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特許7523972バルーンカテーテルを誘導及び支持するための感知及びマッピングカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】バルーンカテーテルを誘導及び支持するための感知及びマッピングカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20240722BHJP
【FI】
A61B5/287 300
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114726
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2021010731
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】16/503,338
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビー・エスター・ハイスミス
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・イブリン・ラブジョイ
(72)【発明者】
【氏名】アリエル・ガルシア
(72)【発明者】
【氏名】ハミド・マサウド
【審査官】下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-013726(JP,A)
【文献】特開2004-275767(JP,A)
【文献】特開2009-142640(JP,A)
【文献】特開2018-114270(JP,A)
【文献】特開2012-139502(JP,A)
【文献】特開2018-108370(JP,A)
【文献】特表2004-511271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンと管腔を有するバルーンカテーテルと共に使用する電気生理学的カテーテルであって、
前記電気生理学的カテーテルの長手方向軸を画定する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、第1の可撓性を有する近位部分と、前記第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を含む遠位部分と、を含み、前記細長いシャフトは、前記バルーンカテーテルの前記管腔を通過し、肺静脈内で前記バルーンカテーテルの前記バルーンを支持するように構成されている、細長いシャフトと、
曲がり管部分と、前記長手方向軸に垂直な面と概ね平行に位置付けられた概ね円形の部分と、を含む遠位アセンブリであって、前記概ね円形の部分は、前記第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を含む、遠位アセンブリと、
前記概ね円形の部分内に位置する単軸センサと、
前記概ね円形の部分上に位置するリング電極と、を備えており、
前記電気生理学的カテーテルが、形状記憶を有する細長い支持部材を更に備え、前記細長い支持部材は、前記細長いシャフトの前記遠位部分及び前記遠位アセンブリと同一の広がりを持っており、
前記遠位アセンブリの前記曲がり管部分と同一の広がりを持つ前記細長い支持部材が、より小さい直径を有する遠位端と、より大きい直径を有する近位端と、を有する移行部分を含み、
前記移行部分が、前記より大きい直径を有する前記近位端から、前記より小さい直径を有する前記遠位端へと先細になっている、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記細長いシャフトが、管腔を有するハイポチューブを含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項3】
前記ハイポチューブが、前記細長いシャフトの前記近位部分と同一の広がりを持っている、請求項2に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項4】
前記細長い支持部材の遠位端は、前記ハイポチューブの前記管腔内に受容されている、請求項3に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項5】
前記細長い支持部材が、少なくとも前記遠位アセンブリを通って延在する、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項6】
前記細長い支持部材が、前記細長いシャフトを通って延在する近位部分を含む、請求項5に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項7】
前記細長い支持部材の近位にあり、前記細長いシャフトを通って延在する第2の支持部材を更に含み、前記第2の支持部材は、前記細長い支持部材の近位端に連結された遠位端を含む、請求項5に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項8】
前記細長いシャフトの前記近位部分が第1の直径D1を含み、前記細長いシャフトの前記遠位部分が第2の直径D2を含み、前記遠位アセンブリの前記概ね円形の部分が第3の直径D3を含み、D1>D2>D3である、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項9】
前記遠位アセンブリの前記曲がり管部分が、近位端は前記直径D2で構成され、遠位端は前記直径D3で構成されている移行部分を含む、請求項8に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項10】
