(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】電池製造の方法及び該方法によって得られる電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240722BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240722BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20240722BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20240722BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240722BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240722BHJP
H01M 50/122 20210101ALI20240722BHJP
H01M 50/195 20210101ALI20240722BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/186
H01M50/193
H01M50/562
H01M50/103
H01M50/121
H01M50/122
H01M50/195
(21)【出願番号】P 2021532459
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 FR2019000220
(87)【国際公開番号】W WO2020136313
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514110783
【氏名又は名称】アイ テン
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン, ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】カンタン, フレデリク
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534592(JP,A)
【文献】米国特許第08877388(US,B1)
【文献】特開2012-142095(JP,A)
【文献】特開2007-048647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 50/10
H01M 50/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互に互いに上下に配置された少なくとも1つのアノード(3)及び少なくとも1つのカソード(1)を含む電池(100)であって、
前記電池(100)は、アノード接続領域、及び前記アノード接続領域と横方向に反対のカソード接続領域を含む側部縁部(101、102)と、長手部縁部(103、104)とを含み、
前記電池が、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの少なくとも1つの層、及び少なくとも1つのカソード層を続けて含むように、
前記アノード(3)は、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのアノード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、並びに
前記カソード(1)は、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのカソード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
それぞれの前記アノード及びそれぞれの前記カソードは、いずれの電極材料、及び集電体基板もない空間(113、133)によって各2次本体(112、132)から隔てられた各主本体(111、131)を含み、前記空間は前記電池の対向する前記長手部縁部(103、104)を接続する、電池(100)。
【請求項2】
前記空間は、いかなる材料も含まない、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記空間は、空の空間である、請求項1に記載の電池。
【請求項4】
前記空間は、絶縁材料を含まない、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記空間の幅は、前記2次本体の幅よりも小さい、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記カソードの前記空間は、平面視で重なっている、請求項1
~5のいずれか1項に記載の電池。
【請求項7】
前記アノードの前記空間は、平面視で重なっている、請求項1
~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記カソード及び前記アノードの前記空間は、平面視で一致していない、請求項1~
7のいずれか1項に記載の電池。
【請求項9】
前記空間とは反対の、それぞれ前記カソード及び前記アノードの前記2次本体における自由面(112’、132’)は、それぞれ前記アノード及び前記カソードの前記主本体の自由面(131’、111’)と面一となる、請求項1~
8のいずれか1項に記載の電池。
【請求項10】
前記電池は、前記電池の6面のうちの4面を完全に覆う封入システムを含み、残りの2
面はアノード接続領域及びカソード接続領域を含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載
の電池。
【請求項11】
前記封入システムは、
- 前記電池に堆積される、パリレン、タイプFパリレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの第1被覆層、
- 前記少なくとも1つの第1被覆層に原子層を堆積させることで堆積される、電気絶縁材料から構成される少なくとも1つの第2被覆層を含み、
少なくとも1つの第1被覆層と少なくとも1つの第2被覆層とのこのシーケンスはz回繰り返すことができ、z≧1である、請求項
10に記載の電池。
【請求項12】
前記アノード接続領域及び前記カソード接続領域は、終端システムで覆われる、請求項1~
11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記終端システムは、
- グラファイトで充填した材料に基づく、第1層、
- 前記終端システムの前記第1層に配置された、金属銅の第2緻密層、及び
- 任意で、前記第2層に配置された、スズのスズ-亜鉛合金に基づく第3層、
- 任意で、前記終端システムの前記第3層に配置された、スズに基づく、又は銀、パラジウム及び銅の合金に基づく第4層を続けて含む、請求項
12に記載の電池。
【請求項14】
前記空間の幅(L113)は0.01mm~0.5mmである、請求項1~
13のいずれか1項に記載の電池。
【請求項15】
前記2次本体の幅(L112)は0.05mm~2mmである、請求項1~
14のいずれか1項に記載の電池。
【請求項16】
電池を製造するための方法であって、
前記電池は、交互に互いに上下に配置された少なくとも1つのアノード(3)及び少なくとも1つのカソード(1)を含み、該電池(100)は、長手部縁部(103、104)及び側部縁部(101、102)を含み、
前記電池が、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの少なくとも1つの層、及び少なくとも1つのカソード層を続けて含むように、
前記アノード(3)は、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのアノード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
前記カソードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのカソード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
それぞれの前記アノード(3)は、前記電池の第1側部縁部の近傍に位置するアノード接続領域を含み、それぞれの前記カソード(1)は、前記第1
