(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20240722BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240722BHJP
F25D 19/00 20060101ALI20240722BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20240722BHJP
F25D 23/08 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
F25D17/08 304
F25D23/00 305E
F25D19/00 510D
F25D21/04 M
F25D23/08 Y
(21)【出願番号】P 2020179952
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】鷲崎 翼
(72)【発明者】
【氏名】燕 鵬
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-094425(JP,A)
【文献】国際公開第2013/183261(WO,A1)
【文献】特開2003-065657(JP,A)
【文献】特開平03-113270(JP,A)
【文献】特開昭63-116080(JP,A)
【文献】実開平04-078488(JP,U)
【文献】特開2008-075890(JP,A)
【文献】特開2015-004489(JP,A)
【文献】特開2018-105561(JP,A)
【文献】特開平10-170136(JP,A)
【文献】特開2001-082790(JP,A)
【文献】特開平07-270028(JP,A)
【文献】米国特許第03601463(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/08
F25D 23/00
F25D 19/00
F25D 21/04
F25D 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
前記戻りダクトを挿入可能な挿入開口が形成されており、前記冷却器の下方に配置され、前記冷却器から落下する水分を集める樋部と、
を備
え、
前記戻りダクトは、第2突起部を有しており、前記第2突起部と前記挿入開口の縁部とが係合することによって前記樋部に固定されている、
冷蔵庫。
【請求項2】
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記戻りダクトと前記送風ダクトとは、互いの隣接方向に延びる複数の連結板によって互いに連結されており、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトは、前記戻り流路の中心線に沿って前記戻り流路と前記送風流路とを2分割するように分離可能な第1部材および第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に挟まれて、前記戻り流路および前記送風流路の各側部を液密に封止する側部封止部材と、を有しており、
前記複数の連結板のそれぞれは、前記第1部材に含まれる第1連結板と、前記第2部材に含まれる第2連結板と、に分かれており、
前記第1部材は、前記第2部材に係止する第1係止部を有し、
前記第2部材は、前記第1係止部が係止する第2係止部を有し、
前記第1部材と前記第2部材とは、前記第1係止部と前記第2係止部とが互いに係止することによって、互いに連結されている、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記冷蔵庫本体は、前記上側貯蔵室および前記下側貯蔵室を形成する内箱と、前記内箱の外側を覆う外箱と、を有し、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトは、前記内箱と前記外箱との間に配置されており、
前記発泡断熱材は、前記内箱と前記外箱との間に充填されており、
前記送風ダクトは、
前記冷却器収容室から前記冷気が流入する流入口が内部に貫通しており、前記内箱において前記冷却器収容室に開口する開口部に、前記内箱の外面側から挿入される第1筒部と、
前記第1筒部の挿入方向の先端部の外周側に設けられた第1突起部と、
前記第1筒部の外周部を囲んで前記外周部から外側に延びる平面部と、
を有しており、
前記送風ダクトは、
前記開口部の周囲を封止する第1開口封止部材が前記平面部に配置され、かつ前記第1筒部が前記内箱の外面側から前記開口部に挿入された状態で、前記開口部に沿う前記内箱の内面と、前記第1突起部と、の間に、前記第1筒部の前記外周部の外側にはめ込まれた固定枠によって、前記内箱と固定されており、
前記固定枠は、
前記第1筒部の前記外周部が挿入され、前記内箱の前記内面に当接する枠本体と、
前記枠本体の内周部から前記第1突起部に向かって突出しており、外周側に弾性変形可能に形成され、突出方向に進むにつれて内側に向かって傾斜し、突出方向の先端部で前記第1突起部と係止する係止板と、
を有する、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記上側貯蔵室は、貯蔵物を冷蔵可能な温度に温度調節される野菜室であり、
前記下側貯蔵室は、貯蔵物を冷凍可能な温度に温度調節される冷凍室であり、
前記野菜室の上側に、前記野菜室の室内温度よりも低温に温度調節可能な冷蔵室をさらに備え、
前記冷却器収容室は、前記冷凍室の後側の内面に形成された凹所に形成されており、
前記戻りダクトは前記凹所の側方を通って上下方向に延びており、前記戻りダクトの上端部が前記野菜室の底壁を貫通して前記底壁の上面側に開口を形成しており、前記戻りダクトの下端部が前記凹所に連通する開口を形成している、
請求項1~3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
を備え、
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記戻りダクトと前記送風ダクトとは、互いの隣接方向に延びる複数の連結板によって互いに連結されており、
前記複数の連結板の少なくとも1つには、板厚方向に貫通し、前記発泡断熱材が進入する貫通孔が形成されている、
冷蔵庫。
【請求項6】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
を備え、
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記戻りダクトと前記送風ダクトとは、互いの隣接方向に延びる複数の連結板によって互いに連結されており、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトは、前記戻り流路の中心線に沿って前記戻り流路と前記送風流路とを2分割するように分離可能な第1部材および第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に挟まれて、前記戻り流路および前記送風流路の各側部を液密に封止する側部封止部材と、を有しており、
前記複数の連結板のそれぞれは、前記第1部材に含まれる第1連結板と、前記第2部材に含まれる第2連結板と、に分かれている、
冷蔵庫。
【請求項7】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
を備え、
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記上側貯蔵室に配置され、前記上側貯蔵室の底壁の上面に上側から当接する流路形成部材をさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記冷蔵庫本体は、前記上側貯蔵室および前記下側貯蔵室を形成する内箱と、前記内箱の外側を覆う外箱と、を有し、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトは、前記内箱と前記外箱との間に配置されており、
前記発泡断熱材は、前記内箱と前記外箱との間に充填されており、
前記流路形成部材の下端部は、前記上面を形成する前記内箱に形成された第1開口および第2開口の各縁部にそれぞれ上側から当接しており、
前記送風ダクトの上側の開口は、平面視で前記第1開口の内側に開口しており、
前記戻りダクトの上側の開口は、平面視で前記第2開口の内側に開口しており、
前記戻りダクトと前記送風ダクトとは、互いの隣接方向に延び、前記戻りダクトの上端部と、前記送風ダクトの上端部と、をそれぞれ外側から囲むように前記戻りダクトおよび前記送風ダクトの外周部に設けられた上部連結板で互いに連結されており、
前記各縁部と、前記上部連結板と、の間には、前記各縁部を液密に封止する上部開口封止部材が配置されている、
冷蔵庫。
【請求項8】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
を備え、
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記冷却器から流出する冷媒を圧縮機に吸気させる吸気管をさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記冷蔵庫本体は、前記上側貯蔵室および前記下側貯蔵室を形成する内箱と、前記内箱の外側を覆う外箱と、を有し、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトは、前記内箱と前記外箱との間に配置されており、
前記発泡断熱材は、前記内箱と前記外箱との間に充填されており、
当該冷蔵庫は、前記戻りダクトおよび前記送風ダクトの一方または両方の外周部と係合する係合部と前記外箱の内面に係止する係止部とを有し、発泡スチロールで形成された断熱係止部材をさらに備え、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトの一方または両方の外周部には、前記吸気管を案内する第1案内部が設けられ、
前記断熱係止部材には、前記吸気管を案内する第2案内部が設けられ、
前記第1案内部および前記第2案内部は、前記吸気管の長手方向に交差する方向の位置を規制する、
冷蔵庫。
【請求項9】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
を備え、
前記冷却器収容室から前記上側貯蔵室に向けて前記冷気を送り出す送風流路を形成し、前記戻りダクトと隣り合って配置された送風ダクトをさらに備え、
前記発泡断熱材は、前記送風ダクトと前記戻りダクトとの間にも充填されており、
前記冷蔵庫本体は、前記上側貯蔵室および前記下側貯蔵室を形成する内箱と、前記内箱の外側を覆う外箱と、を有し、
前記戻りダクトおよび前記送風ダクトは、前記内箱と前記外箱との間に配置されており、
前記発泡断熱材は、前記内箱と前記外箱との間に充填されており、
前記送風ダクトは、
前記冷却器収容室から前記冷気が流入する流入口が内部に貫通しており、前記内箱において前記冷却器収容室に開口する開口部に、前記内箱の外面側から挿入される第1筒部と、
前記第1筒部の挿入方向の先端部の外周側に設けられた第1突起部と、
前記第1筒部の外周部を囲んで前記外周部から外側に延びる平面部と、
を有しており、
前記送風ダクトは、
前記開口部の周囲を封止する第1開口封止部材が前記平面部に配置され、かつ前記第1筒部が前記内箱の外面側から前記開口部に挿入された状態で、前記開口部に沿う前記内箱の内面と、前記第1突起部と、の間に、前記第1筒部の前記外周部の外側にはめ込まれた固定枠によって、前記内箱と固定されている、
冷蔵庫。
【請求項10】
上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、
冷気を形成する冷却器と、
前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、
前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、
前記冷却器収容室と、前記戻りダクトの外周部と、の間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、
を備え、
前記冷却器の下方に配置され、前記冷却器から落下する水分を集める樋部をさらに備え、
前記戻りダクトは、
前記冷却器収容室に戻る前記空気を排出する排出口が内部に貫通している第2筒部と、
前記第2筒部の挿入方向の先端部において外側に突出する第2突起部を有しており、内周側に弾性変形可能に形成された係止爪と、
前記第2筒部の外周部を囲んで前記第2筒部の前記外周部から外側に突出する突縁部と、
を有しており、
前記樋部の側壁には、前記第2筒部を挿入可能な挿入開口が形成されており、
前記戻りダクトは、
前記挿入開口の周囲を封止する第2開口封止部材が前記突縁部に配置され、かつ前記第2筒部が前記挿入開口に挿入された状態で、前記第2突起部と前記挿入開口の縁部とが係合することによって、前記樋部の前記側壁に固定されている、
冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、冷気を形成する冷却器を収容する冷却器収容室と貯蔵室との間に冷気を循環させて貯蔵室を低温に保つ。貯蔵室に送られて温度上昇した冷気は、戻りダクトを通して冷却器収容室に送られ、冷却器と熱交換することによって冷却される。
戻りダクトは冷却器の近くに配置されるので、戻りダクト内を流れる温度上昇した冷気に含まれる水分が結霜しやすい。このため、冷気の循環に支障が生じて冷却性能が低下する可能性がある。
特に、戻りダクトが冷蔵庫内において冷却器と並列に配置される場合、冷却器と戻りダクトの間が狭くなるので高性能な断熱材を配置しにくい。
結霜を防止するために除霜ヒータまたは送風機構を設けると、部品コストが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-19586号公報
【文献】特開2014-95530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、戻りダクトにおける結霜を抑制できる簡素な構成の冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、冷却器と、冷却器収容室と、戻りダクトと、発泡断熱材と、樋部と、を持つ。冷蔵庫本体は、上側貯蔵室と、上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む。冷却器は、冷気を形成する。冷却器収容室は、冷蔵庫本体に設けられる。冷却器収容室は、冷却器を収容する。戻りダクトは、上側貯蔵室と冷却器収容室とに連通する。戻りダクトは、上側貯蔵室の空気が冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する。発泡断熱材は、発泡ウレタン製である。発泡断熱材は、冷却器収容室と、戻りダクトの外周部と、の間に充填されている。樋部は、戻りダクトを挿入可能な挿入開口が形成されている。樋部は、冷却器の下方に配置され、冷却器から落下する水分を集める。戻りダクトは、第2突起部を有している。戻りダクトは、第2突起部と挿入開口の縁部とが係合することによって樋部に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図7】実施形態の冷蔵庫における戻りダクトおよび送風ダクトを示す斜視図。
【
図8】実施形態の冷蔵庫における戻りダクトおよび送風ダクトを示す斜視の分解図。
【
図10】実施形態の冷蔵庫における野菜室の内箱を示す斜視図。
【
図11】実施形態の冷蔵庫における第1部材を示す斜視図。
【
図12】実施形態の冷蔵庫における第2部材を示す斜視図。
【
図14】実施形態の冷蔵庫における固定枠を示す斜視図。
【
図15】実施形態の冷蔵庫における送風ダクトと冷却器収容室との連結構造を示す斜視図。
【
図16】実施形態の冷蔵庫における内箱と外箱との間の主要構成を示す斜視の分解図。
【
図17】
図5におけるF17-F17線に沿う断面図。
【
図18】実施形態の冷蔵庫における上側貯蔵室の流路形成部材を示す斜視の分解図。
【
図19】実施形態の冷蔵庫における上側貯蔵室の流路形成部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。
本明細書では、特に断らない限り、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、上下左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味している。
図中に矢線で示した、+X方向は右方向、-X方向は左方向、+Y方向は後方向、-Y方向は前方向、+Z方向は上方向、-Z方向は下方向である。
法線が+X方向に延びる平面をYZ平面、法線が+Y方向に延びる平面をZX平面、+Z方向に延びる平面をXY平面と称する場合がある。XY平面は水平面である。
冷蔵庫の各構成部材の形状は、特に断らない限り、冷蔵庫に配置された状態の姿勢に基づいて説明する。
【0008】
実施形態の冷蔵庫について説明する。
図1は、実施形態の冷蔵庫を示す正面図である。
図2は、
図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
【0009】
図1に示す実施形態の冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
冷蔵庫1は、例えば、筐体10および複数の扉11を有する。
【0010】
図2に示すように、筐体10は、例えば、内箱10aと、外箱10bと、発泡断熱材10cとを含む。
内箱10aは、筐体10の内面を形成する部材であり、例えば合成樹脂製である。
外箱10bは、筐体10の外面を形成する部材であり、例えば金属製である。外箱10bは、内箱10aよりも一回り大きく形成されており、内箱10aの外側に配置されている。外箱10bは、筐体10の前面を除く外面部を形成する直方体状である。外箱10bは、例えば、金属、または金属と樹脂との複合材料で形成される。
発泡断熱材10cは、発泡ウレタン製の断熱材であり、内箱10aと外箱10bとの間に充填されている。これにより、筐体10は断熱性を有する。
発泡断熱材10cは、内箱10aと外箱10bとの間にウレタンの発泡液を導入し、発泡させながら内部に充填し、固化させて形成される。
【0011】
図1に示すように、筐体10は、上壁21、下壁22、左側壁23、右側壁24、および後壁25(
図2参照)を有する。上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左側壁23、右側壁24は、下壁22の左右の端部から上方に起立し、上壁21の左右の端部に繋がる。
図2に示すように、後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がる。
【0012】
図1に示すように、筐体10の内部には、複数の貯蔵室27が設けられている。
図1に示す例では、複数の貯蔵室27は、冷蔵室27A、野菜室27B(上側貯蔵室)、および冷凍室27C(下側貯蔵室)を含む。冷蔵室27A、野菜室27B、および冷凍室27Cは、上側から下側に向かってこの順に配置されている。すなわち、冷蔵室27Aは冷蔵庫1の上段部に配置されている。
筐体10は、各貯蔵室27の前面側に、各貯蔵室27に対して食材等の収容物の出し入れを可能にする開口を有する。
複数の貯蔵室27の開口は、複数の扉11によって開閉可能に閉じられる。複数の扉11は、複数の扉11は、冷蔵室27A、野菜室27B、および冷凍室27Cを開閉するために、それぞれ、冷蔵室扉11A、野菜室扉11B、および冷凍室扉11Cを有する。
【0013】
図2に示すように、筐体10は、第1仕切部28と、第2仕切部29と、を有する。第1仕切部28および第2仕切部29は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間を仕切っている。第2仕切部29は、野菜室27Bと冷凍室27Cとの間に位置し、野菜室27Bと冷凍室27Cとの間を仕切っている。
【0014】
第2仕切部29は、野菜室27Bの底壁と冷凍室27Cの上壁とを構成している。
第2仕切部29は、野菜室27Bおよび冷凍室27Cの後面から前面に向かって略水平に突出する内箱10aの突出部と、突出部の内部に充填された発泡断熱材10cと、によって形成されている。このため、第2仕切部29は、野菜室27Bと冷凍室27Cとを互いに断熱している。第2仕切部29の上面である上面部29Aと下面である下面部29Bとは、それぞれ略水平に延びている。
【0015】
冷蔵室27Aの室内温度は、貯蔵物が凍らない温度に温度調節される。例えば、冷蔵室27Aの室内の温度は、野菜室27Bよりも低温かつ冷凍室27Cよりも高温に維持される。
冷蔵室27Aの内部には、冷蔵室容器13Aa、および冷水容器13Ab(
図1参照)が配置されている。
【0016】
冷蔵室容器13Aaは、例えば、第1仕切部28の後側の面上において、冷蔵室27Aの+X方向側の内壁27a(
図1参照)に近接して配置されている。冷蔵室容器13Aaの内部は、冷蔵室27Aの中で最も低温に保つことが可能であり、例えば、チルド室容器として用いられる。
図1に示すように、冷水容器13Abは、冷蔵室27Aの-X方向側の内壁27bと、冷蔵室容器13Aaとの間に配置されている。冷水容器13Abは、冷凍室27Cにおける製氷室13Cdに製氷用の冷水を貯留する。冷水容器13Abに貯留された冷水は、ポンプによって製氷室13Cdに供給される。
【0017】
冷蔵室27Aにおいて、冷蔵室容器13Aaおよび冷水容器13Abの上方には、天井板12A、および棚12B、12C、12Dがこの順に配置されている。
天井板12Aは、内壁27a、27bの間において、冷蔵室容器13Aaおよび冷水容器13Abの上端を上側から覆うように配置されている。
棚12B、12C、12Dは、天井板12Aより上側で、貯蔵物を配置する板部材である。内壁27b、27cには、棚12B、12C、12Dを配置する複数の係止部が設けられている。
【0018】
冷蔵室27Aの前面は、冷蔵室扉11Aによって開閉可能に覆われている。
図1に示すように、冷蔵室扉11Aは、例えば、+X方向の上下端に設けられたヒンジ30によって、筐体10の+X方向の端部に連結されている。冷蔵室扉11Aは、上下方向に延びるヒンジ30の回転軸線を中心として水平面内で回動可能である。冷蔵室扉11Aは、左側の端部が前から右側に向かって回転して開く回転式の片開き扉である。
図2に示すように、冷蔵室扉11Aは、冷蔵室27Aに向かう+Y方向側に、下側から上側に向かって、貯蔵物を収容する扉容器20A、20B、20Cをこの順に有する。
【0019】
野菜室27Bの室内温度は、貯蔵物が凍らない温度に温度調節される。野菜室27Bは、冷蔵室27Aとは別に設けられた冷蔵機能を有する貯蔵室である。野菜室27Bの室内温度は、冷蔵室27Aの室内温度と同様の温度域に調節されてもよいし、冷蔵室27Aよりも高い温度域に調節されてもよい。例えば、野菜室27Bの室内温度は、冷蔵室27Aの室内温度よりも高く、野菜などの貯蔵物の貯蔵に好適な温度に維持されてもよい。
ただし、野菜室27Bの貯蔵物は野菜に限定されることはなく、例えば、冷凍貯蔵の必要がない適宜の貯蔵物の貯蔵が可能である。例えば、冷蔵室27Aに貯蔵できる貯蔵物は野菜室27Bに貯蔵されてもよい。
野菜室27Bの内部には、野菜などの貯蔵物を収容する第1野菜室容器13Baおよび第2野菜室容器13Bbが配置されている。
第1野菜室容器13Baは、-Y方向の端部において野菜室扉11Bと連結されており、野菜室27B内に設けられたガイドレールに沿って奥行方向に移動可能である。
第2野菜室容器13Bbは、第1野菜室容器13Baの上部の一部を覆うように、第1野菜室容器13Baの上方に配置されている。
野菜室27Bの前面は、引き出し式の野菜室扉11Bによって開閉可能に覆われている。
【0020】
野菜室扉11Bの内部には断熱材が配置されている。野菜室扉11Bの後面側の外縁部には、野菜室27Bの前面の開口を形成する内箱10aの前面に当接するガスケットが設けられている。野菜室扉11Bが閉じられると、野菜室27Bの開口は断熱的に閉止される。
【0021】
野菜室扉11Bの上端は、上下方向における第1仕切部28の-Y方向の先端部(以下、単に先端部)の略中央部において先端部と奥行方向に隣り合っている。
第1仕切部28の先端部は、冷蔵室27Aを閉じるために冷蔵室扉11Aの下端のガスケットとも当接している。
【0022】
冷凍室27Cの室内の温度は、例えば、食材などの貯蔵物を冷凍可能な温度に維持される。冷凍室27Cの内部には、例えば、冷凍貯蔵する貯蔵物を収容する第1冷凍室容器13Caおよび第2冷凍室容器13Cbと、製氷室13Cdと、第3冷凍室容器13Ccと、が配置されている。
第1冷凍室容器13Caは、-Y方向の端部において冷凍室扉11Cと連結されており、冷凍室27C内に設けられたガイドレールに沿って奥行方向に移動可能である。
第2冷凍室容器13Cbは、第1冷凍室容器13Caの上方に配置され、冷凍室27C内に設けられたガイドレールに沿って奥行方向に移動可能である。
製氷室13Cdは、冷蔵室27Aに配置された冷水容器13Ab(
図1参照)から冷水の供給を受けて製氷を行う。
第3冷凍室容器13Ccは、第2冷凍室容器13Cbの上方に配置され、冷凍室27C内に設けられたガイドレールに沿って奥行方向に移動可能である。第3冷凍室容器13Ccにおいて、製氷室13Cdの下方に配置された部位には、製氷室13Cdで形成された氷を収容可能である。
冷凍室27Cの前面は、引き出し式の冷凍室扉11Cによって開閉可能に覆われている。
【0023】
冷凍室扉11Cの内部には断熱材が配置されている。冷凍室扉11Cの後面側の外縁部には、冷凍室27Cの前面の開口を形成する内箱10aの前面に当接するガスケットが設けられている。冷凍室扉11Cが閉じられると、冷凍室27Cの開口は断熱的に閉止される。
【0024】
