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特許7524167IV型コラーゲン疾患の処置のためのビフェニルスルホンアミド化合物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】IV型コラーゲン疾患の処置のためのビフェニルスルホンアミド化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/422 20060101AFI20240722BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240722BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240722BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61K31/422
A61K9/08
A61K45/00
A61P27/16
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021518888
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2019054559
(87)【国際公開番号】W WO2020072814
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-28
(31)【優先権主張番号】62/741,270
(32)【優先日】2018-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/853,904
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/894,559
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521138383
【氏名又は名称】トラビア セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】コマーズ, ラドコ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンソン, セリア
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/071784(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/051298(WO,A1)
【文献】Kidney International,2000年,Vol.58,p.1870-1875
【文献】Kidney International,2000年,Vol.57,p.2084-2092
【文献】Hearing Research,2016年,Vol.341,p.100-108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルポート症候群を有する対象における難聴を処置するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、構造(I)を有する化合物
【化19】

またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項2】
COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置するための医薬組成物であって、前記医薬組成物が、構造(I)を有する化合物
【化20】

またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項3】
前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、請求項2~5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約1mg/kg~約15mg/kgである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約3mg/kg~約12mg/kgである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約3mg/kg~約6mg/kgである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約50mg/日~約1000mg/日である、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約200mg/日~約800mg/日である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約400mg/日~約800mg/日である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約100mg/日、約200mg/日、約300mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日または約1000mg/日である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約200mg/日である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約400mg/日である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約800mg/日である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記化合物が、構造(I)を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記対象が、1つまたは複数の追加の治療剤を投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記対象が、成体である、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記対象が、18歳またはそれよりも若い、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記対象が、12歳またはそれよりも若い、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記対象が、6~12歳である、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記対象が、2~6歳である、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記医薬組成物が、経口投与用の液体製剤である、請求項20~23のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルポート症候群などのIV型コラーゲン欠乏または異常に関連する疾患の処置におけるアンジオテンシンおよびエンドセリン受容体のデュアルアンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシンII(AngII)およびエンドセリン-I(ET-1)は、現在公知の最も強力な内因性血管作動性ペプチドのうちの2つであり、糖尿病性腎症、心不全および慢性または持続性の血圧上昇を含むさまざまな疾患に関連する血管緊張および病的な組織リモデリングの両方の制御において役割を果たすと考えられる。AngIIの活性をブロックするアンジオテンシン受容体ブロッカー(ARB)は、糖尿病性腎症、心不全、慢性または持続性の血圧上昇のための処置として使用されている。ET-1活性をブロックするにあたって、ET受容体アンタゴニスト(ERA)の潜在的な治療利益を実証するデータも増えている。加えて、AngIIおよびET-1は、血圧の制御および病的な組織リモデリングにおいて一緒に働くと考えられる。例えば、ARBは、その受容体においてAngIIの作用をブロックするだけでなく、ET-1の生成も制限する。同様に、ERAは、ET-1活性をブロックし、AngIIの生成を阻害する。その結果として、AngIIおよびET-1の活性を同時にブロックすることで、いずれかの物質単独をブロックするよりも良好な有効性を提供し得る。ヒトの慢性または持続性の血圧上昇のラットモデルにおいて、ARBおよびERAの組合せは、相乗効果をもたらすことが示されている。さらにまた、ARBは、糖尿病性腎症を有する患者のための標準治療であるが、ERAの共投与で改善された有効性は、フェーズ2の臨床開発において報告されている。
【0003】
アルポート症候群は、腎臓の合併症、難聴および目の異常に関連するまれな遺伝性疾患である。これは、IV型コラーゲンの生成に関与するCOL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中の突然変異によって引き起こされる(van der Loop et al., Kidney Int 58:1870-1875, 2000)。X染色体連鎖型アルポート症候群は、症例の約80%に寄与し、残りは、常染色体劣性および常染色体優性の突然変異に起因する。アルポート症候群は、典型的には、腎臓機能の進行性の喪失によって特徴付けられる。アルポート症候群を有する人々は、多くの場合、腎臓が異常に機能することを示す状態である、血尿(尿中の血液)およびタンパク尿(尿中のタンパク質)を有する。腎臓がより損傷を受けるにつれて、アルポート症候群を有する人々は、高い頻度で、末期腎疾患(ESRD)に進行する。腎臓疾患に加えて、アルポート症候群は、内耳の異常、および小児期後期または青年期早期の間の感音難聴の発症に関連する。アルポート症候群は、目における奇形レンズ(前円錐水晶体)および網膜の異常な着色に関連する場合があるが、これらの目の異常は、典型的には、失明をもたらさない。
【0004】
X染色体連鎖型アルポート症候群を有する男性の約50%が、成人早期までに透析または腎臓移植が必要であり、約90%が、40歳の前にESRDを発症すると推測される。ESRDは、X染色体連鎖型アルポート症候群を有する女性患者においてあまり一般的ではないが、女性患者の12%程度も40歳までにESRDを発症し、これは60歳までに30%に増加する。
【0005】
ET-1、Ang-IIまたは両方の効果をブロックすることで、アルポート症候群などの腎臓に関与する疾患または障害を有する患者に対する治療利益を提供し得る。例えば、糸球体内皮細胞におけるET-1の緊張媒介誘導は、メサンギウム細胞におけるA型ET(ETA)受容体を活性化し、メサンギウムの糸状仮足による糸球体毛細血管の侵襲を開始する。糸球体基底膜(GBM)における糸状仮足沈着マトリックスは、有足細胞におけるNFκB活性の刺激、および炎症性サイトカインの発現をもたらし、最終的に糸球体硬化症および間質性線維症になる(Delimont et al., PLoS ONE 9(6):e99083, 2014)。シタクセンタンによって封鎖されたETA受容体(Dufek et al., Kidney Int 90:300-310, 2016)およびラミプリルによるアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害(Gross et al., Kidney Int 63:438-446, 2003)は両方とも、アルポート症候群のマウスモデルにおける糸球体硬化症および間質性線維症を改善することが示されている。加えて、ETAアンタゴニストのシタクセンタンは、アルポートマウスにおける耳の蝸牛における基底膜を保護することが示されている(Meehan et al., Hearing Research 341:100-198, 2016)。
【0006】
現在、アルポート症候群に対する特定の処置はなく、標準治療は、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEi)またはARBに限定され、これらは、疾患の進行を遅らせることができるが、ESRDを予防せず、かつ高い頻度で疾患に関連する難聴を予防しない。
【0007】
IV型コラーゲン遺伝子中の突然変異は、他の疾患にも関連する。例えば、COL4A3遺伝子中のミスセンス突然変異は、1型糖尿病性腎疾患(Salem et al., JASN 30:2000-2016, 2019)および2型糖尿病性ESRD(Guan et al., Hum. Genet. 135(11):1251-1262, 2016)に関連する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】van der Loop et al., Kidney Int 58:1870-1875, 2000
【文献】Delimont et al., PLoS ONE 9(6):e99083, 2014
【文献】Dufek et al., Kidney Int 90:300-310, 2016
【文献】Gross et al., Kidney Int 63:438-446, 2003
【文献】Meehan et al., Hearing Research 341:100-198, 2016
【文献】Salem et al., JASN 30:2000-2016, 2019
【文献】Guan et al., Hum. Genet. 135(11):1251-1262, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、アルポート症候群およびIV型コラーゲンの欠乏または異常に関連する他の疾患を処置するための組成物および方法に対する必要性が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一部の実施形態では、本開示は、アルポート症候群を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化1】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を対象とする。
【0011】
一部の実施形態では、本開示は、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
一部の実施形態では、本開示は、対象におけるアルポート症候群を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、糖尿病を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0014】
一部の実施形態では、本開示は、対象におけるIV型コラーゲン欠乏を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0015】
一部の実施形態では、本開示は、上記方法における使用のための医薬組成物を提供する。よりさらなる実施形態では、本開示は、上記方法における使用のための医薬の製造における医薬組成物の使用を提供する。
【0016】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明を参照する際に明らかになろう。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
アルポート症候群を有する対象における難聴を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化19】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目2)
COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化20】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目3)
前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、項目2に記載の使用のための医薬組成物。
(項目4)
前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、項目2に記載の使用のための医薬組成物。
(項目5)
前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、項目2に記載の使用のための医薬組成物。
(項目6)
前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、項目2~5のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
(項目7)
アルポート症候群を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化21】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目8)
前記構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、前記対象のeGFRを一定に維持するのに十分な量で投与される、項目7に記載の使用のための医薬組成物。
(項目9)
前記医薬組成物の投与後に、前記対象のeGFRが、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持される、項目7または項目8に記載の使用のための医薬組成物。
(項目10)
糖尿病を有する対象における難聴を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化22】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目11)
前記対象が、1型糖尿病を有する、項目10に記載の使用のための医薬組成物。
(項目12)
前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、項目11に記載の使用のための医薬組成物。
(項目13)
前記対象が、2型糖尿病を有する、項目10に記載の使用のための医薬組成物。
(項目14)
IV型コラーゲン欠乏を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化23】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
(項目15)
前記対象が、アルポート症候群を有する、項目14に記載の使用のための医薬組成物。
(項目16)
前記対象が、COL4A5遺伝子中に突然変異を有する、項目15に記載の使用のための医薬組成物。
(項目17)
前記対象が、糖尿病を有する、項目14に記載の使用のための医薬組成物。
(項目18)
前記対象が、1型糖尿病を有する、項目17に記載の使用のための医薬組成物。
(項目19)
前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、項目17または項目18に記載の使用のための医薬組成物。
(項目20)
前記対象が、2型糖尿病を有する、項目17に記載の使用のための医薬組成物。
(項目21)
アルポート症候群を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化24】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目22)
COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化25】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目23)
前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、項目22に記載の方法。
(項目25)
前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、項目22に記載の方法。
(項目26)
前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、項目22~25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
対象におけるアルポート症候群を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化26】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目28)
前記構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、前記対象のeGFRを一定に維持するのに十分な量で投与される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記医薬組成物の投与後に、前記対象のeGFRが、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持される、項目27または項目28に記載の方法。
