(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】温度センサを有するピンリフティング装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240722BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/68 G
(21)【出願番号】P 2021532844
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2019084516
(87)【国際公開番号】W WO2020120510
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】102018009630.1
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】エッシェンモーザー,アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ドュア,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ホーファー,アンドレアス
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2008-0053587(KR,A)
【文献】特開2004-022803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0362712(US,A1)
【文献】特開2018-093173(JP,A)
【文献】特開平09-205135(JP,A)
【文献】特表2012-521652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空プロセスチャンバ(4)によって提供され得るプロセス雰囲気領域(P)内で処理される、とりわけウェーハである基板(1)を移動させ位置決めするように設計される、とりわけピンリフターであるピンリフティング装置(10、50)
であって、
基板(1)と接触し支持するように適応された支持ピン(7、59)を受け取るように設計された連結部材(32、58)を有する連結部分(31)と、
連結部材(32、58)と相互作用するドライブユニット(6、12)を有するドライブ部分(11)
であって、
連結部材(32、58)が
、
その意図した効果に関して実質的に作用していない状態
を提供する、下げられた基準位置から
、
基板(1)を受け取るおよび/または提供するという、その意図した効果を提供する、伸ばされた支持位置へ調節軸(A)に沿って直線的に調整され、そして戻るように、ドライブユニット(6、12)が設計される、ドライブ部分(11)と、
を有し、
当該ピンリフティング装置(10、50)が少なくとも一つの温度センサ(41、42)を有し、温度センサ(41、42)を手段とすることによって、ピンリフティング装置(10、50)の少なくとも一部を参照して熱情報を表す測定信号が生成され得るように、温度センサ(41、42)が設計され、配置されることを特徴とする、ピンリフティング装置(10、50)。
【請求項2】
ドライブ部分(11)または連結部分(31)が少なくとも一つの温度センサ(41、42)を有し、とりわけ、ドライブ部分(11)および/または連結部分(31)がハウジングを有し、ハウジング上に配置される少なくとも一つの温度センサ(41、42)を有し、とりわけ、ハウジングが少なくとも部分的に金属、とりわけ、少なくとも部分的にアルミニウムで製造されることを特徴とする、請求項1に記載のピンリフティング装置(10、50)。
【請求項3】
少なくとも一つの温度センサ(41、42)が、
NTC抵抗体、
PTC抵抗体、とりわけ、白金またはシリコン測温抵抗体、とりわけ、Pt100素子、
半導体温度センサ、とりわけ、集積半導体温度センサ、
光学式温度センサ、とりわけ、赤外線温度計、
サーミスタ、および
熱電対
のいずれか一つとして形成され、
とりわけ、熱情報が温度によって表され、および/または測定信号が連続的に検出可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のピンリフティング装置(10、50)。
【請求項4】
ピンリフティング装置(10、50)が少なくともドライブ部分(11)と連結部分(31)との間の熱分離を提供する絶縁部(20)を有し、とりわけ、絶縁部(20)がドライブ部分(11)と連結部分(31)との間に配置され、とりわけ、絶縁部(20)が少なくとも部分的にポリマー含有またはセラミック材料、とりわけ、ポリエーテルケトン(PEK)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で製造されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、50)。
【請求項5】
ピンリフティング装置(10、50)が少なくとも二つの温度センサ(41、42)を有し、
第一の温度センサ(42)がドライブ部分(11)に割り当てられ、第二の温度センサ(41)が連結部分(31)に割り当てられ、
