(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】モノポールアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 5/378 20150101AFI20240722BHJP
H01Q 9/30 20060101ALI20240722BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20240722BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01Q5/378
H01Q9/30
H01Q9/40
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2020172720
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅之
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-092663(JP,A)
【文献】特開2020-043515(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1920616(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/378
H01Q 13/08
H01Q 9/30
H01Q 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地板の給電部に接続されるモノポールアンテナ本体と、
前記モノポールアンテナ本体を囲むように配置された複数の無給電素子と、を備え、
前記無給電素子
が、前記モノポールアンテナ本体から遠い側に配置される平板状の
第1導体
、及び、前記モノポールアンテナ本体に近い側に配置される平板状の
第2導体を備え、
前記第1導体及び前記第2導体の面は、前記地板に対向するように配置され、
前記第1導体は前記第2導体よりも面積が大きい、
モノポールアンテナ。
【請求項2】
前記第1導体は、前記地板に対向する面が前記モノポールアンテナ本体側に曲がっている、
請求項1に記載のモノポールアンテナ。
【請求項3】
前記モノポールアンテナ本体は、前記地板に対して直交するように設けられた棒状のアンテナ素子である、
請求項1又は2のいずれか1項に記載のモノポールアンテナ。
【請求項4】
前記モノポールアンテナ本体は、
一端が前記地板の給電部に接続され且つ前記地板に直交する軸に沿った棒状の第1アンテナ素子と、
前記第1アンテナ素子の地板側の一端とは反対側の一端に一底面が接続され且つ前記軸周りを囲むように側面が配置された円柱形の第2アンテナ素子と、
前記第2アンテナ素子の第1アンテナ素子側の一底面とは反対側の一底面に一端が接続され且つ前記軸に沿った棒状の第3アンテナ素子と、
前記第3アンテナ素子の第2アンテナ素子側の一端とは反対側の一端に中心部が接続された円形の板状の第4アンテナ素子と、
前記第1アンテナ素子、前記第2アンテナ素子及び前記第3アンテナ素子の周りを囲むように配置された誘電体と、を備える、
請求項1又は2のいずれか1項に記載のモノポールアンテナ。
【請求項5】
前記モノポールアンテナ本体は、
前記第4アンテナ素子の円周に沿って前記第4アンテナ素子に接続され且つ前記第3アンテナ素子を囲むように配置された円柱側面形の第5アンテナ素子、
をさらに備える請求項4に記載のモノポールアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノポールアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アンテナ素子の近傍に無給電素子を配置して、無給電素子による複共振を利用することにより、アンテナの広帯域化を図る技術が知られている(例えば非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】電子情報通信学会編「アンテナ工学ハンドブック」、オーム社、第2版、2008年7月(第266-267ページ、
図5・53)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、移動通信システムが利用可能な複数の周波数帯に広く適用することができるアンテナが要望されている。このため、アンテナのさらなる広帯域化が課題である。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、モノポールアンテナの広帯域化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、地板の給電部に接続されるモノポールアンテナ本体と、前記モノポールアンテナ本体を囲むように配置された複数の無給電素子と、を備え、前記無給電素子が、前記モノポールアンテナ本体から遠い側に配置される平板状の第1導体、及び、前記モノポールアンテナ本体に近い側に配置される平板状の第2導体を備え、前記第1導体及び前記第2導体の面は、前記地板に対向するように配置され、前記第1導体は前記第2導体よりも面積が大きい、モノポールアンテナである。
(2)本発明の一態様は、前記第1導体は、前記地板に対向する面が前記モノポールアンテナ本体側に曲がっている、上記(1)のモノポールアンテナである。
(3)本発明の一態様は、前記モノポールアンテナ本体は、前記地板に対して直交するように設けられた棒状のアンテナ素子である、上記(1)又は(2)のいずれかのモノポールアンテナである。