(項目30)
糖尿病を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化27】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目31)
前記対象が、1型糖尿病を有する、項目30に記載の方法。
(項目32)
前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記対象が、2型糖尿病を有する、項目30に記載の方法。
(項目34)
対象におけるIV型コラーゲン欠乏を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化28】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目35)
前記対象が、アルポート症候群を有する、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記対象が、COL4A5遺伝子中に突然変異を有する、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記対象が、糖尿病を有する、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記対象が、1型糖尿病を有する、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、項目37または項目38に記載の方法。
(項目40)
前記対象が、2型糖尿病を有する、項目37に記載の方法。
(項目41)
アルポート症候群を有する対象における難聴の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化29】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
(項目42)
COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化30】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
(項目43)
前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、項目42に記載の使用。
(項目44)
前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、項目42に記載の使用。
(項目45)
前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、項目42に記載の使用。
(項目46)
前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、項目42~45のいずれか一項に記載の使用。
(項目47)
アルポート症候群の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化31】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
(項目48)
前記構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、前記対象のeGFRを一定に維持するのに十分な量で投与される、項目47に記載の使用。
(項目49)
前記医薬組成物の投与後に、前記対象のeGFRが、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持される、項目47または項目48に記載の使用。
(項目50)
糖尿病を有する対象における難聴の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化32】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
(項目51)
前記対象が、1型糖尿病を有する、項目50に記載の使用。
(項目52)
前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、項目51に記載の使用。
(項目53)
前記対象が、2型糖尿病を有する、項目50に記載の使用。
(項目54)
IV型コラーゲン欠乏の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化33】

またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
(項目55)
前記対象が、アルポート症候群を有する、項目54に記載の使用。
(項目56)
前記対象が、COL4A5遺伝子中に突然変異を有する、項目54に記載の使用。
(項目57)
前記対象が、糖尿病を有する、項目54に記載の使用。
(項目58)
前記対象が、1型糖尿病を有する、項目57に記載の使用。
(項目59)
前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、項目57または項目58に記載の使用。
(項目60)
前記対象が、2型糖尿病を有する、項目57に記載の使用。
(項目61)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約1mg/kg~約15mg/kgである、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目62)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約3mg/kg~約12mg/kgである、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目63)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約3mg/kg~約6mg/kgである、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目64)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約1mg/kg~約15mg/kgである、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目65)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約3mg/kg~約12mg/kgである、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目66)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約3mg/kg~約6mg/kgである、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目67)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約50mg/日~約1000mg/日である、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目68)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約200mg/日~約800mg/日である、項目67に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目69)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約400mg/日~約800mg/日である、項目67に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目70)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約100mg/日、約200mg/日、約300mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日または約1000mg/日である、項目67に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目71)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約200mg/日である、項目64に記載の使用のための医薬組成物。
(項目72)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約400mg/日である、項目64に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目73)
前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約800mg/日である、項目64に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目74)
前記化合物が、構造(I)を有する、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目75)
前記対象が、1つまたは複数の追加の治療剤を投与される、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目76)
前記対象が、成体である、先行する項目のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目77)
前記対象が、18歳またはそれよりも若い、項目1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目78)
前記対象が、12歳またはそれよりも若い、項目1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目79)
前記対象が、6~12歳である、項目1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目80)
前記対象が、2~6歳である、項目1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
(項目81)
前記医薬組成物が、経口投与用の液体製剤である、項目77~80のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、アルポートマウスにおけるスパルセンタンによる実験的研究の概略図である。パイロット研究では、アルポートマウスは、スパルセンタン(60または200mg/kgが経口で与えられる;n=3~4/群)、または媒体(n=4)で、3から7週齢まで、1日1回処置された。早期介入研究では、野生型またはアルポートマウスは、3から7週齢まで、スパルセンタン(120mg/kgが経口で与えられる;n=8/群)もしくはロサルタン(3から4週齢まで20mg/kgが経口で与えられ、4から7週齢まで飲料水中に10mg/kgで与えられる;n=7~8/群)、または媒体(n=8)で、1日1回処置された。後期介入群では、野生型またはアルポートマウスは、5から7週齢まで、スパルセンタン(120mg/kgが経口で与えられる;n=8/群)、ロサルタン(飲料水中に10mg/kgで与えられる;n=8/群)、または媒体(n=8)で、1日1回処置された。血圧(BP)を、パイロット研究の間、毎週決定した。腎臓研究のために、血中尿素窒素(BUN)および尿タンパク質/クレアチニン比(UP/C)を、それぞれ、白血球浸潤、糸球体硬化症および尿細管間質性線維症の評価として、腎臓切片中のCD45、フィブロネクチンおよび1型コラーゲンタンパク質(COL1)の免疫組織化学的(IHC)決定と一緒に、研究の最後で決定した。聴力の評価のために、マウスに、8.5週齢まで、投薬した。聴性脳幹反応(ABR)は、早期介入投薬後7~8週齢、および10時間の騒音曝露後5日の間に決定した;n=5~7/群。線条毛細血管基底の幅も、8.5週齢の研究終了時の透過型電子顕微鏡画像から決定した;n=5/群。
【0018】
図2A図2Aは、パイロット研究の間に観察されたアルポートマウスにおける糸球体硬化症に対するスパルセンタンの効果である。個々のマウスについてのデータを示し、バーは、群平均±SDを示す。媒体に対してP<0.05。AP 7 wk V=媒体を投与されたアルポートマウス;AP SP60=60mg/kgでスパルセンタンを投与されたアルポートマウス;AP SP200=200mg/kgでスパルセンタンを投与されたアルポートマウス。IF=免疫蛍光法。スパルセンタンによる処置は、3週齢で開始して4週間投薬された7週齢のアルポートマウスにおいて、用量依存性の様式で糸球体硬化症の増加を予防した。
【0019】
図2B図2Bは、パイロット研究の間に観察されたアルポートマウスにおける血中尿素窒素(BUN)レベルに対するスパルセンタンの効果である。データは、個々のマウスについて示し、バーは、群平均±SDを示す。媒体に対してP<0.05。AP 7 wk V=媒体を投与されたアルポートマウス;AP SP60=60mg/kgでスパルセンタンを投与されたアルポートマウス;AP SP200=200mg/kgでスパルセンタンを投与されたアルポートマウス。4週間の投薬後の7週齢のアルポートマウスにおけるBUNレベル。
【0020】
図3図3は、早期介入研究における、媒体処置野生型マウス(左)、媒体処置アルポートマウス(中央)、および120mg/kgのスパルセンタンで処置されたアルポートマウス(右)における糸球体の透過型電子顕微鏡画像である。アルポートマウスのスパルセンタン処置は、GBM超微細構造形態(*によって示す)における変化を予防し、有足細胞の消失(矢印によって示す)を低減した。
【0021】
図4A図4Aは、5週齢で開始して14日間、媒体(WT-V)、120mg/kgのスパルセンタン(WT-SP)もしくは10mg/kgのロサルタン(WT-LOS)で処置された野生型マウス、または媒体で処置されたアルポートマウス(AP-V)、または120mg/kgのスパルセンタン(AP-SP)もしくは10mg/kgのロサルタン(AP-LOS)で処置されたアルポートマウスにおける後期介入研究の間に観察されたタンパク尿(UP/Cレベル、mg/mg)に対するスパルセンタンおよびロサルタンの効果である。個々のマウスからのデータを示し、バーは、群平均±SDを示す。P<0.05 媒体で処置されたアルポートマウス(AP-V)に対する、120mg/kgのスパルセンタン(APSP)または10mg/kgのロサルタン(AP-LOS)で処置されたアルポートマウス。
【0022】
図4B図4Bは、5週齢で開始して14日間、媒体で処置された野生型マウス(WT-V)、媒体で処置されたアルポートマウス(AP-V)、120mg/kgのスパルセンタン(AP-SP)もしくは10mg/kgのロサルタン(AP-LOS)で処置されたアルポートマウスにおける後期介入研究の間に観察された血中尿素窒素(BUN)レベル(mg/dL)に対するスパルセンタンおよびロサルタンの効果である。個々のマウスからのデータを示し、バーは、群平均±SDを示す。P<0.05 媒体で処置されたアルポートマウス(AP-V)または10mg/kgのロサルタンで処置されたアルポートマウス(AP-LOS)に対する、120mg/kgのスパルセンタンで処置されたアルポートマウス(AP-SP)。
【0023】
図5A図5Aは、スパルセンタンが、5週齢~7週齢の2週間投薬されたアルポートマウスにおける間質性線維症およびCD45白血球浸潤の増加を予防したことを示す。5週齢の未処置アルポートマウス(AP 5 wk UT)、媒体で処置された7週齢の野生型マウス(WT V 7wk)、媒体で処置された7週齢のアルポートマウス(AP 7 wk V)および120mg/kgのスパルセンタンで処置された7週齢のアルポートマウス(AP 7 wk SP)からの皮質切片を、抗COL1抗体(赤色、上パネルおよび下パネル)および抗CD45抗体(緑色、中央パネルおよび下パネル)で染色した。画像を、200倍の倍率でZeiss蛍光顕微鏡を用いて撮影した。スパルセンタン処置アルポートマウスからの皮質切片は、抗COL1抗体(赤色)および抗CD45抗体(緑色)で染色後、低減された蛍光を示した。
【0024】
図5B図5Bは、媒体で処置された7週齢の野生型マウス(WT V)、5週齢の未処置アルポートマウス(AP 5 wk UT)、媒体で処置された7週齢のアルポートマウス(AP V)、120mg/kgのスパルセンタンで処置された7週齢のアルポートマウス(AP SP)および10mg/kgのロサルタンで処置された7週齢のアルポートマウス(AP LOS)に関する皮質切片中のCOL1についての染色面積パーセントである。P<0.05 対AP V;$P<0.05 対AP 5 wk UT。
【0025】
図6A図6Aは、スパルセンタンが、5週齢~7週齢の2週間投薬されたアルポートマウスにおける硬化した糸球体の相対量の増加を予防したことを示す。5週齢の未処置アルポートマウス(AP 5 wk UT)、媒体で処置された7週齢の野生型マウス(WT V 7wk)、媒体で処置された7週齢のアルポートマウス(AP 7 wk V)および120mg/kgのスパルセンタンで処置された7週齢のアルポートマウス(AP 7 wk SP)からの皮質切片を、抗フィブロネクチン抗体(赤色、上パネルおよび下パネル)および抗CD45抗体(緑色、中央パネルおよび下パネル)で染色した。画像を、200倍の倍率でZeiss蛍光顕微鏡を用いて撮影し、画像は、図5Aにおけるように、同じ動物由来の切片からである。スパルセンタン処置アルポートマウスからの腎臓切片は、フィブロネクチン(FN)(赤色)およびCD45(緑色)に対する抗体で共染色後、糸球体中の低減された蛍光を示した。
【0026】
図6B図6Bは、スパルセンタンおよびロサルタンが、5週齢~7週齢の2週間投薬されたアルポートマウスにおける硬化した糸球体の相対量の増加を予防したことを示す。5週齢~7週齢の2週間投薬されたスパルセンタン処置アルポートマウスにおける硬化した糸球体のパーセンテージは、目視評価後に、媒体処置マウスのものと比較して、有意に減少した。媒体で処置された7週齢の野生型マウス(WT V)、5週齢の未処置アルポートマウス(AP UT)、媒体で処置された7週齢のアルポートマウス(AP V)、120mg/kgのスパルセンタンで処置された7週齢のアルポートマウス(AP SP)および10mg/kgのロサルタンで処置された7週齢のアルポートマウス(AP LOS)についての値を示す。P<0.05 対AP V;$P<0.05 対AP UT。
【0027】
図7図7は、カプランマイヤープロットとして表されるアルポートマウスの寿命(日)である。スパルセンタンまたはロサルタンで処置されたマウスの寿命の中央値は、異ならないが、両方とも媒体処置マウスの寿命の中央値よりも有意に長かった。
【0028】
図8A図8Aは、媒体処置野生型マウス(WT V)、スパルセンタン処置WT野生型マウス(WT Spar)、ロサルタン処置野生型マウス(WT LOS)、媒体処置アルポートマウス(アルポートV)、スパルセンタン処置アルポートマウス(アルポートSpar)、およびロサルタン処置アルポートマウス(アルポートLOS)における、騒音曝露前の聴性脳幹反応(ABR)によって決定された聴力である。騒音前の聴力は、7~8週齢の129/Sv野生型マウスについての正常範囲内であり、アルポートマウスと、またはスパルセンタンまたはロサルタン処置後と、有意に相違しなかった。平均を示す。dB=デシベル;SPL=音圧レベル。
【0029】
図8B図8Bは、媒体処置野生型マウス(WT V)、スパルセンタン処置WT野生型マウス(WT Spar)、ロサルタン処置野生型マウス(WT LOS)、媒体処置アルポートマウス(アルポートV)、スパルセンタン処置アルポートマウス(アルポートSpar)、およびロサルタン処置アルポートマウス(アルポートLOS)における、騒音曝露5日後の聴性脳幹反応(ABR)によって決定された聴力である。平均を示す。dB=デシベル;SPL=音圧レベル。
【0030】
図9A図9Aは、ロサルタンではなくスパルセンタンが、騒音性難聴を予防したことを示す。ABRに由来する難聴の閾値を、媒体処置野生型マウス(WT V)、スパルセンタン処置野生型マウス(WT Spar)、ロサルタン処置野生型マウス(WT LOS)、媒体処置アルポートマウス(アルポートV)、スパルセンタン処置アルポートマウス(アルポートSpar)、およびロサルタン処置アルポートマウス(アルポートLos)において、図8Aおよび8B(騒音後の閾値から騒音前の閾値を引いたものとして計算される)に示す。試験された周波数全体にわたる難聴;データは、明確にするために、平均+SD(アルポートVおよびアルポートLos)、またはWT V、WT Spar、WT LosおよびアルポートSparについて、平均-SDとして表した(n=5~6)。アルポートの媒体処置群は、低~中周波数(8~24kHz)において軽度の難聴を起こし、これは、8kHzおよび16kHzでの媒体処置野生型マウスと比較して有意であった。アルポートのスパルセンタン処置群における難聴は、16kHzの周波数で、アルポートの媒体処置群の難聴と比較して、有意に低減された。試験された任意の周波数で、アルポートの媒体処置群およびアルポートのロサルタン処置群における難聴の間に有意差はなかった。#P<0.05 WT Vと比較したアルポートV;P<0.05 アルポートSparと比較したアルポートV。
