(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】受信装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/431 20110101AFI20240722BHJP
H04N 21/458 20110101ALI20240722BHJP
H04H 20/28 20080101ALI20240722BHJP
H04H 40/18 20080101ALI20240722BHJP
【FI】
H04N21/431
H04N21/458
H04H20/28
H04H40/18
(21)【出願番号】P 2021023329
(22)【出願日】2021-02-17
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】韓 嘯
【審査官】鈴木 順三
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532281(JP,A)
【文献】特開平04-221998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
H04H 20/00 - 20/46
H04H 20/91 - 40/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンテンツを受信し、前記複数のコンテンツを同一の提示手段に重畳させて同時
に出力可能な提示レイヤの機能を用いて前記提示手段に前記複数のコンテンツを表示させ
る受信装置であって、
第1の提示レイヤに配置するための第1のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第1のバッファ及び第1のデコーダと、
第2の提示レイヤに配置するための第2のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第2のバッファ及び第2のデコーダと、
前記第1のデコーダから出力される前記第1のコンテンツの復号データを受取る第1の提示メモリと、
前記第2のデコーダから出力される前記第2のコンテンツの復号データを受取る第2の提示メモリと、
前記第1の提示メモリ又は前記第2の提示メモリの出力のいずれかを選択して、前記提示手段に与える選択部と、を備え、
制御手段は、
前記第1のコンテンツから前記第2のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第1のデコーダの処理を一時停止し、前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データを前記第1の提示レイヤのデータとして前記第1の提示メモリに保存するとともに、前記第2のデコーダの処理を開始し、
さらに前記制御手段は、
前記第2のコンテンツから前記第1のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第2のデコーダの処理を停止し、前記第2の提示レイヤのデータを前記第2の提示メモリからクリアするとともに、前記第1のデコーダの処理を前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データの次のデータから開始する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項2】
前記制御手段は、外部サーバから受信した制御情報に基づいて、前記第1のコンテンツと前記第2のコンテンツとを、それぞれ前記第1の提示レイヤと前記第2の提示レイヤとに設定する請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記制御手段は、デジタル放送の放送信号から受信した制御情報に基づいて、前記第1
のコンテンツと前記第2のコンテンツとを、それぞれ前記第1の提示レイヤと前記第2の提示レイヤとに設定する請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記第1のコンテンツ及び前記第2のコンテンツは、ストリーミングにより配信されるデータである請求項1乃至請求項3に記載のいずれか1項に記載の受信装置。
【請求項5】
複数のコンテンツを受信し、前記複数のコンテンツを同一の提示手段に重畳させて同時
に出力可能な提示レイヤの機能を用いて前記提示手段に前記複数のコンテンツを表示させ
る受信方法であって、
第1の提示レイヤに配置するための第1のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第1のバッファ及び第1のデコーダと、
第2の提示レイヤに配置するための第2のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第2のバッファ及び第2のデコーダと、
前記第1のデコーダから出力される前記第1のコンテンツの前記復号データを受取る第1の提示メモリと、
前記第2のデコーダから出力される前記第2のコンテンツの前記復号データを受取る第2の提示メモリと、
前記第1の提示メモリ又は前記第2の提示メモリの出力のいずれかを選択して、前記提示手段に与える選択部と、を有する装置に対して、
制御手段が、
前記第1のコンテンツから前記第2のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第1のデコーダの処理を一時停止し、前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データを前記第1の提示レイヤのデータとして前記第1の提示メモリに保存するとともに、前記第2のデコーダの処理を開始させ、
さらに前記制御手段が、
前記第2のコンテンツから前記第1のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第2のデコーダの処理を停止し、前記第2の提示レイヤのデータを前記第2の提示メモリからクリアするとともに、前記第1のデコーダの処理を前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データの次のデータから開始させる、
ことを特徴とする受信方法。
【請求項6】
