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特許7523969レーザー墨出し器システム、携帯端末装置、及びレーザー光受光位置報知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】レーザー墨出し器システム、携帯端末装置、及びレーザー光受光位置報知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
G01C15/00 103B
G01C15/00 103E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020114360
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012497
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朴木 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】小池 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 将史
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-8479(JP,A)
【文献】特開平6-147896(JP,A)
【文献】特開2019-219319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー墨出し器と、
受光装置と、
報知部と、を備え、
前記レーザー墨出し器は、
レーザー光を射出するように構成されたレーザー射出部を備え、
前記受光装置は、
前記レーザー射出部により射出された前記レーザー光を受光するように構成された受光部と、
前記受光部における前記レーザー光の受光位置を示す第1の位置信号を送信するように構成された送信機であって、前記第1の位置信号は、前記受光部の中央位置、前記中央位置よりも左側の左位置、及び前記中央位置よりも右側の右位置のうちのいずれかを示す、送信機と、を備え、
前記レーザー墨出し器は、前記第1の位置信号を受信し、前記第1の位置信号に対応した第2の位置信号を送信するように構成された機器通信部を更に備え、
前記報知部は、前記機器通信部により送信された前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置を報知するように構成されている、
レーザー墨出し器システム。
【請求項2】
前記第2の位置信号を受信するように構成された端末通信機と、
前記報知部と、を有する携帯端末装置を更に備える、
請求項1に記載のレーザー墨出し器システム。
【請求項3】
前記機器通信部は、前記送信機と第1の無線通信を行うように構成され、且つ、前記携帯端末装置と第2の無線通信を行うように構成され、
前記送信機は、前記第1の無線通信により、前記第1の位置信号を前記機器通信部へ送信するように構成され、
前記端末通信機は、前記第2の無線通信により、前記第2の位置信号を前記機器通信部から受信するように構成され、
前記報知部は、前記端末通信機により受信された前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置を報知するように構成されている、
請求項2に記載のレーザー墨出し器システム。
【請求項4】
前記報知部は、
表示部と、スピーカーと、振動部と、を含み、
前記表示部は、前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置を表示するように構成され、
前記スピーカーは、前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置に応じた音を出力するように構成され、
前記振動部は、前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置に応じた振動を出力するように構成されている、
請求項2又は3に記載のレーザー墨出し器システム。
【請求項5】
前記携帯端末装置は、
前記スピーカー及び/又は前記振動部の出力制限を設定するように構成された制限部を備え、
前記スピーカー及び/又は前記振動部は、前記制限部により前記出力制限が設定されている場合に、前記第2の位置信号に基づいた出力よりも、前記出力制限を優先するように構成されている、
請求項4に記載のレーザー墨出し器システム。
【請求項6】
請求項1に記載のレーザー墨出し器システムが備えるレーザー墨出し器から送信された前記第2の位置信号を受信するように構成された端末通信機と、
前記端末通信機により受信された前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置を報知するように構成された端末報知部と、を備える、
携帯端末装置。
【請求項7】
携帯端末装置が備える処理回路に、
請求項1に記載のレーザー墨出し器システムが備えるレーザー墨出し器から送信された前記第2の位置信号を取得することと、
取得した前記第2の位置信号に基づいて、前記受光位置を報知することと、
を実行させるレーザー光受光位置報知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー墨出し器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のレーザー墨出し器は、リモコンと共に使用可能に構成されている。リモコンは、レーザー墨出し器から射出されるレーザー光を受光する受光部を備え、レーザー墨出し器から離れた位置に設置される。また、リモコンは、LEDとブザーを備え、受光部におけるレーザー光の受光位置をLEDの点灯とブザー音で報知する。ユーザは、報知された受光位置に基づいて、レーザー光の位置調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6628633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザがリモコンから離れた位置でレーザー光の位置調整を行う場合に、ユーザがLEDの点灯及びブザー音を認識しにくいという問題がある。ひいては、ユーザが、レーザー光の位置調整がしにくいという問題がある。
【0005】
