(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】データ処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20240722BHJP
G05B 23/02 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 301Y
(21)【出願番号】P 2021134073
(22)【出願日】2021-08-19
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 航
(72)【発明者】
【氏名】伊東 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 純平
(72)【発明者】
【氏名】川内 敬介
(72)【発明者】
【氏名】小野 利幸
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113027(JP,A)
【文献】特許第5014500(JP,B1)
【文献】特開2012-038012(JP,A)
【文献】特開2009-021348(JP,A)
【文献】国際公開第2014/006807(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析の対象となる製品が特定の状態である複数の原因候補の製造条件の推定結果と、前記複数の原因候補の製造条件の間の関係を表す関係データとに基づいて前記推定結果を表示するための可視化データを生成する可視化データ生成部を具備し、
前記関係データは、前記解析のときに記録された前記製品の複数の製造条件である複数の第1製造条件の間の関係である第1関係データと、それぞれの前記第1製造条件と対応していてそれぞれの前記第1製造条件と異なる複数の第2製造条件の間の関係である第2関係データとを含み、
前記可視化データ生成部は、
前記複数の原因候補の製造条件の推定結果を、前記第1関係データに基づいて第1のグループに分割するとともに、前記第2関係データに基づいて第2のグループに分割
し、
前記第1のグループに属する原因候補の製造条件を、代表の原因候補の製造条件と、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが変化していない製造条件のグループである第1の小グループと、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが増加した製造条件のグループである第2の小グループと、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが減少した製造条件のグループである第3の小グループとを含む大グループに分割し、
前記代表の原因候補の製造条件と、前記第1の小グループと、前記第2の小グループと、前記第3の小グループとのそれぞれについて前記可視化データを生成する、
データ処理装置。
【請求項2】
前記可視化データ生成部は、
前記代表の原因候補の製造条件についての表示に対して、前記第1の小グループに属する原因候補の製造条件についての表示と、前記第2の小グループに属する原因候補の製造条件についての表示と、前記第3の小グループに属する原因候補の製造条件についての表示とが省略されるように前記可視化データを生成する、
請求項
1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記可視化データ生成部は、
前記第1の小グループに属する原因候補の製造条件についての表示に対して、前記第2の小グループに属する原因候補の製造条件についての表示又は前記第3の小グループに属する原因候補の製造条件についての表示が強調又は目立たなくなるように前記可視化データを生成する、
請求項
1又は
2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記可視化データ生成部は、前記代表の原因候補の製造条件を、予め決められた製造条件、前記原因候補の製造条件の推定に用いられた指標値の高い製造条件、前記製品の製造の工程順において最も先の製造条件、辞書順で最も先の製造条件、条件数が最大又は最小となる製造条件の何れかに基づいて決定する、
請求項
1乃至
3の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記代表の原因候補の製造条件を、前記第1のグループと前記第2のグループとの間で関係の強さが変化した原因候補の製造条件の数が少なくなるように決定する、
請求項
1乃至
3の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
前記可視化データ生成部は、前記製造条件の間の関係を表す図を含むように前記可視化データを生成する請求項1乃至
5の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記可視化データ生成部は、前記可視化データに基づいて、前記製品が特定の状態である複数の原因候補の製造条件の推定結果を表示装置に表示する請求項1乃至
6の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記製品の個別の計測値を示す個体データから前記製品が特定の状態である度合いを示す状態データを生成する生成部をさらに具備する請求項1乃至
7の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記第1関係データ及び前記第2関係データは、前記製造条件の間の関係の強さを表す指標値である、
請求項1乃至
8の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
前記第1関係データは、前記製造条件が何れの前記第1のグループに属するかを表すデータであり、
前記第2関係データは、前記製造条件が何れの前記第2のグループに属するかを表すデータである、
請求項1乃至
8の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
前記製造条件のデータである製造データに基づいて前記第1関係データ及び前記第2関係データを算出する関係データ算出部をさらに具備する請求項1乃至
10の何れか1項に記載のデータ処理装置。
【請求項12】
前記関係データ算出部は、前記製造データに基づいて前記製造条件を複数のクラスタに分割して前記第1関係データ及び前記第2関係データを生成する請求項
11に記載のデータ処理装置。
【請求項13】
解析の対象となる製品が特定の状態である複数の原因候補の製造条件の推定結果を、前記解析のときに記録された前記製品の複数の製造条件である複数の第1製造条件の間の関係である第1関係データに基づいて第1のグループに分割することと、
前記複数の原因候補の製造条件の推定結果を、それぞれの前記第1製造条件と対応していてそれぞれの前記第1製造条件と異なる複数の第2製造条件の間の関係である第2関係データに基づいて第2のグループに分割することと、
前記第1のグループに属する原因候補の製造条件を、代表の原因候補の製造条件と、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが変化していない製造条件のグループである第1の小グループと、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが増加した製造条件のグループである第2の小グループと、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが減少した製造条件のグループである第3の小グループとを含む大グループに分割することと、
前記代表の原因候補の製造条件と、前記第1の小グループと、前記第2の小グループと、前記第3の小グループとのそれぞれについて前記推定結果を表示するための可視化データを生成することと、
を具備するデータ処理方法。
【請求項14】
解析の対象となる製品が特定の状態である複数の原因候補の製造条件の推定結果を、前記解析のときに記録された前記製品の複数の製造条件である複数の第1製造条件の間の関係である第1関係データに基づいて第1のグループに分割することと、
前記複数の原因候補の製造条件の推定結果を、それぞれの前記第1製造条件と対応していてそれぞれの前記第1製造条件と異なる複数の第2製造条件の間の関係である第2関係データに基づいて第2のグループに分割することと、
