そのため、アンカーボルトを簡単に取り外すことができ、第一箱状部材を容易に盗難できることに変わりはない。また、機能性移動式躯体の重心の位置が高いため、強風によって転倒するという危険性も排除することができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、コンテナ本体の床下空間に吊り下げられた重量物支持台によって、たとえばアンカーボルトを隠しながら低重心で支持することを可能にするため、防犯面および安全面に優れた移動式建築物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による移動式建築物は、床を有するコンテナ本体と、コンテナ本体の下方に床下空間を形成するように、コンテナ本体を支持する支持部と、コンテナ本体の床下空間に配置され、コンテナ本体から上下動可能に吊り下げられる重量物支持台とを備える。
【0008】
好ましくは、移動式建築物は、重量物支持台をコンテナ本体の床に向けて付勢する弾性部材をさらに備える。
【0009】
好ましくは、移動式建築物は、重量物支持台の上下動を駆動する、上下動駆動手段をさらに備える。
【0010】
好ましくは、重量物支持台は、貯水槽を含む。
【0011】
好ましくは、支持部は、アンカーボルトを介して地面に固定される脚台を含み、重量物支持台は、下方に移動することで、重量物支持台の下面がアンカーボルトを覆う。
【0012】
好ましくは、支持部は、コンテナ本体に回転可能に取り付けられた車輪を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の移動式建築物によれば、コンテナ本体の床下空間に吊り下げられた重量物支持台によって、たとえばアンカーボルトを隠しながら低重心で支持することを可能にするため、防犯面および安全面において優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る移動式建築物を概略的に示す図であり、(a)は重量物支持台の使用前の状態、(b)は重量物支持台の使用時の状態である。
【
図2】本発明の実施の形態2に係る移動式建築物を概略的に示す図であり、(a)は重量物支持台の使用前の状態、(b)は重量物支持台の使用時の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0016】
<実施の形態1>
図1(a)、(b)を参照して、本発明の実施の形態に係る移動式建築物1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る移動式建築物1を概略的に示す図であり、(a)は重量物支持台の使用前の状態、(b)は重量物支持台の使用時の状態である。
【0017】
本実施の形態に係る移動式建築物1は、床を有するコンテナ本体2と、コンテナ本体2を地面から浮かせた状態で支持する支持部3と、コンテナ本体2の床下空間S2に配置され、コンテナ本体2から上下動可能に吊り下げられる重量物支持台4とを備える。
【0018】
本実施の形態の移動式建築物1は、典型的には床上に人の活動空間S1を形成するコンテナであるが、たとえばコンテナ型ハウス、トレーラーハウス、移動型店舗、移動型オフィス等がある。「移動式建築物」とは、コンテナ本体2をトラックの荷台に載置して移動することのできる建築物や、曳行により移動することのできる建築物をいう。
【0019】
コンテナ本体2は、活動空間S1の上方に配置される天井壁21と、活動空間S1の周囲を取り囲むように配置される側壁22と、活動空間S1と床下空間S2の境界に配置される床壁23とを備える。人が出入りする場合、天井壁21および側壁22には、たとえば扉や窓部等の開口部が設けられることが好ましい。重量物支持台4に物が配置される場合、床壁23には物を取り出すための開口部が設けられていてもよい。本実施の形態では、便宜的に矩形形状のコンテナ本体2を使用して説明するが、コンテナ本体2の形状はこれに限定されるものではなく、たとえば丸みを帯びたドーム型形状であってもよいし、多角形状等であってもよい。
【0020】
床壁23に開口部を設ける場合、その開口部は、たとえばスライド蓋、シャッター、跳ね上げ式蓋等、種々の図示しない蓋部を採用できる。この場合、意匠性の観点から蓋部および床壁を一体的に見えるように構成してもよいが、蓋部の材質を、たとえばアクリル板等の材料に変更することで、重量物支持台4内の視認性を高めてもよい。
【0021】