第一の温度センサ(42)が第一の測定信号を提供し、第二の温度センサ(41)が第二の測定信号を提供することを特徴とする、請求項1に記載のピンリフティング装置(10、50)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のピンリフティング装置(10、50)と、処理・制御ユニットとを含むシステムであって、処理・制御ユニットが、
少なくとも一つの温度センサ(41、42)の測定信号を受け取るおよび/または処理するため、および
測定信号に応じてピンリフティング装置(10、50)に対するステータス情報を生成するおよび/または出力するため、
に配置され、形成されるシステム。
【請求項7】
システムが、その実行中、ステータス情報が連続的に検出され、連続的に検出されたステータス情報を基礎としてシステム状態および/またはシステム状態の変化のトレン
ドが導き出され、
温度-時間曲線が導き出されるように装備される監視機能を有
することを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
ステータス情報、とりわけ、温度-時間曲線が、温度閾値に対する現在の温度の参照、とりわけ、温度閾値の超
過を示唆することを特徴とする、請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
ステータス情報が、既定の参照情報との測定信号によって提供された熱情報の比較に基づいて導き出され、とりわけ、視覚的にまたは聴覚的に提供され、ドライブ部分(11)および/または連結部分(31)の現在の状態または現在の平常状態からの逸脱についての情報を提供し、とりわけ、ドライブ部分(11)および/または連結部分(31)の機械的および/または構造的完全性についてのステータス情報が提供されることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
システムが請求項5に記載の第一のおよび第二の温度センサ(41、42)を含み、
ステータス情報が第一の測定信号および第二の測定信号を処理することによって生成され得、
とりわけ、
ステータス情報を生成するという文脈で、第一の測定信号と第二の測定信号との間の関係がステータス情報として決定され、
ステータス情報が、前記関係に基づいて導き出され得る、
ドライブ部分(11)と連結部分(31)との間の熱分離および/または
ピンリフティング装置(10,50)における温度分布
に関する情報であることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
処理・制御ユニットがステータス情報に基づいて制御信号を生成し、出力するように適応され、
ドライブユニット(12)が
制御信号を受け取り、
制御信号に応じて連結部材を基準位置と支持位置の間で調節するように配置され、適応され、
とりわけ、制御信号が現在検出された測定信号に応じて自動的に設定され得、とりわけ、現在検出された測定信号がピンリフティング装置(10、50)の少なくとも一部の温度依存空間的膨張と相関するように処理・制御ユニットが装備されることを特徴とする、請求項6~10のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセスチャンバ内で基板を移動させ位置決めするためのピンリフティング装置に関し、ピンリフティング装置が熱感知センサを含む。
【0002】
ピンリフターとも知られるピンリフティング装置は、通常、プロセスチャンバ内で処理されるべき基板の受け取りおよび規定の位置決めのために設計され、提供される。これらは、とりわけ、汚染パーティクルが存在しない保護された雰囲気中で行われなければならない、IC、半導体、フラットパネルまたは基板生産の分野における真空チャンバシステムのために使用される。
【0003】
そのような真空チャンバシステムは、とりわけ、処理または生産されるべき半導体素子または基板を受け取るために提供され、それを通して半導体素子または他の基板が真空チャンバへおよびその外へ案内され得る少なくとも一つの真空チャンバ開口部を有する、少なくとも一つの真空排気可能な真空チャンバを含む。例として、半導体ウェーハまたは液晶基板のための生産工場では、繊細な半導体素子または液晶素子は、プロセス真空チャンバ内に位置する部品が各々処理装置を手段とすることによって処理されるいくつかのプロセス真空チャンバを順次通過する。
【0004】
そのようなプロセスチャンバは、多くの場合、その断面が基板およびロボットに適応し且つそれを通して基板が真空チャンバに導入され、必要な場合、意図した処理後に取り出され得る、少なくとも一つのトランスファーバルブを有する。あるいは、例として、処理された基板がそれを通してチャンバから取り出される、第二のトランスファーバルブが提供され得る。
【0005】
たとえばウェーハである基板の案内は、例として、トランスファーバルブによって提供され得るプロセスチャンバの開口部を通して案内され得る好適に設計され制御されたロボットアームによって実行される。プロセスチャンバは、次に、ロボットアームで基板をつかみ、基板をプロセスチャンバに移動させ、チャンバ内で基板を規定の態様で載置することによって装填される。プロセスチャンバは、それに応じて空にされる。
【0006】
