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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240722BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240722BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
B65G1/00 511F
B65G1/10 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021010103
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114019
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】横寺 裕
(72)【発明者】
【氏名】浅利 幸生
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/149705(WO,A1)
【文献】特開2018-184272(JP,A)
【文献】特開昭63-242805(JP,A)
【文献】特開2019-025566(JP,A)
【文献】特表2019-502613(JP,A)
【文献】国際公開第2017/149695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
B65G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサによって実行されるプログラムであって、
前記プロセッサに、
自動搬送車によって搬送される棚から物品をピッキングするピッキングステーションが他のピッキングステーションが呼び出している棚を呼び出そうとする衝突に関する作業ログを取得する機能と、
前記作業ログに基づいて、所定の物品を複数の前記棚に格納するための保管割合データを更新する機能と、
を実現させるプログラム。
【請求項2】
前記作業ログは、衝突の有無と、衝突によって生じた待ち時間とを含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記保管割合データを更新することは、衝突が生じた場合、又は、前記待ち時間の合計が所定の閾値を超えた場合、前記所定の物品を格納する棚の個数が増加するように前記保管割合データを更新することである、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記保管割合データを更新することは、前記所定の物品を格納する複数の棚の1つ以上が前記所定の物品のピッキングのために前記ピッキングステーションに呼びされていない場合、前記所定の物品を格納する棚の個数が減少するように前記保管割合データを更新することである、
請求項1乃至3の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項5】
前記保管割合データを更新することは、前記所定の物品をピッキングする注文数と前記保管割合データとを対応付けて格納する保管割合データセットを更新することである、
請求項1乃至4の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項6】
前記プロセッサに、
前記作業ログに基づいて、期間ごとに注文数の合計を示す実績データを生成する機能を実現させ、
前記保管割合データを更新することは、問題が生じた期間の注文数に対応する保管割合データを更新することである、
請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
問題が生じた期間は、衝突が生じた期間、衝突によって生じた待ち時間の合計が所定の閾値を超えた期間、又は、前記所定の物品を格納する複数の棚の1つ以上が前記所定の物品のピッキングのために前記ピッキングステーションに呼びされていない期間である、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、
前記所定の物品の将来の注文数を予測する機能と、
前記保管割合データセットから前記将来の注文数に対応する保管割合データを取得する機能と、
取得された保管割合データに基づいて前記所定の物品を格納する棚を決定する機能と、
を実現させる、
請求項5乃至7の何れか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記プロセッサに、
前記所定の物品と同時にピッキングされる組合せ物品を特定する機能を実現させ、
前記棚を決定することは、前記所定の物品を格納する棚として前記組合せ物品を格納する棚を決定することである、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、
決定された前記棚を前記ピッキングステーションに搬送する機能と、
前記ピッキングステーションの把持手段に前記棚に前記所定の物品を格納させる機能と、
を実現させる、
請求項8又は9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動搬送車を用いて物品を格納する棚を複数のピッキングステーションに搬送するシステムが提供されている。各ピッキングステーションでは、係員又はロボットが自動搬送車によって搬送された棚から物品をピッキングする。
【0003】
そのようなシステムは、所定の物品を複数の棚に格納することがある。システムは、同時に複数のピッキングステーションで所定の物品をピッキングする場合、当該物品を格納する各棚を各ピッキングステーションへ搬送する。
【0004】
ピッキングが効率化されるように、所定の物品を各棚に適切に格納する技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特再2016-147335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の課題を解決するため、物品を複数の棚に格納する割合を適切に設定することができるプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、プロセッサによって実行されるプログラムは、前記プロセッサに、自動搬送車によって搬送される棚から物品をピッキングするピッキングステーションが他のピッキングステーションが呼び出している棚を呼び出そうとする衝突に関する作業ログを取得する機能と、前記作業ログに基づいて、所定の物品を複数の前記棚に格納するための保管割合データを更新する機能と、実現させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るピッキングシステムの構成例を概念的に示す図である。
