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特許7524038ボーディングブリッジ及びボーディングブリッジの施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ボーディングブリッジ及びボーディングブリッジの施工方法
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/305 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
B64F1/305
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020193333
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2021175658
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020079212
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518337876
【氏名又は名称】三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹口 範明
(72)【発明者】
【氏名】土本 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 卓巳
(72)【発明者】
【氏名】今田 清
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-166778(JP,A)
【文献】特開2018-154982(JP,A)
【文献】米国特許第06212724(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル部と、
前記トンネル部とターミナルビル側とを接続するロタンダと、
前記ロタンダの下部に設置され、前記ロタンダを支持する柱状の固定脚と、
前記固定脚を地盤にて支持する固定脚用基礎と、
一端が前記固定脚の側面に接続され、他端が前記地盤に対して固定されており、圧縮力を負担する圧縮材である補強部材と、
を備え
前記固定脚用基礎は、前記固定脚用基礎の下部側に形成され、前記固定脚用基礎の上部側よりも大きい断面積を有するフーチングを有し、
前記補強部材の前記他端は、前記フーチングよりも外側の前記地盤に対して固定されるボーディングブリッジ。
【請求項2】
前記補強部材は、前記他端が前記固定脚用基礎の周囲における前記地盤が補強された補強地盤に固定される請求項1に記載のボーディングブリッジ。
【請求項3】
前記補強部材は、前記他端に設けられ、前記地盤に対する高さを調整することが可能な高さ調整部を有する請求項1又は2に記載のボーディングブリッジ。
【請求項4】
前記補強部材は、前記固定脚に対して複数本設置され、
複数本の前記補強部材が前記固定脚の周方向に沿って設置されている請求項1からのいずれか1項に記載のボーディングブリッジ。
【請求項5】
複数本の前記補強部材の前記他端は、前記固定脚の中心からの距離が異なる位置において前記地盤に対して固定されている請求項に記載のボーディングブリッジ。
【請求項6】
トンネル部と、前記トンネル部とターミナルビル側とを接続するロタンダと、前記ロタンダの下部に設置され、前記ロタンダを支持する柱状の固定脚と、前記固定脚を地盤にて支持する固定脚用基礎とを有するボーディングブリッジの施工方法であって、
前記固定脚用基礎に前記固定脚を立設するステップと、
前記固定脚用基礎の周囲における前記地盤を補強するステップと、
圧縮力を負担する圧縮材である補強部材の一端を前記固定脚の側面に接続するステップと、
前記補強部材の他端を補強された前記地盤に固定するステップと、
を備えるボーディングブリッジの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボーディングブリッジ及びボーディングブリッジの施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボーディングブリッジは、例えば、空港のターミナルビルと航空機とを連絡するトンネル状の通路であり、ターミナルビルと航空機との間で乗客の直接の乗り降りを可能にする。ボーディングブリッジは、入れ子式に嵌合された複数のトンネル部(通路部)を備え、これらのトンネル部が長手方向に相互に相対移動することによって伸縮する。これによって、ターミナルビルと航空機との間に生じる様々な間隔に対応できる。