前記第1のグループに属する原因候補の製造条件を、代表の原因候補の製造条件と、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが変化していない製造条件のグループである第1の小グループと、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが増加した製造条件のグループである第2の小グループと、前記代表の原因候補の製造条件を含む前記第2のグループに対して関係の強さが減少した製造条件のグループである第3の小グループとを含む大グループに分割することと、
前記代表の原因候補の製造条件と、前記第1の小グループと、前記第2の小グループと、前記第3の小グループとのそれぞれについて前記推定結果を表示するための可視化データを生成することと、
をコンピュータに実行させるためのデータ処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、データ処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、製品が特定の状態になった原因を早期に特定することは重要である。例えば、製品が正常の状態とは異なる異常状態になった場合にその原因を早期に特定することは、歩留まりの維持向上につながる。多くの製造業は、製造の過程で取得される様々なデータを監視することにより、異常の検知と原因の特定とに役立てている。
【0003】
データの内容は、様々である。例えば、製品の製造条件についてのデータは、製造の製造に使用された材料名及び装置名といった内容を含む。また、製品の状態についてのデータは、製造された製品のサイズ、物理的特性、外観の質といった内容を含む。通常、これらのデータは、製品の各個体を識別可能な情報であるID又はシリアル番号等と関連付けられることが多い。
【0004】
製品の個体データの各項目を監視することで、製品又は装置の異常を検知できる可能性がある。例えば、ある期間に製造された製品群の中で、一部の製品の個体データの値が通常の値とは異なる値であった場合、その製品には異常が発生している可能性がある。この場合、製品の異常の原因を探るために製造条件のデータを含む製造データが精査される。例えば、異常のあった製品が特定の装置でのみ製造されていたことが製造データから特定された場合、その装置が異常の原因である可能性がある。
【0005】
製品を完成させるまでに必要な工程及び使用される装置の数が多いほど、監視が必要なデータは増加する。また、近年のIoT(Internet of Things)技術の発達により、製造に関する様々なデータが容易に取得され得る。このため、製造データの項目は、著しく増加している。これにより、人手による製造データの監視は困難である。このような事情から、ユーザによる製造データの監視の支援を行う装置が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態は、ユーザによる製造データの監視の負担を軽減できるデータ処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のデータ処理装置は、可視化データ生成部を備える。可視化データ生成部は、解析の対象となる製品が特定の状態である複数の原因候補の製造条件の推定結果と、複数の原因候補の製造条件の間の関係を表す関係データとに基づいて可視化データを生成する。関係データは、解析のときに記録された複数の第1製造条件の間の関係である第1関係データと、それぞれの第1製造条件と対応していてそれぞれの第1製造条件と異なる複数の第2製造条件の間の関係である第2関係データとを含む。可視化データ生成部は、複数の原因候補の製造条件の推定結果を、第1関係データに基づいて第1のグループに分割するとともに、第2関係データに基づいて第2のグループに分割し、第1のグループに属する原因候補の製造条件を、代表の原因候補の製造条件と、代表の原因候補の製造条件を含む第2のグループに対して関係の強さが変化していない製造条件のグループである第1の小グループと、代表の原因候補の製造条件を含む第2のグループに対して関係の強さが増加した製造条件のグループである第2の小グループと、代表の原因候補の製造条件を含む第2のグループに対して関係の強さが減少した製造条件のグループである第3の小グループとを含む大グループに分割し、代表の原因候補の製造条件と、第1の小グループと、第2の小グループと、第3の小グループとのそれぞれについて可視化データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るデータ処理装置を表すブロック図である。
【
図2】
図2は、データ処理装置の解析処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】
図5は、製造データと状態データとが1つに結合されたデータを示す図である。
【
図9】
図9は、原因候補の製造条件の第1関係データを用いた分割の例を示す図である。
【
図10】
図10は、原因候補の製造条件の第2関係データを用いた分割の例を示す図である。
【
図11】
図11は、大グループGA1と大グループGB1との関係を表すベン図である。
【
図12】
図12は、可視化データ生成処理について示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態における可視化データに基づいて表示される画面の例を示す図である。
【
図14】
図14は、リンク先の表示が選択された場合の画面の表示例を示す図である。
【
図15】製造条件C
4を代表の原因候補の製造条件とした場合に第2関係データを用いた分割において選択される大グループについて示した図である。
【
図16】
図16は、大グループGA1と大グループGB2との関係を表すベン図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態に係るデータ処理装置を表すブロック図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態における解析結果の例を示す図である。
【
図19】
図19は、第3の実施形態における可視化データに基づいて表示される画面の例を示す図である。
【
図20】
図20は、データ処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態を説明する。第1の実施形態に係るデータ処理装置は、製品がある状態になった原因の製品条件の表示態様を、製造条件の間の関係を表す関係データに基づいて制御する。
【0011】
図1は、第1の実施形態に係るデータ処理装置を表すブロック図である。データ処理装置1には、製品の製造データと状態データとが入力される。そして、データ処理装置1は、入力された製造データと状態データとに基づいて、製品がある状態になった原因候補の情報を視覚的に提示するための可視化データを出力する。データ処理装置1は、取得部101と、原因推定部102と、関係データ算出部103と、関係データ記憶部104と、可視化データ生成部105とを有している。
【0012】
取得部101は、製造データと状態データを取得する。製造データは、製品の製造に関わる各種の製造条件のデータである。状態データは、製品がある状態となっている程度を示すデータである。製造データと状態データの詳細については後で詳しく説明する。
【0013】
原因推定部102は、製造データと状態データとに基づいて、製品が状態データで表される特定の状態になった原因候補の製造条件を推定する。特定の状態は、例えば製品の異常の状態である。この場合、原因推定部102は、異常の原因の候補となる製造条件を推定する。
【0014】
関係データ算出部103は、製造データに基づいて、製造条件の間の関係の強さを表す関係データを算出する。第1の実施形態では、関係データは、第1関係データと第2関係データを含む。第1関係データは、製品が特定の状態となった原因の解析時の製造データに基づいて算出される関係データである。原因の解析時の製造データは、例えば製品が特定の状態となった時点で得られた製造データである。一方、第2関係データは、第1関係データの算出に用いられたものとは対応しているが異なる製造データに基づいて算出される関係データである。第1関係データの算出に用いられたものとは対応しているが異なる製造データは、例えば製品の設計用の製造データ、第1関係データの算出に用いられた製造データとは異なる期間に記録された製造データ、製品が特定の状態にないときに記録された製造データ、又は第1関係データの算出に用いられた製造データの平均値、日時の重み付き平均値、中央値といった統計値のデータを含む。
【0015】
関係データ記憶部104は、関係データ算出部103で算出された関係データを記憶する。
【0016】
