(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】光電変換素子、光検出装置、光検出システム、電子機器および移動体
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20240722BHJP
H01L 31/12 20060101ALI20240722BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240722BHJP
G01S 7/4863 20200101ALN20240722BHJP
G01S 17/894 20200101ALN20240722BHJP
【FI】
H01L31/10 D
H01L31/10 H
H01L31/12 E
H01L27/146 E
H01L27/146 A
H01L27/146 D
G01S7/4863
G01S17/894
(21)【出願番号】P 2021526830
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2020023712
(87)【国際公開番号】W WO2020255999
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2023-05-23
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富樫 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】山口 哲司
(72)【発明者】
【氏名】河合 信宏
(72)【発明者】
【氏名】関口 浩司
(72)【発明者】
【氏名】定榮 正大
(72)【発明者】
【氏名】村田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】平田 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 雄大
(72)【発明者】
【氏名】永島 義人
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-009437(JP,A)
【文献】特開昭61-265534(JP,A)
【文献】特開2017-112169(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138370(WO,A1)
【文献】米国特許第09111993(US,B1)
【文献】特開2015-216187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/20
H01L 27/146-27/148
G01S 7/4863
G01S 17/894
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含
み、
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられており、
前記複数の電荷蓄積電極のそれぞれに対応する位置に複数の前記光学フィルタがそれぞれ設けられている
光電変換素子。
【請求項2】
前記第2の光電変換部は、対象物の距離情報を取得可能である
請求項1記載の光電変換素子。
【請求項3】
前記第2の光電変換部は、第2の光電変換層と、一対のゲート電極と、前記第2の光電変換層から前記一対のゲート電極をそれぞれ経由して到達する電荷を蓄積する一対の電荷保持部と、を含む
請求項1記載の光電変換素子。
【請求項4】
前記第2の光電変換部と対応する位置に複数の開口部分を含む画素間領域遮光膜を、前記第2の光電変換部の入射側にさらに有する
請求項1記載の光電変換素子。
【請求項5】
前記電荷蓄積電極に蓄積される電荷を、前記第1の光電変換部から見て前記第2の光電変換部と反対側に取り出す貫通電極をさらに有する
請求項1記載の光電変換素子。
【請求項6】
前記貫通電極を、絶縁層を介して取り囲む金属層をさらに有する
請求項
5記載の光電変換素子。
【請求項7】
前記半導体基板は、前記第1の光電変換部と対向する第1の面、および前記第1の面と反対側の第2の面を含み、
前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に凹凸構造が形成されている
請求項1記載の光電変換素子。
【請求項8】
前記第1の光電変換層における前記積層構造は、前記第1の電極と前記第1の光電変換層との間に設けられた半導体層をさらに含む
請求項1記載の光電変換素子。
【請求項9】
複数の光電変換素子を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含
み、
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられており、
前記複数の電荷蓄積電極のそれぞれに対応する位置に複数の前記光学フィルタがそれぞれ設けられている
光検出装置。
【請求項10】
前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部との間に位置すると共に、隣り合う前記光電変換素子同士の間の領域に設けられた遮光膜をさらに備える
請求項
9記載の光検出装置。
【請求項11】
赤外光を発する発光装置と、
光電変換素子を有する光検出装置と
を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、外部からの可視光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、前記発光装置からの前記赤外光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含
み、
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられており、
前記複数の電荷蓄積電極のそれぞれに対応する位置に複数の前記光学フィルタがそれぞれ設けられている
光検出システム。
【請求項12】
光学部と、信号処理部と、光電変換素子を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含
み、
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられており、
前記複数の電荷蓄積電極のそれぞれに対応する位置に複数の前記光学フィルタがそれぞれ設けられている
電子機器。
【請求項13】
可視光域に含まれる第1の光および赤外光域に含まれる第2の光を発する発光装置と、 光電変換素子を含む光検出装置とを有する光検出システムを備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記第1の光を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、前記第2の光を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含
み、
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられており、
前記複数の電荷蓄積電極のそれぞれに対応する位置に複数の前記光学フィルタがそれぞれ設けられている
移動体。
【請求項14】
可視光域に含まれる第1の光および赤外光域に含まれる第2の光を発する発光装置と、 光電変換素子を含む光検出装置とを有する光検出システムを備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記第1の光を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、前記第2の光を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含
み、
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられており、
前記複数の電荷蓄積電極のそれぞれに対応する位置に複数の前記光学フィルタがそれぞれ設けられている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換を行う光電変換素子、ならびにそれを備えた光検出装置、光検出システム、電子機器および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、主に可視光を受光して光電変換を行う第1の光電変換領域と、主に赤外光を受光して光電変換を行う第2の光電変換領域との積層構造を有する固体撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
ところで、固体撮像装置では、機能向上が求められている。
【0005】
したがって、高い機能を有する光電変換素子を提供することが望まれる。
【0006】
本開示の一実施形態としての光電変換素子は、半導体基板と、その半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、半導体基板内のうち半導体基板の厚さ方向において第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、第1の光電変換部の、第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタとを有する。第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1の実施の形態に係る固体撮像装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2A】
図1に示した画素に適用される撮像素子の概略構成の一例を表す断面模式図である。
【
図2B】
図2Aに示した貫通電極およびその周辺を拡大して表す断面模式図である。
【
図2C】
図2Aに示した貫通電極およびその周辺を拡大して表す平面模式図である。
【
図2D】
図1に示した画素に適用される変形例としての撮像素子の概略構成の一例を表す断面模式図である。
【
図3】
図2Aに示したiTOFセンサ部の読み出し回路の一例を表す回路図である。
【
図4】
図2Aに示した有機光電変換部の読み出し回路の一例を表す回路図である。
【
図5】
図1に示した画素部における複数の画素の配列状態の一例を表す模式図である。
【
図6】
図5に示した複数の画素の配列状態の一変形例を表す模式図である。
【
図7】本開示の第2の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図8】
図7に示した画素の配列状態の一例を表す模式図である。
【
図9】
図7に示した画素の配列状態の第1変形例を表す模式図である。
【
図10】
図7に示した画素の配列状態の第2変形例を表す模式図である。
【
図11】
図7に示した画素の配列状態の第3変形例を表す模式図である。
【
図12】本開示の第3の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図13】
図12に示した画素の配列状態の一例を表す模式図である。
【
図14】本開示の第4の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図15】
図14に示した画素の配列状態の一例を表す模式図である。
【
図16】
図14に示した画素の配列状態の変形例を表す模式図である。
【
図17】本開示の第5の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図18】
図17に示した画素の配列状態の一例を表す模式図である。
【
図19】
図17に示した画素の配列状態の第1変形例を表す模式図である。
【
図20】
図17に示した画素の配列状態の第2変形例を表す模式図である。
【
図21A】
図17に示した画素の配列状態の第3変形例を表す第1の模式図である。
【
図21B】
図17に示した画素の配列状態の第3変形例を表す第2の模式図である。
【
図22】本開示の第6の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図23】
図22に示した画素の配列状態の一例を表す模式図である。
【
図24】
図22に示した画素の配列状態の変形例を表す模式図である。
【
図25】本開示の第7の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図26】本開示の第8の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図27A】
図26に示した撮像素子におけるデュアルバンドパスフィルタの光透過率分布を表した特性図である。
【
図27B】
図26に示した撮像素子におけるカラーフィルタの光透過率分布を表した特性図である。
【
図27C】
図26に示した撮像素子における光学フィルタの光透過率分布を表した特性図である。
【
図27D】
図26に示した撮像素子における、有機光電変換層の感度の波長依存性および光電変換領域の感度の波長依存性をそれぞれ表した特性図である。
【
図28A】
図26に示した撮像素子の変形例におけるデュアルバンドパスフィルタの光透過率分布を表した特性図である。
【
図28B】
図26に示した撮像素子の変形例におけるカラーフィルタの光透過率分布を表した特性図である。
【
図28C】
図26に示した撮像素子の変形例における光学フィルタの光透過率分布を表した特性図である。
【
図28D】
図26に示した撮像素子の変形例における、有機光電変換層の感度の波長依存性および光電変換領域の感度の波長依存性をそれぞれ表した特性図である。
【
図29】本開示の第9の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図30】本開示の第9の実施の形態に係る撮像素子の一例を示す概略断面図である。
【
図32A】
図31示した画素の配列状態の変形例を表す第1の模式図である。
【
図32B】
図31に示した画素の配列状態の変形例を表す第2の模式図である。
【
図33A】本開示の第10の実施の形態に係る撮像素子における貫通電極およびその周辺を拡大して表す断面模式図である。
【
図33B】本開示の第10の実施の形態に係る撮像素子における貫通電極およびその周辺を拡大して表す平面模式図である。
【
図34A】本開示の第10の実施の形態に係る撮像素子における貫通電極およびその周辺の詳細の他の構成例を表す拡大断面模式図である。
【
図34B】本開示の第10の実施の形態に係る撮像素子における貫通電極およびその周辺の詳細の他の構成例を表す拡大平面模式図である。
【
図35】本開示の第10の実施の形態に係る変形例としての撮像素子の概略構成の一例を表す断面模式図である。
【
図36A】本開示の第11の実施の形態に係る光検出システムの全体構成の一例を表す模式図である。
【
図37】電子機器の全体構成例を表す概略図である。
【
図38】体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図39】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図40】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図41】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図42】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
可視光画像情報を得る有機光電変換部と、赤外光を受光して距離情報を得るiTOFセンサ部とを備えた固体撮像装置の例。
2.第2の実施の形態
1つの光電変換部に対し、オンチップレンズ、カラーフィルタおよび電荷蓄積電極が4つずつ設けられた固体撮像装置の例。
3.第3の実施の形態
1つの光電変換部に対し、オンチップレンズ、カラーフィルタおよび電荷蓄積電極25が16個ずつ設けられた固体撮像装置の例。
4.第4の実施の形態
1つのオンチップレンズおよび1つのカラーフィルタに対し、4つの電荷蓄積電極および4つの光電変換部が設けられた固体撮像装置の例。
5.第5の実施の形態
1つのオンチップレンズ、1つのカラーフィルタおよび1つの光電変換部に対し、4つの電荷蓄積電極が設けられた固体撮像装置の例。
6.第6の実施の形態
1つの光電変換部に対し、4つのオンチップレンズと、4つのカラーフィルタと、16個の電荷蓄積電極とが設けられた固体撮像装置の例。
7.第7の実施の形態
電荷保持部を有するiTOFセンサ部を備えた固体撮像装置の例。
8.第8の実施の形態
デュアルバンドパスフィルタをさらに備えた固体撮像装置の例。
9.第9の実施の形態
インナーレンズもしくは光導波路をさらに有する固体撮像装置の例。
10.第10の実施の形態
貫通電極の周囲を遮蔽する金属層を備えた固体撮像装置の例。
11.第11の実施の形態
発光装置と光検出装置とを備えた光検出システムの例。
12.電子機器への適用例
13.体内情報取得システムへの応用例
14.内視鏡手術システムへの応用例
15.移動体への適用例
16.その他の変形例
【0009】
<1.第1の実施の形態>
[固体撮像装置1の構成]
(全体構成例)