【0003】
既設のボーディングブリッジは、経年変化のため、新規のボーディングブリッジと交換するなどの更新工事が必要である。例えば、空港等の現地にて既設のボーディングブリッジが撤去されて、同一の場所に新規のボーディングブリッジが新たに設置される。
【0004】
なお、下記の特許文献1には、補強構造物であるケーブルによって、補強対象の橋梁の地震時における変形を抑制し耐震性能を向上させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-196135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボーディングブリッジは、トンネル部のターミナルビル側においてトンネル部とターミナルビルを接続するロタンダが設けられ、ロタンダの下部には、固定脚が地盤に固定されて設置される。既設のボーディングブリッジと新設のボーディングブリッジは、材質の違いによって重量が異なる場合がある。例えば、既設のボーディングブリッジがアルミニウム合金製であり、新設のボーディングブリッジが鋼製の場合、新設のボーディングブリッジの重量のほうが重くなる。
【0007】
新設のボーディングブリッジの重量のほうが重いとき、地震荷重が大きくなるなどの理由によって、既設の固定脚の基礎では強度が不足する場合がある。強度不足に対処するため、固定脚の基礎を新たに設置する場合、コストがかかるだけでなく、基礎の撤去及び新設が必要になり、ボーディングブリッジの更新工事にかかる工期が長期化して、空港の使用に制約が生じるという問題がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ロタンダを支持する既設の固定脚の基礎を維持しつつ、トンネル部及びロタンダを安定的に支持することが可能なボーディングブリッジ及びボーディングブリッジの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のボーディングブリッジ及びボーディングブリッジの施工方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示に係るボーディングブリッジは、トンネル部と、前記トンネル部とターミナルビル側とを接続するロタンダと、前記ロタンダの下部に設置され、前記ロタンダを支持する柱状の固定脚と、前記固定脚を地盤にて支持する固定脚用基礎と、一端が前記固定脚の側面に接続され、他端が前記地盤に対して固定されており、圧縮力を負担する圧縮材である補強部材とを備え、前記固定脚用基礎は、前記固定脚用基礎の下部側に形成され、前記固定脚用基礎の上部側よりも大きい断面積を有するフーチングを有し、前記補強部材の前記他端は、前記フーチングよりも外側の前記地盤に対して固定される
【0010】
本開示に係るボーディングブリッジの施工方法は、トンネル部と、前記トンネル部とターミナルビル側とを接続するロタンダと、前記ロタンダの下部に設置され、前記ロタンダを支持する柱状の固定脚と、前記固定脚を地盤にて支持する固定脚用基礎とを有するボーディングブリッジの施工方法であって、前記固定脚用基礎に前記固定脚を立設するステップと、前記固定脚用基礎の周囲における前記地盤を補強するステップと、圧縮力を負担する圧縮材である補強部材の一端を前記固定脚の側面に接続するステップと、前記補強部材の他端を補強された前記地盤に固定するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ロタンダを支持する既設の固定脚の基礎を維持しつつ、トンネル部及びロタンダを安定的に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジを示す平面図(A)及び側面図(B)である。
図2】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジの固定脚及び補強部材を示す縦断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジの固定脚及び補強部材を示す横断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジの補強部材を示す部分拡大縦断面図である。
図5】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジの固定脚及び補強部材の第1変形例を示す縦断面図である。
