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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】材料除去機用のベルト張力付与装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 5/04 20060101AFI20240722BHJP
   F16H 7/10 20060101ALI20240722BHJP
   B24B 47/12 20060101ALI20240722BHJP
   B24B 47/26 20060101ALI20240722BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20240722BHJP
   B23D 47/12 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B23Q5/04 510C
F16H7/10
B24B47/12
B24B47/26
B24B27/06 J
B23D47/12
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021511563
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048711
(87)【国際公開番号】W WO2020047190
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】62/724,145
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/517,183
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ジョン コーダス
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0190488(US,A1)
【文献】特開2001-323974(JP,A)
【文献】特開平02-190651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q5/04
B24B1/00-57/04
F16H7/00- 7/24
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料除去装置において、
材料除去工具を保持する主軸と、
前記主軸に固定され、該主軸を作動させる主軸プーリーと、
前記主軸を保持し、前記主軸プーリーの位置を変更するハブとを具備し、
前記ハブは、前記主軸プーリーの位置を変更するとき、前記主軸の位置を変えるように構成され、
前記ハブは、前記主軸及び/又は前記主軸プーリーが前記ハブに対して偏心した位置に保持されるように、該ハブの中心軸線からずれた円筒形孔を有し、
これにより、前記主軸は、前記ハブに対して偏心した位置で前記円筒形孔に保持され、前記ハブが回転するときに移動する、
材料除去装置。
【請求項2】
ベルトを介して前記主軸プーリーを作動させる作動装置プーリーを更に備え、前記ハブは、前記作動装置プーリーに対する前記主軸プーリーの位置を変更する請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハブは、前記主軸プーリーを、前記作動装置プーリーから第1の距離にある第1の位置から、前記作動装置プーリーから第2の距離にある第2の位置へ移動させ、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ベルトは、前記主軸プーリーが前記第1の位置にあるときに第1の張力とされ、前記主軸プーリーが前記第2の位置にあるときに第2の張力とされ、前記第1の張力は前記第2の張力とは異なる請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記作動装置プーリーを作動させる作動装置を更に備える請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記ハブはハブ移動工具と係合する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
ハブロックを更に備え、前記ハブロックは、前記ハブに係合したときに前記ハブの移動を禁止し、前記ハブから切り離されたときに前記ハブの移動を可能にする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記ハブロックは、前記ハブ及び前記主軸の少なくとも一部を囲む主軸ハウジングに固定される請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ハブロックは、前記主軸ハウジングに係合したときに前記主軸ハウジングを前記ハブに押し付ける請求項8に記載の装置。