可視化データ生成部105は、原因推定部102での推定結果の情報と、関係データ記憶部104に記憶された関係データに基づいて、可視化データを生成する。可視化データは、原因候補の製造条件に関する情報をユーザに視覚的に提示するためのデータである。可視化データ生成部105は、可視化データに基づき、データ処理装置1の周辺装置としての表示装置に原因候補に関する情報を表示する際の制御もしてよい。
【0017】
次に、データ処理装置1の動作を説明する。
図2は、データ処理装置1の解析処理を説明するためのフローチャートである。解析処理は、製品が特定の状態になったタイミング、又は毎日、毎時といった予め決められたタイミングで実施され得る。
【0018】
ステップS1において、取得部101は、解析のための製造データ及び状態データを取得する。製造データと状態データは、例えば、周辺装置としてデータ処理装置1に接続されたデータベースから入力される。製造データと状態データとは、CSV(Comma Separated Value)等の決められたフォーマットのファイルで構成されていてよい。
図1では、製造データと状態データとがそれぞれ別個に入力される例が示されている。製造データと状態データとが1つのファイルで構成される等して予め紐づけされている場合には、製造データと状態データとは単一の入力で取得されてもよい。以下、製造データと状態データとについてさらに説明する。
【0019】
まず、製造データについて説明する。
図3は、製造データの一例を示す図である。ここで、
図3の製造データにおける縦方向を列、横方向を行と呼ぶ。この場合、製造データの列方向は、製造条件の項目を表している。また、製造データの行方向は、個々の製品を表している。製造データの個々のセルの値は、製品毎の製造条件の値を表している。
【0020】
製造データは、個々の製品を識別するためのキーのデータと、個々の製品の製造条件の値のデータに関する製造条件データとを含む。
図3の例では、キーのデータは、製造番号である。キーのデータは、製造番号である必要はない。ただし、キーのデータは、製品の一個体を特定できるデータであることが望ましい。このような一個体を特定できるデータは、例えば製品毎のユニークな通し番号及び文字列といったデータである。
【0021】
図3では、製造データは、D個の製品についての製造条件データを含む。D個の製品は、例えば一定の期間中に製造された製品である。例えば、任意の1時間や任意の1日等の期間で製造された製品群に対して、解析を行うことが考えられる。データベースに、各製品の加工及び検査が行われた時刻及び日付等が記録されている場合、取得部101は、それらの時刻及び日付等で指定された期間に含まれる製品についての製造条件データを含む製造データを取得する。また、一定期間又は一定個数の製品単位を表す番号であるロット番号、一定期間又は一定個数の製品単位を表す文字列であるロットIDがデータベースに記録されている場合、取得部101は、指定されたロット番号又はロットIDの製品についての製造条件データを含む製造データを取得してもよい。その他、取得部101は、ユーザによって指定された条件の製品についての製造条件データを含む製造データを取得してもよい。
【0022】
以下の説明のために、製造条件データの項目として用いられる製造条件は、{C
k:k=1…M}という集合で表されることとする。ここで、Mは、製造条件データとして用いられる製造条件の項目数を表している。
図3では、Mは6である。また、以下の説明のためにd番目の製品番号のk番目の製造条件データの値をC
kdと表す。すなわち、{C
kd∈C
k:d=1…D}である。
【0023】
また、製造条件としては、製品に使用された材料名、製品の加工又は組立てに使用された装置名等の情報が用いられ得る。より一般的には、製造条件としては、5M1Eに関する情報が用いられ得る。5M1Eは、Man、Machine、Material、Method、Measurement、Environmentの頭文字を並べた用語で、製造工程の管理のための6つの要因として広く知られている。Manの情報は、加工者名といった情報を含む。Machineの情報は、製品の製造に用いられた装置名、製造ライン名、温度及び圧力等の加工時の装置の状態といった情報を含む。Materialの情報は、製品の製造に用いられた材料のID又は名前、製品を構成する部品のID又は名前といった情報を含む。Methodの情報は、製品の加工方法、加工プログラムの種類といった情報を含む。Measurementの情報は、測定が行われた装置名、測定が行われた製品の測定箇所といった情報を含む。Environmentの情報は、測定が行われた工場の建屋名、測定が行われた際の気温及び湿度といった情報を含む。例えば、
図3のC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6がそれぞれMan、Machine、Material、Method、Measurement、Environmentの情報と対応していてよい。取得部101は、データベースから解析に必要な製造条件を含むように製造条件データを取得する。このとき、取得部101は、解析及び可視化に有用であるとユーザが判断した製造条件を含むように製造条件データを取得してもよい。
【0024】
次に、状態データについて説明する。
図4は、状態データの一例を示す図である。状態データは、例えば、製品が特定の状態である確率を表し、0.0から1.0の実数の値を有するデータである。つまり、製品が特定の状態である確率が高い場合には状態データの値が1.0に近づく。例えば、特定の状態が異常の状態であるとすると、状態データは、製品が異常である確率を表すデータである。状態データは、製品の製品が特定の状態である度合いを表すデータであるとも言える。
【0025】
以下の説明のために、状態データはVと表されることとする。また、d番目の製品番号についての状態データの値はVdと表されてもよい。すなわち、{Vd∈V:d=1…D}である。ここで、例えば製品の状態が複数存在する場合には、状態データは複数存在し得る。例えば、製造現場においては異常の種類(モード)が規定されていることが多い。この場合、モード毎に状態データが用意されることで、モード毎の原因候補の製造条件の推定が行われ得る。
【0026】
状態データの値は、データ処理装置1とは別の装置により設定されてもよい。また、状態データの値は、ユーザによる手動で設定されてもよい。または、状態データは、製品がある状態、例えば異常であるかどうかを決定的に評価した複数の結果を平均化等で統合する手順により設定されてもよい。例えば、製品の外観の状態のように、評価者によって状態の評価にばらつきが想定される場合は、複数の評価結果を統合する方式が好適である。
【0027】
図4に示すように、状態データは、製造データと同じく製品番号をキーのデータとして含む。キーのデータは、状態データを製造データに紐づけるために用いられる。キーのデータは、製造データとの紐づけに用いることができる情報であれば、製品番号に限定されず、ユニークな通し番号、文字列等であってもよい。
【0028】
製造データと状態データとは、
図3及び
図4に示すように、別々のデータであってもよいし、
図5に示すように、1つに結合されたデータであってもよい。
【0029】
ここで、
図2の説明に戻る。ステップS2において、原因推定部102は、製造条件C
kと状態データVとを用いて、製品が状態データで表される特定の状態である原因候補の製造条件を推定する。原因推定部102は、製造条件C
kと状態データVとにより算出される原因指標値F(V,C
k)の上位の1つ以上の製造条件を原因候補の製造条件と推定する。原因指標値F(V,C
k)は、製品が状態データで表される特定の状態にある原因が特定の製造条件である程度を表す指標である。以下、原因指標値F(V,C
k)についてさらに説明する。
【0030】
実施形態における原因指標値F(V,Ck)は、製品が状態データで表される特定の状態にある原因が製造条件Ckである程度を表す任意の指標であり得る。例えば、状態データがある製品が異常である確率を表す場合、原因指標値F(V,Ck)は、製造条件Ckが異常の原因である程度を表す。原因指標値F(V,Ck)は、例えば、状態データVについての特定の製造条件Ckについての偏りを定量化することで生成されてよい。例えば製造条件Ckが製品の製造に用いられた装置の種類といったカテゴリカルデータで表される場合には、偏り率が装置毎の状態データVdの総和/全装置における状態データVdの総和と定義されることで、偏り率の最大値が原因指標値F(V,Ck)となり得る。また、原因指標値F(V,Ck)は、特定の製造条件データCkについての偏りを統計的検定(カイ二乗検定、G検定(尤度比検定))の枠組みで定式化することで生成されてもよい。また、製造条件Ckがカテゴリカルデータではなく連続値のデータとして表されるときには、原因指標値F(V,Ck)は、例えば、状態データVと製造条件Ckと相関係数とを用いて偏りを指標値として定量化することで生成されてもよい。また、原因指標値F(V,Ck)は、製造条件Ckと状態データVとの関係を各種の機械学習手法によって学習した学習済みモデルに製造条件データと状態データとを入力することで生成されてもよい。このように、原因指標値F(V,Ck)の生成手法は、特定の手法に限定されるものではない。