本開示の1つの局面は、レーザー光の位置調整が容易となるレーザー墨出し器システム、携帯端末装置及びレーザー光受光位置報知プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面のレーザー墨出し器システムは、レーザー墨出し器と、受光装置と、報知部と、を備える。レーザー墨出し器は、レーザー光を射出するように構成されたレーザー射出部を備える。受光装置は、受光部と、送信機と、を備える。受光部は、レーザー射出部により射出されたレーザー光を受光するように構成される。送信機は、受光部におけるレーザー光の受光位置を示す第1の位置信号を送信するように構成される。第1の位置信号は、受光部の中央位置、中央位置よりも左側の左位置、及び中央位置よりも右側の右位置のうちのいずれかを示す。報知部は、送信機により送信された第1の位置信号に基づいて、受光位置を報知するように構成される。
【0007】
本開示の1つの局面のレーザー墨出し器システムでは、レーザー光の受信位置を示す第1の位置信号が、受光装置から送信される。そして、受光装置から送信された第1の位置信号に基づいて、受光位置が報知される。したがって、ユーザは、受光装置から離れた位置で受光位置を認識して、レーザー光の位置を容易に調整することができる。
【0008】
また、レーザー墨出し器は、機器通信部を備えてもよい。機器通信部は、第1の位置信号を受信し、第1の位置信号に対応した第2の位置信号を送信するように構成される。
レーザー墨出し器は、機器通信部を備えることにより、第2の位置信号を送信することができる。
【0009】
さらに、端末通信機と報知部とを有する携帯端末装置を更に備えてもよい。端末通信機は、第1の位置信号又は第2の位置信号を受信するように構成される。
携帯端末装置が報知部を備えているため、ユーザは手元の携帯端末装置を用いて受光位置を認識することができる。ひいては、ユーザは、受光装置から離れた位置で、レーザ―光の位置を容易に調整することができる。
【0010】
機器通信部は、送信機と第1の無線通信を行うように構成され、且つ携帯端末装置と第2の無線通信を行うように構成されてもよい。送信機は、第1の無線通信により、第1の位置信号を機器通信部へ送信するように構成されてもよい。端末通信機は、第2の無線通信により、第2の位置信号を受信するように構成されてもよい。報知部は、端末通信機により受信された第2の位置信号に基づいて、受光位置を報知するように構成されていてもよい。
【0011】
受光装置からレーザー墨出し器へ第1の位置信号が送信され、レーザー墨出し器から携帯端末装置へ第1の位置信号に対応した第2の位置信号が送信される。したがって、携帯端末装置は、レーザー墨出し器を介して、受光位置を受信することができる。
【0012】
また、レーザー墨出し器は、報知部を備えてもよい。送信機は、無線通信により、第1の位置信号を機器通信部へ送信するように構成されてもよい。報知部は、機器通信部により受信された第1の位置信号に基づいて、受光位置を報知するように構成されていてもよい。
【0013】
レーザー墨出し器が報知機を備えている。そのため、ユーザはレーザー墨出し器の近くで受光位置を認識しながら、レーザー墨出し器を操作して、レーザー光を調整することができる。
【0014】
また、携帯端末装置が備える報知部は、表示部と、スピーカーと、振動部と、を含んでもよい。表示部は、第1の位置信号に基づいて、受光位置を表示するように構成されてもよい。スピーカーは、第1の位置信号に基づいて、受光位置に応じた音を出力するように構成されてもよい。振動部は、第1の位置信号に基づいて、受光位置に応じた振動を出力するように構成されていてもよい。
【0015】
表示部が受光位置に応じた表示をするため、ユーザは表示部を見ることで、受光位置を認識することができる。また、スピーカーが受光位置に応じた音を出力し、振動部が受光位置に応じた振動を出力するため、ユーザは表示部を見なくても、受光位置を認識することができる。
【0016】
また、携帯端末装置は、制限部を備えてもよい。制限部は、スピーカー及び/又は振動部の出力制限を設定するように構成される。スピーカー及び/又は振動部は、制限部により出力制限が設定されている場合に、第1の位置信号に基づいた出力よりも、出力制限を優先するように構成されていてもよい。
【0017】
スピーカー及び/又は振動部の出力が制限されている場合には、受光位置を示す音及び/又は振動を出力することよりも、出力制限が優先される。したがって、ユーザが受光位置を認識するために携帯端末装置を用いる場合に、ユーザが望まない音及び又は振動が出力されることを抑制できる。
【0018】
本開示の別の1つの局面の携帯端末装置は、端末通信機と、報知部と、を備える。端末通信機は、無線通信により、レーザー光の受光位置を示す位置信号を受信するように構成される。レーザー光は、レーザー墨出し器から射出されて受光装置が備える受光部により受光される。位置信号は、受光部の中央位置、中央位置よりも左側の左位置、及び中央位置よりも右側の右位置のうちのいずれかを示す。報知部は、端末通信機により受信された位置信号に基づいて、受光位置を報知するように構成される。
【0019】
本開示の別の1つの局面の携帯端末装置は、位置信号を受信し、位置信号に基づいて受光位置を報知する。したがって、ユーザは、手元の携帯端末装置を用いて受光位置を認識して、レーザー光の位置を容易に調整することができる。
【0020】
本開示の更に別の1つの局面のレーザー光受光位置報知プログラムは、携帯端末装置が備える処理回路に、レーザー墨出し器から射出されたレーザー光が、受光装置が備える受光部により受光された受光位置に応じた位置信号であって、受光部の中央位置、中央位置よりも左側の左位置、及び中央位置よりも右側の右位置のうちのいずれかを示す受光位置を、取得することと、取得した位置信号に基づいて、受光位置を報知することと、を実行させる。
【0021】
本開示の更に別の1つの局面のレーザー光受光位置報知プログラムは、携帯端末装置に位置信号を取得させ、位置信号に基づいて受光位置を報知させる。したがって、ユーザは、手元の携帯端末装置を用いて受光位置を認識して、レーザー光の位置を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るレーザー墨出し器システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係るレーザー墨出し器システムの電気的構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係るレーザー墨出し器のユーザインターフェース部の外観を示す図である。
図4】本実施形態に係る携帯端末装置のメイン画面を示す図である。
図5】本実施形態に係る携帯端末装置の受光確認画面を示す図である。
図6】本実施形態に係る回転/追尾画面を示す図である。
図7A】本実施形態に係る受光位置報知処理の一部を示すフローチャートである。
図7B】本実施形態に係る受光位置報知処理の別の一部を示すフローチャートである。