D1は0.762mm~1.016mm(0.030インチ~0.040インチ)の範囲であり、D2は0.457mm~0.279mm(0.018~0.011インチ)の範囲であり、D3は0.279mm(0.011インチ)である、請求項8に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項11】
バルーンと管腔を有するバルーンカテーテルと共に使用する電気生理学的カテーテルであって、
前記電気生理学的カテーテルの長手方向軸を画定する細長いシャフトであって、前記細長いシャフトは、第1の可撓性を有する近位部分と、前記第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を含む遠位部分と、を含み、前記細長いシャフトは、前記バルーンカテーテルの前記管腔を通過し、肺静脈内で前記バルーンカテーテルの前記バルーンを支持するように構成されている、細長いシャフトと、
曲がり管部分と、前記長手方向軸に垂直な面と概ね平行に位置付けられた概ね円形の部分と、を含む遠位アセンブリであって、前記概ね円形の部分は、前記第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を含む、遠位アセンブリと、
前記概ね円形の部分内に位置する複数の単軸センサと、
前記概ね円形の部分上に位置する複数のリング電極と、を備えており、
前記電気生理学的カテーテルが、形状記憶を有する細長い支持部材を更に備え、前記細長い支持部材は、前記細長いシャフトの前記遠位部分及び前記遠位アセンブリと同一の広がりを持っており、
前記遠位アセンブリの前記曲がり管部分と同一の広がりを持つ前記細長い支持部材が、より小さい直径を有する遠位端と、より大きい直径を有する近位端と、を有する移行部分を含み、
前記移行部分が、前記より大きい直径を有する前記近位端から、前記より小さい直径を有する前記遠位端へと先細になっている、電気生理学的カテーテル。
【請求項12】
前記細長いシャフトの前記近位部分と同一の広がりを持つ第2の支持部材を更に備える、請求項11に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項13】
前記細長いシャフトの前記近位部分と同一の広がりを持つハイポチューブを更に備える、請求項11に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項14】
前記細長いシャフトの前記近位部分が第1の長さを有し、前記細長いシャフトの前記遠位部分が前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する、請求項11に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項15】
前記概ね円形の部分が、管状領域内の組織と円周方向に接触するように構成されている、請求項11に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項16】
前記細長い支持部材が、肺静脈の口と接触するための前記バルーンカテーテル前記バルーンを支持するように構成された、前記概ね円形の部分の近位の線形部分を含む、請求項11に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項17】
前記細長い支持部材が、前記概ね円形の部分の近位の概ね線形の部分を含み、前記概ね円形の部分が、肺静脈内の組織と円周方向に接触している間、前記概ね線形の部分は、前記肺静脈の口と接触するための前記バルーンカテーテル前記バルーンを支持するように構成されている、請求項11に記載の電気生理学的カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、特に、位置センサ及び電気センサを有する電気生理学的カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主な原因である。この病状は、異常な心房組織基質内で伝播するリエントラント型ウェーブレットによって恒久される。ウェーブレットを遮断するために、様々な方法が開発されており、外科的又はカテーテル媒介心房切開が含まれる。病状を治療する前に、まず、ウェーブレットの位置を判定しなければならない。そのような判定を行うために、様々な技術が提案されており、構造の内周周囲の肺静脈、環状静脈洞、又は他の管状構造内の活性を測定するように適合されたマッピングアセンブリを備えるカテーテルの使用が含まれる。そのようなマッピングアセンブリの1つは、カテーテル本体に対して概ね横断及び遠位の概ね円形の主要領域を含む遠位「ラッソー」構造を有し、管状構造は、マッピングアセンブリの少なくとも主要領域上に非導電性のカバーを含む。形状記憶を含む支持部材は、マッピングアセンブリの少なくとも円形の主要領域内に配設される。複数の電極対(それぞれ2つの環電極を含む)は、マッピングアセンブリの略円形の主要領域によって担持される。
【0003】
より最近では、バルーンカテーテルは、肺静脈口をアブレーションするために実際に使用されてきた。その外側表面上に電極を有するバルーンを左心房内に前進させ、そこでバルーンを膨張させ、口周りの円周組織に同時接触するために口内に入れ子になるように位置付けられる。