(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240722BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20240722BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02M3/28 H
H02M7/48 A
(21)【出願番号】P 2021100447
(22)【出願日】2021-06-16
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】足利 亨
(72)【発明者】
【氏名】堀邊 隆介
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-271174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量性負荷を駆動する電源装置であって、
直流電圧を出力する第1電源部と、
前記第1電源部からの直流電圧によって充電される入力コンデンサを備え、ブリッジ接続されたスイッチング素子のオンオフ動作によって前記入力コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換して前記容量性負荷に供給し、前記交流電圧の下降時に前記容量性負荷に充電された電荷を前記入力コンデンサに回生する共振型の第2電源部と、を備え、
前記第1電源部は、前記第2電源部よりも小さな電流容量で構成されていると共に、
前記第1電源部が過電流保護を開始する過電流閾値は、前記第2電源部が過電流保護を開始する過電流閾値よりも低い値に設定されていることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2電源部から前記第1電源部への電荷の逆流を防止する逆流防止ダイオードを備えていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性負荷を駆動する電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、誘電エラストマアクチュエータは、自由な形態を持たせたアクチュエータとしてハプティクス等の様々な分野での開発が行われている。誘電エラストマアクチュエータは、製作コストが安く、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する効率が良いアクチュエータである。
【0003】
誘電エラストマアクチュエータは、コンデンサ構造の容量性負荷であり、印加電圧に応じた変位が発生するものである。従って、発生させたい変位に応じた電圧を印加する必要がある。すなわち、容量性負荷の駆動には、電圧を任意に制御でき、且つ正負の電流を流すことのできる電源装置が必要となる。このような条件を満たすものとして、出力段がブリッジ構成の電源装置である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、出力段がブリッジ構成の電源装置は、大電力電源(例えば、特許文献1の電源装置は、誘導加熱、誘電加熱及びプラズマ励起により、材料の処理をする無線周波数帯域を想定している)として採用されることが多く、そのままでは、誘電エラストマアクチュエータの駆動に適していない。すなわち、誘電エラストマアクチュエータは、ハプティクス分野等で人体に触れる装置、商品をつかむ装置等の用途に用いられることが想定されている。従って、誘電エラストマアクチュエータを駆動する電源装置には、安全性が重要視される。
【0006】
本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電圧を任意に制御でき、且つ正負の電流を流すことのできる安全性の高い電源装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電源装置は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
本発明に係る電源装置は、容量性負荷を駆動する電源装置であって、直流電圧を出力する第1電源部と、前記第1電源部からの直流電圧によって充電される入力コンデンサを備え、ブリッジ接続されたスイッチング素子のオンオフ動作によって前記入力コンデンサの直流電圧を交流電圧に変換して前記容量性負荷に供給し、前記交流電圧の下降時に前記容量性負荷に充電された電荷を前記入力コンデンサに回生する共振型の第2電源部と、を備え、前記第1電源部は、前記第2電源部よりも小さな電流容量で構成されていると共に、前記第1電源部が過電流保護を開始する過電流閾値は、前記第2電源部が過電流保護を開始する過電流閾値よりも低い値に設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電源装置は、容量性負荷が短絡故障した場合や第2電源部が故障しても、容量性負荷に流れる負荷電流は自動的に小さな値に抑制され、安全性が確保されるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る電源装置の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す第1電流制御部及び第2電流制御部による過電流保護特性を示す図である。
【
図3】
図1に示す第2電源部による正弦波出力時の波形図である。
【
図4】
図1に示す第2電源部による正弦波出力時の波形図である。
【
図5】
