(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】データ管理装置、データ管理プログラム及びデータ管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20240722BHJP
【FI】
G06Q40/12
(21)【出願番号】P 2020102344
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】520132458
【氏名又は名称】株式会社アタックス・エッジ・コンサルティング
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】酒井 悟史
(72)【発明者】
【氏名】新川 真代
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-186987(JP,A)
【文献】特開2020-086973(JP,A)
【文献】特開2006-350793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引の内容を示す会計情報
であって、前記取引の分類を示す科目と、前記取引の内容を説明する摘要情報とを、前記取引ごとに関連付けた会計情報を取得する会計情報取得部と、
複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するための、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件
であって、前記科目及び前記摘要情報の少なくとも一方を示す分割条件を取得する分割条件取得部と、
前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件
であって、金額の変動量の範囲を含む監査条件を受け付ける監査条件受付部と、
前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記分割条件に関連付けられた前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力する出力部と、
を有
し、
前記出力部は、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報として、第1期間に対して生成された前記グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値と、前記第1期間の次の第2期間に対して生成された当該グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値との差が前記範囲内であるか否かを示す比較情報を出力する、
データ管理装置。
【請求項2】
取引の内容を示す会計情報であって、前記取引の分類を示す科目と、前記取引の内容を説明する摘要情報とを、前記取引ごとに関連付けた会計情報を取得する会計情報取得部と、
複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するための、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件であって、前記科目及び前記摘要情報の少なくとも一方を示す分割条件を取得する分割条件取得部と、
前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件であって、一以上の前記グループから選択された第1グループ及び第2グループを示す監査条件を受け付ける監査条件受付部と、
前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記分割条件に関連付けられた前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力する出力部と、
を有し、
前記出力部は、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報として、前記第1グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化と、前記第2グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化との間に相関があるか否かを示す相関情報を出力する、
データ管理装置。
【請求項3】
取引の内容を示す会計情報であって、前記取引の分類を示す科目と、前記取引の内容を説明する摘要情報とを、前記取引ごとに関連付けた会計情報を取得する会計情報取得部と、
複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するための、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件であって、前記科目及び前記摘要情報の少なくとも一方を示す分割条件を取得する分割条件取得部と、
前記会計情報に対する判定に用いる予め登録された自動適用監査条件を取得する監査条件提供部と、
前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付け、前記自動適用監査条件に関連付けられた前記分割条件が示す科目と、前記分割条件取得部が取得した前記分割条件が示す科目とが一致する場合に、前記監査条件に前記自動適用監査条件を追加する監査条件受付部と、
前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記分割条件に関連付けられた前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力する出力部と、
を有する、データ管理装置。
【請求項4】
前記監査条件受付部は、金額の範囲を含む前記監査条件を受け付け、
前記出力部は、前記グループに含まれている前記会計情報の前記取引の金額が前記監査条件に含まれている前記範囲内である場合に、当該会計情報を出力する、
請求項1
から3のいずれか一項に記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記監査条件受付部は、金額の変動量の範囲を含む前記監査条件を受け付け、
前記出力部は、第1期間に対して生成された前記グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値と、前記第1期間の次の第2期間に対して生成された当該グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値との差が前記範囲内であるか否かを示す比較情報を出力する、
請求項
2又は3に記載のデータ管理装置。
【請求項6】
前記監査条件受付部は、一以上の前記グループから選択された第1グループ及び第2グループを示す前記監査条件を受け付け、
前記出力部は、前記第1グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化と、前記第2グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化との間に相関があるか否かを示す相関情報を出力する、