図1は、本開示の一実施の形態に係る固体撮像装置1の全体構成例を表している。固体撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。固体撮像装置1は、例えば光学レンズ系を介して被写体からの入射光(像光)を取り込み、撮像面上に結像された入射光を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力するようになっている。固体撮像装置1は、例えば半導体基板11上に、撮像エリアとしての画素部100と、その画素部100の周辺領域に配置された垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、出力回路114、制御回路115および入出力端子116とを有している。この固体撮像装置1は、本開示の「光検出装置」に対応する一具体例である。
【0010】
画素部100には、例えば、行列状に2次元配置された複数の画素Pを有している。画素部100には、例えば水平方向(紙面横方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素行と、垂直方向(紙面縦方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列とがそれぞれ複数設けられている。画素部100には、例えば、画素行ごとに1つの画素駆動線Lread(行選択線およびリセット制御線)が配線され、画素列ごとに1つの垂直信号線Lsigが配線されている。画素駆動線Lreadは、各画素Pからの信号読み出しのための駆動信号を伝送するものである。複数の画素駆動線Lreadの端部は、垂直駆動回路111の各画素行に対応した複数の出力端子にそれぞれ接続されている。
【0011】
垂直駆動回路111は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成されており、画素部100における各画素Pを、例えば、画素行単位で駆動する画素駆動部である。垂直駆動回路111によって選択走査された画素行の各画素Pから出力される信号は、垂直信号線Lsigの各々を通してカラム信号処理回路112に供給される。
【0012】
カラム信号処理回路112は、垂直信号線Lsig毎に設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
【0013】
水平駆動回路113は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、カラム信号処理回路112の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動するものである。この水平駆動回路113による選択走査により、複数の垂直信号線Lsigの各々を通して伝送される各画素Pの信号が順番に水平信号線121に出力され、その水平信号線121を通じて半導体基板11の外部へ伝送されるようになっている。
【0014】
出力回路114は、カラム信号処理回路112の各々から水平信号線121を介して順次供給される信号に対し、信号処理を行って出力するものである。出力回路114は、例えば、バッファリングのみを行う場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正および各種デジタル信号処理等が行われる場合もある。
【0015】
垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112、水平駆動回路113、水平信号線121および出力回路114からなる回路部分は、半導体基板11上に直に形成されていてもよいし、あるいは外部制御ICに配設されたものであってもよい。また、それらの回路部分は、ケーブル等により接続された他の基板に形成されていてもよい。
【0016】
制御回路115は、半導体基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像素子である画素Pの内部情報等のデータを出力するものである。制御回路115はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に垂直駆動回路111、カラム信号処理回路112および水平駆動回路113等の周辺回路の駆動制御を行う。
【0017】
入出力端子116は、外部との信号のやり取りを行うものである。
【0018】
(画素Pの断面構成例)
図2Aは、画素部100において行列状に配列された複数の画素Pのうちの一の画素P1における断面構成の一例を模式的に表している。
【0019】
図2に示したように、画素P1は、例えば一の光電変換部10と、一の有機光電変換部20とが厚さ方向であるZ軸方向において積層された構造を有する、いわゆる縦方向分光型の撮像素子である。撮像素子である画素P1は、本開示の「光電変換素子」に対応する一具体例である。画素P1は、光電変換部10と有機光電変換部20との間に設けられた中間層40と、光電変換部10から見て有機光電変換部20と反対側に設けられた多層配線層30とをさらに有している。さらに、有機光電変換部20から見て光電変換部10と反対側の光入射側には、例えば、一の封止膜51と、一のカラーフィルタ52と、一の平坦化膜53と、一のオンチップレンズ54とが有機光電変換部20に近い位置から順にZ軸方向に沿って積層されている。なお、封止膜51および平坦化膜53は、それぞれ、複数の画素Pにおいて共通に設けられていてもよい。
【0020】
(光電変換部10)
光電変換部10は、例えば光飛行時間(Time-of-Flight ;TOF)により、距離画像(距離情報)を獲得する間接TOF(以下、iTOFという)センサである。光電変換部10は、例えば、半導体基板11と、光電変換領域12と、固定電荷層13と、一対のゲート電極14A,14Bと、浮遊拡散領域である電荷電圧変換部(FD)15A,15Bと、画素間領域遮光壁16と、貫通電極17とを有している。
【0021】
半導体基板11は、表面11Aおよび裏面11Bを含む、例えば、n型のシリコン(Si)基板であり、所定領域にpウェルを有している。表面11Aは、多層配線層30と対向している。裏面11Bは、中間層40と対向する面であり、微細な凹凸構造が形成されているとよい。半導体基板11に入射した赤外光を半導体基板11の内部に閉じ込めるのに効果的であるからである。なお、表面11Aにも同様の微細な凹凸構造が形成されていてもよい。
【0022】
光電変換領域12は、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative)型のフォトダイオード(PD)によって構成される光電変換素子であり、半導体基板11の所定領域において形成されたpn接合を含んでいる。光電変換領域12は、被写体からの光のうち、特に赤外光域の波長を有する光を検出して受光し、受光量に応じた電荷を光電変換により生成し、蓄積するようになっている。
【0023】
固定電荷層13は、半導体基板11の裏面11Bを覆うように設けられている。固定電荷層13は、半導体基板11の受光面である裏面11Bの界面準位に起因する暗電流の発生を抑制するため、例えば負の固定電荷を有している。固定電荷層13が誘起する電界により、半導体基板11の裏面11Bの近傍にホール蓄積層が形成される。このホール蓄積層によって裏面11Bからの電子の発生が抑制される。なお、固定電荷層13には、画素間領域遮光壁16と光電変換領域12との間においてZ軸方向に延在する部分も含まれている。固定電荷層13は、絶縁材料を用いて形成することが好ましい。具体的には、固定電荷層13の構成材料としては、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化タンタル(TaOx)、酸化チタン(TiOx)、酸化ランタン(LaOx)、酸化プラセオジム(PrOx)、酸化セリウム(CeOx)、酸化ネオジム(NdOx)、酸化プロメチウム(PmOx)、酸化サマリウム(SmOx)、酸化ユウロピウム(EuOx)、酸化ガドリニウム(GdOx)、酸化テルビウム(TbOx)、酸化ジスプロシウム(DyOx)、酸化ホルミウム(HoOx)、酸化ツリウム(TmOx)、酸化イッテルビウム(YbOx)、酸化ルテチウム(LuOx)、酸化イットリウム(YOx)、窒化ハフニウム(HfNx)、窒化アルミニウム(AlNx)、酸窒化ハフニウム(HfOxNy)および酸窒化アルミニウム(AlOxNy)等が挙げられる。
【0024】
一対のゲート電極14A,14Bは、それぞれ転送トランジスタ(TG)141A,141Bの一部を構成しており、例えば表面11Aから光電変換領域12に至るまでZ軸方向に延在している。TG141A,TG141Bは、ゲート電極14A,14Bにそれぞれ印加される駆動信号に応じて光電変換領域12に蓄積されている電荷を一対のFD15A,15Bに転送するものである。
【0025】
一対のFD15A,15Bは、それぞれ、ゲート電極14A,14Bを含むTG141A,141Bを介して光電変換領域12から転送されてきた電荷を電気信号(例えば、電圧信号)に変換して出力する浮遊拡散領域である。FD15A,15Bには、後述の
図3に示すように、リセットトランジスタ(RST)143A,143Bが接続されるとともに、増幅トランジスタ(AMP)144A,144Bおよび選択トランジスタ(SEL)145A,145Bを介して垂直信号線Lsig(
図1)が接続されている。
【0026】
図2Bは、貫通電極17を取り囲む画素間領域遮光壁16を拡大して示したZ軸に沿った断面図であり、
図2Cは、貫通電極17を取り囲む画素間領域遮光壁16を拡大して示したXY面に沿った断面図である。
図2Bは、
図2Cに示したIIB-IIB線に沿った矢視方向の断面を表している。画素間領域遮光壁16は、XY面内において隣り合う他の画素Pとの境界部分に設けられている。画素間領域遮光壁16は、例えばXZ面に沿って広がる部分とYZ面に沿って広がる部分とを含んでおり、各画素Pの光電変換領域12を取り囲むように設けられている。また、画素間領域遮光壁16は、貫通電極17を取り囲むように設けられていてもよい。これにより、隣接する画素P同士の間における光電変換領域12への不要光の斜入射を抑制し、混色を防ぐことができる。
【0027】
画素間領域遮光壁16は、例えば遮光性を有する単体金属、金属合金、金属窒化物、および金属シリサイドのうちの少なくとも1種を含む材料からなる。より具体的には、画素間領域遮光壁16の構成材料としては、Al(アルミニウム),Cu(銅),Co(コバルト),W(タングステン),Ti(チタン),Ta(タンタル),Ni(ニッケル),Mo(モリブデン),Cr(クロム),Ir(イリジウム),白金イリジウム,TiN(窒化チタン)またはタングステンシリコン化合物などが挙げられる。なお、画素間領域遮光壁16の構成材料は金属材料に限定されず、グラファイトを用いて構成してもよい。また、画素間領域遮光壁16は、導電性材料に限定されず、有機材料などの遮光性を有する非導電性材料により構成されていてもよい。また、画素間領域遮光壁16と貫通電極17との間には、例えばSiOx(シリコン酸化物)や酸化アルミニウムなどの絶縁材料からなる絶縁層Z1が設けられていてもよい。あるいは、画素間領域遮光壁16と貫通電極17との間に空隙を設けることで、画素間領域遮光壁16と貫通電極17との絶縁を行うようにしてもよい。なお、画素間領域遮光壁16が非導電性材料により構成されている場合には絶縁層Z1を設けなくともよい。さらに、画素間領域遮光壁16の外側、すなわち、画素間領域遮光壁16と固定電荷層13との間には絶縁層Z2が設けられていてもよい。絶縁層Z2は、例えばSiOx(シリコン酸化物)や酸化アルミニウムなどの絶縁材料からなる。あるいは、画素間領域遮光壁16と固定電荷層13との間に空隙を設けることで、画素間領域遮光壁16と固定電荷層13との絶縁を行うようにしてもよい。この絶縁層Z2により、画素間領域遮光壁16が導電性材料であった場合には、画素間領域遮光壁16と半導体基板11との電気的絶縁性が確保される。また、画素間領域遮光壁16が貫通電極17を取り囲むように設けられていて、画素間領域遮光壁16が導電性材料であった場合には、絶縁層Z1により画素間領域遮光壁16と貫通電極17との電気的絶縁性が確保される。
【0028】
貫通電極17は、例えば、半導体基板11の裏面11B側に設けられた有機光電変換部20の読出電極26と、半導体基板11の表面11Aに設けられたFD131およびAMP133(後出の
図4参照)とを電気的に接続する接続部材である。貫通電極17は、例えば、有機光電変換部20において生じた信号電荷の伝送や、電荷蓄積電極25を駆動させる電圧の伝送を行う伝送経路となっている。貫通電極17は、例えば有機光電変換部20の読出電極26から半導体基板11を貫いて多層配線層30に至るまでZ軸方向に延在するように設けることができる。貫通電極17は、半導体基板11の裏面11B側に設けられた有機光電変換部20で生じた信号電荷を、半導体基板11の表面11A側に良好に転送することが可能となっている。貫通電極17の周囲には、固定電荷層13および絶縁層41が設けられており、これにより、貫通電極17と半導体基板11のpウェル領域とは電気的に絶縁されている。
【0029】
貫通電極17は、例えば、PDAS(Phosphorus Doped Amorphous Silicon)等の不純物がドープされたシリコン材料の他、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銅(Cu)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)等の金属材料のうちの1種または2種以上を用いて形成することができる。
【0030】
(多層配線層30)
多層配線層30は、例えば、TG141A,141B、RST143A,143B、AMP144A,144BおよびSEL145A,145B等を有する読み出し回路を含んでいる。
【0031】
(中間層40)
中間層40は、例えば絶縁層41と、その絶縁層41に埋設された光学フィルタ42および画素間領域遮光膜43とを有していてもよい。絶縁層41は、例えば、酸化シリコン(SiOx)、窒化シリコン(SiNx)および酸窒化シリコン(SiON)等の無機絶縁材料のうちの1種よりなる単層膜か、あるいはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜により構成されている。さらに、絶縁層41を構成する材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン(AEAPTMS)、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)等の有機絶縁材料を用いてもよい。
【0032】
光学フィルタ42は、光電変換領域12において光電変換が行われる赤外光域(例えば波長880nm以上1040nm以下)に透過バンドを有する。すなわち、光学フィルタ42は、可視光域(例えば波長400nm以上700nm以下)の波長を有する光よりも赤外光域の波長を有する光のほうが透過しやすいものである。具体的には、光学フィルタ42は、例えば有機材料により構成することができるものであり、赤外光域の光を選択的に透過させつつ、可視光域の波長の光の少なくとも一部を吸収するようになっている。
【0033】
画素間領域遮光膜43は、XY面内において隣り合う他の画素Pとの境界部分に設けられている。画素間領域遮光膜43は、XY面に沿って広がる部分を含んでおり、各画素Pの光電変換領域12を取り囲むように設けられている。画素間領域遮光膜43は、画素間領域遮光壁16と同様、隣接する画素P同士の間における光電変換領域12への不要光の斜入射を抑制し、混色を防ぐものである。なお、画素間領域遮光膜43は必要に応じて設置すればよいので、画素P1は画素間領域遮光膜43を有さなくてもよい。
【0034】
(有機光電変換部20)
有機光電変換部20は、例えば光電変換部10に近い位置から順に積層された読出電極26と、半導体層21と、有機光電変換層22と、上部電極23とを有している。有機光電変換部20は、さらに、半導体層21の下方に設けられた絶縁層24と、その絶縁層24を介して半導体層21と対向するように設けられた電荷蓄積電極25とを有している。電荷蓄積電極25および読出電極26は、互いに離間されており、例えば同一の階層に設けられている。読出電極26は、貫通電極17の上端と接している。なお、上部電極23、有機光電変換層22、および半導体層21は、それぞれ、画素部100における複数の画素P(
図2A)のうちの一部のいくつかの画素Pにおいて共通に設けられ、または画素部100における複数の画素Pの全てにおいて共通に設けられていてもよい 。本実施の形態以降に説明する他の実施の形態および変形例等においても同様である。
【0035】
なお、有機光電変換層22と半導体層21との間および有機光電変換層22と上部電極23との間には、他の有機層が設けられていてもよい。
【0036】
