(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】地震計システム情報抑制方法
(51)【国際特許分類】
G01V 1/01 20240101AFI20240722BHJP
【FI】
G01V1/01 100
(21)【出願番号】P 2021083742
(22)【出願日】2021-05-18
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 新二
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-034517(JP,A)
【文献】特開2011-095837(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049528(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0296069(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震動を検出するセンサを有するセンサブロックと、
複数の情報処理基板を有し、演算を行う演算ブロックと、
複数の情報処理基板を有し、通信を行う通信ブロックとを備え、
前記演算ブロック及び通信ブロックの情報処理基板が多重化されている地震計の運転方法であって、
前記通信ブロックが受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って出力することを特徴とする地震計の運転方法。
【請求項2】
前記演算ブロックの情報処理基板は、2つであって並列に配置されており、前記通信ブロックの情報処理基板は、2つであって並列に配置されており、前記演算ブロックの情報処理基板の一方及び他方が送信した電文は、それぞれ、前記通信ブロックの情報処理基板の両方によって受信される請求項1に記載の地震計の運転方法。
【請求項3】
前記通信ブロックの情報処理基板は、通信回線に接続され、それぞれが、該通信回線を経由して電文の受信及び送信を行う請求項1又は2に記載の地震計の運転方法。
【請求項4】
前記通信ブロックの情報処理基板は、前記通信回線を経由し、他の地震計又は中継サーバと電文の受信及び送信を行う請求項3に記載の地震計の運転方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、地震計の情報授受方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道においては、地震発生時の列車運転規制や施設点検などの実施判断を行うため、沿線には一定間隔で地震計が設置され、各地震計の受け持ち区間が設定されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の技術では、各地震計の演算処理部において、地震動の観測を行うとともに、中継サーバと通信を行っている。そのため、演算処理部において情報の伝送ルートが多重化された場合、データ通信量が増大してデータ通信に支障が発生し、列車の安全に大きな影響を与える可能性がある。
【0005】
ここでは、前記従来の技術の問題点を解決して、データ通信量を抑制してデータ通信の信頼性を高め、安全性の高い地震計の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、地震計の運転方法においては、地震動を検出するセンサを有するセンサブロックと、複数の情報処理基板を有し、演算を行う演算ブロックと、複数の情報処理基板を有し、通信を行う通信ブロックとを備え、前記演算ブロック及び通信ブロックの情報処理基板が多重化されている地震計の運転方法であって、前記通信ブロックが受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って出力する。
【0007】
他の地震計の運転方法においては、さらに、前記演算ブロックの情報処理基板は、2つであって並列に配置されており、前記通信ブロックの情報処理基板は、2つであって並列に配置されており、前記演算ブロックの情報処理基板の一方及び他方が送信した電文は、それぞれ、前記通信ブロックの情報処理基板の両方によって受信される。
【0008】
更に他の地震計の運転方法においては、さらに、前記通信ブロックの情報処理基板は、通信回線に接続され、それぞれが、該通信回線を経由して電文の受信及び送信を行う。
【0009】
更に他の地震計の運転方法においては、さらに、前記通信ブロックの情報処理基板は、前記通信回線を経由し、他の地震計又は中継サーバと電文の受信及び送信を行う。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、データ通信量を抑制してデータ通信の信頼性を高め、安全性を向上させることが可能な地震計の運転方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態における地震計が含まれる早期地震防災システムの概念図である。
【
図2】本実施の形態における地震計の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態における地震計が有するFS基板の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施の形態における地震計の冗長化構成によって電文が増加する状態を説明する図である。
【
図5】本実施の形態における地震計と中継サーバとの組み合わせのモデルを示す概念図である。
【
図6】本実施の形態における地震計のモデルを示す概念図である。
【
