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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/56 20060101AFI20240722BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20240722BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20240722BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240722BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65H3/56 330S
B65H1/04 310A
B65H11/00 A
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020148378
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022042788
(43)【公開日】2022-03-15
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 健吾
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-071343(JP,A)
【文献】特開2018-122954(JP,A)
【文献】特開平08-317097(JP,A)
【文献】特開平07-315627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/56
B65H 1/04
B65H 11/00
H04N 1/00
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能に本体に対して支持されるカバーと、
前記カバーが閉鎖されるときに前記本体と前記カバーとの間に形成される搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、
突出位置に配置されるときに前記搬送路に突出して前記媒体を保持し、退避位置に配置されるときに前記搬送路から退避する媒体保持部と、
前記カバーが開放されるときに、前記媒体保持部を前記突出位置に配置させ、前記カバーが閉鎖されるときに、前記媒体保持部を前記退避位置に配置させる機構とを備え
前記機構は、
前記カバーに固定される突起部と、
前記媒体保持部に固定されるアーム部と、
前記媒体保持部が前記突出位置に向かって移動するように、前記媒体保持部に力を与える弾性体部とを有し、
前記媒体保持部は、
前記カバーが閉鎖されるときに、前記突起部が前記アーム部に接触することにより、前記退避位置に配置され、
前記カバーが開放されるときに、前記突起部が前記アーム部から離れることにより、前記突出位置に配置され
媒体搬送装置。
【請求項2】
前記媒体保持部は、回転軸を中心に回転可能に前記本体に支持され、第1方向に回転することにより前記退避位置から前記突出位置に向かって移動し、前記第1方向と反対の第2方向に回転することにより前記突出位置から前記退避位置に向かって移動し、
前記媒体保持部に保持される媒体は、前記媒体保持部が前記第1方向に回転するように、前記媒体保持部に力を与え、
前記機構は、前記媒体保持部が前記突出位置に配置されるときに、前記媒体保持部が前記第1方向に回転しないように前記媒体保持部を固定するストッパ部をさらに有する
請求項に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
開閉可能に本体に対して支持されるカバーと、
前記カバーが閉鎖されるときに前記本体と前記カバーとの間に形成される搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、
突出位置に配置されるときに前記搬送路に突出して前記媒体を保持し、退避位置に配置されるときに前記搬送路から退避する媒体保持部と、
前記カバーが開放されるときに、前記媒体保持部を前記突出位置に配置させ、前記カバーが閉鎖されるときに、前記媒体保持部を前記退避位置に配置させる機構と、
前記カバーが閉鎖されているか否かを検出する開閉センサと、
前記媒体保持部に媒体が保持されているか否かを検出する媒体センサと、
メッセージを表示する表示部と、
前記カバーが閉鎖されていないことを前記開閉センサが検出し、かつ、前記媒体保持部に媒体が保持されていることを前記媒体センサが検出したときに、前記カバーが閉鎖されることを禁止するメッセージを前記表示部に表示させる制御部
を備る媒体搬送装置。
【請求項4】
開閉可能に本体に対して支持されるカバーと、
前記カバーが閉鎖されるときに前記本体と前記カバーとの間に形成される搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、
突出位置に配置されるときに前記搬送路に突出して前記媒体を保持し、退避位置に配置されるときに前記搬送路から退避する媒体保持部と、
前記カバーが開放されるときに、前記媒体保持部を前記突出位置に配置させ、前記カバーが閉鎖されるときに、前記媒体保持部を前記退避位置に配置させる機構と、
前記カバーが閉鎖されているか否かを検出する開閉センサと、
前記媒体保持部に媒体が保持されているか否かを検出する媒体センサと、
前記カバーが閉鎖されていないことを前記開閉センサが検出し、かつ、前記媒体保持部に媒体が保持されていることを前記媒体センサが検出したときに、前記カバーが閉鎖されないように前記カバーを前記本体に固定するロック部
を備る媒体搬送装置。
【請求項5】
前記本体に固定される給紙トレイと、
前記カバーが開放されるときに、前記給紙トレイに載置される複数の媒体を保持しないで、前記カバーが閉鎖されているときに、前記複数の媒体を保持して前記複数の媒体のうちの1つの媒体を前記搬送路に供給する給紙機構
とをさらに備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の技術は、媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体が載置された載置台が傾斜した場合でも、媒体が載置台から落下することを防止する機構が設けられている媒体搬送装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-163471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような媒体搬送装置では、媒体を保持する機構が媒体を解放したときに、媒体がさらに落下することがある。このとき、ユーザは、その落下した媒体を載置台に再度載置するときに、その落下した複数の媒体を回収して揃え直す必要があり、その落下した媒体を載置台に再度載置する作業に手間がかかるという問題がある。
【0005】
開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、保持から解放された媒体を取り扱うユーザの作業を容易化する媒体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による媒体搬送装置は、開閉可能に本体に対して支持されるカバーと、前記カバーが閉鎖されるときに前記本体と前記カバーとの間に形成される搬送路に沿って媒体を搬送する搬送部と、突出位置に配置されるときに前記搬送路に突出して前記媒体を保持し、退避位置に配置されるときに前記搬送路から退避する媒体保持部と、前記カバーが開放されるときに、前記媒体保持部を前記突出位置に配置させ、前記カバーが閉鎖されるときに、前記媒体保持部を前記退避位置に配置させる機構とを備えている。前記機構は、前記カバーに固定される突起部と、前記媒体保持部に固定されるアーム部と、前記媒体保持部が前記突出位置に向かって移動するように、前記媒体保持部に力を与える弾性体部とを有し、前記媒体保持部は、前記カバーが閉鎖されるときに、前記突起部が前記アーム部に接触することにより、前記退避位置に配置され、前記カバーが開放されるときに、前記突起部が前記アーム部から離れることにより、前記突出位置に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
