(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】非接触工具設定装置および方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/24 20060101AFI20240722BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240722BHJP
G06T 7/13 20170101ALI20240722BHJP
【FI】
B23Q17/24 B
G06T1/00 Z
G06T7/13
(21)【出願番号】P 2020515242
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 GB2018052600
(87)【国際公開番号】W WO2019053432
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ベンジャミン エッグルストーン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ポール グリブル
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206120(JP,A)
【文献】特開2016-166877(JP,A)
【文献】特開2013-078841(JP,A)
【文献】特開2012-131007(JP,A)
【文献】特開2012-091290(JP,A)
【文献】特開2012-086350(JP,A)
【文献】特開2010-019559(JP,A)
【文献】特開2005-270500(JP,A)
【文献】特開2003-170335(JP,A)
【文献】特開2000-346614(JP,A)
【文献】特開2000-024880(JP,A)
【文献】特開平11-128176(JP,A)
【文献】特開平10-154881(JP,A)
【文献】特開平08-300254(JP,A)
【文献】特開平08-128920(JP,A)
【文献】特開平01-321151(JP,A)
【文献】特表2018-503515(JP,A)
【文献】特表2015-517668(JP,A)
【文献】特表2012-517603(JP,A)
【文献】特表2010-513897(JP,A)
【文献】特表2009-527756(JP,A)
【文献】特表2003-524154(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0197138(US,A1)
【文献】米国特許第09193022(US,B1)
【文献】米国特許第06496273(US,B1)
【文献】米国特許第04443855(US,A)
【文献】国際公開第2007/096585(WO,A1)
【文献】国際公開第2005/085753(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02631032(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02633950(EP,A1)
【文献】欧州特許第01587648(EP,B1)
【文献】独国特許出願公開第19528376(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102005026375(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第106290960(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101758423(CN,A)
【文献】国際公開第2018/134585(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/048832(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/20-23/00
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
G01V 8/12
G06T 1/00、1/60、7/00-7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する送信機、送信機によって発せられた光を受信する受信機、および、前記受信機によって受信された光を分析し、そこからトリガー信号を生成する分析ユニットを含む、非接触工具設定装置であって、前記受信機は、2次元アレイに配置された、複数のピクセルを有する撮像センサを含み、前記分析ユニットは、前記複数のピクセルの第1サブセットによって測定された光の強度を分析することにより前記トリガー信号を生成し、前記ピクセルの第1サブセットは、2つ以上のピクセルを含み、前記ピクセルの第1サブセットを形成する前記ピクセルによって測定された前記光の強度が組み合わされて合成光強度を提供し、前記分析ユニットは、前記合成光強度がしきい値を超えると、トリガー信号を生成
し、前記トリガー信号は、工具が、前記送信機および前記受信機に対して特定の位置に到達したことを示すことを特徴とする非接触工具設定装置。
【請求項2】
請求項1の装置であって、前記ピクセルの第1サブセットは、前記撮像センサのピクセルの総数の5パーセント以下を含むことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または2の装置であって、前記撮像センサは、100,000個以上のピクセルを含み、前記ピクセルの第1サブセットは、500個以下のピクセルを含むことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかの装置であって、前記光の強度が、1KHzよりも大きいレートで、前記ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集及び分析を実行することによって生成されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかの装置であって、前記ピクセルの第1サブセットは、複数の隣接するピクセルを含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの装置であって、前記分析ユニットは、また、前記撮像センサを使用して、工具の1つまたは複数の画像をとらえるように構成されることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6の装置であって、前記工具の前記1つまたは複数の画像は、前記撮像センサの前記複数のピクセルのすべてを用いて取得されることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6の装置であって、前記工具の前記1つまたは複数の画像は、前記撮像センサの前記複数のピクセルの第2サブセットを用いて取得され、前記ピクセルの第2サブセットは、前記ピクセルの前記第1サブセットと異なることを特徴とする装置。