しかしながら、バルーン及び口のサイズによって、アブレーション処置中にバルーンが口から外れる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人らは、ガイドワイヤとして機能し、口内で入れ子になるバルーンを支持し得ると同時に、口の管状領域の組織から電気信号を感知することもできる、遠位「ラッソー」アセンブリを有するカテーテルを提供し、かつ3Dマッピングのための位置信号を提供する必要性があることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態では、電気生理学カテーテルは、カテーテルの長手方向軸を画定する細長いシャフトであって、シャフトは、第1の可撓性を有する近位部分と、第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を含む遠位部分と、を含む、シャフトと、曲がり管部分、及び長手方向軸を概ね横断する概ね円形の部分を含む遠位アセンブリであって、概ね円形の部分は、第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を含む、遠位アセンブリと、概ね円形の部分に位置する単軸センサと、概ね円形の部分上に位置するリング電極と、を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、細長いシャフトは、管腔を有するハイポチューブを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、ハイポチューブは、シャフトの近位部分と同一の広がりを持つ。
【0008】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、少なくとも遠位アセンブリを通って延在する、形状記憶を有する予備形成された支持部材を含み、予備形成された支持部材の遠位端は、ハイポチューブの管腔内に受容される。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、少なくとも遠位アセンブリを通って延在する、形状記憶を有する予備形成された支持部材を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、予備形成された支持部材は、シャフトを通って延在する近位部分を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、予備形成された支持部材の近位にあり、シャフトを通って延在する第2の支持部材を含み、第2の支持部材は、予備形成された支持部材の近位端に連結された遠位端を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、シャフトの近位部分は第1の直径D1を含み、シャフトの遠位部分は第2の直径D2を含み、遠位アセンブリの概ね円形の部分は、第3の直径D3を含み、D1>D2>D3である。
【0013】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリの曲がり管部分は、近位端が直径D2で構成され、遠位端が直径D3で構成されている移行部分を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、D1は、約0.030インチ~約0.040インチの範囲であり、D2は約0.018~0.011インチの範囲であり、D3は約0.011インチである。
【0015】
いくつかの実施形態では、電気生理学カテーテルは、カテーテルの長手方向軸を画定する細長いシャフトであって、シャフトは、第1の可撓性を有する近位部分と、第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を含む遠位部分と、を含む、シャフトと、曲がり管部分、及び長手方向軸を概ね横断する概ね円形の部分を含む遠位アセンブリであって、概ね円形の部分は、第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を含む、遠位アセンブリと、概ね円形の部分内に位置する複数の単軸センサと、概ね円形の部分上に位置する複数のリング電極と、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、形状記憶を有する細長い支持部材を含み、細長い支持部材は、シャフトの遠位部分及び遠位アセンブリと同一の広がりを持つ。
【0017】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、シャフトの近位部分と同一の広がりを持つ第2の支持部材を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、シャフトの近位部分と同一の広がりを持つハイポチューブを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリの曲がり管部分と同一の広がりを持つ細長い支持部材は、より小さい直径の遠位端と、より大きい直径の近位端と、を有する移行部分を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、移行部分は、より大きい直径の近位端から、より小さい直径の遠位端へと先細になる。
【0021】
いくつかの実施形態では、シャフトの近位部分は第1の長さを有し、シャフトの遠位部分は第1の長さよりも短い第2の長さを有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、概ね円形の部分は、管状領域内の組織と円周方向に接触するように構成される。
【0023】
いくつかの実施形態では、支持部材は、肺静脈の口と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成された概ね円形の部分の近位の線形部分を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、支持部材は、概ね円形の部分の近位の概ね線形の部分を含み、概ね円形の部分が、肺静脈内の組織と円周方向に接触している間、概ね線形の部分は、肺静脈の口と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び機構が、残りの構造及び機構を見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