図2図2は、実施形態に係るピッキングシステムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る上位管理装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るAGVの構成例を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係るピッキングの動作例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係るピッキングの動作例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る上位管理装置の動作例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る上位管理装置の動作例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係るピッキングシステムの第1の変形例を概念的に示す図である。
図10図10は、実施形態に係るピッキングシステムの第1の変形例を示すブロック図である。
図11図11は、実施形態に係る第1の変形例の上位管理装置の動作例を示すフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係るピッキングシステムの第2の変形例を概念的に示す図である。
図13図13は、実施形態に係るピッキングシステムの第3の変形例を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
実施形態に係るピッキングシステムは、物流システムなどにおいて棚から物品をピッキングする。ピッキングシステムは、自動搬送車(Automated Guided Vehicle(AGV))を用いて棚をピッキングステーションに搬送する。ピッキングシステムは、ピッキングステーションにおいて棚から物品をピッキングする。ピッキングシステムは、係員又はロボットなどの把持手段に棚から物品をピッキングさせる。たとえば、ピッキングシステムは、物流センタ又は倉庫などで用いられる。
【0010】
図1は、実施形態に係るピッキングシステムの構成例を概念的に示す図である。また、図2は、ピッキングシステムの構成例を示すブロック図である。
図1及び図2が示すように、ピッキングシステムは、複数(ここでは、3個)のピッキングステーションP、上位管理装置1、ネットワーク2、AGV7及びAGV棚8などを備える。ピッキングステーションPは、トレイ10、作業管理部112及び把持手段113などを備える。ネットワーク2は、上位管理装置1、AGV7及び作業管理部112に接続する。
【0011】
上位管理装置1は、倉庫管理システム(Warehouse Management System(WMS))と呼ばれ、1又は複数のコンピュータで実現可能である。上位管理装置1は、倉庫内に保管される物品に関する物品管理情報などを記憶する。物品管理情報は、各AGV棚8が格納する物品を示す。
【0012】
上位管理装置1は、外部装置からピッキングする物品を示すオーダーを取得する。上位管理装置1は、オーダーに基づいて、AGV棚8を各ピッキングステーションPに搬送する。上位管理装置1については、後に詳述する。
【0013】
ネットワーク2は、上位管理装置1、AGV7及び作業管理部112の間の通信を中継する。たとえば、ネットワーク2は、LAN(local area network)である。AGV7は、ネットワーク2に無線で接続するものであってもよい。
【0014】
AGV7は、AGV棚8をピッキングステーションPに搬送する。AGV7は、上位管理装置1又は作業管理部112からの制御信号などに基づき動作する。例えば、AGV7は、指定された積み込み位置へ向かって走行し、指定された積み込み位置のAGV棚8を持ち上げる。AGV7は、指定された積み降ろし位置へ向かって走行し、指定された積み降ろし位置でAGV棚8を降ろす。
【0015】
AGV棚8は、物品保管エリアに配置されている。AGV棚8は、物品を格納する棚である。例えば、AGV棚8は、四本の支柱で直立する。AGV棚8の棚下の高さは(床面から棚底までの高さ)、AGV7の高さよりも高い。これにより、AGV7は、AGV棚8の棚下に潜り込むことができる。棚下に潜り込んだAGV7は、プッシャーにより床面から支柱の先端が数センチ離れる程度にAGV棚8を持ち上げて、AGV棚8を持ち上げた状態で走行する。このようにしてAGV7は、AGV棚8を搬送する。
【0016】
また、AGV棚8には、固定式カメラ又は移動式カメラ等で読み取り可能な棚識別情報が貼り付けられてもよい。物品にも、固定式カメラ又は移動式カメラ等で読み取り可能な物品識別情報が貼り付けられてもよい。例えば、棚識別情報及び物品識別情報は、バーコードや二次元コードである。なお、ピッキングシステムは、固定式カメラ又は移動式カメラとは別に、これら棚識別情報及び物品識別情報を読み取る複数のリーダを備えてもよい。
【0017】
ピッキングステーションPは、出庫作業エリアに配置されている。ピッキングステーションPは、AGV7により搬送されたAGV棚8を受け入れる。ピッキングステーションPは、受け入れたAGV棚8から物品をピッキングする。ピッキングステーションPは、ピッキングされた物品をトレイ10に投入する。
【0018】
作業管理部112は、ピッキングステーションPでのピッキング作業を管理する。たとえば、作業管理部112は、表示部及び操作部などを備える。作業管理部112は、上位管理装置1からの制御に従って、ピッキングする物品を示す情報を表示部に表示する。また、作業管理部112は、把持手段113としての係員から、ピッキングが完了した物品を示す操作の入力を受け付ける。作業管理部112は、入力された物品を示す情報を上位管理装置1に送信する。
【0019】
たとえば、作業管理部112は、デスクトップPC、ノートPC又はタブレットPCなどである。
【0020】
把持手段113は、上位管理装置1からの指示に従ってAGV棚8から物品を把持する。ここでは、把持手段113は、係員である。把持手段113は、作業管理部112に表示される物品を目視で確認して物品をピッキングする。把持手段113は、ピッキングされた物品をトレイ10に投入する。把持手段113は、物品をトレイ10に投入すると、ピッキングが完了した物品を示す操作を作業管理部112に入力する。
