IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-測位装置、測位方法及び測位システム 図1
  • 特許-測位装置、測位方法及び測位システム 図2
  • 特許-測位装置、測位方法及び測位システム 図3
  • 特許-測位装置、測位方法及び測位システム 図4
  • 特許-測位装置、測位方法及び測位システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】測位装置、測位方法及び測位システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/16 20060101AFI20240722BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240722BHJP
   G01C 21/28 20060101ALI20240722BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240722BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240722BHJP
   G16Y 40/35 20200101ALI20240722BHJP
【FI】
G01C21/16
G01B11/00 H
G01C21/28
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/35
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020188508
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077625
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【弁理士】
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】鮫田 芳富
(72)【発明者】
【氏名】小川 純平
(72)【発明者】
【氏名】西川 浩行
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-058758(JP,A)
【文献】特開2019-086453(JP,A)
【文献】特開2008-064716(JP,A)
【文献】特表平09-500963(JP,A)
【文献】特開2015-138531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G01B 11/00 - 11/30
G16Y 10/00 - 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車に備えられる角速度センサ及び光学センサと通信する通信部と、
前記通信部を介して前記角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び前記台車の向きを示す台車方向を算出し、前記光学センサの前記台車が走行する走行面を撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、前記台車が走行している方向を示す進行方向を算出し、前記第一の移動速度、前記台車方向、及び前記進行方向に基づいて前記台車の相対移動量を算出し、算出した前記相対移動量を出力する制御部と、
を備える測位装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記移動量に基づいて第二の移動速度を算出し、前記第二の移動速度に基づいて前記第一の移動速度を補正する、請求項1に記載の測位装置。
【請求項3】
前記台車は距離センサを備えており、
前記通信部は、距離センサと通信し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記距離センサから前記台車が走行する走行面までの距離を示す距離情報を取得し、前記距離情報に基づいて前記光学センサの焦点距離を設定する、請求項1又は2に記載の測位装置。
【請求項4】
前記光学センサは、前記走行面に光を照射し、前記光が反射した反射光に基づいて前記走行面の模様の変化を特定し、前記模様の変化に基づいて前記移動量を算出し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記光学センサが算出した前記移動量を取得する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の測位装置。
【請求項5】
前記光学センサは、前記走行面を撮像し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記光学センサが撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像に含まれる前記走行面の模様の変化を特定し、前記模様の変化に基づいて前記移動量を算出する、請求項1乃至3の何れか一項に記載の測位装置。
【請求項6】
前記台車は前記走行面に対して斜めから照らす照明を備え、
前記制御部は、前記撮像画像に含まれる前記走行面の凹凸の影の長さに基づいて前記第一の移動速度を補正する、請求項5に記載の測位装置。
【請求項7】
前記光学センサは、前記台車の前輪と後輪の間に備えられている、請求項6に記載の測位装置。
【請求項8】
前記走行面は、位置又は方向のうち少なくとも何れか一方が特定可能な補助情報を示すマークを有し、
前記制御部は、前記撮像画像に含まれる前記マークに基づいて前記相対移動量を補正する、
請求項5乃至7の何れか一項に記載の測位装置。
【請求項9】
台車に備えられる角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び前記台車の向きを示す台車方向を算出する台車情報算出ステップと、
前記台車に備えられる光学センサが撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、前記台車が走行している方向を示す進行方向を算出する進行方向算出ステップと、