【0031】
ここで、
図2の説明に戻る。ステップS3において、関係データ算出部103は、取得部101で取得された製造データから製造条件C
kの間の関係の強さを表す第1関係データ及び第2関係データを算出する。そして、関係データ算出部103は、算出した第1関係データ及び第2関係データを関係データ記憶部104に記憶させる。以下、第1関係データ及び第2関係データの算出手法について説明する。ここで、第1関係データと第2関係データとでは算出に用いられる製造データが異なっているが、製造データを用いたデータの算出手法は同一である。したがって、以下では第1関係データと第2関係データとを区別せずに「関係データ」としてその算出手法について説明する。
【0032】
図6、
図7、
図8は、関係データの例を示す図である。
図6に示す関係データは、関係指標値行列を表す表形式のデータである。関係指標値行列は、製造条件C
kのうちのi番目の製造条件C
iとj番目の製造条件C
jとの関係の強さを表す関係指標値R(i,j)を要素とするM×Mの行列である。関係指標値R(i,j)は0.0から1.0の実数の値を有する。関係指標値R(i,j)の値が大きいほど、製造条件C
iと製造条件C
jとの関係が強い。
図6では、関係指標値行列の対角成分(i=j)の値は1.0である。対角成分は同一の製造条件の間の関係の強さを表すことになるが、同一の製造条件の間の関係の強さは定義される必要はない。したがって、関係指標値行列の対角成分の値は1.0以外の値であっても構わない。
【0033】
関係データは、行列である必要はない。例えば、
図7に示す関係データは、それぞれの製造条件C
jに対して、強い関係を有する製造条件C
iが列挙されたリスト形式のデータである。また、製造条件C
kのうち関係性の強い製造条件C
i及びC
jが予めグループ化されていれば、
図8に示すように関係データは、それぞれの製造条件C
kが属するグループの例えばIDが列挙されたリスト形式のデータであってもよい。
図7及び
図8に示す関係データは、関係指標値R(i,j)の値から生成され得る。
【0034】
ここで、関係指標値R(i,j)についてさらに説明する。まず、製造条件Ci及びCjのそれぞれが連続値のデータの場合、関係指標値R(i,j)は、連続値の間の相関の強さを示す指標として知られる、ピアソンの相関係数(ピアソンの積率相関係数)により計算され得る。ピアソンの相関係数を用いる場合の関係指標値R(i,j)は、例えば以下の式(1)によって計算される。
【0035】
【数1】
ここで、N
allは、サンプル数であり、本実施形態ではデータベースに登録されている製造データの総数に相当する。また、C
i_aveは、データベースに登録されている製造条件C
iのデータの平均値であり、C
j_aveは、データベースに登録されている製造条件C
jのデータの平均値である。なお、ピアソンの相関係数は、-1以上1以下の実数値を取る。したがって、0.0から1.0の値とするために、式(1)の関係指標値R(i,j)には、ピアソンの相関係数の絶対値が用いられている。
【0036】
製造条件Ci及びCjのそれぞれが連続値のデータの場合の関係指標値R(i,j)は、必ずしもピアソンの相関係数に基づいて生成される必要はない。関係指標値R(i,j)は、ピアソンの相関係数の代わりにスピアマンの順位相関係数等を用いて生成されてもよい。
【0037】
また、製造条件Ci及びCjのそれぞれがカテゴリカルデータの場合は、クロス集計表における行要素と列要素の関連の強さを示す指標として知られる、クラメルのV(クラメルの連関係数)を用いて関係指標値R(i,j)は生成され得る。この場合、データベースに登録されている製造データのクロス集計表に基づき、データベースに登録されている製造条件のうちのそれぞれの製造条件Ci及びCjの間でのクラメルのVの値が関係指標値R(i,j)として生成される。また、関係指標値は、Goodman-Kruskalのτ等のようにR(i,j)≒R(j,i)になり得る値を用いて生成されてもよい。なお、クロス集計表はデータベースに登録されている製造データから計算されてもよい。また、クロス集計表のデータが別途データベースに記録されていてもよい。
【0038】
その他、関係指標値R(i,j)は、製造条件Ci及びCjの関係の強さを表す公知の指標又は方法を用いて算出されてよい。
【0039】
また、
図7の形の関係データは、例えば関係指標値R(i,j)を適当な閾値と比較し、ある製造条件C
jに対して閾値以上の関係指標値R(i,j)を持つ製造条件C
iを列挙することで生成される。
図8の形の関係データは、ある製造条件C
jに対して閾値以上の関係指標値R(i,j)を持つ製造条件C
iを列挙し、製造条件C
jと製造条件C
iにIDを付けてグループ化することで生成される。
【0040】
より好適には、関係指標値R(i,j)を入力としたクラスタリング問題として、
図7又は
図8の形の関係データが生成される。例えば、製造条件C
kをノードとし、
図6に示す関係指標値R(i,j)をノード間の重みとするグラフ構造に対し、グラフクラスタリング又はグラフ分割の手法が適用されることで、製造条件C
kを表すノードがクラスタリングされる。あるノードの製造条件C
iと同一のクラスに属するC
jが列挙されることで
図7の形式の関係データが生成される。同様に、クラスタリングされたそれぞれのノードに対してグループのIDが付けられることで
図8の形式の関係データが生成される。ここで、クラスタリング手法として、例えばクラスタ数を既知とする場合には、スペクトラルクラスタリングが用いられてもよい。または、グラフ構造中の接続の粗密を定量化し、密な構造をコミュニティとして抽出するための手法である、Louvainの方法等が用いられてもよい。その他、
図7又は
図8の関係データを生成するために他の公知のクラスタリング手法が用いられてもよい。
【0041】
さらに、関係データを算出するための関係指標値R(i,j)は、製造条件Ckの間の関係の強さを各種の機械学習手法によって学習した学習済みモデルに製造条件Ciと製造条件Cjとを入力することで生成されてもよい。
【0042】
また、実施形態では、第2関係データは、ステップS3のタイミングにおいて算出されるとされている。これに対し、第2関係データはステップS1で取得される製造データとは異なるデータから生成されてよいため、第2関係データは、必ずしもステップS3のタイミングにおいて算出される必要はない。つまり、第2関係データは、解析処理のタイミングよりも前のタイミングにおいて予め算出されていてもよい。また、第2関係データは、ステップS1で取得された製造データを含む過去の製造データを用いた統計処理によって生成されてもよい。
【0043】
ここで、
図2の説明に戻る。ステップS4において、可視化データ生成部105は、第1関係データを用いて、原因推定部102で推定された原因候補の製造条件C
kを1以上の大グループに分割する。また、可視化データ生成部105は、第2関係データを用いて、原因推定部102で推定された原因候補の製造条件C
kを1以上の大グループに分割する。グループの分割は、
図7及び
図8で示したように、高い関係指標値を有する製造条件を1つのグループにまとめることで行われ得る。
【0044】
ステップS5において、可視化データ生成部105は、第1関係データを用いて分割された大グループ毎の代表の原因候補の製造条件Cjを決定する。代表の選択基準としては、例えば以下の基準が考えられる。
a)大グループ毎に予め決められた製造条件を選択する。
b)大グループ内での原因指標値F(Ck,V)に基づいて製造条件を選択する。
c)工程順で最も先の工程に関わる製造条件を選択する。
d)辞書順で最も先の製造条件を選択する。
e)条件数が最大又は最小となる製造条件を選択する。
f)代表を選択するための公知の統計値及び検定結果等を指標として製造条件を選択する。
【0045】
ここで、可視化データ生成部105は、大グループ毎に複数の代表の原因候補の製造条件Cjを選択してよい。可視化データ生成部105は、例えば原因指標値F(Ck,V)が同じ複数の原因候補の製造条件を選択してよい。または、可視化データ生成部105は、例えば原因指標値F(Ck,V)が閾値以上の複数の原因候補の製造条件を選択してよい。
【0046】
