(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/62 20060101AFI20240722BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240722BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20240722BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240722BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240722BHJP
【FI】
B01D53/62 ZAB
B01D53/14 200
B01D53/18 130
B01D53/78
C01B32/50
(21)【出願番号】P 2021005073
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 己思人
(72)【発明者】
【氏名】村岡 大悟
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康博
(72)【発明者】
【氏名】半田 優介
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 聡
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-159892(JP,A)
【文献】特表2009-531163(JP,A)
【文献】特開2019-130463(JP,A)
【文献】特開2012-223661(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186725(WO,A1)
【文献】特開2011-240321(JP,A)
【文献】特開2019-131426(JP,A)
【文献】特開2018-192444(JP,A)
【文献】特開2019-000795(JP,A)
【文献】特開2012-030168(JP,A)
【文献】特開2014-000500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/34-53/73
B01D 53/14-53/18
B01D 53/74-53/85
C01B 32/00-32/991
F23J 13/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる二酸化炭素回収部と、
前記二酸化炭素回収部から排出される前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させることにより、前記吸収液を再生する吸収液再生部と、
前記二酸化炭素回収部から排出される前記燃焼排ガスを、第1噴射器で噴射した第1洗浄液のミストで洗浄して、前記燃焼排ガスに同伴する前記アミンを回収する第1洗浄部と、
前記第1洗浄部から排出される前記燃焼排ガスを第2洗浄液で洗浄して、前記燃焼排ガスに同伴する前記アミンを回収する第2洗浄部と、
前記吸収液再生部において再生された前記吸収液を、前記第1洗浄液として前記第1噴射器に供給する吸収液ラインと、を備え、
前記第1噴射器で噴射された前記第1洗浄液は、前記吸収液として前記二酸化炭素回収部に供給され、
前記第1洗浄部は、前記第1噴射器の下方に設けられた、前記第1噴射器から噴射された前記第1洗浄液のミストが自由落下しながら前記燃焼排ガスと接触する第1洗浄回収空間と、前記第1洗浄回収空間の下方に設けられた、前記第1噴射器から噴射した前記第1洗浄液のミストを受け取る第1受け部と、前記第1受け部内の前記第1洗浄液を前記第1噴射器に供給する第1循環ラインと、を有し、
前記吸収液ラインは、前記第1循環ラインに連結され
、
前記第1洗浄回収空間は、前記第1噴射器から前記第1受け部まで形成されるとともに、前記第1洗浄液が表面を流下する構造物は設けられていない空間である、二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
前記第1循環ラインに、第1循環ポンプが設けられ、
前記吸収液ラインは、前記第1循環ラインのうち前記第1循環ポンプよりも上流側の位置に連結されている、請求項1に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
前記第1循環ラインに、前記第1洗浄液を前記第1噴射器と前記二酸化炭素回収部に分配可能な洗浄液分配器が設けられ、
前記洗浄液分配器は、前記第1循環ラインと前記吸収液ラインとの連結位置よりも下流側に配置され、
前記洗浄液分配器に、前記第1洗浄液を前記二酸化炭素回収部に供給する洗浄液分配ラインが連結され、
前記洗浄液分配器は、前記第1噴射器への前記第1洗浄液の供給量と、前記二酸化炭素回収部への前記第1洗浄液の供給量を調整可能である、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
前記第1受け部内の前記第1洗浄液を前記二酸化炭素回収部に供給するバイパスラインを更に備えた、請求項1または2に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
前記吸収液ラインに、前記吸収液を前記第1循環ラインと前記二酸化炭素回収部に分配可能な吸収液分配器が設けられ、
前記吸収液分配器に、前記吸収液を前記二酸化炭素回収部に供給する吸収液分配ラインが連結され、
前記吸収液分配器は、前記第1循環ラインへの前記吸収液の供給量と、前記二酸化炭素回収部への前記吸収液の供給量を調整可能である、請求項4に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
前記吸収液再生部から前記二酸化炭素回収部に供給される前記吸収液を冷却する吸収液冷却器を更に備え、
前記吸収液冷却器は、前記吸収液ラインに設けられ、
前記吸収液分配器は、前記吸収液冷却器よりも下流側に配置されている、請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
前記吸収液再生部から前記二酸化炭素回収部に供給される前記吸収液を冷却する吸収液冷却器を更に備え、
前記吸収液冷却器は、前記吸収液分配ラインに設けられている、
請求項5に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
前記バイパスラインに、前記第1洗浄液を冷却するバイパス冷却器が設けられている、請求項7に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
前記第2洗浄部は、第2噴射器で前記第2洗浄液を噴射して、前記第2洗浄液のミストで前記燃焼排ガスに同伴する前記アミンを回収する、請求項1~8のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項10】
前記第1洗浄部と前記第2洗浄部との間に設けられ、前記第1洗浄部から排出される前記燃焼排ガスに同伴する前記第1洗浄液のミストを捕捉する第1洗浄部出口デミスターと、
前記第2洗浄部から排出される前記燃焼排ガスに同伴するミストを捕捉する第2洗浄部出口デミスターと、を更に備え、
前記第1洗浄部出口デミスターは、前記第2洗浄部出口デミスターよりも疎に形成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項11】
前記第1洗浄部と前記第2洗浄部との間に設けられ、前記第1洗浄部から排出される前記燃焼排ガスに同伴する前記第1洗浄液のミストを回収する洗浄液ミスト回収部を更に備え、
前記洗浄液ミスト回収部は、前記第1洗浄液のミストを回収するミスト回収充填層を有している、請求項1~9のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項12】
前記第2洗浄部から排出される前記燃焼排ガスを第3洗浄液で洗浄して、前記燃焼排ガスに同伴する前記アミンを回収する第3洗浄部を更に備えた、請求項1~11のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項13】
再生洗浄部を更に備え、
前記吸収液再生部は、前記二酸化炭素を含有する再生排ガスを排出し、
前記再生洗浄部は、前記吸収液再生部から排出される前記再生排ガスを、再生噴射器で噴射した再生洗浄液のミストで洗浄して、前記再生排ガスに同伴するアミンを回収する、請求項1~12のいずれか一項に記載の二酸化炭素回収システム。
【請求項14】
二酸化炭素回収部において、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる工程と、
前記二酸化炭素回収部から排出される前記吸収液から前記二酸化炭素を放出させることにより、前記吸収液を再生する工程と、
前記二酸化炭素回収部から排出される前記燃焼排ガスを、第1洗浄部において第1噴射器から噴射された第1洗浄液のミストで洗浄する工程であって、前記燃焼排ガスに同伴する前記アミンを回収する工程と、
前記第1洗浄部から排出される前記燃焼排ガスを第2洗浄液で洗浄する工程であって、前記燃焼排ガスに同伴する前記アミンを回収する工程と、を備え、
前記吸収液を再生する工程において再生された前記吸収液が、吸収液ラインによって、前記第1洗浄液として前記第1噴射器に供給され、
前記第1噴射器で噴射された前記第1洗浄液は、前記吸収液として前記二酸化炭素回収部に供給され、
前記第1洗浄部は、前記第1噴射器の下方に設けられた、前記第1噴射器から噴射された前記第1洗浄液のミストが自由落下しながら前記燃焼排ガスと接触する第1洗浄回収空間と、前記第1洗浄回収空間の下方に設けられた、前記第1噴射器から噴射した前記第1洗浄液のミストを受け取る第1受け部と、前記第1受け部内の前記第1洗浄液を前記第1噴射器に供給する第1循環ラインと、を有し、
前記吸収液ラインは、前記第1循環ラインに連結され
、
前記第1洗浄回収空間は、前記第1噴射器から前記第1受け部まで形成されるとともに、前記第1洗浄液が表面を流下する構造物は設けられていない空間である、二酸化炭素回収システムの運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因の一つとして、化石燃料を燃焼させる際に生成される燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素の温室効果が指摘されている。
【0003】
このような状況の下、多量の化石燃料を使用する火力発電所等において、化石燃料を燃焼して生成された燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を大気中へ排出することを抑制するための二酸化炭素回収システムが研究されている。二酸化炭素回収システムでは、燃焼排ガスをアミン系吸収液と接触させ、燃焼排ガスから二酸化炭素を分離して回収する。
【0004】
より具体的には、二酸化炭素回収システムは、吸収塔と、再生塔と、を備えている。吸収塔は、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミン系吸収液に吸収させるように構成されている。再生塔には、二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)が吸収塔から供給され、再生塔において、供給されたリッチ液が加熱されて、リッチ液から二酸化炭素が放出されると共に吸収液が再生される。再生塔において、熱源を供給するリボイラーが連結されており、再生塔内でリッチ液が加熱される。再生塔において再生された吸収液(リーン液)は吸収塔に供給され、このシステム内で吸収液は循環するように構成されている。
【0005】
しかしながら、このような二酸化炭素回収システムでは、アミン系吸収液に二酸化炭素を吸収させた燃焼排ガス(脱炭酸燃焼排ガス)が吸収塔から大気へ排出される際に、アミンを同伴するという課題があった。すなわち、火力発電所などでは多量の燃焼排ガスが排出されることから、脱炭酸燃焼排ガスに同伴して多量のアミノ基含有化合物(アミン)が排出される可能性がある。一方、再生塔から、二酸化炭素を含有した二酸化炭素含有ガスが排出される際に、アミンを同伴するという課題もある。このため、火力発電所において二酸化炭素回収システムを利用する際には、二酸化炭素回収システムから排出されるアミンを効果的に低減することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、アミンの排出量を低減することができる二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施の形態による二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素回収部と、吸収液再生部と、第1洗浄部と、第2洗浄部と、吸収液ラインと、を備えている。二酸化炭素回収部は、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる。吸収液再生部は、二酸化炭素回収部から排出される吸収液から二酸化炭素を放出させることにより、吸収液を再生する。第1洗浄部は、二酸化炭素回収部から排出される燃焼排ガスを、第1噴射器で噴射した第1洗浄液のミストで洗浄して、燃焼排ガスに同伴するアミンを回収する。第2洗浄部は、第1洗浄部から排出される燃焼排ガスを第2洗浄液で洗浄して、燃焼排ガスに同伴するアミンを回収する。吸収液ラインは、吸収液再生部において再生された吸収液を、第1洗浄液として第1噴射器に供給する。第1噴射器で噴射された第1洗浄液は、吸収液として二酸化炭素回収部に供給される。
