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  • 特許-粉末冶金用電解銅微粉末 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】粉末冶金用電解銅微粉末
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20220101AFI20240722BHJP
   B22F 1/16 20220101ALI20240722BHJP
   C22C 1/04 20230101ALI20240722BHJP
   B22F 9/14 20060101ALI20240722BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20240722BHJP
   C25C 5/02 20060101ALI20240722BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240722BHJP
【FI】
B22F1/00 L
B22F1/16
C22C1/04 A
B22F9/14 Z
B22F9/04 C
C25C5/02
B22F1/05
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020159603
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053028
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000239426
【氏名又は名称】福田金属箔粉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173406
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 真貴子
(74)【代理人】
【識別番号】100067301
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 順一
(72)【発明者】
【氏名】篠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】福田 守孝
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-204686(JP,A)
【文献】特開平02-122001(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0050186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00-9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー回折・散乱法によって測定されるメディアン径D50が1.00μm以上、かつ、10.00μm以下であり、タップ密度/見掛密度(Hausner比)が2.0以上、かつ、2.9以下であり、BET比表面積が8,000cm/g以上、かつ、20,000cm/g以下である粉末冶金用電解銅微粉末。
【請求項2】
5nm以上、かつ、20nm以下の亜酸化銅粒子で表面積の50%以上被覆された電解銅微粉末粒子の数が、全電解銅微粉末粒子の数の50%以上である請求項1記載の粉末冶金用電解銅微粉末。
【請求項3】
電解銅粉末を粉砕することによって製造することを特徴とする請求項1又は2記載の粉末冶金用電解銅微粉末の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末冶金用電解銅微粉末に関する。詳しくは、本発明における電解銅微粉末は焼結性に優れるので、焼結性の低い粉末に混合して使用すれば、焼結助剤を添加しなくても焼結性を向上させることができ、成形性に優れ、安価に製造できる粉末冶金用途に好適な電解銅微粉末であって、焼結助剤を添加しないため液相を発生させずに固相焼結できるので寸法安定性に優れた銅基焼結合金を製造でき、また、焼結助剤が含有する余分な元素を含むことがないから熱伝導性や耐食性に優れる銅基焼結合金を製造できる粉末冶金用電解銅微粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末冶金で製造される銅基焼結合金のほとんどは銅-錫合金(青銅)、若しくは、銅-亜鉛合金(黄銅)である。
【0003】
近年、銅基焼結合金に対してさらに高い強度や耐食性が求められることに伴い、錫や亜鉛以外の元素との合金化や、複合材料として銅以外の金属粉末や黒鉛等の固体潤滑剤、セラミック粉末などの非金属粉末がより多く混合される傾向にある。
【0004】
しかし、錫や亜鉛以外の元素と混合した混合粉末や非金属粉末が多く混合された粉末は焼結性が低く、目的の焼結密度や特性が得られ難いため、焼結性の向上が課題となる。
【0005】
固相拡散が主たるメカニズムである一般的な粉末冶金技術では、粉末の比表面積の大きさが焼結性と密接に関係するため、比表面積の大きい微粉末や不規則形状の粉末、特に電解法で製造される樹枝状を呈する粉末が焼結性を改善することが期待される。
【0006】
銅の微粉末を得る方法としてはアトマイズ法と湿式の還元法が知られている。