図1】一実施形態による、バルーンカテーテルを支持する本開示のカテーテルの斜視図である。
図2】一実施形態による、遠位「ラッソー」アセンブリの組み立てられた予備形成された支持部材の端部斜視図である。
図3】肺静脈の口内に入れ子になったバルーンを支持しながら肺静脈内に位置する、遠位「ラッソー」アセンブリの側面斜視図である。
図4】一実施形態による、曲がり管区分を含む、遠位アセンブリの側面断面図である。
図5A】線A-Aに沿って取った図4の遠位アセンブリの端部断面図である。
図5B】線B-Bに沿って取った図4の遠位アセンブリの端部断面図である。
図6】一実施形態による、概ね円形の区分を含む、遠位アセンブリの側面断面図である。
図7】一実施形態による、第2の支持部材を含む、シャフトの側面断面図である。
図8】別の実施形態による、ハイポチューブを含むシャフト、及び遠位アセンブリの側面断面図である。
図9】別の実施形態による、ハイポチューブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同じような番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定するものではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者が本発明を作製し使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用が説明される。
【0027】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用するとき、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0028】
図1及び図2を参照すると、本明細書に開示される実施形態は、細長い支持シャフト12と、3D遠位又は「ラッソー」アセンブリ15と、を含む、バルーンカテーテル100と共に使用するように構成されたカテーテル10を含む。遠位アセンブリ15は、遠位アセンブリ15の位置を表す信号を生成するための外部磁場発生器(図示せず)に応答するように構成された1つ以上の単軸センサ(「SAS」)13、並びに組織からの電気信号を感知するように構成された1つ以上のリング電極11を担持する。遠位アセンブリ15は、例えば、遠位アセンブリ15の3D又はループ構成を提供する、ニチノールワイヤなどの形状記憶を有する予備形成された支持部材16を含む。その点に関し、遠位アセンブリ15の説明において、形状記憶の細長い支持部材16は、遠位アセンブリ15の湾曲区分15Cに対応する湾曲部分16Cと、遠位アセンブリ15の曲がり管区分15Eに対応する湾曲部分16Cの近位の曲がり管部分16Eと、を含む、遠位アセンブリ15の対応する区分に形状を付与する部分を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、支持部材16の湾曲(例えば、円形、螺旋、又はループ、本明細書で互換的に使用される全ての用語)部分16Cは、カテーテルの長手方向軸Lを画定するシャフト12を概ね横断し、湾曲部分16Cは、遠位重複テール部分16Tを伴う約450度でないとしても、少なくとも360度にわたる湾曲した弧又は長さを有する。更に、湾曲部分16Cは、シャフト12によって画定される長手方向軸Lが、湾曲部分16Cと交差し、湾曲部分16Cによって概ね画定される円の中心からオフセットされるように、シャフト12に対して構成されている。
【0029】
カテーテルの細長い支持シャフト12は、より可撓性小さい近位区分12Pと、より可撓性の大きい遠位区分12Dと、を有する。シャフト12は、図3に示されるように、バルーンカテーテル14の管腔を通過し、肺静脈130の口110内でバルーン140を適切に支持するように構成され、肺静脈の管状組織と円周方向に接触するように肺静脈内に延在する遠位ラッソーアセンブリ15を有する。有利には、シャフトの近位区分12Pは、例えば、シャフト12の近位端のコネクタハンドル27(図1)と、近位区分12Pに装着されたトルカ17(図1)と、を操作するユーザによって付与される軸押し込み性及びトルクを伝達するのに十分な剛性を有するように構成され、一方、シャフトの遠位区分12Dは、遠位ラッソーアセンブリ15と指示されるバルーン140が位置する口110との間の間接的なアプローチ角度に適応するのに十分な可撓性を有するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、図1及び図2に示すように、遠位アセンブリ15の形状記憶支持部材16は、組み合わされた遠位アセンブリ15及びシャフト12の全体を通って延在するのに十分な長さを有する細長い形態を有する。したがって、細長い支持部材16は、以下、
(i)シャフト12の近位区分12Pの長さにわたる、第1の直径D1を有する、より長い概ね線形の近位部分16Pと、
(ii)シャフト12の遠位区分12Dの長さにわたる、第2の直径D2を有する、より短い概ね線形の遠位部分16Dと、
(iii)遠位アセンブリ15の湾曲した遠位区分15Cにわたる、第3の直径D3を有する、遠位湾曲部分16Cと、
(iv)支持部材16の概ね線形の遠位部分16Dと遠位湾曲区分16Cとの間に延在する、曲がり管区間15Eにわたる、D2~D3の範囲の緩やかな移行直径DTを有する、比較的短い曲がり管部分16Eと、を含み、
