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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20240722BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20240722BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20240722BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H02K5/20
H02K21/14 M
H02K7/14 B
F04D29/66 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020100635
(22)【出願日】2020-06-10
(62)【分割の表示】P 2018116760の分割
【原出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2020141557
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】1709833.6
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】マーク アンドリュー ジョンソン
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0170693(US,A1)
【文献】特開平05-319382(JP,A)
【文献】中国実用新案第203734386(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第102012101757(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0204676(US,A1)
【文献】特開平09-280198(JP,A)
【文献】特開2008-111383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/20
H02K 21/14
H02K 7/14
F04D 29/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレスモータであって、
シャフト、インペラ、軸受アセンブリ、及び、ロータコア、を含むロータアセンブリと、
ステータアセンブリと、
外側部分、及び、該外側部分の半径方向内側に位置して前記ロータアセンブリ及び前記ステータアセンブリの少なくとも一方を支持する支持部分を含むフレームと、
前記外側部分と前記支持部分との間で前記シャフトの半径方向に延在するストラットと、を備え、
前記ストラット及び前記ステータアセンブリは、前記ストラットの少なくとも一部と前記ステータアセンブリの少なくとも一部とが、前記ロータアセンブリの回転軸と平行な線に沿って並ぶように整列されており、
前記ストラットの延在方向と前記回転軸とに直交する向における当該ストラットの幅が前記ロータアセンブリの回転軸に沿った前記ステータアセンブリから離れる方向に向けて先細に形成される、
ブラシレスモータ。
【請求項2】
前記ストラットの円周方向幅は、前記ステータアセンブリの円周方向幅よりも小さい、
請求項1に記載のブラシレスモータ。
【請求項3】
複数の前記ステータアセンブリと、各ストラットが前記外側部分と前記支持部分との間に延びる複数の前記ストラットと、を備え、
各ストラットは、該ストラットの少なくとも一部とそれぞれのステータアセンブリの少なくとも一部とが、前記ロータアセンブリの回転軸と平行な線に沿って並ぶように前記それぞれのステータアセンブリと整列されている、請求項1又は2に記載のブラシレスモータ。
【請求項4】
前記フレームの前記外側部分は、前記インペラを覆うインペラシュラウドを含む、請求項1~3のいずれかに記載のブラシレスモータ。
【請求項5】
