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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】真空ポンプ用フォアライン
(51)【国際特許分類】
   F04B 37/16 20060101AFI20240722BHJP
   F04D 19/04 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
F04B37/16 E
F04D19/04 H
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020566907
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 GB2019051460
(87)【国際公開番号】W WO2019229428
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】1808954.0
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】507261364
【氏名又は名称】エドワーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】コンドン ニール
(72)【発明者】
【氏名】ダムス グレゴリー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー ポール
(72)【発明者】
【氏名】フィールズ マシュー スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】カロラス コンスタンティノス
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-064072(JP,A)
【文献】特開2008-177582(JP,A)
【文献】特表昭55-500376(JP,A)
【文献】国際公開第2006/087517(WO,A1)
【文献】米国特許第05549721(US,A)
【文献】特表2010-529643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 37/16
F04D 19/04
B01D 45/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空ポンプ用のフォアラインであって、
排気される容器に接続可能な入口と、
前記容器を排気するために前記真空ポンプの入口に接続可能な出口と、を有し、前記フォアラインは、
第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が開口部を備え、前記第2の端部が固形物トラップを備える排出管をさらに備え、
前記第2の端部は、前記フォアラインの外側に配置され、
前記第1の端部は、前記入口と前記出口との間の前記フォアライン内に配置され、前記開口部は、前記フォアラインの前記入口に向かって広がっており、流入する固形物が前記開口部によって集められ、前記排出管を通って排出され、前記固形物トラップ内に捕らえられるようになっており、
前記フォアラインは、第1の直径を有する第1の部分と、第2の直径を有する第2の部分とを有し、前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さく、
前記排出管の前記開口部は、前記第2の部分の中に配置され、前記開口部は、前記第1の直径よりも大きいか又は等しく、前記第2の直径よりも小さい直径を有し、
前記入口は、第1の要素によって定められ、前記出口及び排出管は、第2の要素によって定められ、前記第1の要素は、前記第2の要素に対して直線に沿って移動可能であり、結果として、前記開口部のリムと前記フォアラインの側壁との間の距離を調整可能とする、
ことを特徴とするフォアライン。
【請求項2】
前記入口と前記排出管の前記開口部とは、実質的に垂直軸上に配置されている、
請求項1に記載のフォアライン。
【請求項3】
前記フォアラインは真っ直ぐであり、詳細には前記フォアラインの前記入口及び前記出口は、実質的に垂直軸上に配置されている、
請求項1又は2に記載のフォアライン。
【請求項4】
前記開口部は、穿孔された漏斗によって提供される、
請求項1から3のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項5】
前記トラップは、前記排出管に解放可能に取り付けられている、
