(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】結晶性炭素構造体網目構造の製造
(51)【国際特許分類】
C01B 32/15 20170101AFI20240722BHJP
C09C 1/48 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
C01B32/15
C09C1/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021150042
(22)【出願日】2021-09-15
(62)【分割の表示】P 2018569069の分割
【原出願日】2017-06-28
【審査請求日】2021-10-13
(32)【優先日】2016-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518462628
【氏名又は名称】カルボンエックス・アイピー・スリー・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】CarbonX IP 3 B.V.
【住所又は居所原語表記】Rembrandt Tower,35th Floor,Amstelplein 1,NL-1096 HA AMSTERDAM,the Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ルトへル・アレクサンデル・ダビト・ファン・ラールテン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエラ・ソルディ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541489(JP,A)
【文献】特表2007-513047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00
C09C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応区
域および終了区
域を内包する炉型カーボンブラック反応
器内における結晶性炭素構造体網目構造の製造のための方法であって、油相中の炭素成分と
、金属触媒ナノ粒子と
、水と、を含む二方連続型マイクロエマルショ
ンを、700℃超3000℃以下の温度である前記反応区
域内に注入して、結晶性炭素構造体網目構
造を生成すること、これらの網目構
造を前記終了区
域に移送すること、および、水
でスプレー
することによって前記終了区域内における結晶性炭素構造体網目構造の形成をクエンチまたは停止することによる、方法。
【請求項2】
前記反応区
域が1000℃超の温度である請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応器が、前記反応
器の軸に沿って、燃焼区
域、反応区
域および終了区
域を備える、炉型カーボンブラック反応
器であり、燃
料を酸素含有ガ
ス内で燃焼させることによって前記燃焼区域内に熱い廃ガ
スの流れを生成し、前記燃焼区
域から前記反応区
域内に前記廃ガ
スを送達すること、金属触媒ナノ粒子を含む二方連続型マイクロエマルショ
ンを、前記熱い廃ガスを内包する前記反応区
域内にスプレーすること、700℃超3000℃以下の温度で前記エマルションを炭化させること、および、
水でスプレー
することによって前記終了区
域内における反応をクエンチまたは停止して、結晶性炭素構造体網目構
造を得ることによる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前
記二方連続型マイクロエマルションが1000℃超の温度で炭化され
る、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エマルション中の油相中の炭素成分が、前記油相の総重量に対して少なくとも50重量%のC14以上を含む、芳香族および/または脂肪族である、請求項1~4何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
化学的に相互接続されている炭素ナノファイバーを含む結晶性炭素構造体網目構造であって、
前記炭素ナノファイバーは、Y型およびH型接合部を含む多数の接合部によって化学結合によって化学的に相互接続されており、前記網目構造は、少なくとも500個の化学結合した結節点を含み、前記炭素ナノファイバー
は、少なくとも2の
繊維長さ対厚さの平均アスペクト比を有し、
前記網目構造を形成する前記炭素ナノファイバ
ーは、中空ではなく、50~400nmの平均直径
もしくは厚さ
、および/または
、100~10,000nm
の範囲の平均長さを有し、
前記炭素構造体網目構造は多孔質であり、
前記網目構造は
、レーザー回折および動的光散乱法によって測定される0.1~100ミクロンの
サイズを有する凝集物を形成する、結晶性炭素構造体網目構造。
【請求項7】
機械的強度、導電性または熱伝導性をポリマーベースの複合材料へ付与するために適した1種以上のポリマーをさらに含む、請求項
6に記載の炭素構造体網目構造を含む複合材料であって、前記網目構造が、前記複合材料中におけるポリマー総重量に対して1~70重量%の任意の量である、複合材料。
【請求項8】
網目構造濃度に伴って上昇する、ISO527に従って測定された弾性率Eを示す、請求項
7に記載の複合材料。
【請求項9】
反応
器内における結晶性炭素構造体網目構造の半バッチ式製造のための方法であって、金属触媒ナノ粒子を含む二方連続型マイクロエマルショ
ンが、エアロゾルを得るために
、エアロゾル入
口を使用したスプレーによって、前記反応
器の頂部から注入され、前記網目構
造が、少なくとも700℃の高めた温度で形成され、前記反応器の底部に堆積され、前記高めた温度が、熱分
解を使用して、または燃
焼によって得られる、方法。
【請求項10】
反応
器内における結晶性炭素構造体網目構造の連続製造のための方法であって、金属触媒ナノ粒子を含む二方連続型マイクロエマルショ
ンが、エアロゾルを得るために
、エアロゾル入
口を使用したスプレーによって
、前記反応
器の頂部から注入され、前記網目構
造が、少なくとも700℃の高めた温度で形成され、前記反応器の底部に堆積され、前記高めた温度が、燃
焼を使用して得られるが、前記エマルションが、熱分解条件下でのみ注入される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された特性を有する結晶性炭素構造体網目構造を製造する分野に含まれ、このような構造体網目構造を製造するための新たな方法を対象とする。本発明は、特に、カーボンブラック製造の分野に含まれる。
発明の背景
カーボンブラック産業は、カーボンブラックの強化および/または色素特性が必要とされる使用用途を含む、ゴム物品、例えばタイヤ等の製造、ポリグラフィー、エレクトロニクスおよびケーブルコーティング、ワニスおよび塗料の製造に使用するという目的で、黒鉛および非晶性炭素とは主に物理的な配置が異なる炭素の同素体の提供に重点的に取り組んでいる。
【0002】
