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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20240722BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20240722BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240722BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240722BHJP
【FI】
A61B5/107 410
B60N2/90
G06T7/70 A
G06T7/00 660Z
A61B5/107 130
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020197881
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086070
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奈良 憲和
(72)【発明者】
【氏名】村上 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】坂田 直人
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194062(JP,A)
【文献】特開2008-230366(JP,A)
【文献】特開2017-003789(JP,A)
【文献】特開2021-066276(JP,A)
【文献】国際公開第2019/180876(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0158102(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06-5/22
B60N 2/90
G06T 7/70
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される情報処理装置であって、
運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部と、
前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部と、
前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部と、
前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部と、
を備え
前記取得部は、前記車両の走行速度が所定速度以上である場合に、前記画像を取得する、
情報処理装置。
【請求項2】
車両に搭載される情報処理装置であって、
運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部と、
前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部と、
前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部と、
前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部と、
を備え
前記位置検出部は、前記画像から前記運転者の顔の顎下端の位置を検出し、
前記頭頂推定部は、前記ランドマークの位置と前記顎下端の位置との間の距離と、前記ランドマークの位置と前記運転者の頭頂部の位置との間の距離との比率に基づき、前記頭頂部の位置を推定する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記運転者の肌の色に基づいて、前記運転者の人種を推定する人種推定部と、
前記座高推定部の推定結果、及び前記人種推定部の推定結果に基づいて、前記運転者の足の長さを推定する足長推定部と、
を更に備える、請求項1、又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記運転者の着座位置に基づき、前記運転者の座高を補正する座高補正部を更に備える、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記運転席に配置された圧力センサの検出結果に基づいて、前記運転者の着座位置を検出する着座検出部を更に備える、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記位置検出部は、前記運転者が正面を向いている場合に、前記ランドマークの位置を検出する、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
車両に搭載されるコンピュータを、
運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部、
前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部、
前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部、及び、
前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部、
として機能させ
前記取得部は、前記車両の走行速度が所定速度以上である場合に、前記画像を取得する、
プログラム。
【請求項8】
車両に搭載されるコンピュータを、
運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部、
前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部、
前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部、及び、
前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部、