筐体10の後側には、筐体10とともに冷蔵庫本体5を形成する種々の部材が配置されている。冷蔵庫本体5を形成する部材としては、例えば、冷媒が循環するパイプ、冷却ユニット15、冷却ファン16、ダクト14、および制御基板17などが挙げられる。
冷蔵庫本体5において、冷凍室27Cの後側(+Y方向側)の筐体10の下方には機械室50が設けられている。
【0025】
冷却ユニット15(冷却器)は、冷凍室27Cの後側に設けられた冷却ユニット収容室18(冷却器収容室)に配置されている。
例えば、冷却ユニット15は、膨張弁を通過して低沸点化した冷媒を冷却ユニット収容室18の空気と熱交換させることにより気化させる蒸発器15aを有する。蒸発器15aは、冷却ユニット収容室18内の空気から冷媒の気化熱を奪うことによって蒸発器15aの周囲の空気を冷却し、冷却ユニット収容室18内に冷気を形成する。
【0026】
冷却ユニット15の周辺の構成を説明する。
冷却ユニット収容室18は、冷凍室27Cの後側の内面を形成する後壁面10aCにおいて+Y方向に凹んだ凹所18aを、収容室カバー部材18bが覆うことによって形成されている。
収容室カバー部材18bは、樹脂製の外被カバーの内部にEPS(Expanded Poly-Styrene)などの断熱材が配置された壁体である。
図3は、
図2におけるF3-F3線に沿う断面図である。ただし、
図3では、
図2に示された天井板12A、棚12B、12C、12Dと、冷蔵室容器13Aaをはじめとする各容器の図示は省略されている。
図4は、
図3におけるF4-F4線に沿う断面図である。
図5は、
図3におけるF5-F5線に沿う断面図である。
【0027】
図3に示すように、収容室カバー部材18bの内部には、冷却ユニット収容室18内の冷気を吸引する冷却ファン16と、吸引された冷気を、冷凍室27Cと冷蔵室27Aとに向けて流すことが可能な複数の流路が形成されている。冷却ファン16は、収容室カバー部材18b内の複数の流路と、後述するダクト14と、を通して、冷却ユニット15で形成された冷気を、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bと冷却ユニット収容室18との間と、冷凍室27Cと冷却ユニット収容室18との間と、に循環する流れを形成する。
【0028】
冷却ファン16は、+Y方向から見ると、冷凍室27Cの横幅方向の中心寄りも-X方向寄りに配置されている。
図4に示すように、冷却ファン16は、冷却ユニット収容室18において、冷却ユニット15の上部および上方の空間と対向して配置されている。冷却ファン16の-Y方向には、冷却ファン16が吸引した冷気を、+X方向および-Z方向に流す流路C11が形成されている。流路C11は、収容室カバー部材18bの-Y方向の表面に形成された複数の開口18e(
図3参照)に連通している。流路C11に流れる冷気は、開口18eを通して、冷凍室27C内に流れる。
図2に示すように、収容室カバー部材18bの下端部18dの+Y方向側には、+Y方向に向かうにつれて+Z方向に延び、空気の流れを斜め上方に案内する案内板18fが形成されている。案内板18fよりも+Y方向側には、凹所18aの下端側の内部に連通する開口18gが形成されている。この開口18gは+Y方向から見ると、収容室カバー部材18bによって前側から覆われている。
下端部18dと凹所18aとの間には、流路C13が形成されている。流路C13は、冷凍室27Cと冷却ユニット収容室18とを互いに連通させる。
冷却ファン16の吸引によって冷却ユニット収容室18が負圧になると、冷凍室27C内の空気が流路C13を通して冷却ユニット収容室18に戻る。
【0029】
図3に示すように、+Y方向から見て、冷却ファン16の+X方向には、収容室カバー部材18bの後面を+Y方向に貫通する開口18cが形成されている。
図5に示すように、開口18cは、流路C11に連通している。開口18cから収容室カバー部材18bの後面を貫通する貫通孔は、冷気を後述するダクト14に流す流路C12を構成している。
【0030】
図2に示すように、ダクト14は、冷却ユニット15から供給される冷気を冷蔵室27Aおよび野菜室27Bと、冷却ユニット収容室18と、との間で循環させる流路の一部を形成する。
ダクト14は、流路形成部材14A、14B、14Cを有する。
【0031】
流路形成部材14Aは、冷蔵室27Aにおける内壁部10aAを前側から覆う板状の壁面部14Aaを有する。内壁部10aAは、内箱10aのうち冷蔵室27Aの+Y方向の内面を形成する部位である。内壁部10aAは、冷蔵室27Aの室内高さの約三分の一以下の下端部では、後壁25と平行に+Z方向に延びており、冷蔵室27Aの室内高さの約三分の一よりも上側では、+Z方向に進むにつれて漸次+Y方向に傾斜している。
壁面部14Aaは、内壁部10aAの傾斜に沿って延びており、内壁部10aAの前側に配置されている。
本実施形態では、壁面部14Aaには、明瞭な段部は形成されていない。このため、ユーザが冷蔵室27A内を見た時に、壁面部14Aaが前側に突出していることが分かりにくくなっている。これにより、ユーザは、冷蔵室27Aが広々としているという印象を持ちやすい。
【0032】
図3に示すように、壁面部14Aaの-Y方向の表面には、内壁部10aAとの間に略一定の隙間を確保するため、リブ14Ab、14Acが+Y方向に突出している。
リブ14Abは、冷蔵室27Aの横幅方向の中心よりも-X方向寄りの位置において壁面部14Aaの下端部から上端部まで延びている。
リブ14Acは、冷蔵室27Aの横幅方向の中心よりも+X方向寄りの位置においてリブ14Ab下端部から上端部まで延びている。
リブ14Ab、14Acの各上端部には、壁面部14Aaから+Y方向に突出するリブ14Adが接続している。
+Y方向から見たリブ14Ab、14Ac、14Adの内周面と、壁面部14Aaの後面(+Y方向の表面)と、には、断熱材14Ae(
図2参照)が配置されている。
リブ14Ab、14Ac、14Adよりも内側の断熱材14Aeと、これに対向する内壁部10aAの間には、
図2に示すように、内壁部10aAに沿って第1流路C1が形成されている。
図3に示すように、壁面部14Aaにおいて、リブ14Ab、14Acの間には、壁面部14Aaおよび断熱材14Aeの厚さ方向に貫通する複数の開口14Afが形成されている。複数の開口14Afは、それぞれ上下方向の位置が異なっている。複数の開口14Afの+Y方向から見た各開口形状は、例えば、横幅方向に長い矩形である。複数の開口14Afの各開口面積は、下側から上側に向かうにつれて増大している。
リブ14Ab、14Acに沿う断熱材14Aeにおける+Y方向の表面には、内壁部10aAと断熱材14Aeの間を気密に封止する封止部材が貼り付けられている。
【0033】
このような構成により、流路形成部材14Aの下端部から上端部までの間には、壁面部14Aaの後側には、壁面部14Aa、リブ14Ab、14Ac、14Ad、およびこれらの内周面を覆う断熱材14Aeと、内壁部10aAで囲まれた第1流路C1が形成されている。
第1流路C1は、複数の開口14Afを通して、冷蔵室27Aの内部に連通している。
図3に示すように、冷蔵室27Aの底壁である第1仕切部28において、+X方向における+Y方向の隅には、冷蔵室27Aと野菜室27Bとを連通させる連通孔28bが開口している。
【0034】
図2に示すように、流路形成部材14Bは、上側貯蔵室である野菜室27Bに配置されている。流路形成部材14Bは、野菜室27Bにおける後側の内面を形成する内壁部10aBに対して、野菜室27Bの前側から着脱可能に設けられている。流路形成部材14Bの下端部は、第2仕切部29の上面部29Aに上側から当接している。
流路形成部材14Bは、内壁部10aBとともに、第1流路C1に下側から連通する第2流路C2を形成する。流路形成部材14Bの詳細構成は後述する。
【0035】
流路形成部材14Cの概略構成を説明する。
図2に示すように、流路形成部材14Cは、冷凍室27Cの+Y方向の内面と冷却ユニット収容室18の凹所18aの内面とを形成する内箱10aの後壁面10aCよりも+Y方向側の冷蔵庫本体5内に配置されている。
図6は、
図2におけるF6-F6線に沿う断面図である。
図7は、実施形態の冷蔵庫における戻りダクトおよび送風ダクトを示す斜視図である。
【0036】
図6に示すように、流路形成部材14Cは、送風ダクト31と、戻りダクト32と、を有する。
送風ダクト31は、冷却ユニット収容室18から上側の野菜室27Bの方に向けて、冷気を送り出す送風流路Cbを形成する部材である。
送風ダクト31は、凹所18aの上側の内面よりも上側に配置されている。
図5に示すように、送風ダクト31は、凹所18aよりも上側の後壁面10aCに当接する収容室カバー部材18bの上端部と対向している。
送風流路Cbの下端部には-Y方向に開口する開口31a(流入口)が形成されている。送風流路Cbは開口31aにおいて流路C12に連通している。送風流路Cbは、開口31aから+Y方向に延びた後、冷却ユニット15の上方で+Z方向に延びている。送風流路Cbの上端部には+Z方向に開口する開口31bが形成されている。送風流路Cbは、開口31bにおいて第2流路C2に連通している。
【0037】
図6に示すように、戻りダクト32は、野菜室27Bと冷却ユニット収容室18とに連通し、野菜室27Bの空気が冷却ユニット収容室18に戻る戻り流路Crを形成する部材である。
戻りダクト32は、送風ダクト31および冷却ユニット収容室18に対して+X方向に隣り合って配置されている。
戻りダクト32の上端部には+Z方向に開口する開口32aが形成されている。戻り流路Crは開口32aにおいて野菜室27Bの内部に連通している。本実施形態では、開口32aは、+Z方向から見ると、冷却ユニット収容室18+X方向の端部と重なる位置に配置されている。
戻り流路Crは、開口32aから-Z方向に延びた後、-Z方向に進むにつれて+X方向に向かって傾斜し、冷却ユニット収容室18から離れた位置で-Z方向に延びている。戻り流路Crは、このようにして+X方向において冷却ユニット収容室18を迂回し、冷却ユニット収容室18に沿って下降した後、-X方向に向かって徐々に90度旋回し、冷却ユニット15の下方において-X方向に延びている。戻り流路Crの最下部には-X方向に開口する開口32b(排出口)が形成されている。
【0038】
冷却ユニット収容室18内の冷却ユニット15の下方には、蒸発器15aに付着した霜を除去する際の水分を回収する樋部41が配置されている。
図7に示すように、樋部41は、+Z方向に開口した容器であり、底部に排水口41bを有している。本実施形態では、戻りダクト32の下端部は、冷却ユニット収容室18の凹所18aにおける+X方向の内面18h(
図6参照)と、樋部41の+X方向の側壁41aと、に貫通した状態で樋部41に固定されている。
【0039】
送風ダクト31および送風ダクト31は、内箱10aと外箱10bの間に充填された発泡断熱材10cに囲まれている。このため、横幅方向における送風ダクト31と戻りダクト32の間には、発泡断熱材10cの一部である発泡断熱材10cAが充填されている。さらに、横幅方向において、冷却ユニット収容室18と、戻りダクト32の外周部と、の間には、発泡断熱材10cの一部である発泡断熱材10cBが充填されている。
流路形成部材14Cの詳細構成は後述する。
【0040】
図2に示すように、制御基板17は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御基板17は、冷蔵室27A、冷凍室27C、および冷却ユニット収容室18などに設けられた温度センサの検出結果に基づき、冷却ユニット15、後述する流量調節器39、および後述する圧縮機51の動作を制御する。
制御基板17は、湿気を避けることができる場所に配置することが好ましい。本実施形態では、冷蔵室27Aの上部における後壁25と内壁部10aAとの間に配置されている。制御基板17と内壁部10aAとの間には、発泡断熱材10cが配置されている。本実施形態では、内壁部10aAの上端部は、-Y方向にせり出しているので、制御基板17が配置されても、制御基板17と内壁部10aAとの間に充分な厚さを有する発泡断熱材10cが配置できる。このため、制御基板17と冷蔵室27Aの内部とは互いに断熱されている。
【0041】
機械室50は、冷凍室27Cの後側において、第1冷凍室容器13Caよりも+Y方向側かつ冷却ユニット15よりも-Z方向側に位置し、冷蔵庫1の横幅方向に延びる直方体状の領域に設けられている。機械室50は、発泡断熱材10cが充填された断熱壁を介して、冷凍室27Cの内部と隔てられている。
機械室50の内部には、冷媒を圧縮する圧縮機51、圧縮された冷媒を凝縮して高温蒸気を形成する凝縮器、および自動除霜によって発生する除霜排水を貯留する蒸発皿などが配置されている。圧縮機51および凝縮器は、横幅方向に並列に配置されているため、機械室50の高さが低減されている。蒸発皿は、凝縮器の下方に配置されている。
【0042】
流路形成部材14Cの詳細構成を説明する。
図8は、実施形態の冷蔵庫における戻りダクトおよび送風ダクトを示す斜視の分解図である。
図9は、
図8におけるF9-F9線に沿う断面図である。
【0043】