【0031】
図9B図9Bは、ロサルタンではなくスパルセンタンが、騒音性難聴を予防したことを示す。ABRに由来する難聴の閾値を、媒体処置野生型マウス(WT V)、スパルセンタン処置野生型マウス(WT Spar)、ロサルタン処置野生型マウス(WT LOS)、媒体処置APアルポートマウス(アルポートPV)、スパルセンタン処置アルポートマウス(アルポートSpar)、およびロサルタン処置アルポートマウス(アルポートLos)において、図8Aおよび8B(騒音後の閾値から騒音前の閾値を引いたものとして計算される)に示す。個々の動物からのデータを示す(n=5~6)。16kHzでの難聴。P<0.05 アルポートVと比較したアルポートSpar;#P<0.05 WT Vと比較したアルポートV。スパルセンタンで処置されたアルポートマウスは、16kHzで、媒体処置アルポートマウスにおいて観察された騒音後難聴を示さず(P<0.05 アルポートSpar対アルポートV)、媒体処置野生型マウスと比較して、有意差はなかった(NS アルポートSpar対WT V)。媒体処置アルポートマウスおよびロサルタン処置アルポートマウスの間の難聴に有意差はなかった。
【0032】
図10図10は、線条毛細血管基底膜の幅である。3~8.5週齢のアルポートマウスのスパルセンタンまたはロサルタンによる処置は、媒体処置アルポートマウスにおいて観察されたSCBM幅の増加を予防した。媒体処置野生型マウス(WT V)、スパルセンタン処置野生型マウス(WT Spar)、媒体処置アルポートマウス(アルポートV)、スパルセンタン処置アルポートマウス(アルポートSpar)およびロサルタン処置アルポートマウス(アルポートLos)。SCBM=線条毛細血管基底膜。個々の動物からのデータを示す(n=5)。P<0.05 アルポートVと比較したアルポートSparまたはアルポートLos;#P<0.05 WT Vと比較したアルポートV。
【0033】
図11図11は、媒体処置アルポートマウスにおける下部尖端蝸牛ターンのTEM画像である。
【0034】
図12図12は、媒体処置アルポートマウスからの血管条の高倍率TEM画像である。
【0035】
図13図13は、媒体処置アルポートマウスからの線条からのTEMによる毛細血管の部分図である。
【0036】
図14図14は、スパルセンタン処置アルポートマウスにおける下部尖端蝸牛ターンのTEM画像である。
【0037】
図15図15は、スパルセンタン処置アルポートマウスからの血管条の高倍率TEM画像である。
【0038】
図16図16は、スパルセンタン処置アルポートマウスにおける線条からのTEMによる毛細血管の部分図である。
【0039】
図17図17は、ロサルタン処置アルポートマウスにおける下部基底蝸牛ターンのTEM画像である。
【0040】
図18図18は、ロサルタン処置アルポートマウスにおける血管条の高倍率TEM画像である(図17におけるマウスと異なるマウス)。
【0041】
図19図19は、TEMによるロサルタン処置アルポートマウスにおける線条組織の広範囲の図である(図18と同じマウス)。
【0042】
図20図20は、ロサルタン処置アルポートマウスにおける線条病理のTEM画像である(図17~19におけるマウスと異なるマウス)。
【0043】
図21図21は、ロサルタン処置アルポートマウスにおける深刻な線条病理のTEM画像である(4番目および5番目のマウスの例)。
【0044】
図22図22は、ロサルタン処置アルポートマウスにおける深刻な線条病理のTEM画像である。
【0045】
図23図23は、ロサルタン処置アルポートマウスにおける深刻な線条病理のTEM画像である。
【0046】
図24図24は、スパルセンタンが、アルポートマウスの線条における細胞外基質タンパク質のラミニンα2の蓄積を予防したことを示す。3~7週齢の、媒体で処置された野生型マウス、または媒体、スパルセンタン(200mg/kg)もしくはロサルタン(10mg/kg)で処置されたアルポートマウスからの線条の免疫蛍光画像。免疫蛍光画像は、ラミニンα2に対する抗体とのインキュベーション後である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本開示は、一般に、アルポート症候群などのIV型コラーゲン欠乏または異常に関連する疾患の処置におけるアンジオテンシンおよびエンドセリン受容体のデュアルアンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の使用に関する。
【0048】
以下の説明では、ある特定の詳細を、本発明のさまざまな実施形態の理解を通じて提供するために説明する。しかしながら、当業者は、本発明がこれらの詳細なしで実施されてもよいことを理解する。
【0049】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、ある特定の用語は、以下の定義された意味を有し得る。
【0050】
文脈が特に必要としない限り、本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、「含む(comprise)」という語、およびそのバリエーション、例えば、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、オープンの包括的な意味、すなわち、「を含むが、それに限定されない(including,but not limited to)」として解釈されるべきである。
【0051】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む(including)」およびそのバリアント、例えば、「含む(include)」および「含む(includes)」は、オープンの包括的な意味において解釈されるべきであり、すなわち、これは、「を含むが、それに限定されない(including,but not limited to)」と等価である。本明細書で使用される場合、「含む(include)」および「有する(have)」という用語は、同意語として使用され、それらの用語およびバリアントは、非限定的として解釈されることが意図される。
【0052】
本明細書で使用される場合、「など(such as)」という語句は、非限定的な例を指す。
【0053】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、その実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。そのため、本明細書全体を通してさまざまな場所における「一実施形態では」または「実施形態では」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すわけではない。さらにまた、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な様式で組み合わされてもよい。
【0054】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」および「the」についての単数形は、文脈が特に明確に示さない限り、複数の言及を含む。例えば、「細胞(a cell)」という用語は、その混合物を含む、複数の細胞を含む。同様に、本明細書に記載の医薬の処置または調製に関する「化合物(a compound)」の使用は、文脈が特に明確に示さない限り、このような処置または調製のために本発明の1つまたは複数の化合物を使用することを企図する。
【0055】
選択肢(例えば、「または」)の使用は、選択肢のいずれか1つ、両方、またはそれらの任意の組合せを意味することが理解されるべきである。
【0056】
「必要に応じた」または「必要に応じて」とは、その後に記載の状況の事象が起こってもよく、または起こらなくてもよいこと、ならびにその記載が、前記事象または状況が起こる例、およびそれが起こらない例を含むことを意味する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」とは、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定される量についての誤差の許容可能な程度を指す。誤差の典型的な例示的な程度は、所与の値または値の範囲の20%、10%または5%以内であり得る。あるいは、および特に生物学的系では、「約」および「およそ」という用語は、所与の値の1桁以内、潜在的には5倍または2倍以内である値を意味する場合がある。明白に言及されない場合、「約」および「およそ」という用語は、ある値に等しいか、またはその値の20%以内を意味する。
【0058】
本明細書で使用される場合、数量は、報告される有効数字の数に反映される程度まで正確である。例えば、0.1の値は、0.05~0.14を意味すると理解される。別の例として、値の間隔の0.1~0.2は、0.05~0.24の範囲を包む。
【0059】
構造(I)を有する化合物は、本開示の範囲内でもある塩を形成する。本明細書における構造(I)を有する化合物への言及は、特に指示されない限り、その塩への言及を含むことが理解される。「塩」という用語は、本明細書で用いられる場合、無機または有機の酸および塩基と形成される、酸性塩または塩基性塩を表す。加えて、構造(I)を有する化合物は、塩基性部分および酸性部分の両方を含有するので、双性イオン(「内塩」)が形成される場合があり、本明細書で使用される場合、「塩」という用語内に含まれる。薬学的に許容される(すなわち、非毒性の生理学的に許容される)塩が好ましいが、例えば、調製の間に用いられ得る単離または精製ステップにおいて、他の塩が有用である場合がある。構造(I)を有する化合物の塩は、例えば、構造(I)を有する化合物と、当量などのある量の酸または塩基とを、塩が沈殿する媒体などの媒体中、または水性媒体中で反応させ、続いて凍結乾燥することによって形成され得る。
【0060】
「薬学的に許容される塩」という用語は、酸付加塩および塩基付加塩の両方を含む。
【0061】
構造(I)を有する化合物のプロドラッグおよび溶媒和物も企図される。「プロドラッグ」という用語は、対象への投与の際に、代謝的もしくは化学的プロセスによる化学的変換を受けて、構造(I)を有する化合物を生じる化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を表す。構造(I)を有する化合物の溶媒和物は、水和物であってもよい。任意の互変異性体も企図される。
【0062】
多くの場合、結晶化により、構造(I)を有する化合物またはその塩の溶媒和物が生成する。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、本明細書に開示される化合物の1つまたは複数の分子と溶媒の1つまたは複数の分子を含む凝集体を指す。一部の実施形態では、溶媒は水であり、この場合において、溶媒和物は水和物である。あるいは、他の実施形態では、溶媒は有機溶媒である。そのため、本開示の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物などを含む水和物、ならびに対応する溶媒和された形態として存在し得る。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、真の溶媒和物であり得るが、他の場合では、本明細書に開示される化合物は、外来性の水を単に保持するか、または水と一部の外来性の溶媒の混合物である。
【0063】
本明細書に開示される発明は、開示される化合物のin vivo代謝産物を包含することも意味する。このような産物は、投与される化合物の、例えば、酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから、主に、酵素プロセスに起因して生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物を、その代謝産物を生じるのに十分な期間、哺乳動物に投与することを含むプロセスによって生成する化合物を含む。このような産物は、典型的には、放射性標識された本発明の化合物を検出可能な用量で、ラット、マウス、モルモット、サルまたはヒトなどの動物に投与し、代謝が起こるのに十分な時間を許容し、尿、血液または他の生体試料からその変換産物を単離することによって、特定される。
【0064】
「安定な化合物」および「安定な構造」とは、反応混合物からの有用な程度の純度への単離、および有効な治療剤への製剤化に耐えるために十分強い化合物を示すことを意味する。
【0065】
「対象」という用語は、飼育されているペット(例えば、イヌまたはネコ)などの哺乳動物、またはヒトを指す。好ましくは、対象はヒトである。一部の実施形態では、対象は、疾患または障害を有すると診断されている患者である。
【0066】
「有効量」という語句は、疾患を処置するために対象または患者に投与される場合、疾患のためのそのような処置をもたらすのに十分である量を指す。
【0067】
「投薬単位形態」という用語は、医薬製品が使用のために市場で販売されている形態を含むが、それに限定されない、医薬製品の形態である。例としては、丸剤、錠剤、カプセル剤ならびに液体の液剤および懸濁剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0068】
「処置(treatment)」または「処置する(treating)」とは、(1)疾患の病理もしくは症候を経験または示す対象あるいは患者において疾患を阻害すること(例えば、病理もしくは症候のさらなる発生を阻むこと);または(2)疾患の病理もしくは症候を経験または示す対象あるいは患者において疾患を改善すること(例えば、病理もしくは症候を反転させること);または(3)疾患の病理もしくは症候を経験または示す対象あるいは患者において疾患における任意の測定可能な減少をもたらすこと、を含む。
【0069】
さらなる定義を、本開示全体を通して説明する。
化学化合物および調製の方法
【0070】
本開示は、一般に、アンジオテンシンおよびエンドセリン受容体のデュアルアンタゴニストであるビフェニルスルホンアミド化合物の使用に関する。特に、本開示は、構造(I)を有する化合物
【化2】
およびその薬学的に許容される塩などのビフェニルスルホンアミド化合物に関する。構造(I)の化合物は、スパルセンタンとしても公知である。スパルセンタンは、エンドセリン(A型)受容体(「ET」受容体)およびアンジオテンシンII受容体(1型)(「AT」受容体)に対する親和性を有する選択的デュアル作用性の受容体アンタゴニストである(Kowala et al., JPET 309: 275-284, 2004)。
【0071】
構造(I)の化合物は、国際特許出願公開第2018/071784A1号に記載の方法などの方法によって調製され得る。
【0072】
加えて、構造(I)の化合物は、米国特許出願公開第2015/0164865A1号および米国特許第6,638,937B2号に列挙された方法によって調製され得る。
医薬組成物および使用の方法
【0073】
一部の実施形態では、本開示は、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の投与に関する。「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、活性成分および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を指す。医薬組成物は、生物体への活性成分の投与を容易にするために使用され得る。経口、注射、エアロゾル、非経口および局所投与などの化合物を投与する多数の技法が、当技術分野において存在する。医薬組成物は、例えば、化合物を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などのような無機酸または有機酸と反応させることによって得ることができる。本明細書で使用される場合、「生理学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、活性成分の活性を妨げない、生理学的および薬学的に適切な非毒性の不活性な材料または成分を指し、ヒトまたは家畜動物における使用のために許容される米国食品医薬品局によって承認されている、任意のアジュバント、担体、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、香味増強剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張剤、溶媒または乳化剤を含む。
【0074】
一部の実施形態では、医薬組成物は、下記に記載のようにして製剤化され得る。
【0075】
加えて、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することによる、疾患または障害を処置する方法は、本開示の範囲内でもある。
【0076】
一態様では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、アルポート症候群の処置において有用である。したがって、一部の実施形態では、アルポート症候群を処置する方法であって、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、アルポート症候群を処置する方法は、それを必要とする対象に、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一部の実施形態では、アルポート症候群を処置する方法は、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む。よりさらなる実施形態では、医薬組成物は、アルポート症候群を処置するのに有効な量で、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0077】
一部のさらなる実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、または構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、アルポート症候群の処置において有用である。
【0078】
よりさらなる実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、上記の有用性の結果としての一般的な罹患率または死亡率の低減において有用である。
【0079】
一部の実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、糸球体濾過率を維持するのに有用である。本明細書で使用される場合、「糸球体濾過率」(「GFR」)は、腎臓機能の尺度であり、単位時間あたりに腎臓の糸球体を通して濾過される流体の量を指す。GFRは、血清クレアチニンレベルを測定すること、および慢性腎臓病疫学共同研究(CKD-EPI)クレアチニン方程式を使用することによって、推定され得る。本明細書で使用される場合、「推定糸球体濾過率」(「eGFR」)は、CKD-EPIクレアチニン方程式を使用して得られるGFRの推定値を指す。一部の実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、eGFRレベルを維持する(すなわち、アルポート症候群に関連するGFRの低減を予防する)のに有用である。一部の実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を対象に投与すると、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持されるeGFRをもたらす。本明細書で使用される場合、「eGFRの維持」は、eGFRレベルの臨床的に意味がある低減がないことを指す。したがって、本明細書で使用される場合、アルポート症候群を有する患者の処置への言及において、「eGFRを一定に維持する」という語句は、処置の開始前のそれらの最も最近に計算されたeGFRレベルと臨床的に等価またはそれよりも良好であるレベルで、対象のeGFRを維持する処置を意味する。一部の実施形態では、eGFRは、投与後数か月間または数年間維持される。対象のeGFRレベルが一定に維持される期間は、典型的には、少なくとも12か月である。
【0080】