【0007】
アトマイズ法で微粉末を得るには高圧の噴霧媒体で噴霧する必要があるが、実際に操業可能な圧力には限界があるため、微粉末の収率に限界がある。
【0008】
また、アトマイズ法で得られる微粉末は、通常、流動性や充填性が悪く、金型への速やかな充填が求められる粉末冶金用としての使用には適していない。
【0009】
導電材料としての用途が主流である湿式の還元法は、アトマイズ法では得られない小粒径の粉末を製造することができるが、アトマイズ法と同様に流動性や充填性の問題があり、また、高コストであるため安価な粉末が求められる粉末冶金用としての使用には適していない。
【0010】
加えて、アトマイズ法と湿式の還元法のいずれにおいても、得られる微粉末は等方性の高い形状を有しているため成形性が低く、粉末冶金用としての使用には適していない。
【0011】
また、焼結性を向上させる手段として、焼結助剤を添加する方法がある。
【0012】
効果的な焼結助剤があれば、従来の製造工程において、還元に作用する焼結雰囲気中の水素ガスの低減や、焼結温度の低温化を実現でき、コスト低減への寄与が期待される。
【0013】
しかし、焼結助剤を添加すると、銅基焼結合金が焼結助剤に含まれる余分な元素を含有することになり、熱伝導性や耐食性が低下し、場合によっては強度が低下することもあるといった問題がある。
【0014】
また、通常、焼結助剤は液相を発生させるため、銅基焼結合金の寸法安定性が低下するという問題がある。
【0015】
そこで、優れた焼結性を備え、焼結助剤としても使用することができ、また、成形性にも優れた銅微粉末であって、安価に製造できる粉末冶金用途に好適な銅微粉末の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特許第4230017号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
電解法で得られる電解銅粉末を原料粉として銅微粉末を製造する方法として特許文献1がある。
【0018】
しかしながら、特許文献1に開示される微小銅粉は油脂で被覆されており、該油脂が焼結を阻害し、焼結性を低下させるため焼結助剤にはならないという問題がある。
【0019】
本発明者らは、前記諸問題を解決することを技術的課題とし、試行錯誤的な数多くの試作・実験を重ねた結果、レーザー回折・散乱法によって測定されるメディアン径D50が1.00μm以上、かつ、10.00μm以下であり、タップ密度/見掛密度(Hausner比)が2.0以上、かつ、2.9以下であり、BET比表面積が8,000cm/g以上、かつ、20,000cm/g以下である粉末冶金用電解銅微粉末であれば、焼結性に優れる銅微粉末になるため、焼結性が低い粉末と混合して使用すれば、焼結性を向上させる焼結助剤として使用でき、成形性にも優れ、しかも安価に製造することができるので、粉末冶金用途に好適に使用できる電解銅微粉末になり、また、焼結助剤を添加しないので、液相を発生させずに固相焼結できるから、該電解銅微粉末又は該電解銅微粉末を混合した混合粉末を焼結すれば寸法安定性に優れた銅基焼結合金になり、また、焼結助剤に含まれる余分な元素を含まないから、熱伝導性や耐食性に優れる銅基焼結合金になるという刮目すべき知見を得て前記技術的課題を達成したものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記技術的課題は次のとおりの本発明によって解決できる。
【0021】
本発明は、レーザー回折・散乱法によって測定されるメディアン径D50が1.00μm以上、かつ、10.00μm以下であり、タップ密度/見掛密度(Hausner比)が2.0以上、かつ、2.9以下であり、BET比表面積が8,000cm/g以上、かつ、20,000cm/g以下である粉末冶金用電解銅微粉末である。
【0022】
また本発明は、5nm以上、かつ、20nm以下の亜酸化銅粒子で表面積の50%以上被覆された電解銅微粉末粒子の数が、全電解銅微粉末粒子の数の50%以上である前記の粉末冶金用電解銅微粉末である。
【0023】
また本発明は、電解銅粉末を粉砕することによって製造することを特徴とする前記の粉末冶金用電解銅微粉末の製造方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明における電解銅微粉末は、メディアン径D50が1.00μm以上、かつ、10.00μm以下、タップ密度/見掛密度(以下「Hausner比」という)の値が2.0以上、かつ、2.9以下、BET比表面積が8,000cm/g以上、かつ、20,000cm/g以下の電解銅微粉末であって、従来の電解銅微粉末と比べてHausner比の値が高いため、圧縮成形時のストロークが長くなり、粉末粒子同士が高い頻度で接触するから成形性に優れ、焼結の際のネックの形成点も多くなるので焼結性が高い電解銅微粉末になる。
【0025】
また、5nm以上、かつ、20nm以下の亜酸化銅粒子で表面積の50%以上被覆された電解銅微粉末粒子の数が、全電解銅微粉末粒子の数の50%以上であれば、ナノ粒子の特徴を反映して、さらに焼結性が高い電解銅微粉末になる。
【0026】
また、本発明における銅微粉末は電解法で製造するので、比表面積の大きい銅微粉末を安価に、また、大量に製造することができる。
【0027】