図7C】本実施形態に係る受光位置報知処理の更に別の一部を示すフローチャートである。
図7D】本実施形態に係る受光位置報知処理の残りの部分を示すフローチャートである。
図8】他の実施形態に係るレーザー墨出し器のユーザインターフェース部の外観を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。
尚、本開示は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0024】
<1.全体構成>
<1-1.システム>
図1に示すように、本実施形態に係るレーザー墨出し器システム1は、レーザー墨出し器10と、携帯端末装置51と、受光装置60と、を備える。
【0025】
レーザー墨出し器10は、対象物に対してレーザー光による基準線を投射する。レーザー墨出し器システム1は、携帯端末装置51または受光装置60を用いることで、離れた位置からレーザー墨出し器10の回転、すなわちレーザー光の位置を制御できるように構成されている。
【0026】
<1-2.レーザー墨出し器>
レーザー墨出し器10は、支持本体11と、回転本体12と、を備える。支持本体11は、複数の脚部14を備える。レーザー墨出し器10は、例えば3つの脚部14を備えている。支持本体11は、3つの脚部14によって、床101で支持される。なお、床101を含む、レーザー墨出し器10が設置される面を、以下、設置面ともいう。
【0027】
回転本体12は、支持本体11に対して中心軸L1を中心として回転するように構成されている。図1では、レーザー墨出し器10が、設置面に対して中心軸L1が垂直な状態で設置された状態を示している。
【0028】
回転本体12は、中心軸L1を中心として軸線方向に延びる略円柱形状に形成されている。回転本体12は、外部へレーザー光を射出する4つの射出部、即ち、第1射出部5、第2射出部6、第3射出部7、及び第4射出部8を備える。回転本体12の上面には、ユーザインターフェース部30が設けられている。
【0029】
第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8は、中心軸L1を中心とする周方向に沿って所定の間隔(例えば90度間隔)で設けられている。第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8は、それぞれ、レーザー発光部34を備える。レーザー発光部34は、レーザー光を生成する。レーザー発光部34は、種々の種類の発光素子を適用できる。例えば、レーザー発光部34は、半導体レーザーであってもよいし、ガスレーザー、固体レーザーであってもよい。その他の方式でレーザー光を生成する構成であってもよい。レーザー発光部34は、レーザー光を垂直方向に偏光させることにより、垂直方向基準線を示す垂直レーザー光120を外部へ射出するように構成されている。すなわち、第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8は、垂直方向射出部に相当する。
【0030】
なお、回転本体12は、垂直方向射出部のみならず、水平方向射出部を備えてもよい。水平方向射出部は、水平方向基準線を示す水平レーザー光を外部へ射出する。回転本体12は、水平レーザー光を射出する角度範囲に応じて、1個の水平方向射出部を備えてもよいし、複数の水平方向射出部を備えてもよい。例えば、1個の水平方向射出部を備える回転本体12は、所定角度範囲(例えば、約110°の角度領域)に対して水平レーザー光を射出し得る。また、複数(例えば、4個)の水平方向射出部を備える回転本体12は、複数の水平レーザー光がオーバーラップしつつ、360°の角度範囲(全周)にレーザー光を射出し得る。
【0031】
図1は、垂直レーザー光120が床101から壁面102に亘って照射されている状態を示している。この垂直レーザー光120は、床101に設置されたレーザー墨出し器10の第1射出部5から射出されている。また、図1は、垂直レーザー光120が地墨線130に沿うように照射されている状態を示している。レーザー墨出し器10は、中心軸L1と同軸且つ下方(すなわち設置面方向)に向けて下方レーザー光140を射出できる。地墨線130は、床101に描かれている。
【0032】
レーザー墨出し器10には、機器通信部21が設けられている。図2に示すように、機器通信部21は、第1の機器通信機21aと第2の機器通信機21bとを備える。第1の機器通信機21aは、第1の通信方式に基づいた無線通信(以下、第1の無線通信と称する)を行う。第2の機器通信機21bは、第2の通信方式に基づいた無線通信(以下、第2の無線通信)を行う。第2の通信方式は、第1の通信方式と異なる。
【0033】
第2の機器通信機21bは、携帯端末装置51との間で各種情報を送受信する。第1の機器通信機21aは、受光装置60から送信される信号を受信する。第2の通信方式は、近距離無線通信方式を含む。近距離無線通信方式は、例えば、Bluetooth規格に準拠した方式が挙げられる。Bluetoothは登録商標である。また、第1の通信方式は、例えば、赤外線通信規格に準拠した方式が挙げられる。本実施形態では、第2の通信方式として、Bluetooth方式を用い、第1の通信方式として、赤外線通信方式を用いている。
【0034】
第1の機器通信機21aは、受光装置60から送信された赤外線を受信して光電変換することにより、赤外線から第1の位置信号及び遠隔操作信号を抽出する。第1の機器通信機21aは、抽出した第1の位置信号及び遠隔操作信号を支持本体11の内部へ伝送する。第1の位置信号は、後述する受光装置60のレーザー受光窓80における中央位置、左位置、右位置のいずれかを示す。また、遠隔操作信号は、受光位置に応じて、レーザー墨出し器10に対して、停止、右回り、左回りのいずれかを指令する。レーザー墨出し器10の回転本体12は、自動追尾モード時に、遠隔操作信号に応じて回転又は停止する。
【0035】
なお、機器通信部21は、第2の機器通信機21bのみを備えていてもよい。この場合、第1の通信方式は、第2の通信方式と同じ通信規格に準拠し、第1の通信方式と異なる変調が適用される。
【0036】
<1-3.携帯端末装置>
携帯端末装置51は、レーザー墨出し器10を無線通信により遠隔操作する機能を備える。例えば、携帯端末装置51は、遠隔回転機能と、遠隔レーザー制御機能と、を備える。
【0037】
遠隔回転機能は、レーザー墨出し器10を回転(詳しくは回転本体12を回転)させる機能である。遠隔レーザー制御機能は、レーザー墨出し器10の第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8を制御する機能である。したがって、ユーザは、携帯端末装置51を用いて、レーザー墨出し器を遠隔操作することができる。