【0021】
なお、把持手段113は、ピッキングロボットであってもよい。
また、把持手段113がピッキングロボットである場合、ピッキングステーションPは、作業管理部112を備えなくともよい。
また、ピッキングステーションPは、把持手段113として、係員及びピッキングロボットの両者を有するものであってもよい。
【0022】
入庫作業エリアでは、入庫作業が行われる。入庫作業エリアでは、外部から物品が搬送される。また、入庫作業エリアでは、ロボット又は係員が、搬送された物品を各AGV棚8に格納する。
【0023】
次に、上位管理装置1について説明する。
図3は、実施形態に係る上位管理装置1の構成例を示すブロック図である。
上位管理装置1は、1又は複数のコンピュータにより構成される。例えば、上位管理装置1は、プロセッサ11、ROM12、RAM13、補助記憶デバイス14、及び通信インタフェース15などを備える。
【0024】
プロセッサ11は、上位管理装置1全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインタフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ、ROM12又は補助記憶デバイス14が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0025】
たとえば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサ11は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0026】
ROM12は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する。また、ROM12は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。RAM13は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0027】
補助記憶デバイス14は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス14は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0028】
補助記憶デバイス14は、各AGV棚8が格納する物品を示す物品管理情報を予め格納する。たとえば、物品管理情報は、AGV棚8を示す棚コードとAGV棚8が格納する物品を示す物品コードとを対応付けて格納する。
【0029】
また、補助記憶デバイス14は、需要予測モデル、保管割合データセット及び組合せモデルを格納する。需要予測モデル、保管割合データセット及び組合せモデルについては、後術する。
【0030】
なお、ROM12又は補助記憶デバイス14に上記のプログラムが記憶された状態で、上位管理装置1が譲渡されてもよいし、上記のプログラムを記憶しない状態で、上位管理装置1が譲渡されてもよい。後者の場合、上位管理装置1は、光ディスク又は半導体メモリのようなリムーバブルな記憶媒体に記憶された上記のプログラムを読み取り、読み取ったプログラムを補助記憶デバイス14へ書き込む。又は、上位管理装置1は、ネットワークなどを介して上記のプログラムをダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを補助記憶デバイス14へ書き込む。
【0031】
通信インタフェース15は、種々の装置とデータを送受信するためのインタフェースである。通信インタフェース15は、AGV7及び作業管理部112などに接続する。また、通信インタフェース15は、外部装置からオーダーなどを取得する。たとえば、通信インタフェース15は、LAN(local area network)接続などをサポートする。また、通信インタフェース15は、AGV7とデータを送受信するためのインタフェースと、作業管理部112とデータを送受信するためのインタフェースと、から構成されてもよい。
【0032】
次に、AGV7について説明する。
図4は、実施形態に係るAGV7の構成例を示すブロック図である。
AGV7は、プロセッサ71、ROM72、RAM73、補助記憶デバイス74、通信インタフェース75、駆動部76、センサ77、バッテリー78、充電機構79、及びタイヤ70などを備える。
【0033】
プロセッサ71は、AGV7全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ71は、内部キャッシュ及び各種のインタフェースなどを備えてもよい。プロセッサ71は、内部メモリ、ROM72又は補助記憶デバイス74が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0034】
たとえば、プロセッサ71は、CPUである。なお、プロセッサ71は、LSI、ASIC、又はFPGA等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0035】
プロセッサ71は、加速、減速、停止、方向転換、及びAGV棚8の積み降ろし等の動作に必要な演算及び制御などの処理を行う。プロセッサ71は、上位管理装置1又は作業管理部112などからの制御信号に基づき、ROM72等に記憶されたプログラムを実行することにより、駆動信号を生成し各部に出力する。
【0036】
例えば、上位管理装置1又は作業管理部112は、AGV7を現在位置から第1の位置(目的のAGV棚8の位置)へ移動させて第1の位置から第2の位置(目的のピッキングステーションPの位置)へ移動させる制御信号を送信する。また、上位管理装置1又は作業管理部112は、AGV7を第2の位置から第1の位置へ移動させる制御信号を送信する。AGV7のプロセッサ71は、上位管理装置1又は作業管理部112から送信される制御信号に応じた駆動信号を出力する。これにより、AGV7は、現在位置から第1の位置へ移動し、第1の位置から第2の位置へ移動し、第2の位置から第1の位置へ移動する。また、プロセッサ71は、上位管理装置1又は作業管理部112から送信される制御信号に含まれるAGV棚8の積み降ろし指示に応じた駆動信号を出力する。これにより、AGV7は、プッシャーPUによりAGV棚8を持ち上げたり、持ち上げたAGV棚8を降ろしたりする。
【0037】