前記第一の移動速度、前記台車方向、及び前記進行方向に基づいて前記台車の相対移動量を算出する相対移動量算出ステップと、
前記相対移動量を出力する出力ステップと、
を有する測位方法。
【請求項10】
台車が走行している際の角速度を示す角速度情報を取得する角速度センサと、
前記台車の走行面を撮像する光学センサと、
前記角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び前記台車の向きを示す台車方向を算出し、前記光学センサが撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、前記台車が走行している方向を示す進行方向を算出し、前記第一の移動速度、前記台車方向、及び前記進行方向に基づいて前記台車の相対移動量を算出し、前記相対移動量を出力する測位装置と、
を備える測位システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、測位装置、測位方法及び測位システムに係る。
【背景技術】
【0002】
近年、工場やプラント内作業の業務効率の向上のために、自動搬送車や台車などの車両の移動分析に必要な測位技術が注目されている。GPS(Global Positioning System)を使用できない屋内の測位技術として、床面の凹凸から移動速度を推定し、車両の位置を推定する方法が存在する。しかしながら、この方法では、床面の凹凸からは、車両の向きを推定することができない。そのため、車両が前進しているか、後退しているか、または横移動しているかを判別することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-86453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態に係る課題は、台車を精度よく測位することが可能な測位装置、測位方法及び測位システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の測位装置は、通信部と、制御部と、を備える。通信部は、台車に備えられる角速度センサ及び光学センサと通信する。制御部は、通信部を介して角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び台車の向きを示す台車方向を算出し、光学センサが台車の走行する走行面を撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、台車が走行している方向を示す進行方向を算出し、第一の移動速度、台車方向、及び進行方向に基づいて前台車の相対移動量を算出し、算出した相対移動量を出力する。
【0006】
また、本実施形態の測位方法は、台車情報算出ステップと、進行方向算出ステップと、相対移動量算出ステップと、出力ステップと、を備える。台車情報算出ステップは、台車に備えられる角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び台車の向きを示す台車方向を算出する。進行方向算出ステップは、台車に備えられる光学センサが撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、台車が走行している方向を示す進行方向を算出する。相対移動量算出ステップは、第一の移動速度、台車方向、及び進行方向に基づいて台車の相対移動量を算出する。出力ステップは、相対移動量を出力する。
【0007】
また、本実施形態の測位システムは、角速度センサと、光学センサと、測位装置を備える。角速度センサは、台車が走行している際の角速度を示す角速度情報を取得する。光学センサは、台車の移動量を取得する。測位装置は、角速度情報に基づいて、第一の移動速度及び台車の向きを示す台車方向を算出し、移動量に基づいて、台車の走行している方向を示す進行方向を算出し、第一の移動速度、台車方向、及び進行方向に基づいて台車の相対移動量を算出し、相対移動量を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る台車の構成の一例を示す側面図、上面図及び下面図である。
図2図2は、実施形態に係る測位装置による台車の測位方法の一例を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る測位装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る測位装置のプロセッサにおける制御全体の動作フローの一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る測位装置のプロセッサにおけるライン判定処理の動作フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための実施形態について説明する。
【0010】
まず、図1を用いて、本実施形態において測位する対象である台車100の構成を説明する。図1は、実施形態に係る台車100の構成の一例を示す側面図、上面図及び下面図である。図1に示す通り、台車100は、測位装置101と、角速度センサ102と、光学センサ103と、照明104と、距離センサ105と、を備える。
【0011】
台車100は、床面106を走行するための車輪107(タイヤ)と、荷物を載せる基部108と、使用者が把持する把手109と、により構成されている。本実施形態では、図1に示す通り、台車100の把手109のない方を台車100の前、把手109のある方を台車100の後ろとする。
【0012】
また、台車100において床面106に垂直な方向をZ軸とし、Z軸に垂直で台車100の前後方向を向く水平軸をX軸、Z軸に垂直で台車100の前後方向に垂直な横方向を向く水平軸をY軸とする。
【0013】
また、北方向を基準として、北から台車100の台車の前方向を示す方向とがなす角度θだけ傾いた方向を台車方向、台車方向からさらに角度φだけ傾いた方向に進む際の方向を進行方向とする。
【0014】
