(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 3/10 20060101AFI20240722BHJP
B65D 3/26 20060101ALI20240722BHJP
B65D 3/06 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B65D3/10
B65D3/26 A
B65D3/06 B
(21)【出願番号】P 2021012988
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】冨森 亮一
(72)【発明者】
【氏名】太田 登茂樹
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-038598(JP,A)
【文献】特表2006-501107(JP,A)
【文献】特開2008-290734(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/10
B65D 3/26
B65D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面側にバリア層を有するブランク板の両端部を前記バリア層が内側となるように貼り合わせて形成された筒状の胴部と、前記胴部の上端部に内面同士を貼り合わせた平板状の閉鎖部とを備え、内容物を密封する紙容器であって、
前記閉鎖部における開封始端部となる前記ブランク板間の重なり合う縁部に、当該閉鎖部の面方向にズレを有し
、
前記閉鎖部における前記開封始端部から前記胴部の側部に亘ってミシン目が設けられ、
前記ミシン目は、少なくとも前記閉鎖部の重なり合う前記ブランク板間で、これらミシン目の長さ方向にズレを有し、
前記ブランク板間の前記開封始端部側の前記ミシン目において、一方の前記ミシン目の長さが、他方のミシン目の長さよりも長く設定されていること
を特徴とする紙容器。
【請求項2】
前記開封始端部は、前記閉鎖部の上端部に設けられた切欠部であること
を特徴とする請求項1項記載の紙容器。
【請求項3】
前記切欠部を構成する重なり合う前記ブランク板の切欠は、両者が略相似形状で、且つ、一方が他方よりも小さく形成されていること
を特徴とする請求項2記載の紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片面側にバリア層を有するブランク板の両端部を、バリア層が内側となるように貼り合わせて形成された筒状の胴部と、この胴部の上端部の内面同士を貼り合わせた薄い平板状の閉鎖部とを備え、内容物を密封する紙容器において、特に、内容物を取り出すための開封始端部からの開封が容易な紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護への社会的要請の下、様々な容器が、材質をプラスチック製から紙製に変更する必要がある。
【0003】
こうした要請に応え、例えば、特許文献1には、片面側にバリア層を有するブランク板の両端部を、バリア層が内側となるように貼り合わせて形成された筒状の胴部と、この胴部の上端部に内面同士を貼り合わせた薄い平板状の閉鎖部とを備え、内容物を密閉する紙容器が開示されている。この紙容器は、通常の紙容器に比して、表面に広い印刷面を有する。このため、この紙容器は、需要者である製品の生産者は、この印刷面に様々なデザインを入れることができ、内部に収容される内容物の魅力をアピールすることができるというデザイン性の利点を有するので、その需要が拡大している。
【0004】
また、特許文献1の紙容器では、更なる機能性の利点を持たせるため、ブランク板のサイズや引張強度比等を工夫して、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を容易としている。
【0005】
しかしながら、この紙容器においては、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を従来に比して更に容易とすることにより、より一層魅力的な物にしてほしいという需要者からの要請があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上述した要請を鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を従来に比して更に容易とすることができる紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した課題を解決するために、片面側にバリア層を有するブランク板の両端部を前記バリア層が内側となるように貼り合わせて形成された筒状の胴部と、前記胴部の上端部に内面同士を貼り合わせた平板状の閉鎖部とを備え、内容物を密封する紙容器であって、前記閉鎖部における開封始端部となる前記ブランク板間の重なり合う縁部に、当該閉鎖部の面方向にズレを有した、紙容器を発明した。
【0009】