図8に示すように、流路形成部材14Cは、本体部14aと、送風流路形成部材14bとを有する。さらに、流路形成部材14Cには、内箱10aへの装着時に、内箱10aの開口部の周囲を液密に封止する封止部材36(第1開口封止部材)、封止部材37(第2開口封止部材)、封止部材38(上部開口封止部材)が配置される。
本明細書おいて「液密」とは、特に断らない限り発泡断熱材10cを形成する発泡液が流動時および発泡時に漏れないことを意味する。
【0044】
本体部14aは、横幅方向(隣接方向)において互いに隣接する送風ダクト31および戻りダクト32と、上部連結板33(連結板)と、複数の下部連結板34(連結板)と、を有する。上部連結板33および複数の下部連結板34は、それぞれ横幅方向に延びており、送風ダクト31および戻りダクト32を横幅方向において互いに連結する。
本体部14aは、適宜構成の組立部品を連結した組立体として形成することができる。例えば、本実施形態では、本体部14aは、第1部材14aFおよび第2部材14aRと、側部封止部材42と、側部封止部材43(
図9参照)と、を有する。
【0045】
第1部材14aFおよび第2部材14aRは、戻り流路Crの中心線に沿って戻り流路Crと送風流路Cbとを2分割するように分離可能な部材である。本実施形態では、第1部材14aFおよび第2部材14aRの主要部は、戻り流路Crの中心線を含みZX平面に平行な仮想面D(
図11、12参照)を境として、本体部14aを前後方向に分割した形状を有する。ただし、後述する係止爪32k、31h、支柱32sなどの部材は、仮想面Dを越えて延びている。
図9に示すように、側部封止部材42は、送風流路Cbの横幅方向の側部を形成する第1部材14aFおよび第2部材14aRの組立時の継ぎ目部に挟持され、送風流路Cbの側部を液密に封止する。
側部封止部材43は、戻り流路Crの横幅方向の側部を形成する第1部材14aFおよび第2部材14aRの継ぎ目部の間に挟持され、戻り流路Crの側部を液密に封止する。
側部封止部材42、43は、例えば、厚さ方向に弾力を有する樹脂基材と、樹脂基材に貼り付けられた粘着テープと、を有するソフトテープ、ブチルゴムや両面テープなどで形成されてもよい。
以下では、本体部14aの全体の詳細構成を説明した後、第1部材14aFおよび第2部材14aRの詳細構成を説明する。
【0046】
図8に示すように、送風ダクト31は、下端部を形成し-Y方向に開口する第1筒部31Bと、上端部を形成し+Z方向に開口する第2筒部31Cと、第1筒部31Bと第2筒部31Cとの間の外周部を形成するケーシング部31Aと、を有する。
【0047】
ケーシング部31Aは、送風流路形成部材14bを開口31bの上方から装着可能な凹所31dを形成し、凹所31dにおいて後述する送風流路形成部材14bを下方から支持する。ケーシング部31Aの-Y方向の表面は、ZX平面に平行な平面部31eを形成している。
第1筒部31Bは、平面部31eから-Y方向に突出している。+Y方向から見た第1筒部31Bにおける開口31aの形状は、四隅が丸められた横幅方向に細長い略矩形である。
第1筒部31Bにおける-Y方向の先端部の外周部には、開口31aの各長辺および各短辺の中央部において、外側に突出する4つの係止突起31c(第1突起部)が設けられている。各係止突起31cは、後述する固定枠35に係止する。
【0048】
図5に示すように、第1筒部31Bは、平面部31eに後述する封止部材36を配置した状態で、冷凍室27Cの後壁面10aCに貫通する開口部O1に後側から挿入される。第1筒部31Bの外周部には冷凍室27Cの内部側から+Y方向に挿入された後述する固定枠35が嵌め込まれている。
【0049】
図8に示すように、凹所31dの上端には、第2筒部31Cが+Z方向に延びている。第2筒部31Cの上端は、+Y方向に進むにつれて+Z方向に高くなる傾斜を有する。
送風流路形成部材14bは、凹所31dに上方から嵌合する外形を有し、内部に、第1管路14b1と、第2管路14b2と、を有する。
図5に示すように、第1管路14b1の下端部の開口は、+Y方向から見ると開口31aと重なる矩形状であり、-Z方向から見ると、凹所31dの底部に向かって開口している。第1管路14b1は、下端部の開口から、+Z方向に向かって屈曲している。第1管路14b1の断面形状は、横幅方向に長い略矩形である。
第2管路14b2は、第1管路14b1の上端における開口14b3よりも外側に広がる略矩形断面が第1管路14b1の上端から+Z方向に延びて形成されている。
送風流路形成部材14bの上端には、第2管路14b2が開口することにより、送風流路Cbの開口31bが形成されている。送風流路形成部材14bの上端において、開口31bの外周側には、+Y方向に進むにつれて+Z方向に高くなる傾斜面14b4が形成されている。
送風流路形成部材14bは、例えば、EPSのような断熱材によって形成されている。
【0050】
第2管路14b2には、流量調節器39が着脱可能に配置されている。
流量調節器39は、第1管路14b1から第2管路14b2に流れる冷気の流量を調節する。流量調節器39は、枠体39a、流量調節板39c、およびモータ収容部39eを有する。
枠体39aの外形は、-Z方向から見て開口31bに沿っており、開口31bよりもわずかに小さい。枠体39aの外周部には、第2管路14b2との間を封止する封止部材39fが全周にわたって設けられている。封止部材39fとしては、枠体39aと第2管路14b2の内面との間で冷気を封止できれば特に限定されない。例えば、封止部材39fとして、上述のソフトテープ、ブチルゴムや両面テープなどが用いられてもよい。
枠体39aの内側には、-X方向において、流量調節板39cと、モータ収容部39eとが、この順に並んでいる。
【0051】
流量調節板39cは、開口14b3を上側から閉止可能な横幅方向に細長い矩形板である。流量調節板39cの-Y方向の端部には、-X方向に延びる回動軸39dが固定されている。回動軸39dは、モータ収容部39eの内部に延びている。
モータ収容部39eは、制御基板17(
図2参照)からの制御信号によって動作が制御されるモータと、モータの出力軸の回転を回動軸39dに伝達する伝達機構と、を内部に収容している。モータ収容部39eの上端部は、開口31bよりも+Z方向に突出している。このため、流量調節器39は、開口31bから突出したモータ収容部39eを把持することにより、第2管路14b2に装着したり、第2管路14b2から外したりすることができる。
モータ収容部39eの上端部はXY平面に平行な平面で形成されている。モータ収容部39eの上端部には、厚さ方向に弾力を有するシート44が配置されている。
【0052】
モータが駆動されると回動軸39dは、その中心軸線回りに回動する。流量調節板39cは、回動軸39dの回動角度に応じて、開口14b3を閉じる全閉状態と、流量調節板39cが+Z方向に起立する全開状態と、の間の傾斜角度を取る。回動軸39dの傾斜角度に応じて、開口14b3から第2管路14b2に向かう流路抵抗が変化するので、送風流路Cbを流れる冷気の流量が調節される。
本実施形態では、開口14b3は、第2仕切部29の下面部29Bよりも高く、上面部29Aよりも低い位置に設けられている。流量調節板39cが全閉状態になると、第1管路14b1に入り込む冷気は、上面部29Aよりも上側には進入できなくなる。
ケーシング部31Aにおいて少なくとも第1管路14b1が形成された下端部の外側は、断熱性能に優れる発泡断熱材10cに囲まれているので、野菜室27B内の空気の熱が第1管路14b1内の冷気に伝わることが抑制される。このため、冷凍室27Cを冷却する冷気の温度上昇を抑制でき、流量調節板39cの全閉状態における冷凍室27Cの冷却効率を向上できる。
【0053】
図8に示すように、戻りダクト32は、上端部を形成し+Z方向に開口する第1筒部32Bと、下端部を形成し-X方向に開口する第2筒部32Cと、第1筒部32Bと第2筒部32Cとに連通する管形であり内部に戻り流路Crを形成するダクト本体32Aと、を有する。
【0054】
ダクト本体32Aの外周部には、ダクト本体32Aの延在方向に交差する方向に延びる複数のリブ32gと、ダクト本体32Aの延在方向に延びる複数のリブ32hとが外側に突出している。複数のリブ32g、32hは、ダクト本体32Aの強度および剛性を向上させる。このため、複数のリブ32g、32hを有しない場合に比べると、ダクト本体32Aの厚さを低減しても同様の強度および剛性を有する。
特に、複数のリブ32g、32hは、戻りダクト32の外周に発泡断熱材10cが充填される際、発泡圧による変形を抑制する作用がある。
複数のリブ32g、32hは、発泡断熱材10cの充填後に発泡断熱材10c内に埋め込まれるため、発泡断熱材10c内における位置を安定させる作用も有する。
ダクト本体32Aの厚さが低減されるため、複数のリブ32g、32hを有しない場合に比べると、ダクト本体32Aと冷却ユニット収容室18との間およびダクト本体32Aとケーシング部31Aとの間における発泡断熱材10cの充填量が増大し、発泡断熱材10cの断熱効果が向上する。
【0055】
ダクト本体32Aの上端には、第1筒部32Bが+Z方向に延びている。-Z方向から見た第1筒部32Bの形状は四隅が丸められた略矩形である。第1筒部32Bの上端の高さは、送風ダクト31の第2筒部31Cと同様、+Y方向に進むにつれて+Z方向に高くなる傾斜を有する。第1筒部32Bの上端の傾斜角は特に限定されないが、本実施形態では、後述する第2仕切部29の傾斜部29bの傾斜に等しい。
【0056】
ダクト本体32Aの下端には、第2筒部32Cが-X方向に延びている。第2筒部32Cの延在方向における基端部には、YZ平面に平行な突縁部32cが外側に突出している。突縁部32cは、ダクト本体32Aの外周を全周にわたって囲んでいる。
+X方向から見た第2筒部32Cの形状は四隅が丸められた略矩形である。
図7に示すように、第2筒部32Cの外形は、樋部41の側壁41aの厚さ方向に貫通した挿入開口41cに嵌合可能な形状である。
図8に示すように、第2筒部32Cの延在方向の先端部には、内周側に弾性変形可能な係止爪32dが設けられている。係止爪32dの先端には、第2筒部32Cの外周側に突出する突起部32e(第2突起部)が形成されている。
【0057】
上部連結板33は、戻りダクト32の上端部である第1筒部32Bと、送風ダクト31の上端部である第2筒部32Cと、をそれぞれ外側から囲むように戻りダクト32および送風ダクト31の外周部に設けられている。
上部連結板33は、第2仕切部29の上面部29Aの下面側に配置される。まず、上面部29Aの詳細形状について説明する。
図10は、実施形態の冷蔵庫における野菜室の内箱を示す斜視図である。
【0058】
図10に示すように上面部29Aは、主面29a、傾斜部29b、および隅部29cと、を有する。
主面29aは、上面部29Aの前端から+Y方向に略水平に延びている。
傾斜部29bは、主面29aの後端から+Y方向に進むにつれて+Z方向の高さが増大する傾斜を有する平面である。
隅部29cは、傾斜部29bの+Y方向の端部と、内壁部10aBの下端と、をつなぐ傾斜面である。隅部29cは、+Y方向に進むにつれて+Z方向の高さが増大する傾斜を有する。ただし、隅部29cの傾斜は傾斜部29bよりも大きい。
【0059】
傾斜部29bには、開口部O2(第1開口)と、開口部O3(第2開口)と、が傾斜部29bを形成する内箱10aの厚さ方向に貫通している。
開口部O2の形状は、送風ダクト31の第2筒部31Cを、傾斜部29bの下方から+Z方向に挿通可能な略矩形である。
開口部O3の形状は、戻りダクト32の第1筒部32Bを、傾斜部29bの下方から+Z方向に挿通可能な略矩形である。開口部O3は、開口部O2と+X方向に形成されている。
開口部O2、O3の横幅方向における配列ピッチは、第2筒部31Cと第1筒部32Bとの配列ピッチに等しい。
主面29aにおいて開口部O2の近傍には、開口部O4が形成されている。
開口部O4は、第2筒部31Cが開口部O2に挿通されたとき、上部連結板33に設けられた後述するフック33bが挿通可能な形状を有する。
【0060】
隅部29cには、横幅方向において開口部O2よりも外側の2箇所にそれぞれ固定部29dが形成されている。各固定部29dは、隅部29cから冷凍室27Cの内側に膨出している。各固定部29dの形状は、上部連結板33に設けられた後述するネジ固定部33hの表面に略沿う凹凸形状を有している。本実施形態では、各固定部29dの上面は、冷蔵室27Aの前から後に向かうにつれて高さが増大する傾斜面29fである。傾斜面29fには、すり鉢形の凹部29eが形成されており、各固定部29dの裏面側に形成される凹所にはネジ固定部33hが下方側から嵌合する。
【0061】
図8に示すように、上部連結板33は、前板部33a、後板部33e、角板部33f、および背板部33gを有する。
前板部33aは、第1筒部32Bおよび第2筒部31Cの奥行方向の中心部から-Y方向に延びている。前板部33aは、上面部29Aの主面29aと平行に延びる平板である。本実施形態では、前板部33aは、XY平面に平行である。
前板部33aは、-Y方向における第2筒部31Cの近傍にフック33bを有する。