開示の媒体搬送装置は、保持から解放された媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置を示す側面図である。
図2図2は、実施例の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置を示す斜視図である。
図3図3は、カバーが開放位置に配置されているときの画像読取装置を示す斜視図である。
図4図4は、媒体保持部材を示す斜視図である。
図5図5は、画像読取装置本体のうちの媒体保持部材が配置される領域を示す斜視図である。
図6図6は、画像読取装置本体のうちの右側アーム部の周辺を示す斜視図である。
図7図7は、画像読取装置本体のうちの右側アーム部の周辺を示す側面断面図である。
図8図8は、画像読取装置本体のうちの右側アーム部の周辺を示す側面断面図である。
図9図9は、カバーが閉鎖位置に配置されているときの媒体保持部材と給紙機構とを示す側面断面図である。
図10図10は、カバーが開放位置に配置されているときの媒体保持部材と給紙機構とを示す側面断面図である。
図11図11は、画像読取装置を示すブロック図である。
図12図12は、カバーが開放位置に配置されるときの画像読取装置を示す斜視図である。
図13図13は、右側媒体保持部と左側媒体保持部とに保持される媒体を示す斜視図である。
図14図14は、右側媒体保持部と左側媒体保持部とに保持される媒体を示す拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願が開示する実施形態にかかる媒体搬送装置について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載により本開示の技術が限定されるものではない。また、以下の記載においては、同一の構成要素に同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0010】
実施例の媒体搬送装置は、図1に示されているように、画像読取装置1に設けられている。図1は、実施例の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置1を示す側面図である。画像読取装置1は、画像読取装置本体2と給紙トレイ3とカバー5とを備えている。画像読取装置本体2は、画像読取装置1が設置される設置面6に載置される。画像読取装置本体2の上部には、概ね平坦である下側ガイド面7が形成されている。画像読取装置本体2は、下側ガイド面7のうちの奥側の端と設置面6との距離が、下側ガイド面7のうちの手前側の端と設置面6との距離より大きくなるように、すなわち、下側ガイド面7が斜め上方を向くように、形成されている。
【0011】
給紙トレイ3は、概ね板状に形成されている。給紙トレイ3には、概ね平坦である載置面8が形成されている。給紙トレイ3は、載置面8が斜め上方を向くように、かつ、下側ガイド面7が沿う平面に載置面8が沿うように、画像読取装置本体2の奥側に配置されている。給紙トレイ3は、さらに、下側ガイド面7と載置面8とが滑らかに接続されるように配置され、画像読取装置本体2に固定されている。すなわち、載置面8のうちの奥側の端と設置面6との距離は、載置面8のうちの手前側の端と設置面6との距離より大きい。
【0012】
カバー5は、概ね板状に形成されている。カバー5は、画像読取装置本体2の上に配置されている。カバー5は、カバー5が閉鎖位置または開放位置に配置されるように、回転軸11を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。回転軸11は、設置面6が沿う平面に平行であり、画像読取装置本体2のうちの手前側に配置されている。カバー5には、概ね平坦である上側ガイド面12が形成されている。カバー5は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、下側ガイド面7が沿う平面に平行である他の平面に上側ガイド面12が沿うように、かつ、下側ガイド面7と上側ガイド面12とが向かい合うように、配置される。
【0013】
画像読取装置1には、給紙口14と排紙口15と搬送路16が形成されている。給紙口14は、下側ガイド面7のうち奥側の端の上側に形成され、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、画像読取装置本体2とカバー5との間に形成される隙間17のうちの給紙トレイ3に近い側の端に形成される。排紙口15は、下側ガイド面7のうち手前側の端の上側に形成され、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、隙間17のうちの給紙トレイ3から遠い側の端に形成される。このとき、排紙口15は、給紙口14より低い位置に配置され、すなわち、排紙口15と設置面6との間の距離は、給紙口14と設置面6との間の距離より短い。
【0014】
搬送路16は、下側ガイド面7の上側に形成され、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、隙間17に形成される。搬送路16は、給紙トレイ3の載置面8が沿う平面に沿うように、形成されている。さらに、搬送路16は、給紙口14に接続され、排紙口15に接続され、搬送路16のうちの排紙口15に近い側の端が搬送路16のうちの給紙口14に近い側の端より下側に配置されるように、設置面6が沿う平面に対して傾斜している。
【0015】
図2は、実施例の媒体搬送装置が設けられた画像読取装置1を示す斜視図である。画像読取装置1は、表示部18を備えている。表示部18は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、画像読取装置本体2の上面のうちのカバー5により覆われない領域に配置されている。
【0016】
図3は、カバー5が開放位置に配置されているときの画像読取装置1を示す斜視図である。搬送路16は、カバー5が開放位置に配置されることにより、外部に露出される。画像読取装置1は、給紙機構21と搬送部22と読取部23と媒体保持部材24と媒体センサ25とをさらに備えている。給紙機構21は、搬送路16のうちの給紙口14の近傍に配置されている。
【0017】
搬送部22は、上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27とを備えている。上流側搬送ローラ26は、円柱状に形成されている。上流側搬送ローラ26は、回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。上流側搬送ローラ26は、上流側搬送ローラ26の一部が下側ガイド面7から搬送路16のうちの給紙機構21と排紙口15との間に突出するように、配置されている。下流側搬送ローラ27は、円柱状に形成されている。下流側搬送ローラ27は、回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。下流側搬送ローラ27は、下流側搬送ローラ27の一部が下側ガイド面7から搬送路16のうちの上流側搬送ローラ26と排紙口15との間に突出するように、配置されている。
【0018】
