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特許7523974シリコン窒化膜エッチング溶液、及びこれを用いた半導体素子の製造方法
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  • 特許-シリコン窒化膜エッチング溶液、及びこれを用いた半導体素子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】シリコン窒化膜エッチング溶液、及びこれを用いた半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20240722BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240722BHJP
   H10B 69/00 20230101ALI20240722BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240722BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20240722BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240722BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20240722BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L21/308 E
H01L21/306 E
H10B69/00
H10B43/27
H10B41/27
H01L29/78 371
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020115806
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2021015967
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0082502
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513280854
【氏名又は名称】オーシーアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCI Company Ltd.
【住所又は居所原語表記】94,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul,100-718(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】ユ・ホソン
(72)【発明者】
【氏名】キム・ミョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ジュンウン
【審査官】原島 啓一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-058500(JP,A)
【文献】特開2019-056108(JP,A)
【文献】特開2005-264057(JP,A)
【文献】特開2012-006796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/306-21/3063
H01L 21/465-21/467
H01L 27/10-27/105
H10B 10/00-53/50
H10B 63/00-69/00
H10B 99/00
H01L 21/336
H01L 29/788-29/792
C01B 33/00-33/193
C07F 7/00-7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸水溶液;及び、
シリコン添加剤;を含み、
前記シリコン添加剤は、球状の第1のコロイダルシリカ及び第2のコロイダルシリカ粒子を含み、
同一体積を基準に、前記球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して、前記第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、100%超124%以下であり、
前記シリコン添加剤に含まれた前記第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、50%以上である、
シリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項2】
前記第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、同一体積を基準に、前記球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して110%以上124%以下である、
請求項1に記載のシリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項3】
前記シリコン窒化膜エッチング溶液の中に前記シリコン添加剤は、100~100,000ppmで含まれることを特徴とする、
請求項1に記載のシリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項4】
前記シリコン窒化膜エッチング溶液は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、及びフッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも一つのフッ素含有化合物をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載のシリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項5】