【0038】
携帯端末装置51は、端末通信機59(図2参照)を備える。端末通信機59は、第2の無線通信をレーザー墨出し器10の第2の機器通信機21bと行い、各種情報を送受信する。端末通信機59は、例えば、機器操作信号を送信する。機器操作信号は、レーザー墨出し器10を遠隔操作するための信号に相当する。端末通信機59は、例えば、機器情報信号を受信する。機器情報信号は、レーザー墨出し器10に関する情報を表す信号に相当し、後述する第1の位置信号に対応する第2の位置信号を含む。
【0039】
<1-4.受光装置>
受光装置60は、レーザー墨出し器10を無線により遠隔操作する機能を備える。例えば、受光装置60は、遠隔回転機能と、遠隔レーザー制御機能と、を備える。
【0040】
受光装置60は、送信機67と、レーザー受光窓80と、を備える。送信機67は、第1の無線通信を、レーザー墨出し器10の第1の機器通信機21aと行い、遠隔操作信号及び第1の位置信号を送信する。
【0041】
レーザー受光窓80は、矩形状を有し、レーザー墨出し器10からの垂直レーザー光120を受光装置60の内部に入射させるように構成されている。レーザー受光窓80に垂直レーザー光120が入射されると、受光装置60の内部に備えられるレーザー受光部65(図2参照)で垂直レーザー光120が受光される。
【0042】
レーザー受光部65は、矩形状に構成されており、右受光素子65aと左受光素子65bの2つの受光素子を備える。右受光素子65a及び左受光素子65bは、同種の受光素子であり、例えば、受光ダイオードなどである。右受光素子65aは、センターラインCLの右側に配置されている。左受光素子65bは、センターラインCLの左側に配置されている。センターラインCLは、レーザー受光窓80及びレーザー受光部65の水平方向の中央のラインに相当する。右受光素子65aと左受光素子65bは、センターラインCL上で互いに接している。
【0043】
受光装置60は、センターラインCLが地墨線130に合うように設置面に設置される。右受光量が左受光量よりも多い場合は、垂直レーザー光120が、中央よりも右側に寄っている。右受光量は、右受光素子65aにより受光された光量に相当する。左受光量は、左受光素子65bにより受光された光量に相当する。右受光量が左受光量と等しい場合は、垂直レーザー光120が、中央に位置している、すなわち、垂直レーザー光120が地墨線130と合っている。右受光量が左受光量よりも少ない場合は、垂直レーザー光120が、中央よりも左側に寄っている。
【0044】
上述した第1の位置信号は、レーザー受光窓80における垂直レーザー光120の受光位置を示す位置信号である。垂直レーザー光120が中央に位置している場合、第1の位置信号は、中央位置を示す。垂直レーザー光120が中央位置よりも右側に位置している場合、第1の位置信号は右位置を示す。垂直レーザー光120が中央位置よりも左側に位置している場合、第1の位置信号は左位置を示す。
【0045】
<2.電気的構成>
<2-1.レーザー墨出し器>
レーザー墨出し器システム1の電気的構成について、図2を用いて説明する。
【0046】
レーザー墨出し器10は、機器制御部31と、機器操作部32と、レーザー駆動回路33と、レーザー発光部34と、モータ駆動回路35と、モータ36と、機器表示部37と、機器通信部21と、バッテリ41と、を備える。図3に示すように、機器操作部32及び機器表示部37は、ユーザインターフェース部30に設けられている。
【0047】
機器制御部31は、CPU31a、メモリ31b及びI/O等を備える。機器制御部31は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて構成されている。機器制御部31は、CPU31aがメモリ31bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各機能を実現する。
【0048】
機器操作部32は、ライン切替操作部32a、輝度切替操作部32b、無線通信操作部32cを備える。
ライン切替操作部32aは、レーザー墨出し器10の点灯モードを切り替えるためのスイッチである。本実施形態では、点灯モードとして、点灯させる射出部の数が異なる複数種類の点灯モードが用意されている。例えば、ある点灯モードにおいては第1射出部5のみが点灯してもよいし、別のある点灯モードにおいては第2射出部6及び第4射出部8の2つが点灯してもよい。第1,第2,第3,第4射出部5,6,7,8が全て点灯する点灯モードがあってもよいし、点灯モードの数やその内容については適宜決めてもよい。レーザー墨出し器10は、ライン切替操作部32aが操作される度に、複数種類の点灯モードを予め決められた順に切り替える。
【0049】
輝度切替操作部32bは、レーザー墨出し器10から射出されるレーザー光の明るさを切り替えるためのスイッチである。レーザー墨出し器10は、レーザー光の明るさを、例えば、エコモード、通常モード、高輝度モード、及び超高輝度モードの4種類のモードの何れかに設定できるように構成されている。
【0050】
無線通信操作部32cは、第2の無線通信による携帯端末装置51との接続を行うためのスイッチである。第2の機器通信機21bは、無線通信操作部32cが操作されると、無線領域内に存在する携帯端末装置51との間で、第2の無線通信による通信経路が確立されるように構成されている。無線領域は、第2の機器通信機21bが無線通信可能な領域に相当する。
【0051】
レーザー駆動回路33は、パルス駆動によりレーザー発光部34を発光させる。パルス駆動とは、レーザー光を連続的に発光させるのではなく間欠的に発光させる駆動方法である。レーザー駆動回路33は、レーザー発光部34を、一定周期で所定のデューティ比にて発光させる。パルス駆動の周期は適宜決めることができる。本実施形態では、残像効果によって間欠的に発光していることがユーザに視覚的に認識されない範囲(例えば0.2ミリ秒以下)の周期に設定されている。
【0052】
モータ駆動回路35は、モータ36を駆動する回路である。モータ駆動回路35は、機器制御部31から出力された駆動信号に基づいて、モータ36に流れる駆動電流を制御する。モータ駆動回路35は、一例として、Hブリッジ回路でもよい。
【0053】
モータ36は、例えば、DCブラシつきモータである。モータ36は、レーザー墨出し器10の回転本体12を回転するための駆動力を発生する。レーザー墨出し器10は、回転本体12の回転動作に加えて、それ以外の駆動力を発生するために、複数のモータを備えてもよい。なお、モータ36は、3相のブラシレスモータやステッピングモータでもよい。
【0054】