請求項
3に記載のデータ管理装置。
【請求項7】
前記監査条件受付部は、前記自動適用監査条件に関連付けられた前記分割条件が示す科目と、前記分割条件取得部が取得した前記分割条件が示す科目とが異なる場合に、前記自動適用監査条件に関連付けられた前記分割条件が示す科目を、前記分割条件取得部が取得した前記分割条件が示す科目に変更する、
請求項
3に記載のデータ管理装置。
【請求項8】
前記データ管理装置と通信可能な情報端末に、前記会計情報に対する判定に用いる予め登録された既存監査条件を提供する監査条件提供部をさらに有し、
前記監査条件受付部は、前記情報端末から、前記既存監査条件の少なくとも一部を含む前記監査条件を受け付ける、
請求項1
又は2に記載のデータ管理装置。
【請求項9】
プロセッサに、
取引の内容を示す会計情報
であって、前記取引の分類を示す科目と、前記取引の内容を説明する摘要情報とを、前記取引ごとに関連付けた会計情報を取得するステップと、
複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するための、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件
であって、前記科目及び前記摘要情報の少なくとも一方を示す分割条件を取得するステップと、
前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件
であって、金額の変動量の範囲を含む監査条件を受け付けるステップと、
前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力するステップと、
を実行させ、
前記出力するステップにおいて、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報として、第1期間に対して生成された前記グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値と、前記第1期間の次の第2期間に対して生成された当該グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値との差が前記範囲内であるか否かを示す比較情報を出力する、
データ管理プログラム。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
取引の内容を示す会計情報
であって、前記取引の分類を示す科目と、前記取引の内容を説明する摘要情報とを、前記取引ごとに関連付けた会計情報を取得するステップと、
複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するため、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件
であって、前記科目及び前記摘要情報の少なくとも一方を示す分割条件を取得するステップと、
前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件
であって、金額の変動量の範囲を含む監査条件を受け付けるステップと、
前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力するステップと、
を有
し、
前記出力するステップにおいて、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報として、第1期間に対して生成された前記グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値と、前記第1期間の次の第2期間に対して生成された当該グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値との差が前記範囲内であるか否かを示す比較情報を出力する、
データ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計に関するデータを管理するためのデータ管理装置、データ管理プログラム及びデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
会計事務所や監査法人等における会計担当者は、取引に関する会計情報に関する問題を発見するための監査をする業務を行う。特許文献1には、会計担当者によって入力された条件を用いて取引のデータを抽出することによって、会計業務を支援するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
会計担当者は、監査対象の個人又は組織ごとに異なる様々な観点で会計情報に対する監査をする。また、会計担当者は、毎月、毎年等のタイミングで繰り返し監査をする。特許文献1に開示されたシステムでは、会計担当者が監査を行う度に多数の条件を1つずつ入力し、入力した条件ごとにデータを確認する必要があるため、効率が悪いという問題があった。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、会計担当者が会計情報の監査をする効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のデータ管理装置は、取引の内容を示す会計情報を取得する会計情報取得部と、複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するための、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件を取得する分割条件取得部と、前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付ける監査条件受付部と、前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記分割条件に関連付けられた前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記会計情報取得部は、前記取引の分類を示す科目と、前記取引の内容を説明する摘要情報とを、前記取引ごとに関連付けた前記会計情報を取得し、前記分割条件取得部は、前記科目及び前記摘要情報の少なくとも一方を示す前記分割条件を取得してもよい。
【0008】
前記監査条件受付部は、金額の範囲を含む前記監査条件を受け付け、前記出力部は、前記グループに含まれている前記会計情報の前記取引の金額が前記監査条件に含まれている前記範囲内である場合に、当該会計情報を出力してもよい。
【0009】
前記監査条件受付部は、金額の変動量の範囲を含む前記監査条件を受け付け、前記出力部は、第1期間に対して生成された前記グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値と、前記第1期間の次の第2期間に対して生成された当該グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値との差が前記範囲内であるか否かを示す比較情報を出力してもよい。
