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特許7524195デジタル・アナログコントローラが基準とするタッチ検知システム、並びに関連するシステム、方法、及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】デジタル・アナログコントローラが基準とするタッチ検知システム、並びに関連するシステム、方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240722BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 512
G06F3/044 120
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2021537761
(86)(22)【出願日】2019-10-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2019058233
(87)【国際公開番号】W WO2020139452
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】62/785,141
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/379,687
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン、フレドリック
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ、リチャード ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ポートマン、ライオネル ニコラス
【審査官】佐藤 光起
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-005882(JP,A)
【文献】特表2018-504715(JP,A)
【文献】特開平09-152932(JP,A)
【文献】特開2015-135543(JP,A)
【文献】特開2020-047263(JP,A)
【文献】特開2014-010505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ検知システムであって、
波形形状に対するコードを出力するように構成されたデジタル・アナログ変換器(DAC)コントローラであって、前記コード又は前記波形形状は、前記タッチ検知システムにおいて制限値を下回る電磁放射(EME)を示すことに関連付けられて記憶される、デジタル・アナログ変換器(DAC)コントローラと、
前記DACコントローラによって出力された前記コードに応答して、第1の整形された基準信号を出力するように構成されたDACと、
前記第1の整形された基準信号に応答して、タッチセンサに駆動信号を提供するように構成されたドライバと、
前記駆動信号の変化した信号レベルに応答して、タッチを検出するように構成されたタッチ検出器と、を備える、タッチ検知システム。
【請求項2】
前記DACコントローラは、nビットコードのシーケンスを記憶するように構成され、前記DACコントローラによって出力される前記波形形状に対する前記コードは、前記記憶されたnビットコードのシーケンスのうちの1つを含むビットストリームである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記記憶されたnビットコードのシーケンスのうちの少なくとも1つの他のシーケンスは、前記タッチ検知システムにおいて異なる制限値を下回るEMEを示すことに関連付けられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記DACコントローラは、nビットコードのシーケンスを記憶するように構成され、前記記憶されたnビットコードのシーケンスのそれぞれは、異なるサンプリングレートに関連付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記DACコントローラは、第1の基本周波数に応答して、第1の波形形状に対する第1のコードを出力し、第2の基本周波数に応答して、第2の波形形状に対する第2のコードを出力するように構成されており、
前記第1の基本周波数は第1のサンプリングレートに関連付けられ、前記第2の基本周波数は第2のサンプリングレートに関連付けられる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記DACコントローラは、
前記第1の整形された基準信号の形状に対応する第1のnビットコードのシーケンスに少なくとも部分的に基づいた第1のビットストリームを提供し、
第2の整形された基準信号の形状に対応する第2のnビットコードのシーケンスに少なくとも部分的に基づいた第2のビットストリームを提供するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記DACコントローラは、第1のサンプリングレートに関連付けられた第1のレートで前記第1のビットストリームを提供し、第2のサンプリングレートに関連付けられた第2のレートで前記第2のビットストリームを提供するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
1つ以上のメモリを更に備え、該1つ以上のメモリは、
波形形状に対するnビットコードのシーケンスと、
基本と前記nビットコードのシーケンスのうちの少なくともいくつかとの関連性を特徴付ける定性的電磁放射(EME)情報と、
アプリケーションシステムに関する状態情報と、を記憶するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
第1のnビットコードのシーケンス及び第2のnビットコードのシーケンスは、同じ基本周波数に関連付けられ、前記定性的EME情報は、
前記基本周波数と前記第1のnビットコードのシーケンスとの高調波の第1の特徴付けと、
前記基本周波数と前記第2のnビットコードのシーケンスとの高調波の第2の特徴付けと、を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記状態情報及び前記定性的EME情報に応答して、前記nビットコードのシーケンスのうちの1つのnビットコードのシーケンスを選択するように構成された選択論理を更に備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
タッチ検知方法であって、
デジタル・アナログ変換器(DAC)に波形形状に対する第1のコードを提供するステップであって、前記第1のコード又は前記波形形状は、タッチ検知システムにおいて制限値を下回る電磁放射(EME)に関連付けられて記憶される、提供するステップと、
前記波形形状に対する前記第1のコードに応答して、ドライバに第1の整形された基準信号を提供するステップと、
前記第1の整形された基準信号に応答して、タッチセンサに駆動信号を提供するステップと、
前記駆動信号の変化した信号レベルに応答して、タッチを検出するステップと、を含む、タッチ検知方法。
【請求項12】
前記波形形状に対する前記第1のコードを提供するステップは、nビットコードのシーケンスを含むビットストリームを提供するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記駆動信号を第1のサンプリングレートで測定するステップと、
サンプリングレートが第1のサンプリングレートから第2のサンプリングレートに変化したことを検出したことに応答して、前記DACに波形形状に対する第2のコードを提供するステップと、
前記第2の波形形状に対する前記第2のコードに応答して、前記ドライバに第2の基準信号を提供するステップと、
前記第2の基準信号に応答して、前記タッチセンサに第2の駆動信号を提供するステップと、