コンピュータが、複数のコンテンツを受信し、前記複数のコンテンツを同一の提示手段に重畳させて同時に出力可能な提示レイヤの機能を用いて前記提示手段に前記複数のコンテンツを表示させるためのプログラムであって、
制御対象となる受信号処理部が、
第1の提示レイヤに配置するための第1のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第1のバッファ及び第1のデコーダと、
第2の提示レイヤに配置するための第2のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第2のバッファ及び第2のデコーダと、
前記第1のデコーダから出力される前記第1のコンテンツの前記復号データを受取る第1の提示メモリと、
前記第2のデコーダから出力される前記第2のコンテンツの前記復号データを受取る第2の提示メモリと、
前記第1の提示メモリ又は前記第2の提示メモリの出力のいずれかを選択して、前記提示手段に与える選択部と、を有し、
制御手段としての前記プログラムが、
前記第1のコンテンツから前記第2のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第1のデコーダの処理を一時停止し、前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データを前記第1の提示レイヤのデータとして前記第1の提示メモリに保存するとともに、前記第2のデコーダの処理を開始させ、
さらに前記プログラムが、
前記第2のコンテンツから前記第1のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第2のデコーダの処理を停止し、前記第2の提示レイヤのデータを前記第2の提示メモリからクリアするとともに、前記第1のデコーダの処理を前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データの次のデータから開始させる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、受信装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送のテレビ受信装置においては、インターネットなどに接続してストリーミング配信によるコンテンツデータを受信可能となっている。またストリーミング配信による番組(本編)の表示中に、例えばコマーシャルメッセージ(CM)のような本編とは異なるコンテンツを割り込みで表示させることも可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-74543号公報
【文献】特開2021-13046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本編のストリーミング配信途中にCMを割り込ませて入れようとした場合に、受信側においては本編とCMとの間の切り替えの繋ぎが不自然になることがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、異なるコンテンツの表示をシームレスに切替える受信装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、複数のコンテンツを受信し、前記複数のコンテンツを同一の提示手段に重畳させて同時に出力可能な提示レイヤの機能を用いて前記提示手段に前記複数のコンテンツを表示させる受信装置であって、
第1の提示レイヤに配置するための第1のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第1のバッファ及び第1のデコーダと、
第2の提示レイヤに配置するための第2のコンテンツの符号化データをバッファし、次にデコードし復号データを得る第2のバッファ及び第2のデコーダと、
前記第1のデコーダから出力される前記第1のコンテンツの復号データを受取る第1の提示メモリと、
前記第2のデコーダから出力される前記第2のコンテンツの復号データを受取る第2の提示メモリと、
前記第1の提示メモリ又は前記第2の提示メモリの出力のいずれかを選択して、前記提示手段に与える選択部と、を備え、
制御手段は、
前記第1のコンテンツから前記第2のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第1のデコーダの処理を一時停止し、前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの前記復号データを前記第1の提示レイヤのデータとして前記第1の提示メモリに保存するとともに、前記第2のデコーダの処理を開始し、
さらに前記制御手段は、
前記第2のコンテンツから前記第1のコンテンツに前記選択部の出力を切り替えるタイミングに基づいて、前記第2のデコーダの処理を停止し、前記第2の提示レイヤのデータを前記第2の提示メモリからクリアするとともに、前記第1のデコーダの処理を前記一時停止した時点における前記第1のコンテンツの復号データの次のデータから開始する、ことを特徴とする受信装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る受信装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る受信装置がストリーミングデータの受信を起動する際の処理動作例を示すシーケンスチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態にストリーミングデータの構成例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る受信装置がストリーミングデータのCMデータを受信する際の処理動作例を示すシーケンスチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る受信装置の表示レイヤの構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る受信装置がCMの提示を完了した際の処理動作例を示すシーケンスチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る受信装置がCMの提示を途中終了した際の処理動作例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係るシステムの構成例を示す機能ブロック図である。