ステップS6において、可視化データ生成部105は、第1関係データを用いて分割された大グループと第2関係データを用いて分割された大グループとを比較して、代表が属するグループをリストアップする。
【0047】
以下、代表が属するグループをリストアップする手法について具体例を用いて説明する。製造データが記録される製造拠点において、装置の追加やオペレーション変更等の様々な製造条件の変更がなされることが予想される。製造条件の変更がなされた場合、製造条件の間の関係も変化することが多い。
【0048】
通常時、例えば設計時の製造条件又は異常が発生していない期間に記録された製造条件に基づいて算出された第2関係データにおいて関係を持つとされた製造条件は、製品の設計時の製造条件又は通常時の製造条件を反映していると考えられる。一方、異常が発生したとき等の解析時に算出された第1関係データにおいて関係を持つとされた製造条件は、解析時の製造条件を反映していると考えられる。
【0049】
ここで、ある製造条件Cjと他の製造条件Ciは、1)第1関係データを用いて分割されたグループと第2関係データを用いて分割されたグループの双方で関係を持つ、2)第1関係データを用いて分割されたグループでのみ関係を持つ、又は3)第2関係データを用いて分割されたグループでのみ関係を持つ、の何れかの関係を持つ。2)の関係を持つ製造条件は、通常時に比べて解析時において関係の強さが増加した製造条件である。3)の関係を持つ製造条件は、通常時に比べて解析時において関係の強さが減少した製造条件である。2)又は3)の変化をした製造条件については、工場のオペレーションの変化が反映されているためにユーザが注視したいという要請があると予想される。反対に、2)又は3)の変化をした製造条件については、軽微な変更による偽相関があるためにユーザが表示を省略したいという要請も予想される。実施形態では、製造条件Cjと製造条件Ciとの関係が1)、2)、3)の何れであるかによって異なる表示態様となるように可視化データが生成される。このために、可視化データ生成部105は、ステップS5において決定された代表の製造条件を含む大グループが1)、2)、3)の何れであるかを判別する。
【0050】
以下、具体例を挙げて説明する。まず、原因推定部102によって推定された原因候補の製造条件が製造条件C
1-C
10であったとする。そして、可視化データ生成部105は、第1関係データ及び第2関係データを用いて製造条件C
1-C
10を
図9に示すようにしてグループに分割したとする。第1関係データを用いての分割では、製造条件C
1-C
10は、大グループGA1、GA2、GA3の3つのグループに分割されている。大グループGA1には、製造条件C
1、C
2、C
3、C
4が属している。大グループGA2には、製造条件C
5、C
6、C
7が属している。大グループGA3には、製造条件C
8、C
9、C
10が属している。一方、第2関係データを用いての分割では、製造条件C
1-C
10は、大グループGB1、GB2、GB3の3つのグループに分割されている。大グループGB1には、製造条件C
1、C
2、C
3が属している。大グループGB2には、製造条件C
4、C
5、C
6、C
7が属している。大グループGB3には、製造条件C
8、C
9、C
10が属している。
【0051】
ここで、ステップS5において大グループGA1の代表が製造条件C
1に決定されたとする。
図10に示すように、第2関係データを用いた分割では、製造条件C
1は大グループGB1に属している。ステップS6ではこれらの大グループGA1と大グループGB1とが比較される。
図11は、大グループGA1と大グループGB1との関係を表すベン図である。
図11に示すように、代表の製造条件C
1との間で1)の関係を持つ製造条件は、製造条件C
2、C
3である。また、代表の製造条件C
1との間で2)の関係を持つ製造条件は、製造条件C
4である。さらに、代表の製造条件C
1との間で3)の関係を持つ製造条件は、存在しない。
【0052】
このような考え方に基づき、可視化データ生成部105は、代表の製造条件、代表の製造条件に対して1)の関係を持つ製造条件が属する小グループg1、代表の製造条件に対して2)の関係を持つ製造条件が属する小グループg2、代表の製造条件に対して3)の関係を持つ製造条件が属する小グループg3をそれぞれリストアップする。
図9の例では、可視化データ生成部105は、代表の製造条件として製造条件C
1を、代表の製造条件に対して1)の関係を持つ製造条件が属する小グループg1として製造条件C
2、C
3のグループを、代表の製造条件に対して2)の関係を持つ製造条件が属する小グループg2として製造条件C
4のグループをそれぞれリストアップする。また、可視化データ生成部105は、前述したa)-f)の基準に基づき、小グループg1、g2,g3のそれぞれの代表を決定する。
【0053】
ここで、
図2の説明に戻る。ステップS7において、可視化データ生成部105は、それぞれの大グループの代表の製造条件を取得する。
【0054】
ステップS8において、可視化データ生成部105は、可視化データ生成処理を行う。可視化データ生成処理は、ユーザに製品が特定の状態となった原因の解析結果を提示するための可視化データを生成する処理である。可視化データ生成処理については後で説明する。
【0055】
ステップS9において、可視化データ生成部105は、生成した可視化データに基づいて解析結果を表示装置に表示する。その後、
図2の処理は終了する。
【0056】
次に可視化データ生成処理について説明する。
図12は、可視化データ生成処理について示すフローチャートである。ステップS101において、可視化データ生成部105は、取得した代表の原因候補の製造条件のうちの1つを選択し、選択した代表の原因候補の製造条件についての可視化データを生成する。代表の原因候補の製造条件の可視化データは、例えば原因候補の製造条件の項目名、原因指標値、解析結果の情報といった情報を含む。これらの情報についての詳細は後で詳しく説明する。
【0057】
ステップS102において、可視化データ生成部105は、小グループg1についての可視化データを生成する。小グループg1についての可視化データは、例えば小グループg1に属する原因候補の製造条件の数、小グループg1に属する製造条件の項目名、小グループg1の代表の原因候補の製造条件の項目名、それぞれの原因候補の製造条件の原因指標値、小グループg1の代表の原因候補の製造条件の解析結果の情報といった情報を含む。これらの情報についての詳細は後で詳しく説明する。
【0058】
ステップS103において、可視化データ生成部105は、小グループg2についての可視化データを生成する。小グループg2についての可視化データは、例えば小グループg2に属する原因候補の製造条件の数、小グループg2に属する製造条件の項目名、小グループg2の代表の原因候補の製造条件の項目名、それぞれの原因候補の製造条件の原因指標値、小グループg2の代表の原因候補の製造条件の解析結果の情報といった情報を含む。これらの情報についての詳細は後で詳しく説明する。
【0059】
ステップS104において、可視化データ生成部105は、小グループg3についての可視化データを生成する。小グループg3についての可視化データは、例えば小グループg3に属する原因候補の製造条件の数、小グループg3に属する製造条件の項目名、小グループg3の代表の原因候補の製造条件の項目名、それぞれの原因候補の製造条件の原因指標値、小グループg3の代表の原因候補の製造条件の解析結果の情報といった情報を含む。これらの情報についての詳細は後で詳しく説明する。
【0060】
ステップS105において、可視化データ生成部105は、全ての大グループについての可視化データの生成が完了したか否かを判定する。ステップS105において、全ての大グループについての可視化データの生成が完了していないと判定されたときには、処理はステップS101に戻る。この場合、可視化データ生成部105は、別の代表を選択して同様の処理を行う。ステップS105において、全ての大グループについての可視化データの生成が完了したと判定されたときには、
図12の処理は終了する。
【0061】
図13は、実施形態における可視化データに基づいて表示される画面の例を示す図である。可視化データ生成部105は、
図13のような画面を表示できるような可視化データを生成する。ここで、可視化データは、表示装置で表示可能な形式、例えばhtml(Hypertext Markup Language)、xml(eXtensible Markup Language)及びJSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)の形式のデータであってよい。
【0062】