読出電極26、上部電極23および電荷蓄積電極25は、光透過性を有する導電膜により構成され、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)により構成されている。但し、読出電極26、上部電極23および電荷蓄積電極25の構成材料としては、このITOの他にも、ドーパントを添加した酸化スズ(SnOx)系材料、あるいは亜鉛酸化物(ZnO)にドーパントを添加してなる酸化亜鉛系材料を用いてもよい。酸化亜鉛系材料としては、例えば、ドーパントとしてアルミニウム(Al)を添加したアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ガリウム(Ga)添加のガリウム亜鉛酸化物(GZO)、インジウム(In)添加のインジウム亜鉛酸化物(IZO)が挙げられる。また、読出電極26、上部電極23および電荷蓄積電極25の構成材料としては、CuI、InSbO4 、ZnMgO、CuInO2 、MgIN2 O4 、CdO、ZnSnO3 またはTiO2 等を用いてもよい。さらに、スピネル形酸化物やYbFe2 O4 構造を有する酸化物を用いてもよい。
【0037】
有機光電変換層22は、光エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、例えば、p型半導体およびn型半導体として機能する有機材料を2種以上含んで形成されている。p型半導体は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能するものであり、n型半導体は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能するn型半導体として機能するものである。有機光電変換層22は、層内に、バルクヘテロ接合構造を有している。バルクヘテロ接合構造は、p型半導体およびn型半導体が混ざり合うことで形成されたp/n接合面であり、光を吸収した際に生じる励起子は、このp/n接合界面において電子と正孔とに分離する。
【0038】
有機光電変換層22は、p型半導体およびn型半導体の他に、さらに、所定の波長帯域の光を光電変換する一方、他の波長帯域の光を透過させる、いわゆる色素材料の3種類を含んで構成されていてもよい。p型半導体、n型半導体および色素材料は、互いに異なる吸収極大波長を有していることが好ましい。これにより、可視光領域の波長を広い範囲で吸収することが可能となる。
【0039】
有機光電変換層22は、例えば、上記各種有機半導体材料を混合し、スピンコート技術を用いることで形成することができる。この他、例えば、真空蒸着法やプリント技術等を用いて有機光電変換層22を形成するようにしてもよい。
【0040】
半導体層21を構成する材料としては、バンドギャップの値が大きく(例えば、3.0eV以上のバンドギャップの値)、有機光電変換層22を構成する材料よりも高い移動度を有する材料を用いることが好ましい。具体的には、IGZO等の酸化物半導体材料;遷移金属ダイカルコゲナイド;シリコンカーバイド;ダイヤモンド;グラフェン;カーボンナノチューブ;縮合多環炭化水素化合物や縮合複素環化合物等の有機半導体材料を挙げることができる。
【0041】
電荷蓄積電極25は、絶縁層24および半導体層21と共に一種のキャパシタを形成し、有機光電変換層22において発生する電荷を半導体層21の一部、例えば半導体層21のうち絶縁層24を介して電荷蓄積電極25に対応した領域部分に蓄積するようになっている。本実施の形態では、一の光電変換領域12、一のカラーフィルタ52、および一のオンチップレンズ54のそれぞれに対応して、一の電荷蓄積電極25が設けられている。電荷蓄積電極25は、例えば垂直駆動回路111と接続されている。
【0042】
絶縁層24は、例えば絶縁層41と同様の無機絶縁材料および有機絶縁材料により形成可能である。
【0043】
有機光電変換部20は、上記のように、可視光域の波長の一部または全部を検出するものである。また、有機光電変換部20は、赤外光域に対する感度を有さないものであることが望ましい。
【0044】
有機光電変換部20では、上部電極23側から入射した光は、有機光電変換層22で吸収される。これによって生じた励起子(電子-正孔対)は、有機光電変換層22を構成する電子供与体と電子受容体との界面に移動し、励起子分離、すなわち、電子と正孔とに解離する。ここで発生した電荷、すなわち電子および正孔は、キャリアの濃度差による拡散や、上部電極23と電荷蓄積電極25との電位差による内部電界によって上部電極23または半導体層21に移動し、光電流として検出される。例えば、読出電極26を正の電位とし、上部電極23を負の電位とする。その場合、有機光電変換層22における光電変換により発生した正孔は、上部電極23に移動する。有機光電変換層22における光電変換により発生した電子は、電荷蓄積電極25に引き付けられ、半導体層21の一部、例えば半導体層21のうち絶縁層24を介して電荷蓄積電極25に対応した領域部分に蓄積される。
【0045】
半導体層21のうち絶縁層24を介して電荷蓄積電極25に対応した領域部分に蓄積された電荷(例えば電子)は、次のようにして読み出される。具体的には、読出電極26に電位V26を印加し、電荷蓄積電極25に電位V25を印加する。ここで、電位V25よりも電位V26を高くする(V25<V26)。こうすることで、半導体層21のうち電荷蓄積電極25に対応した領域部分に蓄積されていた電子は、読出電極26へ転送される。
【0046】
このように有機光電変換層22の下層に半導体層21を設け、半導体層21のうちの絶縁層24を介して電荷蓄積電極25に対応した領域部分に電荷(例えば電子)を蓄積することにより、以下のような効果が得られる。すなわち、半導体層21を設けずに有機光電変換層22に電荷(例えば電子)を蓄積する場合と比較して、電荷蓄積時の正孔と電子との再結合が防止され、蓄積した電荷(例えば電子)の読出電極26への転送効率を増加させることができるうえ、暗電流の生成を抑制することができる。上記説明では電子の読み出しを行う場合を例示したが、正孔の読み出しを行うようにしてもよい。正孔の読み出しを行う場合は、上記説明での電位は正孔が感じる電位として説明される。
【0047】
(光電変換部10の読み出し回路)
図3は、
図2Aに示した画素Pを構成する光電変換部10の読み出し回路の一例を表す回路図である。
【0048】
光電変換部10の読み出し回路は、例えば、TG141A,141Bと、OFG146と、FD15A,15Bと、RST143A,143Bと、AMP144A,144Bと、SEL145A,145Bとを有している。
【0049】
TG141A,141Bは、光電変換領域12とFD15A,15Bとの間に接続されている。TG141A,141Bのゲート電極14A,14Bに駆動信号が印加され、TG141A,141Bがアクティブ状態となると、TG141A,141Bの転送ゲートが導通状態となる。その結果、光電変換領域12で変換された信号電荷が、TG141A,141Bを介してFD15A,15Bに転送される。
【0050】
OFG146は、光電変換領域12と電源との間に接続されている。OFG146のゲート電極に駆動信号が印加され、OFG146がアクティブ状態になると、OFG146が導通状態になる。その結果、光電変換領域12で変換された信号電荷がOFG146を介して電源に排出される。
【0051】
FD15A,15Bは、TG141A,141Bと、AMP144A,144Bとの間に接続されている。FD15A,15Bは、TG141A,141Bにより転送される信号電荷を電圧信号に電荷電圧変換して、AMP144A,144Bに出力する。
【0052】
RST143A,143Bは、FD15A,15Bと電源との間に接続されている。RST143A,143Bのゲート電極に駆動信号が印加され、RST143A,143Bがアクティブ状態になると、RST143A,143Bのリセットゲートが導通状態となる。その結果、FD15A,15Bの電位が電源のレベルにリセットされる。
【0053】
AMP144A,144Bは、FD15A,15Bに接続されるゲート電極と、電源に接続されるドレイン電極とをそれぞれ有している。AMP144A,144Bは、FD15A,15Bが保持している電圧信号の読み出し回路、いわゆるソースフォロア回路の入力部となる。すなわち、AMP144A,144Bは、そのソース電極がSEL145A,145Bを介してそれぞれ垂直信号線Lsigに接続されることで、垂直信号線Lsigの一端に接続される定電流源とソースフォロア回路を構成する。
【0054】
SEL145A,145Bは、それぞれ、AMP144A,144Bのソース電極と、垂直信号線Lsigとの間に接続される。SEL145A,145Bの各ゲート電極に駆動信号が印加され、SEL145A,145Bがアクティブ状態になると、SEL145A,145Bが導通状態となり、画素Pが選択状態となる。これにより、AMP144A,144Bから出力される読み出し信号(画素信号)が、SEL145A,145Bを介して、垂直信号線Lsigに出力される。
【0055】
固体撮像装置1では、赤外域の光パルスを被写体に照射し、その被写体から反射した光パルスを光電変換部10の光電変換領域12で受光する。光電変換領域12では、赤外域の光パルスの入射により複数の電荷が発生する。光電変換領域12において発生した複数の電荷は、一対のゲート電極14A,14Bに対して交互に等時間に亘って駆動信号を供給することで、FD15AとFD15Bとに交互に振り分けられるようになっている。ゲート電極14A,14Bに印加する駆動信号のシャッタ位相を照射する光パルスに対して変えることで、FD15Aにおける電荷の蓄積量およびFD15Bにおける電荷の蓄積量は、位相変調された値となる。これらを復調することによって光パルスの往復時間が推定されることから、固体撮像装置1と被写体との距離が求められる。
【0056】
(有機光電変換部20の読み出し回路)
図4は、
図2Aに示した画素P1を構成する有機光電変換部20の読み出し回路の一例を表す回路図である。
【0057】
有機光電変換部20の読み出し回路は、例えば、FD131と、RST132と、AMP133と、SEL134とを有している。
【0058】
FD131は、読出電極26とAMP133との間に接続されている。FD131は、読出電極26により転送される信号電荷を電圧信号に電荷電圧変換して、AMP133に出力する。
【0059】
RST132は、FD131と電源との間に接続されている。RST132のゲート電極に駆動信号が印加され、RST132がアクティブ状態になると、RST132のリセットゲートが導通状態となる。その結果、FD131の電位が電源のレベルにリセットされる。
【0060】
AMP133は、FD131に接続されるゲート電極と、電源に接続されるドレイン電極とを有している。AMP133のソース電極は、SEL134を介して垂直信号線Lsigに接続されている。
【0061】
SEL134は、AMP133のソース電極と、垂直信号線Lsigとの間に接続される。SEL134のゲート電極に駆動信号が印加され、SEL134がアクティブ状態になると、SEL134が導通状態となり、画素P1が選択状態となる。これにより、AMP133から出力される読み出し信号(画素信号)が、SEL134を介して、垂直信号線Lsigに出力される。
【0062】
(画素P1の平面構成例)
図5は、画素部100における複数の画素P1の配列状態の一例を模式的に表している。
図5の(A)~(D)は、それぞれ、
図2Aに示したZ軸方向のレベルLv1~Lv3,Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図5の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図5の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図5の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25および読出電極26の配列状態を表し、
図5の(D)はXY面内における光電変換領域12および貫通電極17の配列状態を表している。
図5の(D)では、さらに、レベルLv4に相当する高さ位置にある画素間領域遮光膜43の平面形状を破線で表している。
図5の(A)~(D)に示したように、画素部100では、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられている。ここでいう互いに対応する位置とは、例えば、Z軸方向において互いに重なり合う位置である。あるいは、それに限定されず、1つのオンチップレンズ54に入射した光が、1つのカラーフィルタ52と、複数の画素P1に共通に設けられた有機光電変換部20と、1つの光電変換領域12とに順次入射し、有機光電変換部20において光電変換により発生した電荷が1つの電荷蓄積電極25に引き付けられて半導体層21の一部、すなわち、絶縁層24を介して電荷蓄積電極25に対応した領域部分に蓄積されるようになっていればよい。また、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに重なり合う位置にある場合、各々の中心位置が互いに一致していてもよいし、各々の中心位置が互いに一致していなくともよい。なお、
図5では、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ4つずつ並ぶ合計16個の画素P1の平面構成例を示しているが、画素部100では、例えばこれら16個の画素P1がX軸方向およびY軸方向の双方において複数配置されている。
【0063】
図5の例では、(B)に示したように、赤色のカラーフィルタ52Rを有し赤色光を受光する1つの赤色画素PR1と、青色のカラーフィルタ52Bを有し青色光を受光する1つの青色画素PB1と、緑色のカラーフィルタ52Gを有し緑色光を受光する2つの緑色画素PG1とが、1つの画素群PP1を構成している。
図5の(B)に示した複数の画素Pの配列状態は、いわゆるベイヤ配列と呼ばれる。赤色画素PR1は、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ1つ置きに配列されている。青色画素PB1は、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ1つ置きに配列されると共に赤色画素PR1に対し斜め方向に位置している。緑色画素PG1は、赤色画素PR1および青色画素PB1の隙間を埋めるように配置されている。なお、
図5は一例であり、本開示の画素部100における複数の画素P1の配列状態はこれに限定されるものではない。
【0064】
図5の(C)に示したように、読出電極26は、1つの画素群PP1につき1つの割合で設けられている。具体的には、1つの画素群PP1における4つの電荷蓄積電極25の中央付近の隙間に1つの読出電極26が配置されている。なお、
図5は一例であり、本開示の画素部100における読出電極26の配置位置はこれに限定されるものではない。
図5の例では、1つの画素群PP1を構成する4つの画素Pの中央に設けられているので、4つの画素Pの各電荷蓄積電極25と読出電極26との距離がほぼ等しくなっている。このため、隣り合う画素P間で読出電極26を共有するのに好適である。
【0065】
図5の(D)に示したように、貫通電極17は、1つの画素Pにつき1つの割合で設けられている。具体的には、各画素Pにおける光電変換領域12の4つの角部付近の隙間に1つの貫通電極17が配置されている。このように光電変換領域12の角部付近に貫通電極17を配置することにより、光電変換領域12の面積をより大きくすることができる。なお、
図5は一例であり、本開示の画素部100における貫通電極17の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば
図6に示したように、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置にも貫通電極17をさらに配置するようにしてもよい。
図6は、
図1に示した画素部100における複数の画素P1の配列状態の一変形例を模式的に表したものである。
図5の(D)および
図6の(D)に示したように、貫通電極17および読出電極26は、オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにするとよい。光電変換領域12に入射可能な赤外光の光量を高めることができ、各画素P1における赤外光検出感度を向上するのに有利だからである。なお、本開示は
図5および
図6に示した態様に限定されるものではなく、例えば光電変換領域12における4つの角部には貫通電極17を配置せず、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置のみに貫通電極17を配置するようにしてもよい。また、各画素Pにおける光電変換領域12に対し、複数の貫通電極17をZ軸と直交する面内において可能な限り対称に配置することにより、光電変換領域12における光学的特性が向上する。すなわち、例えば斜入射光を受光した場合の、光電変換領域12におけるZ軸と直交する面内での光電変換特性の均一性が向上する。
【0066】
画素間領域遮光膜43は、
図5の(D)および
図6の(D)にそれぞれ示したように、XY面内において隣り合う他の画素P1との境界部分に、全体として格子状をなすように設けられている。画素間領域遮光膜43は、各画素P1の光電変換領域12を取り囲むように設けられており、複数の開口部分43Kを含んでいる。先に述べたように、画素間領域遮光膜43は、隣接する画素P1同士の間における光電変換領域12への不要光の斜入射を抑制し、混色を防ぐものである。ここで、画素間領域遮光膜43における各開口部分43Kの中心位置を、各画素P1の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P1の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P1の検出感度低下を避けるためである。その場合、各画素P1の中心位置に対する各開口部分43Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにしてもよい。そうすることにより、画素部100の端部でのシェーディング特性をより改善させることが可能となる。