角速度センサ102は、台車100を走行させたときに生じる振動を示す角速度情報を測定するセンサである。台車100が床面106(走行面)を走行すると、床面106の微小な凹凸によって台車100に振動(揺れ)が発生する。なお、このような走行時の振動は、車輪204の車軸の周りにボールを配置したベアリング構造によっても発生する。例えば、ベアリングを構成するボールの回転により振動が発生する。この振動を、X軸と、Y軸と、Z軸とのそれぞれについて測定し、測位装置101に送信する。
【0015】
光学センサ103は、台車100の所定の位置に備えられており、台車100が走行する床面106を撮像するセンサである。例えば、光学センサ103は、床面106が照明104または自然光を反射した光を検出し、電気信号に変換することで床面106を撮像する。なお、光学センサ103は、床面106に光を照射し、光が反射した反射光に基づいて床面106の所定の模様を特定し、撮像した画像における模様の位置の変化に基づいて移動量を算出してもよい。
【0016】
照明104は、台車100の所定の位置に備えられており、台車100が走行する床面106を照らす。実施形態の照明104は、床面106の凹凸に影ができるように、光学センサ103に対して斜めに光を照射するよう設置されている。
【0017】
距離センサ105は、距離センサ105から床面106までの距離を示す距離情報を測定するセンサである。例えば、距離センサ105は、レーザーレンジファインダであり、赤外線レーザを発振して床面106に照射する。発振から反射光の受光までの時間に基づいて床面106までの距離を取得し、測位装置101に送信する。なお、距離センサ105は、一つでも良いし、複数の距離センサ105を設置してそれぞれの距離センサ105の値を平均して距離情報として扱ってもよい。
【0018】
光学センサ103、照明104、距離センサ105は、図1(c)に示すように、基部108裏面の前輪204aと後輪204bの間に備えられてもよい。これにより、光学センサ103、照明104、距離センサ105は、床面106のうち車輪107の轍の上を測定及び照射することで、より高い精度で台車100の測位が可能である。
【0019】
また、測位装置101と、角速度センサ102と、光学センサ103と、照明104と、距離センサ105は、台車100に後付けで備えられてもよいし、台車100の製造時に予め組み込まれてもよい。
【0020】
本実施形態において、測位装置101は、本構成のように角速度センサ102と、光学センサ103と、距離センサ105と、を用いて、台車100の位置を測位する。
【0021】
次に、図2を用いて実施形態に係る測位装置101による台車100の測位方法を説明する。図2は、実施形態に係る測位装置101による台車100の測位方法の一例を示す概略図である。例えば、測位装置101は、工場やプラント内作業の業務効率の向上のために、台車100の移動分析に用いられる。例えば、測位装置101は、測位領域200内の台車100の位置を測位する。また、測位装置101は、ネットワークを介して上位サーバ201と通信する。
【0022】
上位サーバ201は、測位装置101が備えられている台車100の自己位置を測位装置101から受信する。なお、上位サーバ201は、測位装置101による測位開始時に台車100の初期位置となる自己位置を測位装置101に送信してもよい。
【0023】
測位装置101は、角速度センサから走行している際の台車100の角速度を取得し、光学センサ103から台車100が走行する床面106の撮像画像202を取得し、取得した角速度及び撮像画像に基づいて台車100の自己位置を算出する。また、測位装置101は、算出した自己位置を上位サーバ201に送信する。測位装置101の詳細については、図3を用いて後述する。
【0024】
床面106は、位置又は方向のうち少なくとも何れか一方が特定可能な補助情報を示すマークを有する。本実施形態では、床面106に引かれたライン203を例として説明する。
【0025】
ライン203は、床面106が有する、測位領域200内の位置又は方向のうち少なくとも何れか一方が特定可能な補助情報を示すマークである。ライン203は、所定の方向に伸びる直線である。ライン203は、個々に識別可能なライン203が複数あり、所定の間隔で並ぶ。例えば、ライン203aは、測位領域200内の床面106に東西方向に引かれた実線である。また、ライン203bは、測位領域200内の床面106にライン203aと所定の間隔をあけて略平行に引かれた二重線である。ライン203cは、測位領域200内の床面106に南北方向に引かれた点線である。また、ライン203dは、測位領域200内の床面106にライン203cと所定の間隔をあけて略平行に引かれた二点鎖線である。なお、ライン203が伸びる方向は、所定のシンボルに向かう方向といった相対的な方向であってもよい。
【0026】
撮像画像202は、台車100に備えられる光学センサ103が撮像した撮像画像である。撮像画像202には、走行する位置によって、床面106が有するライン203の何れかを含む場合がある。例えば、台車100がAの位置にある場合に光学センサ103が床面106を撮像した撮像画像202aは、ライン203cを含んでいる。また、台車100がAの位置からBの位置に移動した場合、光学センサ103がBの位置で床面106を撮像した撮像画像202bは、ライン203bを含んでいる。
【0027】
本実施形態では、測位装置101は、測位領域200内を走行する台車100に備えられる角速度センサ102及び光学センサ103から取得した、角速度情報、撮像画像、ライン203が示す補助情報に基づいて相対移動量を算出する方法で台車100の位置を測位する。また、測位装置101が測位した台車100の位置の情報を上位サーバ201に送信することで、上位サーバ201は、複数ある台車100の位置を統括的に管理する。
【0028】
次に、図3を用いて実施形態に係る台車100に備えられる測位装置101の機能部を説明する。図3は、実施形態に係る測位装置101の概略構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、図3が示すように、測位装置101は、プロセッサ301(制御部)、ROM302(read-only memory)、RAM303(random-access memory)、NVM304(Non-volatile memory)(記憶部)、通信インタフェース305(通信部)を備える。