フック33bは、上部連結板33に上方から係止する流路形成部材14Bの前側の下端部を係止する。フック33bの形状は、流路形成部材14Bを係合できれば特に限定されない。本実施形態では、フック33bは、-Y方向から見て矩形の貫通孔を有する門型の突起である。
フック33bは1以上設けられていれば、個数および配置位置は特に限定されない。
図8に示す例では、フック33bは、第1筒部31Bの前側であって横幅方向の中央部に単独で設けられている。
【0062】
フック33bと第2筒部31Cとの間の前板部33a上には、第2筒部31Cの外周に沿って周回する複数のリブ33c1が+Z方向に突出している。
第1筒部32Bの外周に沿う前板部33a上には、第1筒部32Bの外周に沿って周回する複数のリブ33c2が+Z方向に突出している。
複数のリブ33c2の外周部の-Y方向における前板部33a上には、-Z方向から見て格子状に形成された複数のリブ33dが+Z方向に突出している。
複数のリブ33c1、33c2の各上端は、-Y方向に向かうにつれて-Z方向に傾斜しており、それぞれの+Y方向の端部における上下方向の高さは、後述する後板部33eの-Y方向の端部の上下方向の高さと等しい。
複数のリブ33dの上端は、複数のリブ33c2の外周側から-Y方向に向かうにつれて-Z方向に、複数のリブ33cと同様に傾斜している。
複数のリブ33c1、33c2、33dは、流路形成部材14Cを内箱10aに装着したとき、-Z方向から見て傾斜部29bと重なる領域に形成されている。
複数のリブ33c1、33c2、33dの上端の傾斜は、傾斜部29bの傾斜と同様である。複数のリブ33c1、33c2、33dの上端は、後述する封止部材38を下方から斜めに支持し、後述する封止部材38を傾斜部29bの裏面に押し付ける。
【0063】
後板部33eは、第1筒部32Bおよび第2筒部31Cの奥行方向の中心部から+Y方向に延びている。後板部33eは、複数のリブ33c1、33c2の+Y方向の端部から複数のリブ33c1、33c2の上端と同様に傾斜する平板である。
後板部33eは、流路形成部材14Cを内箱10aに装着したとき、-Z方向から見て傾斜部29bと重なる領域に形成されている。後板部33eは、後述する封止部材38を下方から斜めに支持し、後述する封止部材38を傾斜部29bの裏面に押し付ける。
【0064】
角板部33fは、後板部33eの+Y方向の端部から+Y方向に向かうにつれて+Z方向に傾斜している。角板部33fの傾斜と形成範囲とは、内箱10aの隅部29cの傾斜および形成範囲と同様である。
背板部33gは、角板部33fの+Z方向の端部から+Z方向に延びる平板である。
角板部33fおよび背板部33gには、流路形成部材14Cを内箱10aに装着したとき、-Z方向から見て固定部29dとそれぞれと重なる位置に、固定部29dの裏面に嵌合するネジ固定部33hが形成されている。ネジ固定部33hは、後述する流路形成部材14Bをネジで固定するため設けられている。ネジ固定部33hの詳細構成は後述する。
【0065】
複数の下部連結板34は、上部連結板33の下方において、送風ダクト31と戻りダクト32とを互いに連結する。複数の下部連結板34の枚数は特に限定されない。
各下部連結板34の-X方向の端部は、ケーシング部31Aの側面に接続している。各下部連結板34の+X方向の端部は、戻りダクト32の外周部を囲んでおり、複数のリブ32gと同様、戻りダクト32の外周部を補強している。
送風ダクト31と戻りダクト32との間の各下部連結板34には、それぞれの板厚方向に貫通する貫通孔34aが形成されている。各貫通孔34aは、送風ダクト31と戻りダクト32との間に発泡断熱材10cが充填される際に、発泡断熱材10cの原料である発泡液が送風ダクト31と戻りダクト32との間に流れやすくする作用を有する。これにより、送風ダクト31と戻りダクト32との間に、未充填部が形成されることなく発泡断熱材10cが充填される。
さらに、貫通孔34aは、貫通孔34aが形成されない場合に比べると、戻りダクト32から送風ダクト31への熱伝導経路の経路断面積を低減する作用も有する。これにより、戻りダクト32を流れる空気の熱が送風ダクト31に熱伝導しにくくなるので、送風流路Cbを流れる冷気の温度上昇を抑制できる。
【0066】
封止部材36は、第1筒部31Bの周囲の平面部31eと、後壁面10aCの開口部O1(
図5参照)の縁部との間を液密に封止する。封止部材36の+Y方向から見た形状は、第1筒部31Bの外周に沿う略矩形である。封止部材36の材料は、開口部O1の周囲を液密に封止できれば特に限定されない。例えば、封止部材36は、上述のソフトテープ、ブチルゴムや両面テープなどによって形成されてもよい。
【0067】
封止部材37は、第2筒部32Cの周囲の突縁部32cと、樋部41の側壁41aにおける挿入開口41cの縁部との間を液密に封止する。封止部材37の+X方向から見た形状は、第2筒部32Cの外周に沿う略矩形である。封止部材37の材料は、挿入開口41cの周囲を液密に封止できれば特に限定されない。例えば、封止部材37は、厚さ方向に弾力を有する樹脂基材を打ち抜いたパッキン、ブチルゴムや両面テープなどによって形成されてもよい。
【0068】
封止部材38は、第2筒部31C、第1筒部32B、およびフック33bの周囲の上部連結板33を上方から覆うことができる外形を有し、第2筒部31C、第1筒部32B、およびフック33bをそれぞれ貫通させる貫通孔38a、38b、38cが形成されたシートである。封止部材38は、第2筒部31Cを囲む上部連結板33と開口部O2の縁部との間と、第1筒部32Bを囲む上部連結板33と開口部O3の縁部との間と、フック33bを囲む上部連結板33と開口部O4の縁部との間と、を液密に封止する。
封止部材38の材料は、上述の部位を液密に封止できれば特に限定されない。例えば、封止部材37は、厚さ方向に弾力を有する樹脂基材を打ち抜いたパッキン、ブチルゴムや両面テープなどによって形成されてもよい。
【0069】
次に、本体部14aを構成する第1部材14aFおよび第2部材14aRの詳細構成を互いの連結部の構成を中心として説明する。本体部14aにおいて符号「X」を付した部位は、前後方向に分離している場合がある。第1部材14aFに分離されたXと、第2部材14aRに分離されたXと、を区別できるように、それぞれ、「XF」、「XR」と称する。ただし、分離前の「X」形状からそれぞれの形状が容易に理解できる場合には、それぞれの形状の説明は省略する。
図11は、実施形態の冷蔵庫における第1部材を示す斜視図である。
図12は、実施形態の冷蔵庫における第2部材を示す斜視図である。
図13は、
図12におけるF13視の斜視図である。
【0070】
図11に示すように、第1部材14aFの主要部は、本体部14aにおいて仮想面Dよりも前側(-Y方向側)の形状を有する。
ダクト本体32AFは、ダクト本体32Aの前側を構成する。ダクト本体32AFの外周側には、リブ32gF、リブ32h(図示略)がそれぞれ形成されている。
ダクト本体32AFの上端には第1筒部32BFが、下端には第2筒部32CFがそれぞれ形成されている。
【0071】
ダクト本体32AFの+Y方向の各端部には、ZX平面に平行な平面で形成され側部封止部材43(
図9参照)を配置する端面32iがそれぞれ形成されている。端面32iは、ダクト本体32AFにおける継ぎ目部を構成する。
各端面32iの外周側には、それぞれ端面32iから+Y方向に突出し、側部封止部材43を案内する案内壁32jが突出している。
各端面32iの外周側には、係止爪32k(第1係止部)が仮想面Dを越えて+Y方向に突出している。係止爪32kは、各端面32iの延在方向において間をあけて複数個設けられている。
係止爪32kは、爪本体32k1と、係止突起32k2と、を有する。爪本体32k1は、+Y方向に突出し、ダクト本体32AFの外側に向かって弾性変形可能である。係止突起32k2は、爪本体32k1の先端部においてダクト本体32AFの内周側に向かって突出している。
ダクト本体32AFの内周部には、仮想面Dを越えて+Y方向に突出する支柱32sが設けられている。支柱32sの長さは、奥行方向における戻りダクト32の内径よりも短く、内半径よりも長い。
【0072】
ケーシング部31AFは、仮想面Dよりも前側のケーシング部31Aを構成する。ケーシング部31AFの-Y方向側には、第1筒部31Bが形成されている。ケーシング部31AFの上端には第2筒部31CFが形成されている。
ケーシング部31AFの+Y方向の各端部には、ZX平面に平行な平面で形成され側部封止部材42(
図8参照)を配置する端面31fが形成されている。端面31fは、ケーシング部31AFにおける継ぎ目部を構成する。
端面31fの外周側には、それぞれ端面32iから+Y方向に突出し、側部封止部材42を案内する案内壁31gが突出している。
端面31fの外周側には、係止爪31h(第1係止部)が仮想面Dを越えて+Y方向に突出している。係止爪31hは、端面31fの延在方向において間をあけて複数個設けられている。
各係止爪31hは、爪本体31h1と、係止突起31h2と、を有する。爪本体31h1は、+Y方向に突出し、ケーシング部31AFの外側に向かって弾性変形可能である。係止突起31h2は、爪本体31h1の先端部においてケーシング部31AFの内周側に向かって突出している。
【0073】
ダクト本体32AFおよびケーシング部31AFは、上部連結板33F(第1連結板)と、複数の下部連結板34F(第1連結板)とによって、横幅方向において互いに連結している。
本実施形態では、第1部材14aFは、例えば、射出成形などによって成形された樹脂成形品で形成されている。
【0074】
図12に示すように、第2部材14aRの主要部は、本体部14aにおいて仮想面Dよりも後側(+Y方向側)の形状を有する。
ダクト本体32ARは、ダクト本体32Aの後側を構成する。ダクト本体32ARの外周側には、リブ32gR、リブ32hがそれぞれ形成されている。
ダクト本体32ARの上端には第1筒部32BRが、下端には第2筒部32CRがそれぞれ形成されている。
【0075】
ダクト本体32ARの-Y方向の各端部には、ZX平面に平行な平面で形成され側部封止部材43(
図9参照)を配置する端面32mがそれぞれ形成されている。端面32mは、ダクト本体32ARにおける継ぎ目部を構成する。
各端面32m上には、それぞれ端面32mの延在方向に沿って延びる突条31jが端面32mから-Y方向に突出している。各突条32nは、ダクト本体32AFとの連結時に、側部封止部材43の表面に陥没するので、側部封止部材43のZX平面内のずれを抑制する。さらに各突条32nは、側部封止部材43の表面に陥没することで、側部封止部材43との密着性と、密着した部位における液密性とを高めている。
【0076】
各端面32mの外周側には、各端面32mから+Y方向に突出する係止板32p(第2係止部)が形成されている。各係止板32pは、ダクト本体32AFの各係止爪32kと対向する部位に配置されている。各係止板32pの突出方向の先端には、係止爪32kの係止突起32k2が係止する。
各係止板32pの外周側の表面には、外周側に突出し、係止爪32kの爪本体32k1を挟む2枚の案内板32qがそれぞれ形成されている。
各案内板32qは、端面32mの延在方向における爪本体32k1の位置を規制する。
ダクト本体32ARの内周部には、-Y方向に突出するボス部32rが設けられている。ボス部32rは、ダクト本体32AFの支柱32sと対向する部位に設けられている。ボス部32rの突出方向の先端部には、+Y方向に陥没し、支柱32sの先端を嵌合する嵌合穴32r1が設けられている。
ダクト本体32ARの内周面からの嵌合穴32r1の底部の高さと、支柱32sの長さの和は、奥行方向における戻りダクト32の内径に等しい。
【0077】
ケーシング部31ARは、仮想面Dよりも後側のケーシング部31Aを構成する。ケーシング部31ARの上端には第2筒部31CRが形成されている。
ケーシング部31ARの-Y方向の各端部には、ZX平面に平行な平面で形成され側部封止部材42(
図8参照)を配置する端面31iが形成されている。端面31iは、ケーシング部31ARにおける継ぎ目部を構成する。
端面31i上には、端面31iの延在方向に沿って延びる突条31jが端面31iから-Y方向に突出している。各突条31jは、ケーシング部31AFとの連結時に、側部封止部材42の表面に陥没するので、側部封止部材42のZX平面内のずれを抑制する。さらに各突条31jは、側部封止部材42の表面に陥没することで、側部封止部材42との密着性と、密着した部位における液密性とを高めている。
【0078】
端面31iの外周側には、端面31iから+Y方向に突出する係止板31k(第2係止部)が形成されている。各係止板31kは、ケーシング部31AFの各係止爪31h(
図11参照)と対向する部位に配置されている。各係止板31kの突出方向の先端には、係止爪31hの係止突起31h2が係止する。
【0079】
ここで、ネジ固定部33hの詳細形状を説明する。
ネジ固定部33hは、角板部33fの上側に、先端面33i、縮径部33j、およびネジ孔33kを有する。
先端面33iは、ネジ固定部33hの突出方向の先端に形成され、+Y方向に進むにつれて+Z方向高さが増大する傾斜面である。水平面に対する先端面33iの傾斜は、後述する流路形成部材14Bを野菜室27Bの内側からネジ止めしやすい角度であれば特に限定されない。