請求項1から4のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項6】
バルブが前記排出管に配置されている、
請求項1から5のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項7】
前記トラップは、前記トラップ内の固形物の量を検出するゲージを備える、
請求項1から6のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項8】
前記トラップは、前記トラップ内の固形物の量を検出するスケール機構を備える、
請求項1から7のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項9】
前記トラップは、前記固形物を前記トラップ内に加える入口ポートを備え、捕捉された前記固形物は、除去される前に前処理され、詳細には前記固形物を不活性にするようになっている、
請求項1から8のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項10】
前記トラップは、真空掃除機に接続されるよう構成されたポートを備える、
請求項1から9のいずれかに記載のフォアライン。
【請求項11】
前記第1の要素は、2つのタブを備え、前記第2の要素は、前記第1の要素の前記タブと整列する2つのタブを備え、2つの離間要素が、前記第2の要素に対する前記第1の要素の位置を調整するために、前記タブの間に配置される、
請求項10に記載のフォアライン。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のフォアラインを有し、運転時、前記フォアラインの前記入口及び前記フォアラインの前記出口が垂直軸上に配置されることを特徴とする、真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプ用のフォアライン、及びそのようなフォアラインを有する真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
フォアラインは、入口と出口を有する導管又は真空ラインである。それによって、入口は、排気される真空容器、付加的な導管、又は何らかの他の種類の真空機器に接続される。フォアラインの出口は、真空ポンプの入口に接続され、ガス状媒体が真空ポンプによってフォアラインの入口からフォアラインの出口に運ばれ、それによってフォアラインの入口に真空が確立される。フォアラインは真空機器を真空ポンプの入口に接続しているため、フォアライン内に真空が存在する。
【0003】
半導体プロセス操作の間に、埃及び固体プロセス副生成物は、プロセスガスの中を通って真空ポンプに移動し、最終的には、真空ポンプ機構が損傷する結果となる。特に、埃及び固形物は、真空システム内の、例えば、フォアラインパイプ内側面などの表面上に集まる可能性がある。振動によって又はこれらの表面上の埃及び固形物の過剰な蓄積によって、真空内側面からより大量の固形物が分離される可能性がある。分離した材料は、通常、雪崩状になる。フォアラインは真空ポンプの入口に接続されているので、粉末雪崩は、真空ポンプ機構に到達し、その影響は壊滅的なものになり、ポンプの焼き付きをもたらす。
【0004】
埃及び固形物によって引き起こされる真空ポンプの損傷を避けるために、いわゆるデッドレグの形のトラップが採用されており、トラップは、フォアラインの入口の真下にあり、真空ポンプに向かうフォアラインの導管は、入口とトラップとの間の直線接続部から分岐する。従って、最適な直線形状から逸脱した角度の付いた真空ラインが確立される。
【0005】
従って、分岐を含むことによりフォアラインのコンダクタンスが低下するので、ポンプ性能が低下する。
【0006】
さらに、既存の技術では、通常、運転時にトラップを空にすることは不可能である。従って、トラップにアクセスして空にするために全ての真空システムを停止する必要があり、このことは半導体プロセスの中断につながり、サービス間隔の遅延が生じ、従ってシステム休止時間が長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、サービス時間を短縮する、改善されたポンプ性能をもつフォアラインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
所与の技術的問題は、請求項1に記載のフォアライン及び請求項16に記載の真空ポンプによって解決される。
【0009】