【0009】
実施の形態による二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素回収部と、吸収液再生部と、再生洗浄部と、を備えている。二酸化炭素回収部は、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる。吸収液再生部は、二酸化炭素回収部から排出される吸収液から二酸化炭素を放出させることにより、二酸化炭素を含有する再生排ガスを排出するとともに吸収液を再生する。再生洗浄部は、吸収液再生部から排出される再生排ガスを、再生噴射器で噴射した再生洗浄液のミストで洗浄して、再生排ガスに同伴するアミンを回収する。
【0010】
実施の形態による二酸化炭素回収システムの運転方法は、二酸化炭素回収部において、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる工程を備えている。この運転方法は、二酸化炭素回収部から排出される吸収液から二酸化炭素を放出させることにより、吸収液を再生する工程を備えている。この運転方法は、二酸化炭素回収部から排出される燃焼排ガスを、第1洗浄部において噴射器から噴射された第1洗浄液のミストで洗浄する工程であって、燃焼排ガスに同伴するアミンを回収する工程を備えている。この運転方法は、第1洗浄部から排出される燃焼排ガスを第2洗浄液で洗浄する工程であって、燃焼排ガスに同伴するアミンを回収する工程と備えている。吸収液を再生する工程において再生された吸収液が、第1洗浄液として第1噴射器に供給される。第1噴射器で噴射された第1洗浄液は、吸収液として二酸化炭素回収部に供給される。
【0011】
実施の形態による二酸化炭素回収システムの運転方法は、二酸化炭素回収部において、燃焼排ガスに含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる工程を備えている。この運転方法は、吸収液再生部において、二酸化炭素回収部から排出される吸収液から二酸化炭素を放出させることにより、二酸化炭素を含有する再生排ガスを排出するとともに吸収液を再生する工程を備えている。この運転方法は、吸収液再生部から排出される再生排ガスを、再生洗浄部において再生噴射器から噴射された再生洗浄液のミストで洗浄する工程であって、再生排ガスに同伴するアミンを回収する工程を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アミンの排出量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す二酸化炭素回収システムにおいて、第1洗浄液の流量とミスト状アミンの除去率との関係を示すグラフである。
【
図3】
図3は、本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第4の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第5の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第6の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第7の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第8の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第9の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第10の実施の形態における二酸化炭素回収システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0015】
(第1の実施の形態)
まず、
図1および
図2を用いて、本発明の第1の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0016】
図1に示すように、二酸化炭素回収システム1は、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素を、アミンを含有する吸収液に吸収させる吸収塔20と、吸収塔20から排出される吸収液から二酸化炭素を放出させて吸収液を再生する再生塔30と、を備えている。吸収塔20において二酸化炭素を吸収液に吸収させた燃焼排ガス2は、脱炭酸燃焼排ガス3(後述)として吸収塔20から排出される。また、再生塔30から二酸化炭素を含有する二酸化炭素含有ガス8(再生排ガス)が排出される。なお、吸収塔20に供給される燃焼排ガス2は、特に限定されるものではないが、例えば火力発電所のボイラー(図示せず)の燃焼排ガスや、プロセス排ガス等であってもよく、必要に応じて冷却処理後に吸収塔20に供給されるようにしてもよい。
【0017】
吸収液は、吸収塔20と再生塔30とを循環する。吸収液は、吸収塔20において二酸化炭素を吸収してリッチ液4となり、再生塔30において二酸化炭素を放出してリーン液5となる。吸収塔20と再生塔30とは、リッチ液ライン15およびリーン液ライン16によって連結されている。リッチ液ライン15は、吸収塔20から排出されるリッチ液4を再生塔30に供給する。リーン液ライン16(吸収液ライン)は、再生塔30から排出されるリーン液5を吸収塔20の第1噴射器21bに供給する。
【0018】
吸収液には、特に限られるものではないが、例えば、モノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールのようなアルコール性水酸基含有1級アミン類、ジエタノールアミン、2-メチルアミノエタノールのようなアルコール性水酸基含有2級アミン類、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミンのようなアルコール性水酸基含有3級アミン類、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ジエチレントリアミンのようなポリエチレンポリアミン類、ピペラジン類、ピペリジン類、ピロリジン類のような環状アミン類、キシリレンジアミンのようなポリアミン類、メチルアミノカルボン酸のようなアミノ酸類等及びこれらの混合物を用いることができる。これらのアミン化合物は通常10~70重量%の水溶液として使用される。また、吸収液には二酸化炭素吸収促進剤あるいは腐食防止剤、更には、その他の媒体としてメタノール、ポリエチレングリコール、スルフォラン等を加えることができる。
【0019】
吸収塔20は、二酸化炭素回収部20aと、二酸化炭素回収部20aを収容する吸収塔容器20cと、を有している。
【0020】
二酸化炭素回収部20aは、向流型気液接触装置として構成されている。一例として、二酸化炭素回収部20aは、二酸化炭素回収充填層20dを含んでいる。二酸化炭素回収充填層20dは、気液接触面積を増やすために内部に充填された充填物や粒子等の内部構造物で構成されている。この内部構造物の表面に再生塔30から供給されるリーン液5を流下させながら、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素と気液接触させ、この二酸化炭素をリーン液5に吸収させる。これにより、燃焼排ガス2から二酸化炭素が回収(または除去)される。
【0021】
本実施の形態においては、後述する
図3等に示す液分散器20bは設けられていない。二酸化炭素回収部20aには、後述する第1噴射器21bからリーン液5が供給される。第1噴射器21bには、上述したリーン液ライン16が連結されており、第1噴射器21bには、第1洗浄液11としてリーン液5が供給される。すなわち、第1噴射器21bから噴射される第1洗浄液11は、リーン液5で構成されている。第1噴射器21bから第1洗浄液11が噴射されることにより、第1洗浄液11のミストが、二酸化炭素回収部20aに向けて分散させて落下する。二酸化炭素回収部20aに達した第1洗浄液11は、リーン液5として、二酸化炭素回収充填層20dの内部構造物の表面に供給される。第1噴射器21bに供給されるリーン液5の圧力は、リーン液用ポンプ34によって高められる。
【0022】
吸収塔容器20cには、二酸化炭素回収充填層20dとともに、後述する第1洗浄部21、第2洗浄部22、および各デミスター81、82が収容されている。吸収塔容器20cは、吸収塔容器20cの下部から燃焼排ガス2を受け入れ、燃焼排ガス2を吸収塔容器20cの頂部から、後述する脱炭酸燃焼排ガス3として排出するように構成されている。
【0023】
吸収塔20の下部には、上述したボイラーなどの二酸化炭素回収システム1の外部から排出された二酸化炭素を含有する燃焼排ガス2が、送風機(図示せず)によって供給される。供給された燃焼排ガス2は、吸収塔20内を二酸化炭素回収部20aの二酸化炭素回収充填層20dに向かって上昇する。一方、再生塔30からのリーン液5が第1噴射器21bから噴射される。このことにより、リーン液5のミストが落下し、二酸化炭素回収充填層20dに供給される。このため、リーン液5が二酸化炭素回収充填層20dの内部構造物の表面を流下する。二酸化炭素回収充填層20dにおいて、燃焼排ガス2とリーン液5とが気液接触して、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素がリーン液5に吸収されてリッチ液4が生成される。
【0024】
生成されたリッチ液4は、吸収塔容器20cの下部に一端貯留され、当該下部からリッチ液ライン15に排出される。リーン液5と気液接触した燃焼排ガス2は、二酸化炭素が除去されて、脱炭酸燃焼排ガス3として二酸化炭素回収充填層20dから吸収塔20内を更に上昇する。
【0025】
吸収塔20と再生塔30との間には熱交換器31が設けられている。熱交換器31には、上述したリッチ液ライン15およびリーン液ライン16が通過している。リッチ液ライン15にはリッチ液用ポンプ32が設けられており、吸収塔20から排出されたリッチ液4は、リッチ液用ポンプ32によって熱交換器31を介して再生塔30に供給される。熱交換器31は、吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4を、再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5と熱交換させる。このことにより、リーン液5が熱源となって、リッチ液4が所望の温度まで加熱される。言い換えると、リッチ液4が冷熱源となって、リーン液5が所望の温度まで冷却される。
【0026】
再生塔30は、アミン再生部30a(吸収液再生部)と、アミン再生部30aの上方に設けられた液分散器30bと、アミン再生部30aおよび液分散器30bを収容する再生塔容器30cと、を有している。
【0027】
アミン再生部30aは、向流型気液接触装置として構成されている。一例として、アミン再生部30aは、アミン再生充填層30dを含んでいる。アミン再生充填層30dは、気液接触面積を増やすために内部に充填された充填物や粒子等の内部構造物で構成されている。この内部構造物の表面に吸収塔20から供給されるリッチ液4を流下させながら、後述する蒸気7と気液接触させ、リッチ液4から二酸化炭素を放出させる。これにより、リッチ液4から二酸化炭素が回収(または除去)される。
【0028】
液分散器30bは、リッチ液4をアミン再生部30aに向けて分散させて落下させるように構成されている。アミン再生充填層30dの内部構造物の表面にリッチ液4が供給される。液分散器30bに供給されるリッチ液4の圧力は再生塔30内の圧力に対してそれほど高くない圧力であり、液分散器30bは、実質的には強制的ではなく主に重力の作用によってリッチ液4をアミン再生部30aに落下させる。
【0029】
再生塔容器30cには、アミン再生充填層30dおよび液分散器30bとともに、後述する再生洗浄部37、および各デミスター86、87が収容されている。再生塔容器30cは、リッチ液4から放出された二酸化炭素含有ガス8を、再生塔容器30cの頂部から排出するように構成されている。