ROM72は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する。また、ROM72は、プロセッサ71が各種の処理を行う上で使用するデータ又は各種の設定値などを記憶する。RAM73は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM73は、プロセッサ71が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアなどとして利用される。
【0038】
補助記憶デバイス74は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であり、上記のプログラムを記憶する場合もある。また、補助記憶デバイス74は、プロセッサ71が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ71での処理によって生成されたデータ又は各種の設定値などを保存する。
【0039】
通信インタフェース75は、無線LANアクセスポイントなどを通じて上位管理装置1又は作業管理部112などとデータを送受信するインタフェースである。たとえば、通信インタフェース75は、無線LAN接続をサポートする。
【0040】
駆動部76は、モータ等であり、プロセッサ71から出力される駆動信号に基づきモータを回転又は停止する。モータの動力は、タイヤ70に伝達され、操舵機構に伝達される。このようなモータからの動力により、AGV7は、目的位置へ移動する。
【0041】
また、AGV7がAGV棚8下に潜り込んだ状態で、駆動部76は、プロセッサ71から出力される駆動信号に基づきモータを回転(順回転)する。このモータからの動力によりプッシャーが上昇しAGV棚8が持ち上げられる。また、AGV7が目的位置に到達した後、駆動部76は、プロセッサ71から出力される駆動信号に基づきモータを回転(逆回転)する。このモータからの動力によりプッシャーが下降しAGV棚8が床面に降ろされる。
【0042】
センサ77は、複数の反射センサである。各反射センサは、AGV7の周囲に取り付けられる。各反射センサは、レーザ光を照射し、レーザ光を照射してからレーザ光が物体で反射して戻るまでの時間を検出し、検出された時間に基づき物体までの距離を検知し、検知信号をプロセッサ71へ通知する。プロセッサ71は、センサ77からの検知信号に基づき、AGV7の走行を制御する制御信号を出力する。例えば、プロセッサ71は、センサ77からの検知信号に基づき、物体への衝突を回避する減速又は停止等の制御信号を出力する。なお、センサ77以外に、カメラを備え、カメラが、周辺を撮影し撮影画像をプロセッサ71へ出力してもよい。この場合、プロセッサ71は、撮影画像を解析し、物体への衝突を回避する減速又は停止等の制御信号を出力する。
【0043】
バッテリー78は、駆動部76等に必要な電力を供給する。充電機構79は、充電ステーションとバッテリー78とを接続する機構であり、バッテリー78は、充電機構79を介して充電ステーションなどから供給される電力により充電される。
【0044】
次に、上位管理装置1が実現する機能について説明する。プロセッサ11が実現する機能は、プロセッサ11が内部メモリ、ROM12又は補助記憶デバイス14などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0045】
まず、プロセッサ11は、ピッキングする物品を示すオーダーを取得する機能を有する。
【0046】
プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて外部装置からオーダーを取得する。また、プロセッサ11は、操作部などを通じてオーダーの入力を受け付けるものであってもよい。ここでは、各オーダーは、1つの物品を示すものであってもよいし、複数の物品を示すものであってもよい。
たとえば、オーダーは、注文伝票から生成される。
【0047】
また、プロセッサ11は、取得されたオーダーからオーダーリストを生成する機能を有する。
【0048】
たとえば、プロセッサ11は、取得されたオーダーを作業可能なグループに分割する。オーダーをグループに分割すると、プロセッサ11は、オーダーリストとして、グループのオーダーから構成されるリストを生成する。
【0049】
また、プロセッサ11は、オーダーリストにおいて、AGV棚8の呼び出し回数が少なくなるようにオーダーの順序を入れ替える。即ち、プロセッサ11は、把持手段113が同一のAGV棚8から連続して物品をピックアップするようにオーダーの順序を入れ替える。
【0050】
図5は、把持手段113が所定の商品を連続して同じAGV棚8からピッキングする動作例について説明する。ここでは、把持手段113は、連続して物品Aをピッキングするものとする。
【0051】
図5が示すように、ピッキングステーションPには、物品Aを格納するAGV棚8が呼び出される。ピッキングステーションPの把持手段113は、AGV棚8から2つの物品Aをピッキングする。把持手段113は、連続するトレイ10(各オーダーに対応するトレイ10)にそれぞれ物品Aを投入する。
【0052】
オーダーリストを並び替えると、プロセッサ11は、オーダーリストに基づいてAGV棚8の呼び出し回数が均等になるように各ピッキングステーションPにAGV棚8を割り付ける。たとえば、プロセッサ11は、オーダーリストを分割したリスト(個別リスト)を各ピッキングステーションPに割り付ける。
【0053】
プロセッサ11は、各個別リストに基づいて各ピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出す機能を有する。
【0054】
ここでは、所定のピッキングステーションPについて説明する。
プロセッサ11は、当該ピッキングステーションPに割り付けられた個別リストから先頭の未処理のオーダーを取得する。オーダーを取得すると、プロセッサ11は、物品管理情報などに基づいて、オーダーが示す物品を格納するAGV棚8を選択する。AGV棚8を選択すると、プロセッサ11は、選択されたAGV棚8をピッキングステーションPに搬送する。
【0055】
たとえば、プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて、AGV7の1つに、選択されたAGV棚8に移動するように制御信号を送信する。
【0056】
AGV7が制御信号に従って当該AGV棚8の下に移動すると、プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて、当該AGV7に当該AGV棚8を持ち上げるように制御信号を送信する。
【0057】