一部の実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、アルポート症候群と関連する難聴、またはアルポート症候群を有する対象における難聴の処置(例えば、予防)において有用である。したがって、一部の実施形態では、アルポート症候群に関連する難聴を処置する(例えば、予防する)方法であって、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、アルポート症候群に関連する難聴を処置する(例えば、予防する)方法は、それを必要とする対象に、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一部の他の実施形態では、本開示は、アルポート症候群に関連する難聴を処置する(例えば、予防する)方法であって、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。一部のさらなる実施形態では、医薬組成物は、有効量で、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。本明細書で使用される場合、「アルポート症候群に関連する難聴の予防、またはアルポート症候群に関連する難聴を予防すること」は、アルポート症候群に関連する難聴を阻むこと、またはアルポート症候群に関連する難聴の速度を遅らせることを指す。例えば、アルポート症候群に関連する難聴を予防することは、聴力を安定化すること、および聴力の低下を遅らせることを含む。
【0081】
一部のさらなる実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、または構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、アルポート症候群に関連する難聴、またはアルポート症候群を有する対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法において有用である。
【0082】
別の態様では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、糖尿病を有する対象における難聴の処置(例えば、予防)において有用である。したがって、一部の実施形態では、糖尿病を有する対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法であって、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、糖尿病の対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法は、それを必要とする対象に、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一部の実施形態では、糖尿病の対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法は、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、有効量で、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、対象は、1型糖尿病を有する。一部の実施形態では、対象は、1型糖尿病、およびCOL4A3遺伝子中の突然変異(例えば、ミスセンス突然変異)を有する。一部の実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。
【0083】
一部のさらなる実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、または構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、糖尿病に関連する難聴、または糖尿病を有する対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法において有用である。
【0084】
別の態様では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴の処置(例えば、予防)において有用である。したがって、一部の実施形態では、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異(例えば、ミスセンス突然変異)を有する対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法であって、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法は、それを必要とする対象に、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一部の実施形態では、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象の難聴を処置する(例えば、予防する)方法は、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、有効量で、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、突然変異は、COL4A3遺伝子中にある。一部の実施形態では、突然変異は、COL4A4遺伝子中にある。一部の実施形態では、突然変異は、COL4A5遺伝子中にある。
【0085】
一部のさらなる実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、または構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異(例えば、ミスセンス突然変異)を有する対象における難聴を処置する(例えば、予防する)方法において有用である。
【0086】
別の態様では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩は、IV型コラーゲン欠乏を有する対象の処置において有用である。したがって、一部の実施形態では、対象におけるIV型コラーゲン欠乏を処置する方法であって、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、対象におけるIV型コラーゲン欠乏を処置する方法は、それを必要とする対象に、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。一部の実施形態では、対象におけるIV型コラーゲン欠乏を処置する方法は、それを必要とする対象に、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、有効量で、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、対象は、アルポート症候群を有する。一部の実施形態では、対象は、アルポート症候群、およびCOL4A5遺伝子中の突然変異(例えば、ミスセンス突然変異)を有する。一部の実施形態では、対象は、糖尿病を有する。一部の実施形態では、対象は、1型糖尿病を有する。一部の実施形態では、対象は、1型糖尿病、およびCOL4A3遺伝子中の突然変異(例えば、ミスセンス突然変異)を有する。一部の実施形態では、対象は、2型糖尿病を有する。
【0087】
一部のさらなる実施形態では、構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩、または構造(I)の化合物およびその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、IV型コラーゲン欠乏を処置する方法において有用である。
【0088】
一部の実施形態では、前述の使用または処置の方法のいずれかは、構造(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれを含む医薬組成物を、他の治療剤または診断剤などの1つまたは複数の他の活性成分と組み合わせて、投与することを含み得る。例えば、一部の実施形態では、1つまたは複数の他の治療剤は、有効量の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の投与の前、それと同時に、またはその後に投与され得る。固定された用量として製剤化される場合、このような組合せ製品は、下記に記載の用量域内の構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、およびその承認された用量域内の他の活性成分を用い得る。
【0089】
一部の実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、血液透析と併せて使用される。
【0090】
前述の使用および処置の方法の一部の実施形態では、投薬レジメンは、50mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、100mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、200mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、300mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、400mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、500mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、600mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、700mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、800mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、900mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。一部の実施形態では、投薬レジメンは、1000mg/日の量で構造(I)を有する化合物を投与することを含む。
【0091】
前述の使用および処置の方法の一部の実施形態では、投薬レジメンは、200mg/日の量で、8週間、26週間または8か月間、構造(I)を有する化合物を投与することを含む。よりさらなる実施形態では、投薬レジメンは、400mg/日の量で、8週間、26週間または8か月間、構造(I)を有する化合物を投与することを含む。よりさらなる実施形態では、投薬レジメンは、800mg/日の量で、8週間、26週間または8か月間、構造(I)を有する化合物を投与することを含む。
【0092】
前述の実施形態のいずれかでは、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約50mg/日~約1000mg/日であり得る。例えば、一部の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約200mg/日~約800mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約50mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約100mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約200mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約300mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約400mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約500mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約600mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約700mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約800mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約900mg/日である。他の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、約1000mg/日である。
【0093】
前述の使用および処置の方法の一部の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、1日あたり1mg/kg~15mg/kgである。一部の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、1日あたり3mg/kg~12mg/kgである。一部の実施形態では、対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、1日あたり3mg/kg~6mg/kgである。これらの実施形態の一部では、対象は、小児(例えば、18歳未満、2~6歳、5~10歳、6~12歳)である。
【0094】
前述の実施形態のいずれかでは、化合物は、構造(I)を有する化合物であり得る。
【0095】
前述の実施形態のいずれかでは、方法は、前記対象に、1つまたは複数の追加の治療剤を投与することをさらに含み得る。
【0096】
前述の実施形態のいずれかでは、対象は、成体であり得るか、または18歳もしくはそれよりも若くあり得る。一部の実施形態では、対象は、18歳またはそれよりも若い。一部の実施形態では、対象は、5~10歳である。一部の実施形態では、対象は、6~12歳である。一部の実施形態では、対象は、2~6歳である。
【0097】
一部の実施形態では、本開示は、前述の方法における使用のための、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩およびその薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0098】
一部の実施形態では、本開示は、前述の治療方法における使用のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0099】
本開示はまた、さらなる実施形態において提供する。
1.アルポート症候群を有する対象における難聴を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化3】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
2.COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化4】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
3.前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、実施形態2に記載の使用のための医薬組成物。
4.前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、実施形態2に記載の使用のための医薬組成物。
5.前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、実施形態2に記載の使用のための医薬組成物。
6.前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、実施形態2~5のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
7.アルポート症候群を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化5】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
8.前記構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、前記対象のeGFRを一定に維持するのに十分な量で投与される、実施形態7に記載の使用のための医薬組成物。
9.前記医薬組成物の投与後に、前記対象のeGFRが、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持される、実施形態7または実施形態8に記載の使用のための医薬組成物。
10.糖尿病を有する対象における難聴を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化6】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
11.前記対象が、1型糖尿病を有する、実施形態10に記載の使用のための医薬組成物。
12.前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、実施形態11に記載の使用のための医薬組成物。
13.前記対象が、2型糖尿病を有する、実施形態10に記載の使用のための医薬組成物。
14.IV型コラーゲン欠乏を処置する方法における使用のための、構造(I)を有する化合物
【化7】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
15.前記対象が、アルポート症候群を有する、実施形態14に記載の使用のための医薬組成物。
16.前記対象が、COL4A5遺伝子中に突然変異を有する、実施形態15に記載の使用のための医薬組成物。
17.前記対象が、糖尿病を有する、実施形態14に記載の使用のための医薬組成物。
18.前記対象が、1型糖尿病を有する、実施形態17に記載の使用のための医薬組成物。
19.前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、実施形態17または実施形態18に記載の使用のための医薬組成物。
20.前記対象が、2型糖尿病を有する、実施形態17に記載の使用のための医薬組成物。
21.アルポート症候群を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化8】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
22.COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化9】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
23.前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、実施形態22に記載の方法。
24.前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、実施形態22に記載の方法。
25.前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、実施形態22に記載の方法。
26.前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、実施形態22~25のいずれか一項に記載の方法。
27.対象におけるアルポート症候群を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化10】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
28.前記構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、前記対象のeGFRを一定に維持するのに十分な量で投与される、実施形態27に記載の方法。
29.前記医薬組成物の投与後に、前記対象のeGFRが、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持される、実施形態27または実施形態28に記載の方法。
30.糖尿病を有する対象における難聴を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化11】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
31.前記対象が、1型糖尿病を有する、実施形態30に記載の方法。
32.前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、実施形態31に記載の方法。
33.前記対象が、2型糖尿病を有する、実施形態30に記載の方法。
34.対象におけるIV型コラーゲン欠乏を処置する方法であって、構造(I)を有する化合物
【化12】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
35.前記対象が、アルポート症候群を有する、実施形態34に記載の方法。
36.前記対象が、COL4A5遺伝子中に突然変異を有する、実施形態35に記載の方法。
37.前記対象が、糖尿病を有する、実施形態34に記載の方法。
38.前記対象が、1型糖尿病を有する、実施形態37に記載の方法。
39.前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、実施形態37または実施形態38に記載の方法。