側部縁部とは反対の前記電池の第2側部縁部に位置するカソード接続領域を含み、
前記製造の方法は、
(a) 交互のシートのスタック(1)を準備することであって、このスタックは、それぞれが複数の電池のアノード層を形成するために用いられる第1シート又はアノードシートと、それぞれが複数の電池のカソード層を形成するために用いられる第2シート又はカソードシートとを含み、
それぞれの前記アノードシートは少なくとも1つのアノードスロット(34)を含み、それぞれの前記カソードシートは少なくとも1つのカソードスロット(14)を含み、それぞれアノード及びカソードの前記スロットは、前記電池の前記長手部縁部(103、104)を画定するために用いられる、少なくとも部分的に重なった2つの長手部部分(16、36)と、前記2つの長手部部分を接続する側部部分(18、38)とを含み、前記アノードスロットの前記側部部分(38)及び前記カソードスロットの前記側部部分(18)は互いにオフセットされ、前記スロットのそれぞれの前記側部部分は、いずれの電極材料、及び集電体基板もない空間を画定し、前記空間は、それぞれの前記アノード及びそれぞれの前記カソードにおいて、2次本体から主本体を隔てること、
(b) これまでに得られた前記交互のシートのスタックの熱処理及び/又は機械的圧縮を行うこと、
(c) 前記スロット内に少なくとも部分的に延びる2つの切り抜き(Dn、D’n)を作製することであって、第1切り抜きは前記アノードスロットの前記側部部分と前記長手部部分の対向端部との間において延び、第2切り抜きは前記カソードスロットの前記側部部分と前記長手部部分の対向端部との間において延びることを含む、方法。
【請求項17】
ステップ(c)の後、切り抜いた前記スタックは、
- 前記電池において、パリレン、タイプFパリレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの第1被覆層、
- 前記少なくとも1つの第1被覆層に原子層を堆積させることで堆積される、電気絶縁材料から構成される少なくとも1つの第2被覆層、を堆積させることによって封入され、
少なくとも1つの第1被覆層と少なくとも1つの第2被覆層とのシーケンスはz回繰り返すことができ、z≧1である、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
切り抜いた前記スタックを封入するステップ(d)の後、切り抜いて封入した前記スタックに、リチウム塩を含有する液体電解質又はイオン性液体などのリチウムイオンを有する相によって、含浸する、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記電池の終端システムは、
- グラファイトで充填した材料に基づく、第1層、
- 前記終端システムの前記第1層に配置された、金属銅の第2緻密層、及び
- 任意で、前記終端システムの前記第2層に配置された、スズのスズ-亜鉛合金に基づく第3層、
- 任意で、前記終端システムの前記第3層に配置された、スズに基づく、又は銀、パラジウム及び銅の合金に基づく第4層を続けて堆積させることによって作製される、請求項
17又は
18に記載の方法。
【請求項20】
前記2つの切り抜き(Dn、D’n)は、前記アノード及び前記カソードの少なくとも大多数を通って、特に前記アノード及び前記カソードのすべてを通って作製される、請求項
16~
19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
それぞれの前記切り抜きと前記長手部部分の前記対向端部との間の距離は同一である、請求項
20に記載の方法。
【請求項22】
前記距離は0.05mm~2mmである、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
それぞれの前記スロットは略H字形状を有し、前記長手部部分は前記H字の垂直の主凹部を形成し、前記側部部分は前記H字のチャネルを形成する、請求項
16~
22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記側部部分の幅は0.05mm~2mmである、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記スタックに属するそれぞれの前記シートは、互いに横に配置された複数のスロットの行を含み、前記2つの切り抜きは、同じ行におけるすべての前記スロットを通ってなされる、請求項
16~
24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
それぞれの前記シートは、互いに上下に配置された複数のスロットの列を含む、請求項
16~
25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
隣り合う行に形成される隣接する切り抜きを隔てる距離は、0.05mm~5mmである、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
行の数は10~500であり、列の数は10~500である、請求項
26又は
27に記載の方法。
【請求項29】
それぞれの前記切り抜きは、ソーイング方法、スエージング切断方法、ギロチン、又はレーザーによってなされる、請求項
16~
28のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池の製造に関する。本発明は特にリチウムイオン電池に適用可能である。本発明は、電池、特にリチウムイオン電池を製造するための新規方法に関する。また、本発明は、寿命を向上させる新規構成を有する、本方法によって得られる電池に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体電池又は液体電解質を含浸させた電池などの高エネルギー密度及び高出力密度を備えた充電式電池の製造効率を高めるため、電解質層で事前にコーティングしたアノードシート及びカソードシートを交互に重ね合わせることで、複数の電池を共に製造することが行われ得る。
【0003】
特許文献1(I/TEN)は、電解質層で覆った電極層で続けて覆われた導電性基板を含むシートを記載している。これらのシートは、堆積前又は後に、パターン状に、特にU字形状に切断される。これらのシートは、複数の基本セルのスタックをなすように、交互に積み重ねられる。アノード及びカソードの切断パターンは、カソード及びアノードの層のスタックが横方向にオフセットされるように、「反対向き」の構成に配置される。この文献は、積み重ねステップの後、スタック及びスタック内に存在する空孔に、約10ミクロン厚の層且つコンフォーマルな、典型的にはポリマー層で封入システムを堆積させることを教示している。これにより、まず切断平面における構造の剛性を確保し、そして次に大気に対する電池セルの保護を確実にすることができる。スタックは、製造し、剛性構造に封入されると、電池のカソード及びアノード接続部の切断平面のそれぞれを露出させるように、単一の電池を得るために切断平面に沿って切断される。そうした切断時に、封入システムが裂けて、電池の不透過性がなくなり得るということが起こり得る。また、これらのカソード及びアノード接続部が可視される部分において終端部(すなわち、電気的接触部)を追加することも知られている。
【0004】
この先行技術は、ここで、特許文献1に記載されるリチウムイオン電池構造を示す
図12に関してさらに詳細に説明される。電池200は、交互に互いに上下に配置された複数のアノード230及び複数のカソード210を含む。各アノード及び各カソードは、アノード層及びカソード層としてそれぞれ呼ばれる、各アノード活性材料又は各カソード活性材料の層を含む。さらに、
図12に示さない電解質材料の層は、電解質材料が2つの対向する活性材料を分離するように、アノードとカソードとの間に設けられる。これらを構成する種々の層の厚みは、通常10μmを超えず、多くの場合1μm~4μmである。電池は、第1側部縁部201に、互いに上下に配置されたアノード接続部230’を有する。さらに、反対の側部縁部202に、互いに上下に配置されたカソード接続部210’が設けられる。アノード230とカソード210とのスタックは横方向にオフセットしている。カソード接続部210’は、アノードの自由面230”に対して突出するように配置される。同様に、反対の縁部201において、カソードの自由面210”は、アノード接続部230’が後に堆積されるアノードの自由面に対して引っ込むように配置される。