機器表示部37は、レーザー墨出し器10の状態を表示するための表示部である。機器表示部37は、図3に示すように、輝度表示部37a、無線通信表示部37b、バッテリ状態表示部37cを備える。
【0055】
輝度表示部37aは、レーザー墨出し器10がエコモードの場合に緑色点灯し、通常モードの場合に消灯し、高輝度モードの場合に橙色点灯し、超高輝度モードの場合に赤色点灯する。無線通信表示部37bは、無線通信操作部32cがON状態で且つレーザー墨出し器10が携帯端末装置51と無線接続されている場合に点灯する。また、無線通信表示部37bは、無線通信操作部32cがON状態で且つレーザー墨出し器10が携帯端末装置51と無線接続されていない場合に点滅する。また、無線通信表示部37bは、無線通信操作部32cがOFF状態である場合に消灯する。バッテリ状態表示部37cは、バッテリ41の残容量が所定値を下回る場合に点灯し、バッテリ41の残容量が所定値以上の場合に消灯する。
【0056】
バッテリ41は、レーザー墨出し器10に電力供給する電力源である。バッテリ41は、レーザー墨出し器10に離脱可能に装着されている。バッテリ41は、二次電池を備える。レーザー墨出し器10は、バッテリ41の残容量が低下した場合には、他のバッテリ41に交換することで、使用を継続できる。バッテリ41は、二次電池を備える構成に限られることはなく、一次電池を備えてもよい。
【0057】
<2-2.携帯端末装置>
携帯端末装置51は、端末制御部53と、端末操作部54と、端末表示部57と、振動部56と、スピーカー58と、端末通信機59と、を備える。
【0058】
端末制御部53は、CPU53a、メモリ53b及びI/O等を備える。端末制御部53は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて構成されている。端末制御部53は、CPU53aがメモリ53bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各機能を実現する。本実施形態では、端末制御部53が、本開示の処理回路の一例に相当する。
【0059】
CPU53aを、有形のコンピュータ可読媒体内にエンコードされたプログラムコードを実行するように構成してもよい。コンピュータ可読媒体は、携帯端末装置51を特定の方法で動作させるデータを与えることができる任意の媒体を指す。種々のコンピュータ可読媒体を用いて命令をCPU53aに与えて実行させてもよい。コンピュータ可読媒体の一般的な形式としては、例えば、磁気媒体、光媒体、物理媒体、メモリチップまたはカートリッジ、搬送波、またはコンピュータが読むことができる任意の他の媒体が挙げられる。コンピュータ可読媒体例としては、限定することなく、揮発性媒体、不揮発性媒体及び伝送媒体を挙げてもよい。揮発性及び不揮発性媒体を、情報(例えば、コンピュータ可読な命令、データ構造、プログラムモジュール、または以下で詳細に説明する他のデータ及び一般的な形式)を記憶するための任意の方法または技術で実施してもよい。伝送媒体としては、同軸ケーブル、銅ワイヤ及び/または光ファイバケーブル、並びに音波または光波(例えば電波及び赤外線データ通信の間に生じるもの)を挙げてもよい。有形のコンピュータ可読な記録媒体としては、例えば、以下が挙げられる。すなわち、集積回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイまたは特定用途向けIC)、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピーディスク、磁気テープ、ホログラフィック記憶媒体、ソリッドステートデバイス、RAM、ROM、電気的消去可能プログラム読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶または他の磁気記憶装置、である。
【0060】
端末操作部54は、タッチパネルを備える。タッチパネルは、ユーザが指などで直接触れることで、入力操作できるように構成されている。タッチパネルは、ユーザの入力操作に応じた信号を端末制御部53に送信する。
【0061】
端末表示部57は、表示パネルを備える。表示パネルは、端末制御部53からの表示指令に応じた画像を表示する。表示パネルは、例えば、液晶パネル、有機ELパネルなどである。
【0062】
端末操作部54及び端末表示部57は、タッチパネル付き液晶表示装置又はタッチパネル付き有機EL表示装置を用いて構成してもよい。
振動部56は、バイブレーターを備え、端末制御部53からの振動出力指令に応じて、振動を出力する。予め複数の振動パターンが設定されており、振動出力指令に応じて出力される振動パターンが選択される。
【0063】
スピーカー58は、端末制御部53からの音出力指令に応じてブザー音を出力する。予め複数のブザー音のパターンが設定されており、音出力指令に応じて出力されるブザー音のパターンが選択される。また、スピーカー58は、端末制御部53からの音出力指令に応じて音声や音楽を出力する。
【0064】
端末制御部53は、ユーザが振動部56及び/又はスピーカー58の出力制限を選択した場合に、振動部56及び/又はスピーカー58の出力制限を設定する。出力制限は、例えば、ユーザがマナーモードやサイレントモードなどを選択することにより設定される。端末制御部53が出力制限を設定すると、スピーカー58及び/又は振動部56からの出力停止が設定される。例えば、携帯端末装置51に対してマナーモードが設定されると、スピーカー58からの出力停止(すなわち、音OFF)が設定される。
【0065】
<2-3.受光装置>
受光装置60は、受光制御部61と、受光操作部64と、レーザー受光部65と、送信機67と、受光位置表示部71と、を備える。
【0066】
受光制御部61は、CPU61a、メモリ61b及びI/O等を備える。受光制御部61は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、マイコン)を用いて構成されている。受光制御部61は、CPU61aがメモリ61bに記憶されている各種プログラムを実行することにより、各機能を実現する。
【0067】
受光操作部64は、左回転スイッチ64aと、右回転スイッチ64bと、を備える。左回転スイッチ64aは、レーザー墨出し器10の回転本体12を左回転させるための操作スイッチである。右回転スイッチ64bは、レーザー墨出し器10の回転本体12を右回転させるための操作スイッチである。
【0068】
レーザー受光部65は、レーザー光を受光すると、受光信号を受光制御部61に送信する。詳細には、レーザー受光部65は、レーザー受光窓80に垂直レーザー光120が入射されると、受光信号を受光制御部61に送信する。