【請求項9】
光を発する送信機、送信機によって発せられた光を受信する受信機、および、前記受信機によって受信された光を分析し、そこからトリガー信号を生成する分析ユニットを含む、非接触工具設定装置であって、前記受信機は、2次元アレイに配置された、複数のピクセルを有する撮像センサを含み、前記分析ユニットは、前記複数のピクセルの第1サブセットによって測定された光の強度を分析することにより前記トリガー信号を生成し、前記ピクセルの第1サブセットは、2つ以上のピクセルを含み、
前記トリガー信号は、工具が、前記送信機および前記受信機に対して特定の位置に到達したことを示し、前記分析ユニットは、また、前記ピクセルの第1サブセットによって受信される光の強度の変動を、回転工具に対する時間の関数として分析するように構成され、前記分析は、工具回転速度を測定するために使用されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9の装置であって、前記分析ユニットは、また、前記撮像センサを使用して、回転工具の1つまたは複数の画像をとらえるように構成されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10の装置であって、前記回転工具の前記1つまたは複数の画像は、前記撮像センサの前記複数のピクセルのすべてを用いて取得されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項10の装置であって、前記回転工具の前記1つまたは複数の画像は、前記撮像センサの前記複数のピクセルの第2サブセットを用いて取得され、前記ピクセルの第2サブセットは、前記ピクセルの前記第1サブセットと異なることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項9~12のいずれかの装置であって、前記分析ユニットは、トリガー信号が生成された後に1つまたは複数の画像をとらえ、前記トリガー信号は、測定される前記回転工具のエッジが、少なくとも部分的に、前記光を遮っていることを示すために用いられることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項9~12のいずれかの装置であって、前記分析ユニットによってとらえられた1つまたは複数の画像は、前記測定される工具回転速度と同期させられ、回転工具が、1つまたは複数の画定された位置に回転させられるときに、前記回転工具の画像が取得されることを可能にすることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項9~14のいずれかの装置であって、前記送信機は、前記光を生成するための発光ダイオードを含むことを特徴とする装置。
【請求項16】
非接触工具測定の方法であって、該方法は、送信機から受信機に光を通過させ、工具が少なくとも部分的に前記光を遮るときに、トリガー信号を生成することを含み、
前記トリガー信号は、工具が、前記送信機および前記受信機に対して特定の位置に到達したことを示し、前記受信機は、2次元アレイに配置された複数のピクセルを有する撮像センサを含み、前記方法は、前記複数のピクセルの第1サブセットによって測定された光の強度を分析することによって、前記トリガー信号を生成する工程を含み、前記ピクセルの第1サブセットは、2つ以上のピクセルを含み、前記ピクセルの第1サブセットを形成する前記ピクセルによって測定された前記光の強度が組み合わされて合成光強度を提供し、前記合成光強度がしきい値を超えると、トリガー信号が生成されることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座標位置決め装置用の非接触工具設定装置に関し、特に、撮像センサを含む非接触工具設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、引用文献1を参照すると、工作機械用のブレイクビーム工具設定装置が知られている。このタイプの工具設定装置は、光検出器に送られるレーザー光のビームを生成するレーザー源を含む。工具設定操作中、工作機械は、回転工具を比較的高速で光ビームに出し入れするように操作される。工具による光ビームの遮断は、光検出器出力信号の分析によって迅速に検出され、装置は、いわゆる「トリガー信号」を生成して、関連する工作機械に、光ビームが遮断されたことを示す。通常、このトリガー信号は、光レベルが「ビームクリア」状態の50%に達すると(つまり、光ビームの50%が、検出器に到達するのをブロックされると)発出される。この配置は、工具の長さおよび/または工具の直径などの工具サイズが、すばやく測定されることを可能にする。ただし、この配置は、工具のエッジ上の複数の点の位置を測定するために、工具を、複数回、ビーム内で移動させることを必要とするため、工具のプロファイルに関するより多くの情報を取得することに、時間を食ってしまう。
【0003】
ビデオまたはカメラベースの工具設定具が、また、知られている。例えば、特許文献2または特許文献3が参照される。一般的なビデオ工具設定具は、工具の長さ、直径、コーナー半径などのパラメーターを確認するために、工具(例えば、フライス工具や旋盤工具)の画像を撮影する、2Dカメラと、レンズ配置を含む。ビデオ工具設定具は、それらが、工具のより大きな領域を撮像し、工具チップ検出とクーラント/汚れ除去をより簡単に実行し得るという点で、上記のタイプのレーザー工具設定具よりも有利である。半径やエッジブレンドなど、より大きな態様の検出が、また、可能である。ビデオ工具設定具の明らかな欠点は、イメージセンサからピクセルデータを読み取って処理するのにかかる時間である。約100万ピクセルの一般的なセンサの場合、最大フレームレートは、たった約50Hzである。そのようなシステムの典型的な動作モードは、工具のエッジをカメラの視野に入れることである。その後、工具が回転する間に、一連の画像が撮影され、約2°の間隔で工具の画像をとらえ得る。その後、この一連の画像が処理され、測定のために、工具のすくい面が正しい角度にある場合の画像を特定する。このことは、4秒程度かかる、通常の測定をもたらす。カメラの視野よりも大きい半径の工具を測定する場合、測定を行うには、少なくとも2セットのそのような画像が確認される必要があるであろう。そのような遅延の工具設定プロセスへの導入は、切削工作機械を最大限に活用することが望まれる場合、高い処理能力の機械加工操作にとって、しばしば受け入れられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6496273号明細書