図7】本実施の形態における地震計及び中継サーバの電文抑制機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は本実施の形態における地震計が含まれる早期地震防災システムの概念図、
図2は本実施の形態における地震計の構成を示すブロック図、
図3は本実施の形態における地震計が有するFS基板の構成を示すブロック図、
図4は本実施の形態における地震計の冗長化構成によって電文が増加する状態を説明する図である。
【0014】
図1には、新幹線等で使用されている早期地震防災システムの概念が示され、該早期地震防災システムは、地震を観測する地震計10を含む地震計層と、前記地震計10のデータを集約して記録保存するとともに、観測された地震の情報を他の地震計10に配信する中継サーバ20を含むサーバ層と、地震の発生状況、並びに、地震計10及び中継サーバ20の動作状況を一元表示する監視端末30を含む監視層とから成っている。
【0015】
前記早期地震防災システムにおいて、大きな地震が発生した場合、多くの地震計10が地震の観測情報を中継サーバ20に送信するので、
図2に示されるような通信回線21で輻輳が発生してしまう。通信回線21で輻輳が発生すると、情報伝達に要する時間が長くなり、安全性に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【0016】
そこで、本実施の形態における地震計10及び中継サーバ20は、電文抑制機能を有し、地震計10と中継サーバ20等との通信でのデータ通信量を抑制し、輻輳の発生を防止するようになっている。
【0017】
本実施の形態における地震計10は、
図2に示されるように、センサ15を有するセンサブロック11、演算を行う演算ブロック12、通信を行う通信ブロック13及び制御系17を有する制御ブロック14の4つのブロックに分割されている。そして、各ブロックに障害が発生しても、他のブロックの動作には影響がないようになっている。
【0018】
前記センサブロック11は、地震動を検出するセンサ15を有する。また、前記演算ブロック12は、前記センサ15の出力信号を受信するFS基板16を有し、P波検知、S波検知、地震量演算、自局(地震計10)のM-Δ判定等を行う。なお、M-Δ判定は、初期微動の振幅増加の傾向(M)から震央までの距離(Δ)を求める判定である。
【0019】
また、前記FS基板16は、
図3に示されるような構成を有するコンピュータ基板の一種であり、信頼性向上のために、CPUを含む2つのコンピュータ(コンピュータA及びB)の演算結果をバス照合し、演算結果が一致したことを確認して出力し、演算結果が不一致であれば、直ちに処理を停止するようなフェールセーフ機能を有する基板である(例えば、特許文献2参照。)。なお、前記演算ブロック12が有するFS基板16は、単数であっても複数であってもよいが、本実施の形態においては、
図2に示されるように、2つが並列に配置されているものとする。
【文献】特開2011-095837号公報
【0020】
さらに、前記通信ブロック13は、前記演算ブロック12のFS基板16の出力信号を受信するFS基板16と、通信インターフェイス18とを有し、電文作成、他局(他の地震計10)のM-Δ判定、隣接制御等を行う。なお、前記通信インターフェイス18は、通信回線21を経由して前記中継サーバ20と通信可能に接続されている。また、該中継サーバ20は、他の地震計10と通信可能に接続されているとともに、気象庁の緊急地震速報や防災科学技術研究所(防災科研)のK-NET観測データなどの外部情報源22と通信可能に接続されている。なお、前記通信ブロック13が有するFS基板16は、単数であっても複数であってもよいが、本実施の形態においては、
図2に示されるように、2つが並列に配置されているものとする。
【0021】
さらに、前記制御ブロック14は、前記演算ブロック12及び通信ブロック13のFS基板16の出力信号を受信するコンピュータシステムである制御系17を有し、24〔V〕出力、BCD(Binary-coded-decimal)出力、故障信号出力等を行う。
【0022】
なお、
図2に示される例において、矢印は情報伝送ルートを示している。そして、センサ15から、演算ブロック12への情報伝送ルートは2本に分岐し、演算ブロック12の各FS基板16から通信ブロック13のFS基板16及び制御ブロック14の制御系17への情報伝送ルートは、それぞれ、3本に分岐し、通信ブロック13の各FS基板16から通信インターフェイス18及び制御ブロック14の制御系17への情報伝送ルートは、それぞれ、2本に分岐し、通信インターフェイス18から通信ブロック13のFS基板16への情報伝送ルートは、2本に分岐している。このように、本実施の形態においては、情報伝送ルートが2重又は3重にされた構成が採用されている。
【0023】
地震計10の情報処理部である演算ブロック12及び通信ブロック13の信頼性を向上させる方法の1つが情報処理基板であるFS基板16の多重化であり、多重化されたFS基板16を備える構成を、ここでは冗長化構成と言う。なお、説明の都合上、演算ブロック12のFS基板16と通信ブロック13のFS基板16とを識別する場合には、前者をFS基板16Aと称し、後者をFS基板16Bと称することとする。
【0024】
図4に示されるように、コンピュータ間で送受信されるひとまとまりのデータである電文がFS基板16AからFS基板16Bに送信される。本実施の形態における地震計10では、演算ブロック12及び通信ブロック13において、FS基板16A及びFS基板16Bがそれぞれ2つずつ並列に配置されているので、生成される電文の数は、
図4に示されるように、FS基板16の故障状態によって、1~4倍になる。