【0010】
受信装置1は、デジタルコンテンツを視聴するための受信装置であり、例えば、2Kまたは4K/8Kといった地上波放送、衛星放送などのデジタル放送を受信し視聴可能なテレビの受信装置(テレビ装置、テレビジョン受信装置、放送信号受信装置とも称される)であってもよい。デジタル放送によって得るデジタルコンテンツを放送コンテンツと称することもある。
【0011】
また、受信装置1は、例えばインターネットなどのネットワーク3に接続するための通信機能を備え、ネットワーク3に接続される各種サーバ(クラウドにより構築されたサーバも含んでよい)とデータのやり取りをすることが可能である。例えば、受信装置1は、ネットワーク3に接続されるコンテンツサーバ装置からデジタルコンテンツを受信し、モニタやスピーカなどからデジタルコンテンツを出力できる。ネットワーク3を介してコンテンツサーバ装置から入手したデジタルコンテンツをネットコンテンツと称することもある。ネットコンテンツは、各種ストリーミング配信によるコンテンツであってもよく、受信装置1は、各種ストリーミング配信によるネットコンテンツのデータ(ネットコンテンツデータ)を受信し、モニタやスピーカなどからネットコンテンツを出力できる。ネットコンテンツデータは、放送コンテンツのデータと同様、映像データ、音声データ、文字データなどを含んでもよい。各種ストリーミング技術については、一般的な技術であり、詳細の説明は省略する。受信装置1は、各種ストリーミング配信によるネットコンテンツを受信したり、再生したりするためアプリケーションソフトウェア(アプリケーションと称する場合もある)を備えていてもよい。アプリケーションソフトウェアは、Webブラウザやストリーミングデータ受信専用のソフトウェアであってもよい。
【0012】
なお、受信装置1は、ネットワーク3に接続して各種ストリーミングデータを受信可能なPersonal Computer(以降、PCと称する)やスマートフォンなどの携帯端末であってもよい。
【0013】
サーバ装置2は、ネットワーク3上に設置されるストリーミング配信が可能なサーバであり、例えばCPUやメモリなどを有したコンピュータやクラウドなどにより構成されることでもよい。また、サーバ装置2は、ネットコンテンツとして番組本編を出力する他、番組本編を受信中の受信装置1に対して、Commercial Messageのデータ(以降、CMデータと称する)を送信することでもよい。以降、CMデータと区別するために、ネットコンテンツデータのうち番組本編部分のデータを本編データと称することもある。
【0014】
また、サーバ装置2が出力する本編データを受信中の受信装置1に対して、サーバ装置2とは別のネットワーク3上の図示せぬサーバがCMデータを受信装置1に対して送信することでもよい。CMデータは、放送コンテンツやネットコンテンツの本編データと同様、映像データ、音声データ、文字データなどを含んでもよい。また、サーバ装置2は、本編データやCMデータを受信装置1に表示させるタイミングや表示方法などを指定するためのコンテンツ制御情報またはアプリケーション制御情報を送信することでもよい。アプリケーション制御情報は、コンテンツ制御情報を含むことでもよい。受信装置1が備えるアプリケーションに対応する制御情報を意味することでもよいが、また、本編データやCMデータを送信するパケットのヘッダなどに含まれている情報などもアプリケーション制御情報と称することもある。例えば、受信装置1は、受信したパケットデータが本編データであるかCMデータであるかをパケットのヘッダのアプリケーション制御情報から識別してもよい。アプリケーション制御情報は、本編データやCMデータを送信するサーバ装置2が送信してもよいし、本編データやCMデータを送信するサーバ装置2とは別の図示せぬサーバが送信することでもよい。またデジタル放送で送信するなど任意の方法でアプリケーション制御情報を送信することでもよい。受信装置1は、デジタル放送からアプリケーション制御情報を取得可能である。
【0015】
また、サーバ装置2が本編データをストリーミング配信している時に、CMデータを送信するタイミングは、あらかじめ決まっていてもよいし、予定なく突然送信することでもよい。サーバ装置2が、CMデータを突然送信する場合は、例えば、ストリーミング配信している本編のどの部分にCMを割り込ませるかなどのコンテンツ制御情報をCMデータと同時に送信することでもよい。受信装置1は、受信したコンテンツ制御情報やアプリケーション制御情報に基づいて、番組の本編やCMを受信装置1のモニタやスピーカから出力する。
【0016】
ネットワーク3は、受信装置1、サーバ装置2などが接続されて通信可能となるネットワークであり、例えば、インターネットである。また、ネットワーク3はインターネットだけとは限らず、各装置が通信可能であれば、有線無線に関わらず複数の異なるネットワークを含むネットワークでもよい。
【0017】
リモコン10は、受信装置1を遠隔制御するためのリモートコントローラである。リモコン10は、例えばユーザが発する音声を受波できるマイクなどの音声集音機能を備えていてよい。また、リモコン10は、受信した音声データを外部送信するための例えば、BlueTooth(登録商標)、WiFi(登録商標)などのインターフェース機能を備えていてもよい。
【0018】
なお、
図1には受信装置1がネットワーク3に一つのみ接続されている例を示しているが、ネットワーク3に複数の受信装置1が接続されていてもよい。また複数の受信装置1は、それぞれ同一の機能を備えている必要はなく、所有者、メーカなども限定されることはない。また、
図1にはサーバ装置2がネットワーク3に一つのみ接続されている例を示しているが、ネットワーク3に複数のサーバ装置2が接続されていてもよい。また複数のサーバ装置2は、それぞれ同一の機能を備えている必要はなく、メーカやサービス事業者、サービス内容なども限定されることはない。
【0019】
図2は、実施形態に係る受信装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0020】