搬送部22は、図示されていない上流側プレッシャローラと下流側プレッシャローラとをさらに備えている。上流側プレッシャローラは、円柱状に形成されている。上流側プレッシャローラは、回転可能にカバー5に支持されている。上流側プレッシャローラは、上流側プレッシャローラの一部が上側ガイド面12から突出するように、かつ、カバー5が閉鎖位置に配置されるときに上流側プレッシャローラが上流側搬送ローラ26に接触するように、配置されている。上流側プレッシャローラは、カバー5が開放位置に配置されるときに、上流側搬送ローラ26から離れる。下流側プレッシャローラは、円柱状に形成されている。下流側プレッシャローラは、回転可能にカバー5に支持されている。下流側プレッシャローラは、下流側プレッシャローラの一部が上側ガイド面12から突出するように、かつ、カバー5が閉鎖位置に配置されるときに下流側プレッシャローラが下流側搬送ローラ27に接触するように、配置されている。下流側プレッシャローラは、カバー5が開放位置に配置されるときに、下流側搬送ローラ27から離れる。
【0019】
読取部23は、CIS(Contact Image Sensor)タイプのイメージセンサから形成されている。読取部23は、読取部23の一部が搬送路16のうちの上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27との間に露出するように、画像読取装置本体2の内部に配置されている。読取部23は、搬送路16に沿って搬送される媒体のうちの読取部23に対向する下側読取面の画像を撮像する。
【0020】
媒体保持部材24は、搬送路16のうちの給紙機構21と搬送部22の上流側搬送ローラ26との間に配置されている。媒体保持部材24は、回転軸28を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。回転軸28は、回転軸11に平行である。媒体センサ25は、媒体センサ25の一部が搬送路16のうちの給紙機構21と媒体保持部材24との間に露出するように、画像読取装置本体2の内部に配置されている。媒体センサ25は、搬送路16のうちの給紙機構21と媒体保持部材24との間に媒体が配置されているか否かを検出する。
【0021】
図4は、媒体保持部材24を示す斜視図である。媒体保持部材24は、シャフト部31と右側アーム部32と左側アーム部33と右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを備えている。シャフト部31は、棒状に形成されている。右側アーム部32は、帯状に形成されている。右側アーム部32は、シャフト部31が沿う1つの平面に沿うように、シャフト部31の一端の近傍に配置され、シャフト部31に固定されている。左側アーム部33は、帯状に形成されている。左側アーム部33は、右側アーム部32が沿う平面に沿うように、シャフト部31の他端の近傍に配置され、シャフト部31に固定されている。右側媒体保持部34は、帯状に形成されている。右側媒体保持部34は、右側アーム部32が沿う平面に沿うように、右側アーム部32と左側アーム部33との間に配置され、シャフト部31に固定されている。左側媒体保持部35は、帯状に形成されている。左側媒体保持部35は、右側アーム部32が沿う平面に沿うように、左側アーム部33と右側媒体保持部34との間に配置され、シャフト部31に固定されている。すなわち、右側アーム部32と左側アーム部33とは、シャフト部31に固定されることにより、シャフト部31を介して右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに固定されている。
【0022】
図5は、画像読取装置本体2のうちの媒体保持部材24が配置される領域を示す斜視図である。画像読取装置本体2の下側ガイド面7には、窪み36が形成されている。シャフト部31は、シャフト部31が回転軸28に沿うように、窪み36の内部に配置されている。媒体保持部材24は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置または退避位置に配置されるように、回転軸28を中心に回転可能に支持されている。すなわち、媒体保持部材24は、媒体保持部材24が回転軸28を中心に回転しても、シャフト部31が常時に窪み36の内部に配置されるように、形成されている。媒体保持部材24は、さらに、搬送路16が右側アーム部32と左側アーム部33との間に配置されるように、すなわち、右側アーム部32と左側アーム部33とが搬送路16の外側に配置されるように、形成されている。媒体保持部材24は、さらに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されているときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが下側ガイド面7から搬送路16に突出するように、形成されている。媒体保持部材24は、さらに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが退避位置に配置されているときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが下側ガイド面7から搬送路16に突出しないで窪み36の内部に配置されるように、形成されている。
【0023】
画像読取装置1は、右側ばね37と左側ばね38とをさらに備えている。図6は、画像読取装置本体2のうちの右側アーム部32の周辺を示す斜視図である。右側ばね37は、ねじりコイルばねから形成されている。右側ばね37は、窪み36の内部に配置されている。右側ばね37の一端は、画像読取装置本体2に固定され、右側ばね37の他端は、右側アーム部32に固定されている。右側ばね37は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に向かって移動するように、右側アーム部32を介して媒体保持部材24に弾性力を与えている。
【0024】
左側ばね38は、右側ばね37と同様に形成されている。すなわち、左側ばね38は、ねじりコイルばねから形成されている。左側ばね38は、窪み36の内部に配置されている。左側ばね38の一端は、画像読取装置本体2に固定され、左側ばね38の他端は、左側アーム部33に固定されている。左側ばね38は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に向かって移動するように、左側アーム部33を介して媒体保持部材24に弾性力を与えている。
【0025】
画像読取装置1は、右側ストッパ部39をさらに備えている。右側ストッパ部39は、帯状に形成されている。図7は、画像読取装置本体2のうちの右側アーム部32の周辺を示す側面断面図である。右側ストッパ部39は、下側ガイド面7から搬送路16に突出しないように、窪み36の内部に配置され、画像読取装置本体2に固定されている。右側ストッパ部39は、さらに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されているときに右側ストッパ部39が右側アーム部32に接触するように、形成されている。
【0026】