【0010】
前記監査条件受付部は、一以上の前記グループから選択された第1グループ及び第2グループを示す前記監査条件を受け付け、前記出力部は、前記第1グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化と、前記第2グループに含まれている一以上の前記会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化との間に相関があるか否かを示す相関情報を出力してもよい。
【0011】
前記データ管理装置は、前記会計情報に対する判定に用いる予め登録された自動適用監査条件を取得する監査条件提供部をさらに有し、前記監査条件受付部は、前記自動適用監査条件に関連付けられた前記分割条件が示す科目と、前記分割条件取得部が取得した前記分割条件が示す科目とが一致する場合に、前記監査条件に前記自動適用監査条件を追加してもよい。
【0012】
前記監査条件受付部は、前記自動適用監査条件に関連付けられた前記分割条件が示す科目と、前記分割条件取得部が取得した前記分割条件が示す科目とが異なる場合に、前記自動適用監査条件に関連付けられた前記分割条件が示す科目を、前記分割条件取得部が取得した前記分割条件が示す科目に変更してもよい。
【0013】
前記データ管理装置は、前記データ管理装置と通信可能な情報端末に、前記会計情報に対する判定に用いる予め登録された既存監査条件を提供する監査条件提供部をさらに有し、前記監査条件受付部は、前記情報端末から、前記既存監査条件の少なくとも一部を含む前記監査条件を受け付けてもよい。
【0014】
本発明の第2の態様のデータ管理プログラムは、プロセッサに、取引の内容を示す会計情報を取得するステップと、複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するための、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件を取得するステップと、前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付けるステップと、前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力するステップと、を実行させる。
【0015】
本発明の第3の態様のデータ管理方法は、プロセッサが実行する、取引の内容を示す会計情報を取得するステップと、複数の前記会計情報を一以上のグループに分割するため、前記会計情報の少なくとも一部を示す分割条件を取得するステップと、前記分割条件に関連付けて、前記会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付けるステップと、前記分割条件を用いて所定の期間における複数の前記会計情報を分割することによって生成された一以上の前記グループそれぞれに含まれている一以上の前記会計情報のうち、前記監査条件を満たす前記会計情報に対応する情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、会計担当者が会計情報の監査をする効率を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係るデータ管理システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係るデータ管理システムのブロック図である。
【
図3】制御部が実行する処理の全体を説明するための模式図である。
【
図4】例示的な会計情報、分割条件及び監査条件の模式図である。
【
図5】監査条件受付部が監査条件を受け付ける方法を説明するための模式図である。
【
図6】監査条件設定画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図7】監査条件追加画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図8】監査条件追加画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図9】監査条件追加画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図10】監査結果画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図11】監査結果画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図12】監査結果画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図13】監査結果画面を表示している情報端末の正面図である。
【
図14】データ管理装置が行うデータ管理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[データ管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係るデータ管理システムSの模式図である。データ管理システムSは、データ管理装置1と、情報端末2とを含む。データ管理システムSが含む情報端末2の数は限定されない。データ管理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0019】
データ管理装置1は、個人又は組織(企業、団体等)の取引者が行った取引に関する会計情報のデータを管理するコンピュータである。会計情報は、例えば、1つの取引について、取引の分類を示す科目と、取引の内容を説明する摘要情報と、取引の日付と、取引の金額とを関連付けた、取引の内容を示す情報である。データ管理装置1は、予め記憶された分割条件を用いて複数の会計情報を複数のグループに分割し、さらに複数のグループそれぞれについて当該分割条件に関連付けられた監査条件を満たす会計情報に対応する情報を情報端末2に出力する。分割条件は、会計情報の少なくとも一部を用いて会計情報を分割する基準とする条件を示す。監査条件は、会計情報のグループごとに判定する金額等の条件を示す。
【0020】
情報端末2は、利用者が利用するコンピュータである。利用者は、例えば、会計事務所や監査法人等における会計担当者であり、会計情報を監査する人間である。また、利用者は、企業の経理部等において会計情報を確認する人間であってもよい。情報端末2は、例えばパーソナルコンピュータや、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末である。情報端末2は、インターネット、ローカルエリアネットワーク等のネットワークを介して、データ管理装置1と通信をする。
【0021】
情報端末2は、液晶ディスプレイ等の表示部と、キーボードやタッチパネル等の操作部とを有する。情報端末2は、監査条件の入力を受け付けてデータ管理装置1に送信するとともに、データ管理装置1から受信した監査条件を満たす会計情報に対応する情報を表示部上に表示する。