【0030】
再生塔30には、リボイラー33が連結されている。このリボイラー33は、加熱媒体6によって、再生塔30から供給されるリーン液5を加熱して蒸気7を発生させ、発生した蒸気7を再生塔30に供給する。より具体的には、リボイラー33には、再生塔30の下部から排出されるリーン液5の一部が供給されるとともに、例えばタービン(図示せず)などの外部から加熱媒体6としての高温の蒸気が供給される。リボイラー33に供給されたリーン液5は、加熱媒体6と熱交換することによって加熱されて、リーン液5から蒸気7が生成される。生成された蒸気7は再生塔30の下部に供給され、再生塔30内のリーン液5を加熱する。なお、リボイラー33に供給される加熱媒体6は、タービンからの高温の蒸気に限られることはない。
【0031】
再生塔30の下部には、リボイラー33から蒸気7が供給され、再生塔30内をアミン再生部30aのアミン再生充填層30dに向って上昇する。一方、吸収塔20からのリッチ液4は、液分散器30bに供給されて落下し、アミン再生充填層30dに供給されてその内部構造物の表面を流下する。アミン再生充填層30dにおいて、リッチ液4と蒸気7とが気液接触して、リッチ液4から二酸化炭素ガスを放出してリーン液5が生成される。このようにして再生塔30において吸収液が再生される。
【0032】
生成されたリーン液5は、再生塔30の下部からリーン液ライン16に排出され、リッチ液4と気液接触した蒸気7は、二酸化炭素を含有して、二酸化炭素含有ガス8として再生塔30の頂部から排出される。排出される二酸化炭素含有ガス8には蒸気も含有される。
【0033】
リーン液ライン16には、リーン液用ポンプ34が設けられている。再生塔30から排出されたリーン液5は、リーン液用ポンプ34によって上述した熱交換器31を介して吸収塔20に供給される。熱交換器31は、上述したように、再生塔30から吸収塔20に供給されるリーン液5を、吸収塔20から再生塔30に供給されるリッチ液4と熱交換させて冷却する。また、リーン液ライン16には、再生塔30から二酸化炭素回収部20aに供給されるリーン液5を冷却するリーン液冷却器35(吸収液冷却器)が設けられている。リーン液冷却器35は、外部から冷却水(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)等の冷却媒体が供給され、熱交換器31において冷却されたリーン液5を所望の温度まで更に冷却する。
【0034】
リーン液冷却器35において冷却されたリーン液5は、吸収塔20の第1噴射器21bに第1洗浄液11として供給される。第1噴射器21bから第1洗浄液11のミストが落下し、後述する第1洗浄回収空間21aを通過する。第1洗浄液11のミストは、リーン液5として、二酸化炭素回収部20aの二酸化炭素回収充填層20dに供給されて、その内部構造物の表面を流下する。二酸化炭素回収充填層20dにおいて、リーン液5は、燃焼排ガス2と気液接触する。このことにより、燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素を吸収することにより、リーン液5がリッチ液4となる。このようにして、二酸化炭素回収システム1では、吸収液がリーン液5となる状態とリッチ液4となる状態とを繰り返しながら循環するようになっている。
【0035】
図1に示す二酸化炭素回収システム1は、再生塔30の頂部から排出された二酸化炭素含有ガス8を冷却して蒸気を凝縮して凝縮水9を生成するガス用冷却器40と、ガス用冷却器40により生成された凝縮水9を二酸化炭素含有ガス8から分離する気液分離器41と、を更に備えている。このようにして、二酸化炭素含有ガス8に含有される水分量が低減され、二酸化炭素含有ガス8が、二酸化炭素ガス10として気液分離器41から排出される。排出された二酸化炭素ガス10は、図示しない設備に供給されて貯蔵される。一方、気液分離器41において分離された凝縮水9は、凝縮水用ポンプ42によって再生塔30に供給され、吸収液に混入される。なお、ガス用冷却器40には、外部から、二酸化炭素含有ガス8を冷却するための冷却媒体(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)が供給される。
【0036】
ところで、吸収塔20内には、第1洗浄部21と、第2洗浄部22と、が収容されている、このうち第1洗浄部21は、二酸化炭素回収部20aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3を第1洗浄液11のミストで洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液成分であるアミンを回収する。第1洗浄部21は、二酸化炭素回収部20aの上方に設けられている。
【0037】
第1洗浄部21は、第1洗浄回収空間21aと、第1洗浄回収空間21aの上方に設けられた第1噴射器21bと、を有している。
【0038】
第1洗浄回収空間21aは、第1噴射器21bの下方に設けられた空間である。本実施の形態における第1洗浄回収空間21aは、第1噴射器21bから二酸化炭素回収部20aにわたって設けられた空間である。この第1洗浄回収空間21aには、第1洗浄液11が第1噴射器21bから噴射される。噴射された第1洗浄液11は、第1洗浄回収空間21aにおいて、ミストの状態で自由落下(すなわち、空間内の構造物等の表面に接触することがないまま落下)しながら、上昇する脱炭酸燃焼排ガス3と接触する。これにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが回収される。第1洗浄部21では、ミスト状アミンを効果的に回収することができるが、ガス状アミンも効果的に回収することができる。
【0039】
本実施の形態では、上述したように、第1噴射器21bと二酸化炭素回収部20aとの間には第1洗浄回収空間21aが形成されている。第1洗浄回収空間21aには、第1洗浄液11が表面を流下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と接触させるための充填層や棚段等の構造物は設けられていない。第1噴射器21bは、第1洗浄回収空間21aを介して、二酸化炭素回収部20aに対向している。すなわち、第1噴射器21bと二酸化炭素回収部20aとの間には、第1洗浄液11が表面を流下するような構造物等は設けられておらず、第1噴射器21bから二酸化炭素回収部20aにわたって第1洗浄回収空間21aが形成されている。このことにより、第1洗浄回収空間21aは、第1洗浄液11が自由落下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と接触するように構成されている。第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストは、脱炭酸燃焼排ガス3が上昇する第1洗浄回収空間21aを落下して、二酸化炭素回収部20aに直接的に達する。すなわち、第1洗浄回収空間21aを通過した第1洗浄液11は、直接的に二酸化炭素回収部20aに達する。落下している間、第1洗浄液11が脱炭酸燃焼排ガス3と接触し、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンが第1洗浄液11のミストに物理的に衝突して回収される。
【0040】
第1噴射器21bは、第1洗浄液11を第1洗浄回収空間21aに向けて噴射して落下させる。第1噴射器21bは、複数のスプレーノズル孔(図示せず)を含み、後述する第1循環ポンプ51によって圧力が高められて供給された第1洗浄液11をスプレーノズル孔から噴射(スプレー)する。これにより、第1洗浄液11は、ミスト状となって第1噴射器21bから高速噴射され、第1洗浄回収空間21aに均等に行き渡りながら自由落下する。すなわち、第1噴射器21bは、第1洗浄液11に鉛直方向の速度成分として第1鉛直方向初速度を与えて第1洗浄回収空間21a内を鉛直方向の速度成分を持たせて強制的に自由落下させる(噴射する)。
【0041】
本実施の形態においては、後述する
図3等に示すような第1受け部21cは設けられていない。第1噴射器21bは、第1洗浄回収空間21aを介して、二酸化炭素回収部20aに対向している。第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストは、第1洗浄回収空間21aを落下して、二酸化炭素回収部20aに達する。
【0042】
第2洗浄部22は、第1洗浄部21から排出される脱炭酸燃焼排ガス3を第2洗浄液12(または第2洗浄水)で洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する。第2洗浄部22は第1洗浄部21の上方に設けられている。
【0043】
第2洗浄部22は、洗浄回収部22aと、洗浄回収部22aの上方に設けられた洗浄液分散器22bと、洗浄回収部22aの下方に設けられた第2受け部22cと、を有している。
【0044】
洗浄回収部22aは、向流型気液接触装置として構成されている。一例として、洗浄回収部22aは、洗浄回収充填層22dを含んでいる。洗浄回収充填層22dは、気液接触面積を増やすために内部に充填された充填物や粒子等の内部構造物で構成されている。この内部構造物の表面に第2洗浄液12を流下させながら脱炭酸燃焼排ガス3と気液接触させて脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収(または除去)する。第2洗浄部22では、ガス状アミンを効果的に回収することができるが、ミスト状アミンも効果的に回収することができる。
【0045】
洗浄液分散器22bは、第2洗浄液12を洗浄回収部22aに向けて分散させて落下させるように構成されている。洗浄回収部22aの内部構造物の表面を流下するように第2洗浄液12が供給される。洗浄液分散器22bに供給される第2洗浄液12の圧力は、第1噴射器21bに供給される第1洗浄液11の圧力よりも低い。洗浄液分散器22bに供給される第2洗浄液12の圧力は、吸収塔20内の圧力に対してそれほど高くない圧力である。洗浄液分散器22bが第2洗浄液12に与える鉛直方向の速度成分である第2鉛直方向初速度は、第1洗浄部21の第1噴射器21bが第1洗浄液11に与える鉛直方向の速度成分である第1鉛直方向初速度よりも小さい。実質的には第2洗浄液12に与えられる第2鉛直方向初速度はほぼ0(ゼロ)であり、洗浄液分散器22bは、重力の作用によって非強制的に第2洗浄液12を洗浄回収部22aに自由落下させる。
【0046】
第2受け部22cは、洗浄回収部22aの内部構造物の表面を流下した第2洗浄液12を受け取って貯留するとともに、第1洗浄部21の第1洗浄回収空間21aから排出されて上昇する脱炭酸燃焼排ガス3が通過可能に構成されている。すなわち、第2受け部22cは、第2洗浄液12を受け取って貯留する受け部本体と、受け部本体の間に設けられた、脱炭酸燃焼排ガス3が通過する開口部と、開口部を上方から覆い、第2洗浄液12が開口部を通過することを抑制するためのカバーと、によって構成されている。
【0047】
第2洗浄部22には、第2洗浄液12を循環させる第2循環ライン54が連結されている。すなわち、第2循環ライン54には、第2循環ポンプ55が設けられており、第2受け部22cに貯留されている第2洗浄液12を抜き出して洗浄液分散器22bに供給する。このようにして、第2洗浄液12が循環するようになっている。
【0048】
本実施の形態では、第2循環ライン54に、第2洗浄液12を冷却する第2洗浄液冷却器56が設けられている。第2洗浄液冷却器56には、第2洗浄液12を冷却するための冷却媒体として、二酸化炭素回収システム1の外部から冷却媒体(例えば、クリーングタワーの冷却水や、海水)が供給される。このようにして、第2洗浄液冷却器56は、第2循環ライン54を流れる第2洗浄液12を冷却するように構成されており、第2洗浄液12の温度を、第1洗浄液11の温度よりも低くしている。しかしながら、第2洗浄液12の温度と第1洗浄液11の温度は、ほぼ同等となるように構成してもよい。
【0049】
第1洗浄部21と第2洗浄部22との間には、第1洗浄部出口デミスター81が設けられている。第1洗浄部出口デミスター81は、第1洗浄部21と第2洗浄部22との間(より詳細には、第1噴射器21bと第2受け部22cとの間)に設けられている。このことにより、第1洗浄部21から排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第1洗浄部出口デミスター81を通過して上昇する。第1洗浄部出口デミスター81は、通過する脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミストを捕捉する。第1洗浄部出口デミスター81は、ミスト状アミンと第1洗浄液11のミストを効果的に捕捉することができる。
