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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】ドレン装置
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/04 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
E04D13/04 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021022310
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124585
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000217365
【氏名又は名称】田島ルーフィング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 武文
(72)【発明者】
【氏名】臼倉 拓人
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-111907(JP,A)
【文献】特許第6712690(JP,B1)
【文献】特開昭63-280129(JP,A)
【文献】特開平11-081580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/04
E04D 13/064
E04D 13/068
E03C 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレーナーと、
排水管に接続される筒部と、前記筒部が接続される開口が形成された板部と、前記開口に掛け渡されるように配設された梁部とを備えたドレン本体と、
前記ストレーナーの内側にて、前記ドレン本体の梁部と前記ストレーナーとを連結するコイルスプリングと、を有する、
ことを特徴とするドレン装置。
【請求項2】
前記梁部は板材から形成され、前記梁部の両面は前記筒部の軸線に略平行である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン装置。
【請求項3】
前記梁部は、棒状である、
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン装置。
【請求項4】
前記梁部は、その中央部が前記コイルスプリングに近づくように曲がっている、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のドレン装置。
【請求項5】
前記梁部は、前記板部に接合される2つ以上の端部を備え、前記コイルスプリングの一端は、前記梁部の各端部近傍に取り付けられている、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のドレン装置。
【請求項6】
前記開口は円形開口であり、前記梁部は、前記円形開口の径方向にわたって配設されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のドレン装置。
【請求項7】
前記コイルスプリングが複数設けられ、少なくとも2つの前記コイルスプリングが前記ストレーナーの軸線に対して対称的に配置される、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のドレン装置。
【請求項8】
前記梁部は、前記コイルスプリングの一端が係止される係合部を有する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のドレン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋上などには、雨漏りなどを抑制するために防水層が施工されている。また、この防水層上に溜まった雨水や融雪水を排水するために、ドレン装置が設けられている。ドレン装置は、建築物内外に設けた排水管に連結され、防水層上に溜まった水を収集して、排水管を介して雨水枡などに流すように構成されている。ドレン装置には、ごみなどの異物が排水管に進入しないように、一般的にストレーナーが取り付けられている。
【0003】
ところで、防水層は、その防水機能を維持するために、一定期間ごとに改修工事が必要になる。この改修工事の一工法として、既設の防水層を撤去して、新たな防水層を設置する総交換工法がある。
【0004】
一方、総交換工法に比較してより安価な工法として、既設の防水層を残したまま、その上に新たな防水層を設ける重設工法(又はかぶせ工法)がある。重設工法によれば、既設の防水層に新たな防水層を積層することで、更に防水機能を高めることもできる。
【0005】
いずれの工法を用いた場合でも、ドレン装置については、防水層敷設前に新たに設置しなおすことが必要であり、その際には、既設のドレン装置に用いたドレン本体及び排水管を再利用することとなる。