前記第2の駆動信号を前記第2のサンプリングレートで測定するステップと、を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のサンプリングレートは、前記第1のサンプリングレートより低い、外来ノイズに対する感受性に関連付けられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のサンプリングレートに関連付けられた第1のレートで、前記第1の波形形状に対する前記第1のコードの第1のビットストリームを提供するステップと、
前記第2のサンプリングレートに関連付けられた第2のレートで、前記第2の波形形状に対する前記第2のコードの第2のビットストリームを提供するステップと、を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記駆動信号を提供する前記ステップに応答して第1のタッチ測定を実施するステップと、
アプリケーションシステムの状態情報が変化したことを検出したことに応答して、前記DACに第2の波形形状に対する第2のコードを提供するステップと、
前記第2の波形形状に対する前記第2のコードに応答して、前記ドライバに第2の整形された基準信号を提供するステップと、
前記第2の基準信号に応答して、前記タッチセンサに第2の駆動信号を提供するステップと、
前記第2の駆動信号を提供するステップに応答して、第2のタッチ測定を実施するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の波形形状に関連付けられた高調波、前記アプリケーションシステムに関する前記変化した状態情報、及び前記第2の波形形状に関連付けられた高調波に関する定性的EME情報に応答して、前記第1の波形形状に関連付けられた高調波より好ましい電磁放射(EME)の特徴を有するように、電磁放射(EME)の特徴を決定するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
電磁放射(EME)を制御するようにタッチ検知システムを構成するためのシステムであって、該システムは、
検知された信号に応答して、タッチセンサにおけるタッチを検出するように構成されたタッチ検知システムと、
放射制御ソフトウェアであって、プロセッサによって実行されたときに、
検知動作中に前記タッチセンサによって放射されたEMEに応答して取得されたEME測定値を受信することと、
前記EME測定値及び1つ以上の放射要件に応答して、前記タッチセンサにおける前記タッチを検出するために、前記タッチ検知システムによって使用される基準信号の形状を評価することと、
タッチを検出するために使用される前記基準信号の改善された形状を使用するように、前記タッチ検知システムを構成することであって、前記改善された形状は、前記1つ以上の放射要件を下回る前記EME測定値に対応する、構成することと、を行うように構成される、放射制御ソフトウェアと、を備える、システム。
【請求項19】
前記改善された形状である前記形状は、フラットトップのエッジと、1つ以上の非単調部分を有する立ち上がりエッジと、1つ以上の非単調部分を有する立ち下がりエッジと、のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記放射制御ソフトウェアは、前記改善された形状が前記基準信号の他の形状に対してEMEを最小化することを検出したことに応答して、前記改善された形状を選択するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記タッチ検知システムは、前記基準信号の前記改善された形状を記憶するように構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上の放射要件は、規格によって規定された放射要件を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上の放射要件は、カスタマ要件によって規定された放射要件を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記タッチセンサによって示されたEMEに応答してEME測定値を提供するように構成された放射測定機器を更に備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
電磁輻射(EME)を制御するようにタッチ検知システムを構成するための方法であって、該方法は、
検知動作のために基準信号を提供するステップであって、前記基準信号のそれぞれは異なる形状を有する、提供するステップと、
前記検知動作中にタッチセンサによって放射された電磁輻射(EME)を示す測定値に応答して、基準信号の改善された形状を検出するステップと、
前記改善された形状を有する前記基準信号を生成するための命令を記憶するステップと、を含む、方法。
【請求項26】
前記検知動作中に前記基準信号を提供する前記ステップは、
第1の検知動作中に第1の基準信号を提供するステップであって、前記第1の基準信号は予め選択された形状を有する、提供するステップと、
前記第1の検知動作中に第1のEME測定値を受信するステップと、
前記第1のEME測定値は放射要件より大きいことを判定するステップと、
第2の検知動作中に第2の基準信号を提供するステップであって、前記第2の基準信号は第2の形状を有する、提供するステップと、
前記第2の検知動作中に第2のEME測定値を受信するステップと、
前記第2のEME測定値は前記放射要件より小さいことを判定するステップと、を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のEME測定値及び前記第2のEME測定値のうちの小さい方に対応する前記第1の形状及び前記第2の形状のうちの1つを選択するステップを更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1のEME測定値は前記放射要件以上であることを検出するステップと、
検知動作中に前記タッチセンサによって放射されたEMEに影響を及ぼし得る、前記第1の形状の変化を決定するステップと、
前記決定された変化に応答して、前記第2の形状に対応するnビットコードのシーケンスを選択するステップと、を更に含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の形状に対応する前記nビットコードのシーケンスを選択する前記ステップは、前記第1の形状の前記決定された変化に対応する前記nビットコードのシーケンスのうちの少なくともいくつかのnビットコードを選択するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
少なくともいくつかのnビットコードを選択する前記ステップは、前記nビットコードのシーケンスの非単調部分に対応する少なくともいくつかのnビットコードを選択するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2018年12月26日に出願された米国特許仮出願第62/785,141号の、「DIGITAL-TO-ANALOG CONTROLLER-REFERENCED TOUCH SENSING SYSTEM,AND RELATED SYSTEMS,METHODS,AND DEVICES」についての出願日遡及の特典を主張し、かつ2019年4月9日に出願された米国特許出願第16/379,687号の、「DIGITAL-TO-ANALOG CONTROLLER-REFERENCED TOUCH SENSING SYSTEMS,AND RELATED SYSTEMS,METHODS,AND DEVICES」についての出願日遡及の特典を主張し、これらのそれぞれの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示のシステム、方法、及びデバイスは、概して静電容量式タッチ検知に関し、より具体的には、いくつかの実施形態は、タッチセンサにおける改善された電磁放射制御のための技法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的なタッチインターフェースシステムは、タッチインターフェースシステムの接触検知面に近接している、又は接触検知面と物理的に接触している物体に応答するタッチセンサ(例えば、制限するものではないが、静電容量センサ及び/又は抵抗センサ)を組み込むことができる。かかる応答は、タッチインターフェースシステムに対する物体の場所を含む、接触に関する情報を推測するために捕捉され、解釈され得る。