【文献】国際公開第2005/085753号
【文献】欧州特許第2633950号明細書
【文献】欧州特許第2631032号明細書
【文献】国際公開第2018/134585号
【文献】欧州特許第1587648号明細書
【文献】国際公開2019/048832号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献4は、工具を撮像するためのカメラと、工具の存在を検出するためのフォトダイオードまたはフォトダイオードアレイとの両方に、受信光を向けるために、ビームスプリッタが使用される、ハイブリッド工具設定システムを記載する。例えば、特許文献4の
図9およびその関連説明が参照される。この配置は、互いに対して整列させられ、慎重に較正される必要がある、複数の要素を含むという欠点を有する。これは、ハイブリッド配置を複雑にし、実行するためにコスト高にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、光を発する送信機、送信機によって発せられた光を受信する受信機、および、受信機によって受信された光を分析し、そこからトリガー信号を生成する分析ユニットを含み、受信機は、2次元(2D)アレイに配置された複数のピクセルを有する撮像センサを含み、分析ユニットは、複数のピクセルの第1サブセットによって測定された光強度を分析することによって、トリガー信号を生成し、ピクセルの第1サブセットは、少なくとも2つのピクセルを含む、非接触工具設定装置が提供される。
【0007】
したがって、本発明の非接触工具設定装置は、工作機械などでの使用に適した、ブレイクビーム工具検出システムを提供する。送信機から発せられた光(例えば、光のビーム)は、自由空間の領域を通して受信機に通過させられる。したがって、受信機は、送信機から光を受信し、光を分析することによってトリガー信号を生成する。したがって、トリガー信号は、関連する工作機械に、物体(例えば工具)が、送信機および受信機に対して特定の位置に到達したことを示すために使用され得る。非接触工具設定装置によって生成されるトリガー信号は、工作機械制御装置のSKIP入力に供給される、電圧レベル変化または電圧パルスを含み得る。あるいは、トリガー信号は、デジタルデータパケットとして工作機械に出力され得る(例えば、我々の先行特許出願(特許文献5)に記載された技術を使用して)。したがって、本発明の非接触工具設定装置は、CNC(コンピュータ数値制御)工作機械などとともに使用され、工作機械の座標系内の工具または他の物体の位置を測定し得る。
【0008】
本発明は、受信機が、複数のピクセルを有する撮像センサ(すなわち、ピクセルの2Dアレイを含む撮像センサ)を含むことによって特徴付けられる。つまり、2D撮像センサは、それらが受け取る光の強度を、それぞれ個別に検出し得る、複数のピクセルを有する。以下に説明される実施形態において、撮像センサは、正方形の1メガピクセルのセンサアレイ(すなわち、1000×1000ピクセルのアレイ)、または、640×480ピクセルのアレイを含み得る。もちろん、異なるサイズおよび/または形状のピクセルアレイを備えた撮像センサを使用することが可能である。分析ユニットは、複数のピクセルの第1サブセット(以下において、また、ピクセルの第1サブセットと称される)によって測定された光の強度を分析することにより、トリガー信号を生成する。このようにして、撮像センサのピクセルの一部のみによって検出された光の強度は、分析ユニットによって、トリガー信号を生成し、それにより、光ビーム内における物体の存在を示すために使用される。以下で説明されるように、分析ユニットによって実行される分析は、受信光の強度がしきい値を超えるときを確認すること(例えば、トリガー信号は、受信光の合計強度が、50%低下するときに、生成され得る)、または、物体が、受信機上の特定のポイントに影を落とすときの物体のエッジの位置を決定することを含み得る。
【0009】
ピクセルの第1サブセットの使用は、光の強度が検出されるレートが、ピクセルのアレイ全体を読み取るときに達成され得るフレームレートよりもはるかに大きくなり得ることを意味する。このことは、光強度の変化が、特許文献1に記載されたタイプの従来技術の装置で可能な速度と同様の速度で、監視されることを可能にし、それにより、工具検出が、同様の位置精度で、行われることを可能にする。したがって、本発明の装置は、上記の視覚ベースの工具設定具とは異なり、特許文献1に記載されているタイプの従来技術のシステムと完全に後方互換性がある。
【0010】
したがって、本発明は、受信機に到達する光の量を検出するために単一のフォトダイオードを使用する、特許文献1に記載された装置と同様のレベルの性能で操作できる非接触工具設定装置を提供する。しかしながら、撮像センサを含む受信機を提供することは、また、現在説明されている装置が、光ビーム内に置かれた工具の画像を取得することを可能にする。これらの画像は、工具を単純に撮像するために(例えば、オペレータへの表示のために)、工具プロファイルのより詳細な分析(例えば、工具が損傷しているかどうかをよりよく評価すること)を可能にするために、または、測定中に、工具が汚染されたかどうかを確認するために、使用され得る。したがって、本発明は、特許文献1に記載されているタイプの従来技術の装置を使用して可能な機能以上の追加機能を提供する。トリガー信号の生成と撮像目的のために、同じ撮像センサを使用することは、また、特許文献4に記載されるハイブリッド(ビームスプリッターベースの)システムよりも安価で、よりコンパクトで、より信頼性の高い配置を提供する。
【0011】