40.前記対象が、2型糖尿病を有する、実施形態37に記載の方法。
41.アルポート症候群を有する対象における難聴の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化13】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
42.COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化14】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
43.前記突然変異が、COL4A3遺伝子中にある、実施形態42に記載の使用。
44.前記突然変異が、COL4A4遺伝子中にある、実施形態42に記載の使用。
45.前記突然変異が、COL4A5遺伝子中にある、実施形態42に記載の使用。
46.前記突然変異が、ミスセンス突然変異である、実施形態42~45のいずれか一項に記載の使用。
47.アルポート症候群の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化15】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
48.前記構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、前記対象のeGFRを一定に維持するのに十分な量で投与される、実施形態47に記載の使用。
49.前記医薬組成物の投与後に、前記対象のeGFRが、前記医薬組成物の投与直前のeGFRレベルでまたはそれを上回るeGFRレベルで維持される、実施形態47または実施形態48に記載の使用。
50.糖尿病を有する対象における難聴の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化16】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
51.前記対象が、1型糖尿病を有する、実施形態50に記載の使用。
52.前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、実施形態51に記載の使用。
53.前記対象が、2型糖尿病を有する、実施形態50に記載の使用。
54.IV型コラーゲン欠乏の処置のための医薬の製造における、構造(I)を有する化合物
【化17】
またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用。
55.前記対象が、アルポート症候群を有する、実施形態54に記載の使用。
56.前記対象が、COL4A5遺伝子中に突然変異を有する、実施形態54に記載の使用。
57.前記対象が、糖尿病を有する、実施形態54に記載の使用。
58.前記対象が、1型糖尿病を有する、実施形態57に記載の使用。
59.前記対象が、COL4A3遺伝子中に突然変異を有する、実施形態57または実施形態58に記載の使用。
60.前記対象が、2型糖尿病を有する、実施形態57に記載の使用。
61.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約1mg/kg~約15mg/kgである、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
62.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約3mg/kg~約12mg/kgである、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
63.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約3mg/kg~約6mg/kgである、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
64.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約1mg/kg~約15mg/kgである、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
65.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約3mg/kg~約12mg/kgである、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
66.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、1日あたり約3mg/kg~約6mg/kgである、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
67.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約50mg/日~約1000mg/日である、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
68.前記対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約200mg/日~約800mg/日である、実施形態67に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
69.前記対象に投与される構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約400mg/日~約800mg/日である、実施形態67に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
70.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約100mg/日、約200mg/日、約300mg/日、約400mg/日、約500mg/日、約600mg/日、約700mg/日、約800mg/日、約900mg/日または約1000mg/日である、実施形態67に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
71.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約200mg/日である、実施形態64に記載の使用のための医薬組成物。
72.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約400mg/日である、実施形態64に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
73.前記対象に投与される前記構造(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩の量が、約800mg/日である、実施形態64に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
74.前記化合物が、構造(I)を有する、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
75.前記対象が、1つまたは複数の追加の治療剤を投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
76.前記対象が、成体である、先行する実施形態のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
77.前記対象が、18歳またはそれよりも若い、実施形態1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
78.前記対象が、12歳またはそれよりも若い、実施形態1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
79.前記対象が、6~12歳である、実施形態1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
80.前記対象が、2~6歳である、実施形態1~75のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
81.医薬組成物が、経口投与用の液体製剤である、実施形態77~80のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物、方法または製造における使用。
医薬製剤
【0100】
一態様では、本開示は、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物の投与に関する。構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の製剤および投与に関する技法は、例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences," Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition, 1990に見出され得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、下記に記載のようにして製剤化される。
【0101】
一部の実施形態では、賦形剤は、それ自身は治療剤ではなく、担体、希釈剤、アジュバント、もしくは治療剤を対象に送達するための媒体として使用されるか、あるいは医薬組成物に添加されて、その取り扱いもしくは貯蔵性を改善するか、または経口投与のために適切なカプセル剤、錠剤、フィルムコート錠剤、カプレット、ゲルキャップ、丸剤、ペレット、ビーズなどのような別個の物品への組成物の用量単位の形成を可能にするか、もしくは容易にする、任意の物質を含む。例えば、賦形剤は、表面活性剤(または「界面活性剤」)、担体、希釈剤、崩壊剤、結合剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、流動促進剤、コーティングまたはコーティング補助物質、フィルム形成物質、甘味料、可溶化剤、平滑化剤、懸濁剤、不愉快な味もしくは臭いをマスクもしくは弱めるために添加される物質、香味料、着色剤、香料、または組成物の外見を改善するために添加される物質、あるいはこれらの組合せであり得る。
【0102】
許容される賦形剤としては、例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、トウモロコシデンプンもしくはその誘導体、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウム塩およびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース一水和物、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロクサマー(例えば、ポロクサマー101、105、108、122、123、124、181、182、183、184、185、188、212、215、217、231、234、235、237、238、282、284、288、331、333、334、335、338、401、402、403および407、ならびにポロクサマー105ベンゾエート、ポロクサマー182ジベンゾエート407など)、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素などが挙げられる。錠剤およびカプセル剤のために適切な賦形剤の例としては、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、デンプンナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロクサマー188、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムが挙げられる。軟ゼラチンカプセル剤のために適切な賦形剤の例としては、植物油、ワックス、脂肪、ならびに半固体および液体のポリオールが挙げられる。液剤およびシロップ剤の調製のために適切な賦形剤としては、例えば、水、ポリオール、スクロース、転化糖およびグルコースが挙げられる。化合物は、マイクロカプセル化形態で作製することもできる。所望により、吸収増強調製物(例えば、リポソーム)を利用することができる。治療的使用のために許容される賦形剤は、薬剤分野において周知であり、例えば、"Handbook of Pharmaceutical Excipients," 5th edition (Raymond C Rowe, Paul J Sheskey and Sian C Owen, eds. 2005)および"Remington: The Science and Practice of Pharmacy," 21st edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)に記載されている。
【0103】
一部の実施形態では、界面活性剤が使用される。経口薬物形態における湿潤剤としての界面活性剤の使用は、文献、例えば、H. Sucker, P. Fuchs, P. Speiser, Pharmazeutische Technologie, 2nd edition, Thieme 1989, page 260に記載されている。界面活性剤を使用すること、とりわけ、医薬活性化合物の透過および生物学的利用率を改善することも可能であることは、Advanced Drug Delivery Reviews (1997), 23, pages 163-183において公開されているような他の論文から公知である。界面活性剤の例としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤およびそれらの混合物が挙げられる。一部の実施形態では、界面活性剤は、ポリ(オキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン)ステアレート、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリグリコール化グリセリド、ポリ(オキシエチレン)ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロクサマー、脂肪酸塩、胆汁酸塩、アルキル硫酸塩、レシチン、胆汁酸塩およびレシチンの混合ミセル、グルコースエステルビタミンE TPGS(D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)、ラウリル硫酸ナトリウムなど、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0104】
本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、化合物の細胞または組織への組込みを容易にする化学化合物を定義する。例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、生物体の細胞または組織への多くの有機化合物の取り込みを容易にするので、一般に利用される担体である。本明細書で使用される場合、「希釈剤」という用語は、目的の化合物を溶解するだけでなく、化合物の生物活性形態を安定化する、水中で希釈される化学化合物を定義する。緩衝化溶液中に溶解した塩は、当技術分野において、希釈剤として一般に利用される。1つの一般に使用される緩衝化溶液は、ヒト血液の塩条件を模倣するので、リン酸緩衝食塩水である。緩衝塩は、低濃度で溶液のpHを制御することができるので、緩衝化希釈剤は、化合物の生物活性をまれに改変する。一部の実施形態では、スクロース、フルクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、転化糖、炭酸カルシウム、ラクトース、デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イソマルトおよびグリセロールなどの薬学的に許容されるポリオール、ポリデキストロース、デンプンなどの化合物、またはそれらの任意の混合物の1つまたは複数から選択される希釈剤が使用される。治療的使用のための許容される担体または希釈剤は、薬剤分野において周知であり、例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences," 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)に記載されている。
【0105】
一部の実施形態では、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、ガムまたは架橋ポリマーなどの崩壊剤が、例えば、投与後の錠剤の崩壊を容易にするために使用される。適切な崩壊剤としては、例えば、架橋ポリビニルピロリドン(PVP-XL)、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸、メタクリル酸DYB、微結晶性セルロース、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウムなどが挙げられる。一部の実施形態では、製剤は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝化剤などのような微量の非毒性の補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、酢酸ナトリウムトリエタノールアミン、トリエタノールアミンオレエート、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを含有することもできる。
【0106】
一部の実施形態では、例えば、製剤に凝集性を付与し、そのようにして、得られた剤形が圧縮後に無傷のままであることを確保するために、結合剤が使用される。適切な結合剤材料としては、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロースおよびマルトデキストリンを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ポビドン、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを含む)などが挙げられるが、それらに限定されない。したがって、一部の実施形態では、本明細書に開示される製剤は、主要な賦形剤の圧縮性を増強するために少なくとも1つの結合剤を含む。例えば、製剤は、以下の範囲で少なくとも1つの以下の結合剤を含むことができる:約2%~約6% w/wのヒドロキシプロピルセルロース(Klucel);約2%~約5% w/wのポリビニルピロリドン(PVP);約1%~約5% w/wのメチルセルロース;約2%~約5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース;約1%~約5% w/wのエチルセルロース;約1%~約5% w/wのカルボキシメチルセルロースナトリウム;など。当業者は、本明細書に記載の製剤において使用することができる追加の結合剤および/または量を認識するだろう。当業者によって認識されるであろうように、本明細書に開示される製剤に組み込まれる場合、主要なフィラーおよび/または他の賦形剤の量を、剤形の全体の単位重量を未変化で維持するために、低減させて、したがって、添加される結合剤の量を適合させることができる。一部の実施形態では、結合剤は、結合活性を増加させるために、溶液から噴霧される、例えば、湿式造粒である。
【0107】