【請求項10】
材料除去機においてベルト張力を調整する方法であって、
前記材料除去機のハブを介して前記材料除去機の主軸プーリーの位置を調整することを含み、前記主軸プーリーによって、前記材料除去機の材料除去工具が作動するようにし、
前記主軸プーリーは前記材料除去機の主軸を作動するように構成され、
前記材料除去機の前記料除去工具は前記主軸に取り付けられ、
該主軸の位置は、前記主軸プーリーの位置が調整されるときに調整され、
前記ハブは、主軸及び/又は主軸プーリーが前記ハブに対して偏心した位置に保持されるように、該ハブの中心軸線からずれた円筒形孔を有し、
これにより、前記主軸は、前記ハブに対して偏心した位置で前記円筒形孔に保持され、前記ハブが回転するとき移動する、方法。
【請求項11】
前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記材料除去機の作動装置プーリーに対する前記主軸プーリーの前記位置を調整することを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記主軸プーリーを、作動装置プーリーから第1の距離にある第1の位置から、前記作動装置プーリーから第2の距離にある第2の位置へ移動させることを含み、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記主軸プーリーを前記作動装置プーリーに接続するベルトは、前記主軸プーリーが前記第1の位置にあるときに第1の張力とされ、前記主軸プーリーが前記第2の位置にあるときに第2の張力とされ、前記第1の張力は前記第2の張力とは異なる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記主軸プーリーを介して前記材料除去工具を作動させることは、前記作動装置プーリーと前記主軸プーリーとを接続するベルトを介して、前記作動装置プーリーの作動を前記主軸プーリーの作動に変換することを含む請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記材料除去機のハブロックにアクセスし、前記主軸プーリーの前記位置を調整する前に前記ハブロックを介して前記ハブのロックを解除することを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記材料除去機のハブロックにアクセスし、前記主軸プーリーの前記位置を調整した後に前記ハブロックを介して前記ハブをロックすることを更に含む請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記主軸プーリーは前記材料除去機の前記主軸に固定され、前記材料除去工具は前記主軸上に保持され、前記主軸は前記ハブによって保持される請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記ハブを介して前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記ハブの係合機構と係合する工具を使用して前記ハブを調整することを含む請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、BELT TENSIONING APPARATUS FOR MATERIAL REMOVAL MACHINESと題される2018年8月29日付けで出願された米国仮出願第62/724,145号、BELT TENSIONING APPARATUS FOR MATERIAL REMOVAL MACHINESと題される2019年7月19日付けで出願された米国特許出願第16/517,183号による優先権及びその利益を主張するもとし、その内容は全て引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、包括的には、ベルト張力付与装置に関し、より詳細には、材料除去機用のベルト張力付与装置に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、鋸、研削機及び/又は研磨機等の従来の材料除去機は、ベルトの長さに沿って配置されたベルト張力付与装置を使用する。ベルト張力付与装置は、従来ではベルトに突き当ててベルトの張力を調整する。しかしながら、これらのベルト張力付与装置は、不正確でありしかも潜在的なベルト張力の範囲を限定する。さらに、ベルト張力付与装置は、ベルトの近くに配置されることから、ベルトの取り付け及び/又は取り外しの際に障害物となることがある。
【0004】