様々な異なるプロセスまたは技法が、当技術分野において、カーボンブラックを製造するために公知である。カーボンブラックは主に、炭素含有ガス、例えばメタンまたはアセチレンから出発する部分燃焼プロセスによって製造される。このプロセスは時に、炉型カーボンブラック製造方法と呼ばれることもあり、反応器が後続するバーナーまたは燃焼室を有する炉を利用する。炉式プロセスは一般的に、低い酸素レベル、低い密度、短い滞留時間および高い温度を特徴とする。炉型カーボンブラック製造方法の第1の工程として、Ullmanns Encyklopadie der technischen Chemie、第14巻、637~640頁(1977)において記述されているように、炭化水素が1200~1900℃の一般的な温度で噴霧される。この目的のために、高いエネルギー密度を有する区域が、酸素または空気によって燃料ガスまたは液体燃料を燃焼させることによって生成され、カーボンブラック原材料がこの区域に注入される。カーボンブラックフィードストックは、上記高温燃焼条件下で噴霧されるが、酸素レベルは平均して、燃焼プロセス中に酸素を完全に消費するために、2体積のカーボンブラックフィードストック対約1体積の酸素の速度で供給される。カーボンブラック最終生成物の構造および/または多孔度は、カーボンブラック形成中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属イオンの存在によって影響される可能性もあり、したがって、このような添加剤は、カーボンブラック原材料の凝塊上にスプレーされる、水溶液の形態で加えられることが多い。反応は、水の注入(クエンチ)によってのみ終了され、カーボンブラックは、約200~250℃の温度で収集され、従来のセパレータまたはフィルターによって廃ガスから分離される。バルク密度が低いため、得られたカーボンブラックは、次いで造粒され、例えば、少量のペレット化用補助剤が加えられていてもよい水を加えたペレット化用の機械の中で実施される。当技術分野を炉型カーボンブラック技術に限定する意図は全くないが、時系列順では、US2672402、US4292291、US4636375、WO2000/032701およびUS2004/0248731が、慣例的なまたは従来のカーボンブラック製造に関する説明を提供している。これらの内容は、ここをもって、参照により組み込む。注目すべきこととして、代替的なプロセス、例えばランプブラックプロセス、サーマルブラック、アセチレンブラックおよびチャンネルブラックプロセスも存在し、これらはすべて、ある種類のカーボンブラックを製造することを目的とした、上記プロセスの変更形態である。最も革新的なものは、有利なことに直接的な二酸化炭素を直接排出することがなく、化石燃料の消費を低減する、プラズマブラックカーボンプロセスである。本質的には、これらの酸素が乏しいカーボンブラック製造方法は、熱分解温度条件をもたらすのに異なる方法を見出しているという点を除いて、非常に類似している。しかしながら、これまでに、産業界は、慣例的な部分燃焼によって製造されたカーボンブラックのパラメータと同等のパラメータを用いて、酸素が乏しい還元プロセスによってカーボンブラックを製造しようと依然として試行錯誤している。
【0003】
GB1514130(1976年)は、炉型プラント内における炭化水素の部分燃焼およびクラッキングによって、液体炭化水素からカーボンブラックを製造する方法も開示している。水および液体炭化水素のエマルションが、炭化水素の噴霧を最適化するために水を使用するという目的で、炉の燃焼区域内に導入される。液体炭化水素自体は部分的に蒸発させることのみ可能であるが、液体炭化水素の「熱」噴霧のプロセスは、エマルションが高温燃焼区域内に送達された瞬間に水が爆発的に蒸発することによるものである。このプロセスは、より高いカーボンブラック収率およびより短い反応時間をもたらす。使用され得るエマルションの種類は、記述されていない。異なる構造は、報告されていない。
【0004】
US3494740(日付1970年)は、カーボンブラック炉の反応区域内に、前記炉への炭化水素フィードストック100万重量部当たり1~80重量部の範囲の量で、ニッケル、バナジウム、鉄、コバルトおよびこれらの混合物からなる群より選択される金属を含む添加剤を導入することによる、カーボンブラック製造についても検討している。金属は、炭化水素フィード中への一様な分散を実現するために、水、油またはエマルション中に用意されてもよい。カーボンブラック特性は、表1において言及されている。使用され得るエマルションの種類は、記載されていない。異なる構造は、報告されていない。
【0005】
US2015/064099は、ファウリングを制御しながら予備加熱されたフィードストックを使用する、カーボンブラックの製造のための方法に関する。水が、クエンチのために使用される。
発明の概要
本発明者らは、金属触媒ナノ粒子を有するw/o型または二方連続型の熱力学的に安定なマイクロエマルションを使用して、単相乳化の概念を従来の(炉型)カーボンブラック製造に導入することによって、十分に確立した還元(熱分解)式または酸化(燃焼)式カーボンブラック製造方法を使用して、有利に改善された電気的、機械的および熱的特性のうちのすべての種類を有する結晶性炭素構造体からできた網目構造を製造することができることを見出した。したがって、本発明は、油、好ましくはC14以上、より好ましくはカーボンブラックフィードストック油、水および少なくとも1種の界面活性剤ならびに金属触媒ナノ粒子を含む熱力学的に安定な単相エマルションを用意すること、ならびに、エマルション、好ましくは乳化カーボンブラックフィードストックにカーボンブラック製造方法を施し、600℃超、好ましくは700℃超、より好ましくは900℃超、さらにより好ましくは1000℃超、最も好ましくは1100℃超、好ましくは3000℃以下、より好ましくは2500℃以下、特に2000℃以下の高めた温度で前記カーボンブラックフィードストックを炭化させることによって、結晶性炭素構造体網目構造を製造するための方法に関する。
【0006】
本明細書および特許請求の範囲を通して、「単相エマルション」は、金属触媒ナノ粒子を含む、油中水(w/o)型マイクロエマルションまたは二方連続型マイクロエマルションである。
【0007】
関連する側面において、本発明は、カーボンブラック製造方法、好ましくは炉型カーボンブラック製造方法においてエマルションを炭化させ、この結果として、結晶性炭素構造体網目構造を得るための、このような単相エマルション、好ましくは乳化カーボンブラックフィードストック(すなわち、カーボンブラックフィードストックを含む単相エマルション)の使用に関する。エマルションは好ましくは、上記高温で反応器内にスプレーおよび噴霧される。やはり、単相エマルションは、金属触媒ナノ粒子を含むw/o型または二方連続型マイクロエマルションにすべきであることが見出された。
【0008】
当業者の目を通して見れば、水の使用は、適切な収率および好ましい球状カーボンブラック構造体を得るために、少なくとも最小化すべきであり、好ましくは、慣例的なカーボンブラック製造方法に含まれる反応の部にはないようにすべきであり、反応器のさらに下流側におけるカーボンブラック反応を終了させるためには、水のみが使用されるべきである。せいぜい、水は時に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンをカーボンブラック材料上にスプレーするときにキャリアとして使用されることもあるくらいであり、凝集プロセスの最後にある段階において、カーボンブラック生成物の多孔度は、市場の必要に合わせて微細に調整することができる。供給源によっては、カーボンブラックフィードストックは実際には、燃料密度を増大させ、噴霧を最適化するという目的で、方法への導入前に、脱水すらされてもよい。慣例的なカーボンブラック製造中に終了段階におけるクエンチ目的以外で(多量の水は言うまでもなく)何らかの水を使用することを嫌うことが一般的になっているので、噴霧の前にカーボンブラックフィードストックを乳化する着想は、当業者の想像を超えている。しかしながら、本発明者らは、カーボンブラックフィードストック油を含む安定な単相エマルションを反応器内に噴霧することによって、従来のカーボンブラック製造を改変することは、球状粒子の凝集物を主体とした通常得られる非晶性カーボンブラックではなく、構造、一般的にナノファイバーからできた網目構造から成り立つ、新規な結晶性炭素材料が得られるという点で劇的な影響を与えることを見出した。結晶性炭素網目構造構造体は、これらの構造体がカーボンブラック凝集物と異なる、さらには上回りさえする特性を構成するほどに、モルフォロジが異なり、これらの構造体のうちの一部は、下記においてさらに活用されている。