【0005】
しかしながら、この既知の解決手段にはある難点がある。これは、電極の位置、特に多層電池における電極の縁部の近接性及び切断部の良好性に対応して、典型的に激しいショートの形態で端部に漏れ電流が認められ得るためである。これは、電池周囲並びにカソード及びアノード接続部の近傍に封入システムを使用するにもかかわらず、電池の性能を低下させる。さらに、電池において、特に、電池縁部における電極の横方向オフセットによってもたらされる空間における電池の縁部において、封入システムが不十分に堆積されることがある。
【0006】
さらに、それぞれアノード及びカソードの終端部がそれぞれカソード及びアノードの隣接する層から引っ込んで位置するので、大きい寸法の切り抜きを行う必要がある。そうした切り抜きは、絶縁材料によって充填する必要がある。その大きな寸法からすると、この切り抜きは、電池を適切に製造する際、有用な材料を実質的に損失させることになる。さらに、スタック内に存在する空孔に大きな厚みの絶縁体を堆積させることが必要になる。切断時に、厚い層として堆積した封入システムが離層しやすいので、厚みのある絶縁体は電池封入システム全体を脆弱にするリスクがある。
【0007】
つまり、先行技術にかかる構成は技術的且つ経済的な難点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述の先行技術におけるいくつかの難点を克服することを少なくとも部分的に目的とする。
【0010】
本発明は、特に、高エネルギー密度及び高出力密度を備えた充電式電池の製造効率を高めること、及びより低いコストでより効果的な封入を行うことを目的とする。
【0011】
本発明は、特に、ショートのリスクを下げ、自然放電の少ない電池を製造することを可能にする方法を提示することを目的とする。
【0012】
本発明は、特に、簡単、確実、及び迅速な手法で、極めて長寿命の電池を製造することを可能にする方法を提示することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、先行技術よりも優れた特性の切断ステップを使用するそうした方法を提示することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、最終電池の製造時になされる、封入段階及び封入自体を改善することができるそうした方法を提示することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、材料の損失を少なくする電池の製造のための方法を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下に提示するような本発明にかかる態様の少なくとも1つによって、上述の目的の少なくとも1つが達成される。本発明は、第1の態様として、交互に互いに上下に配置された少なくとも1つのアノード及び少なくとも1つのカソードを含む電池であって、該電池は、アノード接続領域、及び好ましくはアノード接続領域と横方向に反対のカソード接続領域を含む側部縁部と、長手部縁部とを含み、
電池が、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの少なくとも1つの層、及び少なくとも1つのカソード層を続けて含むように、
アノードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのアノード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
カソードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのカソード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
それぞれのアノード及びそれぞれのカソードは、各2次本体から隔てられた各主本体を含み、主本体及び2次本体は、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間によって隔てられ、そのような自由空間は電池の対向する長手部縁部を接続する、すなわち自由空間は電池の対向する長手部縁部同士の間に延びる、電池、を提示する。
【0017】
本発明は、第2の態様として、交互に互いに上下に配置された少なくとも1つのアノード及び少なくとも1つのカソードを含む電池であって、該電池は、アノード接続領域、及び好ましくはアノード接続領域と横方向に反対のカソード接続領域を含む側部縁部と、長手部縁部とを含み、
電池が、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの少なくとも1つの層、及び少なくとも1つのカソード層を続けて含むように、
アノードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのアノード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
カソードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのカソード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
それぞれのアノード及びそれぞれのカソードは、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間によって各2次本体から隔てられた各主本体を含み、そのような自由空間は電池の対向する長手部縁部を接続する、すなわち自由空間は電池の対向する長手部縁部同士の間に延びる、電池、を提示する。
【0018】
有利には、電池は、電池の6面のうちの4面を完全に覆う封入システムを含み、残りの2面はアノード接続領域及びカソード接続領域を含む。
【0019】
有利には、封入システムは、
- 電池に堆積される、好ましくはパリレン、タイプFパリレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの第1被覆層、
- 少なくとも1つの第1被覆層に原子層を堆積させることで堆積される、電気絶縁材料から構成される少なくとも1つの第2被覆層、を含み、
少なくとも1つの第1被覆層と少なくとも1つの第2被覆層とのこのシーケンスはz回繰り返すことができ、z≧1である。
【0020】
有利には、アノード接続領域及びカソード接続領域は、終端システムで覆われる。
【0021】
有利には、終端システムは、
- グラファイトで充填した材料の、好ましくはグラファイトで充填したエポキシ樹脂に基づく、第1層、
- 終端システムの第1層に配置された、金属銅の第2緻密層、及び
- 任意で、第2層に配置された、スズのスズ-亜鉛合金に基づく第3層、
- 任意で、終端システムの第3層に配置された、スズに基づく、又は銀、パラジウム及び銅の合金に基づく第4層を続けて含む。
【0022】
有利には、自由空間の幅は0.01mm~0.5mmである。
【0023】
有利には、2次本体の幅は0.05mm~2mmである。
【0024】
有利には、カソードの自由空間は、平面視で重なっている。
【0025】
有利には、アノードの自由空間は、平面視で重なっている。
【0026】
有利には、カソード及びアノードの自由空間は、平面視で一致していない。
【0027】
本発明の他の態様は、電池を製造するための方法であって、該電池は、交互に互いに上下に配置された少なくとも1つのアノード及び少なくとも1つのカソードを含み、該電池は、長手部縁部と側部縁部とを含み、
電池が、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの少なくとも1つの層、及び少なくとも1つのカソード層を続けて含むように、
アノードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのカソード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
カソードは、
- 集電体基板、
- 少なくとも1つのカソード層、及び
- 任意で、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレーターの層、を含み、
それぞれのアノードは、電池の第1側部縁部の近傍に位置するアノード接続領域を含み、それぞれのカソードは、第1縁部とは反対の電池の第2側部縁部に位置するカソード接続領域を含み、