【0029】
プロセッサ301は、測位装置101の処理に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当し、測位装置101全体を統合的に制御する。プロセッサ301は、ROM302又はNVM304などに記憶されたシステムソフトウェア、アプリケーションソフトウェア又はファームウェアなどのプログラムに基づいて、測位装置101の各種の機能を実現するべく制御を実行する。プロセッサ301は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、又はDSP(digital signal processor)である。あるいは、プロセッサ301は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。
【0030】
ROM302は、プロセッサ301を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM302は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM302は、上記のプログラムを記憶する。また、ROM302は、プロセッサ301が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。
【0031】
RAM303は、プロセッサ301を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM303は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM303は、プロセッサ301が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0032】
NVM304は、プロセッサ301を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。NVM304は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)(登録商標)、HDD(hard disk drive)又はSSD(solid state drive)などである。NVM304は、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、NVM304は、プロセッサ301が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ301での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0033】
NVM304は、ライン間距離306と、識別情報307と、台車情報308と、ライン撮像時間309を記憶する。
【0034】
ライン間距離306は、床面106が有する略平行に並ぶ複数のライン203の間隔の距離である。複数のライン203が識別可能であり、間隔が異なる場合は、間隔を形成する2本のライン203の識別情報307と対応付けて固有の距離を記憶する。例えば、ライン203a及びライン203b間の距離と、ライン203c及びライン203d間の距離と、を記憶する。
【0035】
識別情報307は、床面106が有する略平行に並ぶ複数のライン203をそれぞれ識別可能な情報及び識別可能な情報に対応付けられた測位領域200内の位置情報である。例えば、NVM304は、ライン203aが測位領域200の北方向の領域限界から、南方向に所定の距離離れた位置に東西方向に引かれた線であることを示す位置情報を記憶する。NVM304は、ライン203b、ライン203c、ライン203dに関しても同様に、ライン203が識別可能な情報と、ライン203が測位領域200の北方向又は西方向から所定の距離離れた位置に所定の方向に引かれた線であることを記憶する。
【0036】
台車情報308は、測位装置101が算出した台車100の自己位置と台車方向である。台車情報308は、角速度センサ102から取得した角速度および光学センサ103から取得した撮像画像に基づいて算出された相対移動量に基づいて推定される。NVM403は、台車情報308として、台車100の測位を開始した際の位置を初期位置として記憶し、台車100の測位を開始した際の台車方向を初期方向として記憶する。台車情報308は、測位装置101によって算出された相対移動量に基づいて更新される。台車情報308は、プロセッサ301によって通信インタフェース305を介して上位サーバ201に送信される。
【0037】
ライン撮像時間309は、プロセッサ301が通信インタフェース305を介して光学センサ103からライン203が含まれている撮像画像を取得した時間である。プロセッサ301がライン撮像時間309を記憶しようとする際に、既にライン撮像時間309が記憶されている場合、NVM304は、最新のライン撮像時間309を記憶し、既に記憶されていたライン撮像時間309を破棄する。
【0038】
ROM302又はNVM304に記憶されるプログラムは、測位装置101を制御するためのプログラムを含む。一例として、測位装置101は、当該プログラムがROM302又はNVM304に記憶された状態で測位装置101の管理者などへと譲渡される。しかしながら、測位装置101は、当該プログラムがROM302又はNVM304に記憶されない状態で当該管理者などに譲渡されても良い。そして、台車100の位置を測定するためのプログラムが別途に当該管理者などへと譲渡され、当該管理者又はサービスマンなどによる操作の下にNVM304へ書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク又は半導体メモリなどのようなリムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはネットワークなどを介したダウンロードにより実現できる。
【0039】