受信光の強度が、高いレートで測定されることを可能にするために、ピクセルの第1サブセットは、撮像センサの利用可能なピクセルの少数のみを含むことが好ましい。ピクセルの第1サブセットは、好ましくは、撮像センサのピクセルの総数の10パーセント以下を含む。ピクセルの第1サブセットは、好ましくは、撮像センサのピクセルの総数の5パーセント以下を含む。ピクセルの第1サブセットは、好ましくは、撮像センサのピクセルの総数の2パーセント以下を含む。有利には、ピクセルの第1サブセットは、撮像センサのピクセルの総数の1パーセント以下を含む。便利には、ピクセルの第1サブセットは、撮像センサのピクセルの総数の1パーセントの1/10以下を含む。ピクセルの第1サブセットは、撮像センサのピクセルの総数の1パーセントの100分の1以下を、便利には含み得る。撮像センサは、好ましくは100,000以上のピクセルを含む。有利には、撮像センサは、500,000以上のピクセルを含み得る。便利には、撮像センサは、1,000,000以上のピクセルを含み得る。便利には、ピクセルの第1サブセットは、1000ピクセル以下を含み得る。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットは、500以下のピクセルを含み得る。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットは、250以下のピクセルを含み得る。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットは、150以下のピクセルを含み得る。より好ましくは、ピクセルの第1のサブセットは、50以下のピクセルを含み得る。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットは、20以下のピクセルを含み得る。例えば、撮像センサが1,000,000ピクセルを含む場合、ピクセルの第1サブセットは16個のピクセルのみを含み得る(例えば、ピクセルの4×4サブアレイ)。144ピクセルのアレイ(例えば、ピクセルの12×12サブアレイ)は、ピクセルの第1サブセットとして便利に提供され得る。
【0012】
有利には、第1サブセットに含まれるピクセルの数は、そのようなピクセルの読み取りに関連するフレームレートが、工具エッジの検出が実行されるのを可能にするために(例えば、上記のタイプの、従来技術のレーザーベース工具設定具を使用して達成される精度と同様の精度で)、十分に高いように選択される。便利には、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集と分析は、200Hzよりも大きいレートで実行される。好ましくは、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集および分析は、500Hzよりも大きいレートで実行される。有利には、ピクセルの第1のサブセットによって受信される光の収集および分析は、1KHzよりも大きいレートで実行される。便利には、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集と分析は、10KHzより大きいレートで実行される。好ましくは、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集および分析は、20KHzよりも大きいレートで実行される。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集および分析は、30KHzよりも大きいレートで実行される。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集および分析は、40KHzよりも大きいレートで実行される。より好ましくは、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集および分析は、50KHzより大きいレートで実行される。便利には、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の収集と分析は、約50KHzのレートで実行される。
【0013】
分析ユニットは、トリガー信号を生成するために、さまざまな異なる方法で、ピクセルの第1サブセットによって生成された光の強度を分析し得る。以下で説明されるように、ピクセルの第1サブセットによって受信される光の強度が確証され、しきい値と比較され得る。あるいは、ピクセルの第1サブセットに当たる光のパターンが、特定の工具の態様(工具の歯のエッジなど)の存在を検出するために分析され得る。分析ユニットは、ピクセルの第1サブセットを形成するデータよりも多くのデータを撮像センサから読み取り得ることが留意されるべきである(例えば、いくつかの追加のピクセル強度値が、撮像センサから読み取られ、それから、その後の分析を簡素化するために破棄され得る)。
【0014】
好ましくは、第1サブセットを形成するピクセルによって測定された光の強度は、合成された光の強度を提供するために組み合わされる。各ピクセルによって収集された、測定された光の強度値の組み合わせ(例えば加算)は、分析ユニットによって実行され得る。あるいは、そのような機能は、撮像センサ自体によって実行され得る。分析ユニットは、便利には、合成された光強度を、しきい値と比較する。次に、合成された光の強度がしきい値を超えるとき、分析ユニットによってトリガー信号が発出される。しきい値は、送信機から受信機へ通過する光を遮る物体がない場合に(例えば、いわゆる「ビームクリア」の合成強度レベルを参照することによって)、ピクセルの第1サブセットによって測定される、ビーム強度のある割合(例えば、パーセンテージ)として定義され得る。例えば、合成された光の強度が比較されるしきい値は、「ビームクリア」での合成された強度レベルの特定のパーセンテージ(例えば、50%)として定義され得る。装置を使用して実施される測定プロセスは、工具が、ビーム内に移動させられること(いわゆる「明暗」測定)、または、ビームから移動させられる(いわゆる「暗明」測定)を含み得ることが留意されるべきである。このように、トリガー信号は、しきい値が、いずれか、または、両方の方向から超えられたときに発出され得る。
【0015】