【0022】
[データ管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係るデータ管理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0023】
データ管理装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。データ管理装置1は、
図2に示す具体的な構成に限定されない。データ管理装置1は、1つの装置に限られず、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報端末2がデータ管理装置1として機能してもよい。この場合に、情報端末2は、予め記憶したプログラムを実行することによって、以下に説明するデータ管理装置1による処理を実行する。
【0024】
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部11は、データ管理装置1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0025】
制御部12は、会計情報取得部121と、分割条件取得部122と、監査条件提供部123と、監査条件受付部124と、監査条件判定部125と、出力部126とを有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、会計情報取得部121、分割条件取得部122、監査条件提供部123、監査条件受付部124、監査条件判定部125及び出力部126として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は、電気回路によって実行されてもよい。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、ネットワーク経由で実行されるプログラムによって実行されてもよい。
【0026】
会計情報取得部121は、取引の分類を示す科目と、取引の内容を説明する摘要情報と、取引の日付とを、取引ごとにそれぞれ関連付けた複数の会計情報を取得する。科目は、勘定科目と、補助科目とを含む。勘定科目は、取引を分類するための項目であり、一般的に取引者によらず共通である。補助科目は、勘定科目を細分化するための項目であり、取引者ごとに任意に定められる。勘定科目及び補助科目は、利用者が勘定科目マスタ及び補助科目マスタをデータ管理装置1に入力することによって、記憶部11に予め記憶されている。摘要情報は、会計情報の摘要欄に入力された内容であり、取引の内容を説明する情報である。摘要情報は、例えば、取引の相手の名称、取引の対象物の名称等を含む。
【0027】
分割条件取得部122は、記憶部11に予め記憶された、複数の会計情報を一以上のグループに分割するための、会計情報の少なくとも一部を示す分割条件を取得する。分割条件は、例えば、科目(すなわち、勘定科目及び補助科目の組み合わせ)と、摘要情報とのうち少なくとも一方を示す。
【0028】
監査条件提供部123は、予め登録された、会計情報に対する判定に用いる自動適用監査条件又は既存監査条件を提供する。自動適用監査条件は、後述の監査条件判定部125による監査条件の判定が行われる際に、情報端末2において入力された監査条件に加えて自動的に適用される監査条件である。既存監査条件は、情報端末2において新たな監査条件を入力する際に引用される監査条件である。
【0029】
監査条件受付部124は、分割条件に関連付けて、会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付ける。監査条件は、例えば、グループに含まれている取引の金額の合計値の範囲、グループに含まれている取引の金額の合計値の変動量(推移)の範囲、又は2つのグループ間での当該変動量の相関の有無を判定するための条件を示す。
【0030】
監査条件判定部125は、複数の会計情報それぞれが満たす分割条件に対応するグループに当該会計情報を含めることによって、複数の会計情報を一以上のグループに分割する。すなわち、監査条件判定部125は、記憶部11に記憶された分割条件を用いて所定の期間における複数の会計情報を分割することによって、一以上のグループを生成し、当該一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報を特定する。監査条件判定部125は、一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報について、当該グループに対応する分割条件に関連付けられた監査条件を満たすか否かを判定する。
【0031】
出力部126は、監査条件判定部125が監査条件を満たすと判定した会計情報に対応する情報を情報端末2に出力する。出力部126が情報を出力する方法の詳細は後述する。
【0032】
このように、データ管理システムSは、記憶部11に予め記憶された分割条件を用いて分割された複数の会計情報の中から、当該分割条件に関連付けられた監査条件を満たす会計情報に対応する情報を、利用者に提示する。これにより、データ管理システムSは、従来のように監査のたびに会計情報に対する判定に用いる条件を人手で入力し、入力した条件ごとに会計情報の内容を精査する手間を削減できるため、利用者が会計情報の監査をする効率を向上させることができる。
【0033】
[データ管理システムSによる処理]
データ管理システムSが実行する処理について以下に説明する。
図3は、制御部12が実行する処理の全体を説明するための模式図である。会計情報取得部121は、複数の取引に関する複数の会計情報(取引情報、仕訳データともいう)を取得する。会計情報取得部121は、例えば、利用者による情報端末2の操作に応じて会計情報を取得し、又は所定のタイミングで自動的に会計情報を取得する。会計情報取得部121は、例えば、予め記憶部11に記憶された会計情報を読み出し、又は会計情報を記憶している外部装置から会計情報を受信する。
【0034】
図4(a)は、例示的な会計情報の模式図である。会計情報は、上述の日付、科目(すなわち、勘定科目及び補助科目)及び摘要情報に加えて、取引の金額を含む。
図4(a)において、1つの行のデータが、1つの会計情報を表している。金額は、取引に係る金額である。金額は、借方の金額と、貸方の金額とを別々に含んでもよい。
【0035】
取引者は、行った取引を勘定科目及び補助科目の組み合わせに分類し、当該取引の日付、金額及び摘要情報と関連付けて、会計情報として記録する。会計情報は、
図4(a)に示した具体的な情報に限られず、税率や伝票番号等のその他の情報を含んでもよい。
【0036】
なお、会計情報取得部121による会計情報の取得は、以下に説明する分割条件取得部122による分割条件の取得及び監査条件受付部124による監査条件の受け付けよりも後に行われてもよい。
【0037】