図13は、ステップS5において決められた1つの大グループに属する原因候補の製造条件について表示される画面の例である。
図13と同様の画面を表示するための可視化データが、ステップS5において決められた他の大グループに属する原因候補の製造条件についても生成される。さらに、状態データが複数のモードを有する場合等では、モード毎に
図13と同様の画面を表示するための可視化データが生成される。さらに可視化データは、表示装置に表示可能な形式に限らず、図面等として印刷可能な形式のデータであってもよい。
【0063】
図13に示すように、可視化データに基づいて表示される画面200は、代表情報表示領域201と、第1情報表示領域202と、第2情報表示領域203と、第3情報表示領域204とを有する。
【0064】
代表情報表示領域201は、可視化データ生成部105が選択した代表の原因候補の製造条件に関わる情報を表示するための表示領域である。代表情報表示領域201には、代表の原因候補の製造条件の項目名の表示領域2011が配置される。また、代表情報表示領域201には、代表の原因候補の製造条件について算出された原因指標値の表示領域2012が配置される。また、代表情報表示領域201には、代表の原因候補の製造条件についての解析結果の表示領域2013が配置される。
【0065】
解析結果の表示領域2013に表示される解析結果について説明する。一例の解析結果は、原因指標値F(V,Ck)に関する情報をユーザに提示するために生成されるグラフである。解析結果における縦軸は原因指標値F(V,Ck)の値である。一方、解析結果における横軸は、原因候補の製造条件Ckである。つまり、解析結果として示される折れ線グラフは、製品が特定の状態にある原因が特定の製造条件に偏っていることを表している。
【0066】
第1情報表示領域202は、可視化データ生成部105が選択した大グループに属する小グループg1の原因候補の製造条件に関わる情報を表示するための表示領域である。第1情報表示領域202には、小グループg1に属している原因候補の製造条件の数を示す、通常時に比べて関係の変化がなかった製造条件の件数の表示領域2021が配置される。また、第1情報表示領域202には、リンク先の表示領域2022だけが配置される。つまり、実施形態では、代表の原因候補の製造条件に対して関係の強い製造条件についての情報の表示は省略される。これは、同一の大グループに属している原因候補の製造条件は、関係が強いために原因指標値が同程度になっていると考えられるためである。このような関係が強いために原因指標値が同程度になっていると考えらえる原因候補の製造条件については、ユーザはそのすべてを監視する必要はないと考えられる。したがって、表示が省略される。
【0067】
ユーザにより、リンク先の表示領域2022が選択された場合、
図14に示すように、第1情報表示領域202に小グループg1の代表情報表示領域2023及び小グループg1に属する他の製造条件の情報表示領域2024が表示される。
【0068】
代表情報表示領域2023には、小グループg1の代表の原因候補の製造条件の項目名の表示領域2023aが配置される。また、代表情報表示領域2023には、小グループg1の代表の原因候補の製造条件について算出された原因指標値の表示領域2023bが配置される。また、代表情報表示領域2023には、小グループg1の代表の原因候補の製造条件についての解析結果の表示領域2023cが配置される。さらに、代表情報表示領域2023には、小グループg1が属する大グループの代表の原因候補の製造条件と小グループg1の代表の原因候補の製造条件との間で算出された関係指標値の表示領域2023dが配置される。
【0069】
他の製造条件の情報表示領域2024には、小グループg1に属する他の原因候補の製造条件の項目名の表示領域2024aが配置される。また、他の製造条件の情報表示領域2024には、小グループg1に属するそれぞれの原因候補の製造条件について算出された原因指標値の表示領域2024bが配置される。また、他の製造条件の情報表示領域2024には、小グループg1が属する大グループの代表の製造条件と小グループg1に属するそれぞれの他の原因候補の製造条件との間で算出された関係指標値の表示領域2024dが配置される。
【0070】
ここで、前述の例ではリンク先の表示領域2022が選択された場合には、小グループg1の製造条件についての詳細な情報が表示される。しかしながら、このような詳細な情報の表示も省略されてよい。例えば、第1情報表示領域202には、通常時に比べて関係の変化がなかった製造条件の件数の表示領域2021だけが配置されてもよいし、通常時に比べて関係の変化がなかった原因候補の製造条件の項目名が列挙されるだけでもよい。また、第1情報表示領域202に表示される原因候補の製造条件の項目名等が、色を変える又は太字にする等して強調されてもよい。
【0071】
ここで、
図13の説明に戻る。第2情報表示領域203は、可視化データ生成部105が選択した大グループに属する小グループg2の原因候補の製造条件に関わる情報を表示するための表示領域である。第2情報表示領域203には、小グループg2に属している原因候補の製造条件の数を示す、通常時に比べて関係の強さが増加した製造条件の件数の表示領域2031が配置される。また、第2情報表示領域203には、リンク先の表示領域2032だけが配置される。ここで、リンク先の表示領域2032が選択された場合の表示は、リンク先の表示領域2022が選択された場合の表示と同様でよい。したがって、説明を省略する。
【0072】
第3情報表示領域204は、可視化データ生成部105が選択した大グループに属する小グループg3の原因候補の製造条件に関わる情報を表示するための表示領域である。第3情報表示領域204には、小グループg3に属している製造条件の数を示す、通常時に比べて関係が減少した製造条件の件数の表示領域2041が配置される。また、第3情報表示領域204には、リンク先の表示領域2042だけが配置される。ここで、リンク先の表示領域2042が選択された場合の表示は、リンク先の表示領域2022が選択された場合の表示と同様でよい。したがって、説明を省略する。
【0073】
ここで、前述したように関係の変化をした製造条件については、工場のオペレーションの変化が反映されているためにユーザが注視したいという要請があると予想される。反対に、軽微な変更による偽相関があるためにユーザが表示を省略したいという要請も予想される。これらの要請に対応するため、第1情報表示領域202に対して第2情報表示領域203及び第2情報表領域の表示が変えられてもよい。例えば、第1情報表示領域202に対して第2情報表示領域203は色を変える等して強調されてもよく、また、第1情報表示領域202に対して第3情報表示領域204は目立たないようにされてもよい。これらの強調等の設定は、ユーザによって行われ得る。
【0074】
以上説明したように第1の実施形態によれば、製品が特定の状態となった原因候補の製造条件が推定される。そして、製造条件の間の関係データに基づいて、原因候補の製造条件が複数のグループに分割され、同一のグループの中では代表の原因候補の製造条件以外の製造条件に関する情報の表示が例えば省略されるように可視化データが生成される。これにより、ユーザの多数の原因候補を監視する際の負担が軽減される。
【0075】
また、第1の実施形態によれば、原因候補の製造条件が、第1関係データを用いたグループの分割と第2関係データを用いたグループの分割との間の関係の変化によってさらに3つの小グループに分割される。そして、小グループ毎に表示の態様が異なるように可視化データが生成される。これにより、実際の工場の状況に応じたユーザの要請に合致した解析結果の表示が行われ、よりユーザの多数の原因候補を監視する際の負担が軽減され得る。
【0076】
(第1の実施形態の変形例1)
第1の実施形態の変形例1を説明する。前述した第1の実施形態では、製品が特定の状態となった原因候補の製造条件の推定、製造条件の間の関係データの算出及び推定結果及び関係データに基づく可視化データの生成が1つのデータ処理装置1において行われている。これに対し、原因候補の製造条件の推定、製造条件の間の関係データの算出は、必ずしもデータ処理装置1において行われる必要はない。原因候補の製造条件の推定及び製造条件の間の関係データの算出はデータ処理装置1の周辺装置又はクラウドサーバ上で行われてもよい。この場合、データ処理装置1は、取得部101を用いて原因候補の製造条件の情報、第1関係データ、第2関係データを取得することで可視化データを生成する。つまり、データ処理装置1は、原因推定部102、関係データ算出部103及び関係データ記憶部104を有していなくてもよい。
【0077】
(第1の実施形態の変形例2)
第1の実施形態の変形例2を説明する。前述した第1の実施形態では、関係データ算出部103は、