チャンバ内での基板の設置のためおよび基板の正しい位置決めのために、基板の比較的高い精度と移動性とが確保されなければならない。この目的のために、基板に対する複数の支持点を提供し、それにより基板全体にわたる(基板の自重に起因する)荷重分散を提供するピンリフティングシステムが使用される。
【0007】
例として、基板は、ロボットによってリフティング装置の支持ピンの上の位置に置かれ、それらのピンによって持ち上げられる。あるいは、ピンは、受け取り位置にあり、ロボットは、この位置のピン上に基板を置く。ロボットが遠ざかった後、基板は、下げることによって、たとえば電位板であるキャリア上へ載置され、通常、基板を運ぶロボットアームは、たとえば、基板が載置されると同時に、チャンバの外へ移動される。
【0008】
ピンは、基板を載置した後、さらに下げられてもよく、その場合、それから分離され、すなわちピンと基板との間には接触がなくなる。ロボットアームを取り出し、チャンバを閉じた(およびプロセスガスを導入または真空排気した)後、処理工程が実行される。
【0009】
例として、処理工程がチャンバ内で実行された後、そして基板が続いて上げられるとき、基板がキャリアに付着可能であるためには、基板への低い力の効果が特に重要である。キャリアからの基板の押し出しが速すぎる場合、少なくともある接触点において付着力が克服または解消され得ないと、基板は破損し得る。加えて、支持ピンと基板との間に接触が確立されている場合でさえも、基板へのいかなる衝撃も望ましくない応力(または破損)をもたらし得る。
【0010】
同時に、処理されるべき基板の可能な限り最も丁寧且つ注意深い取り扱いに加えて、可能な限り最も短い処理時間も可能にされる。これは、基板が可能な限り速くチャンバ内で、規定の状態、搬入および搬出位置ならびに処理位置に持ち込まれ得ることを意味する。
【0011】
半導体ウェーハの処理中の望まれない衝撃を回避するために、例として、米国特許第6,481,723 B1号は、ピンリフターにおいて、硬い動作止め具の代わりに特別な止め装置の使用を推奨している。任意の硬いプラスチック止め具は、ここでは、より柔軟な設計された止め具部分と硬い止め具の組み合わせに置き換えられ、移動の制限のためにまず柔軟な止め具部分との接触がなされ、次に、硬い止め具が柔軟な止め具部分と接触しそれに応じて減衰される。
【0012】
米国特許第6,646,857 B2号は、記録された発生している力を手段とすることによる、リフティング移動の調整を提案している。リフティングピンは、受け取った力信号に応じて動かされ得、リフティングピン上のリフティング力が常に制御され投与された態様でウェーハにかかるようにする。
【0013】
各機械加工サイクルのたびに、支持ピンは、ピックアップされるべき基板と接触し、それから解放される。これは、当然、ピンおよびドライブへの対応する機械的応力を結果として生じさせる。機械加工サイクルは、多くの場合、比較的タイトであり、比較的短いプロセス時間を必要とする。比較的短い時間内の多数の繰り返しが、このプロセス実施の結果であり得る。通常、支持ピンは、それ故に、摩耗材料とみなされ、定期的な交換を必要とする、すなわち、それらは、通例、一定数のサイクルまたは一定の動作時間後、交換される必要がある。
【0014】
それゆえに、メカトロニクス的に設計されたピンリフター、すなわち、ピンを調節するための電気モータを持つピンリフターのモータは、増大した応力を受ける。
【0015】
当然、そのようなピンリフティング装置の一部は、プロセス容積(プロセスチャンバ)に接続され、たとえば、ピンリフティング装置は、プロセスチャンバにフランジされる。通常、そのような接続は、ピンリフティング装置の状態によってチャンバの様々な状態(たとえば、温度、電位)に影響を与える。
【0016】
ピンリフティング装置への上述の外部影響は、装置の故障に至る動作の障害をもたらし得る。これを回避するために、ピンリフティング装置は、予防措置として、定期的な間隔でまたは一定数の動作サイクル後もしくは一定の動作時間後、交換される。
【0017】
しかしながら、ピンリフターが定期的な間隔で交換されるまたは補修される場合でさえも、保守前の一定の時間の期間その平常機能から逸脱し、それにより無効な生産サイクルをもたらし得ることが依然として残る不都合である。さらに、前記保守手法は、例として、ピンリフターが技術的に必要とされるよりもより早期に交換され得ることを意味する定期的な保守時間のみを可能にさせるのであって、最適な保守時間が決定されることを可能にするものではない。そのような要素の保守または更新は、通例、生産プロセスの停止または中断および全体のシステムへのおおむね大規模な介入を必要とする。これは、多くの場合、比較的長いダウンタイムをもたらす。
【0018】
それ故に、上述の不都合が低減または回避される、改善されたピンリフティング装置を提供することが本発明の目的である。
【0019】
とりわけ、最適化された、すなわち、とりわけ、装置の予測的且つ正確な保守を可能にする、改善されたピンリフティング装置を提供することが本発明の目的である。
【0020】
自身の機能の監視および/または優れたプロセス機能を可能にする、ピンリフティング装置を提供することが本発明のさらなる特別な目的である。
【0021】
これらの目的は、独立請求項の特徴的な機能の具現化によって解決される。本発明を代替するまたは有利であるようにさらに発展させる機能は、従属請求項で見つけられ得る。
