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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】昇降装置の緊急停止装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/12 20060101AFI20240722BHJP
   B66B 9/00 20060101ALI20240722BHJP
   B66B 7/02 20060101ALI20240722BHJP
   B66B 5/24 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B66B5/12 C
B66B9/00 Z
B66B7/02 L
B66B5/24
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020085727
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178726
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松原 孝将
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】服部 誠
(72)【発明者】
【氏名】保富 裕二 アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】波田野 利昭
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特公昭26-002071(JP,B1)
【文献】中国特許出願公開第106395546(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0322486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 - 5/28
B66B 9/00 - 9/193
B66B 7/00 - 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に平行に張られた2本のワイヤーの間を昇降する昇降装置が異常急降下した際に、前記昇降装置を緊急停止させる昇降装置の緊急停止装置であって、
前記ワイヤーのそれぞれを把持するワイヤーガイドを備え、
前記ワイヤーガイドは、前記ワイヤーのそれぞれを把持する固定式の第1のワイヤーガイドと、前記昇降装置の中央側に移動可能で、かつ、前記ワイヤーを把持する可動式の第2のワイヤーガイドと、を備え、
前記昇降装置の緊急停止装置は、前記昇降装置が異常急降下した際に、前記第2のワイヤーガイドを前記昇降装置の中央側に移動させて前記ワイヤーと接触させ、前記第2のワイヤーガイドと前記ワイヤーとの接触部に摩擦力を生じさせて前記昇降装置の落下速度を減少させるものであり、
前記昇降装置の緊急停止装置は、前記昇降装置の落下を検知する落下検出部を有し、前記落下検出部が前記昇降装置の落下を検知することにより、可動式の前記第2のワイヤーガイドが駆動すると共に、
前記落下検出部は加速度センサで構成され、前記昇降装置が異常急降下した際に、前記加速度センサが異常値を検知し、前記加速度センサから前記緊急停止装置へ信号が送られて前記緊急停止装置が駆動し、
前記緊急停止装置は、前記第1のワイヤーガイドより下方に装着されており、一方の端部に切り欠き部が形成されているシャフトと、該シャフトの他端に接続されている前記第2のワイヤーガイドと、前記シャフトの前記切り欠き部に先端部が挿入されているリニアアクチュエータと、前記シャフトに、前記リニアアクチュエータを跨ぐように設置されたばねと、前記加速度センサと、で構成され、
前記昇降装置の平常時には、前記リニアアクチュエータの先端が前記シャフトの前記切り欠き部に挿入されて前記シャフトは移動せず、一方、前記昇降装置の緊急時には、前記リニアアクチュエータの先端が前記シャフトの前記切り欠き部から抜けて前記ばねの蓄えていたエネルギーが発散され、前記シャフトが前記緊急停止装置の内側へ移動することで、前記ワイヤーと前記第2のワイヤーガイドの接触部分に摩擦力が発生して前記昇降装置の落下速度が減少することを特徴とする昇降装置の緊急停止装置。
【請求項2】
請求項に記載の昇降装置の緊急停止装置であって、
前記シャフトに、該シャフトが前記緊急停止装置の内側へ移動する際にガイドするリニアガイドが装着されていることを特徴とする昇降装置の緊急停止装置。
【請求項3】
鉛直方向に平行に張られた2本のワイヤーの間を昇降する昇降装置が異常急降下した際に、前記昇降装置を緊急停止させる昇降装置の緊急停止装置であって、
前記ワイヤーのそれぞれを把持するワイヤーガイドを備え、
前記昇降装置が異常急降下した際に、前記ワイヤーガイドと前記ワイヤーを接触させ、両者の接触部に摩擦力を生じさせて前記昇降装置の落下速度を減少させる昇降装置の緊急停止装置であり、
前記緊急停止装置は、前記緊急停止装置に一端が接続された固定式及び可動式のシャフトと、該シャフトの他端に接続された固定式及び可動式のワイヤーガイドと、前記シャフトの一端に設置されたモータとを備え、
前記モータにより、固定式の前記シャフトに対して可動式の前記シャフトが回転することで、固定式の前記ワイヤーガイドと可動式の前記ワイヤーガイドが前記ワイヤーとの接触部に摩擦力を生じさせて前記昇降装置の落下速度を減少させることを特徴とする昇降装置の緊急停止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は昇降装置の緊急停止装置に係り、特に、昇降装置を昇降可能に支持しているロープの切断などのより昇降装置が異常急降下した際に、これを緊急停止させる昇降装置の緊急停止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレベーター装置においては、乗りかごを昇降可能に支持しているロープが切断し乗りかごが異常急降下した際に、乗りかごを緊急停止させる緊急停止装置を備えている。