近位部分16Pが最も小さい可撓性を有し、遠位部分16Dがより大きい可撓性を有し、遠位湾曲部分16Cが最も大きい可撓性を有するように、直径D1>直径D2>直径D3となっている。いくつかの実施形態では、直径D1は約0.030インチであり、直径D2は約0.014インチ~0.018インチの範囲であり、直径D3は約0.011インチである。近位部分16Pと遠位部分16Dとの間では、ワイヤ16の直径は、必要に応じて又は適宜、直径D1とD2との間の段差移行又は緩やかな移行を有してもよい。遠位部分16Dと湾曲部分16Cとの間では、曲がり管部分16Eは、直径D2とD3との間の緩やかな移行を伴って構成される。いくつかの実施形態では、直径D2とD3との間の緩やかな移行は、曲がり管部分16Eにおいて約2mmのスパンで生じる。支持部材16の近位部分16Pの長さは重要ではない。しかしながら、いくつかの実施形態では、遠位部分16Dの長さは、バルーンを支持しているときにバルーンを収容できるように、少なくともバルーン140の長手方向長さである。いくつかの実施形態では、シャフト12の長さは約2メートルであり、遠位部分12D(近位部分12Pに対してより大きい可撓性を有する)は、約6cm~8cmの範囲の長さを有する。
【0031】
図2及び図4を参照すると、形状記憶支持部材16の遠位湾曲部分16Cは、1つ以上のSASを担持する。それぞれのSAS13は、対応のワイヤコイルセンサ50及びケーブル20を有し、ワイヤコイルセンサ50は、遠位湾曲部分16C上の選択された位置に巻き付けられ、ケーブル20は、専用の対のワイヤ21、21’を含み、ワイヤ対21、21’は、それらと概ね同一の広がりを持つ絶縁シース22内に遮蔽繊維23と共に入れられることが理解される。本明細書で提供される説明の簡略化のために、遠位アセンブリ15上に担持される全てのSAS13のワイヤ21、21’は、全てのSAS13のための単一ケーブル20の形成において、共有される遮蔽繊維23を有する1つの共通の絶縁シース22を通過するものとして本明細書に例示されている。
【0032】
図2の例示の実施形態では、遠位アセンブリ15は、3つのSAS、すなわち、本明細書でそれぞれ近位コイル、中間コイル、及び遠位コイルと称される3つのワイヤコイル50A、50B、及び50Cを含む、近位SAS13A、中間SAS13B、及び遠位SAS13Cを担持し、それぞれ湾曲部分16Cを中心に、約0度、120度、及び240度などの等角度位置に配置される。それぞれのSASのワイヤコイル50は、専用のワイヤ対21及び21’に接続され、ワイヤ21は、ワイヤコイル50の遠位端に接続され、ワイヤ21’は、ワイヤコイル50の近位端に接続される。このように、例示の実施形態では、遠位コイル50C(図6に最も良く示されている)は、ワイヤ対21C及び21C’に接続され、中間コイル50Bは、ワイヤ対21B及び21B’に接続され、近位コイル50Aは、ワイヤ対21A及び21A’に接続される。予備形成された支持部材16の湾曲部分16C上のSAS13A、13B、及び13Cを組み立てるために、いくつかの実施形態では、予備形成された支持部材をSASと共に作製する又は組み立てる方法は、(i)予備形成された支持部材16上のワイヤコイル50Cを240度の位置に巻き付けて、SAS13Cを形成することと、(ii)ワイヤ対21C及び21C’をワイヤコイル50Cの遠位端及び近位端にそれぞれ接続することと、(iii)ワイヤ対21C及び21C’を湾曲部分16Cに近位方向へ巻き付けることと、を含む。カテーテルの使用中のワイヤ破断に備えた歪み緩和を提供するために、異なる巻き付けパターンが用いられてもよい。
【0033】
組み立て方法はまた、(iv)ワイヤ対21C及び21C’を120度の位置に巻き付けることと、(v)巻き付けられたワイヤ対21C及び21C’の上にワイヤコイル50Bを巻き付けて、SAS13Bを形成することと、(vi)ワイヤ対21B及び21B’をワイヤコイル50Bの遠位端及び近位端にそれぞれ接続することと、(vi)ワイヤ対21C及び21C’並びに21B及び21B’を湾曲部分16Dに近位方向へ巻き付けることと、を含む。
【0034】
組み立て方法は、(vii)ワイヤ対21C及び21C’並びに21B及び21B’を0度の位置に巻き付けることと、(viii)巻き付けられたワイヤ対21C及び21C’及び21B及び21B’の上にワイヤコイル50Aを巻き付けて、SAS13Aを形成することと、(ix)ワイヤ対21A及び21A’をワイヤコイル50Aの遠位端及び近位端にそれぞれ接続することと、(x)ワイヤ対21C及び21C’、21B及び21B’、並びに21A及び21A’を湾曲部分16Cに近位方向へ巻き付けることと、を更に含む。1つ以上の熱収縮スリーブは、形成されたSAS、及び隣接するSASの間に巻き付けられたワイヤ対を覆っていてもよいことが理解される。
【0035】
上記の動作の順序、又は巻き付けの方向(例えば、遠位から近位又は近位から遠位)は、所望に応じて又は適宜変化させてもよく、熱収縮スリーブは、所望に応じて又は適宜それぞれのSAS、ワイヤコイル、又はワイヤコイルの下に巻き付けられたワイヤ対(複数可)の上に配置され得ることも理解される。いずれの場合も、遠位SAS13Cは、その遠位端がワイヤ21Cに接続され、その近位端がワイヤ21C’に接続されているワイヤコイル50Cを含み、中間SAS13Bは、その遠位端がワイヤ21Bに接続され、その近位端がワイヤ21B’に接続されているワイヤコイル50Bであって、ワイヤコイル50Bはワイヤ21C及び21C’の上に巻かれている、ワイヤ50Bを含み、近位SAS13Aは、その遠位端がワイヤ21Aに接続され、その近位端がワイヤ21A’に接続されているワイヤコイル50Aであって、ワイヤコイル50Aは、ワイヤ21C及び21C’並びに21B及び21B’の上に巻かれている、ワイヤコイル50Aを含む。
【0036】