縮径部33jは、先端面33iの法線方向において、先端面33iよりも下側に陥没する凹部である。縮径部33jの形状は、先端面33iから内側に進むにつれて内径が漸次縮径する形状であれば、特に限定されない。例えば、縮径部33jは、円錐形の凹部、椀形の凹部などであってもよい。
ネジ孔33kは、固定用のネジを螺合可能な長さを有する貫通孔である。ネジ孔33kは、縮径部33jの中心部において、先端面33iの法線方向に延びている。
【0080】
図13に示すように、ダクト本体32ARおよびケーシング部31ARは、上部連結板33R(第2連結板)と、複数の下部連結板34R(第2連結板)とによって、横幅方向において互いに連結している。
第2部材14aRの-Y方向側の外周部には、後述する押え部材45を係合する係合枠40が設けられている。
係合枠40は、ケーシング部31ARおよびダクト本体32ARの一方または両方の外周部に設けることができる。
図13に示す例では、係合枠40はケーシング部31ARおよびダクト本体32ARの両方の外周部に設けられている。
係合枠40は、枠本体40a、係止板40b(第1案内部)、および係止爪40cを有する。
枠本体40aは、第2部材14aRの後側の外周部から+Y方向に延びている。+Y方向から見た枠本体40aの形状は、同方向から見た押え部材45の+Y方向の端部の外形と同様である。
【0081】
係止板40bは、後述するサクションパイプ52(
図16参照)を係止する。
係止板40bは、上下方向に対向する係合枠40の+Y方向の先端からそれぞれ-Y方向に延出する平板部40b1と、平板部40b1の突出方向の先端に形成された係止溝40b2と、を有する。係止溝40b2の形状は、上下方向に延びるサクションパイプ52の+Y方向の側面に係止し、横幅方向におけるサクションパイプ52の位置を規制できれば特に限定されない。例えば、係止溝40b2の形状は、-Z方向から見て+Y方向に開口するU字形またはV字形であってもよい。
係止板40bは、サクションパイプ52の配置に応じた位置に適宜個数を形成できる。本実施形態では、例えば、ケーシング部31ARの後側において上下方向に互いに対向する2つの係止板40bと、ダクト本体32ARの上端とその下方とにおいて上下方向に互いに対向する2つの係止板40bとが、それぞれ形成されている。
【0082】
係止爪40cは、枠本体40aの一部に設けられ、枠本体40aに挿入された押え部材45の側面を係止する。本実施形態では、係止爪40cは、横幅方向に互いに対向する2箇所に設けられている。
各係止爪40cは、爪本体40c1と、係止突起40c2と、をそれぞれ有する。爪本体40c1は、枠本体40aの-Y方向の端部から+Y方向に延びる細長い2つのスリットに挟まれた板部である。爪本体40c1は、枠本体40aの外側に向かって弾性変形可能である。係止突起40c2は、爪本体40c1の先端部において枠本体40aの内周側に向かって突出している。
【0083】
本実施形態では、第2部材14aRは、例えば、射出成形などによって成形された樹脂成形品で形成されている。
【0084】
第1部材14aFと第2部材14aRとを組み立てるには、端面31fと端面31iとの間に側部封止部材42を挟み、各端面32iと各端面32mとの間に側部封止部材43を挟んだ状態で、第1部材14aFと第2部材14aRとを対向させる。この状態で、互いを対向方向に押し付ける。
例えば、ダクト本体32AF、32ARでは、
図9に示す係止構造が形成される。
押しつけを開始すると、各係止爪32kの係止突起32k2が各係止板33pの表面に沿って対向方向に進み、各爪本体32k1が外側に弾性変形する。このとき、各係止爪32kは、各係止板32pに設けられた案内板32qの間に案内されるので、係止爪32kの個数が多くても容易に組み立てることができる。
各係止突起32k2が各係止板32pの先端を越えると、各係止板32pの弾性復元力によって、各係止突起32k2が、各係止板32pの先端に係止する。
端面32iから係止突起32k2までの距離と、端面32nから係止板32pの先端間までの距離との差は、側部封止部材43の厚さよりも小さいので、側部封止部材43は、端面32i、32mの間で圧縮される。特に、端面32mには、突条32nが突出しているので、突条32nの近傍では、側部封止部材43はより強力に圧縮される。
このようにして、側部封止部材43が端面32i、32mの間で密着し、戻り流路Crの側部が液密に封止される。
【0085】
ダクト本体32AF、32ARが対向方向に押し付けられると、支柱32sの先端はボス部32rの嵌合穴32r1に嵌合する。支柱32sとボス部32rとによって、奥行方向において、ダクト本体32AF、32ARの各内周面の間隔が規制されるので、例えば、発泡断熱材10c時に発泡圧がダクト本体32Aの外周部に作用しても、ダクト本体32Aの奥行方向における変形が抑制できる。このため、発泡断熱材10cの充填後に、戻り流路Crの流路断面積が狭まることを防止できる。
【0086】
図示は省略するが、各係止爪31hと各係止板31kとの係止構造も同様である。端面31f、31iの間は、側部封止部材42が密着する。突条31jは、突条32nと同様の作用を有する。このようにして、送風流路Cbの側部が液密に封止される。
【0087】
次に、冷蔵庫本体5における流路形成部材14Cの固定構造を説明する。
図6に示すように、第2筒部32Cは、突縁部32cと凹所18aの内面18hとの間に封止部材37を挟んだ状態で、樋部41の側壁41aにおける挿入開口41cに挿入されている。
図7に示すように、係止爪32dの突起部32eは、挿入開口41cの縁部の-X方向の表面に係止している。
これにより、戻りダクト32の下端部の開口32bが、冷却ユニット収容室18の内部に開口する。戻りダクト32の外周部と冷却ユニット収容室18との周りには、発泡断熱材10cが充填されているが、内面18hと突縁部32cとの間には、第2筒部32Cの全周を囲むように封止部材37が配置されている。さらに、内面18hは封止部材37によって、内箱10aよりも厚い側壁41aに押し付けられている。このため、発泡断熱材10cがその充填時に戻り流路Cr内に進入することはない。
【0088】
図5に示すように、第1筒部31Bは、平面部31eと、開口部O1の縁部を構成する後壁面10aCとの間に封止部材36を挟んだ状態で、開口部O1に挿通されている。冷却ユニット収容室18内の第1筒部31Bは、固定枠35によって開口部O1の縁部に固定されている。
図14は、実施形態の冷蔵庫における固定枠を示す斜視図である。
図15は、実施形態の冷蔵庫における送風ダクトと冷却器収容室との連結構造を示す斜視図である。
【0089】
図14に示すように、固定枠35は、枠本体35aと、係止板35dと、保持爪35fと、を有する。
枠本体35aは、第1筒部31Bが挿通可能な開口35bが形成され、開口部O1の縁部に当接可能な板部材である。開口35bの縁には、-Y方向に進むにつれて開口35bの内側に傾斜する傾斜リブ35cが複数突出している。各傾斜リブ35cの突出方向における先端は、第1筒部31Bを挿通可能であって、第1筒部31Bの外周に沿う略矩形の開口を形成している。
【0090】
図15に示すように、係止板35dは、第1筒部31Bの各係止突起31cと係止する。係止板35dの先端は、開口35bに挿入された第1筒部31Bの各係止突起31cの+Y方向側に係止可能な位置にそれぞれ設けられている。
図14に示すように、各係止板35dは、開口35bの縁から、傾斜リブ35cと同様に傾斜して、-Y方向に突出している。各係止板35dは、第1筒部31Bの外周面に接触する程度に延びている。
各係止板35dの高さは、各傾斜リブ35cよりも高く、かつ各係止板35dが+Y方向側の各係止突起31cに係止したとき、枠本体35aと平面部31eとの間で、封止部材36を圧縮できる大きさである。すなわち、平面部31eから係止突起31cの+Y方向の端部までの距離から、枠本体35aの+Y方向の表面から各係止板35dの突出方向の先端までの距離を引いた値が、0よりも大きく、未変形の封止部材36の厚さよりも小さい。
各係止板35dは、開口35bの外側に向かって弾性変形可能である。
【0091】
保持爪35fは、ケーシング部31Aの周囲に配置される凹所18a内の適宜の配線、例えば、温度センサの配線などを保持するために設けられている。保持爪35fは、保持する配線の配置および本数に応じて、適宜位置に適宜数だけ設けられる。本実施形態では、保持爪35fとして、枠本体35aの-Z方向の端部の2箇所に設けられた保持爪35faと、-X方向の端部に設けられた保持爪35fbと、を有する。
各保持爪35fは、枠本体35aの外周部から、+Y方向に延びている。保持爪35f+Y方向の先端には、枠本体35aの内側に向かって突出する突起部35f1が形成されている。突起部35f1は保持爪35fの先端から基端に向かうにつれて高くなる傾斜面を有する。
各保持爪35fは、
図5に保持爪35faの例を示すように、凹所18aの内面に沿って延びており、凹所18aの内面との間に、適宜の配線を挿通させた状態で、配線を凹所18aの内面に付勢できる。各保持爪35fの突起部35f1には、傾斜が設けられているので、例えば、保持爪35fの先端と、凹所18aの内面との間に、配線を-Y方向に挿入することで、配線を容易かつ円滑に保持爪35fに保持させることができる。
図15には、温度センサに接続する配線46が保持爪35fbによって保持されている例を示す。ただし、見易さのため内箱10aの図示は省略している。
図15に示す例では、保持爪35faは配線46を保持していないが、配線46の経路によっては、保持爪35faが配線46を保持していてもよい。保持爪35faは図示しない他の配線等を保持してもよい。
【0092】
流路形成部材14Cの後方の冷蔵庫本体5の構成を説明する。
図16は、実施形態の冷蔵庫における内箱と外箱との間の主要構成を示す斜視の分解図である。
図17は、
図5におけるF17-F17線に沿う断面図である。
図16に示すように、冷蔵庫本体5において流路形成部材14Cの後方には、サクションパイプ52(吸気管)と、押え部材45(断熱係止部材)と、が配置されている。
【0093】
サクションパイプ52は、冷却ユニット15から送出する冷媒を圧縮機51に吸気させる吸気管である。圧縮機51で圧縮された冷媒は、凝縮器で液化される。液化された冷媒は、冷蔵庫本体5の外周部に配置された放熱パイプで放熱し、膨張弁を通して低沸点化された後、蒸発器15aに導かれる。蒸発器15aでは、冷媒が蒸発し、蒸発器15aの周辺の空気から気化熱を奪う。蒸発器15aを出た冷媒は、サクションパイプ52を通して、圧縮機51に戻る。
本実施形態では、サクションパイプ52は、流路形成部材14Cの後側を通り、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bの内箱10aの後面と後壁25との間の空間を周回するように配置されている。
図17に示すように、流路形成部材14Cの後側の2箇所において上下方向に延びているサクションパイプ52は、流路形成部材14Cにおける各係止板40bの係止溝40b2にそれぞれ係止している。上下方向に対向する2つの係止板40bは、送風流路Cbおよび戻り流路Crから離れた位置でサクションパイプ52を上下方向に案内する第1案内部を構成している。
【0094】
押え部材45は、流路形成部材14Cに後側から係止するとともに、後壁25に前側から係止する部材である。押え部材45は、発泡スチロール製の断熱材である。
図16に示すように、押え部材45は、係合部45a、後面係止部45b(係止部)、案内溝部45c(第2案内部)、および側面係止部45dを有する。
【0095】
図17に示すように、係合部45aは、押え部材45の-Y方向の端部に形成されている。係合部45aは、流路形成部材14Cの係合枠40の枠本体40aの内側に嵌合している。係合部45aは、上下方向および横幅方向において係合枠40と係合する。係合枠40の各係止板40bは、係合部45aとの係合時に係合部45aにおける上下方向の外周面に沿って配置される(
図5参照)。
後面係止部45bは、押え部材45の+Y方向の端部に形成されており、後壁25に係止する。後面係止部45bの表面形状は、後壁25に係止できれば、特に限定されない。後面係止部45bは、例えば、
図17に示すようにYZ平面に平行な平面でもよいし、適宜の凹凸形状を有していてもよい。
後面係止部45bは、流路形成部材14Cの位置を、後壁25から離れた位置に規制する。これにより、流路形成部材14Cの後側の外周部と後壁25との間には、発泡断熱材10cを充填する空間が安定的に確保される(
図5参照)。
【0096】
案内溝部45cは、押え部材45における-Y方向の表面から+Y方向に凹んだU字溝を形成する。U字溝は上下方向において押え部材45を貫通している。案内溝部45cは、係止板40bに係止されたサクションパイプ52の長手方向に延びている。本実施形態では、案内溝部45cは、上下方向に対向する各係止板40bの間に延びるサクションパイプ52を上下方向に案内する。