【0006】
そのような場合には、既設のドレン装置を撤去した後に、改修用二重ドレンとして知られる新規なドレン装置を設置して、既設の排水管と接続することが行われる。こうしたことにより、改修工事が簡素化され、工事期間も短くなる。
【0007】
既設のストレーナーは、既設のドレン本体にボルト等で固定されることが多い。改修時には、新規なドレン装置の設置の邪魔にならないよう、該ボルトが撤去されることとなる。かかる場合、ストレーナーを新規なドレン装置にどのように取り付けるかという問題がある。
【0008】
そこで、新規なドレン装置の接続管に挿入可能な板バネをストレーナーに設け、接続管の内壁面に板バネがその弾発力をもって接することにより発生する摩擦力で、ストレーナーをドレンに固定する構造が提案されている。
【0009】
しかし、このような構造を持つストレーナーにおいては、板バネと接続管との摩擦力により新規なドレン装置に固定されているのみである。したがって、かかる摩擦力は接続管の内壁に水が付着した場合など低下し、加えて強い風に曝された場合など、ストレーナーを引き抜く方向の力に摩擦力が抗しきれず、ドレンからストレーナーが抜けてしまうおそれがある。
【0010】
これに対し、特許文献1には、ストレーナーとしてのドレンキャップ本体を改修用二重ドレンに固定する固定金具が、支柱部材と、弾性を有する可撓性の線状又は板状の部材から構成される連結部材とを備えて構成され、前記連結部材は、前記ドレンキャップ本体の内部に向かって凸になるように湾曲しつつ、その両端が改修用二重ドレンに係止される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第6712690号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1の構成によれば、ドレンキャップに連結された高さ調整用ねじに対してねじ連結する枠材と、連結部材とが、離脱手段を介して連結されている。ドレンキャップ取り付け時に、連結部材の端部を改修用二重ドレンの連結用突起に取り付けたうえで、離脱手段を介して枠材と連結手段とを連結し、さらにドレンキャップを回転させることにより、ドレンキャップを改修用二重ドレンに固定している。
【0013】
このようにして改修用二重ドレンに取り付けられたドレンキャップは、離脱手段が枠材と連結部材とを離脱させる構成となっているため、たとえば強風が吹いた時など所定の荷重が作用すると、ドレンキャップが飛散する可能性がある。また、風にあおられることによる振動などにより、高さ調整用ねじと枠材とのねじ連結にゆるみが生じる恐れがある。
【0014】
加えて、特許文献1の構成では、部品点数が多く、部品管理が必要になり、またコストがかかるという問題もある。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みて、低コストでありながら取付作業性に優れ、さらにストレーナーが脱落することを有効に抑制できるドレン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために代表的な本発明のドレン装置の一つは、
ストレーナーと、
排水管に接続される筒部と、前記筒部が接続される開口が形成された板部と、前記開口に掛け渡されるように配設された梁部とを備えたドレン本体と、
前記ストレーナーの内側にて、前記ドレン本体の梁部と前記ストレーナーとを連結するコイルスプリングと、を有することにより達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、低コストでありながら取付作業性に優れ、さらにストレーナーが脱落することを有効に抑制できるドレン装置を提供することができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1の実施形態のドレン装置を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態のドレン装置を分解した状態で示す斜視図である。
図3図3は、変形例にかかる梁部を含むドレン本体の平面図である。
図4図4は、別な変形例にかかる梁部を含むドレン本体の平面図である。
図5図5は、第1の実施形態の変形例にかかるドレン装置を示す概略断面図である。
図6図6は、第1の実施形態の別な変形例にかかるドレン装置を示す概略断面図である。
図7図7は、第1の実施形態の別な変形例にかかるドレン装置を示す概略断面図である。
図8図8は、第1の実施形態の別な変形例にかかるドレン装置を示す概略断面図である。
図9図9は、第2の実施形態のドレン装置を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。
図10図10は、第2の実施形態のドレン装置を分解して排水管側から見た斜視図である。