【0050】
第2洗浄部22の上方には、第2洗浄部出口デミスター82が設けられている。第2洗浄部出口デミスター82は、第2洗浄部22の上方(より詳細には、洗浄液分散器22bと吸収塔容器20cの頂部との間)に設けられている。このことにより、第2洗浄部22から排出された脱炭酸燃焼排ガス3は、第2洗浄部出口デミスター82を通過して上昇する。第2洗浄部出口デミスター82は、通過する脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミストを捕捉する。第2洗浄部出口デミスター82は、ミスト状アミンと第2洗浄液12のミストを効果的に捕捉することができる。また、第2洗浄部出口デミスター82に、第2洗浄液12が付着するため、第2洗浄部出口デミスター82は、ガス状アミンも捕捉することができる。
【0051】
本実施の形態においては、第2洗浄部22の洗浄回収充填層22dは、第2洗浄部出口デミスター82よりも通過する脱炭酸燃焼排ガス3の流れに生じる圧力損失が低減可能に構成されていてもよい。例えば、洗浄回収充填層22dの空間率は、第2洗浄部出口デミスター82の空間率よりも大きくなっていてもよい。言い換えると、洗浄回収充填層22dの比表面積は、第2洗浄部出口デミスター82の比表面積よりも小さくなっていてもよい。
【0052】
図1に示すように、二酸化炭素回収部20aと第1洗浄部21との間には、デミスターは設けられていない。一般的には、二酸化炭素回収部20aと第1洗浄部21との間には、デミスターが設けられることが多い。しかしながら、本実施の形態においては、第1洗浄液11がリーン液5で構成されており、二酸化炭素回収部20aにおけるリーン液5のアミン濃度と、第1洗浄部21における第1洗浄液11のアミン濃度との差は小さい。このため、脱炭酸燃焼排ガス3の流れに対する圧力損失を低減することを目的に、二酸化炭素回収部20aと第1洗浄部21との間には、デミスターが設けられていない。
【0053】
ところで、第1洗浄部21の第1噴射器21bから噴射される第1洗浄液11の単位面積・単位時間当たりの流量(第1流量)は、第2洗浄部22の洗浄液分散器22bから分散される第2洗浄液12の単位面積・単位時間当たりの流量(第2流量)よりも大きくなっている。第1噴射器21bから噴射される第1洗浄液11の流量は、上述した第1循環ポンプ51(流量調整部)により調整される。同様に、洗浄液分散器22bから分散される第2洗浄液12の流量は、上述した第2循環ポンプ55により調整される。
【0054】
なお、ここで示した単位面積とは、第1噴射器21bが第1洗浄液11を噴射する水平断面積(または第1洗浄部21の水平断面積)、および洗浄液分散器22bが第2洗浄液12を分散する水平断面積(または第2洗浄部22の水平断面積)に対する単位面積である。本実施の形態においては第1洗浄部21および第2洗浄部22の水平断面積は実質的に等しいため各洗浄部(第1洗浄部21および第2洗浄部22)の水平断面積の違いは考慮せず、単位時間当たりの流量により第1流量および第2流量を設定してもよい。
【0055】
各洗浄部21、22の水平断面積が異なる場合も含めて一般化すると、例えば、第1噴射器21bから噴射される第1洗浄液11の単位面積・単位時間当たりの流量(第1流量)を、200L/分/m
2以上としてもよく、300L/分/m
2以上としてもよい。洗浄液分散器22bから分散される第2洗浄液12の単位面積・単位時間当たりの流量(第2流量)を、50L/分/m
2~150L/分/m
2(
図2に示す通常流量範囲)としてもよい。
【0056】
洗浄液分散器22bから分散される第2洗浄液12は、洗浄回収充填層22dを構成する内部構造物の表面を流下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と気液接触する。このため、第2洗浄液12の単位面積・単位時間当たりの流量を150L/分/m
2より大きくしても、脱炭酸燃焼排ガス3の洗浄効率向上への貢献は限られてしまう。また必要以上に第2洗浄液12の流量を増大させることは第2循環ポンプ55の容量を増大させ、運転コストを増大させることになり、好ましくない。しかしながら、第1洗浄部21では、充填層等の部材を設けずに、第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11をミストの状態で脱炭酸燃焼排ガス3と接触させている。第1洗浄液11の単位面積・単位時間当たりの流量を増大させることは、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンへの物理的な衝突確率を高めることに寄与することができ、脱炭酸燃焼排ガス3の洗浄効率を高めることができる。このことが、
図2に示されている。
【0057】
図2は、第1洗浄液11の流量と、ミスト状アミンの除去率(回収効率)との関係を示したグラフである。このデータは、以下に示す試験条件下で得られた。
・試験装置内径(吸収塔容器20cのうち第1洗浄部21が設けられた部分の内径に相当)・・・157mm
・処理ガス流速(脱炭酸燃焼排ガス3の流速に相当)・・・0.7m/s
・ミスト状アミン個数濃度(粒径0.61μm~0.95μm)
・・・約10000個/cc
・洗浄液ミスト中心粒径・・・約300μm
・洗浄液の圧力・・・0.2MPa
【0058】
図2に示されているように、第2洗浄液12の通常流量範囲では、ミスト状アミンの除去率は低いが、この範囲を超えると除去率は増大していく。流量が300L/分/m
2以上になると有意な除去効果が表れ、流量が300L/分/m
2以上になると除去効果を高めることができる。流量が300L/分/m
2以上になると除去率が70%を越え、ミスト状アミンの除去率を高めることができる。
【0059】
また、
図1に示すように、再生塔30は、上述したアミン再生部30aから排出された二酸化炭素含有ガス8を、凝縮水9で洗浄して、二酸化炭素含有ガス8に同伴するアミンを回収する再生洗浄部37を有している。再生洗浄部37は、アミン再生部30aの上方に設けられている。
【0060】
再生洗浄部37は、再生塔回収部37aと、再生塔回収部37aの上方に設けられた液分散器37bと、を有している。
【0061】
再生塔回収部37aは、向流型気液接触装置として構成されている。一例として、再生塔回収部37aは、再生塔回収充填層37dを含んでいる。再生塔回収充填層37dは、気液接触面積を増やすために内部に充填された充填物や粒子等の内部構造物で構成されている。この内部構造物の表面に凝縮水9を流下させながら二酸化炭素含有ガス8と気液接触させ、二酸化炭素含有ガス8からアミンを回収(または除去)する。
【0062】
液分散器37bは、凝縮水9を再生塔回収部37aに向けて分散させて落下させるように構成されている。再生塔回収充填層37dの内部構造物の表面に凝縮水9が供給される。液分散器37bに供給される凝縮水9の圧力は再生塔30内の圧力に対してそれほど高くない圧力であり、液分散器37bは、実質的には強制的ではなく主に重力の作用によって凝縮水9を再生塔回収充填層37dに落下させる。
【0063】
ところで、再生塔30のアミン再生部30aの上方には、第1再生塔デミスター86が設けられている。第1再生塔デミスター86は、アミン再生部30aと再生洗浄部37との間(より詳細には、液分散器30bと再生塔回収部37aとの間)に設けられている。このことにより、アミン再生部30aから排出された二酸化炭素含有ガス8は、第1再生塔デミスター86を通過して上昇する。第1再生塔デミスター86は、通過する二酸化炭素含有ガス8に同伴するミストを捕捉する。第1再生塔デミスター86は、ミスト状アミンを効果的に捕捉することができる。また、第1再生塔デミスター86に液分散器37bから落下した凝縮水9が付着するため、第1再生塔デミスター86は、ガス状アミンも捕捉することができる。
【0064】
再生洗浄部37の上方には、第2再生塔デミスター87が設けられている。第2再生塔デミスター87は、再生洗浄部37の液分散器37bの上方(より詳細には、液分散器37bと再生塔容器30cの頂部との間)に設けられている。このことにより、再生洗浄部37から排出された二酸化炭素含有ガス8は、第2再生塔デミスター87を通過して上昇する。第2再生塔デミスター87は、通過する二酸化炭素含有ガス8に同伴するミスト状アミンと凝縮水9のミストを効果的に捕捉することができる。また、第2再生塔デミスター87に、凝縮水9が付着するため、第2再生塔デミスター87は、ガス状アミンも捕捉することができる。
【0065】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0066】
図1に示す二酸化炭素回収システムの運転中、吸収塔20の二酸化炭素回収部20aの二酸化炭素回収充填層20dにおいて、リーン液冷却器35から供給されたリーン液5は、第1洗浄液11として、第1噴射器21bから噴射されて第1洗浄回収空間21a内を落下する。第1洗浄回収空間21aを通過した第1洗浄液11は、二酸化炭素回収部20aに達する。そして、第1洗浄液11は、リーン液5として、二酸化炭素回収充填層20dの内部構造物の表面を流下しながら燃焼排ガス2と気液接触する。燃焼排ガス2に含有される二酸化炭素は、リーン液5に吸収される。燃焼排ガス2は、脱炭酸燃焼排ガス3として二酸化炭素回収部20aから排出される。
【0067】
二酸化炭素回収部20aを通過した脱炭酸燃焼排ガス3は、第1洗浄部21の第1洗浄回収空間21aに達する。
【0068】
第1洗浄回収空間21aには、上述したように、第1噴射器21bのスプレーノズル孔から噴射された第1洗浄液11が落下し、二酸化炭素回収部20aに直接的に達する。この間、第1洗浄液11はミストの状態で落下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と物理的に衝突し、脱炭酸燃焼排ガス3が第1洗浄液11で洗浄される。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンが第1洗浄液11に効果的に回収される。
【0069】
図1に示すように、第1洗浄液11で洗浄された脱炭酸燃焼排ガス3は、第1洗浄部21の第1洗浄回収空間21aから排出される。そして、脱炭酸燃焼排ガス3は、第2洗浄部22内を更に上昇し、第2洗浄部出口デミスター82を通過する。この際、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンおよび第1洗浄液11のミストなどが、第2洗浄部出口デミスター82で捕捉される。
【0070】
第2洗浄部出口デミスター82を通過した脱炭酸燃焼排ガス3は、吸収塔容器20cの頂部から大気に排出される。
【0071】
ここで、二酸化炭素回収システム1において、脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄する際の一般的な課題について説明する。
【0072】
一般に、二酸化炭素回収システム1において、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収するために、表面に洗浄液を流下させる充填層や棚段が設けられる場合がある。この場合、脱炭酸燃焼排ガス3と洗浄液との接触面積が増加し、効果的にアミンを回収することが可能になる。
【0073】
脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンは、ガス状アミンとミスト状アミンとに大別される。このうちガス状アミンは、洗浄液と充填層等を用いた洗浄で回収されやすい。一方、ミスト状アミンは、洗浄液と充填層等を用いた洗浄では回収されにくい。ミスト状アミンは、デミスターで捕捉されやすいが、ミストの粒径が5μm以下になるとデミスターでも捕捉されにくくなる。粒径が5μm以下のミスト状アミンの除去率を向上させるために、高密度のデミスターを用いることが考えられるが、高密度のデミスターは、通過する脱炭酸燃焼排ガス3の流れに生じる圧力損失を高めるおそれがある。この場合、吸収塔20に燃焼排ガス2を供給する送風機の動力の上昇を招き、運転コストが高くなってしまう。また、高密度のデミスターを用いた場合には、デミスターの目詰まりが生じるという問題も考えられる。
【0074】
そこで、本実施の形態では、洗浄液をミスト化することで、ミスト状アミンの除去率(回収効率)の向上を図っている。すなわち、本実施の形態では、第1洗浄部21の第1噴射器21bに供給される第1洗浄液11の圧力が高められ、第1噴射器21bのスプレーノズル孔から第1洗浄液11が、(噴射直後は特に)高速で噴射される。このことにより、第1洗浄液11のミストが、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンに物理的に衝突し、ミスト状アミンが第1洗浄液11のミストに捕捉されて回収される。ミスト状アミンを回収した第1洗浄液11は二酸化炭素回収部20aに落下する。このようにして、洗浄液と充填層等を用いた洗浄では捕捉されにくいミスト状アミンが、第1洗浄液11に回収され、脱炭酸燃焼排ガス3が効果的に洗浄される。また、上述したような高密度のデミスターを用いたときに生じる圧力損失の問題を回避することができる。