【0004】
ラップトップコンピュータ及びタブレットのキーボードを含むパーソナルコンピュータと共に使用されるタッチパッドは、多くの場合、タッチインターフェースシステムを組み込むか、又はタッチインターフェースシステムと連携して動作する。ディスプレイは、多くの場合、ユーザがグラフィカルユーザインターフェース(GUI)及び/又はコンピュータアプリケーションと対話することを可能にするために、タッチインターフェースシステムの素子(典型的には少なくともタッチセンサ)を組み込むタッチスクリーンを含む。タッチディスプレイを組み込むデバイスの例としては、ポータブルメディアプレイヤー、テレビ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ、及びスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが数例として挙げられる。更に、自動車、電化製品(例えば、オーブン、冷蔵庫、又は洗濯機)セキュリティシステム、現金自動預払機(ATM)、住宅環境制御システム、及び産業機器の制御パネルは、ボタン、スライダ、ホイール、及び他のタッチ素子を有効にするなどのために、タッチインターフェースシステムをディスプレイ及びハウジングに結合することができる。
【0005】
タッチセンサは電磁場及び電磁輻射などの電磁放射(EME)を放射するが、従来、タッチセンサの設計者は、主に、近くのデバイスからのEMEに対するタッチセンサの感受性を最小化することを考慮してきた。タッチセンサは、過去には、EME限度が非常に寛大であった環境で使用されていた。しかしながら、限度は、タッチセンサの機能及び設置される環境に基づいてタッチセンサに適用される。本開示の発明者らは、自動車用途など、タッチセンサの新しい用途の厳密なEME限度を満たすために、タッチセンサを試験し、較正し、操作するための技法及びシステムが必要とされることを理解している。
【0006】
本開示は、特定の実施形態を具体的に指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本開示の範囲内の実施形態の様々な特徴及び利点は、添付の図面と併せて読むと、以下の説明からより容易に確認することができる。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な方形波形の周期を示す。
図2】デジタル・アナログ変換器(DAC)近似である例示的な方形波形を示す。
図3A】波形が単調増加している、DACから出力される信号の波形の例示的なエッジを示す。
図3B】波形が非単調部分を含む、DACから出力される信号の波形の例示的なエッジを示す。
図4】開示される実施形態による、EMEを制御するようにタッチ検知システムを構成するためのシステムを示す。
図5】開示される実施形態による、放射制御ソフトウェアを示す。
図6】開示される実施形態による、EMEを制御するようにタッチ検知システム(図4のタッチ検知システムなど)を構成するためのプロセスを示す。
図7】開示される実施形態による、基準信号の特定の形状についてタッチセンサにおけるEMEを評価するためのプロセスを示す。
図8】開示される実施形態による、タッチセンサにおいてEMEを最小化する波形の形状を決定するために分析され得る、許容可能な形状のリストを収集するためのプロセスを示す。
図9】開示された実施形態による、コスト関数を取得するためのプロセスを示す。
図10】開示される実施形態による、タッチセンサによって放射されるEMEを制御するように整形されたドライバ基準信号を提供するように構成されたタッチ検知システムを示す。
図11】開示される実施形態による、差動基準信号形状を利用する外来ノイズを補正するためのプロセスを示す。
図12】開示される実施形態による、サンプリングレートを変える(例えば、外来ノイズを補正するため)タッチ検知システムに応答して、基準信号の波形の形状を変えるように構成されたDACコントローラを示す。
図13】開示される実施形態による、タッチ検知システムの一部であるか、又はタッチ検知システムと連携して動作するEME制御回路を示す。
図14】開示される実施形態による、アプリケーションシステムに応答して、基本及び波形形状を動的に選択するためのプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなし、本開示を実施し得る具体的な例示的実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に説明される。しかしながら、他の実施形態が利用されてもよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造、材料、及びプロセスの変更が行われ得る。
【0023】
本明細書に提示する図は、任意の特定の方法、システム、デバイス、又は構造の実際の図であることを意図するものではなく、本開示の実施形態を説明するために用いられる理想化した表現にすぎない。本明細書に提示する図面は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。様々な図面における類似の構造又は構成要素は、読者の便宜のために同一又は類似の付番を保持し得る。しかしながら、付番における類似性は、構造又は構成要素が必ずしもサイズ、組成、構成、又は任意の他の特性において同一であることを意味するものではない。
【0024】
本明細書で概して説明され、図面に例示される実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、様々な実施形態の以下の説明は、本開示の範囲を限定することを目的とするものではなく、単に様々な実施形態を表すものである。実施形態の様々な態様が図面に提示され得るが、図面は、具体的に指示されていない限り、必ずしも尺度どおりに描画されていない。
【0025】
以下の説明は、当業者が開示される実施形態を実施することを可能にするのを補助するための実施例を含み得る。「例示的な」、「例として」、「例えば」という用語の使用は、関連する説明が、説明的なものであることを意味し、本開示の範囲は、実施例及び法的等価物を包含することを意図するものであり、かかる用語の使用は、実施形態又は本開示の範囲を特定の構成要素、ステップ、特徴、機能などに限定することを意図するものではない。
【0026】
更に、図示及び説明する具体的な実装形態は、単なる例であり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実施する唯一の方式と解釈されるべきでない。要素、回路、及び機能は、不要に詳述して本開示を不明瞭にしないように、ブロック図の形態で示され得る。逆に、図示し、説明する具体的な実施例は、単に例示的なものであり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実施する唯一の方法と解釈されるべきではない。更に、様々なブロック間での論理のブロック定義及びパーティショニングは、例示的な具体的実施例である。当業者には、本開示が多数の他のパーティショニングソリューションによって実施され得ることが容易に明らかになるであろう。大部分については、タイミングの考察などに関する詳細は省略されており、かかる詳細は、本開示の完全な理解を得るために必要ではなく、当業者の能力の範囲内である。
【0027】