AGV7が制御信号に従って当該AGV棚8を持ち上げると、プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて、当該AGV7にピッキングステーションPに移動するように制御信号を送信する。
【0058】
AGV7が制御信号に従ってピッキングステーションPに移動すると、プロセッサ11は、オーダーが示す物品を作業管理部112に表示する。
【0059】
ここで、把持手段113は、作業管理部112に表示される物品を当該AGV棚8からピッキングする。把持手段113は、ピッキングされた物品をオーダーに対応するトレイ10に投入する。
【0060】
なお、プロセッサ11は、棚の呼び出し回数が少なくなるように、呼び出されるAGV棚8を選択する。
【0061】
たとえば、プロセッサ11は、オーダーが互いに異なる2つ以上の物品を要求する場合、当該2つ以上の物品を同時に格納しているAGV棚8を選択する。
【0062】
図6は、把持手段113が2つの商品を同じAGV棚8からピッキングする動作例について説明する。ここでは、オーダーは、物品A及び物品Bを示すものとする。
【0063】
図6が示すように、ピッキングステーションPには、物品A及び物品Bを格納するAGV棚8が呼び出される。ピッキングステーションPの把持手段113は、AGV棚8から物品A及び物品Bをピッキングする。把持手段113は、オーダーに対応するトレイ10に物品A及び物品Bを投入する。
【0064】
物品のピッキングが完了すると、プロセッサ11は、物品をピッキングした作業に関する作業ログを生成する。
【0065】
作業ログは、把持手段113が物品をピッキングした日時、ピッキングされた物品並びに物品の個数、AGV7の移動距離、衝突の有無、及び、待ち時間などを示す。
【0066】
衝突は、プロセッサ11が呼び出そうとしたAGV棚8が他のピッキングステーションPで呼び出されていることを示す。即ち、衝突は、複数のピッキングステーションPが同一のAGV棚8を同時に呼び出したことを示す。衝突の有無は、プロセッサ11が呼び出そうとしたAGV棚8が他のピッキングステーションPで呼び出されていたか(衝突が生じたか)を示す。
【0067】
待ち時間は、衝突が生じたことで、ピッキングステーションPがAGV棚8の呼び出しを待機した時間である。
【0068】
作業ログを生成すると、プロセッサ11は、生成された作業ログを補助記憶デバイス14に格納する。
【0069】
作業ログを格納すると、プロセッサ11は、個別リストの次の未処理のオーダーについて同様にピッキングステーションPに物品をピッキングさせる。プロセッサ11は、個別リストの各オーダーについて同様に動作する。
【0070】
また、プロセッサ11は、各ピッキングステーションに同様に物品をピッキングさせる。
【0071】
また、プロセッサ11は、作業ログに基づいて、需要予測モデルを更新する機能を有する。
【0072】
需要予測モデルは、物品の需要(AGV棚8からピッキングされる物品の個数)を予測するためのモデルである。
【0073】
補助記憶デバイス14は、特定の物品についての需要予測モデルを予め格納する。たとえば、補助記憶デバイス14は、ピッキングされる個数が比較的多い物品についての需要予測モデルを予め格納する。
【0074】
たとえば、需要予測モデルは、機械学習の回帰手法を用いたモデルである。
【0075】
需要予測モデルは、以下の関数である。
【0076】
【数1】
【0077】
yは、予測したい物品の需要である。x1,x2,…は、曜日もしくは時間など日時に関する引数、又は、過去の需要(たとえば、注文数)に関する引数などである。
【0078】
プロセッサ11は、作業ログに基づいて、所定の物品の需要を算出する。たとえば、プロセッサ11は、所定の期間における作業ログから所定の物品がピッキングされた個数をカウントする。
【0079】
プロセッサ11は、カウントされた個数と、需要予測モデルから算出された個数との誤差が小さくなるように、関数fのパラメータを更新する。
【0080】
たとえば、プロセッサ11は、以下の式によって算出される二乗平均平方根誤差が小さくなるように関数fのパラメータを更新する。
【0081】
【数2】
【0082】
ここで、yは、カウントされた個数(実績値)であり、nは、サンプル数である。
【0083】
【数3】
【0084】
は、関数fから算出された個数(予測値)である。
【0085】
なお、需要予測モデルは、時系列予測モデル(ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average)モデル)などであってもよい。需要予測モデルの構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0086】
プロセッサ11は、補助記憶デバイス14が格納する各需要予測モデルを同様に更新する。
【0087】
また、プロセッサ11は、作業ログに基づいて、保管割合データセットを更新する機能を有する。
【0088】
保管割合データセットは、所定の物品について複数のAGV棚8が当該物品を格納する割合(保管割合、保管割合データ)を示す。保管割合データセットは、所定の期間(たとえば、1日又は数日など)における注文数(ピッキングされる個数)と、当該注文数における最適な保管割合とを対応づけて格納する。たとえば、保管割合データセットは、注文数として所定の幅を持つ値を格納する。
【0089】
保管割合は、所定の物品の総数に積算されると、1つのAGV棚8に格納される当該物品の個数を算出する値である。
【0090】
たとえば、物品Aの総数を
【0091】
【数4】
【0092】
とし、AGV棚8の個数をMとし、各AGV棚8が物品Aを格納する個数を
【0093】
【数5】
【0094】
とする。
【0095】
この場合、保管割合αは、以下の式で算出される。
【0096】
【数6】
【0097】
ここで、
【0098】
【数7】
【0099】
となる。
【0100】
まず、プロセッサ11は、作業ログに基づいて所定の物品に関連する実績データを生成する。プロセッサ11は、需要予測モデルの物品に関連する実績データをそれぞれ生成する。
【0101】
図7は、実績データの構成例を示す。図7が示すように、実績データは、所定の期間(たとえば、1日又は数日など)ごとに、「時間」、「注文数」、「作業実績」、「保管状況」及び「運用結果」を対応づけて格納する。
【0102】
「時間」は、各期間を特定する情報である。たとえば、所定の期間が1日である場合、「時間」は、日付を示す。
【0103】
「注文数」は、対応する「時間」が示す期間において所定の物品がピッキングされた個数である。
【0104】