このようなシステムを、図面を参照して本出願の残りの部分で述べられる本開示と比較することによって、従来の手法及び伝統的な手法の限界及び不利な点が当業者に明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、例えば、実質的に複数の図面のうちの少なくとも1つに関連して例示及び/又は説明されるとともに請求項でより完全に記述される、材料除去機用のベルト張力付与装置を対象とする。
【0006】
本開示のこれらの並びに他の利点、態様、及び新規な特徴に加えて、本開示の図示した例の詳細な内容は、以下の説明及び図面からより十分に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の態様による例示的な材料除去システムの斜視図である。
図2】例示的な材料除去アセンブリの背面斜視図である。
図3a】本開示の態様による、図2の材料除去アセンブリの例示的な材料除去機の拡大背面斜視図である。
図3b】本開示の態様による、図1の材料除去アセンブリの例示的な材料除去機の側面図であり、明確化のために一部が切り取られている。
図3c】本開示の態様による、図3bの例示的な材料除去機の反対側の側面図である。
図3d】本開示の態様による、図3bの線3d-3dに沿った横断面図である。
図4】本開示の態様による、ハブ及び主軸アセンブリの分解図である。
図5a】本開示の態様による、主軸プーリー及び作動装置プーリーに関連する図4のハブの例示的な移動を示す図である。
図5b】本開示の態様による、主軸プーリー及び作動装置プーリーに関連する図4のハブの例示的な移動を示す図である。
図5c】本開示の態様による、主軸プーリー及び作動装置プーリーに関連する図4のハブの例示的な移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図は必ずしも縮尺通りではない。適切な場合、図において類似又は同一の構成要素を参照するために同一又は類似の参照番号が使用される。例えば、文字を利用する参照番号(例えば、上部支持レール202a、下部支持レール202b)は、文字を有さない同じ参照番号(例えば、支持レール202)の事例を指す。
【0009】
本開示の好ましい例は、添付図面を参照して以下で説明することができる。以下の説明では、既知の機能又は構成は、不必要に詳細に説明すると本開示を不明瞭にする場合があるので、詳細に説明されない。本開示について、以下の用語及び定義が適用される。
【0010】
本明細書において使用されるように、用語「約」及び/又は「およそ」は、値(又は値の範囲)、位置、向き、及び/又は動作を修飾又は記述するために使用されるときは、その値、値の範囲、位置、向き、及び/又は動作に合理的に近いことを意味する。したがって、本明細書において記載した例は、列挙された値、値の範囲、位置、向き、及び/又は動作にのみ限定されるものではなく、逆に、合理的に実現可能な偏差を含むことになる。
【0011】
本明細書で使用されるように、「及び/又は」は、「及び/又は」によって連結されるリストにおける項目のうちの任意の1つ以上の項目を意味する。一例として、「x及び/又はy」は、3つの要素の組{(x),(y),(x,y)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x及び/又はy」は、「x及びyのうちの一方又は両方」を意味する。別の例として、「x、y及び/又はz」は、7つの要素の組{(x),(y),(z),(x,y),(x,z),(y,z),(x,y,z)}のうちの任意の要素を意味する。言い換えれば、「x、y及び/又はz」は、「x、y及びzのうちの1つ以上」を意味する。
【0012】
本明細書で利用されるように、用語「例えば」は、1つ以上の非限定的な例、事例又は例証のリストを強調する。
【0013】
本開示のいくつかの例は、材料除去装置であって、材料除去工具を保持する主軸と、前記主軸に固定され、該主軸を作動させる主軸プーリーと、前記主軸を保持し、前記主軸プーリーの位置を変更するハブとを具備する材料除去装置に関する。
【0014】