図6】本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジの固定脚及び補強部材の第2変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の一実施形態に係るボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビル側と航空機との間に乗客の通行路を形成して、ターミナルビルと航空機とを連絡し、乗客の直接の乗り降りを可能にする。ボーディングブリッジ1は、例えば、航空機到着前の接続準備のための待機位置と、航空機と接続されるときの接続位置との間で移動する。
【0014】
ボーディングブリッジ1は、図1に示すように、ターミナルビル本体又はターミナルビルへ通じる固定橋などの付属施設付近に固定して設けられるロタンダ2と、ロタンダ2に対して水平方向及び垂直方向に回動可能に接続されている基端トンネル3aと、基端トンネル3aの先端側(航空機側)で、入れ子式に基端トンネル3aの外側に嵌合され、移動可能な先端トンネル3bと、先端トンネル3bの先端部に固定されたヘッド4などを備える。
【0015】
先端トンネル3bの長手方向先端側には、可動脚5が設けられる。可動脚5には、先端トンネル3bの両側面に取り付けられ、上下方向に延在する左右一対の支柱11が備えられている。ロタンダ2の下部には、固定脚6が基礎12を介して地盤50に固定されて設置される。図2及び図3に示す例では、基礎12においてフーチング20が形成されている。フーチング20は、基礎12の下部側である底面側に形成され、フーチング20は、基礎12の上部側よりも断面積が大きい。ボーディングブリッジ1は、可動脚5と固定脚6とによって支持される。基端トンネル3a及び先端トンネル3bは、トンネル部3を構成し、トンネル部3とヘッド4は、可動脚5によって移動可能である。
【0016】
先端トンネル3bは、基端トンネル3aに沿って移動する。先端トンネル3bが航空機の駐機側へ移動することでトンネル部3の全長が伸長し、先端トンネル3bがロタンダ2側へ移動することでトンネル部3の全長が収縮する。なお、本開示のトンネル部は、基端トンネル3aと先端トンネル3bの二つのトンネル部の組み合わせに限定されず、三つ以上のトンネル部が連結されて、2段以上の伸縮機構を有するものでもよい。
【0017】
基端トンネル3aは、ロタンダ2に設けられた鉛直方向に平行な回動軸周りに回動可能である。したがって、基端トンネル3a,先端トンネル3b及びヘッド4は、回動軸を中心にして水平面内を例えば左右方向に回動可能である。
【0018】
先端トンネル3bは、可動脚5に設けられた走行部7が駆動して可動脚5が移動することによって、基端トンネル3aや先端トンネル3bの長手方向や左右方向に移動する。
【0019】
基端トンネル3aは、ロタンダ2に設けられた水平方向に平行な回動軸周りに回動可能である。可動脚5は、昇降装置10によって先端トンネル3bの高さ方向の調整が可能である。昇降装置10は、例えばモータとボールねじ機構を備える。したがって、可動脚5の高さが調整され、基端トンネル3a,先端トンネル3b及びヘッド4が、回動軸を中心にして上下方向に回動することによって、航空機の高さに応じて傾斜される。
【0020】
このようにボーディングブリッジ1が伸縮したり、ロタンダ2に設けられた回動軸を中心にして左右方向及び上下方向に回動したりするため、航空機の駐機状態に応じて、ボーディングブリッジ1を航空機に対して適切に接続することができる。
【0021】
ヘッド4は、先端側に開口部が形成され、先端側が航空機の搭乗口に接続される。ヘッド4の内部には、ボーディングブリッジ1の走行部7の駆動を開始又は停止させたり、走行部7の車輪9の走行方向(ステアリング角度)を操作したり、ヘッド4の方向を操作したりするための操作盤(図示せず。)が設けられている。
【0022】
なお、ボーディングブリッジ1のロタンダ2、基端トンネル3a、先端トンネル3b及びヘッド4の内部には、乗客が通行する通路がロタンダ2からヘッド4に向けて設置される。
【0023】
走行部7は、例えば2本のゴム製の車輪9と、車輪9を回転駆動する車輪駆動部(図示せず。)などを備える。2本の車輪9は、鉛直方向に平行な軸線周りに回転自在に支持されている車軸の両端部にそれぞれ固定して取り付けられている。車輪駆動部は、例えば、減速機付の走行モータや伝達機構を有する。
なお、走行部7は、上述した例に限定されず、例えば、2本の車輪9が1組のみ設けられてもよいし、2本の車輪9が2組設けられてもよい。
【0024】
