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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】二次電池、電池モジュール、及び車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0587 20100101AFI20240722BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240722BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20240722BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20240722BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240722BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240722BHJP
【FI】
H01M10/0587
H01M50/249
H01M10/0525
H01M4/485
H01M50/209
H01M50/103
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021150403
(22)【出願日】2021-09-15
(65)【公開番号】P2023042961
(43)【公開日】2023-03-28
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】並木 佑介
(72)【発明者】
【氏名】柳 逸人
(72)【発明者】
【氏名】吉間 一臣
(72)【発明者】
【氏名】石橋 充
(72)【発明者】
【氏名】保科 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】原田 康宏
(72)【発明者】
【氏名】高見 則雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英俊
(72)【発明者】
【氏名】安田 一浩
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-199775(JP,A)
【文献】特開2005-011699(JP,A)
【文献】特開2019-169300(JP,A)
【文献】国際公開第2021/033697(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/131628(WO,A1)
【文献】再公表特許第2017/130855(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/05-10/0587;10/36-10/39
H01M50/10、50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極活物質を含む負極、及び、セパレータを備える捲回電極群と、
前記捲回電極群を収納している外装部材とを備え、
前記負極活物質はニオブチタン複合酸化物を含み、
割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にあり、初充電及びエージングに供された二次電池であって、
前記割合(Rblack)は、
X線Computed Tomography(以下、X線CTという。)により、前記捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像を800枚得る工程と、
前記800枚の断面画像のそれぞれをモノクロ256階調に変換した後、前記正極、前記負極及び前記セパレータに相当する部分が白色部となり、且つ、前記捲回電極群の内部に存在し得る空隙部分が黒色部となるように、閾値を設けて二値化する工程と、
二値化された前記800枚の各断面画像において、前記捲回電極群の外周で規定される前記捲回電極群の面積(St)に対する前記黒色部の面積(Sb)の割合を百分率にて求める工程と、
前記800枚の各断面画像において得られた、複数の前記割合を単純平均する工程とを含む方法で決定される二次電池。
【請求項2】
前記割合(Rblack)は0.15%~1.50%の範囲内にある請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記外装部材は、有底角筒形状を有する容器と、封口板とを備え、
前記容器は、底壁と、前記底壁の周縁部から前記底壁と直交する方向に延設する複数の側壁とを備えており、
前記捲回電極群の前記捲回軸は、前記底壁と平行に伸びている請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記底壁の形状は矩形であり、
前記複数の側壁は、前記底壁の長辺側に対応する2枚の長辺側側壁と、前記底壁の短辺側に対応する2枚の短辺側側壁とを備え、
前記捲回電極群の前記捲回軸は、前記2枚の長辺側側壁と平行に伸びている請求項3に記載の二次電池。
【請求項5】
前記ニオブチタン複合酸化物は、一般式LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される複合酸化物、及び、一般式LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1つであり、
前記M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つであり、
前記xは0≦x≦5を満たし、前記yは0≦y<1を満たし、前記zは0≦z<2を満たし、前記δは、-0.3≦δ≦0.3を満たす請求項1~4の何れか1項に記載の二次電池。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の二次電池を具備する電池モジュール。
【請求項7】
複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項6に記載の電池モジュール。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の電池モジュールを搭載した車両。
【請求項9】
前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む請求項8に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明実施形態は、二次電池、電池モジュール、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高エネルギー密度電池として、リチウムイオン二次電池のような非水電解質二次電池などの二次電池の研究開発が盛んに進められている。非水電解質二次電池などの二次電池は、ハイブリッド電気自動車や電気自動車等の車両用、携帯電話基地局の無停電電源用などの電源として期待されている。また、自立走行型の産業用ロボットやドローンなど、移動体サービス向けの電源需要も急増しているため、二次電池は、高エネルギー密度に加えて、急速充放電性能、長期信頼性のような他の性能にも優れていることも要求されている。
【0003】
二次電池用の電極材料として、Ti及びNbを含む材料が検討されている。このようなニオブチタン複合酸化物材料は、高い充放電容量を有すると期待されている。しかしながら、ニオブチタン複合酸化物材料は、急速充電時及び充放電サイクル時に体積の膨張収縮が生じる。これは、リチウムイオンが結晶構造中に脱挿入されることで結晶構造の骨格が大きく変化するためである。この膨張収縮に起因して、電極がわずかに変形すると共に、電池性能も変化するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-266661号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Dr. Michael et al., Image Processing with ImageJ, Reprinted from the July 2004 issue of Biophotonics International copyrighted by Laurin Publishing Co. INC.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、自己放電が少なく、低抵抗な二次電池、この二次電池を具備する電池パック、及び、この電池パックが搭載されている車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極、負極活物質を含む負極、及び、セパレータを備える捲回電極群と、捲回電極群を収納している外装部材とを備える。負極活物質はニオブチタン複合酸化物を含む。二次電池は、初充電及びエージングに供された二次電池である。下記方法により決定される割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある。割合(Rblack)は、X線Computed Tomography(以下、X線CTという。)により、捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像を800枚得る工程と、800枚の断面画像のそれぞれをモノクロ256階調に変換した後、正極、負極及びセパレータに相当する部分が白色部となり、且つ、捲回電極群の内部に存在し得る空隙部分が黒色部となるように、閾値を設けて二値化する工程と、二値化された800枚の各断面画像において、捲回電極群の外周で規定される捲回電極群の面積(St)に対する黒色部の面積(Sb)の割合を百分率にて求める工程と、800枚の各断面画像において得られた、複数の割合を単純平均する工程とを含む方法で決定される。