上述の合成された光の強度の使用の代わりに、またはそれに加えて、分析ユニットは、ピクセルの第1サブセットによって生成された画像または光パターンを分析して、物体が受信光を遮っているときを識別する。したがって、分析ユニットは、便利には、ピクセルの第1サブセットによって測定された光の強度で、エッジ検出分析を実行し、工具エッジが検出されたときにトリガー信号を生成し得る。例えば、ピクセルの第1サブセットを使用して取得された画像に存在する工具エッジ(例えば、明から暗への遷移)が、識別され得る。ピクセルの第1サブセット内の特定の位置でエッジが識別されると、トリガー信号が発出され得る。エッジ検出分析は、ピクセルの第1サブセットを使用して取得された画像内の、任意の明から暗(または暗から明)への遷移を決定することを含み得る。このことは、行ごと、および/または、列ごとに実行され得、受信機の撮像センサに投影される影のエッジから工具のエッジを識別する。画像内で識別された任意のそのような遷移は、エッジ位置を確証するために、関数(例えば、直線)に適合させられ得る。任意のそのような画像分析は、実行するのに簡単かつ迅速であり、必要なレートでそれが着手されることを可能にする。
【0016】
ピクセルの第1サブセットを形成するピクセルは、ピクセルの1つ以上のグループを含み得る。ピクセルの第1サブセットがピクセルの複数のグループを含む場合、そのようなピクセルのグループは、撮像センサ上の異なる位置に配置され得る。例えば、ピクセルのグループは、撮像センサのコーナーまたはエッジの近くに配置され得る。ピクセルの第1サブセットを形成するピクセルは、すべて、撮像センサ上で一緒にグループ化され得る。言い換えれば、ピクセルの第1サブセットは、複数の隣接する(すなわち、直接隣接する)ピクセルを含み得る。ピクセルの第1サブセットは、任意の適切な形状に形成され得る。例えば、ピクセルの第1サブセットは、正方形または長方形のサブアレイを形成し得る。ピクセルの第1サブセットは、線形アレイを形成し得る(例えば、ピクセルの第1サブセットは、ピクセルのラインまたは平行ラインを含み得る)。ピクセルの第1サブセットは、ピクセルの交差する行と列を形成し得る(例えば、ピクセルの十字形パターンを形成する)。ピクセルの第1サブセットは、撮像アレイの寸法よりも短い距離を延び得る(すなわち、それらは、撮像センサ全体を横切る距離よりも短い距離を延び得る)。ピクセルの第1サブセットによって形成された形状は、使用中に変更され得(例えば、さまざまな工具または工具態様が測定されることを可能にするため)、または撮像センサの工具エッジの動きを追跡するために変更され得る。
【0017】
ピクセルの第1サブセットは、撮像センサのどこにでも配置され得る。有利には、ピクセルの第1サブセットは、撮像センサのピクセルのアレイの実質的に中心近く、または、中心に配置され得る。ピクセルの第1サブセットの位置は調整可能である。例えば、ピクセルの第1サブセットの位置は、工具の位置合わせや較正目的のために、ユーザーによって調整され得る。このようにして、工具ベッドに対する装置の位置を物理的に調整することの代わりに、ピクセルの第1サブセットの位置が、トリガー位置を調整するために変更され得る。ピクセルの第1サブセットの位置は、本装置のトリガー位置を、別の工具設定装置(例えば、接触または非接触工具設定具)のトリガー位置に合わせるように調整され得る。このことは、例えば、マルチ工具(例えば、デュアルスピンドル)工作機械に設置された、複数の工具設定装置のオフセットアライメントを提供するために使用され得る。ピクセルの第1サブセットの位置は、分析ユニットによって、使用中に調整され得る。例えば、ピクセルの第1サブセットの位置は、撮像センサ上でシフトさせられ、撮像センサを横切って移動する工具のエッジを追跡し得る。分析ユニットは、工具エッジが撮像センサの特定の位置に到達すると、トリガー信号を発出し得る。
【0018】
装置は、非回転工具を測定するように構成され得る(すなわち、測定中の工具の唯一の動きが、光ビームへのまたは光ビームからの工具の移動であるように)。装置は、(例えば、関連する工作機械のスピンドルによって)回転させられている工具を測定するように構成され得る。便利には、測定される工具は、受信機に対して移動させられながら、その長手方向軸を中心に回転させられる。測定される工具は、1つ以上の切削歯を含み得る。有利には、測定される工具は、複数の切削歯を含む。
【0019】
有利には、分析ユニットは、回転工具の時間の関数として(すなわち、それが、光を部分的に遮っている)、光の強度(すなわち、ピクセルの第1サブセットによって受信される)の変化を分析するように構成される。そのような分析は、好ましくは、工具の回転速度を測定するために使用される。ピクセルの第1サブセットのみからの強度情報を使用する場合に可能である高フレームレートは、工具の回転速度のそのような分析を可能にする。特許文献6に記載されているように、受信光の強度の最大値および/または最小値の分析が、また、実行され得る。この装置は、また、我々の同時係属中の国際特許出願No.PCT/GB2018/052472(特許文献7)に記載された、工具プロフィール分析技術を実施するために使用され得る。
【0020】
有利には、分析ユニットは、また、撮像センサを使用して、工具の1つまたは複数の画像をとらえるように構成される。言い換えれば、この装置は、従来の工具視覚システムとして使用され得る。これは、好ましくは、ピクセルの第1のサブセットのみから強度を測定するのとは異なる時間に行われる。例えば、トリガー条件が満たされた(およびトリガー信号が生成された)後、工具の画像がとらえられ得る。工具の1つまたは複数の画像は、便利には、撮像センサの複数のピクセルのすべてを使用して取得される。有利には、工具の1つまたは複数の画像は、撮像センサの複数のピクセルの第2サブセットを使用して取得される。ピクセルの第2サブセットは、好ましくは、ピクセルの第1サブセットとは異なる。ピクセルの第2サブセットは、好ましくは、ピクセルの第1サブセットよりも多い(例えば、はるかに多い)ピクセルを含む。例えば、ピクセルの第2サブセットは、撮像センサのピクセルの少なくとも10パーセントを含み得る。好ましくは、ピクセルの第2サブセットは、撮像センサのピクセルの少なくとも4分の1を含み得る。工具画像をとらえるために使用されるピクセルの第2サブセットは、撮像される工具の一つの態様または複数の態様をカバーする、撮像領域を形成するように選択され得る。例えば、切削工具の周辺または主要な態様が、画像化され得る。以下に説明される一実施形態において、第2サブセットは、1000×1000ピクセルアレイ内の100×1000ピクセルのサブアレイを含み得る。
【0021】