前記シリコン窒化膜エッチング溶液は、有機系カチオンとフッ素系アニオンとがイオン結合した形態を有するフッ素含有化合物をさらに含むことを特徴とする、
請求項1に記載のシリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項6】
前記有機系カチオンは、アルキルイミダゾリウム(Alkyl-imidazolium)、ジアルキルイミダゾリウム(DiAlkyl-imidazolium)、アルキルピリジニウム(Alkyl-Pyridinium)、アルキルピロリジニウム(Alkyl-pyrrolidinium)、アルキルホスホニウム(Alkyl-phosphonium)、アルキルモルホリニウム(Alkyl-morpholinium)、及びアルキルピペリジニウム(Alkyl-piperidinium)から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、
請求項5に記載のシリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項7】
前記フッ素系アニオンは、フルオロホスファート(Fluorophosphate)、フルオロアルキル-フルオロホスファート(Fluoroalkly-fluorophosphate)、フルオロボラート(Fluoroborate)、及びフルオロアルキル-フルオロボラート(Fluoroalkly-fluoroborate)から選択される少なくとも一つであることを特徴とする、
請求項5に記載のシリコン窒化膜エッチング溶液。
【請求項8】
請求項1によるシリコン窒化膜エッチング溶液を用いて行われるエッチング工程を含む半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン窒化膜エッチング溶液、及びこれを用いた半導体素子の製造方法に関し、より詳細には、パーティクルの発生を防ぎ、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対する選択比を増加させるシリコン窒化膜エッチング溶液、及びこれを用いて行われる半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜をエッチングする方法としては、様々があるが、乾式エッチング法と湿式エッチング法が主に使用される方法である。
【0003】
乾式エッチング法は、通常に気体を用いたエッチング法であって、湿式エッチング法より等方性に優れるという長所があるものの、湿式エッチング法より生産性に劣り過ぎ、高価の方式である点から、湿式エッチング法が広く利用されつつある。
【0004】
一般に、湿式エッチング法としては、エッチング溶液としてリン酸を用いる方法がよく知られている。このとき、シリコン窒化膜をエッチングするために、純粋なリン酸のみ用いる場合、素子が微細化するにつれて、シリコン窒化膜のみならず、シリコン酸化膜までエッチングされることによって、各種の不良及びパターンの異常が発生するなどの問題が生じ得るため、シリコン酸化膜に保護膜を形成して、シリコン酸化膜のエッチング速度をさらに下げる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シリコン基板エッチング溶液の中にシリコン添加剤に含まれたコロイダルシリカ粒子の表面積を増加させてパーティクルの発生を防ぎ、エッチング条件でシリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対する選択比を増加させるシリコン窒化膜エッチング溶液を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、上述したシリコン窒化膜エッチング溶液を用いて行われる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の一側面によれば、リン酸水溶液及びシリコン添加剤を含み、前記シリコン添加剤は、球状の第1のコロイダルシリカ及び第2のコロイダルシリカ粒子を含み、同一体積を基準に、前記球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して、前記第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、100%超124%以下であり、前記シリコン添加剤に含まれた前記第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、50%以上であるシリコン窒化膜エッチング溶液が提供される。
【0008】
また、本発明の他の側面によれば、上述したシリコン窒化膜エッチング溶液を用いて行われる半導体素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるシリコン窒化膜エッチング溶液は、同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子に対して、表面積の増加した第2のコロイダルシリカ粒子が含まれることによって、高温でもコロイダルシリカ粒子が凝集する現象を防ぎ、シリコン系パーティクルの発生を防ぐことができる。
【0010】
また、本願で用いられる表面積の増加した第2のコロイダルシリカ粒子は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子に対して、ヒドロキシ基(-OH)の表出量が増加することによって、エッチング条件でシリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例によるエッチング溶液を用いたシリコン窒化膜の除去工程を概略的に示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下に開示する実施例に限定されるものではなく、異なる様々な形態に具現されるものである。ただし、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0013】