【0008】
他の実施形態によると、実施形態に係る二次電池を具備する電池モジュールが提供される。
【0009】
他の実施形態によると、実施形態に係る電池モジュールを具備する車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る二次電池の一例を模式的に示す展開斜視図。
図2図1に示す二次電池を下方から見た部分展開斜視図。
図3図1に示す二次電池で用いられる電極群の部分展開斜視図。
図4図1に示す二次電池を上方から見た部分展開斜視図。
図5】実施例に係る二次電池に対するX線CTによって得られる断面画像。
図6図5に係る断面画像を二値化して得られる画像。
図7】実施形態に係る二次電池を拘束している様子を概略的に示す正面図。
図8】実施形態に係る二次電池を拘束している様子を概略的に示す側面図。
図9図1に示す二次電池の斜視図。
図10】実施形態に係る電池モジュールの一例を模式的に示す展開斜視図。
図11図10に示す電池モジュールを概略的に示す断面図。
図12】実施形態に係る車両の一例を概略的に示す断面図。
図13】比較例に係る一例の二次電池が備える捲回電極群の捲回軸と直交する断面についてのX線CT画像。
図14図13に係る断面画像を二値化して得られる画像。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極、負極活物質を含む負極、及び、セパレータを備える捲回電極群と、捲回電極群を収納している外装部材とを備える。負極活物質はニオブチタン複合酸化物を含む。下記方法により決定される割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある。割合(Rblack)は、X線CTにより、捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像を800枚得る工程と、800枚の断面画像のそれぞれをモノクロ256階調に変換した後、正極、負極及びセパレータに相当する部分が白色部となり、且つ、捲回電極群の内部に存在し得る空隙部分が黒色部となるように、閾値を設けて二値化する工程と、二値化された800枚の各断面画像において、捲回電極群の外周で規定される捲回電極群の面積(St)に対する黒色部の面積(Sb)の割合を百分率にて求める工程と、800枚の各断面画像において得られた、複数の割合を単純平均する工程とを含む方法で決定される。
【0013】
ニオブチタン複合酸化物は、二次電池の充放電に伴ってリチウムイオンが吸蔵放出されることにより格子体積が変化する。それ故、ニオブチタン複合酸化物を含む負極を繰り返し充放電に供すると、活物質含有層が膨張収縮する。特に、二次電池の初充電の際に、ニオブチタン複合酸化物の体積変化が最も大きい。二次電池の製造直後(初充電前)の時点では、活物質含有層を構成する活物質粒子等の電極材料が、層内において比較的均一な密度で分布している。しかしながら、この二次電池を初充電に供すると、ニオブチタン複合酸化物の体積膨張に伴い、層内の或る部分における電極材料の密度と、層内の他の部分における電極材料の密度とに大きな差が生じ得る。
【0014】
一方で、帯状且つシート形状を有する負極、セパレータ及び正極が捲回されてなる捲回電極群を製造する際には、一般的に、これらのシートを互いに隙間が生じないように捲回する。その後、捲回電極群は、所定の容積を有する外装部材に収容される。電池容量を高める観点から、外装部材の側壁と捲回電極群との間には、隙間が無いか、又は、ほとんど無い。
【0015】
従って、余分な隙間を含んでいない捲回電極群が初充電に供されると、負極活物質含有層の膨張が不均一に生じることにより、或いは、負極活物質含有層の膨張による応力の逃げ場が無いために、捲回電極群の少なくとも一部に皺が形成される場合がある。本発明者らはこの皺の形成度合いに着目し、皺の形成度合いを制御することにより、自己放電が少なく、低抵抗な二次電池が得られることを見出した。
【0016】
捲回電極群に対する皺の形成度合いは、X線CTによる断層撮影に基づいて評価する。捲回電極群の捲回軸方向に沿って、X線CTによる複数回の断層撮影が行われると、捲回電極群の断面を示す白黒画像(グレースケール画像)が複数枚得られる。言い換えると、捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像が複数枚得られる。この断面画像のそれぞれにおいて、捲回電極群を構成する負極、正極及びセパレータに相当する部分は主に白色で示され、皺によって形成される空隙に相当する部分は、主に黒色で示される。この断面画像を所定条件で二値化し、捲回電極群の断面積に対する、皺に対応する黒色部の面積の割合を算出することで、定量的に皺の形成度合いを評価することができる。具体的な評価方法は後述するが、X線CTの実施に当たっては、捲回電極群の全体に亘って皺の形成度合いを評価するために、断層撮影によって、捲回軸方向に沿って位置が異なる複数枚の断面画像を用意する。具体的には、800枚の断面画像を用意する。そして、皺の形成度合いは、それぞれの画像について上記割合を算出し、これら割合を単純平均した平均値で評価する。この平均値を、本願明細書及び特許請求の範囲においては、「割合(Rblack)」とも呼ぶ。
【0017】
実施形態に係る二次電池において、捲回電極群の断面積に対する黒色部の面積の割合(Rblack)は0.10%以上2.0%以下の範囲内にある。この割合が小さいほど、捲回電極群に含まれる皺は少ない。割合(Rblack)が0.10%未満である場合、捲回電極群は、皺をほとんど含んでいないと判断できる。この場合には、二次電池の初充電以降、捲回電極群を構成する各部材の密着性が高い。それ故、負極活物質含有層を構成する材料の表面上には、例えば、電解液との副反応によって生成する被膜が過剰量で存在している。その結果、電池抵抗が高い。一方、割合(Rblack)が2.0%を超えると、捲回電極群に含まれる皺が多過ぎると判断できる。この場合には、正負極の表面上に存在する被膜量が少ない。それ故、電池抵抗は比較的低いが、自己放電が過剰に生じるため好ましくない。
【0018】
割合(Rblack)は0.15%~1.50%の範囲内にあることが好ましく、0.30%~0.80%の範囲内にあることがより好ましい。
【0019】
一例に係る二次電池を、図面を参照しながら説明するが、二次電池の態様はこれに限定されない。
【0020】
図1は、実施形態に係る二次電池の展開斜視図である。図2は、図1に示す二次電池を下方から見た部分展開斜視図である。図3は、図1に示す二次電池で用いられる電極群の部分展開斜視図である。図4は、図1に示す二次電池を上方から見た部分展開斜視図である。二次電池は、例えば、リチウム二次電池、又は、非水電解質を含む非水電解質二次電池であり得る。
【0021】
二次電池100は、外装部材1と、外装部材1内に収納された捲回電極群2と、捲回電極群2に含浸された非水電解液(図示しない)とを含む。外装部材1は、有底角筒型容器3と、容器3の開口部に、例えば溶接によって固定された封口板4とを有する。捲回電極群が収容可能であれば外装部材の形状は特に限定されないが、外装部材は、例えば直方体形状又は立方体形状を有する。二次電池100は、例えば、密閉型の角形非水電解質二次電池であり得る。
【0022】
図3に示すように、捲回電極群2は、正極5と負極6がその間にセパレータ7を介して、仮想的な捲回軸2pを中心として偏平形状に捲回されたものである。正極5は、例えば金属箔からなる帯状の正極集電体と、正極集電体の長辺に平行な一端部からなる正極集電タブ5aと、少なくとも正極集電タブ5aの部分を除いて正極集電体に形成された正極活物質層5bとを含む。一方、負極6は、例えば金属箔からなる帯状の負極集電体と、負極集電体の長辺に平行な一端部からなる負極集電タブ6aと、少なくとも負極集電タブ6aの部分を除いて負極集電体に形成された負極活物質層6bとを含む。
【0023】
このような正極5、セパレータ7及び負極6は、正極集電タブ5aが電極群の捲回軸2p方向にセパレータ7から突出し、かつ負極集電タブ6aがこれとは反対方向にセパレータ7から突出するよう、正極5及び負極6の位置をずらして捲回されている。このような捲回により、電極群2は、図3に示すように、一方の端面から渦巻状に捲回された正極集電タブ5aが突出し、かつ他方の端面から渦巻状に捲回された負極集電タブ6aが突出している。