分割条件取得部122は、記憶部11に予め記憶された、複数の会計情報を一以上のグループに分割するための、会計情報の少なくとも一部を示す分割条件を取得する。分割条件は、情報端末2において入力され、記憶部11に予め記憶されている。分割条件は、会計情報が示す取引を行う個人又は組織ごとに記憶部11に記憶される。
【0038】
図4(b)は、例示的な分割条件の模式図である。分割条件は、分割条件番号と、勘定科目条件と、補助科目条件と、摘要条件とを関連付けた情報である。
図4(b)において、1つの行のデータが、1つの分割条件を表している。分割条件番号は、分割条件を区別するための識別情報である。勘定科目条件は、複数の会計情報を分割するために用いる勘定科目の条件を示す。補助科目条件は、複数の会計情報を分割するために用いる補助科目の条件を示す。摘要条件は、複数の会計情報を分割するために用いる摘要情報の条件を示す。分割条件は、
図4(b)に示した具体的な情報に限られず、その他の情報を含んでもよい。
【0039】
監査条件受付部124は、分割条件に関連付けて、会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付け、記憶部11に記憶させる。監査条件は、会計情報が示す取引を行う個人又は組織ごとに記憶部11に記憶される。
【0040】
図4(c)は、例示的な監査条件の模式図である。監査条件は、監査条件番号と、監査条件名と、監査種別と、分割条件と、抽出条件と、期間とを関連付けた情報である。
図4(c)において、1つの行のデータが、1つの監査条件を表している。監査条件番号は、監査条件を区別するための識別情報である。監査条件名は、監査条件の内容を説明する名称である。
【0041】
監査種別は、監査条件を用いて明細抽出と、推移比較と、相関分析とのうちいずれの分析を実行するかを示す。分割条件は、分析の対象とする、監査条件に関連付けられた分割条件の識別情報(分割条件番号)を示す。監査種別が相関分析である場合に、分割条件は、相関分析の対象とする2つのグループ(第1グループ及び第2グループ)に対応する2つの分割条件の識別情報を示す。抽出条件は、金額の範囲、金額の変動量の範囲、比較対象の期間等である。抽出条件が示す金額は、借方の金額と、貸方の金額とに分けて定義されてもよい。監査条件は、
図4(c)に示した具体的な情報に限られず、監査条件の説明、監査条件の分類等、その他の情報を含んでもよい。
【0042】
監査条件受付部124は、情報端末2において入力された監査条件と、予め登録された既存監査条件と、予め登録された自動適用監査条件とのうち、少なくとも1つに基づいて、監査条件を受け付ける。既存監査条件及び自動適用監査条件は、監査条件提供部123によって提供される。
【0043】
図5(a)、
図5(b)及び
図5(c)は、監査条件受付部124が監査条件を受け付ける方法を説明するための模式図である。監査条件受付部124は、
図5(a)~
図5(c)に示す方法のうち少なくとも1つの方法によって、監査条件を受け付ける。
【0044】
図5(a)は、監査条件受付部124が情報端末2において入力された監査条件に基づいて監査条件を受け付ける方法を表している。
図5(a)の方法では、情報端末2は、利用者によって入力された監査条件を、データ管理装置1に送信する。データ管理装置1において、監査条件受付部124は、情報端末2から監査条件を受け付け、記憶部11に記憶させる。
【0045】
図5(b)は、監査条件受付部124が既存監査条件に基づいて監査条件を受け付ける方法を表している。
図5(b)の方法では、監査条件提供部123は、記憶部11に記憶された一又は複数の監査条件の中から選択されたいずれかの監査条件を、既存監査条件として情報端末2に提供する。
【0046】
監査条件提供部123は、例えば、情報端末2において利用者によって指定された監査条件を、既存監査条件として選択する。また、監査条件提供部123は、監査対象の個人又は組織との間で所定の関係性(例えば、同じ業種であること)を有する他の個人又は組織に対して予め登録された監査条件を、既存監査条件として自動的に選択してもよい。
【0047】
監査条件受付部124は、既存監査条件を提供した情報端末2から、利用者による操作に応じて、当該既存監査条件の少なくとも一部を含む監査条件を受け付ける。情報端末2は、例えば、既存監査条件を表示部上に表示し、利用者による操作に応じて既存監査条件の修正(例えば、監査条件に関連付けられた分割条件の変更)を受け付ける。そして監査条件受付部124は、修正された既存監査条件(すなわち、既存監査条件の少なくとも一部を含む監査条件)を、監査条件として受け付ける。
【0048】
このように、データ管理システムSは、既に登録された既存監査条件を利用者に提供し、利用者が当該既存監査条件を引用して監査条件を追加することを可能にする。これにより、データ管理システムSは、利用者が監査条件を新たに考えて設定する手間を削減できる。
【0049】
図5(c)は、監査条件受付部124が自動適用監査条件に基づいて監査条件を受け付ける方法を表している。
図5(c)の方法では、監査条件提供部123は、記憶部11に記憶された一又は複数の監査条件の中から選択されたいずれかの監査条件を、自動適用監査条件として取得する。監査条件提供部123は、例えば、自動的に適用するように予め登録された監査条件を、自動適用監査条件として選択する。
【0050】
監査条件受付部124は、監査条件提供部123が取得した自動適用監査条件が所定条件を満たす場合に、当該自動適用監査条件を、情報端末2において入力された監査条件に追加して受け付ける。監査条件受付部124は、例えば、自動適用監査条件に関連付けられた分割条件が示す科目(勘定科目及び補助科目)と、分割条件取得部122が取得した分割条件が示す科目(勘定科目及び補助科目)とが一致する場合に、監査条件に自動適用監査条件を追加する。これにより、監査条件受付部124は、利用者が設定した分割条件に関連付けられた自動適用監査条件を自動的に適用することができる。
【0051】
また、監査条件受付部124は、自動適用監査条件に関連付けられた分割条件が示す科目と、分割条件取得部122が取得した分割条件が示す科目とが異なる場合に、自動適用監査条件に関連付けられた分割条件が示す科目を、分割条件取得部122が取得した分割条件が示す科目に変更することによって、監査条件に自動適用監査条件を追加してもよい。
【0052】
この場合に、監査条件受付部124は、例えば、情報端末2から自動適用監査条件に関連付けられた分割条件が示す科目と、分割条件取得部122が取得した分割条件が示す科目とを関連付ける操作を受け付けることによって、自動適用監査条件に関連付けられた分割条件が示す科目を、分割条件取得部122が取得した分割条件が示す科目に変更する。また、監査条件受付部124は、予め定義された科目間の関係性を示すテーブルに基づいて、自動適用監査条件に関連付けられた分割条件が示す科目を、分割条件取得部122が取得した分割条件が示す科目に自動的に変更してもよい。これにより、監査条件受付部124は、自動適用監査条件の分割条件と、利用者が設定した分割条件との間に差異がある場合であっても、自動適用監査条件の分割条件を修正して適用することができる。
【0053】