以下では、本発明によるシリコン窒化膜エッチング溶液について詳説する。
【0014】
通常、リン酸水溶液からシリコン酸化膜を保護するために、シリコン窒化膜エッチング溶液にシリコン添加剤が含まれていてもよく、シリコン添加剤は、球状(Sphere)のコロイダルシリカ粒子が用いられる。エッチング溶液内のコロイダルシリカ粒子は、凝集し合わせてシリコン系パーティクルに成長されうる。シリコン系パーティクルが成長される場合は、シリコン基板の不良を引き起こす最大な原因に作用するようになる。
【0015】
また、球状のコロイダルシリカ粒子は、ヒドロキシ基(-OH)の表出量が少なくて、シリコン酸化膜の保護層(passivation
layer)としての役割を十分に行えず、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比が低下する問題が生じるようになる。
【0016】
上述した問題点を解決するために、本発明の一実施例によるシリコン窒化膜エッチング溶液は、リン酸水溶液及びシリコン添加剤を含み、前記シリコン添加剤は、球状の第1のコロイダルシリカ及び第2のコロイダルシリカ粒子を含み、同一体積を基準に、前記球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して、前記第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、100%超124%以下であり、前記シリコン添加剤に含まれた前記第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、50%以上を示すことで、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対する選択比を増加させるとともに、温度が上昇してもシリコン系パーティクルとしての成長を抑制することができる。
【0017】
ここで、本願第2のコロイダルシリカ粒子は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の形状が変形されて、同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子に対して表面積が増加したことを意味し得るし、一例として、本願第2のコロイダルシリカ粒子は、楕円体、多面体、錠剤、またはラグビーのボール状を示し得る。
【0018】
すなわち、本願第2のコロイダルシリカ粒子は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の形状が変形されて、高温でもシリカ粒子らのスタッキング(stacking)の発生が減少し、これによってシリコン系パーティクルの生成を防ぐことができる。また、シリコン系パーティクルを防ぐことによって、シリコン基板上に具現される素子の不良及び装備の故障が減少し得る。
【0019】
また、本願第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して、100%超124%以下を示す。
【0020】
ここで、本願第2のコロイダルシリカ粒子の表面積が、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して100%を超えるということは、球状の第1のコロイダルシリカ粒子と同一体積を基準に、表面積が増加したことを意味する。また、本願第2のコロイダルシリカ粒子の表面積が、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して124%以下であることは、球状の第1のコロイダルシリカ粒子と同一体積を基準に、表面積が124%を超えないことを意味する。
【0021】
第2のコロイダルシリカ粒子の表面積が、同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して100%以下である場合は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面に表されるヒドロキシ基の量が増加せず、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比の向上効果が微弱であり得る。同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して、表面積が124%を超える第2のコロイダルシリカ粒子は、製造上制約があり、シリカ粒子間の結合によりパーティクルが形成されうる。
【0022】
好ましくは、本願第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して110%以上124%以下であってもよい。さらに好ましくは、本願第2のコロイダルシリカ粒子の表面積は、同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して115%以上120%以下であってもよい。同一体積を基準に、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の表面積に対して、本願第2のコロイダルシリカ粒子の表面積が増加するほど、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比が向上する効果がある。
【0023】
すなわち、本願第2のコロイダルシリカ粒子は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の形状が変形されて、球状の第1のコロイダルシリカ粒子と同一体積を基準に、表面積が増加することによって、第1のコロイダルシリカ粒子に比べて、第2のコロイダルシリカ粒子の表面に表されるヒドロキシ基(-OH)が増加する。
【0024】