【0075】
ここで、一般的な洗浄液には、吸収液4、5ではなく純水を用いる場合がある。この場合の洗浄液のアミン濃度は低く、アミンを捕捉した場合であっても洗浄液のアミン濃度は、吸収液4、5のアミン濃度よりも低い。このいため、このような洗浄液を吸収液として利用することが困難であるという課題がある。アミン濃度を高めるためには、洗浄液を蒸留処理または膜を用いた濃縮処理を行うことが考えられるが、この場合には、エネルギ消費量が増大するという問題がある。
【0076】
これに対して本実施の形態においては、第1洗浄液11にリーン液5を用いて、リーン液5を第1噴射器21bから噴射させている。第1噴射器21bから噴射されたリーン液5のミストは、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンに物理的に衝突する。このことにより、リーン液5のミストにより、ミスト状アミンを効果的に捕捉することができる。ミスト状アミンを捕捉したリーン液5は、二酸化炭素回収部20aに供給されて、吸収液として利用される。
【0077】
また、本実施の形態では、第1洗浄部21の第1噴射器21bに、圧力を高めた第1洗浄液11を供給し、第1噴射器21bから第1洗浄液11を噴射させている。このことにより、第1洗浄液11のミストを形成することができ、第1洗浄部21の洗浄効率を向上させることができる。例えば、超音波振動エネルギを用いて第1洗浄液11のミストを形成する場合、第1洗浄液11は微細化された噴霧状態となり、第1洗浄液11のミストに鉛直方向の十分な速度成分を持たせることが困難になり得る。また、超音波振動エネルギを用いる場合、第1洗浄液11の圧力は、後述するように0.1MPa以下となるため、この点においても、第1洗浄液11のミストに鉛直方向の十分な速度成分を持たせることが困難になり得る。これに対して、本実施の形態では、後述するように、第1噴射器21bに供給される第1洗浄液11の圧力を、例えば0.1MPa~1.0MPaまで高めているため、第1洗浄液11を高速で噴射してミスト化することができ、第1洗浄部21の洗浄効率を向上させることができる。
【0078】
また、上述したように、第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11は、充填層等が設けられていない第1洗浄回収空間21a内を構造物等の表面に接触することなく自由落下する。この場合、第1洗浄液11のミストが、構造物等の部材に衝突することなく、二酸化炭素回収部20aに直接的に達するため、第1洗浄液11のミストが微細化されることを抑制できる。
【0079】
すなわち、第1洗浄部21または第2洗浄部22のように充填層等により構成される回収部(後述する
図3に示す洗浄回収部22a)を有している場合、第1噴射器21bから高速で噴射された第1洗浄液11のミストが充填層等に衝突し、微細化される。この場合、第1洗浄液11のミストの粒径が小さくなり、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴して逆流しやすくなる。このため、アミンを回収した第1洗浄液11が脱炭酸燃焼排ガス3に同伴して大気に排出されることになり、大気中へのアミンの排出量が増大し得るという問題がある。
【0080】
しかしながら、本実施の形態では、第1噴射器21bの下方に第1洗浄回収空間21aが形成されており、充填層等の構造物等の部材が設けられていない。このため、第1洗浄液11のミストが微細化されることを抑制でき、第1洗浄部21の洗浄効率の低下を抑制できる。例えば、第1噴射器21bから二酸化炭素回収充填層20dまでの距離を少なくとも1m以上、好ましくは1.5m以上にすることで、十分な第1洗浄回収空間21aを設けることができる。この場合、第1洗浄液11のミストが二酸化炭素回収充填層20dに達する際には減速することができ、二酸化炭素回収充填層20dに衝突して微細化されることを抑制できる。また、噴射された第1洗浄液11のミストが脱炭酸燃焼排ガス3に同伴することを抑制するために、第1噴射器21bから二酸化炭素回収充填層20dまでの距離は、5m以下にしてもよい。
【0081】
このように本実施の形態によれば、二酸化炭素回収部20aから排出される脱炭酸燃焼排ガス3が、第1洗浄部21の第1噴射器21bで噴射した第1洗浄液11で洗浄されて、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが回収される。このことにより、第1洗浄液11をミスト化することができ、第1洗浄液11のミストが、二酸化炭素回収部20aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンに物理的に衝突することができる。このため、第1洗浄液11にミスト状アミンを効果的に回収することができ、脱炭酸燃焼排ガス3の洗浄効率を向上させることができる。この結果、大気中へのアミンの排出量を低減することができ、二酸化炭素回収システム1の外部へのアミンの排出量を低減することができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、リーン液ライン16が、再生塔30のアミン再生部30aから排出されるリーン液5を、第1洗浄液11として第1噴射器21bに供給することができる。このことにより、リーン液5を用いた第1洗浄液11を第1噴射器21bから噴射させて、第1洗浄液11のミストを、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンに物理的に衝突させることができる。このため、洗浄水のようなリーン液5とは別の液体を用いなくても、リーン液5でミスト状アミンを捕捉することができる。捕捉されたアミンは、リーン液5に含有され、吸収液として利用することができる。この結果、脱炭酸燃焼排ガス3から回収されたアミンを、容易に利用することができる。
【0083】
また、本実施の形態によれば、第1洗浄部21が、第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストが自由落下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と接触する第1洗浄回収空間21aを有している。このことにより、第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストが、構造物等の部材に衝突することを抑制できる。このため、第1洗浄液11のミストが微細化されて脱炭酸燃焼排ガス3に同伴することを抑制できる。
【0084】
また、本実施の形態によれば、第1噴射器21bは、二酸化炭素回収部20aに対向している。このことにより、第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストは、第1洗浄回収空間21aを通過して、二酸化炭素回収部20aに達することができる。そして、第1洗浄液11を、リーン液5として二酸化炭素回収部20aに供給することができる。このため、洗浄水のようなリーン液5とは別の液体を用いなくても、リーン液5で、二酸化炭素回収部20aから排出された脱炭酸燃焼排ガス3を洗浄することができる。この場合、
図3等に示す第1循環ライン50等の構成を不要とすることができる。この結果、二酸化炭素回収部20aから第1洗浄部21にわたる構成を簡素化することができる。
【0085】
なお、上述した本実施の形態においては、二酸化炭素回収部20aが、二酸化炭素回収充填層20dを含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、二酸化炭素回収部20aは、棚段(図示せず)によって構成されていてもよい。洗浄回収部22a、アミン再生部30aおよび再生塔回収部37aについても同様である。
【0086】
(第2の実施の形態)
次に、
図3を用いて、本発明の第2の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0087】
図3に示す第2の実施の形態においては、吸収液ラインが、第1受け部内の第1洗浄液を第1噴射器に供給する第1循環ラインに連結されている点が主に異なり、他の構成は、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図3において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0088】
本実施の形態では、
図3に示すように、第1洗浄部21は、第1洗浄回収空間21aの下方に設けられた第1受け部21cを更に有している。第1洗浄回収空間21aは、第1噴射器21bから二酸化炭素回収部20aにわたって形成されている。第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストは、第1洗浄回収空間21aを落下して第1受け部21cに直接的に達する。すなわち、第1洗浄回収空間21aを通過した第1洗浄液11は、直接的に第1受け部21cにより受け取られる。第1受け部21cは、第1洗浄液11を受け取って貯留する受け部本体と、受け部本体の間に設けられた、脱炭酸燃焼排ガス3が通過する開口部と、開口部を上方から覆い、第1洗浄液11が開口部を通過することを抑制するためのカバーと、によって構成されている。
【0089】
第1洗浄部21には、第1洗浄液11を循環させる第1循環ライン50が連結されている。すなわち、第1循環ライン50には、第1循環ポンプ51が設けられている。第1受け部21cに貯留された第1洗浄液11の一部は、第1循環ポンプ51によって第1受け部21cから抜き出され、第1循環ライン50を通って第1噴射器21bに供給される。このようにして、第1洗浄液11が循環するようになっている。第1噴射器21bに供給される第1洗浄液11の圧力は、第1循環ポンプ51によって高められる。
【0090】
本実施の形態による第1洗浄回収空間21aは、第1噴射器21bから第1受け部21cまでの距離で画定することができる。この場合、第1噴射器21bから第1受け部21cまでの距離を少なくとも1m以上、好ましくは1.5m以上にすることで、十分な第1洗浄回収空間21aを設けることができる。また、第1噴射器21bから第1受け部21cまでの距離は、5m以下にしてもよい。
【0091】
本実施の形態によるリーン液ライン16は、第1循環ライン50に連結されている。リーン液ライン16は、第1循環ライン50のうち第1循環ポンプ51よりも上流側の位置に連結されていてもよい。より具体的には、リーン液ライン16の下流端が、第1循環ライン50のうち第1循環ポンプ51よりも上流側の位置に連結されていてもよい。リーン液ライン16から供給されるリーン液5は、第1循環ライン50を流れる第1洗浄液11に混入される。リーン液5が混入された第1洗浄液11は、第1循環ポンプ51を通過して、第1噴射器21bに供給される。
【0092】
また、本実施の形態においては、二酸化炭素回収部20aの上方に、液分散器20bが設けられている。液分散器20bは、後述するバイパスライン60から供給される第1洗浄液11を、リーン液5として、二酸化炭素回収部20aに向けて分散させて落下させるように構成されている。この液分散器20bから、二酸化炭素回収充填層20dの内部構造物の表面にリーン液5が供給される。液分散器20bに供給されるリーン液5の圧力は、吸収塔20内の圧力に対してそれほど高くない圧力であり、液分散器20bは、実質的には強制的ではなく主に重力の作用によってリーン液5を二酸化炭素回収充填層20dに落下させる。
【0093】
第1受け部21cと液分散器20bとが、バイパスライン60によって連結されている。バイパスライン60は、第1受け部21c内の第1洗浄液11の一部を、液分散器20bに供給する。バイパスライン60には、図示しないポンプが設けられていてもよいが、設けられていなくてもよい。後者の場合であっても、重力の作用により、第1受け部21cに貯留されている第1洗浄液11を、液分散器20bに供給することができる。
【0094】
このように本実施の形態によれば、リーン液ライン16が、第1受け部21c内の第1洗浄液11を第1噴射器21bに供給する第1循環ライン50に連結されている。このことにより、リーン液5を第1洗浄液11に混入させて第1噴射器21bに供給することができる。このため、第1噴射器21bから噴射した第1洗浄液11のミストで、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンを捕捉することができる。
【0095】