【0009】
いかなる理論にも拘束されることは望まないが、本発明者らは、界面活性剤分子、油相および水相が、金属触媒ナノ粒子と一緒になって配向および構造化されることにより、新たな材料および本方法に特有の網目構造形成プロセスが起きると考えている。金属触媒ナノ粒子が必須であることが見出された。エマルション(油中水型または二方連続型の何れか)のミクロ構造およびマクロ構造は、最終的な炭素構造体網目構造の前駆物質/ひな形として作用すると考えられおり、この最終的な炭素構造体網目構造の炭素含有画分(油相および界面活性剤)は、繊維および接合部を形成するが、水画分は、油/界面活性剤相の配向および網目構造の多孔度に役立つ。金属触媒の存在は、通常得られる球状配向ではなく、繊維構造体への炭素成分の炭化を促進する。混和できない油と水相との配合物は、これらの構造を生じさせず、すなわち、熱力学的に安定なマトリックス中に金属触媒が存在しない。エマルションが高温で噴霧されたらすぐに、炭化プロセスは、金属触媒の存在下において、エマルション構造中で炭素画分を瞬時に「凍結」させるが、水は蒸発し、(ナノ)繊維の網目構造を残す。この炭化プロセスにおいて、本発明者らは、炭素原材料、すなわち、油、例えばカーボンブラックフィードストックを、上記単相エマルションの形態で噴霧プロセスに供給することが枢要であることを見出した。本発明者らは、水とフィードストックとの単なる混合物またはそうでない場合は熱力学的に不安定エマルションが、炭化プロセスに有害であり、結晶性炭素構造体網目構造を生じさせないことも見出した。
さらなる証拠が、下記に提供されている。
【0010】
本発明者らは、噴霧および後続する炭化を施された単相エマルションが、これらの結晶性網目構造を形成するときに触媒として作用する、金属ナノ粒子を含むべきであることも見出した。金属触媒ナノ粒子の濃度を上昇させることにより、収率がさらに向上する。金属触媒ナノ粒子を含む、二方連続型または油中水(w/o)型マイクロエマルションを使用することが必須であり、当該エマルションは、油/界面活性剤連続相から成り立ち、この結果として、網目構造構造をすでに形成している。二方連続型マイクロエマルションが、最も好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】反応器3の軸に沿って、燃焼区域3a、反応区域3bおよび終了区域3cを内包する、本発明による連続式炉型カーボンブラック製造方法であって、酸素含有ガスb内で燃料aを燃焼させることによって燃焼区域内に熱い廃ガスa1の流れを生成し、廃ガスa1を燃焼区域3aから反応区域3b内に送達すること、熱い廃ガスを内包する反応区域3b内に単相エマルションcをスプレー(噴霧)すること、高めた温度で前記エマルションを炭化させること、および、水d中でのスプレーによって終了区域3c内における反応をクエンチまたは停止して、本発明による結晶性炭素構造体網目構造eを得ることによる、方法の概略図である。
【
図1B】単相エマルションcを、反応器3の頂部にあるノズル4を介して高温で反応器区域3b内に噴霧し、反応器区域3b内において高温で前記エマルションを炭化させ、反応器の底部において結晶性炭素構造体網目構造eを収集する、半バッチ式カーボンブラック製造方法の概略図である。さらに2個の気体入口が存在するが、これらの気体入口は、酸素レベルを制御するという目的および/または激減させるという目的で不活性ガスf、好ましくは窒素を加えるため、ならびに、炭素含有ガスg、好ましくはアセチレンまたはエチレンを反応器内に導入するために、頂部から反応器に入り込んでいる。
【
図3】100mMのFeCl3金属触媒を有する二方連続型マイクロエマルション中に得られた結晶性炭素構造体網目構造のSEM写真を示す、図である。
【
図4】炭素網目構造(正方形)およびガラス繊維(円)のISO527に従った弾性率を図示する、図であり、ガラス繊維の機械的強度と同等である結晶性網目構造の機械的強度が示されている。カーボンブラックは、複合材料にいかなる強化特性ももたらさないことが見出された。
【
図5】例1に従った作製法を使用して調製された結晶性炭素構造体網目構造の装入量が異なるように調製された、異なる化合物(ポリアミドPA6が正方形。PETが円。)の体積抵抗率を示す、図である。
【0012】
発明の態様
1. 反応区域3bおよび終了区域3cを内包する反応器3内における結晶性炭素構造体網目構造の製造のための方法であって、金属触媒ナノ粒子を含む油中水型または二方連続型マイクロエマルションcを、600℃超、好ましくは700℃超、より好ましくは900℃超、さらにより好ましくは1000℃超、より好ましくは1100℃超、好ましくは3000℃以下、より好ましくは2500℃以下、最も好ましくは2000℃以下の温度である反応区域3bに注入して、結晶性炭素構造体網目構造eを生成すること、これらの網目構造eを終了区域3cに移送すること、および、水d中でのスプレーによって終了区域における結晶性炭素構造体網目構造の形成をクエンチまたは停止することによる、方法。
2. 前記反応器が、反応器3の軸に沿って、燃焼区域3a、反応区域3bおよび終了区域3cを内包する、炉型カーボンブラック反応器3である、態様1による方法であって、酸素含有ガスb中で燃料aを燃焼させることによって燃焼区域内に熱い廃ガスa1の流れを生成し、燃焼区域3aから反応区域3b内に廃ガスa1を送達すること、金属触媒ナノ粒子を含む油中水型または二方連続型マイクロエマルションcを、熱い廃ガスを内包する反応区域3b内にスプレーすること、600℃超、好ましくは700℃超、より好ましくは900℃超、さらにより好ましくは1000℃超、より好ましくは1100℃超、好ましくは3000℃以下、より好ましくは2500℃以下、最も好ましくは2000℃以下の温度で前記エマルションを炭化させること、および、水d中でのスプレーによって終了区域3c内における反応をクエンチまたは停止して、結晶性炭素構造体網目構造eを得ることによる、方法。
3. エマルション中の油相が、好ましくは油相の総重量に対して少なくとも50重量%のC14以上を含む、芳香族および/または脂肪族である、先行する態様の何れか1項に記載の方法。
4. 前記エマルションが、好ましくは1~100nmの平均粒径を有する、少なくとも1mMの金属触媒ナノ粒子を含む、先行する態様の何れか1項に記載の方法。
5. 先行する態様の何れか1つによる方法によって得ることができる、結晶性炭素構造体網目構造であって、前記炭素構造体が、Y型およびH型接合部を含む多数の接合部によって化学的に相互接続されている、結晶性炭素構造体網目構造。
6. 次の特性