案内溝部45cの深さは、係合枠40との係合時に、係止溝40b2との間にサクションパイプ52を挟むことができる深さである。
このため、押え部材45の係合時には、サクションパイプ52は、係止板40bと案内溝部45cとによって囲まれている。これにより、サクションパイプ52の長手方向(上下方向)に交差する方向の位置が規制される。サクションパイプ52は、流路形成部材14Cと後壁25との間において、奥行方向および横幅方向における定位置に配置される。
案内溝部45cは、吸気管を案内する第2案内部である。
【0097】
このように、サクションパイプ52は、係止板40bと案内溝部45cとによって位置規制されているので、発泡断熱材10cを形成する発泡液の発泡圧がサクションパイプ52に作用しても、サクションパイプ52の長手方向に交差する位置を安定させることができる。
【0098】
図16に示すように、側面係止部45dは、係合枠40の係止爪40cが後側から係止する段部である。
図16には、+X方向の側面における側面係止部45dが描かれているが、側面係止部45dは、-X方向の側面にも同様に形成されている。
【0099】
後述するように、流路形成部材14Cは、上部連結板33上に封止部材38を配置し、第2筒部31Cと第1筒部32Bとを、傾斜部29bにおける開口部O2、O3にそれぞれ挿入した状態で、流路形成部材14Bと連結される。
【0100】
次に、流路形成部材14Bの詳細構成を説明する。
図18は、実施形態の冷蔵庫における上側貯蔵室の流路形成部材を示す斜視の分解図である。
図19は、実施形態の冷蔵庫における上側貯蔵室の流路形成部材を示す斜視図である。
図20は、
図19におけるF20視の斜視図である。
【0101】
図18に示すように、流路形成部材14Cは、本体部48、カバー47、外側封止部材53、および内側封止部材54を有する。
本体部48は、内壁部10aBとともに第2流路C2の内周面を形成する部材である。
本体部48の+Y方向の表面には、上下方向に延びており第2流路C2における内壁部10aBを除く内周面を形成する溝部48aが形成されている。
溝部48aの下端部は、上部連結板33において第2筒部31Cの-Y方向の側面および横幅方向の各側面に沿ってそれぞれの側面を外側から囲み、+Y方向の端部が内壁部10aBに近接する形状を有する。
溝部48aの上端部は、流路形成部材14Aの下端部における第1流路C1の流路において内壁部10aAを除く部分と略同様の形状を有する。
溝部48aと内壁部10aBとの間には、下端部から上端部に向かうにつれて、断面積が漸次縮小する略矩形状の溝断面が形成されている。ただし、溝部48aには冷気の流れを整える案内壁、流量調節器39を押さえる突起部などの適宜の突起が形成されている。
【0102】
本体部48の外周部は、溝部48aを外周側から囲んでいる。溝部48aの上端部の外周には、+Y方向の端面を除いて外側に突出した上側突縁部48eが形成されている。溝部48aの下端部の外周には、+Y方向の端面を除いて外側に突出した下側突縁部48fが形成されている。
上側突縁部48eの+Z方向の表面には、上面48bが形成されている。上面48bは、+Y方向に向かうにつれて+Z方向に高さが増大する傾斜面である。
下側突縁部48fの-Z方向の表面には、下面48dが形成されている。下面48dは、+Y方向に向かうにつれて+Z方向に高さが増大する傾斜面である。下面48dの傾斜角は、傾斜部29bと、上部連結板33における後板部33eと、の傾斜角に等しい。
本体部48における上側突縁部48eと下側突縁部48fとの間の-Y方向の表面は、+Z方向に進むにつれて+Y方向に向かう傾斜面である。本体部48における上側突縁部48eと下側突縁部48fとの間の横幅方向における各表面は大部分がYZ平面に平行な平面である。
本体部48の+Y方向の端部には、溝部48aの開口を挟んで上下方向に延びる後面48cが形成されている。各後面48cは、ZX平面に平行は平面である。
本体部48は、例えば、EPSなどの断熱材によって形成されている。
【0103】
カバー47は、本体部48における溝部48aの内周面と、上面48bと、下面48dと、後面48cとを除く外周面を外周面に沿って覆う。
カバー47は、第1カバー部47a、第2カバー部47b、第3カバー部47c、および第4カバー部47dを有する。
第1カバー部47aは上側突縁部48eを覆う。第2カバー部47bは下側突縁部48fを覆う。第3カバー部47cは、本体部48の外周面において上側突縁部48eと下側突縁部48fの間の前側を覆う。第4カバー部47dは、本体部48の外周面において上側突縁部48eと下側突縁部48fの間の両側面を覆う。
【0104】
第1カバー部47aの-Y方向の上端からは、XY平面に平行な固定板47nが-Y方向に延びている。
【0105】
第2カバー部47bの-Y方向の側面には、フック33bと係止可能な位置に、フック33bに着脱可能に係合する係合爪47fが設けられている。係合爪47fは、フック33bの個数および配置位置に応じて1以上設けられる。
図19に示す例では、係合爪47fは、第2カバー部47bにおいて横幅方向の中央部に設けられている。係合爪47fは、爪本体47f1と、係合突起47f2と、を有する。
爪本体47f1は、第2カバー部47bの下端から+Z方向に延びて奥行方向に貫通する2つのスリットの間に形成されている。爪本体47f1は、+Y方向に外力を受けると本体部48の方に弾性変形可能である。係合突起47f2は、爪本体47f1の下端部において-Y方向突出している。
第2カバー部47bにおいて、係合爪47fを横幅方向において挟む2位置には、フック33bの横幅方向の両端部を案内する案内壁47gが-Y方向に突出している。各案内壁47gの間の距離は、+Z方向に進むにつれてフック33bの横幅方向の幅に近づくように漸次減少している。
【0106】
第2カバー部47bの+X方向の側面には、戻りダクトカバー47hが+X方向に延びている。戻りダクトカバー47hは、戻りダクト32の第1筒部32Bを上方から覆う。
戻りダクトカバー47hには、野菜室27Bの空気を戻り流路Crに流す複数の開口が形成された格子を有する格子窓47iが設けられている。
図19、20に示すように、第2カバー部47bの横幅方向における+Y方向の両端部には、第2カバー部47bの外側に突出した固定部材47jがそれぞれ設けられている。各固定部材47jは、流路形成部材14Bを上部連結板33にネジで固定するために設けられている。
各固定部材47jは、内箱10aの各固定部29d(
図10参照)を上方から覆う位置に設けられている。各固定部材47jの上面部47j3(
図19参照)は、固定部29dの傾斜面29fに沿う傾斜を有する。上面部47j3の裏側には、固定部29dに上方から嵌まる凹所部47j4(
図20参照)が形成されている。
上面部47j3には、上部連結板33の各ネジ固定部33hのネジ孔33k(
図13参照)に螺合するネジを挿通するネジ孔47j1が貫通している。ネジ孔47j1の周囲には、上面部47j3に形成された凹面であり、上面部47j3からネジ孔47j1の中心に向かって縮径する縮径部47j2が形成されている。
【0107】
各第4カバー部47dの上端部には、横幅方向におけるそれぞれの外側に突出し、流路形成部材14Bの上端部を内壁部10aBに着脱可能に固定する固定板47kが設けられている。
図20に示すように、各固定板47kの+Y方向の表面には、+Y方向に突出する係合爪47mが形成されている。
係合爪47mは、弾性変形することにより、内壁部10aBに固定された固定具55(
図18参照)の係合穴と着脱可能に係合する。係合爪47mの形状は、固定具55と着脱可能に係合できれば特に限定されない。例えば、係合爪47mは、+Y方向に延び上下方向に隙間をあけて対向する2枚の弾性板と、各弾性板の延在方向の先端において対向方向における外側に突出した係合突起と、を有する構成でもよい。この場合、固定具55は、係合爪47mが挿入される係合穴の内部に、係合爪47mの各係合突起と係合する凹部を有する。
【0108】
図20に示すように、本体部48の上面48b、後面48c、および下面48dには、外側封止部材53が貼り付けられている。外側封止部材53は、流路形成部材14Aの下端部、内壁部10aB、および傾斜部29bにおける開口部O2の縁部と、本体部48との間において第2流路C2を気密に封止する。
図18に示すように、外側封止部材53は、上面48b、後面48c、および下面48dにそれぞれ貼り付けられた上面封止部53a、後面封止部53b、および下面封止部53cを有する閉ループ形状を有する。外側封止部材53の材料は、弾力を有し、第2流路C2を流れる冷気の流出と、野菜室27B内の空気の流入と、を抑制できる気密性を有していれば特に限定されない。例えば、外側封止部材53としては、上述のソフトテープ、ブチルゴムや両面テープなどが用いられてもよい。
【0109】
外側封止部材53は、上面48bにおける奥行方向の幅と、下面48dのうち前側において横幅方向に延びる前端部48dFにおける奥行方向の幅と、のいずれよりも狭い幅を有している。
図20に示すように、上面封止部53aは、第1カバー部47aの内周面に沿う上面48bの外縁部に貼り付けられている。このため、上面封止部53aの内周側には、上面48bが露出している。
同様に、下面封止部53cは、第2カバー部47bの内周面に沿う下面48dの外縁部に貼り付けられている。前端部48dFにおいて下面封止部53cの内周側の下面48dには、内側封止部材54が貼り付けられている。
内側封止部材54は、流路形成部材14Cの送風流路形成部材14bの前側の上端と本体部48との間における隙間を封止し、外側封止部材53よりも内側において送風流路Cbからの冷気が流路形成部材14Bの前側から漏れにくくなるように配置されている。
内側封止部材54の材料としては、外側封止部材53と同様な材料が用いられる。
【0110】
ここで、流路形成部材14Bの上端部と、流路形成部材14Aの下端部と、の接続構造を説明する。
図21は、
図2におけるF21部の拡大図である。
図21に示すように、流路形成部材14Bの固定板47n上には、第1仕切部28の下面から突出する突起28aが上方から係止している。
流路形成部材14Bの上面48bは、同様な傾斜を有する流路形成部材14Aの下端面14Agから離れて対向している。下端面14Agには、上面封止部53aの内周側の上面48bに対向する部位に封止部材14Ahが貼り付けられている。封止部材14Ahは、外側封止部材53と同様な材料によって形成されている。
上面封止部53aと、封止部材14Ahとは、上面48bと下端面14Agとの間に圧縮された状態で挟まれている。流路形成部材14B、14Aの接続部の内周部と外周部とは、封止部材14Ahと上面封止部53aとによって二重に封止されているので、接続部の気密性が向上する。接続部が一重に封止されていると、固定ばらつきなどによっては気密性が低下する可能性もある。本実施形態では、第2流路C2から第1流路C1に流れる冷気が流路形成部材14Bと流路形成部材14Aとの接続部から流出することをより確実に抑制できる。
【0111】
流路形成部材14B、14Cの接続構造については、冷蔵庫1の製造方法とともに説明する。
【0112】
本実施形態の冷蔵庫1の製造方法を、冷蔵庫本体5の製造方法を中心として説明する。
内箱10aの冷却ユニット収容室18に樋部41を配置する。流路形成部材14B、14Cは、上述の構成に組み立てておく。
この後、内箱10aの後側から、封止部材36、37、38を挟んで、流路形成部材14Cを装着する。
このとき、流路形成部材14Cの上端部の第2筒部31C、第1筒部32B、およびフック33bは、それぞれ開口部O2、O3、O4に下方から挿入され、傾斜部29bの上方に突出している。
戻りダクト32の第2筒部32Cは、凹所18aの内面18hの外側から樋部41の挿入開口41cに挿入される。第2筒部32Cは、係止爪32dによって挿入開口41cの縁部に係止する。
送風ダクト31の第1筒部31Bは、開口部O1に後側から挿入される。第1筒部31Bの係止突起31cは、前側から装着された固定枠35の係止板35dに係止する。
【0113】
このようにして、樋部41および固定枠35を介して、流路形成部材14Cが内箱10aにおける挿入開口41cと、開口部O1と、にそれぞれ固定される。
このとき、第2筒部31Cは開口部O2に、第1筒部32Bは開口部O3に下側から挿通している。このため、-Z方向から見た平面視で、送風流路Cbの上側の開口である開口31bは開口部O2の内側に開口している。同様に、-Z方向から見た平面視で、戻り流路Crの上側の開口である開口32aは開口部O3の内側に開口している。
封止部材37、36、38は、内箱10aの外側から内箱10aに密着するので、挿入開口41cと、開口部O1、O2、O3、O4と、の縁部がそれぞれ液密に封止される。
【0114】
この後、内箱10aと外箱10bとの間に配置する部品を適宜配置する。
例えば、流路形成部材14Cの+Y方向側にサクションパイプ52と、押え部材45と、を配置して、係止溝40b2と案内溝部45cとの間にサクションパイプ52を係止する。押え部材45の係合部45aは、枠本体40aに係合するため、流路形成部材14Cに対する上下方向および横幅方向の位置が規制される。