【0003】
このような緊急時に乗りか等を緊急停止させる緊急停止装置の先行技術文献としては、特許文献1及び2を挙げることができる。
【0004】
特許文献1には、鉛直方向に平行に張られた2本のワイヤー間を昇降する装置の落下防止機構を備えたエレベーターの非常用停止装置が、特許文献2には、ゴンドラの巻上ロープ切断時にゴンドラをガイドロープにクランプする昇降機等のクランプ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-247555号公報
【文献】実開平04-094383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、昇降装置においては、安全な運用を行うために、万が一、ロープが切断した場合であっても、装置を緊急停止させて落下を防止する対策は非常に重要である。
【0007】
しかしながら、上述し特許文献1及び2に記載されている昇降装置の落下防止を目的とした落下防止装置は、大がかりで重量が大きな装置であり、作業者が持ち運び可能な程度に小型な装置に対しては適用し易いものではないという課題があった。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、装置が大がかりで重量も大きくならず、作業者が持ち運び可能な程度に小型な装置にも適応可能な昇降装置の緊急停止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の昇降装置の緊急停止装置は、上記目的を達成するために、鉛直方向に平行に張られた2本のワイヤーの間を昇降する昇降装置が異常急降下した際に、前記昇降装置を緊急停止させる昇降装置の緊急停止装置であって、
前記ワイヤーのそれぞれを把持するワイヤーガイドを備え、
前記ワイヤーガイドは、前記ワイヤーのそれぞれを把持する固定式の第1のワイヤーガイドと、前記昇降装置の中央側に移動可能で、かつ、前記ワイヤーを把持する可動式の第2のワイヤーガイドと、を備え、
前記昇降装置の緊急停止装置は、前記昇降装置が異常急降下した際に、前記第2のワイヤーガイドを前記昇降装置の中央側に移動させて前記ワイヤーと接触させ、前記第2のワイヤーガイドと前記ワイヤーとの接触部に摩擦力を生じさせて前記昇降装置の落下速度を減少させるものであり、
前記昇降装置の緊急停止装置は、前記昇降装置の落下を検知する落下検出部を有し、前記落下検出部が前記昇降装置の落下を検知することにより、可動式の前記第2のワイヤーガイドが駆動すると共に、
前記落下検出部は加速度センサで構成され、前記昇降装置が異常急降下した際に、前記加速度センサが異常値を検知し、前記加速度センサから前記緊急停止装置へ信号が送られて前記緊急停止装置が駆動し、
前記緊急停止装置は、前記第1のワイヤーガイドより下方に装着されており、一方の端部に切り欠き部が形成されているシャフトと、該シャフトの他端に接続されている前記第2のワイヤーガイドと、前記シャフトの前記切り欠き部に先端部が挿入されているリニアアクチュエータと、前記シャフトに、前記リニアアクチュエータを跨ぐように設置されたばねと、前記加速度センサと、で構成され、
前記昇降装置の平常時には、前記リニアアクチュエータの先端が前記シャフトの前記切り欠き部に挿入されて前記シャフトは移動せず、一方、前記昇降装置の緊急時には、前記リニアアクチュエータの先端が前記シャフトの前記切り欠き部から抜けて前記ばねの蓄えていたエネルギーが発散され、前記シャフトが前記緊急停止装置の内側へ移動することで、前記ワイヤーと前記第2のワイヤーガイドの接触部分に摩擦力が発生して前記昇降装置の落下速度が減少することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置が大がかりで重量の大きなものにはならず、作業者が持ち運び可能な程度に小型な装置にも適応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例1が搭載された昇降装置がエレベーター塔内における通常の運用状態の全体構成を示す図である。
図2】本発明の昇降装置の緊急停止装置が搭載された昇降装置の緊急停止時の概略構成を示す図である。
図3】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例1における動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例1における固定式の第1のワイヤーガイドを示す拡大断面図である。
図5】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例1が作動した後の固定式の第1のワイヤーガイドを示す拡大断面図である。
図6】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例1における概略構成を示す図である。
図7】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例2における概略構成を示す図である。
図8】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例3が搭載された昇降装置の緊急停止時の概略構成を示す図である。
図9】本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例4における概略構成を示す正面図である。