前記フレームの前記外側部分は、前記インペラに向けて空気流を誘導する誘導部分を含む、請求項1~4のいずれかに記載のブラシレスモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、多くの点で電気モータを改善することが望まれている。具体的には、サイズ、重量、製造コスト、効率性、信頼性及びノイズの面の改善が望まれていると考えられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の態様によれば、ブラシレスモータであって、ロータアセンブリと、ステータアセンブリと、フレームと、少なくとも1つのストラットとを含み、ロータアセンブリが、シャフトと、インペラと、軸受アセンブリと、ロータコアとを含み、フレームが、外側部分と、外側部分の半径方向内側に存在してロータアセンブリ及びステータアセンブリの少なくとも一方を支持する支持部分とを含み、少なくとも1つのストラットが、外側部分と支持部分との間に延び、ストラット及びステータアセンブリが、ストラットの少なくとも一部とステータアセンブリの少なくとも一部とがロータアセンブリの回転軸と実質的に平行な線に沿って配置されるように整列するブラシレスモータが提供される。
【0004】
従って、このブラシレスモータは、使用時にこのモータ内を空気流が進む際に、ストラットが少なくとも部分的にステータアセンブリのスリップストリーム内に、又はステータアセンブリが少なくとも部分的にストラットのスリップストリーム内に位置するようにステータアセンブリとストラットとを整列させることによって改善することができる。従って、空気流は、ストラット及びステータの一方の周囲を流れる時には既にストラット及びステータの他方の周囲を流れているので、そのために方向をかなりの量にわたって、又は実際には全く変化させる必要がない。このことは、モータ内の乱流及びノイズの低減に寄与することができる。
【0005】
好ましい実施形態では、空気が、インペラに向かってステータアセンブリ上を流れた後にストラット上を流れるが、他の実施形態では、最初にストラット上を流れることも、及び/又は空気流方向を逆にすることもできる。
【0006】
いくつかの実施形態では、ストラットが、ステータアセンブリから離れる方向に向けてテーパ付けされる。従って、ストラットは空気力学的形状を有し、これによってモータ内の乱流及びノイズの低減にさらに寄与することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、ストラットの円周方向幅が、ステータアセンブリの円周方向幅よりも小さい。このため、空気流がステータアセンブリ上を流れた後にストラットを過ぎて流れるために大幅に方向を変化させる必要がないことが確実になることによってストラットの空気力学的プロファイルに寄与する。
【0008】
モータは、複数のステータアセンブリと、それぞれが外側部分と支持部分との間に延びる複数のストラットとを含み、各ストラットは、ストラットの少なくとも一部とそれぞれのステータアセンブリの少なくとも一部とがロータアセンブリの回転軸と実質的に平行な線に沿って配置されるようにそれぞれのステータアセンブリと整列する。従って、複数のステータアセンブリを含むモータでは、複数のストラットを用いてフレームの異なる部分を相互接続することができ、これによって強度及び安定性が高まる。各ストラットは、それぞれのステータアセンブリに対して、モータ内の乱流及びノイズの低減に寄与するように配置される。
【0009】
いくつかの実施形態では、フレームの外側部分が、インペラを覆うインペラシュラウドを含む。従って、例えばシュラウドをこのようにフレームに組み込むと、モータの構造を単純化することができる。
【0010】
フレームの外側部分は、例えばモータの性能を高めるようにインペラに向けて空気流を誘導する誘導部分を含むことができる。
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態によるモータの分解斜視図である。
図2】ロータアセンブリの分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態によるステータの分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態によるモータの断面図である。
図5】本発明の実施形態によるモータの断面図である。
図6】本発明の実施形態によるモータフレームの斜視図である。
図7】本発明の実施形態によるモータフレーム及びステータアセンブリの端面図である。
図8】本発明の実施形態によるフレーム及びステータアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態によるモータ10の分解斜視図である。明確にするために、制御電子回路及び外部ハウジングなどのいくつかの部品は示していない。モータ10は、ロータアセンブリ12と、フレーム14と、4つのステータアセンブリ16、18、20及び22とを含む。モータ10の組み立て時には、ロータアセンブリ12をフレーム14内に配置して取り付け、フレーム14のそれぞれのスロット内にステータアセンブリを配置する。例えば、ステータアセンブリ20は、フレームのスロット24内に配置される。フレーム14は、例えば単一物体として成形された一体構造とすることができ、図4に示すインペラを覆うインペラシュラウド(羽根車側板)26を含む。モータ10は、ディフューザ28も含む。
