(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電気的接触子の電気的接触構造及び電気的接続装置
(51)【国際特許分類】
G01R 1/073 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
G01R1/073 E
(21)【出願番号】P 2020140916
(22)【出願日】2020-08-24
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000153018
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】原子 翔
(72)【発明者】
【氏名】神谷 浩
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/091946(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2060921(EP,A1)
【文献】国際公開第2006/054329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/06
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板の一方の面に開口が形成される支持穴と、
前記支持穴に挿通され、被検査体と電気的に接触する電気的接触子と、
前記支持穴の前記開口付近に設けられる電極部とを備え、
前記電気的接触子は、屈曲部を有する非導通部と、前記非導通部の一方の端部側に設けられた導通部とを有するものであり、
前記屈曲部は、前記導通部の一方の端部が前記被検査体と電気的に接触される際に、前記導通部の他方の端部側が前記電極部と短絡するように曲がる
ものであり、
前記電気的接触子の変形により、前記屈曲部と前記支持穴の内壁面とが接触することにより、前記支持穴の軸と交差する方向に向かって、前記導通部の他方の端部を移動させる
ことを特徴とする電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項2】
前記導通部の他方の端部側には、前記導通部の軸方向と交差する方向に突出する第2
の接触部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項3】
前記電気的接触子の変形により、前記導通部の第2の接触部と前記電極部とが接触することを特徴とする請求項1又は2に記載の電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項4】
前記電気的接触子の前記非導通部が、線状部材又は細幅板状部材で形成され、
前記導通部の第2の接触部が、前記非導通部の前記一方の端部において、前記電極部に対して広い面積で接触する部材で形成され、
前記導通部の第1の接触部が、前記第2の接触部に支持される、線状部材又は細幅板状部材で形成されたものである
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項5】
前記電極部が、前記支持基板の底面であって、前記支持穴の開口付近に設けられたことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項6】
前記電極部が、前記支持穴の内壁の一部表面又は全面に設けられたことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項7】
前記電極部が、前記支持穴の開口を切り欠きした切り欠き部の斜面表面、及び又は、前記支持穴の内壁面に設けられたことを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の電気的接触子の電気的接触構造。
【請求項8】
複数の電気的接触子を支持する支持基板を備え、被検査体と検査装置との間を電気的に接続する電気的接続装置において、請求項1~
7のいずれかに記載の電気的接触子の電気的接触構造を有する電気的接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接触子の電気的接触構造及び電気的接続装置に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体ウェハに形成されている複数の半導体集積回路の電気的特性の検査には、電気的接続装置としてのプローブカードが用いられる。
【0003】
一般的に、プローブカードは、絶縁基板の下面に複数の電気的接触子(以下では、「接触子」、「プローブ」等と呼ぶ。)を配置して構成されており、プローブカードは各集積回路(被検査体)を検査する検査装置に取り付けられる。検査時に、プローブカードの各接触子が各集積回路の各電極に押し付けられて、各集積回路の電気的特性を検査している。
【0004】
電気的接続装置としてのプローブカードには、被検査体の各電極に対して垂直に各接触子を電気的に接触させる垂直型プローブカードと呼ばれるものがある。さらに、垂直型プローブカードに用いられる電気的接触子には、例えば、スプリングタイプと、ニードルタイプとがある。
【0005】
スプリングタイプの接触子は、被検査体に対して垂直方向に弾性を有するため、被検査体の電極に対して弾性的に確実に接触できる。