工具の画像は、測定プロセス中の任意の都合の良いときに、ピクセルの第2サブセットを使用してとらえられ得る。有利には、分析ユニットは、測定される工具のエッジが少なくとも部分的に光を遮っている(すなわち、それが、光ビーム内に位置する)ことを示すトリガー信号が、分析ユニットによって生成された後、1つ以上の画像(すなわち工具の)をとらえる。このようにして、分析ユニットは、便利には、トリガー条件が満たされ(例えば、強度しきい値が超えられる)、トリガー信号が発出されるまで、ピクセルの第1サブセットによって、受信される光の強度を分析する。次に、分析ユニットは、撮像センサのピクセルの第2サブセットまたはすべてのピクセルを使用して、工具の1つ以上の画像をとらえる。画像取得後、分析ユニットは、便利には、ピクセルの第1サブセットによって受信された光の強度を監視することに戻り得る。
【0022】
上記で説明されたように、分析ユニットは、工具の回転速度を測定し得る。工具の回転速度が知られると、特定の工具態様が、撮像センサによって撮像され得るように、特定の工具態様が、いつ方向づけられるであろうかを予測することが可能である。したがって、工具の回転情報は、画像収集の時間を見計らい、また、画像収集を同期させるために使用され得、刃先などの任意の所望の工具態様の画像が取得され得る。したがって、分析ユニット(すなわち、ピクセルの2番目のサブセットを使用する)によって、とらえられた1つまたは複数の画像は、好ましくは、測定された(つまり既知の)工具回転速度と同期させられ、回転工具が1つ以上の画定された位置に回転させられたとき、回転工具の画像が取得されることを可能にする。このことは、そのほとんどが、画像解析中に破棄される、多くのそのような画像を撮影する必要なく、工具態様(例えば、刃先)の画像がとらえられることを可能にする。
【0023】
送信機は光源を含み得る。光源は拡散光源であり得る。光源は、集束光源であり得る。光源は、平行光源または実質的に平行光源であり得る。光源は、光ビームを生成し得る。有利には、送信機は、光ビームを生成するための発光ダイオード(LED)を含む。LEDは、高輝度LEDであり得る。あるいは、レーザーが使用され得る。送信機は、また、実質的に平行にされた光ビームを提供するための光学系を含み得る。あるいは、送信機は、集束光ビームを提供するための光学系を含み得る。光ビームは、実質的に円形のプロファイルを有し得る。送信機から発せられる光は、撮像センサ全体をカバーするように寸法設定され得る。例えば、1mm以上のビーム直径を有する光ビームが提供され得る。好ましくは、3mm以上のビーム直径を有する光ビームが提供される。便利には、10mm以上のビーム直径を有する光ビームが提供される。より好ましくは、20mm以上のビーム直径を有する光ビームが提供され得る。送信機は、工具を背面から(受信機の視点から)照らすが、前面から(再び受信機の視点から)工具を照らす、追加の光源(LEDなど)を提供することが、また、可能である。そのような工具の正面照明は、いくつかの例で望まれ得る(例えば、目視検査のために工具画像を取得する場合)。
【0024】
撮像センサは、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)素子を含み得る。撮像センサは、グローバルシャッター撮像センサであり得る。代替的に、ローリングシャッター撮像センサが提供され得る。有利には、撮像センサは、撮像センサのピクセルによって測定された強度が、アクセスされる(例えば、分析ユニットによって)ことを可能にする、データバスを含む。
【0025】
分析ユニットは、受信機と同じハウジングに収納され得、また、別のインターフェースに設置され得る。受信機および分析ユニットのさまざまな機能は、複数の場所に分散させられ得る(例えば、工具設定ハウジングまたは関連するインターフェース、コントローラーなどに配置される、プロセッサーまたは特注回路を使用して)。したがって、本発明は、様々な光受信および分析コンポーネントの特定の物理的構成に限定されると見なされるべきではない。工具設定装置は、任意の適切な座標位置決め装置と共に使用され得る。有利には、座標位置決め装置は、工作機械(例えば、コンピュータ数値制御またはCNC工作機械)である。あるいは、座標位置決め装置は、座標測定機(CMM)、フレキシブルゲージ(英国、Wotton-Under-EdgeのRenishaw plcによって販売される、「Equatorシステム」など)、または、オフライン工具検査装置などである。分析ユニットによって生成されたトリガー信号は、好ましくは、計測目的のために、座標位置決め装置によって使用可能である。
【0026】
本発明の第2の態様によれば、非接触工具測定の方法が提供され、方法は、送信機から受信機に光を通過させること、物体が少なくとも部分的に光を遮るときにトリガー信号を生成することを含み、受信機が、二次元アレイに配置された複数のピクセルを有する撮像センサを含み、方法は、複数のピクセルの第1サブセットによって測定された光の強度を分析することによってトリガー信号を生成するステップを含み、ピクセルの第1サブセットは、2つ以上のピクセルを含むことを特徴とする。方法は、上記の装置の態様または使用のいずれかを用いて実行され得る。方法は、また、トリガー信号を使用して、工具の寸法(例えば、工具の長さ、直径など)を測定することを含み得る。例えば、トリガー信号は、座標位置決め装置の関連する数値制御装置に渡され得る。
【0027】
本明細書においては、また、非接触工具設定装置が説明され、非接触工具設定装置は、光ビームを放射する送信機、光ビームを受信する受信機、および、受信機によって受信された光の強度が強度しきい値を超えるときにトリガー信号を生成するトリガーユニットを含み、受信機は、複数の検知素子を有する光検出器を含み、トリガーユニットは、複数の検知素子によって検知された光の合成された強度が、強度しきい値を超えるとき、トリガー信号を生成する。複数の検知素子は、撮像センサのピクセルのサブセットであり得る。
【0028】