図1に示すHi側スイッチング素子及びLow側スイッチング素子のオンオフ状態と、容量性負荷を充放電する電流経路を示す図である。
【
図6】
図1に示す第2電源部による正弦波出力時の波形図である。
【
図7】
図1に示す容量性負荷が短絡故障時の等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
本実施の形態の電源装置1は、
図1を参照すると、第1電源部2と、第2電源部3とを備え、容量性負荷CLに正または負の片電圧で、かつ任意電圧(直流、正弦波、矩形波など)を印加する。
【0012】
第1電源部2は、直流電源Eから入力端子Tin1に入力される入力電圧Vinを直流の出力電圧Vout1に変換して出力端子Tout1から第2電源部3に供給するDC-DCコンバータである。なお、
図1に示す第1電源部2は、フライバック式のスイッチング電源で構成した例が示されているが、フォワード方等の他の方式であっても良い。
【0013】
第1電源部2は、トランス21と、スイッチング素子22と、出力整流平滑回路23と、第1電圧制御回路24と、第1電流制御回路25と、ドライバ26とを備えている。
【0014】
トランス21は、1次巻線と、2次巻線とを備え、1次巻線の極性と、2次巻線の極性とは、逆に設定されている。トランス21の1次巻線は、直流電源Eの正極端子とスイッチング素子22との間に接続されている。これにより、直流電源Eが入力電圧Vinとしてトランス21の1次巻線に印加される。
【0015】
スイッチング素子22は、例えば、N型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。スイッチング素子22は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やBJT(バイポーラートランジスター)であっても良い。スイッチング素子22のドレインは、トランス21の1次巻線に接続されていると共に、スイッチング素子22のソースは、接地端子に接続されている。これにより、入力電圧Vinは、トランス21の1次巻線を介して接続されたスイッチング素子22のオンオフ動作により、オフ期間にトランス21の2次巻線に出力される。
【0016】
出力整流平滑回路23は、整流ダイオードD1と、出力コンデンサCoutとを備え、トランス21の2次巻線の両端子間に、整流ダイオードD1を介して出力コンデンサCoutが接続されている。これにより、トランス21の2次巻線に誘起される交流電圧は、出力整流平滑回路23により整流平滑され、直流の出力電圧Vout1として抵抗R1と逆流防止ダイオード4とを介して第2電源部3に供給される。
【0017】
抵抗R1は、第1電源部2から出力される出力電流Iout1(第2電源部3への入力電流)を検出する電流検出抵抗であり、両端電圧が第1電流制御回路25に入力される。なお、抵抗R1は、Low(ローサイド)側に設けても良い。
【0018】
逆流防止ダイオード4は、第2電源部3から第1電源部2への電荷の逆流を防止するためのダイオードであり、アノードが第2電源部3の出力端子Tout2に、カソードが第1電源部2の入力端子Tin2に接続されている。
【0019】
第1電圧制御回路24は、スイッチング素子22をオンオフ制御する制御信号を生成する回路であり、制御信号によって出力電圧Vout1を所望の一定電圧に制御する。第1電圧制御回路24によって生成された制御信号は、ドライバ26を介してスイッチング素子22のゲートに入力され、制御信号に基づいてスイッチング素子22がオンオフ動作する。
【0020】
第1電流制御回路25は、抵抗R1の両端電圧によって出力電流Iout1を監視し、出力電流Iout1が上昇して過電流閾値I_oc1に到達すると、ドライバ26を介してスイッチング素子22のオンオフを制御して第2電源部3に供給する電力を制限する過電流保護(OCP)機能を有している。
【0021】
なお、第1電流制御回路25による過電流保護特性には、特に制限はなく、
図2(a)に実線で示す垂下特性であっても良く、
図2(a)に点線で示すフの字特性や
図2(a)に一点鎖線で示すヘの字特性であっても良い。
【0022】
第2電源部3は、第1電源部2の出力電圧Vout1を任意(正弦波、矩形波、三角波、直流等)の出力電圧Vout2に変換して容量性負荷CLに供給する出力段がブリッジ構成の共振型DC-ACコンバータである。なお、
図1に示す第2電源部3は、ハーフブリッジ回路で構成した例が示されているが、フルブリッジ回路であっても良い。
【0023】
第2電源部3は、入力コンデンサCinと、Hi(ハイサイド)側スイッチング素子31と、Low(ローサイド)側スイッチング素子32と、リアクトルL1と、第2電圧制御回路33と、第2電流制御回路34と、Hi/Low(ハイサイド/ローサイド)ドライバ35とを備えている。
【0024】
入力コンデンサCinは、例えば、電解コンデンサで構成され、第1電源部2からの出力電圧Vout1が入力される入力端子Tin2(逆流防止ダイオード4のカソード)に正極側端子が接続されていると共に、負極側端子が接地端子に接続されている。なお、入力コンデンサCinの静電容量は、容量性負荷CLの静電容量に対して、十分に大きい値が好ましい。
【0025】
Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32は、例えば、N型MOSFETで構成される。Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やBJT(バイポーラートランジスター)であっても良い。入力コンデンサCinの正極端子と接地端子との間には、Hi側スイッチング素子31とLow側スイッチング素子32との直列回路(ハーフブリッジ回路)が接続されている。Hi側スイッチング素子31のドレインは、入力コンデンサCinの正極端子に接続されていると共に、Hi側スイッチング素子31のソースは、Low側スイッチング素子32のドレインに接続され、Low側スイッチング素子32のソースは、接地端子に接続されている。
【0026】
Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32のドレイン―ソース間には、ダイオードDH、DLがそれぞれ接続されている。ダイオードDH、DLは、カソードがドレインに、アノードがソースにそれぞれ接続されている。なお、本実施の形態のように、Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32は、例えば、N型MOSFETで構成した場合、ダイオードDH、DLは、Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32の寄生ダイオードとすることができる。
【0027】
Hi側スイッチング素子31とLow側スイッチング素子32との接続点Xは、リアクトルL1と抵抗R2とを介して出力端子Tout2に接続されている。そして、出力端子Tout2と接地端子との間に容量性負荷CLが接続される。
【0028】
抵抗R2は、第2電源部3から出力される出力電流Iout2を検出する電流検出抵抗であり、両端電圧が第2電流制御回路34に入力される。なお、抵抗R2は、Low側に設けても良い。
【0029】
第2電圧制御回路33は、Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32をオンオフ制御する制御信号を生成する回路であり、制御信号によって出力電圧Vout2を任意の電圧に制御する。第2電圧制御回路33によって生成された制御信号は、Hi/Lowドライバ35を介してHi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32のゲートに入力され、制御信号に基づいてHi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32がオンオフ動作する。
【0030】
第2電流制御回路34は、抵抗R2の両端電圧によって出力電流Iout2を監視し、出力電流Iout2が過電流閾値I_oc2に到達すると、Hi/Lowドライバ35を介してHi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32のオンオフを制御して容量性負荷CLに供給する電力を制限する過電流保護(OCP)機能を有している。
【0031】
第1電流制御回路25が過電流保護を開始する過電流閾値I_oc1は、
図2に示すように、第2電流制御回路34が過電流保護を開始する過電流閾値I_oc2よりも低い値に設定されている。
【0032】
なお、第2電流制御回路34による過電流保護の特性には、特に制限はなく、
図2(b)に実線で示す垂下特性であっても良く、
図2(b)に点線で示すフの字特性や
図2(b)に一点鎖線で示すヘの字特性であっても良い。
【0033】
第2電源部3では、リアクトルL1、入力コンデンサCin、容量性負荷CLでLCフィルター回路を構成され、
図3に示すように、Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32を交互にオンオフ動作させ、且つデューティ比を制御することで所望の出力電圧Vout2が出力される。なお、
図3に示す出力電圧Vout2は、正弦波出力時の波形である。
【0034】
Hi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32のオンオフ動作は、
図4及び
図5に示すように、同時オンでの貫通電流を抑制するため、いずれもがオフ状態となるデッドタイム期間(期間T1、T3)を挟んで行われる。
図4は、上から順に、Hi側スイッチング素子31のオンオフ状態、Low側スイッチング素子32のオンオフ状態、Hi側スイッチング素子31のドレイン電流、Low側スイッチング素子32のドレイン電流、リアクトルL1のリアクトル電流を示している。
図5は、
図4に示す期間T1~T4bにおけるHi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32のオンオフ状態と、容量性負荷CLを充放電する電流経路を示している。
【0035】
第2電源部3では、
図4及び
図5に示す期間T1、T2aにおいて、容量性負荷CLの電圧を下げたい場合(電圧下降時)、容量性負荷CLに充電されている電荷が引き抜かれ、引き抜いた電荷が回生電流Ireとして入力コンデンサCinに回生される。すなわち、第2電源部3は、不必要な電荷を再利用できる。
【0036】
なお、本実施の形態の電源装置1では、逆流防止ダイオード4によって、第2電源部3から第1電源部2への電荷の逆流を防止している。従って、回生電流Ireの回生エネルギーによる第1電源部2の出力電圧Vout1の上昇が防止される。これにより、出力電圧Vout1の上昇に伴って第1電源部2のスイッチング動作が停止されることがないため、ダイナミックレギュレーションが改善する。
【0037】
第2電源部3への入力電流、すなわち第1電源部2の出力電流Iout1と、第2電源部3の出力電流Iout2と、回生電流Ireの関係は、
Iout1=Iout2-Ire (式1)
で表される。