第1発明に係る紙容器は、片面側にバリア層を有するブランク板の両端部を前記バリア層が内側となるように貼り合わせて形成された筒状の胴部と、前記胴部の上端部に内面同士を貼り合わせた平板状の閉鎖部とを備え、内容物を密封する紙容器であって、前記閉鎖部における開封始端部となる前記ブランク板間の重なり合う縁部に、当該閉鎖部の面方向にズレを有し、前記閉鎖部における前記開封始端部から前記胴部の側部に亘ってミシン目が設けられ、前記ミシン目は、少なくとも前記閉鎖部の重なり合う前記ブランク板間で、これらミシン目の長さ方向にズレを有し、前記ブランク板間の前記開封始端部側の前記ミシン目において、一方の前記ミシン目の長さが、他方のミシン目の長さよりも長く設定されていることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る紙容器は、第1発明において、前記開封始端部は、前記閉鎖部の上端部に設けられた切欠部であることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る紙容器は、第2発明において、前記切欠部を構成する重なり合う前記ブランク板の切欠は、両者が略相似形状で、且つ、一方が他方よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成からなる本発明によれば、平板状の閉鎖部における開封始端部となるブランク板間の重なり合う縁部に、この閉鎖部の面方向にズレを有している。実験的検証を行った結果、平板状の閉鎖部における開封始端部となるブランク板間の重なり合う縁部に、この閉鎖部の面方向にズレを有するようにすることによって、従来のズレの無い物に比して、より小さい力で開封できることが分かった。これにより、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を従来に比して更に容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明を適用した紙容器に用いられるブランク板を示す展開図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明を適用した紙容器を表面側から示す平面図であり、
図2(b)は、この紙容器を裏面側から示す平面図であり、
図2(c)は、この紙容器を右側面側から示す側面図であり、
図2(d)は、この紙容器の開封後の状態を示す平面図である。
【
図3】
図3(a)は、
図2(b)における切欠部の部分を拡大して示す部分拡大図であり、
図3(b)は、
図2(a)における切欠部の部分を拡大して示す部分拡大図である。
【
図4】
図4(a)は、本発明を適用した他の紙容器における切欠部の部分を拡大して示す部分拡大図であり、
図4(b)は、
図4(a)の裏面側を示す部分拡大図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明を適用した他の紙容器における閉鎖部の上端部を拡大して示す部分拡大図であり、
図5(b)は、
図5(a)の裏面側を示す部分拡大図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明を適用した紙容器に設けた向い合うミシン目同士の関係性を示す部分拡大断面であり、
図6(b)は、本発明を適用した他の紙容器に設けた向い合うミシン目同士の関係性を示す部分拡大断面である。
【
図7】本発明の効果を確認するために行った実験的検証に用いたサンプルの一覧を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した紙容器について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0018】
図1は、本発明を適用した紙容器1に用いられるブランク板10を示す展開図である。
図2(a)は、本発明を適用した紙容器1を表面側から示す平面図であり、
図2(b)は、この紙容器1を裏面側から示す平面図であり、
図2(c)は、紙容器1を右側面側から示す側面図であり、
図2(d)は、この紙容器1の開封後の状態を示す平面図である。
図3(a)は、
図2(b)における切欠部13の部分を拡大して示す部分拡大図であり、
図3(b)は、
図2(a)における切欠部13の部分を拡大して示す部分拡大図である。
図4(a)は、本発明を適用した他の紙容器における切欠部13の部分を拡大して示す部分拡大図であり、
図4(b)は、
図4(a)の裏面側を示す部分拡大図である。
図5(a)は、本発明を適用した他の紙容器における閉鎖部12の上端部を拡大して示す部分拡大図であり、
図5(b)は、
図5(a)の裏面側を示す部分拡大図である。
図6(a)は、本発明を適用した紙容器1に設けた向い合うミシン目14,14同士の関係性を示す部分拡大断面であり、
図6(b)は、本発明を適用した他の紙容器に設けた向い合うミシン目14,14同士の関係性を示す部分拡大断面である。
【0019】
紙容器1は、
図1に示すような片面側に、PET(polyethylene terephthalate)、PP(polypropylene)、又はHDPE(High Density Polyethylene)の延伸フィルム、或いはアルミ箔等からなるラミネート加工によって形成された不図示のバリア層を有するブランク板10が用いられる。そして、
図2(a)~
図2(c)に示すように、ブランク板10の両端部10a,10aをバリア層が内側となるように貼り合わせて形成された筒状の胴部11と、胴部11の上端部に内面同士を貼り合わせた薄い平板状の閉鎖部12と、容器底部15とを備えている。即ち、筒状に形成される胴部11の上端部側に設けられる薄い平板状の閉鎖部12と、下端部側に設けられる容器底部15により、筒の上下端部が閉塞され、内容物が密閉された形態とされている。
【0020】
なお、
図1に示すブランク板10には、薄い平板状の閉鎖部12を形成するための折目10b,10bが設けられており、これらの上部は、閉鎖部12の角部が面取りされるようにブランカー刃による打抜き加工が施されている。
【0021】
また、閉鎖部12の上端部には、開封始端部となる略三角形状の切欠部13が設けられている。さらに、略三角形状の切欠部13の頂点13cから胴部11の側部に亘ってミシン目14が設けられている。
【0022】