【0014】
図2は、ロータアセンブリ12の分解斜視図である。ロータアセンブリ12は、ロータコア永久磁石32が取り付けられたシャフト30と、第1のバランスリング34と、第2のバランスリング36とを含む。ロータアセンブリ12の組み立て時には、コア32及びバランスリング34、36の両側のシャフト30に一対の軸受38、40を取り付ける。シャフト30の一端にインペラ42を取り付けて、他端にセンサ磁石44を取り付ける。
【0015】
図3は、ステータアセンブリ50の分解斜視図である。ステータアセンブリ50は、図1に示すステータアセンブリ16、18、20及び22のうちのいずれか1つとすることができる。ステータアセンブリ50は、C字形ステータコア52と、第1のC字形ボビン部分54と、第2のC字形ボビン部分56とを含む。
【0016】
ステータコア52は、後部58と、第1のアーム60と、第2のアーム62とを含む。アーム60、62の各々は、ステータコア52の外面上にそれぞれの突出部64、66を含む。突出部64、66は、ステータの軸方向長さに沿って延びる。
【0017】
第1のボビン部分54は、第1のスロット68を定めるアームを含む。同様に、第2のボビン部分56は、第2のスロット70を定めるアームを含む。ボビン部分54、56は、組み立てた時にスロット68、70がステータコア52の後部58を図1図4及び図5に示すように収容できるようにステータコア52上を摺動する。ボビン部分54、56は、組み立てたステータアセンブリのボビン部分に、従ってステータコア52の後部58にステータ巻線(図示せず)を巻回させるように概ねH字形の断面を有する。
【0018】
図4は、組み立てたモータ10のロータアセンブリ12の回転軸を含む平面を通じた断面図である。ロータアセンブリ12の軸受38、40がフレーム14内で直接フレーム14に取り付けられていることが分かる。また、フレーム14のそれぞれのスロットに挿入されたステータアセンブリ16、20も示す。各ステータアセンブリ上では、ボビン部分54、56がステータコア52の後部58を取り囲んでいることが分かる。
【0019】
図5は、組み立てたモータ10のロータアセンブリ12の回転軸に垂直な平面を通じた断面図である。図示のステータアセンブリ16、18、20及び22は、それぞれの巻線72を含む。図示のステータアセンブリ16、18、20及び22は、フレーム14のそれぞれのスロットに挿入される。例えば、ステータアセンブリ16はスロット80に挿入されているのに対し、図示のステータアセンブリ20はスロット24に挿入されている。
【0020】
ステータアセンブリは、ステータコア52のアーム60、62上の突出部64、66がフレーム14のそれぞれの表面に接触するまでスロットに挿入される。例えば、ステータアセンブリ16のステータコア52の突出部64、66は、フレーム14のスロット80の端面82、84にそれぞれ接触する。この結果、モータ10の組み立て中には、各ステータアセンブリをそれぞれのスロットに挿入して、突出部がスロットの縁部などのフレーム14の適切な部分に接触するまでロータアセンブリに向けて半径方向に摺動させることができる。例えば、図示のステータ16は、突出部64、66がスロット80の縁部82、84に接触するような完全に挿入された位置にある。他のステータ部分18、20及び22も、同様にそれぞれのスロットに挿入することができる。
【0021】
この時点で、ステータアセンブリのスロット内へのさらなる挿入が抑制され、従ってステータアセンブリのロータアセンブリ12に向かうスロット内へのさらなる半径方向の動きが抑制される。ステータアセンブリ16、18、20及び22は、それぞれのスロットに完全に挿入したら適所に固定することができる。例えば、突出部64及び/又は66がフレーム14に接触する領域に接着剤を塗布して、フレーム14に対するステータアセンブリのさらなる動きを防ぐことができる。
【0022】
従って、組み立てたモータ10では、ステータコア52の半径方向位置が、ステータアセンブリとフレーム14との間の接触に基づいて設定される。また、ロータアセンブリ12の半径方向位置は、ロータアセンブリ12とフレーム14との間の接触に基づいて設定される。この結果、ステータコア52の極先端とロータアセンブリ12のロータコア32との間の間隙がわずか少数の部品の製造公差にしか依存しないので、この間隙が厳しく制御されるようになる。従って、ステータコアの極先端がロータコア32に接触するリスクを伴わずに間隙を狭くすることができる。