【0006】
ニードルタイプの接触子は、線状(棒状)であるため、狭ピッチに配置された被検査体の電極に対して確実に電気的に接触できるが、垂直方向に弾性を持たせることは難しい。
【0007】
そのため、複数の接触子34を支持する構造は、
図2に例示するように、ニードルタイプの各接触子34の上部を支持する上段板(トップ板)43と、各接触子34の下部を支持する下段板(ボトム板)41とを用いて各接触子34を支持するようにしている。ここで、垂直方向の弾性を持たせるため、上段板(トップ板)43の支持孔43Aの位置と、下段板(ボトム板)41の支持孔41Aの位置とが、面方向において相対的にずれるように配置させている。このような構造とすることで、各接触子34を局部的に湾曲させて、垂直方向に弾性を持たせるようにしている。
【0008】
近年、半導体集積回路の超微細化、超高集積化に伴い、プローブカードに設ける電気的接触子(プローブ)には、半導体チップ上の電極面積の縮小化、パッド間のピッチの狭小化に対応させることが求められる。また、半導体集積回路の動作速度の高速化に伴い、入出力ピンの信号周波数が増加する傾向にあり、電気的接触子(プローブ)には、高周波特性に対応させることも求められている。
【0009】
特許文献1及び2には、半導体集積回路を検査するプローブヘッド(又はテストヘッド)が開示されている。例えば、プローブヘッドには、複数のコンタクトプローブを収容する複数のガイド孔が設けられている。さらに、垂直方向に弾性を持たせるため、コンタクトプローブをS字状に湾曲させる。コンタクトプローブは、第1の端部と第2の端部との間の長手方向に沿って延在し、第1の端部と、被検査体の電極と接触する第2の端部とより構成されている。また、コンタクトプローブは、第1の端部と第2の端部との間に、非導通性の第1の部分と、前記第1の部分から第2の端部までの第2の部分とを構成している。さらに、ガイド孔には導電部が設けられており、コンタクトプローブの第2の部分と導電部とを電気的に接続させて短絡させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2018/108790号
【文献】国際公開第2019/091946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1及び2の記載技術のように、ガイド孔の導電部(電極部)に対して、コンタクトプローブの導電性の接触部分を電気的に接触させようとすると、その接触箇所が摺動接点となり得るので、コンタクトプローブの接触部分及び又は導電部が摩耗するおそれが生じ、その結果、接触箇所が劣化し、高精度な検査にも影響が生じ得る。
【0012】
そのため、電気的接触子を流れる導通経路長を短くでき、電気的接触子の導通部と電極部とを安定して接触させることができる電気的接触子の電気的接触構造及び電気的接続装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため、第1の本発明に係る電気的接触子の電気的接触構造は、(1)支持基板の一方の面に開口が形成される支持穴と、(2)支持穴に挿通され、被検査体と電気的に接触する電気的接触子と、(3)支持穴の前記開口付近に設けられる電極部とを備え、(4)電気的接触子は、屈曲部を有する非導通部と、非導通部の一方の端部側に設けられた導通部とを有するものであり、(5)屈曲部は、導通部の一方の端部が被検査体と電気的に接触される際に、導通部の他方の端部側が電極部と短絡するように曲がるものであり、(6)電気的接触子の変形により、屈曲部と支持穴の内壁面とが接触することにより、支持穴の軸と交差する方向に向かって、導通部の他方の端部を移動させることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明に係る電気的接続装置は、複数の電気的接触子を支持する支持基板を備え、被検査体と検査装置との間を電気的に接続する電気的接続装置において、第1の本発明の電気的接触子の電気的接触構造を有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電気的接触子を流れる導通経路長を短くでき、電気的接触子の導通部と電極部とを安定して接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す平面図である。
【
図2】従来の接触子の電気的接続構造の構成を示す構成図である。
【
図3】実施形態に係る電気的接続装置の構成を示す正面図である。
【
図4】実施形態に係る接触子の電気的接続構造の構成を示す部分断面図である。
【
図5】実施形態に係るプローブの構成を示す構成図である。
【
図6】非コンタクト時とコンタクト時のプローブの状態を示す図である。
【
図7】変形実施形態に係る接触子の電気的接続構造の構成を示す部分断面図である(その1)。
【
図8】変形実施形態に係る接触子の電気的接続構造の構成を示す部分断面図である(その2)。
【
図9】変形実施形態に係る接触子の電気的接続構造の構成を示す部分断面図である(その3)。
【
図10】変形実施形態に係るプローブの構成と接触子の電気的接続構造の構成とを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る電気的接触子の電気的接触構造及び電気的接続装置の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