【0024】
捲回電極群2は、正極5、セパレータ7及び負極6が平坦に積層されてなる2つの平坦部2aと、正極5、セパレータ7及び負極6が湾曲した状態で積層されてなる2つの湾曲部2bとを備える。2つの平坦部2aは、捲回軸2pを境として互いに対向している。2つの湾曲部2bは、2つの平坦部2aを介して互いに対向している。
【0025】
図1及び図2に示すように、正極リード8は、正極端子9と電気的に接続するための接続プレート8aと、接続プレート8aに開口された貫通孔8bと、接続プレート8aから二股に分岐し、下方に延出した短冊状の集電部8cとを有する。正極リード8の集電部8cは、その間に電極群2の正極集電タブ5aを挟み、溶接によって正極集電タブ5aに電気的に接続されている。一方、負極リード10は、負極端子11と電気的に接続するための接続プレート10aと、接続プレート10aに開口された貫通孔10bと、接続プレート10aから二股に分岐し、下方に延出した短冊状の集電部10cとを有する。負極リード10の集電部10cは、その間に電極群2の負極集電タブ6aを挟み、溶接によって負極集電タブ6aに電気的に接続されている。正負極リード8,10を正負極集電タブ5a,6aに電気的に接続する方法は、特に限定されるものではないが、例えば超音波溶接又はレーザ溶接等の溶接が挙げられる。
【0026】
電極ガード12は、正負極集電タブ5a,6aの端面を覆う側壁12aと、正負極集電タブ5a,6aの最外周を覆うようにU字状に湾曲した側壁12bとを有する。電極ガード12の上端は、そこから電極群2を収納するため、開放されている。電極群2の正極集電タブ5aは、正極リード8の集電部8cが溶接された状態で電極ガード12によって被覆される。正極リード8の接続プレート8aは、電極ガード12の上方に位置している。一方、電極群2の負極集電タブ6aは、負極リード10の集電部10cが溶接された状態で電極ガード12によって被覆される。負極リード10の接続プレート10aは、電極ガード12の上方に位置している。2つの電極ガード12は、電極群2に絶縁テープ13によって固定されている。
【0027】
図1図2及び図4に示すように、封口板4は、矩形板状をしている。封口板4は、正負極端子9,11を取り付けるための貫通孔4a,4bを有する。また、封口板4は、注液口20を有する。
【0028】
注液口20は、そこを通して電解液が注液された後、電池内部において発生したガスの放出にも使用される。注液口20は、封止蓋14によって封止される。封止蓋14は、封口板4の表面に例えば溶接によって固定される。封止蓋14は、ここでは円板状の形状を有するが、注液口20を封止することができればその形状は特に制限されない。封止蓋14は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属から形成される。
【0029】
図2に示すように、封口板4の裏面には絶縁板16が配置されている。絶縁板16は、一方の端部に正極リード8の接続プレート8aが収納される凹部16aと、他方の端部に負極リード10の接続プレート10aが収納される凹部16bとを有する。凹部16aと凹部16bとの間は、開口されており、封口板4の裏面が露出している。また、絶縁板16の凹部16a及び凹部16bは、それぞれ、封口板4の貫通孔4a,4bと連通する貫通孔を有する。
【0030】
正負極端子9,11は、それぞれ、矩形板状の頭部9a,11aと、頭部9a,11aから延出された軸部9b,11bとを有する。絶縁ガスケット17は、正負極端子9,11の軸部9b,11bが挿入される貫通孔17aを有する。正極端子9の軸部9bは、絶縁ガスケット17の貫通孔17a、封口板4の貫通孔4a、絶縁板16の貫通孔、正極リード8の接続プレート8aの貫通孔8bに挿入され、これら部材にかしめ固定されている。これにより、正極端子9は、正極リード8を経由して正極集電タブ5aと電気的に接続される。一方、負極端子11の軸部11bは、絶縁ガスケット17の貫通孔17a、封口板4の貫通孔4b、絶縁板16の貫通孔、負極リード10の接続プレート10aの貫通孔10bに挿入され、これら部材にかしめ固定されている。これにより、負極端子11は、負極リード10を経由して負極集電タブ6aと電気的に接続される。
【0031】
図4を参照しながら、容器3についてより詳細に説明する。容器3は、底壁(容器底壁)30と、側壁(容器側壁)31a、31b、32a、32bとを備える。容器3では、底壁30及び側壁31a、31b、32a、32bによって、電極群2が収納される収納空間が形成される。収納空間は、容器3のZ方向の一方側(上側)へ開口している。収納空間の開口部は、封口板4により塞がれる。
【0032】
容器3では、側壁31a、31b、32a、32bのそれぞれは、底壁30から封口板4まで、Z方向に沿って延設される。底壁30は、互いに向かい合う一組の長辺と、互いに向かい合う一組の短辺とを有する矩形板状を有する。長辺側側壁31a、31bは、収納空間を挟んで、互いに対してY方向に沿って離れて配置される。短辺側側壁32a、32bは、収納空間を挟んで、互いに対してX方向に沿って離れて配置される。また、長辺側側壁31a、31bのそれぞれは、短辺側側壁32aから短辺側側壁32bまでX方向に沿って延設される。短辺側側壁32a、32bのそれぞれは、長辺側側壁31aから長辺側側壁31bまでY方向に沿って延設される。
【0033】
容器3において長辺側側壁31aの外表面から長辺側側壁31bの外表面までの寸法が、容器3のY方向についての寸法と同一又略同一である。そして、容器3において短辺側側壁32aの外表面から短辺側側壁32bの外表面までの寸法が、容器3のX方向についての寸法と同一又略同一である。側壁の厚さが一定であれば、容器3のY方向についての寸法、又は、容器3のX方向についての寸法を変化させることにより、捲回電極群2への拘束力が変化する。容器3のY方向についての寸法、及び、容器3のX方向についての寸法は、底壁30の寸法を変更して制御することができる。なお、捲回電極群2を拘束する手段等については後で詳述する。
【0034】
図4並びに図1及び図2に示しているように、捲回電極群2は、例えば、その捲回軸2pが外装部材1の底壁30と平行又は略平行となるように、外装部材1に収容されている。捲回電極群2は、その捲回軸2pが底壁30と直交又は略直交するように、外装部材1に収容されてもよい。
【0035】
捲回電極群2の捲回軸2pは、容器3の底壁30と平行であり、且つ、2枚の長辺側側壁31a及び31bとも平行であることが望ましい。言い換えると、偏平型の電極群2のうち、捲回軸2pを挟んで設けられている2つの平坦部2aが、2枚の長辺側側壁31a及び31bと、それぞれ対向することが好ましい。この場合、広い面積を持つ長辺側側壁31a及び31bにより、広い面積を持つ捲回電極群2の平坦部が拘束されやすい。それ故、この場合、捲回電極群2内の皺量を制御しやすい利点がある。なお、皺量の調整方法に関しては後で詳述する。
【0036】
<X線CT条件及び二値化条件>
以下、X線CTにより実際に撮影された画像を参照しながらX線CTの際の撮影条件、及び、二値化を行う際の条件について説明する。図5は、後述する実施例1に係る二次電池に対してX線CTによる断層撮影を行って得られた一断面を示す画像である。図6は、図5に係る画像を、所定条件にて二値化して得られる画像である。
【0037】
まず、X線CT装置内に、測定対象となる二次電池を設置し、管電圧を10-130kV、管電流を10-300μA、焦点サイズを約5μmに設定する。X線CT装置としては、例えば、テスコ社製のTXS300 Micro、又は、これと等価な機能を有する装置を使用する。この条件でX線CTによる断層撮影を実施する。図5は、この条件に従って、捲回電極群2の捲回軸2pと直交する断面を撮影した白黒画像(グレースケール画像)である。X線CTでは、捲回軸2pに沿った撮影位置が、互いに異なる800枚の断面画像を撮影する。図5は、こうして得られた複数の断面画像のうちの一枚である。捲回軸2pに沿った撮影位置は、捲回軸2pに沿った捲回電極群2の長さを100%とした場合に、少なくとも、0.125%ずつの間隔を開けて800箇所以上で撮影する。CTスキャンによって撮影される画像の間隔は、更に狭いことが好ましい。
【0038】
図5において、断面形状が略矩形である外装部材1の内部には、捲回電極群2が収容されている。捲回電極群2は、その捲回軸(図示していない)が、外装部材1の底壁30と平行であり、且つ、2枚の長辺側側壁31a及び31bとも平行となるように外装部材1に収容されている。捲回電極群2は、図3などを参照しながら説明した電極群である。
捲回電極群2は、少なくとも1つの皺wを含み得る。
【0039】