本明細書においては、また、光を発する送信機と、送信機によって発せられた光を受信する受信機とを含む、非接触工具設定装置が説明される。分析ユニットが、受信機によって受信された光を分析し、そこからトリガー信号を生成するために設けられ得る。受信機は、撮像センサを含み得る。撮像センサは、2次元(2D)アレイに配置された複数のピクセルを有し得る。分析ユニットは、複数のピクセルの第1サブセットによって測定された光の強度を分析することにより、トリガー信号を生成し得る。ピクセルの第1サブセットは、単一のピクセルを含み得る。ピクセルの第1サブセット(すなわち、複数のピクセルの第1サブセット)は、好ましくは、少なくとも2つのピクセル(すなわち、複数のピクセル)を含む。第1サブセットを形成する少なくとも2つのピクセルは、すべて互いに隣接(すなわち、直接隣接)し得る。あるいは、少なくとも2つのピクセルは、第1サブセットの一部を形成しないピクセルによって分離され得る。装置は、単独で、または、他の態様との任意の組み合わせで、本明細書で説明される他の態様のいずれかを含み得る。
【0029】
ここで、添付の図面を参照して、例示のみを目的として本発明が説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の非接触工具設定装置を示す図である。
【
図2】工具検出に使用される撮像センサおよびそのセンサのピクセルの第1サブセットを示す図である。
【
図3】回転工具のエッジが光ビーム内で回転させられるときに収集されるビーム強度を示す図である。
【
図4】1つ以上の工具画像をとらえるために使用されるセンサの、ピクセルの第2サブセットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、工作機械のベッド4に取り付けられた、本発明の工具設定装置2が示される。工具設定装置2は、実質的に平行にされた光ビーム12を生成するための送信機10を含む。送信機10は、光源(例えば、LED)を含み、適切な光学系(図示せず)が、また、平行にされた光ビーム12を生成するために提供される。また、光ビーム12を受信するための受信機14が示される。以下により詳細に説明されるように、受信機14は、1000×1000ピクセルのアレイ(すなわち、1メガピクセルアレイ)を含む、撮像センサを含む。受信機14は、また、工具を撮像センサ60上に撮像する光学系(図示せず)を含む。光ビーム12は、撮像センサのすべてのピクセルを実質的に照らすように寸法決めされる。受信機14の撮像センサ60(
図2に示される)は、撮像センサ60によって収集される強度データを分析する、分析ユニット16(例えば、プロセッサを含む)に、電子的に接続される。
【0032】
送信機10と受信機14は、両方とも、柱体18により共通ベース20に固定される。この配置は、送信機10と受信機14が、互いに対して、一定の間隔と向きを維持することを保証する。さらに、ベース20は、工作機械のベッド4、または、実際には任意の適切な部分に、直接取り付けられ得る。また、送信機と受信機を取り付けるためのさまざまな代替構造が使用され得ることが留意されるべきである。例えば、送信機と受信機のための共通のハウジングが提供され得、また、別個の送信機、受信機ユニットが、工作機械に別々に取り付けられ得る。
【0033】
工作機械は、工具32を保持するためのスピンドル30を含む。スピンドルは、回転軸Rを中心に回転可能である(つまり、工具が、その長手方向軸を中心に回転することを可能にするために)。スピンドル30は、数値制御装置またはNC34の制御装置の下で、工作機械内で回転および移動させられる。また、工具設定装置2は、インターフェース36を介してNC34に接続される。インターフェース36は、電気ケーブル17を介して、送信機10および分析ユニット16に接続される。インターフェース36は、また、工具設定装置の様々な部分に電力を提供する。さらに、インターフェース36は、外部コンピュータ40に接続される。使用中、工作機械は(NC34の制御下で)、工具32を、光ビーム12に出入りさせ得、それにより、工具が測定されることを可能にする。例えば、工具の長さまたは直径が測定され得、そのような測定された寸法は、工作機械によって実行される後続の切断作業で使用される。
【0034】
図2をさらに参照すると、工具設定装置2の操作が、より詳細に説明されるだろう。上述のように、受信機14は、ピクセル要素の1000×1000アレイを有する、撮像センサ60を含む。これらのピクセル要素のそれぞれは、受信光の強度を検出することができ、すべてのピクセルからの受信光強度が、撮像センサ60から読み出され得る。しかしながら、100万ピクセルからの強度データの読み取りは、撮像センサのバス速度が約50MHzであっても、約50Hzのレートでのみ実行され得る。比較のために、典型的な従来技術のレーザーベースの工具設定具は、20KHz以上のレートで、単一のフォトダイオードから、ビーム強度を読み取るだろう。ビームの特定の割合(例えば、50%)が、ビームを通過する工具によってブロックされたときに、トリガー信号が生成されるべきである場合、ビーム強度が測定されるレートは、工具移動の所定の速度に対して可能である、位置測定の精度を決定する。したがって、ビーム強度測定のレートを20KHzから50Hzに下げることは、測定精度を大幅に低下させることか、または、工具が、より遅い速度で移動させられる必要があることを意味することが、理解され得るだろう。
【0035】
したがって、工具設定装置2は、撮像センサ60のピクセルの非常に小さいサブセット62のみからビーム強度情報を抽出するために、分析ユニット16を使用する。本実施例では、撮像センサ60の百万個のピクセルのうちの16個のピクセルのみのサブセット62によって受信される光強度が、分析ユニット16に渡され、これらの16個のピクセルは、
図2に差し込み
図64で提供される撮像センサ60の拡大図における、固体ブロック66として示される。このようにして、100KHzまでの速度で強度データ(すなわち、ピクセルのサブセットの16個のピクセルに対する)を抽出できることが見出された。
【0036】
次に、分析ユニット16は、撮像センサのピクセルのサブセット62のそれぞれによって測定された強度値を組み合わせて(すなわち合計して)、合成されたビーム強度値を生成する。分析ユニット16は、また、合成されたビーム強度値を、しきい値と比較する。特に、「ビームクリア」強度値は、物体が光ビーム12内に位置していない場合に生じる、合成されたビーム強度値に等しくなるように設定される。次いで、分析ユニット16は、得られたビーム強度値を、ビームクリア強度値と比較し、特定の強度しきい値が超えられるときに、トリガー信号を発出し得る。例えば、合成されたビーム強度値が、ビームクリア強度値の半分に等しいしきい値を超えると、トリガー信号が発出され得る。次いで、このトリガー信号は、インターフェース36を介してNC34に通信され得る。
【0037】