いくつかの例において、前記装置は、ベルトを介して前記主軸プーリーを作動させる作動装置プーリーを更に備え、前記ハブは、前記作動装置プーリーに対する前記主軸プーリーの位置を変更する。いくつかの例において、前記ハブは、前記主軸プーリーを、前記作動装置プーリーから第1の距離にある第1の位置から、前記作動装置プーリーから第2の距離にある第2の位置へ移動させ、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる。いくつかの例において、前記ベルトは、前記主軸プーリーが前記第1の位置にあるときに第1の張力とされ、前記主軸プーリーが前記第2の位置にあるときに第2の張力とされ、前記第1の張力は前記第2の張力とは異なる。いくつかの例において、前記装置は、前記作動装置プーリーを作動させる作動装置を更に備える。いくつかの例において、前記ハブは、前記主軸の位置を変更することによって前記主軸プーリーの位置を変更する。いくつかの例において、前記ハブは、ハブ移動工具と係合する。いくつかの例において、前記装置はハブロックを更に備え、前記ハブロックは、前記ハブに係合したときに前記ハブの移動を禁止し、前記ハブから切り離されたときに前記ハブの移動を可能にする。いくつかの例において、前記ハブロックは、前記ハブ及び前記主軸の少なくとも一部を囲む主軸ハウジングに固定される。いくつかの例において、前記ハブロックは、前記主軸ハウジングに係合したときに前記主軸ハウジングを圧縮する。
【0015】
本開示のいくつかの例は、材料除去機においてベルト張力を調整する方法であって、前記材料除去機のハブを介して前記材料除去機の主軸プーリーの位置を調整することを含み、前記主軸プーリーによって、前記材料除去機の材料除去工具が作動するようにした方法に関する。
【0016】
いくつかの例において、前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記材料除去機の作動装置プーリーに対する前記主軸プーリーの前記位置を調整することを含む。いくつかの例において、前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記主軸プーリーを、作動装置プーリーから第1の距離にある第1の位置から、前記作動装置プーリーから第2の距離にある第2の位置へ移動させることを含み、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる。いくつかの例において、前記主軸プーリーを前記作動装置プーリーに接続するベルトは、前記主軸プーリーが前記第1の位置にあるときに第1の張力とされ、前記主軸プーリーが前記第2の位置にあるときに第2の張力とされ、前記第1の張力は前記第2の張力とは異なる。いくつかの例において、方法は、前記主軸プーリーを介して前記材料除去工具を作動させることを更に含む。いくつかの例において、前記主軸プーリーを介して前記材料除去工具を作動させることは、前記作動装置プーリーと前記主軸プーリーとを接続する前記ベルトを介して、前記作動装置プーリーの作動を前記主軸プーリーの作動に変換することを含む。いくつかの例において、前記方法は、前記材料除去機のハブロックにアクセスするし、前記主軸プーリーの前記位置を調整する前に前記ハブロックを介して前記ハブのロックを解除することを更に含む。いくつかの例において、前記方法は、前記材料除去機のハブロックにアクセスし、前記主軸プーリーの前記位置を調整した後に前記ハブロックを介して前記ハブをロックすることを更に含む。いくつかの例において、前記主軸プーリーは前記材料除去機の主軸に固定され、前記材料除去工具は前記主軸上に保持され、前記主軸は前記ハブによって保持される。いくつかの例において、前記ハブを介して前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記ハブの係合機能と係合する工具を使用して前記ハブを調整することを含む。
【0017】
本開示のいくつかの例は、材料除去機用の改良されたベルト張力付与装置に関する。いくつかの例において、材料除去機は、材料除去工具(例えば、鋸刃、研磨鋸、研磨機、研削機、及び/又はより一般的な材料調製工具及び/又は試験工具)を備える。材料除去工具は、主軸プーリーによって作動される(例えば、向きを変える、スピン回転する等)主軸上に取り付けられ、そして、主軸プーリーは、作動装置プーリーによって作動される。主軸プーリーと作動装置プーリーとの間に可撓性ベルトが伸びて(及び/又は接続して)いる。ベルトのベルト張力は、主軸プーリーと作動装置プーリーとの間でベルトが引き伸ばされる距離(どれだけ離れているか等)に応じて変化し、距離の増加と張力の増加とは関連している。
【0018】
本開示のいくつかの例は、ベルトの張力を変更するために、従来のベルト張力付与装置の代わりに可動ハブを使用する。いくつかの例において主軸は可動ハブによって保持され、これによりハブの移動が主軸の移動に変換される。主軸プーリーは主軸にしっかりと取り付けられるため、ハブの移動は主軸プーリーの移動に変換される。主軸プーリーのこの移動により、主軸プーリーと作動装置プーリーとの間の距離が変化し、それによって主軸プーリーと作動装置プーリーを接続するベルトの張力を変化させる。したがって、ベルト張力は、主軸プーリーがハブを作動装置プーリーから遠い位置に移動することによって増加し、主軸プーリーがハブを作動装置プーリーに近い位置に移動することによって減少することができる。ハブは、所望の位置に達すると所定位置にロックすることができる。