本発明によれば、真空ポンプ用のフォアラインは、例えば、排気される容器に接続可能な入口と、容器を排気する真空ポンプの入口に接続可能な出口とを備える。これにより、ガス状媒体は、フォアラインに沿ってフォアラインの容器の滑らかな入口から、フォアラインの出口を通ってポンプに運ばれ、フォアラインの入口に真空をもたらす。もしくは、入口は、別の真空導管に又は一般に何らかの種類の何らかの真空機器に接続可能とすることができる。本発明は容器に限定されない。しかしながら、何らかの構成において、フォアライン内で使用する真空は、10-2mbar未満、好ましくは10-4mbar未満とすることができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、フォアラインは、第1の端部及び第2の端部を有する排出管を備える。第1の端部は、開口部を備え、第2の端部は、行き止まりとして説明することもできる固形物トラップを備える。第1の端部は、入口と出口との間のフォアライン内に配置され、開口部は、例えば、粉末雪崩状の流入固形物が排出管の開口部によって集められるようにフォアラインの入口に向けられる。フォアラインの入口を通って流入する固形物は、排出管の開口部によって捕捉される。開口部によって集められた固形物は、排出管を通って運ばれ、固形物トラップ内に捕捉される。固形物トラップを備える第2の端部は、フォアラインの外側に配置される。従って、本発明によれば、固形物は、排出管の開口部によって捕捉され、その後、固形物トラップ内に集められるか又は貯蔵される。固形物トラップがフォアラインの外側に配置されているので、トラップを空にするためのサービス時間が短縮される。
【0011】
好ましくは、入口及び排出管の開口部は、真空ポンプに取り付けられる際に実質的に垂直軸上に配置される。縦軸は、重力に沿った軸として定められる。より一般的には、入口と排出管の開口部は、実質的に直線上に配置される。従って、固形物又は埃は、重力に従って入口を通って排出管の開口部に落下して捕捉される。入口と開口部は、垂直軸上に正確に配置する必要はない。これに関連して、「実質的に」は、入口及び開口部が正確に垂直軸上に配置されなくても、埃及び固形物が開口部によって捕捉される限り、わずかに傾斜又は変位する場合でも本発明が依然として機能することを意味する。しかしながら、入口及び出口は、正確に垂直線上に配置されることが好ましい。従って、埃及び固形物は、排出管の開口部によって確実に捕捉される。
【0012】
好ましくは、フォアラインの入口及び出口は、真空ポンプに取り付けられる際に実質的に垂直軸上に配置される。従って、フォアラインは、分岐又は曲がりなしで真っ直ぐでありフォアラインのコンダクタンス特性を維持する。従って、フォアラインは、分岐又は曲がりを備えておらず、ガス状媒体は、フォアラインの入口からフォアラインの出口に向かって流れる際にこれを辿ることができる。フォアラインを通る流路は、従来の方法に比べて真っ直ぐであり、これにより真空ポンプのポンプ性能特性を維持する。
【0013】
好ましくは、フォアラインが真空ポンプに取り付けられているか又は接続されている場合、フォアラインは、垂直軸に沿って垂直方向に配置される。
【0014】
好ましくは、開口部は、フォアラインの直径よりも小さい直径を有する。一方で、固形物は、排出管の開口部によって集められるが、ガス状媒体は、開口部を通り過ぎることができ、結果的にフォアラインの出口に向かって、すなわち真空ポンプに向かって流れることができる。従って、他方で、固形物は、開口部によって十分に集められるが、フォアラインのコンダクタンスは依然として維持される。
【0015】
好ましくは、フォアラインは、第1の直径を有する第1の部分と、第2の直径を有する第2の部分とを有する。これにより、詳細には、入口は、第1の部分に接続され、第2の部分は、フォアラインの出口に向かって第1の部分に直接接続される。第1の部分の第1の直径は、第2の部分の第2の直径よりも小さい。従って、真空の変動を和らげて真空ポンプの連続動作を保証するために、緩衝要素がフォアライン内に定められる。詳細には、フォアラインは、第2の部分に続く第3の部分を備えることができ、好ましくは第2の部分に直接接続され、その場合、第3の部分は、第2の部分の第2の直径を低減させるいために、第1の直径にほぼ等しいか又は少なくとも第2の直径よりも小さい直径を有し、フォアラインの出口を含む第3の部分は、標準的な真空ポンプのフランジに接続できるようになっている。
【0016】