このように、本願第2のコロイダルシリカ粒子は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子に対して、さらに多いヒドロキシ基を示すことができる。ヒドロキシ基は、シリコン酸化膜と結合してシロキサンを形成し、シロキサンは、リン酸水溶液からシリコン酸化膜を保護する保護膜としての役割を行う。よって、本願第2のコロイダルシリカ粒子は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子に対して、シリコン酸化膜と結合して、シロキサンをさらに多く形成することができ、シリコン酸化膜をさらに効果的に保護することができる。また、本願第2のコロイダルシリカ粒子が含まれたシリコン窒化膜エッチング溶液は、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比を向上させることができる。
【0025】
また、シリコン添加剤に含まれた第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、50%以上を示す。一例として、シリコン添加剤は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子及び第2のコロイダルシリカ粒子を含んでいてもよく、前記シリコン添加剤には、球状の第1のコロイダルシリカ粒子の含量に対して、第2のコロイダルシリカ粒子の含量が同じであるか高くてもよい。好ましくは、シリコン添加剤に含まれた第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、70%以上であってもよい。さらに好ましくは、シリコン添加剤に含まれた第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、90%以上であってもよい。他の一例として、シリコン添加剤は、球状の第1のコロイダルシリカ粒子を含んでいなくてもよく、このときは、シリコン添加剤に含まれた第2のコロイダルシリカ粒子の含量は、100%であってもよい。シリコン添加剤に含まれた第2のコロイダルシリカ粒子の含量が50%未満である場合は、高温でシリカ粒子らのスタッキング(stacking)が発生し、これによって、シリコン系パーティクルが生成されうる。また、第2のコロイダルシリカ粒子の含量が50%未満である場合は、シリカ粒子の表面に表されるヒドロキシ基の増加量が少なくて、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比の向上効果が微弱でありうる。
【0026】
上述したシリコン添加剤は、シリコン窒化膜エッチング溶液の中に100~100,000ppmで存在することが好ましい。また、上述したシリコン添加剤は、シリコン窒化膜エッチング溶液の中に100~10,000ppmで存在することがさらに好ましい。ここで、シリコン添加剤の含量は、シリコン窒化膜エッチング溶液中に溶解されたシリコン添加剤の量であって、ppmの単位で示したものである。
【0027】
例えば、シリコン窒化膜エッチング溶液の中にシリコン添加剤が100ppmで存在するということは、シリコン窒化膜エッチング溶液の中に溶解されたシリコン添加剤が100ppmであることを意味し得る。
【0028】
シリコン窒化膜エッチング溶液の中にシリコン添加剤が100ppmで存在する場合は、エッチング条件下でシラン化合物の量が十分でなく、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比の増加効果が微弱であり得る。
【0029】
一方、シリコン窒化膜エッチング溶液の中にシリコン添加剤が100,000ppmを超える場合は、シリコン窒化膜エッチング溶液内のシラン化合物の飽和濃度の増加によってシリコン系パーティクルが生成される問題が生じ得る。
【0030】
シリコン基板は、少なくともシリコン酸化膜(SiO)を含むことが好ましく、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を共に含んでいてもよく。また、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が共に含まれたシリコン基板の場合は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に積層するか、互いに異なる領域に積層した形態であってもよい。
【0031】
ここで、シリコン酸化膜は、用途及び素材の種類等に応じて、SOD(Spin On Dielectric)膜、HDP(High Density
Plasma)膜、熱酸化膜(thermal oxide)、BPSG(Borophosphate
Silicate Glass)膜、PSG(Phospho Silicate Glass)膜、BSG(Boro Silicate
Glass)膜、PSZ(Polysilazane)膜、FSG(Fluorinated Silicate
Glass)膜、LP-TEOS(Low
Pressure Tetra Ethyl Ortho Silicate)膜、PETEOS(Plasma Enhanced Tetra
Ethyl Ortho Silicate)膜、HTO(High Temperature Oxide)膜、MTO(Medium
Temperature Oxide)膜、USG(Undopped Silicate Glass)膜、SOG(Spin On Glass)膜、APL(Advanced Planarization
Layer)膜、ALD(Atomic Layer
Deposition)膜、PE-酸化膜(Plasma Enhanced oxide)又はO-TEOS(O-Tetra Ethyl
Ortho Silicate)等に言及し得る。
【0032】
ここでリン酸水溶液は、シリコン窒化膜をエッチングするとともに、エッチング溶液のpHを維持して、エッチング溶液内に存在するシリコン添加剤がシリコン系パーティクルに変化することを抑える成分である。