【0069】
受光位置表示部71は、第1LED71a、第2LED71b、及び第3LED71cを備え、レーザー光の受光位置を報知する。第1LED71a、第2LED71b及び第3LED71cは、レーザー墨出し器10から見て右側からこの順で水平方向に並んでいる。第1LED71aは、レーザー光の受光位置が右位置である場合に、橙色に点灯する。第2LED71bは、レーザー光の受光位置が中央位置である場合に、緑色に点灯する。第3LED71cは、レーザー光の受光位置が左位置である場合に、赤色に点灯する。
【0070】
<3.受光報知処理>
次に、レーザー墨出し器システム1が実行する受光報知処理について、図7A~7Dを参照して説明する。受光報知処理は、ユーザが、携帯端末装置51を用いてレーザー墨出し器10を遠隔操作しているときに、受光装置60におけるレーザー光の受光位置を認識するために実行される。受光報知処理は、ユーザにより携帯端末装置51において受光確認機能が選択されると、実行が開始され、受光確認機能の選択中、繰り返し実行される。
【0071】
図4に示すように、まず、ユーザは、端末表示部57にメイン画面を表示させる。メイン画面は、ライン/輝度アイコン70a、回転/追尾アイコン70b、タイマーロックアイコン70c、受光確認アイコン70d、情報アイコン70e、及び取扱い説明書アイコン70fを含む。ユーザはレーザー光の受光位置を確認したい場合に、メイン画面において受光確認アイコン70dを選択する。
【0072】
受光確認アイコン70dが選択されると、S10において、端末制御部53が、「受光確認」信号を受信し、端末表示部57に受光確認画面が表示させる。図5に示すように、受光確認画面には、受光位置表示部73と、報知選択部72と、が含まれる。
【0073】
受光位置表示部73は、第1位置表示部73aと、第2位置表示部73bと、第3位置表示部73cとを含む。第1位置表示部73a、第2位置表示部73b、第3位置表示部73cは、受光確認画面の右側からこの順で水平方向に並んでいる。第1位置表示部73a、第2位置表示部73b、第3位置表示部73cは、それぞれ、橙色の枠、緑色の枠、赤色の枠を有する。図5では、橙色を点線、緑色を破線、赤色を鎖線で示している。
【0074】
第1位置表示部73aは、端末通信機59が第2の機器通信機21bから受信した第2の位置信号が右位置を示している場合に、橙色の枠の内部が橙色に塗りつぶされる。第2位置表示部73bは、第2の位置信号が中央位置を示している場合に、緑色の枠の内部が緑色に塗りつぶされる。第3位置表示部73cは、第2の位置信号が左位置を示している場合に、赤色の枠の内部が赤色に塗りつぶされる。すなわち、第1位置表示部73a、第2位置表示部73b、第3位置表示部73cは、それぞれ、受光装置60の第1LED71a、第2LED71b、第3LED71cに対応する。なお、本実施形態では、受光位置表示部73、振動部56及びスピーカー58が、本開示の報知部の一例に相当する。
【0075】
報知選択部72は、バイブオフ選択部72aと、バイブオン選択部72bと、音オフ選択部72cと、音オン選択部72dと、を含む。バイブオフ選択部72aは、受光位置の報知に、振動を用いないことを選択するための選択部である。ユーザによりバイブオフ選択部72aが選択されると、バイブがOFFに設定され、振動部56からの受光位置を示す振動の出力が停止される。また、音オフ選択部72cは、受光位置の報知に、音を用いないことを選択するための選択部である。ユーザにより音オフ選択部72cが選択されると、音がOFFに設定され、スピーカー58からの受光位置を示す音出力が停止される。
【0076】
一方、バイブオン選択部72bは、受光位置の報知に、受光位置表示部73による表示に加えて、振動を用いることを選択するための選択部である。ユーザによりバイブオン選択部72bが選択されると、振動部56からの受光位置を示す振動が出力される。また、音オン選択部72dは、受光位置の報知に、受光位置表示部73による表示に加えて、音を用いることを選択するための選択部である。ユーザにより音オン選択部72dが選択されると、スピーカー58からの受光位置を示すブザー音が出力される。
【0077】
ただし、バイブオン選択部72b及び音オン選択部72dが選択されていても、携帯端末装置51に対して設定されている振動部56及びスピーカー58の出力制限が優先される。すなわち、バイブオン選択部72bが選択されていても、携帯端末装置51に対して振動部56の出力制限が設定されている場合は、バイブOFFが設定される。また、音オン選択部72dが選択されていても、携帯端末装置51に対してスピーカー58の出力制限が設定されている場合は、音OFFが設定される。例えば、音オン選択部72dが選択されていた場合でも、マナーモードが設定されている場合には、音OFFが設定される。
【0078】
図7Aに戻って、S15では、端末制御部53が、ユーザによる報知選択部72の選択、及び振動部56及びスピーカー58の出力制限に応じて、バイブのON/OFFの設定、及び音のON/OFFの設定を変更する。
【0079】
続いて、S20では、端末制御部53が、バイブがON状態であるか否か判定する。S20において、バイブがON状態であると判定した場合は、S30の処理へ進む。
S30では、端末制御部53が、音がON状態であるか否か判定する。S30において、音がON状態であると判定した場合は、S40の処理へ進む。
【0080】
S40では、受光制御部61が、レーザー受光窓80におけるレーザー光の受光位置が右位置であるか否か判定する。S40において、受光位置が右位置であると判定した場合は、S50の処理へ進む。
【0081】
S50では、受光制御部61が、送信機67を介して、レーザー墨出し器10の第1の機器通信機21aへ、右位置を示す第1の位置信号を送信する。
続いて、S60では、機器制御部31が、第2の機器通信機21bを介して、携帯端末装置51の端末通信機59へ、右位置を示す第2の位置信号を送信する。第2の位置信号は、第1の通信方式に基づいた第1の位置信号を、第2の通信方式に基づいた信号に変換した信号である。
【0082】
続いて、S70では、端末制御部53が、右位置を報知する。具体的には、受光確認画面において第1位置表示部73aの橙色の枠内を橙色に塗りつぶす。図5は、第1位置表示部73aの赤色の枠内が塗りつぶされている状態を示している。また、振動部56から、右位置を示す第1パターンの振動を出力する。さらに、スピーカー58から、右位置を示す第1パターンのブザー音を出力する。ブザー音の代わりに、受光位置が右位置であることを述べる音声を出力してもよい。
【0083】