好ましくは、排出管の開口部は、第2の部分に配置され、開口部は、第1の直径より大きいか又はこれに等しい直径、及び第2の直径よりも小さい直径を有する。開口部は、フォアラインの入口に向かって広がっているので、固形物は、運転時に入口の真下に配置された開口部によって集められる。開口部の直径は、第1の部分の直径よりも大きいので、入口及びフォアラインの第1の部分に流入するすべての固形物が集められるが、第2の部分の直径が大きいのでガス状媒体は開口部を通り過ぎることができる。従って、排出管の開口部によって効率的で信頼性の高い固形物及び埃の収集が保証されるが、フォアラインのコンダクタンスは依然として維持され、結果的に真空ポンプのポンプ性能も維持/改善される。詳細には、開口部の直径が第1の部分の直径よりも大きいので、ほとんどすべての埃及び固形物が集められる。
【0017】
好ましくは、フォアライン内に配置された排出管の部分は、少なくとも部分的に穿孔されている。従って、コンダクタンスは穿孔によって強化されるが、埃及び固形物は依然として排出管によって捕捉される。
【0018】
好ましくは、開口部は、漏斗によって提供され、より好ましくは、ガス状媒体は漏斗の穿孔を通って流れることができるので、フォアラインのコンダクタンスを高めるために漏斗に穿孔されている。
【0019】
好ましくは、トラップは、排出管に解放可能に取り付けられている。従って、遮断バルブを閉じた状態で排出管からトラップを取り外すという簡単な操作で、トラップを容易に空にすることが可能である。
好ましくは、バルブは、排出管に配置される。従って、固形物はバルブが開いているときにトラップ内に集められる。バルブが閉じている場合、運転時にフォアライン内の真空を失うことなくトラップを空にすることができる。従って、サービス時間中にフォアライン内の真空を維持することができるので、サービス時間が大幅に短縮される。
【0020】
好ましくは、トラップは、トラップ内の固形物の量を検出するためのゲージを含む。加えて、フォアライン内の雪崩事象を検出して次のサービス時間の予測を行うこともできる。従って、ゲージによるトラップ内の固形物の検出量によって、一方では次のサービス間隔を計画し、長期に及ぶサービス間隔によるポンプへの損傷を回避することが可能であり、他方で、不必要なサービス及び保守作業を避けることも可能である。
【0021】
好ましくは、トラップは、トラップ内に集まった固形物の重量を測定することによってトラップ内の固形物の量を検出するスケール機構を備える。
【0022】
好ましくは、トラップは、捕捉された固形物が除去される前に前処理されるように、トラップ内に物質を加えるための入口ポートを備える。特に、半導体工程に関して、反応性化学物質がトラップで捕捉される場合があるので、これらの危険物が大気に直接さらされるのを防ぐために前処理が必要である。好ましくは、前処理によって、固形物は、不活性の状態になる。従って、例えば、トラップを空にするために開ける際に生じるであろう酸素とのさらなる反応はない。
【0023】
好ましくは、トラップは、真空掃除機に接続されるように構成されたポートを備える。従って、トラップを空にすることが容易になり、微細な埃又は固形物の小さな粒子が周囲に漏出するリスクが最小限に抑えられる。
【0024】
好ましくは、入口は、第1の要素によって定められ、出口及び排出管は、第2の要素によって定められる。従って、フォアラインは、少なくとも互いに分離可能な第1の要素及び第2の要素を備える。これにより、第1の要素は、第2の要素に対して移動可能であり、好ましくはフォアラインの垂直軸に沿って移動可能である。第2の要素に対して第1の要素を移動させることにより、開口部のリムとフォアラインの側壁との間の距離が調整される。従って、特に開口部が第2の部分の中で動かされる場合、排出管とフォアラインとの間の隙間を適合させることができる。従って、フォアラインは、所要の体積流量又は取り付けられた真空ポンプのスループットに適合させることができる。このことは、フォアライン又は開口部の直径を調整するために何らかの導管を交換することなく、容易に行うことができる。従って、単一の種類のフォアラインを、複数の異なる種類の真空機器及び特に複数の種類の取り付けられた真空ポンプに使用することができる。
【0025】
好ましくは、第1の要素は、少なくとも1つ、好ましくは2つのタブを備え、第2の要素は、第1の要素のタブと整列する少なくとも1つ、好ましくは2つのタブを備え、少なくとも1つ、好ましくは2つの離間要素は、第2の要素に対する第1の要素の位置を調整するために各タブの間に配置される。従って、離間要素は、スペーサー又はねじとすることができる。離間要素は、第1の要素と第2の要素との間の距離を可変的な方法で制御することができ、開口部のリムとフォアラインの側壁との間の隙間は、可変的に調整することができる。
【0026】