として機能させ
前記位置検出部は、前記画像から前記運転者の顔の顎下端の位置を検出し、
前記頭頂推定部は、前記ランドマークの位置と前記顎下端の位置との間の距離と、前記ランドマークの位置と前記運転者の頭頂部の位置との間の距離との比率に基づき、前記頭頂部の位置を推定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭乗する乗員の体格を推定する技術が、例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載の体格推定装置は、車室内が撮影された画像から検出された乗員の顔情報に基づいて乗員が着座している座席を判定し、判定した座席の基準位置と顔の位置との差分を用いて乗員の座高を算出し、乗員の座高に基づいて乗員の体格を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2019-180876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、座席の基準位置と顔の位置との差分を用いて乗員の座高を算出するため、座高を正確に推定できない可能性がある。
本発明は、座高を正確に推定することの可能な情報処理装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本実施形態の情報処理装置は、車両に搭載される情報処理装置であって、運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部と、前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部と、前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部と、前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部と、を備え、前記取得部は、前記車両の走行速度が所定速度以上である場合に、前記画像を取得する
また、上記目的を達成するために本実施形態の情報処理装置は、車両に搭載される情報処理装置であって、運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部と、前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部と、前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部と、前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部と、を備え、前記位置検出部は、前記画像から前記運転者の顔の顎下端の位置を検出し、前記頭頂推定部は、前記ランドマークの位置と前記顎下端の位置との間の距離と、前記ランドマークの位置と前記運転者の頭頂部の位置との間の距離との比率に基づき、前記頭頂部の位置を推定する。
【0006】
また、上記目的を達成するために本実施形態のプログラムは、車両に搭載されるコンピュータを、運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部、前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部、前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部、及び、前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部、として機能させ、前記取得部は、前記車両の走行速度が所定速度以上である場合に、前記画像を取得する
また、上記目的を達成するために本実施形態のプログラムは、車両に搭載されるコンピュータを、運転席に着座する運転者が撮像された画像を取得する取得部、前記画像から前記運転者の顔のランドマークの位置を検出する位置検出部、前記ランドマークの位置に基づき、前記運転者の頭頂部の位置を推定する頭頂推定部、及び、前記頭頂推定部の推定結果に基づき、前記運転者の座高を推定する座高推定部、として機能させ、前記位置検出部は、前記画像から前記運転者の顔の顎下端の位置を検出し、前記頭頂推定部は、前記ランドマークの位置と前記顎下端の位置との間の距離と、前記ランドマークの位置と前記運転者の頭頂部の位置との間の距離との比率に基づき、前記頭頂部の位置を推定する。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、運転者の顔のランドマークの位置に基づき、運転者の頭頂部の位置を推定し、その推定結果に基づき、運転者の座高を推定するため、座高を正確に推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る座高推定装置の構成の一例を示す図である。
図2】座高推定方法の一例を示す側面図である。
図3】頭部の高さ方向のサイズの推定方法の一例を示す側面図である。
図4】圧力センサの配置の一例を示す斜視図である。
図5】着座位置による座高の補正方法の一例を示す図表である。
図6】座高推定ECUの処理の一例を示すフローチャートである。
図7】座高推定ECUの処理の一例を示すフローチャートである。
図8】座高推定ECUの処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る座高推定装置1の構成の一例を示す図である。座高推定装置1は、車両に搭載される。
座高推定装置1は、運転席STに着座した運転者DVの座高SH1を推定する。図1に示すように、座高推定装置1は、座高推定ECU(Electronic Control Unit)11と、カメラ12と、圧力センサ13と、を備える。
座高推定ECU11は、車載ネットワークを介して、シート位置制御ECU2と通信する。
座高推定ECU11は、「情報処理装置」の一例に対応する。
【0011】
カメラ12は、座高推定ECU11からの指示に従って、運転者DVの画像PDを撮像する。カメラ12は、例えば、図2に示すように車両のダッシュボードに配置される。