これにより、ユーザは、受光装置60の受光位置表示部71を視認できなくても、受光位置を認識することができる。ユーザは、受光位置が中央位置から右側にずれていることを認識すると、受光位置が中央位置になるようにレーザー光を調整する。具体的には、ユーザは、端末表示部57にメイン画面を表示させ、回転/追尾アイコン70bを選択する。回転/追尾アイコン70bが選択されると、端末表示部57に回転/追尾画面が表示される。
【0084】
図6に示すように、回転/追尾画面は、自動追尾モード選択部74aと、リモコンモード選択部74bと、右回転選択部75aと、左回転選択部75bと、加速選択部76aと、減速選択部76bと、受光位置表示部73と、を含む。
【0085】
ユーザは、リモコンモード選択部74bを選択する。そして、ユーザは、受光位置に応じて、右回転選択部75a及び左回転選択部75bのいずれかを選択して回転本体12を回転させ、レーザー光の位置を調整する。回転本体12の回転速度は、加速選択部76a及び減速選択部76bを用いて調整する。なお、ユーザは、携帯端末装置51を用いてレーザー墨出し器10を遠隔操作する代わりに、レーザー墨出し器10を直接操作してレーザー光の位置を調整してもよい。
【0086】
また、S40において、受光位置が右位置ではないと判定した場合は、S80の処理へ進む。
S80では、受光制御部61が、受光位置が中央位置であるか否か判定する。S80において、受光位置が中央位置であると判定した場合は、S90の処理へ進む。
【0087】
S90では、受光制御部61が、送信機67を介して、第1の機器通信機21aへ、中央位置を示す第1の位置信号を送信する。
続いて、S100では、機器制御部31が、第2の機器通信機21bを介して、端末通信機59へ、中央位置を示す第2の位置信号を送信する。
【0088】
続いて、S110では、端末制御部53が、中央位置を報知する。具体的には、受光確認画面において第2位置表示部73bの緑色の枠内を緑色に塗りつぶす。また、振動部56から、中央位置を示す第2パターンの振動を出力する。さらに、スピーカー58から、中央位置を示す第2パターンのブザー音を出力する。これにより、ユーザは、受光位置が中央位置になり、レーザー光の調整が終了したことを認識できる。
【0089】
また、S80において、受光位置が中央位置ではないと判定した場合は、S120の処理へ進む。
S120では、受光制御部61が、受光位置が左位置であるか否か判定する。S120において、受光位置が左位置であると判定した場合は、S130の処理へ進む。一方、S120において、受光位置が左位置ではないと判定した場合は、本処理を終了する。
【0090】
S130では、受光制御部61が、送信機67を介して、第1の機器通信機21aへ、左位置を示す第1の位置信号を送信する。
続いて、S140では、機器制御部31が、第2の機器通信機21bを介して、端末通信機59へ、左位置を示す第2の位置信号を送信する。
【0091】
続いて、S150では、端末制御部53が、左位置を報知する。具体的には、受光確認画面において第3位置表示部73cの赤色の枠内を赤色に塗りつぶす。また、振動部56から、左位置を示す第3パターンの振動を出力する。さらに、スピーカー58から、左位置を示す第3パターンのブザー音を出力する。これにより、ユーザは、受光位置が左位置であり、レーザー光の調整が必要であることを認識する。この場合、上述したように、ユーザは、端末表示部57に回転/追尾画面を表示して、回転本体12を遠隔操作する。
【0092】
S30において、音がOFF状態であると判定した場合は、S310の処理へ進む。
S310~S330では、受光制御部61及び機器制御部31が、S40~S60と同様の処理を実行する。
【0093】
続いて、S340では、端末制御部53が、右位置を報知する。具体的には、表示と振動出力により右位置を報知する。すなわち、受光確認画面において第1位置表示部73aの橙色の枠内を橙色に塗りつぶす。また、振動部56から、右位置を示す第1パターンの振動を出力する。ブザー音は出力しない。
【0094】
S310において、受光位置が右位置ではないと判定した場合は、S350の処理へ進む。S350~S370では、受光制御部61及び機器制御部31が、S80~S100と同様の処理を実行する。
【0095】
続いて、S380では、端末制御部53が、中央位置を報知する。具体的には、受光確認画面において第2位置表示部73bの緑色の枠内を緑色に塗りつぶす。また、振動部56から、中央位置を示す第2パターンの振動を出力する。ブザー音は出力しない。
【0096】
S350において、受光位置が中央位置ではないと判定した場合は、S390の処理へ進む。S390~S410では、受光制御部61及び機器制御部31が、S120~S140と同様の処理を実行する。
【0097】
続いて、S420では、端末制御部53が、左位置を報知する。具体的には、光確認画面において第3位置表示部73cの赤色の枠内を赤色に塗りつぶす。また、振動部56から、左位置を示す第3パターンの振動を出力する。ブザー音は出力しない。
【0098】
S20において、バイブがOFF状態であると判定した場合は、S500の処理へ進む。
S500において、端末制御部53は、音がON状態であるか否か判定する。S500において、音がOFF状態であると判定した場合は、S600の処理へ進む。
【0099】
S600~S620では、受光制御部61及び機器制御部31が、S40~S60と同様の処理を実行する。
続いて、S630では、端末制御部53が、右位置を報知する。具体的には、バイブ及び音がOFFに設定されているため、表示のみで受光位置を報知する。すなわち、光確認画面において第1位置表示部73aの橙色の枠内を橙色に塗りつぶす。振動及びブザー音は出力しない。
【0100】
S600において、受光位置が右位置ではないと判定した場合は、S640の処理へ進む。S640~S660では、受光制御部61及び機器制御部31が、S80~S100と同様の処理を実行する。
【0101】
続いて、S670では、端末制御部53が、中央位置を報知する。具体的には、受光確認画面において第2位置表示部73bの緑色の枠内を緑色に塗りつぶす。振動及びブザー音は出力しない。
【0102】
S640において、受光位置が中央位置ではないと判定した場合は、S680の処理へ進む。S680~S700では、受光制御部61及び機器制御部31が、S120~S140と同様の処理を実行する。
【0103】
続いて、S710では、端末制御部53が、左位置を報知する。具体的には、光確認画面において第3位置表示部73cの赤色の枠内を赤色に塗りつぶす。振動及びブザー音は出力しない。
【0104】
S500において、音がON状態であると判定した場合は、S800の処理へ進む。
S800~S820では、受光制御部61及び機器制御部31が、S40~S60と同様の処理を実行する。