本発明の別の態様は、前述のようなフォアラインを備えた真空ポンプであり、運転時、フォアラインの入口及びフォアラインの出口は、垂直軸上に配置される。その場合、フォアラインの出口は、真空ポンプの入口に接続される。結果として、フォアラインは、真空ポンプの上流に配置され、運転時に真空ポンプによって真空がもたらされる。好ましくは、入口及び排出管の開口部は、実質的に垂直軸上に配置される。垂直軸は、重力に沿った軸として定められる。従って、固形物又は埃は、重力に従って入口を通って排出管の開口部内に落下して捕捉される。入口及び開口部は、垂直軸上に正確に配置する必要はない。これに関連して、「実質的に」は、入口及び開口部が正確に垂直軸上に配置されなくても、埃及び固形物が開口部によって捕捉される限り、わずかに傾斜又は変位する場合でも本発明が依然として機能することを意味する。しかしながら、入口及び出口は、正確に垂直線上に配置されることが好ましい。従って、埃及び固形物は、排出管の開口部によって確実に捕捉される。
【0027】
好ましくは、フォアラインの入口及び出口は、真空ポンプに取り付けられる際に実質的に垂直軸上に配置される。従って、フォアラインは、分岐又は曲がりなしで真っ直ぐでありフォアラインのコンダクタンス特性を維持する。従って、フォアラインは、分岐又は曲がりを備えておらず、ガス状媒体は、フォアラインの入口からフォアラインの出口に向かって流れる際にこれを辿ることができる。フォアラインを通る流路は、従来の方法に比べて真っ直ぐであり、これにより真空ポンプのポンプ性能特性を維持する。
以下、添付の図面を参照して特定の実施形態に関して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明によるフォアラインの概略側面図である。
図2図1に示すフォアラインの断面図である。
図3】本発明による断面図の別の実施形態である。
図4】本発明によるフォアラインの別の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明による真空ポンプ用のフォアラインは、例えば、排気される容器に接続可能になっている入口10を備える。もしくは、入口10は、別の真空ライン又は何らかの種類の何らかの真空機器に接続することができる。従って、入口10は、対応部分に接続される真空フランジを備えることができる。フォアラインは、出口12をさらに備え、出口12は、同様に真空ポンプに接続されるようになったフランジを備えることができる。真空ポンプによって、ガス状媒体は、フォアラインの入口10に真空を確立するか又は維持するために、フォアラインの入口10からフォアラインの出口12に向かって運ばれる。
【0030】
本発明によれば、入口10及び出口12は、垂直軸14上に配置される。特に、完成したフォアラインは、取り付けられた真空ポンプの性能を向上させるフォアラインのコンダクタンスを改善するために、湾曲していない直線状である。
【0031】
図1に示されるように、フォアラインは、第1の直径D1を有する第1の部分16と、第2の直径D2を有する第2の部分18と、第3の直径D3を有する第3の部分20とを備え、第1の直径D1は、第3の直径D3と同一か又はほとんど同一であり、一方で第2の直径D2は、第1の直径D1よりも大きく、特に第3の直径D3よりも大きい。従って、第2の部分18によって、真空圧の変動を低減して真空ポンプの連続動作を保証するために、緩衝要素22が組み込まれる。
【0032】
運転時、本発明によるフォアラインが真空ポンプに取り付けられている場合、垂直軸14は、垂直方向に一致し、従って入口10は、出口12の上に配置される。
【0033】
さらに、フォアラインは、第1の端部26及び第2の端部28を有する排出管24を備える。従って、第1の端部26は、フォアライン内に、好ましくは第2の部分18内に配置される。第2の端部28は、フォアラインの外側に配置される。第1の端部26は、共通垂直軸14上のフォアラインの入口10の真下に配置され、入口10に向かって広がる開口部30を備える。排出管24の第2の端部28は、例えばそれぞれのフランジ34によって排出管24に解放可能に取り付けられたトラップ32を備える。入口10の中を通ってフォアラインに入るガス状媒体又はプロセスガスによって運ばれた何らかの固形物は、開口部30によって集められ、次に排出管24の中を通って吐出され、最後にトラップ32内に集められる。従って、ガス状媒体は、矢印36に従って開口部30を通り過ぎることができ、真空ポンプに向かってフォアラインの出口12の方へ流れることができる。
【0034】
結果として、フォアラインの真っ直ぐな構造により、プロセスガスが真空ポンプに到達するために何らかの分岐を辿る必要がないので、フォアラインの高コンダクタンスがもたらされる。従って、ポンプ性能が向上する。加えて、入口を通ってフォアラインに入る固形物又は埃は、開口部30によって集められ、最終的にトラップ32内に集められて貯蔵される。トラップ32は、排出管24に解放可能に取り付けられているので、トラップはサービス時間の間に簡単に取り外して空にすることができる。