本明細書で説明される情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、本明細書をとおして参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁場若しくは磁性粒子、光場若しくは光学粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。いくつかの図面は、表示及び説明を明確にするために、単一の信号として信号を例示してよい。当業者は、信号が信号のバスを表し得、このバスは様々なビット幅を有してもよく、本開示は、単一のデータ信号を含む任意の数のデータ信号で実施され得ると理解されたい。
【0028】
「第1」、「第2」などの表記を使用した、本明細書の要素に対する任意の言及は、かかる制限が明示的に記載されていない限り、それらの要素の数量又は順序を限定しないと理解されたい。むしろ、これらの表記は、本明細書において、2つ以上の要素又は要素の例を区別する便利な方法として使用される。したがって、第1の要素及び第2の要素への言及は、2つの要素のみが用いられ得ること、又は何らかの方法で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味するものではない。また、特に明記しない限り、一組の要素は、1つ以上の要素を含んでもよい。同様に、時には、単数形で言及される要素もまた、要素の1つ以上のインスタンスを含んでもよい。
【0029】
本明細書に開示する実施形態に関連して記載する様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書に記載の機能を実施するように設計され、これらの任意の組み合わせを用いて遂行され得る、又は実施され得る。汎用プロセッサ(本明細書では、ホストプロセッサ又は単にホストとも称され得る)は、マイクロプロセッサであってもよいが、代替的に、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械でもあってもよい。プロセッサはまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のかかる構成の組み合わせとして実装されてよい。プロセッサを含む汎用コンピュータは専用コンピュータとみなされ、汎用コンピュータは、本開示の実施形態に関連するコンピューティング命令(例えば、ソフトウェアコード)を実行するように構成される。
【0030】
また、実施形態は、フローチャート、フロー図、構造図、又はブロック図として示すプロセスに関して説明され得ることを留意されたい。フローチャートは、順次プロセスとして動作行為を説明してもよいが、これらの行為の多くは、別の順序で、並行して、又は実質的に同時に実施されてもよい。加えて、行為の順序は再調整され得る。プロセスは、方法、スレッド、機能、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。更に、本明細書で開示される方法は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実施されてもよい。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令又はコードとして記憶されてよい、又は送信されてよい。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及びコンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意の媒体など通信媒体の両方を含む。
【0031】
本開示で説明される実施形態の目的として理解されるように、静電容量センサは、静電容量センサの接触検知領域との物体(指又はスタイラスなど)の接触、又は静電容量センサの接触検知領域に対する物体の近似に応答し得る。本開示では、「接触」及び「タッチ」は、接触検知エリアとの物体の物理的接触及び物理的に接触せずに接触検知エリアに近接する物体の存在の両方を包含することを意味している。静電容量センサとの実際の物理的接触は必要とされない。
【0032】
物体が静電容量センサに接触するときに、接触場所にある又は接触場所の付近にあるセンサ内で静電容量の変化が生じ得る。アナログ取得フロントエンドは、特定の閾値を満たす場合、タッチを「検出」し得る。「荷電後転送(Charge-then-transfer)」は、静電容量変化を検出するために一部のタッチ取得フロントエンドにおいて実施される技法であり、それにより、検知コンデンサは、静電容量における変化に応答して荷電(例えば、より速く、又は遅く荷電)され、複数の転送サイクルにわたって電荷が積分コンデンサに転送される。このような荷電転送に関連付けられた電荷の量は、アナログデジタル変換器(ADC)によってデジタル信号に変換されてもよく、デジタルコントローラは、物体がセンサに接触した場合、それらのデジタル信号を処理して測定値を決定してもよい。
【0033】
自己静電容量センサは、グラウンドへの静電容量の変化を検出/これに応答する静電容量電界センサである。これらは、典型的には、タッチに対して独立して反応する列及び列のアレイでレイアウトされる。非限定的な例によって、自己静電容量センサは、浮動端子を有する共通の集積CMOSプッシュプルドライバ回路を使用した繰り返し荷電後転送サイクルを採用する回路を含んでもよい。相互静電容量センサは、2つの電極(駆動電極及び検知電極)間の静電容量の変化を検出/変化に応答する静電容量電界センサである。駆動電極及び検知電極対は、駆動線と検知線とのそれぞれの交点にコンデンサを形成する。自己静電容量及び相互静電容量技法は、同じタッチインターフェースで使用されてもよく、互いに相補的であってもよく、例えば、自己静電容量は、相互静電容量を使用して検出されたタッチを確認するために使用されてもよい。
【0034】
タッチセンサは、例えば、タッチパッド又はディスプレイスクリーンの接触検知面に組み込まれ得る2次元(2-D)接触検知面のための2-D配置に重ねられてもよく、関連アプライアンスとのユーザ相互作用を容易にし得る。絶縁保護層(例えば、樹脂、ガラス、プラスチックなど)を使用して、タッチセンサを覆ってもよい。本明細書で使用するとき、「タッチディスプレイ」又は「タッチパネル」は、2-Dタッチセンサを組み込んでいるディスプレイ(液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜トランジスタ(TFT)LCD、又は発光ダイオード(LED)ディスプレイなど)である。
【0035】
電荷転送技法を採用する相互静電容量センサのマトリクスセンサアプローチを使用するタッチスクリーンの例を使用すると、駆動電極は、基板の一方の側の行に延在してもよく、検知電極は、基板の他方側の列に延在してもよく、N×Mノードの「マトリクス」アレイを画定するようにする。各ノードは、駆動電極の導電線と検知電極の導電線との交点に対応する。駆動電極は、所与の行内のノードの全てを同時に駆動し(すなわち交流(A/C)刺激を提供する)、検知電極は、所与の列内のノードの全てを検知する。駆動電極と検知電極との静電容量結合は、ノード位置で、タッチイベントを示す静電容量変化に応答して、別個に測定されてもよく、又は両方とも測定されてもよい。例えば、駆動信号が行2の駆動電極に印加され、列3の検知電極が活性である場合、ノード位置は、(行2,列3)である。ノードは、駆動電極及び検知電極の異なる組み合わせを介して順序付けることによって走査され得る。あるモードでは、駆動電極は、検知電極が全て連続的に監視されている間に順次駆動されてよい。別のモードでは、各検知電極が順次サンプリングされてもよい。
【0036】
自己静電容量センサのマトリクスセンサアプローチを使用するタッチスクリーンの例を使用して、電極は、N×Mノードの「マトリクス」アレイを画定するために行及び列に延在してもよい。マトリクスセンサは、それぞれのノードの電極を用いて構築されてもよく、それぞれの電極は個々にアドレス可能であるか、又はそれぞれの行及び列はアドレス指定可能な電極であってもよく、それぞれのノードは、固有の行/列の対に対応する。駆動信号(すなわち、A/C刺激)は、センサの電極に繰り返し提供される。物体がセンサに接触すると、物体と電極との間の結合によって電極に引き込まれる電流が増加し、それにより見掛けのセンサ静電容量が増加し、センサ静電容量のこの増加が検出され得る。例えば、駆動信号が電極行2及び電極列3に印加される間に静電容量の増加が検出された場合、タッチの場所は行2、列3であり得る。補間技法を使用して、ノード間の場所を特定することができる。ノードは、電極の行及び列の組み合わせを通じて配列決定することによって順次走査され得る。