このように、データ管理システムSは、利用者が入力した監査条件に加えて、予め登録された自動適用監査条件を、自動的に追加することを可能にする。これにより、データ管理システムSは、例えば、監査対象の個人又は組織をまたいで共通的に適用することが必要な監査条件を自動的に設定し、監査の観点の漏れを低減することができる。
【0054】
監査条件判定部125は、分割条件取得部122が取得した分割条件を用いて所定の期間における複数の会計情報を分割することによって、一以上のグループを生成し、当該一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報を特定する。1つの分割条件は、複数の会計情報から抽出される1つのグループに対応している。そして監査条件判定部125は、一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報について、当該グループに対応する分割条件に関連付けられた監査条件を満たすか否かを判定する。
【0055】
出力部126は、監査条件判定部125による判定結果に基づいて、監査条件を満たす会計情報に対応する情報を、情報端末2に出力する。出力部126が情報端末2に出力させる画面について、
図6~
図13を用いて以下に説明する。
【0056】
[画面の説明]
図6は、監査条件設定画面Aを表示している情報端末2の正面図である。出力部126は、情報端末2において所定の操作が行われた場合に、
図6の監査条件設定画面Aを情報端末2の表示部に表示させる。
【0057】
監査条件設定画面Aは、監査条件一覧A1と、新規追加ボタンA2と、引用ボタンA3とを含む。監査条件一覧A1は、記憶部11に既に記憶された監査条件の一覧を表している。監査条件一覧A1は、監査条件ごとに、監査条件の名称と、監査種別と、条件(分割条件及び抽出条件)とを表している。また、監査条件一覧A1は、
図5(c)に示した方法で監査条件提供部123によって提供された自動適用監査条件を含んでもよい。
【0058】
新規追加ボタンA2は、
図5(a)に示した方法で監査条件を新たに追加するためのボタン(アイコン)である。引用ボタンA3は、
図5(b)に示した方法で監査条件提供部123によって提供された既存監査条件を引用して監査条件を追加するためのボタンである。
【0059】
監査条件設定画面Aにおいて新規追加ボタンA2又は引用ボタンA3を選択する操作が情報端末2によって行われた場合に、出力部126は、
図7の監査条件追加画面Bを情報端末2の表示部に表示させる。
【0060】
図7、
図8及び
図9は、監査条件追加画面Bを表示している情報端末2の正面図である。
図7の監査条件追加画面Bは、監査種別が明細抽出である監査条件を追加するための画面である。
図7の監査条件追加画面Bにおいて監査種別を推移比較又は相関分析に切り替える操作が行われた場合に、出力部126は、
図8又は
図9の監査条件追加画面Bを情報端末2の表示部に表示させる。
【0061】
図7の監査条件追加画面Bは、情報欄B1と、条件欄B2とを含む。
図6において新規追加ボタンA2が選択されていた場合には、情報欄B1及び条件欄B2は空欄で表示される。一方、
図6において引用ボタンA3が選択されていた場合には、情報欄B1及び条件欄B2は、監査条件提供部123によって提供された既存監査条件の内容が入力された状態で表示される。
【0062】
情報欄B1は、例えば、監査条件名と、監査条件の説明と、監査条件の分類とを入力するための領域である。監査条件の分類は、データ管理システムSによって自動的に決定され、又は情報端末2に表示された分類の選択肢の中から選択される。
【0063】
条件欄B2は、例えば、分割条件と、抽出条件と、期間とを入力するための領域である。情報端末2において所定の操作(例えば、選択ボタンの選択)が行われた場合に、出力部126は、記憶部11に記憶されている分割条件の一覧を監査条件追加画面Bに表示させる。情報端末2において分割条件の一覧の中からいずれかを選択する操作が行われた場合に、選択された分割条件が条件欄B2に入力される。また、条件欄B2は、情報端末2における操作に応じて、金額の範囲の入力と、期間の入力とを受け付ける。金額の範囲は、例えば、金額の下限、上限、又は下限及び上限の両方によって表される。
【0064】
情報端末2において所定の操作(例えば、登録ボタンの選択)が行われた場合に、データ管理装置1の監査条件受付部124は、情報欄B1及び条件欄B2に入力された内容を、監査種別(
図7の場合には明細抽出)と関連付けた監査条件を記憶部11に記憶させる。
【0065】
図8の監査条件追加画面Bは、監査種別が推移比較である監査条件を追加するための画面である。
図8の監査条件追加画面Bにおいて監査種別を明細抽出又は相関分析に切り替える操作が行われた場合に、出力部126は、
図7又は
図9の監査条件追加画面Bを情報端末2の表示部に表示させる。
【0066】
図8の監査条件追加画面Bは、情報欄B1と、条件欄B3とを含む。
図7と同様に、情報欄B1及び条件欄B3は、監査条件提供部123によって提供された既存監査条件の内容が入力された状態で表示されてもよい。
【0067】
情報欄B1は、
図7と同様である。条件欄B3は、例えば、分割条件と、抽出条件と、期間とを入力するための領域である。情報端末2において所定の操作(例えば、選択ボタンの選択)が行われた場合に、出力部126は、記憶部11に記憶されている分割条件の一覧を監査条件追加画面Bに表示させる。情報端末2において分割条件の一覧の中からいずれかを選択する操作が行われた場合に、選択された分割条件が条件欄B3に入力される。また、条件欄B3は、情報端末2における操作に応じて、比較対象の期間の入力と、金額の変動量の範囲の入力と、期間の入力とを受け付ける。比較対象の期間は、例えば、前日比、前週比、前月比、前年比等である。金額の変動量の範囲は、例えば、比較対象の期間における金額の変動量(差額)の下限、上限、又は下限及び上限の両方によって表される。
【0068】
情報端末2において所定の操作(例えば、登録ボタンの選択)が行われた場合に、データ管理装置1の監査条件受付部124は、情報欄B1及び条件欄B3に入力された内容を、監査種別(
図8の場合には推移比較)と関連付けた監査条件を記憶部11に記憶させる。
【0069】
図9の監査条件追加画面Bは、監査種別が相関分析である監査条件を追加するための画面である。
図9の監査条件追加画面Bにおいて監査種別を明細抽出又は推移比較に切り替える操作が行われた場合に、出力部126は、
図7又は
図8の監査条件追加画面Bを情報端末2の表示部に表示させる。
【0070】
図9の監査条件追加画面Bは、情報欄B1と、条件欄B4とを含む。
図7と同様に、情報欄B1及び条件欄B4は、監査条件提供部123によって提供された既存監査条件の内容が入力された状態で表示されてもよい。
【0071】
情報欄B1は、
図7と同様である。条件欄B4、例えば、相関分析の対象とする2つのグループ(第1グループ及び第2グループ)に対応する2つの分割条件と、抽出条件と、期間とを入力するための領域である。情報端末2において所定の操作(例えば、選択ボタンの選択)が行われた場合に、出力部126は、記憶部11に記憶されている分割条件の一覧を監査条件追加画面Bに表示させる。情報端末2において分割条件の一覧の中からいずれか2つを選択する操作が行われた場合に、選択された2つの分割条件が条件欄B4に入力される。