【0035】
図2に示される実施形態によれば、開口部30は、漏斗38によって構築され、漏斗は、好ましくは、フォアラインのコンダクタンスをさらに向上させるために穿孔されている。従って、漏斗38の外側リムは、開口部30を定め、開口部30は、直径Ddを有する。従って、開口部30の直径Ddは、第1の部分16の直径D1よりも大きく、第2の部分18の直径D2よりも小さい。従って、D1<Dd<D2である。従って、すべての固形物又は埃は開口部30によって集められ、ガス状媒体のみが開口部30を通り過ぎて真空ポンプに向かって流れ得ることが保証される。結果として、埃又は固形物は真空ポンプに到達せず、真空ポンプの汚染又は損傷が回避される。
【0036】
以下の図面では、同じ又は類似の要素は同じ参照番号で示されている。
【0037】
図3の実施形態において、フォアラインは、入口10及び第1の部分16を定める第1の要素40を備える。さらに、フォアラインは、開口部30を含む排出管24及び第2の部分18並びに第3の部分20を定める第2の要素42を備える。これにより、第1の要素40は、矢印44で示されるように第2の要素42に対して相対的に移動可能である。矢印44に従って、垂直線に沿って第2の要素42に対する第1の要素の位置を調整することにより、フォアラインの側壁46と漏斗38のリム48との間の隙間が調整される。これにより、フォアラインのコンダクタンスは、程度の差はあるが、排出管24によってすべての固形物を捕捉する必要性とバランスを取ることができる。排出管24、詳細には漏斗38のリム48と側壁46との間の隙間が低減される場合、フォアラインの入口10から入る埃又は固形物は、排出管24すなわち開口部30によって捕捉される可能性が高まる。しかしながら、同時にフォアラインのコンダクタンスが低下する。リム48と側壁46との間の隙間が拡大される場合、フォアラインのコンダクタンスが改善されるが、埃又は固形物が開口部30によって集められず、排出管24を迂回できる可能性も高まる。従って、フォアラインは、様々な適用の特定の必要性に適合させることができる。結果として、使用される真空ポンプの体積流量又はスループットに隙間を適合させることができるので、多くの様々な用途及び様々な真空ポンプの種類に唯一の種類のフォアラインが必要とされる。
【0038】
第2の要素42の位置に対する第1の要素40の位置を調整するために、第1の要素40は、少なくとも1つのタブ50、好ましくは2つ以上のタブ50を備える。また、第2の要素42は、同じ数のタブ52を備え、第1の要素40のタブ50の位置は、第2の要素42のタブ52のそれぞれの位置と一直線になっている。従って、離間要素54は、第2の要素42に対する第1の要素40の位置を調整して維持するために、それぞれのタブ50、52の間に配置される。離間要素は、スペーサー又はねじとすることができ、少なくとも1つのタブ50、52は、ねじを回すことによって第2の要素42の位置に対する第1の要素40の位置を調整するために、ねじ山を備えることができる。
【0039】
図4に示される実施形態によれば、排出管24は、ゲートバルブ56を備える。ゲートバルブ56を閉じることにより、トラップ32を排出管24から取り外すことができ、集められた埃又は固形物は、技術サービスの間にトラップ32から除去することができる。従って、トラップ32の除去中にフォアライン内の真空を維持することができる。従って、技術サービス時間が大幅に短縮される。トラップ32を空にするための真空システムの運転中断は、ゲートバルブ56により不要となる。
【0040】
さらに、トラップ32は、集められた固形物又は埃の量を検出するために、ゲージ58用の検出ポートを備える。従って、トラップ32は、ゲージが特定量の集められた埃又は固形物を検出した場合、必要な場合にのみ空にされる。
【0041】
さらに、トラップ32は、集められた埃又は固形物の量を評価するためにスケール機構を備えることができる。従って、集められた固形物に従って技術サービスを計画することができる。
【0042】
本発明は、フォアラインの真っ直ぐなデザインによる高コンダクタンスを保証する真空ポンプ用のフォアラインを提供するが、入口を通ってフォアラインに入るほとんどすべての埃又は固形物は、排出管によって集められ、トラップ内に集められるか又は貯蔵される。これにより、解放可能に取り付けられたトラップによって、フォアラインを容易に維持できる。さらに、排出管内にゲートバルブを用いることにより、真空システムの運転時に維持管理を行うことができる。
図1
図2
図3
図4