【0012】
圧力センサ13は、運転席STの座面ST1に対する運転者DVの押圧力PSを検出する。圧力センサ13は、運転席STの座面ST1に配置される。圧力センサ13は、第1圧力センサ131、第2圧力センサ132、及び第3圧力センサ133を含む。
以下の説明において、第1圧力センサ131、第2圧力センサ132、及び第3圧力センサ133を互いに区別しない場合には、圧力センサ13と記載する場合がある。
運転席ST、座面ST1、第1圧力センサ131、第2圧力センサ132、及び第3圧力センサ133については、後述にて図4を参照して説明する。
【0013】
シート位置制御ECU2は、座高推定ECU11が推定した運転者DVの座高SH2、及び、足の長さLGに基づいて、運転席STの前後方向の位置、高さ方向の位置HS、及び背もたれST2の傾斜角θを調整する。前方向は、車両の進行方向を示す。なお、運転席STの前後方向の位置、高さ方向の位置HS、及び背もたれST2の傾斜角θの各々は、例えば、モータによって調整可能に駆動される。
シート位置制御ECU2は、運転席STの高さ方向の位置HS、背もたれST2の傾斜角θを、座高推定ECU11に出力する。
運転席STの高さ方向の位置HS、背もたれST2の傾斜角θについては、後述にて図4を参照して説明する。
前後方向は、図2図4のX軸方向に対応する。前方向は、X軸の正方向に対応する。
高さ方向は、図2図4のZ軸方向に対応する。
【0014】
また、運転席STは、運転者DVによるレバー、スイッチ、ボタン等の操作によって、運転席STの前後方向の位置、高さ方向の位置HS、及び背もたれST2の傾斜角θを調整可能に構成される。
シート位置制御ECU2は、座高推定ECU11に対して、運転席STの高さ方向の位置HS、及び背もたれST2の傾斜角θを出力する。
また、シート位置制御ECU2は、座高推定ECU11が推定した運転者DVの座高SH2、及び、足の長さLGに基づいて、ステアリングホイールの位置を調整してもよい。
【0015】
座高推定ECU11は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)等のプロセッサ11Aと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ11Bと、を備える。
座高推定ECU11は、これらの装置の他に、センサ類や周辺機器等を接続するためのインターフェース回路、車載ネットワークを介して他の車載装置と通信する車載ネットワーク通信回路等を備える。
プロセッサ11Aは、「コンピュータ」の一例に対応する。
【0016】
座高推定ECU11は、取得部111、位置検出部112、頭頂推定部113、座高推定部114、着座検出部115、座高補正部116、人種推定部117、足長推定部118、及び、結果記憶部119を備える。
具体的には、座高推定ECU11のプロセッサ11Aが、メモリ11Bに記憶された制御プログラムを実行することによって、取得部111、位置検出部112、頭頂推定部113、座高推定部114、着座検出部115、座高補正部116、人種推定部117、及び、足長推定部118として機能する。また、座高推定ECU11のプロセッサ11Aが、メモリ11Bに記憶された制御プログラムを実行することによって、メモリ11Bを、結果記憶部119として機能させる。
【0017】
結果記憶部119は、運転者DVを識別する識別情報DDに対応付けて、座高SH2、及び足の長さLGを、履歴データとして記憶する。座高SH2は、座高補正部116が、補正後の座高SH2を算出する度に、座高補正部116によって、結果記憶部119に書き込まれる。また、足の長さLGは、足長推定部118が足の長さLGを算出する度に、足長推定部118によって、結果記憶部119に書き込まれる。
また、結果記憶部119は、運転者DVを識別する識別情報DDに対応付けて、座高SHA、及び足の長さLGAを、記憶する。座高SHAは、座高SH2の最頻値を示す。足の長さLGAは、足長推定部118によって、座高SHAに基づいて推定され、結果記憶部119に書き込まれる。
座高SHA、及び、足の長さLGAは、シート位置制御ECU2に出力される。シート位置制御ECU2は、座高SHA、及び、足の長さLGAに基づいて、運転席STの前後方向の位置、高さ方向の位置HS、及び背もたれST2の傾斜角θを調整する。
【0018】
取得部111は、運転席STに着座する運転者DVが撮像された画像PDを取得する。本実施形態では、取得部111は、車両が走行中(すなわち、走行速度が所定速度以上)である場合に、カメラ12に運転者DVを撮像させ、画像PDを生成させる。また、取得部111は、カメラ12によって生成された画像PDを取得する。所定速度は、例えば、5km/時である。
画像PDは、運転者DVの頭部HDの画像を含む。
【0019】
位置検出部112は、画像PDから運転者DVの顔のランドマークの位置HLを検出する。例えば、位置検出部112は、運転者DVが正面を向いている場合に、画像PDから運転者DVの顔のランドマークの位置HLを検出する。
本実施形態では、位置検出部112は、画像PDから運転者DVのセリオン(selion)の高さ方向の位置HLを検出する。セリオンとは、鼻根部の正中矢状面内で最も窪んだ点を示す。セリオンは、「ランドマーク」の一例に対応する。具体的には、位置検出部112は、セリオンと基準面SAとの間の距離LLを検出する。基準面SAは、カメラ12を含み、車両の車体の水平面と平行な面である。
位置HLは、例えば、(x,y,z)の座標情報で示される。xは、X座標を示し、yは、Y座標を示し、zは、Z座標を示す。なお、必ずしも三次元全ての情報が必要ではない。例えば、位置HLは、Z座標情報で示されてもよい。
また、位置検出部112は、画像PDから運転者DVの顔の顎下端の高さ方向の位置HCを検出する。具体的には、位置検出部112は、運転者DVの顔の顎下端と基準面SAとの間の距離LCを検出する。
位置HCは、位置HLと同様に、例えば、(x,y,z)の座標情報で示される。
位置HL、位置HC、距離LL、距離LC、及び基準面SAについては、後述にて図2を参照して説明する。
【0020】