一部の実施形態では、滑沢剤は、ある特定の剤形の製造において用いられる。例えば、滑沢剤は、錠剤を生成する場合に用いられ得る。一部の実施形態では、滑沢剤は、打錠ステップの直前に添加することができ、良好な分散を得るために最低限の期間にわたって他の成分と混合することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の滑沢剤が使用されてもよい。適切な滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルク、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドポリマー(例えば、ポリエチレングリコールについてCarbowax(登録商標)およびポリエチレンオキシドについてPolyox(登録商標)の登録商標の下でDow Chemical Company,Midland,Mich.から市販されている)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、オレイン酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、DL-ロイシン、コロイド状シリカ、および当技術分野において公知の他のものなどが挙げられる。典型的な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物である。滑沢剤は、錠剤重量の約0.25%~約50%、典型的には、約1%~約40%、より典型的には、約5%~約30%、最も典型的には、20%~30%を構成してもよい。一部の実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、滑沢剤として、例えば、粉末流動を改善するため、配合物が打錠装置に接着することを防止するためおよび表面に打印するため、ならびに潤滑を提供して、錠剤が錠剤ダイからきれいに押し出されるのを可能にするために、添加することができる。一部の実施形態では、ステアリン酸マグネシウムは、約0.1%~約5.0% w/w、または約0.25%~約4% w/w、または約0.5% w/w~約3% w/w、または約0.75%~約2% w/w、または約0.8%~約1.5% w/w、または約0.85%~約1.25% w/w、または約0.9%~約1.20% w/w、または約0.85%~約1.15% w/w、または約0.90%~約1.1.% w/w、または約0.95%~約1.05% w/w、または約0.95%~約1% w/wの範囲の濃度で医薬製剤に添加されてもよい。上記の範囲は、典型的な範囲の例である。当業者は、本明細書に記載の製剤において使用することができる追加の滑沢剤および/または量を認識するだろう。当業者によって認識されるであろうように、本明細書に開示される医薬組成物に組み込まれる場合、主要なフィラーおよび/または他の賦形剤の量を、剤形の全体の単位重量を未変化で維持するために、低減させて、したがって、添加される滑沢剤の量を適合させてもよい。
【0108】
一部の実施形態では、流動促進剤が使用される。流動促進剤の例としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルクおよびリン酸カルシウムなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0109】
一部の実施形態では、製剤は、コーティング、例えば、フィルムコーティングを含むことができる。フィルムコーティングが含まれる場合、コーティング調製物は、例えば、フィルム形成ポリマー、可塑剤などを含んでいてもよい。また、コーティングは、顔料または乳白剤を含んでいてもよい。フィルム形成ポリマーの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよびデンプンが挙げられる。可塑剤の例としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル(dibutyl sebecate)、ヒマシ油およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。さらにまた、顔料および乳白剤の例としては、さまざまな色の鉄酸化物、多くの色のレーキ色素、二酸化チタンなどが挙げられる。
【0110】
一部の実施形態では、着色添加物が含まれる。着色剤は、剤形の強度を識別するために十分な量で使用することができる。一部の実施形態では、薬物における使用のために承認された着色添加物(21 C.F.R.pt.74を参照のこと)は、錠剤の強度を区別するために市販製剤に添加される。他の薬学的に許容される着色剤およびそれらの組合せの使用も、本開示によって包含される。
【0111】
本発明に開示される医薬組成物は、改善された移動、送達、耐性などを提供する任意の他の薬剤を含んでいてもよい。これらの組成物としては、例えば、散剤、ペースト、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性またはアニオン性)含有ベシクル(例えば、Lipofectin(登録商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、Carbowax(さまざまな分子量のポリエチレングリコール)のエマルジョン、半固体ゲル、およびCarbowaxを含有する半固体混合物が挙げられ得る。
【0112】
さまざまな実施形態では、アルコール、エステル、硫酸化脂肪族アルコールなどが、表面活性剤として使用されてもよく;スクロース、グルコース、ラクトース、デンプン、結晶化セルロース、マンニトール、軽質無水ケイ酸塩、アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、酸性炭酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどが、賦形剤として使用されてもよく;ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油などが、平滑化剤として使用されてもよく;ココナツ油、オリーブ油、ゴマ油、ピーナッツ油およびダイズ油が、懸濁剤または滑沢剤として使用されてもよく;セルロースまたは糖などの炭水化物の誘導体としての酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルの誘導体としてのメチルアセテートメタクリレートコポリマー、またはフタル酸エステルなどの可塑剤が、懸濁剤として使用されてもよい。
【0113】
一部の実施形態では、本発明に開示される医薬組成物は、保存剤、安定剤、色素、甘味料、香料、香味剤などの1つまたは複数をさらに含む。例えば、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸およびp-ヒドロキシ安息香酸のエステルは、保存剤として含まれてもよい。抗酸化剤および懸濁化剤も、医薬組成物に含まれてもよい。
【0114】
単剤療法として使用されることに加えて、本明細書に開示される化合物および医薬組成物は、併用療法における使用も見出され得る。有効な併用療法は、多数の活性成分を含む単一の医薬組成物で、または2つもしくはそれよりも多くの別個の医薬組成物で達成され得る。あるいは、それぞれの療法は、数分から数か月の範囲の間隔で、他のものより先行してもよく、またはそれに続いてもよい。
【0115】
一部の実施形態では、列挙された賦形剤の1つもしくは複数、またはそれらの任意の組合せは、特に含まれ得るか、または本明細書に開示される医薬組成物または方法から排除され得る。
【0116】
前述の製剤のいずれかは、医薬組成物の中の1つまたは複数の活性成分が、製剤によって不活性化されず、製剤が、生理学的に適合性であり、投与経路に耐容性であるならば、本明細書における開示に従って、処置および治療において適切であり得る(Baldrick P., "Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance." Regul. Toxicol. Pharmacol. 32(2):210-8 (2000);Charman W.N., "Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts." J. Pharm. Sci. 89(8):967-78 (2000)、ならびに薬剤学化学者に周知の製剤、賦形剤および担体に関する追加の情報についてのそれらの中での引用も参照のこと)。
【0117】
一部の実施形態では、上記の賦形剤は、全組成物重量の約95%まで、もしくは全組成物重量の約85%まで、もしくは全組成物重量の約75%まで、もしくは全組成物重量の約65%まで、もしくは全組成物重量の約55%まで、もしくは全組成物重量の約45%まで、もしくは全組成物重量の約43%まで、もしくは全組成物重量の約40%まで、もしくは全組成物重量の約35%まで、もしくは全組成物重量の約30%まで、もしくは全組成物重量の約25%まで、もしくは全組成物重量の約20%まで、もしくは全組成物重量の約15%まで、もしくは全組成物重量の約10%まで、またはそれより少ない量で存在し得る。
【0118】
当業者によって認識されるように、賦形剤の量は、薬物の投薬量および剤形のサイズによって決定される。本明細書に開示される一部の実施形態では、剤形のサイズは、約200mg~800mgである。本明細書に開示される一部の実施形態では、剤形のサイズは、約200mgである。本明細書に開示されるさらなる実施形態では、剤形のサイズは、約400mgである。本明細書に開示されるさらなる実施形態では、剤形のサイズは、約800mgである。当業者は、重量の範囲が本開示によって作製され得、包含され得ることを完全に理解する。
【0119】
本開示の医薬組成物は、それ自体が公知である様式で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、粉末化、乳化、カプセル化、封入または打錠プロセスによって、製造され得る。
【0120】
本開示の医薬組成物は、錠剤、フィルムコート錠剤、カプセル剤、カプレット、丸剤、ゲルキャップ、ペレット、ビーズまたは糖衣錠の剤形において、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の低用量製剤を提供し得る。本明細書に開示される製剤は、例えば、迅速な錠剤の圧縮速度、低減された圧縮力、低減された排出力、配合均一性、内容均一性、均一な色の分散、加速された崩壊時間、迅速な溶解、低摩損度(下流の処理、例えば、包装、輸送、ピックアンドパックなどのために好ましい)、および変動が少ない剤形の物理的特性(例えば、重量、硬度、厚さ、摩損度)を含む、好都合な薬物処理品質を提供することができる。
【0121】
適した製剤は、選択された投与経路に依存する。構造(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはこれらを含む医薬組成物を投与するための適切な経路としては、例えば、経口、直腸、経粘膜、局所または腸管投与;および筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、髄腔内、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内または眼内注射を含む、非経口送達が挙げられ得る。構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩はまた、所定の速度で、長期または適時のパルス状の投与のために、デポー注射、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(エレクトロトランスポートを含む)パッチなどを含む、持続性または徐放性剤形で投与され得る。
【0122】
注射物質は、従来の形態で、液体の液剤もしくは懸濁剤、注射前の液体への溶解もしくは懸濁のために適切な固体形態、またはエマルジョンとしてのいずれかで、調製され得る。適切な賦形剤としては、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、マンニトール、ラクトース、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、システイン塩酸塩などが挙げられ得る。加えて、所望により、注射可能な医薬組成物は、湿潤剤、pH緩衝化剤などのような微量の非毒性補助物質を含有してもよい。生理学的に適合性の緩衝液としては、ハンクス液、リンゲル液または生理食塩緩衝液が挙げられる。所望により、吸収増強調製物(例えば、リポソーム)を利用してもよい。
【0123】
経粘膜投与のために、浸透される障壁に適した浸透剤が、製剤において使用されてもよい。
【0124】
例えば、ボーラス注射または連続注入による非経口投与のための医薬製剤としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。加えて、活性化合物の懸濁剤は、適した油性注射懸濁剤として調製されてもよい。適切な脂溶性溶媒または媒体としては、ゴマ油などの脂肪油、またはダイズ油、グレープフルーツ油もしくはアーモンド油などの他の有機油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが挙げられる。水性の注射懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁剤の粘性を増加させる物質を含有してもよい。必要に応じて、懸濁剤はまた、高度に濃縮された液剤の調製を可能にするために化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤を含有してもよい。注射用の製剤は、単位剤形において、例えば、アンプルまたは複数用量容器において、添加された保存剤とともに提示されてもよい。組成物は、油性もしくは水性媒体中の懸濁剤、液剤またはエマルジョンとしてこのような形態をとってもよく、懸濁化剤、安定化剤または分散剤などの製剤用剤を含有してもよい。あるいは、活性成分は、使用前に、適切な媒体、例えば、無菌のパイロジェンフリーの水による構成のための粉末形態であってもよい。
【0125】
経口投与のために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、活性化合物を当技術分野において公知の薬学的に許容される担体を組み合わせることによって製剤化することができる。このような担体は、化合物が、処置される患者による経口摂取のために、錠剤、フィルムコート錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、ゲルキャップ、ペレット、ビーズ、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤化されるのを可能にする。
【0126】
経口使用のための医薬調製物は、活性化合物を、固体賦形剤と組み合わせることによって、必要に応じて、得られた混合物を粉砕すること、および所望により、錠剤または糖衣錠コアを得るために適切な補助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理することによって、得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖などのフィラー;および例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物、またはポリビニルピロリドン(PVP)であり得る。所望により、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸もしくはその塩などの崩壊剤が添加されてもよい。適切なコーティングを有する糖衣錠コアも、本開示の範囲内である。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。染料または顔料は、識別のため、もしくは活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加されてもよい。この目的のために、濃縮した糖溶液が使用されてもよく、これは、必要に応じて、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、または適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含有してもよい。染料または顔料は、識別のため、もしくは活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加されてもよい。加えて、安定剤を添加することができる。一部の実施形態では、経口投与のための製剤は、このような投与のために適切な投薬量にある。一部の実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の製剤は、許容される即時放出溶解プロファイル、および堅固でスケーラブルな製造の方法を有する。
【0127】
経口使用することができる医薬調製物は、ゼラチンから作製されたプッシュフィット型カプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から作製された軟質の密閉されたカプセルを含む。プッシュフィット型カプセルは、活性成分を、ラクトースなどのフィラー、デンプンなどの結合剤、またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および必要に応じて、安定剤との混合物で、含有することができる。軟カプセル中では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解または懸濁されていてもよい。加えて、安定剤が添加されてもよい。
【0128】
頬側投与のために、組成物は、従来の様式で製剤化される錠剤またはロゼンジの形態をとってもよい。
【0129】
吸入による投与のために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、好都合には、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で送達される。加圧されたエアロゾルの場合では、その投薬単位は、定量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。吸入具または吸入器における使用のための、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤の粉末混合物を含有して、製剤化され得る。
【0130】
眼内、鼻腔内および耳介内の送達を含む使用のための薬剤分野において周知のさまざまな医薬組成物が本明細書にさらに開示される。これらの使用のために適切な浸透剤は、一般に、当技術分野において公知である。眼内送達のための医薬組成物としては、点眼剤などの水溶性形態、またはジェランガム(Shedden et al., Clin. Ther. 23(3):440-50, 2001)もしくはヒドロゲル(Mayer et al., Ophthalmologica 210(2):101-3, 1996)中の活性化合物の水性眼科用液剤;眼科用軟膏;微小粒子、液体担体媒体中に懸濁される薬物含有ポリマー小粒子(Joshi, J. Ocul. Pharmacol. 10(1):29-45, 1994)、脂溶性製剤(Alm et al., Prog. Clin. Biol. Res. 312:447-58, 1989)およびマイクロスフェア(Mordenti, Toxicol. Sci. 52(1):101-6, 1999)などの眼科用懸濁剤;ならびに眼科用挿入物が挙げられる。このような適切な医薬製剤は、安定性および快適性のために、滅菌、等張および緩衝化されるように製剤化され得る。鼻腔内送達のための医薬組成物はまた、通常の繊毛作用の維持を確保するために、多くの点において鼻分泌物を模倣するようにしばしば調製される滴剤およびスプレー剤を含み得る。"Remington's Pharmaceutical Sciences," 18th Ed., Mack Publishing Co., Easton, PA (1990)に開示され、当業者に周知であるように、適切な製剤は、最も頻繁に、および好ましくは、pH5.5~6.5を維持するために、等張性でわずかに緩衝化され、最も頻繁に、および好ましくは、抗菌性保存剤および適した薬物安定剤を含む。耳介内送達のための医薬製剤としては、耳における局所適用のための懸濁剤および軟膏が挙げられる。このような耳用の製剤のための一般的な溶媒としては、グリセリンおよび水が挙げられる。
【0131】
構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩はまた、坐剤または停留浣腸、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有するものなどの直腸組成物に製剤化されてもよい。
【0132】
以前に記載された製剤に加えて、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩はまた、デポー調製物として製剤化されてもよい。このような長時間作用型製剤は、埋め込み(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって、投与されてもよい。したがって、例えば、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、適切なポリマー材料または疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)もしくはイオン交換樹脂を用いて、または難溶性の誘導体として、例えば、難溶性の塩として、製剤化されてもよい。
【0133】
疎水性化合物のためには、適切な医薬担体は、ベンジルアルコール、非極性界面活性剤、水混和性有機ポリマーおよび水相を含む、共溶媒系であってもよい。使用される一般的な共溶媒系は、VPD共溶媒系であり、これは、無水エタノールで容積まで作製された、3% w/vのベンジルアルコール、8% w/vの非極性界面活性剤のポリソルベート80(商標)、および65% w/vのポリエチレングリコール300の溶液である。共溶媒系の割合は、その溶解度および毒性の特性を破壊することなく、大幅に変動してもよい。さらにまた、共溶媒構成要素の特定は、変動してもよく、例えば、他の低毒性非極性界面活性剤が、ポリソルベート80(商標)の代わりに使用されてもよく、ポリエチレングリコールの画分サイズは、変動してもよく、他の生体適合性ポリマーは、ポリエチレングリコールに代えて、例えば、ポリビニルピロリドンであってもよく、他の糖またはポリサッカリドは、デキストロースと置換してもよい。