また、本実施の形態によれば、第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストは、第1受け部21cで受け取られる。このことにより、ミスト状アミンを捕捉したリーン液5を、第1受け部21cで貯留することができる。第1循環ライン50およびバイパスライン60の少なくとも一方に、図示しない流量調整弁を設けた場合には、第1噴射器21bに供給される第1洗浄液11の供給量と、液分散器20bから供給されるリーン液5の供給量を、調整することができる。このため、状況に応じた適切な運転を行うことができる。例えば、第1噴射器21bからの第1洗浄液11の噴射量を、液分散器20bから供給されるリーン液5の供給量よりも多くしてもよい。この場合、第1噴射器21bからの第1洗浄液11の噴射量を増大させることができ、ミスト状アミンの捕捉能力を高めることができる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、リーン液ライン16は、第1循環ライン50のうち第1循環ポンプ51よりも上流側の位置に連結されている。このことにより、リーン液ライン16内において、リーン液5が逆流することを防止できる。すなわち、第1噴射器21bからの第1洗浄液11の噴射量を増大させる場合、第1循環ポンプ51の吐出量が増大する。リーン液ライン16を、第1循環ライン50のうち第1循環ポンプ51よりも下流側の位置に連結させた場合には、第1循環ポンプ51の吐出量によっては、リーン液ライン16内をリーン液5が逆流する可能性が考えられる。しかしながら、本実施の形態によれば、リーン液ライン16は、第1循環ポンプ51よりも上流側の位置に連結されている。このことにより、リーン液ライン16内においてリーン液5が逆流することを抑制できる。
【0097】
また、本実施の形態によれば、バイパスライン60は、第1受け部21c内の第1洗浄液11を二酸化炭素回収部20aに供給する。このことにより、ミスト状アミンを捕捉した第1洗浄液11を、バイパスライン60によって、液分散器20bに供給することができ、吸収液として利用することができる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3から回収されたアミンを、容易に利用することができる。
【0098】
(第3の実施の形態)
次に、
図4を用いて、本発明の第3の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0099】
図4に示す第3の実施の形態においては、第1循環ラインに、第1噴射器への第1洗浄液の供給量と、二酸化炭素回収部への第1洗浄液の供給量を調整可能な洗浄液分配器が設けられている点が主に異なり、他の構成は、
図3に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、
図4において、
図3に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0100】
本実施の形態では、
図4に示すように、第1循環ライン50に、洗浄液分配器61が設けられている。洗浄液分配器61は、第1循環ライン50とリーン液ライン16との連結位置よりも下流側に配置されている。洗浄液分配器61に、第1洗浄液11を二酸化炭素回収部20aに供給する洗浄液分配ライン62が連結されている。洗浄液分配ライン62の上流端が洗浄液分配器61に連結され、洗浄液分配ライン62の下流端が液分散器20bに連結されている。本実施の形態においては、
図3に示すバイパスライン60は設けられていない。
【0101】
洗浄液分配器61は、第1洗浄液11を第1噴射器21bと二酸化炭素回収部20aに分配可能になっている。より具体的には、洗浄液分配器61は、第1噴射器21bへの第1洗浄液11の供給量と、二酸化炭素回収部20aへの第1洗浄液11の供給量を調整可能になっている。すなわち、洗浄液分配器61は、第1噴射器21bに供給される第1洗浄液11の供給量と、液分散器20bに供給される第1洗浄液11の供給量とを、調整可能になっている。例えば、第1噴射器21bへの第1洗浄液11の供給量が、液分散器20bに供給される第1洗浄液11の供給量よりも多くしてもよい。
【0102】
また、例えば、吸収液4、5の水分量(より具体的には水の含有率)に基づいて、第1洗浄液11を分配する量を調整してもよい。吸収液4、5に流入する水分としては、燃焼排ガス2に含まれる水分が挙げられる。一方、吸収液4、5から流出する水分としては、脱炭酸燃焼排ガス3に含まれる水分またはアミン等が挙げられる。また、吸収液4、5の水分量調整のために、吸収液4、5から二酸化炭素回収システム1の外部に排出される水分も挙げられる。このため、二酸化炭素回収部20aに供給されるリーン液5の流量と、再生塔30から排出されるリーン液5の流量とは、一致させていなくてもよい。洗浄液分配器61は、吸収液4、5の水分量を一定に保つことを目的として、洗浄液分配器61によって分配される第1洗浄液11の流量を調整してもよい。この場合、図示しないバッファタンクに貯留されているリーン液5の貯留量を計測して、この貯留量に基づいて、洗浄液分配器61が分配する量を調整してもよい。例えば、貯留量が多い場合には、第1噴射器21bへの第1洗浄液11の供給量を増大し、貯留量が少ない場合には、二酸化炭素回収部20aへの第1洗浄液11の供給量を増大する。リーン液5の貯留量の代わりに、リーン液5に含まれる水分量を計測して、洗浄液分配器61が分配する量を調整してもよい。例えば、水分量の計測には、カールフィッシャー滴定法またはガスクロマトグラフィーの原理を利用した計測器を用いてもよい。この場合、計測値は、吸収液4、5の水分量を調整することにより、二酸化炭素の回収能力の低下を抑制できるとともに、吸収液4、5の粘度が増大することを抑制できる。バッファタンクは、例えば、リーン液ライン16のうち熱交換器31とリーン液冷却器35との間に配置されていてもよい。
【0103】
このように本実施の形態によれば、第1循環ライン50に、第1噴射器21bへの第1洗浄液11の供給量と、二酸化炭素回収部20aへの第1洗浄液11の供給量を調整可能な洗浄液分配器61が設けられている。このことにより、第1噴射器21bへの第1洗浄液11の供給量と二酸化炭素回収部20aへの第1洗浄液11の供給量を調整することができる。このため、吸収液4、5の水分量を調整することができ、二酸化炭素回収システム1の運転を安定化させることができる。
【0104】
(第4の実施の形態)
次に、
図5を用いて、本発明の第4の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0105】
図5に示す第4の実施の形態においては、吸収液ラインに、第1循環ラインへの吸収液の供給量と、二酸化炭素回収部への吸収液の供給量を調整可能な吸収液分配器が設けられている点が主に異なり、他の構成は、
図3に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、
図5において、
図3に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0106】
本実施の形態では、
図5に示すように、リーン液ライン16に、吸収液分配器63が設けられている。吸収液分配器63は、リーン液ライン16のうちリーン液冷却器35よりも下流側に配置されている。吸収液分配器63に、リーン液5を二酸化炭素回収部20aに供給する吸収液分配ライン64が連結されている。吸収液分配ライン64の上流端が吸収液分配器63に連結され、吸収液分配ライン64の下流端が液分散器20bに連結されている。
【0107】
吸収液分配器63は、リーン液5を第1循環ライン50と二酸化炭素回収部20aに分配可能になっている。より具体的には、吸収液分配器63は、第1循環ライン50へのリーン液5の供給量と、二酸化炭素回収部20aへのリーン液5の供給量を調整可能になっている。すなわち、吸収液分配器63は、第1循環ライン50に供給されるリーン液5の供給量と、液分散器20bに供給されるリーン液5の供給量とを、調整可能になっている。例えば、第1受け部21cに貯留される第1洗浄液11の貯留量が一定になるように、リーン液5を分配する量を調整してもよい。この場合、第1受け部21cに貯留された第1洗浄液11の液面を計測し、液面が一定となるように、リーン液5を分配する量を調整してもよい。例えば、貯留量が多い場合には、二酸化炭素回収部20aへのリーン液5の供給量を増大し、貯留量が少ない場合には、第1循環ライン50へのリーン液5の供給量を増大する。このようにして、第1噴射器21bからの第1洗浄液11の噴射量を確保し、ミスト状アミンの捕捉能力を確保することができる。
【0108】
このように本実施の形態によれば、リーン液ライン16に、第1循環ライン50へのリーン液5の供給量と、二酸化炭素回収部20aへのリーン液5の供給量を調整可能な吸収液分配器63が設けられている。このことにより、第1循環ライン50へのリーン液5の供給量と二酸化炭素回収部20aへのリーン液5の供給量を調整することができる。このため、例えば、第1受け部21cに貯留される第1洗浄液11の貯留量を一定にすることができ、第1噴射器21bからの第1洗浄液11の噴射量を確保し、ミスト状アミンの捕捉能力を確保することができる。
【0109】
また、本実施の形態によれば、吸収液分配器63が、リーン液冷却器35よりも下流側に配置されている。このことにより、熱交換器31から排出されたリーン液5の温度が高い場合であっても、二酸化炭素回収部20aに供給されるリーン液5の温度を、二酸化炭素の回収効率の良い温度まで低下させることができる。このため、二酸化炭素回収部20aにおいて、燃焼排ガス2からの二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0110】
(第5の実施の形態)
次に、
図6を用いて、本発明の第5の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0111】
図6に示す第5の実施の形態においては、吸収液冷却器が、吸収液分配ラインに配置されている点が主に異なり、他の構成は、
図5に示す第4の実施の形態と略同一である。なお、
図6において、
図5に示す第4の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0112】
本実施の形態では、
図6に示すように、リーン液ライン16に、吸収液分配器65が設けられている。吸収液分配器65に、リーン液5を二酸化炭素回収部20aに供給する吸収液分配ライン66が連結されている。吸収液分配ライン66の上流端が吸収液分配器65に連結され、吸収液分配ライン66の下流端が液分散器20bに連結されている。
【0113】
吸収液分配器65は、第1循環ライン50へのリーン液5の供給量と、二酸化炭素回収部20aへのリーン液5の供給量を調整可能になっている。すなわち、吸収液分配器65は、第1循環ライン50に供給されるリーン液5の供給量と、液分散器20bに供給されるリーン液5の供給量とを、調整可能になっている。
【0114】
本実施の形態によるリーン液冷却器35は、吸収液分配ライン66に設けられている。吸収液分配器65は、リーン液冷却器35よりも上流側に配置されている。より具体的には、吸収液分配器65は、熱交換器31とリーン液冷却器35との間に配置されている。
【0115】
ここで、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンは、洗浄液と充填層等を用いた洗浄では回収されにくい。このため、本実施の形態では、第1洗浄部21の第1噴射器21bから噴射された第1洗浄液11のミストを、ミスト状アミンに衝突させて、ミスト状アミンを第1洗浄液11のミストに回収している。しかしながら、ミスト状アミンの粒径が小さくなると(例えば、0.5μm以下になると)、ミスト状アミンの回収効率が低下する。このため、ミスト状アミンの回収効率を高めるためには、ミスト状アミンの粒径を大きくすることが効果的である。
【0116】
ミスト状アミンの粒径を大きくする方法としては、第2洗浄部22の温度を第1洗浄部21の温度よりも低くして、両者の温度差を拡大させることが考えられる。この場合、第2洗浄部22内を脱炭酸燃焼排ガス3が通過する際に冷却されて、脱炭酸燃焼排ガス3が含有する水蒸気が凝縮し、凝縮した水分がミスト状アミンに捕捉されてミスト状アミンの粒径を増大させることができる。
【0117】
第1洗浄部21の温度よりも第2洗浄部22の温度を低くする方法としては、2つ考えられる。一つ目は、第1洗浄部21を加熱する方法、二つ目は、第2洗浄部22を冷却する方法である。
【0118】