【0022】
本発明は、真空プロセスチャンバによって提供され得るプロセス雰囲気領域内で処理される、とりわけウェーハである基板を移動させ位置決めするように設計される、とりわけピンリフターであるピンリフティング装置に関する。ピンリフティング装置は、基板と接触し支持するように適応された支持ピンを受け取るように設計された連結部材を有する連結部分を含む。加えて、連結部材が調節軸に沿って直線的に移動可能なように適応され、そして連結部材と相互作用するドライブユニットを有するドライブ部分であって、連結部材に収容された状態の支持ピンがその意図した効果(ワークピースまたは基板を移動させる、運ぶおよび位置決めする)に関して本質的に有効ではない(基板と接触していない)状態である下げられた基準位置から、連結部材に収容された状態の支持ピンが基板を受け取るおよび/または提供するというその意図した効果を提供する、伸ばされた支持位置へ、そして再び戻る、ドライブ部分が提供される。
【0023】
支持ピンの意図した効果は、本質的にワークピースまたは基板を受け取る、接触させる、移動させる、運ぶおよび/または位置決めすることなどである。この文脈では、支持ピンの有効でない状態は、ピンが意図したように接触されるべき基板と非接触であり(まだ接触していない、またはもはや接触していない)、とりわけ、意図した目的を一時的に提供していない、たとえば、下げられた待機位置にある状態として理解されるべきである。これは、特に、機械加工プロセスが基板上で実行されている間の場合である。しかしながら、意図した効果の提供は、ただ支持ピンと基板との間に接触があることだけを意味するのではなく、むしろ、ピンが伸ばされた状態でこの状態に存在し得、すぐにでもウェーハを受け取ること(ピン上へのウェーハの載置)ができるように保持され得ることを意味する。接触の結果として発生するプロセスまたは移動(ウェーハの輸送)も意図した効果を提供するものとして理解されるべきである。
【0024】
非装填受け取り中の状態は、受け取られるべき支持ピンが連結部材に対して保持された目標位置(連結部材内)にない状態を表す。装填状態は、支持ピンが連結部材によって受け取られた目標位置に保持される状態として理解されるべきである。
【0025】
ピンリフティング装置は、少なくとも一つの温度センサを有し、ピンリフティング装置の少なくとも一部に関する熱情報を表す測定信号が温度センサを手段とすることによって生成され得るように温度センサが設計され、配置される。
【0026】
温度センサを手段とすることによって、ピンリフティング装置に作用する熱的影響は、検出され得る。そのような効果は、装置それ自体の動作によって生まれ得る、たとえば、ドライブユニットによる熱発生または外部的な性質、たとえば、接続された構成要素または装置、例えば、プロセスチャンバからの熱伝導であり得る。
【0027】
一つの態様では、ピンリフティング装置は、外部雰囲気領域からプロセス雰囲気領域を分離するための分離装置を有し、ドライブユニットが少なくとも部分的に、とりわけ、全体的に外部雰囲気領域と関連し、連結部材が、とりわけ、少なくとも部分的にプロセス雰囲気領域と関連する。分離装置は、とりわけ、連結部分の内部容積に配置されるベローズとして設計される。ピンリフティング装置の分離装置は、ドライブユニットのハウジングによっても形成され得る。
【0028】
ドライブユニットは、電気モータ、とりわけ、ステッピングモータとして設計され得、メカトロニクスピンリフティング装置を提供する。
【0029】
ドライブユニットは、代替的に、空気圧駆動シリンダとして設計され得る。
【0030】
一つの態様では、ドライブ部分および/または連結部分は、少なくとも一つの温度センサを有し得る。熱情報は、これらの構成要素の一つまたはそれぞれの構成要素の特定の部分を参照して、それに応じて記録され得る。
【0031】
例として、温度センサは、それぞれの部分の内側に位置し得、センサが全般的な内部温度またはハウジング温度を検出するために内部ハウジング壁上に提供される。代替的にまたは追加的に、温度センサは、ある要素、たとえば、連結部分の連結部材に装着され得、この要素におけるまたはこの内部の温度変化を直接検出するおよび/または監視する。
【0032】
とりわけ、ドライブ部分および/または連結部分は、ハウジングを有し得、少なくとも一つの温度センサがハウジング(外側または内側)上に配置され得、とりわけ、ハウジングが少なくとも部分的に金属、とりわけ、アルミニウムで製造される。
【0033】
一つの態様では、少なくとも一つの温度センサは、以下にリストアップした温度センサの一つとして設計され得る:
NTC抵抗体、
PTC抵抗体、とりわけ、白金またはシリコン測温抵抗体、とりわけ、Pt100素子、
半導体温度センサ、とりわけ、集積半導体温度センサ、
光学式温度センサ、とりわけ、赤外線温度計、
サーミスタおよび/または
熱電対。
【0034】
とりわけ、熱情報は、温度もしくは抵抗値によって表され、および/または測定信号が連続的に検出可能である。
【0035】
一つの態様によると、ピンリフティング装置は、ドライブ部分と連結部分との間の少なくとも熱分離を提供する絶縁部を有し得、とりわけ、絶縁部がドライブ部分と連結部分との間に配置される。