【0019】
いくつかの例において、可動ハブにより、プーリーへのベルトの取り付け及び/又はプーリーからのベルトの取り外しが容易になる。機械を効率的に動作させるためにベルトの張力を増加させることが必要になり得るが、ベルトの張力が減少したときにベルトの取り付け及び取り外しをより容易に行うことができる。可動ハブがベルト張力の調整を比較的容易にし、これにより取り付け/取り外しに理想的なベルト張力と機械動作に理想的なベルト張力との間の移行が容易になる。さらに、可動ハブは、従来のベルト張力付与器のようにベルトの長さに沿って配置されず、それによってベルトの取り付け及び/又は取り外しに対して障害物にならない。さらに、ハブにより、従来のベルト張力付与装置と比べて、張力付与をより正確に行うこと及び/又は利用可能なベルト張力の範囲をより広くすることが可能になる。
【0020】
図1は、例示的な材料除去システム100の簡略説明図を示す。図示するように、材料除去システム100は、材料除去アセンブリ200とテーブル102とを含み、それらは実質的にキャビネット104(及び/又はハウジング)内に囲まれる。テーブル102は材料サンプル(図示せず)を保持し、これに対して材料除去アセンブリ200が動作することができる。図1の例において、材料除去アセンブリ200は、ユーザインターフェース(UI)106と電源108とを更に含むことができる。
【0021】
図2は、例示的な材料除去アセンブリ200の背面斜視図を示す。図2の例において、材料除去アセンブリ200は材料除去機300を含む。図示するように、材料除去機300は、第1の端板204aと第2の端板204bとの間で上部支持レール202a及び下部支持レール202b上に保持される。支持レール202は、材料除去機300を貫通するとともに端板204によって保持される。より具体的には、支持レール202は、材料除去機300のスリーブ308を貫通している(例えば、図3aを参照)。作動軸206も両端板204の間で材料除去機300の作動ナット308を貫通している(例えば、図3cを参照)。いくつかの例において、作動ナット308との係合に関連して作動軸206が回転することにより、材料除去機300の移動を生じる。いくつかの例において、作動ユニット208が下部支持レール202bを更に回転させることができ、それによって端板204及び材料除去機300を回転運動させる。
【0022】
図3a~図3dは、材料除去機300の様々な図を示す。図3aは材料除去機300の拡大背面斜視図であり、一方、図3b、3cは材料除去機300の側面図であり、図中では明確化のために材料除去アセンブリ200の他の構成要素のいくつかを除去している。図示するように、材料除去機300は、主軸310上に保持された材料除去工具304(例えば、鋸刃、研磨鋸、砥石、研磨等)を含み、主軸310は、少なくとも部分的に支持体306の主軸ハウジング330に包まれる。図3a~図3dの例において、材料除去工具304は円板である。
【0023】
図3aの例において、支持体306は、2つの実質的に平行な支持板307、すなわち第1の支持板307aと第2の支持板307bとを含む。支持板307aはナット302を含む。支持板307aに接続されたシールド332は、材料除去工具300を部分的に囲む(及び/又は包む)。両支持板307は、スリーブ308(上部スリーブ308a及び下部スリーブ308b)、主軸ハウジング330及び工具作動装置ハウジング322を介して接続される。工具作動装置ハウジング322は、工具作動装置320及び/又は工具作動装置コントローラー324を囲む。いくつかの例において、工具作動装置320及び/又は工具作動装置コントローラー324は、電源108によって給電することができる、又は工具作動装置ハウジング322内に保持された別個の電源によって給電することができる。
【0024】
図3b、3cの例において、工具作動装置320は、作動装置プーリー316と機械的に連絡している。工具作動装置320(例えば、電気モーター)は、作動装置コントローラー324からの1つ以上の信号に応答する等して、作動装置プーリー316を作動させる(例えば、移動、向きの変更、スピン回転、回転等)ように構成される。図示するように、作動装置プーリー316は、ベルト318を介して主軸プーリー314に機械的に接続される。図示するように、作動装置プーリー316、主軸プーリー314及びベルト318は、実質的に支持体307のアーム340内に包まれる。ベルト318は、作動装置プーリー316の作動(例えば、移動、回転、向きの変更、スピン回転等)を主軸プーリー314の作動(例えば、移動、回転、向きの変更、スピン回転等)に変換する。主軸プーリー314は主軸310に固定され、これにより工具作動装置320による作動装置プーリー316の作動(例えば、移動、回転、向きの変更、スピン回転等)が、主軸プーリー314を介して主軸310及び/又は材料除去工具304の作動(例えば、移動、回転、向きの変更、スピン回転等)に変換される。