【0067】
さらに、隣り合う画素P1同士の間隔を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、その間隔が非線形に変化するようにするとよい。そのようにすることにより、例えば画素部100に配置された複数の画素P1における、各々の像高に応じた瞳補正を行うことができる。
【0068】
[固体撮像装置1の作用効果]
本実施の形態の固体撮像装置1は、入射側から順に積層された可視光域の波長を有する光を検出して光電変換を行う有機光電変換部20と、赤外光域に透過バンドを有する光学フィルタ42と、赤外光域の波長を有する光を検出して光電変換を行う光電変換部10とを有する。このため、赤色画素PR、緑色画素PG、および青色画素PBからそれぞれ得られる赤色光信号、緑色光信号および青色光信号により構成される可視光画像と、複数の画素Pの全てから得られる赤外光信号を用いた赤外光画像とを同時に、XY面内方向において同じ位置で取得することができる。よって、XY面内方向における高集積化が実現できる。
【0069】
さらに、光電変換部10は、一対のゲート電極14A,14Bと、FD15A,15Bとを有するようにしたので、被写体との距離の情報を含む距離画像としての赤外光画像を取得することができる。したがって、本実施の形態の固体撮像装置1によれば、高解像度の可視光画像の取得と、奥行き情報を有する赤外光画像の取得とを両立することができる。
【0070】
本実施の形態では、有機光電変換部20が、読出電極26と半導体層21と有機光電変換層22と上部電極23とが順に積層された構造に加え、半導体層21の下方に設けられた絶縁層24と、その絶縁層24を介して半導体層21と対向するように設けられた電荷蓄積電極25とを有するようにしている。したがって、有機光電変換層22において光電変換により生じる電荷を半導体層21の一部、例えば半導体層21のうち絶縁層24を介して電荷蓄積電極25に対応した領域部分に蓄積することができる。このため、例えば露光開始時に半導体層21における電荷の除去、すなわち半導体層21の完全空乏化を実現できる。その結果、kTCノイズを減少させることができるので、ランダムノイズによる画質の低下を抑制することができる。さらに、半導体層21を設けずに有機光電変換層22に電荷(例えば電子)を蓄積する場合と比較して、電荷蓄積時の正孔と電子との再結合が防止され、蓄積した電荷(例えば電子)の読出電極26への転送効率を増加させることができるうえ、暗電流の生成を抑制することができる。
【0071】
なお、本開示では、
図2Dに示した画素P1Aに示したように、半導体層21を設けなくともよい。
図2Dに示した画素P1Aでは、有機光電変換層22が読出電極26と接続され、電荷蓄積電極25が絶縁層24を介して有機光電変換層22と対向するように設けられる。このような構成の場合、有機光電変換層22において光電変換により生じる電荷は有機光電変換層22に蓄積される。この場合であっても、有機光電変換層22における光電変換の際に、有機光電変換層22と絶縁層24と電荷蓄積電極25とによって一種のキャパシタが形成される。このため、例えば露光開始時に有機光電変換層22における電荷の除去、すなわち有機光電変換層22の完全空乏化を実現できる。その結果、kTCノイズを減少させることができるので、ランダムノイズによる画質の低下を抑制することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、画素部100において、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられている。このため、赤色画素PR1、緑色画素PG1、および青色画素PB1のそれぞれに対応する位置において赤外光信号を得ることができる。よって、本実施の形態の画素P1では、後述する第2の実施の形態の画素P2および第3の実施の形態の画素P3と比較して、高解像度を有する赤外光画像が得られる。
【0073】
なお、本実施の形態では、赤色、緑色および青色のカラーフィルタ52R,52G,52Bをそれぞれ備え、赤色光、緑色光および青色光をそれぞれ受光してカラーの可視光画像を取得するようにしたが、カラーフィルタ52を設けずに白黒の可視光画像を取得するようにしてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、貫通電極17および読出電極26を、オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにしたので、各画素P1における赤外光検出感度を向上させることができる。
【0075】
<2.第2の実施の形態>
[画素P2の構成]
図7は、第2の実施の形態の撮像素子としての画素P2における断面構成の一例を模式的に表している。
図8は、複数の画素P2のXY面内における配列状態の一例を模式的に表している。画素P2は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pに適用可能である。ただし、本実施の形態では、
図8に示したように4つの画素P2が1つの画素群PP2を構成し、1つの光電変換部10を共有している。したがって、本実施の形態の画素P2を
図1に示した画素Pとして用いる場合は、一例として、画素P2を単位として一の電荷蓄積電極25を含む有機光電変換部20の駆動を行うと共に、画素群PP2を単位として一の光電変換部10の駆動を行うようにしてもよい。なお、
図7では、貫通電極17およびその上端に接する読出電極26が左右に2つずつ記載されているところ、右側の読出電極26は半導体層21と離間するように見える。しかしながら、実際には、
図7に示した断面と異なる断面において右側の読出電極26も半導体層21と接続されている。
【0076】
図8の(A)~(D)は、それぞれ、
図7に示したZ軸方向のレベルLv1~Lv3,Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図8の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図8の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図8の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25の配列状態を表し、
図8の(D)はXY面内における光電変換領域12、貫通電極17、および読出電極26の配列状態を表している。なお、
図8では、視認性を確保するため、読出電極26を(D)に記載している。また、
図8の(B)では、符号PR2は赤色の画素P2を表し、符号PG2は緑色の画素P2を表し、符号PB2は青色の画素P2を表している。カラーフィルタ52の色の配列は特に限定されるものではないが、例えばベイヤ配列であってもよい。
【0077】
上記第1の実施の形態では、画素部100において、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。これに対し、本実施の形態では、1つの光電変換領域12に対し4つのオンチップレンズ54と、4つのカラーフィルタ52と、4つの電荷蓄積電極25とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。より詳細には、1つの光電変換領域12に対し、オンチップレンズ54、カラーフィルタ52および電荷蓄積電極25が、X軸方向に2列、Y軸方向に2行、それぞれ配置されている。すなわち本実施の形態では、
図7および
図8に示したように、各画素P2がオンチップレンズ54、カラーフィルタ52および電荷蓄積電極25を1つずつ有すると共に、X軸方向およびY軸方向の双方において隣り合う4つの画素P2が1つの画素群PP2を構成し、4つの画素P2が1つの光電変換部10を共有している。この点を除き、画素P2の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。なお、
図8の(D)では、貫通電極17および読出電極26を、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部にそれぞれ配置するようにした例を示している。
【0078】
[画素P2の作用効果]
本実施の形態の画素P2によれば、上述の構成を有するようにしたので、可視光画像と距離情報を含む赤外光画像とを同時に、面内方向において同じ位置で取得することができる。さらに、画素P2によれば、複数の画素P1により画素部100を構成した場合と比べて、画素部100を構成する複数の画素P2における赤外光検出感度差を低減することができる。複数の画素P1により画素部100を構成した場合、カラーフィルタ52の色によってカラーフィルタ52を透過する赤外光の透過率が異なる。このため、光電変換領域12に到達する赤外光の強度が、赤色画素PR1と、青色画素PB1と、緑色画素PG1とでそれぞれ異なる。このため、1つの画素群PP1を構成する複数の画素P1において赤外光検出感度差が生じることとなる。その点、本実施の形態の画素P2によれば、1つのカラーフィルタ52Rと、1つのカラーフィルタ52Bと、2つのカラーフィルタ52Gとをそれぞれ透過した赤外光が各光電変換領域12に入射するようになっている。このため、複数の画素群PP2間において生じる赤外光検出感度差を低減することができる。
【0079】
また、本実施の形態では、貫通電極17および読出電極26を、各オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにしたので、各画素P2における赤外光検出感度を向上させることができる。
【0080】
また、本実施の形態の画素P2を複数配列した場合においても、画素間領域遮光膜43における各開口部分43Kの中心位置を、各画素P2の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P2の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P2の検出感度低下を避けるためである。その場合、各画素P2の中心位置に対する各開口部分43Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにするとよい。
【0081】
さらに、隣り合う画素P2同士の間隔を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、その間隔が非線形に変化するようにするとよい。そのようにすることにより、例えば画素部100に配置された複数の画素P2における、各々の像高に応じた瞳補正を行うことができる。
【0082】
なお、
図8は一例であり、本開示の画素部100に配列された複数の画素P2における貫通電極17の配置位置および読出電極26の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば
図9に示したように、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置に貫通電極17を配置するようにしてもよい。
図9は、画素部100における複数の画素P2の配列状態の第1変形例を模式的に表したものである。あるいは、
図10に示したように、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部と、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置との双方に貫通電極17をそれぞれ配置するようにしてもよい。
図10は、画素部100における複数の画素P2の配列状態の第2変形例を模式的に表したものである。さらに、
図11に示したように、オンチップレンズ54の2つ分の大きさを有する一のオンチップレンズ54Aを、X軸方向に並ぶ2つのオンチップレンズ54に代えて配置するようにしてもよい。
図11は、画素部100における複数の画素P2の配列状態の第3変形例を模式的に表したものである。
図11の例では、オンチップレンズ54Aの直下に配置されるカラーフィルタ52をいずれも例えば緑色を透過する緑色のカラーフィルタ52Gとする。これにより、オンチップレンズ54Aを透過した光が2つの画素PG2において受光されるので、像面位相差情報を取得することができる。なお、カラーフィルタ52の色の配列は特に限定されるものではないが、オンチップレンズ54A以外の部分については、例えばベイヤ配列であってもよい。また、
図11では、光電変換領域12における4つの角部の位置に貫通電極17および読出電極26を配置するようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば
図11の構成に加え、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって光電変換領域12における4つの角部の中間の位置にも貫通電極17をさらに配置するようにしてもよい。あるいは、光電変換領域12における4つの角部には貫通電極17を配置せず、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置のみに貫通電極17を配置するようにしてもよい。
【0083】
<3.第3の実施の形態>
[画素P3の構成]
図12は、第3の実施の形態の撮像素子としての画素P3における断面構成の一例を模式的に表している。
図13は、複数の画素P3のXY面内における配列状態の一例を表す模式図である。画素P3は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pに適用可能である。ただし、本実施の形態では、
図13に示したように16個の画素P3が1つの画素群PP3を構成し、1つの光電変換部10を共有している。したがって、本実施の形態の画素P3を
図1に示した画素Pとして用いる場合は、一例として、画素P3を単位として一の電荷蓄積電極25を含む有機光電変換部20の駆動を行うと共に、画素群PP3を単位として一の光電変換部10の駆動を行うようにしてもよい。
【0084】
図13の(A)~(D)は、それぞれ、
図12に示したZ軸方向のレベルLv1~Lv3,Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図13の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図13の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図13の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25および読出電極26の配列状態を表し、
図13の(D)はXY面内における光電変換領域12および貫通電極17の配列状態を表している。なお、
図13では、視認性を確保するため、読出電極26を(D)にも記載している。また、
図13の(C)では、電荷蓄積電極25と読出電極26とが一部重なり合っているように記載されているが、実際には電荷蓄積電極25と読出電極26とは互いに離間して配置されている。さらに、
図13の(B)では、符号PR3は赤色の画素P3を表し、符号PG3は緑色の画素P3を表し、符号PB3は青色の画素P3を表している。なお、カラーフィルタ52の色の配列は特に限定されるものではないが、例えばベイヤ配列であってもよい。
【0085】
上記第1の実施の形態では、画素部100において、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。これに対し、本実施の形態では、1つの光電変換領域12に対し16個のオンチップレンズ54と、16個のカラーフィルタ52と、16個の電荷蓄積電極25とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。より詳細には、1つの光電変換領域12に対し、オンチップレンズ54、カラーフィルタ52および電荷蓄積電極25が、X軸方向に4列、Y軸方向に4行、それぞれ配置されている。すなわち本実施の形態では、
図12および
図13に示したように、X軸方向およびY軸方向の双方において隣り合う16個の画素P3が1つの画素群PP3を構成し、1つの光電変換部10を共有している。この点を除き、画素P3の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。なお、
図13の(D)では、貫通電極17を、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部と、それら4つの角部同士を結ぶ直線上にそれぞれ配置するようにした例を示している。また、
図13の(D)では、読出電極26を、4つの画素P3の中央の位置にそれぞれ1つずつ配置し、4つの画素P3で1つの読出電極26を共有するようにしている。
【0086】
[画素P3の作用効果]