製造の方法は、
(a) 交互のシートのスタックを準備することであって、このスタックは、それぞれが複数の電池のアノード層を形成するために用いられる第1シート又はアノードシートと、それぞれが複数の電池のカソード層を形成するために用いられる第2シート又はカソードシートとを含み、
それぞれのアノードシートは少なくとも1つのアノードスロットを含み、それぞれのカソードシートは少なくとも1つのカソードスロットを含み、それぞれアノード及びカソードのスロットは、電池の長手部縁部を画定するために用いられる、少なくとも部分的に重なった2つの長手部部分と、2つの長手部部分を接続する側部部分、すなわち、スロットの2つの長手部部分の間に延びる側部部分とを含み、アノードスロットの側部部分及びカソードスロットの側部部分は互いにオフセットされ、スロットのそれぞれの側部部分は、いずれの電極材料、電解質、及び集電体基板もない空間を画定し、そのような自由空間は、それぞれのアノード及びそれぞれのカソードにおいて、2次本体から主本体を隔てる、すなわち、2次本体に対して主本体を隔てること、
(b) これまでに得られた交互のシートのスタックの熱処理及び/又は機械的圧縮を行うこと、
(c) スロット内に少なくとも部分的に延びる2つの切り抜きを作製することであって、第1切り抜きはアノードスロットの側部部分と長手部部分の対向端部との間において延び、第2切り抜きはカソードスロットの側部部分と長手部部分の対向端部との間において延びること、を含む。
【0028】
有利には、ステップ(c)の後、切り抜いたスタックは、
- 電池に堆積される、好ましくはパリレン、タイプFパリレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ、及び/又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1つの第1被覆層、
- 少なくとも1つの第1被覆層に原子層を堆積させることで堆積される、電気絶縁材料から構成される少なくとも1つの第2被覆層、を堆積させることで封入し、
少なくとも1つの第1被覆層と少なくとも1つの第2被覆層とのこのシーケンスはz回繰り返すことができ、z≧1である。
【0029】
有利には、切り抜いたスタックを封入するステップ(d)の後、切り抜いて封入したスタックに、リチウム塩を含有する液体電解質又はイオン性液体などのリチウムイオンを有する相によって、含浸する。
【0030】
有利には、電池の終端システムは、
- グラファイトで充填した材料の、好ましくはグラファイトで充填したエポキシ樹脂に基づく、第1層、
- 終端システムの第1層に配置された、金属銅の第2緻密層、及び
- 任意で、終端システムの第2層に配置された、スズのスズ-亜鉛合金に基づく第3層、
- 任意で、終端システムの第3層に配置された、スズに基づく、又は銀、パラジウム及び銅の合金に基づく第4層を続けて堆積させることによって作製される。
【0031】
有利には、2つの切り抜きは、アノード及びカソードの少なくとも大多数を通って、特にアノード及びカソードのすべてを通って作製される。
【0032】
有利には、それぞれの切り抜きと長手部部分の対向端部との間の距離は同一である。有利には、距離は0.05mm~2mmである。
【0033】
有利には、それぞれのスロットは略H字形状を有し、長手部部分はH字の垂直の主凹部を形成し、側部部分はH字のチャネルを形成する。
【0034】
有利には、スロットのそれぞれの側部部分は、電池における対向する長手部縁部同士の間を接続又は延出する、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間を画定し、そのような自由空間は、それぞれのアノード及びそれぞれのカソードにおいて、2次本体から主本体を隔てる。
【0035】
有利には、スロットの側部部分の幅は0.05mm~2mmである。
【0036】
有利には、スタックに属するそれぞれのシートは、互いに横に配置された複数のスロットの行を含む。有利には、2つの切り抜きは同じ行におけるすべてのスロットを通ってなされる。
【0037】
有利には、それぞれのシートは、互いに上下に配置された複数のスロットの列を含む。
【0038】
有利には、隣り合う行に設けられる隣接する切り抜きを隔てる距離は、0.05mm~5mmである。
【0039】
有利には、行の数は10~500であり、列の数は10~500である。
【0040】
有利には、それぞれの切り抜きは、ソーイング方法、スエージング方法、ギロチン、又はレーザーによって作製される。
【0041】
非限定的な例として提示される添付の図面は、本発明の種々の態様及び実施形態を示す。
図12は先行技術にかかる電池を示す。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、本発明における電池製造方法に従ってスタックを形成するために用いられるアノードシート及びカソードシートの斜視図である。
【
図3】
図3は、隣接するシートに形成されるH字形状スロットを示す、拡大した正面図である。
【
図4】
図4は、隣接するシートに形成されるこれらのH字形状スロットを示す、これも拡大した斜視図である。
【
図5】
図5は、先の図面におけるスタックに形成される種々のスロットに行われる切断ステップを示す、平面図である。
【
図6】
図6は、H字形状スロットに形成される切り抜きを拡大して示す、平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示すVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、特に先の図面の方法にしたがって得られる、本発明にかかる電池を示す平面図である。
【
図10】
図10は、特に先の図面の方法にしたがって得られる、本発明にかかる電池を示す正面図である。
【
図11】
図11は、特に先の図面の方法にしたがって得られる、本発明にかかる電池を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、先行技術にかかる電池を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2変形例におけるアノードシート又はカソードシートに形成される種々のH字形状スロットに行われる切断ステップを示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2変形例におけるH字形状スロットに形成される切り抜きを拡大して示す、平面図である。
【
図15】
図15は、特に本発明の第2変形例において得られる、本発明にかかる電池を示す斜視図である。
【0043】
以下の参照符号は、これらの図面及び以下の記載に使用される。
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明にかかる方法は、まずステップを含み、交互のシートのスタックIにおいて、該シートが場合に応じて以下で「アノードシート」及び「カソードシート」と呼ばれる。さらに詳細に理解されるように、各アノードシートは複数の電池のアノードを形成するために用いられ、各カソードシートは複数の電池のアノードを形成するために用いられる。
図1に示す例において、5つのカソードシート1と、5つのアノードシート3とを示す。実際には、このスタックはより大きい数のシート、典型的には10~1,000のシートによって形成される。有利な実施形態において、これらすべてのシートはその4つの端部に穿孔2を有し、これらの穿孔2が重なるとき、これらのシートのすべてのカソードとすべてのアノードが、以下にさらに詳細に説明するように、厳密に配置される(
図1及び2参照)。シートの4つの端部におけるこれらの穿孔2は、特に、製造後のアノードシート及びカソードシート、又は、電解質層若しくはセパレーターが反対の極性の2つのシートの間、すなわちアノードシートとカソードシートとの間に設けられるように、該電解質層で覆った、若しくは該セパレーターで覆ったアノードシート及び/若しくはカソードシートに、任意の適切な手段で作製することができる。
【0045】