「作業実績」は、当該期間において当該物品が現実にピッキングされた個数、当該物品をピッキングするためにAGV棚8を呼び出した回数、及び、AGV棚8が移動した距離などを示す。なお、「作業実績」は、さらに他の要素を備えるものであってもよい。
【0105】
「保管状況」は、当該期間における保管割合、及び、当該物品が格納されているAGV棚8などを示す。なお、「保管状況」は、さらに他の要素を備えるものであってもよい。
【0106】
「運用結果」は、衝突の有無、及び、衝突が生じた際の待ち時間を示す。待ち時間は、各ピッキングステーションPが当該物品を格納するAGV棚8の呼び出しを待機した時間の合計である。
【0107】
実績データを生成すると、プロセッサ11は、実績データの期間ごとに、問題の有無を判定する。
【0108】
たとえば、プロセッサ11は、衝突が生じた期間に問題があると判定する。また、プロセッサ11は、待ち時間が所定の閾値を超えた期間に問題があると判定してもよい。
【0109】
また、プロセッサ11は、当該物品を格納している複数のAGV棚8の中で当該物品のピッキングのために呼び出されていないAGV棚8が存在する期間に問題があると判定する。
【0110】
なお、プロセッサ11が問題の有無を判定する方法は、特定の構成に限定されるものではない。
【0111】
問題があると判定した期間が存在すると、プロセッサ11は、実績データセットにおいて当該期間に対応する注文数を特定する。実績データセットにおける注文数を特定すると、プロセッサ11は、保管割合データセットにおいて、当該注文数に対応する保管割合を特定する。たとえば、プロセッサ11は、保管割合データセットにおいて、特定された当該注文数を含む注文数(保管割合データセットの注文数)に対応する保管割合を特定する。
【0112】
プロセッサ11は、特定された保管割合を更新する。
【0113】
まず、プロセッサ11が、衝突が生じた期間に対応する保管割合を更新する場合、又は、待ち時間が所定の閾値を超えた期間に対応する保管割合を更新する場合について説明する。
【0114】
この場合、プロセッサ11は、当該物品がより分散するように保管割合を更新する。即ち、プロセッサ11は、当該物品を格納するAGV棚8の個数が増加するように保管割合を更新する。
【0115】
たとえば、元の保管割合が
【0116】
【数8】
【0117】
であるものとする。
【0118】
即ち、当該物品を格納する2つのAGV棚8が既にピッキングステーションPに呼び出されている状態で、他のピッキングステーションPが2つのAGV棚8の何れかを呼び出そうとして衝突が発生したものとする。
【0119】
プロセッサ11は、保管割合を
【0120】
【数9】
【0121】
に更新する。
【0122】
たとえば、プロセッサ11は、衝突したピッキングステーションPの数、ピッキングされる物品の個数、及び、待ち時間などに基づいて、α3以降をどこまで非零とするか及び各αiの値を決定する。
【0123】
次に、プロセッサ11が、当該物品を格納している複数のAGV棚8の中で当該物品のピッキングのために呼び出されていないAGV棚8が存在する期間に対応する保管割合を更新する場合について説明する。
【0124】
この場合、プロセッサ11は、当該物品がより集中するように保管割合を更新する。即ち、プロセッサ11は、当該物品を格納するAGV棚8の個数が減少するように保管割合を更新する。
【0125】
たとえば、元の保管割合が
【0126】
【数10】
【0127】
であるものとする。
【0128】
即ち、当該物品を分散して3つのAGV棚8が格納しているが、1つ以上のAGV棚8が当該物品のピッキングのために一度も呼び出されていないものとする。
【0129】
プロセッサ11は、保管割合を
【0130】
【数11】
【0131】
に更新する。
【0132】
たとえば、プロセッサ11は、同時に当該物品をピッキングしたピッキングステーションPの数及びピッキングされた物品の個数などに基づいて、非零であるαiの個数及び各αiの値を決定する。
【0133】
なお、プロセッサ11が保管割合を更新する方法は、特定の構成に限定されるものではない。
【0134】
次に、プロセッサ11は、作業ログに基づいて組合せモデルを更新する機能を有する。
組合せモデルは、同時にピッキングされる物品(たとえば、同時に購入される物品)を推測するためのモデルである。ここでは、組合せモデルは、時間帯ごとに同時にピッキングされる物品を推測するものである。
【0135】
プロセッサ11は、作業ログに基づいて、オーダーに含まれる物品の組合せを設定する。組合せを設定すると、プロセッサ11は、期間ごとに各組合せが生じる回数をカウントする。回数をカウントすると、プロセッサ11は、カウントされた回数の多い組合せ(たとえば、上位から所定の個数の組合せ)を同時にピッキングされる物品の組合せとして、組合せモデルを更新する。
【0136】
また、プロセッサ11は、物品の組合せ機械学習の教師なし学習で求めてもよい。たとえば、プロセッサ11は、作業ログに基づいて、物品をデータ空間上(軸は時間、注文番号など)にマッピングする。プロセッサ11は、1種の物品が1つのグループを形成するとして、グループ間の距離を計算し距離が短いグループ同士を併合する。プロセッサ11は、グループ併合をグループが1つになるまで繰り返えして、組合せモデルを更新する。
【0137】
なお、プロセッサ11が組合せモデルを更新する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0138】
また、プロセッサ11は、所定の予測期間において所定の物品を格納するAGV棚8及び各AGV棚8に格納する当該物品の個数を決定する機能を有する。
まず、プロセッサ11は、所定の予測期間(将来の期間)を設定する。たとえば、プロセッサ11は、現時点から所定の時間(たとえば、1日又は数日)が経過するまでの時間を予測期間として設定する。また、プロセッサ11は、係員からの操作などに基づいて予測期間の入力を受け付けてもよい。
【0139】
予測期間を設定すると、プロセッサ11は、当該物品の需要予測モデルに基づいて、予測期間における当該物品の注文数を予測する。注文数を予測すると、プロセッサ11は、保管割合データセットを参照して、予測された注文数に対応する保管割合を取得する。
【0140】
保管割合を取得すると、プロセッサ11は、組合せモデルに基づいて、当該物品と同時にピッキングされる物品(組合せ物品)を特定する。組合せ物品を特定すると、プロセッサ11は、当該物品を格納するAGV棚8として、組合せ物品を格納するAGV棚8を決定する。また、プロセッサ11は、取得された保管割合に従って、各AGV棚8に格納する当該物品の個数を決定する。
【0141】