(A-1)実施形態の構成
この実施形態では、本発明を利用して、半導体ウェハ上に形成された複数の半導体集積回路の電気的特性の検査(例えば通電検査等)を行なう検査装置(以下では、「テスタ」とも呼ぶ。)に取り付けられる電気的接続装置に適用する場合を例示する。
【0019】
以下の説明において「被検査体」は、検査装置が電気的特性を検査する対象物であり、例えば、集積回路、半導体ウェハ等を示す。「半導体ウェハ」は、ウェハに回路パターンが形成された複数の集積回路を有し、ダウジング前の状態を想定する。
【0020】
「電気的接続装置」は、被検査体の各電極と電気的に接触する複数の接触子を有し、被検査体と検査装置とを電気的に接続する。電気的接続装置は、例えばプローブカード等であり、この実施形態では、垂直型プローブカードである場合を例示する。
【0021】
「接触子」は、被検査体の電極に対して電気的に接触する電気的接触子である。接触子は、例えばプローブを適用でき、線状部材で形成されたニードルタイプのプローブ、薄板の細幅部材で形成されたプローブ等を適用できる。この実施形態では、接触子が全体として線状部材で形成されたニードルタイプのプローブである場合を例示する。
【0022】
「支持基板」は、複数の接触子(電気的接触子)を支持する板状基板である。支持基板は、一方の面に開口が形成される複数の支持穴を有しており、支持基板の各支持穴に各接触子(電気的接触子)が挿通されて各接触子を支持する。支持基板は、例えば、後述するプローブ支持体17、配線基板2等とすることができる。
【0023】
(A-1-1)電気的接続装置1の詳細な構成
図1は、実施形態に係る電気的接続装置1の構成を示す平面図である。
図3は、実施形態に係る電気的接続装置1の構成を示す正面図である。
図4は、実施形態に係る接触子(プローブ)21の電気的接続構造の構成を示す部分断面図である。
【0024】
電気的接続装置1は、配線基板2と、接続基板3と、複数の配線4と、プローブ組立体5とを有する。
【0025】
配線基板2は、円板状に形成された基板である。配線基板2の一方の面(例えば上面)側の中央部には、当該配線基板2の厚さ方向(Z方向、板厚方向)に基板を貫通する矩形の開口7が形成されている。配線基板2の一方の面(例えば上面)には、矩形の開口7の一対の対辺に沿って、接続部としての多数の接続ランド9が整列して形成されている。また、配線基板2の一方の面(例えば上面)の外縁部には、検査装置(テスタ)の電気回路と接続する複数のテスタランド(テスタ接続部)が形成されている。各接続ランド9と対応するテスタランド8とは、従来の電気的接続装置と同様に、配線基板2の導電路(図示しない)を経て電気的接続されている。
【0026】
接続基板3は、電気絶縁材料により形成され、配線基板の一方の面(例えば上面)側の略中央部に取り付けられる部材である。接続基板3は、開口7内に収容される矩形平面形状の矩形部11と、矩形部11の一方の面(例えば上面)において矩形部11の外縁に張り出す矩形の環状フランジ12とを有する。接続基板3は、矩形部11が配線基板2の開口7内に収められ、開口7の縁部に環状フランジ12が載置された状態で、複数のネジ部材13により環状フランジ12が配線基板2の一方の面(例えば上面)に取り付けられる。
【0027】
接続基板3の矩形部11には、
図1に示すように、基板の厚み方向(Z方向、板厚方向)に基板を貫通する複数の貫通孔14が形成されている。複数の貫通孔14のそれぞれは、被検査体15としての集積回路の電極16の位置に対応して形成されている。
【0028】
各配線4の一端部は、接続基板3の各貫通孔14に挿入される。各貫通孔14に挿入された各配線4の一端部の先端面は、プローブ組立体5が支持している対応の各プローブ21と電気的に接続される。各配線4は、対応する各プローブ21と直接的に接続されてもよいし、導電路及び端子を介して間接的に各プローブ21と接続されてもよい。他方、各配線4の他端部は、対応する各接続ランド9と接続している。各プローブ21は各配線4を通じて各接続ランド9と接続する。従って、各プローブ21は、各接続ランド9と電気的に接続している対応のテスタランド8を経て、検査装置(テスタ)の電気回路に接続される。
【0029】
プローブ組立体5は、接続基板3の他方の面(例えば下面)側に取り付けられる。プローブ組立体5は、複数のプローブ21を支持するプローブ支持体17を有する。
【0030】
プローブ支持体17は、電気絶縁性部材で形成された板状部材である。プローブ支持体17は、当該プローブ支持体17の他方の面(例えば下面)18に開口が形成され、上方(すなわち、板厚方向、Z方向)に向けて、複数のプローブ21のそれぞれを収容する複数の支持穴19を有している。言い換えると、各支持穴19は、プローブ支持体17の下面18に、開口が形成された凹部ともいえる。
【0031】
プローブ支持体17の各支持穴19は、被検査体15の各電極16の位置に対応する位置に形成されている。プローブ支持体17の支持穴19は、被検査体15の電極16の数と同じ数だけ形成されている。
【0032】
各プローブ21を支持する各支持穴19の天井部192は、プローブ21の第1の端部(例えば、上端部)にある被支持部51を支持する。例えば、