既知のタイプのものであり得る各アノードシート又はカソードシートの物理的構造及び化学的構造は、本発明の一部をなすものではなく、単に簡潔に記載する。それぞれ各アノードシート及びカソードシートはそれぞれ活性アノード層及び活性カソード層を含む。これらの活性層のそれぞれは固体、すなわち緻密性又は多孔性とすることができる。さらに、2つの隣接するシート間の任意の電気的接触を防ぐため、電解質層又は液体電解質を含浸させたセパレーターを、これらの2つのシートの少なくとも1つに、反対側のシートに接触させて、配置する。本発明を記載する図に示していない電解液層又は液体電解質を含浸させたセパレーターは、反対の極性の2つのシートの間、すなわちアノードシートとカソードシートとの間に設けられる。
【0046】
カソードシート1の1つの機械的構造をここで記載し、他のカソードシートが同一の構造を有するということが理解される。さらに、以下で理解されるように、アノードシート3はカソードシート1のものと極めて類似する構造を有する。
【0047】
図2に見受けられるように、カソードシート1は、実質的に正方形型の四辺形形状を有する。これは、以下に記載するH字形状スロットが形成される、いわゆる穿孔中心領域10の範囲を定める。これらのH字形状スロットの位置に対して、これらH字の垂直方向に対応するシートのいわゆる垂直方向YYが定義され、方向YYとは垂直の、シートのいわゆる水平方向XXが定義される。中央領域10は、固体である、すなわちスロットを有しない、周囲枠12に隣接する。この枠の機能は、特に各シートを容易に扱えることを確実にすることである。
【0048】
H字形状スロットは、互いに上下に配置された行L
1~L
yに沿って、且つ互いに横に並んだ列R
1~R
xに沿って分布する。非限定的な例として、表面実装部品型(以下SMC)のマイクロ電池を製造するという文脈において、使用するアノードシート及びカソードシートは100mm×100mmプレートとすることができる。典型的に、これらのシートの行の数は10~500であり、列の数は10~500である。要求される電池容量にしたがって、その寸法は変わり得、アノードシート及びカソードシートの行の数及び列の数はそれに応じて合わせることができる。使用するアノードシート及びカソードシートの寸法は、要求にしたがって調整することができる
図2に示すように、2つの隣接する行は材料のブリッジ20によって隔てられ、その高さはH
20として示され、これは0.05mm~5mmである。2つの隣接する列は材料のストリップによって隔てられ、その幅はL
22として示され、これは0.05mm~5mmである。アノードシート及びカソードシートにおけるこれらの材料のブリッジ及びストリップは、これらを容易に扱うことができるように、そこに十分な機械的剛性を与える。
【0049】
スロット14は貫通スロットであり、すなわちシートのそれぞれ上面及び下面に現れるものである。スロット14は、化学エッチング、電気鋳造、レーザー切断、微小穿孔、又は打ち抜き加工によって、アノード材料又はカソード材料の任意の堆積の前に、基板に直接的に、それ自体既知の方法で作製することができる。また、これらのスロットは、例えば、レーザー切断、フェムト秒レーザー切断、微小穿孔、又は打ち抜き加工によって、それ自体既知の方法で、アノード材料又はカソード材料で覆った基板に、電解質層又はセパレーターで覆ったアノードシート又はカソードシートに作製することができる。すべてのカソードにおいて作製したスロット14は、特に
図3に示すように重なっている。
【0050】
H字形状スロット14の1つをここで記載し、カソードシートにおけるすべての切り抜きが同一であるということが理解される。スロット14は、垂直且つ平行の2つの主凹部16によって形成され、これらは、好ましくは2つの垂直の主凹部16に対して垂直である水平チャネル18によってその上部部分において接続されている。以下の説明を用いる。
・H14 スロット構造の高さであり、典型的に0.25mm~10mmである。
・L14 スロット構造の幅であり、典型的に0.25mm~10mmである。
・L16 各主凹部の幅であり、典型的に0.02mm~5mmである。
・H18 各チャネルの高さであり、典型的に0.01mm~0.5mmである。
・D18 主凹部の上部とチャネルの上部との間の高さの差であり、典型的に0.05mm~2mmである。
【0051】
また、各アノードには、スロット14と同じ数で設けられた、種々の行及び列のスロット34が設けられている。特に
図4に示すように、各スロット34の構造は、実質的に各スロット14のものと類似しており、すなわち、このスロット34はチャネル38によって接続された2つの垂直の主凹部36を含む。垂直の主凹部36の寸法は垂直の主凹部16のものと同一であり、同様に、チャネル38の寸法はチャネル18のものと同様である。
【0052】
平面視において、垂直の主凹部36はこれら16と重なっている。スロット14とスロット34との間の唯一の違いは、チャネル38が下方部分に設けられるということにある。特に
図3に示すように、チャネル18及びチャネル38は、XHで示されるH字の中央軸に対して平面視で互いに対称である。
【0053】
上述のスタックにはその全体的な機械的安定性を確保することを目的とするステップを行うということが考えられる。それ自体既知のタイプのこれらのステップは、特に種々の層のサーモプレスを含む。以下において理解されるように、このスタックが個々の電池の形成を可能にし、その数は行の数Y及び列の数Xの間の製品と等しい。
【0054】
この目的で、
図5に関して、3つの行L
n-1~L
n+1及び3つの列R
n-1~R
n+1を示している。本発明において、スロットの行ごとに2つの切り抜きD
n及びD’
nを作製する。貫通するようになされる、すなわちスタックの高さ全体に延びる各切り抜きを、それ自体既知の方法で作製する。非限定的な例として、ソーイングによる切断、特に、スエージングによる切断、ギロチンによる切断、又はレーザーによる切断が言及される。
【0055】
図5におけるスロットの1つの拡大図である
図6によって特に示すように、各チャネルとH字の対向端部との間で、各切り抜きを作製する。該切り抜きの厚みは無視すると考える。この条件下で、この
図6に関して、非限定的な例として、以下のことが留意される。
・切り抜きD
nと水平チャネル18の反対面との間の距離D
20は、0.05mm~2mmであり、この距離D
20はD
18以下であることが理解される。
・切り抜きD’
nと水平チャネル38の反対面との間の距離D
40は、0.05mm~2mmであり、この距離D
40はD
38以下であることが理解される。
【0056】
また
図5に関して、各最終電池は、2つの切り抜きによって上部及び下部において、H字の垂直の主凹部の内部面によって右部及び左部において、画定される。この
図5において、切断線D
n及びD’
nによって一度切断された電池100は斜線で示し、電池を形成しないスタックのシートの領域40はドットで示す一方、スロットの容積部は空白のままである。
【0057】
図7及び
図8は平行な切断線に沿った断面図である。断面VII-VIIはH字の垂直の主凹部を貫通し、断面VIII-VIIIは材料を通過する。
図7において領域40が示され、また
図5にも示されており、これは、材料の切れ端部、特にアノード43の材料及びカソード41の材料の切れ端部に相当する。
図8において、切り抜きは、アノード及びカソードの両方を通って行われる、すなわち、電池100のそれぞれ各カソード1及び各アノード3において、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もないそれぞれの空間113及び133によって、それぞれの2次本体112及びの132から隔てた、それぞれの主本体111及び131を有するように、H字形状スロットのチャネルから距離D
20だけ隔てて行われるということが留意される。これは、先行技術と比較して切り抜きの品質を向上させ、且つ電池の側部縁部においてショートを防ぐことができるので、本発明の特に有利な特徴の事例である。
【0058】
特許文献1は、大気に対して電池セルの保護をするため封入システムに封入され、交互に積み重ねられるとともに横方向にオフセットされたアノードシート及びカソードシートからなる(
図12参照)、複数の基本セルのスタックを記載している。アノード及びカソード接続部を露出させた、単一の電池を得ることができるこれらの封入スタックの切断は、交互に連続する電極と封入システムとを通過する切断平面において行われる。先行技術の電池における電極と封入システムとの間に存在する密度の差によって、この切断平面に沿ってなされる切断が、切断平面周りの封入システムが裂けて、ゆえにショートを発生させるリスクを生じさせる。先行技術において、封入時に、封入層はU字形状切り抜きを有するシートのスタックの間隙を埋める。これらの間隙に導入されるこの封入層は厚くて、スタックにあまり良好に接着せず、その後の切断時に封入システムが裂けるリスクを引き起こす。
