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特許7524062ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター治療に準拠したモニタリングのための製品および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ヌクレオシド逆転写酵素インヒビター治療に準拠したモニタリングのための製品および方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/44 20060101AFI20240722BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240722BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240722BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20240722BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240722BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240722BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240722BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20240722BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20240722BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
C07K16/44 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/85 Z
C12N15/86 Z
C12N5/10
G01N33/543 551D
G01N33/53 Z
G01N33/543 521
C12M1/34 F
C12P21/08
C12N15/13
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020542052
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018055961
(87)【国際公開番号】W WO2019075487
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】62/572,126
(32)【優先日】2017-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505069096
【氏名又は名称】オーラシュア テクノロジーズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ダートリッジ,ギフィン
(72)【発明者】
【氏名】カードス,キース
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/018747(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/103740(WO,A2)
【文献】国際公開第2017/147186(WO,A1)
【文献】Helen Koeing et al,Urine Assay for Tenofovir to Monitor Adherence in Real Time to TDF/FTC as PrEP,HIV Med.,2017年,18 (6),412-418
【文献】Ondrej Baszczyn ski et al,Synthesis and antiviral activity of N9-[3-fluoro-2-(phosphonomethoxy)propyl] analogues derived from N6-substituted adenines and 2,6-diaminopurines,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2011年,19,2114-2124
【文献】Zdenek Zidek et al,Immunobiological activity of N-[2-(phosphonomethoxy)alkyl] derivatives of N6-substituted adenines, and 2,6-diaminopurines,European Journal of Pharmacology,2003年,475,149-159
【文献】Moolchand Kurmi, et al,Stability behaviour of antiretroviral drugs and their combinations. 3:Characterization of interaction products of emtricitabine andtenofovir disoproxil fumarate by mass spectrometry,Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis,2016年,128,438-446
【文献】SID 341716721,PubChem,2017年09月13日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12M 1/00- 3/10
C12P 21/08
C07K 16/00-16/46
G01N 33/543
G01N 33/53
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を含む、テノホビルに特異的に結合する抗体であって、ここで抗体が、以下:
配列番号11の0~10残基に対応し、配列番号17に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L1;
配列番号11の26~32残基に対応し、配列番号25に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L2;
配列番号11の65~77残基に対応し、配列番号33に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L3;
配列番号12の1~9残基に対応し、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H1;
配列番号12の24~37残基に対応し、配列番号26に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H2;および
配列番号12の70~78残基に対応し、配列番号34に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H3;
を含む、前記抗体。
【請求項2】
免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を含む、テノホビルに特異的に結合する抗体であって、ここで抗体が、以下:
配列番号13の0~12残基に対応し、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L1;
配列番号13の28~34残基に対応し、配列番号27に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L2;
配列番号13の67~79残基に対応し、配列番号35に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L3;
配列番号14の1~9残基に対応し、配列番号20に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H1;
配列番号14の24~37残基に対応し、配列番号28に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H2;および
配列番号14の70~78残基に対応し、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H3;
を含む、前記抗体。
【請求項3】
免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を含む、テノホビルに特異的に結合する抗体であって、ここで抗体が、以下:
配列番号15の0~10残基に対応し、配列番号21に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L1;
配列番号15の26~32残基に対応し、配列番号29に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L2;
配列番号15の65~78残基に対応し、配列番号37に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L3;
配列番号16の1~9残基に対応し、配列番号22に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H1;
配列番号16の24~40残基に対応し、配列番号30に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H2;および
配列番号16の71~79残基に対応し、配列番号38に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H3;
を含む、前記抗体。
【請求項4】
免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を含む、テノホビルに特異的に結合する抗体であって、ここで抗体が、以下:
配列番号41の24~39残基に対応し、配列番号23に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L1;
配列番号41の55~61残基に対応し、配列番号31に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L2;
配列番号41の94~102残基に対応し、配列番号39に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-L3;
配列番号42の26~32残基に対応し、配列番号24に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H1;
配列番号42の52~59残基に対応し、配列番号32に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H2;および
配列番号42の101~105残基に対応し、配列番号40に記載されるアミノ酸配列を含む、CDR-H3;
を含む、前記抗体。
【請求項5】
可変重鎖(VHC)および可変軽鎖(VLC)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体であって、
(a) 可変重鎖(VHC)が、配列番号12、14、16、または42のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を含み;および、
(b) 可変軽鎖(VLC)が、配列番号11、13、15、または41のいずれか1つで表されるアミノ酸配列を含む、前記抗体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体の免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖をコードし、クローニングベクター、発現ベクター、異種組み換えベクターおよびウイルスの組込み型ベクターからなる群から選択される、ベクター。
【請求項7】
請求項6に記載のベクターで形質転換された細胞であって、細胞が、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、ニワトリ、ヤギ、サル、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、およびヒトからなる群から選択される、前記細胞。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体を対象からの生物学的流体試料と接触させることを含む、対象の生物学的流体試料においてテノホビルを検出する方法。
【請求項9】
患者の流体試料においてテノホビルを検出するための側方流動アッセイを実施するための方法であって、患者は、NRTIを処方または投与されており、ここで、NRTIが、テノホビルまたはそのプロドラッグを含み、
以下:
(a)流体試料を試料パッドに適用すること;
(b)該試料を試料パッドに沿って側方に、カップリングされた標識パッドに流すこと;ここで該カップリングされた標識パッドは、検出可能な標識にカップリングされた第1試薬を含み、およびここでカップリングされた標識パッドの一部および試料パッドの一部は、第1界面を形成する;
(c)該試料をカップリングされた標識パッドに沿って側方に、膜に流すこと;ここで、膜の一部およびカップリングされた標識パッドの一部は、第2界面を形成し;およびここで、該膜は、膜に結合されて試験ラインを形成する少なくとも1の第2試薬を含む;
(d)第1試薬を第2試薬に結合して、試験ラインで第2試薬-第1試薬複合体を形成し、および検出可能な標識に試験ラインで検出可能なシグナルを形成させること、
(e)検出可能なシグナルの存在下では患者が処方された投薬量のスケジュールに従ってNRTIを服用していないとして決定すること;または検出可能なシグナルの不在下では患者が処方された投薬量のスケジュールに従ってNRTIを服用しているとして決定すること、を含み、および、
ここで、第1試薬または第2試薬が、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体であり、および
第1試薬が請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体である場合、第2試薬はテノホビルまたはテノホビルを含有する剤であり、および
第2試薬が請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体である場合、第1試薬はテノホビルまたはテノホビルを含有する剤である、前記方法。
【請求項10】
膜が、ニトロセルロースである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
膜が、試験ラインの下流または上流の膜に結合され、対照ラインを形成する第3試薬をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
第3試薬が、第1試薬に結合して対照ラインで検出可能なシグナルを生じさせ、ここで、対照ラインでの検出可能なシグナルの存在は、側方流動アッセイの適切な性能を示す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
RTIが、予防措置として処方される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
患者の流体試料においてテノホビルを検出するための側方流動アッセイを実施するためのデバイスであって、患者は、NRTIを処方または投与されており、ここで、NRTIが、テノホビルまたはそのプロドラッグを含み、
(a)流体試料を接触させるための試料パッド;
(b)カップリングされた標識パッド、ここで、カップリングされた標識パッドは検出可能な標識にカップリングされた第1試薬
を有し、カップリングされた標識パッドの一部および試料パッドの一部は第1界面を形成する;
(c)膜、ここで、膜の一部およびカップリングされた標識パッドの一部は第2界面を形成する;および
(d)膜に結合されて試験ラインを形成する少なくとも1の第2試薬、ここで、第1界面は、流体を試料パッドからカップリングされた標識パッドに流し、および検出可能な標識に接触させ、第2界面は、流体をカップリングされた標識パッドから膜に流し、および少なくとも1の膜に結合した第2試薬を接触させて第2試薬-第1試薬複合体を形成し、および検出可能な標識に試験ラインで検出可能なシグナルを形成させる、
ここで、検出可能なシグナルの存在は、患者が処方された投薬量のスケジュールに従ってNRTIを服用していないことを示し、およびここで、検出可能なシグナルの不在は、患者が処方された投薬量のスケジュールに従ってNRTIを服用していることを示す、
を含み、および、
ここで、第1試薬または第2試薬が、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体であり、および、
第1試薬が請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体である場合、第2試薬はテノホビルまたはテノホビルを含有する剤であり、および
第2試薬が請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体である場合、第1試薬はテノホビルまたはテノホビルを含有する剤である、
前記デバイス。
【請求項15】
膜が、ニトロセルロースである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
膜が、試験ラインの下流または上流の膜に結合され、対照ラインを形成する第3試薬をさらに含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
第3試薬が、第1試薬に結合して対照ラインで検出可能なシグナルを生じさせ、ここで、対照ラインでの検出可能なシグナルの存在は、側方流動アッセイの適切な性能を示す、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
RTIが、予防措置として処方される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項19】
以下:
(a)生体試料を受け入れるための試料収集容器;および
(b)生体試料をアッセイするための請求項14に記載のデバイス
を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
合衆国においてHIV感染について高リスクである人々は1.2百万人存在し、および世界的には幾千万人存在する。合衆国において、推定40,000人の人々がHIVと接触しており、および14,000人が次の年には死亡するであろう;世界中では2M人を超えて感染し、および1.2M人が死亡するであろう(1-4)。合衆国は、毎年約$250億をHIVのケアに費やしており、それはHIVの処置における改善が平均寿命を増加させるにつれて劇的に増加するだろう(5)。
【0002】
テノホビル(ビリアード(登録商標)、Gilead Sciences, Inc.、フォスターシティ、CA)およびエムトリシタビン(エムトリバ(登録商標)、Gilead Sciences, Inc.、フォスターシティ、CA)の組み合わせを用いた曝露前予防法(PrEP)は、効果的にHIVの感染を防止する。2010年における1つの臨床試験は、2,499人の「男性間性交渉者」(MSM)およびそのうちのPrEPを服用したものは、プラセボを服用したものと比較して、HIVの獲得において44%低減していたことを示した。その低減は、PrEPを毎日服用しているものにおいては99%であった(6,7)。PrEPは、血中で17時間の半減期を有しており、および十分な有効性には毎日の投薬を必要とする(8)。
【0003】
自己報告された準拠および薬局の補充データ単独では、実際のPrEPの準拠と十分に関連しない(9)。有色若年男性間性交渉者(yMSMc)においては、高い自己報告された準拠にかかわらず、PrEPの開始24週後において、検出可能な血漿テノホビルレベルの割合は20%にまで落ち込んだ(10)。同様の結果が、Fem-PrEP試験などの女性での試験においても見出された(11,12)。
血漿、乾燥血液スポット、または髪分析などの、PrEPの準拠をモニタリングするための試験は、患者にとって許容し得ないであろう侵襲的な収集手順を必要とし得、時宜にかなった介入の実行を防止する、報告の遅延を有し、および最近のPrEPの使用を反映しないであろう準拠の情報を提供する。
よって、同時に助言を提供し、準拠を改善するための来診の間に得られ得る、非侵襲的、無痛、定量的、低価格であり、および迅速に結果を提供する、PrEPの準拠をモニタリングするためのポイントオブケア(POC)試験について多大な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明は、一部において、PreP治療または臨床環境または他のPOCにおける抗レトロウイルス処置(ART)への準拠を迅速に試験するための新製品および方法の開発に依拠する。加えて、開示された製品および方法は、非準拠または耐性に起因してウイルス負荷を上げるか否かを決定するために、および/または薬物が実際にテノホビルを含有しているか否か(例として、偽物ではない)を決定するために、および/またはB型肝炎処置の準拠を試験するために使用され得る。方法は、免疫原として新しいテノホビル誘導体を使用するテノホビルに対して発生する新しい抗体の使用に関する。これらの抗体は、尿試料を包含する患者試料中のテノホビルの存在を検出する、側方流動免疫診断アッセイを包含する、免疫診断アッセイに用いられ得る。
【0005】
よって、一側面において、本発明は、テノホビルまたはテノホビル誘導体のテノホビル部分に特異的に結合する抗体を提供する。いくつかの態様において、抗体は、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を有する。いくつかの態様において、抗体は、単鎖の抗体、重鎖のみの抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab)フラグメント等である。
いくつかの態様において、軽鎖は、配列番号17、19、21、および30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1領域;配列番号25、27、29、および31からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2領域;および/または配列番号33、35、37、および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3領域を有する。
【0006】
いくつかの態様において、抗体は、配列番号11、13、15、または41で表される可変軽鎖アミノ酸配列を含む。
いくつかの態様において、重鎖は、配列番号18、20、22、および23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1領域;配列番号26、28、30、および31からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2領域;および/または配列番号34、36、38、および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む。
いくつかの態様において、抗体は、配列番号12、14、16、または42で表される可変重鎖アミノ酸配列を含む。
【0007】
さらなる開示されたものは、本明細書に開示の抗体のいずれか1以上を包含する抗体調製物である。いくつかの態様において、調製物は、モノクローナル抗体調製物である。
また提供されるものは、本明細書に開示の抗体のいずれかの重鎖または軽鎖をコードする単離された核酸分子である。いくつかの態様において、核酸は、クローニングベクター、発現ベクター、異種組み換えベクターおよびウイルス組込み型ベクターからなる群から選択される。
【0008】
加えて、開示されたものは、本明細書に提供される核酸のいずれかで形質転換された細胞である。いくつかの態様において、細胞は、哺乳動物の細胞である。哺乳動物の細胞のいくつかの非限定例は、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、ニワトリ、ヤギ、サル、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、またはヒト細胞を包含する。
別の側面において、本発明は、テノホビルまたはテノホビル誘導体に特異的に結合する抗体を産生するための免疫原および免疫原性調製物、または他のヌクレオシド逆転写酵素インヒビター(「NRTI」)またはNRTI誘導体を提供する。
いくつかの態様において、免疫原は、テノホビルまたはテノホビル誘導体に特異的に結合する抗体を産生するために有用である。いくつかの態様において、免疫原は、以下から選択される;
【化1】
またはその薬学的に許容し得る塩。
【0009】
いくつかの態様において、免疫原は、式(I);
【化2】
による構造を有する化合物またはその薬学的に許容し得る塩から選択され、式中:
、A、またはAの1つは、
【化3】