図11図11は、第2の実施形態のドレン装置を分解してストレーナー側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、第1の実施形態のドレン装置を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。図2は、第1の実施形態のドレン装置を分解した状態で示す斜視図である。
【0020】
(ドレン装置の構成)
まず、図2を参照して、縦引き用である本実施形態のドレン装置10の構成を説明する。
図2において、ドレン装置10は、ストレーナー11と、2本のコイルスプリング12と、ドレン本体13とを有する。
【0021】
ストレーナー11は、頂部11aと、軸線に対して等角度で頂部11aから下方に延在し且つ所定間隔で周方向に配設された複数の縦柱部11bと、隣接する縦柱部11bの中間を連結する中間連結部11cと、隣接する縦柱部11bの下端近傍を連結する下端連結部11dとを連設してなる。頂部11aには、開口11eが形成されている。
【0022】
ストレーナー11の頂部11aの下方に、連結環14が配設される。連結環14は、環部14aと、環部14a連結された胴部14bとを有する。胴部14bの端部には、雌ねじ穴14cが形成されている。
【0023】
ストレーナー11の開口11eに挿通された小ねじ15が、連結環14の雌ねじ穴14cに螺合され、小ねじ15を締め込むことで、連結環14がストレーナー11の頂部11aの下面に取り付けられる。
【0024】
連結環14の環部14aに、各コイルスプリング12のC字状に曲がった上端係止部12aが係止される。なお、コイルスプリング12に熱収縮チューブなどを適用することで、樹脂被覆を行うことにより耐久性が向上する。
【0025】
ドレン本体13は、比較的薄い金属板から形成された平板部13aと、平板部13aの中央に形成された凹部13bと、凹部13bの中央に形成された円形開口13cに接続された円管(筒部)13dとを連設してなる。また円形開口13cに掛け渡されるように、円形開口13cの径方向にわたって梁部13eが配設されている。
【0026】
梁部13eは細長い平板状を有し、板厚方向が水平を向く(すなわち梁部13eの両面が円管13dの軸線に略平行になる)ようにして、その両端が円形開口13cの近傍の凹部13bにロウ付けまたは溶接等により固定されている。図1に示すように、梁部13eの両端近傍において、段部13fが、円形開口13cの軸線から等距離の位置にそれぞれ形成されており、各段部13fに、コイルスプリング12のC字状に曲がった下端係止部12bが係止される。段部13fを係合部とするが、係合部として段部13fの代わりに切欠や孔などを設けてもよい。また、梁部13eを中空又は中実の棒状としてもよい。
【0027】
(ドレン装置の設置)
次に、図1を参照して、本実施形態のドレン装置10の設置態様を説明する。
本実施形態のドレン装置10は、例えば防水構造の改修のため、それまで使用していた既存のドレン装置の少なくとも一部を撤去して、新たに設置される。前準備として、既存のドレン装置におけるストレーナー、防水層おさえ、また必要に応じて周囲防水層を撤去する。
【0028】
このとき、図1に示すように、建物の屋上に配置された防水下地(RC,PC,ALC,W等)1には、中央に穴2aを配設した浅皿状のドレン基部2と、ドレン基部2の穴2aに連結されて、防水下地1の縦開口1aから下方へ延在する排水管3が残存することとなる。このため、既設のドレン装置を考慮して、新たなドレン装置を組み付ける必要がある。
【0029】
まず、ドレン本体13を単独で、既存のドレン基部2に取り付ける。ここで、ドレン本体13の円管13dは、排水管3の内径より小さい外径を有するため、円管13dを排水管3の内側に挿通して接続することができる。円管13dを排水管3の内側に挿通すると、ドレン本体13の凹部13bが、ドレン基部2の上方に位置する。
【0030】
凹部13bは、浅皿状のドレン基部2の形状に合わせて形成されている。
【0031】
一方、ドレン本体13の平板部13aは、ドレン基部2の周囲の防水下地1の上面に位置する。このとき、平板部13aの下面と防水下地1の上面とを、粘着シート、あるいは耐風圧性や納まり性の確保等を考慮してアンカーなどを用いて固定することが望ましい。また、平板部13aは、比較的薄い金属板であるため、たとえ防水下地1の上面に多少の凹凸があった場合でも、平板部13aを上方から叩くことで、その上面になじませることができ、それにより密着度が高まる。既存の防水層を符号4で示す。
【0032】
さらに、ドレン本体13の平板部13a及び凹部13bの上面にかけて円形開口13cの縁近傍まで、防水層5を敷設する。防水層5としては、アスファルト防水層、シート防水層、塗膜防水層などがあるが、これに限られない。防水層5の厚みは、材料や工法によって異なるが、1mm~15mm程度である。
【0033】
防水層5を設置した後、ストレーナー11を取り付ける。具体的には、環部14aに各コイルスプリング12の上端係止部12aを係止した連結環14を、小ねじ15を用いて予めストレーナー11に取り付けておく。
【0034】