曲がり管部分16Eでは、ワイヤ対21(例えば、21A、21A’、21B、21B’、21C及び21’)を収容するケーブル20は、図4図5A及び図5Bにより良く示されているように、その領域内の遠位アセンブリ15の外径を最小化するにあたり、有利には、曲がり管部分16Eの内側表面52(曲率に向かって内側に面する)上に位置する。その点で、ケーブル20の絶縁シース22の遠位端及びその中の遮蔽繊維23は、様々なワイヤ対21を露出させるために、曲がり管部分16Eの近位で切断されるか、ないしは別の方法で終端される。更に、ワイヤ21の全ては、広がるか又は扇状になり、内側表面52に接して配置され、接着剤37によって固着されて(図5B)、遠位アセンブリ15の円周サイズ及び外形がその曲がり管部分15Eにおいて最小化される。遮蔽繊維23の遠位端部分は、予備形成された支持部材16の周囲の外形をより緊密にするため、ワイヤ21及び予備形成された支持部材16(図4)を取り囲むように巻き付けられてもよい。熱収縮スリーブ38は、曲がり管部分16Eの近位のケーブル20及び遮蔽繊維23、並びに曲がり管部分16E内の露出したワイヤ21及び安全繊維25の上に延在してもよい。熱収縮スリーブの近位端及び末端は、必要に応じて又は適宜、支持部材16に沿った任意の位置にあってもよい。
【0037】
したがって、SASを用いて予備形成された支持部材16を組み立てる方法は、(i)曲がり管部分16Eに固着させるようにケーブル20を調製することと、(ii)調製されたケーブルを曲がり管部分に固着させることと、を含み、ケーブルを調製することは、(a)曲がり管部分の概ね近位の外側絶縁シース22の遠位端を切断するか又は終端させることと、(b)ケーブル内のワイヤ21を露出させることと、(c)露出したワイヤ21を広げるか又は扇状にすることと、を含み、調製されたケーブルを固着させることは、(a)扇状の露出したワイヤを曲がり管部分の内側表面52上に配置することと、(b)曲がり管部分の内側表面上の扇状の露出したワイヤ21に接着剤を塗布することと、(c)固着させた露出したワイヤ及び絶縁シース22の少なくとも遠位部分を熱収縮スリーブで覆うことと、を含む。ケーブルを調製することはまた、遮蔽繊維23の遠位端を切断するか又は終端させることと、露出したワイヤ21及び予備形成された支持部材16に遠位端を巻き付けることと、を含んでもよい。調製されたケーブルを固着させることはまた、その近位端がシャフト12に固定され、その長さが熱収縮スリーブ38の下のワイヤ21と同一の広がりを有する複数の安全ストランド25(例えば、VECTRANストランド)を覆って、遠位アセンブリ15の脱落に備えた安全対策として遠位アセンブリ15をシャフト12に繋留することを含んでもよい。安全ストランド25の遠位端は、予備形成された支持部材16の遠位端に固定されてもよい。好適なSASの説明は、米国特許第8,792,962号に記載され、その全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
前述したように、遠位アセンブリ15は、1つ以上のSAS13を担持するだけでなく、1つ以上のリング電極11も担持する。図6に示すように、遠位アセンブリ15は、リング電極11及び導電性リードワイヤ41を有する外側編組管材40を含む。管材40は管腔39を有するが、導電性ワイヤ41は、当業者に理解されるように、管材40の押出製造プロセスの一環として側壁42に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、外側編組管材40は、近位部分16P、遠位部分16D、曲がり管部分16E、及び湾曲部分16Cを含む予備形成された支持構造16の全長を覆う。湾曲部分16Cを覆う編組管材40の部分のうち、その上に担持されたリング電極11は、選択された個々のワイヤ41を露出させるように所定の位置に凹部44を形成するため、外側側壁42の選択的除去、例えば、レーザー切断によって形成される。次いで、導電性エポキシ43、例えば、白金導電性エポキシ又は金導電性エポキシが、凹部44を充填するために、また、側壁42の外部周りの凹部における円周に沿って、所定の位置のそれぞれに対応のリング電極11を形成するために適用される。このように、リング電極11及び埋め込まれたリードワイヤ41を有する外側管材40を構築する方法は、(i)側壁42に埋め込まれたワイヤ41と共に管材40を押し出すことであって、管材は、部表面と、管腔を画定する内部表面と、を有する、ことと、(ii)側壁の一部分を外部表面から除去して、凹部内にワイヤ41を露出させることと、(iii)凹部及び凹部周りの対応する円周バンドを充填するように導電性エポキシを適用して、リング電極11を形成することと、を含む。ワイヤ41と共に管材40を押し出すことは、従来のワイヤ押出機で達成され得る。管材40の側壁42に埋め込まれた編組ワイヤ41は、リング電極の機能に悪影響を及ぼすことなく、それらの対応のリング電極の遠位に延在し得る。
【0039】
外側管材40がリング電極11及び埋め込まれたワイヤ41と共に構築された後、外側管材40は、組み立てられた遠位アセンブリ15の上で摺動し得る。いくつかの実施形態では、組み立て方法は、(i)リング電極11及び埋め込まれたワイヤ41と共に外側管材40を作製又は構築する上述の方法と、(ii)予備形成された支持部材16をSAS13と共に組み立てる上述の方法と、(iii)構築された外側管材40を、SAS13を有する予備形成された支持部材16上に装着することと、を含む。装着することは、組み立てられた予備形成された支持部材16を構築された外側管材40の管腔39内に挿入することによって達成されてもよい。このように、カテーテル10の構築は、リング電極を提供する外側管材40の構築と、下になるSAS担持支持部材16の構築に区分することよって簡略化される。外側管材40及び支持構造16の遠位端は、ポリウレタンなどの封止剤のボールと一緒に差し込まれ、封止されて、カテーテル10の非外力性球状遠位端を形成してもよい。
【0040】