【0037】
上述の駆動信号(すなわち、AC刺激)は、EMEの1つの原因である。静電容量は、典型的に、駆動信号と同期して測定される。したがって、測定のサンプリングレートとEMEの放射頻度との間には直接関係がある。
【0038】
電磁放射(EME)は、空間を通じて伝搬する電磁場(EMF)の電磁波内で伝達されるエネルギー(例えば、電磁輻射(EMR))、及び材料を通じて伝導される電流で伝達されるエネルギー(例えば、伝導放射)を広く含むことを意味する。
【0039】
放射測定は、EMEを示す任意の測定可能な値を広く含むことを意味する。測定機器は、デバイスによって引き起こされるEMEの無線測定の手法(すなわち、測定機器とデバイスとの間の物理的接続なし)、デバイスによって引き起こされるEMEの有線測定の手法(すなわち、測定機器とワイヤなどのデバイスとの間に少なくとも1つの物理的接続あり)、又は無線測定の手法と有線測定の手法との組み合わせを使用する手法を使用し得る。
【0040】
タッチセンサのEME、より具体的には、タッチセンサを形成する電極の1つ以上のアレイのEMEは、特定の用途のEME限度を超える場合がある。N×Mタッチセンサの面積が増加するにつれて、タッチセンサのEMEも増加する。タッチセンサのEMRは、電磁界(EMF)の伝搬(すなわち、輻射)波であり、この波が電磁輻射エネルギーを運ぶ。
【0041】
とりわけ、タッチセンサのドライバによって使用される基準信号の波形は、検知動作中にタッチセンサによって放射されるEMRの量に影響を及ぼし得る。波形の1つのエッジから別のエッジへの急激な遷移は、EMRを増加させる高調波を生成する。図1は、立ち上がりエッジ2、トップエッジ3、立ち下がりエッジ4、及びボトムエッジ5を含む、例示的な方形波形1の周期を示す。遷移部6、7、及び8は、増加したEMRに対応する。図1は単純な例である。図2は、DAC近似である例示的な方形波形10を示す。エッジ間の遷移並びに方形波形10のエッジを形成する遷移単調部分は、EMRに寄与する。
【0042】
波形のエッジは、高調波、ひいてはかかる高調波を生成するEMRを制御するように整形され得る。タッチセンサにおいて波形を整形するための従来の技法は、パッシブフィルタを使用することであるが、特定のハードウェアを使用することで、それぞれのタッチセンサが特定のソリューションに結び付けられ、異なる用途ではEME限度を満たさないか又は同じ用途でも異なる国では限度を満たさない場合がある。例えば、欧州において近くの無線周波数(RF)アンテナを用いる用途に使用されるパッシブフィルタを有するタッチセンサは、米国における同じ用途に対するEME限度を満たさない場合があり、異なる周波数帯域を使用するRFアンテナを用いた用途に対するEME限度も満たさない場合がある。
【0043】
更に、パッシブフィルタがドライバ基準信号の波形を整形するために使用されるとき、検知スピードのトレードオフが存在する。検知スピードは、タッチプロセッサがどれだけ速くタッチセンサとの接触を特定し得るかである。検知スピードは、取込みレートの影響を受け、取込みレートは、タッチプロセッサがどのくらいの頻度でタッチセンサの電極の静電容量を測定するかである(取込みレートは、本明細書で「サンプリングレート」とも称される)。取込みレートが高いほど、検知スピードが速くなる。最適な取込みレートは、ドライバ基準信号がフラットトップを有するときに達成されるが、パッシブフィルタは、フラットトップではなく下方に傾斜するトップを有する波形の信号を提供する。
【0044】
最後に、本開示の発明者らに既知のパッシブフィルタリング技法は、タッチセンサドライバの非線形性を補正しない。
【0045】
したがって、本開示の発明者らは、パッシブフィルタリング技法の欠点の一部又は全てを伴わない波形整形技法の必要性を理解している。
【0046】
波形の非単調部分は、高調波、ひいてはドライバ基準信号のEMRを制御するために使用され得る。図3Aは、DAC出力波形の例示的なエッジ12を示し、エッジ12は単調増加として付けられ得る。図3Bは、DAC出力波形の例示的なエッジ13を示し、エッジ13は、非単調性として特徴付けられ得る部分14を含み、そのため、エッジ13も非単調として特徴付けられる。本開示では、意図的に導入された非単調部分を有する波形は、「任意の波形」と称され、かかる波形を有する信号は、「任意の信号」と称される。
【0047】
高調波を制御するため、及びより一般的にEMEを制御するため、タッチセンサドライバの基準信号に対する任意の波形を生成するために使用され得る波形整形技法が必要とされている。
【0048】
いくつかの開示される実施形態は、概して、タッチセンサのドライバによって使用される基準信号の波形を整形して、検知動作中にタッチセンサによって放射されるEMEを制限することに関する。開示される実施形態では、整形は、検知動作に使用可能なサンプリング周波数の1つ以上の周波数帯域に対して実施されてもよい。整形は、基準信号の波形の一部又は波形全体に実施されてもよい。1つ以上の周波数帯域に対して予め規定された限度を下回る(又は予め規定された範囲内の)EMEに対応することが検出される、1つ以上の形状が選択されてもよい。選択された形状に対応する、nビットデジタルコード(本明細書では、「nビットコード」とも称される)が記憶されてもよい。いくつかの実施形態では、選択された形状は任意の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、選択された形状は、非単調及び/又は単調部分を含んでもよく、nビットコードのシーケンスのうちの少なくともいくつかのnビットコードは、かかる部分に対応し得る。
【0049】
開示される実施形態は、本明細書に記載されるものを含むがこれらに限定されない、多くの利点及び利益を有することが理解されるべきである。例えば、いくつかの開示される実施形態では、ドライバの基準電圧を生成するために使用可能な、DACの既知及び未知の非線形性によって、少なくとも部分的に引き起こされる電磁輻射が克服され得る。
【0050】
開示される実施形態では、ドライバ基準信号の波形の形状(すなわち、「波形形状」)は、DACによって出力されるドライバ基準信号の波形の形状及び/又はかかる形状を有する信号を生成するためにDACに適用されるnビットコードのシーケンスに関して記述される場合がある。
【0051】
図4は、EMEを制御するようにタッチ検知システム110を構成するためのシステム100の一実施形態を示す。システム100は、タッチ検知システム110、タッチセンサ130、測定機器140、放射制御ソフトウェア150、及び放射要件160を含んでもよい。タッチ検知システム110は、一般に、タッチセンサ130における静電容量を測定し、それらの測定値に応答してタッチを検出し、報告するように構成される。
【0052】
タッチ検知システム110は、DACが基準とするドライバ111及び112、nビットDAC113及び114、DAC制御115、並びにタッチ検出器116を含んでもよい。nビットDAC113及び114は、ビットストリーム117及び118をそれぞれ受信し、ビットストリーム117及び118に応答してドライバ基準信号119及び120を出力するように構成される。図4に示す例では、基準信号119及び120は、出力基準119及び入力基準120として標識されるが、これは、この例が、タッチセンサ130の電極の行及び列に別個のドライバを使用するためである。他の実施形態では、1つのドライバ又は2つを超えるドライバなど、この例とは異なる数のドライバが使用されてもよい。
【0053】