本実施の形態の画素P3によれば、上述の構成を有するようにしたので、可視光画像と距離情報を含む赤外光画像とを同時に、面内方向において同じ位置で取得することができる。さらに、画素P3によれば、複数の画素P1により画素部100を構成した場合と比べて、画素部100を構成する複数の画素群PP3における赤外光検出感度差を低減することができる。
【0087】
また、本実施の形態では、貫通電極17および読出電極26を、各オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにしたので、各画素P2における赤外光検出感度を向上させることができる。なお、
図13は一例であり、本開示の画素部100に配列された複数の画素P3における貫通電極17の配置位置および読出電極26の配置位置はこれに限定されるものではない。
【0088】
また、本実施の形態の画素P3を複数配列した場合においても、画素間領域遮光膜43における各開口部分43Kの中心位置を、各画素P3の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P3の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P3の検出感度低下を避けるためである。その場合、各画素P3の中心位置に対する各開口部分43Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにするとよい。
【0089】
さらに、隣り合う画素P3同士の間隔を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、その間隔が非線形に変化するようにするとよい。そのようにすることにより、例えば画素部100に配置された複数の画素P2における、各々の像高に応じた瞳補正を行うことができる。
【0090】
<4.第4の実施の形態>
[画素P4の構成]
図14は、第4の実施の形態の撮像素子としての画素P4における断面構成の一例を模式的に表している。
図15は、複数の画素P4のXY面内における配列状態の一例を表す模式図である。画素P4は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pに適用可能である。ただし、本実施の形態では、
図14および
図15に示したように1つの画素P4が4つのサブ画素SP4により構成され、各サブ画素SP4が一の電荷蓄積電極25および一の光電変換部10を有している。したがって、本実施の形態の画素P4を
図1に示した画素Pとして用いる場合は、一例として、サブ画素SP4を単位として一の電荷蓄積電極25を含む有機光電変換部20の駆動を行うと共に、サブ画素SP4を単位として一の光電変換部10の駆動を行うようにしてもよい。
【0091】
図15の(A)~(D)は、それぞれ、
図14に示したZ軸方向のレベルLv1~Lv3,Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図15の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図15の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図15の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25の配列状態を表し、
図15の(D)はXY面内における光電変換領域12および貫通電極17の配列状態を表している。なお、
図15では、視認性を確保するため、読出電極26を(D)に記載している。また、
図15の(B)では、符号PR4は赤色の画素P4を表し、符号PG4は緑色の画素P4を表し、符号PB4は青色の画素P4を表している。
【0092】
上記第1の実施の形態では、画素部100において、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。これに対し、本実施の形態では、1つのオンチップレンズ54に対し、1つのカラーフィルタ52と、4つの電荷蓄積電極25と、4つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。より詳細には、1つのオンチップレンズ54および1つのカラーフィルタ52に対し、電荷蓄積電極25および光電変換領域12が、X軸方向に2列、Y軸方向に2行、それぞれ配置されている。すなわち本実施の形態では、
図14および
図15に示したように、4つの電荷蓄積電極25および4つの光電変換領域12が、1つの画素P4に含まれている。この点を除き、画素P4の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。
【0093】
[画素P4の作用効果]
本実施の形態の画素P4によれば、上述の構成を有するようにしたので、可視光画像と距離情報を含む赤外光画像とを同時に、面内方向において同じ位置で取得することができる。さらに、各画素P4において、赤外光により、X軸方向およびY軸方向における像面位相差情報を取得することができる。
【0094】
また、赤色画素PR4、緑色画素PG4、および青色画素PB4のそれぞれに対応する位置において赤外光信号を得ることができる。よって、本実施の形態の画素P4では、第2の実施の形態の画素P2および第3の実施の形態の画素P3と比較して、高解像度を有する赤外光画像が得られる。
【0095】
また、本実施の形態においても、貫通電極17および読出電極26を、オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにしたので、各画素P4における赤外光検出感度を向上させることができる。
【0096】
また、本実施の形態の画素P4を複数配列した場合においても、画素間領域遮光膜43における各開口部分43Kの中心位置を、各サブ画素SP4の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P4の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P4の検出感度低下を避けるためである。その場合、各サブ画素SP4の中心位置に対する各開口部分43Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにするとよい。
【0097】
さらに、隣り合う画素P4同士の間隔を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、その間隔が非線形に変化するようにするとよい。そのようにすることにより、例えば画素部100に配置された複数の画素P4における、各々の像高に応じた瞳補正を行うことができる。
【0098】
なお、
図15は一例であり、本開示の画素部100に配列された複数の画素P4における貫通電極17の配置位置および読出電極26の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば
図16に示したように、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置にも貫通電極17を配置するようにしてもよい。
図16は、画素部100における複数の画素P4の配列状態の一変形例を模式的に表したものである。
【0099】
<5.第5の実施の形態>
[画素P5の構成]
図17は、第5の実施の形態の撮像素子としての画素P5における断面構成の一例を模式的に表している。
図18は、複数の画素P5のXY面内における配列状態の一例を表す模式図である。画素P5は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pとして適用可能である。ただし、本実施の形態では、
図17および
図18に示したように1つの画素P5が4つのサブ画素SP5により構成され、各サブ画素SP5が一の電荷蓄積電極25を有している。したがって、本実施の形態の画素P5を
図1に示した画素Pとして用いる場合は、一例として、サブ画素SP5を単位として一の電荷蓄積電極25を含む有機光電変換部20の駆動を行うと共に、画素P5を単位として一の光電変換部10の駆動を行うようにしてもよい。
【0100】
図18の(A)~(D)は、それぞれ、
図17に示したZ軸方向のレベルLv1~Lv3,Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図18の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図18の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図18の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25の配列状態を表し、
図18の(D)はXY面内における光電変換領域12および貫通電極17の配列状態を表している。なお、
図18では、視認性を確保するため、読出電極26を(D)に記載している。また、
図18の(B)では、符号PR5は赤色の画素P5を表し、符号PG5は緑色の画素P5を表し、符号PB5は青色の画素P5を表している。
【0101】
上記第1の実施の形態では、画素部100において、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。これに対し、本実施の形態では、1つのオンチップレンズ54に対し、1つのカラーフィルタ52と、4つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。より詳細には、1つのオンチップレンズ54、1つのカラーフィルタ52および1つの光電変換領域12に対し、電荷蓄積電極25が、X軸方向に2列配置されていると共にY軸方向に2行配置されている。すなわち本実施の形態では、
図17および
図18に示したように、4つの電荷蓄積電極25が、1つの画素P5に含まれている。さらに、本実施の形態の画素P5では、Z軸方向における例えば有機光電変換部20とオンチップレンズ54との間に、より具体的には例えばカラーフィルタ52と封止膜51との間に画素間領域遮光膜56を設けるようにしてもよい。画素間領域遮光膜56は、W(タングステン)やAl(アルミニウム)などの金属を主成分としている。画素間領域遮光膜56は、複数の開口部分56Kを含んでおり、XY面内において隣り合う他の画素P5との境界部分に、すなわち互いに異なる色のカラーフィルタ52同士の間の領域に、全体として格子状をなすように設けられている。これにより、隣接する画素P5同士の間における有機光電変換部20への不要光の斜入射を抑制し、混色を防ぐことができる。さらに、画素間領域遮光膜56は、平面視において各画素P5の光電変換領域12を取り囲むように設けられている。これにより、隣接する画素P5同士の間における光電変換領域12への不要光の斜入射を抑制し、混色を防ぐことができる。
図18では、(B)に画素間領域遮光膜56を破線で示している。これらの点を除き、画素P5の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。本実施の形態では、特に、カラーフィルタ52の配置ピッチと、光電変換領域12の配置ピッチとが一致するようにしたので、画素間領域遮光膜56を設けることにより、有機光電変換部20および光電変換領域12の双方に対する混色防止効果が期待できる。ここで、画素間領域遮光膜43における各開口部分56Kの中心位置を、各画素P5の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P5の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P5の検出感度低下を避けるためである。その場合、各画素P5の中心位置に対する各開口部分56Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにしてもよい。なお、画素間領域遮光膜56は、本実施の形態の画素P5以外の、本願明細書において各実施の形態および変形例として示した他の画素のいずれにも適宜適用可能である。ただし、いずれの実施の形態および変形例で示した画素においても、画素間領域遮光膜56を設けなくてもよい。
【0102】
[画素P5の作用効果]
本実施の形態の画素P5によれば、上述の構成を有するようにしたので、可視光画像と距離情報を含む赤外光画像とを同時に、面内方向において同じ位置で取得することができる。さらに、各画素P5において、可視光により、X軸方向およびY軸方向における像面位相差情報を取得することができる。
【0103】
また、本実施の形態においても、貫通電極17および読出電極26を、オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにしたので、各画素P5における赤外光検出感度を向上させることができる。
【0104】
また、本実施の形態の画素P5を複数配列した場合においても、画素間領域遮光膜43における各開口部分43Kの中心位置を、各画素P5の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P5の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P5の検出感度低下を避けるためである。その場合、各画素P5の中心位置に対する各開口部分43Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにするとよい。
【0105】
さらに、隣り合う画素P5同士の間隔を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、その間隔が非線形に変化するようにするとよい。そのようにすることにより、例えば画素部100に配置された複数の画素P5における、各々の像高に応じた瞳補正を行うことができる。
【0106】
なお、
図18は一例であり、本開示の画素部100に配列された複数の画素P4における貫通電極17の配置位置および読出電極26の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば
図19に示したように、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置にも貫通電極17を配置するようにしてもよい。
図19は、画素部100における複数の画素P5の配列状態の第1変形例を模式的に表したものである。あるいは、
図20に示したように、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部と、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置との双方に貫通電極17をそれぞれ配置するようにしてもよい。
図20は、画素部100における複数の画素P5の配列状態の第2変形例を模式的に表したものである。
【0107】
さらに、
図21Aおよび
図21Bに示したように、各画素P5において、例えばカラーフィルタ52の中心位置と光電変換領域12の中心位置とをX軸方向およびY軸方向の双方において半分ずつずらすようにしてもよい。こうすることにより、各光電変換領域12における赤外光の受光感度のばらつきを低減することができる。なお、
図21Aおよび
図21Bは、画素部100における複数の画素P5の配列状態の第3変形例を模式的に表したものである。
図21Aは、特にオンチップレンズ54と、光電変換領域12と、貫通電極17と、読出電極26との位置関係を表している。
図21Bは、特にオンチップレンズ54と、カラーフィルタ52と、光電変換領域12との位置関係を表している。
【0108】
<6.第6の実施の形態>
[画素P6の構成]
図22は、第6の実施の形態の撮像素子としての画素P6における断面構成の一例を模式的に表している。
図23は、複数の画素P6のXY面内における配列状態の一例を表す模式図である。画素P6は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pとして適用可能である。ただし、本実施の形態では、
図22および
図23に示したように1つの画素P6が4つのサブ画素SP4により構成され、各サブ画素SP6が一の電荷蓄積電極25を有している。また、4つの画素P6が1つの画素群PP6を構成し、1つの光電変換部10を共有している。したがって、本実施の形態の画素P6を
図1に示した画素Pとして用いる場合は、一例として、サブ画素SP6を単位として一の電荷蓄積電極25を含む有機光電変換部20の駆動を行うと共に、画素群PP6を単位として一の光電変換部10の駆動を行うようにしてもよい。
【0109】
図23の(A)~(D)は、それぞれ、
図22に示したZ軸方向のレベルLv1~Lv3,Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図23の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図23の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図23の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25の配列状態を表し、