頭頂推定部113は、運転者DVの顔のランドマークの位置HLに基づき、運転者DVの頭頂部の位置HTを推定する。換言すれば、頭頂推定部113は、運転者DVの頭部HDの高さ方向のサイズLHを推定する。
位置HTは、位置HLと同様に、例えば、(x,y,z)の座標情報で示される。
頭頂部の位置HTの推定方法については、後述にて図2及び図3を参照して説明する。
【0021】
座高推定部114は、頭頂推定部113の推定結果に基づき、運転者DVの座高SH1を推定する。
座高SH1の推定方法については、後述にて図2及び図3を参照して説明する。
【0022】
着座検出部115は、運転席STに配置された圧力センサ13の検出結果に基づいて、運転者DVの着座位置SPを検出する。
着座位置SPの検出方法については、後述にて図4及び図5を参照して説明する。
【0023】
座高補正部116は、運転者DVの着座位置SPに基づき、運転者DVの座高SH1を補正する。
本実施形態では、座高補正部116は、運転者DVの着座位置SPに基づき、補正係数γを求め、次の式(1)によって、補正後の座高SH2を算出する。
SH2=SH1×γ (1)
運転者DVの着座位置SPが前方向に移動する程、補正係数γは大きくなる。
座高SH1の補正方法については、後述にて図4及び図5を参照して説明する。
なお、以下の説明において、補正前の座高SH1と、補正後の座高SH2とを区別しない場合には、座高SHと記載する場合がある。
【0024】
人種推定部117は、運転者DVの肌の色に基づいて、運転者DVの人種RDを推定する。本実施形態では、人種推定部117は、画像PDに基づき、運転者DVの肌の色を検出する。そして、人種推定部117は、運転者DVの肌の色に基づき、運転者DVが、例えば、アフリカ系(African)RD1、ヨーロッパ系(European)RD2、及びアジア系(Asian)RD3のうち、どの人種に該当するかを推定する。
【0025】
足長推定部118は、座高推定部114の推定結果、及び人種推定部117の推定結果に基づいて、運転者DVの足の長さLGを推定する。本実施形態では、座高補正部116による補正後の座高SH2及び人種推定部117の推定結果に基づいて、運転者DVの足の長さLGを推定する。
人種推定部117が、運転者DVがアフリカ系RD1に該当すると判定した場合には、例えば、次の式(2)により、足の長さLGを推定する。
LG=SH2×53/47 (2)
人種推定部117が、運転者DVがヨーロッパ系RD2に該当すると判定した場合には、例えば、次の式(3)により、足の長さLGを推定する。
LG=SH2×52/48 (3)
人種推定部117が、運転者DVがアジア系RD3に該当すると判定した場合には、例えば、次の式(4)により、足の長さLGを推定する。
LG=SH2×51/49 (4)
なお、本実施形態では、足の長さLGは、身長から座高SHを引いた差を示す。
【0026】
次に、図2及び図3を参照して、頭頂部の位置HTの推定方法、及び座高SH1の推定方法について説明する。
図2は、座高推定方法の一例を示す側面図である。図3は、頭部HDの高さ方向のサイズLHの推定方法の一例を示す側面図である。
なお、図2図4の各々には、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を示す。X軸は、車両の前後方向を示す。Y軸は、車両の左右方向を示す。Z軸は、車両の上下方向を示す。X軸の正方向は、車両の前方向、すなわち、進行方向を示す。Y軸の正方向は、車両の左方向を示す。Z軸の正方向は、車両の上方向を示す。
【0027】
図3には、運転者DVの頭部HDの側面図を示す。また、図3には、運転者DVのセリオンの位置HLと、運転者DVの顔の顎下端の位置HCと、運転者DVの頭頂部の位置HTとを示す。
位置HLと位置HCとは、位置検出部112によって検出される。
下頭部距離αは、位置HLと位置HCとの高さ方向(すなわち、Z軸方向)の距離を示す。上頭部距離βは、位置HTと位置HLとの高さ方向の距離を示す。また、下頭部距離αと上頭部距離βと間には、次の式(5)の関係が成立する。
α:β=0.52:0.48 (5)
したがって、運転者DVの頭部HDの高さ方向のサイズLHは、次の式(6)で算出される。
LH=α/0.52 (6)
下頭部距離αは、「ランドマークの位置と運転者の顎下端の位置との間の距離」の一例に対応する。上頭部距離βは、「ランドマークの位置と運転者の頭頂部の位置との間の距離」の一例に対応する。
【0028】
次に、図2を参照して、座高SH1の推定方法について説明する。なお、以下の処理は、頭頂推定部113及び座高推定部114によって実行される。また、図2では、便宜上、背もたれST2の傾斜角θが90度である場合について説明する。
図2に示すように、下頭部距離αは、位置HLと位置HCとの高さ方向の距離であるため、次の式(7)で算出される。
α=LL-LC (7)
距離LLは、セリオンの位置HLと基準面SAとの間の距離を示す。距離LCは、運転者DVの顔の顎下端の位置HCと基準面SAとの間の距離を示す。距離LL及び距離LCは、位置検出部112によって検出される。
式(7)を式(6)に代入することによって、次の式(8)が得られる。
LH=(LL-LC)/0.52 (8)
【0029】
一方、座高SH1は、次の式(9)で算出される。
SH1=X1+X2 (9)
第1距離X1は、基準面SAと位置HTとの高さ方向の距離を示す。基準面SAは、カメラ12を含み、車両の車体の水平面(すなわち、X軸及びY軸)と平行な面である。第2距離X2は、運転席STの位置HSと基準面SAとの高さ方向の距離を示す。位置HSは、シート位置制御ECU2から入力される。
【0030】
第1距離X1は、図2に示すように、次の式(10)で求められる。
X1=LC+LH (10)
一方、第2距離X2は、カメラ12の高さ方向の位置(すなわち、基準面SA)と、運転席STの高さ方向の位置HSとによって求められる。
すなわち、頭頂推定部113は、式(8)によって運転者DVの頭部HDの高さ方向のサイズLHを算出する。また、座高推定部114は、式(10)によって第1距離X1を算出し、式(9)によって座高SH1を算出する。
【0031】