である;
、A、およびAの2つは、水素またはNHである;
Yは、結合、NR、O、またはSである;
Lは、C-C12アルキレン、C-Cシクロアルキレン、C-Cヘテロシクレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり、その各々は、=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-NR、または-C(O)Xから選択される1以上の置換基によって任意に置換され得る;
、R、R、およびRは、各々独立して水素、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、ここでC-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルの各々は、ハロゲン、=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-NR、または-C(O)Xから選択される1以上の置換基で任意に置換され得る;
、R、およびR11は、各々独立してC-Cアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、C-Cアルキル-P(O)(OH)、または-C(O)Xである;
、R、R、R10、R12、およびR13は、各々独立して水素、C-Cアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または-C(O)Xである;または
およびR、RおよびR10、およびR12およびR13は、それらが結合している原子と一緒に、独立して3~7員環を形成し、それはハロゲン、=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR11、-NR1213、または-C(O)Xから選択される1以上の置換基によって任意に置換され得る;および
、X、X、X、X、およびXは、各々独立して水素、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールである;
ここで任意の置換基の各々は、独立して=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-C-ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-NR10、および-C(O)Xから選択される1以上の置換基によってさらに置換され得る。
【0010】
いくつかの態様において、本発明は、以下を含む免疫原性組成物を提供する:リンカーを通じて(b)担体タンパク質に抱合された(a)先述のいずれかの化合物。
免疫原性組成物のある態様において、リンカーは、担体タンパク質上の活性残基(例として、システインまたはリシン)と化合物を共有結合的に結合する。
免疫原性組成物のある態様において、担体タンパク質は、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、ジフテリア毒素交差反応物質197(CRM197)、TTのフラグメントC、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、タンパク質D、外膜タンパク質(OMP)、およびニューモリシンからなる群から選択される。
【0011】
免疫原性組成物のある態様において、担体タンパク質は、KLHである。
免疫原性組成物のある態様において、担体タンパク質は、BSAである。
別の側面において、本発明は、先述の免疫原性組成物のいずれかに対して産生され、および先述の免疫原性組成物のいずれかに選択的に結合するモノクローナルおよびポリクローナル抗体を包含する抗体を産生するための方法を提供する。
【0012】
別の側面において、本発明は、対象からの生体試料中のNRTIまたはNRTIの代謝体(例として、テノホビルまたはテノホビル代謝体)の存在および/またはレベルを検出することによってNRTI治療(例として、テノホビルまたはテノホビル誘導体治療)への対象による準拠をモニタリングするための方法またはアッセイを提供する。いくつかの態様において、本発明は、患者からの流体試料中のNRTIまたはNRTI代謝体を検出するアッセイを実施するための方法を提供し、ここで患者は、NRTIを処方または投与されており、以下を含む:
(a)該流体試料を試料パッドへ適用すること;
(b)該試料を試料パッドに沿って側方に抱合標識パッドに流すこと;ここで該抱合標識パッドは、検出可能な標識に抱合された第1試薬を含み、およびここで抱合標識パッドの一部および試料パッドの一部は、第1界面を形成する;
(c)該試料を抱合標識パッドに沿って側方に膜に流すこと;ここで膜の一部および抱合標識パッドの一部は、第2界面を形成し;およびここで該膜は、膜に結合されて試験ラインを形成する少なくとも1の第2試薬を含む;
(d)第1試薬を第2試薬に結合して、試験ラインで第2試薬-第1試薬複合体を形成し、および検出可能な標識に試験ラインで検出可能なシグナルを形成させること、
(e)検出可能なシグナルの存在下で処置または予防レジメンに準拠していないとして患者を診断すること;または検出可能なシグナルの不在下で処置または予防レジメンに準拠しているとして患者を診断すること。
【0013】
別の側面において、本発明は、対象からの生体試料中のNRTIまたはNRTIの代謝体(例として、テノホビルまたはテノホビル代謝体)の存在および/またはレベルを検出することによってNRTI治療(例として、テノホビルまたはテノホビル誘導体治療)への患者による準拠をモニタリングするための診断システムおよび/またはデバイスを提供する。いくつかの態様において、本発明は、患者の流体試料中のNRTIまたはNRTI代謝体を検出するアッセイを実施することのためのデバイスを提供し、ここで患者は、NRTIを処方または投与されており、以下を含む:
(a)流体試料を接触させるための試料パッド;
(b)抱合標識パッド、ここで、抱合標識パッドは検出可能な標識に抱合された第1試薬を有し、抱合標識パッドの一部および試料パッドの一部は第1界面を形成する;
(c)膜を含むアッセイ、膜の一部および抱合標識パッドの一部は第2界面を形成する;および
(d)膜に結合されて試験ラインを形成する少なくとも1の第2試薬、ここで、第1界面は、流体を試料パッドから抱合標識パッドに流し、および検出可能な標識に接触させ、第2界面は、流体を抱合標識パッドから膜に流し、および少なくとも1の膜に結合した第2試薬を接触させて第2試薬-第1試薬複合体を形成し、および検出可能な標識に試験ラインで検出可能なシグナルを形成させる、
ここで、検出可能なシグナルの存在は、患者における処置または予防レジメンへの非準拠を示し、およびここで検出可能なシグナルの不在は、患者における処置または予防レジメンへの準拠を示す。
【0014】
いくつかの態様において、デバイスは、2以上の別々の試験ラインを有するだろう。例えば、デバイスは、異なるアナライト濃度でのアッセイのカットオフに対応する試験ラインを有していても良い。非限定例は、10ug/ml、1ug/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/mlを包含する。
方法またはデバイスのある態様において、検出可能なシグナルは、検出可能なシグナルの存在が患者における処置または予防レジメンへの準拠を示すことを提供するために調節される。
方法またはデバイスのある態様において、方法またはデバイスは、側方流動免疫アッセイなどの側方流動アッセイである。
【0015】
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、先述の化合物のいずれか、または同じものの抱合誘導体である。
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化4】
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化5】
【0016】
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化6】
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化7】
【0017】
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化8】
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化9】
【0018】
方法またはデバイスのある態様において、抱合誘導体は、HRP抱合誘導体である。
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、先述の抗体のいずれかである。ある態様において、第2試薬の抗体は、検出可能な標識に抱合されている。
方法またはデバイスのある態様において、第1試薬は、先述の抗体のいずれかである。ある態様において、第1試薬の抗体は、検出可能な標識に抱合されている。
【0019】
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、先述の化合物のいずれか、または同じものの抱合誘導体である。
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化10】
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化11】
【0020】
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化12】
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化13】
【0021】
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化14】
方法またはデバイスのある態様において、第2試薬は、以下の化合物の抱合誘導体である:
【化15】
【0022】
方法またはデバイスのある態様において、抱合誘導体は、HRP抱合誘導体である。
方法またはデバイスのある態様において、方法またはデバイスは、膜の下流に吸収パッドをさらに備える。
方法またはデバイスのある態様において、膜は、ニトロセルロースである。
ある態様において、デバイスは、ハウジングにおいて提供される。
ある態様において、ハウジングは、検出可能なシグナルを読み取るための開口部をさらに備える。
【0023】
方法またはデバイスのある態様において、抗体は、ポリクローナル抗体である。
方法またはデバイスのある態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの態様において、モノクローナル抗体は、本明細書に開示のモノクローナル抗体の1以上である。
方法またはデバイスのある態様において、代謝体は、TFVである。
【0024】
方法またはデバイスのある態様において、膜は、試験ライン下流または上流の膜に結合され、対照ラインを形成する第3試薬をさらに含む。
方法またはデバイスのある態様において、第3試薬は、第1試薬に結合して対照ラインで検出可能なシグナルを生じさせ、ここで、対照ラインでの検出可能なシグナルの存在は、側方流動アッセイの適切な性能を示す。いくつかの態様において、2以上の試験ラインを有するデバイスにおいて、対照ラインは、各試験ラインについて提供されてもよい。
【0025】
方法またはデバイスのある態様において、第3試薬は、抗HRP抗体である。
方法またはデバイスのある態様において、第3試薬は、抗ウサギIgG抗体である。
方法またはデバイスのある態様において、第3試薬は、抗マウスIgG抗体である。
ある態様において、第3試薬は、抗ヤギ、抗ラット、抗ヒツジ、抗ラマ、またはいずれか他の抗IgG抗体であり、ここでそのIgGは、ヒトIgGではない。
【0026】
方法またはデバイスのある態様において、方法またはデバイスは、ポイントオブケア試験である。
ある態様において、デバイスは、カートリッジである。
方法またはデバイスのある態様において、流体試料は、尿である。
【0027】
方法またはデバイスのある態様において、予防レジメンは、NRTIに対するPrEPである。
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TDF、FTC、およびTAF、またはその誘導体またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TAFである。
【0028】
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TDFである。
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、FTCである。
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TDF/FTCの組み合わせである。
【0029】
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TAF/FTCの組み合わせである。
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TAF/FTC/TAFの組み合わせである。
方法またはデバイスのある態様において、NRTIは、TAF、FTC、TAFおよびいずれか他のNRTIの組み合わせである。
【0030】
別の側面において、本発明は、以下を含むキットを提供する:
(a)生体試料を受け入れるための試料収集容器;および
(b)生体試料をアッセイするための本発明のデバイス。
ある態様において、キットは、使用説明書をさらに含む。
ある態様において、キットは、手持ちデバイスをさらに含む。
【0031】
いくつかの態様において、キットは、ストリップ上に試料を配置する手段を提供するためのスポイトをさらに含む。いくつかの態様において、ストリップは、ディップスティックとして役立つ。いくつかの態様において、ストリップは、プラスティックカセット中にあってもよい。
ある態様において、電子シグナルリーダーは、先述のデバイスのいずれかを受け入れ、および代謝体の存在または不在によって生じる反射率または分光光度的シグナルを測定または検出することに適合する。
ある態様において、リーダーは、反射率リーダーである。
ある態様において、生体試料は、尿である。
【0032】
本発明の他の目的、特色および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な記載および特定の例は、本発明の精神および範囲内の様々な変更および改変が本詳細な記載より当業者にとって明らかとなるであろうために、本発明の好ましい態様を示しているとはいえ、実例としてのみ与えられていると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面の簡単な記載
図1図1は、TDFおよび/またはTAFおよび/またはTFVを検出するために使用されるであろうPrEPおよびARTについてのPOCアッセイのための抗体を開発するために有用なテノホビル誘導体を示す。数ある中でも、側鎖T1~T6、塩基分子上で合成される(左)。
図2図2は、標的1またはT1を設計された、本発明のテノホビル誘導体の合成ルートを示す。
【0034】
図3図3は、抗TFV誘導体抱合体ポリクローナル抗体を使用する競合ELISAアッセイを描く。本アッセイにおいて、抗TFV誘導体抱合体ポリクローナル抗体「312」および「313」は、マイクロプレートにコートされ、およびTFV標準は、HRP-TFV抱合体と混合され、およびプレート上で抗体を自由に競合させた。溶液は、TMB基質を利用し、これに続き酸で反応を停止して検出された。吸光度は、450nmで測定され、および薬物濃度は、TFV標準曲線との比較における色強度によって決定された。抗体312および313は、許容し得る検量線が生じることを可能とし、およびほぼ1,000ng/mlのカットオフの分解能を可能とした。抗体313について、500~1,000ng/ml(CV=12.0%)の7.54の標準偏差の分離および1,000~2,000ng/ml(CV=4.4%)の6.28の標準偏差の分離があった。このことは、抗体312および313がテノホビルに対し充分な感度を有していることを指し示した。
【0035】
図4図4は、TAFを服用しているHIV+患者中の尿と血漿との間のTFV濃度の関係を示す(コホート1)。
図5図5は、1回のFTC/TDFの単回用量を与えられた対象の歴史的コホートと比較した、FTC/TAFの単回用量後の10人のHIV陰性対象中の尿/血漿TFV濃度を示す。
図6図6は、FTC/TAFの7回の連続的な用量に続く10人のHIV陰性対象中の尿TAF濃度を示す(コホート3)。
【0036】
以下の本発明の好ましい態様の詳細な記載は、添付の図面と併せて読み取る際に、よりよく理解されるであろう。本発明を例証することを目的として、目下好ましい態様が図面において示されている。しかしながら、本発明は、図面において示される態様の正確な配置および手段に限定されないことを理解されるべきである。
【0037】
詳細な記載
一般的な定義
本明細書において使用されるすべての科学的および技術的な用語は、以下で他に定義されない限り、本発明の属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することが意図される。いずれかの矛盾が生じるケースにおいては、定義を包含する、本明細書が、制御するであろう。本明細書において用いられる技法への参照は、当該技術分野において一般的に理解されるものとしての技法を指すことが意図される、それらの技法のバリエーションまたは同等物または当業者にとって明らかであるであろう後に開発される技法の置換を包含する。本発明である主題をより明確におよび簡潔に記載するために、以下の定義は、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるある用語について提供される。
【0038】
冠詞「a」および「an」は、冠詞の文法上の目的語の1または2以上を(すなわち、少なくとも1を)指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素または2以上の要素を意味する。
量、一時的な期間等といった測定可能な値を指す際の本明細書に使用されるとき「約」は、そのような変動が、本開示の方法を実施するための適切であるように、特定された値から±20%またはいくつかの例においては±10%、またはいくつかの例においては±5%、またはいくつかの例においては±1%、またはいくつかの例においては±0.1%の変動を網羅することを意味する。
【0039】
生物、組織、細胞またはその構成要素の文脈において使用される際、用語「正常でない」は、「正常」(と予期される)夫々の特徴を示すそれらの生物、組織、細胞またはその構成要素とは少なくとも1の観察可能であるかまたは検出可能である特徴(例として、年齢、処置、時刻、等々)において異なっているそれらの生物、組織、細胞またはその構成要素を指す。ある細胞または組織タイプについて正常であるかまたは正常であると予期される特徴は、異なる細胞または組織タイプについては正常でないであろう。
【0040】
本明細書に使用されるとき、用語「抗体」は、抗原(例として、代謝体、代謝体誘導体、または同抱合体)に特異的に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、天然の供給源または組み換え供給源に由来する無傷の免疫グロブリンであり得、および無傷の免疫グロブリンの免疫活性部分であり得る。抗体は、典型的には免疫グロブリン分子のテトラマーである。本発明における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabおよびF(ab)、ならびに単一鎖の抗体およびヒト化抗体を包含する、様々な形態において存在するであろう(Harlow et al., 1999, In: Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY;Harlow et al., 1989, In: Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York;Houston et al., 1988、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;Bird et al., 1988, Science 242:423-426)。
【0041】
一般に、無傷または完全長の抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)および第1、第2および第3定常領域(CH1、CH2およびCH3)を含有する。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)および定常領域(CL)を含有する。本明細書に使用されるとき、「抗体重鎖」は、それらの天然に存在する立体構造におけるすべての哺乳動物の抗体分子中に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうちより大きい方を指す。本明細書に使用されるとき、「抗体軽鎖」は、それらの天然に存在する立体構造におけるすべての哺乳動物の抗体分子中に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうちより小さい方を指す。κおよびλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖イソタイプを指す。
【0042】
その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、種々のクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つの主要なクラスがあり、およびこれらのうちの数個は、例として、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2のサブタイプ(イソタイプ)にさらに区分されるであろう。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、夫々アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、およびミューと呼ばれる。種々のクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元立体配置は、十分に知られている。本発明の目的のために、抗体はいずれかの具体的なクラスまたはいずれかの具体的な種の起源のものである必要はない。用語「抗体」は、本明細書に使用されるときには「合成抗体」を網羅する。
【0043】
本明細書に使用されるとき、用語「合成抗体」は、例えば、バクテリオファージによって発現される抗体などの組み換えDNA技術を使用して生成される抗体を意味する。用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成および利用可能であり、および当該技術分野において周知である合成DNAまたはアミノ酸配列技術を使用した抗体タンパク質を産生するための組み替えDNAの発現によって生成されているいずれかの抗体を意味すると解釈されるべきである。
【0044】
抗体(例として、抗TFV抗体などの抗NRTI誘導体抱合体抗体)に関して、本明細書に使用されるとき、用語「特異的に結合する」は、特定の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同誘導体または同抱合体)を認識する一方で、試料中の他の分子を実質的に認識または結合しない抗体を意味する。例えば、ある小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同誘導体または同抱合体)の特異的に結合する抗体は、別の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同誘導体または同抱合体)にもまた結合するであろう。しかし、そのような異種間の反応性は、それ自身特異性としての抗体の分類を変更しない。
【0045】
いくつかの場合において、用語「特異的に結合する(specific binding)」または「特異的に結合する(specifically binding)」は、抗体、タンパク質、またはペプチドと第2の化学種の相互作用に関して使用され得、相互作用は、化学種上の具体的な構造(例として、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存していることを意味する;例えば、抗体は、特定の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同誘導体または同抱合体)を認識するかまたは結合する。抗体が、代謝体(例として、NRTI)に特異的である場合に、次いで標識されたNRTI誘導体および抗体を含有する反応における代謝体(例として、NRTI)の存在は、抗体に結合された標識されたNRTI誘導体の量を低減させるであろう。
【0046】
本明細書において使用される用語としての、用語「アプリケーター」は、これらに限定されないが、対象に本発明の組成物を投与するための、皮下注射器、ピペット、イオン泳動デバイス、パッチ等を包含するいずれかのデバイスを意味する。