支持部3は、コンテナ本体2の床壁23の下面に固定されており、コンテナ本体2の下方に床下空間S2を形成するように、すなわちコンテナ本体2を地面から浮かせた状態で支持している。本実施の形態において、支持部3は略コの字形状またはIの字形状の脚台31であり、アンカーボルト6を介して地面に固定される。すなわち、コンテナ本体2は、脚台31およびアンカーボルト6を介して地面に固定されている。脚台31は、少なくともコンテナ本体2の両端部に配置され、一端部から他端部に向かって等間隔に配置されていてもよい。脚台31は、両端部に沿って延在して設けられてもよいし、等間隔に設けられてもよい。脚台31は、少なくとも床下空間S2が見えるような配置でコンテナ本体2の4隅を支持するように設けられていればよく、その配置形態については特に限定されない。
【0022】
重量物支持台4は、コンテナ本体2の床下空間S2に配置され、コンテナ本体2から後述する上下動調節手段5を介して、上下動可能に吊り下げられている。「重量物支持台」とは、重量(重さ)のある物を支持する台を意図するものであり、その物の重量が重い場合も軽い場合も含む。すなわち、本実施の形態の重量物支持台4は、上面に配置された物の重みで上下動する台であり、配置された物が軽量であっても差支えはない。コンテナ本体2は、床壁23を含むものであるが、コンテナ本体2の下面に支持部3の天板33が固定される場合には、支持部3の天板33はコンテナ本体2の床壁23の一部とみなされる。重量物支持台4を支持部3の天板33に吊り下げる場合は、コンテナ本体2の床壁23の下面に直接吊り下げる場合よりも、施工面の観点から容易に設置することができる。本実施の形態の重量物支持台4は、2つの脚台31の間に設けられ、コンテナ本体2の床壁23の一部、すなわち支持部3の天板33の下面から吊り下げられている。
【0023】
本実施の形態の重量物支持台4の下面42は、脚台31の凹凸に沿った形状をしており、下面42にアンカーボルト6の頭部を受け入れることのできる、図示しない孔部を有している。これにより、
図1(b)に示すように、重量物支持台4が下方に移動することで、重量物支持台4の下面42が点線で示すアンカーボルト6を覆うことができる。ここで言う「覆う」とは、アンカーボルト6が完全に覆い隠された状態のみに限定されない。すなわち、アンカーボルト6の一部が屋外から見える状態であっても、第三者とアンカーボルト6との間に重量物支持台4が干渉することで、第三者がアンカーボルトを引抜くことのできない状態のことを示す。つまり、アンカーボルト6が「覆われた状態」とは、第三者がアンカーボルト6を引抜くことができない状態のことを言う。これにより、第三者はアンカーボルトを引抜くことができないため、第三者によってコンテナ本体2が持ち去られることを防止できる。すなわち、本実施の形態の重量物支持台4によれば、防犯面を格段に向上できる。
【0024】
本実施の形態の重量物支持台4は、上面43に水を溜めることのできる貯水槽41を含む。本実施の形態の貯水槽41は、たとえば中心穴を有するドーナツ形状である。貯水槽41は、重量物支持台4の上面43に配置されていればよく、その数は複数であってもよく、またその形状はドーナツ形状に限られない。すなわち、貯水槽41の形状は、たとえば矩形形状、円柱形形状等のタンク形状であってもよく、種々の形状を採択できる。なお、貯水槽41内の水は、典型的には生活用水、業務用水として利用されるが、他の利用例として、緊急時に使用する災害用水、移動式建築物1の転倒防止用のウエイトとして利用することもできる。
【0025】
貯水槽41は、上方部に水受け入れ口411を有し、下方部に水排出口412を有する。水受け入れ口411から貯水槽41内に水を給水することで、貯水槽41に水を溜めることができる。本実施の形態の水受け入れ口411は、移動式建築物1の屋外から水を給水できる位置に設けられている。水受け入れ口411は、屋内または屋外から給水できるように配管が接続されていてもよい。水排出口412は、貯水槽41内の水を排水するためのものである。本実施の形態の水排出口412は、移動式建築物1の屋外へ向けて水を排出できる位置に設けられている。貯水槽41は、水受け入れ口411および水排出口412の他、移動式建築物1内で活動する者が貯水槽41内の水を利用できるよう屋内へ向けられた図示しない配管が挿通されていてもよい。
【0026】
貯水槽41は、重量物支持台4と一体に形成されていてもよい。この場合、好ましくは貯水槽41の下面を硬質とし、この硬質の下面を重量物支持台4として機能させてもよい。
【0027】
貯水槽41は、上下に伸縮可能であればよく、たとえば樹脂、弾性体等であり、防水性および柔軟性に富む材料で形成されることが好ましい。特に、貯水槽41の上面及び下面が硬質の場合、側面が蛇腹形状、波形形状などの折畳み可能な形状であってもよい。
【0028】
貯水槽41は、移動式建築物1の床下空間S2に配置される。これにより、貯水槽41がウエイトとして機能でき、移動式建築物1を低重心でずっしりと支持できる。すなわち、本実施の形態の貯水槽41によれば、水を給水するだけで移動式建築物1の転倒を防止でき、低コストで耐風性および安全面を向上できる。