右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、媒体保持部材24が回転軸28を中心に第1方向(図7で反時計回り)に回転するときに、回転軸28を中心に突出位置に向かって回転する。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、媒体保持部材24が回転軸28を中心に第2方向(図7で時計回り)に回転するときに、回転軸28を中心に退避位置に向かって回転する。このとき、右側ばね37は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に向かって移動するように、すなわち、媒体保持部材24が第1方向に回転するように、右側アーム部32を介して媒体保持部材24に弾性力を与えている。左側ばね38は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に向かって移動するように、すなわち、媒体保持部材24が第1方向に回転するように、左側アーム部33を介して媒体保持部材24に弾性力を与えている。右側ストッパ部39は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されているときに、媒体保持部材24が第1方向に回転しないように、媒体保持部材24を固定している。
【0027】
画像読取装置1は、図示されていない左側ストッパ部をさらに備えている。左側ストッパ部も、右側ストッパ部39と同様に形成されている。すなわち、左側ストッパ部は、帯状に形成されている。左側ストッパ部は、下側ガイド面7から搬送路16に突出しないように、窪み36の内部に配置され、画像読取装置本体2に固定されている。左側ストッパ部は、さらに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されているときに左側ストッパ部が左側アーム部33に接触するように、形成されている。左側ストッパ部は、このように形成されることにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されているときに、媒体保持部材24が第1方向に回転しないように、媒体保持部材24を固定している。
【0028】
図8は、画像読取装置本体2のうちの右側アーム部32の周辺を示す側面断面図である。画像読取装置1は、右側突起部41をさらに備えている。右側突起部41は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、上側ガイド面12のうちの右側アーム部32に対向する領域に配置され、カバー5に固定されている。すなわち、右側突起部41は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、上側ガイド面12のうちの右側アーム部32に対向する領域から搬送路16に突出するように形成されている。媒体保持部材24は、カバー5が閉鎖位置向かって回転するときに、右側突起部41が右側アーム部32に接触し、右側アーム部32が右側突起部41に押されることにより、第2方向に回転する。
【0029】
画像読取装置1は、左側突起部44をさらに備えている。図9は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときの媒体保持部材24と給紙機構21とを示す側面断面図である。左側突起部44は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、上側ガイド面12のうちの左側アーム部33に対向する領域に配置され、カバー5に固定されている。すなわち、左側突起部44は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、上側ガイド面12のうちの左側アーム部33に対向する領域から搬送路16に突出するように形成されている。媒体保持部材24は、カバー5が閉鎖位置向かって回転するときに、左側突起部44が左側アーム部33に接触し、左側アーム部33が左側突起部44に押されることにより、第2方向に回転する。
【0030】
右側アーム部32は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、右側突起部41に押されることにより、下側ガイド面7から突出しないように窪み36の内部に配置される。左側アーム部33は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、左側突起部44に押されることにより、下側ガイド面7から突出しないように窪み36の内部に配置される。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、右側アーム部32と左側アーム部33とが窪み36の内部に配置されることにより、退避位置に配置される。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが退避位置に配置されているときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが下側ガイド面7から搬送路16に突出しないように、窪み36の内部に配置される。
【0031】
給紙機構21は、ブレーキローラ42とピックローラ43とを備え、図示されていないトルクリミッタを備えている。ブレーキローラ42は、円柱状に形成され、回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。ピックローラ43は、円柱状に形成され、回転可能にカバー5に支持されている。ピックローラ43は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに、ブレーキローラ42に接触するように形成されている。トルクリミッタは、後述される搬送モータ54からブレーキローラ42に回転を伝達する。ブレーキローラ42は、トルクリミッタを介して回転が伝達されることにより、回転する。トルクリミッタは、ブレーキローラ42に加わる負荷が、予め定められた閾値より大きいときに、搬送モータ54からブレーキローラ42に回転を伝達しない。
【0032】
図10は、カバー5が開放位置に配置されているときの媒体保持部材24と給紙機構21とを示す側面断面図である。ピックローラ43は、カバー5が開放位置に配置されているときに、ブレーキローラ42から離れる。
【0033】
右側突起部41と左側突起部44とは、カバー5が開放位置に配置されているときに、右側アーム部32と左側アーム部33とから離れている。媒体保持部材24は、右側突起部41と左側突起部44とが右側アーム部32と左側アーム部33とから離れているときに、右側ばね37の弾性力と左側ばね38の弾性力とにより、第1方向に回転する。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、媒体保持部材24が第1方向に回転することにより、第1方向に回転し、突出位置に向かって移動し、突出位置に配置される。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されることにより、下側ガイド面7から搬送路16に突出する。すなわち、右側突起部41と左側突起部44と右側アーム部32と左側アーム部33と右側ばね37と左側ばね38とは、カバー5の開閉に連動して右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを突出位置または退避位置に配置させる機構を形成している。
【0034】
図11は、画像読取装置1を示すブロック図である。画像読取装置1は、スキャンボタン51と給紙センサ52と開閉センサ53と搬送モータ54とロック部55と制御装置56とをさらに備えている。スキャンボタン51は、画像読取装置本体2の外側に配置されている。スキャンボタン51は、ユーザに押下されたか否かを検出し、検出結果を制御装置56に出力する。給紙センサ52は、給紙トレイ3に媒体が載置されているか否かを検出し、検出結果を制御装置56に出力する。開閉センサ53は、カバー5が閉鎖位置に配置されているか否かを検出し、検出結果を制御装置56に出力する。搬送モータ54は、制御装置56に制御されることにより、給紙機構21のブレーキローラ42を逆回転させ、ピックローラ43を正回転させ、搬送部22の上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27とを正回転させる。ロック部55は、制御装置56に制御されることにより、カバー5が開放位置から閉鎖位置に向かって回転しないようにカバー5を画像読取装置本体2に固定したり、カバー5を画像読取装置本体2に対する固定から解放したりする。