本明細書に使用されるとき、本発明の文脈における「代謝体」または「NRTI」は、限定せずに、分解産物、タンパク質-リガンド複合体、要素、関連する代謝体、および他の小分子とともにある小分子(例として、NRTIまたは本明細書に記載の化合物のいずれか、および同誘導体または同抱合体)または試料由来測定物を網羅する。
【0047】
用語「NRTIに関係した代謝体」および「NRTI」は、本明細書において互換的に使用される。したがって「NRTI」への言及は、「NRTI」に特異的に関連するいずれかの代謝体に関係しているものとして読み取るべきであると理解されるべきである。非限定例として、テノホビル(TFV)は、NRTIテノホビルジイソプロキシルフマラート(TDF)およびテノホビルアラフェナミド(TAF)に関係した活性代謝体である。
【0048】
用語「NRTI誘導体」または「NRTI類似体」は、式I、式II、および式IIIで表される化合物の誘導体を記載するために互換的に使用される。ある態様において、NRTI誘導体またはNRTI類似体は、「TFV誘導体」または「TFV類似体」である。ある態様において、NRTI誘導体またはNRTI類似体は、「TAF誘導体」または「TAF類似体」である。ある態様において、NRTI誘導体またはNRTI類似体は、「FTC誘導体」または「FTC類似体」である。ある態様において、NRTI誘導体またはNRTI類似体は、「TDF誘導体」または「TDF類似体」である。
【0049】
本明細書に使用されるとき、用語「テノホビル」および略語「TFV」は、以下の組成物を指す:
【化16】
本明細書に使用されるとき、用語「テノホビルジイソプロキシル」および略語「TD」は、以下の組成物を指す:
【化17】
【0050】
本明細書に使用されるとき、用語「テノホビルジイソプロキシルフマラート」および略語「TDF」は、以下の組成物を指す:
【化18】
本明細書に使用されるとき、用語「テノホビルアラフェナミド」および略語「TA」は、以下の組成物を指す:
【化19】
【0051】
本明細書に使用されるとき、用語「テノホビルアラフェナミドフマラート」および略語「TAF」は、以下の組成物を指す:
【化20】
本明細書に使用されるとき、用語「エムトリシタビン」および略語「FTC」は、以下の組成物を指す:
【化21】
【0052】
用語「NRTI誘導体抱合体」または「NRTI類似体抱合体」は、本明細書に記載の免疫原性組成物を生成するための担体タンパク質(KLH、BSA等々)に抱合されたNRTI誘導体を記載するために互換的に使用される。ある態様において、NRTI誘導体抱合体は、「TFV誘導体抱合体」である。ある態様において、NRTI誘導体抱合体は、「TAF誘導体抱合体」である。ある態様において、NRTI誘導体抱合体は、「TDF-誘導体抱合体」である。ある態様において、NRTI誘導体抱合体は、「FTC誘導体抱合体」である。ある態様において、「NRTI誘導体抱合体」は、本明細書に記載の免疫アッセイのいずれかにおける使用のためのHRPに抱合されたNRTI誘導体を含む、「HRP-NRTI誘導体」を記載する。
【0053】
用語「抗NRTI誘導体抱合体抗体」または「抗NRTI類似体抱合体抗体」は、NRTI誘導体抱合体に対して産生された抗体(例として、ポリクローナル、モノクローナル、等々)を指す。そのような「抗NRTI誘導体抱合体抗体」は、高い特異性をもってNRTI誘導体、および/または同抱合体に特異的に結合するであろう。ある態様において、「抗NRTI誘導体抱合体抗体」は、「抗TFV誘導体抱合体抗体」(または省略形式で「抗TFV抗体」)である。ある態様において、「抗NRTI誘導体抱合体抗体」は、「抗TAF誘導体抱合体抗体」(または省略形式で「抗TAF抗体」)である。ある態様において、「抗NRTI誘導体抱合体抗体」は、「抗TDF-誘導体抱合体抗体」(または省略形式で「抗TAF抗体」)である。ある態様において、「抗NRTI誘導体抱合体抗体」は、「抗FTC誘導体抱合体抗体」(または省略形式で「抗FTC抗体」)である。
【0054】
本明細書に使用されるとき、「バイオセンサー」は、試料中の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)の検出のための分析デバイスである。バイオセンサーは、特定の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)を認識または捕捉し得る認識要素、および検出可能なシグナル内に小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)の存在または不在を送る、トランスデューサーを含み得る。
【0055】
本明細書に使用されるとき、1以上の代謝体に関しての用語「データ」、または用語「代謝体データ」は、一般には、試料中の代謝体産物の絶対的および/または相対的な存在量(レベル)を反映するデータを指す。本明細書に使用されるとき、1以上の代謝体に関しての用語「データセット」は、対象の参照集団における代謝体のパネルの1以上の代謝体産物の各々のレベルを表すデータのセットを指す。データセットは、本発明の式/分類指標を生成するために使用され得る。一態様に従って、データセットは、参照集団の各個体についてのパネルの各代謝体産物のデータを含む必要はない。例えば、式に適用されるデータセットの文脈において使用される際には、「データセット」は、1以上の集団における各個体についての各代謝体のレベルを表しているデータを指し得るしかし理解されるであろうとおりに該1以上の集団の各々における99%、95%、90%、85%、80%、75%、70%またはそれより少ない個体についての各代謝体のレベルを表しているデータもまた指し得、および式に適用するという目的についてもさらに有用であり得る。
【0056】
用語「対照」または「参照標準」は、対照または参照標準が試料が比較され得る比較器として役立つであろうように本発明の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同抱合体または同誘導体)の1以上を全く含まないかまたは正常、低い、または高いレベルで含んでいる材料を記載する。
【0057】
本明細書に使用されるとき、用語「検出試薬」は、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか)または試料中で検出される他の標的分子に特異的に結合する親和性部分を含む剤を指す。検出試薬は、例えば、放射性同位体、蛍光標識、磁性標識、および酵素などの検出可能な部分、またはビオチンまたはジゴキシゲニンなどの化学的成分を包含しても良い。検出可能な部分は、検出可能な部分の標識された特異的結合パートナーの使用によって直接的、または間接的に検出され得る。代替的に、検出可能な部分の特異的パートナーは、検出可能な産物を産生する酵素系にカップリングし得る。
【0058】
本明細書に使用されるとき、「検出分子」は、目的の化合物を検出するために使用されるであろう分子である。検出分子の非限定例は、これらに限定されないが、抗体、コグネイト受容体、および小分子などの目的の化合物に特異的に結合する分子である。
「小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同抱合体または同誘導体)の濃度のレベルを決定すること」という句は、いずれかの小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同抱合体または同誘導体)の充分な部分を検出するために当業者が利用可能である技術を使用しての、試料中の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同抱合体または同誘導体)の量の査定を意味する。
【0059】
「疾患」は、動物の健康の状態であり、ここで動物はホメオスタシスを維持することができず、およびここで疾患が改善されない場合には、次いで動物の健康は悪化し続ける。
本明細書に使用されるとき、「免疫アッセイ」は、例えば小分子(例として、NRTI、本明細書に記載の化合物のいずれか、またはそれらの誘導体、抱合体、および類似体)へ抗体が特異的に結合するといった、そのコグネイトな抗原への抗体の反応を使用して、生体試料などの試料中の物質の存在または濃度を測定する生化学的試験を指す。小分子(例として、NRTI、本明細書に記載の化合物のいずれか、またはそれらの誘導体、抱合体、および類似体)の存在または存在する小分子(例として、NRTI、本明細書に記載の化合物のいずれか、またはそれらの誘導体、抱合体、および類似体)の量の両方が測定され得る。
【0060】
本明細書に使用されるとき、「指示材料」は、刊行物、記録、図表、または本明細書に開示の代謝体を検出するためのキット中の本発明の構成要素の有用性を伝えるために使用され得る表現のいずれか他の媒体を包含する。本発明のキットの指示材料は、例えば、本発明の構成要素を含有する容器に貼り付けられているかまたは構成要素を含有する容器と共に輸送され得る。代替的に、指示材料は、指示材料および構成要素がレシピエントによって協同的に使用されることを意図して、容器とは個別に輸送され得る。
【0061】
本明細書において使用される際に、用語「標識」は、「標識」プローブを生成するために、直接的または間接的にプローブに抱合されている、検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自身によって検出可能であってもよく(例として、放射性同位体標識または蛍光標識)、または酵素標識のケースにおいては、検出可能である基質化合物または組成物(例として、アビジン-ビオチン)の化学変化を触媒してもよい。いくつかの場合において、プライマーは、PCR産物を検出するために標識され得る。いくつかの態様において、標識は、HRPである。
【0062】
1以上の代謝体の「レベル」は、試料中の代謝体の絶対的または相対的な量または濃度を意味する。
「測定すること」または「測定」または代替的に「検出すること」または「検出」は、そのような物質の定性的または定量的な濃度レベルの由来を包含する、臨床または対象由来の試料内の所与の物質の存在、不在、分量または量(有効量であり得る)のいずれかを査定すること、またはそれ以外では対象の臨床パラメータの値またはカテゴリー化を評価することを意味する。
【0063】
本明細書に使用されるとき、用語「準拠をモニタリングすること」は、処方されたコースの処置を受ける患者のコンプライアンスを決定することを指す。準拠は、処方されたコースの処置の投薬量および頻度を包含する側面のコンプライアンスを網羅する。
用語「患者」、「対象」、「個体」等は、本明細書において互換的に使用され、およびin vitroかin situかにかかわらず、本明細書に記載の方法を受けることができるいずれかの動物、またはその細胞を指す。ある非限定的な態様において、患者、対象または個体は、ヒトである。
【0064】
「ポリペプチド」は、本明細書に使用されるときは、モノマーが、アミド結合を通して繋ぎ合わさっているアミノ酸残基であるポリマーを指す。アミノ酸がアルファ-アミノ酸である際には、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれかが使用され得、L-異性体であることが好ましい。用語「ポリペプチド」または「タンパク質」または「ペプチド」は、本明細書に使用されるときは、いずれかのアミノ酸配列を網羅することおよび修飾された配列を包含することが意図される。用語「ポリペプチド」または「タンパク質」または「ペプチド」は、天然に存在するタンパク質、ならびに組み換えまたは合成的に産生されたものにわたることが特に意図される。用語「ポリペプチド」または「タンパク質」が天然に存在する修飾された形態のタンパク質またはグリコシル化形態を包含することを留意されるべきである。
【0065】
本明細書に使用されるとき、用語「予後を提供すること」は、重症度、期間、回復の機会等々の予測を包含する、疾患、障害または状態の起こり得る推移および結果の予測を提供することを指す。方法はまた、例として、状態がまだ初期段階にあるか否かまたは状態が積極的な治療が有効でないであろう段階にまで進んでいるかどうかを示すことによって、好適な治療的計画を考案するために使用され得る。
代謝体の「参照レベル」は、薬物の治療レベルの指示するものである代謝体のレベルを意味する。
【0066】
本発明に従う、用語「リスク」は、目下HIVを有すると診断されていない特定の患者が、目下HIVを有すると診断されている個体からの体液にさらされるかまたはそれ以外ではHIVにさらされるであろう知見を含む。
本明細書に使用されるとき、「試料」、「標本」または「生体試料」は、個体から単離された生物学的材料を意味する。生体試料は、所望される代謝体を検出することについて好適ないずれかの生物学的材料を含有していてもよく、および個体から得られる細胞性および/または非細胞性材料を含んでいてもよい。
【0067】
本明細書に使用されるとき、用語「固体支持体」、「支持体」および「基質」は、互換的に使用され、および剛性または半剛性の表面(単数または複数)を有する材料または材料群を指す。一態様において、固体支持体の少なくとも1の表面は、実質的に平面であるだろうが、いくつかの態様において例えば、ウェル、隆起した領域、ピン、エッチングされた溝、または同種のものを有する、異なる化合物について物理的に別々の合成領域が所望されるであろう。他の態様に従うと、固体支持体(単数または複数)は、ビーズ、樹脂、ゲル、マイクロスフェア、または他の幾何学的形状の形態をとるであろう。例示の基質については米国特許第5,744,305号を参照されたい。
【0068】
「治療濃度」または「治療レベル」は、治療的な利益が得られる物質の濃度である。本発明のNRTIについて、例えば例において例証されているものでは、治療濃度は、約1,000ng/mLまたはそれ以上である。本発明は、他のNRTIに適用され得、およびその薬物について必要に応じて、1,000ng/mLよりも多いかまたは少ないかであるだろう適切な治療閾値で対処するよう設計される。
本明細書に使用されるときは、用語「処置計画」または「医療レジメン」は、疾患または状態の処置または予防のために個体に服用されている、いずれかの医薬品の少なくとも頻度および投薬量に関する。
【0069】
化学的定義
用語「薬学的に許容し得る塩」は、本発明の化合物の無機および有機酸付加塩を指す。これらの塩は、化合物(単数または複数)の最終的な単離および精製の間にin situで、またはその遊離塩基形態における精製された化合物(単数または複数)と好適な有機または無機酸を個別に反応させること、およびよって形成された塩を単離することによって調製され得る。代表的な塩は、臭化水素酸塩、塩酸塩、スルファート、重硫酸、ホスファート、ニトラート、アセタート、バレラート、オレアート、パルミタート、ステアラート、ラウラート、ベンゾアート、ラクタート、ホスファート、トシラート、シトラート、マレアート、フマラート、スクシナート、タートラート、ナフタレート(naphthylate)、メシラート、グルコヘプトン酸、ラクトビオナート、およびラウリルスルホン酸塩(laurylsulphonate salt)等を包含する。例えば、Berge et al. (1977), “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照されたい。
【0070】
他のケースにおいて、本発明の方法における有用な化合物は、1以上の酸性の官能基を含有していてもよく、よって薬学的に許容し得る塩基と薬学的に許容し得る塩を形成することができる。これらの例における用語「薬学的に許容し得る塩」は、を指す。本発明の化合物の無機および有機の塩基付加塩を指す。これらの塩は、同じく化合物(単数または複数)の最終的な単離および精製の間にin situで、またはその遊離酸の形態における精製された化合物(単数または複数)を、薬学的に許容し得る金属カチオンの水酸化物、カーボネート、または重炭酸塩などの好適な塩基と、アンモニアと、または薬学的に許容し得る有機第一級、第二級、または第三級アミンと個別に反応させることによって調製され得る。代表的なアルカリまたはアルカリ土類塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム塩等を包含する。塩基付加塩の形成について有用な代表的な有機アミンは、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン等を包含する(例として、Berge et al., supraを参照されたい)。
【0071】
当業者は、本発明の抱合体を調製する目的のためにその化合物の反応をより簡便にするために、所望される化合物に化学的改変をなしてもよい。
本発明のある化合物は、とりわけ幾何または立体異性体の形態で存在していてもよい。本発明は、本発明の範囲内に入るものとして、シスおよびトランス異性体、R-およびS-鏡像異性体、ジアステレオマー、(d)-異性体、(l)-異性体、それらのラセミ混合物、およびそれらの他の混合物を包含する、すべてのかかる化合物を企図する。追加の不斉炭素原子は、アルキル基などの置換基中に存在していてもよい。すべてのかかる異性体、ならびにそれらの混合物は、本発明中に包含されることが意図される。
【0072】
実例として、本発明の化合物の具体的な鏡像異性体が所望される場合に、不斉合成によって、またはキラル補助を用いた誘導によって調製されてもよく、その結果得られるジアステレオマーの混合物は、分離され、および補助基が切断され、純粋な所望される鏡像異性体を提供する。代替的に、分子がアミノなどの塩基性官能基、またはカルボキシルなどの酸性官能基を含有する場合に、ジアステレオマー塩は、適切な光学活性な酸または塩基を用いて形成され、これに続きジアステレオマーの分解は、よって分別結晶化または当該技術分野において周知であるクロマログラフィー手段によって形成され、およびこれに続いて純粋な鏡像異性体が回収される。
【0073】
「アルキル」は、特定された炭素原子の数を有する、または特定がなされない場合は、最大30の炭素原子を有する、完全飽和の環状または非環状、分枝または非分枝の炭素鎖部分を指す。例えば、1~8個の炭素原子のアルキルは、を指す。メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、およびオクチルなどの部分、およびこれらの部分の位置異性体であるそれらの部分を指す。10~30個の炭素原子のアルキルは、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、へプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、トリコシルおよびテトラコシルを包含する。ある態様において、直鎖または分枝鎖アルキルは、その主鎖(例として、直鎖についてはC-C30、分枝鎖についてはC-C30)に30またはそれより少ない炭素原子を有し、およびより好ましくは20またはそれより少ない炭素原子を有する。
【0074】
「シクロアルキル」は、それぞれ3個から12個までの炭素原子を有する、単環式もしくは二環式のまたは架橋された飽和環状炭素を意味する。同じく、好ましいシクロアルキルは、それらの環構造中に5~12個の炭素原子を有し、およびより好ましくは環構造中に6~10個の炭素を有する。
炭素の数が他で特定されない限り、本明細書に使用されるとき、「低級アルキル」は、上に定義されるとおりのアルキル基であるが、その主鎖構造中に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルなどの1個から10個までの炭素、より好ましくは1個から6個までの炭素原子を有することを意味する。同じく、「低級アルケニル」および「低級アルキニル」は、同様の鎖長を有する。本出願を通して、好ましいアルキル基は、低級アルキルである。ある態様において、本明細書においてアルキルとして設計されている置換基は、低級アルキルである。
【0075】
本明細書に使用されるとき、用語「アリール」は、各原子が炭素である(すなわち、炭素環式アリール)かまたは1以上の原子がヘテロ原子である(すなわち、ヘテロアリール)、3~12員の置換または非置換の単環芳香族基を包含する。好ましくは、アリール基は、5~12員の環、より好ましくは6~10員の環を包含する。ある態様において、アリールは、(C-C10)アリールを包含する。用語「アリール」はまた、2以上の炭素が、2つの隣接する環に共通である、2以上の環状環を有する多環式環系を包含し、ここで環の少なくとも1は、芳香族であり、例として、他の環状環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。
【0076】
炭素環式アリール基は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、アニリン等を包含する。ヘテロアリール基は、置換または非置換の芳香族の3~12員の環構造、より好ましくは5~12員環、より好ましくは6~10員環を包含し、その環構造は1~4個のヘテロ原子を包含する。ある態様において、ヘテロアリールは、(C-C)ヘテロアリールを包含する。ヘテロアリール基は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジン等を包含する。
【0077】
用語「アラルキル」は、当該技術分野において認識されており、およびアリール基で置換されたアルキル基を指す。
用語「ヘテロ原子」は、当該技術分野において認識されており、および炭素または水素以外のいずれかの元素の原子を指す。例示的なヘテロ原子は、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンを包含する。
【0078】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環基」は、3~12員の環構造、より好ましくは5~12員の環、より好ましくは6~10員の環を指し、その環構造は、1~4個のヘテロ原子を包含する。ヘテロサイクルはまた、ポリサイクルでもあり得る。ある態様において、ヘテロシクリルは、(C-C)ヘテロシクリルを包含する。ヘテロシクリル基は、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、アゼチジノンおよびピロリジノンなどのラクタム、スルタム、スルトン等を包含する。
【0079】
複素環は、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスファート、ホスホナート、ホスフィナート、カルボニル、カルボキシル、シリル、スルファモイル、スルフィニル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、-CF、-CN等のような上に記載のとおりの置換基で1以上の位置において置換され得る。
【0080】
用語「ヘテロアリール」は、置換または非置換の芳香族の単環構造、好ましくは5~7員の環、より好ましくは5~6員の環を包含し、その環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子を包含する。用語「ヘテロアリール」および「ヘタリール」はまた、2以上の炭素が2つの隣接する環に共通である、2以上の環状環を有する多環式環系を包含し、ここで環の少なくとも1は、ヘテロ芳香族であり、例として、他の環状環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。ヘテロアリール基は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジン等を包含する。
【0081】
本明細書に使用されるとき、用語「置換された」は、有機化合物のすべての差し支えない置換基を包含することが企図される。広い側面において、差し支えない置換基は、有機化合物の非環式および環状、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基を包含する。例示的な置換基は、例えば、本明細書の上に記載のそれらを包含する。差し支えない置換基は、適切な有機化合物について1以上であり得、および同じかまたは異なり得る。本発明の目的について、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物のいずれかの差し支えない置換基を有していてもよい。本発明は、有機化合物の差し支えない置換基によって、いかなる様式においても限定されることを意図しない。「置換」または「で置換される」は、かかる置換が置換された原子および置換基の許容される原子価に従っていること、および置換が、例として、転移、環化、脱離、等々によるなどの変換を自発的に受けない、安定した化合物をもたらすことといった暗黙の条件を包含することが理解されるだろう。
【0082】
本明細書に使用されるとき、用語「ハロゲン」は、-F、-Cl、-Br、または-Iを指示する。
用語「ハロアルキル」は、本明細書に定義されるとおりのアルキル基を通して親分子部分に付加される、本明細書に定義されるとおりの少なくとも1のハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表的な例は、これらに限定されないが、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および2-クロロ-3-フルオロペンチルを包含する。