図5を二値化して得られる画像が図6である。二値化処理では、画像処理ソフトとして、非特許文献1に示すImage Jを使用する。断面画像をモノクロ256階調に変換し、閾値を設けて二値化する。閾値は、捲回電極群の断面において、負極、セパレータ及び正極に相当する部分が白色に、皺に相当する部分(空隙部)が黒色に表示されるように設定する。次に、捲回電極群2の外周で規定される、当該捲回電極群2の面積(St)を求める。面積Stは、白色部の面積(Sw)と、二値化前の皺に対応する黒色部の面積(Sb)とが合計されたものである。黒色部の面積Sbを捲回電極群2の面積Stで除して100を乗じることにより、当該二値化画像における、捲回電極群2の面積Stに対する黒色部の面積Sbの割合Xを百分率で算出する。
【0040】
X線CTで得られる800枚の画像のそれぞれに対して上記の操作により割合Xを算出する。算出した複数の割合Xの値を単純平均して、平均値を求める。この平均値が「割合(Rblack)」である。
【0041】
<二次電池の製造方法>
二次電池100は、例えば、以下の方法により作製される。まず、捲回電極群2を作製して外装部材1に収納する。捲回電極群2は、例えば、次のように作製することができる。正極5と負極6とをその間にセパレータ7が介在するようにして積層させて、正極5と負極6とセパレータ7との積層体を得る。この積層体を捲回した後、得られる捲回体に対して更にプレスを施すことにより、偏平形状の捲回電極群2を作製することができる。
【0042】
捲回電極群2を外装部材1に収納する際、具体的には、作製した捲回電極群2を乾燥した後、電極群2の正負極集電タブ5a,6aに正負極リード8,10を溶接する。次いで、電極群2の正負極集電タブ5a,6aに電極ガード12を取り付け、電極ガード12を電極群2に絶縁テープ13によって固定する。次いで、正負極端子9,11、封口板4、正負極リード8,10をかしめ固定によって一体化した後、外装部材1の開口部に封口板4を溶接によって固定する。こうして、電極群2が外装部材1内に収納される。また、正負極リード8及び10、電極ガード12及び絶縁テープ13も外装部材1内に収納される。その後、外装部材1内に注液口20から電解質を注入し、注液口20を封止する。
【0043】
次いで、捲回電極群2を拘束した後、二次電池を初充電に供する。二次電池を初充電に供すると、負極活物質に含まれるニオブチタン複合酸化物に対してリチウムイオンが挿入されて負極活物質含有層が膨張する。これにより、捲回電極群内の少なくとも一部に皺が形成され得る。以下、捲回電極群2の拘束に関して詳述するが、捲回電極群2を拘束した状態で二次電池を初充電に供すると、皺の形成を抑制することができる。拘束とは、二次電池又は捲回電極群に対して圧力を掛けることを指す。拘束によって捲回電極群2に掛けられる圧力が大きいほど、皺量が低減する傾向がある。皺量が低減すると、割合(Rblack)も低減する。
【0044】
捲回電極群2を拘束するための一手段として、例えば図7及び図8に示すように、外装部材1の外部から、1つ以上の拘束治具60を用いて捲回電極群2を拘束する方法が挙げられる。図7は、二次電池を拘束している様子を概略的に示す正面図である。図8は、二次電池を拘束している様子を、部分的に断面として示す概略側面図である。
【0045】
図7及び図8に示す場合では、捲回電極群2に対して、外装部材1が備える一対の側壁(長辺側側壁31a及び31b)を介して、捲回電極群2に対して圧力が掛けられている。言い換えると、外装部材1は、1つ以上の拘束治具60により挟持されている。ここで、外装部材1が備える一対の側壁とは、捲回電極群2の平坦部2aが対向している2つの側壁である。従って、捲回電極群2に対する圧力は、主に、平坦部2aに掛けられている。捲回電極群2が有する平坦部2aは、図3及び図5にて示している。
【0046】
拘束治具60の例として、アルミニウム等の金属からなる金属板が挙げられる。図7及び図8に示す例では、2枚の拘束治具60(ここではアルミニウム板)が、それぞれ、ベーク板61を介して外装部材1を挟持している。2枚の拘束治具60は、ボルト及びナット等の拘束手段62を締付けることにより、これら拘束治具60が近接する方向に向かって外装部材1を加圧した状態で固定されている。拘束治具60及びベーク板61には、ボルト及びナット等の拘束手段62が挿入されうる貫通孔(図示しない)が所定の位置に設けられ得る。
【0047】
ベーク板61としては、例えば、紙又は布などの基材に対してフェノール樹脂などの樹脂を積層させた板を用いることができる。ベーク板61の厚さは、例えば2mm~40mmである。
【0048】
金属板と外装部材1との間にベーク板61を介在させることにより、外装部材1を拘束した場合に、金属板の変形を抑制することができる。それ故、外装部材1、ひいては、外装部材1に収納された電極群2の平坦部2aに対して均一な圧力を掛けることができる。
【0049】
捲回電極群2を拘束するための他の手段として、外装部材1を構成する有底角筒型容器3の底壁30の幅を小さくする方法が挙げられる。捲回電極群2に対する拘束力を変化させる目的で底壁30の幅を調節する場合、捲回電極群2の捲回軸2pと直交する方向について、底壁30の幅30wを調節する。底壁30の幅30wの調整においては、例えば、矩形底壁の短辺側についての幅を小さくする。この場合には、拘束治具60を使用すること無しに、捲回電極群2に対して掛かる圧力を制御することができる。但し、拘束治具60を更に使用してもよい。底壁30の幅30wを小さくすることにより、捲回電極群2に対して掛かる圧力を大きくすることができる。言い換えると、外装部材1は、拘束治具60として機能し得る。
【0050】
ここで、図9を参照しながら、実施形態に係る二次電池(外装部材)の寸法を例示する。図9は、図1図2及び図4に示す二次電池の外観を概略的に示す斜視図である。外装部材の寸法は、特に制限されないが、X方向に平行な電池の幅は、例えば1cm~30cmの範囲内にある。Y方向に平行な電池の厚さは、例えば1cm~30cmの範囲内にある。上述した底壁30の幅とは、図9においては、Y方向に平行な電池の厚さであり得る。Z方向に平行な電池の高さは、例えば1cm~30cmの範囲内にある。なお、図9において、X方向及びY方向は互いに直交する方向であり、Z方向は、X方向及びY方向の双方に対して直交する方向である。
【0051】
また、図示していないが、捲回電極群2を拘束するための更に他の手段として、外装部材1の側壁(例えば側壁31a)と、捲回電極群2の平坦部2aとの間にスペーサを挿入する方法が挙げられる。スペーサは、例えば、エラストマーなどの弾性体でありうる。
【0052】
初充電条件は特に制限されないが、例えば、下記の条件とする。二次電池を25℃にて0.5C~2.0Cの電流値で、電池電圧が2.0V~3.0Vに達するまで充電する。なお、充電時の電流値は、二次電池をSOC(State of Charge)が100%の状態から放電した場合に、1時間でSOCが0%になる電流値を1Cとして表す単位で示している。
【0053】
初充電の後、必要に応じてエージングを実施してもよい。エージングにより、例えば、負極活物質含有層の表面上及び正極活物質含有層の表面上に保護被膜が形成される。エージングでは、例えば、SOCが20%~100%の電池を、例えば60℃~120℃の温度に保たれた乾燥機内に保持する。エージング時間は、例えば10時間~60時間とする。エージング時の電池のSOCを高めるか、エージング温度を高めるか、及び/又は、エージング時間を長くすると、充電により活物質の体積変化が生じ電極へ応力がかかるにより皺量が増大する傾向がある。
【0054】
過剰量の被膜は電池抵抗を増大させるため、適度なエージングを施すことが好ましい。但し、被膜が厚い場合には、自己放電を低減させやすいという利点がある。エージング後には、必要に応じて、電池の開封を行うことにより、電池内に発生したガスを抜くことができる。このガス抜き後に、任意に真空引きを行ってもよく、その後、電池を再封止する。
【0055】
捲回電極群2の拘束力が大きい状態で二次電池をエージングに供すると、負極、セパレータ及び正極の密着性が高いため、被膜が形成されやすい。つまり、初充電後の時点で皺量が少ない場合、その後のエージングの際には被膜が形成されやすい。一方、捲回電極群2の拘束力が小さい状態で二次電池をエージングに供すると、負極、セパレータ及び正極の密着性が乏しい箇所(皺)があるため、拘束力が大きい場合と比較して被膜が形成されにくい。捲回電極群2に対する拘束力を制御することにより、割合(Rblack)を0.10%以上2.0%以下の範囲内に調整することができる。割合(Rblack)がこの範囲内にある場合、自己放電が少なく、低抵抗な二次電池が得られる。
【0056】
なお、皺量、即ち割合(Rblack)を調整するための捲回電極群に対する拘束は、初充電後、及び/又は、エージング後には解除してもよく、解除しなくてもよい。皺量を調整するためには、少なくとも初充電時及び/又はエージング時に捲回電極群が拘束されていることが望ましい。初充電後、及び/又は、エージング後に行われる繰り返し充放電の際にもニオブチタン複合酸化物の膨張収縮が生じるが、繰り返し充放電の際に生じる膨張収縮に伴う割合(Rblack)への影響は、初充電時及び/又はエージング時における割合(Rblack)への影響と比較して小さい。
【0057】
続いて、二次電池に含まれる各部材の詳細について説明する。
【0058】