この状態から、紙容器1を切欠部13から開封すると、
図2(d)に示すような開封後の状態となり、開封部16から内容物を取り出せるようになっている。なお、紙容器1に収容できる内容物は、スナック菓子等の固形物やジュースやスープ等の飲み物等、食料をはじめとして多岐にわたる。
【0023】
そして、紙容器1は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、閉鎖部12における開封始端部となる切欠部13のブランク板10,10間の重なり合う切欠13a,13bの縁部に、この閉鎖部12の面方向(閉鎖部12の表面又は裏面が広がるX,Y方向及びX方向からY方向に至るいかなる方向)にズレM1を有する。このズレM1とは、切欠13a,13bの縁部間の位置ズレのことであり、
図3(a)に示すように、切欠部13を裏面側から見ると、表面側のブランク板10の裏面のバリア層が、このズレM1の分、若干現れる。この場合、少なくとも頂点13cの部分周辺のみにズレM1があればよい。
【0024】
なお、
図4(a)及び
図4(b)に示すように、ミシン目14を設けないで実施してもよい。この場合も、少なくとも頂点13cの部分周辺のX,Y方向のみにズレM1があればよい。
【0025】
また、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、切欠部13も設けずに実施してもよい。この場合は、少なくとも略Y方向のみにズレM1があればよい。
【0026】
さらに、紙容器1では、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、切欠部13を構成する重なり合うブランク板10,10の切欠13a,13bは、両者が略三角形状の略相似形状で、且つ、表面側の切欠13aが裏面側の切欠13bよりも小さく形成されている。これにより、紙容器1を表面側から見たとき、ズレM1により現れるバリア層が見えず、見栄えがよく、紙容器1を裏面側から見たときも、ズレM1により現れるバリア層は気にならない程度のものとなり、見栄えを損なうことはない。なお、閉鎖部12における開封始端部となる切欠部13のブランク板10,10間の重なり合う切欠13a,13bの縁部の閉鎖部12の面方向のズレM1を、一例として、1mmとしたが、これに限定されるものではない。
【0027】
また、ミシン目14は、
図6(a)に示すように、少なくとも閉鎖部12の重なり合うブランク板10,10間で、向い合うミシン目14,14の長さ方向にズレM2を有する。
【0028】
さらに、ブランク板10,10間の開封始端部側(
図6(a)の上端側)のミシン目14,14において、裏面側(
図6(a)の右側)のブランク板10のミシン目14の長さが、表面側(
図6(a)の左側側)のブランク板10のミシン目14の長さよりも長く設定されている。
【0029】
なお、
図6(b)に示すように、向い合うミシン目14,14の長さ方向にズレM2を有しないようにして実施してもよい。
【0030】
一例として、基本的なミシン目14の長さは、それぞれ3mmとし、ピッチは1mmとし、ズレM2は1mmとし、1つだけ長く設定したミシン目14の長さは4mmとしたが、これに限定されるものではない。
【0031】
上述した構成からなる紙容器1は、薄い平板状の閉鎖部12における開封始端部となる切欠部13のブランク板10,10間の重なり合う切欠13a,13bの縁部に、この閉鎖部12の面方向にズレM1を有している。薄い平板状の閉鎖部12における開封始端部となる切欠部13のブランク板10,10間の重なり合う切欠13a,13bの縁部に、この閉鎖部12の面方向にズレM1を有するようにすることによって、従来のズレM1の無い物に比して、より小さい力で開封できる。これにより、内容物を取り出すための開封始端部となる切欠部13からの開封を従来に比して更に容易とすることができる。
【0032】
また、この紙容器1では、ミシン目14は、少なくとも閉鎖部12の重なり合うブランク板10,10間で、これらミシン目14の長さ方向にズレM2を有している。このミシン目14のズレM2を有するようにすることによって、従来のズレM2の無い物に比して、更により小さい力で開封できる。これにより、内容物を取り出すための開封始端部となる切欠部13からの開封を従来に比して更により容易とすることができる。
【0033】
さらに、この紙容器1では、ブランク板10,10間の開封始端部側のミシン目14,14において、裏面側のブランク板10のミシン目14の長さが、表面側のブランク板10のミシン目14の長さよりも長く設定している。この1つのミシン目14を長く設定することによって、従来の物に比して、更により一層小さい力で開封できる。これにより、内容物を取り出すための開封始端部となる切欠部13からの開封を従来に比して更により一層容易とすることができる。
【実施例1】
【0034】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験的検証結果について説明をする。
【0035】
実験的検証では、紙容器における開封の容易さの確認をするため、
図7に示す一覧表の紙容器のブランク板10のサンプル(本発明例1~4、比較例1)をCADカッターにより作成し、最終的に各10個ずつ準備して試験した。これらの検証用のサンプルに用いる加工前のブランク板10には、坪量が170g/m2で、縦(MD)、横(CD)の引張強度比CD:MDが1:1.5の原紙の裏に、7μmのアルミ箔を被覆してバリア層を設けた同一の物を用いた。なお、サンプルイメージの上側が表面側のブランク板10であり、下側が裏面側のブランク板10である。なお、この実験的検証では、各サンプルに切欠部13は設けなかった。また、ミシン目14の基本的な長さは、3mmとし、基本的なピッチは1mmとした。