(i) ASTM D1510に従って少なくとも250mg/gのヨウ素吸着価(IAN)、
(ii) ASTM D6556に従って少なくとも250m2/gの窒素表面積(N2SA)、
(iii) ASTM D6556に従って少なくとも120m2/gの統計的厚さ表面積(STSA)、
(iv) ASTM D2414に従って少なくとも150cc/100gのオイル吸収価(OAN)
のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、最も好ましくはすべてを有する、態様5による網目構造。
7. 前記構造体が、1~400nm、好ましくは5~350nm、より好ましくは100nm以下、一態様において50~100nmの平均厚さおよび/もしくは100~10000nm、好ましくは200~5000nm、より好ましくは500~5000nmの範囲の平均長さを有し、ならびに/または、構造体が、少なくとも2の長さ対厚さの平均アスペクト比を有する、態様5または6による網目構造。
8. 例えばポリマーを主体とした複合材料に機械的強度、導電性または熱伝導率を付与するための1種以上のポリマーをさらに含む、態様5~7の何れか1つによる炭素構造体網目構造を含む複合材料であって、前記網目構造が、複合材料中におけるポリマー総重量に対して1~70重量%、好ましくは10~50重量%、より好ましくは20~40重量%の任意の量である、複合材料。
9. 網目構造濃度に伴って上昇する、ISO527に従って測定された弾性率Eを示す、態様8による複合材料。
10. 結晶性炭素構造体網目構造を製造するための、カーボンブラック製造方法、好ましくは炉型カーボンブラック製造方法における乳化カーボンブラックフィードストックの使用。
11. 反応器3内における結晶性炭素構造体網目構造の半バッチ式製造のための方法であって、金属触媒ナノ粒子を含む油中水型または二方連続型マイクロエマルションcが、エアロゾルを得るために、好ましくはエアロゾル入口4を使用したスプレーによって、反応器3の頂部から注入され、前記網目構造eが、少なくとも600℃、好ましくは700~1200℃の高めた温度で形成され、反応器の底部に堆積され、高めた温度が、熱分解(例えば、酸素が激減した状態でN2を使用する反応器の外部にある熱源)を使用して、または燃焼(空気または酸素を使用する反応器の内部にある熱源)によって得られる、方法。
12. 反応器3内における結晶性炭素構造体網目構造の連続製造のための方法であって、金属触媒ナノ粒子を含む油中水型または二方連続型マイクロエマルションcが、エアロゾルを得るために、好ましくはエアロゾル入口4を使用したスプレーによって、好ましくはサーマルブラック反応器である反応器3の頂部から注入され、前記網目構造eが、少なくとも600℃、好ましくは700~1200℃の高めた温度で形成され、反応器の底部に堆積され、高めた温度が、燃焼(空気または酸素を使用する反応器の内部にある熱源)を使用して得られるが、エマルションが、熱分解条件下でのみ注入される、方法。
詳細な説明
本発明は、変形カーボンブラック製造方法として最も良好に記述することができ、「変形」は、適切な油、好ましくは、少なくとも14個のC原子(C14超)を含む油、例えばカーボンブラックフィードストック油(CBFS)が、金属触媒ナノ粒子を含む熱力学的に安定なマイクロエマルションである単相エマルションの一部として、カーボンブラック反応器の反応区域に供給されることであると理解される。エマルションは好ましくは、スプレーによって反応区域に供給され、この結果として、エマルションが液滴になるように噴霧される。本方法は、バッチ式または半バッチ式に実施することができるが、変形カーボンブラック製造方法は、有利には、連続式の方法として実施される。単相エマルションは、金属触媒ナノ粒子を含むマイクロエマルションである。好ましい単相エマルションは、CBFS油を含み、本発明の文脈において「乳化CBFS」と呼んでもよい。
【0013】
一態様において、本発明は、反応区域3bおよび終了区域3cを内包する反応器3内における本発明による結晶性炭素構造体網目構造の製造のための方法であって、金属触媒ナノ粒子を含むマイクロエマルション、好ましくはCBFSを含むエマルションである本発明による単相エマルションcを、600℃超、好ましくは700℃超、より好ましくは900℃超、さらにより好ましくは1000℃超、より好ましくは1100℃超、好ましくは3000℃以下、より好ましくは2500℃以下、最も好ましくは2000℃以下の温度である反応区域3b内に注入して、結晶性炭素構造体網目構造eを生成すること、これらの網目構造eを終了区域3cに移送すること、および、水d中でのスプレーによって終了区域内における結晶性炭素構造体網目構造の形成をクエンチまたは停止することによる、方法に関する。単相エマルションは、好ましくは、反応区域内にスプレーされる。
図1Aを参照されたい。
【0014】
好ましい態様において、本発明は、反応器3の軸に沿って、燃焼区域3a、反応区域3bおよび終了区域3cを内包する、炉型カーボンブラック反応器3内における本発明による結晶性炭素構造体網目構造の製造のための方法であって、酸素含有ガスb中で燃料aを燃焼させることによって燃焼区域内に熱い廃ガスa1の流れを生成し、燃焼区域3aから反応区域3b内に廃ガスa1を送達すること、好ましくは金属触媒ナノ粒子を含むマイクロエマルション、好ましくはCBFSを含むエマルションである本発明による単相エマルションcを、熱い廃ガスを内包する反応区域3b内にスプレー(噴霧)すること、高めた温度(600℃超、好ましくは700℃超、より好ましくは900℃超、さらにより好ましくは1000℃超、より好ましくは1100℃超、好ましくは3000℃以下、より好ましくは2500℃以下、最も好ましくは2000℃以下の温度)で前記エマルションを炭化させること、および、水d中でのスプレーによって終了区域3c内における反応(すなわち、結晶性炭素構造体網目構造eの形成)をクエンチまたは停止することによる、方法に関する。反応区域3bは、好ましくは噴霧によってエマルションを導入するための、少なくとも1個の入口(好ましくは、ノズル)を含む。
図1Aを参照されたい。
【0015】
炉型カーボンブラック反応器の反応区域内におけるエマルションの滞留時間は、比較的短いことが可能であり、好ましくは1~1000ms、より好ましくは10~100msの範囲であることが可能である。
【0016】
従来のカーボンブラック製造方法によれば、油相は、好ましくは(油の総重量に対して)少なくとも50重量%のC14以上、より好ましくは少なくとも70重量%のC14以上を含む、芳香族および/または脂肪族であってよい。限定されるわけではないが安定なエマルションを得るために使用することができる一般的な油のリストは、カーボンブラックフィードストック油(CBFS)、フェノール油、アントラセン油、(短鎖~中鎖~長鎖)脂肪酸、脂肪酸エステルおよびパラフィンである。油は、好ましくは、C14以上である。一態様において、油は、好ましくは、高い芳香族性を有する。当分野において、芳香族性は、好ましくは、鉱山局相関指数(BMCI:Bureau of Mines Correlation Index)の観点で特徴付けられる。油は、好ましくは、50超のBMCIを有する。一態様において、油は、芳香族性が低く、好ましくは、15未満のBMCIを有する。
【0017】