通信インタフェース305は、ネットワークなどを介して他の装置と有線又は無線で通信し、他の装置から送信される各種情報を受信し、また、他の装置に各種情報を送信するためのインタフェースである。通信インタフェース305は、台車100に備えられる角速度センサ102、光学センサ103、距離センサ105、及び上位サーバ201と通信する。通信インタフェース305は、角速度センサ102から角速度情報を受信する。また、通信インタフェース305は、光学センサ103から撮像画像を受信する。また、通信インタフェース305は、距離センサ105から距離情報を受信する。また、通信インタフェース305は、上位サーバ201に台車100の台車情報308を送信する。
【0040】
プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して角速度センサ102から取得した角速度に基づいて、台車100の第一の移動速度及び台車100の向きを示す台車方向を算出する。例えば、プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して、台車100に備えられる角速度センサ102から角速度情報及び距離情報を一定期間取得する。プロセッサ301は、取得した一定期間分の角速度の変化量のばらつきを算出する。台車100に生じる角速度の変化量のばらつきは、台車100の移動速度に比例し、台車100の移動速度が速い場合は角速度のばらつきが大きくなり、台車100の移動速度が遅い場合は角速度のばらつきが小さくなる。本実施形態では、角速度の変化量のばらつきとして、標準偏差を使用する。プロセッサ301は、角速度の変化量のばらつきを計算式に代入し、第一の移動速度を算出する。第一の移動速度の算出は、X軸と、Y軸との2つの軸の内少なくとも一つの軸を用いて算出する。台車100の台車方向は、Z軸の角速度情報を時間に基づいて積分することで算出する。これにより、測位装置101は、台車100の角速度情報に基づいて、台車100の移動速度と台車方向といった二つの情報を推定することができる。
【0041】
また、プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して光学センサ103が床面106を撮像した撮像画像を取得し、撮像画像に基づいて床面106の所定の模様を特定し、撮像画像における模様の位置の変化に基づいて移動量を算出する。例えば、プロセッサ301は、一定期間ごとに光学センサ103から撮像画像を受信する。プロセッサ301は、撮像画像から特徴点となる模様(画素)を選択し、一定期間中に特徴点がどの方向にどれくらい動いたかを算出することで移動量を算出する。移動量は、X軸と、Y軸との内少なくとも一つの軸を用いて算出する。
【0042】
なお、移動量は、光学センサ103がオンボードで算出してもよい。光学センサ103は、一定期間ごとに床面106を撮像する。光学センサ103は、撮像した撮像画像から特徴点となる模様(画素)を選択し、一定期間中に特徴点がどの方向にどれくらい動いたかを算出することで移動量を算出してもよい。光学センサ103がオンボードで移動量を算出する場合、プロセッサ301は通信インタフェース305を介して光学センサ103が算出した移動量を取得する。
【0043】
また、プロセッサ301は、光学センサ103が撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、台車100が走行している方向を示す進行方向を算出する。例えば、プロセッサ301は、光学センサ103から取得したX軸方向とY軸方向の移動量に基づいて、台車100の前方向を基準とした台車100の進行方向を算出する。これにより、測位装置101は、台車100が任意の方向に前進、後退又は横移動したことを推定することが可能であり、より測位精度を向上することができる。
【0044】
また、プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して距離センサ105から台車100が床面106までの距離を示す距離情報を取得し、距離情報に基づいて光学センサ103の焦点距離を設定する。例えば、プロセッサ301は、台車100が床面106に凹凸があった場合、凹凸のない平面に対して設定された光学センサ103の焦点距離を、光学センサ103より台車の前方向に設置される距離センサ105から取得した距離センサ105から床面106までの距離情報から、床面106の凹凸の大きさに合わせて焦点距離を修正する。台車100が床面106の凸部の上を走行した場合、距離センサ105から床面106までの距離は小さくなる。したがって、台車100が床面106の凸部の上を走行した場合、プロセッサ301は光学センサ103の焦点距離を小さくなるよう設定する。また、台車100が床面106の凹部の上を走行した場合、距離センサ105から床面106までの距離は大きくなる。したがって、台車100が床面106の凹部の上を走行した場合、プロセッサ301は光学センサ103の焦点距離を大きくなるよう設定する。これにより、台車100が床面106の凹凸によってZ軸方向に上下した場合であっても、光学センサ103は、適切な焦点距離で床面106を撮像することができる。
【0045】
また、プロセッサ301は、光学センサ103が撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、第二の移動速度を算出し、算出した第二の移動速度に基づいて第一の移動速度を補正する。例えば、プロセッサ301は、算出した移動量及び移動量の算出に用いた撮像画像の一定期間の間隔に基づいて第二の移動速度を算出する。プロセッサ301は、算出した第二の移動速度に近づくように第一の移動速度を補正する。これにより、測位装置101は、角速度に基づく第一の移動速度と、床面106の撮像画像に基づく第二の移動速度と、の特徴の異なる二つの指標を用いて移動速度を算出することでより高い精度で測位することができる。
【0046】