放送信号受信処理部11は、アンテナやケーブル放送などから所望の周波数帯の電波を受信し、復調処理などにより放送信号(デジタルデータ)を得るチューナを含む。放送信号受信処理部11は、受信した放送信号をデジタル放送の規格に応じ処理し、映像、音声、文字などのコンテンツデータを取得し出力する。例えば、デジタル放送の規格としては、2Kデジタル放送にて採用されているMPEG2 TS方式や、4K/8Kデジタル放送にて採用されているMPEG Media Tranport方式(MMT方式)などでもよく、複数のチューナにより双方に対応していてもよい。デジタル放送の規格に応じた処理としては、放送信号を、映像、音声、文字などのコンテンツ要素データのデジタルデータストリームに分離するデマルチプレクシング処理、誤り訂正符号復号処理、暗号化されたデータを復号する暗号復号化処理、各コンテンツ要素データに対して施された符号化(映像符号化、音声符号化、文字符号化など)に対する復号化処理などを含む。また、放送信号受信処理部11は、放送信号からアプリケーション制御情報を含む各種制御情報を取得して出力する。
【0021】
ネットワークデータ受信処理部12は、通信部13から受信したネットワークデータ(例えば、IP通信で送信される直前のデータなど)に対して、既定のデマルチプレクシング処理(分離処理)や誤り訂正符号復号処理などの処理を実施し、本編データやCMデータの符号化データ(符号化コンテンツデータと称することもある)、アプリケーション制御情報などを得て出力する。符号化コンテンツデータは、本編データやCMデータに対して例えば映像符号化、音声符号化、文字符号化などの符号化処理が施されたデータを示す。ネットワークデータ受信処理部12は、アプリケーション制御情報などから、受信しているデータを識別し、本編データやCMデータなどを区別して、後段(例えばバッファ141)に出力することでもよい。
【0022】
通信部13は、ネットワーク3に接続されてネットワーク3上の各種サーバ装置2と通信をする。具体的には、例えばTCP/IP(UDP/IP)といった予め決められた通信規約などに応じた送受信処理によりデジタルデータをやり取りする。
【0023】
アプリケーションデータ処理部14は、サーバ装置2などが提供するストリーミング配信データである本編データやCMデータを処理する。アプリケーションデータ処理部14においては、例えば、ネットワークデータ受信処理部12や放送信号受信処理部11から受信したデータを、一旦、例えば本編データやCMデータなどデータの種類ごとにバッファ141A、141Bに入力する。アプリケーションデータ処理部14は、アプリケーション制御部171から入力されるアプリケーション制御情報などに基づいて、バッファ141A、141Bの符号化コンテンツデータをそれぞれ対応するデコード部142A、142Bにて復号し、出力する。
【0024】
バッファ141A、141B(特に区別しない場合は、バッファ141と称することもある)は、例えばメモリであり、受信したストリーミング配信データを一時的に記憶するバッファを主な目的として設置される。
【0025】
デコード部142A、142B(特に区別しない場合は、デコード部142と称することもある)は、入力された符号化コンテンツデータに対して、コンテンツサーバが施した符号化処理に対する復号化処理などを実施し、映像、音声、文字などのコンテンツ要素データを取得し、出力する。デコード部142は、FPGAを含めたハードウェアで構成することでもよいし、ソフトウェアで構成しCPUなどのコンピュータにより動作させることでもよい。
【0026】
提示制御部15は、放送信号受信処理部11やアプリケーションデータ処理部14などが出力するコンテンツデータに対して出力タイミング、表示方法などを調整し、出力する。
【0027】
提示メモリ151は、例えばメモリであり、放送信号受信処理部11が出力する放送コンテンツのデータ(放送コンテンツデータ)を一時的に記憶するためのバッファである。提示メモリ151は、放送コンテンツデータの要素データである映像データ、音声データ、文字データなど全てを含む。
【0028】
提示メモリ152A、152B(特に区別しない場合は、提示メモリ152と称することもある)は、例えばメモリであり、アプリケーションデータ処理部14が出力するネットコンテンツのデータ(ネットコンテンツデータ)を一時的に記憶するためのバッファである。提示メモリ151は、ネットコンテンツデータの要素データである映像データ、音声データ、文字データなど全てを含む。提示メモリ152A、提示メモリ152Bは、1つのメモリの論理的な領域を示すことでもよい。提示メモリ152A、提示メモリ152Bには本編データやCMデータのいずれかがバッファされるが、いずれのデータがバッファされるかは、例えば、ストリーミング用のアプリケーションにあらかじめ設定しておくことでもよいし、アプリケーション制御情報などに含まれるデータの識別情報に基づいて、アプリケーション制御部171が、受信したデータが本編データであるかCMデータであるかを識別して、提示メモリ152A、提示メモリ152Bにデータを格納するなど任意の方法が可能である。
【0029】
提示メモリ153は、例えばメモリであり、アプリケーションが提示部16に出力するUser Interface(UI)用のデータ(UIデータ)を一時的に記憶するためのバッファである。UIデータは、ユーザが受信装置1の制御などをするために提示部16から出力(表示)させるためのデータであってもよい。例えば、UIデータは、Webブラウザや専用ソフトウェアの表示画面、またそれらの表示画面の上に表示させてユーザが制御に用いる「再生」、「停止」などの表示のデータであってもよい。ユーザは、提示部16が出力するUIデータの表示画面を見ながら、受信装置1に付属のリモコン10などから受信装置1の制御を実施することでもよい。またUIデータは、アプリケーションが起動された時に、サーバ装置2から取得してもよいし、アプリケーションの内部(例えばアプリケーション制御部171)の図示せぬメモリなどに保存されていてもよい。
【0030】
なお上記の提示メモリやバッファ141はそれぞれのコンテンツごとに個別に設置する必要はなく、物理的に同一のメモリ上に論理的に領域を分けて使用することでもよい。
【0031】
選択部154は、アプリケーション制御情報やリモコン10などからの制御信号などに基づいて、提示メモリ152A、152Bからデータを選択して、提示部16に出力する。選択部154は、主に提示メモリ152A、152Bの本編データ、CMデータの提示部16への出力切り替えの用途に用いる。
【0032】