図2及び図3を参照して説明したように、座高推定部114は、位置検出部112によって検出された運転者DVのセリオンの位置HL、及び運転者DVの顔の顎下端の位置HCに基づいて、座高SH1を推定する。したがって、簡素な処理で正確な座高SH1を推定できる。
【0032】
なお、背もたれST2の傾斜角θが90度ではない場合には、傾斜角θが90度であるとして算出した座高SH0を、傾斜角θに基づいて補正すればよい。例えば、次の式(11)によって、傾斜角θが90度であるとして算出した座高SH0から座高SH1を推定すればよい。
SH1=SH0/sin(θ) (11)
【0033】
次に、図4及び図5を参照して、着座位置SPによる座高SH1の補正方法について説明する。
図4は、圧力センサ13の配置の一例を示す斜視図である。
図4に示すように、運転席STは、座面ST1と、背もたれST2とを備える。座面ST1には、運転者DVが着座し、座面ST1は運転者DVを支持する。
背もたれST2は、座面ST1に対して、傾斜角θの角度で配置される。傾斜角θは、運転者DVによるレバー、スイッチ、ボタン等の操作によって、調整可能に構成される。また、傾斜角θは、シート位置制御ECU2の指示に従って、調整される。
運転席STは、前後方向(X軸方向)、及び上下方向(Z軸方向)に調整可能に構成される。運転席STの前後方向の位置、及び上下方向の位置HSは、運転者DVによるレバー、スイッチ、ボタン等の操作によって、調整される。また、運転席STの前後方向の位置、及び上下方向の位置HSは、シート位置制御ECU2の指示に従って、調整される。
運転席STの上下方向の位置HSは、座面ST1の上面SSの上下方向の位置を示す。
【0034】
背もたれST2の前面(すなわち、X軸の正方向側の面)、及び、座面ST1の上面SS(すなわち、Z軸の正方向側の面)には、圧力センサ13が配置される。
圧力センサ13は、運転者DVからの押圧力PSを検出する。
圧力センサ13は、第1圧力センサ131、第2圧力センサ132、及び第3圧力センサ133を含む。第1圧力センサ131、第2圧力センサ132、及び第3圧力センサ133は、中心線LC1上に配置される。中心線LC1は、座面ST1の上面SSの幅方向(すなわち、Y軸方向)の中心位置を示す。中心線LC1は、X軸と平行である。
【0035】
中心線LC2は、背もたれST2の前面の幅方向(すなわち、Y軸方向)の中心位置を示す。傾斜角θは、中心線LC1と中心線LC2とのなす角である。
【0036】
第1圧力センサ131は、座面ST1の上面SSにおいて、背もたれST2の前面と連結される位置に配置される。換言すれば、第1圧力センサ131は、中心線LC1と中心線LC2とが交差する位置に配置される。
第1圧力センサ131と第2圧力センサ132との間隔L1と、第2圧力センサ132と第3圧力センサ133との間隔L2とは、同一である。間隔L1及び間隔L2の各々は、例えば、4cmである。
【0037】
図5は、着座位置SPによる座高SH1の補正方法の一例を示す図表300である。
図表300には、左欄から右欄に向けて、条件310、着座位置SP、及び補正係数γを記載している。
【0038】
条件310は、第1圧力PS1、第2圧力PS2、第3圧力PS3、第1閾値PSH1、第2閾値PSH2、及び第3閾値PSH3を含む。
第1圧力PS1は、第1圧力センサ131の検出値を示す。第2圧力PS2は、第2圧力センサ132の検出値を示す。第3圧力PS3は、第3圧力センサ133の検出値を示す。
第1閾値PSH1は、第1圧力PS1の閾値の一例を示す。第2閾値PSH2は、第2圧力PS2の閾値の一例を示す。第3閾値PSH3は、第3圧力PS3の閾値の一例を示す。
【0039】
例えば、次の式(12-1)~式(12-3)を満たす場合には、着座検出部115は、着座位置SPを、第1着座位置SP1であると検出する。第1着座位置SP1は,「深く腰掛けている」場合の着座位置SPを示す。
PS1≧PSH1 (12-1)
PS2≧PSH2 (12-2)
PS3≧PSH3 (12-3)
そして、座高補正部116は、補正係数γとして、第1補正係数γ1を設定する。第1補正係数γ1は、例えば、「1/1.045」である。
【0040】
また、次の式(13-1)~式(13-3)を満たす場合には、着座検出部115は、着座位置SPを、第2着座位置SP2であると検出する。第2着座位置SP2は、「標準的な座り方をしている」場合の着座位置SPを示す。
PS1<PSH1 (13-1)
PS2≧PSH2 (13-2)
PS3≧PSH3 (13-3)
そして、座高補正部116は、補正係数γとして、第2補正係数γ2を設定する。第2補正係数γ2は、例えば、「1」である。
【0041】
また、次の式(14-1)~式(14-3)を満たす場合には、着座検出部115は、着座位置SPを、第3着座位置SP3であると検出する。第3着座位置SP3は、「浅く腰掛けている」場合の着座位置SPを示す。
PS1<PSH1 (14-1)
PS2<PSH2 (14-2)
PS3≧PSH3 (14-3)
そして、座高補正部116は、補正係数γとして、第3補正係数γ3を設定する。第3補正係数γ3は、例えば、「1.045」である。
【0042】
また、座高補正部116は、設定した補正係数γと次の式(15)によって、補正後の座高SH2を算出する。ここでは、式(15)として、便宜上、式(1)を再掲している。
SH2=SH1×γ (15)
【0043】
図4及び図5を参照して説明したように、着座検出部115が、圧力センサ13の検出結果に基づいて、運転者DVの着座位置SPを検出し、座高補正部116は、運転者DVの着座位置SPに基づき、運転者DVの座高SH1を補正して、補正後の座高SH2を算出する。したがって、座高SH1の着座位置SPに関する補正を適正に実行できる。
【0044】
図6図8は、座高推定ECU11の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS101において、座高推定ECU11は、運転者DVの識別情報DDを取得する。例えば、座高推定ECU11は、ユーザーからの操作に基づいて、運転者DVの識別情報DDを取得する。