DAC制御115は、それぞれnビットDAC113及び114にビットストリーム117及び118を提供するように構成される。開示される実施形態では、ビットストリーム117及び118は信号形状に対応する。DAC制御115は、メモリ(図示せず)内に信号形状のビットストリームを記憶し得る。例えば、4ビットDACを使用する場合、DAC制御115は、4ビットコードのシーケンスを記憶し、その4ビットコードのシーケンスは、所望の形状を有する波形に対応する。DAC制御115は、nビットコードの第1のシーケンスを記憶して、nビットDAC113に基準信号119を生成させ、nビットのコードの第2のシーケンスを記憶して、nビットDAC114に基準信号120を生成させ得る。
【0054】
図4に示す例では、DAC制御115は、nビットDAC113及び114の両方を制御する。別の実施形態では、タッチ検知システム110は、複数のDAC制御モジュールを含んでもよく、例えば、それぞれのnビットDACは、専用のDAC制御モジュールから制御されても(すなわち、ビットストリームを受信しても)よい。
【0055】
測定機器140は、概して、タッチセンサ130から放射されるEME132を測定するように構成される。より具体的には、測定機器140は、検知動作中にタッチセンサ130から放射されたEME132を測定し、検出動作中にEME132に対応する放射測定値142を放射制御ソフトウェア150に提供するように構成される。測定機器140としては、EME132を直接的又は間接的に測定するための任意の好適なセンサ(単数又は複数)、例えば、スペクトル分析器、ガウスメーター、EMFメーター、体内電圧を測定するためのマルチメーター(mustimeters)、E場センサ、及び/又はH場センサが挙げられ得る。放射制御ソフトウェア150は、概して、検知動作に対応する放射測定値142を分析し、分析結果に基づいて、nビットコードのシーケンス、ひいては検知動作中に使用されたドライバ基準信号119及び120の形状を評価するように構成される。例えば、放射制御ソフトウェア150は、放射測定値142を適用可能なEME要件160と比較することによって、nビットコードのシーケンスを評価し得る。放射測定値142が適用可能な限度を下回る場合、nビットコードのシーケンスは、DAC制御115によって記憶され得る。放射測定値142が適用可能な限度を超える場合、放射制御ソフトウェア150は、試験のために、新しい信号形状に対するnビットコードの新しいシーケンスをDAC制御115に提供し得る。nビットコードのシーケンスを選択し、検知動作を実施し、EME132を測定し、測定されたEME132及び放射要件160に基づいてnビットコードのシーケンスを評価するプロセスは、許容可能な信号形状が特定されるまで繰り返されてもよい。
【0056】
放射要件160は、規格162及び/又はカスタム要件164を含んでもよい。例として、規格162は、自動車用途で使用される電気デバイス及び電子デバイスにおける電磁干渉を制御するための規格であるCISPR25などの自動車規格であってもよい。カスタム要件164は、例えば、顧客要件、規格を超える要件、及び規格が存在しないか又は業界で受け入れられた規格がない用途に対する要件を含む、任意のものであってもよい。
【0057】
図5は、波形最適化装置152、コード発生器154、及び放射分析器156を含む放射制御ソフトウェア150の一実施形態を示す。波形最適化装置152は、概して、検知動作中にタッチセンサ130から放射されるEMEを理論的に改善するための、波形の形状の変化を決定するように構成される。一実施形態では、波形最適化装置152は、最適化アルゴリズムに基づき、より具体的には、以下により詳細に記載されるようにコスト関数の出力に従って、変化を選択してもよい。開示される実施形態は、波形最適化装置152によって決定される波形の形状の実際の変化が実際に最適であることを必要としないことを理解されたい。
【0058】
コード発生器154は、概して、波形最適化装置152によって選択される波形の形状に対応するnビットコードのシーケンスを生成するように構成される。放射分析器156は、概して、測定機器140からの放射測定値142を分析し、タッチセンサ130から放射されたEMEが、様々な放射要件と比較してどうであるかを決定するように構成される。
【0059】
開示される実施形態では、EMEを改善する波形形状を見つけるために、任意の好適な包括最適化アルゴリズムが使用されてもよい。一実施形態では、試験されるnビットコードのそれぞれのシーケンスは、包括最適化アルゴリズムのパラメータである。場合によっては、nビットコードのシーケンスのリストは長い可能性があり、そのため、最適化アルゴリズムは過剰な時間を浪費する可能性があり、そのため、一実施形態では、nビットコードのシーケンスのリストを使用することに加えて、又はnビットコードのシーケンスのリストを使用する代わりに、より少数のパラメータが波形を表すために使用されてもよい。例えば、波形は、異なる瞬間で評価される多項式として表されてもよく、包括最適化アルゴリズムのパラメータは、ある瞬間における多項式の係数である。別の例として、波形は、スプライン、ベジェ曲線、又はテイラー級数の係数として表すことができ、これにより、複雑な形状をパラメータの限定されたリストで表すことが可能になる。
【0060】
図6は、開示される実施形態による、EMEを制御するようにタッチ検知システム(タッチ検知システム110など)を構成するためのプロセス200を示す。動作201では、基準信号が、いくつかの検知動作中にドライバに提供される。異なる検知動作中に提供される基準信号のそれぞれは、異なる形状を有する。換言すれば、第1の検知動作中に提供される基準信号は、後続の検知動作中に提供される基準信号とは異なる形状を有する。動作202では、基準信号を提供すると同時に、タッチセンサによって放射されたEMEに応答して基準信号の最適な形状が検出される。一実施形態では、基準信号の最適な形状は、適用可能なEME限度を下回る第1の形状であるために検出され得る。別の実施形態では、基準信号の最適な形状は、試験を受けたいくつかの形状の最も低いEME測定値に対応する(すなわち、形状は最小EME測定値に対応する)ために検出され得る。一実施形態では、基準信号の最適な形状は、試験を受けたいくつかの形状の、EME限度を下回る最も低いEME測定値に対応するために検出され得る。動作203では、DACに最適な形状を有する基準信号を発生させるための命令が記憶される。命令は、最適な形状に対応するnビットコードのシーケンスであってもよく、又は該nビットコードのシーケンスを含んでもよい。
【0061】
図7は、開示される実施形態による、基準信号の特定の形状に対するタッチセンサにおけるEMEを評価するためのプロセス210を示す。動作211では、ドライバ基準信号が検知動作のために提供され、基準信号は予め選択された形状を有する。動作212では、検知動作中にタッチセンサによって放射されたEMEが測定される。動作213では、EME測定値が適用可能な限度を下回るためにEMEが許容可能である場合、動作216で、基準信号の現在の形状に対応するnビットコードのシーケンスが記憶され、プロセス210は終了する。許容可能でない場合、動作214で、測定されたEMEに応答して基準信号の新しい形状が選択され、動作215で、新しい形状を有する、ドライバのための新しい基準信号が提供され、動作212が再び実施される。
【0062】
図8は、開示される実施形態による、タッチセンサにおけるEMEを改善する信号形状を決定するために分析され得る、許容可能な信号形状のリストを収集するためのプロセス220を示す。動作221では、ドライバ基準信号が検知動作のために提供され、基準信号は予め選択された信号形状を有する。動作222では、検知動作中にタッチセンサによって放射されたEMEが測定される。動作223では、EME測定値が適用可能な限度を下回るためにEMEが許容可能である場合、動作227で、基準信号の現在の形状に対応するnビットコードのシーケンスが記憶される。
【0063】
動作224では、試験する信号形状がそれ以上存在するかどうかが決定され、存在しない場合、プロセス220は終了する。一実施形態では、試験された信号形状は、予め選択された信号形状のセットであってもよく、プロセス220は、全ての予め選択された信号形状が試験された場合に終了する。
【0064】
別の実施形態では、コスト関数が使用されてもよく、コスト関数を最小化する形状が見出されたときに、プロセス220は終了する。コスト関数は、放射測定値を分析し、放射要件に対するEMEの適合性を評価する出力を戻し得る。