本明細書に使用されるとき、各表現、例として、アルキル、m、n、等々の定義は、いずれかの構造において2回以上生じる際には、同じ構造における他でのその定義とは無関係であることが意図される。
【0083】
本発明の原理
本発明は、一部において、臨床環境、他のPOC、または家庭におけるPreP治療への準拠を迅速に試験するための新しい産物および方法についての開発に依存する。方法は、免疫原として新しいテノホビル誘導体を使用するテノホビルに対して開発される新しい抗体の使用に関する。これらの抗体は、尿試料を包含する患者試料中のテノホビルの存在を検出するための、側方流動免疫診断アッセイを包含する免疫診断アッセイに使われ得る。
より一般的には、本発明は、生物学的流体試料中のNRTIの存在または不在を簡便にモニタリングする試薬(これらに限定されないが抗体および免疫原を包含する)および方法に関する。かかる試薬は、WO2017147186A1(PCT/US17/018945)(その全体が参照されることによって本明細書に組み込まれる)に記載されるシステム、デバイス、キット、および方法のいずれかを用いて使用され得る。
【0084】
いくつかの態様において、本発明は、NRTIを処方された患者についての処方された処置計画への準拠のレベルを査定するために使用され得る。いくつかの態様において、本発明は、個体がHIVにかかるリスクがあるというエピソードの前に、NRTIを服用したことのある個体からの生物学的流体試料におけるNRTIレベルを査定するために使用され得る。好ましくは、試料は尿であり、および患者の尿中のNRTIは、患者が処方されたNRTIを服用しているという指標である。いくつかの態様において、試料は、全血、血漿、血清、または唾液である。結果的に、本発明の方法は、具体的な処置への準拠および応答をモニタリングするための新しい試薬(例として、NRTI誘導体、および同抱合体および同抗体)を提供する。
【0085】
新しい試薬を使用して、本発明は、尿中のNRTIを検出するための方法およびシステムを提供し、ここでシステムはまた、試験試料が実際に尿であることを確実にするために対象を包含する。NRTIおよび尿についての対照は、いずれかの好適なアッセイによって同定されてもよい。好適なアッセイは、酵素アッセイ、免疫アッセイ、質量分析、クロマトグラフィー、電気泳動、バイオセンサー、抗体マイクロアレイ、またはそのいずれかの組み合わせの1以上を包含してもよい。免疫アッセイが使用される場合は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、競合アッセイ、放射免疫アッセイ(RIA)、側方流動免疫アッセイ、ウェスタンブロット、バイオセンサーを使用した免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、凝集アッセイ、濁度アッセイまたは比濁分析アッセイであってもよい。好ましい方法は、側方流動などの迅速な免疫アッセイプラットホームを利用する免疫アッセイである。
【0086】
結果的に、本発明は、尿などの生体試料中のNRTIを検出するためのいずれかのプラットホームを包含する。一態様において、システムは、家または臨床環境においてNRTIの存在または不在を迅速に検出することができる簡便なPOCデバイスを提供する。ポイントオブケアのデバイスの1つの非限定例は、側方流動免疫アッセイである。
【0087】
NRTI誘導体免疫原
一側面において、本発明は、免疫アッセイにおける利用のために、目的のNRTIまたはNRTI代謝体に高い特異性を有する抗体または結合パートナーの産生を提供する。抗体は、標的NRTIまたはNRTI代謝体への高い特異性を有し、薬物投薬のコンプライアンスをモニタリングすることを可能とする免疫アッセイの設計を許容すべきである。抗体の産生は、動物に免疫付与することに利用され得る誘導体(例として、TFV誘導体抱合体などのNRTI誘導体抱合体)の合成を必要とする。誘導体は、試料中に存在しているであろう他の物質との最小限の交差反応性を有する、標的分子の認識を最大限にする様式で設計され。誘導体は、担体タンパク質と結びつき免疫認識を増強し、および抗体の産生を可能とする。
【0088】
よって、いくつかの態様において、本発明は、式(I):
【化22】
に従った構造を有する化合物、またはその薬学的に許容し得る塩を含むNRTI誘導体免疫原を提供し、ここで:
、A、またはAの1つは、
【化23】
である;
、A、およびAの2つは、水素またはNH2sである;
Yは、結合、NR、O、またはSである;
Lは、C-C12アルキレン、C-Cシクロアルキレン、C-Cヘテロシクレン、アリーレン、またはヘテロアリーレンであり、その各々は、=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-NR、または-C(O)Xから選択される1以上の置換基によって任意に置換され得る;
、R、R、およびRは、各々独立して水素、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルであり、ここでその各々は、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルは、ハロゲン、=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-NR、または-C(O)Xから選択される1以上の置換基で任意に置換され得る;
、R、およびR11は、各々独立してC-Cアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、C-Cアルキル-P(O)(OH)、または-C(O)Xである;
、R、R、R10、R12、およびR13は、各々独立して水素、C-Cアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、または-C(O)Xである;または
およびR、RおよびR10、およびR12およびR13は、それらが結合している原子と一緒に、独立して3~7員の環を形成し、それらはハロゲン、=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR11、-NR1213、または-C(O)Xから選択される1以上の置換基によって任意に置換され得る;および
、X、X、X、X、およびXは、それぞれ独立して水素、C-Cアルキル、C-Cハロアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、アリール、アラルキル、またはヘテロアリールである;
ここで任意の置換基の各々は、独立して=O、-OH、-SH、-NO、-CN、-C-Cアルキル、-C-Cハロアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、-OR、-NR10、および-C(O)Xから選択される1以上の置換基によってさらに置換され得る。
【0089】
いくつかの態様において、式(I)で表される化合物は、式(II):
【化24】
による構造またはその薬学的に許容し得る塩を有し、ここでR15は、C-Cアルキルである。好ましくは、R15は、メチルである。
いくつかの態様において、式(I)または(II)で表される化合物は、式(IIa):
【化25】
による構造またはその薬学的に許容し得る塩を有する。
【0090】
いくつかの態様において、式(I)、(II)、または(IIa)で表される化合物は、(III):
【化26】
による構造式またはその薬学的に許容し得る塩を有する。好ましくは、AおよびAは、水素である。
いくつかの態様において、式(I)、(II)、または(IIa)で表される化合物は、式(IV):
【化27】
による構造またはその薬学的に許容し得る塩を有する。好ましくは、AおよびAは、水素である。
【0091】
いくつかの態様において、式(I)、(II)、または(IIa)で表される化合物は、式(V):
【化28】
による構造またはその薬学的に許容し得る塩を有する。好ましくは、AおよびAは、水素である。
【0092】
いくつかの態様において、本明細書に提供されるものは、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(IV)、または(V)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩であり、ここでYは、NRである。好ましくは、Rは、水素である。
他の態様において、本明細書に提供されるものは、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(IV)、または(V)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩であり、ここでLは、(CHであり、ここでnは、1~6である。好ましくは、nは、2である。
【0093】
ある態様において、本明細書に提供されるものは、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(IV)、または(V)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩であり、ここでRは、ハロゲン、=O、-OH、-SH、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される1以上の置換基で任意に置換されたC-Cアルキルである。いくつかのかかる態様において、任意の置換基の各々は、独立して-OH、-SH、-C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールから選択される1以上の置換基によってさらに置換され得る。
【0094】
ある他の態様において、本明細書に提供されるものは、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(IV)、または(V)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩であり、ここでRは、
【化29】
であり、ここでR16は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル、またはアリールであり、これらの各々は、-SH、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールによって任意に置換され得る。いくつかのかかる態様において、Rは、
【化30】
である。
【0095】
代替の態様において、本明細書に提供されるものは、式(I)、(II)、(IIa)、(III)、(IV)、または(V)で表される化合物、またはその薬学的に許容し得る塩であり、ここでRは、
【化31】
であり、ここでmは、1~6である;およびR17は、C-Cシクロアルキル、C-Cヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールである。いくつかのかかる態様において、Rは、
【化32】
または
【化33】
である。
【0096】
具体的な態様において、NRTIはテノホビル誘導体であり、および免疫原は以下から選択される化合物:
【化34】
またはその薬学的に許容し得る塩を含む。
【0097】
本明細書に記載の代謝体のいずれかは、代謝体誘導体を生成するために使用されてもよい。ある態様において、TFV代謝体(またはTFV類似体)が生成される。ある態様において、TAF代謝体(またはTAF類似体)が生成される。ある態様において、TDF代謝体(またはTDF類似体)が生成される。ある態様において、FTC代謝体(またはTFV類似体)が生成される。
【0098】
抗体産生のための免疫原性抱合体
先述の化合物(例として、NRTI誘導体)のいずれかは、抗体産生のための好適な免疫原を生成するために免疫原性組成物に抱合されていてもよい。かかる免疫原は、担体タンパク質を含んでもよい。担体は、タンパク質、脂質、リポライズドタンパク質(lipolized protein)、ウイルス、ペプチド、またはグリコペプチドのデンドリマーであってもよい。
【0099】
担体タンパク質の例は、破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、ジフテリア毒素交差反応物質197(CRM197)、TTのフラグメントCである。キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、タンパク質D、外膜タンパク質(OMP)およびニューモリシン、ジフテリア毒素交差反応物質197(CRM197)または、CRM176、CRM228、CRM45(Uchida et al J. Biol. Chem. 218;3838-3844, 1973)、CRM9、CRM45、CRM102、CRM103、およびCRM107などの他のDT点突然変異体および当該技術分野において記載される他の突然変異。
ある態様において、担体タンパク質は、KLHである。ある態様において、担体タンパク質は、BSAである。
【0100】
無数のリンカー化合物が、本発明の化合物を担体タンパク質に抱合させるために使用され得る。リンカーは、担体タンパク質上の反応残基(例として、システインまたはリシン)および選択される化合物と共有結合的に結合することだけが必要である。結果的に、担体タンパク質残基と反応し、および相対的に安定した本発明の抱合体(部位特異的またはその他)を提供するために使用されるであろういずれかのリンカーは、本明細書の教示と両立できる。
【0101】
無数の両立できるリンカーは、求核性である、還元型システインおよびリシンへ有利に結合し得る。還元型システインおよびリシンに関する抱合反応は、これらに限定されないが、チオール-マレイミド、チオール-ハロゲノ(ハロゲン化アシル)、チオール-エン、チオール-イン、チオール-ビニルスルホン、チオール-ビスルホン、チオール-チオスルホナート、チオール-ピリジルジスルフィドおよびチオール-パラフルオロ反応を包含する。本明細書においてさらに議論されるように、チオール-マレイミドビオ抱合は、その迅速な反応速度および穏やかな抱合条件に起因して、最も幅広く使用されるアプローチの1つである。
【0102】
本発明のリンカーは、遊離システインを包含するシステイン上の反応性チオール求核試薬に結びつき得る。この目標を達成するために、システインは、DTTまたはTCEPなどの様々な還元剤または本明細書に記載される様な穏やかな還元剤での処理によってリンカー試薬との抱合のための反応性を作られるであろう。他の態様において、本発明のリンカーは、リシンに結びつき得る。
【0103】
いくつかの態様において、リンカーは、担体タンパク質上の求核官能基との反応のための求電子官能基を含有する。担体タンパク質上の求核基は、これらに限定されないが以下を包含する:(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基、例として、リシン、(iii)側鎖チオール基、例として、システイン、および(iv)糖ヒドロキシルまたは担体タンパク質がグリコシル化されているアミノ基。アミン、チオール、およびヒドロキシル基は、求核性であり、および以下を包含するリンカー部分およびリンカー試薬上の求電子基と共有結合を形成するために反応することができる:(i)マレイミド基(ii)活性化ジスルフィド、(iii)NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)エステル、HOBt(N-ヒドロキシベンゾトリアゾール)エステル、ハロホルマート、および酸ハロゲン化物などの活性エステル;(iv)アルキルおよびハロアセトアミドなどのハロゲン化ベンジル;および(v)アルデヒド、ケトン、カルボキシル、および、以下のとおりに例示されるうちのいくつか:
【化35】
【0104】
本発明の抗体
本明細書に記載のNRTI誘導体、または同抱合体のいずれか1つとの反応性(例として、それらに対して産生されたおよび/またはそれらに特異的に結合する)を有する抗体が使用され得る。ある態様において、抗体は、本明細書に記載の化合物(例として、NRTI誘導体)のいずれか、および/または同免疫原性抱合体に結合してもよい。抗体は、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、またはモノクローナルであり得、および抗体という用語は、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、およびモノクローナル抗体、およびその機能的フラグメントを網羅することが意図される。ポリクローナルおよびモノクローナルという用語は、抗体調製物の均一性の程度を指し、および具体的な産生の方法に限定することを意図しない。
抗NRTI誘導体抱合体抗体は、本発明の免疫原化合物、類似体またはその誘導体、および同抱合体などの適切な免疫原に対して産生され得る。
【0105】
本明細書に記載の化合物のいずれか(例として、NRTI誘導体、または類似体)を含む免疫原性組成物は、典型的には、免疫原を用いて好適な対象(例として、ウサギ、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫化することによって抗体を調製するために使用される。適切な免疫原性の調製は、例えば、担体タンパク質に抱合された化学的に合成されたNRTI誘導体を含有し得る。調製は、フロイントの完全または不完全アジュバントなどのアジュバント、または同様の免疫刺激性剤をさらに包含し得る。本明細書に記載の化合物のいずれか(例として、NRTI誘導体、または類似体)を含む免疫原性組成物を用いての好適な対象の免疫付与は、ポリクローナル抗NRTI誘導体抱合体抗体の応答を誘導する。
【0106】
本発明の別の側面は、抗NRTI誘導体抱合体抗体を使用することに関係する。用語「抗体」は、本明細書に使用されるときは、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、NRTI誘導体、または同抱合体に特異的に結合する(と免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子を指す。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例は、ペプシンなどの酵素で抗体を処理することによって生成され得るF(ab)およびF(ab’)2フラグメントを包含する。本発明は、NRTI誘導体、または同抱合体に結合するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書に使用されるとき、NRTI誘導体、または同抱合体の具体的な化学基と免疫反応することができる抗原結合部位のうち1種のみを含有する抗体分子の集団を指すであろう。よってモノクローナル抗体組成物は、典型的には、それが免疫反応する、具体的なNRTI誘導体、または同抱合体について単一の結合親和性を示す。
【0107】
ポリクローナル抗NRTI誘導体抱合体抗体は、NRTI誘導体抱合体を含む免疫原性組成物を用いて好適な対象を免疫化することによって上に記載のとおりに調製することができる。NRTI誘導体抱合体に対して向けられた抗体分子は、哺乳動物から単離され得(例として、血液から)およびIgG画分を得るために、プロテインAクロマトグラフィーなどの周知の技法によってさらに精製され得る。免疫付与後の適切な時間において、すなわち、抗NRTI誘導体抱合体抗体力価が最も高い際に、抗体産生細胞は、対象から得られ得、およびKohler and Milstein (1975) Nature 256:495-497によって初めて記載されたハイブリドーマ技法(Brown et al. (1981) J. Immunol. 127:539-46;Brown et al. (1980) J. Biol. Chem. 255:4980-83;Yeh et al. (1976) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:2927-31;およびYeh et al. (1982) Int. J. Cancer 29:269-75もまた参照されたい)、より最近のヒトB細胞ハイブリドーマ技法(Kozbor et al. (1983) Immunol. Today 4:72)、EBV-ハイブリドーマ技法(Cole et al. (1985)、Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy、Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96)またはトリオーマ技法などの標準的な技法によってモノクローナル抗体を調製するために使用され得る。
【0108】
モノクローナル抗体ハイブリドーマを産出するための技術は、周知である(一般に、R. H. Kenneth、in Monoclonal Antibodies: A New Dimension In Biological Analyses, Plenum Publishing Corp., New York, New York (1980);E. A. Lerner (1981) Yale J. Biol. Med., 54:387-402;M. L. Gefter et al. (1977) Somatic Cell Genet. 3:231-36を参照されたい)。簡潔に言うと、不死化細胞株(典型的には骨髄腫)は、上に記載のとおりの免疫原性組成物で免疫化した哺乳動物からのリンパ球(典型的には脾細胞)に融合され、およびその結果得られるハイブリドーマ細胞の培養上清は、NRTI誘導体、または同抱合体に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定するためにスクリーニングされる。
【0109】
リンパ球および不死化された細胞株を融合するために使用される多くの周知のプロトコルのいずれかは、抗NRTI誘導体抱合体モノクローナル抗体(すなわち、G. Galfre et al. (1977) Nature 266:550-52;Gefter et al. Somatic Cell Genet., cited supra;Lerner, Yale J. Biol. Med., cited supra;Kenneth, Monoclonal Antibodies, cited supraを参照されたい)を生成することを目的として適用され得る。その上、通常の熟練した作業者は、有用でもあるだろうかかる方法の多くのバリエーションがあることを理解するであろう。典型的には、不死化細胞株(例として、骨髄腫細胞株)は、リンパ球のものと同じ哺乳動物種に由来する。
【0110】
例えば、マウスハイブリドーマは、本発明の免疫原性の調製物で免疫化されたマウスからのリンパ球を不死化されたマウス細胞株と融合させることによって作製され得る。好ましい不死化細胞株は、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含有する培養培地(「HAT培地」)に対して感受性がある、マウス骨髄腫細胞株である。数多の骨髄腫細胞株のいずれかは、標準的な技法に従って融合パートナーとして使用され得る、すなわち、P3-NS1/1-Ag4-1、P3-x63-Ag8.653またはSp2/O-Ag14骨髄腫株である。これらの骨髄腫株は、ATCCから入手可能である。
【0111】
典型的には、HAT感受性マウス骨髄腫細胞は、ポリエチレングリコール(「PEG」)を使用してマウス脾細胞に融合される。融合の結果生じるハイブリドーマ細胞は、次いで未融合および非産生的に融合された骨髄腫細胞(未融合脾細胞は、形質転換されていないために数日後に死ぬ)を殺す、HAT培地を使用して選択される。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞は、NRTI誘導体、または同抱合体に結合する抗体についてハイブリドーマ培養上清のスクリーニングによって、すなわち、本明細書に記載のとおりのELISAアッセイを使用して検出される。
【0112】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマを調製する代替として、モノクローナル抗NRTI誘導体抱合体抗体は、組み換えリコンビナント免疫グロブリンライブラリ(例として、抗体ファージディスプレーライブラリ)をNRTI誘導体抱合体を用いてスクリーニングすることによって同定および単離され得、それによってNRTI誘導体、または同抱合体に結合する免疫グロブリンライブラリーのメンバーを単離し得る。ファージディスプレーライブラリーを生成およびスクリーニングするためのキットは、市販されている(例として、the Pharmacia Recombinant Phage Antibody System、Catalog No. 27-9400-01;およびthe Stratagene SurfZAP(商標)Phage Display Kit、Catalog No. 240612)。
【0113】