提示部16は、例えば、映像や文字を表示するモニタや音声を出力するスピーカなどを含むことでもよい。提示部16は、提示制御部15が出力したコンテンツデータを映像、文字、音声などとして出力する。ユーザは、提示部16が出力する映像、文字、音声などを視聴することにより、放送信号やサーバ装置2などによって提供されるデジタルコンテンツを視聴する。
【0033】
制御部17は、受信装置1の各機能を制御する。具体的には、制御部17は、インターフェース部18などから各種コマンド信号を受信し、受信した各種コマンド信号に基づいて受信装置1の各機能を制御するための制御信号を出力する。例えば、ユーザが放送信号によるコンテンツを視聴するか、コンテンツサーバからのコンテンツを視聴するかをリモコン10から指定した場合に、制御部17は、インターフェース部18を介してリモコンからのコマンド信号を受信し、受信装置1の機能を制御し、ユーザが指定した動作をさせる。なお、
図2において、制御部17との間で特に結線をしていない機能ブロックとの間においてもデータのやり取りを行うことにしてもよい。
【0034】
アプリケーション制御部171は、ストリーミング配信データ受信、再生の機能やアプリケーションの各種機能を制御する。例えば、ユーザがアプリケーションを起動するためにリモコンから起動命令信号を出力したら、アプリケーション制御部171は、起動命令信号を受信し、起動命令をアプリケーションの各種機能に出力することでもよい。またアプリケーション制御部171は、放送信号受信処理部11やネットワークデータ受信処理部12などからアプリケーション制御情報を受信し、アプリケーション制御情報に含まれる制御信号やコマンドなどを取得し、アプリケーションの各種機能に制御信号やコマンドなどを出力することでもよい。
【0035】
インターフェース部18は、リモコン10などからコマンド信号を受信したり、制御部17などから外部装置へ制御信号を出力したりするためのインターフェースである。例えば、インターフェース部18は、受信装置1の図示せぬスイッチやリモコン10などから制御信号を受信し、制御信号を受信装置1の制御部17へ出力する。リモコン10のかわりに図示せぬスマートフォンなどの端末からコマンド信号を受信するインターフェースを有してもよい。また、インターフェース部18は外部装置と接続するためのインターフェースを有しており、例えば、受信装置1と外付けの記録再生装置を接続するためのインターフェースを備えていてもよい。
【0036】
リモコンI/F181は、リモコン10が赤外線などで出力するリモコン制御信号を受信し、制御部にリモコン制御信号を出力する。
【0037】
周辺機器I/F182は、ディスクプレーヤやHDDレコーダなどの記録再生装置、ハードディスク、キーボード、マウスなどのペリフェラル機器などと通信をするためのインターフェースである。周辺機器I/F182は、無線、有線に関わらず任意のインターフェースでもよい。
【0038】
図3は、実施形態に係るサーバ装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0039】
通信部21は、受信装置1などネットワーク3上の装置などとデータ通信をするためのインターフェースであり、例えばTCP/IP(UDP/IP)といったプロトコルを備えている。
【0040】
制御部22は、サーバ装置2内の各種機能を制御する。通信部21を介して外部装置から各種制御信号、要求信号などの各種データを受信し、必要に応じて解析、加工し、サーバ装置2内部の各機能ブロックに出力する。また、サーバ装置2内部の各機能ブロックから各種データを受信し、必要に応じてデータのブロック化、フォーマット化などを行い、通信部21へ出力する。制御部22は、受信装置1からコンテンツのストリーミング配信の要求信号を受信すると、サーバ装置2内部の機能にストリーミング配信データを生成させ、受信装置1へ出力する。
【0041】
本編データ生成部23は、ストリーミング配信をする本編データを生成する。カメラやマイクなどから取得した映像や音声などを用いて、本編データとなるデジタルデータをリアルタイムで生成してもよい。また本編データ生成部23は、過去に生成したデジタルデータを本編データとして図示せぬメモリなどから取得することでもよい。
【0042】
CMデータ生成部24は、ストリーミング配信をするCMデータを生成する。CMデータ生成部24は、過去に生成したデジタルデータをCMデータとして図示せぬメモリなどから取得することでもよい。
【0043】
コンテンツ制御情報生成部25は、本編データ生成部23が生成する本編データや、CMデータ生成部24が生成するCMデータに関するコンテンツ制御情報データを生成する。例えば、本編データの途中にCMデータを表示させる場合に、CMデータを割り込ませる本編データの再生時刻などの時間情報や、受信装置1の提示部16のモニタにおいてCMを表示させる画面上の位置などの位置情報などをコンテンツ制御情報データに含めることでもよい。また、受信装置1または受信装置1のアプリケーションが備える、異なるコンテンツを重ねて表示させる表示レイヤ機能に関する情報、すなわち本編データ、CMデータのいずれのデータをモニタの前面に表示させるかなどを指定するためのレイヤ情報をコンテンツ制御情報データに含めることでもよい。コンテンツ制御情報データは、受信装置1においては、アプリケーション制御情報として用いられることでもよい。
【0044】
ストリーミングデータ生成部26は、本編データ生成部23、CMデータ生成部24、コンテンツ制御情報生成部25が生成するデータをストリーミング技術によって送信するためのデータに変換し、ストリーミングデータを生成する。ストリーミングデータ生成部26の生成したストリーミングデータは、制御部22,通信部21によって通信プロトコルに応じたヘッダ情報などが付加され、通信部21からネットワーク3へ出力される。
【0045】
なお、本実施形態においては、サーバ装置2に本編データ生成部23、CMデータ生成部24、コンテンツ制御情報生成部25を同時に設置する場合を示したが、それぞれの機能を異なるサーバに設置して、個々に生成したストリーミングデータをそれぞれが出力することでもよい。
【0046】
以下、図面を用いて、本実施形態の動作を説明する。
【0047】
図4は、実施形態に係る受信装置がストリーミングデータの受信を起動する際の処理動作例を示すシーケンスチャートである。
【0048】