また、プロセッサ301は、撮像画像に含まれる床面106の凹凸の影の長さに基づいて第一の移動速度を補正する。例えば、プロセッサ301は、光学センサ103から取得した撮像画像から床面106に対して斜めに照射された照明104による凹凸の影を特定し、特定した凹凸の影に基づいて、第一の移動速度を補正する。凹凸の影の長さに比例して、移動速度が小さくなるように補正する。なお、撮像画像の中に凹凸の影が複数あった場合、プロセッサ301は、凹凸の長さを平均してもよい。これにより、測位装置101は、床面の凹凸の影の長さに基づいて、床面106の凹凸による自己位置の誤差を低減することができる。
【0047】
また、プロセッサ301は、撮像画像に含まれる床面106の位置又は方向のいずれか一方が特定可能な補助情報を示すマークに基づいて相対移動量を補正する。例えば、マークの例として、二次元バーコードや矢印、ラインなどがあげられる。本実施形態では、マークの一例として、床面106が有するライン203を用いて説明する。
【0048】
プロセッサ301は、撮像画像に含まれる所定の方向に伸びる直線を示すライン203に基づいて台車方向を補正する。例えば、プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して光学センサ103から取得した撮像画像にライン203が含まれているか否かを判定する。撮像画像にライン203が含まれている場合、プロセッサ301は、撮像画像に含まれるライン203の方向に基づいて、台車方向を補正する。ライン203が南北方向に伸びている場合、プロセッサ301は、NVM304が記憶する角速度に基づいて北を基準として算出された台車方向が、台車の前方向とライン203とがなす角度に近づくように補正する。これにより、角速度情報によって算出された台車方向の誤差を低減することができる。
【0049】
また、プロセッサ301は、第一のライン203を含む撮像画像を撮像した時間と、第一のライン203と所定の間隔で略平行に並ぶ第二のライン203を含む撮像画像を撮像した時間の差及び第一のライン203と第二のライン203との間隔を示すライン間距離306に基づいて台車100の位置を補正する。例えば、プロセッサ301は、光学センサ103から取得した第一の撮像画像にライン203が含まれている場合、ライン203を含む第一の撮像画像を撮像した時間を、NVM403にライン撮像時間309として記憶させる。光学センサ103から取得した第二の撮像画像に第一の撮像画像に含まれているライン203と略平行に並ぶライン203が含まれている場合、プロセッサ301は、第二の撮像画像を取得した時間とライン撮像時間309との差、及びライン間距離306に基づいて第三の移動速度を算出する。プロセッサ301は、第一の移動速度が第三の移動速度に近づくように、第一の移動速度の計算式を修正する。なお、ライン203の種類や方向によってライン間距離306が異なる場合は、対応するライン間距離306を用いて第三の移動速度を算出してもよい。これにより、角速度情報により算出された第一の移動速度の誤差を低減することが可能である。
【0050】
また、プロセッサ301は、撮像画像にライン203が含まれる場合、識別情報307に基づいてライン203を特定し、特定したライン203の位置を示す位置情報に基づいて台車の位置を補正する。例えば、プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して光学センサ103から取得した撮像画像に含まれるライン203の種類をNVM403に記憶する識別情報307に基づいて特定する。プロセッサ301は、測位領域200内の特定したライン203の位置情報に基づいて、台車100の自己位置を補正する。特定したライン203が南北方向に伸びる場合、プロセッサ301は、台車100の東西方向の台車100の自己位置を補正する。これにより、測位装置101によって算出された台車100の自己位置の誤差を低減することができる。
【0051】
プロセッサ301は、第一の移動速度、台車方向、及び進行方向に基づいて台車100の相対移動量を算出する。例えば、プロセッサ301は、算出した第一の移動速度と、角速度情報を取得した最初と最後の時刻の差に基づいて、移動距離を算出する。プロセッサ301は、第一の移動速度に基づいて算出された移動距離と、台車方向と、進行方向と、に基づいて相対移動量を算出する。
【0052】
プロセッサ301は、算出した相対移動量に基づいて、台車情報308を更新する。例えば、プロセッサ301は、NVM304に記憶される自己位置から、算出した相対移動量だけ移動した台車100の位置を算出し、NVM304に記憶させる。また、プロセッサ301は、NVM304に記憶される台車情報から、算出した台車方向だけ移動した台車100の位置を算出し、NVM304に記憶させる。
【0053】
プロセッサ301は、算出した相対移動量を出力する。例えば、プロセッサ301は、通信インタフェース305を介して、算出した相対移動量を含む台車100の台車情報308を上位サーバ201に出力する。これにより、上位サーバ201は、複数の測位装置101が算出した台車100の台車情報308を統合的に管理することができる。なお、算出した相対移動量及び台車情報308を台車100に備えられるディスプレイ画面に表示してもよい。
本実施形態では、測位装置101は、プロセッサ301に上記した機能を実行させることで、台車100の位置を測位する。
【0054】
次に、図4及び図5を用いて実施形態に係る測位装置101の制御について説明する。図4は、実施形態に係る測位装置101のプロセッサ301における制御全体の動作フローの一例を示すフローチャートである。まず、プロセッサ301は、台車100に備えられる距離センサ105から距離情報を取得する(ST1)。プロセッサ301は、取得した距離情報に基づいて光学センサ103の焦点距離を設定する(ST2)。プロセッサ301は、光学センサ103から床面106を撮像した撮像画像を取得する(ST3)。また、プロセッサ301は、台車100に備えられる角速度センサ102から角速度情報を取得する(ST4)。プロセッサ301は、取得した角速度情報に基づいて第一の移動速度及び台車方向を算出する(ST5)。プロセッサ301は、取得した撮像画像に基づいて、第二の移動速度及び進行方向を算出する(ST6)。プロセッサ301は、算出した第二の移動速度に基づいて第一の移動速度を補正する(ST7)。プロセッサ301は、撮像画像が床面106の凹凸の影を含んでいるかを判定する(ST8)。撮像画像が床面106の凹凸の影を含んでいる場合(ST8、Yes)、凹凸の影の長さに基づいて第一の移動速度を補正する(ST9)。その後、プロセッサ301は、撮像画像に含まれているライン203に基づくライン判定処理(ST10)を行う。ライン判定処理については、図5を参照して後に詳細を述べる。プロセッサ301は、第一の移動速度と、台車方向と、進行方向に基づいて台車100の相対移動量を算出する(ST11)。プロセッサ301は、算出した相対移動量を上位サーバ201に出力し(ST12)、ST1に戻る。また、測位装置101の電源を切るといった操作者による操作によって処理を終了する。