作業者は、かかるストレーナー11を一方の手で保持しつつ、ドレン本体13の上方から円形開口13cに接近させ、他方の手でストレーナー11の内側にあるコイルスプリング12の下端側を把持して引き延ばし、下端係止部12bを梁部13eの段部13fに係止させる。コイルスプリング12の弾性力は、作業者の力で引き延ばせる程度に比較的小さいため、工具などを必要することなく、梁部13eへの係止作業を容易に行える。例えばコイルスプリング12の下端係止部12bにジャーマンフックを採用すると、作業性が向上する。
【0035】
コイルスプリング12を梁部13eに係止した後、作業者がストレーナー11を防水層5上に載置すると、コイルスプリング12の弾性力で、ストレーナー11の縦柱部11bの下端が防水層5に押圧固定され、ストレーナー11が直立する。本実施の形態によれば、防水層5の厚みに関わらず容易に取り付けが可能であり、また改修用ドレン装置の排水口径によらず、同一のストレーナー11を用いることができるため、部品の共通化を図れる。
【0036】
図1で明らかなように、既存の防水層4上に設置された防水層5は、平板部13a及び凹部13bの上面に設置された防水層5よりも高くなっている。このため、防水層5上に落滴した雨水は、円形開口13cに向かって流れることとなり、水だまりを形成することがない。さらにストレーナー11の縦柱部11b間等の隙間を通過した雨水は、円形開口13cに進入した後、排水管3を介して排水される。このとき、雨水中のゴミなどは、ストレーナー11により捕獲され、排水管3に進入しない。
【0037】
本実施の形態によれば、例えばストレーナー11が強風に曝された場合でも、コイルスプリング12の弾性力により防水層5に直立固定された状態が維持される。また、ストレーナー11の軸線に対して対称的に配設された一対のコイルスプリング12が、略等しい弾性力を発揮しているため、一時的に暴風にあおられるなどした場合でも、コイルスプリング12のセンタリング効果により、ストレーナー11は円形開口13cの真上に復帰でき、ずれ防止を図れる。
【0038】
さらに、梁部13eの両面が円管13dの軸線に対して略平行となるように配置されているため、円管13dの軸線方向における曲げ剛性が高い。したがって、薄い板材から形成した場合でも、コイルスプリング12の弾性力を支持することができ、また薄い板材を使用することで、円管13dを通過する雨水の流れを抑制する恐れが少なくなる。本発明者らが行った試験結果によれば、梁部13eの有無に関わらず、排水性能が同等であることが確認された。
【0039】
さらに、円形開口13cを通過する流れ方向に、梁部13eの薄い縁が対向しているので、ゴミ等が梁部13eに引っかかることも抑制できる。万が一、梁部13eにゴミ等が引っかかったときは、コイルスプリング12の弾性力に抗してストレーナー11を手で持ち上げることで、ゴミ等を容易に除去できる。
【0040】
コイルスプリングの数、また梁部の形状及び数は、上述した実施形態に限られない。上述した実施形態においては、単一の梁部13eを径方向に架設した構成としているが、例えば図3に示すように、ストレーナー11の軸線方向に見てY字形状の梁部13e’を用いてもよい。梁部13e’の3つの端部が、ドレン本体13の円形開口13cの縁に接合されている。本変形例の場合、図1に示すコイルスプリング12を3つ設けて、その下端を梁部13e’の外周側端部近傍にそれぞれ連結することが好ましい。このとき、各スプリング12は、ストレーナー11の軸線に対して対称的(軸対称的または面対称的)に、もしくは平行に配設されると好ましい。
【0041】
あるいは、図4に示すように、2本の梁部13eを十字状に組み合わせて用いてもよい。組み合わされた各梁部13eの両端は、ドレン本体13の円形開口13cの縁に接合されている。本変形例の場合、コイルスプリング12を4つ設けて、その下端を2本の梁部13eの外周側端部近傍にそれぞれ連結することが好ましい。このとき、各スプリング12は、ストレーナー11の軸線に対して対称的にもしくは平行に配設されると好ましい。
ただし、円管13dの断面積に対する梁部13eの占有面積が増大するにつれ、異物が引っかかる恐れが高まるため、第1の実施形態のように1本の梁部13eを径方向に架設する構成が望ましい。
【0042】
(変形例)
図5は、第1の実施形態の変形例にかかるドレン装置10Aを示す概略断面図である。本変形例においては、連結環14に、コイルスプリング16の上端係止部16aが連結され、コイルスプリング16の下端係止部16bには、2つのコイルスプリング12の上端係止部12aが連結されている。2つのコイルスプリング12の下端係止部12bは、梁部13eにそれぞれ係止されている。それ以外の構成については、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0043】
本変形例によれば、コイルスプリング12,16を特性のものと交換することで、弾性力の調整を容易に行うことができる。
【0044】