次に、ステップS103において、座高推定ECU11は、履歴データの個数Nが、個数閾値NSH未満であるか否かを判定する。個数閾値NSHは、例えば、100個である。
履歴データの個数Nが個数閾値NSH未満ではないと座高推定ECU11が判定した場合(ステップS103;NO)には、処理が図8に示すステップS135へ進む。履歴データの個数Nが個数閾値NSH未満であると座高推定ECU11が判定した場合(ステップS103;YES)には、処理がステップS105へ進む。
【0045】
そして、ステップS105において、取得部111は、車両が走行中であるか否かを判定する。例えば、取得部111は、車両の走行速度が所定速度以上であるか否かに応じて、車両が走行中であるか否かを判定する。
車両が走行中ではないと取得部111が判定した場合(ステップS105;NO)には、処理が待機状態になる。車両が走行中であると取得部111が判定した場合(ステップS105;YES)には、処理がステップS107へ進む。
そして、ステップS107において、取得部111は、運転席STに着座する運転者DVが撮像された画像PDを取得する。すなわち、取得部111は、カメラ12に運転者DVを撮像させ、画像PDを生成させる。また、取得部111は、カメラ12によって生成された画像PDを取得する。
【0046】
次に、ステップS109において、位置検出部112は、画像PDに基づき、運転者DVが正面を向いているか否かを判定する。
運転者DVが正面を向いていないと位置検出部112が判定した場合(ステップS109;NO)には、処理がステップS105に戻る。運転者DVが正面を向いていると位置検出部112が判定した場合(ステップS109;YES)には、処理がステップS111へ進む。
そして、ステップS111において、位置検出部112は、画像PDから運転者DVのセリオンの位置HLを検出する。換言すれば、位置検出部112は、画像PDからセリオンの位置HLと基準面SAとの間の距離LLを検出する。
次に、ステップS113において、位置検出部112は、画像PDから運転者DVの顔の顎下端の位置HCを検出する。換言すれば、位置検出部112は、画像PDから運転者DVの顔の顎下端の位置HCと基準面SAとの間の距離LCを検出する。
【0047】
次に、ステップS115において、頭頂推定部113は、位置HL及び位置HCに基づき、運転者DVの頭頂部の位置HTを推定する。
次に、ステップS117において、座高推定部114は、頭頂推定部113の推定結果に基づき、第1距離X1を推定する。例えば、座高推定部114は、上記の式(8)及び式(10)を用いて、第1距離X1を算出する。
次に、ステップS119において、座高推定部114は、カメラ12の高さ方向の位置と、運転席STの高さ方向の位置HSとに基づいて、第2距離X2を算出する。なお、座高推定部114は、位置HSをシート位置制御ECU2から取得する。
次に、図7に示すように、ステップS121において、座高推定部114は、運転者DVの座高SH1を推定する。例えば、座高推定部114は、上記の式(9)を用いて、運転者DVの座高SH1を算出する。
【0048】
次に、ステップS123において、人種推定部117は、運転者DVの肌の色に基づいて、運転者DVの人種RDを推定する。例えば、人種推定部117は、画像PDに基づき、運転者DVの肌の色を検出し、肌の色に基づき、運転者DVが、例えば、アフリカ系RD1、ヨーロッパ系RD2、及びアジア系RD3のうち、どの人種に該当するかを推定する。
次に、ステップS125において、足長推定部118は、座高推定部114の推定結果、及び人種推定部117の推定結果に基づいて、運転者DVの足の長さLGを推定する。例えば、足長推定部118は、上記の式(2)~式(4)の各々において、座高SH2を座高SH1に入れ換えることによって、運転者DVの足の長さLGを推定する。
次に、ステップS127において、着座検出部115は、運転席STに配置された圧力センサ13の検出結果に基づいて、運転者DVの着座位置SPを検出する。
【0049】
次に、ステップS129において、座高補正部116は、運転者DVの着座位置SPに基づき、運転者DVの座高SH1を補正し、補正後の座高SH2を算出する。
次に、ステップS131において、足長推定部118は、座高補正部116の補正結果、及び人種推定部117の推定結果に基づいて、運転者DVの足の長さLGを補正する。例えば、足長推定部118は、上記式(2)~式(4)を用いて、運転者DVの補正後の足の長さLGを算出する。
次に、ステップS133において、座高補正部116は、補正後の座高SH2を、運転者DVを識別する識別情報DDに対応付けて、履歴データとして結果記憶部119に書き込む。また、足長推定部118は、補正後の足の長さLGを、運転者DVを識別する識別情報DDに対応付けて、履歴データとして結果記憶部119に書き込む。その後、処理がリターンする。
【0050】
図6のステップS103でNOの場合には、図8に示すように、ステップS135において、座高推定ECU11は、識別情報DDに対応する履歴データを結果記憶部119から読み出す。
次に、ステップS137において、座高推定ECU11は、座高SH2の最頻値を、座高SHAとして算出する。
次に、ステップS139において、足長推定部118は、人種推定部117の推定結果に基づいて、座高SHAに対応する足の長さLGを、足の長さLGAとして推定する。
次に、ステップS141において、座高推定ECU11は、座高SHA、及び足の長さLGAを識別情報DDに対応付けて、結果記憶部119に書き込み、その後、処理が終了する。
【0051】
図6図8を参照して説明したように、履歴データとして結果記憶部119に記憶された個数閾値NSH(例えば、100個)の座高SH2の最頻値を、座高SHAとして算出する。したがって、更に正確な座高SHAを推定できる。
【0052】
また、足長推定部118は、人種推定部117の推定結果に基づいて、座高SHAに対応する足の長さLGを、足の長さLGAとして推定する。したがって、更に正確な足の長さLGAを推定できる。
【0053】