走行部7の走行速度は、車輪9の回転速度を変更することによって調整可能である。走行部7における車輪9の先端トンネル3bの長さ方向に対する旋回角度(ステアリング角度)は、2本の車輪9のそれぞれの回転速度の差、及び、2本の車輪9のそれぞれの回転方向(正転又は逆転)を変更することによって調整可能である。
【0025】
次に、図2から図4を参照して、本実施形態に係るボーディングブリッジ1の補強部材13について説明する。
【0026】
本実施形態では、補強部材13が固定脚6に対して接続される。補強部材13は、例えば鋼製の板状部材であり、圧縮力に耐え得る剛性を有する圧縮材である。補強部材13は、一端が固定脚6の側面に接続され、他端が地盤50に固定される。固定脚6の側面と補強部材13の一端は、例えば溶接によって接続される。補強部材13の他端は、図2及び図3に示すように、例えばフーチング20の上方の地盤50に対して固定される。
【0027】
補強部材13は、略L字形状に屈曲した形状を有する。これにより、補強部材13には、ボーディングブリッジ1の荷重の一部が伝達され、補強部材13は圧縮力を負担する。なお、補強部材13の形状は、上述した例に限定されず、荷重を伝達可能であれば他の形状でもよい。
【0028】
補強部材13は、固定脚6に対して複数本設置される。図3に示す例では、4本の補強部材13が固定脚6の周方向に等間隔で設置されている。また、図3に示す例では、4本の補強部材13の他端は、固定脚6の中心からの距離がすべて同じである位置において地盤50に対して固定されている。補強部材13は、図3に示すように、基礎ボルト21が埋設されている4方向と同一方向に設置されることが望ましい。基礎ボルト21は、固定脚6の最下部に設けられたフランジ部6Aを介して、固定脚6を基礎12に対して固定する。
【0029】
なお、複数本の補強部材13は、固定脚6に作用する荷重の方向やボーディングブリッジ1の周囲の設備の配置などに応じて、必ずしも等間隔に設置されなくてもよいし、各補強部材13の形状が同一でなくてもよい。例えば、3本の補強部材13が固定脚6に設置される場合、3本の補強部材13の間隔を180°,90°,90°として、固定脚6の外周面の周方向において半円分側のみに補強部材13が設置される場合もある。
【0030】
補強部材13の他端は、地盤50に対して固定される際、例えばモルタル等によって補強された補強地盤14に固定される。補強地盤14は、基礎12の周囲において、既設の基礎12とは別の位置に敷設される。補強地盤14は、設置される補強部材13に対応した位置のみに設置されてもよいし、基礎12の周囲に円環状に設置されてもよい。なお、既存の地盤50に強度がある場合は、補強地盤14は不要である。この場合、地盤50の上面にベースプレート15を直接敷設し、ベースプレート15上に補強部材13を載せることも可能である。また、ベースプレート15を不要として、地盤50の上面に補強部材13を載せることも可能である。
【0031】
補強地盤14に対する補強部材13の高さを調整するため、補強部材13にはジャッキボルト17が設置されてもよい。
【0032】
具体的には、補強地盤14の上面に、金属製の板状部材であるベースプレート15が設置される。また、補強部材13の下端には、地盤面に平行な面を有するフランジ16が設けられる。フランジ16にはジャッキボルト17が挿入される貫通穴18が形成され、貫通穴18の上部において、貫通穴18とナット19のねじ穴の軸方向が一致するようにナット19が固定される。ジャッキボルト17はナット19と螺合される。ジャッキボルト17及びナット19は、高さ調整部の一例である。なお、本開示の高さ調整部は、上述した例に限定されず、高さを調整するためのシム又はスペーサなどを使用してもよく、また、そのほかの通常用いられている技術を採用してもよい。
【0033】
ジャッキボルト17の下端がベースプレート15の上面に当接され、ジャッキボルト17が締め付けられることによって、補強部材13が上昇し、補強部材13の高さが変更される。なお、補強地盤14に対する補強部材13の高さ調整のための構成は、上述した例に限定されず、他の構成でもよい。
【0034】
次に、ボーディングブリッジ1の施工方法、特に既設のボーディングブリッジを新設のボーディングブリッジ1に更新する場合の施工方法について説明する。
【0035】
既設のボーディングブリッジを新設のボーディングブリッジ1に更新する場合、まず、既設のボーディングブリッジを撤去する。このとき、ロタンダを支持する固定脚に用いられていた基礎12は撤去せずに残しておく。
【0036】