【0059】
本発明において、このリスクは、H字形状切り抜きを有するシート使用することによってなくなり、これは、カソードシートとアノードシートとを交互に重ねることで、H字形状のサーモプレスした機械的構造が切り抜き周りで極めて剛性となるためである。H字形状切り抜きを有するシートを使用する、そうした剛性構造の使用により、切断時の不具合の数を少なくし、切断速度を高め、ゆえに電池製造の効率を向上させることができる。
【0060】
本発明において、切り抜きD’n及びDnは、同じ程度の密度を有するアノード及びカソードに作製され、優れた品質の良好な切り抜きをなす。さらに、いずれの電極材料、電解質、及び/又は、集電体基板もない空間の存在が、任意のショートのリスクを抑える。
【0061】
ここで
図9~11に関して、本発明における電池の1つ100が示される。この電池のそれぞれ長手方向及び側部方向の中央軸は、X100及びY100と示す。側部縁部は101及び102と示し、この電池の長手部縁部は103及び104と示す。さらに、各カソードは110と示し、各アノードは130と示す。これらのアノードの数と同一のこれらのカソードの数は、上述のスタックのカソードシート及びアノードシートの数に対応する。
【0062】
図9に、すなわち平面視で示すように、カソードの自由空間は重なっている。さらに、この同じ平面視において、アノードの自由空間は重なっている。また、この同じ平面視において、カソード及びアノードの自由空間は一致していない。これは、例として
図10に特に示される。
【0063】
自由空間(113)は、
図9において上方及び下方として示される電池における対向する長手部縁部を接続する。この自由空間は、電池における対向する長手部縁部同士の間に延出し、各アノード及び各カソードにおいて、主本体を2次本体から隔てる。
【0064】
各カソード110は、主本体111、第1側部縁部101に位置する2次本体112、並びにいずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間113を含む。その幅が上述のスロット14のチャネル18のものに対応する後者は、長手部縁部103及び104の間に延出する。同様に、各アノード130は、主本体131、及び縁部101と反対の側部縁部102に位置する2次本体132を含む。主本体131及び2次本体132は、縁部103及び104を接続する、すなわち、長手部縁部103及び104の間に延出する、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間133によって隔てられる。2つの自由空間113及び133は、中央軸Y100に対して互いに対称である。
【0065】
各自由空間113の幅L
113は、前述の図に記載するスロットに属するチャネル18の幅に対応する。さらに、各2次本体112の幅L
112は、
図6又は
図8に関して記載するような距離D
20に対応する。
【0066】
図13は本発明のさらなる変形を示す。この
図13において、第1実施形態を示す
図1~
図11のものに類似する機械的構成要素には、1000の数だけ増加させた同じ参照符号が割り当てられている。
【0067】
この第2変形実施形態は、H字形状スロット1014が、互いに上下に配置された行L
1~L
yに沿って、且つ互いに横に並んだ列R
1~R
xに沿って分布するという点で、第1変形実施形態と実質的に異なる。このようにして、列R
nに位置するスロットにおける垂直の主凹部1016の少なくとも1つが、列R
n―1及び/又はR
n+1に位置する隣接するスロットにおける垂直の主凹部1016の少なくとも1つと一致する。この場合、2つの隣接する列は材料のストリップによって隔てられていない。
図13に示すように、2つの隣接する行は材料のブリッジ1020によって隔てられ、その高さはH
1020として示され、これは0.05mm~5mmである。これらの材料のブリッジは、アノードシート及びカソードシートに対して、これらを容易に扱うことができるように、十分な機械的剛性を与える。
【0068】
本発明のこの第2変形例において、H字形状スロット1014は、好ましくは第1変形例のものと同じとすることができる。スロット1014は、好ましくは、垂直且つ平行の2つの主凹部1016によって形成され、これらは、好ましくは2つの垂直の主凹部1016に対して垂直である水平チャネル1018によってその上部部分において接続されている。
【0069】
各カソードには、種々の行及び列のスロット1014が設けられている。また、各アノードには、スロット1014と同じ数で設けられた、種々の行及び列のスロット1034が設けられている。
【0070】
各スロット1034の構造は、実質的に各スロット1014のものと類似しており、すなわち、このスロット1034はチャネル1038によって接続された2つの垂直の主凹部1036を含む。垂直の主凹部1036の寸法は垂直の主凹部1016のものと同一であり、同様に、チャネル1038の寸法はチャネル1018のものと同様である。
【0071】
平面視において、垂直の主凹部1036は垂直の主凹部1016と重なっている。スロット1014とスロット1034との間の唯一の違いは、チャネル1038が下部部分に設けられるということにある。特に
図14に示すように、チャネル1018及びチャネル1038は、XH’で示されるH字の中央軸に対して平面視で互いに対称である。
【0072】
上述のアノードシート及びカソードシートのスタックにはその全体的な機械的安定性を確保することを目的とするステップを行うということが考えられる。それ自体既知のタイプのこれらのステップは、特に種々の層のサーモプレスを含む。以下において理解されるように、このスタックが個々の電池の形成を可能にし、その数は行の数Y及び列の数Xの間の製品と等しい。
【0073】
この目的で、
図14に関して、3つの行L
n-1~L
n+1及び3つの列R
n-1~R
n+1を示している。本発明において、スロットの行ごとに2つの切り抜きD
n及びD’
nを作製する。貫通するようになされる、すなわちスタックの高さ全体に延びる各切り抜きを、それ自体既知の方法で作製する。非限定的な例として、ソーイングによる切断、特に、スエージングによる切断、ギロチンによる切断、又はレーザーによる切断が言及される。
【0074】
各チャネルとH字の対向端部との間で、各切り抜きを作製する。該切り抜きの厚みは無視すると考える。切り抜きは、アノード及びカソードの両方を通って行われる、すなわち、
図15に示すように、電池1100のそれぞれ各カソード1110及び各アノード1130において、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もないそれぞれの空間1113及び1133によって、それぞれの2次本体1112及び1132から隔てた、それぞれの主本体1111及び1131を有するように、H字形状スロットのチャネルから距離D
1020だけ隔てて行われる。これは、先行技術と比較して切り抜きの品質を向上させ、且つ電池の側部縁部においてショートを防ぐことができるので、本発明の特に有利な特徴である。各最終電池1100は、2つの切り抜きによって上部及び下部において、H字の垂直の主凹部の内部面によって右部及び左部において、画定される。
図13において、切り抜き線D
n及びD’
nによって一度切断された電池1100は斜線で示し、電池を形成しないスタックのシートの領域1040はドットで示す一方、スロットの容積部は空白のままである。
【0075】
本発明において、切り抜きD’n及びDnは、優れた品質の良好な切り抜きをなす同じ程度の密度でアノード及びカソードに作製される。さらに、いずれの電極材料、電解質、及び/又は、集電体基板もない空間の存在が、任意のショートのリスクを抑える。
【0076】
図15に示すように、各カソード1110は、主本体1111、第1側部縁部1101に位置する2次本体1112、並びにいずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間1113を含む。その幅が上述のスロット1014のチャネル1018のものに対応する後者は、長手部縁部同士の間に延出する。同様に、各アノード1130は、主本体1131、及び縁部1101と反対の側部縁部1102に位置する2次本体1132を含む。主本体1131及び2次本体1132は、長手部縁部を接続する、すなわち、長手部縁部1103及び1104の間に延出する、いずれの電極材料、電解質、及び/又は集電体基板もない空間1133によって隔てられる。2つの自由空間1113及び1133は、中央軸Y100に対して互いに対称である。