【0035】
制御装置56は、コンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)57と記憶装置58とを備えている。CPU57は、制御装置56にインストールされているコンピュータプログラムを実行することにより、情報処理し、記憶装置58を制御する。CPU57は、さらに、表示部18と読取部23と媒体センサ25とスキャンボタン51と給紙センサ52と開閉センサ53と搬送モータ54とロック部55とを制御する。記憶装置58は、制御装置56にインストールされるコンピュータプログラムを記録し、CPU57により利用される情報を記録する。記憶装置58としては、RAM、ROM等のメモリ、ハードディスクのような固定ディスク装置、SSD(Solid State Drive)が例示される。
【0036】
[画像読取装置1の動作]
ユーザは、画像読取装置1を用いて複数の媒体の画像を読み取りたいときに、カバー5を閉鎖位置に配置することによりカバー5を閉鎖し、複数の媒体を給紙トレイ3に載置する。複数の媒体としては、原稿が例示される。媒体保持部材24の右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、カバー5が閉鎖位置に配置されていることにより、退避位置に配置されている。給紙トレイ3に載置された複数の媒体は、載置面8が傾斜していることにより、重力により給紙口14に向かって移動する。給紙口14に向かって移動した複数の媒体は、給紙口14に挿入され、給紙機構21のブレーキローラ42またはピックローラ43に接触することにより給紙機構21に保持される。ユーザは、複数の媒体がカバー5に載置された後に、スキャンボタン51を押下する。
【0037】
制御装置56は、スキャンボタン51が押下されたことが検出されたときに、開閉センサ53を制御することにより、カバー5が閉鎖位置に配置されているか否かを判定する。制御装置56は、カバー5が閉鎖位置に配置されていると判定されたときに、給紙センサ52を制御することにより、媒体が給紙トレイ3に載置されているか否かを判定する。制御装置56は、媒体が給紙トレイ3に載置されていると判定されたときに、搬送モータ54を制御することにより、ピックローラ43を正回転させ、搬送部22の上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27とを正回転させる。このとき、給紙機構21のトルクリミッタは、ブレーキローラ42が逆回転するように、搬送モータ54からブレーキローラ42に回転を伝達する。
【0038】
給紙機構21に接触している媒体は、ピックローラ43が正回転することにより、ブレーキローラ42とピックローラ43との間に進入し、ブレーキローラ42とピックローラ43との間に挟まれる。ブレーキローラ42は、複数の媒体がブレーキローラ42とピックローラ43との間に挟まれるときに、トルクリミッタを介して搬送モータ54からブレーキローラ42に回転が伝達されることにより、逆回転する。複数の媒体のうちのブレーキローラ42に接触する媒体は、ブレーキローラ42が逆回転することにより、給紙トレイ3に向かって搬送される。ブレーキローラ42は、1つの媒体がブレーキローラ42とピックローラ43との間に挟まれるときに、負荷が閾値より大きくなり、トルクリミッタを介して搬送モータ54から回転が伝達されず、ピックローラ43の回転に追従して正回転する。給紙機構21は、ブレーキローラ42とピックローラ43とがこのように回転することにより、給紙トレイ3に載置される複数の媒体のうちの一番上の1つの媒体を搬送路16に供給する。
【0039】
搬送路16に供給された媒体は、ピックローラ43が正回転することにより、搬送路16に沿って排紙口15に向かって搬送され、搬送部22の上流側搬送ローラ26に接触する。上流側搬送ローラ26に接触した媒体は、上流側搬送ローラ26が正回転することにより、上流側搬送ローラ26と上流側プレッシャローラとの間に挟まれ、搬送部22により保持される。上流側搬送ローラ26と上流側プレッシャローラとの間に挟まれた媒体は、上流側搬送ローラ26が正回転することにより、搬送路16に沿って排紙口15に向かって搬送される。上流側搬送ローラ26により搬送路16に沿って排紙口15に向かって搬送された媒体は、下流側搬送ローラ27に接触する。下流側搬送ローラ27に接触した媒体は、下流側搬送ローラ27が正回転することにより、下流側搬送ローラ27と下流側プレッシャローラとの間に挟まれ、搬送部22により保持される。下流側搬送ローラ27と下流側プレッシャローラとの間に挟まれた媒体は、下流側搬送ローラ27が正回転することにより、搬送路16に沿って排紙口15に向かって搬送される。
【0040】
制御装置56は、媒体が搬送路16に沿って搬送されているときに、読取部23を制御することにより、搬送路16に沿って搬送される媒体の画像を撮像し、その撮像された画像のデータを記憶装置58に記録する。画像が撮像された媒体は、下流側搬送ローラ27が正回転することにより、さらに、搬送路16に沿って排紙口15に向かって搬送され、排紙口15を介して画像読取装置1から排出される。
【0041】
ユーザは、たとえば、画像読取装置1に紙詰まりが発生したときに、紙詰まりを解消するために、カバー5を開放してカバー5を開放位置に配置することがある。カバー5が閉鎖位置に配置されるときに給紙トレイ3に載置される複数の媒体61は、給紙機構21のピックローラ43がブレーキローラ42に接触していることにより、ブレーキローラ42またはピックローラ43に引っ掛かり、給紙機構21に保持されている。
【0042】
図12は、カバー5が開放位置に配置されるときの画像読取装置1を示す斜視図である。右側突起部41と左側突起部44とは、カバー5が開放位置に配置されるときに、媒体保持部材24の右側アーム部32と左側アーム部33とから離れる。媒体保持部材24は、右側突起部41と左側突起部44とが右側アーム部32と左側アーム部33とから離れるときに、右側ばね37と左側ばね38との弾性力により、第1方向に回転する。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、媒体保持部材24が第1方向に回転することにより、突出位置に向かって移動し、突出位置に配置され、搬送路16に突出する。
【0043】
搬送部22の上流側プレッシャローラと下流側プレッシャローラとは、カバー5が開放位置に配置されるときに、上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27とからそれぞれ離れる。給紙機構21のピックローラ43は、カバー5が開放位置に配置されるときに、ブレーキローラ42から離れる。給紙機構21は、ピックローラ43がブレーキローラ42から離れることにより、複数の媒体61を保持から解放する。複数の媒体61は、給紙機構21から解放されることにより、搬送路16に沿って排紙口15に向かって移動する。
【0044】