図23の(D)はXY面内における光電変換領域12および貫通電極17の配列状態を表している。なお、
図23では、視認性を確保するため、読出電極26を(D)に記載している。また、
図23の(B)では、符号PR6は赤色の画素P6を表し、符号PG6は緑色の画素P6を表し、符号PB6は青色の画素P6を表している。
【0110】
上記第1の実施の形態では、画素部100において、1つのオンチップレンズ54と、1つのカラーフィルタ52と、1つの電荷蓄積電極25と、1つの光電変換領域12とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。これに対し、本実施の形態では、1つの光電変換領域12に対し4個のオンチップレンズ54と、4個のカラーフィルタ52と、16個の電荷蓄積電極25とがZ軸方向において互いに対応する位置に設けられるようにした。より詳細には、1つの光電変換領域12に対し、オンチップレンズ54およびカラーフィルタ52がX軸方向に2列、Y軸方向に2行、それぞれ配置され、電荷蓄積電極25がX軸方向に4列、Y軸方向に4行、それぞれ配置されている。すなわち本実施の形態では、
図22および
図23に示したように、X軸方向およびY軸方向の双方において隣り合う4個の画素P6が1つの画素群PP6を構成し、1つの光電変換部10を共有している。この点を除き、画素P6の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。
【0111】
[画素P6の作用効果]
本実施の形態の画素P6によれば、上述の構成を有するようにしたので、可視光画像と距離情報を含む赤外光画像とを同時に、面内方向において同じ位置で取得することができる。さらに、各画素P6において、可視光により、X軸方向およびY軸方向における像面位相差情報を取得することができる。
【0112】
また、本実施の形態においても、貫通電極17および読出電極26を、オンチップレンズ54の中心近傍とZ軸方向において重ならない位置に設けるようにしたので、各画素P6における赤外光検出感度を向上させることができる。
【0113】
また、本実施の形態の画素P6を複数配列した場合においても、画素間領域遮光膜43における各開口部分43Kの中心位置を、各画素P5の中心位置からシフトさせるようにしてもよい。画素部100に配置された複数の画素P6の検出特性のばらつきを低減させるため、例えば画素部100の周辺部に配置された画素P6の検出感度低下を避けるためである。その場合、各画素P6の中心位置に対する各開口部分43Kの中心位置のシフト量を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、そのシフト量が非線形に変化するようにするとよい。
【0114】
さらに、隣り合う画素P6同士の間隔を、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって増加させるようにしてもよい。特に、画素部100の中心から画素部100の周辺部に近づくにしたがって、その間隔が非線形に変化するようにするとよい。そのようにすることにより、例えば画素部100に配置された複数の画素P6における、各々の像高に応じた瞳補正を行うことができる。
【0115】
なお、
図23は一例であり、本開示の画素部100に配列された複数の画素P6における貫通電極17の配置位置および読出電極26の配置位置はこれに限定されるものではない。例えば
図24に示したように、隣り合う画素群PP6同士の境界近傍であって、各々のオンチップレンズ54を取り囲むように貫通電極17を配置するようにしてもよい。
図24は、画素部100における複数の画素P6の配列状態の一変形例を模式的に表したものである。
【0116】
<7.第7の実施の形態>
[画素P7の構成]
図25は、第7の実施の形態の撮像素子としての画素P7における断面構成の一例を模式的に表している。画素P7は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pとして適用可能である。
【0117】
本実施の形態の画素P7は、画素P1の構成に加えて、半導体基板11の表面11Aに一対の電荷保持部(MEM)143A,143Bをさらに設けるようにしたものである。MEM143A,143Bは、FD15A,15Bを他画素と共有するため、光電変換領域12において生成されて蓄積された電荷を一時的にその電荷を保持する領域である。この点を除き、画素P7の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。なお、MEM143A,143Bは、表面11Aの側から絶縁膜と電極とが積層された構造を有する。また、この構成以外にも、15A,15Bの浮遊拡散層を除き、TG141A,141Bの隣に電荷保持部143A、143Bを設置し、さらにその隣にFD15A,15Bを設置するといった構造などもとることができる。なお、MEM143A,143Bは、本実施の形態の画素P7以外の、本願明細書において各実施の形態および変形例として示した他の画素のいずれにも適宜適用可能である。
【0118】
[画素P7の作用効果]
本実施の形態の画素P7によれば、光電変換部10がMEM143A,143Bを有するようにしたので、15A,15Bの浮遊拡散層を共有することが可能となり、半導体基板上の撮像素子の設置効率が向上する。例えば、アンプトランジスタの面積を増大させることで、光電変換膜のノイズ特性を向上させることなどが可能となる。画素P7は、その他、上記第1の実施の形態の画素P1と同様の作用効果を有する。
【0119】
<8.第8の実施の形態>
図26は、第8の実施の形態の撮像素子としての画素P8における断面構成の一例を模式的に表している。画素P8は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pとして適用可能である。
【0120】
本実施の形態の画素P8は、上記第1の実施の形態で説明した画素P1の構成に加えて、オンチップレンズ54の入射側、すなわち、オンチップレンズ54から見て有機光電変換部20と反対側に、光学フィルタ61をさらに設けるようにしたものである。ただし、
図26では、1つの光学フィルタ61、1つのオンチップレンズ54、1つの有機光電変換層22、1つの光学フィルタ42、および1つの光電変換領域12につき、互いに異なる色のカラーフィルタ52が複数配列された例を示している。
図26では、便宜上、互いに異なる色のカラーフィルタ52-1およびカラーフィルタ52-2を記載している。この点を除き、画素P8の構成は画素P1の構成と実質的に同じである。なお、画素P8は、
図26に示したものに限定されない。例えば1つの光学フィルタ61につき、1つのカラーフィルタ52を設けるようにしてもよいし、1つの光学フィルタ61につき、オンチップレンズ54、有機光電変換層22、光学フィルタ42、および光電変換領域12を複数設けるようにしてもよい。なお、有機光電変換層22は、いくつかの画素P8に共通に設けられていてもよいし、画素部100における複数の画素P8の全てにおいて共通に設けられていてもよい 。あるいは、一つの光学フィルタ61が、複数の画素P8にまたがるように設けられていてもよい。なお、光学フィルタ61は、上記第1から第7の実施の形態で説明した画素P1~P7およびそれらの各変形例のいずれにおいても適用可能である。
【0121】
図27A~27Cは、画素P8における光学フィルタ61、カラーフィルタ52および光学フィルタ42の各々の光透過率の波長依存性を模式的に表している。具体的には、
図27Aが光学フィルタ61の光透過率分布を表し、
図27Bがカラーフィルタ52の光透過率分布を表し、
図27Cが光学フィルタ42の光透過率分布を表している。さらに、
図27Dは、有機光電変換層22に入射する波長と、有機光電変換層22における入射光に対する感度との関係、および光電変換領域12に入射する波長と、光電変換領域12における入射光に対する感度との関係、をそれぞれ示している。なお、
図27Bでは、赤色のカラーフィルタ52Rの光透過率分布曲線をRで示し、緑色のカラーフィルタ52Gの光透過率分布曲線をGで示し、青色のカラーフィルタ52Bの光透過率分布曲線をBで示している。また、
図27Cでは、光学フィルタ61の光透過率分布を破線で表し、光学フィルタ42の光透過率分布を実線で表している。光学フィルタ61は、いわゆるデュアルバンドパスフィルタであり、可視光域と赤外光域との双方に透過波長域を有し、可視光(例えば400nm以上650nm以下の波長を有する光)と赤外光(例えば800nm以上900nm以下の波長を有する光)の一部とを選択的に透過する光学部材である。入射光のうち、可視光と赤外光の一部とが光学フィルタ61を透過する(
図27A)。光学フィルタ61を透過した光のうち、例えば、青色領域の可視光と赤外光の一部とが青色のカラーフィルタ52Bを透過する(
図27B)。有機光電変換層22を、可視光域の波長の一部または全部を検出し、赤外光域に対する感度を有さないように構成した場合、青色のカラーフィルタ52Bを透過した光のうち、青色領域の可視光は有機光電変換層22で吸収され、青色のカラーフィルタ52Bを透過した光のうち、赤外光の一部は有機光電変換層22を透過する。有機光電変換層22を透過した光のうち、光学フィルタ42を透過した赤外光が光電変換領域12に入射する。赤色のカラーフィルタ52R、緑色のカラーフィルタ52Gについても、同様である。その結果、
図27Dに示したように、有機光電変換層22において可視光情報(R,G,B)が取得され、光電変換領域12において赤外光情報(IR)が取得される。
図27A~27Dに示したように、画素P8によれば、光学フィルタ61とカラーフィルタ52と有機光電変換層22と光学フィルタ42との全てを透過した所定の波長域の赤外光のみが選択的に光電変換領域12に入射し、光電変換されることとなる。
【0122】
なお、
図27A~27Dの特性は一例であり、画素P8に適用可能な光学フィルタの光透過率分布は
図27A~27Dに示したものに限定されない。例えば
図28A~28Dに示した変形例としての光学フィルタ61Aのように、可視光域から赤外光域の一部に至るまで連続した波長域の光を選択的に透過するものであってもよい。具体的には、
図28Aが光学フィルタ61Aの光透過率分布を表し、
図28Bがカラーフィルタ52の光透過率分布を表し、
図28Cが光学フィルタ42の光透過率分布を表している。さらに、
図28Dは、光学フィルタ61Aを用いた場合における、有機光電変換層22に入射する波長と、有機光電変換層22における入射光に対する感度との関係、および光電変換領域12に入射する波長と、光電変換領域12における入射光に対する感度との関係、をそれぞれ示している。
【0123】
<9.第9の実施の形態>
図29は、第9の実施の形態の撮像素子としての画素P9における断面構成の一例を模式的に表している。画素P9は、上記第1の実施の形態の撮像素子としての画素P1と同様、
図1に示した固体撮像装置1における画素部100を構成する画素Pとして適用可能である。
【0124】
本実施の形態の画素P9は、上記第8の実施の形態で説明した画素P8の構成に加えて、有機光電変換部20と光電変換部10との間、より具体的には有機光電変換層22と光学フィルタ42との間にインナーレンズINLをさらに設けるようにしたものである。この点を除き、画素P9の構成は画素P8の構成と実質的に同じである。なお、有機光電変換層22と光学フィルタ42との間にインナーレンズINLを設ける構成は、上記第1から第7の実施の形態で説明した画素P1~P7およびそれらの各変形例のいずれにおいても適用可能である。
【0125】
また、
図30に示した画素P9Aのように、インナーレンズINLの代わりに光導波路WGを設けるようにしてもよい。
図30は、第9の実施の形態の変形例である撮像素子としての画素P9Aの断面構成を表す模式図である。なお、有機光電変換層22と光学フィルタ42との間に光導波路WGを設ける構成は、上記第1から第7の実施の形態で説明した画素P1~P7およびそれらの各変形例のいずれにおいても適用可能である。
【0126】
図31は、複数の画素P9,P9AのXY面内における配列状態の一例を表す模式図である。
図31の(A)~(E)は、それぞれ、
図29および
図30に示したZ軸方向のレベルLv1~Lv5に相当する高さ位置での配列状態を表している。すなわち、
図31の(A)はXY面内におけるオンチップレンズ54の配列状態を表し、
図31の(B)はXY面内におけるカラーフィルタ52の配列状態を表し、
図31の(C)はXY面内における電荷蓄積電極25の配列状態を表し、
図31の(D)はXY面内におけるインナーレンズINLもしくは光導波路WGの配列状態を表し、
図31の(E)はXY面内における光電変換領域12および貫通電極17の配列状態を表している。また、
図31の(B)では、符号PR9,PR9Aは赤色の画素P9,P9Aを表し、符号PG9,PG9Aは緑色の画素P9,P9Aを表し、符号PB9,PB9Aは青色の画素P9,P9Aを表している。なお、
図31の(E)では、貫通電極17を、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって光電変換領域12における4つの角部に配置するようにしたが、貫通電極17の配置位置はこれに限定されない。例えば光電変換領域12における4つの角部の中間の位置に貫通電極17を配置するようにしてもよい。あるいは、隣り合う光電変換領域12同士の境界近傍であって、光電変換領域12における4つの角部と、光電変換領域12における4つの角部の中間の位置との双方に貫通電極17をそれぞれ配置するようにしてもよい。 また、
図31の(E)では、画素間領域遮光膜43を記載したが、本実施の形態およびその変形例である画素P9,P9Aは、画素間領域遮光膜43を有しなくてもよい。
【0127】
本実施の形態およびその変形例の画素P9,9Aでは、インナーレンズINLもしくは光導波路WGを設けるようにしたので、例えばXY面内に広がる裏面11Bに対して傾斜した入射光であっても、画素間領域遮光壁16においてケラレを回避することができ、斜入射特性を改善することができる。
【0128】
さらに、
図32Aおよび
図32Bに示したように、各画素P9において、例えばカラーフィルタ52の中心位置と光電変換領域12の中心位置とをX軸方向およびY軸方向の双方において半分ずつずらすようにしてもよい。その際、併せてインナーレンズINLの配置位置を光電変換領域12の配置位置に応じてシフトさせるとよい。こうすることにより、各光電変換領域12における赤外光の受光感度のばらつきを低減したり、隣り合う画素P9間における混色を抑制したりすることができる。なお、
図32Aおよび
図32Bは、画素部100における複数の画素P9の配列状態の一変形例を模式的に表したものである。
図32Aは、特にオンチップレンズ54と、光電変換領域12と、貫通電極17と、読出電極26との位置関係を表している。
図32Bは、特にオンチップレンズ54と、カラーフィルタ52と、インナーレンズINLと、光電変換領域12との位置関係を表している。インナーレンズINLの代わりに光導波路WGを用いた画素9Aにおいても同様である。さらに、インナーレンズINLや光導波路WGを用いない場合であっても、
図32Aおよび
図32Bに示した態様と同様にしてカラーフィルタ52の中心位置と光電変換領域12の中心位置とをX軸方向およびY軸方向の双方において半分ずつずらすようにしてもよい。なお、本開示の画素部100に配列される複数の画素P9,P9Aにおける貫通電極17の配置位置および読出電極26の配置位置は、
図31および
図32Aに示した配置位置に限定されるものではない。
【0129】
<10.第10の実施の形態>
図33Aおよび
図33Bは、それぞれ、第10の実施の形態としての撮像素子における、貫通電極17の近傍を拡大した縦断面図および水平断面図である。なお、
図33Aは、
図33Bに示したA-A切断線に沿った断面を表している。本実施の形態の構成は、上記第1から第9の実施の形態における画素P1~P9、およびそれらの変形例としての各画素のいずれにも適用可能である。
【0130】
本実施の形態は、XY断面において貫通電極17を取り囲むと共にZ軸方向に延在する金属層18を設けるようにした構成を有する。貫通電極17と金属層18とは、その隙間を埋める絶縁層Z1により電気的に絶縁されている。金属層18は、例えば画素間領域遮光壁16を兼ねていてもよい。金属層18の外側には、絶縁層Z2を介して固定電荷層13が設けられている。
【0131】
貫通電極17は、例えばタングステン(W)などにより形成されている。また、金属層18は、例えばタングステン(W)により形成されている。ただし金属層18には、アルミニウムなどを使用することもできる。絶縁層Z1,Z2は、例えばSiOx(シリコン酸化物)や酸化アルミニウムなどの絶縁材料により形成されている。また、絶縁層Z1の代わりに画素間領域遮光壁16と貫通電極17との間に空隙を設けることで、画素間領域遮光壁16と貫通電極17との絶縁を行うようにしてもよい。同様に、絶縁層Z2の代わりに画素間領域遮光壁16と固定電荷層13との間に空隙を設けることで、画素間領域遮光壁16と固定電荷層13との絶縁を行うようにしてもよい。なお、各構成要素の構成材料は上述のものに限定されない。
【0132】