【0029】
重量物支持台4は、上下動調節手段5を介してコンテナ本体2の床下空間S2に吊り下げられている。上下動調節手段5は、たとえば紐状部材、鎖状部材、繊維状部材、弾性部材等、種々の材料を採択できる。弾性力を有さない部材を採用する場合は、たとえばモータ、シリンダ等で、重量物支持台4を床壁23へ向かって引き戻すことのできる機能を備えていることが好ましい。
【0030】
本実施の形態の上下動調節手段5は、重量物支持台4をコンテナ本体2の床壁23に向けて付勢する弾性部材51である。弾性部材51は、たとえば引張りバネであり、その一端が脚台31の天板33の下面、すなわちコンテナ本体2の床壁23の下面に連結され、その他端が重量物支持台4の上面43に連結されている。弾性部材51として、引張りバネに代えて、圧縮バネ、ゴム、弾性樹脂等の弾性力に富む部材を使用することもできる。弾性部材51は、たとえば引張りバネとゴムとを組み合わせたもの等、複数の弾性部材51を組み合わせたものであってもよい。
【0031】
貯水槽41に水を給水すると、重量物支持台4は弾性部材51の弾性力あるいは引張力とバランスを取りながら下降する。貯水槽41内に水を満水となるまで給水すると、重量物支持台4は、最下位置、すなわち重量物支持台4の下面42と脚台31の底板34とが接する位置まで下降する。この状態では、アンカーボルト6が外部から見えなくなる。貯水槽41から水を排出する場合、重量物支持台4は、弾性部材51の引張力により、貯水槽41の重量減少に応じて徐々に上昇する。貯水槽41への給排水を調整すれば、弾性部材51の弾性力と貯水槽41の重量との関係で、吊り下げられる重量物支持台4の高さ位置を調整することができる。これにより、重量物支持台4の下面42の下に広がる空間を利用することもできる。また、弾性部材51は、重量物支持台4を床壁23の下面に向けて付勢するため、全排水後は貯水槽41および重量物支持台4を、コンテナ本体2の床壁23に近接させて収納することができる。
【0032】
脚台31の高さ寸法は、床下空間S2の高さ寸法と略等しい。床下空間S2の高さ寸法は、100mm以上であり、貯水槽41の満水時における移動式建築物1の転倒防止の観点から200mm以上であることが好ましく、400mm以上であることがより好ましい。高さ寸法は高い方が収容スペース増加の観点から好ましいが、貯水槽41を最下位置まで下げることの容易性の観点、および、第三者が床下空間S2へ入り込むことを防止する観点から、上限はたとえば500mm以下である。これにより、貯水槽41を満水にすれば、移動式建築物1の転倒を防止でき、安全面を向上できる。また、貯水槽41を満水にすれば、床下空間S2が塞がるため第三者の床下空間S2への侵入を防止できるだけでなく、アンカーボルト6が被覆されるため、防犯面を向上できる。
【0033】
本実施の形態の移動式建築物1は、コンテナ本体2の床下空間S2に配置され、コンテナ本体2から上下動可能に吊り下げられる重量物支持台4を備えている。特に重量物支持台4がアンカーボルト6を被覆する位置まで吊り下げられることで、コンテナ本体2の床下空間S2を有効利用できるだけでなく、床下空間S2に小動物が侵入することを防止でき、獣害を防止できる。また、アンカーボルト6が重量物支持台4の下面42に被覆されていれば、第三者がアンカーボルト6を引抜くことができないため、防犯面を各段に向上することができる。さらに、移動式建築物1は、床下空間S2に貯水槽41を配置して重心の位置を低くするため、転倒を防止でき、耐風性を向上できる。換言すれば、重量物支持台4および貯水槽41がウエイトとして機能するため、安全面を向上できる。すなわち、本実施の形態に係る移動式建築物1によれば、防犯面および安全面を兼ね備えた移動式建築物1とすることができる。
【0034】
以下の実施の形態では、移動式建築物1の他の構成例について説明する。以下に実施の形態1との相違点のみ詳細に説明する。
【0035】
<実施の形態2>
図2(a)、(b)を参照して、本発明の実施の形態2に係る移動式建築物1Aについて説明する。
図2は、本実施の形態2に係る移動式建築物1Aを概略的に示す図であり、(a)は重量物支持台の使用前の状態、(b)は重量物支持台の使用時の状態である。本実施の形態2に係る移動式建築物1Aは、基本的には実施の形態1の移動式建築物1と同様の構成を備えているが、支持部3が脚台31でなく車輪32である点、および上下動調節手段5が弾性部材51でなく上下動駆動手段52である点について相違している。
【0036】