【0025】
図3dの例において、主軸310は、材料除去工具304及び主軸プーリー314のほぼ中心(及び/又は中心開口)を貫通している。主軸310の端部に留め具312が取り付けられ、材料除去工具304を両フランジ342の間で主軸310上に固定する。図示する留め具312はナットであるが、他の例において、留め具312は、ナット、ボルト、ねじ部材、釘及び/又は他の任意のタイプの適切な留め具にすることができる。
【0026】
図3dの例において、主軸310はハブ350によって保持される。図3d、3eの例において、ハブ350は、実質的に円筒形であってハブ350の端部にカラー352を含み、カラー352から延びる本体354を備えている。図示するように、カラー352は外径が本体354よりも大きい。カラー352は、カラー352の円周の周りにピン孔356も有する。ピン孔356はピンレンチのピンと係合し、これによりカラーがロックを解除されたときにピンレンチはカラー352を把持及び/又は移動させる(例えば、向きを変える、回転させる、スピン回転させる等)ことができる。
【0027】
図3dの例において、ハブ350と主軸310との間に板シール344及び玉軸受346が挟まれ、主軸310を所定位置に保持するのを助ける一方、依然として主軸310がハブ350内で移動する(例えば、スピン回転する、回転する、向きを変える等)ことを可能にする。板シール344は、潤滑剤をハブ350内に、ごみをハブ350外に保持するためのシールとしても役立つ。図示するように、ハブ350のカラー352及び/又は板シール344aに追加のシール348を取り付ける。図3dの例において、ハブ350の本体354は主軸ハウジング330内に保持され、これにより本体354の外径が主軸ハウジング330の内径よりも小さくなっている。図示するように、カラー352は、主軸ハウジング330内に保持されず、むしろ実質的に主軸ハウジング330と整列し(及び/又は同一直線上にあり)、これによりカラー352の外径が主軸ハウジング330の外径とほぼ等しくなっている。
【0028】
図3d、3eの例において、ハブ350は、その中心からずれて(例えば、ハブ350の中心軸線からずれて)貫通する円筒形穴358を有し、これによりハブ350は偏心して配置される。主軸310は穴358のほぼ中心に固定される。この構成により、図5a~図5cの例に図示するように、主軸310及び主軸プーリー314は、ハブ350によってハブ350に対してずれた、中心から外れた及び/又は偏心した位置に保持される。したがって、ハブ350が回転する(及び/又は向きを変える、スピン回転する、移動する等)と、主軸310及び/又は主軸プーリー314は、単に所定位置でスピン回転する(及び/又は回転する、向きを変える等)のではなく、異なる位置へ移動する。図3dの例において、主軸プーリー314は、この移動が可能である程に十分な空間を備えるアーム340内に有利に配置される。作動装置プーリー316は、材料除去機300の他の構成要素(例えば、主軸プーリー314、ハブ350等)に対して実質的に固定されるので、主軸プーリー314が移動すると、主軸プーリー314と作動装置プーリー316との間の距離が変化する。この距離の変化により、次に主軸プーリー314と作動装置プーリー316とを接続するベルト318の張力が変化する。
【0029】
図5a~図5cは、ハブ350がロックを解除されたときのハブ350の移動の例、及びハブ350を介する主軸プーリー314、主軸310及び/又は材料除去機300の移動の例を誇張して示す。図5a~図5cでは、動作をより明確にするため、ハブ350及び主軸プーリー314の寸法差を誇張している。図5aでは、主軸プーリー314は、作動装置プーリー316から第1の距離D1だけ離れた第1の位置にある。これによりベルト318に第1の張力が生じる。図5bの例において、主軸プーリー314は、作動装置プーリー316から第2の距離D2にある第2の位置に移動している。これによりベルト318に第2の張力が生じる。第1の距離D1は第2の距離D2よりも小さいので、第1の張力は第2の張力よりも小さい。したがって、図5aの第1の位置は、ベルトの取り付け及び/又は取り外しに適することができ、一方、図5bの第2の位置は、材料除去機300(及び/又は材料除去工具304)の動作に適することができる。図5cは、作動装置プーリー316から第3の距離D1だけ離れた第3の位置にある主軸プーリー314を示す。これによりベルト318に第3の張力が生じる。第1の距離D1は第3の距離D3よりも小さいので、第1の張力は第3の張力よりも小さい。第2の距離D2も第3の距離D3よりも小さいので、第2の張力は第3の張力よりも小さい。したがって、図5a、5bの第1の位置又は第2の位置は、ベルトの取り付け及び/又は取り外しに適することができ、一方、図5cの第3の位置は、材料除去機300(及び/又は材料除去工具304)の動作に適することができる。