(4)本発明の一態様は、前記モノポールアンテナ本体は、一端が前記地板の給電部に接続され且つ前記地板に直交する軸に沿った棒状の第1アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子の地板側の一端とは反対側の一端に一底面が接続され且つ前記軸周りを囲むように側面が配置された円柱形の第2アンテナ素子と、前記第2アンテナ素子の第1アンテナ素子側の一底面とは反対側の一底面に一端が接続され且つ前記軸に沿った棒状の第3アンテナ素子と、前記第3アンテナ素子の第2アンテナ素子側の一端とは反対側の一端に中心部が接続された円形の板状の第4アンテナ素子と、前記第1アンテナ素子、前記第2アンテナ素子及び前記第3アンテナ素子の周りを囲むように配置された誘電体と、を備える、上記(1)又は(2)のいずれかのモノポールアンテナである。
(5)本発明の一態様は、前記モノポールアンテナ本体は、前記第4アンテナ素子の円周に沿って前記第4アンテナ素子に接続され且つ前記第3アンテナ素子を囲むように配置された円柱側面形の第5アンテナ素子をさらに備える上記(4)のモノポールアンテナである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モノポールアンテナの広帯域化を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るモノポールアンテナの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るモノポールアンテナの無給電素子の上面図である。
【
図3】第1実施形態に係るモノポールアンテナの寸法図である。
【
図4】第1実施形態に係るモノポールアンテナの寸法図である。
【
図5】第1実施形態に係るモノポールアンテナの寸法図である。
【
図6】第1実施形態に係るモノポールアンテナの寸法図である。
【
図7】第1実施形態に係るモノポールアンテナのシミュレーション結果のグラフ図である。
【
図8】従来のモノポールアンテナのシミュレーション結果のグラフ図である。
【
図9】第2実施形態に係るモノポールアンテナの構成を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係るモノポールアンテナの構成を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係るモノポールアンテナの構成を示す図である。
【
図12】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体の構成を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体の構成を示す図である。
【
図14】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体の構成を示す図である。
【
図15】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体の構成を示す図である。
【
図16】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体の構成を示す図である。
【
図17】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体における電流の流れを説明するための説明図である。
【
図18】第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体の寸法図である。
【
図19】第4実施形態に係るモノポールアンテナ本体の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1-
図2を参照して第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の構成を説明する。
図1-
図2は、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の構成を示す図である。
図1は、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の外観図である。
図2は、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の無給電素子120の上面図である。
【0011】
モノポールアンテナ1は、モノポールアンテナ本体110と、複数の無給電素子120とを備える。地板30は、平板状の導体である。地板30には給電部40が設けられている。モノポールアンテナ1は、給電部40から給電される。
【0012】
図1の例では、モノポールアンテナ1は、2個の無給電素子120を備える。なお、3個以上の無給電素子120が設けられてもよい。
【0013】
モノポールアンテナ本体110は、地板30に対して直交するように設けられた棒状のアンテナ素子である。モノポールアンテナ本体110は、一端が地板30の給電部40に接続されている。
【0014】
複数の無給電素子120は、モノポールアンテナ本体110を囲むように配置される。
図1の例では、2個の無給電素子120-1,120-2がモノポールアンテナ本体110を挟んで対称に配置されている。無給電素子120-1は、絶縁体50-1によって、地板30から一定の高さに配置されている。無給電素子120-2は、絶縁体50-2によって、地板30から一定の高さに配置されている。
【0015】
以下、無給電素子120-1,120-2を特に区別しないときは、無給電素子120と称する。また、絶縁体50-1,50-2を特に区別しないときは、絶縁体50と称する。
【0016】
図2において、無給電素子120は、第1導体121と、第2導体122とを備える。
【0017】
第1導体121は、モノポールアンテナ本体110から遠い側に配置される平板状の導体である。第1導体121は、当該平板状の導体の面が地板30に対向するように配置される。