加えて、抗体ディスプレーライブラリを生成およびスクリーニングすることの使用のための具体的に適している方法および試薬の例は、例えば、以下に見出すことができる;Ladner et al. 米国特許第5,223,409号;Kang et al. PCT国際公開第WO92/18619号;Dower et al. PCT国際公開第WO91/17271号;Winter et al. PCT国際公開第WO92/20791号;Markland et al. PCT国際公開第WO92/15679号;Breitling et al. PCT国際公開第WO93/01288号;McCafferty et al. PCT国際公開第WO92/01047号;Garrard et al. PCT国際公開第WO92/09690号;Ladner et al. PCT国際公開第WO90/02809号;Fuchs et al. (1991) Bio/Technology 9:1369-1372;Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85;Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281;Griffiths et al. (1993) EMBO J. 12:725-734;Hawkins et al. (1992) J. Mol. Biol. 226:889-896;Clackson et al. (1991) Nature 352:624-628;Gram et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-3580;Garrard et al. (1991) Bio/Technology 9:1373-1377;Hoogenboom et al. (1991) Nucleic Acids Res. 19:4133-4137;Barbas et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982;およびMcCafferty et al. Nature (1990) 348:552-554。
【0114】
加えて、標準的な組み換えDNA技法を使用して作製され得る、ヒトおよび非ヒト部分の両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの組み換え抗NRTI誘導体抱合体抗体は、本発明の範囲内である。かかるキメラおよびヒト化モノクローナル抗体は、当該技術分野において知られている組み換えDNA技法、例えば以下に記載された方法を使用することによって産生され得る;Robinson et al. 国際出願第PCT/US86/02269号;Akira、et al. 欧州特許出願第184,187号;Taniguchi, M., 欧州特許出願第171,496号;Morrison et al. 欧州特許出願第173,494号;Neuberger et al. PCT国際公開第WO86/01533号;Cabilly et al. 米国特許第4,816,567号;Cabilly et al. 欧州特許出願第125,023号;Better et al. (1988) Science 240:1041-1043;Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443;Liu et al. (1987) J. Immunol. 139:3521-3526;Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218;Nishimura et al. (1987) Canc. Res. 47:999-1005;Wood et al. (1985) Nature 314:446-449;およびShaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559);Morrison, S. L. (1985) Science 229:1202-1207;Oi et al. (1986) BioTechniques 4:214;Winter 米国特許第5,225,539号;Jones et al. (1986) Nature 321:552-525;Verhoeyan et al. (1988) Science 239:1534;およびBeidler et al. (1988) J. Immunol. 141:4053-4060。
【0115】
先述の抗体、または同抱合体のいずれかは、ジスルフィドリンカーなどの標準的な薬物-抗体リンカーを使用して結び付けられてもよい(以下のある態様を参照されたい)。
【化36】
【0116】
別の側面において、本発明は、テノホビルまたはテノホビル誘導体のテノホビル部分に特異的に結合する抗体を提供する。いくつかの態様において、抗体は、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖を有する。いくつかの態様において、抗体は、単鎖抗体、重鎖のみの抗体、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab)フラグメント等である。いくつかの態様において、抗体は、ポリクローナルまたは、好ましくは、モノクローナル抗体である。抗体の設計および産生は、当業者にとって周知である。
以下の例において記載されるように、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体は、テノホビル誘導体NRTIの代謝体を検出するために開発された。モノクローナル抗体は、以下のアミノ酸配列を含む:
【0117】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0118】
いくつかの態様において、軽鎖は、配列番号17、19、21、および30からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1領域;配列番号25、27、29、および31からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2領域;および/または配列番号33、35、37、および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3領域を有する。
いくつかの態様において、抗体は、配列番号11、13、15、または41で表されるとおりのアミノ酸配列の可変軽鎖を含む。
【0119】
いくつかの態様において、重鎖は、配列番号18、20、22、および23からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1領域;配列番号26、28、30、および31からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR2領域;および/または配列番号34、36、38、および39からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR3領域を含む。
いくつかの態様において、抗体は、配列番号12、14、16、または42で表されるとおりのアミノ酸配列の可変重鎖を含む。
【0120】
さらに開示されるものは、本明細書に開示の抗体のいずれか1以上を包含する、抗体調製物である。いくつかの態様において、調製物は、モノクローナル抗体調製物である。
また提供されるものは、本明細書に開示の抗体のずれかの重鎖または軽鎖をコードする単離された核酸分子である。いくつかの態様において、核酸は、クローニングベクター、発現ベクター、異種組み換えベクターおよびウイルス組込み型ベクターからなる群から選択される。
【0121】
加えて、開示されるものは、本明細書に提供される核酸のいずれかで形質転換された細胞である。いくつかの態様において、細胞は、哺乳動物の細胞である。哺乳動物の細胞のいくつかの非限定例は、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、ニワトリ、ヤギ、サル、ヒツジ、ブタ、ウマ、ウシ、またはヒト細胞を包含する。
抗体について上記で議論された標的エピトープについて結合特異性を有するオリゴヌクレオチドまたはペプチド(すなわち、アプタマー)もまた、本明細書に記載の抗体のうちに使用され得る。
【0122】
側方流動免疫アッセイ
側方流動免疫アッセイは、試薬(例として、抗TFV誘導体抱合体または抗TFV抗体などの抗NRTI誘導体抱合体抗体)のラインが適用され得る、免疫アッセイのための固体支持体として、膜、好ましくはニトロセルロースなどのセルロース膜のストリップを利用する。複数の小分子(例として、TFV、TAF、またはTDFなどのNRTI)は、試薬の適用エリアの場所を空間的に分離することによってアッセイされ得る。追加の試薬パッドは、他の不可欠な試薬および試料調節材料のための試験ライン(単数または複数)の下で使用され得る。
【0123】
試料が試験デバイスに添加される際に、溶液は、試験ラインの下のパッドを超えて流れ、およびアッセイのために試料調節化合物および不可欠な試薬(例として、本明細書に開示のそれらの抗体などの検出標識にカップリングされた、HRP-NRTI誘導体またはHRP-TFV誘導体などのNRTI誘導体抱合体、またはかかるNRTI誘導体に対する抗体)を再水和し、および次いで特定の試験ラインを超えて通過し、および可視指示(コロイド金、着色されたラテックスまたは当業者に公知の他の標識)またはシグナル(蛍光、化学発光)を測定する機器を必要とする標識で有り得る検出標識を堆積させるであろう。追加材料は、試験ラインの上に添加され、試験ラインを通過する流体を吸収し得る。
【0124】
最終結果は、着色されたラインまたはスポットの出現または不在であり、それは対照ラインと比較され得る。いくつかの場合において、対照ラインは、試験される試料が実際に尿であることを確実にするために、尿のマーカーの検出について有用である。好ましくは、試験される試料が尿であることを確認するために、尿のマーカーは、他の一般的なマトリックス(すなわち、血液)中の量と比較して、尿中で有意に異なる濃度で存在する。
【0125】
一態様において、システムは、基部または支持層および液体試料がそこを通って力によってかまたは毛細管作用によって流路に沿って流れ得る少なくとも1の吸収性の層を含む吸収性のマトリックスを包含していてもよい。液体試料の流路が吸収性のマトリックスおよび基部層の両方を通過するように、基部層もまた、吸収性であり、および吸収性のマトリックスに流体連通していてもよい。流路は、少なくとも2の領域を包含し、ここで第1領域は、試料適用領域であり、および第2領域は、検出領域である。
より小さな分子は、1つの抗体または結合パートナーのみが目的の薬物を検出するために利用される競合的な形式を使用して検出され得る。アッセイは、薬物が存在する際にラインが出現する正の読み取り、または薬物が存在する際にラインが消失する負の読み取りを提供する方法において形式に合わされ得る。
【0126】
本発明の一態様において、試験デバイスは、単一の原薬を測定する負の読み出しを有する側方流動形式を利用した競合的免疫アッセイである。側方流動ストリップは、緩衝および試料処置材料を含有する試料パッドを有する。試料パッドは、原薬の誘導体に結びついた標識を含有する抱合体パッドと接触している。抱合体パッドは、その上に抗体で筋がつけられており(striped)、および標的薬物の存在および不在の両方において抱合体に結合するであろう抗体または結合パートナーを有する対照ラインもまた有する、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触している。試験デバイスは、デバイスを通して流れることを促進するために試験区域の下流に吸収パッドを有していてもよい。デバイスは、任意にストリップを含有するためのデバイスハウジングを有し、およびデバイスへの試料の付加のための開口部を作り出しても良い。試験区域および対照区域におけるラインの存在は、対象が標的薬物を日常的に服用していないことを示し、およびラインの不在は、彼らが薬物を服用していることを示すだろう。
【0127】
本発明の一態様において、試験デバイスは、単一の原薬を測定する負の読み出しを有する側方流動形式を利用した競合的免疫アッセイである。側方流動ストリップは、緩衝および試料処置材料を含有する試料パッドを有する。試料パッドは、原薬に対して作製された抗体に結び付けられた標識を含有する抱合体パッドと接触している。抱合体パッドは、その上に標的薬物の誘導体で筋がつけられており、および標的薬物の存在および不在の両方において抱合体に結合するだろう抗体または結合パートナーを有する対照ラインもまた有する、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触している。試験デバイスは、デバイスを通して流れることを促進するために試験区域の下流に吸収パッドを有していてもよい。デバイスは、任意にストリップを含有するためのデバイスハウジングを有し、およびデバイスへの試料の付加のための開口部を作り出していてもよい。試験区域および対照区域におけるラインの存在は、対象が日常的に標的薬物を服用していないことを示し、およびラインの不在は、彼らが薬物を服用していることを示すだろう。
【0128】
本発明の一態様において、試験デバイスは、単一の原薬を測定する正の読み出しを有する側方流動形式を利用した競合的免疫アッセイである。側方流動ストリップは、緩衝および試料処置材料を含有する試料パッドを有する。試料パッドは、原薬に対して作製された抗体に結び付けられた標識を含有する抱合体パッドと接触している。抱合体パッドは、使用者に見えない位置においてその上に標的薬物の誘導体で筋がつけられており、および抱合体についての結合パートナーが試験ラインにおいて薬物と関係しない(ex アビジン/ビオチン)、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触している。
【0129】
固体支持体はまた、デバイスが稼働していることを示す第2の抱合体に結合するだろう抗体または結合パートナーを有する対照ラインを有する。試験デバイスは、デバイスを通して流れることを促進するために試験区域の下流に吸収パッドを有していてもよい。デバイスは、任意にストリップを含有するためのデバイスハウジングを有し、およびデバイスへの試料の付加のための開口部を作り出していてもよい。試験区域および対照区域におけるラインの存在は、対象が日常的に標的薬物を服用していることを示し、およびラインの不在は、薬物を服用していないことを示すだろう。
【0130】
本発明の一態様において、試験デバイスは、原薬の組み合わせを測定する負の読み出しを有する側方流動形式を利用した競合的免疫アッセイである。側方流動ストリップは、緩衝および試料処置材料を含有する試料パッドを有する。試料パッドは、2以上の原薬の誘導体に結び付けられた標識を含有する抱合体パッドと接触している。抱合体パッドは、その上に2以上の試験位置において抗体で筋がつけられている、および標的薬物の存在および不在の両方にいて抱合体に結合するだろう抗体または結合パートナーを有する対照ラインもまた有する、ニトロセルロースなどの固体支持体と接触している。試験デバイスは、デバイスを通して流れることを促進するために試験区域の下流に吸収パッドを有していてもよい。デバイスは、任意にストリップを含有するためのデバイスハウジングを有し、およびデバイスへの試料の付加のための開口部を作り出していてもよい。
【0131】
この態様において、2以上の薬物の反応性のパターンは、薬物について推奨された投薬への準拠を示し得る。1つの潜在的な成果において、2つの正の試験ラインまたはスポットの側方流動試験の読み出しは、試料を提供している個体が処方された投薬量スケジュールに従ってNRTIを服用していることを示し得、一方で、1つの正の試験ラインまたはスポットの側方流動試験の読み出しは、試料を提供している個体が処方された投薬量スケジュールに従わないでNRTIを服用していることを示し得た、およびゼロの正の試験ラインまたはスポットの側方流動試験の読み出しは、試料を提供している個体がNRTIを服用していないことを示し得た。
【0132】
一態様において、本発明のNRTIは、臨床試験の形態をとるシステム、例えば番号のつけられたウェルプレートのタイプ(例として、96ウェルプレート)において検出され得る。一態様において、側方流動デバイスは、機械によって読み取られ得るカートリッジの形態であり得る。好ましくは、機械は、自動的である。
【0133】
一態様において、本発明のシステムは、以下を包含する(i)POCTおよび(ii)デジタル式のデバイス。一態様において、デジタル式のデバイスは、POCTと相互作用する。一態様において、デジタル式のデバイスは、POCTからの結果を分析する。一態様において、デジタル式のデバイスは、POCTからの結果を記録する。一態様において、デジタル式のデバイスは、POCTからの結果を報告する。一態様において、デジタル式のデバイスは、複数のPOCTからの結果を分析、記録および/または報告する。
【0134】
いくつかの態様において、デジタル式のデバイスは、カメラを備えたスマートフォンまたはタブレットである。いくつかの態様において、本発明のシステムの使用は、スマートフォンのカメラおよびアプリを包含する。例えば、あなたは側方流動試験にわたってスマートフォンのカメラを保持し、およびカメラは、ラインの強度に基づき尿中の薬物のレベルを定量する。その数は、次いで電子カルテ、他のアプリと共有され、またはデータベースに提供され得る。いくつかの態様において、試験は、免疫アッセイプラットホーム上で投与され得る。非限定例は、Alereリーダー(http://www.clpmag.com/2017/04/fda-clears-alere-immunoassay-analyzer等々)またはAbbott I-Stat(https://www.pointofcare.abbott/us/en/offerings/istat)を包含する。
開示された本発明は、NRTI濃度を測定するために選択されるプラットフォームに限定されない。迅速な試験は、周知であり、および側方流動、フロースルー、キャピラリー、バイオセンサーおよび数多の他の形式において合わせられ得る。
【0135】
生体試料
本発明を使用して分析される生体試料は、NRTIを含有するいずれかの生物組織または流体のものであるだろう。しばしば試料は、患者由来の試料である「臨床試料」であるだろう。分析のための典型的な試料は、これらに限定されないが、血液、血漿、母乳、精液および尿などの生物学的流体試料を包含する。
【0136】
患者からの生物学的流体の収集についての方法は、当該技術分野において周知である。一態様において、側方流動の迅速な目視のNRTI試験における使用のための生物学的流体の収集は、試料カップまたは他の容器を用いてである。一態様において、本発明の側方流動デバイスは、生物学的流体標本を含有する試料カップまたは他の容器内に挿入される。本発明を用いた使用のために生物学的流体試料を収集するおとにおける使用に適切な容器は、限定される必要はなく、および当該技術分野において周知である。一態様において、患者は、本発明の側方流動デバイスの吸収性の芯を彼らの尿流の中へ配置し、分析のために生物学的流体を収集する。一態様において、本発明の側方流動デバイスは、口腔内へ挿入され、および口腔粘膜に接触し、分析のために生物学的流体を収集する。
【0137】
一態様において、生体試料または生体試料のアリコートは実験室ベースの試験を使用する分析のために実験室に輸送される。一態様において、生体試料または生体試料のアリコートは、実験室ベースの試験を使用する分析のための実験室への輸送のために凍結される。
【0138】
試験結果
いくつかの態様において、側方流動デバイスは、1~40分以内に結果を提供する。いくつかの態様において、側方流動デバイスは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30または40分以内に結果を提供する。これらの態様において、結果は、患者または提供者によって読み取られ、および解釈され得る。一態様において、患者試料は実験室ベースの試験を使用して分析され、および結果は部外秘の電子記録によってかまたは部外秘のファックス返信によって患者または提供者に送られる。提供者および患者に結果を提供する他の方法は、周知である。
【0139】
一態様において、結果は、提供者によって処方された投薬スケジュールへの患者の準拠をモニターするために使用される。一態様において、試験結果は、提供者によって解釈されて、および直接会うかまたは電話、eメール、テキストメッセージ、または他の通信媒体のいずれかによって患者とのカウンセリングストラテジーを知らせるために使用される。これは、患者との議論、ケアプランを立てること、保険適用を調節すること、薬物治療の準拠への障壁に対処すること、コンプライアンスについて確認するよう個体に命じること、準拠を改善するためのテキストメッセージの送受信などのデジタル式の解決策、または錠剤の消費についてのデータを記録し、および/または送信する錠剤ディスペンサーなどの機械的解決策を使用することを包含するが、これらに限定されない。
【0140】
加えて、提供者はこの情報を使用して、彼らが、彼らの最も最近の尿TFVレベルに基づいて、HIVの獲得から保護されていないか(例として、LC-MS/MSベースのアッセイを使用する場合に、尿TFV濃度<10ng/mL)または不完全に保護されている(例として、LC-MS/MSベースのアッセイを使用する場合に、10~1000ng/mLの尿TFV濃度)かのいずれかであることを示す尿検査の患者にフラグをつけることができる。
【0141】
免疫アッセイ(例として、側方流動アッセイ)のいずれかを使用したTFVについての追加のカットオフは、Koenig et al. HIV Med. 2017 Jul;18(6):412-418に記載されるような手順を使用して決定されてもよい。同じく、本明細書に記載のアッセイ(例として、側方流動アッセイ)のいずれかにおける、TAFなどの他の代謝体についてのカットオフは、Koenig et al. HIV Med. 2017 Jul;18(6):412-418において記載される方法論を使用して決定され得る。
一態様において、患者は、臨床環境の外側でシステムを使用し得る。一態様において、患者は、提供者の指導でシステムを使用し得る。一態様において、患者は、それらの提供者にそれらの結果を知らせ得る。これは、電話、メッセージの送受信、またはデジタルアプリを通して個々の試験の後に提供者に知らせること、または複数の試験を実施し、および断続的な訪問において提供者に結果を提供することを包含し得るが、これらに限定されない。
【0142】
代替態様において、患者は、提供者の監督とは独立してシステムを使用し得る。この態様において、結果は、彼らがHIVに罹患するリスクにある遭遇に先立ち、NRTIの存在を確認するために患者によって使用され得る。
一態様において、検査は、毎日実施され得る。一態様において、検査は、患者がHIVに感染するリスクにある、危険性の高い遭遇の前に実施され得る。一態様において、検査は、提供者または調査指導者によって決定される頻度において実施され得る。
【0143】
一態様において、本発明のポイントオブケア試験(POCT)は、手持ちデバイスと一緒に使用され得る。一態様において、本発明のPOCTを伴う使用のための手持ちデバイスは、POCTの結果を分析する。一態様において、分析は、手持ちデバイス内に組み込まれている電子的検出方法を使用して実施される。一態様において、本発明の手持ちデバイスは、コンピュータプログラムとインターフェース接続する。一態様において、コンピュータプログラムは、アプリケーションまたはウェブベースの評価ツールである。一態様において、使用者は、試験結果を分析、追跡または可視化するためのコンピュータプログラムにアクセスする。一態様において、POCTからの試験結果を分析すること、追跡すること、または可視化することのためのコンピュータプログラムはまた、試験結果を内科医または他の関係者に報告するために役立つ。
【0144】
代謝体
いくつかの態様において、本明細書に開示のシステムは、医薬に関連する1以上の代謝体の検出のためのシステムへの、試験試料から得られた生物学的流体の適用を包含する。一態様において、医薬は、疾患の処置のために使用される。一態様において、医薬は、予防的手段として使用される。かかる代謝体は、これらに限定されないが、小分子、代謝産物、分解産物、または1以上のNRTI(例として、TFV、TAF、TDF、FTC)の関連代謝体を包含する。
【0145】
いくつかの態様において、医薬は、1以上のNRTIからなる。一態様において、医薬は、HIV感染を処置するために使用される。一態様において、医薬は、HIV感染を予防するために使用される。いくつかの態様において、医薬は、B型肝炎感染を処置または予防するために使用される。かかる代謝体は、これらに限定されないが、小分子、代謝産物、分解産物、または1以上のNRTI(例として、TFV、TAF、TDF、FTC)の関連代謝体を包含する。
【0146】
いくつかの態様において、本開示は、試験試料中の少なくとも1の目的のNRTIを査定すること(例として、検出することまたは定量すること)のための免疫アッセイに関する。一態様において、本発明は、TFVを検出するための免疫アッセイに関する。一態様において、本発明は、FTCを検出するための免疫アッセイに関する。一態様において、本発明は、TFVおよびFTCの両方を検出するための免疫アッセイに関する。
【0147】