【0030】
図3dの例において、材料除去工具304に近接する主軸ハウジング330にハブ板360を取り付け、これによりフランジ342bがハブ板360に当接する。ハブ板360は、主軸ハウジング330上に締め付けられると、主軸ハウジング330を圧縮してハブ350を所定位置にロックする。より具体的には、ハブ板360が主軸ハウジング330を圧縮すると、主軸ハウジング330は、ハブ350に対してしっかりと押し付けられてハブ350の移動(例えば、回転、向きの変更、スピン回転等)を防止する。ハブ板360を緩めると、主軸ハウジング330は、少し拡張することが可能になり、ハブ板360にこれが主軸ハウジング330内で移動する(例えば、スピン回転する、向きを変える、回転する等)余裕を与える。いくつかの例において、ハブ板360を緩め又は締めるためにハブ板留め具(図示せず)を使用することができる。したがって、ハブ板360は、ハブ350をロックし及び/又はロックを解除し得る手段となる機構を提供する。
【0031】
動作時に、作業者は、最初にベルト318を材料除去機300に取り付けることができる。ベルトを伸ばすのに必要な人的労力を最小限にするために、作業者は、主軸プーリー314が作動装置プーリー316に近づくようにハブ350を移動させたいことがある。したがって、作業者は、ハブ板360を緩めることによってハブ350のロックを解除することができる。ハブ板360に到達してこれを緩めるために、主軸310から留め具312、材料除去工具304及び/又はフランジ342を除去することが必要になり得る。ハブ板360にアクセスするためのこれらの構成要素の取り外しは少し不便になることがあるが、アクセスが妨害されることにより、ハブ板360の偶発的な緩みを防ぐのに役立つことができる。ハブ板360が緩むと、作業者は、例えばピンレンチを介する等して、ハブ350を調整することができる。例えば、作業者は、ハブ350を調整して、図5aに図示する第1の位置と同様の位置にもたらすことができる。作業者は、次いで主軸プーリー314及び/又は作動装置プーリー316にベルト318を取り付け、必要に応じてベルト318を伸ばすことができる。ベルト318を取り付けると、作業者は、ハブ350をベルト318の張力がより高くなる位置に移動させることができ、これにより材料除去機300(及び/又は材料除去工具304)はより良好に動作することができる。例えば、作業者は、ハブ350を調整して、図5b、5cに例示する第2の位置又は第3の位置と同様の位置にもたらすことができる。ベルトを取り付けた状態でハブ350が適切に配置されると、作業者は、ハブ板360を締めてハブ350を所定位置にロックすることができ、次いでフランジ342、材料除去工具304及び/又は留め具312を再び取り付ける。最後に、材料除去機300は、工具作動装置320、作動装置プーリー316、ベルト318、主軸プーリー314及び/又は主軸310を介して材料除去工具304を作動させることによって、動作の準備ができる。
【0032】
本装置、システム及び/又は方法を、或る特定の実施態様を参照して記載してきたが、当業者であれば、本装置、システム及び/又は方法の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができること及び均等物に置き換えることができることを理解するであろう。加えて、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して特定の状況又は材料を適合させるように多くの改変を行うことができる。したがって、本装置、システム及び/又は方法は、開示されている特定の実施態様に限定されず、本装置、システム及び/又は方法は、添付の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含むことが意図される。
なお、本発明の構成として以下に示すものがある。
[構成1]
材料除去装置において、
材料除去工具を保持する主軸と、
前記主軸に固定され、該主軸を作動させる主軸プーリーと、
前記主軸を保持し、前記主軸プーリーの位置を変更するハブとを具備する材料除去装置。
[構成2]
ベルトを介して前記主軸プーリーを作動させる作動装置プーリーを更に備え、前記ハブは、前記作動装置プーリーに対する前記主軸プーリーの位置を変更する構成1に記載の装置。
[構成3]
前記ハブは、前記主軸プーリーを、前記作動装置プーリーから第1の距離にある第1の位置から、前記作動装置プーリーから第2の距離にある第2の位置へ移動させ、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる構成2に記載の装置。