【0077】
各自由空間1113の幅L1113は、前述の図に記載するスロットに属するチャネル1018の幅に対応する。さらに、各2次本体1112の幅L1112は、前述したような距離D1020に対応する。
【0078】
本発明の第2変形例において得られる電池1100は、あらゆる点において、本発明の第1変形例において得られるものと同一であるが、スロット1014の配置が異なる。
【0079】
図面に示していない本発明の第3変形例において、H字形状スロット14/1014は、互いに上下に配置された行L1~Lyに沿って、且つ互いに横に並んだ列R1~Rxに沿って分布することができる。このようにして、同じアノードシート及び/又はカソードシートにおいて、H字形状スロット14/1014は、本発明の第1及び第2変形例にしたがって、アノードシート及び/又はカソードシートにおいて、これらのシートを容易に扱うことができるために十分な機械的剛性を維持するとともに、スタックが最大数の単一の電池を有利に画定できるように、配置される。
【0080】
本発明の第3変形例において得られる電池1100は、あらゆる点において、本発明の第1変形例及び/又は第2変形例において得られるものと同一であるが、アノードシート及び/又はカソードシートにおけるスロット14/1014の配置が異なる。
【0081】
図11と
図12との比較によって、本発明の利点を明らかにすることができる。これは、実質的に電池の全容積を有用な材料、すなわち、電池100の電気化学機能に寄与する材料が占めるためである。これは、極めて小さな2つの自由空間133/1133のみが有用な材料とは考えられないためである。これについて、
図10に関して、カソード2次本体の自由面112’が、アノードの主本体の自由面131’と面一となる一方、アノード2次本体の自由面132’が、カソードの主本体の自由面111’と面一となるということが留意される。言い換えると、電極材料を含む、本発明における電池の対向する側方縁部は、凹部の存在のため不連続である、
図12に示す先行技術のものと比較して、実質的に連続的である。
【0082】
「2次本体の自由面」は、主本体とは反対の、2次本体に属する面に相当する。
【0083】
「主本体の自由面」は、2次本体とは反対の、主本体に属する面に相当する。
【0084】
さらに、電池のそれぞれ各アノード層及びカソード層における自由空間の存在によって、電池における任意の封入システム、すなわちパリレンなどの任意の絶縁材料の使用を省くことができ、これらの自由空間は電気絶縁体の役割を果たす。これによって、封入などの電池製造の最終ステップが容易になる。先行技術のように、及び
図12に示すように、電池における引っ込んだ領域210”、230”を絶縁すること、すなわち、先行技術の構造の間隙を封入システムで埋めること、任意のショートを防ぐため封入システムによって反対向きに位置してオフセットされるU字形状切り抜きに存在する空間を埋めることは、もはや必要ない。H字形状切り抜きを有するシートを使用する、本発明における剛性構造の使用は、封入を容易にし、先行技術と比較して封入の厚みを小さくすることができる。先行技術のものより薄くて剛性の層を備えた多層型の封入システムを想定することができる。
【0085】
有利には、アノードシート及びカソードシートを積み重ねるステップの後に、電池を組み立てるためのその熱処理が、50℃~500℃の温度、好ましくは350℃より低い温度で行われる、及び/又は、組み立てられるアノードシート及びカソードシートのスタックの機械的圧縮が、10~100MPa、好ましくは20~50MPaの圧力で行われる。特定の実施形態において、その積み重ねて熱処理を行うステップの後、大気に対して電池セルを保護するために封入システムを堆積させることによってスタックを封入することが有利である。封入システムは、そのバリア層の機能を満たすため、化学的に安定的し、高温に耐え、大気を通さない必要がある。有利には、本発明におけるアノードシート及びカソードシートのスタックは、以下を含む封入システムのシーケンス、好ましくはzシーケンスによって覆うことができる。
- アノードシート及びカソードシートのスタックに堆積される、好ましくはパリレン、タイプFパリレン、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリアミド、及び/又はそれらの混合物から選択される、第1被覆層。
- 該第1被覆層に原子層を堆積させることで堆積される、電気絶縁材料から構成される第2被覆層。
【0086】
このシーケンスをz回繰り返すことができ、z≧1である。多層シーケンスはバリア効果を有する。封入システムのシーケンスがさらに繰り返されると、このバリア効果が大きくなる。堆積される薄層の数が増えると、バリア効果はすべて大きくなる。
【0087】
典型的に、第1被覆層はポリマー、例えばシリコーン(例えば含浸によって若しくはヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)を使用してプラズマ支援化学気相堆積によって堆積)、又はエポキシ樹脂、又はポリイミド、ポリアミド、又はポリパラキシリレン(パリレンという用語でよく知られている)から作製される。この第1被覆層は、電池の感応成分をその環境から保護することができる。この第1被覆層の厚みは、好ましくは0.5μm~3μmである。
【0088】
有利には、第1被覆層は、タイプCパリレン、タイプDパリレン、タイプNパリレン(CAS1633-22-3)、タイプFパリレン、又はタイプC、D、N、及び/若しくはFパリレンの混合物から作製することができる。パリレン(ポリパラキシリレン又はポリ(p-キシリレン)とも呼ばれる)は、高い熱力学的安定性、溶剤に対する優れた耐性、及び極めて低い透過性を有する、誘電性で、透明、及び半結晶性の材料である。また、パリレンは、電池をその外的環境から保護することができるバリア特性を有する。この第1被覆層をタイプFパリレンから作製すると、電池がより保護される。この第1被覆層は、有利には、表面に化学気相堆積(CVD)によって堆積させたガス状モノマーを凝縮させることによって得られ、これは、スタックの利用可能な表面すべてにおいて、コンフォーマルな、薄く、均一の被覆部を有することを可能にする。この第1被覆層は有利には剛性であり、可撓性面であるとは考えられない。
【0089】
第2被覆層は、好ましくは無機の電気絶縁材料から構成される。この第2被覆層は、有利には、極めて低いWVTR係数、好ましくは10-5g/m2.d未満のものを有する。これは、これ以前に第1被覆層で覆ったスタックの利用可能な表面すべてにおいてコンフォーマルな被覆部を得るように原子層を堆積させること(ALD)によって、好ましくは堆積される。ALDによって堆積させた層は機械的に極めて脆弱であり、その保護的役割を果たすため剛性支持面を必要とする。可撓性面に脆弱層を堆積させることで亀裂を形成し得、この保護層の完全性を喪失させ得る。さらに、ALDによって堆積させた層の成長は基板の特性によって影響を受ける。様々な化学特性の領域を有する基板にALDによって堆積させた層は、不均質に成長することになり、この保護層の完全性を喪失させ得る。
【0090】
ALDによる堆積の技術は、大きい粗さを有する表面を、完全に不浸透且つ適合するように覆うことに、特に良好に適する。これは、穴などの欠陥のない(「ピンホールがない」として言及される層)、極めて良好なバリアを示す、コンフォーマルな層を作製することができる。そのWVTR係数は極めて低い。WVTR(水蒸気透過率)係数は、封入システムの水蒸気に対する透過性を評価することを可能にする。WVTR係数がより低いと、封入システムはより不浸透性である。
【0091】
第2被覆層は、有利には、プラズマ支援化学気相堆積(PECVD)又はHDPCVD(高密度プラズマ化学気相堆積)タイプ若しくはICPCVD(誘導結合プラズマ化学気相堆積)タイプの化学気相堆積によって堆積させることができる。
【0092】