ユーザが、リモコン10から受信装置1のストリーミング配信のアプリケーションの起動命令をする(ステップS1)。アプリケーション制御部171は、リモコンI/F181を介して起動命令を受信すると、アプリケーションデータ処理部14、提示制御部15に起動命令を出力する(ステップS101)。提示制御部15は起動命令を受信すると、アプリケーション制御部171の図示せぬメモリに格納されているアプリケーションのUIデータを提示メモリ153に格納したり、ストリーミングデータとして受信される本編データやCMデータ、コンテンツ制御情報を含めたアプリケーション制御情報などの格納先を決定したりするなど初期化を行う(ステップS201)。ステップS201において本編データは提示メモリ152Aに、CMデータは提示メモリ152Bにそれぞれ格納することに決定するものとする。選択部154は、提示メモリ153に格納された表示データを提示部16に出力すると、提示部16は、アプリケーションのUIを表示する(ステップS202)。一方、アプリケーションデータ処理部14は起動命令を受信すると、ネットコンテンツの受信データを格納したりデコードしたりするためのバッファ141やデコード部142などを決定し、バッファのクリアやデコード部のパラメータ設定などの初期設定を行う(ステップS301)。ステップS301において、本編データには、バッファ141A、デコード部142A、一方、CMデータには、バッファ141B、デコード部142Bを選択するものとする。
【0049】
ユーザは、提示部16に表示されるUIをリモコン10から操作して、ネットコンテンツのコンテンツ再生命令をする(ステップS2)。アプリケーション制御部171は、受信したコンテンツ再生命令に従って、サーバ装置2にコンテンツを要求し、符号化コンテンツデータを受信する(ステップS102)。アプリケーションデータ処理部14においては、バッファ141Aに受信した本編データの符号化コンテンツデータを保存しながら、デコード部142Aが符号化コンテンツデータを復号して、提示メモリ152Aに出力する(ステップS302)。一方、提示制御部15は、コンテンツ再生命令に従って、提示メモリ152Aのデータを必要に応じてタイミングなどを調整しながら提示部16へ出力する(ステップS203)。ユーザは提示部16から出力される本編データによるコンテンツを視聴する(ステップS3)。
【0050】
図5は、実施形態にストリーミングデータの構成例を示す模式図であり、
図5(a)、
図5(b)は、それぞれバッファに格納される本編データ、CMデータの例を示し、
図5(c)は、バッファに格納されるアプリケーション制御情報データの例、
図5(d)は、提示制御部15から提示部16へ出力される本編データとCMデータの時間関係の例を示す。
図5(a)、
図5(b)の本編データ、CMデータはバッファ141に格納されている場合は符号化データであってもよい。
【0051】
図5(a)の本編データは、例えば一つのコンテンツ(番組)のデータであるが、図のようにP1、P2のように本編データを分割することで、コンテンツ再生の途中にCMデータを挟むことが可能となる。
図5(b)は、CMデータCM1、CM2がバッファに格納されている例である。CMデータCM1、CM2は、それぞれが完結した異なるCMのCMデータを想定するが、同じCMデータを分割したデータでもよい。
図5(d)は、
図5(c)のアプリケーション制御情報CI1に含まれる例えば時間情報に従って提示制御部15が提示部16に出力する例であり、P1、CM1、P2、CM2の順に出力されることを示している。アプリケーション制御情報の時間情報としては、例えば、P1、CM1、P2、CM2のデータの出力時刻や終了時刻を指定してもよいし、本編データの分割後のデータ(例えば、P1、P2等)やCMデータ(例えば、CM1、CM2等)を提示部16から表示させる順番を例えば、P1、CM1、P2、CM2のように示すことでもよい。なお、
図5(a)の本編データのようにあらかじめ本編データを分割せずに、アプリケーション制御情報の時間情報を利用して、本編データにCMデータを割り込ませることでもよい。また、アプリケーション制御情報については、本編データやCMデータのように時々刻々とデータを受信する必要がない場合は、サーバ装置3は、コンテンツ再生開始の時点でアプリケーション制御情報を全て送信してしまうことでもよい。
【0052】
以下、受信装置1が本編データを再生中にCMデータを出力させる場合の動作を示す。
【0053】
図6は、実施形態に係る受信装置がストリーミングデータのCMデータを受信する際の処理動作例を示すシーケンスチャートであり、時点T1、T101、T201、T301は、
図4の時点T1、T101、T201、T301からの続きであることを示す。
【0054】
アプリケーション制御部171は、受信したアプリケーション制御情報の時間情報とシステム内のクロックとから指定されたCMデータの再生タイミングであることを検知すると、デコーダ142Aに一時停止命令(Pause)を出力する(ステップS121のYES、S122)。デコーダ142Aは、一時停止命令を受信すると、復号処理を一旦停止する(ステップS321のYES、S322)。この時、提示メモリ部152Aには、一時停止直前の本編データが保持されていてもよい。
【0055】
ステップS122と同時に、アプリケーション制御部171は、CMデータの再生命令をデコード部142Bに出力する(ステップS123)。ステップS123の前にアプリケーション制御部171は、デコーダ142Aが一時停止したかどうかを確認するステップを入れてもよい。デコード部142Bは再生命令を受信すると、バッファ141Bのクリアやデコード部142Bのパラメータ設定などの初期設定を行う(ステップS421のYES、S422)。デコード部142Bはアプリケーション制御情報で指定されたCMデータをバッファ141Bから取得し、復号処理を開始する(ステップS423)。
【0056】
またステップS122と同時に、アプリケーション制御部171は、CMデータを提示部16から出力させるための表示命令を提示制御部15に出力する(ステップS124)。提示制御部15の選択部154は表示命令を受信すると、提示メモリ152Bに格納されているCMデータを提示部16に出力するモード(CM出力モード)に変更する(ステップS221のYES、S222)。
【0057】
図7は、実施形態に係る受信装置の表示レイヤの構成例を示す図であり、