図2の解析処理のたびに第1関係データを算出するとされている。これに対し、解析処理が例えば毎日、毎時といった複数回実行される場合には、関係データ算出部103は、複数回の解析処理において原因推定部102で用いられた製造データから算出される関係データを逐次に記録しておき、それらの関係データの平均値や中央値等を第1関係データとして算出してもよい。この場合において、関係データ算出部103は、直近の日時ほど高い重みを持つ重み付き平均により第1関係データを算出してもよい。
【0078】
(第1の実施形態の変形例3)
第1の実施形態の変形例3を説明する。前述した第1の実施形態では、関係データ算出部103は、第1関係データ及び第2関係データを製造データから算出するものとして説明されている。しかしながら、関係データ算出部103は、人手によって入力された関係データを第1関係データ又は第2関係データとしてもよい。ユーザは、例えば工場の設計情報、設備等の物理的な位置関係、製造中の流品のパターン等から、関係データを設定してもよい。例えば、製造条件C
1が装置1、装置2といったある工程で用いられる装置の番号であり、製造条件C
2がラインA、ラインBといった次の工程のライン番号であるとき、工場の設計上、装置1を通った製品は必ずラインAを通る場合等のときには、ユーザは、製造条件C
1と製造条件C
2とが強い関係を有するように関係データを設定できる。また、関係データ算出部103によって製造データから算出された関係データの一部は、人手により修正されてもよい。例えば、ユーザは、
図13で示した画面上で関係指標値の値を修正してよい。
【0079】
(第1の実施形態の変形例4)
第1の実施形態の変形例4を説明する。前述した第1の実施形態のステップS5では、それぞれの大グループの代表の原因候補の製造条件は、a)-f)の基準に従って決定される。これに対し、それぞれの大グループの代表の原因候補の製造条件は、第1関係データを用いたグループの分割と第2関係データを用いたグループの分割との間での製造条件の関係の変化に基づいて決定されてもよい。具体的には、可視化データ生成部105は、第1関係データを用いて分割されたグループと第2関係データを用いて分割されたグループの双方に含まれる製造条件の数が多くなるように大グループの代表を決定してよい。
【0080】
以下、具体例を挙げて説明する。まず、原因推定部102によって推定された原因候補の製造条件が製造条件C
1-C
10であったとする。そして、可視化データ生成部105は、第1関係データ及び第2関係データを用いて製造条件C
1-C
10を前述した
図9に示すようにしてグループに分割したとする。
【0081】
ここで、大グループGA1の代表の原因候補の製造条件を製造条件C1とした場合と製造条件C4とした場合とで比較する。
【0082】
まず、大グループGA1の代表の原因候補の製造条件を製造条件C
1とした場合、
図10で示したように、大グループGA1と大グループGB1とが比較される。そして、
図11に示すように、代表の製造条件C
1との間で1)の関係を持つ製造条件は、製造条件C
2、C
3である。また、代表の製造条件C
1との間で2)の関係を持つ製造条件は、製造条件C
4である。さらに、代表の製造条件C
1との間で3)の関係を持つ製造条件は、存在しない。
【0083】
次に、製造条件C
4を代表の原因候補の製造条件とした場合、
図15に示すように、第2関係データを用いた分割では、製造条件C
4は大グループGB2に属している。これらの大グループGA1と大グループGB2とが比較される。
図16は、大グループGA1と大グループGB2との関係を表すベン図である。
図16に示すように、代表の製造条件C
4との間で1)の関係を持つ製造条件は、存在しない。また、代表の製造条件C
4との間で2)の関係を持つ製造条件は、製造条件C
1、C
2、C
3である。さらに、代表の製造条件C
4との間で3)の関係を持つ製造条件は、製造条件C
5、C
6、C
7である。
【0084】
先に述べたように、2)と3)は通常時と解析時とで関係が変わった製造条件であり、このような変化をした製造条件については注視したいとのユーザの要請がある。ここで、通常時と解析時で関係が変わる製造条件は少ないはずであると仮定すると、代表の原因候補の製造条件として製造条件C1が選択されるほうがこの仮定に即している。このような考え方に基づき、可視化データ生成部105は、第1関係データを用いて分割されたグループと第2関係データを用いて分割されたグループの双方に含まれる製造条件の数が多くなるような代表を選択する。つまり、可視化データ生成部105は、製造条件C1を大グループGA1の代表として選択する。これ以後のステップS6からの処理は、第1の実施形態と同様にして実施される。
【0085】
このような第1の実施形態の変形例では、通常時と解析時とで関係が変わる製造条件が少ないはずであるとの仮定に基づいて大グループの代表が決定される。これにより、実際の工場の状況に応じたユーザの要請に合致した解析結果の表示が行われ、よりユーザの多数の原因候補を監視する際の負担が軽減され得る。
【0086】
(第2の実施形態)
第2の実施形態を説明する。第2の実施形態のデータ処理装置は、入力された製造データに基づいて製品の状態が特定の状態であるか否かを検知する状態データ生成部をさらに備えている。
図17は、第2の実施形態に係るデータ処理装置を表すブロック図である。以下、第1の実施形態と同様の部分に関しての説明は省略され、動作の異なる部分のみ説明される。
【0087】
図17に示すように、データ処理装置1は、取得部101と原因推定部102との間に状態データ生成部106を有している。
【0088】
状態データ生成部106は、個体データYl{Yl:l=1…N}を入力として、個体データY1に関わる状態データV_Ylを出力する。
【0089】
ここで、個体データYlは、個々の製品について実施された検査の計測値のデータである。個体データは、例えば製品の寸法、重量といった検査項目に関する計測値のデータを含む。また、製品の種類によっては、個体データYlは、製品の電気的な特性及び物理的な特性等の計測値のデータを含み得る。このような個体データYlは、何らかの計測手段によって製品毎に計測された計測値のデータである。
【0090】
また、状態データV_Ylは、第1の実施形態で説明した状態データVと同様に、例えば、製品が個体データYlと関わる特定の状態である確率を表し、0.0から1.0の実数の値を有するデータである。
【0091】
製品の異常を判定する方法として、それぞれの個体データYlについて閾値が設けられ、個体データYlが閾値を超えた場合に製品に異常があると判定する方法がよく用いられている。状態データ生成部106は、例えば個体データYlと閾値との差に応じて状態データV_Ylとしての0.0から1.0の実数値を算出する。例えば、状態データ生成部106は、個体データYlが閾値を超えている場合に状態データV_Ylの値に1.0を割り当てる。一方、状態データ生成部106は、個体データYlが閾値を超えない範囲で閾値から十分に乖離している値である場合に状態データV_Ylの値に0.0を割り当てる。
【0092】
この方法において用いられる閾値は、例えば生産管理でよく用いられる、規格値及び管理基準値である。規格値は、出荷する製品に対して定められたものである。規格値を超えた製品は、出荷され得ない。一方、管理基準値は、規格値を確保するために生産管理上で設定された値である。
【0093】
また、閾値は、個体データYlに基づいて設定されてもよい。例えば、閾値は、個体データYlの標準偏差σに基づいて設定されてもよい。この場合、閾値は、最小二乗法によって推定された個体データYlの平均値に基づいて推定された標準偏差σに対して例えば±3σ又は±4σの値に設定されてもよい。また、平均値に対する正負で閾値の値が変えられてもよい。
【0094】
また、個体データYlには外れ値が含まれていることが多い。そのため、個体データYlの平均値は最小二乗法ではなく、中央値と四分位数による外れ値に頑健な推定法で推定されてもよい。例えば、個体データYlの中央値が正規分布の平均値μとされてもよい。また、標準偏差は、σ=0.7413×IQR(四分位範囲=第1四分位数と第3四分位数の距離)とされてもよい。
【0095】
また、閾値は、個体データYlの標準偏差ではなく、予め定めたパーセンタイル点を基準として設定されてもよい。その他、閾値は、公知の方法を用いて設定されてよい。
【0096】