搬送路16に沿って移動した複数の媒体61は、図13に示されているように、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが搬送路16に突出していることにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに引っ掛かって保持される。図13は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持される媒体を示す斜視図である。このように、画像読取装置1は、複数の媒体61が給紙トレイ3に載置されている場合で、カバー5が開放位置に配置されたときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とで複数の媒体61を保持することができる。媒体保持部材24には、複数の媒体61が右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持されるときに、複数の媒体61の重さにより、媒体保持部材24が第1方向に回転するように、力が加わる。媒体保持部材24は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されているときに、右側ストッパ部39と左側ストッパ部とにより第1方向に回転しないように、固定されている。画像読取装置1は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置にこのように固定されることにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とで複数の媒体61を適切に保持することができる。画像読取装置1は、複数の媒体61が右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持されることにより、複数の媒体61が排紙口15まで落下することを防止することができる。
【0045】
図14は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持される媒体を示す拡大斜視図である。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持された複数の媒体61の一部は、搬送路16のうちの給紙機構21と媒体保持部材24との間に配置される。このため、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持された複数の媒体61は、媒体センサ25により検出される。すなわち、媒体センサ25は、搬送路16のうちの給紙機構21と媒体保持部材24との間に媒体が配置されているか否かを検出することにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されているか否かを検出することができる。
【0046】
制御装置56は、カバー5が閉鎖位置に配置されていないことを開閉センサ53が検出したときに、媒体センサ25を制御することにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより媒体が保持されているか否かを判定する。制御装置56は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより媒体が保持されていると判定されたときに、表示部18を制御することにより、カバー5を閉鎖することを禁止する禁止メッセージを表示部18に表示する。制御装置56は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより媒体が保持されていると判定されたときに、さらに、ロック部55を制御することにより、カバー5が閉鎖位置に向かって移動しないように、カバー5を画像読取装置本体2に固定する。
【0047】
制御装置56は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより媒体が保持されていないと判定されたときに、カバー5を閉鎖することを禁止するメッセージが表示部18に表示されないように表示部18を制御する。制御装置56は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより媒体が保持されていないと判定されたときに、さらに、ロック部55を制御することにより、カバー5が閉鎖位置に配置されるように、カバー5を解放する。
【0048】
右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持されている媒体は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが第2方向に回転することにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに干渉し、損傷することがある。このような動作によれば、画像読取装置1は、禁止メッセージが表示部18に表示されることにより、カバー5が閉鎖位置に配置されないようにユーザに促し、媒体の損傷を防止することができる。このような動作によれば、画像読取装置1は、さらに、カバー5が閉鎖位置に配置されないようにカバー5が開放位置で画像読取装置本体2に固定されることにより、媒体の損傷を防止することができる。
【0049】
ユーザは、カバー5を閉鎖位置に配置したいときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持されている複数の媒体61を画像読取装置1から取り除いた後に、カバー5を閉鎖位置に配置する。ユーザは、複数の媒体61の画像を読み取りたいときに、カバー5を閉鎖位置に配置し、複数の媒体61を給紙トレイ3に再度載置する。
【0050】
比較例の媒体搬送装置は、既述の実施例の媒体搬送装置の媒体保持部材24が省略されたものであり、他の部分は、既述の実施例の媒体搬送装置と同じである。比較例の媒体搬送装置では、給紙トレイ3に載置されている複数の媒体61は、給紙機構21から解放されたときに、搬送路16に沿って落下し、排紙口15に挟まったり、排紙口15を通過して設置面6に散乱したりする。ユーザは、複数の媒体61が排紙口15に挟まったときに、複数の媒体61が損傷しないように、複数の媒体61を排紙口15から注意深く引き抜く必要がある。ユーザは、複数の媒体61が設置面6に散乱したときに、複数の媒体61を拾い集める必要がある。既述の実施例の媒体搬送装置は、複数の媒体61が給紙機構21から解放されたときに、複数の媒体61を排紙口15から注意深く引き抜いたり、複数の媒体61を拾い集めたりする必要がなく、複数の媒体61を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0051】
[実施例の媒体搬送装置の効果]
実施例の媒体搬送装置は、カバー5と搬送部22と右側媒体保持部34と左側媒体保持部35と機構とを備えている。カバー5は、開閉可能に画像読取装置本体2に対して支持されている。搬送部22は、カバー5が閉鎖位置に配置されているときに画像読取装置本体2とカバー5との間に形成される搬送路16に沿って媒体を搬送する。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、突出位置に配置されるときに搬送路16に突出し、退避位置に配置されるときに搬送路16から退避する。機構は、カバー5が開放されるときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを突出位置に配置させ、カバー5が閉鎖されるときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを退避位置に配置させる。
【0052】
このとき、実施例の媒体搬送装置は、カバー5が開放位置に配置されることにより媒体が解放される場合でも、カバー5が開放位置に配置されたときに、媒体を保持することができ、媒体が落下することを防止することができる。実施例の媒体搬送装置は、カバー5が開放位置に配置されたときに媒体が保持されることにより、カバー5が開放位置に配置されたときに解放される媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0053】