CBFSは、本発明の文脈において経済的な観点から魅力的な油供給源であり、好ましくは、主にC14~C50を含み、C14~C50の合計が好ましくは、フィードストックに対して少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%の量に達する、重質炭化水素混合物である。カーボンブラックを製造するために使用される最も重要なフィードストックのうちの一部は、ガス油の流動触媒クラッキングから得られたクラリファイドスラリー油(CSO:clarified slurry oil)、ナフサ水蒸気クラッキングから出たエチレンクラッキング装置残留物およびコールタール油を含む。パラフィン(C15未満)の存在は、上記フィードストックの適性を実質的に低下させるため、より高い芳香族性が好ましい。芳香族の濃度は、炭素核が形成される速度を決定する。カーボンブラックフィードストックは、好ましくは、高い収率の達成を可能にする高いBMCIを有し、したがって、最低限の熱の投入が製造コストを低減する。好ましい態様において、現在のCBFS仕様によれば、油の混合物を含む油は、120超のBMCI値を有する。当業者ならば、どれが適切CBFSであるかを理解するのに困難はないが、単に指針として、(収率の観点から)CBFSのBMCI値は、好ましくは120超、さらにより好ましくは132超であることに留意する。油中におけるアスファルテンの量は好ましくは、CBFS重量に対して10重量%未満、好ましくは5.0重量%未満である。硫黄は、製品品質に悪影響し、より低い収率につながり、設備を腐食させるため、CBFSは、好ましくは、低い硫黄含量を有する。
【0018】
ASTM D1619に従った油の硫黄含量は、8.0重量%未満、好ましくは4.0重量%未満、より好ましくは2.0重量%未満であることが好ましい。
【0019】
エマルション、好ましくはCBFSを含むエマルションは、油相および水相が、油、水または界面活性剤の物理的な分離が肉眼に示されない混和できる1つの混合物であるように光学的に見えることを意味するように理解されている、「単相エマルション」である。
単相エマルションは、マクロエマルションまたはマイクロエマルションであってよく、速度論的に安定または熱力学的に安定の何れかであり得る。エマルションを完全に壊すプロセス(合体)、すなわち、系をバルク状の油および水相に分離するプロセスは、異なる4種の液滴喪失機構、すなわち、ブラウン綿状凝集、クリーミング、沈降綿状凝集および不均化によって制御されると概して考えられる。
【0020】
本発明の文脈における「安定な単相エマルション」は、好ましくはエマルションが1.0超のpH単位のいかなるpHの変化も示さないという点、および/または、エマルションが20%超のいかなる粘度の変化も示さないという点を反映して、エマルションが、炭素構造体網目構造製造時間を超える期間の時間にわたって、目で視認できる物理的な分離を示さず、を意味するように理解されている。「安定な」という用語は、(エネルギーを加えること、すなわち、混合によって)「熱力学的に安定な」または「速度論的に安定な」ことを意味することができる。実際、単相エマルションは、偏析が光学的に発生しない場合、すなわち、単相が、エマルションの調製から少なくとも1分の期間にわたって保持されている場合、安定であると考えられる。したがって、エマルションは、調製から少なくとも1分、好ましくは少なくとも5分の期間の時間にわたって、1.0pH単位に収まるようにpHを維持すること、および/または、変化が20%未満であるように粘度を維持することが好ましい。取扱い目的のためには長期にわたる安定性が好ましいが、製造プロセスは、依然として、1分、好ましくは5分の比較的短い時間枠にわたって安定なエマルションの使用から利益を受けることが可能であり、すなわち、エネルギーを加えること(混合)によって、エマルションの安定性を延長することが可能であり、短期的な安定性は、インライン式混合を使用して延長することができることに留意する。マクロエマルションは、熱力学的に安定ではなく、常に、混和できない別々になった元々の油相および水相に戻るが、崩壊速度は、製造プロセスの期間にわたってエマルションが速度論的に安定であるようにするのに十分なほどゆっくりであってよい。
【0021】
安定な単相エマルションが得られることを条件にして、水および油の量は、限定を加えるものであるとは考えられないが、量を少なくした水(および量を多くした油)は収率を改善することに留意する。水含量は、エマルションに対して一般的に5~50重量%、好ましくは、エマルションに対して10~40重量%、さらにより好ましくは30重量%以下、より好ましくは10~20重量%である。より多い量の水も考えられ得るが、水の量をより多くすることは、収率と引き換えになる。いかなる理論にも拘束されることは望まないが、本発明者らは、水相が、このようにして得られる網目構造の形状およびモルフォロジに寄与すると考えている。
【0022】
界面活性剤の選択は、油、水および界面活性剤の組合せが、ここで上記に規定の安定なマイクロエマルションを生じさせることを条件にして、限定を加える要素であるとは考えられない。当業者へのさらなる手引きとして、界面活性剤は、系の疎水性または親水性、すなわち、親水親油バランス(HLB)に基づいて選択することができることに留意する。界面活性剤のHLBは、Griffin法またはDavies法に従って分子にある異なる領域の値を計算することによって判定される、界面活性剤が親水性または親油性である度合いの尺度である。適切なHLB値は、油の種類ならびにエマルション中における油および水の量に依存し、当業者ならば、上記に規定の熱力学的に安定な単相エマルションを保持する要件に基づいて容易に判定することができる。好ましくは30重量%未満水相を有する50重量%超の油を含むエマルションは、7超、好ましくは8超、より好ましくは9超、最も好ましくは10超のHLB値を有する界面活性剤によって、最も良好に安定化されることが見出されている。一方、最大で50重量%の油を有するエマルションは、12未満、好ましくは11未満、より好ましくは10未満、最も好ましくは9未満、特に8未満のHLB値を有する界面活性剤によって、最も良好に安定化されるであろう。界面活性剤は、好ましくは、油相と相溶性であるように選択される。油が、CBFSを伴うCBFSを含むエマルションである場合、高い芳香族性を有する界面活性剤が好ましいが、低いBMCIを有する油、例えば15未満のBMCIを特徴とするものは、脂肪族界面活性剤を使用して最も良好に安定化されるであろう。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性もしくは非イオン性またはこれらの混合物であってよい。1種以上の非イオン性界面活性剤は、残留イオンが最終製品中に残らないため、収率を上昇させるために好ましい。清浄なテールガス流を得るために、界面活性剤構造体は、好ましくは硫黄および窒素が少なく、好ましくは、硫黄および窒素を不含である。安定なエマルションを得るために使用することができる一般的な非イオン性界面活性剤の非限定的な例は、tween、span、Hypermer、Pluronic、Emulan、Neodol、Triton XおよびTergitolという市販の系列である。
【0023】
本発明の文脈において、マイクロエマルションは、水、油(好ましくはCBFS)および界面活性剤から製造された分散物であるが、この分散物は、光学的に等方性で熱力学的に安定な単一の液体であり、分散ドメイン直径が約1~500nm、好ましくは1~100nm、通常10~50nmで変動する。マイクロエマルション中において、分散相のドメインは、球体状(すなわち、液滴)であること、または、(二方連続型マイクロエマルションを生じさせるように)相互接続されていることの何れかである。好ましい態様において、界面活性剤の末尾部分は、油中水(w/o)型エマルションまたは二方連続型エマルションの油相中に連続的な網目構造を形成する。水ドメインは、好ましくは1nm~100nmの平均粒径を有する、金属触媒を含有すべきである。