本実施の形態に係る移動式建築物1Aは、コンテナ本体2Aに回転可能に取り付けられた車輪32を有している。ここで言う「移動式建築物」とは、乗用車、小型車両、大型車両、特殊車両、鉄道車両を含む建築物が含有されるが、これらに限定されるものではない。すなわち、車輪を備えたコンテナも含有される。車輪を備えたコンテナであれば、他の車両により曳行されることで移動する。本実施の形態に係る移動式建築物1Aは、少なくとも2輪以上の車輪32を有する建築物である。
【0037】
本実施の形態の車輪32は、コンテナ本体2Aを地面から浮かせた状態で支持する支持部3の機能を有している。これにより、コンテナ本体2Aは床下空間S2を有し、床下空間S2内に重量物支持台4Aを吊り下げることができる。なお、床下空間S2の高さ寸法は、車輪32の半径と略等しい。すなわち、床下空間S2の高さ寸法は100mm以上500mm以下であることが好ましい。
【0038】
本実施の形態では、重量物支持台4Aの上面43Aには物が配置される。この場合、重量物支持台4Aは、ポリタンクなどに貯水した生活用水および業務用水を保管できるだけでなく、たとえば災害用水や非常食を保管する備蓄庫として機能してもよいし、日用品等を保管する貯蔵庫として機能してもよい。重量物支持台4Aの上面43Aに物を配置する場合、重量物支持台4Aと移動式建築物1Aの床壁23Aとの間は、たとえば不織布やビニール等の図示しない被覆部材で覆われることが好ましいが、この構成に限定されるものではない。この場合、床壁23Aには、重量物支持台4A上に配置された物を出し入れするための開口部が設けられることが好ましい。
【0039】
本実施の形態の上下動調節手段5は、重量物支持台4Aの上下動を駆動する、上下動駆動手段52である。本実施の形態の上下動駆動手段52は、活動空間S1と床下空間S2に挿通するように設けられている。上下動駆動手段52は、重量物支持台4Aのリフターとして機能し、自動または手動で高さ調節を行うことができる。上下動駆動手段52は、典型的にはモータであるが、油圧ポンプ、シリンダ等であってもよい。
【0040】
本実施の形態の移動式建築物1Aは、コンテナ本体2Aの床下空間S2に配置され、コンテナ本体2Aから上下動可能に吊り下げられる重量物支持台4Aを備えている。本実施の形態の重量物支持台4Aは、高さ位置の調節を自在に調節できるため、コンテナ本体2Aの床下空間S2を有効利用できるだけでなく、重量物支持台4Aの下面42Aの下に広がる空間も有効利用できる。また、本実施の形態の移動式建築物1Aは、重量物支持台4Aの上下動を駆動する上下動駆動手段52を備える。これにより、コンテナ本体2A内における活動時(
図2(b))は活動空間S1を効率よく利用できるし、非活動時(
図2(a))はコンテナ本体2A内へ簡便に収納できる。たとえば、移動店舗の場合、限られた活動空間S1内での出店時の備品の出し入れを簡便に行うことができ、閉店時の仕舞い忘れを防止することができる。また、たとえばキャンピングカーの場合、床下空間S2に災害用品を備蓄しておけば、限られた活動空間S1内にある戸棚のスペースを圧迫することなく、災害に備えることができる。すなわち、上記構成のため、移動式建築物1Aは、防犯面および防災面を向上することができる。
【0041】
また、移動式建築物1Aは、床下空間S2に重量物支持台4Aを配置して重心の位置を低くするため、アンカーボルトを有していなくても転倒を防止でき、耐風性を向上できる。換言すれば、重量物支持台4Aがウエイトとして機能するため、安全面を向上できる。すなわち、本実施の形態に係る移動式建築物1Aによれば、防犯面および安全面を兼ね備えた移動式建築物1Aとすることができる。
【0042】
なお、実施の形態1では支持部3が脚台31である移動式建築物1であって、重量物支持台4の上面43は貯水槽41を含む実施例について説明し、実施の形態2では、支持部3が車輪32である移動式建築物1Aであって、重量物支持台4Aの上面43Aは備蓄庫等として活用する実施例について説明したが、これらは互いに組み合わせて実施されてもよい。すなわち、支持部が脚台である移動式建築物であっても、重量物支持台の上面は物品貯蔵スペースとして活用することとしてもよい。
【0043】
また、本実施の形態の重量物支持台4,4Aは、理解容易のため床下空間S2全体に設けられるよう図示したが、これに限定されるものではない。重量物支持台4,4Aは、床下空間S2のうち少なくとも1部分に設けられていればよい。
【0044】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1,1A 移動式建築物、2,2A コンテナ本体、3 支持部、4,4A 重量物支持台、5 上下動調節手段、6 アンカーボルト、21 天井壁、22 側壁、23,23A 床壁、31 脚台、32 車輪、33 天板、41 貯水槽、42 下面、43 上面、51 弾性部材、52 上下動駆動手段、411 水受け入れ口、412 水排出口。