この第2被覆層は、好ましくは、10nm~10μmの厚み、優先的に10nm~50nmの厚みを有する。この第2層の厚みは、有利には、必要とされるガスに対する不透過性のレベル、すなわち必要とされるWVTR係数にしたがって選択され、特にALD、PECVD、HDPCVD、及びICPCVDからの使用される堆積技術によって決まる。
【0093】
第2被覆層は、例えば、酸化物の形態、Al2O3、Ta2O5、シリカ、窒化物、特に窒化ケイ素、ホスフェート、酸窒化物、又はシロキサンタイプの形態の、セラミック材料、ガラス状材料、又はガラスセラミック材料から作製することができる。
【0094】
第1被覆層上にALD、PECVD、HDPCVD、又はICPCVDによって堆積されるこの第2被覆層は、第1に、構造の不透過性を確保すること、すなわち、物体内に水が移動しないようにすること、第2に、その分解を防ぐため大気から、特に空気や湿度から、及び熱暴露から、好ましくはタイプFパリレンの第1被覆層を保護することを可能にする。この第2被覆層は、封入電池の寿命を向上させる。
【0095】
あるいは、大気に対して、本発明における電池セル又はアノードシート及びカソードシートのスタックの保護を行うことができる封入システムは、極めて低いWVTR係数、好ましくは10-5g/m2.d未満のものを有する第1代替被覆層を含む、シーケンス、好ましくはz’シーケンスからなるとすることができる。このシーケンスをz’回繰り返すことができ、z≧1である。これはバリア効果を示し、z’の値が大きくなると、バリア効果はすべて大きくなる。この封入システムのシーケンス、好ましくはz’シーケンスにおけるアノードシート及びカソードシートのスタックの封入によって、封入物のWVTR係数を最大に小さくすること、すなわちスタックの不透過性を高めることができる。
【0096】
この第1代替被覆層の厚みは、好ましくは0.5μm~50μmである。
【0097】
この代替被覆層は、アノードシート及びカソードシートのスタックの外周部に堆積される、セラミック材料、及び/又は低融点のガラス、好ましくは融点が600℃より低いガラスから構成することができる。この層に使用するセラミック及び/又はガラス材料は、有利には、
- 低融点(典型的には<600℃)のガラス、好ましくはSiO2-B2O3、Bi2O3-B2O3、ZnO-Bi2O3-B2O3、TeO2-V2O3、PbO-SiO2、
- 酸化物、窒化物、酸窒化物、SixNy、SiO2、SiON、アモルファスシリコン、又はSiC、から選択される。
【0098】
これらのガラスは、成形又は浸漬コーティングによって堆積させることができる。
【0099】
セラミック材料は、有利には、低温で、PECVDによって、又は優先的にHDPCVD又はICPCVDによって堆積され、この方法は良好な不透過性特性を有する層を堆積させることができる。
【0100】
有利には、代替封入システムは、封入部のWVTR係数を小さくするため、すなわちスタックの不透過性を高めるため、様々な特性のz’の代替被覆層を含むことができる。一例として、封入システムは、セラミック材料から構成された第1層、第1層に堆積させた低融点のガラスから構成された第2層を含むことができ、逆もまた同様である。
【0101】
ガラス膜での封入は、低融点ガラスの酸化物、ホスフェート、ボレート、及び/又は前駆体を含むインクを堆積させ、その後焼結することによって得ることができる。
【0102】
このようにして、剛性で不透過性の封入が得られ、これが特に封入システムと終端部との間の境界部において水蒸気の通過を防ぐ。
【0103】
水蒸気に対する透過性は、米国特許第7,624,621号明細書に記載の事項であり、また、雑誌のThin Solid Films 6+550 (2014) 85-89に掲載されている、A.Mortier他による刊行物「Structural properties of ultraviolet cured polysilazane gas barrier layers on polymer substrates」に記載されている方法によって測定することができる。
【0104】
この封入システムのシーケンスで、好ましくはzシーケンスで、又は代替封入システムでこうして封入したアノードシート及びカソードシートのスタックは、こうして封入したスタックを機械的に保護するとともに、任意的にそこに美的外観を呈するように、最後の被覆層で覆うことができる。この最後の被覆層は、電池の寿命を守り、向上させる。有利には、この最後の被覆層はまた、高温に耐えるように選択され、その後の使用時に電池を保護するように十分な機械的強度を有する。有利には、この最後の被覆層の厚みは、1μm~50μmである。理想的には、この最後の被覆層の厚みは、約10~15μmであり、そうした厚みの範囲は機械的損傷から電池を保護することができる。
【0105】
この最後の被覆層は、好ましくは、エポキシ樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、ゾルゲルシリカ、又は有機シリカに基づくものである。有利には、この最後の被覆層は浸漬によって堆積させる。
【0106】
こうしてコーティングしたアノード層及びカソード層のスタックは、次に、アノード及びカソード接続部を露出させるとともに、単一の電池を得るように、切断線D’n及びDnに沿って任意の適切な手段によって切断される。
【0107】
液体電解質を含浸させた電池の場合、液体電解質による電池の含浸は、有利には、そのアノード及びカソード接続部が露出された単一の電池を得た後、リチウム塩を含有する液体電解質又はイオン性液体などのリチウムイオンを有する相によって行われ、このリチウムイオンを有する相が毛管現象によって電池に浸透する。
【0108】
それぞれカソード及びアノード接続部が可視される(絶縁電解質によってコーティングされていない)部分において終端部(電気的接触部)を追加する。この接触領域は、電流を集めるため(側方集電体)に電池のスタックの対向する側部、又は離接する側部に配置する。接続部は、当業者に既知の技術によって、好ましくは導電性エポキシ樹脂及び/又は溶融スズ浴に浸漬させることによって、金属化される。好ましくは、終端部は、カソード及びアノード接続部の近傍に、グラファイトで充填した材料、好ましくはグラファイトで充填したエポキシ樹脂の第1層と、第1層に堆積される、銅ナノ粒子で充填したインクから得た金属銅を含む第2層とを続けて含む層の第1スタックによって形成される。この終端部の第1スタックは、次に、金属銅の層によるカソード及びアノード接続部の被覆部を得るように、赤外線フラッシュランプによって焼結される。
【0109】
電池の最終使用にしたがって、終端部は、より低いコストで電池の不透過性を確保するように好ましくは溶融スズ-亜鉛浴に浸漬することによって堆積させたスズ-亜鉛合金の第1層と、第2スタックのこの第1層に堆積される、電気溶着によって堆積させた純スズに基づく第2層、又は銀、パラジウム及び銅に基づく合金を含む第2層とを続けて含む、終端部の第1スタックに堆積される、層の第2スタックをさらに含むことができる。
【0110】
終端部は、端部のそれぞれにおいて交互の正負の電気的接続部をなすことができる。この終端部は、種々の電池素子同士の間で並列の電気的接続をなすことができる。この目的で、カソード接続部のみが一端にあり、アノード接続部が他端において利用可能である。
【0111】
本発明における電池は、リチウムイオンマイクロ電池、リチウムイオンミニ電池、又は高パワーリチウムイオン電池とすることができる。特に、これは、約1mAh以下の容量を有するように(通常「マイクロ電池」と呼ばれる)、約1mAhより大きく、約1Ah以下の出力を有するように(通常「ミニ電池」と呼ばれる)、又は約1Ahより大きい容量を有するように(通常「パワー電池」と呼ばれる)、設計されて、そのようにサイズを有することができる。典型的に、マイクロ電池は、マイクロエレクトロニクス製造方法に適合するように設計される。
【0112】
これら3つの出力範囲のそれぞれの電池は、
- 「完全固体」タイプの層、すなわち、含浸液相又は粘性相(該液相又は粘性相は、電解質として作用することができるリチウムイオンを通す媒体とすることができる)のない層、
- 又は、この層を疑似固体と考えるように、層内に自発的に入るとともにこの層と一体化しない、典型的にリチウムイオンを通す媒体である、液相又は粘性相を含浸させた、メソ孔の「完全固体」タイプの層、
- 又は、含浸多孔層(すなわち、液相又は粘性相を含浸可能であり、この層に湿潤特性を与える開放孔の格子を有する層)のいずれかで作製することができる。