したがって、本発明における電解銅微粉末は、焼結性の低い粉末に混合して焼結助剤として使用することもできるので、粉末冶金用の材料として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明における電解銅微粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(100,000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明における電解銅微粉末のレーザー回折・散乱法によって測定されるメディアン径D50は、1.00μm以上、かつ、10.00μm以下が好ましく、さらに好ましくは、2.00μm以上、かつ、5.00μm以下である。
【0030】
メディアン径D50が10.00μmを超えると焼結性が低下し、また、1.00μm未満であると、焼結性は高いが、流動性や充填性が著しく悪くなるため、粉末冶金用としての使用が困難になるからである。
【0031】
メディアン径D50の値は、電解銅微粉末の粒径をJISZ8825に準じてレーザー回折・散乱法にて測定して算出することができる。
【0032】
本発明における電解銅微粉末のHausner比の値は2.0以上、かつ、2.9以下が好ましく、さらに好ましくは、2.2以上、かつ、2.8以下である。
【0033】
Hausner比が2.9を超える電解銅粉末は一般的な電解銅粉末の製造方法によって安定して製造することが困難であり、2.0未満だと電解銅微粉末粒子の形状が樹枝状に近づくので、圧縮成形時の粉末粒子同士の接触点数が低下し、焼結性が低下する虞があるからである。
【0034】
タップ密度はJISZ2512に準ずる方法で測定することができる。
【0035】
見掛密度はJISZ2504に準ずる方法で測定することができる。
【0036】
Hausner比は次の(式1)で算出する。
(式1) タップ密度/見掛密度
【0037】
本発明における電解銅微粉末のBET法で測定される比表面積は8,000cm/g以上、かつ、20,000cm/g以下が好ましく、さらに好ましくは、12,000cm/g以上、かつ、19,000cm/g以下である。
【0038】
比表面積はメディアン径D50と相関性があるため、20,000cm/gより大きいとメディアン径D50の値が低下して流動性や充填性が低下する虞があり、また、8,000cm/g未満であると焼結性が低下する虞があるからである。
【0039】
BET比表面積の値はJISZ8830に準ずる方法で測定することができる。
【0040】
本発明における電解銅微粉末は、5nm以上、かつ、20nm以下の亜酸化銅粒子で表面積の50%以上被覆されている電解銅微粉末粒子の数が、全体の50%以上存在することが好ましい。
【0041】
粉末粒子の表面積が大きくなることにより、粉末粒子の表面エネルギーが増加するため焼結性の向上が望めるからである。
【0042】
亜酸化銅粒子の被覆の割合は高い方が焼結性向上に資するため好ましいが、被覆する亜酸化銅粒子が20nmより大きいと、ナノ粒子の特徴が反映され難くなり、焼結性の向上が望めないため好ましくない。
【0043】
亜酸化銅粒子の粒子径、亜酸化銅粒子によって表面積が被覆されている割合及び被覆されている電解銅粉微粒子の数は走査型電子顕微鏡で10,000~100,000倍に拡大して、目視により測定することができる。
【0044】
被覆している粒子が亜酸化銅粒子であることは走査型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)による組成分析で同定できる。
【0045】
電解銅微粉末粒子表面の組成分析を行って銅と酸素以外の元素が検出されない場合は、表面に付着しているナノ粒子は銅表面が空気酸化することによって生成された亜酸化銅粒子であると判断できる。
【0046】
本発明における粉末冶金用銅微粉末は、一般的な電解法によって得られる電解銅粉末を原料粉末として使用することができる。
【0047】
一般的な電解法によって得られる電解銅粉末として、硫酸銅水溶液を電解液とし、電気銅の板を陽極及び陰極として直流電流を流すことにより電気分解を行い、陽極の電気銅を溶解させ、陰極上に直接電解銅粉末として析出させ、析出した銅粉末を電極から採取し、電解液の除去の為に洗浄・中和してから防錆処理を行い、乾燥工程を経て製造する電解銅粉末を例示する。
【0048】
電解銅粉末は樹枝状を呈するが、電解銅粉末の枝を粉砕して針状にした後、分級することで本発明における電解銅微粉末を製造することができる。
【0049】
粉砕方法としては、特に限定されず、カッターミルのような粉砕力の弱い方法で粉砕することが望ましい。
【0050】
粉砕力が強いと、粒子が等方的な粒状にまで変形して成形性が悪くなる虞があるからである。
【0051】
粉砕した電解銅粉末を分級する方法は特に限定されないが、気流分級が好ましい。
【実施例
【0052】
本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0053】
実施例及び比較例の銅粉末の原料粉末として、メディアン径D50が10μm~40μmの範囲である電解銅粉末(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。
【0054】