【0065】
より多くの信号形状が試験されるべきである場合、動作225で、基準信号の新しい信号形状が選択され、動作226で、新しい信号形状を有する、ドライバのための新しい基準信号が提供される。nビットコードの複数のシーケンスが存在する場合、最も低いEMEを有するnビットコードのシーケンスが選択され得る。
【0066】
図9は、開示される実施形態による、プロセス220で使用されるコスト関数などのコスト関数を取得するためのプロセス230のフローチャートを示す。図9の実施形態では、コスト関数は、放射要件の遵守の改善を表すためにより低い値を返し、放射要件の遵守の悪化を表すためにより高い値を返し得る。他の実施形態では、他の慣例が使用されてもよい。
【0067】
動作231で、いくつかの放射測定値が受信される。放射測定値は、特定の波形形状に対応し得る。動作232では、放射測定値のうちの最も高い放射測定値が特定される。最も高い放射測定値は、規定された放射限度を上回るか又は下回るかにかかわらず特定され得る。
【0068】
動作233では、超過値が取得され、記憶される。超過値のそれぞれについて、超過値は、動作231のそれぞれの放射測定値と規定された放射限度との間の差を計算することによって取得され得る。
【0069】
動作234では、マージン値が取得され、記憶される。マージン値は、動作232で特定された最も高い放射測定値と規定された放射限度との間の差を計算することによって取得され得る。動作235では、超過値が合計され、合計された超過値は、コスト関数を増加させるために使用される。超過値が存在しない場合、動作236で、マージン値がコスト関数を減少させるために使用される。
【0070】
他の実施形態は、追加的に又は代替的に、合計された超過値からマージン値を減算し、その結果を使用して(結果が正でるか又は負であるかに応じて)コスト関数の増加又は減少のいずれかを行うことによって、コスト関数を取得し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、放射要件は、いくつかの周波数帯域における放射限度を規定する場合があり、プロセス230などのプロセスは、周波数帯域のそれぞれについて波形形状に関連付けられたコスト関数を決定するために使用され得る。他の実施形態では、放射要件は、いくつかの周波数帯域を規定し、それぞれの周波数帯域について、異なる測定方法に対する放射限度を規定する場合があり、プロセス230などのプロセスは、それぞれの組み合わせ周波数帯域及び測定方法について波形形状に関連付けられたコスト関数を決定するために使用され得る。例えば、放射要件は、スペクトルをRFID帯域、長波(LW)帯域、及び中波(MW)帯域に分割し、それぞれの周波数帯域について、ピーク(PK)、準ピーク(QP)、及び/又は平均(AV)放射に対する放射限度を規定する場合がある。したがって、対象とする周波数帯域と測定方法とのそれぞれの組み合わせについて、コスト関数が決定され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、構成プロセス(プロセス200、210、及び220など)は、異なる基本周波数を有する異なるサンプリングレートに対して複数回実施されてもよい。nビットコードの複数のシーケンスが記憶されてもよく、nビットコードのそれぞれのシーケンスは、特定のサンプリングレート/基本周波数に対してEMEを最適化する信号形状に関連付けられる。異なる基本周波数に対するnビットコードの複数のシーケンスを記憶するいくつかの利点は、図10及び図11に関連して説明される。
【0073】
いくつかの開示される実施形態は、概して、DACが基準とするタッチセンサドライバに関し、タッチセンサで放射されるEMEの量を制御することに関する。より具体的には、DACは、EME限度を満たすようにタッチセンサで放射されるEMEの量を制御するように整形された波形を有する、整形された基準信号を生成するように制御される。かかる限度は、例えば、規格によって規定されてもよく、又はタッチ検知システムが使用される特定の用途のためにカスタマイズされてもよい。
【0074】
図10は、開示される実施形態による、タッチセンサによって放射されるEMEを制御するように整形された基準信号306及び307を提供するように構成されたタッチ検知システム300の一実施形態を示す。図10に示す実施例では、タッチ検知システム300は、概して、自己静電容量検知技法を実施するように構成される。タッチ検知システム300は、ドライバ301及び302、nビットDAC303及び304、並びにタッチ検出器305を含んでもよい。タッチコントローラ310は、基準信号306及び307の改善された形状に対応するnビットコード311を記憶している。ビットストリーム発生器312は、DACコントローラ310が、受信したクロック信号と連携して、nビットDAC303及び304に改善された形状を有する基準信号を出力させるビットストリーム308及び309を生成することを可能にする論理である。より具体的には、ビットストリーム発生器312は、例えば、タッチ検知システム300によって使用される所望のサンプリングレートに基づいて、ビットストリーム308及び309がnビットDAC303及び304に提供されるレートを制御し得る。ドライバ301及び302は、基準信号306及び307にそれぞれ応答して、タッチセンサ(図示せず)の電極を駆動するための駆動信号315及び316をそれぞれ出力し得る。
【0075】
タッチ検出器305は、駆動信号316の信号レベルを測定し、タッチ検知システム300に動作可能に結合されたタッチセンサにおける接触によって引き起こされる信号レベルの変化を検出するように構成される。より具体的には、タッチ検出器305は、タッチセンサに接触する物体からの見掛けの追加静電容量によって生じる電流の増加を検出し得る。タッチ検出器305は、閾値を満たす又は閾値を超える信号レベルの変化を検出した場合にタッチを報告する。
【0076】
図10に示される例示的なシステムでは、駆動信号316を測定するタッチ検出器305が示されているが、開示される実施形態はそのように限定されない。タッチ検出器305はまた、駆動信号315を測定してタッチを検出するか、又は駆動信号316及び駆動信号316の両方を測定してタッチを検出してもよい。図10に示される例示的なシステムは、2つのドライバ301及び302を含むが、駆動信号をタッチセンサに提供するために他のドライブ数、例えば、1つのドライバ又は2つを超えるドライバが使用されてもよいことを理解されたい。図10に示される例示的なシステムは、自己静電容量検知技法を実施するように構成されており、本明細書に記載の企図される動作は、自己静電容量検知に関連して説明されているが、開示される実施形態はそのように限定されない。別の実施形態では、タッチ検知システム300は、相互静電容量検知のために構成されてもよく、駆動信号及び検知信号は、整形された基準信号に応答してタッチセンサに提供され、タッチ検出器305は、検知信号を測定してタッチセンサにおけるタッチを検出するように構成される。
【0077】
場合によっては、サンプリングレートの周波数により、測定は外来ノイズの影響を受けやすくなり得るが、異なる周波数によって、測定は外来ノイズの影響を受けにくくも受けやすくもなり得る。いくつかの開示される実施形態は、概して、タッチセンサにおける外来ノイズの影響を補正することに関する。開示される実施形態では、サンプリングレートは、外来ノイズに応答して第1のサンプリングレートから第2のサンプリングレートに変わり得る。より具体的には、開示される実施形態では、サンプリングレートは、第1のサンプリングレートより外来ノイズの影響を受けにくい(すなわち、ほとんど影響されない)第2のサンプリングレートに変わり得る。第1のサンプリングレートは第1の基本周波数に関連付けられてもよく、第2のサンプリングレートは第2の基本周波数に関連付けられてもよい。ドライバによって使用可能な基準信号の形状は、第2の基本周波数に応答して変わり得る。
【0078】