【0036】
絶縁部は、少なくとも部分的にポリマーまたはセラミック材料、とりわけ、ポリエーテルケトン(PEK)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)によって作成される。
【0037】
そのような絶縁装置は、二つの隣接する部分(連結部分およびドライブ部分)の間の熱分離を提供し得、二つの部分間の熱エネルギーの伝導が有意に低減または妨げられるようにする。
【0038】
有利には、連結部分に接続されたプロセスチャンバからの潜在的な熱流入は、ドライブユニットに限定され得、制御精度およびドライブユニット耐用年数を改善する。絶縁効果が双方向性であり、ドライブユニットから連結部材への熱伝導も回避されることが理解される。
【0039】
さらなる態様では、ピンリフティング装置は、もう一つの、すなわち、少なくとも二つの温度センサを有し得、第一の温度センサがドライブ部分に、第二の温度センサが連結部分に割り当てられ、第一の温度センサが第一の測定信号を、第二の温度センサが第二の測定信号を提供する。
【0040】
センサの二つの測定信号は、一緒に処理もしくは評価され得るおよび/または別々に観測され得る。
【0041】
本発明は、前記の態様の一つによるピンリフティング装置と、処理・制御ユニットとからなるシステムにも関する。処理・制御ユニットは、少なくとも一つの温度センサ、とりわけ、二つの温度センサの測定信号を受け取りおよび/または処理し、一つのまたは複数の測定信号に応じてピンリフティング装置に対するステータス情報を生成するおよび/または出力するように配置され、設計される。
【0042】
一つの態様では、システムは、その実行中ステータス情報が連続的に検出され、連続的に検出されたステータス情報に基づいて、システムステータスのトレンド、とりわけ、長期トレンドおよび/またはシステムステータスの変化が導き出されるように装備される監視機能を有し得、とりわけ、熱情報が特定の時間の期間中、周期的に、とりわけ、連続的に検出され、温度-時間曲線が導き出される。
【0043】
それにより、温度センサによって提供された情報の評価は、装置ステータスおよび/またはその展開を記載および記録するために使用され得る追加データを生成することを可能にする。
【0044】
とりわけ、ステータス情報、殊のほか、温度-時間曲線は、
温度閾値に対する現在の温度の参照、とりわけ、温度閾値の超過、
ピンリフティング装置の動作状態への、とりわけ、プロセス安全性への温度-時間曲線の影響、
ピンリフティング装置の耐用年数および/または
ピンリフティング装置のために予想される保守時間
を提供し得る。
【0045】
例として、既定の目標温度の有意な、周期的なまたは選択的な超過がドライブユニットで検出された場合、これは、ドライブの早期の保守の必要性を示唆し得る。この情報は、一方でピンリフティング装置の制御を適応して、それがより低い負荷で(および場合によってはより遅く)動作されるために、他方で対応する情報を出力するために使用され得る。
【0046】
それにより、とりわけステータス情報は、既定の参照情報と測定信号によって提供された熱情報の比較に基づいて、とりわけ、視覚的にまたは聴覚的に導き出されおよび/または提供され得、ドライブ部分および/または連結部分の現在の状態または現在の平常状態逸脱に関する情報を提供し得る。
【0047】
具体的な態様では、システムは、第一のおよび第二の温度センサを有し得、ステータス情報が、第一の測定信号および第二の測定信号を処理することによって生成され得る。
【0048】
ステータス情報を生成するという文脈では、第一の測定信号と第二の測定信号との間の関係は、ステータス情報(ステータス差)として決定され得、ドライブ部分と連結部分との間の熱分離に関するおよび/またはピンリフティング装置における温度分布に関する情報が、その関係から導き出され得る。
【0049】
とりわけ、ドライブ部分および/または連結部分の機械的および/または構造的完全性に関するステータス情報は、提供され得、とりわけ、ステータス情報が、検出された測定信号に対する実際-目標比較を手段とすることによって生成される。
【0050】
それにより、例として閾値は、連結部材および/またはドライブユニットのために保存され得、動作温度の許容範囲を定義する。この閾値を超過することは、例として、可動部分の不十分なベアリングおよび摩擦による熱の関連した発生を示唆する。それにより、この情報は、特定の部分の温度のみを測定することによってアクセス可能となり得、それに応じて出力され得る。
【0051】
一つの態様では、処理・制御ユニットは、ステータス情報に基づいて制御信号を生成し、出力するように配置され得、ドライブユニットは、制御信号を受信し、制御信号に依存して連結部材を基準位置と支持位置の間で調節するように配置され、適応され得る。
【0052】
そのような機器構成は、現在入手された温度情報に基づいて、ピンリフターの制御および/または調整を可能にさせる。これは、機械加工プロセスに影響を与える熱的影響、例えば、上昇した温度における線膨張が補償され得るように、ドライブユニットの制御がとりわけ、連続的にまたはリアルタイムで調節されることを可能にさせる。それ故に、そのような補償は、制御システムを調節することによってシステムへの構造的介入なしで具現化され得る。