【0025】
このように、本実施の形態においては、冗長化構成が採用されているので、同じ内容の電文が複数、通信ブロック13から、通信回線21を経由して、中継サーバ20や他の地震計10に送信される。前記通信回線21の負荷を軽減して輻輳が発生することを防止するとともに、中継サーバ20や他の地震計10における電文処理負担を軽減するために、同じ内容の電文が地震計10及び中継サーバ20等から送信されないようにする必要がある。
【0026】
そこで、本実施の形態における地震計10は、電文抑制機能を有し、電文を受け取った場合、電文の内容に応じて処理を行い、処理結果を通信回線21に出力するようになっているが、受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って出力する機能を有するようになっている。具体的には、前記通信ブロック13が、受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って出力する機能である電文抑制機能を有する。また、本実施の形態における中継サーバ20も、電文抑制機能を有し、電文を受け取った場合、そのまま他の地震計10に転送するようになっているが、受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って転送する機能を有するようになっている。
【0027】
次に、本実施の形態における地震計10のモデルについて説明する。
【0028】
図5は本実施の形態における地震計と中継サーバとの組み合わせのモデルを示す概念図、
図6は本実施の形態における地震計のモデルを示す概念図、
図7は本実施の形態における地震計及び中継サーバの電文抑制機能を説明する図である。なお、
図6において、(a)は従来の地震計であって電文抑制機能を有していない地震計を示す図、(b)は本実施の形態の地震計であるが比較のために電文抑制機能を有していない地震計を示す図、(c)は本実施の形態の地震計を示す図である。
【0029】
ここでは、地震計10と中継サーバ20とが、
図5に示されるモデルのように組み合わされている場合について説明する。
図5に示されるモデルにおいて、地震計10は、海岸に設置された海岸地震計、及び、鉄道の沿線に設置された沿線地震計の2種類があるものとする。さらに、沿線地震計には、制御出力機能を有する既設タイプである沿線既設地震計と、制御出力機能を有していない増設タイプである沿線増設地震計とがある。ここでは、海岸地震計を海岸10Aと称し、沿線増設地震計を沿線増設10Bと称し、沿線既設地震計を沿線既設10Cと称することとする。また、中継サーバ20をサ20と称し、通信回線21は、通信機器とともに21として表されるものとする。
【0030】
一般的に、最も長い情報伝送ルートは、海岸10Aから、2台のサ20を経由して沿線増設10Bに至り、さらに、該沿線増設10Bから、2台のサ20を経由して沿線既設10Cに到達するルートである。なぜなら、沿線既設10Cはそれ自身で列車停止措置を実施することができるが、沿線増設10Bはそれ自身で列車停止措置を実施することができないので、隣接する沿線既設10Cに列車停止信号を送信することによって、列車停止を実現することができるからである。この場合、海岸10Aと沿線増設10Bとの間や、沿線増設10Bと沿線既設10Cとの間で直接データ通信を行うのではなく、サ20を介して、データ通信を行うようになっている。
【0031】
図6(a)に示されるような従来の地震計10-1においては、そもそも、
図3に示されるようなFS基板16が採用されておらず、しかも、冗長化構成も採用されていないので、演算ブロック12のコンピュータ基板19Aも、通信ブロック13のコンピュータ基板19Bも、1つずつである。したがって、図において「IN」と表示されているように、外部から1つの電文を受信した場合、演算ブロック12のコンピュータ基板19Aにおいても、通信ブロック13のコンピュータ基板19Bにおいても、電文の数は1のままである。そして、図において「OUT」と表示されているように、電文を外部に送信する場合も、電文の数は1のままである。つまり、従来の地震計10-1においては、外部から1つの電文を受信して処理を行った結果として、外部に送信する電文の数は1のままである。
【0032】
図6(b)に示されるような本実施の地震計10から電文抑制機能を除去した地震計10-2においては、
図3に示されるようなFS基板16が採用され、かつ、冗長化構成も採用されているので、演算ブロック12のFS基板16A、及び、通信ブロック13のFS基板16Bは、それぞれ2つずつ並列に配置されている。そのため、図において「IN」と表示されているように、外部から1つの電文を受信した場合、通信ブロック13の2つのFS基板16Bにおいて、電文の数は2倍の2になり、続く、演算ブロック12の2つのFS基板16Aにおいて、電文の数はその2倍の4になる。そして、図において「OUT」と表示されているように、電文を外部に送信する場合、電文の数は4のままである。つまり、本実施の地震計10から電文抑制機能を除去した地震計10-2においては、外部から1つの電文を受信して処理を行った結果として、外部に送信する電文の数は4倍の4になる。
【0033】
図6(c)においては、
図6(b)に示されるような地震計10-2と識別するために、電文抑制機能を有する本実施の地震計10を地震計10-3として表している。該地震計10-3においては、