貫通電極17は、例えば、有機光電変換部20において生じた信号電荷の伝送や、電荷蓄積電極25を駆動させる電圧の伝送を行う伝送経路である。金属層18は画素間領域遮光壁であると共に静電遮蔽膜でもある。金属層18が存在しない場合、固定電荷層13が例えば負の固定電荷を有するときに貫通電極17に正電圧が印加されると、固定電荷層13の機能が損なわれて暗電流の発生を招くことがある。そこで、金属層18を設けて貫通電極17と固定電荷層13とを電気的に遮蔽することで、そのような暗電流の発生を抑制することができる。なお、
図33Bに示した金属層18のうち、貫通電極17を取り囲む部分以外の部分については、遮光性を有する材料であって非導電性を有する材料によって置き換えることもできる。貫通電極17を取り囲む部分がタングステンやアルミニウムなどの金属材料により形成された金属層18であれば、上述の静電遮蔽膜の効果が得られるからである。さらに、静電遮蔽膜として金属層18を設ける場合には、金属層18のうち貫通電極17を取り囲む部分以外の部分は設けなくてもよい。
【0133】
また、貫通電極17の近傍を
図34Aおよび
図34Bに示した構成としてもよい。
図34Aおよび
図34Bに示した構成は、絶縁層Z2を介して金属層18と対向するように配置された固定電荷層13を有さないことを除き、
図33Aおよび
図33Bに示した構成と同じである。金属層18は、画素間領域遮光壁であり、貫通電極の電界を遮蔽し、貫通電極17に印可される電圧の影響が半導体基板11へ及ぶことを防ぐようになっている。さらに、金属層18に適切な電圧を印加することにより、固定電荷層と同様の効果をもたらすこともできる。さらに、
図34Bに示した金属層18のうち、貫通電極17を取り囲む部分以外の部分については、遮光性を有する材料であって非導電性を有する材料によって置き換えることもできる。なお、
図34Aおよび
図34Bに示した構成においても、半導体基板11の裏面11B側の固定電荷層13については設けるようにするとよい。
【0134】
なお、
図33Aおよび
図33Bならびに
図34Aおよび
図34Bにそれぞれ示した本実施の形態の構成、すなわち、XY断面において貫通電極17を取り囲むと共にZ軸方向に延在する金属層18を設けるようにした構成は、上記第1から第9の実施の形態等でそれぞれ示した画素以外にも適用可能である。例えば、
図35に示した、第10の実施の形態の変形例としての画素P10にも適用可能である。画素P10は、読出電極26が例えば画素P10の全体に亘って広がっており、半導体層21および電荷蓄積電極25を有しない。また、
図35の画素P10では、一の光電変換領域12に対しTG141およびFD15などが1つずつ設けられている。さらに、上述したように、画素間領域遮光壁16を兼ねる金属層18を設けるようにしている。これらの点を除き、
図35の画素P10は、
図2Aなどに示した画素P1と実質的に同じ構成を有する。なお、
図35では、画素P10がカラーフィルタ52を有するようにしたが、画素P10ではカラーフィルタ52を設けなくてもよい。また、画素P10において有機光電変換部20および光電変換部10の各々において感度を示す波長域は、それぞれ任意に設定可能である。さらに、有機光電変換部20の有機光電変換層22は、有機物以外の光電変換材料、例えば量子ドットから構成されていてもよい。
【0135】
<11.第11の実施の形態>
図36Aは、本開示の第11の実施の形態に係る光検出システム201の全体構成の一例を表す模式図である。
図36Bは、光検出システム201の回路構成の一例を表す模式図である。光検出システム201は、赤外光L2を発する光源部としての発光装置210と、光電変換素子を有する受光部としての光検出装置220とを備えている。光検出装置220としては、上述した固体撮像装置1を用いることができる。光検出システム201は、さらに、システム制御部230、光源駆動部240、センサ制御部250、光源側光学系260、およびカメラ側光学系270を備えていてもよい。
【0136】
光検出装置220は光L1と光L2とを検出することができる。光L1は、外部からの環境光が被写体(測定対象物)200(
図36A)において反射された光である。光L2は発光装置210において発光されたのち、被写体200に反射された光である。光L1は例えば可視光であり、光L2は例えば赤外光である。光L1は、光検出装置220における有機光電変換部において検出可能であり、光L2は、光検出装置220における光電変換部において検出可能である。光L1から被写体200の画像情報を獲得し、光L2から被写体200と光検出システム201との間の距離情報を獲得することができる。光検出システム201は、例えばスマートフォン等の電子機器や、車などの移動体に搭載することができる。発光装置210は例えば、半導体レーザ、面発光半導体レーザ、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)で構成することができる。発光装置210から発光された光L2の光検出装置220による検出方法としては、例えばiTOF方式を採用することができるが、これに限定されることはない。iTOF方式では、光電変換部は、例えば光飛行時間(Time-of-Flight ;TOF)により被写体200との距離を測定することができる。発光装置210から発光された光L2の光検出装置220による検出方法としては、例えば、ストラクチャード・ライト方式やステレオビジョン方式を採用することもできる。例えばストラクチャード・ライト方式では、あらかじめ定められたパターンの光を被写体200に投影し、そのパターンのひずみ具合を解析することによって光検出システム201と被写体200との距離を測定することができる。また、ステレオビジョン方式においては、例えば2以上のカメラを用い、被写体200を2以上の異なる視点から見た2以上の画像を取得することで光検出システム201と被写体との距離を測定することができる。なお、発光装置210と光検出装置220とは、システム制御部230によって同期制御することができる。
【0137】
<12.電子機器への適用例>
図37は、本技術を適用した電子機器2000の構成例を示すブロック図である。電子機器2000は、例えばカメラとしての機能を有する。
【0138】
電子機器2000は、レンズ群などからなる光学部2001、上述の固体撮像装置1など(以下、固体撮像装置1等という。)が適用される光検出装置2002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路2003を備える。また、電子機器2000は、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006、操作部2007、および電源部2008も備える。DSP回路2003、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006、操作部2007および電源部2008は、バスライン2009を介して相互に接続されている。
【0139】
光学部2001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで光検出装置2002の撮像面上に結像する。光検出装置2002は、光学部2001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0140】
表示部2005は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等のパネル型表示装置からなり、光検出装置2002で撮像された動画または静止画を表示する。記録部2006は、光検出装置2002で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0141】
操作部2007は、ユーザによる操作の下に、電子機器2000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部2008は、DSP回路2003、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006および操作部2007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0142】
上述したように、光検出装置2002として、上述した固体撮像装置1等を用いることで、良好な画像の取得が期待できる。
【0143】
<13.体内情報取得システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0144】
図38は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る、カプセル型内視鏡を用いた患者の体内情報取得システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【0145】
体内情報取得システム10001は、カプセル型内視鏡10100と、外部制御装置10200とから構成される。
【0146】
カプセル型内視鏡10100は、検査時に、患者によって飲み込まれる。カプセル型内視鏡10100は、撮像機能及び無線通信機能を有し、患者から自然排出されるまでの間、胃や腸等の臓器の内部を蠕動運動等によって移動しつつ、当該臓器の内部の画像(以下、体内画像ともいう)を所定の間隔で順次撮像し、その体内画像についての情報を体外の外部制御装置10200に順次無線送信する。
【0147】
外部制御装置10200は、体内情報取得システム10001の動作を統括的に制御する。また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信されてくる体内画像についての情報を受信し、受信した体内画像についての情報に基づいて、表示装置(図示せず)に当該体内画像を表示するための画像データを生成する。
【0148】
体内情報取得システム10001では、このようにして、カプセル型内視鏡10100が飲み込まれてから排出されるまでの間、患者の体内の様子を撮像した体内画像を随時得ることができる。
【0149】
カプセル型内視鏡10100と外部制御装置10200の構成及び機能についてより詳細に説明する。
【0150】
カプセル型内視鏡10100は、カプセル型の筐体10101を有し、その筐体10101内には、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、給電部10115、電源部10116、及び制御部10117が収納されている。
【0151】
光源部10111は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、撮像部10112の撮像視野に対して光を照射する。
【0152】
撮像部10112は、撮像素子、及び当該撮像素子の前段に設けられる複数のレンズからなる光学系から構成される。観察対象である体組織に照射された光の反射光(以下、観察光という)は、当該光学系によって集光され、当該撮像素子に入射する。撮像部10112では、撮像素子において、そこに入射した観察光が光電変換され、その観察光に対応する画像信号が生成される。撮像部10112によって生成された画像信号は、画像処理部10113に提供される。
【0153】
画像処理部10113は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサによって構成され、撮像部10112によって生成された画像信号に対して各種の信号処理を行う。画像処理部10113は、信号処理を施した画像信号を、RAWデータとして無線通信部10114に提供する。
【0154】
無線通信部10114は、画像処理部10113によって信号処理が施された画像信号に対して変調処理等の所定の処理を行い、その画像信号を、アンテナ10114Aを介して外部制御装置10200に送信する。また、無線通信部10114は、外部制御装置10200から、カプセル型内視鏡10100の駆動制御に関する制御信号を、アンテナ10114Aを介して受信する。無線通信部10114は、外部制御装置10200から受信した制御信号を制御部10117に提供する。
【0155】
給電部10115は、受電用のアンテナコイル、当該アンテナコイルに発生した電流から電力を再生する電力再生回路、及び昇圧回路等から構成される。給電部10115では、いわゆる非接触充電の原理を用いて電力が生成される。
【0156】
電源部10116は、二次電池によって構成され、給電部10115によって生成された電力を蓄電する。
図38では、図面が煩雑になることを避けるために、電源部10116からの電力の供給先を示す矢印等の図示を省略しているが、電源部10116に蓄電された電力は、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び制御部10117に供給され、これらの駆動に用いられ得る。
【0157】
制御部10117は、CPU等のプロセッサによって構成され、光源部10111、撮像部10112、画像処理部10113、無線通信部10114、及び、給電部10115の駆動を、外部制御装置10200から送信される制御信号に従って適宜制御する。
【0158】
外部制御装置10200は、CPU、GPU等のプロセッサ、又はプロセッサとメモリ等の記憶素子が混載されたマイクロコンピュータ若しくは制御基板等で構成される。外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100の制御部10117に対して制御信号を、アンテナ10200Aを介して送信することにより、カプセル型内視鏡10100の動作を制御する。カプセル型内視鏡10100では、例えば、外部制御装置10200からの制御信号により、光源部10111における観察対象に対する光の照射条件が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、撮像条件(例えば、撮像部10112におけるフレームレート、露出値等)が変更され得る。また、外部制御装置10200からの制御信号により、画像処理部10113における処理の内容や、無線通信部10114が画像信号を送信する条件(例えば、送信間隔、送信画像数等)が変更されてもよい。
【0159】
また、外部制御装置10200は、カプセル型内視鏡10100から送信される画像信号に対して、各種の画像処理を施し、撮像された体内画像を表示装置に表示するための画像データを生成する。当該画像処理としては、例えば現像処理(デモザイク処理)、高画質化処理(帯域強調処理、超解像処理、NR(Noise reduction)処理及び/又は手ブレ補正処理等)、並びに/又は拡大処理(電子ズーム処理)等、各種の信号処理を行うことができる。外部制御装置10200は、表示装置の駆動を制御して、生成した画像データに基づいて撮像された体内画像を表示させる。あるいは、外部制御装置10200は、生成した画像データを記録装置(図示せず)に記録させたり、印刷装置(図示せず)に印刷出力させてもよい。
【0160】
以上、本開示に係る技術が適用され得る体内情報取得システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば撮像部10112に適用することができる。このため、小型でありながら高い画像検出精度が得られる。
【0161】
<14.内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0162】
図39は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0163】
図39では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0164】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0165】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0166】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0167】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0168】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0169】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0170】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0171】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0172】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0173】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0174】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0175】
図40は、