なお、組合せ物品を格納するAGV棚8の個数が非零であるαiの個数よりも少ない場合、プロセッサ11は、当該物品を格納するAGV棚8として、組合せ物品を格納していないAGV棚8を決定してもよい。
【0142】
また、プロセッサ11は、AGV7の移動距離に基づいて、物品を格納するAGV棚8を決定してもよい。たとえば、プロセッサ11は、AGV7の移動距離が短くなるように、当該物品を格納するAGV棚8として比較的出庫作業エリアに近いAGV棚8を決定してもよい。
【0143】
また、プロセッサ11は、AGV棚8の空き容量及び当該物品の体積に基づいて、AGV棚8を決定してもよい。
【0144】
当該物品を格納するAGV棚8及び各AGV棚8に格納する当該物品の個数を決定すると、プロセッサ11は、決定された各AGV棚8及び各個数に従って各AGV棚8に当該物品を格納させる。たとえば、プロセッサ11は、決定された各AGV棚8及び各個数を表示部など表示する。係員は、表示部に表示されている情報に従って、各AGV棚8に当該物品を格納する。また、プロセッサ11は、ピッキングロボットなどを制御して、各AGV棚8に当該物品を格納してもよい。
【0145】
また、プロセッサ11は、ピッキングステーションPを用いて、各AGV棚8に当該物品を格納してもよい。たとえば、プロセッサ11は、当該物品を格納しているAGV棚8をピッキングステーションPに呼び出して当該物品をピッキングさせる。また、プロセッサ11は、ピッキングステーションPに決定されたAGV棚8を呼び出してピッキングされた当該物品を当該AGV棚8に格納してもよい。
【0146】
また、プロセッサ11は、決定された各AGV棚8及び各個数を示す情報を外部装置に送信してもよい。
また、プロセッサ11は、所定のいくつかの物品について同様の動作をおこなってもよい。
【0147】
次に、上位管理装置1の動作例について説明する。
図8は、上位管理装置1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0148】
まず、上位管理装置1のプロセッサ11は、未処理のオーダーが存在するかを判定する(S11)。未処理のオーダーが存在すると判定すると(S11、YES)、プロセッサ11は、未処理のオーダーからオーダーリストを生成する(S12)。
【0149】
オーダーリストを生成すると、プロセッサ11は、AGV棚8の呼び出し回数が少なくなるようにオーダーリストを並べ替える(S13)。オーダーリストを並べ替えると、プロセッサ11は、オーダーリストに基づいて、各ピッキングステーションPに個別リストを割り付ける(S14)。
【0150】
各ピッキングステーションPに個別リストを割り付けると、プロセッサ11は、個別リストに従って、ピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出す(S15)。ピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出すと、プロセッサ11は、把持手段113に物品をピッキングさせる(S16)。
【0151】
把持手段113に物品をピッキングさせると、プロセッサ11は、作業ログを補助記憶デバイス14に格納する(S17)。作業ログを補助記憶デバイス14に格納すると、プロセッサ11は、個別リストに未呼び出しのAGV棚8が存在するかを判定する(S18)。
【0152】
個別リストに未呼び出しのAGV棚8が存在すると判定すると(S18、YES)、プロセッサ11は、S15に戻る。
【0153】
個別リストに未呼び出しのAGV棚8が存在しないと判定すると(S18、NO)、プロセッサ11は、S11に戻る。
【0154】
未処理のオーダーが存在しないと判定すると(S11、NO)、プロセッサ11は、作業ログに基づいて需要予測モデル、保管割合データセット及び組合せモデルを更新する(S19)。
【0155】
需要予測モデル、保管割合データセット及び組合せモデルを更新すると、プロセッサ11は、需要予測モデルに基づいて、予測期間における所定の物品の注文数を予測する(S20)。所定の物品の注文数を予測すると、プロセッサ11は、保管割合データセットを参照して、当該物品の保管割合を取得する(S21)。
【0156】
保管割合を取得すると、プロセッサ11は、保管割合及び組合せモデルなどに基づいて、当該物品を格納するAGV棚8及び各AGV棚8に格納する当該物品の個数を決定する(S22)。
【0157】
AGV棚8及び個数を決定すると、プロセッサ11は、決定されたAGV棚8及び個数に従って、係員などに各AGV棚8に当該物品を格納させる(S23)。係員などに各AGV棚8に当該物品を格納させると、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0158】
なお、プロセッサ11は、S15乃至S18を各ピッキングステーションPについて同時に行ってもよい。
また、プロセッサ11は、複数の物品について、S20乃至S23を行ってもよい。
【0159】
また、プロセッサ11は、S12乃至S18と、S19乃至S23とを同時並行で実行してもよい。
【0160】
次に、ピッキングシステムの第1の変形例について説明する。
図9は、ピッキングシステムの第1の変形例を概念的に示す図である。また、図10は、ピッキングシステムの第1の変形例を示すブロック図である。
図9及び図10が示すように、ピッキングシステムの第1の変形例は、入庫作業エリアにピッキングステーションPを備える。入庫作業エリアは、AGV棚8を保管する物品保管エリアを挟んで出庫作業エリアに対向する位置に形成されている。
【0161】
入庫作業エリアに形成されるピッキングステーションPは、トレイ10、作業管理部112及び把持手段113などを備える。
その他の点については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0162】
第1の変形例に係る上位管理装置1のプロセッサ11は、さらに以下の機能を実現する。
【0163】
プロセッサ11は、入庫作業エリアのピッキングステーションPを用いて、所定の物品をAGV棚8に格納する機能を有する。
【0164】
プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて、入庫された物品を示す入庫情報を取得する。入庫情報を取得すると、プロセッサ11は、前述の通り、所定の予測期間において所定の物品を格納するAGV棚8及び各AGV棚8に格納する当該物品の個数を決定する。ここでは、入庫情報は、当該物品が入庫されたことを示すものとする。
【0165】