【0033】
一実施例において、シリコン窒化膜エッチング溶液100重量部に対して、りん酸水溶液は、60~90重量部で含まれることが好ましい。
【0034】
シリコン窒化膜エッチング溶液100重量部に対して、りん酸水溶液の含量が60重量部未満である場合は、シリコン窒化膜のエッチング速度が低下して、シリコン窒化膜が十分にエッチングされないか、シリコン窒化膜のエッチング工程の効率性が低下するおそれがある。
【0035】
一方、シリコン窒化膜エッチング溶液100重量部に対して、リン酸水溶液の含量が90重量部を超える場合は、シリコン窒化膜のエッチング速度に対して、シリコン酸化膜のエッチング速度が増加するにつれて、酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比が低下し得るし、シリコン酸化膜のエッチングによるシリコン基板の不良が引き起こされる。
【0036】
本発明の一実施例によるシリコン窒化膜エッチング溶液は、シリコン添加剤を用いることによって低下するシリコン窒化膜のエッチング速度を補償するとともに、全体的なエッチング工程の効率を向上させるために、フッ素含有化合物をさらに含んでいてもよい。
【0037】
本願におけるフッ素含有化合物は、フッ素イオンを解離させる任意の形態の化合物を全て指す。
【0038】
一実施例において、フッ素含有化合物は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、及びフッ化水素アンモニウムから選択される少なくとも一つである。
【0039】
さらに他の実施例において、フッ素含有化合物は、有機系カチオンとフッ素系アニオンとがイオン結合した形態の化合物であってもよい。
【0040】
例えば、フッ素含有化合物は、アルキルアンモニウムとフッ素系アニオンとがイオン結合した形態の化合物であってもよい。ここで、アルキルアンモニウムは、少なくとも一つのアルキル基を有するアンモニウムであって、最大4つのアルキル基を有し得る。アルキル基に対する定義は、前述したとおりである。
【0041】
さらに他の例において、フッ素含有化合物は、アルキルピロリウム、アルキルイミダゾリウム、アルキルオキサゾリウム、アルキルピリジニウム、アルキルピリミジニウム、アルキルピリダジニウム、アルキルピラジニウム、アルキルピロリジニウム、アルキルホスホニウム、アルキルモルホリニウム、ジアルキルイミダゾリウム、及びアルキルピペリジニウムから選択される有機系カチオンと、フルオロホスファート、フルオロアルキル-フルオロホスファート、フルオロボラート、及びフルオロアルキル-フルオロボラートから選択されるフッ素系アニオンとがイオン結合した形態のイオン性液体であってもよい。
【0042】
シリコン窒化膜エッチング溶液のうち、フッ素含有化合物として一般に用いられるフッ化水素またはフッ化アンモニウムに比べて、イオン性液体状に提供されるフッ素含有化合物は、高い沸点及び分解温度を有するところ、高温で行われるエッチング工程中に分解されることによって、エッチング溶液の組成を変化させるおそれが少ないという利点がある。
【0043】
本発明の他の側面によれば、上述したシリコン窒化膜エッチング溶液を用いて行われる半導体素子の製造方法が提供される。
【0044】
本製造方法によれば、少なくともシリコン窒化膜(SI)を含むシリコン基板上で、上述したエッチング溶液を用いてシリコン窒化膜に対する選択的エッチング工程を行うことによって、半導体素子を製造することが可能である。
【0045】
半導体素子の製造に用いられるシリコン基板は、シリコン窒化膜(SI)を含むか、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜を共に含んでいてもよい。また、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜が共に含まれたシリコン基板の場合は、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に積層するか、互いに異なる領域に積層した形態であってもよい。
【0046】
本発明による半導体素子の製造方法は、NAND素子の製造工程に適用されうる。より具体的には、NANDを形成するための積層構造体のうち、シリコン酸化膜に対する損失なく、シリコン窒化膜の選択的な除去が要求される工程ステップにおいて、上述したエッチング溶液を用いることで行われてもよい。
【0047】
一例として、図1は、本発明によるエッチング溶液を用いたシリコン窒化膜の除去工程を説明するための概略的な断面図である。
【0048】
図1を参照すれば、シリコン基板10上にシリコン窒化膜11とシリコン酸化膜12とが交互に積層した積層構造体20上にマスクパターン層30を形成した後、異方性エッチング工程を介してトレンチ50が形成される。
【0049】
また、図1を参照すれば、積層構造体20内に形成されたトレンチ50領域を介して本発明によるエッチング溶液が投入され、これによってシリコン窒化膜11がエッチングされて、シリコン酸化膜12とマスクパターン層30のみ残るようになる。
【0050】
すなわち、本発明は、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比の向上したエッチング溶液を用いることで、積層構造体20内のシリコン酸化膜12のエッチングを最小化し、十分な時間の間にシリコン窒化膜11を完全かつ選択的に除去することができる。その後、シリコン窒化膜11の除去された領域にゲート電極を形成するステップが含まれた後続工程を介して半導体素子を製造することができる。
【0051】
以下では、本発明の具体的な実施例を提示する。ただし、下記に記載の実施例は、本発明を具体的に例示するか説明するためのものに過ぎないし、これによって本発明が制限されてはならない。
【0052】
実施例
エッチング溶液の製造
製造例1
オルトケイ酸テトラエチル(Tetraethyl