二次電池は、捲回電極群に保持される電解質を更に具備し得る。捲回電極群及び電解質は、外装部材に収容される。二次電池は、正負極と外装部材との電気的な接続を回避するための電極ガードを更に備えることができる。
【0059】
二次電池が備える負極、正極、セパレータ、電解質、外装部材及び電極ガードについて説明する。
【0060】
(1)負極
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極活物質含有層は、負極集電体の片面又は両面に形成され得る。負極活物質含有層は、ニオブチタン複合酸化物を含む負極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
【0061】
ニオブチタン複合酸化物は、例えば、単斜晶型の結晶構造を有している。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、例えば、一般式LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される複合酸化物、及び、一般式LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1つである。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、及び、-0.3≦δ≦0.3を満たす。
【0062】
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体的な例として、例えば、Nb2TiO7、Nb2Ti29、Nb10Ti229、Nb14TiO37及びNb24TiO62を挙げることができる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、Nb及び/又はTiの少なくとも一部が異種元素に置換された置換ニオブチタン複合酸化物であってもよい。置換元素の例は、Na、K、Ca、Co、Ni、Si、P、V、Cr、Mo、Ta、Zr、Mn、Fe、Mg、B、Pb及びAlなどである。置換ニオブチタン複合酸化物は、1種類の置換元素を含んでいてもよく、2種類以上の置換元素を含んでいてもよい。
【0063】
負極活物質は、ニオブチタン複合酸化物以外の他の活物質を含んでいてもよい。他の活物質としては、例えば、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2(B))、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物及び直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物を挙げることができる。
【0064】
直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
【0065】
負極活物質中のニオブチタン複合酸化物の割合は、例えば50質量%以上であり、好ましくは80質量%以上である。
【0066】
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
【0067】
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と負極集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシルメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
【0068】
負極活物質含有層中の負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、負極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、70質量%以上96質量%以下、2質量%以上28質量%以下及び2質量%以上28質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、負極活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、負極活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ28質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
【0069】
負極集電体は、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位、例えば、1.0V(vs.Li/Li)よりも貴である電位において、電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
【0070】
また、負極集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
【0071】
負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm3以上2.8g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.1g/cm3以上2.6g/cm3以下であることがより好ましい。
【0072】
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、負極を作製する。
【0073】
或いは、負極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、負極を得ることができる。
【0074】
(2)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
【0075】
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
【0076】
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
【0077】
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
【0078】
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
【0079】
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
【0080】
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
【0081】
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
【0082】
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
【0083】
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
【0084】
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
【0085】
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
【0086】
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
【0087】
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
【0088】
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
【0089】
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
【0090】
正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、正極を作製する。
【0091】
或いは、正極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、正極を得ることができる。
【0092】
(3)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
【0093】
セパレータとして、固体電解質粒子を含む固体電解質層を使用することもできる。固体電解質層は、1種類の固体電解質粒子を含んでいても良く、複数種類の固体電解質粒子を含んでいてもよい。固体電解質層は、固体電解質粒子を含む固体電解質複合膜であってもよい。固体電解質複合膜は、例えば、固体電解質粒子を、高分子材料を用いて膜状に成形したものである。固体電解質層は、可塑剤及び電解質塩からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいても良い。固体電解質層が電解質塩を含んでいると、例えば、固体電解質層のアルカリ金属イオン伝導性をより高めることができる。
【0094】