【0053】
とりわけ、処理・制御ユニットは、制御信号が現在検出された測定信号に応じて自動的に調節され得るように装備され得、とりわけ、現在検出された測定信号がピンリフティング装置の少なくとも一部の温度依存空間的膨張と相関する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
本発明による装置は、図面に概略的に示された具体的な態様例を手段とすることによって以下により詳細に記載され、本発明のさらなる利点も論じられる。図面は、以下を詳細に示す:
【
図1】本発明によるリフティング装置と共にウェーハのための真空処理装置の模式図を示す。
【
図2a】本発明のピンリフティング装置の一つの態様を示す。
【
図2b】本発明のピンリフティング装置の一つの態様をさらに示す。
【
図3a】本発明のピンリフティング装置のさらなる態様を示す。
【
図3b】本発明のピンリフティング装置のさらなる態様をさらに示す。
【0055】
図1は、半導体ウェーハ1を真空条件下で処理するためのプロセス装備を概略的に示す。ウェーハ1は、第一の真空トランスファーバルブ5aを通して第一のロボットアーム2を手段とすることによって真空チャンバ4(プロセス雰囲気領域P)に挿入され、本発明によるピンリフティング装置の支持ピン7(ここでは、三つのピンが図示される)を手段とすることによって適切な位置に置かれる。ウェーハ1は、次に、ピン7によってピックアップされまたはその上に載置され、ロボットアーム2は、遠ざかる。ウェーハ1は、通常、ロボットアーム上もしくはロボットアーム2、3上に提供された支持上にあるまたは具体的な支持装置によって保持される。ウェーハ1がピン7によってピックアップされた後、ロボットアームはチャンバ4の外へ案内され、トランスファーバルブ5aは閉じられ、ピン7は下げられる。これは、それぞれのピン7に連結されるピンリフティング装置のドライブ6を手段とすることによって行われる。ウェーハ1は、それによって、示された四つの支持要素8上に置かれる。
【0056】
この状態では、ウェーハ1の計画された処理(たとえば、コーティング)は、真空条件下で且つ、殊のほか、規定の雰囲気で(すなわち、一定のプロセスガスで且つ規定の圧力下で)行われる。チャンバ4は、この目的のために、真空ポンプにおよび、好ましくは、チャンバ圧力を制御するための真空制御弁に連結される(図示せず)。
【0057】
処理後、ウェーハ1は、ピンリフティング装置を手段とすることによって、再び取り出し位置に持ち上げられる。第二のロボットアーム3で、ウェーハ1は、第二のトランスファーバルブ5bを通じて取り出される。あるいは、プロセスは、一つのロボットアームのみで設計され得、その場合、搬入および搬出は、単一のトランスファーバルブを介して行われる。
【0058】
図2aは、本発明によるピンリフティング装置10の一つの態様を示す。ピンリフティング装置10は、装置10の下側ドライブ部分11に割り当てられる、電気モータとして設計されたドライブユニット12を有する。モータ12は、ねじ山付き心棒13に連結される。ねじ山付きロッド13は、モータ12をそれに応じて作動させることによって回転し得る。
【0059】
加えて、示された態様ではスライダ14として設計され、ねじ山付きロッド13と相互作用し、ロッド13の回転によって中心調節軸Aに沿って直線的に動かされ得る調節要素14が提供される。スライダ14は、ねじ山付きロッド13のねじと合致する雌ねじを有する。加えて、スライダ14は、それがピンリフティング装置10それ自体に対して回転し得ないが、調節軸Aと平行する動きの方向にのみ動かされ得るように取り付けられる。ピンリフティング装置10自体は、調節軸Aと平行する動きの方向にのみ動かされ得る。
【0060】
スライダ14は、ドライブユニット12に対して可動である絶縁部20の第一の部分21にさらに連結される。この連結部要素21は、スライダによって直線的に動かされ、位置決めされ得る。絶縁部20は、第二の部分22、すなわち、ドライブ部分11に固定された固定要素22も有する。連結部要素21および固定要素22の両方は、それらが電気伝導性を提供することができないように製造される。とりわけ、連結部要素21および/または固定要素22は、電気的に非導電性の材料、たとえば、プラスチック(たとえば、PEEK)によって作成されるまたは非導電性の材料でコーティングされる。
【0061】
固定要素22は、今度はピンリフティング装置の上側連結部分31のハウジングにしっかり接続される。連結部分31の内部容積VIは、ハウジングによって画定される。連結部分31は、第一の端において支持ピン(図示せず)を収容するように設計される、可動の連結部材32を有する。示された例では、連結部材は、本質的に軸Aに沿って伸びる。連結部材32は、(第一の端の反対側のその下側部分において)絶縁部20の連結部要素21に接続される。この例では、連結部材32は、この目的のために、連結部要素21が収容され、たとえば、接着またはねじ込み継ぎ手を手段とすることによって固定される、内部凹部を有する。
【0062】
スライダ14、連結部要素21および連結部材32の間を接続する手段によって、連結部材32および連結部材32に収容された支持ピンの制御動作は、モータ12によって提供され得る。絶縁部20の連結部要素21により、支持ピンとドライブ12との間の熱分離およびガルバニック分離も提供される。