図3に示されるようなFS基板16が採用され、かつ、冗長化構成も採用されているので、演算ブロック12のFS基板16A、及び、通信ブロック13のFS基板16Bは、それぞれ2つずつ並列に配置されている。また、他局(他の地震計10)からの情報に基づいて警報を判定するのは、通信ブロック13である。該通信ブロック13は、電文抑制機能を有する。電文抑制機能は、前述のように、受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って出力する機能である。したがって、図において「IN」と表示されているように、外部から1つの電文を受信した場合、図において「OUT」と表示されているように、外部には2つの電文を送信する。通信ブロック13のFS基板16Bが2つなので、外部に1つの電文だけを送信することは、不可能である。
【0034】
図7には、地震計10と中継サーバ20との間で、電文が増加する様子が示されている。
図7において、(1)のコラム(縦列)は、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cが、いずれも、
図6(a)に示されるような従来の地震計10-1であり、かつ、サ20が電文抑制機能を有していない中継サーバ20である場合を示している。また、(2)のコラム(縦列)は、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cが、いずれも、
図6(b)に示されるような本実施の地震計10から電文抑制機能を除去した地震計10-2であり、かつ、サ20が電文抑制機能を有していない中継サーバ20である場合を示している。さらに、(3)のコラム(縦列)は、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cが、いずれも、
図6(b)に示されるような本実施の地震計10から電文抑制機能を除去した地震計10-2であり、かつ、サ20が電文抑制機能を有している中継サーバ20である場合を示している。さらに、(4)のコラム(縦列)は、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cが、いずれも、
図6(c)に示されるような地震計10-3、すなわち、電文抑制機能を有する本実施の地震計10であり、かつ、サ20が電文抑制機能を有していない中継サーバ20である場合を示している。さらに、(5)のコラム(縦列)は、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cが、いずれも、
図6(c)に示されるような地震計10-3、すなわち、電文抑制機能を有する本実施の地震計10であり、かつ、サ20が電文抑制機能を有している中継サーバ20である場合を示している。
【0035】
図7のコラム(1)から明らかなように、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cとして従来の地震計10-1を使用し、かつ、サ20として電文抑制機能を有していない中継サーバ20を使用した場合、海岸10Aから送信された1つの電文は、2台のサ20、沿線増設10B及び2台のサ20を経由して沿線既設10Cに到達し、該沿線既設10Cによって警報が判定された後、最終的に2台のサ20に到達すると、1024の電文になる。すなわち、約1000倍の電文増加となる。
【0036】
また、
図7のコラム(2)から明らかなように、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cとして本実施の地震計10から電文抑制機能を除去した地震計10-2を使用し、かつ、サ20として電文抑制機能を有していない中継サーバ20を使用した場合、海岸10Aから送信された1つの電文は、沿線既設10Cによって警報が判定された後、最終的に2台のサ20に到達すると、65536の電文になる。すなわち、約65000倍の電文増加となる。
【0037】
これに対し、
図7のコラム(4)及び(5)から明らかなように、海岸10A、沿線増設10B及び沿線既設10Cとして地震計10-3、すなわち、電文抑制機能を有する本実施の地震計10を使用した場合には、海岸10Aから送信された1つの電文は、沿線既設10Cによって警報が判定された後、最終的に2台のサ20に到達しても、8の電文になるだけである。すなわち、
図7のコラム(1)及び(2)の場合と比較し、電文増加倍率が桁違いに小さいことが分かる。このように、電文抑制機能を有する本実施の地震計10を使用した場合には、電文増加倍率が小さく、データ通信量が抑制されるので、通信回線21で輻輳が発生することがない。したがって、データ通信の信頼性が高まり、安全性が向上する。
【0038】
このように、本実施の形態によれば、地震動を検出するセンサ15を有するセンサブロック11と、複数のFS基板16を有し、演算を行う演算ブロック12と、複数のFS基板16を有し、通信を行う通信ブロック13とを備え、演算ブロック12及び通信ブロック13のFS基板16が多重化されている地震計10の運転方法では、通信ブロック13が受け取った電文の内容が同じときには、1つの電文として取り扱って出力する。
【0039】
これにより、電文が抑制され、電文増加倍率が小さく、データ通信量が抑制される。したがって、地震計10のデータ通信量を抑制してデータ通信の信頼性を高め、安全性を向上させることができる。
【0040】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示は、地震計の運転方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
10、10-2、10-3 地震計
11 センサブロック
12 演算ブロック
13 通信ブロック
15 センサ
16、16A、16B FS基板
20 中継サーバ
21 通信回線