図1-
図2の例では、第1導体121は、同一形状の2個の平板状の第1サブ導体121-1,121-2から構成される。
【0018】
第2導体122は、モノポールアンテナ本体110に近い側に配置される平板状の導体である。第2導体122は、当該平板状の導体の面が地板30に対向するように配置される。
図1-
図2の例では、第2導体122は、同一形状の2個の平板状の第2サブ導体122-1,122-2から構成される。
【0019】
第1導体121は、第2導体122よりも面積が大きい。
【0020】
図1-
図2の例では、第1導体121(121-1,121-2)と第2導体122(122-1,122-2)とは、絶縁体123(123-1,123-2)によって固定されている。
【0021】
次に
図3-
図6を参照して第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の寸法を説明する。
図3-
図6は、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の寸法図である。
【0022】
図3には、モノポールアンテナ本体110の寸法が示される。モノポールアンテナ本体110は、棒状であって、長さがLmである。
【0023】
図4には、無給電素子120の寸法が示される。第1導体121の各第1サブ導体121-1,121-2は、幅がWaであり、長さがLXaである。第2導体122の各第2サブ導体122-1,122-2は、幅がWbであり、長さがLXbである。第1導体121(121-1,121-2)と第2導体122(122-1,122-2)との間隔はLXcである。
【0024】
図5には、無給電素子120の高さの配置寸法が示される。無給電素子120は、地板30から高さHaに配置される。
【0025】
図6には、無給電素子120の間隔の配置寸法が示される。無給電素子120とモノポールアンテナ本体110との間隔はDaである。
【0026】
モノポールアンテナ1の使用周波数帯として770メガヘルツ(MHz)帯から950MHz帯までを適用する場合の寸法の一例を以下に示す。単位はミリメートル(mm)である。また、カッコ内の値は寸法の許容範囲の例である。
Lm=80
Wa=44
LXa=10
Wb=25.5
LXb=13
LXc=15(+10;但し、第1サブ導体121-1,121-2の配置は固定し、第2サブ導体122-1,122-2の配置が可動)
Ha=26
Da=30(+10)
また、第1サブ導体121-1,121-2及び第2サブ導体122-1,122-2の平板状の導体の厚さQaは0.5mmである。
【0027】
次に
図7-
図8を参照して第1実施形態に係るモノポールアンテナ1の効果を説明する。
図7は、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1のシミュレーション結果のグラフ図である。
図7に示されるシミュレーションに使用するモノポールアンテナ1は、上記した寸法の例「Lm=80、Wa=44、LXa=10、Wb=25.5、LXb=13、LXc=15、Ha=26、Da=30、Qa=0.5」を適用したものである。
【0028】
図7のグラフ図において、横軸は周波数(単位はギガヘルツ(GHz)、縦軸はリターンロス(単位はデシベル(dB))である。
図7のグラフ図に示されるように、使用周波数帯である770MHz帯から950MHz帯において、リターンロスが「-10dB」以下であり、良好な結果が得られている。この
図7のグラフ図に示されるリターンロスは、使用周波数帯が770MHz帯から950MHz帯までである移動通信システムに適用可能な良好な結果である。これにより、モノポールアンテナ1は、使用周波数帯が770MHz帯から950MHz帯までである移動通信システムに共用することができる。
【0029】
図8は、従来のモノポールアンテナのシミュレーション結果のグラフ図である。
図8のシミュレーションに使用された従来のモノポールアンテナは、
図3に示されるように、モノポールアンテナ本体110のみから構成されるものであって、無給電素子120は設けられない。
【0030】
図8のグラフ図において、横軸は周波数(単位はGHz、縦軸はリターンロス(単位はdB)である。
図8のグラフ図に示されるように、800MHz帯では、リターンロスが「-10dB」に迫っているが、使用周波数帯である770MHz帯から950MHz帯までの広帯域においてはリターンロスが「-10dB」を満足しない。このため、従来のモノポールアンテナでは、使用周波数帯が770MHz帯から950MHz帯までである移動通信システムに共用することができない。
【0031】
上述したように本実施形態に係るモノポールアンテナ1によれば、モノポールアンテナの広帯域化を図ることができる。これにより、使用周波数帯が例えば770MHz帯から950MHz帯までである移動通信システムに対してモノポールアンテナ1を共用することができる。
【0032】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態に係るモノポールアンテナ1aの構成を示す図であって上面図である。
図9において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図9に示す第2実施形態に係るモノポールアンテナ1aは、
図1-
図2に示す第1実施形態のモノポールアンテナ1とは、無給電素子120aの形状が異なる。具体的には、
図9の無給電素子120aは、
図2に示される無給電素子120において、地板30に対向する第1導体121の平板状の導体の面がモノポールアンテナ本体110側に曲がっている。これにより、無給電素子120aが地板30からはみ出す面積を小さくすることができる。さらには、無給電素子120aが地板30からはみ出す面積をなくすことができる。このことは、モノポールアンテナ1aの小型化に寄与する。