当該技術分野において既知であるように、コネクタハンドル27付近又はその中で終端する外側管材40の近位端において、ワイヤ41の近位部分は、感知された電気信号を処理するために電気生理学的ワークステーションに伝送するにあたり、コネクタハンドル27内の好適な電気端子に接続するため、側壁42を選択的に除去することによって管材40から露出されてもよい。当該技術分野において既知であるように、ケーブル20(遠位アセンブリ15上に担持されたそれぞれのSASのワイヤ対21、21’を含む)は、位置信号を処理するために電気生理学的ワークステーションへ伝送するにあたり、カテーテルのシャフト12を通過してコネクタハンドル27に入る際に、支持部材16の遠位部分16D及び近位部分16Pと同一の広がりを持って、外側管材40の管腔39を通って延在する。
【0041】
代替実施形態では、より短い支持部材16は、近位部分16Pを有さず、遠位部分16D及び曲がり管部分16Eの近位の好適な位置で終端する近位端を有する。図7に示すように、より短い支持部材16は、例えば、曲がり管部分16Eの近位に約8.0cmの近位端16PEを有し、有腔カプラ31を介して、コネクタハンドル12に向かって近位方向に延在する第2の支持部材30、例えば、金属又はステンレス鋼ワイヤなどに接続され、この8.0cmは、遠位アセンブリ15が、バルーンの遠位表面が留まる口110の管状領域120内にあるときに、シャフト12の遠位線形部分12D上で支持されるバルーン140の長手方向長さに基づいて選択される(図3)。リング電極11及び埋め込まれたワイヤ41を有する外側管材40は、遠位アセンブリ15及びシャフト12の全体を覆うように、支持部材16及び第2の支持部材30の上に延在する。SASケーブル20は、遠位シャフト部分12D内の支持部材16及び近位シャフト部分12P内の第2の支持部材30と同一の広がりを持って管材40の管腔39内に延在し、カプラ31の外側にあってもよい。シャフト12及び遠位アセンブリ15において異なる可撓性を提供するために、第2の支持部材30は直径D1を有し、支持部材16の遠位部分16Dは直径D2を有し、支持部材16の湾曲部分16Cは直径D3を有し、第2の支持部材30が最も小さい可撓性を有し、遠位部分16Dがより大きい可撓性を有し、湾曲部分16Cが最も大きい可撓性を有するように、D1>D2>D3となる。前述のとおり、曲がり管部分16Eは、D2からD3への直径の緩やかな移行を提供するが、カプラ31における第2の支持部材30の直径D1と遠位部分16DのD2との間は段差移行が存在してもよい。
【0042】
他の代替実施形態では、図8に示すように、より短い支持部材16(近位部分16Pなし)は、コネクタハンドル27に向かって近位方向に延在する、有腔構造、例えば、管腔28を有するハイポチューブ16の遠位端に受容される近位端を有する。より短い支持部材16は、管腔36がSAS担持湾曲部分16C及び遠位部分16Dを受容し、近位端32Pがハイポチューブ18の遠位端18Dに当接している、例えばPELLETHANEからなる外側カバー32を通って延在する。当業者には理解されるように、導電性バンド33は、外側カバー32の上に装着されて、遠位アセンブリ15上にリング電極11を形成する。対応の導電性バンド33に接続されたリードワイヤ48は、外側カバー32の側壁35に形成された貫通孔34を介して管腔36に入る。管腔36の内側で、リードワイヤ48は、遠位アセンブリ15内のSASのためのケーブル20と共に近位方向に延在し、コネクタハンドル27に向かってハイポチューブ18の管腔28を通過する。いくつかの実施形態では、ハイポチューブ18は、約0.030インチ~0.040インチの範囲の外径を有する。図9に示すように、ハイポチューブ18の遠位部分は、可撓性を増加させるために1つ以上のらせん状カット45で構成されてもよい。
【0043】
使用中、カテーテル10は、バルーンカテーテル100の管腔120内に供給され、管腔120は、バルーンカテーテルのシャフト130及びバルーン140自体を通って延在する。遠位アセンブリ15を供給するために、湾曲部分15Cが最初に管腔120に入り、続いて曲がり管15E入る、というように直線化される。遠位アセンブリ15は、遠位アセンブリ15がバルーンカテーテルの遠位端を通過するまでバルーンカテーテルに対して前進させられ、その際、遠位アセンブリ15は、その下にある予備形成された形状記憶支持部材16に従って、患者の左心房の3D形状を自由に帯びることができる。次いで、カテーテル10は、遠位アセンブリ15を肺静脈内に挿入するように操作され、リング電極11は、肺静脈の管状領域の内周に沿って組織と接触する。次いで、シャフト12、特に遠位区分12Dをガイドワイヤとして使用して、バルーンの遠位表面が肺静脈の口と接触するまで、バルーンカテーテル100を口に向かって前進させる。カテーテル10のシャフト12は、バルーンカテーテル100のガイドワイヤとして機能するように、より可撓性の小さい近位区分12Pと、遠位アセンブリ15のアプローチ角度が口の中心にそろわない場合でも、バルーンを適切に支持するのに十分な剛性を有する撓みを可能にするように、より可撓性の高い遠位区分12Dと、を有する。遠位アセンブリ15内の1つ以上のSAS13は、典型的には患者のベッドの下に位置する外部磁場発生器に応答して位置信号を提供し、遠位アセンブリ15上に担持されたリング電極11は、PV隔離が口の組織又は口に隣接する組織のアブレーションによって達成されたかどうかを評価するための電気信号を含む、肺静脈の組織からの電気信号を感知する。
【0044】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構造に改変及び変更を実施し得る点は認識されるであろう。1つの実施形態に開示される任意の特徴又は構成は、必要に応じて又は適宜、他の任意の実施形態の他の特徴に代えて、又はそれに加えて組み込むことができる。本発明の特徴は、開示される電気生理学カテーテルを含めた医療デバイス内部で、挿入、除去、若しくは張力を必要とする、引張りワイヤ、収縮ワイヤ、又は任意の他の対象物の直線運動を増大させるために適用可能であることが理解されよう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺どおりではない。したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的カテーテルであって、