【0134】
あるいは、疎水性の医薬化合物のための他の送達系を用いてもよい。リポソームおよびエマルジョンは、疎水性薬物のための送達媒体または担体の周知の例である。一部の実施形態では、ジメチルスルホキシドなどのある特定の有機溶媒も、用いられ得る。
【0135】
加えて、化合物は、治療剤を含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの持続放出系を使用して送達されてもよい。さまざまな持続放出材料が確立されており、当業者に公知である。持続放出カプセル剤は、それらの化学的性質に応じて、数週間から100日を超えるまでの間、化合物を放出し得る。治療用試薬の化学的性質および生物学的安定性に応じて、タンパク質安定化のためのさらなる戦略を用いてもよい。
【0136】
細胞内に投与されることが意図される薬剤は、当業者に周知の技法を使用して投与され得る。例えば、このような薬剤は、リポソームにカプセル化されてもよい。リポソーム形成の時に水溶液中に存在する分子は、水性の内部に組み込まれる。リポソームの内容物は両方とも、外部の微小環境から保護され、リポソームが細胞膜と融合するので、細胞質に効率的に送達される。リポソームは、組織特異的抗体でコーティングされてもよい。リポソームは、所望の器官に標的化され、それによって選択的に取り込まれる。あるいは、小さな疎水性有機分子は、細胞内に直接投与されてもよい。
【0137】
一部の実施形態では、スパルセンタンの液体製剤が、本明細書に記載の組成物および方法における使用のために提供される。一部の実施形態では、液体製剤は、スパルセンタン、および水などの希釈剤または媒体を含む。一部の実施形態では、液体製剤は、(a)ソルビン酸カリウムもしくは安息香酸ナトリウムなどの保存剤;(b)スクラロースもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料;(c)香味剤;(d)キサンタンガム、微結晶性セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウム複合体、メチルセルロースもしくはヒドロキシエチルセルロースなどの粘度調整剤;または(e)クエン酸、酒石酸もしくはクエン酸ナトリウムなどのpH調整剤、あるいはそれらの組合せをさらに含む。例えば、一部の実施形態では、スパルセンタンの液体製剤は、スパルセンタン、希釈剤または媒体としての水、安息香酸ナトリウム、スクラロース、香味剤、キサンタンガムおよびクエン酸を含む。一部の実施形態では、液体製剤は、18歳またはそれよりも若い、12歳またはそれよりも若い、6~12歳または2~6歳の対象に、経口投与される。
投与の方法
【0138】
構造(I)の化合物もしくはその薬学的に許容される塩、またはそれらを含む医薬組成物は、任意の適切な手段によって患者に投与され得る。投与の方法の例としては、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を生きている組織と接触した状態にするために当業者によって適切と見做されるものとして、(a)経口経路を通じた投与、これは、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、スプレー剤、シロップ剤、および他のこのような形態における投与を含む;(b)直腸、膣、尿道内、眼内、鼻腔内、および耳介内などの非経口経路を通じた投与、これは、点滴、スプレー剤、坐剤、膏薬、軟膏などとして、水性懸濁剤、油性調製物などとしての投与を含む;(c)注射を介して、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、皮内、眼窩内、嚢内、脊髄内、胸骨内などに投与、注入ポンプ送達を含む;(d)直腸または心臓領域への直接注射によるなどの局所的に、例えば、デポーインプラントによる、投与;ならびに(e)局部的に投与が挙げられる。
【0139】
投与のために適切な医薬組成物は、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩が、その意図された目的を達成するために有効な量で含有される組成物を含む。用量は、所望の効果を達成するために調整することができるが、体重、食事、併用投薬、および医療分野の当業者が認識する他の因子などの因子に依存する。より詳細には、「治療有効量」は、処置される対象に治療利益を提供するために有効な化合物の量を意味する。
【0140】
処置される状態の重症度および応答性に応じて、投薬はまた、遅延放出組成物の単回投与であり得、一連の処置は、数日間から数週間、または治癒がもたらされるか、もしくは疾患状態の減少が達成されるまで継続する。投与される組成物の量は、処置される対象、苦痛の重症度、投与様式および処方医師の判断を含む多くの因子に依存する。一部の実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、1日あたり患者の体重の0.001mg/kg~2500mg/kgの用量で、経口または注射を介して、投与され得る。さらなる実施形態では、成人の用量範囲は、0.01mg~10g/日である。別個の単位で提供される提示の錠剤または他の形態は、好都合には、このような投薬量で、またはその複数の投薬量として、例えば、5mg~1000mg、通常、約100mg~約800mgを含む単位で有効である構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量を含有し得る。用いられる用量は、患者の年齢および性別、処置される正確な疾患または障害、ならびにその重症度を含む多くの因子に依存する。また、投与経路は、状態およびその重症度に応じて変動し得る。
【0141】
塩が投与される場合では、投薬量は、遊離塩基の用量として計算され得る。
【0142】
一部の実施形態では、患者に投与される医薬組成物の用量範囲は、患者の体重の約0.01mg/kg~約1000mg/kgであり得る。投薬量は、患者によって必要とされるように、単一のものであってもよく、または1日またはそれより多くの日数の経過で与えられる一連の2またはそれより多くであってもよい。
【0143】
一部の実施形態では、成人患者のための1日投薬量レジメンは、例えば、0.1mg~2000mgの間、または1mg~1500mgの間、または5mg~1000mgの間のそれぞれの活性成分の経口用量であり得る。他の実施形態では、1mg~1000mgの間、50mg~900mgの間、および100mg~800mgの間のそれぞれの活性成分の経口用量が投与される。一部の実施形態では、経口用量は、1日あたり1~4回投与される。一部の実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の組成物は、1日あたり1000mgまでのそれぞれの活性成分の用量で、連続静脈内注入によって投与されてもよい。一部の実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、継続的治療の期間にわたって、例えば、1週間またはそれよりも長く、または数か月もしくは数年にわたって投与される。
【0144】
一部の実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投薬レジメンは、ある期間にわたって投与され、この期間は、例えば、少なくとも約4週間~少なくとも約8週間、少なくとも約4週間~少なくとも約12週間、少なくとも約4週間~少なくとも約16週間、またはこれより長くあり得る。構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投薬レジメンは、1日に3回、1日に2回、1日に1回、1日おき、1週間に3回、1週間おき、1か月に3回、1か月に1回、実質的に連続して、または連続して、投与され得る。
【0145】
局所投与または選択的取り込みの場合において、薬物の有効な局所濃度は、血漿中濃度に関連しなくてもよい。投与される組成物の量は、処置される対象、対象の体重、苦痛の重症度および投与様式に依存し得る。
【0146】
一部の実施形態では、本開示は、患者における疾患(例えば、アルポート症候群、アルポート症候群を有する対象における難聴、糖尿病を有する対象における難聴、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴、IV型コラーゲン欠乏)の処置において構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する方法であって、患者に、1用量あたり約10mg~約1000mgの薬物の量を含有する構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の投薬量を、経口で、1か月に3回、1か月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回、1日に3回の頻度で、実質的に連続して、または連続して、処置の所望の期間にわたって、投与することを含む、方法に関する。
【0147】
一部の実施形態では、本開示は、患者における疾患(例えば、アルポート症候群、アルポート症候群を有する対象における難聴、糖尿病を有する対象における難聴、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴、IV型コラーゲン欠乏)の処置において構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する方法であって、患者に、1用量あたり約100mg~約1000mgの薬物の量を含有する投薬量を、経口で、1か月に3回、1か月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回または1日に3回の頻度で、処置の所望の期間にわたって、投与することを含む、方法を提供する。
【0148】
一部のさらなる実施形態では、本開示は、患者における疾患(例えば、アルポート症候群、アルポート症候群を有する対象における難聴、糖尿病を有する対象における難聴、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴、IV型コラーゲン欠乏)の処置において構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する方法であって、患者に、1用量あたり約200mgの薬物の量を含有する投薬量を、経口で、1か月に3回、1か月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回または1日に3回の頻度で、処置の所望の期間にわたって、投与することを含む、方法を提供する。
【0149】
一部の実施形態では、本開示は、患者における疾患(例えば、アルポート症候群、アルポート症候群を有する対象における難聴、糖尿病を有する対象における難聴、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴、IV型コラーゲン欠乏)の処置において構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する方法であって、患者に、1用量あたり約400mgの薬物の量を含有する投薬量を、経口で、1か月に3回、1か月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回または1日に3回の頻度で、処置の所望の期間にわたって、投与することを含む、方法を提供する。
【0150】
一部の実施形態では、本開示は、患者における疾患(例えば、アルポート症候群、アルポート症候群を有する対象における難聴、糖尿病を有する対象における難聴、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴、IV型コラーゲン欠乏)の処置において構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する方法であって、患者に、1用量あたり約800mgの薬物の量を含有する投薬量を、経口で、1か月に3回、1か月に1回、1週間に1回、3日に1回、2日に1回、1日に1回、1日に2回または1日に3回の頻度で、処置の所望の期間にわたって、投与することを含む、方法を提供する。
【0151】
一部の実施形態では、本開示は、患者における疾患(例えば、アルポート症候群、アルポート症候群を有する対象における難聴、糖尿病を有する対象における難聴、COL4A3、COL4A4またはCOL4A5遺伝子中に突然変異を有する対象における難聴、IV型コラーゲン欠乏)の処置において構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を使用する方法であって、患者に、1日あたり、体重の約0.1mg/kg~約100mg/kg、または約0.2mg/kg~約50mg/kg、または約0.5mg/kg~約25mg/kg(または約1mg~約2500mg、または約100mg~約800mg)の活性化合物の投与量を投与することを含み、これは、単一用量で投与されてもよく、または1日あたり1~4回などの個々の分割用量の形態で投与されてもよい、方法を提供する。一部の実施形態では、患者に投与される構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の量は、1日あたり、約1mg/kg~約15mg/kg、約3mg/kg~約12mg/kg、または約3mg/kg~約6mg/kgであり、これは、単一用量で投与されてもよく、または1日あたり1~4回などの個々の分割用量の形態で投与されてもよい。
【0152】
前述の医薬組成物および方法の一部の実施形態では、医薬組成物は、経口投与用の液体製剤である。一部の特定の実施形態では、液体製剤は、18歳またはそれよりも若い、12歳またはそれよりも若い、6~12歳または2~6歳の対象に、投与される。
【0153】
組成物は、所望により、活性成分を含有する1または複数の単位剤形を含有し得るパックまたはディスペンサーデバイスにおいて提示されてもよい。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックホイルを含んでいてもよい。パックまたはディスペンサーデバイスは、投与のための使用説明書が添付されていてもよい。パックまたはディスペンサーはまた、医薬の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態の容器に関連する通知が添付されていてもよく、その通知は、ヒトまたは獣医学的投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。このような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベル、または承認された製品挿入物であり得る。適合性の薬学的担体中に製剤化された構造(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む組成物はまた、調製され得、適切な容器の中に入れられ得、指示された状態の処置に関するラベルが付けられ得る。
【実施例
【0154】
(実施例1)
スパルセンタンは、COL4A3-/-常染色体性アルポートマウスにおいて、腎臓疾患を遅らせ、寿命を改善し、かつ騒音性難聴を予防する
腎症および聴力に対するスパルセンタンによるデュアルAT1/ETA阻害の効果を、アルポート症候群のマウスモデルにおいて評価した。
【0155】
アルポート症候群では、メサンギウム細胞におけるETR活性化は、糸球体間質の糸状仮足による糸球体毛細血管の内皮細胞下浸潤、ならびに最終的に糸球体硬化症(GS)および尿細管間質性線維症(TIF)になる炎症性サイトカインの誘導をもたらす。アルポート症候群における難聴は、内耳におけるETR媒介変化の帰結でもある。腎症、内耳の病理、および騒音曝露後の難聴の発生に対するスパルセンタンの効果を、アルポートマウスにおいて評価し、ATRブロッカーのロサルタンの効果と比較した。
方法
【0156】
媒体またはスパルセンタンを、5つの別々の研究:パイロット研究、早期介入研究(3から7週齢まで処置)、後期介入研究(糸球体(GM)の変化の開始後5から7週齢まで処置)、寿命研究および聴力研究において、129/Svバックグラウンドにおける常染色体性アルポートマウス(COL4A3-/-)(雄および雌)に、強制経口によって毎日与えた(図1)。早期介入、後期介入、寿命および聴力の研究は、対照薬のロサルタンで処置されたマウスも含み、これは、早期介入研究において3~4週齢で経口で、早期介入研究において4~7週齢で飲料水中に、および後期介入研究において5~7週で飲料水中に、与えられた。
【0157】
ロサルタンは、以下の構造を有するアンジオテンシンII受容体1型(AT)アンタゴニストである。
【化18】
【0158】
有効性の腎臓のエンドポイントは、血中尿素窒素(BUN)、タンパク尿(尿タンパク質のクレアチニンに対する比、またはUP/C)、糸球体硬化症、尿細管間質性線維症、白血球浸潤、および透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用する糸球体基底形態(GBM)を含んでいた。内耳におけるエンドポイントは、騒音性難聴の測定値として聴性脳幹反応(ABR)閾値、線条毛細血管基底膜の厚さ、およびTEMによる内耳の病理を含んでいた。
【0159】
スパルセンタンの最適な有効用量を決定するために設計されたパイロット研究において、アルポートマウス(群あたり3~4頭)に、媒体(蒸留水中の0.5%のメチルセルロース4000cps/0.25%のTween(登録商標)80)またはスパルセンタンを60mg/kgもしくは200mg/kgで、3から7週齢まで28日間、投薬した。200mg/kgのスパルセンタンは、パイロット研究において有効であったが、BUNレベルは、60mg/kgのスパルセンタンを投薬されたアルポートマウスのBUNレベルよりも高かった(表1;図2A図2B)。この観察は、早期介入研究に進むために、120mg/kg用量のスパルセンタンの選択をもたらした。パイロット研究の間に、血圧(BP)を、CODA2テールカフシステムを使用して、毎週測定した。このパイロット研究からの線条も、ラミニンα2に対する抗体を使用して、免疫蛍光法によって調べた。
【0160】
早期介入研究では、野生型およびアルポートマウスは、媒体、もしくはスパルセンタンを120mg/kgで、3から7週齢まで(群あたり7~8頭のマウス)強制経口によって、またはロサルタンを20mg/kgで、3から4週齢まで強制経口によって(離乳の間)および10mg/kgで4から7週齢まで飲料水中で、毎日投薬された。
【0161】
後期介入研究では、野生型またはアルポートマウス(群あたり8頭のマウス)は、早期介入研究において使用された同じ方法に従って、14日間投薬されたが、5週齢で開始し、すなわち、媒体、120mg/kgのスパルセンタン、または10mg/kgのロサルタンを、5週齢で開始して14日間投薬された。この研究では、5週齢の未処置アルポートマウスも、ベースライン対照として使用した。
【0162】
寿命研究では、アルポートマウス(n=10)は、マウスがそれらのピーク体重の10%を失うまで投薬を継続し、その後安楽死させた以外は、早期介入研究におけるものと同じ方法論を使用して、投薬した。
【0163】
パイロット、早期介入、後期介入および寿命の研究のために、スポット尿を、研究前および処置の間は毎週、試料採取し、タンパク質(UP)およびクレアチニン(C)について分析して、タンパク尿(UP/C)を決定した。それぞれの研究の最後に、動物を安楽死させ、血液試料を採取し、BUNを血清から測定し、腎臓を構造および免疫蛍光測定のために摘出した。糸球体硬化症を、フィブロネクチン(FN)に対する抗体を使用して、免疫蛍光法(IF)によって評価した。スライドあたりの糸球体の総数の割合として、硬化した糸球体の数の目視による計数を使用して、硬化した糸球体のパーセンテージを計算した。切片を、白血球浸潤を示すために、抗CD45抗体で共染色した。尿細管間質性線維症を、1型コラーゲン(COL1)に対する抗体を使用して、腎臓切片のIFによって、決定した。尿細管間質性線維症(TIF)のスコア付けを、総皮質面積のパーセンテージとして、COL1陽性の面積の目視評価によって実施し、盲検で行った。線維症のスコア付け(「線維症スコア」)を、総皮質面積のパーセンテージの目視判定に従って、0=<5%、1=5~10%、2=10~25%、3=25~50%、4=50~75%、または5=75~100%として分類した。GBMにおける超微細構造変化および有足細胞の形態を、透過型電子顕微鏡法(TEM)を使用して観察した。
【0164】