図7(a)は、表示を重畳させる概念の模式図を示し、(b)、(c)、(d)は、モニタから出力される例の模式図を示す。
【0058】
受信装置1は、表示レイヤ機能により、提示メモリ152、153のデータを提示部16のモニタ画面上で重畳させることができるが、モニタ画面上に表示させる順番または優先度を決めることができる。例えば、
図7(a)は、UIデータ、CMデータ、本編データをそれぞれ表示レイヤL1,L2、L3として示した例であるが、L1、L2、L3の順で表示の優先度が高いことを示している。すなわち、UIデータと本編データがそれぞれ提示メモリ153、152Aに格納されて、同時に提示部16に出力される場合、L1のUIデータがL3の本編データの上に重畳されて表示される。
図7(b)は、本編データ再生中で、L3のみが画面に表示される例である。
図7(b)の表示にL1を重畳させた例が
図7(c)である。このように重畳させた場合、優先度の高いL1の画面が、L3画面の上に表示される。本実施形態においては、CMデータを本編データよりも上に重畳させるL2に設定する。通常は、UIデータは、
図7(c)のように本編データの一部分に重畳される場合がありL1に固定されるが、CMデータ、本編データは双方とも全画面に表示されるために同じレイヤとする。本実施形態においては、CMデータの表示レイヤをL2、本編データをL3に設定する。設定のタイミングは、アプリケーション起動時やコンテンツ再生命令時など、コンテンツが再生されるまでの任意のタイミングでよい。また通常の状態(デフォルトの状態)でCMデータと本編データとがL3に設定されている場合は、例えばCMデータに対してのみL2に設定することでもよい。設定はアプリケーション制御部171が、サーバ装置3から受信したアプリケーション制御情報などに基づいて実施することでもよい。またアプリケーション制御部171は、アプリケーション制御情報以外にもあらかじめ図示せぬメモリなどに格納された制御情報、リモコン10からユーザが設定した制御情報などに基づいて、表示レイヤを設定することでもよい。例えば、テクスチャーマッピング技術で使用されるDecode to textureと同様の重畳命令をCMデータの表示レイヤに設定することで本編データの表示上にCMデータの表示をかぶせることが可能となり、
図7(a)のような表示レイヤが可能となる。このような表示レイヤを採用することで、CMデータと本編データとを同時に提示部16に出力可能な場合、L2のCMデータがL3の本編データの上に重畳されて表示されるため、
図7(d)に示されるようにモニタには、L2のCMデータのみが表示される。
図7(d)においてL3の本編データの表示は点線枠で示されるように、L2のCMデータの表示の後ろに隠れている。上記の重畳命令を含めたコンテンツの表示制御情報は、コンテンツ制御情報またはアプリケーション制御情報としてサーバ装置3など受信装置1の外部装置から受信することでもよいし、受信装置1の出荷時などにあらかじめメモリなどに格納しておくなど任意の方法でよい。また受信装置1の出荷時などにCMデータと本編データとをそれぞれL2、L3に設定し、設定内容をメモリなどに格納しておくことでもよい。
【0059】
図6のステップS222に戻り、アプリケーション制御部171は、表示命令に加えて選択部154に
図7(a)の表示レイヤとする重畳命令を出力することで、選択部154はCM出力モードに設定され、CMデータが表示レイヤL2に、本編データが表示レイヤL3に固定される。デコーダ部142Bは、選択部154がCM出力モードになったことを確認すると、バッファ141Bのデータの復号処理を開始する(ステップS423)。デコーダ部142Bが出力するコンテンツデータが提示メモリ152Bに格納されると、選択部154の設定に応じて、出力部155からCMデータを提示部16に出力する(ステップS223)。なお、ステップS223の実行時、提示メモリ部152AにはステップS322における一時停止直前の本編データが保持されていてもよいが、本編データは表示レイヤL3に設定されているため、提示部16には表示レイヤL2のCMデータが出力される。ユーザは、提示部16に出力されるCMを視聴する(ステップS4)。
【0060】
図8は、実施形態に係る受信装置がCMの提示を完了した際の処理動作例を示すシーケンスチャートであり、指定のCMが提示部16から全て出力されてCMが終了した場合の例を示す。時点T2、T102、T202、T302,T402は、それぞれ
図6の時点T2、T102、T202、T302,T402からの続きであることを示す。
【0061】
提示メモリ152Bの指定のCMデータが全て出力されCMが終了すると、デコーダ部142Bはアプリケーション制御部171に「処理終了」を通知する(ステップS431のYES、S432)。デコーダ部142Bは、「処理終了」の通知後、内部バッファをクリアするなど処理を終了する(ステップS433)。アプリケーション制御部171が、「CM終了」の通知を受信すると、選択部154に表示レイヤL2を非表示にするL2非表示命令を出力する(ステップS132)。選択部154は、L2非表示命令を受信すると、表示レイヤL2のデータが格納されている提示メモリ152Bのデータを全てクリア(消去)する(ステップS231)。ここで提示メモリ152Bのデータが全てクリアされると、表示レイヤL2の下のL3のデータが提示部16から表示可能となる。
【0062】
アプリケーション制御部171は、ステップS132と同時に、デコーダ部142Aに一時停止解除命令(Resume命令)を出力する(ステップS133)。デコーダ部142Aは、一時停止解除命令を受信すると、一時停止解除を解除し、バッファ141Aの本編データのうち、
図6のステップS322で一時停止したデータの次の本編データから、復号処理を再開する(ステップS331、S332)。選択部154は、表示レイヤL2である提示メモリ152Bにデータがないことから、提示メモリ152Aの表示レイヤL3のデータを提示部16に出力する(ステップS232)。ユーザは、提示部16に出力される本編を一時停止した箇所から視聴する(ステップS5)。
【0063】
以上の手順により、提示部16の出力を本編とCMとの間でシームレスに切り替えることができる。本編データの出力を一時停止させて、CMデータを表示レイヤL2としてL3の上にかぶせるように表示させることで本編からCMへとシームレスに切り替えができる。また、CMの表示が完了すると、表示レイヤL2のデータを提示メモリからクリアし、本編データの出力を再開させることで、CMから本編へとシームレスに切り替えができる。