図39に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0176】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0177】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0178】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0179】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0180】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0181】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0182】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0183】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0184】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0185】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0186】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0187】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0188】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0189】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0190】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0191】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0192】
以上、本開示に係る技術が適用され得る内視鏡手術システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えばカメラヘッド11102の撮像部11402に適用され得る。撮像部10402に本開示に係る技術を適用することにより、より鮮明な術部画像を得ることができるため、術者における術部の視認性が向上する。
【0193】
なお、ここでは、一例として内視鏡手術システムについて説明したが、本開示に係る技術は、その他、例えば、顕微鏡手術システム等に適用されてもよい。
【0194】
<15.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0195】
図41は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0196】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図35に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0197】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0198】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0199】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0200】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0201】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0202】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0203】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0204】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0205】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図41の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0206】
図42は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0207】
図42では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0208】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0209】
なお、
図42には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0210】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0211】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0212】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0213】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0214】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031に適用され得る。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、より見やすい撮影画像を得ることができるため、ドライバの疲労を軽減することが可能になる。
【0215】
<16.その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびにそれらの適用例もしくは応用例(以下、実施の形態等という。)を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば本開示は、裏面照射型イメージセンサに限定されるものではなく、表面照射型イメージセンサにも適用可能である。
【0216】
また、本開示の撮像装置は、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされたモジュールの形態をなしていてもよい。
【0217】
さらに、上記実施の形態等では、光学レンズ系を介して撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する固体撮像装置、およびそれに搭載される撮像素子を例示して説明するようにしたが、本開示の光電変換素子は、そのような撮像素子に限定されるものではない。例えば被写体からの光を検出して受光し、受光量に応じた電荷を光電変換により生成し、蓄積するものであればよい。出力される信号は画像情報の信号でもよいし、測距情報の信号でもよい。
【0218】
また、上記実施の形態等では、第2の光電変換部としての光電変換部10がiTOFセンサである場合を例示して説明するようにしたが、本開示はこれに限定されない。すなわち、第2の光電変換部は、赤外光域の波長を有する光を検出するものに限定されず、他の波長域の波長光を検出するものであってもよい。また、光電変換部10がiTOFセンサではない場合、転送トランジスタ(TG)は1つのみ設けるようにしてもよい。
【0219】
さらに、上記実施の形態等では、本開示の光電変換素子として、光電変換領域12を含む光電変換部10と、有機光電変換層22を含む有機光電変換部20とが中間層40を挟んで積層された撮像素子を例示するようにしが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、本開示の光電変換素子は、2つの有機光電変換領域が積層された構造を有するものであってもよいし、2つの無機光電変換領域が積層された構造を有するものであってもよい。また、上記実施の形態等では、光電変換部10において主に赤外光域の波長光を検出して光電変換を行うと共に、有機光電変換部20において主に可視光領域の波長光を検出して光電変換を行うようにしたが、本開示の光電変換素子はこれに限定されるものではない。本開示の光電変換素子では、第1の光電変換部および第2の光電変換部において感度を示す波長域は任意に設定可能である。
【0220】
また、本開示の光電変換素子の各構成要素の構成材料は、上記実施の形態等において挙げた材料に限定されるものではない。例えば第1の光電変換部もしくは第2の光電変換部が可視光領域の光を受光して光電変換を行う場合には、第1の光電変換部もしくは第2の光電変換部が量子ドットを含むようにしてもよい。
【0221】
また、上記第5の実施の形態では、Z軸方向における有機光電変換部20とオンチップレンズ54との間に、画素間領域遮光膜56を設けるようにしたが、第5の実施の形態以外の上述した各実施の形態および各変形例においても同様に画素間領域遮光膜56を設けるようにしてもよい。
【0222】
また、上記実施の形態等では、一の第2の光電変換層に対し、一対のゲート電極と、第2の光電変換層から一対のゲート電極をそれぞれ経由して到達する電荷を蓄積する一対の電荷保持部と、を含む場合を例示して説明するようにしたが、本開示はこれに限定されない。一の第2の光電変換層に対し、一のゲート電極および一の電荷保持部を設けるようにしてもよい。あるいは、一の第2の光電変換層に対し、3以上のゲート電極および3以上の電荷保持部を設けるようにしてもよい。また、本開示では、第2の光電変換層の電荷を読み出すトランジスタとしては、いわゆる縦型トランジスタに限定されるものではなく、プレーナー型トランジスタであってもよい。
【0223】
本開示の一実施形態としての光電変換素子によれば、上記の構成により、例えば高画質の可視光画像情報と、距離情報を含む赤外光画像情報とを取得できる。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む
光電変換素子。
(2)
前記第2の光電変換部は、対象物の距離情報を取得可能である
上記(1)記載の光電変換素子。
(3)
前記第2の光電変換部は、第2の光電変換層と、一対のゲート電極と、前記第2の光電変換層から前記一対のゲート電極をそれぞれ経由して到達する電荷を蓄積する一対の電荷保持部と、を含む
上記(1)または(2)記載の光電変換素子。
(4)
1つの前記第2の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられている
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の光電変換素子。
(5)
前記1つの第2の光電変換部に対応して1つの前記光学フィルタが設けられ、
前記1つの第2の光電変換部に対応して1つの前記第1の光電変換部が設けられている
上記(4)記載の光電変換素子。
(6)
1つの前記第1の光電変換部に対応して複数の前記電荷蓄積電極が設けられている
上記(1)から(5)のいずれか1つに記載の光電変換素子。
(7)
前記第2の光電変換部と対応する位置に複数の開口部分を含む画素間領域遮光膜を、前記第2の光電変換部の入射側にさらに有する
上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の光電変換素子。
(8)
前記電荷蓄積電極に蓄積される電荷を、前記第1の光電変換部から見て前記第2の光電変換部と反対側に取り出す貫通電極をさらに有する
上記(1)から(7)のいずれか1つに記載の光電変換素子。
(9)
前記貫通電極を、絶縁層を介して取り囲む金属層をさらに有する
上記(8)記載の光電変換素子。
(10)
前記半導体基板は、前記第1の光電変換部と対向する第1の面、および前記第1の面と反対側の第2の面を含み、
前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方に凹凸構造が形成されている
上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の光電変換素子。
(11)
前記第1の光電変換層における前記積層構造は、前記第1の電極と前記第1の光電変換層との間に設けられた半導体層をさらに含む
上記(1)から(10)のいずれか1つに記載の光電変換素子。
(12)
複数の光電変換素子を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む
光検出装置。
(13)
前記第1の光電変換部と前記第2の光電変換部との間に位置すると共に、隣り合う前記光電変換素子同士の間の領域に設けられた遮光膜をさらに備える
上記(12)記載の光検出装置。
(14)
赤外光を発する発光装置と、
光電変換素子を有する光検出装置と
を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、外部からの可視光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、前記発光装置からの前記赤外光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む
光検出システム。
(15)
光学部と、信号処理部と、光電変換素子を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、可視光域を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、赤外光域を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む
電子機器。
(16)
可視光域に含まれる第1の光および赤外光域に含まれる第2の光を発する発光装置と、
光電変換素子を含む光検出装置とを有する光検出システムを備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記第1の光を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、前記第2の光を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む
移動体。
(17)
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記半導体基板側から、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造を有し、第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の電極と電気的に接続され、前記第1の光電変換層で生じた電荷を、前記第1の光電変換部から見て、前記半導体基板の反対側に取り出す貫通電極と、
前記貫通電極を、絶縁層を介して取り囲む金属層と
を有する光電変換素子。
(18)
前記金属層は、前記積層構造が積層された積層方向と直交する面内において前記第2の光電変換部を取り囲むように設けられている
上記(17)記載の光電変換素子。
(19)
可視光域に含まれる第1の光および赤外光域に含まれる第2の光を発する発光装置と、
光電変換素子を含む光検出装置とを有する光検出システムを備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記第1の光を含む第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、前記第2の光を含む第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の光電変換部の、前記第2の光電変換部と反対側に設けられ、所定の波長域に含まれる所定の色成分の光を透過する光学フィルタと
を有し、
前記第1の光電変換部は、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造と、前記第1の電極と離間して配置されると共に絶縁層を介して前記第1の光電変換層と対向して配置された電荷蓄積電極とを含む
電子機器。
(20)
光学部と、信号処理部と、光電変換素子を備え、
前記光電変換素子は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に設けられ、前記半導体基板側から、第1の電極、第1の光電変換層、および第2の電極が順に積層された積層構造を有し、第1の波長域の光を検出して光電変換を行う第1の光電変換部と、
前記半導体基板内のうち前記半導体基板の厚さ方向において前記第1の光電変換部と重なる位置に設けられ、第2の波長域の光を検出して光電変換を行う第2の光電変換部と、
前記第1の電極と電気的に接続され、前記第1の光電変換層で生じた電荷を、前記第1の光電変換部から見て、前記半導体基板の反対側に取り出す貫通電極と、
前記貫通電極を、絶縁層を介して取り囲む金属層と
を有する
電子機器。
【0224】
本出願は、米国特許商標庁において2019年6月21日に仮出願された米国仮出願番号62/864907号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0225】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。