図4に例示するように、支持穴19の天井部192には、プローブ21の第1の端部を支持するための穴部が設けられ、その穴部にプローブ21の第1の端部が挿入されることで、支持穴19に収容されるプローブ21を支持することができる。つまり、天井部192に支持されたプローブ21は支持穴19の内部に下垂して、当該支持穴19に収容されると共に、各プローブ21の第2の端部側の導通部212の一部又は全部(
図5参照)が支持穴19の下面18よりも下方に突出して設けられる。
【0033】
なお、支持穴19にプローブ21を支持する方法は、特に限定されない。例えば、支持穴19の天井部192に空けた穴に、プローブ21の被支持部51を挿入した上で、接着材等で固定してもよい。また、各支持穴19は、断面が円形又は楕円形の穴であってもよいし、断面が正方形又は長方形又は多角形の穴であってもよい。
【0034】
プローブ支持体17の下面18には、各支持穴19の近傍に、各電極端子20が設けられている。ここで、後述するように、各プローブ21の第1の端部側には屈曲部54を有する非導通ガイド部211が形成されている(
図5参照)。被検査体15の検査時に、各プローブ21と被検査体15の電極16とが互いに接触すると、各支持穴19に支持されている各プローブ21が弾性変形(例えば撓み等)する。
【0035】
各電極端子20は、コンタクト荷重により、変形した各プローブ21の導通部212(
図5参照)と電気的に接触する。言い換えると、各電極端子20は、変形した各プローブ21の導通部212と電気的に接続する端子である。
【0036】
また、各電極端子20は、プローブ支持体17に形成された各導電路22と接続する。各導電路22は、各電極端子20と、対応する各配線4との間で電気信号を流す部分である。従って、各プローブ21の導通部212は、各電極端子20及び導電路22を経て、対応する各配線4と電気的に接続する。
【0037】
なお、導電路22は、プローブ支持体17の基板内部に形成されてもよい。また、例えば多層構造基板で形成されたプローブ支持体17とする場合、導電路22の一部がプローブ支持体17の面方向(すなわち、XY平面上)に形成されてもよい。
【0038】
ここで、実施形態における複数のプローブ21の支持構造と、
図2に例示する従来の複数の接触子(プローブ)34の支持構造とを比較しながら説明する。
【0039】
図2における従来のプローブ支持構造は、各接触子34の上部を支持する上段板(トップ板)43と、各接触子34の下部を支持する下段板(ボトム板)41とを用いて、略S字状の各接触子34を支持するようにしている。
【0040】
これに対して、実施形態における複数のプローブ支持構造は、少なくとも下段板(ボトム板)41を設けない。後述するように、実施形態のプローブ21は、非導通ガイド部211が弾性機能を担っている。
【0041】
従って、実施形態では、プローブ組立体5の厚さ方向(Z方向)の長さを、従来のプローブ組立体の厚さ方向(Z方向)よりも短くすることができる。言い換えれば、被検査体15の検査時に、プローブ21を経て、被検査体15の電極16と配線4との間で流れる電流の導電路の長さを短くできる。その結果、検査精度を向上させることができる。また、プローブ組立体5のコストも抑えることができる。
【0042】
また、
図2における従来のプローブ支持構造は、上段板(トップ板)43の支持孔43Aの位置と、下段板(ボトム板)41の支持孔41Aの位置とが、面方向において相対的にずれるように配置される。
【0043】
これに対して、実施形態におけるプローブ支持構造は、プローブ支持体17の支持穴19に支持されるプローブ21は、支持点から垂直方向(Z方向)に延びて配置される。
【0044】
従って、実施形態のプローブ支持構造とすることで、被検査体15としての半導体ウェハ上の電極16に接触させるプローブ21の位置合わせを制御し易くなり、位置合わせ精度を向上させることができる。
【0045】
なお、この実施形態では、プローブ組立体5のプローブ支持体17に複数のプローブ21を支持する場合を例示する。しかし、この例に限定されず、配線基板2の下面に、プローブ支持体17の各支持穴19と同様の構造を設け、配線基板2に設けた各支持穴19に、各プローブ21を支持させるようにしてもよい。この場合、上段板(トップ板)43も設ける必要がなくなる。
【0046】
(A-1-2)プローブ21の構成
図5(A)は、実施形態に係るプローブ21の構成を示す側面図であり、
図5(B)は、実施形態に係るプローブ21の構成を示す正面図である。なお、
図5(A)及び
図5(B)に例示するプローブ21のサイズ、線径、長さ及び屈曲の程度等は強調表示をしている。
【0047】
プローブ21は、屈曲部54を有する非導通ガイド部211と、非導通ガイド部211の一方の端部側に設けられた導通部212とを有して形成される。プローブ21は、当該プローブ21全体として、例えば絶縁材料及び導電性金属の細線等で形成されたニードルタイプの接触子とすることができる。なお、プローブ21は、線状部材に限定されず、例えば絶縁材料及び導電性金属の幅長が小さい薄板状部材で形成されてもよい。この実施形態では、プローブ21が線状部材で形成されたものを例示する。
【0048】