図6は、第1の実施形態の別な変形例にかかるドレン装置10Bを示す概略断面図である。本変形例においては、ストレーナー11の中間連結部11cに、2つのコイルスプリング12の上端係止部12aが連結され、また2つのコイルスプリング12の下端係止部12bは、梁部13eに係止されている。それ以外の構成については、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
本変形例によれば、2つのコイルスプリング12をストレーナー11の軸線に対して平行に配置できるため、ストレーナー11の固定のためコイルスプリング12の弾性力を有効に活用できる。また、連結環や小ねじなどを設ける必要がないため、コスト削減を図れる。
【0046】
図7は、第1の実施形態の別な変形例にかかるドレン装置10Cを示す概略断面図である。本変形例においては、第1の実施の形態に対し梁部13Ceの形状が異なる。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
本変形例においては、梁部13Ceが、円管13dに接合される接合端部13e1と、接合端部13e1に対してコイルスプリング12側にシフトした中央部13e2と、中央部13e2との両端と、接合端部13e1とをストレートに接続する接続部13e3とを有する。接合端部13e1と接続部13e3との境界には、下方に突出した段部13e4が形成され、この段部13e4に、接合端部13e1に係合したコイルスプリング12の下端係止部12bが係止される。
【0048】
本変形例によれば、中央部13e2がコイルスプリング12に近づくように、梁部13Ceがクランク状に曲がっている。このため中央部13e2が、円管13dの上端(入口)から離間しており、円管13dに流れ込む雨水に混入するごみなどの異物が、梁部13Ceに引っかかりにくいというメリットがある。
【0049】
図8は、第1の実施形態の別な変形例にかかるドレン装置10Dを示す概略断面図である。本変形例においても、第1の実施の形態に対し梁部13Deの形状が異なる。それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
本変形例においては、梁部13Deの中央部13e5が、コイルスプリング12に近づくように曲線状(U字状に)に曲がっている。このため、中央部13e5が円管13dの上端(入口)から離間しており、円管13dに流れ込む雨水に混入するごみなどの異物が、梁部13Deに引っかかりにくいというメリットがある。
【0051】
また、本変形例においても、接合端部13e6と中央部13e5との境界に、下方に突出した段部13e7が形成され、この段部13e7に、接合端部13e6に係合したコイルスプリング12の下端係止部12bが係止される。
【0052】
[第2の実施形態]
図9は、第2の実施形態のドレン装置20を屋上に取り付けた状態で示す断面図である。図10は、第2の実施形態のドレン装置20を分解して排水管側から見た斜視図である。図11は、第2の実施形態のドレン装置20を分解してストレーナー側から見た斜視図である。
【0053】
(ドレン装置の構成)
まず、図9,10を参照して、横引き用である本実施形態のドレン装置20の構成を説明する。
図9,10において、ドレン装置20は、ストレーナー21と、2本のコイルスプリング22と、ドレン本体23とを有する。
【0054】
ストレーナー21は、一対のストレーナー部材21a,21bと、この一対のストレーナー部材21a,21bを回動自在に連結する4つの枢支部21c、を備えている。中央側の2つの枢支部21cにおいて、ストレーナー部材21a,21bは、連結環24aを備えたピンボルト24によりそれぞれ連結されている。
【0055】
ストレーナー部材21a,21bは、例えば鋳型によって成形され、それぞれ略矩形状のグレーチング部21d、21eと、グレーチング部21d、21eの両側から直角に延在する櫛歯部21f、21gとを有する。
【0056】
グレーチング部21d、21eには、等間隔に複数の桟が形成されており、櫛歯部21f、21gに形成された複数の櫛歯も等間隔に形成され、これにより異物の通過を阻止することができる。また、櫛歯部21f、21gに形成された複数の櫛歯のグレーチング部21d、21eからの長さは、枢支部21c側に近づくに従って漸次長くなっている。
【0057】
中央側の枢支部21cに取り付けられたピンボルト24の連結環24aに、各コイルスプリング22のC字状に曲がった上端係止部22aが係止される。
【0058】
ドレン本体23は、比較的薄い金属板から形成された垂直平板部23a及び水平平板部23bと、垂直平板部23aの下端に形成された円形開口23cに接続された円管(筒部)23dとを連設してなる。また円形開口23cに掛け渡されるように、円形開口23cの径方向にわたって梁部23eが水平に配設されている。ただし本実施形態でも、図3,4に示す梁部を設けてもよい。
【0059】
本実施形態の梁部23eは棒状であって、その両端が円形開口23cの近傍の垂直平板部23aにロウ付けまたは溶接等により固定されている。梁部23eに、コイルスプリング22のC字状に曲がった下端係止部22bが係止される。本実施形態では、2本のコイルスプリング22は略平行に配置されるため、梁部23eに切欠等を設ける必要はない。ただし、第1の実施形態と同様に梁部23eに切欠や孔などを設けてもよい。また、梁部23eを、第1の実施形態と同様に板状としてもよい。