高分子材料の例は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリエチレン系、シリコーン系及びポリスルフィド系を含む。
【0095】
固体電解質としては、無機固体電解質を用いることが好ましい。無機固体電解質としては、例えば、酸化物系固体電解質、又は硫化物系固体電解質を挙げることができる。酸化物系固体電解質としては、NASICON型構造を有し、一般式LiM2(PO43で表されるリチウムリン酸固体電解質を用いることが好ましい。上記一般式中のMは、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ストロンチウム(Sr)、ジルコニウム(Zr)、スズ(Sn)、アルミニウム(Al)からなる群より選ばれる少なくとも一種類以上の元素であることが好ましい。元素Mは、Ge、Zr及びTiの何れか1つの元素と、Alとを含むことがより好ましい。
【0096】
NASICON型構造を有するリチウムリン酸固体電解質の具体例としては、LATP(Li1+xAlTi2-x(PO)、Li1+xAlGe2-x(PO、Li1+xAlZr2-x(POを挙げることができる。上記式におけるxは、0<x≦5の範囲内にあり、0.1≦x≦0.5の範囲内にあることが好ましい。固体電解質としては、LATPを用いることが好ましい。LATPは、耐水性に優れ、二次電池内で加水分解を生じにくい。
【0097】
また、酸化物系固体電解質としては、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)、又はガーネット型構造のLLZ(Li7La3Zr212)を用いてもよい。
【0098】
(4)電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。
【0099】
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
【0100】
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
【0101】
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
【0102】
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
【0103】
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
【0104】
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
【0105】
無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。
【0106】
(5)外装部材
封口板を含む外装部材の材料には、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)めっきした鉄、ステンレス(SUS)などを用いることができる。また、正負極端子9,11をアルミニウム又はアルミニウム合金から形成する場合、正負極リード8,10には、アルミニウム又はアルミニウム合金を使用することができる。
【0107】
(6)電極ガード
電極ガードに使用される樹脂としては、電解液に侵されにくい樹脂であればいかなる樹脂でも使用可能であるが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニルアルコール共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・メチルアクリレート共重合体、エチレンメタクリルアクリレート共重合体、エチレン・メチルメタクリル酸共重合体、アイオノマー、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができ、上記樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、また、複数の種類を混合して使用してもよい。中でも、ポリプロピレンまたはポリエチレンを用いることが好ましい。
【0108】
第1実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極、負極活物質を含む負極、及び、セパレータを備える捲回電極群と、捲回電極群を収納している外装部材とを備える。負極活物質はニオブチタン複合酸化物を含む。下記方法により決定される割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある。割合(Rblack)は、X線CTにより、捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像を800枚得る工程と、800枚の断面画像のそれぞれをモノクロ256階調に変換した後、正極、負極及びセパレータに相当する部分が白色部となり、且つ、捲回電極群の内部に存在し得る空隙部分が黒色部となるように、閾値を設けて二値化する工程と、二値化された800枚の各断面画像において、捲回電極群の外周で規定される捲回電極群の面積(St)に対する黒色部の面積(Sb)の割合を百分率にて求める工程と、800枚の各断面画像において得られた、複数の割合を単純平均する工程とを含む方法で決定される。割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある二次電池は、自己放電が少なく、低抵抗である。
【0109】
(第2実施形態)
第2実施形態によると、電池モジュールが提供される。第2実施形態に係る電池モジュールは、1つ以上の第1実施形態に係る二次電池を具備している。電池モジュールに複数の単電池が含まれる場合、各単電池は、電気的に直列、並列、或いは、直列及び並列を組み合わせて接続される。
【0110】
図10の展開斜視図及び図11の断面図を参照して電池モジュール200を具体的に説明する。図10に示す電池モジュール200では、単電池201として第1実施形態に係る二次電池100を使用している。図11の断面図は、図10の展開斜視図の正極端子203Bと負極端子206Bが含まれる断面である。
【0111】
複数の単電池201は、電池の外装缶の外部に、正極ガスケット202に設けられた正極端子203(203A、203B)、封止蓋204、負極ガスケット205に設けられた負極端子206(206A、206B)を有している。図10に示す単電池201は、互い違いにそろえられるように配置されている。図10に示す単電池201は、直列に接続されているが、配置方法を変えるなどして並列接続にしてもよく、直列及び並列を組み合わせて接続してもよい。
【0112】
複数の単電池201は、下ケース207と上ケース208内に収容されている。下ケース207は、複数の単電池201の収納空間を互いに隔てる隔壁216を備える。上ケース208には、電池モジュールの電源入出力用端子209及び210(正極端子209、負極端子210)が設けられている。上ケース208には、単電池201の正極端子203及び負極端子206の位置に合わせて開口部211が設けられ、開口部211から正極端子203及び負極端子206が露出している。露出した正極端子203Aは、隣の単電池201の負極端子206Aとバスバー212によって接続され、露出した負極端子206Aは、上記の隣とは反対側の隣の単電池201の正極端子203Aとバスバー212によって接続されている。バスバー212によって接続されていない正極端子203Bは、基板213に設けられた正極端子214Aと接続し、正極端子214Aは、基板213上の回路を介して正極の電源入出力用端子209と接続している。また、バスバー212によって接続されていない負極端子206Bは、基板213に設けられた負極端子214Bと接続し、負極端子214Bは、基板213上の回路を介して負極の電源入出力用端子210と接続している。
【0113】
電源入出力用端子209及び210は、図示しない充電電源及び/又は負荷と接続し、電池モジュール200の充電及び利用がなされる。上ケース208は、蓋215で封止されている。基板213には、充放電の保護回路が設けられていてもよい。また、単電池201の劣化等の情報を図示しない端子から出力可能な構成とするなど、構成の追加等を適宜行ってもよい。
【0114】
複数の単電池201に対する初充電及び/又はエージングは、電池モジュール200を組み立てた後に実施されてもよい。その際、下ケース207に設けられている複数の隔壁216同士の距離を狭めることにより、単電池201に対して拘束力を与えることができる。例えば、複数の単電池201が収納されるそれぞれの収納空間の幅を小さくすることにより、単電池201に対して拘束力を与えることができる。ここで言う収納空間の幅とは、複数の単電池201が並ぶ方向に沿った収納空間の幅を指す。
【0115】
第2実施形態によると、電池モジュールが提供される。それ故、本実施形態によれば、自己放電が少なく、低抵抗な電池モジュールを提供することができる。
【0116】
(第3実施形態)