プローブ21の線径(プローブ21の直径)や全長は、特に限定されず、検査対象とする半導体ウェハの電極16のサイズ等に応じて適宜決めることができる。例えば、プローブ21の線径は数十μm程度、長さは数mm程度とすることができる。
【0049】
プローブ21の非導通ガイド部211は、絶縁性の合成樹脂材料等の絶縁性材料で形成されたものである。非導通ガイド部211は、プローブ21全体に上下方向(Z方向)に弾性を持たせる弾性機能を有する。また、非導通ガイド部211は、プローブ21の導通部212を支持する導電部支持部材として機能する。言い換えると、非導通ガイド部211は、弾性を有する導電部支持部材としての機能を有する。
【0050】
絶縁性材料の線状で形成された非導通ガイド部211は、当該プローブ21が収容される支持穴19に支持される被支持部51と、当該プローブ21の長手方向に沿って、前記被支持部51の下方に延びる下方部分とを有する。前記下方部分は、被支持部51と一体的に連なっている。
【0051】
非導通ガイド部211の下方部分の略中央部には、例えば曲げ加工により、当該下方部分を屈曲させた屈曲部54が形成されている。例えば、被検査体15の検査時に、被検査体15の電極16に対してプローブ21の下端部(導通部212の下端部)が接触し、プローブ21にコンタクト荷重が作用する。このとき、当該下方部分に屈曲部54が形成されていることで、屈曲部54を起点に、プローブ21全体が変形して、プローブ21が大きく湾曲し、プローブ21全体が上下方向(Z方向)の弾性を持つことになる。
【0052】
なお、
図5(A)では、大きく屈曲させた屈曲部54を示しているが、コンタクト時に、屈曲部54を起点として、プローブ21が変形できる程度の屈曲でよい。屈曲部54は、曲げ加工で形成してもよいし、屈曲しやすくするため、屈曲部54の線径が、非導通ガイド部211の線径よりも小さくしてもよい。
【0053】
ここで、非導通ガイド部211の下方部分のうち、前記被支持部51から屈曲部54までの部分を第1のガイド部52と呼び、屈曲部54から非導通ガイド部211の下端部までを第2のガイド部53と呼ぶ。
【0054】
プローブ21の導通部212は、非導通ガイド部211の第2のガイド部53の下端部に設けられている。導通部212は、導電性材料で形成される。導通部212は、例えば、銅、銅合金、ベリリウム銅合金等の金属、例えば、エラストマー等の導電性を有するゴム材料、導電性を有する合成樹脂材料などで形成されるようにしてもよい。また、非導通ガイド部211の下端部の表面にメッキ加工等を施して、導通部212を形成してもよい。この実施形態では、導通部212は、概ね導電性金属細線で形成される場合を例示する。
【0055】
非導通ガイド部211に設けられる導通部212は、例えば接着材等で非導通ガイド部211の第2のガイド部53に接着して設けるようにしてもよい。
【0056】
導通部212は、プローブ支持体17の他方の面(例えば下面)の電極端子20と接触する第2の接触部56と、被検査体15の電極16と接触する第1の接触部55とを有する。言い換えると、導通部212は、電極端子30及び導電路22を経て配線4と配線接続する第2の接触部56と、被検査体15の電極16に対して電気的に接触する第1の接触部55とを有する。
【0057】
導通部212の第2の接触部56は、コンタクト荷重を受けた当該プローブ21が弾性変形したときに、電極端子20に対して接触する。第2の接触部56の形状は、特に限定されず、例えば、丸みをもった逆三角柱又は逆三角錐等の形状としてもよい。その場合、第2の接触部56の上面部561若しくはその周辺部分と、電極端子20との接触面積が広くなり、電気的接触性が良好となる。
【0058】
導通部212の第1の接触部55は、第2の接触部56から下方に向けて延びた線状部分である。線状に形成された第1の接触部55の下端部551が、被検査体15の電極16と接触する。なお、第1の接触部55の下端部551を、電極16と接触する「接触部」とも呼ぶ。
【0059】
第1の接触部55は、第2の接触部56と同様に、例えば、銅、銅合金、ベリリウム銅合金等の導電性材料で形成されている。第2の接触部56と第1の接触部55とは、同一材料で、一体的に形成されてもよい。同一材料で、一体的に形成することで、導通特性が良好となり、高精度な検査が可能となる。
【0060】
プローブ21は、非導通ガイド部211の下端部に導通部212が設けられている。後述するように、導通部212の長さを短くすることで、被検査体15の検査時の導通経路の長さを短くすることができる。例えば、第2の接触部56及び第2の接触部を有する導通部212の長さを短くすることで、導通経路を短くすることができる。
【0061】
例えば絶縁性の合成樹脂材料で形成される非導通ガイド部211は、当該非導通ガイド部211の形状、長さ、線径等を加工しやすい。従って、導通部212の長さに依存せず、非導通ガイド部211の長さや形状を変形させるようにしてもよい。
【0062】
例えば、プローブ21の導通部212の長さを所定の長さとして、被検査体15の電極16にプローブ21を接触させる針圧を大きくしたいときは、非導通ガイド部211の長さを比較的短くし、他方、前記針圧を小さくしたいときには、非導通ガイド部211の長さを比較的長くするようにしてもよい。
【0063】
(A-1-3)プローブ21の電気的接触構造