NRTIの存在または不在またはNRTIの濃度に関する対照は、試験される試料中の豊富な代謝体であってもよい。一態様において、対照は、尿、唾液、血液または血漿の少なくとも1において豊富であるマーカーであってもよい。本明細書の他で記載されるように、試験されるNRTIの試験パターンの対照のそれらとの比較は、NRTIの存在を同定するために使用され得る。これに関連して、対照または対照群は、本発明のシステムおよびアッセイの適切な使用および機能を確立することを目的として使用される。したがって、対照群との比較を必要としない本発明のNRTIの単なる検出は、NRTIの存在を同定するために使用され得る。この様式において、本発明に従ったシステムは、定性的、半定量的または定量的回答のために使用されてもよい。
【0148】
尿中のNRTIの濃度またはレベルは、NRTIの血漿濃度レベルに関連する。よって、尿中のNRTIの濃度レベルは、NRTIによって供給される暴露にあたっての増大したまたは減少したHIVに罹患するリスクについての道標として役に立つ。例えばLC-MS/MSベースのアッセイを使用して、<10ng/mLの尿TFV濃度は、患者が暴露事件にあたってHIVに罹患する高いリスクにあることを示す一方で、10~1000ng/mLの尿TFV濃度は、患者が、暴露事件にあたってHIVに罹患するいくつかのリスクにあることを示し、および>1000ng/mLの尿TFV濃度は、暴露事件にあたってHIVに罹患する低いリスクにあることを示すであろう。
【0149】
免疫アッセイ(例として、側方流動アッセイ)のいずれかを使用したTFVについての追加のカットオフは、Koenig et al. HIV Med. 2017 Jul;18(6):412-418に記載されるような手順を使用して決定されてもよい。同じく、本明細書に記載のアッセイ(例として、側方流動アッセイ)のいずれかにおけるTAFなどの他の代謝体についてのカットオフは、Koenig et al. HIV Med. 2017 Jul;18(6):412-418に記載される方法論を使用して決定され得る。
【0150】
小分子を検出すること
試料中の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または同誘導体または同抱合体)の濃度は、いずれかの好適なアッセイによって決定されるであろう。好適なアッセイは、以下の方法、酵素アッセイ、免疫アッセイ、質量分析、クロマトグラフィー、電気泳動または抗体マイクロアレイの1以上、またはそのいずれかの組み合わせを包含するだろう。よって、当業者によって理解されるであろうことに、本発明のシステムおよび方法は、試料中の代謝体を検出するための当該技術分野において知られているいずれかの方法を包含するだろう。
一態様において、本発明の試料は、生体試料である。生体試料は、固体または流体試料を起源とし得る。好ましくは試料は、流体試料である。本発明の試料は、尿、全血、血清、血漿、汗、粘液、唾液、母乳、精液等を含むだろう。
【0151】
免疫アッセイ
一態様において、本発明のシステムおよび方法は、当該技術分野において周知である様々な免疫アッセイの形式の形態で実施され得る。免疫アッセイは、それらの最も単純および直接的な意味において、抗体と抗原との間を結合することに関係する結合アッセイである。免疫アッセイの多くのタイプおよび形式は公知であり、およびその全ては、開示された代謝体を検出することについて好適である。免疫アッセイの例は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫スポットアッセイ(ELISPOT)、放射免疫アッセイ(RIA)、放射免疫沈降アッセイ(RIPA)、免疫ビーズ捕捉アッセイ、ウェスタンブロッティング、ドットブロッティング、ゲルシフトアッセイ、フローサイトメトリー、タンパク質アレイ、多重ビーズアレイ、磁気捕捉、in vivoイメージング、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、光退色後の蛍光回復/局在化(FRAP/FLAP)、競合アッセイ、バイオセンサーを使用した免疫アッセイ、免疫沈降アッセイ、凝集アッセイ、濁度アッセイ、比濁分析アッセイ等々である。
【0152】
一般に、免疫アッセイは目的の分子(開示された代謝体など)を含有すると疑われる試料を目的の分子に対する抗体と接触させること、または場合によっては、免疫複合体を形成させるために有効である条件下で、目的の分子に対する抗体(例として、本明細書に記載の抗NRTI誘導体抱合体抗体)を抗体に結合され得る分子と接触させることに関係する。試料を、免疫複合体(第1の免疫複合体)を形成させるために有効である条件および充分な期間の下で、目的の分子に対する抗体かまたは目的の分子に対する抗体によって結合され得る分子と接触させることは、一般に分子または抗体および試料の接触を単にもたらすこと、および抗体が免疫複合体を形成する、すなわち、抗体が結合し得る存在するいずれかの分子(例として、代謝体)に結合するために充分に長い期間混合物をインキュベートすることについての問題である。免疫アッセイの多くの形態において、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウェスタンブロットなどの試料-抗体組成物は、次いで洗浄され、いずれかの非特異的に結合した抗体種を取り除き、第1の免疫複合体内に特異的に結合したそれらの抗体のみを検出させ得る。
【0153】
免疫アッセイは、試料中の目的の分子(開示された代謝体またはそれらの抗体など)の量を検出するかまたは定量するための方法を包含し得、その方法は、一般に結合プロセスの間に形成された形成されたいずれかの免疫複合体の検出または定量に関する。一般に、免疫複合体形成の検出は、当該技術分野において周知であり、および無数のアプローチの適用を通して達成され得る。これらの方法は、一般にいずれかの放射性、蛍光、生物学的または酵素タグなどの標識またはいずれか他の公知の標識の検出に基づく。例えば、米国特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号および第4,366,241号を参照し、その各々は、その全体および特に免疫検出方法および標識に関しての教示についてが参照されることによって本明細書に組み込まれる。
【0154】
本明細書に使用されるとき、標識は、蛍光染料、ビオチン/ストレプトアビジンなどの結合ペアのメンバー、金属(例として、金)、または着色された基質または蛍光を産生することによってなどの検出され得る分子と特異的に相互作用し得るエピトープタグを包含し得る。抗体、またはNRTI誘導体、または抱合体およびその誘導体を検出できるほどに標識化するために好適な物質は、蛍光染料(本明細書において蛍光色素およびフルオロフォアとしてもまた知られている)および比色分析の基質と反応する酵素(例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP))を包含する。
【0155】
蛍光染料の使用は、極めて少ない量にて検出され得るため、本発明の実践において一般に好ましい。さらにまた、複数の小分子(例として、代謝体またはNRTI)が単一のアレイと反応するケースにおいては、各小分子(例として、代謝体またはNRTI)は、同時検出のために別個の蛍光化合物で標識され得る。アレイ上の標識されたスポットは、蛍光光度計を使用して検出され、シグナルの存在は、特異抗体に結合された標識された小分子(例として、代謝体またはNRTI)を示す。
【0156】
フルオロフォアは、冷光を発する化合物または分子である。典型的には、フルオロフォアは、ある波長においては電磁エネルギーを吸収し、および第2の波長においては電磁エネルギーを放出する。
均一および不均一の2つの主なタイプの免疫アッセイがある。均一の免疫アッセイにおいては、抗原と抗体との間の免疫学的な反応および検出の両方が、均一の反応において実行される。不均一の免疫アッセイは、少なくとも1の分離ステップを包含し、そのことが未反応の試薬から反応産物の区別を可能とする。様々な免疫アッセイは、開示された小分子(例として、NRTI、本明細書に記載の化合物のいずれか、または誘導体、抱合体、およびそれらの類似体)の1以上を検出するために使用され得、また本明細書に参照により組み込まれ得る。
【0157】
ELISAは、不均一な免疫アッセイであり、本明細書に開示の方法において使用され得る。アッセイは、様々な形式において検出するために使用され得る。
ELISAは、競合アッセイとしてもまた使用され得る。競合アッセイの形式において、決定されるべき抗原(例として、TFVなどの代謝体)を含有する試験標本は、正確な量の酵素標識された抗原(例として、HRP-TFVまたはHRP-TFV誘導体)と混合され、および両方が固体表面に付着した抗抗原抗体(例として、抗NRTI誘導体抱合体抗体)への結合について競合する。過剰のフリーな酵素標識された抗原は、酵素について基質が添加される前に洗い流される。酵素-基質の相互作用の結果生じる色強度の量は、試験された試料中の抗原の量の尺度である。ELISAなどの不均一な免疫アッセイは、開示された小分子(例として、NRTI、本明細書に記載の化合物のいずれか、または誘導体、抱合体、およびそれらの類似体)のいずれかを検出するために使用され得、また本明細書に参照により組み込まれ得る。
【0158】
均一な免疫アッセイは、例えば典型的には、測定されるべき代謝体を含む生体試料、測定されるべき代謝体の酵素標識された分子、測定されるべき代謝体に結合する特異抗体または抗体、および特異的な酵素発色基質を包含する、酵素増幅免疫アッセイ技法(EMIT)を包含する。典型的なEMITにおいて、過剰の特異的抗体が、生体試料に添加される。生体試料が検出されるべき小分子(例として、代謝体またはNRTI)を含有する場合に、かかる小分子(例として、代謝体またはNRTI)は、抗体に結合する。測定される量の対応する酵素標識された小分子(例として、代謝体-またはNRTI-抱合体誘導体)は、次いで混合物に添加される。
【0159】
試料中のかかる小分子(例として、代謝体またはNRTI)に占有されていない抗体結合部位は、添加された酵素標識された小分子(例として、代謝体-またはNRTI-抱合体誘導体)の分子で占有される。試料中の高濃度の検出されるべき小分子(例として、代謝体またはNRTI)は、より低い吸光度の読み取りを生じさせる。試料中のより少ない小分子(例として、代謝体またはNRTI)は、より多い酵素活性およびその結果としてより高い吸光度の読み取りという結果をもたらす。EMITなどの均一な免疫アッセイは、開示された小分子(例として、代謝体またはNRTI)のいずれかを検出するために使用され得、また本明細書に参照により組み込まれる。
【0160】
本明細書の他の場所で記載されるように、多くの免疫アッセイにおいて、抗原の検出は、検出分子として抗原特異的な抗体の使用によりなされる。しかしながら、本発明の免疫アッセイおよびシステムおよび方法は、検出分子として抗体の使用に限定されない。所与の試料内の抗原に結合し得るかまたは捕捉し得るいずれかの物質が使用されるだろう。抗体は別として、検出分子としてまた使用され得る好適な物質は、これらに限定されないが、酵素、ペプチド、タンパク質、および核酸を包含する。
【0161】
さらに、捕捉された抗原が検出されるであろう、当該技術分野において知られている多くの検出方法がある。いくつかのアッセイにおいて、酵素に連結された抗体が色の変化を産生する。他のアッセイにおいて、捕捉された抗原の検出は、蛍光の、ルミネセンスの、化学発光の、または放射性のシグナルを検出することを通してなされる。現行の発明のシステムおよび方法は、免疫アッセイにおいて産生される検出可能なシグナル具体的なタイプに限定されない。
【0162】
免疫アッセイキットもまた、本発明に包含される。これらのキットは、別々の容器に、本発明の化合物、または類似体または誘導体についての結合特異性を有するモノクローナルまたはポリクローナル抗体を包含する。この免疫アッセイキットは、本明細書に提供される様々な方法の実践について利用されるであろう。モノクローナル抗体および抗抗体免疫グロブリンは、約0.001mg~100グラム、およびより好ましくは約0.01mg~1グラムの量で提供され得る。抗抗体免疫グロブリンは、ポリクローナル免疫グロブリン、プロテインAまたはタンパク質Gまたはその機能的フラグメントであってもよく、当該技術分野において知られている方法によって使用に先立ち標識されていてもよい。いくつかの態様において、免疫アッセイキットは、以下の2、3または4を包含する:開示された小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)に特異的に結合する抗体、または本明細書に組み込まれるもの。
【0163】
一態様において、本発明の免疫アッセイキットは、以下を含み得る(a)試料パッド、(b)抱合標識パッド、ここで、抱合標識パッドは検出可能な標識を有し、抱合標識パッドの一部および試料パッドの一部は第1界面を形成する、(c)膜を含む側方流動アッセイ、ここで、膜の一部および抱合標識パッドの一部は第2界面を形成する、および(d)膜に結合された少なくとも1の抗体、ここで、第1界面は、流体を試料パッドから抱合標識パッドに流し、および検出可能な標識に接触させ、ここで試料中に存在する代謝体は、代謝体-抱合標識複合体を形成し、第2界面は、流体を抱合標識パッドから膜に流し、および少なくとも1の膜結合抗体に接触させ、代謝体-抗体複合体を形成し、および検出可能なシグナルを形成する検出可能な標識を生じさせる。
【0164】
一態様において、本発明の免疫アッセイキットは、これらに限定されないが、指示材料および試料収集容器の1以上を包含する、追加の構成要素を包含する。一態様において、本発明のキットは、単一の免疫アッセイシステムを包含する。一態様において、本発明のキットは、2以上の免疫アッセイシステムを包含する。
一態様において、本発明のキットは、手持ちデバイスを包含する。一態様において、キットは、本発明のPOCTの結果を分析すること、記録すること、モニタリングすること、追跡すること、および/または報告することのためのコンピュータソフトウェアのためのシステムまたはそれにアクセスするためのシステムを包含する。
【0165】
ポイントオブユースデバイス
ポイントオブユース分析試験は、様々な生体試料(尿、血清、血漿、血液、唾液など)を使用しての健康に関する状態(妊娠、がん、内分泌障害、感染性疾患または薬物乱用など)の日常的な同定またはモニタリングのために開発されている。ポイントオブユースアッセイのうちのいくつかは、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか、または誘導体およびその抱合体)/抗体、抗原/抗体、ハプテン/抗体、レクチン/炭水化物、アポタンパク質/補因子およびビオチン/(ストレプト)アビジンなどの特異的な結合ペア間の特異的な相互作用に高度に基づく。
【0166】
いくつかのポイントオブユースデバイスにおいて、アッセイは、特異的結合ペアメンバーが、可動性材料(金属ゾルまたはラテックスまたはガラス製のビーズなど)または固定された基質(ガラス繊維、セルロースストリップまたはニトロセルロース膜など)に付着している試験ストリップを用いて実施される。他のポイントオブユースデバイスは、光学バイオセンサー、測光バイオセンサー、電気化学的バイオセンサー、または他のタイプのバイオセンサーを含んでいてもよい。本発明の方法を実施することのためのポイントオブユースデバイスにおける好適なバイオセンサーは、光学または音響学リーダーを有する「カード」または「チップ」を包含する。バイオセンサーは、収集されたデータが解釈のために内科医に電子的に送信されることを可能にするように構成され得、およびよって診断およびモニタリングが、患者が内科医に近接するまたは診療所にある必要なくなされ得る、電子医学(e-medicine)の基礎を形成し得る。
【0167】
試料中の代謝体の検出は、本明細書に記載のそれらなどの1以上の代謝体の検出を可能にする、側方流動デバイス(例えば、側方流動試験ストリップ)などの試料捕捉デバイスを使用して実行され得る。
本発明の試験ストリップは、上流の試料適用エリアから試験部位への流路を包含する。例えば、流路は、動員区域を通って試料適用エリアから捕捉区域までであり得る。動員区域は、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)と相互作用する可動性の抗体を含有してもよく、および捕捉区域は、試料中の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)の存在(または不在)を検出するための小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)に結合する試薬を含有する。
【0168】
本明細書に開示の試験ストリップは、NRTIの準拠のモニタリングに限定されず、単一の側方流動ストリップまたは免疫アッセイカートリッジにおける他の試験と結び付けられ得る。非限定例において、本明細書に開示の試験ストリップは、単一の側方流動ストリップまたは免疫アッセイカートリッジにおける他の試験と結び付けられて、TFVの準拠およびHIV感染状況などの臨床的関連の別の試験の手段を測定し得る。
【0169】
遊走アッセイデバイスの例は、大抵それらの内に着色された標識に付着された試薬を組み込んでおり、それによってさらなる物質の付加なしにアッセイの結果の目に見えた検出を可能にするものは、例えば、米国特許第4,770,853号(参照により本明細書に組み込まれる)において見出される。複数の区域の側方流動試験ストリップは、米国特許第5,451,504号、第5,451,507号、および米国特許第5,798,273号(参照により本明細書に組み込まれる)において開示される。米国特許第6,656,744号(参照により組み込まれる)は、その中で標識がストレプトアビジン-ビオチン相互作用を通して抗体に結合する、側方流動試験ストリップを開示する。
【0170】
フロースルータイプのアッセイデバイスは、一部において、ディップスティックアッセイに関連するインキュベーションおよび洗浄のステップについての必要性を除去するために設計される。フロースルー免疫アッセイデバイスは、そこに液体試料が添加される、多孔質の膜またはフィルターに結合された捕捉試薬(1以上の抗体など)に関する。膜を通して液体が流れるにつれて、標的小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)は、捕捉試薬に結合する。試料の付加の後に、標識された抗体(例として、金で抱合されたまたは着色されたラテックス粒子で抱合された抗体)などの検出試薬の付加が続く(または同時になされる)。代替的に、検出試薬は、検出剤を試料と混合し、およびそれによって小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)を標識する様式で膜上に置かれてもよい。
【0171】
検出試薬の目に見えた検出は、試料中の標的小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)の不在の指示を提供する。代表的なフロースルーアッセイデバイスは、米国特許第4,246,339号;第4,277,560号;第4,632,901号;第4,812,293号;第4,920,046号;および第5,279,935号;米国特許出願公開番号20030049857および20040241876;およびWO08/030,546に記載されている。遊走アッセイデバイスは、大抵それらの内に着色された標識に付着された試薬を組み込んでおり、それによってさらなる物質の付加なしにアッセイの結果の目に見えた検出を可能にする。例えば、米国特許第4,770,853号;PCT公開番号WO88/08534を参照されたい。
【0172】
本明細書に記載のデバイスは、一般には、吸収性の材料(微多孔質膜など)のストリップを包含し、いくつかの場合において、それらは隣接している、および/または重複しているであろう区域においてそれらは各々互いに接合された異なる物質から作製され得る。いくつかの例において、吸収性のストリップは、支持している非相互作用性材料(不織布ポリエステルなど)上に固定され得、例えば、増大した剛性をストリップに提供する。各ストリップ内の区域は、特異的結合パートナー(単数または複数)および/または例えば、1以上の本明細書に開示の小分子(例として、代謝体またはNRTI)について試験される具体的な小分子(例として、代謝体またはNRTI)の検出および/または定量化のために必要とされる他の試薬を差別的に含有していてもよい。よってこれらの区域は、試験デバイス内の機能的部門または機能的領域として見られ得る。
【0173】
一般に、流体試料は、ストリップの近位端で、実例としてディッピングまたはスポッティングによって、ストリップに導入される。試料は、当業者に周知の方法を使用して収集または得られる。検出されるべき具体的な代謝体またはNRTIを含有する試料は、いずれかの生物学的供給源から得られるであろう。具体的な例において、生物学的供給源は、尿である。試料は、免疫アッセイの結果を最適にするために、希釈され、精製され、濃縮され、濾過され、溶解され、懸濁され、またはアッセイに先立ち他の操作をされてもよい。流体は、ストリップのすべての機能的領域を通って遠位に移動する。ここの機能的領域における最終的な流体の分布は、使用される材料の吸着容量および面積に依存する。
【0174】
いくつかの態様において、本明細書の他で記載されているニトロセルロースなどの多孔質固体支持体は、好ましくは、シートまたはストリップの形態である。かかるシートまたはストリップの厚さは、広い範囲内、例えば、約0.01~0.5mm、約0.02~0.45mm、約0.05~0.3mm、約0.075~0.25mm、約0.1~0.2mm、または約0.11~0.15mmで変更してもよい。かかるシートまたはストリップのポアサイズは、同様に広い範囲内、例えば約0.025~15ミクロン、またはより特異的に約0.1~3ミクロンで変更してもよい;しかしながら、ポアサイズは、固体支持体の選択における限定の因子であることを意図しない。固体支持体の流速は、適用できる場合には、広い範囲内、例えば約12.5~90sec/cm(すなわち、50~300sec/4cm)、約22.5~62.5sec/cm(すなわち、90~250sec/4cm)、約25~62.5sec/cm(すなわち、100~250sec/4cm)、約37.5~62.5sec/cm(すなわち、150~250sec/4cm)、または約50~62.5sec/cm(すなわち、200~250sec/4cm)で変更し得る。
【0175】
アッセイデバイスの使用において考慮されるべき別の一般的な特色は、小分子(1以上の代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物など)と捕捉試薬(1以上の抗体など)との間の複合体の形成を検出するための手段である。検出剤(検出試薬とも称される)は、この目的に役に立つ。検出剤は、アッセイデバイスに統合されていてもよく(例えば、抱合体パッド中に包含する)、または外部供給源からデバイスへと適用されてもよい。
【0176】
検出剤は、単一の試薬または検出の目的に集合的に役に立つ一連の試薬であってもよい。いくつかの場合において、検出試薬は、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)に特異的な標識された結合パートナーである(具体的な代謝体についての金で抱合された抗体、または目的のNRTIなど)。
【0177】
他の実例において、検出試薬は、集合的に小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)に特異的な標識されていない第1結合パートナーおよび第1結合パートナーに特異的な標識された第2結合パートナー等を包含する。よって、検出剤は、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか)に特異的な標識された抗体であり得る。検出剤はまた、目的の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか)に特異的な標識されていない第1抗体および標識されていない第1抗体に特異的に結合する標識された第2抗体であり得る。
【0178】
各実例において、検出試薬は、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)-捕捉試薬複合体の結合された小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)を特異的に検出し、したがって、検出試薬は、好ましくは、捕捉試薬または小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)の捕捉エリアに局在する他の構成要素に実質的に結合しないかまたは反応しない。検出器のそのような非特異的結合または反応は、偽陽性の結果を提供するであろう。任意に、検出試薬は、第2の捕捉エリアに存在する陽性対照分子(標識されたプロテインA検出剤または標識されたタンパク質G検出剤についての非特異的ヒトIgG、または標識された抗ヒトAb(Fc)など)を特異的に認識し得る。
【0179】
フロースルーデバイスの構築および設計
フロースルーデバイスは、固体支持体、典型的には、マイクロ力価プレートまたは膜(ニトロセルロース、ナイロン、またはPVDFなど)上に固定された捕捉試薬(1以上の抗体など)に関する。単純で代表的な形式において、フロースルーデバイスの膜は、機能的または物理的に吸収性の層と接触して配置され、膜を通して流体試料を引き出すリザーバーとして作用する。任意に、捕捉試薬の固定化に続き、膜上にいずれか残存する小分子-(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか)結合部位は、ブロックされ(試料投与の前かまたは同時かのいずれか)、非特異的な相互作用を最小限化し得る。