【0105】
続いて、S830では、端末制御部53が、右位置を報知する。具体的には、バイブがOFFに設定されているため、表示と音出力により右位置を報知する。すなわち、受光確認画面において第1位置表示部73aの橙色の枠内を橙色に塗りつぶす。また、スピーカー58から、右位置を示す第1パターンのブザー音を出力する。振動は出力しない。
【0106】
S800において、受光位置が右位置ではないと判定した場合は、S840の処理へ進む。S840~S860では、受光制御部61及び機器制御部31が、S80~S100と同様の処理を実行する。
【0107】
続いて、S870では、端末制御部53、中央位置を報知する。具体的には、受光確認画面において第2位置表示部73bの緑色の枠内を緑色に塗りつぶす。また、スピーカー58から、中央位置を示す第2パターンのブザー音を出力する。振動は出力しない。
【0108】
S840において、受光位置が中央位置ではないと判定した場合は、S880の処理へ進む。S880~S900では、受光制御部61及び機器制御部31が、S120~S140と同様の処理を実行する。
【0109】
続いて、S910では、端末制御部53が、左位置を報知する。具体的には、光確認画面において第3位置表示部73cの赤色の枠内を赤色に塗りつぶす。また、スピーカー58から、左位置を示す第3パターンのブザー音を出力する。振動は出力しない。
【0110】
<4.効果>
以上説明した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)レーザー墨出し器システム1では、レーザー光の受信位置を示す第1の位置信号が、受光装置60から送信される。したがって、受光装置60から離れた位置で、第1の位置信号を受信することができる。ひいては、ユーザは、受光装置60から離れた位置で受光位置を認識して、レーザー光の位置を容易に調整することができる。
【0111】
(2)携帯端末装置51が受光位置を報知するため、ユーザは手元の携帯端末装置51を用いてレーザー光の受光位置を認識し、レーザ―光の位置を容易に調整することができる。
【0112】
(3)受光装置60の送信機67からレーザー墨出し器10の第1の機器通信機21aへ第1の位置信号が送信される。レーザー墨出し器10の第2の機器通信機21bから携帯端末装置51の端末通信機59へ、第1の位置信号に対応した第2の位置信号が送信される。したがって、携帯端末装置51は、レーザー墨出し器10を介して、受光位置を受信することができる。
【0113】
(4)携帯端末装置51の端末表示部57が受光位置を表示するため、ユーザは端末表示部57を見ることで、受光位置を認識することができる。また、スピーカー58が受光位置に応じた音を出力し、振動部56が受光位置に応じた振動を出力するため、ユーザは端末表示部57を見なくても、受光位置を認識することができる。
【0114】
(5)スピーカー58及び/又は振動部56の出力が制限されている場合には、受光位置を示す音及び/又は振動を出力することよりも、出力制限が優先される。したがって、ユーザが受光位置を認識するために携帯端末装置51を用いる場合に、ユーザが望まない音及び又は振動が出力されることを抑制できる。
【0115】
(他の実施形態)
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0116】
(a)上記実施形態では、受光装置60からレーザー墨出し器10へ第1の位置信号が送信され、レーザー墨出し器10から携帯端末装置51へ第2の位置信号が送信されたが、受光装置60から携帯端末装置51へ直接、第1の位置信号を送信してもよい。この場合、受光装置60の送信機67は、第1の通信方式で第1の機器通信機21aと無線通信を行い、第2の通信方式で端末通信機59と無線通信を行ってもよい。また、送信機67は、第1の通信方式で無線通信を行う第1の送信機と、第2の通信方式で無線通信を行う第2の通信機を含んでいてもよい。
【0117】
(b)上記実施形態に係るレーザー墨出し器システム1は、レーザー墨出し器10と、受光装置60と、携帯端末装置51とを備えているが、レーザー墨出し器10と受光装置60のみを備え、携帯端末装置51を備えていなくてもよい。この場合、レーザー墨出し器10が報知部を備えていればよい。例えば、図8に示すように、ユーザインターフェース部30に機器受光位置表示部90が設けられていてもよい。機器受光位置表示部90は、第1機器LED90aと、第2機器LED90bと、第3機器LED90cと、を備える。第1機器LED90a、第2機器LED90b、第3機器LED90cは、右側からこの順で配置されている。第1機器LED90a、第2機器LED90b、第3機器LED90cは、それぞれ、受光装置60の第1LED71a、第2LED71b、第3LED71cに対応する。機器受光位置表示部90は、受光装置60から受信した第1の位置信号に応じて、対応する受光位置のLEDが点灯する。
【0118】
(c)上記実施形態では、携帯端末装置51は、報知部として、端末表示部57、振動部56、及びスピーカー58を備えるが、これらのうちのいずれか2つ又は1つを備えるだけでもよい。
【0119】
(d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…レーザー墨出し器システム、5…第1射出部、6…第2射出部、7…第3射出部、8…第4射出部、10…レーザー墨出し器、11…支持本体、12…回転本体、14…脚部、21…機器通信部、21a…第1の機器通信機、21b…第2の機器通信機、30…ユーザインターフェース部、31…機器制御部、32…機器操作部、33…レーザー駆動回路、34…レーザー発光部、35…モータ駆動回路、36…モータ、37…機器表示部、41…バッテリ、51…携帯端末装置、53…端末制御部、54…端末操作部、56…振動部、57…端末表示部、58…スピーカー、59…端末通信機、60…受光装置、61…受光制御部、64…受光操作部、65…レーザー受光部、65a…右受光素子、65b…左受光素子、67…送信機、70a…ライン/輝度アイコン、70b…回転/追尾アイコン、70c…タイマーロックアイコン、70d…受光確認アイコン、70e…情報アイコン、70f…説明書アイコン、71,73…受光位置表示部、72…報知選択部、72a…オフ選択部、72b…オン選択部、73a…第1位置表示部、73b…第2位置表示部、73c…第3位置表示部、80…レーザー受光窓、90…機器受光位置表示部、90a…第1機器LED、90b…第2機器LED、90c…第3機器LED。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8