[構成4]
前記ベルトは、前記主軸プーリーが前記第1の位置にあるときに第1の張力とされ、前記主軸プーリーが前記第2の位置にあるときに第2の張力とされ、前記第1の張力は前記第2の張力とは異なる構成3に記載の装置。
[構成5]
前記作動装置プーリーを作動させ作動装置を更に備える構成3に記載の装置。
[構成6]
前記ハブは、前記主軸の位置を変更することによって前記主軸プーリーの位置を変更する構成1に記載の装置。
[構成7]
前記ハブはハブ移動工具と係合する構成1に記載の装置。
[構成8]
ハブロックを更に備え、前記ハブロックは、前記ハブに係合したときに前記ハブの移動を禁止し、前記ハブから切り離されたときに前記ハブの移動を可能にする構成1に記載の装置。
[構成9]
前記ハブロックは、前記ハブ及び前記主軸の少なくとも一部を囲む主軸ハウジングに固定される構成8に記載の装置。
[構成10]
前記ハブロックは、前記主軸ハウジングに係合したときに前記主軸ハウジングを圧縮する構成9に記載の装置。
[構成11]
材料除去機においてベルト張力を調整する方法であって、
前記材料除去機のハブを介して前記材料除去機の主軸プーリーの位置を調整することを含み、前記主軸プーリーによって、前記材料除去機の材料除去工具が作動するようにした方法。
[構成12]
前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記材料除去機の作動装置プーリーに対する前記主軸プーリーの前記位置を調整することを含む構成11に記載の方法。
[構成13]
前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記主軸プーリーを、作動装置プーリーから第1の距離にある第1の位置から、前記作動装置プーリーから第2の距離にある第2の位置へ移動させることを含み、前記第1の距離は前記第2の距離とは異なる構成11に記載の方法。
[構成14]
前記主軸プーリーを前記作動装置プーリーに接続するベルトは、前記主軸プーリーが前記第1の位置にあるときに第1の張力とされ、前記主軸プーリーが前記第2の位置にあるときに第2の張力とされ、前記第1の張力は前記第2の張力とは異なる構成13に記載の方法。
[構成15]
前記主軸プーリーを介して前記材料除去工具を作動させることを更に含む構成14に記載の方法。
[構成16]
前記主軸プーリーを介して前記材料除去工具を作動させることは、前記作動装置プーリーと前記主軸プーリーとを接続する前記ベルトを介して、前記作動装置プーリーの作動を前記主軸プーリーの作動に変換することを含む構成15に記載の方法。
[構成17]
前記材料除去機のハブロックにアクセスし、前記主軸プーリーの前記位置を調整する前に前記ハブロックを介して前記ハブのロックを解除することを更に含む構成11に記載の方法。
[構成18]
前記材料除去機のハブロックにアクセスし、前記主軸プーリーの前記位置を調整した後に前記ハブロックを介して前記ハブをロックすることを更に含む構成11に記載の方法。
[構成19]
前記主軸プーリーは前記材料除去機の主軸に固定され、前記材料除去工具は前記主軸上に保持され、前記主軸は前記ハブによって保持される構成11に記載の方法。
[構成20]
前記ハブを介して前記主軸プーリーの前記位置を調整することは、前記ハブの係合機構と係合する工具を使用して前記ハブを調整することを含む構成11に記載の方法。
【符号の説明】
【0033】
100 材料除去システム
102 テーブル
104 キャビネット
106 ユーザインターフェース(UI)
108 電源
200 材料除去アセンブリ
202 支持レール
202a 上部支持レール
202b 下部支持レール
204 端板
204a 第1の端板
204b 第2の端板
206 作動軸
208 作動ユニット
300 材料除去機
302 ナット
304 材料除去工具
306 支持体
307 支持板
307a 第1の支持板
307b 第2の支持板
308 作動ナット
308a 上部スリーブ
308b 下部スリーブ
310 主軸
312 具
314 主軸プーリー
316 作動装置プーリー
318 ベルト
320 工具作動装置
322 工具作動装置ハウジング
324 工具作動装置コントローラー
330 主軸ハウジング
332 シールド
340 アーム
342 フランジ
342b フランジ
344 板シール
344a 板シール
346 玉軸受
348 シール
350 ハブ
352 カラー
354 本体
356 ピン孔
358 穴
358 円筒形穴
360 ハブ板
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5a
図5b
図5c