また、実施例の媒体搬送装置は、給紙トレイ3と給紙機構21とをさらに備えている。給紙トレイ3は、画像読取装置本体2に固定されている。給紙機構21は、カバー5が閉鎖位置に配置されるときに、給紙トレイ3に載置される複数の媒体を保持し、複数の媒体のうちの1つの媒体を搬送路16に供給する。給紙機構21は、カバー5が開放位置に配置されるときに、給紙トレイ3に載置される複数の媒体を保持しないで、複数の媒体を解放する。
【0054】
このとき、給紙トレイ3に載置される媒体は、カバー5が開放位置に配置されたときに、給紙機構21が媒体を解放することにより、落下することがある。実施例の媒体搬送装置は、カバー5が開放位置に配置されるときに給紙機構21により解放された媒体を保持することができ、媒体が落下することを防止することができる。
【0055】
また、実施例の媒体搬送装置の機構は、右側突起部41と左側突起部44と右側アーム部32と左側アーム部33と右側ばね37と左側ばね38とを備えている。右側突起部41と左側突起部44とは、カバー5に固定されている。右側アーム部32と左側アーム部33とは、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに固定されている。右側ばね37と左側ばね38とは、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に向かって移動するように、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに力を与える。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、カバー5が閉鎖位置に配置されるときに、右側突起部41と左側突起部44とが右側アーム部32と左側アーム部33に接触することにより、退避位置に配置される。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、カバー5が開放位置に配置されるときに、右側突起部41と左側突起部44とが右側アーム部32と左側アーム部33から離れることにより、突出位置に配置される。
【0056】
このとき、実施例の媒体搬送装置は、カバー5の移動に連動して右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが機械的に移動することにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35との移動に電力を必要としないで、消費電力を低減することができる。さらに、このような機構は、容易に作製されることができ、媒体搬送装置の製造コストを低減することができる。
【0057】
また、実施例の媒体搬送装置の右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、回転軸28を中心に回転可能に画像読取装置本体2に支持されている。右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、第1方向に回転することにより退避位置から突出位置に移動し、第1方向と反対の第2方向に回転することにより突出位置から退避位置に移動する。複数の媒体は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持されているときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが第1方向に回転するように、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに力を与える。機構は、突出位置に配置される右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが第1方向に回転しないように、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを固定する右側ストッパ部39と左側ストッパ部とをさらに備えている。
【0058】
このとき、実施例の媒体搬送装置は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより保持される媒体により右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが搬送路16から退避位置に向かって移動することを防止することができる。この結果、実施例の媒体搬送装置は、媒体が落下しないように、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより媒体を適切に保持することができる。
【0059】
また、実施例の媒体搬送装置は、開閉センサ53と媒体センサ25と表示部18と制御装置56とをさらに備えている。開閉センサ53は、カバー5が閉鎖位置に配置されているか否かを検出する。媒体センサ25は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されているか否かを検出する。制御装置56は、カバー5が閉鎖されていないことを開閉センサ53が検出し、かつ、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されていることを媒体センサ25が検出したときに、禁止メッセージを表示部18に表示させる。禁止メッセージは、カバー5を閉じることを禁止することを表している。
【0060】
右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより保持される媒体は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが退避位置に向かって移動するときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに干渉して損傷することがある。実施例の媒体搬送装置は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより保持される媒体があるときにカバー5を閉鎖しないようにユーザに促すことにより、媒体が右側媒体保持部34と左側媒体保持部35と干渉して損傷することを防止することができる。
【0061】
また、実施例の媒体搬送装置は、開閉センサ53と媒体センサ25とロック部55とをさらに備えている。ロック部55は、カバー5が閉鎖されていないことを開閉センサ53が検出し、かつ、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されていることを媒体センサ25が検出したときに、カバー5が閉鎖されないようにカバー5を固定する。
【0062】
このとき、実施例の媒体搬送装置は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とにより保持される媒体があるときにカバー5が閉鎖しないようにすることにより、媒体が右側媒体保持部34と左側媒体保持部35と干渉して損傷することを防止することができる。