洗浄液中のアミン蒸気圧を低減することを目的として、洗浄液を冷却することがある。しかしながら、一般的な洗浄液の運用温度が30℃~40℃程度であるのに対し、冷却された洗浄液の温度は20℃~30℃程度に留まり、冷却によって得られる温度差は小さくなる。このことから、第2洗浄液12を冷却することによって第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差を拡大させることは困難となる。また、温度差を拡大するために第2洗浄液12を冷却能力の高いチラーなどを用いて冷却した場合には、洗浄液の温度をより一層下げることができるものの、冷却に要するエネルギが急増してしまう。二酸化炭素回収システム1の大きな課題の一つが、二酸化炭素を回収するために要するエネルギをいかに低減するかである。このため、脱炭酸燃焼排ガス3を冷却するためのエネルギが増大することは好ましくない。
【0119】
そこで、本実施の形態では、熱交換器31から排出されたリーン液5がリーン液冷却器35で冷却されていることに着目する。すなわち、運転時における第1洗浄部21の温度は、30℃~40℃程度であるが、熱交換器31から排出されたリーン液5の温度は、50℃~60℃程度である。この第1洗浄部21に、リーン液冷却器35で冷却される前のリーン液5を供給する。このことにより、第1洗浄液11の温度が高められ、第1洗浄部21と第2洗浄部22との温度差を拡大させることができる。このため、第2洗浄部22における凝縮水分量を増大させることができる。第1洗浄部21の温度は、二酸化炭素回収部20aの上端部での温度よりも5℃~50℃高いことが好ましく、10℃~30℃高いことがより一層好ましい。
【0120】
また、
図6に示すように、バイパスライン60に、第1洗浄液11を冷却するバイパス冷却器67が設けられている。上述したように、第1洗浄液11の温度が高められているため、第1受け部21cから液分散器20bに供給される第1洗浄液11は冷却することが好ましい。このため、バイパスライン60にバイパス冷却器67が設けられている。第1受け部21cに貯留された第1洗浄液11は、バイパス冷却器67によって冷却されて、その後に液分散器20bに供給される。バイパス冷却器67は、
図1等に示すリーン液冷却器35において冷却されたリーン液5の温度と同程度まで第1洗浄液11を冷却するようにしてもよい。
【0121】
このように本実施の形態によれば、リーン液ライン16に、第1循環ライン50へのリーン液5の供給量と、二酸化炭素回収部20aへのリーン液5の供給量を調整可能な吸収液分配器65が設けられている。このことにより、第1循環ライン50に供給されるリーン液5の温度を高めることができ、第1洗浄液11の温度を、第2洗浄液12の温度よりも高くすることができる。このため、第1洗浄液11の温度と第2洗浄液12の温度との差を増大させることができ、ミスト状アミンの粒径を大きくすることができる。この結果、ミスト状アミンの回収効率を向上させることができる。大気中へのアミンの排出量をより一層低減することができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、バイパスライン60に、第1洗浄液11を冷却するバイパス冷却器67が設けられている。このことにより、液分散器20bに供給される第1洗浄液11を、冷却することができ、第1洗浄液11の温度を低くすることができる。このため、二酸化炭素回収部20aにおいて、燃焼排ガス2からの二酸化炭素の回収効率を向上させることができる。
【0123】
(第6の実施の形態)
次に、
図7を用いて、本発明の第6の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0124】
図7に示す第6の実施の形態においては、第1洗浄部出口デミスターが、第2洗浄部出口デミスターよりも疎に形成されている点が主に異なり、他の構成は、
図6に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、
図7において、
図6に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0125】
本実施の形態では、
図7に示すように、第1洗浄部出口デミスター81は、第2洗浄部出口デミスターよりも疎に形成されている。
【0126】
デミスターが疎または密に形成されているということは、例えば、デミスターの空間率で説明することができる。より具体的には、デミスターの空間率の大小をデミスターの疎または密に対応させてもよい。この場合、第1洗浄部出口デミスター81が第2洗浄部出口デミスター82よりも疎に形成されているということは、第1洗浄部出口デミスター81の空間率が、第2洗浄部出口デミスター82の空間率よりも大きくなっていることと同義となる。このことにより、第1洗浄部出口デミスター81のうち脱炭酸燃焼排ガス3が通過する空間が増え、脱炭酸燃焼排ガス3が通過しやすくなっている。このため、脱炭酸燃焼排ガス3の流れに生じる圧力損失を低減することができる。例えば、第1洗浄部出口デミスター81および第2洗浄部出口デミスター82がメッシュ状のデミスターである場合には、第1洗浄部出口デミスター81のメッシュを、第2洗浄部出口デミスター82のメッシュよりも粗くしてもよい。
【0127】
また、デミスターが疎または密に形成されているということは、例えば、デミスターによるミストの除去(または回収)率特性で説明することもできる。より具体的には、所定の粒径範囲(例えば、0.1μm~10μm)におけるミストの除去率でデミスターの特性が示されている場合には、除去率の大小をデミスターの疎または密に対応させてもよい。この場合、第1洗浄部出口デミスター81が第2洗浄部出口デミスター82よりも疎に形成されているということは、第1洗浄部出口デミスター81における所定の粒径範囲のミストの除去率が、第2洗浄部出口デミスター82の除去率よりも小さいことと同義となる。
【0128】
第1噴射器21bから噴射される第1洗浄液11のミストは、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンの粒径よりも大きく、例えば、直径100μm以上である。本実施の形態による第1洗浄部出口デミスター81は、第2洗浄部出口デミスター82よりも疎に形成されている。このことにより、第1洗浄部出口デミスター81を第2洗浄部出口デミスター82よりも粗いデミスターで構成することができる。このため、圧力損失の増加を抑制することができ、吸収塔20に燃焼排ガス2を供給する送風機の動力の上昇を抑制できる。また、粒径が大きい第1洗浄液11のミストが脱炭酸燃焼排ガス3に同伴した場合であっても、第1洗浄部出口デミスター81で目詰まりが発生することを抑制できる。また、多くの第1洗浄液11のミストが脱炭酸燃焼排ガス3に同伴した場合であっても、第1洗浄部出口デミスター81で目詰まりが発生することを抑制できる。
【0129】
一方、第2洗浄部出口デミスター82は、目の細かいデミスターで構成することができ、第1洗浄部出口デミスター81で捕捉できなかったミスト状アミンを効果的に捕捉することが可能になる。すなわち、第2洗浄部出口デミスター82は、第2洗浄液12のミストだけでなく、比較的粒径が小さい第1洗浄液11のミストを除去することができる。また、第2洗浄部出口デミスター82は、第1洗浄部出口デミスター81を通過した比較的粒径が小さいアミン状ミストを捕捉することができる。第2洗浄部22を通過する際に、水分の凝縮によって粒径が拡大してアミン状ミストも第2洗浄部出口デミスター82で捕捉される。
【0130】
このように本実施の形態によれば、第1洗浄部出口デミスター81は、第2洗浄部出口デミスター82よりも疎に形成されている。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンおよび第1洗浄液11のミストを効果的に捕捉しながら、第1洗浄部出口デミスター81における圧力損失の増加を抑制することができるとともに、目詰まりの発生を抑制できる。この場合、吸収塔20に燃焼排ガス2を供給するための送風機の動力を低減することができ、運転コストを低減することができる。
【0131】
(第7の実施の形態)
次に、
図8を用いて、本発明の第7の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0132】
図8に示す第7の実施の形態においては、第1洗浄部と第2洗浄部との間に設けられた洗浄液ミスト回収部が、第1洗浄液のミストを回収するミスト回収充填層を有している点が主に異なり、他の構成は、
図6に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、
図8において、
図6に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0133】
本実施の形態では、
図8に示すように、第1洗浄部21と第2洗浄部22との間に、洗浄液ミスト回収部83が設けられている。洗浄液ミスト回収部83は、第1噴射器21bの上方であって、第2受け部22cの下方に設けられている。洗浄液ミスト回収部83は、第1洗浄部21から排出される脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する第1洗浄液11のミストを回収するように構成されている。
【0134】
洗浄液ミスト回収部83は、向流型気液接触装置として構成されていてもよい。一例として、洗浄液ミスト回収部83は、ミスト回収充填層83aを含んでいる。ミスト回収充填層83aは、気液接触面積を増やすために内部に充填された充填物や粒子等の内部構造物で構成されている。この内部構造物の表面に、第1洗浄部21から排出された脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する第1洗浄液11のミストを接触させ、付着させる。これにより、脱炭酸燃焼排ガス3から第1洗浄液11のミストが回収(または除去)される。
【0135】
本実施の形態においては、洗浄液ミスト回収部83のミスト回収充填層83aは、第2洗浄部出口デミスター82よりも通過する脱炭酸燃焼排ガス3の流れに生じる圧力損失が低減可能に構成されていてもよい。例えば、ミスト回収充填層83aの空間率は、第2洗浄部出口デミスター82の空間率よりも大きくなっていてもよい。言い換えると、ミスト回収充填層83aの比表面積は、第2洗浄部出口デミスター82の比表面積よりも小さくなっていてもよい。すなわち、ミスト回収充填層83aは、比較的粒径が大きい第1洗浄液11のミストを捕捉することを目的としている。一方、第2洗浄部出口デミスター82は、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンを捕捉することを目的としているが、ミスト状アミンの粒径は比較的小さい。このことから、圧力損失の低減を図るために、ミスト回収充填層83aの空間率は、第2洗浄部出口デミスター82の空間率よりも大きくなっていてもよく、第1洗浄液11のミストを効果的に捕捉することができる。
【0136】
このように本実施の形態によれば、第1洗浄部211と第2洗浄部22との間に設けられた洗浄液ミスト回収部83は、第1洗浄液11のミストを回収するミスト回収充填層83aを有している。このことにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンおよび第1洗浄液11のミストを効果的に捕捉しながら、洗浄液ミスト回収部83における圧力損失の増加を抑制することができるとともに、目詰まりの発生を抑制できる。この場合、吸収塔20に燃焼排ガス2を供給するための送風機の動力を低減することができ、運転コストを低減することができる。
【0137】
(第8の実施の形態)
次に、
図9を用いて、本発明の第8の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0138】
図9に示す第8の実施の形態においては、第2洗浄部が、第2噴射器で第2洗浄液を噴射して、第2洗浄液のミストで燃焼排ガスに同伴するアミンを回収する点が主に異なり、他の構成は、
図6に示す第5の実施の形態と略同一である。なお、
図9において、
図6に示す第5の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0139】
本実施の形態では、
図9に示すように、第2洗浄部22は、第2噴射器22fで第2洗浄液12を噴射して、第2洗浄液12のミストで脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンを回収する。より具体的には、第2洗浄部22は、第2洗浄回収空間22eと、第2洗浄回収空間22eの上方に設けられた第2噴射器22fと、第2洗浄回収空間22eの下方に設けられた第2受け部22cと、を有している。
【0140】