【0072】
また、条件欄B4は、情報端末2における操作に応じて、比較対象の期間の入力と、期間の入力とを受け付ける。比較対象の期間は、例えば、前日比、前週比、前月比、前年比等である。
【0073】
情報端末2において所定の操作(例えば、登録ボタンの選択)が行われた場合に、データ管理装置1の監査条件受付部124は、情報欄B1及び条件欄B4に入力された内容を、監査種別(
図9の場合には相関分析)と関連付けた監査条件を記憶部11に記憶させる。
【0074】
図6の監査条件設定画面Aにおいて監査結果表示のための操作(例えば、
図6中の監査結果ボタンの選択)が情報端末2によって行われた場合に、監査条件判定部125は、記憶部11に記憶された分割条件を用いて所定の期間における複数の会計情報を分割することによって、一以上のグループを生成し、当該一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報を特定する。
【0075】
監査条件判定部125は、生成した一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報について、当該グループに対応する分割条件に関連付けられた監査条件を満たすか否かを判定する。
【0076】
監査条件の監査種別が明細抽出である場合に、監査条件判定部125は、生成したグループに含まれている一以上の会計情報それぞれの取引の金額が、監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の範囲内であるか否かを判定する。これにより、監査条件判定部125は、例えば、少額固定資産が30万円未満である必要があるにも関わらず、会計情報において30万円以上の少額固定資産が計上されている場合に、異常である可能性を検出できる。
【0077】
監査条件の監査種別が推移比較である場合に、監査条件判定部125は、第1期間に対して生成されたグループに含まれている一以上の会計情報の取引の金額の合計値と、当該第1期間の次の第2期間に対して生成された当該グループに含まれている一以上の会計情報の取引の金額の合計値との差(変動量)が、監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の変動量の範囲内であるか否かを判定する。第1期間及び第2期間は、抽出条件が示す比較対象の期間に基づいて決定される。
【0078】
例えば、比較対象の期間が「前月比」である場合に、第1期間は1つの月であり、第2期間は当該月の翌月である。監査条件に含まれている期間において、第1期間及び第2期間の各組み合わせについて監査条件判定部125による判定が行われる。これにより、監査条件判定部125は、例えば、役員報酬は年度内で通常は変動しないにも関わらず、会計情報において期間内の2つの月の間で変動がある場合に、異常である可能性を検出できる。
【0079】
監査条件の監査種別が相関分析である場合に、監査条件判定部125は、第1グループに含まれている一以上の会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化と、第2グループに含まれている一以上の会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化との間に相関があるか否かを判定する。第1グループ及び第2グループは、監査条件に含まれている2つの分割条件に対応する2つのグループである。時系列変化は、例えば、抽出条件が示す比較対象の期間(例えば前月比)において、取引の金額の合計値が増加したこと、減少したこと、又は変化がなかったことである。
【0080】
監査条件判定部125は、2つのグループの間で、同じ期間において同じ時系列変化があった場合に、相関があると判定し、そうでない場合に相関がないと判定する。これにより、監査条件判定部125は、例えば、地代家賃の変動と敷金の変動との間に通常は相関があるにも関わらず、会計情報において相関がない場合に、異常である可能性を検出できる。
【0081】
出力部126は、監査条件判定部125による判定結果に基づいて、監査結果画面Cを情報端末2に出力する。
図10、
図11、
図12及び
図13は、監査結果画面Cを表示している情報端末2の正面図である。
【0082】
図10の監査結果画面Cは、監査結果一覧C1を含んでいる。監査結果一覧C1は、明細抽出の結果と、推移比較の結果と、相関分析の結果とを表している。明細抽出の結果は、監査条件判定部125によって取引の金額が監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の範囲内であると判定された会計情報の数と、監査条件判定部125によって取引の金額が監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の範囲内でないと判定された会計情報の数とを示す抽出情報を、監査条件と関連付けて表している。
【0083】
推移比較の結果は、監査条件判定部125による、比較対象の期間に対応する第1期間と第2期間とにおける取引の金額の合計値の変動量が、監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の変動量の範囲内であるか否かの判定結果を示す比較情報を、監査条件と関連付けて表している。
【0084】
相関分析の結果は、監査条件判定部125による、第1グループに含まれている一以上の会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化と、第2グループに含まれている一以上の会計情報の取引の金額の合計値の時系列変化との間に相関があるか否かの判定結果を示す相関情報を、監査条件と関連付けて表している。
【0085】
このように、データ管理システムSは、分割条件に関連付けられた監査条件を満たす会計情報に対応する情報として、上述の明細抽出、推移比較、相関分析の結果を出力するため、利用者が会計情報における異常の有無を判断する効率を向上することができる。
【0086】
図10の監査結果画面Cにおいていずれかの監査条件に対する明細抽出の結果を選択する操作が情報端末2によって行われた場合に、出力部126は、選択された監査条件に対する明細抽出の結果を含む
図11の監査結果画面Cを情報端末2の表示部に表示させる。
【0087】
図11の監査結果画面Cは、監査条件C2と、会計情報一覧C3とを含む。監査条件C2は、表示中の明細抽出の結果に対応する監査条件を表している。会計情報一覧C3は、監査条件判定部125によって取引の金額が監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の範囲内であると判定された一又は複数の会計情報を表している。これにより、データ管理システムSは、グループ(分割条件)ごとに設定された監査条件を満たしている会計情報を利用者に提示し、利用者が会計情報において計上すべき科目の誤り等を発見することを容易にできる。