【0024】
単相エマルション、すなわち、w/o型または二方連続型マイクロエマルション、好ましくは二方連続型マイクロエマルションは、好ましくは1~100nmの平均粒径を有する、金属触媒ナノ粒子をさらに備える。当業者ならば、カーボンナノチューブ(CNT)の分野において、上記種類のナノ粒子を製造および使用するための十二分な手引きを見出す。これらの金属ナノ粒子は、速度と収率の両方および再現性の観点から網目構造形成を改善することが見出されている。適切な金属ナノ粒子を製造するための方法は、Vinciguerraら「Growth mechanisms in chemical vapour deposited carbon nanotubes」Nanotechnology(2003)14、655;Perez-Caberoら「Growing mechanism of CNTs:a kinetic approach」J.Catal.(2004)224、197~205;Gavilletら「Microscopic mechanisms for the catalyst assisted growth of single-wall carbon nanotubes」Carbon.(2002)40、1649~1663およびAmelinckxら「A formation mechanism for catalytically grown helix-shaped graphite nanotubes」Science(1994)265、635~639において見出され、金属ナノ粒子の製造に関するこれらの内容は、参照によりここに組み込む。
【0025】
金属触媒ナノ粒子は、二方連続型またはw/o型マイクロエマルション、好ましくは、CBFSを含む二方連続型またはw/o型マイクロエマルション中に使用される。一態様において、二方連続型マイクロエマルションが、最も好ましい。有利には、金属粒子の一様性は、水性相が、最終的な金属粒子に還元することができる金属錯塩を含有する、第1の(二方連続型)マイクロエマルションと、水性相が、前記金属錯塩を還元することができる還元剤を含有する、第2の(二方連続型)マイクロエマルションとを混合することによって、前記(二方連続型)マイクロエマルション中で制御されているが、混合したときには、金属錯体が還元され、この結果として、金属粒子を形成する。制御された(二方連続型)エマルション環境は、焼結またはオストヴァルト熟成に対して粒子を安定化させる。触媒粒子のサイズ、濃度および耐久性は、容易に制御される。例えば金属前駆物質対還元剤のモル比を改変することによって、平均金属粒径を上記範囲に収まるように調整することは、通例の実験であると考えられる。還元剤の相対的な量の増大は、より小さな粒子を生じさせる。このようにして得られた金属粒子は単分散性のものであり、平均粒径からの偏差は、好ましくは10%、より好ましくは5%に収まる。さらに、本発明の技術は、当該金属前駆物質が還元可能であることを条件にして、実際の金属前駆物質に制限を課さない。効果的な触媒種の非限定的な例は、貴金属(Pt、Pd、Au、Ag)、鉄族元素(Fe、CoおよびNi)、RuおよびCuである。適切な金属錯体は、限定されるわけではないが、(i) 白金前駆物質、例えばH2PtCl6;H2PtCl6.xH2O;K2PtCl4;K2PtCl4.xH2O;Pt(NH3)4(NO3)2;Pt(C5H7O2)2、(ii) ルテニウム前駆物質、例えばRu(NO)(NO3)3;Ru(dip)3Cl2[dip=4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン];RuCl3、もしくは(iii) パラジウム前駆物質、例えばPd(NO3)2、または(iv) ニッケル前駆物質、例えばNiCl2もしくはNiCl2.xH2O;Ni(NO3)2;Ni(NO3)2.xH2O;Ni(CH3COO)2;Ni(CH3COO)2.xH2O;Ni(AOT)2[AOT=ビス(2-エチルヘキシル)スルホスクシネート]である。非限定的な適切な還元剤は、水素ガス、水素化ホウ素ナトリウム、重硫酸ナトリウム、ヒドラジンまたはヒドラジン水和物、エチレングリコール、メタノールおよびエタノールである。クエン酸およびドデシルアミンも、同様に適している。金属前駆物質の種類は、本発明の本質的な部分ではない。(二方連続型)マイクロエマルションの粒子の金属は好ましくは、最終的に形成される炭素構造体網目構造のモルフォロジを制御するために、Pt、Pd、Au、Ag、Fe、Co、Ni、RuおよびCuならびにこれらの混合物からなる群より選択される。金属ナノ粒子は最終的には、これらの構造体の内部に埋め込まれた状態になり、金属粒子は、構造体に物理的に付着している。これらの網目構造が形成される金属粒子の最低濃度は存在しないが(実際には、網目構造は、本発明による変形カーボンブラック製造方法を使用して形成される。)、収率は、金属粒子濃度に伴って上昇することが見出された。好ましい態様において、活性金属濃度は、少なくとも1mM、好ましくは少なくとも5mM、好ましくは少なくとも10mM、より好ましくは少なくとも15mM、より好ましくは少なくとも20mM、特に少なくとも25mM、最も好ましくは3500mM以下、好ましくは3000mM以下である。一態様において、金属ナノ粒子は、250mM以下を占める。これらは、(二方連続型)マイクロエマルションの水性相の量に対する触媒の濃度である。
【0026】
単相エマルション、好ましくはCBFSを含むエマルションの噴霧は好ましくは、ノズルシステム4を使用してスプレーによって実現され、これにより、エマルション液滴を反応区域3b内で熱い廃ガスa1と接触させ、慣例的な炭化、網目構造形成および後続する凝集を起こして、本発明による結晶性炭素構造体網目構造eを生成することができる。注入工程は好ましくは、600℃超、好ましくは700~3000℃、より好ましくは900~2500℃、より好ましくは1100~2000℃の高めた温度を伴う。
【0027】
本発明の異なるが関連する側面において、本発明は、反応器3内における本発明による結晶性炭素構造体網目構造の半バッチ式製造のための方法であって、本発明による単相エマルションcが、エアロゾルを得るために、好ましくはエアロゾル入口4を使用したスプレーによって、反応器3の頂部から注入され、前記網目構造eが、少なくとも600℃、好ましくは700~1200℃の温度で形成され、反応器炉の底部に堆積される、方法に関する。高温および反応条件は、熱分解(例えば、酸素が激減した状態でN2を使用する反応器の外部にある熱源)を使用して、または燃焼(空気または酸素を使用する反応器の内部にある熱源)によって達成されてもよい。さらなる態様において、半バッチ式プロセスは、クラッキング温度より高い状態にある炭素フィードガス、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレンおよびプロピレン、一酸化炭素、酸素化炭化水素、例えばメタノール;芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼンおよびナフタレンならびに前述のものの混合物、例えば一酸化炭素とメタンとの混合物によって好都合に運転される。