図10図9の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の昇降装置の緊急停止装置を説明する。なお、各図において、同一構成部品には同符号を使用する。
【実施例1】
【0013】
図1に、本発明の昇降装置の緊急停止装置の実施例1が搭載された昇降装置1がエレベーター塔内2における通常の運用状態の全体構成を示す。
【0014】
図1に示すように、昇降装置1は、エレベーター塔内上部3へ設置された揚重機4のロープ5に結び付けられて、エレベーター塔内2を昇降可能である。本実施例の昇降装置1は、計測センサ6を内蔵しており、昇降しながら計測センサ6でエレベーター塔内2の寸法計測を行うことが可能な装置である。
【0015】
また、昇降装置1のコントロールは、エレベーター施工者が所持している、例えばタブレット端末による遠隔操作にて行われる。エレベーター施工者が昇降装置1を動作させると、昇降装置1は、エレベーター塔内2の昇降と、エレベーター塔内2の寸法の計測を自動で行う。
【0016】
また、本実施例では、2本のワイヤー7a、7bがエレベーター塔内上部3から吊るされており、ワイヤー7a、7bのそれぞれの下端は、エレベーター塔内2の最下部で下部テンプレート8の穴9a、9bのそれぞれに通され、ワイヤー7a、7bの先端に重り10a、10bが吊るされている。下部テンプレート8は、直接エレベーター塔内2の壁11に固定、若しくは図示されていないブラケットによりエレベーター塔内2の壁11に固定されている。
【0017】
昇降装置1が昇降する際には、固定式の第1のワイヤーガイド12a、12bで、それぞれのワイヤー7a、7bを挟み込み、昇降装置1の昇降時の回転(矢印13)を抑制する。
【0018】
また、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14は、第1のワイヤーガイド12a、12bより下に装着されており、緊急停止装置14に一端が接続されたシャフト15a、15bと、このシャフト15a、15bの他端に接続された可動式の第2のワイヤーガイド16a、16bと、シャフト15a、15bを昇降装置1の中央側に駆動する図示されていないアクチュエータと、加速度センサ17で構成されている。
【0019】
本実施例の緊急停止装置14は、通常の動作時には昇降装置1の昇降動作や計測動作を妨げないし、加速度センサ17で昇降装置1の落下を検知した際に駆動するものである。
【0020】
図2に、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14が搭載された昇降装置1の緊急停止時の概略構成を示す。
【0021】
図2において、昇降装置1が結び付けられている揚重機4のロープ5が切れた切断ロープ5aと切断ロープ5bに分かれた場合、昇降装置1は自由落下を始める。この昇降装置1が自由落下を始めた際に、加速度センサ17が異常値を検知することで、加速度センサ17から緊急停止装置14へ信号が送られ、緊急停止装置14のアクチュエータが駆動する。
【0022】
上記したアクチュエータの駆動により、シャフト15a、15bが昇降装置1の中央側(矢印20a、20bの方向)へ移動し、第1のワイヤーガイド12a、12bの下方の部分の下ワイヤー7a1、7b1は、昇降装置1の中央側に寄せられる。第1のワイヤーガイド12a、12bの下端12a1、12b1と、第2のワイヤーガイド16a、16bの上端16a1、16b1において、下ワイヤー7a1、7b1と第2のワイヤーガイド16a、16bが接触することで摩擦力が発生するため、昇降装置1の落下速度は減少する。
【0023】
図3、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14における動作を示すフローチャートである。
【0024】
図3に示すように、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14は、加速度センサ17が昇降装置1の常時値を取得し(S1)、加速度センサ17で昇降装置1の異常を検知した場合には(S2)、緊急停止装置14のアクチュエータが駆動する(S3)。シャフト15a、15bが矢印20a、20bの方向へ移動することで(S4)、昇降装置1が停止する(S5)。
【0025】
図4は、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14における固定式の第1のワイヤーガイド12a(12b)の拡大図であり、図5は、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14が作動した後の固定式の第1のワイヤーガイド12a(12b)の拡大図である。
【0026】
図4では、ワイヤー7a(7b)と第1のワイヤーガイド12a(12b)が平行であるため(図1の状態)、ワイヤー7a(7b)に沿って昇降装置1は昇降するが、図5では、ワイヤー7a(7b)と第1のワイヤーガイド12a(12b)が、点28において接触して摩擦力を発生させるため、昇降装置1の落下速度を減少できる。
【0027】
図6に、本実施例の緊急停止装置14の詳細を示す。
【0028】
図6に示すように、本実施例の緊急停止装置14は、2つのリニアアクチュエータ29a及び29bの各々がシャフト15a、15bのそれぞれの一端に接続され、シャフト15a、15bのそれぞれの他端が可動式の第2のワイヤーガイド16a、16bのそれぞれに接続されており、リニアアクチュエータ29a及び29bが矢印30a、30bの方向(内側)へ駆動することで、可動式の第2のワイヤーガイド16a、16bが昇降装置1の中央側へ移動する(図2の状態)。
【0029】
それにより、第1のワイヤーガイド12a、12bとワイヤー7a、7b並びに第2のワイヤーガイド16a、16bとワイヤー7a、7bの接触部分に摩擦力が働くため、昇降装置1の落下速度を減少できる。