各部品の配置が終了したら、内箱10aの後側から、外箱10bを装着する。外箱10bに含まれる後壁25の内面は、押え部材45の後面係止部45bに係止する。
例えば、流路形成部材14Aを固定する固定具を内壁部10aAに装着する。
【0115】
この状態で、内箱10aと外箱10bとの間の空間(以下、充填空間)に、発泡断熱材10cを形成する発泡液を導入する。発泡液は、充填空間で発泡しながら、充填空間内に充填される。
このとき充填空間内の部品と、内箱10aとは、発泡液の発泡圧を受けると、変形したり、移動したりする可能性がある。本実施形態では、流路形成部材14Cおよびサクションパイプ52が押え部材45によって押さえられているので、それぞれの位置ずれおよび変形が抑制される。
送風ダクト31と戻りダクト32とは、互いに隣り合う方向に延びる上部連結板33および下部連結板34で隣接方向に連結されているので、隣接方向の間隔が一定に保たれる。特に各下部連結板34には、貫通孔34aが形成されているので、発泡液が円滑に流動できる。この結果、送風ダクト31と戻りダクト32との間の充填不良を防止できる。さらに、貫通孔34aによって下部連結板34の熱伝導経路の断面積が抑制されるので、送風ダクト31から戻りダクト32への熱伝導も低減される。
挿入開口41cと、開口部O1、O2、O3、O4と、の縁部がそれぞれ液密に封止されているので、発泡断熱材10cが送風ダクト31、戻りダクト32、および冷却ユニット収容室18内に進入することが防止される。
【0116】
この後、流路形成部材14Bを野菜室27Bの開口から挿入して、下端部を第2仕切部29の傾斜部29b上に配置する。この後、流路形成部材14Bを第2仕切部29の傾斜部29bに押し付けると、係合爪47fが案内壁47gに案内されたフック33bに係止する。この状態で、各固定板47kを内壁部10aBに向かって押し付けると、各係合爪47mが各固定具55と係合する。これにより、流路形成部材14Bが上部連結板33および内壁部10aBに仮止めされる。
【0117】
この後、ネジ56を固定部材47jのネジ孔47j1に挿入して、上部連結板33のネジ固定部33h(
図8参照)に向けて螺進させる。このとき、ネジ孔47j1の周囲に縮径部47j2が形成されているので、野菜室27Bの前側からでも、ネジ56をネジ孔47j1に挿入しやすい。
ネジ56は、各固定部材47jのネジ孔47j1と、固定部29dの上面の凹部29eと、に貫通して進む。このとき、ネジ孔47j1とネジ孔33kとがずれていても、ネジ56を押し込むにつれて、ネジ56の先端が、凹部29eおよび凹部29eに沿う縮径部33jの傾斜に沿って、ネジ孔33k上に案内される。
これにより、ネジ56が円滑にネジ孔33kに螺合され、ネジ固定部33hのネジ孔33kに確実に螺合する。このため、流路形成部材14Bを固定する固定作業の作業性が向上し、作業時間を短縮できる。作業不良による螺合不良も発生しにくくなる。本実施形態では、ネジ孔33kが鉛直方向よりも-Y方向に傾斜しているので、野菜室27Bの前側の開口からネジ56を着脱しやすい点でも、流路形成部材14Bの着脱の作業性が向上する。
このようにして、流路形成部材14Bは、外側封止部材53が傾斜部29b、隅部29c、および内壁部10aBに押し付けられた状態で、野菜室27B内に固定される。
【0118】
上述した流路形成部材14Bの固定構造では、
図5に示すように、流路形成部材14Bの下端部は、開口部O2の縁部に上方から当接している。
流路形成部材14Bの係合爪47fは、案内壁47gに挟まれたフック33bの+Y方向側に挿入されている。係合突起47f2はフック33bの開口部に下方から係止している。
前板部33aと本体部48との間には、封止部材38、傾斜部29b、および外側封止部材53が圧縮された状態で挟まれている。さらに送風流路形成部材14bの傾斜面14b4と本体部48との間には内側封止部材54が圧縮された状態で挟まれている。
圧縮された外側封止部材53および内側封止部材54は、第2流路C2内を流れる冷気が野菜室27B内に漏れることを防止する。
モータ収容部39eの上端部は、シート44を介して溝部48aの内部から突出した押さえ突起48gによって押さえられている。
【0119】
流路形成部材14Bの固定時には、封止部材38は、上部連結板33の前板部33a、複数のリブ33c1、33c2、33d、および後板部33eと、傾斜部29bとによって、圧縮された状態で挟まれる。このため、上面部29Aに形成された開口部O2、O3、O4の各縁部が上面部29Aの下面側で液密に封止される。
【0120】
この後、
図21に示すように、第1仕切部28を配置する。第1仕切部28の下面から突出する突起28aは、流路形成部材14Bの固定板47n上に上方から係止する。
この後、流路形成部材14Aを内壁部10aAに固定する。流路形成部材14Aの下端部は、上述のように流路形成部材14Bと接続する。
【0121】
このようにして、流路形成部材14A、14B、14Cが装着された冷蔵庫本体5が形成される。
この後、冷蔵庫本体5に他の部品を装着することで、冷蔵庫1が製造される。
【0122】
冷蔵庫1においては、冷却ユニット収容室18内の空気が低温の冷媒が流れる蒸発器15aと熱交換することによって、冷気が形成される。
冷気は、流量調節器39の流量調節板39cが送風流路Cbを閉じている場合は、冷却ファン16によって流路C11に吸い出された後、開口18eを通して冷凍室27Cに流れる。これにより、冷凍室27Cの内部が冷却される。冷凍室27C内の貯蔵物等と熱交換した冷気は、下端部18dの開口から冷却ユニット収容室18に戻る。
流量調節板39cによって、送風流路Cbが開いている場合は、冷却ファン16によって流路C11に吸い出された一部の冷気が、開口18cおよび流路C12を通して、送風流路Cbの下端部に流入する。
本実施形態では、蒸発器15a上に冷却ファン16と、開口18cと、横幅方向に並んでおり、冷却ファン16から見て斜め下方に開口32bが設けられている。このため、開口32bから流入する空気は、冷却ファン16によって、冷却ユニット収容室18の対角方向に吸い出されるので、蒸発器15aを対角方向に横断する間に、蒸発器15aの広範囲の表面において熱交換することができる。このため、冷気を形成する際の空気の冷却効率が向上する。
さらに、送風流路Cbに向かう冷気は、冷却ファン16の+X方向に隣接する開口18cおよび流路C12を通して送風流路Cbに流れるので、送風流路Cbに向かう冷気の流路抵抗が低減される。
【0123】
送風流路Cbの冷気は、開口31bから第2流路C2に流入し、第2流路C2の上端から第1流路C1に流入する。第1流路C1を流れる冷気は、複数の開口14Afから、冷蔵室27A内に流入し、冷蔵室27Aの内部を冷却する。
【0124】
冷気は、第1仕切部28を貫通する連通孔28bを通して、野菜室27Bに流入し、野菜室27Bの内部を冷却する。
野菜室27Bに到るまでに貯蔵物等と熱交換して温度上昇した冷気は、格子窓47iを通して、戻り流路Crの上端から下降し、開口32bを通して、冷却ユニット収容室18の下部に流入する。
このようにして、冷蔵庫1の内部を冷気が循環する。制御基板17は、冷蔵庫1の内部に配置された温度センサの出力に基づいて、冷蔵庫1の冷蔵室27A、野菜室27B、および冷凍室27Cが予め設定された温度域になるように、冷気の温度と、流量調節器39による送風流路Cbの流量と、を制御する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1によれば、冷却ユニット収容室18と戻りダクト32との間に充填された発泡断熱材10cBにより断熱壁が形成されている(
図6参照)。このため、冷却ユニット収容室18内に形成される冷気によって、戻りダクト32が冷却されにくくなるので、野菜室27Bから戻りダクト32を通して、冷却ユニット収容室18に向かう空気の水分の氷結および結霜が抑制される。
このため、例えば、結霜を防止するために除霜ヒータまたは送風機構などを設けることなく、簡素な構成によって、戻りダクト32における結霜が抑制できる。
さらに、本実施形態では、送風ダクト31と戻りダクト32との間に充填された発泡断熱材10cAにより断熱壁が形成されている(
図6、17参照)。このため、送風ダクト31を流れる冷気によって、戻りダクト32が冷却されにくくなる点でも、戻りダクト32における結霜が抑制できる。
【0126】
発泡断熱材10cA、10cBは、例えば、発泡スチロールなどに比べて断熱性能に優れるため、例えば、冷凍室27Cの内部に戻りダクト32を配置し、蒸発器15aとの間の発泡スチロールなどの断熱材の隔壁を設ける場合に比べて、省スペースで戻りダクト32の結霜を防止できる。
さらに、戻りダクト32を内箱10aよりも後側の充填空間に配置することによって、戻り流路Crの内径と、配置経路との自由度が向上する。本実施形態では、戻り流路Crは、開口32aの直下よりも+X方向に迂回し、下端部で湾曲させて-X方向に向く開口32bを形成している。このため、戻り流路Crの内径を太くするとともに、空気が円滑に流れるようにすることができる。これにより、戻りダクト32における流路抵抗が低減されるので、冷却ファン16の負荷が低減され冷却効率も向上する。この結果、冷却ファン16および圧縮機51の稼働に伴う消費電力と騒音とが低減される。
【0127】
上記実施形態では、下側貯蔵室が冷凍室、上側貯蔵室が野菜室の例で説明した。しかし、送風ダクトおよび戻りダクトは、冷気が循環する適宜の下側貯蔵室と上側貯蔵室との間に配置することができる。したがって、下側貯蔵室および上側貯蔵室は、冷凍室および野菜室には限定されない。例えば、冷蔵室の下に冷凍室が配置されていてもよい。この場合、冷蔵室が上側貯蔵室、冷凍室が下側貯蔵室になる。
【0128】
上記実施形態では、送風ダクトと戻りダクトとが横幅方向に隣り合っている例で説明した。しかし、戻りダクトは、冷却器収容室と隣り合っていれば、送風ダクトとは高さがずれていてもよい。
【0129】
上記実施形態では、送風ダクトと戻りダクトとが、連結板で連結された第1部材と第2部材との組立体として形成された例で説明した。しかし、送風ダクトと戻りダクトとは、これ以外の組立体によって形成されてもよい。例えば、送風ダクトと戻りダクトとがそれぞれ管部材で形成され、それぞれの間が他の連結部材によって連結されていてもよい。
【0130】
上記実施形態では、第2筒部31Cと第1筒部32Bとが、それぞれ開口部O2、O3が形成された傾斜部29bから突出している例で説明した。送風流路Cbと第2流路C2とが互いに連通し、野菜室27Bの内部と戻り流路Crとが連通していれば、しかし、第2筒部31Cと第1筒部32Bとは、傾斜部29bから突出していなくてもよい。
【0131】
上記実施形態では、冷蔵室扉11Aが回転式の片開き扉の例で説明した。しかし、冷蔵室扉11Aは片開き扉には限定されない。例えば、冷蔵室扉11Aは、観音式の両開き扉、引き戸式の扉などであってもよい。
【0132】
以上、説明した少なくとも一つの実施形態によれば、冷蔵庫が、上側貯蔵室と、前記上側貯蔵室の下側に配置された下側貯蔵室と、を含む冷蔵庫本体と、冷気を形成する冷却器と、前記冷蔵庫本体に設けられ、前記冷却器を収容する冷却器収容室と、前記上側貯蔵室と前記冷却器収容室とに連通し、前記上側貯蔵室の空気が前記冷却器収容室に戻る戻り流路を形成する戻りダクトと、前記冷却器収容室と前記戻りダクトとの間に充填された発泡ウレタン製の発泡断熱材と、を備えるので、戻りダクトにおける結霜を抑制できる簡素な構成の冷蔵庫を提供することができる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0134】
1…冷蔵庫,5…冷蔵庫本体,10a…内箱,10aA、10aB…内壁部,10aC…後壁面,10b…外箱,10c、10cA、10cB…発泡断熱材,14…ダクト,14A、14B、14C…流路形成部材,14aF…第1部材,14aR…第2部材,15…冷却ユニット(冷却器),18…冷却ユニット収容室(冷却器収容室),25…後壁,27A…冷蔵室,27B…野菜室(上側貯蔵室),27C…冷凍室(下側貯蔵室),29…第2仕切部(野菜室の底壁),29b…傾斜部,31…送風ダクト,31a…開口(流入口),31c…係止突起(第1突起部),31C…第2筒部,31h…係止爪(第1係止部),32…戻りダクト,32b…開口(排出口),32e…突起部(第2突起部),32k…係止爪(第1係止部),32p…係止板(第2係止部),33…上部連結板(連結板),33F…上部連結板(第1連結板),33R…上部連結板(第2連結板),34…下部連結板(連結板),34a…貫通孔,34F…複数の下部連結板(第1連結板),34R…複数の下部連結板(第2連結板),35…固定枠,35d…係止板,36…封止部材(第1開口封止部材),37…封止部材(第2開口封止部材),38…封止部材(上部開口封止部材) ,40b…係止板(第1案内部),41…樋部,41a…側壁,41c…挿入開口,42、43…側部封止部材,45…押え部材(断熱係止部材),51…圧縮機,52…サクションパイプ(吸気管),Cb…送風流路,Cr…戻り流路,O2…開口部(第1開口),O3…開口部(第2開口)