後期介入についてのベースライン比較のために、糸球体硬化症および線維症を、5週齢の未処置アルポートマウスから採取された腎臓試料において決定した。
【0165】
聴力研究のために、野生型またはアルポートマウスを、3から8.5週齢まで、媒体(蒸留水中の0.5%のメチルセルロース4000cps/0.25%のTween(登録商標)80)もしくは120mg/kgのスパルセンタンを強制経口によって、または20mg/kgのロサルタンを3から4週齢まで強制経口によって(離乳の間)、および10mg/kgを4から7週齢まで飲料水中で、毎日処置した(n=5)。アルポート疾患の進行を、タンパク尿の量によって(尿検査試薬ストリップを介して-データは示さない)、7週齢で評価した。線条毛細血管基底膜(SCBM)の幅を、透過型電子顕微鏡法(TEM)によって分析し、SCBM中の細胞外基質(ECM)の蓄積を、ラミニンα2に対する抗体を使用して、免疫蛍光(IF)顕微鏡法によって決定した。聴力および騒音に対する感受性を、騒音曝露前に、聴性脳幹反応(ABR)によって、7~8週齢の間に評価した。それぞれの処置群のサブセットを、次いで、代謝的騒音ストレスに10時間曝露した。騒音処置を受けたマウスを、106dBの音圧レベル(SPL)で、通常10PM~8AMの10時間の狭帯域の騒音(8~16kHz)による過剰刺激のために、無作為に選択した。騒音曝露を、遮音ブースにおいて実施した。スピーカーを、天井から吊り下げた。個々のコンパートメントを備えたワイヤーケージを、床とスピーカーの中間に配置した。マウスは、ケージへの配置の前に水分補給し、食物への自由アクセスが提供された。騒音曝露は、8週齢で発生した。代謝的騒音曝露によって引き起こされた難聴の量を、曝露の5日後に決定した。
【0166】
P値は、一元配置分散分析のペアワイズ比較t検定からである。
パイロット研究の結果
【0167】
パイロット用量反応研究の結果を、表1ならびに図2Aおよび2Bに示す。結果は、媒体処置マウスと比較した、スパルセンタン処置マウスについてのUP/C、糸球体硬化症および線維症の用量依存性予防を実証した。
【0168】
【表1】
【0169】
収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)は、6週齢で(3週間の投薬)媒体を提供されたアルポートマウスと比較して、60または200mg/kgのスパルセンタンで処置されたアルポートマウスについて有意に低かったが、BPにおける相違は、パイロット研究の最後に(7週齢;4週間の投薬)、スパルセンタン処置アルポートマウスおよび媒体処置アルポートマウスの間で観察されなかった(表1)。スパルセンタンは、媒体処置アルポートマウス(34.1±17.4mg/mg、n=4)と比較して、有意に低いUP/C(60mg/kg:5.6±3.0mg/mg、n=4、P<0.05;200mg/kg:0.8±1.4mg/mg、n=3、P<0.01)をもたらした(表1)。フィブロネクチンIHCから決定された硬化した糸球体のパーセンテージは、媒体処置アルポートマウス(39.0±19.5%、n=4)と比較して、60mg/kg(3.5±1.6%、n=4)または200mg/kg(1.4±1.3%、n=3)でスパルセンタンを受けたアルポートマウスにおいて、低かった(P<0.01)(表1;図2A)。COL1免疫反応性は、野生型マウスと同様に、スパルセンタン処置アルポートマウスにおいて存在しなかった。対照的に、媒体処置アルポートマウスは、2.5±0.6(任意単位)のCOL1スコアを有していた。
【0170】
BUNレベルが、60mg/kgのスパルセンタンでの投薬後のBUNレベルと比較して、200mg/kgのスパルセンタンの投薬後に上昇したので(図2B)、120mg/kgを、介入研究のための用量として選択した。
早期介入研究の結果
【0171】
早期介入研究において、スパルセンタンまたはロサルタンの投与は、アルポートマウスにおける腎症の発生を予防した。3週齢で開始する、28日間の120mg/kgのスパルセンタン、またはロサルタン(7日間20mg/kgを経口、21日間10mg/kgを飲料水中)での処置は、アルポートマウスにおけるUP/C、BUN、糸球体硬化症および線維症における有意な減弱をもたらした(媒体処置アルポートマウスに対してP<0.05)(表2)。スパルセンタン処置アルポートマウスおよびロサルタン処置アルポートマウスは、TIFまたは糸球体硬化症をほとんど~まったく示さなかった。スパルセンタンでの処置はまた、アルポートマウスにおけるGBM損傷および有足細胞の消失の改善にも関連した(図3)。
【0172】
【表2】
後期介入研究の結果
【0173】
後期介入研究の間の120mg/kgのスパルセンタンまたは10mg/kgのロサルタンのアルポートマウスへの投与の腎臓機能に対する効果を、図4A、4B、5A、5B、6Aおよび6B、ならびに表3に示す。スパルセンタンおよびロサルタン処置は、媒体での処置に対して、アルポートマウスにおけるUP/CおよびBUNのレベルを減弱した(図4A、4B)。スパルセンタンまたはロサルタンでの処置も、線維症の発生(図5A、5B)、CD45白血球浸潤(図5Aおよび6A)および糸球体硬化症(図6Aおよび6B)を減弱した。スパルセンタン処置アルポートマウスにおけるUP/C、BUN、糸球体硬化症および線維症は、媒体処置アルポートマウスにおけるものよりも有意に低かった(p<0.05)。ロサルタンについて、BUNおよび糸球体硬化症の減弱は、媒体処置アルポートマウスと比較して有意であった(P<0.05)が、UP/Cおよび線維症は、後期介入研究において、媒体で処置されたアルポートマウスと比較して、有意ではなかった。
【0174】
【表3】
【0175】
これらの結果は、後期介入研究において、スパルセンタンが、APマウスにおいて、ロサルタン処置群におけるよりも高い程度で、有意な腎保護を提供したことを示す。
寿命研究の結果
【0176】
寿命は、APVと比較して、スパルセンタンおよびロサルタン処置APマウスの両方について、有意に長く(P<0.05)(図7)、スパルセンタンについての寿命の中央値がロサルタンと同じであった。腎臓が完全に成熟していない3週齢のマウスにおいてスパルセンタンの投薬を開始することが寿命に影響を及ぼし得るか否か、および腎臓が成熟した年齢でスパルセンタンの投薬の開始が寿命をさらに延ばすことができるか否かは、現在明確ではない。スパルセンタンを含むエンドセリン1受容体アンタゴニストは、発達中の腎臓に影響を与えることが公知である。
聴力研究の結果
【0177】
騒音曝露前の聴力は、7~8週齢の129/Sv野生型マウスについての正常範囲内であり、アルポートマウスと、またはスパルセンタンもしくはロサルタン処置後と、有意に相違しなかった(図8A)。騒音曝露後(図8B)、媒体処置アルポートマウスは、低~中周波数(8~24kHz)において軽度の難聴(騒音後ABR閾値から騒音前のABR閾値を引いて計算される)を起こし、周波数は、騒音パラメーターによって最も影響を受けると予測され、難聴は8kHzおよび16kHzで媒体処置野生型マウスと比較して、有意差があった(P<0.05)(図9A)。スパルセンタンは、16kHzで媒体処置アルポートマウスにおいて観察された騒音後難聴を予防した(図9B;P<0.05 アルポートSpar対アルポートV)。難聴に対するロサルタンの有意な効果はなかった。
【0178】
蝸牛構造の分析は、透過型電子顕微鏡法を使用する血管条の毛細血管の基底膜の幅の測定を含んでいた。図10は、スパルセンタンおよびロサルタンが、媒体で処置されたアルポートマウスにおいて観察された線条毛細血管基底の幅における増加を予防したことを示す。スパルセンタンは、APVにおいて観察された耳におけるSCBM肥厚を予防した(平均SCBM幅±SD nm;WT V-57.8±2.1、アルポートV-67.6±5.5、アルポートSpar-54.7±2.4;アルポートLos-55.0±5.9;P<0.05 アルポートSpar対アルポートVおよびアルポートLos対アルポートV)(図10)。これらのデータは、スパルセンタン処置が、疾患の常染色体性形態のマウスモデルにおけるアルポート症候群の構造的および機能的な聴覚効果を予防することができることを示す。
【0179】
図11は、媒体処置アルポートマウスにおける下部尖端ターンのEM画像であり、中間細胞の突起(アスタリスク)において孤立した光る液胞、および液胞(浮腫空間中の矢印)の例で周辺細胞(暗い細胞質)および中間細胞(明るい細胞質)の突起間の細胞間浮腫を示す。下層のらせん靱帯は、線維細胞間のコラーゲンの束を示す。媒体処置アルポートマウスの血管条の高倍率画像を図12に示し、内皮細胞を取り囲む基底膜を示す。中間細胞は、特に、基底膜に接触する細胞質および周皮細胞の外側突起において液胞(アスタリスクによって示される)を含有する。図13は、媒体処置アルポートマウスの線条からの毛細血管の部分図であり、122.4nmおよび150.4nmの測定値によって証拠付けられるように、肥厚した基底膜を示す。基底膜の三層の外観は、分裂および薄層形成(アスタリスク)によって置き換えられた。大きな液胞(白色矢じり形によって示される)は、中間細胞の外側突起において認められる。
【0180】
対照的に、図14に示されるスパルセンタン処置アルポートマウスにおける下部尖端ターンは、実質的に少ない細胞質外および細胞質内の液胞を有する。加えて、細胞間浮腫は、周辺(暗い細胞質)および中間細胞(明るい細胞質)の外側突起の間に現れない。全体として、血管条の外観は、むしろ正常な健康な野生型マウスのものに近いと思われる(示さない)。図15は、高倍率での線条毛細血管を示し、いくつかの小さな液胞(アスタリスクによって示される)、ならびに周辺および中間細胞の突起の間の細胞外空間の証拠を示す。図16は、スパルセンタン処置アルポートマウスの線条からの毛細血管の部分図を示す。基底膜は、52.45nm、58.09nmおよび80.38nmの測定値によって証拠付けられるように、正常な厚さを有する。基底膜の三層の外観は、一部の領域において検出することができる(白色矢じり形によって示される)。外側突起(アスタリスクによって示される)の間の細胞間の空間が低減される。
【0181】
図17~23は、ロサルタン処置アルポートマウスの血管条における、最小限の変化(生理学的機能、すなわち蝸牛内電位が正常またはほぼ正常であり得る)から観察された最も深刻な損傷(生理学的機能が非常に疑わしい場合)までのさまざまな病理を表す。すべての画像において、線条毛細血管基底膜の幅は、未処置アルポートマウスにおいて測定されたものから減少した。ロサルタン処置アルポートマウスにおける下部基底ターン(図17)は、蝸牛側壁(血管条およびらせん靱帯)の超微細構造において最小限の変化を有する。病理は、周辺(暗い細胞質)および中間細胞(明るい細胞質)の突起の間の細胞間浮腫を含む(矢印によって示される)。周辺および中間細胞の突起の間の孤立した光る液胞(アスタリスクによって示される)が、時々生じる。下層のらせん靱帯は、まばらな細胞外基質、および線維細胞間のわずかなコラーゲンの束を示す。この組織は、ロサルタン処置によって影響を受けるように見えない。
【0182】
図18は、異なるアルポートマウスの高倍率画像を示し、ここで、尖端の原形質膜に隣接する周辺細胞の細胞質は、多数の光る液胞(白色矢じり形によって示される)を示し、線条内部に伸びる薄い基底外側突起は、厚い突起(大きな黒色矢印によって示される)に合体する。増加した細胞間浮腫(細い黒色矢印によって示される)は、浮腫の空間における液胞(アスタリスクによって示される)の例により、周辺(暗い細胞質)および中間細胞(明るい細胞質)の突起の間で観察される。
【0183】
線条組織の広範囲の図(図19)は、より大きな線条組織の混乱が、左から右に生じることを示す。左および中央における液胞(黒色アスタリスクによって示される)および浮腫(細い矢印によって示される)の細胞間病理は、右における外側突起中の細胞質ゾルおよび周辺細胞の細胞質ゾル(黒色矢じり形によって示される)の喪失に進行する。食作用活性(白色アスタリスクによって示される)は、毛細血管(左下隅)に隣接して観察される。
【0184】
3番目のロサルタン処置アルポートマウスは、増加した細胞間浮腫を示した(図20)。それは、周辺(暗い細胞質)と中間細胞(明るい細胞質)の薄い突起の間の薄い非常に明るい条片(矢印によって示される)としてだけでなく、より広い領域(アスタリスクによって示される)としても見え、多くの場合、損傷が少ない組織において認められる個々の液胞の融合として見える(図17~19と比較)。加えて、血漿および赤血球(RBS)が毛細血管中で観察される。図20において認められる血漿は、図21における毛細血管中に存在するが、組織にも漏れている(アスタリスクによって示される)。中間細胞の突起の退縮および変性も観察される(図21、矢印および右上隅)。また、周辺細胞(図21、白色ラベル)は、基底外側突起(白色アスタリスクによって示される)を維持するが、隣接する周辺細胞(図21、黒色ラベル、右上隅)は突起を欠く。細胞は、内リンパ液に隣接する扁平上皮などの細胞質ゾルの薄層である。
【0185】
ロサルタン処置アルポートマウスにおいて観察された最も深刻な線条病理の2つの例を図22~23に示す。両方とも、中間細胞の突起の変性(黒色アスタリスクによって示される)が観察されるが、核を取り囲む細胞質ゾル(図22、黒色矢印)は、より無傷のままである。周辺細胞の突起は、一部の細胞では低下した密度で存在したままであるが、突起が退縮すると、核を取り囲む細胞質ゾルも低下する(図23、右の周辺細胞上のより短い白線に対して、左の周辺細胞のより長い白線)。食作用活性は、変性した中間細胞突起の領域において観察される(図22、白色アスタリスク)。大きな膜結合液胞が観察され(図23、矢印)、それほど深刻ではない線条病理を有する他の画像において認められる液胞の拡大を表し得る。
【0186】
図24は、抗ラミニンα2抗体による免疫蛍光染色(緑色染色)後、線条中の細胞外基質タンパク質のラミニンα2の蓄積を示す。3から7週齢までのスパルセンタン処置(200mg/kg)(パイロット研究から)は、ラミニンα2の蓄積を予防したが、早期介入研究の間のロサルタン処置アルポートマウスにおけるラミニンα2の蓄積は、媒体処置アルポートマウスと異なるように見えなかった。
【0187】
要約すると、ロサルタンではなくスパルセンタンは、騒音性難聴を有意に減弱した。これらの結果は、クリニックに翻訳された場合、スパルセンタンがアルポート症候群を有する患者についての難聴を低減または予防し得ることを示唆する。
要約
【0188】
これらのデータは、糸球体および尿細管間質の区画の両方においてアルポートマウスにおける腎保護を提供する、スパルセンタンによるデュアルAT1/ETA阻害の能力を実証する。スパルセンタンは、アルポートマウスにおける機能的および構造的変化の発生を有意に減弱することができ、腎臓傷害の開始前(3週齢)に投与される場合、および線維症および糸球体硬化症の始まりの後(5週齢)に投与される場合、寿命を増加させることができる。TEM画像化は、GBMの形態を維持し、かつ有足細胞の消失を減弱するスパルセンタン処置の能力を強調した。後期介入研究において、スパルセンタンは、アルポートマウスにおいて、ロサルタン処置群におけるよりも高い程度で、有意な腎保護を提供した。
【0189】
ロサルタンではなく、スパルセンタンは、3週齢から処置されたアルポートマウスにおける騒音性難聴を有意に減弱した。これらの結果は、クリニックに翻訳された場合、スパルセンタンがアルポート症候群を有する患者についての難聴および腎臓傷害を低減または予防し得ることを示唆する。
(実施例2)
例示的な液体製剤
製剤A
【0190】
バッチサイズは3Lであった。安息香酸ナトリウムを、総水量の80%に溶解した。クエン酸を添加して、pH3.0±0.2単位を達成した。スクラロースおよびフレーバーを、溶解するまで撹拌しながら添加した。キサンタンガムを撹拌しながら添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けた。スパルセンタンを、完全に分散し、均一な懸濁液が得られるまで、ホモジナイゼーションを使用して添加し、残りの水を添加した。製剤Aを表4に記載する。安定性データを表5~8に提供する。要件を満たす安定性が、製剤Aについて観察され、25℃/65%RHおよび40℃/75%RHで14週間保管後、外観または物理的もしくは化学的安定性において、初期の時点からの有意な変化はなかった。加えて、40℃/75%RHで14週間保管後、製剤Aは、保存効力試験(PET)についてのPh Eur 5.1.3の要件を満たした。
【表4】
【0191】
【表5】
【0192】
【表6】
【0193】
【表7】
【0194】
【表8】
【0195】
製剤B
【0196】
バッチサイズは3Lであった。安息香酸ナトリウムを、総水量の80%に溶解した。クエン酸を添加して、pH3.0±0.2単位を達成した。スクラロースおよびフレーバーを、溶解するまで撹拌しながら添加した。キサンタンガムを撹拌しながら添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けた。スパルセンタンを、完全に分散し、均一な懸濁液が得られるまで、ホモジナイゼーションを使用して添加し、残りの水を添加した。製剤Bを表9に記載する。安定性データを表10~13に提供する。要件を満たす安定性が、製剤Bについて観察され、25℃/65%RHおよび40℃/75%RHで14週間保管後、外観または物理的もしくは化学的安定性において、初期の時点からの有意な変化はなかった。加えて、40℃/75%RHで14週間保管後、製剤Bは、保存効力試験(PET)についてのPh Eur 5.1.3の要件を満たした。
【表9】
【0197】
【表10】
【0198】
【表11】
【0199】
【表12】
【表13】
【0200】
製剤C
【0201】
バッチサイズは3Lであった。安息香酸ナトリウムを、総水量の80%に溶解した。クエン酸を添加して、pH3.0±0.2単位を達成した。スクラロースおよびフレーバーを、溶解するまで撹拌しながら添加した。キサンタンガムを撹拌しながら添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けた。スパルセンタンを、完全に分散し、均一な懸濁液が得られるまで、ホモジナイゼーションを使用して添加し、残りの水を添加した。製剤Cを表14に記載する。安定性データを表15~18に提供する。要件を満たす安定性が、製剤Cについて観察され、25℃/65%RHおよび40℃/75%RHで14週間保管後、外観または物理的もしくは化学的安定性において、初期の時点からの有意な変化はなかった。加えて、40℃/75%RHで14週間保管後、製剤Cは、保存効力試験(PET)についてのPh Eur 5.1.3の要件を満たした。
【表14】
【0202】
【表15】
【0203】
【表16】
【0204】
【表17】
【表18】
【0205】
製剤D
【0206】
バッチサイズは3Lであった。安息香酸ナトリウムを、総水量の80%に溶解した。クエン酸を添加して、pH3.0±0.2単位を達成した。スクラロースおよびフレーバーを、溶解するまで撹拌しながら添加した。キサンタンガムを撹拌しながら添加し、完全に溶解するまで撹拌を続けた。スパルセンタンを、完全に分散し、均一な懸濁液が得られるまで、ホモジナイゼーションを使用して添加し、残りの水を添加した。製剤Dを表19に記載する。安定性データを表20に提供する。要件を満たす安定性が、製剤Aについて観察され、25℃/65%RHおよび40℃/75%RHで12週間保管後、外観または物理的もしくは化学的安定性において、初期の時点からの有意な変化はなかった。加えて、40℃/75%RHで12週間保管後、製剤Dは、保存効力試験(PET)についてのPh Eur 5.1.3の要件を満たした。
【表19】
【0207】
【表20】
【0208】
2018年10月4日に出願された米国仮特許出願第62/741270号、2019年5月29日に出願された米国仮特許出願第62/853904号および2019年8月30日に出願された米国仮特許出願第62/894559号を含む、本明細書において言及されるか、または出願データシートに列挙される、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物のすべては、特に言及されない限り、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0209】
上記に記載のさまざまな実施形態は、さらなる実施形態を提供するために組み合わせることができる。実施形態の態様は、必要により、さまざまな特許、出願および刊行物の概念を用いて、よりさらなる実施形態を提供するために改変することができる。これらおよび他の変更は、上記の詳細な説明を考慮して、実施形態に対して行うことができる。
【0210】
一般に、以下の特許請求の範囲では、使用される用語は、特許請求の範囲を、本明細書および特許請求の範囲において開示される具体的な実施形態に限定すると解釈されるべきではないが、このような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、すべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24