【0036】
これらのサンプルのうち、比較例1は、表面側のブランク板10と裏面側のブランク板10との間において、開封始端部での貼り合わせズレ(以下、単に貼り合わせズレと言う。)なし、ミシン目14,14の長さ方向のズレ(以下、単にミシン目ズレと言う。)なしの従来の構成である。
【0037】
本発明例1は、表面側のブランク板10と裏面側のブランク板10との間において、貼り合わせズレあり(1mm)、ミシン目ズレなしの構成である。
【0038】
本発明例2は、表面側のブランク板10と裏面側のブランク板10との間において、貼り合わせズレあり(1mm)、ミシン目ズレあり(1mm)の構成である。
【0039】
そして、各サンプルの開封始端部(サンプルイメージの右側)の表・裏両側を、幅方向(サンプルイメージの手前側と奥側)で逆向き(サンプルイメージの上方向と下方向)となるように、引張機器(使用機器:ストログラフE-L)の一対の把持部によって、200mm/分の速度で上方向と下方向とに引っ張って引き裂き、把持部に設けられた強度測定部で引き裂きに要した力を測定し、複数段階で必要な強度を割り出す開封強度試験を行った。以下、表1に、本発明例1,2及び比較例1を用いた開封始め時における開封強度試験の結果を示す。
【0040】
【0041】
開封始め時における開封強度試験の結果、貼り合わせズレありの本発明例1は、強度が低下し、貼り合わせズレなしの比較例1よりも開封し易いことが分かった。また、貼り合わせズレあり、且つ、ミシン目ズレありの本発明例2は、強度がより低下し、貼り合わせズレありだけの本発明例1よりも更に開封し易いことが分かった。
【0042】
以上の開封始め時における開封強度試験の結果から、上述した本発明の範囲に含まれる本発明例1,2が、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を従来に比して更に容易とすることができることが示唆されている。
【実施例2】
【0043】
本実施例2において行った実験的検証では、開封始め時における開封強度試験を除き、本発明例3,4を追加して、それ以降の開封強度試験を行った。
【0044】
本発明例3は、表面側のブランク板10と裏面側のブランク板10との間において、貼り合わせズレあり(1mm)、ミシン目ズレあり(0.5mm)の構成である。
【0045】
本発明例4は、表面側のブランク板10と裏面側のブランク板10との間において、貼り合わせズレあり(1mm)、ミシン目ズレあり(2mm)の構成である。
【0046】
以下、表2に、本発明例1~4及び比較例1を用いた開封始め時を除いたそれ以降における開封強度試験の結果を示す。
【0047】
【0048】
開封始め時を除いたそれ以降における開封強度試験の結果、本発明例1~4では、強度が低下し、貼り合わせズレなしの比較例1よりも開封し易いことが分かった。
【0049】
本発明例2~4を比較すると、ミシン目ズレの大きさは、それほど強度に影響しないことが分かった。
【0050】
以上の開封始め時を除いたそれ以降における開封強度試験の結果から、上述した本発明の範囲に含まれる本発明例3,4も、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を従来に比して更に容易とすることができることが示唆されている。
【実施例3】
【0051】
本実施例3において行った実験的検証では、比較例1と、本発明例1~4について、開封始め時とそれ以降を含めた全体における開封強度試験を行った。
【0052】
以下、表3に、本発明例1~4及び比較例1を用いた開封始め時とそれ以降を含めた全体における開封強度試験の結果を示す。
【0053】
【0054】
開封始め時とそれ以降を含めた全体における開封強度試験の結果、貼り合わせズレありの本発明例1~4は、強度が低下し、貼り合わせズレなしの比較例1よりも開封し易いことが分かった。
【0055】
また、貼り合わせズレあり、且つ、ミシン目ズレありの本発明例2~4は、強度がより低下し、貼り合わせズレありだけの本発明例1よりも更に開封し易いことが分かった。
【0056】
本発明例2~4を比較すると、ミシン目ズレの大きさは、それほど強度に影響しないことが分かった。
【0057】
さらに、本発明例1と、本発明例2~4を比較すると、ブランク板10,10間の開封始端部側のミシン目14,14において、一方のミシン目14の長さが、他方のミシン目14の長さよりも長く設定されていると、更により一層開封し易いことが分かった。
【0058】
以上の開封始め時とそれ以降を含めた全体における開封強度試験の結果から、上述した本発明の範囲に含まれる本発明例1~4が、内容物を取り出すための開封始端部からの開封を従来に比して更に容易とすることができることが改めて示唆されている。
【0059】
因みに、本発明例4は、本発明例2,3と比較すると、強度の平均値が若干高い。これは、
図4に示した本発明例4のサンプルイメージにおける右側の開封始端部側の裏面側のブランク板10に設けられたミシン目14が、1つだけ連続していないので、開封始め時における開封強度が高くなり、全体的に強度を若干高めてしまったものと考えられる。
【0060】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成は、上記したものに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 紙容器
10 ブランク板
10a ブランク板の端部
11 胴部
12 閉鎖部
13 切欠部(開封始端部)
13a,13b 切欠
14 ミシン目
M1 ズレ
M2 ズレ