【0060】
(ドレン装置の設置)
次に、図9を参照して、本実施形態のドレン装置20の設置態様を説明する。
本実施形態のドレン装置20は、例えば防水構造の改修のため、それまで使用していた既存のドレン装置の少なくとも一部を撤去して、新たに設置される。前準備として、既存のドレン装置におけるストレーナー、防水層おさえ、また必要に応じて周囲防水層を撤去する。
【0061】
このとき、図9に示すように、建物の屋上の側壁に配置された防水下地(RC,PC,ALC,W等)1には、穴2aを配設したドレン基部2と、ドレン基部2の穴2aに連結されて、防水下地1の横開口1aから側壁を貫通した後に下方へ延在する排水管3が残存することとなる。このため、既設のドレン装置を考慮して、新たなドレン装置を組み付ける必要がある。
【0062】
まず、ドレン本体23を単独で、既存のドレン基部2に取り付ける。ここで、ドレン本体23の円管23dは、排水管3の内径より小さい外径を有するため、円管23dを排水管3の内側に挿通して接続することができる。円管23dを排水管3の内側に挿通すると、ドレン本体23の垂直平板部23aがドレン基部2の周囲の防水下地1の側面に位置し、水平平板部23bがドレン基部2の周囲の防水下地1の上面に位置する。
【0063】
このとき、垂直平板部23a及び水平平板部23bと防水下地とを、粘着シート、あるいは耐風圧性や納まり性確保等を考慮してアンカーなどを用いて固定することが望ましい。また、垂直平板部23a及び水平平板部23bは、比較的薄い金属板であるため、たとえ防水下地1の上面に多少の凹凸があった場合でも、あるいは防水下地1が直角に形成されていない場合でも、垂直平板部23a及び水平平板部23bを表面側から叩くことで、防水下地1になじませることができ、それにより密着度が高まる。既存の防水層を符号4で示す。
【0064】
さらに、ドレン本体23の垂直平板部23a及び水平平板部23bの表面にかけて円形開口23cの縁近傍まで、防水層5を敷設する。防水層5としては、アスファルト防水層、シート防水層、塗膜防水層などがあるが、これに限られない。防水層5の厚みは、材料や工法によって異なるが、1mm~15mm程度である。
【0065】
防水層5を設置した後、ストレーナー21を取り付ける。具体的には、作業者は、ストレーナー21の中央側の枢支部21cに取り付けられたピンボルト24の連結環24aに、各コイルスプリング22の上端係止部22aを係止させる。
【0066】
次いで作業者は、ストレーナー21を一方の手で保持しつつ、ドレン本体23の側方から円形開口23cに接近させ、他方の手でストレーナー21の内側にあるコイルスプリング22の下端側を把持して引き延ばし、下端係止部22bを梁部23eに係止させる。コイルスプリング22の弾性力は、作業者の力で引き延ばせる程度に比較的小さいため、工具などを必要することなく、梁部23eへの係止作業を容易に行える。
【0067】
コイルスプリング22を梁部23eに係止した後、作業者がストレーナー21から手を離すと、コイルスプリング22の弾性力でストレーナー21の櫛歯部21f、21gの端部が、防水層5に押圧固定される。このとき、枢支部21cを中心にストレーナー部材21a、21bは回動可能であるため、たとえ防水下地1が直角に形成されていない場合でも、垂直方向及び水平方向の防水層5にそれぞれ櫛歯部21f、21gの端部が密着するようになり、異物の通過を許容する隙間を極力なくすことができる。
【0068】
図9で明らかなように、既存の防水層4上に設置された防水層5は、垂直平板部23aの上面に設置された防水層5よりも高くなっている。このため、防水層5上に落滴した雨水は、円形開口23cに向かって流れることとなり、水だまりを形成することがない。さらにストレーナー21のグレーチング部21d、21e、または櫛歯部21f、21g等の隙間を通過した雨水は、円形開口23cに進入した後、排水管3を介して排水される。このとき、雨水中のゴミなどは、ストレーナー21により捕獲され、排水管3に進入しない。
【0069】
本実施の形態によれば、例えばストレーナー21が強風に曝された場合でも、コイルスプリング22の弾性力により防水層5に固定された状態が維持される。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変を施すことができる。例えば、本実施形態のドレン装置10は、改修時に設置するものとして説明したが、
新築時から設置することもできる。
【符号の説明】
【0071】
1 防水下地
2 ドレン基部
3 排水管
4 既存の防水層
5 防水層
10、10A,10B、20 ドレン装置
11、21 ストレーナー
12、22 コイルスプリング
13、23 ドレン本体
14 連結環
15 小ねじ
24 ピンボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11