【0038】
容量性負荷CLの場合、仮に回路に損失が無いとすれば、容量性負荷CLに充電された電荷はすべて回生されて入力コンデンサCinに戻るので、入力コンデンサCinと容量性負荷CLでは損失のない電荷のやりとりができる。この場合、第1電源部2に求められる電流供給能力は、最初に第2電源部3の入力コンデンサCinに充電することだけになり、それ以降は第1電源部2の出力電流Iout1がゼロになる。
【0039】
実際には、回路の抵抗成分や容量性負荷CLでのエネルギー消費があるため、出力電流Iout2>回生電流Ireとなるため、入力コンデンサCinに充電した後も電流を供給する必要がある。しかし、回生電流Ireによって容量性負荷CLに充電された電荷が再利用されるため、
図6に示すように、容量性負荷CLに供給する出力電流Iout2に対して、第1電源部2の出力電流Iout1は、小さな電流で済む。なお、
図6は正弦波出力時の波形であり、(a)は第2電源部3の出力電圧Vout2、(b)は第2電源部3の出力電流Iout2、(c)は第2電源部3の入力電流(第1電源部2の出力電流Iout1)をそれぞれ示す。
【0040】
従って、第1電源部2は、第2電源部3よりも小さな電流容量で構成することができる。そして、第1電源部2は、第2電源部3よりも小さな電流容量で良いため、上述したように、第1電源部2が過電流保護を開始する過電流閾値I_oc1は、第2電源部3が過電流保護を開始する過電流閾値I_oc2よりも低い値に設定されている。これにより、容量性負荷CLが短絡故障時や第2電源部3の故障時にも安全性が確保される。
【0041】
図7は、容量性負荷CLが短絡故障時の等価回路であり、容量性負荷CLに抵抗成分RLが並列に接続されている。正常時は抵抗成分RLが無視できるくらい大きな値であったものが、短絡故障時は無視できない小ささになる。そして、抵抗成分RL=0Ωが、完全な短絡故障状態である。
【0042】
容量性負荷CLの短絡故障時には、回生されるべき電荷の一部が抵抗成分RLで消費されてしまい、回生電流Ireが減る。そして、抵抗成分RLが小さくなるほど、出力電流Iout2に対しての回生電流Ireの比率が小さくなる。従って、上述の(式1)で考えると、第2電源部3への入力電流、すなわち第1電源部2の出力電流Iout1と、第2電源部3の出力電流Iout2とがほぼ等しくなる。
【0043】
ここで、第1電源部2は、第2電源部3よりも小さな電流容量で構成され、第1電源部2の過電流閾値I_oc1は、第2電源部3の過電流閾値I_oc2よりも低い値に設定されている。従って、第1電源部2の出力電流Iout1は、第1電源部2の出力電流Iout1に制限され、容量性負荷CLが短絡故障した場合や第2電源部3が故障しても、容量性負荷CLに流れる負荷電流は自動的にI_oc1近傍の小さな値に抑制され、安全性が確保される。
【0044】
以上説明したように、本実施の形態は、容量性負荷CLを駆動する電源装置1であって、出力電圧Vout1(直流電圧)を出力する第1電源部2と、第1電源部2からの直流電圧によって充電される入力コンデンサCinを備え、ブリッジ接続されたHi側スイッチング素子31及びLow側スイッチング素子32のオンオフ動作によって入力コンデンサCinの直流電圧を交流電圧に変換して容量性負荷CLに供給し、交流電圧の下降時に容量性負荷CLに充電された電荷を回生電流Ireとして入力コンデンサCinに回生する共振型の第2電源部3と、を備え、第1電源部2は、第2電源部3よりも小さな電流容量で構成されていると共に、第1電源部2が過電流保護を開始する過電流閾値I_oc1は、第2電源部3が過電流保護を開始する過電流閾値I_oc2よりも低い値に設定されている。
この構成により、容量性負荷CLが短絡故障した場合や第2電源部3が故障しても、容量性負荷CLに流れる負荷電流は自動的にI_oc1近傍の小さな値に抑制され、安全性が確保され、電圧を任意に制御でき、且つ正負の電流を流すことのできる安全性の高い電源装置を提供できる。
また、容量性負荷CLが短絡故障してIout2が所定電流Ith以上流れたことをラッチ検出して第1電源部2のスイッチング素子22をオフすることで、さらに安全性を高めることができる。
また、容量性負荷CLが短絡故障してIout2が所定電流Ith以上流れたことをラッチ検出して第2電源部3のHi(ハイサイド)側スイッチング素子31をオフして、Low(ローサイド)側スイッチング素子32をオンすることで、さらに安全性を高めることができる。
【0045】
さらに、本実施形態において、第2電源部3から第1電源部2への電荷の逆流を防止する逆流防止ダイオード4を備えている。
この構成により、出力電圧Vout1の上昇に伴って第1電源部2のスイッチング動作が停止されることがないため、ダイナミックレギュレーションが改善する。
【0046】
なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。なお、同一構成要素には、各図において、同一符号を付している。
【符号の説明】
【0047】
1 電源装置
2 第1電源部
3 第2電源部
4 逆流防止ダイオード
21 トランス
22 スイッチング素子
23 出力整流平滑回路
24 第1電圧制御回路
25 第1電流制御回路
26 ドライバ
31 Hi側スイッチング素子
32 Low側スイッチング素子
33 第2電圧制御回路
34 第2電流制御回路
35 Hi/Lowドライバ
CL 容量性負荷
Cin 入力コンデンサ
Cout 出力コンデンサ
D1 :整流ダイオード
DH、DL ダイオード
E 直流電源
L1 リアクトル
R1、R2 抵抗