【0180】
フロースルーデバイスの操作において、流体試料は、膜と接触して配置される。典型的には、フロースルーデバイスはまた、試料適用エリア(またはリザーバ)を包含し、所望される体積の流体試料を受け入れ、および一時的に保持する。試料は、膜マトリックスを通過する。このプロセスにおいて、試料中の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれかなど)は、固定された捕捉試薬(1以上の 抗体など)に特異的に結合し得る。
【0181】
小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか)-捕捉試薬複合体の検出が所望される場合に、検出試薬(1以上の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物のいずれか)に特異的に結合する標識された抗体など)は、試料とともに添加され得るかまたは検出試薬を含有する溶液は、試料の適用に続いて添加され得る。小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、または同抱合体または同誘導体)が、捕捉試薬によって特異的に結合される場合に、具体的な検出試薬に起因する特徴は、膜の表面上で観察され得る。任意の洗浄ステップは、プロセスのいつにでも付加され得、実例として、試料の適用に続いて、および/または検出試薬の適用に続いてである。
【0182】
側方流動デバイス構築物および設計
側方流動デバイスは、当該技術分野において一般的に知られている。簡潔には、側方流動デバイスは、その本質として、目的の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)を含む疑いのある試験試料流体を流す試験ストリップを有する分析デバイスである。試験流体および任意の懸濁された小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)は、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)(存在する場合)が、捕捉剤および検出剤と相互作用して、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)の存在、不在、および/または分量を示す検出ゾーンへ、ストリップに沿って流れ得る。
【0183】
多数の側方流動分析デバイスが開示されており、米国特許第4,313,734号;第4,435,504号;第4,775,636号;第4,703,017号;第4,740,468号;第4,806,311号;第4,806,312号;第4,861,711号;第4,855,240号;第4,857,453号;第4,943,522号;第4,945,042号;第4,496,654号;第5,001,049号;第5,075,078号;第5,126,241号;第5,451,504号;第5,424,193号;第5,712,172号;第6,555,390号;第6,258,548号;第6,699,722号;第6,368,876号および第7,517,699号に示されたものを包含し、これらの各々は、参照により組み込まれている。
【0184】
多くの側方流動デバイスは1ステップ側方流動アッセイであり、当該アッセイでは、生物学的流体は吸水性ストリップ(ただし、非吸水性の材料が使用され得、例として、前記材料に界面活性剤を適用することによって吸水性になり得る)の試料エリアに配置され、液体が液体中の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)と相互作用する特定の結合パートナー(抗体など)と接触するまで、ストリップに沿って移動する。標識された小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)が結合パートナーと相互作用すると、シグナル(蛍光色素または可視色素など)は相互作用が発生したことを示す。複数の個別の結合パートナー(抗体など)をストリップ上に(例えば平行線で)配置して、液体中の複数の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)を検出できる。試験ストリップは対照インジケーターを組み込むこともでき、これにより、小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)の存在(または不在)を示す陽性シグナルがストリップに見られない場合であっても、試験が適正に行われたというシグナルが提供される。
【0185】
側方流動デバイスは、当該技術分野において同様に周知である多種多様な物理的な形態を有する。側方流動デバイスの基本的な構成要素を適切な機能関係で支持および/または収容する任意の物理的な形態が、本開示によって企図される。
側方流動デバイスの具体的な態様の基本的な構成要素は、試料パッド、抱合体パッド、遊走膜、および吸収パッドである。
【0186】
試料パッドは、最初に試料を受け入れる側方流動デバイスの構成要素であり、試料から微粒子を除去するのに役立ち得る。試料パッドを構成するために使用され得る様々な材料(ガラス繊維、織り繊維、スクリーン、不織繊維、セロシックファイバー(cellosic fiber)または紙など)の中で、セルロース試料パッドは、大きなベッド体積が特定の用途で因子である場合に有益であり得る。試料パッドは、バッファー、塩、タンパク質、洗浄剤、および界面活性剤などの1以上の放出剤で処理され得る。かかる放出剤は、例えば、抱合体パッド構成要素の再可溶化を促進するため、およびニトロセルロース膜などの側方流動デバイスの他の構成要素における非特異的結合部位を遮断するために有用であり得る。代表的な放出剤は、例えば、トレハロースまたはグルコース(1%~5%)、PVPまたはPVA(0.5%~2%)、Tween 20またはTriton X-100(0.1%~1%)、カゼイン(1%~2%)、SDS(0.02%~5%)、およびPEG(0.02%~5%)を含む。
【0187】
遊走膜に関して、側方流動デバイスで有用な膜のタイプは、ニトロセルロース(純粋なニトロセルロースおよび修飾されたニトロセルロースを含む)およびポリエステル支持体上に直接キャストされたニトロセルロース、ポリビニリデンフッ化物、またはナイロンを包含するが、これらに限定されない。
抱合体パッドは、とりわけ、検出試薬を保持するのに役立つ。抱合体パッドに好適な材料は、ガラス繊維、ポリエステル、紙、または表面修飾ポリプロピレンを包含する。
抱合体パッドに含まれている検出試薬(単数または複数)は、典型的には、試験試料の適用時に溶液中に放出される。抱合体パッドは、検出試薬の溶液への放出に影響を与えるために、様々な物質で処理され得る。例えば、抱合体パッドは、PVAまたはPVP(0.5%~2%)および/またはTriton X-100(0.5%)で処理され得る。他の放出剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、SDS、Brijおよびβ-ラクトースを含むが、これらに限定されない。2以上の放出剤の混合物は、任意の所与の用途で使用され得る。
【0188】
吸収パッドに関して、パッドは、デバイスに入る試料の総体積を増加させるように作用する。この増大した体積は、例えば、膜から未結合の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)を洗い流すのに有用であり得る。任意の様々な材料は、例えばセルロースフィルターまたは紙などの吸収パッドを調製するのに有用である。いくつかのデバイスの態様において、吸収パッドは紙(すなわち、セルロース繊維)であり得る。当業者は、例えば、その厚さ、圧縮性、製造可能性、およびベッド体積の均一性に基づいて、紙吸収パッドを選択し得る。作製された吸収剤の体積取り込みは、吸収パッドの寸法(大抵は長さ)を変更することによって調整され得る。
【0189】
側方流動デバイスの特定の態様の操作において、本明細書に記載の1以上の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)などの目的の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)を含む流体試料が試料パッドに適用される。いくつかの例において、試料は、試料パッドを含むデバイスの端部を試料(尿など)に浸漬することによって、または試料を試料パッドに直接適用することによって、試料パッドに適用され得る。
【0190】
試料は、実例として、毛管作用により、試料パッドから抱合体パッドに移動する。抱合体パッドでは、小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)は、抗体(本明細書に記載の1以上の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)を認識する抗体など)などの可動または可動性の検出試薬に結合し(またはこれによって結合され)得る。例えば、小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)は、抱合体パッドに含まれる標識(例として、金抱合または着色ラテックス粒子抱合)抗体に結合し得る。検出試薬と複合体を形成した小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)は、続いて試験ラインに流れ、そこで複合体はさらに、近位試験ラインで固定化されている小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物)特異的結合パートナー(特定のタンパク質に結合する抗体、抗ハプテン抗体、またはストレプトアビジンなど)と相互作用し得る。いくつかの例において、検出試薬(金抱合抗体など)と複合体を形成した小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)は、近位試験ラインに固定化された非標識の酸化抗体にさらに結合し得る。近位試験ラインの局所領域における標識(例として、金または着色ラテックス)の蓄積からもたらされる複合体の形成が検出される。対照ラインは、小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)の存在下または不在下で検出試薬に結合し得る固定化された検出試薬特異的結合パートナーを含み得る。対照ラインでのかかる結合は、目的の小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)の不在下でも、試験の適切な性能を示す。
【0191】
一態様において、対照ラインは、IgG、IgD、IgAまたは尿の別の成分の1つの存在を検出する。一態様において、対照ラインは、糖タンパク質、分泌型IgA、ラクトフェリン、リゾチームおよびペルオキシダーゼの1つ、または唾液の別の成分の存在を検出する。
試験結果は、直接視覚化することも、リーダー(スキャナーなど)を使用して測定することもできる。リーダーデバイスは、色、蛍光、発光、放射能、または読み出しエリア(例えば、試験ラインおよび/または対照ライン)からの標識試薬に由来する任意の他の検出可能なマーカーを検出し得る。
【0192】
側方流動デバイスの別の態様において、試験結果の試験ラインに対して平行または垂直に(または任意の他の空間的関係で)配置された第2(または第3、または第4以上)の試験ラインがあり得る。この特定の態様の操作は、(i)別の抗体などの、第2小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)に特異的な第2検出試薬もまた抱合体パッドに含まれ得ること、(ii)第2試験ラインは、試料中の第2小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)などの第2小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)に親和性を有する第2特異的結合パートナーを含むであろうことに鑑みれば、本明細書の他の場所で記載されているものと同様である。同様に、第3(またはそれ以上)試験ラインが含まれている場合、試験ラインは第3(またはそれ以上)小分子(代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物など)に親和性を有する第3(またはそれ以上)特異的結合パートナーを含むであろう。
【0193】
一態様において、対照ラインの試験ラインとの比較により、本発明の診断システムから試験結果が得られる。いくつかの場合において、対照ラインが試験ラインよりも高い強度レベルで検出されたときに有効な結果が生じる。例えば、対照ラインが試験ラインよりも少なくとも5%以上、例えば10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%以上暗いときに有効な結果が生じる。いくつかの場合において、対照ラインが試験ラインよりも少なくとも0.5倍以上、例えば1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍以上暗いときに有効な結果が生じる。
【0194】
ポイントオブケア診断およびリスク査定システム
本発明のシステムは、ポイントオブケアのシナリオに適用され得る。米国特許第6,267,722号、第6,394,952号および第6,867,051号は、特定の医療リスクを診断および査定するためのシステムを開示および記載しており、その内容は本明細書に組み込まれている。前記システムは、患者が診察および試験されるポイントオブケアの現場での使用、および現場から離れた操作のために設計されている。前記システムは、生化学的試験データ、身体試験データ、履歴データおよび他のかかるデータを含むが、これらに限定されない患者データの形式で入力を受け入れ、医療診断に関連するデータまたは疾患リスク指標などの情報を処理して出力するように設計されている。患者データは、医療記録または履歴などのシステム内に含まれ得るか、または例えば免疫アッセイ試験データ、血圧読み取り、超音波、X線またはMRIの医療試験または手順からのシグナルまたは画像として入力され得るか、または任意の他の形態で導入され得る。特定の試験データは、デジタル化され、処理され、医療診断エキスパートシステムに入力され得、他の患者情報と統合され得る。システムからの出力は、疾患リスク指標または医療診断である。
【0195】
ポイントオブケア試験は、その結果得られる試験がこのシステムを使用しない同等の試験よりも速く行われるように、迅速な時間枠で行われ得るリアルタイム診断試験を指す。例えば、本明細書に開示および記載される例示的な免疫アッセイは、対応するELISAアッセイよりも著しく短い時間で、例として、30分未満で行われ得る。加えて、ポイントオブケア試験は、医師のオフィス、ベッドサイド、スタットラボ(stat laboratory)、救急室または他のかかる場所などの現場で、特に迅速で正確な結果が必要な場合に、迅速に行われ得る試験を指す。
【0196】
例示の態様において、ポイントオブケア診断およびリスク査定システムは、患者データを読み取るためのリーダー、リーダーで読み取られるように設計された試験デバイス、およびデータを分析するためのソフトウェアを含む。プラスチックハウジングにおける試験ストリップデバイスは、リーダーと併せての使用のために設計されており、任意に英数字バーコードまたは他の機械可読コードなどの記号を含み、試験ストリップから生成されたデータの分析のために設計されたソフトウェアもまた提供される。
【0197】
一態様において、リーダーは、試験ストリップなどのデータを検出および/または定量化するための機器を指す。データは肉眼で見え得るが、見える必要はない。かかるリーダーは、上記の組み込まれた米国特許第6,267,722号、第6,394,952号および第6,867,051号に開示および記載されている。反射率リーダーは、蛍光を含む反射光、または任意の波長の電磁放射線を使用して試験ストリップを読み取るように適合された機器を指す。反射率は、光検出器または電荷結合ダイオード(CCD)などの他の検出器を使用して検出され得る。例示の反射率リーダーは、試験ストリップ、発光ダイオード、光ファイバー、検知ヘッド、検知ヘッドを試験ストリップに沿って配置するための手段を含む、光検出器の出力を読み取り、発光ダイオードのオンおよびオフ操作を制御するための制御回路、生および/または処理されたデータを格納するための記憶回路、およびシリコンフォトダイオード検出器などの光検出器を受け入れるように適合されたカセットスロットを含む。色の変化は、色の強度または色相の変化を指すか、または色が存在しない場合の色の出現または色の消失であり得ることが理解されよう。
【0198】
一態様において、試料は診断免疫アッセイ試験ストリップに適用され、着色または暗色のバンドが生成される。試験ストリップの試験領域(または検出ゾーン)の色標識によって反射される色の強度は、目的の濃度範囲では、試験されている試料中に存在する小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)の量に直接比例するか、そうでなければ相関する。本態様によれば、生成された色強度は、試験ストリップを読み取るように適合されたリーダーデバイス、例えば反射率リーダーを使用して読み取られる。試験ストリップの試験領域(または検出ゾーン)の色標識によって反射される色の強度は、試験されている試料中に存在する小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)の量に直接比例する。換言すれば、試験領域のより暗い色のラインは、より少量の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)を示すが、試験領域のより明るい色のラインは、より多量の小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)を示す。生成された色の強度、すなわち色付きのラインの暗さまたは明るさは、視覚的に読み取られるか、または試験ストリップを読み取るように適合されたリーダーデバイス、例えば反射率リーダーを使用して読み取られる。
【0199】
リーダーデバイスによって得られた反射率測定は、試料中に存在する小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)の存在、不在、および/または分量と相関する。リーダーは、ストリップに沿って複数の読み取りを取得し、試料中に存在する小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの抱合体または誘導体)の存在、不在、および/または分量を示す結果を生成するために使用されるデータを得る。システムは、かかるデータを障害、疾病またはそれらのリスクの存在と相関させ得る。
【0200】
本明細書の他の場所で述べたように、試験ストリップの読み取りに加えて、リーダーは(任意に)バーコードなどの記号を読み取るように適合され得、これは、試験ストリップまたはハウジングに存在し、試験ストリップデバイスに関する情報および/または試験結果および/または患者、および/または試薬または他の所望の情報をコードする。典型的には、関連情報はリモートコンピュータデータベースに保存されるが、手動で保存することもできる。さらに、デバイスが使用され、その中にコードされた情報が存在するとき、記号は刻印され得る。
【0201】
健康プロファイル
一態様において、本発明は、対象の健康プロファイルを生成するための1以上の医療レジメンへの準拠を含む因子の同定に関する。一態様において、医療レジメンは予防レジメンである。結果的に、本発明は、因子の検出および本明細書に開示の健康プロファイルを査定することにより、1以上の予防薬が処方される疾病(単数または複数)を発症するリスクがある対象を同定するための方法を特徴とする。これらの因子またはそうでなければ健康プロファイルは、処置および治療を受けている対象をモニタリングすること、および許容し得る代替手段が利用可能であるときに準拠の低い率を有する対象に効果的であろう代替手段を選択または治療および処置をこれに変更することにも有用である。
【0202】
HIVを発症するリスクは、本明細書に記載の1以上の因子を測定し、因子の存在および値を参照値または指標値と比較することによって査定され得る。かかる比較は、複数の個々の因子および他のパラメーターの結果からの情報を単一の測定または指標に組み合わせるために、数学的アルゴリズムまたは式で行われ得る。HIVの増大したリスクを有すると同定された対象は、カウンセリング、モニタリングの増大した頻度、または治療用化合物の投与などの処置レジメンを受け入れるように任意に選択され得る。HIVを有する対象は、それらの個別の健康プロファイルと比べて、カウンセリングまたはモニタリングの増大した頻度を受け入れるように任意に選択され得る。
【0203】
よって、本発明の因子を使用して、(i)HIVを発症しておらず、発症することが予想されていない、および/または(ii)HIVを発症しているか、または発症すると予想される対象の健康プロファイルまたはサインを生成することができる。対象の健康プロファイルを所定のプロファイルまたは参照プロファイルと比較して、HIV発症のリスクがある対象を診断または同定し、予防レジメンへの準拠をモニタリングすること、およびNRTIまたは他の予防的医薬の有効性をモニタリングすることができる。本発明の因子に関するデータはまた、他のデータまたは試験結果、例えば、これらに限定されないが、臨床パラメーターの測定またはHIVの他のアルゴリズムと組み合わせるか、または相関させることができる。
本明細書に記載の本発明の方法から得られた情報は、単独で、または対象からのまたは対象から得られた生体試料からの他の情報(例として、年齢、人種、性的配向、バイタルサイン、血液化学など)と組み合わせて使用され得る。
【0204】
本発明の様々な態様は、複数の時点での個体における予防的医薬のレベルをモニタリング、追跡、および報告するように構成された機構を記載する。一態様において、システムは、個体からの複数の試料からの予防的処置レジメンに関連する代謝体の存在についてのデータの収集を可能にする。システムは、予防的医薬に関連する代謝体のレベルの変化(すなわち、増加または減少)が単一の個体からの後続の試料において検出されたときに、予防薬が処方された障害または疾病を発症するリスクの可能性についてユーザー/評価者に通知し得る。例えば、いくつかの実装において、ユーザー/評価者がシステムに入力した、または予防的医薬を服用した1、2、3、および4日後にシステムが自動的に記録した代謝体の存在をシステムが記録し、アルゴリズムを適用して、追加の予防的投与の介入がない場合に個体が障害にかかるリスクが高い日を予測するパターンを認識する。アルゴリズム分析は、例えば、中央の(例として、クラウドベースの)システムで行われ得る。クラウドにアップロードされたデータはアーカイブおよび収集され得るため、学習アルゴリズムにより、すべての患者の集合データセットに基づいて分析が洗練される。いくつかの実装において、システムは定量化された臨床的特色および生理学を組み合わせて、収集されたデータに基づいてリスクを客観的、早期、および少なくとも半自動で診断するのに役立つ。
【0205】
いくつかの態様において、システムは、個体による使用および個々の対象による追跡のためのものである。いくつかの態様において、システムからのデータは中央システムにアップロードされ、プロバイダーはデータを評価して診断または推奨を行う。プロバイダーは、いくつかの実装において、POCTシステムとリモート評価者コンピューティングシステムとの間のリアルタイムデータフィードを通じてライブ分析を行い得る。
【0206】
システムは数個の利点を有する。システムは、電子手持ちデバイス、または便宜上ウェアラブルデータ収集デバイスなどの電子デバイスの文脈においてキットまたはアプリケーションの形態にすることができる。システムはプロバイダーにも有益である。プロバイダーは、自宅から、通勤中、またはそうでなければオフィスから離れて、処置レジメンへの準拠を評価し得る。さらに、プロバイダーは、個体が処方されたレジメンに準拠していれば、診察を受けなくても予防薬の継続使用を承認できる。プロバイダーまたは個体自身も、個体に増大したリスクがあり得ることを示唆する処置準拠の一過的な失効にシステムによって変更される場合がある。
【0207】
いくつかの実装において、システムは個体の進行中の進捗状況を追跡するために使用される。かかる進行中の査定を可能にするために、いくつかの態様において、査定用アプリケーションは、ネットワークアクセス可能なコンテンツストアの他のコンテンツリポジトリまたは他のコンテンツコレクションを介して、ウェアラブルデータ収集デバイスへのダウンロードまたはストリーミングで利用可能にされ得る。コンテンツは、実際に単純なテキスト、画像、またはビデオコンテンツなどから、完全に精巧なソフトウェアアプリケーション(「アプリ」)またはアプリスイートまで様々であり得る。コンテンツは自由に利用可能であり得るか、サブスクリプションベースのものであり得る。コンテンツはスタンドアローンのものであり得、コンテンツを再生する既存の機能(テキスト、画像、ビデオ、アプリなどを表示し、データを収集する組み込み機能など)に基づいてウェアラブルデータ収集デバイスで再生することもでき、またはコンテンツプロバイダーからのコンテンツを組み込むように設計されたコンテンツ対応フレームワークまたはプラットフォームアプリケーション内で再生または展開され得る。さらに、コンテンツの消費者は、HIVに感染するリスクのある個体またはその家族、ならびにシステムモジュールを専門業務に組み込みたい臨床医、医師、および/または教育者を包含し得る。