図1Bを参照されたい。一般的な滞留時間は、好ましい炉型ブラックプロセスと比較して延長されており、反応器内におけるエマルションの滞留時間は、一般的に1時間~7日程度、より好ましくは8時間~3日程度である。単相エマルションは、先に規定のとおりであり、すなわち、金属触媒ナノ粒子を含む油中水(w/o)型マイクロエマルションまたは二方連続型マイクロエマルションである。
【0028】
上記との関連において、本発明は、反応器3内における結晶性炭素構造体網目構造の連続製造のための方法であって、本発明による単相エマルションcが、エアロゾルを得るために、好ましくはエアロゾル入口4を使用したスプレーによって、好ましくはサーマルブラック反応器である反応器3の頂部から注入され、前記網目構造eが、少なくとも600℃、好ましくは700~1200℃の高めた温度で形成され、反応器の底部に堆積され、高めた温度が、燃焼(空気または酸素を使用する反応器の内部にある熱源)を使用して得られるが、エマルションが、熱分解条件下でのみ注入される、方法にも関する。さらなる態様において、初期燃焼工程を包含する連続式「熱分解」プロセスは、クラッキング温度より高い状態にある炭素フィードガス、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレン、アセチレンおよびプロピレン、一酸化炭素、酸素化炭化水素、例えばメタノール;芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼンおよびナフタレンならびに前述のものの混合物、例えば一酸化炭素とメタンとの混合物によって好都合に運転される。
図1Bを参照されたい。反応器内におけるエマルションの滞留時間は、好ましくは1~600秒、より好ましくは5~60秒の範囲である。単相エマルションは、先に規定のとおりであり、すなわち、金属触媒ナノ粒子を含む油中水(w/o)型マイクロエマルションまたは二方連続型マイクロエマルションである。
【0029】
上記本発明の半バッチ式および連続式の方法によれば、結晶性炭素構造体網目構造(すなわち、結晶性炭素構造体の網目構造)を製造することができる。したがって、関連する側面において、本発明は、本発明の方法によって得られるまたは得ることができる、結晶性炭素構造体網目構造に関する。「炭素構造体」という用語は、sp2に基づいた結晶性の炭素同素体、すなわち、グラフェン、フラーレン、炭素ナノファイバーおよびカーボンナノチューブを含む、1個の炭素原子が六角形パターンになるように隣接する3個の炭素原子に結合している物質を含むように理解される。本発明の方法は、Y型およびH型接合部を含む多数の接合部によって化学的に相互接続されている炭素構造体から形成された、結晶性炭素構造体網目構造の成長を可能にする。本発明の文脈において、「網目構造」は好ましくは、少なくとも3、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも10、より好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも500個の化学結合した結節点を含むと理解される。
【0030】
網目構造は好ましくは、次の特性
(i) ASTM D1510に従って少なくとも250mg/g、より好ましくは少なくとも300mg/g、好ましくは300~1000mg/gのヨウ素吸着価(IAN)、
(ii) ASTM D6556に従って少なくとも250m2/g、より好ましくは少なくとも300m2/g、好ましくは300~1000m2/gの窒素表面積(N2SA)、
(iii) ASTM D6556に従って少なくとも120m2/g、より好ましくは少なくとも150m2/g、好ましくは150~1000m2/gの統計的厚さ表面積(STSA)、
(iv) ASTM D2414に従って少なくとも150cc/100g、好ましくは150~500cc/100gのオイル吸収価(OAN)
のうちの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、最も好ましくはすべてを有し、
ここで、
IAN=ヨウ素吸着価:ASTM D1510に従って規定された指定の条件下において、カーボンブラック1キログラム当たりで吸着されたヨウ素のグラム数、
N2SA=窒素表面積:ASTM D6556に従ってB.E.T.理論を使用して窒素吸着データから計算されるカーボンブラックの合計表面積、
STSA=統計的厚さ表面積:ASTM D6556に従ってde Boer理論およびカーボンブラックモデルを使用して窒素吸着データから計算されるカーボンブラックの外表面積、ならびに、
OAN=オイル吸収価:指定の条件下で100gのカーボンブラックによって吸収された、ジブチルフタレート(DBP)またはパラフィン油の立方センチメートルの数値。OAN値は、ASTM D2414に従って判定されるカーボンブラックの構造体レベルの凝集の度合いに比例する。
【0031】
すべてがカーボンブラック材料を特徴づけるための一般的なパラメータである、IAN、N2SA(またはNSA)、STSAおよびOANのそれぞれに関しては、網目構造は、慣例的なカーボンブラックと比較して、より優れた特性を提示する。本発明の網目構造は、(i)、(ii)および(iii)のうちの少なくとも1つの、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくはすべてによって特徴付けられるが、この理由は、これらの(i)、(ii)および(iii)が、材料の表面積特性を特徴付ける一般的な方法であるためである。一態様において、網目構造は、(i)、(ii)および(iii)のうちの少なくとも1つを提示し、(iv)をさらに満たす。
【0032】
網目構造を形成する上記構造体は、8~500nmである球状カーボンブラック粒子の平均粒径と比較して、好ましくは1~400nm、より好ましくは5~350nm、より好ましくは100nm以下、一態様において50~100nmの平均直径または厚さを有する、固体の(すなわち、中空ではない)ナノファイバーとして記述されてもよい。一態様において、平均繊維長さ(すなわち、2つの接合部間の平均距離)は、例えばSEMを使用して判定することができるものとして、好ましくは100~10,000nm、より好ましくは200~5000nm、より好ましくは500~5000nmの範囲である。
あるいは、ナノファイバーまたは構造体は好ましくは、従来のカーボンブラック製造によって得られた球状粒子から形成された非晶性の(物理的に会合した)凝集物とは顕著に異なる、少なくとも2、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4、最も好ましくは少なくとも5である繊維長さ対厚さの平均アスペクト比の観点で記述されてもよい。本発明による炭素構造体網目構造の凝集物は、一般的に0.1~100ミクロン程度、好ましくは1~50ミクロン程度のものであり、これは、レーザー回折および動的光散乱法分析によって観察される。
【0033】
本発明は、例えばポリマーを主体とした複合材料に機械的強度、導電性または熱伝導率を付与するための1種以上のポリマーをさらに含む、本発明による炭素構造体網目構造を含む複合材料にも関する。網目構造は、所望の性能に適合した任意の量、例えば、複合材料中におけるポリマー総重量に対して1~70重量%、より好ましくは10~50重量%、さらにより好ましくは20~40重量%の量で加えられてもよい。一側面において、複合材料は、例えばISO527に従って測定される、網目構造濃度に依存した弾性率(弾性率E、すなわち、網目構造の濃度上昇に伴った増大)を示す。