第2洗浄回収空間22eは、第2噴射器22fの下方に設けられた空間である。本実施の形態においては、第2洗浄回収空間22eは、第2噴射器22fから第2受け部22cにわたって設けられた空間である。この第2洗浄回収空間22eには、第2洗浄液12が第2噴射器22fから噴射される。噴射された第2洗浄液12は、第2洗浄回収空間22eにおいて、ミストの状態で自由落下(すなわち、空間内の構造物等の表面に接触することがないまま落下)しながら、上昇する脱炭酸燃焼排ガス3と接触する。これにより、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが回収される。第2洗浄部22では、ミスト状アミンを効果的に回収することができるが、ガス状アミンも効果的に回収することができる。
【0141】
本実施の形態では、上述したように、第2噴射器22fと第2受け部22cとの間には第2洗浄回収空間22eが形成されている。第2洗浄回収空間22eには、第2洗浄液12が表面を流下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と接触させるための充填層や棚段等の構造物は設けられていない。すなわち、第2噴射器22fと第2受け部22cとの間には、第2洗浄液12が表面を流下するような構造物等は設けられておらず、第2噴射器22fから第2受け部22cにわたって第2洗浄回収空間22eが形成されている。このことにより、第2洗浄回収空間22eは、第2洗浄液12が自由落下しながら脱炭酸燃焼排ガス3と接触するように構成されている。第2噴射器22fから噴射された第2洗浄液12のミストは、脱炭酸燃焼排ガス3が上昇する第2洗浄回収空間22eを落下して、第2受け部22cに直接的に達する。すなわち、第2洗浄回収空間22eを通過した第2洗浄液12は、直接的に第2受け部22cにより受け取られる。落下している間、第2洗浄液12が脱炭酸燃焼排ガス3と接触し、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンが第2洗浄液12のミストに物理的に衝突して回収される。
【0142】
第2噴射器22fは、第2洗浄液12を第2洗浄回収空間22eに向けて噴射して落下させる。第2噴射器22fは、第1噴射器21bと同様に構成されていてもよい。第2受け部22cは、第2洗浄回収空間22eを落下した第2洗浄液12を受け取って貯留する。第2受け部22cには、第2洗浄液12を循環させる第2循環ライン54が連結されている。第2受け部22cに貯留されている第2洗浄液12を抜き出して、第2噴射器22fに供給する。このようにして、第2洗浄液12が循環するようになっている。
【0143】
このように本実施の形態によれば、第2噴射器22fで第2洗浄液12を噴射して、第2洗浄液12のミストで脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するアミンが回収される。このことにより、第2洗浄液12のミストが、第1洗浄部21から排出された脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するミスト状アミンに物理的に衝突することができる。このため、第2洗浄液12にミスト状アミンを効果的に回収することができる。また、第2洗浄液12は、第1洗浄液11よりもアミン濃度が低いため、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するガス状アミンも回収することができる。このため、脱炭酸燃焼排ガス3の洗浄効率をより一層向上させることができ、大気中へのアミンの排出量をより一層低減することができる。
【0144】
(第9の実施の形態)
次に、
図10を用いて、本発明の第9の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0145】
図10に示す第9の実施の形態においては、第2洗浄部から排出される燃焼排ガスを第3洗浄液で洗浄して、燃焼排ガスに同伴するアミンを回収する第3洗浄部を更に備えている点が主に異なり、他の構成は、
図9に示す第8の実施の形態と略同一である。なお、
図10において、
図9に示す第8の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0146】
本実施の形態では、
図10に示すように、吸収塔20内に、第3洗浄部23が更に収容されている。第3洗浄部23は、第2洗浄部22から排出された脱炭酸燃焼排ガス3を第3洗浄液13(または第3洗浄水)で洗浄して、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴する吸収液成分であるアミンを回収する。第3洗浄部23は、第2洗浄部22の上方に設けられている。
【0147】
第3洗浄部23は、
図1等に示す第2洗浄部22と同様に構成されていてもよい。すなわち、第3洗浄部23は、洗浄回収部23aと、洗浄回収部23aの上方に設けられた洗浄液分散器23bと、洗浄回収部23aの下方に設けられた第3受け部23cと、を有している。
【0148】
洗浄回収部23aは、向流型気液接触装置として構成されている。一例として、洗浄回収部23aは、洗浄回収充填層23dを含んでいる。第3洗浄部23では、ガス状アミンを効果的に回収することができるが、ミスト状アミンも効果的に回収することができる。
【0149】
第3洗浄部23には、第3洗浄液13を循環させる第3循環ライン57が連結されている。すなわち、第3循環ライン57には、第3循環ポンプ58が設けられており、第3受け部23cに貯留されている第3洗浄液13を抜き出して洗浄液分散器23bに供給する。このようにして、第3洗浄液13が循環するようになっている。第3循環ライン57に、第3洗浄液13を冷却する第3洗浄液冷却器59が設けられている。第3洗浄液冷却器59は、第2洗浄液冷却器56と同様に構成することができる。
【0150】
このように本実施の形態によれば、第2洗浄部22から排出される脱炭酸燃焼排ガス3が第3洗浄液13で洗浄される。このことにより、第3洗浄部23は、主として、脱炭酸燃焼排ガス3に同伴するガス状アミンを回収することができる。より具体的には、第1洗浄部21において、第1洗浄液11がミスト状アミンを回収することができ、ミスト状アミンを回収した第1洗浄液11を、リーン液5として利用することができる。第2洗浄部22において、第2洗浄液12が第1洗浄部21において回収できなかったミスト状アミンを回収するとともに、ガス状アミンを回収することができる。第3洗浄部23においては、主として、ガス状アミンを回収することができる。第3洗浄液13のアミン濃度は、第2洗浄液12のアミン濃度よりも低いため、第3洗浄部23において、第3洗浄液13が、ガス状アミンを効果的に回収することができる。この結果、大気中へのアミンの排出量をより一層低減することができ、二酸化炭素回収システム1の外部へのアミンの排出量をより一層低減することができる。
【0151】
(第10の実施の形態)
次に、
図11を用いて、本発明の第10の実施の形態における二酸化炭素回収システムおよび二酸化炭素回収システムの運転方法について説明する。
【0152】
図11に示す第10の実施の形態においては、吸収液再生部から排出される再生排ガスを、再生噴射器で噴射した再生洗浄液のミストで洗浄して、再生排ガスに同伴するアミンを回収する再生洗浄部を更に備えている点が主に異なり、他の構成は、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、
図11において、
図1および
図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0153】
本実施の形態では、
図9に示すように、再生洗浄部37は、再生噴射器37fで凝縮水9(再生洗浄液)を噴射して、凝縮水9のミストで二酸化炭素含有ガス8に同伴するアミンを回収する。より具体的には、再生洗浄部37は、第2洗浄回収空間22eと、洗浄回収空間37eの上方に設けられた再生噴射器37fと、を有している。
【0154】
洗浄回収空間37eは、再生噴射器37fの下方に設けられた空間である。本実施の形態においては、洗浄回収空間37eは、再生噴射器37fから第1再生塔デミスター86にわたって設けられた空間である。この洗浄回収空間37eには、凝縮水9が再生噴射器37fから噴射される。噴射された凝縮水9は、洗浄回収空間37eにおいて、ミストの状態で自由落下(すなわち、空間内の構造物等の表面に接触することがないまま落下)しながら、上昇する二酸化炭素含有ガス8と接触する。これにより、二酸化炭素含有ガス8に同伴するアミンが回収される。再生洗浄部37では、ミスト状アミンを効果的に回収することができるが、ガス状アミンも効果的に回収することができる。
【0155】
本実施の形態では、上述したように、再生噴射器37fと第1再生塔デミスター86との間には洗浄回収空間37eが形成されている。洗浄回収空間37eには、凝縮水9が表面を流下しながら二酸化炭素含有ガス8と接触させるための充填層や棚段等の構造物は設けられていない。すなわち、再生噴射器37fと第1再生塔デミスター86との間には、凝縮水9が表面を流下するような構造物等は設けられておらず、再生噴射器37fから第1再生塔デミスター86にわたって洗浄回収空間37eが形成されている。このことにより、洗浄回収空間37eは、凝縮水9が自由落下しながら二酸化炭素含有ガス8と接触するように構成されている。再生噴射器37fから噴射された凝縮水9のミストは、二酸化炭素含有ガス8が上昇する洗浄回収空間37eを落下して、第1再生塔デミスター86に直接的に達する。すなわち、洗浄回収空間37eを通過した凝縮水9は、直接的に第1再生塔デミスター86に達する。落下している間、凝縮水9が二酸化炭素含有ガス8と接触し、二酸化炭素含有ガス8に同伴するミスト状アミンが凝縮水9のミストに物理的に衝突して回収される。
【0156】
再生噴射器37fは、凝縮水9を洗浄回収空間37eに向けて噴射して落下させる。再生噴射器37fは、第1噴射器21bまたは第2噴射器22fと同様に構成されていてもよい。
【0157】
このように本実施の形態によれば、再生噴射器37fで凝縮水9を噴射して、凝縮水9のミストで二酸化炭素含有ガス8に同伴するアミンが回収される。このことにより、凝縮水9のミストが、アミン再生部30aから排出された二酸化炭素含有ガス8に同伴するミスト状アミンに物理的に衝突することができる。このため、凝縮水9にミスト状アミンを効果的に回収することができる。また、凝縮水9は、アミン濃度が低いため、二酸化炭素含有ガス8に同伴するガス状アミンも回収することができる。このため、二酸化炭素含有ガス8の洗浄効率をより一層向上させることができ、大気中へのアミンの排出量をより一層低減することができる。また、二酸化炭素含有ガス8からアミンを除去できるため、二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素の純度を高めることができる。このため、二酸化炭素の用途を広げることができる。
【0158】
なお、上述した本実施の形態による再生洗浄部37は、
図11に示す二酸化炭素回収システム1に適用されることに限られることはなく、種々の二酸化炭素回収システム1に適用することができる。例えば、
図11に示す再生洗浄部37は、
図3~
図10に示す二酸化炭素回収システム1にも適用することができる。また、吸収塔20内の第1洗浄部21は、第1噴射器21bを含む構成を有していることに限られることはない。例えば、第1洗浄部21は、
図1に示す第2洗浄部22と同様な構成であってもよく、二酸化炭素回収部20aには、
図3等に示す液分散器20bからリーン液5が供給されるようにしてもよい。この場合、液分散器20bには、リーン液ライン16から直接的にリーン液5が供給されるようにしてもよく、
図3等に示すバイパスライン60は連結されていなくてもよい。
【0159】
以上述べた実施の形態によれば、アミンの排出量を低減することができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0161】
1:二酸化炭素回収システム、2:燃焼排ガス、3:脱炭酸燃焼排ガス、4:リッチ液、5:リーン液、8:二酸化炭素含有ガス、9:凝縮水、11:第1洗浄液、12:第2洗浄液、13:第3洗浄液、16:リーン液ライン、20:吸収塔、20a:二酸化炭素回収部、21:第1洗浄部、21a:第1洗浄回収空間、21b:第1噴射器、21c:第1受け部、22:第2洗浄部、22a:洗浄回収部、22d:洗浄回収充填層、22e:第2洗浄回収空間、22f:第2噴射器、23:第3洗浄部、30a:アミン再生部、35:リーン液冷却器、37:再生洗浄部、37f:再生噴射器、50:第1循環ライン、51:第1循環ポンプ、60:バイパスライン、61:洗浄液分配器、62:洗浄液分配ライン、63:吸収液分配器、64:吸収液分配ライン、65:吸収液分配器、66:吸収液分配ライン、67:バイパス冷却器、81:第1洗浄部出口デミスター、82:第2洗浄部出口デミスター、83:洗浄液ミスト回収部、83a:ミスト回収充填層