したがって、工具設定装置2は、単一要素フォトダイオードを含むレーザーベースの工具設定器の操作をエミュレートできる。合成されたビーム強度値を生成するための20KHzのフレームレートは、測定が、従来の工具設定システムと同様の精度を有することを意味する。また、このことは、工具設定装置2が、装置で使用される測定ルーチンを変更する必要なく、既存のレーザーベースの工具設定器に取って代わることを可能にする。換言すると、既存のレーザーベースの工具設定具との後位互換性が提供され得る。しかしながら、工具設定装置2は、以下で説明するように、追加の測定機能を提供し得る。
【0038】
図3を参照すると、2歯の切削工具の周辺が、光ビーム内で回転させられる間、合成されたビーム強度値(RBI)が、時間の関数としてプロットされる。最小値70は、光ビームの一部を遮る第1の歯に対応し、最小値72は、光ビームの一部を遮る第2の工具に対応する。最小値70および72は、工具32の(実質的に)一定の回転速度に関係する、時間Tにより、他の類似する最小値から離れて配置される。合成されたビーム強度信号を取得するために使用される20KHzフレームレートは、各強度最小値70または72が生ずる時間が、正確に測定され得ることを意味する。このことは、工具の特定の歯が、光ビーム12を遮るように位置づけられようとしているときを予測することが、また、可能であることを意味する。このタイミング情報は、次いで、工具が特定の回転位置にあるときに、工具の完全な画像(つまり、撮像センサのすべてまたは多くのピクセルを使用して取得された画像)がとらえられることを可能にするために使用され得る。特に、このことは、それらの歯が撮像センサ60に対して適切に方向付けられているときに、工具の2つの歯のそれぞれの画像が収集されることを可能にする。光源10によって提供されるバックライトが不十分である場合、追加の光源11が、また、工具の前面(すなわち、カメラに面する工具の側面)を照明するために、設けられ得る。
【0039】
したがって、分析ユニット16は、上述の工具エッジ検出モード(すなわち、「レーザーエミュレーション」モード)または撮像モードの両方で動作するように構成され得る。さらに、工具エッジ検出モードは、後に撮像モードで使用されるタイミング情報を取得するために使用され得、所望の工具態様の画像がとらえられることを可能にする。このようにして、従来のビデオ工具設定具を使用して工具の多くの画像を収集し(例えば、回転の2度ごとに分離された)、目的の画像を識別する場合の、要件が除去される。代わりに、取得されたタイミング情報は、必要とされる画像のみがとらえられることを可能にする。したがって、ビデオベースの工具分析を実行するために必要な時間が、また、短縮され得る。
【0040】
分析ユニット16は、また、従来のレーザーベースの工具設定具の動作と同じようになる方法で、工具エッジ検出と画像キャプチャの両方が、連続して実行されることを可能にする。特に、分析ユニット16が、工具エッジ検出モードで作動している間に、工具32の端部は、光ビーム12に向かって移動させられ得る。工具32が、光ビームに入り、ピクセルのサブセット62に到達する光の50%を遮ると、トリガー信号がNC34に発出される。NC34は、トリガー信号が受信された瞬間にスピンドルの位置を記録し(すなわち、工具のエッジの位置が決定されることを可能にするため)、また、工具の直線運動を停止させる。分析ユニット16は、合成されたビーム強度を監視し続けて、(光ビーム内でまだ回転している)工具32について、タイミング情報が見出されることを可能にする。次に、分析ユニット16は、撮像モードに切り替わり、工具の切削歯の画像を取得する。タイミング情報の収集と画像の取得は、非常に短い時間で、次の測定または切削操作のために工具が光ビームから外される前に、行われ得る。工具エッジ位置情報は、NC34によって使用され得(例えば、工具テーブルに保存された工具直径または工具長さの値を設定または検証するために)、および/または、収集された画像は、追加の画像処理のために(例えば、NC34に渡され得るより多くの工具情報を取得するため)、または、単に工具切削歯の画像がオペレータに表示されたり、後で分析するために保存されたりすることを可能にするために、コンピュータ40に渡され得る。
【0041】
図4を参照すると、工具の画像をとらえることに関連する時間(すなわち、上述の撮像モードの間)は、さらに短縮され得る。
図4は、1000×1000ピクセルのアレイを有する撮像センサ60を示す。工具画像は、
図4に示される領域90によって示される、アレイのピクセルのサブセットのみを使用して取得され得る。ピクセルからの強度信号が抽出されるアレイの領域90(この例では、約300×900ピクセル)は、検査の対象とされる工具エッジが位置づけられると予想される領域をカバーし得る。領域90は、測定される工具の態様に基づいて可変であり得る。画像をとらえる場合の、そのような(第2の)ピクセルサブセットの使用は、画像キャプチャ速度を向上させ得、画像を収集するのに必要な測定時間を短縮させる。
【0042】
本発明は、様々な市販の撮像センサを使用して実施され得るが、適切な撮像センサの一例は、米国アリゾナ州フェニックスに本社を置く、オン・セミコンダクター社によって製造される、LUPA300 CMOS撮像センサである。この撮像センサは、640×480アレイで提供される307200ピクセルを含む。ピクセルの第1サブセットは12×12サブアレイとして定義されており、このサブアレイは、50KHzの速度で読み出されている。もちろん、他の撮像センサを使用することが可能であるだろう。
【0043】
当業者は、上記実施形態の変形が可能であることを理解するであろう。例えば、方法は、工作機械だけでなく、任意の座標位置決め装置(例えば、CMM、ロボット、オフライン工具検査システムなど)に取り付けられた、非接触工具設定装置を使用して実行され得る。上記の例は、また、分析ユニット、送信機、受信機、インターフェースなどの特定の配置を示す。当業者は、上記の様々なコンポーネントによって提供される機能が、システムの任意の適切な部分に配置され得ることを理解するであろう。例えば、分析ユニットは、1つの場所にある、または、複数の場所に分散させられた、単一のプロセッサユニットであり得る。分析ユニットは、また、撮像センサと統合され得、また、インターフェースに、または、装置が取り付けられた工作機械の一部として、設けられ得る。上記を読んだ後、当業者は、可能であるであろう、さまざまな異なる配置に気付くであろう。