本実施形態では、座高推定ECU11が、個数閾値NSHに対応する個数(例えば、100個)の座高SH2の最頻値を、座高SHAとして算出する場合について説明するが、これに限定されない。座高推定ECU11が、個数閾値NSHに対応する個数の座高SH2に基づいて、座高SHAを算出すればよい。例えば、座高推定ECU11が、個数閾値NSHに対応する個数の座高SH2の平均値を座高SHAとして算出してもよいし、個数閾値NSHに対応する個数の座高SH2の中央値を座高SHAとして算出してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、座高推定ECU11は、ユーザーからの操作に基づいて、運転者DVの識別情報DDを取得するが、これに限定されない。座高推定ECU11は、運転者DVの識別情報DDを取得すればよい。例えば、座高推定ECU11は、画像PDに基づいて、運転者DVの識別情報DDを取得してもよい。具体的には、座高推定ECU11は、画像PDに対して顔認証処理を実行し、運転者DVの識別情報DDを取得してもよい。この場合には、ユーザーが操作する必要がないため、ユーザーの利便性を向上できる。
【0055】
以上、図1図8を参照して説明したように、本実施形態の座高推定ECU11は、車両に搭載される座高推定ECU11であって、運転席STに着座する運転者DVが撮像された画像PDを取得する取得部111と、画像PDから運転者DVの顔のランドマークの位置HLを検出する位置検出部112と、ランドマークの位置HLに基づき、運転者DVの頭頂部の位置HTを推定する頭頂推定部113と、頭頂推定部113の推定結果に基づき、運転者DVの座高SH1を推定する座高推定部114と、を備える。
すなわち、画像PDから運転者DVの顔のランドマークの位置HLを検出し、ランドマークの位置HLに基づき、運転者DVの頭頂部の位置HTを推定し、頭頂部の位置HTに基づき、運転者DVの座高SH1を推定する。
よって、運転者DVの頭頂部の位置HTを正確に推定できる。したがって、運転者DVの座高SH1を正確に推定できる。
【0056】
また、位置検出部112は、画像PDから運転者DVの顔の顎下端の位置HCを検出し、頭頂推定部113は、ランドマークの位置HLと顎下端の位置HCとの間の下頭部距離αと、ランドマークの位置HLと運転者DVの頭頂部の位置HTとの間の上頭部距離βとの比率に基づき、頭頂部の位置HTを推定する。
よって、下頭部距離αと上頭部距離βとの比率に基づき頭頂部の位置HTを推定するため、ランドマークを適正に選定することによって、頭頂部の位置HTを正確に推定できる。例えば、ランドマークとしてセリオンを選定する場合には、上記の式(5)が成立するため、頭頂部の位置HTを正確に推定できる。したがって、運転者DVの座高SH1を正確に推定できる。
【0057】
また、座高推定ECU11は、運転者DVの肌の色に基づいて、運転者DVの人種RDを推定する人種推定部117と、座高推定部114の推定結果、及び人種推定部117の推定結果に基づいて、運転者DVの足の長さLGを推定する足長推定部118と、を更に備える。
よって、運転者DVの肌の色に基づいて、運転者DVの人種RDを推定するため、人種RDを適正に推定できる。座高SH1、及び人種RDに基づいて、運転者DVの足の長さLGを推定するため、足の長さLGを正確に推定できる。例えば、上記の式(2)~(4)によって足の長さLGを推定するため、足の長さLGを正確に推定できる。
【0058】
また、座高推定ECU11は、運転者DVの着座位置SPに基づき、運転者DVの座高SH1を補正する座高補正部116を更に備える。
したがって、運転者DVの着座位置SPに基づき、運転者DVの座高SH1を補正するため、補正後の座高SH2を正確に算出できる。例えば、運転者DVの着座位置SPに基づき、補正係数γを算出し、上記の式(1)によって、補正後の座高SH2を算出するため、補正後の座高SH2を正確に算出できる。
【0059】
また、座高推定ECU11は、運転席STに配置された圧力センサ13の検出結果に基づいて、運転者DVの着座位置SPを検出する着座検出部115を更に備える。
また、運転席STに配置された圧力センサ13の検出結果に基づいて、運転者DVの着座位置SPを検出するため、着座位置SPを適正に検出できる。例えば、第1圧力PS1~第3圧力PS3に基づいて、図5を参照して説明したように補正係数γを算出するため、補正係数γを適正に算出できる。したがって、補正後の座高SH2を正確に算出できる。
【0060】
また、取得部111は、車両の走行速度が所定速度以上である場合に、画像PDを取得する。
したがって、所定速度を適正に設定することによって、正しい姿勢で運転席STに着座している運転者DVの画像PDを取得できる。例えば、車両が停止している場合には、運転者DVは、スマートフォンやナビゲーション装置を操作している場合があるため、運転席STに正しい姿勢で着座していない可能性がある。このように、運転席STに正しい姿勢で着座していない場合には、画像PDを取得しないため、画像PDを適正に取得できる。
【0061】
また、位置検出部112は、運転者DVが正面を向いている場合に、ランドマークの位置HLを検出する。
したがって、運転者DVが正面を向いている場合に、ランドマークの位置HLを検出するため、ランドマークの位置HLを正確に検出できる。
【0062】
また、本実施形態の制御プログラムは、車両に搭載されるプロセッサ11Aを、運転席STに着座する運転者DVが撮像された画像PDを取得する取得部111、画像PDから運転者DVの顔のランドマークの位置HLを検出する位置検出部112、ランドマークの位置HLに基づき、運転者DVの頭頂部の位置HTを推定する頭頂推定部113、及び、頭頂推定部113の推定結果に基づき、運転者DVの座高SH1を推定する座高推定部114、として機能させる。
したがって、本実施形態の制御プログラムは、本実施形態の座高推定ECU11と同様の効果を奏する。
【0063】