【0033】
また、
図9に示されるように、モノポールアンテナ1aは、3個の無給電素子120がモノポールアンテナ本体110を囲むように配置されている。これにより、モノポールアンテナ1aを無指向性(オムニアンテナ)にすることができる。
【0034】
第2実施形態に係るモノポールアンテナ1aにおいても、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1と同様に、モノポールアンテナの広帯域化を図ることができる。これにより、使用周波数帯が例えば770MHz帯から950MHz帯までである移動通信システムに対してモノポールアンテナ1aを共用することができる。さらに、第2実施形態に係るモノポールアンテナ1aによれば小型化を図ることができる。また、無指向性(オムニアンテナ)化を図ることができる。
【0035】
[第3実施形態]
図10-
図11は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bの構成を示す図である。
図10は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bの上面図である。
図11は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bの外観図である。
図10-
図11において、
図9の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図10-
図11に示す第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bは、
図9に示す第2実施形態のモノポールアンテナ1aとは、モノポールアンテナ本体10のみが異なる。これ以外は
図9に示す第2実施形態のモノポールアンテナ1aと同じである。
【0036】
図12-
図16を参照して第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の構成を説明する。
図12-
図16は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の構成を示す図である。
図12は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の正面図である。
図13は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の上面図である。
図14は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の断面図であって、軸Zを含む面の断面図である。
図15は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の上面側の外観図である。
図16は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の下面側の外観図である。
【0037】
モノポールアンテナ本体10は、第1アンテナ素子11と、第2アンテナ素子12と、第3アンテナ素子13と、第4アンテナ素子15と、第5アンテナ素子16と、誘電体17とを備える。モノポールアンテナ本体10は、給電部40から給電される。軸Zは、地板30と直交する仮想上の軸である。
【0038】
第1アンテナ素子11は、棒状である。第1アンテナ素子11は、一端が地板30の給電部40に接続されている。第1アンテナ素子11は、軸Zに沿って配置されている。
【0039】
第2アンテナ素子12は、円柱形である。第2アンテナ素子12は、第1アンテナ素子11の地板30側の一端とは反対側の一端に、一底面が接続されている。第2アンテナ素子12は、軸Zの周りを囲むように、側面が配置されている。
【0040】
第3アンテナ素子13は、棒状である。第3アンテナ素子13は、第2アンテナ素子12の第1アンテナ素子11側の一底面とは反対側の一底面に、一端が接続されている。第3アンテナ素子13は、軸Zに沿って配置されている。
【0041】
第4アンテナ素子15は、円形の板状である。第4アンテナ素子15は、第3アンテナ素子13の第2アンテナ素子12側の一端とは反対側の一端に、中心部が接続されている。
【0042】
第5アンテナ素子16は、円柱の側面の形(円柱側面形)である。第5アンテナ素子16は、第4アンテナ素子15の円周に沿って第4アンテナ素子15に接続されている。第5アンテナ素子16は、第3アンテナ素子13を囲むように配置されている。
【0043】
誘電体17は、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12及び第3アンテナ素子13の周りを囲むように配置されている。
【0044】
図12-
図14に示されるように、第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第3アンテナ素子13、第4アンテナ素子15、第5アンテナ素子16及び誘電体17は、軸Z(
図2には図示せず)が中心である同心円上に配置されている。
【0045】
第1アンテナ素子11、第2アンテナ素子12、第3アンテナ素子13、第4アンテナ素子15及び第5アンテナ素子16は、導体で構成されている。導体として、PEC(Perfect Electric Conductor)を使用してもよい。
【0046】
誘電体17は、比誘電率が「3.0から4.6まで」の範囲である。誘電体17の比誘電率としては、例えば4.3である。誘電体17は、例えばFR-4(Flame Retardant Type 4)で構成されてもよい。
【0047】
次に