【0208】
一態様において、本発明のHIVに感染するリスクを査定するためのシステムは、携帯電話、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータなどで実施され得る。いくつかの実装において、査定に加えて、システムの1以上のモジュールは、HIVおよびその特徴への個体の対処をサポートするためのトレーニング機構(いくつかの例において、HIVを有する個体への応急手当の受け入れまたは提供時に実行するアクションを支援するトレーニング機構など)を提供する。
【0209】
一態様において、本発明のシステムは、電子診療記録データベース/ソフトウェアの舞台裏で自動的に動作する媒体にあることができ、データが警告を促すように設計された場合に通知が自動的に生じる。
別の態様において、本発明のシステムは、「機械学習」を包含する形態とすることができ、プロセスおよびコンパレータは、より多くの情報が入力され、新しいアナログが開発されるにつれて更新および改善される。
いくつかの態様において、本発明は、B型肝炎ウイルスの処置または予防のために、TFVを含むレジメンの患者コンプライアンスを評価するために適用され得る。
【0210】
疾患
一態様において、HIVを有すると診断された人は、HIVの処置のために1以上のNRTIを含む医薬を処方され得る。一態様において、HIVに感染するリスクのある個体は、曝露事例からHIVに感染するリスクを低減するための予防措置として毎日服用される1以上のNRTIを含む医薬を処方され得る。かかる個体は、HIVを有すると診断された個体の親族であり得る。かかる個体は、HIVを有すると診断された個体の長期ケア提供者であり得る。かかる個体は、HIVを有すると診断された個体の短期ケア提供者であり得る。かかる個体は、HIVを有すると診断された個体の居住者または非居住者のパートナーであり得る。あるケースにおいて、かかる個体は、HIVの処置または予防のためのHIVまたは医薬に関する調査に参加し得る。いくつかの態様において、人は、B型肝炎ウイルスを有すると診断され、HIVについて上記に与えられたものと同様の理由でNRTIを処方され得る。
【0211】
一態様において、本発明は、個体が最近(例として、1週間以内に)NRTIを服用したかどうかを迅速に決定するためのシステムを提供する。一態様において、試験結果を使用して、提供者または調査研究管理者によって処方されるように、個体が1以上のNRTIを含む医薬を服用しているかどうかを決定することができる。一態様において、試験結果を使用して、個体が暴露事例でHIVに感染するリスクが高いかどうかを決定することができる。
【0212】
一側面において、処方された予防計画または処置計画に対するコンプライアンスの個体のレベルの決定は、個体の将来の処置計画に関して医師に通知することができるため、本発明は有用である。一側面において、調査研究に対するコンプライアンスの個体のレベルの決定は、新しいNRTI医薬の有効性について収集されたデータの有効性に関して研究者に通知できるため、本発明は有用である。例えば、新しいNRTIを試験する調査研究に参加している個体が本発明を使用し、試験結果が、その人が処方通りにNRTIを服用したことを示している場合、調査研究結果に信頼が提供される。代替的に、試験結果が、個体が処方通りにNRTIを服用していないことを示している場合、研究者はその個体を進行中の研究から除外する必要があると決定し得る。
【0213】
一態様において、処方計画への準拠を改善するためにインセンティブ方法が提供され得、個体は任意の様式でNRTIを含む医薬を服用するように動機付けされ、本発明は処方計画への準拠をモニタリングするために使用される。インセンティブ方法は当該技術分野において周知であり、金銭的補償およびゲーミフィケーションを含むが、これらに限定されない。
一態様において、本発明は、最終的に予防剤またはPrEP剤として使用される他の薬物を含む、他の薬物の尿アッセイに関する。一態様において、本発明は、予防剤またはPrEP剤として最終的に使用される他の薬物を含む、他の薬物のポイントオブケアアッセイに関する。
【0214】
投与
いくつかの態様において、本明細書に記載のアッセイまたはシステムは、予防をしている患者に投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載のアッセイまたはシステムは、曝露前予防を受けている患者に投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載のアッセイまたはシステムは、TDFおよび/またはFTCなどのNRTIを服用している患者に投与される。いくつかの態様において、本明細書に記載のアッセイまたはシステムは、TAFおよび/またはFTCなどのNRTIを服用している患者に投与される。いくつかの態様において、本明細書の他の場所に記載のアッセイまたはシステムは、Truvada(商標)、またはTDFおよび/またはTAFを含むように製剤化された任意の他の医薬品を服用している患者に投与される。
【0215】
いくつかの態様において、本発明のアッセイまたはシステムは、医療提供者または施設への訪問中に臨床現場で提供者によって患者に投与される。いくつかの態様において、アッセイまたはシステムは、臨床現場外で患者によって使用される。いくつかの態様において、臨床現場外でアッセイまたはシステムを使用する患者は、結果を医師に通知する。いくつかの態様において、臨床現場外でアッセイまたはシステムを使用する患者は、結果を医師に報告することとは無関係にこれを行う。
【0216】
実験例
以下の実験例を参照することにより、本発明をさらに詳細に記載する。これらの例は、説明のみを目的として提供されており、特に指定のない限り、制限することを意図したものではない。よって、本発明は、以下の例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書に提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆるバリエーションを包含すると解釈されるべきである。
さらに記載することなく、当業者は、前述の記載および以下の説明的な例を使用して、本発明の化合物を作製および利用し、特許請求の範囲に記載の方法を実施することができると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい態様を具体的に指摘しており、本開示の残りの部分を決して限定するものとして解釈されるべきではない。
【0217】
例1
TFV誘導体(またはTFV類似体)
TFV誘導体T1をOrganix, Inc.(Woburn, MA)によって合成し、図1に示されるTFV誘導体の合成ルートを検証した。
類似体合成はこれまでに記載されている(27、29)。T1への合成ルートを図2に示す。化合物1.1、(R)-2-((ジイソプロポキシホスホリル)メタ-オキシ)プロピル4-メチルベンゼン-スルホナート化合物を、公開された文献の手順(27、28)に従って5ステップで合成した。1.1の6-クロロ-9H-プリンとの縮合とそれに続くエチレンジアミンでの処理により、アミン誘導体1.3を優れた収率(72%)で得た。中間体1.3のアミノ部分の酸誘導体1.4bとのカップリングにより、対応するアミド誘導体1.5を90%の収率で得た。中間体1.5のイソプロピルおよびトリチル保護基の脱保護により、所望の標的T1を得た。
【0218】
この一般的な合成ルートもまた検証され、標的T2-T6の合成に使用されている。各TFV誘導体はおよそ>50mgをもたらし、H-NMR、LC-MS/MS、および元素分析によって分析的に検証され、それらの構造および分子量がTFV誘導体と一致していることを確認した。各TFV誘導体は、生物学的評価および免疫原としてのその後の使用の前に、>95%の純度をもたらした。
【0219】
例2
抗体を生成するためのTFV誘導体(またはTFV類似体)の抱合体
例1に記載されたTFV誘導体を、ウサギ免疫付与および検出抱合体の調製のために担体タンパク質に抱合した。免疫付与および抗体生成に好適な他の動物は、当該技術分野において周知であり、マウス、ラット、モルモット、ニワトリ、およびヤギを含むがこれらに限定されない市販のものである。
【0220】
免疫原を作製するために、TFV誘導体をキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に抱合した。KLHおよびBSAは、小分子Ab産生のための担体タンパク質であり、公開された方法を使用して生成した(30、31)。他の好適な担体タンパク質は当該技術分野において周知であり、市販されている。
TFV誘導体もまた、ELISAに使用するためのHRP抱合体を作製するために使用した。タンパク質(ハプテンおよびHRP抱合体)および薬物誘導体は、標準的なチオール/マレイミドカップリング化学を使用して連結した。HRPを、誘導体をマレイミド標識HRPに連結することによって生成した。抱合体は、十分に確立された手順を使用して調製した(32)。
抗血清産生のために、続いてウサギを、TFV誘導体を合成し、KLHに抱合させてからすぐに、TFV誘導体で免疫した。すべてのTFV誘導体の性能を、生成した抗体とのHRP抱合体として評価した。
【0221】
例3
TFV誘導抱合体に対して産生したポリクローナル抗体の生産およびスクリーニング
例2からのTFV誘導抱合体の免疫原性組成物を使用して、ポリクローナル抗体(pAb)を開発した。pAbの産生およびスクリーニングを、Calico BioLabs(Pleasanton, CA)によって行った。これらのpAbおよびELISAを、原材料を認定し、モノクローナル抗体(mAb)の産生に使用されるウサギを選択するためにさらに開発した。
【0222】
ウサギ抗体は臨床アッセイに好適であり、一般に、特異性、親和性、および安定性においてそれらの齧歯類の動物の対応物を上回る(33~36)。ヒツジ、ヤギ、およびロバなどのより大きな動物は、pAb産生により多くの血液量を提供するため、好まれる場合があるが、ウサギmAbの特異性は一般に他の種よりも高い。ウサギmAbは迅速かつ費用効果的に生産でき、これらのプロセスを合理化および改善するために新しい技術を使用する。マウスmAbは典型的にはnm範囲(10-9M)の親和性を有するが、ウサギmAbは通常10-10Mまたは10-12Mの親和性で、マウスmAbよりも10から>1000倍高いpm範囲で生産できる。ウサギは優れた種であり、ポリクローナルおよびモノクローナルアッセイ試薬の両方を生産するための現在の業界標準である。
【0223】
TFV誘導抱合体を含む2つの免疫原の各々について2匹のウサギを免疫した。標準的なプロトコルを使用してウサギをブーストし、抗血清を各ウサギから収集した。注射後12日間隔でウサギからpAbを採取した。1:16,000希釈で約4倍のシグナル対ノイズ比の許容力価を使用した。一般に、小分子(例として、代謝体、NRTI、または本明細書に記載の任意の化合物、またはそれらの誘導体および抱合体)を標的とする、95%を超える特異性を有するpAbを産生した。
TFV誘導体のアガロースビーズへの抱合の標準的な手順を使用したアフィニティー精製とそれに続くカラムクロマトグラフィーにより、血清からpAbを単離した。およそ50mgのアフィニティー精製したpAbが2匹のウサギから産生された。単離したpAbを「312」および「313」と呼んだ。
下記のELISAアッセイでpAbを試験した。最終的なpAbは、標的カットオフ濃度付近で+/-25%の分離を可能にする適正な勾配を有するアッセイ曲線を有した。許容し得るPAbもまた、標的カットオフ付近で+/-50%の分離を有する。
【0224】
例4
ポリクローナル抗体の検証およびELISAアッセイ
例3で生成したpAbを検証するために、例3からの精製したpAbをプロトタイプアッセイ開発に使用した。抗体の特異性および親和性の初期のブリード(bleed)を、例2で生産したHRP試薬および対照として純粋なTFVを使用してスクリーニングし、評価した。曲線を生成し、カットオフ(10ng/mL;TFVの保護レベルのカットオフがLC-MS/MSにより1000ng/mLと決定されたため)の1%で検出限界を有する抗体を同定した。
【0225】
生体試料
50の既知のTFV陽性試料およびPrEPを服用していない個体からの50の陰性試料を含む尿試料を収集し、匿名化した。匿名化した試料を、CHOP LC-MS/MS機械(17)でTFVレベルについて定量化した。陽性試料のカットオフはTFVレベル>1000ng/mLであった。3か月間で133の残尿試料を収集した。TFVを服用していないことがわかっている患者からの尿試料を陰性対照として使用し、尿中の任意の構成要素に対する抗体の交差反応性を査定した。
【0226】
競合ELISAアッセイ
ポリクローナル抗体を試験するために、以下のアッセイプロトコルを使用して競合アッセイを行った。このアッセイでは、薬物濃度は生成したシグナルに反比例する。マイクロ力価プレートを抗TFV抗体でコーティングし、TFV標準または患者試料(薬物の有無にかかわらず)、またはTFV陽性尿をHRP-TFV誘導抱合体と混合し、プレート上の抗体を自由に競合させた。溶液を、3,3'、5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)基質を利用して検出し、これに続き、酸で反応を停止させた。吸光度を450nmで測定し、薬物濃度をTFV標準曲線と比較して色の強度によって決定した。
【0227】
アッセイは競合形態を使用するため、サンドイッチアッセイで見られるランダムな背景結合(background binding)は問題にならない。主な問題は、明らかな構造的類似性を有しない物質から生じ得る交差反応性である。ELISAの特異性を尿バンクの臨床試料で評価し、ベースライン特異性性能を確立するためにTFV陰性であることを確認した。交差反応性またはマトリックス干渉に関連する問題を同定し、「問題のある」試料バンクを生成した。このバンクは、生成した一連のmAbクローンから選択するための最終的な基準の一部としてさらに使用した。アッセイの感度を、TFVが陽性であることがわかっている100の試料(カットオフ濃度の50%で精製TVFをスパイクした50のTVF陰性血清試料、およびカットオフの150%でスパイクした50の試料)を試験することによって評価した。mAbの性能の改善を判断するためのベースラインを提供するために、ポリクローナルアッセイについて暫定性能を確立した。
【0228】
競合ELISAを、これまでに検証した1000ng/mLのカットオフを有する尿TFV質量分析試験に対してさらに検証した。MS試験は、100のユニークなスパイクされた試料に加えて、TFVに陽性の50のバンクされた臨床試料および50のバンクされた陰性試料で、我々の感度および特異性の目標に充分な力(power)を生成する標準として役立ち得る。
ELISAは、>90%の感度および>90%の特異度で既知濃度を有する尿バンク試料においてTFVを検出し得る。このELISAは、mAbを評価および認定するための対照システムとして使用し得る。
【0229】
アッセイプロトコルおよび手順
A.抱合体HRP
抱合体:
1.5mlのPBS中で5mgのEZ-Linkマレイミド活性化HRP粉末を再構成する=>1mg/mL
2.1mgのHRPを加える=>エッペンドルフチューブへ1mL
3.1mgの誘導体を加える=>チューブへ50uL
4.室温で3時間インキュベートする
【0230】
重力フィルターPD10カラム:
5.上部のキャップを外して、収容カラムに注ぐ
6.カラムノッチのシールされた端をカットする
7.カラムに平衡化バッファーを充填する-5mL
8.バッファーを完全に充填ベッドに入れる
9.4回繰り返す
10.試料を加え、合計2.5mLになるように平衡化バッファーを加える
11.試料を完全にベッドに入れ、収集チューブで通過画分を収集する
12.収集チューブを装置の下に置き、溶出する
13.3.5mLのバッファーで溶出する
14.溶出液を収集し、4Cで保管する
15.StabilZyme HRP抱合体で適切な濃度に希釈する=>1:1,000
【0231】
B.テノホビル(TFV)標準シリーズ
テノホビル-Sigma Aldrich #SML1795
1.10mgの粉末を15mLのコニカルチューブに測る
2.10mLの水を加える=>1mg/mLの濃度
3.PBSで適切な希釈液を調製する
-2,000ng/mL標準
-1,000ng/mL標準
-500ng/mL標準
-10ng/mL標準
【0232】
C.ELISAプロトコル-抗体コーティングプレート形態
1.5ug/ウェルの抗体でGreiner Bio-oneポリスチレン96ウェルプレートをコーティングする
-PBS中、1:100抗体313希釈液の50μl/ウェル
2.室温で2時間または4℃で終夜インキュベートする
3.プレート200μl/ウェルをAquaMax 2000プレート洗浄液とともにTBST(.1%Tween20/TBS)で4回洗浄する
4.TBST中の200μl/ウェルの2%BSAで、室温で1時間ブロッキングする
5.ウェルからブロッキングバッファーを吸引する
6.50μlのTFV標準または試料をウェルに加える
-各試料または標準を二重にプレートする
7.室温で30分間インキュベートする
8.50μlのHRP抱合体を1:1,000の濃度で加える
9.よく混ぜ、室温で1時間インキュベートする
10.ウェルから量を吸引する
11.プレート200μl/ウェルをAquaMax 2000プレート洗浄液とともにTBST(.1%Tween20/TBS)で4回洗浄する
12.50μlのTMBを加える
13.室温で5分間インキュベートする
14.50μlの停止液(.25M硫酸)を加える
15.SpectraMax I3Xにより450nmでプレートを読み取る
【0233】
結果
ELISAの結果を表2および図3に示す。表2のデータは、PBSで指定された濃度に希釈した遊離薬物(テノホビル)の標準曲線を表す。抗体「312」および「313」は、許容し得る検量線を作成でき、ほぼ1,000ng/mlのカットオフの分離能をもたらした。抗体313では、500と1,000ng/mlとの間の7.54の標準偏差の分離(CV=12.0%)と、1,000と2,000ng/mlとの間の6.28の標準偏差(CV=4.4%)があった。これは、抗体312および313がテノホビルに対して充分な感度を有することを示す。
【表2】
【0234】
例5
テノホビルに対するポリクローナル抗体の特異性
表3のデータは、テノホビルについて陽性であった50の臨床尿試料(検証済みLC-MSで尿TFVレベル>1,000ng/mL)、およびテノホビルについて陰性であった50の臨床尿試料(検証済みLC-MSで尿TFVレベル<10ng/mL)に基づく各抗体の特異性を比較する。ポリクローナル抗体312および313の両方は、50の試料のうち50がTFV陽性として正しく同定した。TFV陰性試料について、抗体312は50のうち27の試料と交差反応性であったが、抗体313は50のうち24の試料と交差反応性であった。これは、pAb313の方がpAb312よりも交差反応性がわずかに低いことを示す。
【表3】
【0235】
どの化合物が交差反応性を引き起こしているかを同定するために、潜在的に交差反応性の化合物(TFVと類似した化学構造を有する化合物)をバッファーにスパイクし、pAbで試験した。我々は11の化合物を試験し、それらのパーセント交差反応性を、各抗体に対して表3の物質の各々について計算した。pAb313とある程度の交差反応性を示す4の化合物を同定し、これに対してpAb312では3であった。本明細書に記載の組み換えおよびサブクローンモノクローナル抗体はこれらの化合物に対してスクリーニングできるため、このデータは、pAb312と比べて、pAb313でmAbの開発を進めるためのさらなる正当化を提供した。
【表4】
【0236】
結論:
これらの検証研究の結果に基づいて、本明細書に記載の誘導抱合体により生成された抗体は、遊離のTFVおよび尿の臨床試料中のTFVの両方に対して感受性であることを確認した。さらに、mAbを生成する候補としてpAb「313」を選び、必要に応じて、pAb「312」に戻すことも選択肢とした。
【0237】
例6
テノホビルアラフェナミドを服用している患者におけるテノホビルレベルを測定するための尿アッセイの検証
血液および尿の試料を、患者の3のコホートから収集した:(1)TAFベースのレジメンでウイルスが抑制されたHIV陽性の参加者10人、(2)FTC/TAFを1回投与し、これに続き投与後1~3時間で開始する尿および血漿のサンプリングを7日間行ったHIV参加者10人、および(3)FTC/TAFを1日7回投与し、これに続き最後の投与後1~3時間で開始する尿および血漿のサンプリングを10日間行ったHIV参加者10人。試料は、TFVに対して高い感度と特異性を有する液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC-MS/MS)を使用して分析した。コホート2からの試料は、FTC/TDFの1つの用量を投与された背景(historical)コホートと比較した。
【0238】
HIV陽性の参加者は、90%が男性、40%がアフリカ系アメリカ人、10%がヒスパニック系であった(年齢の中央値=53.5歳、範囲=51~79歳)。HIV処置レジメンは、TAFに加えて、以下の1つを含んだ:ドルテグラビル(3)、ブーストしたエルビテグラビル(3)、ブーストしたダルナビル(2)、ラルテグラビル(1)、またはリルピビリン(1)。HIV陰性の参加者は、55%が男性、70%が白人であった(年齢の中央値=30.5歳、範囲=23~47歳)。HIV陽性の参加者からの尿試料は、TFV濃度が血漿より尿中で2log高いことを示した(それぞれ1000ng/mL対10ng/mL)(図4)。HIV対象におけるFTC/TAFの単回投与後の尿試料は、投与後1~3時間で100~1000ng/mLの範囲のTFV濃度をもたらし、TFV濃度は参加者10人中8人で6日間、>100ng/mL残存した。これらの濃度は、FTC/TDFを投与した背景コホートのものに匹敵したが、尿TFV濃度は、FTC/TDFを受けた対象の薬物摂取後により迅速に上昇し、平均すると、薬物中止後の最初の4日間はFTC/TAFを受けたものと比較してより高かった(図5)。FTC/TAFの7回の連続投与後に収集した尿試料は、参加者10人中8人で、TFVレベル>100ng/mLの投薬中止後1~3時間で、中止後7日間まで、TFV濃度>1000ng/mLをもたらした(図6)。すべての時点で、血漿TFV濃度は両方のHIV陰性コホートで低かった(≦10ng/mL)。
【0239】
TFVは、ほとんど検出できない血漿レベルにもかかわらず、FTC/TAFを少なくとも7日間服用している患者において検出可能な濃度で尿中に持続し、尿TFV濃度はFTC/TDFを服用している患者に匹敵する。この研究は、この研究における単回投与と定常状態のTFV濃度パターンの違いを考慮して、尿TFVアッセイを使用してTAFの準拠を査定し、「白衣(white-coat)」の準拠の機会を減らすことの実現可能性を示す。今後の研究では、TDFとTAFベースのレジメンとの間の尿中TFVクリアランスパターンの違いに対処する必要がある。
【0240】
参考文献
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【0241】
参照による組み込み
本出願全体で引用されているすべての参考文献、特許出願、特許、および公開された特許出願、ならびに図および配列表の内容は、あたかも個々の刊行物または特許の各々が具体的かつ個別に参照により組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合、本明細書の任意の定義を含む本出願が支配し得る。
【0242】
均等物
添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細の様々な変更を行うことができることは、当業者には理解されよう。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の態様に対する多くの均等物を認識し、または日常的な実験法のみを使用して確認することができるであろう。本発明の特定の態様を説明してきたが、上記の明細書は例示的なものであり、限定的なものではない。本明細書を検討すると、当業者には本発明の多くのバリエーションが明らかになり得る。本発明の全範囲は、特許請求の範囲、ならびにそれらの均等物の全範囲、および本明細書、ならびにかかるバリエーションを参照することにより決定されるべきである。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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