上述した本実施形態は、あくまでも本発明の一実施形態を例示したものであって、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、図1は、本発明の理解を容易にするために、構成要素を主な処理内容に応じて分類して示した図であり、構成要素は、処理内容に応じて、更に多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素が更に多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、「情報処理装置」が、座高推定ECU11である場合について説明したが、これに限定されない。「情報処理装置」が、プロセッサとメモリとを備えればよい。例えば、「情報処理装置」が、パーソナルコンピュータでもよいし、タブレット型コンピュータでもよいし、スマートフォンでもよい。
【0065】
また、本実施形態では、運転者DVの顔のランドマークがセリオンである場合について説明したが、これに限定されない。運転者DVの顔のランドマークが、鼻の先端位置でもよいし、運転者DVの顔のランドマークが、左目と右目との中心位置でもよい。
【0066】
また、本実施形態では、下頭部距離αと上頭部距離βとが式(5)を満たす場合について説明したが、これに限定されない。下頭部距離αと上頭部距離βとが予め設定された比率であればよい。例えば、下頭部距離αと上頭部距離βとの比率が、12:11でもよいし、14:13でもよい。
また、下頭部距離αと上頭部距離βとの比率を、人種RD、及び男女の別の少なくとも一方に基づいて設定してもよい。
【0067】
また、本実施形態では、人種推定部117が、運転者DVの肌の色に基づいて、運転者DVの人種RDを推定するが、これに限定されない。人種推定部117が、画像PDに基づき、運転者DVの人種RDを推定すればよい。例えば、人種推定部117が、運転者DVの顔の画像処理を実行し、運転者DVの人種RDを推定してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、人種推定部117が、アフリカ系RD1、ヨーロッパ系RD2、及びアジア系RD3のうち、どの人種に該当するかを推定する場合について説明したが、これに限定されない。人種推定部117が、運転者DVの人種RDを推定すればよい。例えば、人種RDの個数が4個以上でもよい。例えば、アジア系RD3を、日本人、中国人、マレー人、ポリネシア人、及び、ミクロネシア人に更に分類してもよい。
人種RDの個数が多い程、足長推定部118は、運転者DVの足の長さLGを正確に推定できる。
【0069】
なお、本実施形態では、着座検出部115が、第1圧力センサ131~第3圧力センサ133の検出値に基づいて、着座位置SPを検出する場合について説明したが、これに限定されない。着座検出部115が、圧力センサ13の検出値に基づいて、着座位置SPを検出すればよい。
着座検出部115が、1つ又は2つの圧力センサ13の検出値に基づいて、着座位置SPを検出してもよい。圧力センサ13の個数が少ない程、座高推定ECU11の処理を簡素化できる。
また、着座検出部115が、4つ以上の圧力センサ13の検出値に基づいて、着座位置SPを検出してもよい。圧力センサ13の個数が多い程、着座検出部115は、着座位置SPを正確に検出できる。
【0070】
また、本実施形態では、着座検出部115が、第1着座位置SP1~第3着座位置SP3のうち、どの着座位置SPであるかを検出する場合について説明したが、これに限定されない。着座検出部115が、圧力センサ13の検出値に基づいて、着座位置SPを検出すればよい。
着座検出部115が、4つ以上の着座位置SPのうち、どの着座位置SPであるかを検出してもよい。着座位置SPの個数が多い程、着座検出部115は、着座位置SPを正確に検出できる。
【0071】
また、本実施形態では、制御プログラムを座高推定ECU11のメモリ11Bに記憶するが、制御プログラムを他の記録媒体、又はこの制御プログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。
記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD、Blu-ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリ、カード型記録媒体等の可搬型、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、座高推定装置1が備えるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
また、制御プログラムを、座高推定ECU11とネットワークを介して通信可能に接続されたサーバ装置から座高推定ECU11がダウンロードしてもよい。
【0072】
また、例えば、図6図8に示すフローチャートの処理単位は、座高推定ECU11の処理の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。座高推定ECU11の処理は、処理内容に応じて、更に多くの処理単位に分割してもよい。また、座高推定ECU11の処理は、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 座席推定装置
11 座高推定ECU(情報処理装置)
11A プロセッサ(コンピュータ)
11B メモリ
111 取得部
112 位置検出部
113 頭頂推定部
114 座高推定部
115 着座検出部
116 座高補正部
117 人種推定部
118 足長推定部
119 結果記憶部
12 カメラ
13 圧力センサ
131 第1圧力センサ
132 第2圧力センサ
133 第3圧力センサ
2 シート位置制御ECU
DD 識別情報
DV 運転者
HC 顎下端の位置
HD 頭部
HL ランドマーク(セリオン)の位置
HS 座面の上面の位置
HT 頭頂部の位置
LG、LGA 足の長さ
LH 頭部の高さ方向のサイズ
PD 画像
PS 押圧力
RD 人種
SA 基準面
SH、SH0、SH1、SH2、SHA 座高
SP 着座位置
SS 上面
ST 運転席
ST1 座面
ST2 背もたれ
X1 第1距離
X2 第2距離
α 下頭部距離(ランドマークの位置と運転者の顎下端の位置との間の距離)
β 上頭部距離(ランドマークの位置と運転者の頭頂部の位置との間の距離)
γ 補正係数
θ 傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8