【0030】
従って、本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14によれば、昇降装置1が大がかりで重量の大きなものにはならず、作業者が持ち運び可能な程度に小型な装置にも適応可能となる。
【実施例2】
【0031】
図7に、本発明の昇降装置1の緊急停止装置14の実施例2を示す。
【0032】
図7に示す本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14は、一方の端部に切り欠き部34が形成されたシャフト15a及び15bに、シャフト15a及び15bの切り欠き部34に先端部33が挿入されているリニアアクチュエータ32を跨ぐようにばね31を設けたものである。
【0033】
本実施例では、シャフト15aと15bに、リニアアクチュエータ32を跨ぐようにばね31が装着されており、このばね31により可動式の第2のワイヤーガイド16a、16bが常に緊急停止装置14の内側へ引き込むような力が働いている。
【0034】
昇降装置1平常時には、リニアアクチュエータ32の先端部33がシャフト15a、15bに形成された切り欠き部34に挿入されて引っ掛かっており、シャフト15a、15bは動かない(移動しない)。一方、昇降装置1の緊急時には、リニアアクチュエータ32の先端部33が切り欠き部34から抜ける方向(矢印35)へ移動することで、ばね31の蓄えていたエネルギーが発散されて、シャフト15a、15bが緊急停止装置14の内側へ移動する。その際、シャフト15a、15bにはリニアガイド36が装着されているため、シャフト15a、15bは滑らかに緊急停止装置14の内側へ移動することができる。
【0035】
そうすることで、ワイヤー7a、7bと第2のワイヤーガイド16a、16bの接触部分に摩擦力が発生し、緊急時の昇降装置1の落下速度が減少する。
【0036】
このような本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14であっても、上述した実施例1と同様な効果を得ることができる。
【実施例3】
【0037】
図8に、本発明の昇降装置1の緊急停止装置14の実施例3を示す。
【0038】
図8に示す本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14は、ワイヤーガイド37a、37bのそれぞれにアクチュエータ38a、38bが搭載され、このアクチュエータ38a、38bによりワイヤーガイド37a、37bが矢印39a、39bの方向に回転するようにしたものである。
【0039】
上記したワイヤーガイド37a、37bが矢印39a、39bの方向に回転することで、ワイヤー7a、7bとワイヤーガイド37a、37bの接点40a、40b及び41a、41bにおいて摩擦力が発生し、緊急時の装置の落下速度が減少する。
【0040】
このような本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14であっても、上述した実施例1と同様な効果を得ることができる。
【実施例4】
【0041】
図9及び図10に、本発明の昇降装置1の緊急停止装置14の実施例4を示す。図9は、実施例4の昇降装置1の緊急停止装置14を示す正面図、図10は、図9の平面図である。
【0042】
図9及び図10に示す本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14は、緊急停止装置14に一端が接続された固定式及び可動式のシャフト44a、44b及び45a、45bと、このシャフト44a、44b及び45a、45bの他端に接続された固定式及び可動式のワイヤーガイド47a、47b及び48a、48bと、シャフト45a、45bの一端に設置されたモータ42a、42bとを備え、モータ42a、42bにより可動式のシャフト45a、45bが水平方向に回転するようにしたものである。

【0043】
図10に示すように、固定式のシャフト44a、44bに対して可動式のシャフト45a、45bが矢印46a、46bの方向に回転することで、固定式のワイヤーガイド47a、47bと可動式のワイヤーガイド48a、48bがワイヤー7a、7bと接触し、摩擦力が発生するため、緊急時の昇降装置1の落下速度が減少する。
【0044】
このような本実施例の昇降装置1の緊急停止装置14であっても、上述した実施例1と同様な効果を得ることができる。
【0045】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…昇降装置、2…エレベーター塔内、3…エレベーター塔内上部、4…揚重機、5…ロープ、5a、5b…切断ロープ、6…計測センサ、7a、7b…ワイヤー、7a1、7b1…下ワイヤー、8…下部テンプレート、9a、9b…下部テンプレートの穴、10a、10b…重り、11…エレベーター塔内の壁、12a、12b…第1のワイヤーガイド、12a1、12b1…第1のワイヤーガイドの下端、14…緊急停止装置、15a、15b…シャフト、16a、16b…第2のワイヤーガイド、16a1、16b1…第2のワイヤーガイドの上端、17…加速度センサ、28…ワイヤーと第1のワイヤーガイドとの接触点、29a、29b、32…リニアアクチュエータ、31…ばね、33…リニアアクチュエータの先端部、34…切り欠き部、36…リニアガイド、37a、37b…ワイヤーガイド、38a、38b…アクチュエータ、40a、40b、41a、41b…ワイヤーとワイヤーガイドとの接点、42a、42b…モータ、44a、44b…固定式のシャフト、45a、45b…可動式のシャフト、47a、47b…固定式のワイヤーガイド、48a、48b…可動式のワイヤーガイド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10