そして、既設のボーディングブリッジが撤去された後、基礎12の周囲の地盤50内にモルタル等を敷設して補強地盤14を設置する。これにより、基礎12の周囲の地盤50が補強される。
【0037】
また、新設するボーディングブリッジ1では、固定脚6の側面に補強部材13が接続される。次に、固定脚6が基礎12に対して固定され、地盤50に対して垂直方向に立設される。なお、補強部材13の固定脚6への接続は、上述した通り、固定脚6が基礎12に固定される前に行ってもよいし、この例に限定されず、固定脚6が基礎12に固定された後に行ってもよい。
【0038】
その後、補強部材13を補強地盤14に固定する。上記施工方法によって、固定脚6は、地盤50にて基礎12によって支持されつつ、補強部材13によって地盤50に対して支持される。
【0039】
なお、補強部材13に対してジャッキボルト17が設置される場合、補強部材13のフランジ16に設けられたナット19に対してジャッキボルト17が螺合される。そして、ジャッキボルト17の下端がベースプレート15の上面に当接されながら、ジャッキボルト17が締め付けられる。そして、ジャッキボルト17の締め付け程度を調整することによって、補強地盤14に対する補強部材13の高さが調整される。
【0040】
以上、本実施形態によれば、固定脚6は、地盤50にて基礎12によって支持されつつ、補強部材13によって地盤50に対して支持される。補強部材13は、圧縮力を負担する圧縮材であって、一端が固定脚6の側面に接続され、他端が地盤50に対して固定されている。これにより、固定脚6の基礎12に作用する荷重を低減でき、固定脚6の基礎12を変更せずに、ボーディングブリッジ1に対する支持強度を増加させることができる。
【0041】
補強部材13の他端が、基礎12の周囲において補強された地盤50に固定されることから、補強部材13が補強された地盤50から反作用力を受けて、より確実に圧縮力を負担できる。
【0042】
上述した実施形態では、補強部材13の他端の固定位置が、すべての補強部材13に関して固定脚6の中心からの距離が同じである場合について説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、図5に示すように、複数本の補強部材13の他端の固定位置は、固定脚6の中心からの距離が異なる位置のものを含んでもよい。
【0043】
すなわち、補強部材13は、固定脚6の周囲において、例えば2重の同心円状に配置される。これにより、固定脚6側のみに補強部材13の他端が設置される場合と異なり、固定脚6の半径方向外側に補強部材13の他端が更に設置されることによって、複数本の補強部材13が固定脚6の転倒モーメントに抵抗することに更に寄与する。特にフーチング20の上方の地耐力が小さい場合には、フーチング20の半径方向外側で固定された補強部材13と、フーチング20の上方で固定された補強部材13を組み合わせて固定脚6を支持することによって、転倒モーメントに対する抵抗への寄与が高まる。
【0044】
なお、補強部材13は、3重以上の同心円状に配置されてもよい。また、内側に位置する補強部材13の他端と外側に位置する補強部材13の他端は、固定脚6又は基礎12の半径方向において、同一半径方向に配置されてもよいし、異なる半径方向に配置されてもよい。
【0045】
上述した実施形態では、補強部材13の他端がフーチング20の上方の地盤50に対して固定される場合について説明したが、本開示はこの例に限定されない。例えば、図6に示すように、補強部材13の他端は、フーチング20よりも外側の地盤50に対して固定されてもよい。フーチング20よりも外側とは、フーチング20の外周面よりも固定脚6又は基礎12の半径方向の外側である。これにより、フーチング20の断面積が小さいため、図2及び図3に示すようにフーチング20の上方において補強部材13の他端を固定できない場合、図6に示すように、補強部材13を地盤50に対して固定すれば、ボーディングブリッジ1に対する支持強度を増加させて、ボーディングブリッジ1を安定的に支持できる。
【0046】
以上説明した各実施形態に記載のボーディングブリッジ及びボーディングブリッジの施工方法は例えば以下のように把握される。
本開示に係るボーディングブリッジ(1)は、トンネル部(3)と、前記トンネル部とターミナルビル側とを接続するロタンダ(2)と、前記ロタンダの下部に設置され、前記ロタンダを支持する柱状の固定脚(6)と、前記固定脚を地盤(50)にて支持する固定脚用基礎(12)と、一端が前記固定脚の側面に接続され、他端が前記地盤に対して固定されており、圧縮力を負担する圧縮材である補強部材(13)とを備える。
【0047】