【0034】
[実施例]
例1A。結晶性炭素構造体網目構造の調製。
a) カーボンブラックスラリー油(CBOまたはCBFS油)
b) 3500mMの金属前駆物質塩(FeCl3)を含有する水相
c) 還元剤(3650mMのクエン酸)を含有する水相
d) 界面活性剤(TritonX;HLB13.4)
から成り立つ、100ガロンのフィードストックを調製した。
【0035】
マイクロエマルション(a+b+d)および(a+c+d)の厳密な組成物は、下記に詳述した。
【0036】
【0037】
マイクロエマルション(a+b+d)とマイクロエマルション(a+c+d)の両方を一緒に加え、撹拌によって単相マイクロエマルションを得たが、前記マイクロエマルションは、1時間超の間安定だったが、これは、実験の全期間より長かった。
【0038】
このようにして得られた網目構造は、次の特徴を有していた。
IAN=ASTM D1510に従って382.5mg/g
N2SA=350m2/g(ASTM D6556)
STSA=160.6m2/g(ASTM D6556)
OAN=170cc/100g(ASTM D2414)。
【0039】
例2。カーボンブラック対網目構造
例1による炭素網目構造を、(a)を使用して製造された従来のカーボンブラックと比較した。標準的なグレードのカーボンブラックは一般的に、150m2/g以下で変動する(N100グレードのゴムカーボンブラック)窒素表面積(NSAまたはN2SA)を有する。
【0040】
炭素網目構造のモルフォロジを、走査型電子顕微鏡法(SEM)によって評価した。炭素網目構造構成ブロックは、100nm未満の平均繊維径を有する化学的に共有結合した固体炭素(ナノ)繊維であることが見出された。一方、カーボンブラック構成ブロックは、グラファイト層が球状形状(8~300nmの直径)になるように組織化された、団塊だった。カーボンブラックおよび炭素網目構造構成ブロックのSEM写真が、それぞれ
図2Aおよび
図2Bに示されている。炭素網目構造は、1~100μmの凝集物サイズで組織化されたが、カーボンブラック凝集物は、一般的に、85~500nmの範囲であることが見出された。
【0041】
例3:金属ナノ粒子の効果
金属触媒濃度は、反応の最終的な収率に効果を及ぼした。3つの20gの二方連続型マイクロエマルションを、イソプロピルパルミテート(35重量%)、ブタノール(11.25重量%)、Tween80(33.75重量%)、水(20重量%)から製造した。
第1のバッチは、いかなる金属ナノ粒子も用いないで調製したが、2つのバッチは、50mMおよび200mMのFeCl3金属ナノ粒子(10:1の比であるクエン酸およびFeCl3を主体とする)を含んでいた。エマルションのそれぞれは、実験の全期間にわたって安定だった。金属ナノ粒子を用いない実験を、少なくとも10回実施した。
【0042】
何れの場合においても、エマルションを、水平な管状のサーマル反応器にある石英管の中央に導入した。反応器を130sccmの窒素流下で750℃(3K/分)まで加熱し、同じ温度に90分保持した。最初の60分では、窒素ガス流を100sccmに低下させ、エチレンガスを100sccmの流量で加えた。750℃における最後の30分の間には、エチレンを窒素から130sccmでパージし、次いで、最後の30分の間に反応器を冷却した。
【0043】
金属ナノ粒子を用いた場合のみ、炭素構造体網目構造が得られた。金属ナノ粒子を用いない10回の実験の何れにおいても、網目構造が認められなかった。200mMのFeCl3の存在下で実施された試験は、50mMのFeCl3を用いた場合に報告された結果と比較して、炭素構造体網目構造の収率上昇を示した。
【0044】
100mMのFeナノ粒子を有する、イソプロピルパルミテート(35重量%)、ブタノール(11.25重量%)、Tween80(33.75重量%)および水(20重量%)を主体とした二方連続型マイクロエマルションによって得られた、網目構造のSEM写真が
図3に示されている。
【0045】
例4:PA6における弾性率Eのグラフ
炭素網目構造粉末、例えば例1の作製法に従って調製されたものを、二軸押出機(L/D=38、D=25mm)によってポリアミド6(Akulon F223D)中に異なる装入量(10、20、30、40重量%)でコンパウンドし、同じ条件下において10重量%、20重量%、30重量%の装入量でコンパウンドしたガラス繊維(Chopvantage3540)と比較した。弾性率EをISO527に従って測定し、成形された引張り試験用の棒材として乾燥させた。結果は、
図4にプロットされており、ガラス繊維の性能と同等である炭素網目構造の性能を指し示している。カーボンブラックは、いかなる濃度においても、熱可塑性物質の有意な強化をもたらさないことが見出された。
【0046】
例5:導電性PA6およびPETのグラフ
例1に従った作製法を使用して調製された炭素網目構造によって調製された異なる化合物を対象にして、二軸押出機(L/D=38、D=25mm)によるポリアミド6(Akulon F223D)およびPET(Ramapet N1)中への装入量が異なる状態で、体積抵抗率を測定した。結果は、
図5にプロットされている。パーコレーション曲線は、静電気拡散性範囲において、良好な添加量制御を示しており、高い導電性性能は、高い装入量において達成されている。反対に、導電性用途のためのカーボンブラックパーコレーションしきい値は、より低い添加量、すなわち、20重量%未満において見出されており、静電気拡散性範囲における添加量の制御は、不満足なものだった。さらに、炭素網目構造化合物は、30重量%の装入量に至るまで下落していないが、カーボンブラック化合物は、低い充填度においても下落していることが判明している。
【0047】
例6:機械的強度
本発明による変形カーボンブラック製造方法によって得られた炭素ナノファイバー網目構造(低いIAN、高い結晶性)は、熱可塑性(および熱硬化性)のポリマー樹脂の機械的特性を向上することができることが見出された。10重量%の炭素ナノファイバー網目構造をポリプロピレンコポリマーに加えることにより、ニートのポリマー基準品と比較して15%の引張(破壊)強度の増大および16%の弾性率の増大が起きた。Brabender(登録商標)Plasticorder(登録商標)を、210℃および80rpmにおいて十分な量の炭素ナノファイバー網目構造とポリプロピレンとを混合するために使用した。試料を圧縮成形し、Instron 3366 10kN引張り試験装置によって23℃、50%RHで試験した。
【0048】
【0049】
【0050】
例7:プラズマ反応器による製造
炭素ガスの燃焼ではなくプラズマの使用によって製造された、炭素ナノファイバー網目構造。使用されたプラズマガスは、60kWにおける窒素(N2)であり、初期プラズマ流量は、12Nm3/hだった。アルゴン流量は、0.6Nm3/hに設定した。フィードストック(エマルション)流量は、2.5kg/hに設定した。GC測定を実施して、H2および炭素変換の進行をモニタリングした。注入温度は1400℃に設定したが、近似した滞留時間は4秒だった。収集した材料は、0.13g/ccの密度を有し、SEMおよびTEMによって観察された炭素ナノファイバー網目構造の存在を示したが、図面を参照されたい。平均繊維径は、70nmであることが判定されたが、中間の長さは、繊維径の5~10倍だった。