前記カテーテルの長手方向軸を画定する細長いシャフトであって、前記シャフトは、第1の可撓性を有する近位部分と、前記第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を含む遠位部分と、を含む、細長いシャフトと、
曲がり管部分と、前記長手方向軸を概ね横断する概ね円形の部分と、を含む遠位アセンブリであって、前記概ね円形の部分は、前記第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を含む、遠位アセンブリと、
前記概ね円形の部分内に位置する単軸センサと、
前記概ね円形の部分上に位置するリング電極と、を備える、電気生理学的カテーテル。
(2) 前記細長いシャフトが、管腔を有するハイポチューブを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記ハイポチューブが、前記シャフトの前記近位部分と同一の広がりを持っている、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 少なくとも前記遠位アセンブリを通って延在する、形状記憶を有する予備形成された支持部材を更に含み、前記予備形成された支持部材の遠位端は、前記ハイポチューブの前記管腔内に受容されている、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 少なくとも前記遠位アセンブリを通って延在する、形状記憶を有する予備形成された支持部材を更に含む、実施態様1に記載のカテーテル。
【0046】
(6) 前記予備形成された支持部材が、前記シャフトを通って延在する近位部分を含む、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記予備形成された支持部材の近位にあり、前記シャフトを通って延在する第2の支持部材を更に含み、前記第2の支持部材は、前記予備形成された支持部材の近位端に連結された遠位端を含む、実施態様5に記載のカテーテル。
(8) 前記シャフトの前記近位部分が第1の直径D1を含み、前記シャフトの前記遠位部分が第2の直径D2を含み、前記遠位アセンブリの前記概ね円形の部分が第3の直径D3を含み、D1>D2>D3である、実施態様1に記載のカテーテル。
(9) 前記遠位アセンブリの前記曲がり管部分が、近位端は前記直径D2で構成され、遠位端は前記直径D3で構成されている移行部分を含む、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) D1は約0.762mm~約1.016mm(約0.030インチ~約0.040インチ)の範囲であり、D2は約0.457mm~0.279mm(約0.018~0.011インチ)の範囲であり、D3は約0.279mm(約0.011インチ)である、実施態様8に記載のカテーテル。
【0047】
(11) 電気生理学的カテーテルであって、
前記カテーテルの長手方向軸を画定する細長いシャフトであって、前記シャフトは、第1の可撓性を有する近位部分と、前記第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を含む遠位部分と、を含む、細長いシャフトと、
曲がり管部分と、前記長手方向軸を概ね横断する概ね円形の部分と、を含む遠位アセンブリであって、前記概ね円形の部分は、前記第2の可撓性よりも大きい第3の可撓性を含む、遠位アセンブリと、
前記概ね円形の部分内に位置する複数の単軸センサと、
前記概ね円形の部分上に位置する複数のリング電極と、を備える、電気生理学的カテーテル。
(12) 形状記憶を有する細長い支持部材を更に備え、前記細長い支持部材は、前記シャフトの前記遠位部分及び前記遠位アセンブリと同一の広がりを持っている、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記シャフトの前記近位部分と同一の広がりを持つ第2の支持部材を更に備える、実施態様11に記載のカテーテル。
(14) 前記シャフトの前記近位部分と同一の広がりを持つハイポチューブを更に備える、実施態様11に記載のカテーテル。
(15) 前記遠位アセンブリの前記曲がり管部分と同一の広がりを持つ前記細長い支持部材が、より小さい直径を有する遠位端と、より大きい直径を有する近位端と、を有する移行部分を含む、実施態様12に記載のカテーテル。
【0048】
(16) 前記移行部分が、前記より大きい直径を有する前記近位端から、前記より小さい直径を有する前記遠位端へと先細になっている、実施態様15に記載のカテーテル。
(17) 前記シャフトの前記近位部分が第1の長さを有し、前記シャフトの前記遠位部分が前記第1の長さよりも短い第2の長さを有する、実施態様11に記載のカテーテル。
(18) 前記概ね円形の部分が、管状領域内の組織と円周方向に接触するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
(19) 前記支持部材が、肺静脈の口と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成された、前記概ね円形の部分の近位の線形部分を含む、実施態様11に記載のカテーテル。
(20) 前記支持部材が、前記概ね円形の部分の近位の概ね線形の部分を含み、前記概ね円形の部分が、肺静脈内の組織と円周方向に接触している間、前記概ね線形の部分は、前記肺静脈の口と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている、実施態様11に記載のカテーテル。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9