図6(A)は、非コンタクト時におけるプローブ21の状態を示す図であり、
図6(B)は、コンタクト時におけるプローブ21の状態を示す図である。なお、
図6(A)及び
図6(B)に例示するプローブ21のサイズ、線径、長さ及び、屈曲・湾曲の程度等は強調表示をしている。
【0064】
図6(A)は、プローブ21の非導通ガイド部211のうち、被支持部51が支持穴19の天井部192に支持されている状態を示している。
【0065】
非コンタクト時のプローブ21は、被支持部51の位置から垂直下方に延びて設けられる。導通部212に形成される第1の接触部55の下端部551は、概ね、プローブ21の支持点である被支持部51の位置から垂直方向に下した線C上若しくは線C付近に位置する。
【0066】
従来は、
図2、特許文献1及び2に例示されるように、S字状に形成したプローブを配置させている。従って、プローブの上部位置と、被検査体の電極に接触させるプローブの下端部の位置とがずれている。これに対して、この実施形態のように、被支持部51の位置を通る垂線C上に下端部551を位置させることにより、被支持部51の位置と下端部551の位置とが整合(一致若しくはほぼ一致)する。従って、この実施形態によれば、被検査体15の電極16に対する、プローブ21の位置合わせを制御し易くなり、位置合わせ精度も向上する。
【0067】
また、非コンタクト時のプローブ21は、支持穴19の内壁に接触することなく収容されることが望ましい。非導通ガイド部211には屈曲部54が形成されるが、屈曲部54が支持穴19の内壁に接触せずに、プローブ21が支持穴19に収容されることが望ましい。言い換えれば、支持穴19において、支持される被支持部51の位置は、支持穴19の天井部192の中心位置である必要はない。屈曲部54が支持穴19の内壁に接触しないように、被支持部51は支持穴19の天井部192に支持するようにしてもよい。
【0068】
なお、プローブ21の弾性が弱くなる可能性があるが、変形例として、非コンタクト時のプローブ21の屈曲部54等が支持穴19の内壁に接触していてもよい。
【0069】
さらに、非コンタクト時のプローブ21は、導通部212がプローブ支持体17の下面18から突出するように支持穴19に収容される。例えば、導通部212における第2の接触部56の位置が、プローブ支持体17の下面18よりも下方に位置するように、プローブ21は支持穴19に支持される。これは、プローブ21のコンタクト時に、プローブ21の弾性変形時に、第2の接触部56と電極端子20とが電気的に接触するようにするためである。
【0070】
図6(B)は、被検査体15の電極16に対してプローブ21の下端部551が接触し、プローブ21にコンタクト荷重が作用しているときのプローブ21の状態を示している。
【0071】
プローブ21の下端部551が電極16に接触して、プローブ21にコンタクト荷重が作用すると、プローブ21は変形する。つまり、非導通ガイド部211に形成された屈曲部54が起点となり、線状の非導通ガイド部211が湾曲を強め、屈曲部54が支持穴19の内壁に接触する。屈曲部54と支持穴19の内壁面との接触により、支持穴19の軸(例えば、被支持部51からの垂線Cとしてもよい)に向かって、導通部212の他方の端部にある第2の接触部56を移動させる。そして、それとほぼ同時に、プローブ21の導通部212において、電極16と接触している下端部551が起点となり、コンタクト荷重により、線状の第1の接触部55が湾曲する。これにより、導通部212の第2の接触部56が上方に移動し、導通部212の第2の接触部56と電極端子20とが接触することになる。
【0072】
つまり、屈曲部54は、導通部212の一方の端部にある下端部511が、被検査体15の電極16に電気的に接触される際に、導通部212の他方の端部側にある第2の接触部56が電極端子20と短絡するように曲がるように機能する。
【0073】
またこのとき、支持穴19に支持されているプローブ21は、電極16に接触している接触点と、支持穴19の内壁に接触している接触点とにより支持されるので、プローブ21の姿勢を安定化させることができる。プローブ21の姿勢が安定している状態で、電極端子20に対して第2の接触部56が接触するので、電極端子20に対する第2の接触部56の摺動を抑えることができる。その結果、電極端子20と第2の接触部56との摩耗を抑えることができ、接触箇所の劣化を抑えることができ、検査精度も向上できる。
【0074】
図6(B)のコンタクト時のプローブ21の状態で、被検査体15の検査を行う場合を説明する。
【0075】
プローブ21の導通部212において、第1の接触部55の下端部551が被検査体15の電極16と電気的に接触すると共に、第2の接触部56が電極端子20と電気的に接触している。従って、電気信号が流れる導通経路は、第1の接触部55の下端部551が電極16に接触する接触点と、第2の接触部56が電極端子20に接触する接触点との間の経路となり、従来よりも導通経路を短くすることができる。
【0076】
例えば、被検査体15としての集積回路の動作速度の高速化に伴い、プローブカードには、被検査体15の高周波特性に対応させることが求められる。検査に用いられるプローブ21の長さが長くなると、その分、リアクタンス成分が大きくなり、特に高周波特性の検査精度に影響が生じ得る。
【0077】