【0064】
図9は、実施形態に係る受信装置がCMの提示を途中終了した際の処理動作例を示すシーケンスチャートであり、ユーザがCMの出力の途中で「出力をスキップする」といった命令をした場合の例である。時点T2、T102、T202、T302,T402は、それぞれ
図6の時点T2、T102、T202、T302,T402からの続きであることを示す。また時点T3、T103、T203、T302,T403以降の処理は、
図8に示した同一時点以降の処理と同様であることを示す。
【0065】
CMが提示部16から出力されている途中に、ユーザが「出力をスキップする」ことを示すスキップ命令信号をリモコン10から出力する(ステップS6)。アプリケーション制御部171は、スキップ命令を受信すると、デコーダ142Bにスキップ命令を出力する(ステップS141のYES、S142)。デコーダ142Bは、スキップ命令を受信すると、復号処理を終了する(ステップS441のYES、S442)。アプリケーション制御部171は、ステップ142と同時に、選択部154に表示レイヤL2を非表示にするL2非表示命令を出力する(ステップS143)。選択部154は、L2非表示命令を受信すると、表示レイヤL2の出力を停止する。(ステップS241)。ステップS241において表示レイヤL2の出力が停止されると、下位レイヤである表示レイヤL3のデータ(ここでは本編データ)が提示部16へ出力可能となる。なお、ステップS241は、ステップS231のように提示メモリ152Bのデータを全てクリアする方法でもよく、また、逆にステップS231において、ステップS241による方法で代替することでもよい。また、ステップS241において、表示レイヤL2の設定自体を削除することでもよい。以降は
図8のフローと同様である。
【0066】
以上の手順により、CMが再生途中でスキップされる場合にも、提示部16の出力を本編とCMとの間でシームレスに切り替えることができる。CMの表示が途中で止まると、表示レイヤL2のデータの提示部16への出力を停止し、本編データの出力を再開させることで、CMから本編へとシームレスに切り替えができる。なお、本実施形態においては、本編を表示レイヤL3、CMを表示レイヤL2にそれぞれ設定して本編とCMを切り替える例について示したが、表示レイヤを入れ替えて、例えば本編を表示レイヤL2、CMを表示レイヤL3とした場合についても適用可能である。また、表示レイヤL2、L3に割り当てるコンテンツは、本実施形態のように本編とCMの組み合わせだけでなく、本編と本編、またCMとCMなどの組み合わせでもよくコンテンツの内容に制限されない。
【0067】
本実施形態において、アプリケーションデータ処理部14、171、アプリケーション制御部171,提示制御部15(特に選択部154)などの機能を含めて一つのアプリケーションソフトウェアを構成してもよく、上記したシーケンスチャートの処理が一つのアプリケーションソフトウェアとして実行されることでもよい。また同様のアプリケーションの機能が、Webブラウザに含められることでもよい。また各機能をそれぞれ分割した異なるソフトウェア(ファームウェアなども含む)として構成し、更新を容易とすることでもよい。また、ストリーミングデータを生成し、出力する本実施形態によるサーバ装置2と、本実施形態による受信装置1とを組み合わせたシステムを構成してもよい。
【0068】
以上に述べた少なくとも1つの実施形態によれば、異なるコンテンツの表示をシームレスに切替える受信装置、方法およびプログラムを提供することができる。
【0069】
なお、図面に示した解析画面などに表示される条件パラメータやそれらに対する選択肢、値、評価指標などの名称や定義、種類などは、本実施形態において一例として示したものであり、本実施形態に示されるものに限定されるものではない。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。さらにまた、請求項の各構成要素において、構成要素を分割して表現した場合、或いは複数を合わせて表現した場合、或いはこれらを組み合わせて表現した場合であっても本発明の範疇である。また、複数の実施形態を組み合わせてもよく、この組み合わせで構成される実施例も発明の範疇である。
【0071】
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合がある。ブロック図においては、結線されていないブロック間もしくは、結線されていても矢印が示されていない方向に対してもデータや信号のやり取りを行う場合もある。シーケンスチャートに示す処理は、ICチップ、デジタル信号処理プロセッサ(Digital Signal ProcessorまたはDSP)などのハードウェアもしくはマイクロコンピュータを含めたコンピュータなどで動作させるソフトウェア(プログラムなど)またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現してもよい。また請求項を制御ロジックとして表現した場合、コンピュータを実行させるインストラクションを含むプログラムとして表現した場合、及び前記インストラクションを記載したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として表現した場合でも本発明の装置を適用したものである。また、使用している名称や用語についても限定されるものではなく、他の表現であっても実質的に同一内容、同趣旨であれば、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1…受信装置、2…サーバ装置、3…ネットワーク、10…リモコン、11…放送信号受信処理部、12…ネットワークデータ処理部、13…通信部、14…アプリケーションデータ処理部、15…提示制御部、16…提示部、17…制御部、18…インターフェース部、21…通信部、22…制御部、23…本編データ生成部、24…CMデータ生成部、25…コンテンツ制御情報生成部、26…ストリーミングデータ生成部、141A…バッファ、142A…デコード部、151、152A、153…提示メモリ、154…選択部、155…出力部、171…アプリケーション制御部、181…リモコンI/F、182…周辺機器I/F。