【0063】
図2aは、任意で提供される支持ピンがその意図した効果に関して本質的に有効でない状態にあるであろう、下げられた基準位置のピンリフティング装置10の連結部材32を示す。真空機械加工プロセスにピンリフター10を提供する場合では、支持ピンは、通常、処理されるべき基板と接触していない。
【0064】
図2bは、連結されたピンが基板をピックアップする、移動させるおよび/または提供するというその意図した効果を提供した、伸ばされた支持位置のピンリフティング装置10の連結部材32を示す。
【0065】
伸ばされた支持位置に到達するために、モータ12は、それに応じて作動され得る。この目的のために、例として、モータの作動時間またはねじ山付きロッド13を回転するための回転数は、スライダ14の望ましい位置を設定するために、保存され得る。とりわけ、エンコーダが、モータ軸の動きを監視可能且つ制御可能にするために、ドライブユニット12に連結される。
【0066】
ピンリフター10の可動部分、すなわち、スライダ14、連結部要素21および連結部材32は、連結部分31の領域で主に動かされる。スライダ14および連結部要素21は、少なくとも本質的に内部容積VI内で動く。示された態様の連結部要素21は、スリーブ状の態様で形成され、要素21の形状によって画定された凹部21´を提供する。この凹部21´は、連結部要素21内へのねじ山付きロッド13の可変伸長を許容し、それにより、ねじ山付きロッド13に関する連結部要素21の並進移動性を可能にさせる。
【0067】
それにより、第一に、絶縁部20の二つの要素21、22は、ドライブユニット12を持つドライブ部分11と、それと固定された位置関係に配置される連結部分31のハウジングとの間の熱分離を提供する。第二に、ドライブ部分11および連結部分31の可動部分、すなわち、連結部材32とスライダ14との間の恒久的な熱分離も提供される。
【0068】
ドライブ部分11の個々の構成要素と連結部分31のそれぞれの構成要素との間の電気的に伝導性の接触も、ピンリフターの状態とは無関係に、絶縁部20を手段として妨げられ得る。
【0069】
下げられた基準位置では、連結部要素21と固定要素22とは、好ましくは接触している。
【0070】
ピンリフティング装置10は、二つのセンサユニット41および42をさらに含み、その各々が熱情報を入手するように設計される。センサユニット41および42は、好ましくは温度センサとして設計される。
【0071】
第一のセンサユニット41は、連結部分31の内部容積VIに配置され、それにより、とりわけ温度情報の態様で、上側部分31の内側の熱情報が入手される。連結部分31の上側端は、通常、プロセスチャンバに接続され、とりわけ、それにフランジされ得る。プロセスチャンバの増大したまたは変化する温度は、その後、ピンリフティング装置10の連結部分31に直接作用する。
【0072】
これらの熱的影響は、例として、ピンリフティング装置10、とりわけ、ピンリフティング装置10の一部の空間的膨張の望ましくない変化を生み得る。具体的には、例として、連結部材32または連結部分31のハウジングの熱的膨張が発生し得る。これは、持ち上げられるべきワークピースとの、連結部材32に挿入された支持ピンの接触点の変化も生じさせる。換言すると、連結部材32が熱的に膨張する場合、支持ピンとワークピースとの間の距離は、それが下げられるとき、減少する。リフティング移動中、ピンは、規定の熱的平常状態においてよりもより速くウェーハと接触し始める。
【0073】
ピンリフティング装置10のために、内部容積VI内の温度と、連結部材32のまたは意図したピンの、とりわけ、軸Aに関しての膨張との間の相関があらかじめ規定され、記憶保存され得る。センサ41を使用して現在の温度を測定することによって、連結部材32および/または接続された部分の現在の膨張状態が、次に、推測され得る。状態のそのような導出は、処理・制御ユニットを使用して実行され得る。センサ41からの信号および/または情報は、この目的のために、この処理・制御ユニットに供給される。
【0074】
温度センサ41は、代替(図示せず)態様では、たとえば、連結部材32または連結部材32に接続された要素上に直接配置され得る。
【0075】
処理・制御ユニットは、例として、ピンリフティング装置10に統合されるまたはピンリフティング装置10と連通接触しているユニットとして設計され得、これは、とりわけ、ピンリフティング装置10から空間的に分離される。処理・制御ユニットは、ピンリフティング装置10と共にそのようなシステムを形成する。
【0076】
ステータス情報(たとえば、膨張ステータス)は、制御信号または制御値を生成するための基礎として使用され得る。制御信号または制御値は、処理・制御ユニットによっても提供され得る。対応する制御情報は、次に、ドライブユニット12に送信され得、モータのそれに対応して適応された制御を生じさせ、連結部材32またはピンをそれに対応して適応された態様で動かす。これは、例として、先に記載されたような連結部材32の長さにおける熱的に誘発された膨張または収縮がプロセス内で補償されることを可能にさせる。
【0077】
代替態様では、温度センサ41は、連結部材32または連結部材32をドライブユニット12と接続する要素上に配置され得る。