第2の実施形態における原因推定部102は、製造データCkと状態データV_Ylとに基づいて原因候補を推定する。関係指標値の算出手法等は、第1の実施形態と同様でよい。また、原因推定部102は、製造データCkと個体データYlとを用いて、状態データV_Ylを求めることなく、原因候補を推定してもよい。例えば、原因推定部102は、個体データYlを目的変数、製造データCkを説明変数とした回帰を行い、その回帰係数に基づいて製造データCkについての原因指標値F(Yl,Ck)を算出してもよい。なお、ここで例示した回帰を用いる手法は、製造データCkと個体データYlとを用いて、原因候補を推定するための一例である。その他の公知の手法が用いられて、製造データCkと個体データYlとを用いて、原因候補が推定されてよい。
【0097】
第2の実施形態における可視化データ生成部105は、解析結果300においてさらに個体データY
lの値をプロットする。
図18は、第2の実施形態における解析結果300の例を示す図である。第2の実施形態における解析結果300は、原因指標値F(V_Y
l,C
k)に関するより詳細な情報をユーザに提示するために生成される。
図18の縦軸は、個体データY
l、横軸は製造条件C
kである。
図18の各プロットは、個々の製品についての個体データY
lの値を表す。さらに、
図18では、状態データV_Y
lの算出に用いられた閾値TH1及びTH2と、原因指標値F(V_Y
l,C
k)の分布を表す折れ線グラフ301が表示される。ここで、原因指標値F(V_Y
l,C
k)の値が大きい製造条件については色を変える等して強調されてもよい。
【0098】
以上説明したように第2の実施形態によれば、データ処理装置1は、第1の実施形態で説明した効果に加えて、個体データYlに基づいて個々の製品が特定の状態にある程度を検知することができる。
【0099】
(第3の実施形態)
第3の実施形態を説明する。
図19は、第3の実施形態における可視化データに基づいて表示される画面の例を示す図である。第3の実施形態では、第1情報表示領域202に関係データ表示領域2025が配置される点が第1の実施形態と異なっている。
【0100】
データ表示領域2025は、大グループの代表の原因候補の製造条件と小グループg1に属するそれぞれの原因候補の製造条件との関係を表すグラフ構造等の図を含む。グラフ構造は、ノード2025aと、リンク2025bとによって構成されている。ノード2025aは、それぞれの原因候補の製造条件を表している。リンク2025bは、ノード2025aの間を接続し、接続されたノード2025aの製造条件の間に関係があることを表している。例えば関係指標値が大きいほどにノード2025aの距離が短くされる等して、製造条件の間の関係の強さが表現されてもよい。
【0101】
また、例えば何れかのノード2025aが指定された場合に、指定されたノード2025aと対応する原因候補の製造条件についての解析結果が表示されるように又は解析結果の画面に遷移するように可視化データが生成されてもよい。
【0102】
また、
図19では、第1情報表示領域202に関係データ表示領域2025が配置されているように示されているが、第2情報表示領域203及び第3情報表示領域にも関係データ表示領域2025が配置されてよい。この場合において、現在の表示中の関係データ表示領域2025が色を変える等して強調表示されてもよい。
【0103】
以上説明したように第3の実施形態によれば、製造条件の間の関係が視覚的にわかりやすく表示され得る。
【0104】
次に、上述の各実施形態に係るデータ処理装置のハードウェア構成について説明する。
図20は、データ処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。データ処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)401と、RAM(Random Access Memory)402と、ROM(Read Only Memory)403と、ストレージ404と、表示装置405と、入力装置406と、通信装置407とを含む。CPU401と、RAM402と、ROM403と、ストレージ404と、表示装置405と、入力装置406と、通信装置407とは、それぞれバスにより接続される。なお、表示装置405は、データ処理装置1に含まれていなくてもよく、データ処理装置1の周辺装置であってよい。
【0105】
CPU2401は、プログラムに従って演算処理及び制御処理等を実行するプロセッサである。CPU401は、RAM402の所定領域を作業領域として、ROM403及びストレージ404等に記憶されたプログラムとの協働により、前述した、取得部101と、原因推定部102と、関係データ算出部103と、関係データ記憶部104と、可視化データ生成部105と、状態データ生成部106としての各種処理を実行する。
【0106】
RAM402は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)等のメモリである。RAM402は、CPU401の作業領域として動作する。ROM403は、プログラム及び各種情報を書き換え不可能に記憶するメモリである。
【0107】
ストレージ404は、フラッシュメモリ等の半導体による記憶媒体、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気的に記録可能な記憶媒体又は光学的に記録可能な記憶媒体等にデータを書き込み及び読み出しをする装置である。ストレージ404は、CPU401からの制御に応じて、記憶媒体にデータの書き込み及び読み出しをする。
【0108】
表示装置405は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である。表示装置405は、CPU401からの表示信号に基づいて、
図13で示した画面等の各種の画面を表示する。
【0109】
入力装置406は、マウス及びキーボード等の入力デバイスである。入力装置406は、ユーザから操作入力された情報を指示信号として受け付け、指示信号をCPU401に出力する。
【0110】
通信装置407は、CPU401からの制御に応じて外部機器とネットワークを介して通信する。
【0111】
上述の実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用の計算機システムが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述したデータ処理装置による効果と同様な効果を得ることも可能である。上述の実施形態で記述された指示は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RW、Blu-ray(登録商標)Disc等)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピュータ又は組み込みシステムが読み取り可能な記録媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピュータは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態のデータ処理装置と同様な動作を実現することができる。もちろん、コンピュータがプログラムを取得する場合又は読み込む場合はネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記録媒体からコンピュータや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(ミドルウェア)等が本実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。
さらに、本実施形態における記録媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記録媒体も含まれる。
また、記録媒体は1つに限られず、複数の媒体から本実施形態における処理が実行される場合も、本実施形態における記録媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
【0112】
なお、本実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記録媒体に記憶されたプログラムに基づき、本実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。
また、本実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 データ処理装置、101 取得部、102 原因推定部、103 関係データ算出部、104 関係データ記憶部、105 可視化データ生成部、106 状態データ生成部、401 CPU、402 RAM、403 ROM、404 ストレージ、405 表示装置、406 入力装置、407 通信装置。