【0055】
図5は、実施形態に係る測位装置101のプロセッサ301におけるライン判定処理(図4のST10)の動作フローの一例を示すフローチャートである。まず、プロセッサ301は、光学センサ103から取得した撮像画像にライン203が含まれるか否かを判定する(ST100)。撮像画像にライン203が含まれない場合(ST100、No)、プロセッサ301はライン判定処理を終了し、図4のST11に進む。撮像画像にライン203が含まれる場合(ST100、Yes)、プロセッサ301は、NVM304が記憶する識別情報307に基づいて撮像画像に含まれるライン203が識別可能か否かを判定する(ST101)。ライン203が識別可能である場合(ST101、Yes)、プロセッサ301は、ライン203の伸びる方向に基づいて進行方向を補正する(ST102)。また、プロセッサ301は、NVM304が記憶するライン203の識別情報307及びライン203の位置情報に基づいて台車100の位置情報を補正する(ST103)。プロセッサ301は、NVM304にライン203を撮像した時間を示すライン撮像時間309が記憶されているか否かを判定する(ST104)。NVM304にライン撮像時間309が記憶されている場合(ST104、Yes)、プロセッサ301は、NVM304に記憶するライン撮像時間309及びライン間距離306に基づいて第一の移動速度を補正する。また、プロセッサ301は、ライン撮像時間309をNVM304に記憶して、ライン判定処理を終了しST11に進む。
【0056】
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0057】
上記したように、実施形態の測位方法は、台車100に備えられる角速度センサ102から取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び台車100の向きを示す台車方向を算出する台車情報算出ステップを実施し、台車100に備えられる光学センサ103が撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、台車100が走行している方向を示す進行方向を算出する進行方向算出ステップを実施し、第一の移動速度、台車方向、及び進行方向に基づいて台車100の相対移動量を算出する相対移動量算出ステップを実施し、相対移動量を出力する出力ステップを実施する測位方法で測位処理を実施する。
【0058】
また、上記したように実施形態の測位システムは、台車100が走行している際の角速度を示す角速度情報を取得する角速度センサ102と、台車100の走行する床面106を撮像する光学センサ103と、通信インタフェース305を介して角速度センサ102から取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び台車100の向きを示す台車方向を算出し、光学センサ103が撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、台車100が走行している方向を示す進行方向を算出し、第一の移動速度、台車方向、及び進行方向に基づいて台車100の相対移動量を算出し、算出した相対移動量を出力する測位装置と、を備えることによって測位処理を実施する。
【0059】
本実施形態の測位装置によれば、測位装置101は、台車100の走行による振動を測定する角速度センサ102及び床面106を撮像する光学センサ103から、通信インタフェース305を介して角速度情報及び撮像画像を取得する。測位装置101は、角速度情報に基づいて、台車100の移動速度及び台車100の向きを示す台車方向を算出する。また、測位装置101は、撮像画像に基づいて台車100が走行している方向を示す進行方向を算出する。測位装置101は、算出した移動速度、台車方向、進行方向に基づいて台車100の相対移動量を算出する。測位装置は、算出した相対移動量に基づいて台車100の自己位置を更新することで、台車100の相対的な自己位置を測位する。
【0060】
これにより、測位装置101は、台車100の自己位置を事前のキャリブレーション無しに精度よく測位することができる。また、測位装置101は、台車100の自己位置をGPSが利用できない屋内環境で精度よく測位することができる。また、測位装置101は、角速度情報と床面106の撮像画像を併用して測位することで、台車100の前進や後退といった台車方向と進行方向が異なる移動であっても測位することができる。
【0061】
また、光学センサ103から取得する移動量に基づく台車100の測位では、床面106の反射や模様の状態によっては、移動速度を算出できない、あるいは誤差が大きい場合がある。また、光学センサ103から床面106までの距離が床面106の凹凸によって変化する場合、光学センサ上の像の大きさが変化するため、移動速度の精度が一定でなくなる場合がある。本実施形態では、角速度センサ102から取得する台車100の振動に基づいて移動速度を算出することで、高い精度で移動速度の算出が可能であり、高い精度で測位することができる。
【0062】
また、測位装置101は、取得した撮像画像から移動速度を算出したり、床面106の凹凸を測定したりすることで、相対移動量を補正する。これにより、測位装置101は、角速度情報による移動速度の算出が得意な凹凸の分布が一定である床面106であっても、撮像画像による移動速度の算出が得意な床面106の反射光による像がはっきりしている床面106であっても、種類の異なる二つの情報を組み合わせて測位を行うことで、台車100の自己位置を測位する精度を高めることができる。