図17を参照して、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10における電流の流れを説明する。
図17は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10における電流の流れを説明するための説明図である。
図17に示されるように、モノポールアンテナ本体10における電流の流れは、給電部40から第1アンテナ素子11を介して電流方向P1に流れる。次いで、第1アンテナ素子11から第2アンテナ素子12の一底面に沿って側面に向かう電流方向P2a,P2bに流れる。次いで、第2アンテナ素子12の第1アンテナ素子11側の一底面から側面に沿って第2アンテナ素子12のもう一方の底面に向かう電流方向P3a,P3bに流れる。次いで、第2アンテナ素子12の側面から第2アンテナ素子12の一底面に沿って第3アンテナ素子13に向かう電流方向P4a,P4bに流れる。次いで、第2アンテナ素子12の一底面から第3アンテナ素子13に沿って第4アンテナ素子15に向かう電流方向P5に流れる。次いで、第3アンテナ素子13から第4アンテナ素子15の円周に向かう電流方向P6a,P6bに流れる。次いで、第4アンテナ素子15の円周から第5アンテナ素子16の円柱側面に沿って地板30側に向かう電流方向P7a,P7bに流れる。
【0048】
次に
図18を参照して第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の寸法を説明する。
図18は、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の寸法図である。
【0049】
第1アンテナ素子11は、棒状であって、半径がRdであり、長さがLdである。第2アンテナ素子12は、円柱形であって、半径がRcであり、長さがLcである。第3アンテナ素子13は、棒状であって、半径がRdであり、長さがLbである。第4アンテナ素子15は、円形の板状であって、半径がRaであり、厚さがLaである。第5アンテナ素子16は、円柱側面形であって、半径がRaであり、長さがLeである。誘電体17は、外郭の半径がRbであり、長さが「Lb+Lc+Ld」である。モノポールアンテナ1の全長は、「Lall=La+Lb+Lc+Ld」である。
【0050】
使用周波数帯として770MHz帯から950MHz帯に第3実施形態のモノポールアンテナ1bを適用する場合のモノポールアンテナ本体10の寸法の一例を以下に示す。単位はミリメートル(mm)である。また、カッコ内の値は寸法の許容範囲の例である。
Ra=20(±2)
Rb=13(±1)
Rc=10(±1)
Rd=1(±0.5)
La=0.5
Lb=14(±1)
Lc=12(±1)
Ld=4(+0.5)
Le=12(±1)
Lall=30.5(=La+Lb+Lc+Ld)
【0051】
第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bにおいても、第1実施形態に係るモノポールアンテナ1と同様に、モノポールアンテナの広帯域化を図ることができる。これにより、使用周波数帯が例えば770MHz帯から950MHz帯までである移動通信システムに対してモノポールアンテナ1bを共用することができる。
【0052】
さらに、第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bによれば小型化を図ることができる。特に第3実施形態に係るモノポールアンテナ1b(モノポールアンテナ本体10)によれば、第1実施形態及び第2実施形態のモノポールアンテナ1,1a(モノポールアンテナ本体110)よりもモノポールアンテナ本体の全長をかなり短くすることができる。モノポールアンテナ本体110の全長Lmが80mmであるのに対して、第3実施形態に係るモノポールアンテナ本体10の全長Lallは「30.5mm」でありかなり短い。
【0053】
また、第3実施形態に係るモノポールアンテナ1bによれば無指向性(オムニアンテナ)化を図ることができる。
【0054】
[第4実施形態]
図19は、第4実施形態に係るモノポールアンテナ本体10aの構成を示す図である。
図19において、
図12の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図19に示す第4実施形態に係るモノポールアンテナ本体10aは、
図12に示す第3実施形態のモノポールアンテナ本体10から、第5アンテナ素子16を削除した構成である。その他の構成は、
図12に示す第3実施形態のモノポールアンテナ本体10と同様である。但し、寸法については、第4実施形態に係るモノポールアンテナ本体10aは、第3実施形態のモノポールアンテナ本体10と異なってもよい。
【0055】
例えば、第4実施形態に係るモノポールアンテナ本体10aは、第5アンテナ素子16がない分、第4アンテナ素子15の半径Raを、第3実施形態のモノポールアンテナ本体10よりも大きくしてもよい。これにより、
図17に示される第5アンテナ素子16による電流方向P7a,P7bの流れを補う。
【0056】
第4実施形態においても、第4アンテナ素子15の半径Raを大きくすることにより、第3実施形態と同等のモノポールアンテナの広帯域化やモノポールアンテナ本体の全長の小型化等を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0058】
1,1a,1b…モノポールアンテナ、10,10a,110…モノポールアンテナ本体、120…無給電素子、121…第1導体、122…第2導体、30…地板、40…給電部、50,123…絶縁体、11…第1アンテナ素子、12…第2アンテナ素子、13…第3アンテナ素子、15…第4アンテナ素子、16…第5アンテナ素子、17…誘電体