【0063】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、カバー5が開放位置に配置され、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されているときに、禁止メッセージを表示するが、禁止メッセージを表示しなくてもよい。また、既述の実施例の媒体搬送装置は、カバー5が開放位置に配置され、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されているときに、カバー5が閉鎖されないようにカバー5を固定しているが、カバー5を固定しなくてもよい。この場合も、媒体搬送装置は、カバー5が開放されたときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されることにより、給紙機構21の保持から解放される媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0064】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置の右側ストッパ部39と左側ストッパ部とは、右側アーム部32と左側アーム部33とに接触することにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを突出位置に固定しているが、他のストッパ部に置換されてもよい。たとえば、ストッパ部は、右側媒体保持部34または左側媒体保持部35に接触することにより、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを突出位置に固定する。この場合も、媒体搬送装置は、カバー5が開放されたときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されることにより、給紙機構21の保持から解放される媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0065】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置の右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、第2方向に回転することにより突出位置から退避位置に移動するが、第1方向に回転することにより突出位置から退避位置に移動するように形成されてもよい。この場合でも、媒体搬送装置は、カバー5が開放されたときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されることにより、給紙機構21の保持から解放される媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。この場合、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに保持される媒体は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが第1方向に回転して突出位置から退避位置に移動するときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに干渉しない。このため、媒体搬送装置は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されている場合で、カバー5が閉鎖位置に配置されるときに、媒体が損傷することを防止することができる。また、媒体を保持している右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、右側ばね37と左側ばね38との弾性力に比較して媒体が十分に重いときに、第1方向に回転して退避位置に移動し、媒体を解放することがある。既述の実施例の媒体搬送装置は、媒体が十分に重い場合でも、右側ストッパ部39と左側ストッパ部とにより右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置から移動することを防止することができる。既述の実施例の媒体搬送装置は、媒体が重い場合でも右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置から移動することが防止されることにより、媒体を確実に保持することができる。
【0066】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置の右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、カバー5に連動して機械的に突出位置または退避位置に配置されるが、カバー5に連動して電気的に突出位置または退避位置に配置されてもよい。たとえば、媒体搬送装置は、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とを移動させるアクチュエータをさらに備えている。制御装置56は、カバー5が閉鎖位置に配置されていることを開閉センサ53が検出したときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが退避位置に配置されるように、アクチュエータを制御する。制御装置56は、カバー5が閉鎖位置に配置されていないことを開閉センサ53が検出したときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とが突出位置に配置されるように、アクチュエータを制御する。この場合も、媒体搬送装置は、カバー5が開放されたときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されることにより、給紙機構21の保持から解放される媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0067】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置の右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とは、搬送路16のうちの給紙機構21と搬送部22との間に配置されているが、搬送路16のうちの搬送部22と排紙口15との間に配置されてもよい。搬送路16に配置された媒体は、画像読取装置1に紙詰まりが発生したときに、上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27との回転が停止することにより、搬送部22に保持されることがある。搬送部22に保持された媒体は、カバー5が開放されたときに、上流側搬送ローラ26と下流側搬送ローラ27とが上流側プレッシャローラと下流側プレッシャローラとから離れることにより、搬送部22から解放される。このため、媒体搬送装置は、媒体が搬送部22に保持されている場合で、カバー5が開放されたときに、右側媒体保持部34と左側媒体保持部35とに媒体が保持されることにより、媒体が排紙口15に落下することを防止することができる。この場合も、媒体搬送装置は、媒体が排紙口15に落下することが防止されることにより、搬送部22の保持から解放される媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0068】
ところで、既述の実施例の媒体搬送装置は、画像読取装置1に利用されているが、他の装置に利用されてもよい。その装置としては、媒体に印字するプリンタが例示される。この場合も、媒体搬送装置は、保持から解放された媒体を取り扱うユーザの作業を容易化することができる。
【0069】
以上、実施例を説明したが、前述した内容により実施例が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施例の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :画像読取装置
2 :画像読取装置本体
3 :給紙トレイ
5 :カバー
16:搬送路
18:表示部
21:給紙機構
22:搬送部
25:媒体センサ
31:シャフト部
32:右側アーム部
33:左側アーム部
34:右側媒体保持部
35:左側媒体保持部
37:右側ばね
38:左側ばね
39:右側ストッパ部
41:右側突起部
53:開閉センサ
55:ロック部
56:制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14