AGV棚8及び個数を決定すると、プロセッサ11は、当該物品を当該AGV棚8に格納する作業(補充作業)を入庫作業エリアの各ピッキングステーションPに割り付ける。補充作業を各ピッキングステーションPに割り付けると、プロセッサ11は、補充作業に基づいてピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出す。
【0166】
ピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出すと、プロセッサ11は、把持手段113に当該物品を当該AGV棚8に格納させる。たとえば、プロセッサ11は、作業管理部112に当該物品及び当該AGV棚8などを示す情報を表示する。
【0167】
ここで、ピッキングステーションPのトレイ10は、当該物品を格納しているものとする。把持手段113は、作業管理部112を参照して、トレイ10からAGV棚8に当該物品を格納する。把持手段113は、作業管理部112に作業が完了したことを示す操作を入力する。
【0168】
プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて当該操作の入力を受け付ける。当該操作の入力を受け付けると、プロセッサ11は、当該物品、当該物品を格納したAGV棚8及び日時などから構成される補充ログを補助記憶デバイス14に格納する。
プロセッサ11は、各補充作業について同様に動作する。
【0169】
なお、プロセッサ11は、所定のAGV棚8から当該物品を取り出す必要がある場合には、当該AGV棚8をピッキングステーションPに呼び出して把持手段113に当該物品をピッキングさせてもよい。
【0170】
次に、第1の変形例に係る上位管理装置1の動作例について説明する。
図11は、第1の変形例に係る上位管理装置1の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0171】
まず、プロセッサ11は、通信インタフェース15を通じて入庫情報を取得する(S31)。入庫情報を取得すると、プロセッサ11は、作業ログに基づいて需要予測モデル、保管割合データセット及び組合せモデルを更新する(S32)。
【0172】
需要予測モデル、保管割合データセット及び組合せモデルを更新すると、プロセッサ11は、需要予測モデルに基づいて、予測期間における所定の物品の注文数を予測する(S33)。所定の物品の注文数を予測すると、プロセッサ11は、保管割合データセットを参照して、当該物品の保管割合を取得する(S34)。
【0173】
保管割合を取得すると、プロセッサ11は、保管割合及び組合せモデルなどに基づいて、当該物品を格納するAGV棚8及び各AGV棚8に格納する当該物品の個数を決定する(S35)。
【0174】
AGV棚8及び個数を決定すると、プロセッサ11は、補充作業を各ピッキングステーションPに割り付ける(S36)。
【0175】
各ピッキングステーションPに補充作業を割り付けると、プロセッサ11は、補充作業に従って、ピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出す(S37)。ピッキングステーションPにAGV棚8を呼び出すと、プロセッサ11は、把持手段113に物品をAGV棚8に格納させる(S38)。
【0176】
把持手段113に物品をAGV棚8に格納させると、プロセッサ11は、補充ログを補助記憶デバイス14に格納する(S39)。補充ログを補助記憶デバイス14に格納すると、プロセッサ11は、未処理の補充作業が存在するかを判定する(S40)。
【0177】
未処理の補充作業が存在すると判定すると(S40、YES)、プロセッサ11は、S37に戻る。
【0178】
未処理の補充作業が存在しないと判定すると(S40、NO)、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0179】
なお、プロセッサ11は、入庫作業エリアの各ピッキングステーションについてS37乃至S40を同時並行で実行してもよい。
また、プロセッサ11は、複数の物品についてS32乃至S40を実行してもよい。
【0180】
また、プロセッサ11は、S31乃至S40とS11乃至S18とを同時並行で実行してもよい。
【0181】
次に、ピッキングシステムの第2の変形例について説明する。
図12は、ピッキングシステムの第2の変形例を概念的に示す図である。
【0182】
図12が示すように、第2の変形例では、入庫作業エリア及び出庫作業エリアがx軸方向において物品保管エリアに対して同一の方向に形成されている。
【0183】
第2の変形例では、ピッキングシステムは、呼び出し頻度の高いAGV棚8を入庫作業エリア及び出庫作業エリア側(図12では、右側)に配置することで、AGV棚8を搬送するAGV7の移動距離を少なくすることができる。
【0184】
次に、ピッキングシステムの第3の変形例について説明する。
図13は、ピッキングシステムの第3の変形例を概念的に示す図である。
【0185】
図13が示すように、第3の変形例では、入庫作業エリアがy軸方向に形成されている。
【0186】
第3の変形例では、ピッキングシステムは、呼び出し頻度の高いAGV棚8を入庫作業エリア側かつ出庫作業エリア側(図13では、右上)に配置することで、AGV棚8を搬送するAGV7の移動距離を少なくすることができる。
【0187】
以上のように構成されたピッキングシステムは、予測される注文数に応じて物品の保管割合を決定する。ピッキングシステムは、決定された保管割合に従って当該物品を各AGV棚に格納する。その結果、ピッキングシステムは、ピッキングステーションの衝突を回避し及び待ち時間を減少させることができる。
【0188】
また、ピッキングシステムは、当該物品を同時にピッキングされる組合せ物品と同一のAGV棚に格納する。その結果、ピッキングシステムは、AGV棚の呼び出し回数を抑制することができる。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0190】
1…上位管理装置、2…ネットワーク、7…AGV、8…AGV棚、10…トレイ、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…補助記憶デバイス、15…通信インタフェース、70…タイヤ、71…プロセッサ、72…ROM、73…RAM、74…補助記憶デバイス、75…通信インタフェース、76…駆動部、77…センサ、78…バッテリー、79…充電機構、112…作業管理部、113…把持手段。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13