第3実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第2実施形態に係る電池モジュールを搭載している。
【0117】
第3実施形態に係る車両において、電池モジュールは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含んでいてもよい。
【0118】
第3実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
【0119】
車両における電池モジュールの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池モジュールを自動車に搭載する場合、電池モジュールは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
【0120】
車両は、複数の電池モジュールを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池モジュールが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
【0121】
次に、第3実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
【0122】
図12は、実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
【0123】
図12に示す車両400は、車両本体40と、実施形態に係る電池モジュール200とを含んでいる。図12に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
【0124】
この車両400は、複数の電池モジュール200を搭載してもよい。この場合、電池モジュール200が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
【0125】
図12では、電池モジュール200が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池モジュール200は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池モジュール200は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池モジュール200は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
【0126】
第3実施形態に係る車両は、第2実施形態に係る電池モジュールを搭載している。それ故、本実施形態によれば、自己放電が少なく、低抵抗な電池モジュールを搭載した車両を提供することができる。
【0127】
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
【0128】
(実施例1)
実施例1では、下記の手順で二次電池を作製した。
【0129】
<正極の作製>
正極活物質として、一次粒子の平均粒子径が2μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.32複合酸化物を90質量%、導電剤として黒鉛粉末を5質量%、結着剤として5質量%のPVdFを配合して、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に分散して、活物質含有層形成用のスラリーを調製した。上記の配合量は、それぞれ、正極活物質含有層の質量に対する質量である。調製したスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)の両面に塗布し、乾燥して、積層体を得た。この積層体にプレスを施して、正極活物質含有層の厚さが40μmの正極を作製した。
【0130】
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径D50が10μmである単斜晶型Nb2TiO7(NTO)粉末を用意した。活物質含有層の材料として、この活物質粒子と、導電剤としてのアセチレンブラック粉末と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム塩粉末と、バインダとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)とを用いた。これら材料の配合比は、質量比にてNTO:アセチレンブラック:CMC:SBR=93:5:1:1とした。これら材料は、溶媒である純水を攪拌しながら、次の順番で混合してスラリーを調製した。カルボキシメチルセルロースナトリウム塩を純水に溶解させた後、更にSBRを混合して分散液を得る。この分散液に対してアセチレンブラックを分散させ、最後にNTO粉末を分散させて、攪拌してスラリーを得た。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)の片面に塗布し、塗膜を乾燥することで集電体及び活物質含有層からなる積層体を得た。この積層体にプレスを施して、活物質含有層の厚さが59μm、電極密度が2.5g/cm3の負極を作製した。
【0131】
<電解質の調製>
プロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:2の混合溶媒を調製した。次いで、この混合溶媒にLiPF6を1.2Mの濃度で溶解させて液状非水電解質を調製した。
【0132】
<二次電池の作製>
上記で得られた正極と、厚さが20μmの不織布であるセパレータと、負極とを、正極活物質含有層と負極活物質含有層が向かい合うように、これらの間にセパレータを介在させて積層して、積層体を得た。次に、この積層体を、負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。捲回の際には、各シートに一定の張力を掛けながら、シート間に不要な隙間が生じないように捲回した。捲回した電極群を90℃で加熱プレスすることにより、偏平型電極群を作製した。
【0133】
得られた電極群を、壁面の厚さが0.25mmのステンレスからなる有底角筒型の金属缶に収納した。金属缶の底壁は矩形であった。外装部材に収納された電極群における捲回軸の方向は、底壁と平行な方向であり且つ長辺側側壁と平行な方向とした。金属缶底壁の短辺方向の長さは、22.0mmであった。外装部材が備える一対の長辺側側壁について、各々の壁面の厚さは上記の通り0.25mmであるため、一方の長辺側側壁の外表面から、他方の長辺側側壁の外表面までの距離は22.5mmであった。なお、この金属缶には、内圧が2気圧以上になるとガスをリークする弁が設置されていた。この金属缶に、上記電解液を導入し、上記電極群に含浸させることで、未初充電の二次電池を作製した。
【0134】
<拘束治具の装着>
作製した未初充電の二次電池に対して、図7及び図8を参照しながら説明した方法で拘束治具を装着した。具体的には、外装部材が備える一対の長辺側側壁を、拘束治具としてのベーク板及び金属板で両側から拘束した。このとき、一方のベーク板から他方のベーク板までの拘束幅は21.5mmであった。こうして、二次電池に対して拘束力を付与した。
【0135】
<初充電及びエージング処理>
拘束された状態の未初充電の二次電池に対し、25℃の環境温度において1C充電を行った。この条件で二次電池を2.5Vまで充電しSOCを100%とした。その後、80℃の温度環境下で24時間に亘りエージング処理を行った。こうして、実施例1に係る二次電池を作成した。
【0136】
(実施例2)
エージング温度を100℃に変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0137】
(実施例3)
エージング時間を48時間に変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0138】
(実施例4)
拘束幅を21.0mmに変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0139】
(実施例5)
拘束幅を22.0mmに変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0140】
(実施例6)
拘束幅を23.0mmに変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0141】
(実施例7)
外装部材に収納された電極群における捲回軸の方向を、底壁と直交する方向に変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0142】
(実施例8)
エージング時間を48時間に変更したことを除いて、実施例6と同様の方法で二次電池を作製した。
【0143】
(比較例1)
拘束幅を20.0mmに変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0144】
(比較例2)