【0063】
また、台車100の測位を行う測位領域200の床面106は、所定の方向に対して略平行に伸びる識別可能な複数のライン203を有する。測位装置101は、光学センサ103から取得した撮像画像に含まれるライン203を識別し、ライン203の位置や方向に基づいて台車方向、相対移動量、台車の自己位置を補正する。これにより、測位装置101は、角速度情報及び撮像画像による相対的な情報と、ライン203による絶対的な情報を利用することで高い精度で測位することができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載した内容を付記する。
[1]
台車に備えられる角速度センサ及び光学センサと通信する通信部と、
前記通信部を介して前記角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び前記台車の向きを示す台車方向を算出し、前記光学センサの前記台車が走行する走行面を撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、前記台車が走行している方向を示す進行方向を算出し、前記第一の移動速度、前記台車方向、及び前記進行方向に基づいて前記台車の相対移動量を算出し、算出した前記相対移動量を出力する制御部と、
を備える測位装置。
[2]
前記制御部は、前記移動量に基づいて第二の移動速度を算出し、前記第二の移動速度に基づいて前記第一の移動速度を補正する、[1]に記載の測位装置。
[3]
前記台車は距離センサを備えており、
前記通信部は、距離センサと通信し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記距離センサから前記台車が走行する走行面までの距離を示す距離情報を取得し、前記距離情報に基づいて前記光学センサの焦点距離を設定する、[1]又は[2]に記載の測位装置。
[4]
前記光学センサは、前記走行面に光を照射し、前記光が反射した反射光に基づいて前記走行面の模様の変化を特定し、前記模様の変化に基づいて前記移動量を算出し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記光学センサが算出した前記移動量を取得する、
[1乃至[3]の何れか一項に記載の測位装置。
[5]
前記光学センサは、前記走行面を撮像し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記光学センサが撮像した撮像画像を取得し、前記撮像画像に含まれる前記走行面の模様の変化を特定し、前記模様の変化に基づいて前記移動量を算出する、[1]乃至[3]の何れか一項に記載の測位装置。
[6]
前記台車は前記走行面に対して斜めから照らす照明を備え、
前記制御部は、前記撮像画像に含まれる前記走行面の凹凸の影の長さに基づいて前記第一の移動速度を補正する、[5]に記載の測位装置。
[7]
前記光学センサは、前記台車の前輪と後輪の間に備えられている、[6]に記載の測位装置。
[8]
前記走行面は、位置又は方向のうち少なくとも何れか一方が特定可能な補助情報を示すマークを有し、前記制御部は、前記撮像画像に含まれる前記マークに基づいて前記相対移動量を補正する、
[5]乃至[7]の何れか一項に記載の測位装置。
[9]
前記マークは、所定の方向に伸びる直線を示すラインであり、
前記制御部は、前記撮像画像に含まれる前記ラインに基づいて前記台車方向を補正する、
[8]に記載の測位装置。
[10]
前記ラインは所定の間隔で略平行に並ぶ第一のラインと第二のラインを有し、
前記間隔を示すライン間距離を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記第一のラインを含む前記撮像画像を撮像した時間と、前記第二のラインを含む前記撮像画像を撮像した時間の差及び前記ライン間距離に基づいて前記第一の移動速度を補正する、
[9]に記載の測位装置。
[11]
複数の前記ラインは個々に識別可能であり、
前記記憶部は、前記ラインを識別する識別情報と、前記ラインの位置を示す位置情報と、を記憶し、
前記制御部は、前記撮像画像に前記ラインが含まれる場合、前記識別情報に基づいて前記ラインを特定し、特定した前記ラインの前記位置情報に基づいて前記台車の位置を補正する、[10]に記載の測位装置。
[12]
台車に備えられる角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び前記台車の向きを示す台車方向を算出する台車情報算出ステップと、
前記台車に備えられる光学センサが撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、前記台車が走行している方向を示す進行方向を算出する進行方向算出ステップと、
前記第一の移動速度、前記台車方向、及び前記進行方向に基づいて前記台車の相対移動量を算出する相対移動量算出ステップと、
前記相対移動量を出力する出力ステップと、
を有する測位方法。
[13]
台車が走行している際の角速度を示す角速度情報を取得する角速度センサと、
前記台車の走行面を撮像する光学センサと、
前記角速度センサから取得した角速度に基づいて、第一の移動速度及び前記台車の向きを示す台車方向を算出し、前記光学センサが撮像した撮像画像から得られる移動量に基づいて、前記台車が走行している方向を示す進行方向を算出し、前記第一の移動速度、前記台車方向、及び前記進行方向に基づいて前記台車の相対移動量を算出し、前記相対移動量を出力する測位装置と、
を備える測位システム。
【符号の説明】
【0065】
100 台車
101 測位装置
102 角速度センサ
103 光学センサ
104 照明
105 距離センサ
106 床面
107 車輪
108 基部
109 把手
200 測位領域
201 上位サーバ
202a、202b 撮像画像
203a、203b、203c、203d ライン
204 車輪
204a 前輪
204b 後輪
301 プロセッサ
305 通信インタフェース
306 ライン間距離
307 識別情報
308 台車情報
309 ライン撮像時間
図1
図2
図3
図4
図5