Orthosilicate、TEOS)0.1g当量、水10mL、エタノール100mL、及びアムモニウムヒドロキシド(NHOH)1mLを30分間撹拌(stirring)した後、約1時間放置した。前記混合物の撹拌及び放置する工程を20回繰り返してシリカを製造した。製造済みシリカの表面積及び球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積は、BET法に従って測定された。同一体積を基準に、球状のコロイダルシリカ(製造社:
(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積に対して、製造済みシリカの表面積は、123%を示した。
【0053】
製造例2
製造例1と同一組成物を常温で3日間放置してシリカを製造した。製造済みシリカの表面積及び球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積は、BET法に従って測定した。同一体積を基準に、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積に対して、製造済みシリカの表面積は、115%を示した。
【0054】
製造例3
製造例1と同一組成物を約300RPMで2時間撹拌(stirring)した後、約30分間放置した。前記混合物の撹拌及び放置する工程を20回繰り返してシリコン添加剤を製造した。製造済みシリカの表面積及び球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積は、BET法に従って測定した。同一体積を基準に、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積に対して、製造済みシリカの表面積は、109%を示した。
【0055】
製造例4
製造例1と同一構成及び含量の組成物を約300RPMで24時間撹拌(stirring)して、シリコン添加剤を製造した。製造済みシリカの表面積及び球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積は、BET法に従って測定した。同一体積を基準に、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)の表面積に対して、製造済みシリカの表面積は、102%を示した。
【0056】
実施例1
リン酸85重量%、製造例1によるシリカ70ppm、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)30ppm、及び残量の水を混合して、シリコン窒化膜エッチング溶液を製造した。
【0057】
実施例2
リン酸85重量%、製造例2によるシリカ90ppm、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)10ppm、及び残量の水を混合して、シリコン窒化膜エッチング溶液を製造した。
【0058】
実施例3
リン酸85重量%、製造例3によるシリカ70ppm、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)30ppm、及び残量の水を混合して、シリコン窒化膜エッチング溶液を製造した。
【0059】
実施例4
リン酸85重量%、製造例4によるシリカ50ppm、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)50ppm、及び残量の水を混合して、シリコン窒化膜エッチング溶液を製造した。
【0060】
比較例1
リン酸85重量%、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)100ppm、及び残量の水を混合して、シリコン窒化膜エッチング溶液を製造した。
【0061】
比較例2
リン酸85重量%、製造例4によるシリカ10ppm、球状のコロイダルシリカ(製造社:(株)ヨンイル化成、製品名:YGS)90ppm、及び残量の水を混合して、シリコン窒化膜エッチング溶液を製造した。
【0062】
実験例
各実施例1~4及び比較例1~2による組成を有するシリコン窒化膜エッチング溶液を175℃で500Å厚みのシリコン酸化膜(thermal oxide layer)及びシリコン窒化膜を、加熱されたエッチング溶液に浸漬して、10分間エッチングした。
【0063】
エッチングの前及びエッチング後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の厚みは、エリプソメトリー(Nano-View、SE
MG-1000;Ellipsometery)を用いて測定しており、エッチング速度は、エッチングの前及びエッチング後、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の厚みの差をエッチング時間(10分)で除して算出した数値である。
【0064】
測定されたエッチング速度は、下記表1のとおりである。
【0065】
【表1】
【0066】
上記表1に示したように、実施例1~4のシリコン窒化膜エッチング溶液は、比較例1~2のシリコン窒化膜エッチング溶液に比べて、シリコン酸化膜に対するエッチング速度を下げることができ、これによって、シリコン酸化膜に対しシリコン窒化膜に対するエッチング選択比が向上することを確認することができる。
【0067】
以上では、本発明の一実施例について説明したが、該技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載した本発明の思想から外れない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等によって本発明を多様に修正及び変更させることができ、これも本発明の権利範囲内に含まれると言える。
【符号の説明】
【0068】
10 シリコン基板
11 シリコン窒化膜
12 シリコン酸化膜
20 積層構造体
30 マスクパターン層

50 トレンチ
図1