【0088】
会計情報一覧C3が含む一又は複数の会計情報それぞれに関連付けられた詳細ボタンが選択された場合に、出力部126は、選択された会計情報の詳細を情報端末2に出力してもよい。
図11の監査結果画面Cは、監査条件判定部125によって取引の金額が監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の範囲内であると判定された会計情報を表示しているが、監査条件判定部125によって取引の金額が監査条件に含まれている抽出条件が示す金額の範囲内でないと判定された会計情報を表示してもよい。
【0089】
図10の監査結果画面Cにおいていずれかの監査条件に対する推移比較の結果を選択する操作が情報端末2によって行われた場合に、出力部126は、選択された監査条件に対する推移比較の結果を含む
図12の監査結果画面Cを情報端末2の表示部に表示させる。
【0090】
図12の監査結果画面Cは、監査条件C4と、比較情報C5とを含む。監査条件C4は、表示中の推移比較の結果に対応する監査条件を表している。比較情報C5は、各期間における取引の金額の合計値と、連続する2つの期間(第1期間及び第2期間)における取引の金額の合計値の変動量(
図12における増減額及び増減率)を表している。これにより、データ管理システムSは、2つの期間における会計情報の推移の詳細を示す情報を利用者に提示し、利用者が会計情報において異常な変動等を発見することを容易にできる。
【0091】
図10の監査結果画面Cにおいていずれかの監査条件に対する相関分析の結果を選択する操作が情報端末2によって行われた場合に、出力部126は、選択された監査条件に対する相関分析の結果を含む
図13の監査結果画面Cを情報端末2の表示部に表示させる。
【0092】
図13の監査結果画面Cは、監査条件C6と、第1グループの比較情報C7と、第2グループの比較情報C8とを含む。監査条件C6は、表示中の相関分析の結果に対応する監査条件を表している。第1グループの比較情報C7は、相関分析の対象である2つの分割条件のうち一方に対応する第1グループについて、各期間における取引の金額の合計値と、連続する2つの期間における取引の金額の合計値の変動量(
図13における増減額及び増減率)を表している。第2グループの比較情報C8は、相関分析の対象である2つの分割条件のうち他方に対応する第2グループについて、各期間における取引の金額の合計値と、連続する2つの期間における取引の金額の合計値の変動量を表している。
【0093】
これにより、データ管理システムSは、2つのグループ(分割条件)間の会計情報に関する相関があるか否かの判定の根拠となる情報を利用者に提示し、利用者が会計情報において計上漏れ等を発見することを容易にできる。
【0094】
[データ管理方法のフロー]
図14は、データ管理装置1が行うデータ管理方法のフローチャートを示す図である。会計情報取得部121は、複数の取引に関する複数の会計情報(取引情報、仕訳データともいう)を取得する(S11)。会計情報取得部121は、例えば、利用者による情報端末2の操作に応じて会計情報を取得し、又は所定のタイミングで自動的に会計情報を取得する。会計情報取得部121は、例えば、予め記憶部11に記憶された会計情報を読み出し、又は会計情報を記憶している外部装置から会計情報を受信する。
【0095】
分割条件取得部122は、記憶部11に予め記憶された、複数の会計情報を一以上のグループに分割するための、会計情報の少なくとも一部を示す分割条件を取得する(S12)。分割条件は、情報端末2において入力され、記憶部11に予め記憶されている。分割条件は、例えば、複数の会計情報を一以上のグループに分割するための科目及び摘要情報の少なくとも一方を示す。
【0096】
監査条件受付部124は、分割条件に関連付けて、会計情報に対する判定に用いる監査条件を受け付け、記憶部11に記憶させる(S13)。監査条件は、例えば、グループに含まれている一以上の取引の金額の合計値の範囲、グループに含まれている一以上の取引の金額の合計値の変動量(推移)の範囲、又は2つのグループ間での当該変動量の相関の有無を判定するための条件を示す。
【0097】
ステップS12の分割条件取得部122による分割条件の取得及びステップS13の監査条件受付部124による監査条件の受け付けは、ステップS11の会計情報取得部121による会計情報の取得よりも先に行われてもよい。
【0098】
監査条件判定部125は、分割条件取得部122が取得した分割条件を用いて所定の期間における複数の会計情報を分割することによって、一以上のグループを生成し、当該一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報を特定する(S14)。
【0099】
監査条件判定部125は、一以上のグループそれぞれに含まれている一以上の会計情報について、当該グループに対応する分割条件に関連付けられた監査条件を満たすか否かを判定する(S15)。出力部126は、監査条件判定部125による判定結果に基づいて、監査条件を満たす会計情報に対応する情報を、情報端末2に出力する(S16)。
【0100】
[本実施形態の効果]
このように、データ管理システムSは、記憶部11に予め記憶された分割条件を用いて分割された複数の会計情報の中から、当該分割条件に関連付けられた監査条件を満たす会計情報に対応する情報を、利用者に提示する。これにより、データ管理システムSは、従来のように監査のたびに会計情報に対する判定に用いる条件を人手で入力し、入力した条件ごとに会計情報の内容を精査する手間を削減できるため、利用者が会計情報の監査をする効率を向上させることができる。
【0101】
さらに、データ管理システムSにおいて、記憶部11に記憶された一又は複数の分割条件及び監査条件は、繰り返し利用可能であるとともに、利用者間で共有することができる。そのため、データ管理システムSは、利用者が新たな分割条件及び監査条件を設定する手間を削減でき、また既に実績のある分割条件及び監査条件を流用することによって利用者が会計情報を監査する品質を向上させることができる。
【0102】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0103】
データ管理装置1のプロセッサは、
図14に示すデータ管理方法に含まれる各ステップ(工程)の主体となる。すなわち、データ管理装置1のプロセッサは、
図14に示すデータ管理方法を実行するためのプログラムを記憶部11から読み出し、該プログラムを実行してデータ管理装置1の各部を制御することによって、
図14に示すデータ管理方法を実行する。
図14に示すデータ管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0104】
S データ管理システム
1 データ管理装置
11 記憶部
12 制御部
121 会計情報取得部
122 分割条件取得部
123 監査条件提供部
124 監査条件受付部
125 監査条件判定部
126 出力部