この実施形態によれば、非導通ガイド部211と、長さが短い導通部212とで形成されるプローブ21を用いることで、導通経路が短くなるので、検査精度を向上させることができる。
【0078】
(A-2)実施形態の変形例
以下に、上述した実施形態の変形例を、図面を参照しながら説明する。
【0079】
(A-2-1)
図7(A)は、変形実施形態における非コンタクト時のプローブ21の状態を示す図であり、
図7(B)は、変形実施形態におけるコンタクト時のプローブ21の状態を示す図である。
【0080】
上述した実施形態では、電極端子20が、プローブ支持体17の下面18に設けられている場合を例示したが、
図7(A)及び
図7(B)では、導電路22と接続する電極端子20が、プローブ支持体17の支持穴19の内壁表面に設ける場合を例示する。例えば、この場合、コンタクト時に、湾曲を強めたプローブ21の第2の接触部56が支持穴19の内壁と接触する内壁表面に、電極端子20を設けるようにしてもよい。
【0081】
なお、
図7(A)及び
図7(B)では、プローブ21を収容する支持穴19の内壁のうち、コンタクト時にプローブ21の第2の接触部56が接触する支持穴19の内壁の一部分に電極端子20を設ける場合を例示している。しかし、例えば、Z方向に所定幅長の電極端子20を、支持穴19の内壁の全周に亘って設けてもよい。また例えば、支持穴19の内壁の全表面に電極端子20を設けてもよい。
【0082】
このような構造とすることで、プローブ支持体17の下面18から下方に向けて突出するプローブ21の部分(すなわち、導通部212の線状の第1の接触部55)の長さを、より短くすることができる。また、プローブ21を収容する支持穴19の径(直径)をより大きくできる。従って、支持穴19にプローブ21を収容し易くなる。
【0083】
(A-2-2)別の変形実施形態を
図8に例示する。
図8(A)は、変形実施形態における非コンタクト時のプローブ21の状態を示す図であり、
図8(B)は、変形実施形態におけるコンタクト時のプローブ21の状態を示す図である。
【0084】
図8(A)及び
図8(B)では、プローブ支持体17において、支持穴19の開口端部の一部を切り欠き、この切り欠き部(斜面)191の一部表面又は全表面に、導電路22と接続する電極端子20を設けるようにしてもよい。
【0085】
例えば、支持穴19の開口端部に設けた斜面である切り欠き部191の表面と、切り欠き部191と連なる支持穴19の内壁表面との両方又はいずれか一方に、電極端子20を設けるようにしてもよい。この場合も、支持穴19の内壁の全面に、導電路22と接続する電極端子20を設けるようにしてもよい。
【0086】
なお、切り欠き部191は、例えば支持穴19の略円形の開口端部の全周に設けるようにしてもよい。言い換えると、支持穴19の開口端部に対して、Z方向の上に向かうほど径が細くなるテーパ状に加工した切り欠き部191を設けるようにしてもよい。
【0087】
このような構造とすることで、コンタクト時に、プローブ21の第2の接触部56と電極端子20との接触性が良好となり、第2の接触部56と電極端子20との接触面積もより大きくなる。その結果、検査精度が向上する。
【0088】
(A-2-3)また別の変形実施形態を
図9に例示する。
図9(A)は、変形実施形態における非コンタクト時のプローブ21の状態を示す図であり、
図9(B)は、変形実施形態におけるコンタクト時のプローブ21の状態を示す図である。
【0089】
図9(A)及び
図9(B)では、プローブ支持体17の支持穴19が、被検査体15である半導体ウェアに対して斜め方向に設けた場合を例示する。すなわち、Z軸の垂直方向に対して所定の傾きを持たせた支持穴19を設け、プローブ21も支持穴19の傾斜に相応して斜め方向に支持されている場合を例示する。
【0090】
この場合、支持穴19の内壁面も傾斜する。他方、プローブ支持体17内には垂直方向の導電路22が設けられている。従って、プローブ支持体17内の垂直方向の導電路22が支持穴19と交差し、支持穴19の内壁の表面に現れる導電路22の部分を電極端子20としてもよい。
図9(A)及び
図9(B)では、支持穴19の傾斜する内壁面の下端部から、支持穴19の内壁の中央部付近までの広い範囲に亘って、電極端子20が設けられる場合を例示している。
【0091】
このような構造とすることで、コンタクト時に、プローブ21の第2の接触部56と電極端子20との接触性が良好となり、第2の接触部56と電極端子20との接触面積もより大きくなる。その結果、検査精度が向上する。
【0092】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、実施形態によれば、プローブ21が非導通ガイド部211と導通部212を有して形成され、支持穴19に支持されるプローブ21が、コンタクト荷重により変形することで、導通部212の第2の接触部56が支持穴19付近の電極端子20に接触する。そのため、プローブ21を経て、被検査体15の電極16と電極端子20との間で流れる電流の導通経路を短くすることができる。その結果、被検査体15の電気的特性の検査精度を向上させることができる。
【0093】