エージング時に、外装部材の外部からの拘束力を付与しない条件に変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0145】
(比較例3)
活物質として、Nb2TiO7に代えて、平均粒子径D50が0.8μmのLi4Ti512を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0146】
(比較例4)
拘束幅を24.0mmに変更したことを除いて、実施例1と同様の方法で二次電池を作製した。
【0147】
<X線CT画像の入手及び二値化>
第1実施形態にて記載した方法に従って、各例に係る二次電池についてのX線CT撮影を行った。その後、第1実施形態にて記載した方法に従って二値化処理を行い、「割合(Rblack)」を算出した。下記表1では、「割合(Rblack)」を「黒色面積割合(Rblack)(%)」の列に表示している。
【0148】
実施例1について得られた、捲回電極群の捲回軸と直交する断面についてのX線CT画像及び二値化画像は、それぞれ図5及び図6に示した通りである。また、他の例として、比較例1について得られた、捲回電極群の捲回軸と直交する断面についてのX線CT画像及び二値化画像を、それぞれ図13及び図14に示す。比較例1に係る図13及び図14では、比較的大きな皺(黒色部)が点在していることが分かる。
【0149】
<開回路電圧測定>
各例で作製した二次電池を、SOCが50%(2.25V)となるまで充電し、24時間に亘り静置した。静置後の二次電池について、電流及び電圧を印加していない状態における電圧を測定した。
【0150】
<0.2秒直流抵抗測定>
まず、各例で作製した二次電池のSOCを50%に調整した。次に、以下に示す所定の電流値で、3回に分けて、それぞれ0.2秒間に亘り電流を流す。1回目は20A、2回目は100A、3回目は200Aの電流値とする。各回について、電流を流す前後の電圧差から直流抵抗を見積もり、これらの平均値を「0.2秒直流抵抗」と定める。
【0151】
<自己放電量測定>
各例で作製した二次電池を25℃の温度環境下で2.5Vまで充電した後、1週間に亘って放置し、1週間後の容量低下量[mAh]を測定した。下記表1における「自己放電量」が少ないほど、該当する二次電池が自己放電特性に優れていることを示している。
【0152】
以上の結果を表1にまとめる。
【0153】
【表1】
【0154】
表1より、以下のことが分かる。
負極活物質としてNb2TiO7を使用した実施例1~8と、比較例1及び2とを比較すると、捲回電極群の断面積に対する黒色部の面積の割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある実施例1~8では、開回路電圧が高く、抵抗値は低く、自己放電量も少なかった。
【0155】
比較例1に示すように、黒色面積割合(Rblack)が0.10%未満の場合、正負極の密着性が非常に高い。それ故、正負極表面上には、電解液との副反応により過剰量の被膜が生成していると考えられる。その結果、比較例1に係る二次電池の抵抗値は高かった。また、比較例2及び4のように、黒色面積割合が2.0%を超えている場合には、正負極表面上に十分な被膜が形成されていないため、電池抵抗は低いが、自己放電量が過剰に多かった。
【0156】
比較例3は、ニオブチタン複合酸化物を含まない例である。比較例3は、ニオブチタン複合酸化物の代わりに、充放電に伴う活物質の膨張収縮が生じにくいLi4Ti512を用いた例である。Li4Ti512を用いた場合には、捲回電極群の内部の皺は発生しにくいため、寿命特性及び電池抵抗は、皺量(割合(Rblack))の制御の影響を受けにくい。
【0157】
以上説明した少なくとも1つ実施形態及び実施例によると、二次電池が提供される。二次電池は、正極、負極活物質を含む負極、及び、セパレータを備える捲回電極群と、捲回電極群を収納している外装部材とを備える。負極活物質はニオブチタン複合酸化物を含む。下記方法により決定される割合(Rblack)が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある。割合(Rblack)は、X線CTにより、捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像を800枚得る工程と、800枚の断面画像のそれぞれをモノクロ256階調に変換した後、正極、負極及びセパレータに相当する部分が白色部となり、且つ、捲回電極群の内部に存在し得る空隙部分が黒色部となるように、閾値を設けて二値化する工程と、二値化された800枚の各断面画像において、捲回電極群の外周で規定される捲回電極群の面積(St)に対する黒色部の面積(Sb)の割合を百分率にて求める工程と、800枚の各断面画像において得られた、複数の割合を単純平均する工程とを含む方法で決定される。この二次電池は、自己放電が少なく、低抵抗である。
【0158】
本発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 正極、負極活物質を含む負極、及び、セパレータを備える捲回電極群と、
前記捲回電極群を収納している外装部材とを備え、
前記負極活物質はニオブチタン複合酸化物を含み、
割合(R black )が0.10%以上2.0%以下の範囲内にある二次電池であって、
前記割合(R black )は、
X線Computed Tomography(以下、X線CTという。)により、前記捲回電極群の捲回軸と直交する断面画像を800枚得る工程と、
前記800枚の断面画像のそれぞれをモノクロ256階調に変換した後、前記正極、前記負極及び前記セパレータに相当する部分が白色部となり、且つ、前記捲回電極群の内部に存在し得る空隙部分が黒色部となるように、閾値を設けて二値化する工程と、
二値化された前記800枚の各断面画像において、前記捲回電極群の外周で規定される前記捲回電極群の面積(St)に対する前記黒色部の面積(Sb)の割合を百分率にて求める工程と、
前記800枚の各断面画像において得られた、複数の前記割合を単純平均する工程とを含む方法で決定される二次電池。
[2] 前記割合(R black )は0.15%~1.50%の範囲内にある[1]に記載の二次電池。
[3] 前記外装部材は、有底角筒形状を有する容器と、封口板とを備え、
前記容器は、底壁と、前記底壁の周縁部から前記底壁と直交する方向に延設する複数の側壁とを備えており、
前記捲回電極群の前記捲回軸は、前記底壁と平行に伸びている[1]又は[2]に記載の二次電池。
[4] 前記底壁の形状は矩形であり、
前記複数の側壁は、前記底壁の長辺側に対応する2枚の長辺側側壁と、前記底壁の短辺側に対応する2枚の短辺側側壁とを備え、
前記捲回電極群の前記捲回軸は、前記2枚の長辺側側壁と平行に伸びている[3]に記載の二次電池。
[5] 前記ニオブチタン複合酸化物は、一般式Li x Ti 1-y M1 y Nb 2-z M2 z 7+δ で表される複合酸化物、及び、一般式Li x Ti 1-y M3 y+z Nb 2-z 7-δ で表される複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1つであり、
前記M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つであり、前記M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つであり、
前記xは0≦x≦5を満たし、前記yは0≦y<1を満たし、前記zは0≦z<2を満たし、前記δは、-0.3≦δ≦0.3を満たす[1]~[4]の何れか1項に記載の二次電池。
[6] [1]~[5]の何れか1項に記載の二次電池を具備する電池モジュール。
[7] 複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている[6]に記載の電池モジュール。
[8] [6]又は[7]に記載の電池モジュールを搭載した車両。
[9] 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む[8]に記載の車両。
【符号の説明】
【0159】
1…外装部材、2…電極群、3…容器、4…封口板、5…正極、6…負極、7…セパレータ、8…正極リード、9、203…正極端子、10…負極リード、11、206…負極端子、12…電極ガード、13…絶縁テープ、14、204…封止蓋、16…絶縁板、17…絶縁ガスケット、20…注液口、27A…正極側バックアップリード、27B…負極側バックアップリード、30…底壁、31、32…側壁、40…車両本体、50…横長黒色部、60…拘束治具、61…ベーク板、62…拘束手段、100…二次電池、200…電池モジュール、201…単電池、202…正極ガスケット、205…負極ガスケット、207…下ケース、208…上ケース、209、210…電源入出力用端子、211…開口部、212…バスバー、213…基板、214A…正極端子、214B…負極端子、215…蓋、216…隔壁、400…車両。
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