【0023】
図6はフレーム14の斜視図であり、図7はシュラウド26を含むフレーム14の軸方向に沿って端部から見たフレーム14及びステータアセンブリ16、18、20及び22の図である。明確にするために、図6及び図7に示すステータアセンブリは巻線を含んでいない。フレーム14は、外側部分90と、外側部分90の半径方向内側に存在して外側部分と実質的に同心状の内側部分92とを含んでいることが分かる。内側部分92は、図4に示すように軸受38、40を支持することができる。外側部分90はシュラウド26を含むことができ、例えばモータハウジング又は外側ケーシング(図示せず)などの他の部品を直接的又は間接的に支持することができる。
【0024】
外側部分90と内側部分92との間には、複数のストラット(支柱)94、96、98、100が半径方向に延びて内側部分92を支持する。図示の例では、フレーム14の円周回りに等間隔を空けた4つのストラットが存在するが、他の実施形態では1又は2以上のストラットが存在することができ、及び/又はストラットが等間隔でなくても、又は等しいサイズでなくてもよい。
【0025】
図4図6及び図7に示すように、ストラットは、ステータアセンブリがそれぞれのスロットに挿入された時にストラットに軸方向に隣接するように、ステータアセンブリのフレーム14の(スロット24及び80などの)スロットに軸方向に隣接して配置される。すなわち、各ストラットは、ストラット及びステータアセンブリがロータアセンブリ12の回転軸と実質的に平行な線に沿って並ぶように、それぞれのステータアセンブリと軸方向に整列する。
【0026】
使用時には、図示の実施形態においてモータ10のロータアセンブリ12が回転していると、ステータアセンブリ16、18、20及び22とストラット94、96、98及び100とを越えて外側部分90と内側部分92の間をインペラ42に向かって軸方向に空気が流れる。空気は、モータ内に乱流及びノイズを引き起こす恐れがあるステータアセンブリ又はストラットなどのあらゆる障害物の周囲を流れる必要がある。ストラットとステータアセンブリとを軸線に沿って整列させることにより、空気流がこれらの障害物の一方を越えて流れている時には既に他方も越えて流れているので、空気流は流れの方向を変化させる必要がなくなる。実際には、これらの障害物の一方が他方のスリップストリーム内に配置される。例えば、図示のモータ10では、ストラット94、96、98、100がステータアセンブリ16、18、20及び22のスリップストリーム内にそれぞれ配置されている。これにより、ストラットとステータアセンブリとが軸方向に沿って整列していないモータに比べて乱流及びノイズを低減することができる。
【0027】
図8は、フレーム14及び1つのステータアセンブリ16の断面図である(明確にするために巻線を含まずに示す)。この断面図には、ストラット94を通じた断面も示す。ストラット94の円周方向範囲又は円周方向の幅は、空気流方向においてストラット94がステータアセンブリ16に完全に「隠れる」ように、ステータアセンブリ16のものよりも小さいことが分かる。図8では、空気流方向を大まかに矢印110で示す。従って、モータ10内のフレーム14の内側部分92と外側部分90との間を流れる空気流は、既にステータアセンブリ16の周囲を流れているので、空気流に面したストラットの側面112にぶつかってその周囲を流れる必要も、或いはこのような程度まで側面にぶつかってその周囲を流れる必要もない。図8では、ステータアセンブリ16の端部の周囲のストラット94を越える空気流を破線矢印で示す。いくつかの実施形態では、この効果が確実に達成されるように、ストラットがステータアセンブリ16に近接する。フレーム14の外側部分90は、空気流110を(図1図2及び図4に示す)インペラ42の一端に向けて誘導する誘導部分114を含む。
【0028】
また、図8に示すストラット94の断面では、ステータアセンブリ16から離れる方向に向けて空気流の方向にストラットがテーパ付け又は先細に形成されていることも分かる。これは、ストラット94に空気力学的プロファイルを与えて、ストラット94を過ぎて空気が流れた際の乱流及びノイズの発生を抑えるためのものである。
【符号の説明】
【0029】
10 モータ
14 フレーム
16 ステータアセンブリ
18 ステータアセンブリ
20 ステータアセンブリ
22 ステータアセンブリ
24 スロット
26 シュラウド
80 スロット
90 フレーム外側部分
92 フレーム内側部分
94 ストラット
96 ストラット
98 ストラット
100 ストラット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8