また、実施形態によれば、被検査体15の電極16にプローブ21を接触させるコンタクト時に、非導通ガイド部211に形成した屈曲部54を起点としてプローブ21が変形する。屈曲部54が支持穴19の内壁に接触する接触点と、下端部551が電極16に接触する接触点により、プローブ21の姿勢が安定する。そのため、電極端子20に対する第2の接触部56の摺動及び摩耗を抑えることができる。
【0094】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0095】
(B-1)本発明に係る電気的接触子(プローブ)は、上述した実施形態で説明した構成に限定されない。例えば、
図10(A)に例示するプローブ21Aの構成にも適用できる。
【0096】
図10(A)は、変形実施形態に係るプローブ21Aの構成を示す構成図であり、
図10(B)は、変形実施形態のコンタクト時のプローブ21Aの状態を示す図である。
【0097】
図10(A)において、プローブ21Aは、細線又は細幅板状部材の非導通ガイド部211Aと、細線又は細幅板状部材の導通部212Aとを有して形成される。
【0098】
導通部212Aは、非導通ガイド部211Aの略中央部から非導通ガイド部211Aの下端部に亘って重ねられて形成されており、導通部212Aの下端部が、非導通ガイド部211Aの下端部よりも下方に突出している。
【0099】
例えば、細幅板状部材とする非導通ガイド部211Aの一方の面(
図10(A)の左側面)に、導通部212Aが形成されるようにしてもよい。導通部212Aは、細幅板状部材であってもよい。その場合、細幅板状の導通部212Aの幅長は、非導通ガイド部211Aの幅長と同じ、若しくは、わずかに小さくしてもよい。
【0100】
非導通ガイド部211Aは、上から、支持穴19に支持される被支持部51Aと、支持部58、第1のガイド部52A、第2のガイド部53A、屈曲部54Aを有する。他方、導通部212Aは、上から、被ガイド部57、第2の接触部56A、第1の接触部55Aを有する。第1の接触部55Aの下端部551Aが、被検査体15の電極16と接触する。
【0101】
非導通ガイド部211Aの第1のガイド部52A、屈曲部54A及び第2のガイド部53Aは、導通部212Aの被ガイド部57、第2の接触部56A及び第1の接触部55Aと重なっている。
【0102】
また、屈曲部54Aは、非導通ガイド部211Aと導通部212Aとが重なっている部分において形成されている。屈曲部54Aの屈曲に伴い、導通部212Aも屈曲して、その導通部212Aの屈曲部分が第2の接触部56Aとして形成される。
【0103】
従って、
図10(B)に示すように、コンタクト時に、プローブ21Aの下端部551Aが電極16に接触して、コンタクト荷重が作用すると、非導通ガイド部211Aの屈曲部54Aが起点となり、プローブ21Aは変形する。
【0104】
このとき、屈曲部54Aと対応する位置にある第2の接触部56Aが、支持穴19の内壁にある電極端子20と接触すると共に、非導通ガイド部211Aの支持部58が湾曲して支持穴19の内壁に接触する。
【0105】
この場合も、支持穴19に支持されているプローブ21Aは、電極16に接触している接触点と、支持穴19の内壁に接触している接触点(第2の接触部56A、支持部58の接触点58A)とにより支持されるので、プローブ21Aの姿勢を安定化させることができる。
【0106】
つまり、プローブ21Aの姿勢が安定している状態で、電極端子20に対して第2の接触部56Aが接触するので、電極端子20に対する第2の接触部56Aの摺動を抑えることができる。その結果、電極端子20と第2の接触部56Aとの摩耗を抑えることができ、接触箇所の劣化を抑えることができ、検査精度も向上できる。
【0107】
なお、
図10(B)では、電極端子20が、支持穴19の内壁表面に設けられている場合を例示している。しかし、電極端子20は、
図6(A)及び
図6(B)に例示するようにプローブ支持体17の下面18に設けられてもよいし、又は、
図8(A)及び
図8(B)に例示するように、切り欠き部191及び又は支持穴19の内壁面に設けられてもよい。
【0108】
(B-2)上述した実施形態では、プローブ21が配線接続するための電極端子が、支持穴19付近又は支持穴19の内壁に設けられる場合を例示した。電極端子20の位置は、コンタクト荷重によりプローブ21が変形したときに、第2の接触部56と接触可能な位置であればよく、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0109】
(B-3)上述した実施形態では、プローブ21の非導通ガイド部211が、屈曲部54を有する場合を例示したが、非導通ガイド部211に設ける屈曲部54の数は、1個に限らず、複数個(例えば2個以上)であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…電気的接続装置、5…プローブ組立体、15…被検査体、16…電極、17…プローブ支持体、18…プローブ支持体の下面、19…支持穴、191…切り欠き部、192…天井部、20…電極端子、21及び21A…電気的接触子(プローブ)、211及び211A…非導通ガイド部、212及び212A…導通部、51及び51A…被支持部、52及び52A…第1のガイド部、53及び53A…第2のガイド部、54及び54A…屈曲部、55及び55A…第1の接触部、551…下端部、56及び56A…第2の接触部、57…被ガイド部、58…支持部。