実施例及び比較例の各原料粉末を分析粉砕機(日本理化学器械株式会社製)を用いて、100rpm~600rpmの範囲で5分~30分粉砕処理を行った。
【0055】
粉砕した後、気流分級装置AC-20型(日清エンジニアリング株式会社製)を使用して、分級することで後述する実施例及び比較例の各電解銅粉微粉末を得た。
【0056】
<メディアン径(D50)>
銅粉末の平均粒径は、JISZ8825に準じて、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD-3100(株式会社島津製作所製)により測定し、メディアン径D50を求めた。
【0057】
<Hausner比>
Hausner比の算出に用いるタップ密度はJISZ2512、見掛密度はJISZ2504に準ずる方法で測定した。
【0058】
<タップ密度>
タップ密度はJISZ2512に準じたタップストローク3mmで100cmのメスシリンダーを1分間に200回タップできる装置を用い、測定の際はメスシリンダーに銅粉末100gを充填して5分間機械的にタッピングし、タッピング後の体積と試料の重量から算出した。
【0059】
<見掛密度>
見掛密度はJISZ2504に準じた金属漏斗(オリフィス径2.5mm)と円筒型金属カップ(25cm)を用い、漏斗から円筒型カップに粉末を流し込み、カップの上に盛り上がった粉末を水平なへらを用いて擦切り、カップ内の粉末の重量を測定することにより算出した。
【0060】
<BET比表面積>
BET比表面積の値はJISZ8830に準ずる全自動比表面積測定装置Macsorb(MOUNTECH社製)により測定した。
【0061】
<形状>
本件明細書においては、電解銅粉末粒子の直線的に成長している部分を枝、枝の中で最も長い枝を主枝、主枝以外を分枝と称する。
【0062】
実施例及び比較例の各電解銅粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で10,000倍に拡大して実施例及び比較例の各電解銅粉末粒子100個の主枝及び分枝の長さ(μm)を測定した。
【0063】
1粒子の分枝のうち80%以上で分枝の長さが主枝の長さの1/5未満である銅微粉末粒子が全体の50%以上存在する電解銅微粉末を「針状」とし、それ以外を「樹枝状」とした。
【0064】
<熱収縮挙動(焼結性)>
実施例及び比較例の電解銅微粉末を1.65g秤量して5mm×11mmの金型内に充填した。
成形密度が6.3g/cm(±0.03)となるようにプレス機で圧縮して圧粉体を作製した。
【0065】
作製した圧粉体を熱機械分析(TMA)装置(Rigaku社製、Thermo plus EVOII TMA8310)を用いて加熱時の熱収縮挙動を測定した。
【0066】
(測定条件)
圧粉体への荷重を98mNとし、窒素に25容量%の水素を添加した混合ガスを300ml/分で連続的に流した還元雰囲気中で、室温から800℃まで10℃/分の加熱速度で寸法変化率を測定した。
【0067】
得られた寸法変化率から室温の圧粉体に対して800℃での寸法収縮率を得た。
【0068】
800℃での寸法収縮率が6%以上のものを焼結性が良好として評価した。
【0069】
<表面状態>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の視野にて100個の銅微粉末粒子を観察した。
【0070】
50個以上の銅微粉末粒子の表面が5nm~20nmからなる亜酸化銅粒子で50%以上覆われている銅微粉末は○とし、それ以外は×とした。
【0071】
亜酸化銅粒子の同定には、EDX(AMETEK社製、Prime EDS)を用いた。
【0072】
銅微粉末粒子に対し、加速電圧15keV、作動距離10mmの条件で電子線を照射して、観測される特性X線について、Cu、C、O、Au以外の元素が検出されない場合、亜酸化銅粒子であると判断した。
CやAuが検出されるのは、SEM観察の際に一般的に用いられる試料固定用のカーボンテープやチャージアップ防止用のAuスパッタを検出していると考えられるからである。
【0073】
結果を表1に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
表1の通り、本発明の電解銅微粉末は比較例に示す電解銅粉末よりも焼結性が優れていることが証明された。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明における電解銅微粉末は焼結性が高いため、焼結性の低い粉末に混合すれば、焼結助剤を添加しなくても焼結性を向上させることができ、また、成形性にも優れた電解銅微粉末であって、しかも安価に製造することができるので、粉末冶金用途に好適な電解銅微粉末である。
また、焼結助剤を添加しないため液相を発生させずに固相焼結できるので、本発明における電解銅微粉末又は該微粉末を混合した混合粉末を焼結すれば寸法安定性に優れる銅基焼結合金を製造できる。
また、該銅基焼結合金は焼結助剤が含有する余分な元素を含有することがないから熱伝導性や耐食性にも優れる銅基焼結合金になる。
よって、本発明における粉末冶金用電解銅微粉末は、寸法安定性が要求される焼結部品や余分な元素を含むことができない焼結部品に好適に使用することができる。
したがって、本発明は産業上の利用可能性の高い発明である。
図1