【0078】
第二の温度センサ42は、ドライブユニット12上に配置され、それによりモータ12、ねじ山付きロッド13またはドライブ部分11のもう一つの要素を参照して温度情報の提供を可能にする。それにより、このセンサ42は、ピンリフティング装置10のドライブ部分11に対するステータス情報の導出を可能にさせる。
【0079】
これは、例として、モータの差し迫った過熱が早期の段階で検出されることおよび適切な措置(たとえば、スイッチを切るまたは動作サイクルを減速させる)が開始されることを可能にさせる。
【0080】
具体的な態様では、センサ41、42の両方の情報は、組み合わせ観測で評価されまたは一緒に処理され得る。ここで、例として、ドライブ部分11と連結部分31との間の温度差は、ステータス情報として決定され、導き出され得る。この差に対する目標範囲も、任意で具体的な許容誤差と共に、定義され得、情報は、目標範囲から離れたとき、システムによって出力される。
【0081】
そのような配置により、二つの部分間の温度差は、部分間の対応する絶縁要素の絶縁効果を監視するために使用され得る。
【0082】
代替態様では、二つの温度センサ41または42の一つのみが提供されることが理解される。
【0083】
図3aは、本発明によるピンリフティング装置50のさらなる態様を示す。支持ピン59は、連結部材58内に係止される。支持ピン59は、好ましくは、金属製、ポリマー系またはセラミック材料を有し、とりわけ、ピン59は、全体的にそのような材料によって作成される。連結部材58内の係止装置は、例として、磁気的にまたは締結装置を手段とすることによって具現化され得る。
【0084】
連結部材58は、スライダ54を手段とすることによってZ方向に動かされ得る。スライダ54は、この目的のために、今度はモータ12によって駆動され得るねじ山付き心棒53に連結される。
【0085】
モータ12と連結部材58との間の本発明による絶縁は、第一の変形態様においては、下側ハウジング部分から上側ハウジング部分を熱的におよび電気的に分離する第一の絶縁要素52と、スライダ54によって具体化され得る第二の絶縁要素とによって実現される。ピンリフティング装置50のこの変形態様では、ねじ山付き心棒53は、相対移動中でさえも心棒53と連結部材58との間に(電気的にまたは熱的に伝導性の)接触が発生しないように設計され、正確に且つしっかりと取り付けられる。あるいは、心棒53は、非導電性または断熱材料によって作成されるまたはそれによりコーティングされる。それにより、上側部分と下側部分との間の完全なガルバニック分離および熱分離は、装置50のあらゆる状態で提供される。
【0086】
第二の変形態様では、ねじ山付き心棒53および心棒53上に位置するスライダ54の両方は、伝導性の態様(たとえば、金属製)で製造され得る。第二の絶縁要素は、中間スリーブ51の形態で設計される(許容度が低い図に起因して、スリーブは符号51で数回参照される)。中間スリーブ51は、(図示された下げられた位置の)ねじ山付き心棒53の上側部分を囲い、それにより、心棒53およびスライダ54の両方を連結部材58から物理的に且つ熱的に分離する。
【0087】
第三の変形態様では、ねじ山付き心棒53とスライダ54の両方および連結部材58は、伝導性であり互いに直接接触し得る。これは、ピン59から心棒53までの伝導性を確保する。絶縁部の第二の絶縁要素は、モータへの心棒53の連結部材またはベアリングとして設計される。それ故に、ねじ山付き心棒53は、モータ12に熱的に非伝導的に接続され、それから分離される。これおよび第一の絶縁要素52(固定要素)を手段とすることによる分離を通じて、熱分離が提供され得る。図示された下げられた位置では、スライダ54は、ドライブ部分と物理的な接触をすることなく、第一の絶縁要素52に触れ得る。
【0088】
ピンリフター50は、連結部分の内側にベローズ55も有する。ベローズ55は、支持ピン59が存在し、機械加工プロセスが通例行われるプロセス雰囲気領域と、たとえば、ドライブ12およびさらなる周辺機器構成要素が存在し得る外部雰囲気領域との雰囲気分離が提供されるように配置され、形成される。ベローズ55は、ピン59が伸ばされるとき圧縮され、雰囲気分離が維持される。
【0089】
図3bは、ピンリフター50の外観図を示す。ピン59は、リフター50のハウジングの上側から突き出ている。絶縁部の固定要素52は、下側ドライブ部分11を上側連結部分31からまたはそれらのそれぞれのハウジングおよび並進移動不可能な部分からガルバニックに分離する。
【0090】
ピンリフター50は、その外側ハウジング側に二つの温度センサ41および42を有する。一方のセンサ41は、上側連結部分31上に、他方のセンサ42は、下側ドライブ部分11上に配置される。それにより、例として、接続されたプロセスチャンバからピンリフター50のドライブへの熱伝導が検出され得る。
【0091】
先に記載した機能に加えて、そのような配置も、例として、たとえば、絶縁要素52の望ましい絶縁効果を監視するために使用され得る。
【0092】
示された図が可能な態様例を概略的に表すのみであることが理解される。本発明によると、異なる手法が、先行技術による真空プロセスチャンバ内の基板移動のための装置、殊のほか、ピンリフターと同様に、互いに組み合わされ得る。