この構成によれば、ロタンダが、トンネル部とターミナルビル側、例えばターミナルビル本体又はターミナルビル本体へ通じる付属施設(例えば固定橋)を接続し、ロタンダは、ロタンダの下部に設置された柱状の固定脚によって支持される。固定脚は、地盤にて固定脚用基礎によって支持されつつ、補強部材によって地盤に対して支持される。補強部材は、圧縮力を負担する圧縮材であって、一端が固定脚の側面に接続され、他端が地盤に対して固定されている。これにより、固定脚の基礎に作用する荷重を低減でき、固定脚の基礎を変更せずに、ボーディングブリッジに対する支持強度を増加させることができる。
【0048】
本開示に係るボーディングブリッジにおいて、前記補強部材は、前記他端が前記固定脚用基礎の周囲における前記地盤が補強された補強地盤(14)に固定されてもよい。
【0049】
この構成によれば、補強部材の他端が、固定脚用基礎の周囲において、地盤が補強された補強地盤に固定されることから、補強部材が補強地盤から反作用力を受けて、より確実に圧縮力を負担できる。
【0050】
本開示に係るボーディングブリッジにおいて、前記補強部材は、前記他端に設けられ、前記地盤に対する高さを調整することが可能な高さ調整部(17,19)を有してもよい。
【0051】
この構成によれば、補強部材の他端に設けられた調整部によって、補強部材は地盤に対する高さが調整される。これにより、補強部材が地盤に対して確実に固定され、補強部材を介して地盤に力が伝達される。
【0052】
本開示に係るボーディングブリッジにおいて、前記固定脚用基礎は、前記固定脚用基礎の下部側に形成され、前記固定脚用基礎の上部側よりも大きい断面積を有するフーチング(20)を有し、前記補強部材の前記他端は、前記フーチングの上方又は前記フーチングよりも外側の前記地盤に対して固定されてもよい。
【0053】
この構成によれば、固定脚用基礎の下部側において、固定脚用基礎の上部側よりも断面積が大きいフーチングが形成され、補強部材の他端が、フーチングの上方の地盤に対して固定されたり、又は、フーチングよりも外側の地盤に対して固定されたりする。
【0054】
本開示に係るボーディングブリッジにおいて、前記補強部材は、前記固定脚に対して複数本設置され、複数本の前記補強部材が前記固定脚の周方向に沿って設置されてもよい。
【0055】
この構成によれば、固定脚に対して複数本の補強部材が固定され、複数本の補強部材は、固定脚の周方向に沿って設置される。
【0056】
本開示に係るボーディングブリッジにおいて、複数本の前記補強部材の前記他端は、前記固定脚の中心からの距離が異なる位置において前記地盤に対して固定されてもよい。
【0057】
この構成によれば、固定脚に対して固定されている複数本の補強部材の他端が、固定脚の中心からの距離が異なる位置において地盤に対して固定される。
【0058】
本開示に係るボーディングブリッジの施工方法は、トンネル部と、前記トンネル部とターミナルビル側とを接続するロタンダと、前記ロタンダの下部に設置され、前記ロタンダを支持する柱状の固定脚と、前記固定脚を地盤にて支持する固定脚用基礎とを有するボーディングブリッジの施工方法であって、前記固定脚用基礎に前記固定脚を立設するステップと、前記固定脚用基礎の周囲における前記地盤を補強するステップと、圧縮力を負担する圧縮材である補強部材の一端を前記固定脚の側面に接続するステップと、前記補強部材の他端を補強された前記地盤に固定するステップとを備える。
【0059】
この構成によれば、固定脚は、地盤にて固定脚用基礎によって支持されつつ、補強部材によって地盤に対して支持される。補強部材は、圧縮力を負担する圧縮材であって、一端が固定脚の側面に接続され、他端が地盤に固定されている。これにより、固定脚の基礎に作用する荷重を低減でき、固定脚の基礎を変更せずに、ボーディングブリッジに対する支持強度を増加させることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 :ボーディングブリッジ
2 :ロタンダ
3 :トンネル部
3a :基端トンネル
3b :先端トンネル
4 :ヘッド
5 :可動脚
6 :固定脚
7 :走行部
9 :車輪
10 :昇降装置
11 :支柱
12 :基礎(固定脚用基礎)
13 :補強部材
14 :補強地盤
15 :ベースプレート
16 :フランジ
17 :ジャッキボルト(高さ調整部)
18 :貫通穴
19 :ナット(高さ調整部)
20 :フーチング
50 :地盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6