図11は、異なる基準信号形状を利用する、外来ノイズを補正するためのプロセス320の一実施形態を示す。動作321では、第1のドライバ基準信号が出力される。ドライバ基準信号は、第1のサンプリングレートに対する第1の基本周波数に対応する第1の形状を有する。動作322では、タッチセンサは、第1の基本周波数に関連付けられた第1のサンプリングレートで測定される。動作323では、第2の基本周波数は、検出された干渉に応答して決定される。一実施形態では、外来ノイズに対する感受性を低減する第2のサンプリングレートが決定され、第2の基本周波数は、第2のサンプリングレートに基づいて決定される。一実施形態では、第2の基本周波数及び第2のサンプリングレートは、それぞれに、所定の関連性を有する、いくつかの所定の基本周波数及び所定のサンプリングレートのうちの1つであってもよい。動作324では、ドライバのための第2の基準信号が提供される。第2の基準信号は、第1の形状とは異なる第2の形状を有し、第2の形状は、第2の基本周波数に関連付けられる。動作325では、タッチセンサは、第1の基本周波数に関連付けられた第2のサンプリングレートでサンプリングされる。
【0079】
図12は、サンプリングレートを変える(例えば、外来ノイズを補正するため)タッチ検知システムに応答して、基準信号の形状を変えるように構成されたDACコントローラ400の一実施形態を示す。DACコントローラ400は、プロセッサ401、プログラムメモリ402、及びデータメモリ406を含む(データメモリ406は、実装形態によって単にプログラムメモリの一部であり得る)。プログラムメモリ402は、基準信号の形状を変えるようにDACを制御することを含む、開示された実施形態を実施することに関連する様々な用途のプログラムを記憶するように構成される。この例では、コードセレクタ403、基本周波数検出404、及びビットストリーム発生器405は、プログラムメモリ402に記憶される。データメモリ406は、基準信号の改善された形状に対するnビットコードのシーケンス407を記憶するように構成される。それぞれの記憶されたnビットコードのシーケンス407は、特定の基本周波数、f0、408に関連付けられる。一実施形態では、nビットコードのシーケンス407及び基本周波数408はルックアップテーブル(LUT)として記憶されてもよく、LUTは、基本周波数408、基本周波数f0に対応するサンプリングレート、又はいくつかの他のキーの値を使用して検索可能であってもよい。
【0080】
DACコントローラ400の企図される動作では、基本周波数検出404は、例えば、ビットストリーム発生器405が新しいサンプリングレートに適応するようにビットストリームレートを変えたため、サンプリングレートは変化したと判断する。基本周波数検出404は、新しいサンプリングレートに関連付けられた基本周波数を決定する。コードセレクタ403は、基本周波数を使用して、データメモリ406に記憶されたnビットコードのシーケンス407の中から1つのnビットコードのシーケンスを選択する。別の実施形態では、コードセレクタ403は、ビットストリーム発生器405のビットストリームレートに基づいて決定された新しいサンプリングレートを使用してもよい(この場合、基本周波数検出404は省略されてもよい)。コードセレクタ403は、選択されたnビットコードのシーケンスをビットストリーム発生器405に提供して、DACのためのビットストリームを生成する。
【0081】
用途によっては、EME要件は、非常に厳密である場合があり、全てのEME限度が単一の基本周波数及び波形形状によって満たされ得るわけではない。別の言い方をすれば、複数のEME限度が特定の用途に関連付けられる場合があり、望ましくない高調波、すなわち、タッチシステムにEME限度のうちの少なくとも1つを超えさせる高調波を発生させない単一の基本周波数及び波形形状の組み合わせを見出すことはできない。
【0082】
例えば、企図される用途では、EME限度は、RFID、LW、及びMW帯域に対して施行され得る。所与の基本周波数及び波形形状を用いて動作するタッチシステムは、RFID及びLWに対するEME限度を尊重する(すなわち、満たす)ことができ得るが、MWに対するEME限度を超える。あるいは、異なる基本及び波形形状又は同じ基本及び異なる波形形状を使用するタッチシステムは、RFID及びMWに対するEME限度を尊重するが、LWに対するEME限度を超え得る。換言すれば、この実施例では、RFID及びLWに対するEME限度を満たす基本及び形状が見出され、RFID及びMWに対するEME限度を満たす基本及び形状が見出されるが、RFID、MW、及びLWに対するEME限度を満たす基本及び形状は見出されない。
【0083】
このように、いくつかの開示される実施形態は、概して、放射制御回路と、システムレベルの使用情報及び定性的EME情報に少なくとも部分的に基づいてタッチ検知システムのためのタッチ検知基本周波数及び/又は波形形状の動的選択を実施するように構成された、放射制御回路を含むタッチ検知システムと、に関する。システムレベルの使用情報は、例えば、タッチ検知システムがその一部であるアプリケーションシステム内の他のデバイスの現在の状態に関する情報であってもよく、又はシステムレベルの使用情報は、EME限度を優先する(例えば、MW限度をLW限度より優先する)方法に関する命令であってもよい。
【0084】
定性的EME情報は、関連する基本周波数及び波形形状の定性的特徴、並びに/又は、EMEの観点から、基本周波数及び波形形状の関連性を定性的に特徴付けるために使用され得る情報である。定性的EME情報としては、基本及び波形形状の様々な対に関して、例えば、高調波に関する情報、特定の帯域及び/若しくは領域に関するEME限度に関する情報、特定のEME限度が満たされているか若しくは試験されたかどうかに関する情報、又はアプリケーションシステムに関連するEME限度が所与の基本及び波形形状によって満たされ得るかどうかを決定するために使用され得る任意の他の情報が挙げられ得る。満たされたEME限度は、例えば、動作中に生じる可能性があるEMEレベル、スペクトル(例えば、LW、MW、及びRFID)の満たされた部分、及び特定の地理的領域(例えば、北米、南米、及び欧州)に対して満たされた限度として表現され得る。満たされたEME限度に関する情報はまた、例えば、地理的領域又は帯域によって満たされない、破られたEME限度に関する情報を含んでもよい。
【0085】
図13は、開示される実施形態による、タッチ検知システム502の一部であるか、又はタッチ検知システム502と連携して動作する、EME制御回路505を示す。開示される実施形態では、タッチ検知システム502は、タッチ検出回路503、タッチ検知回路504、及びEME制御回路505を含んでもよく、また、タッチセンサ501も含むタッチシステム500の一部である。図13に示す実施形態では、タッチシステム500は、他のデバイス及び/又は構成要素(図示せず)を含み得る、より包括的なアプリケーションシステムの一部であるサブシステムである。タッチ検知回路504は、タッチセンサ501への検知信号512(例えば、駆動信号)を提供及び受信するように構成されてもよく、タッチ検出回路503は、検知信号512に基づいた測定値511に応答してタッチ513を報告するように構成されてもよい。
【0086】
開示される実施形態では、EME制御回路505は、概して、特定のEME要件を満たすために、アプリケーションシステムの状態を監視し、タッチ検知回路504の動作を制御するように構成されてもよい。EME制御回路505は、より広範なアプリケーションシステムに関する状態情報508と、改善された基本及び関連する波形形状に関する定性的EME情報507と、を(例えば、データメモリ、レジスタ、バッファ、及びそれらの組み合わせに)記憶し、記憶された状態情報508及び定性的EME情報507に少なくとも部分的に基づいて基本及び/又は波形形状を選択し、選択された基本及び/又は波形形状に応答して選択信号510を提供するように構成されてもよい。
【0087】
一実施形態では、EME制御回路505は、アプリケーションシステムに関するシステムレベルの使用情報509を受信し、受信されたシステムレベルの使用情報509に少なくとも部分的に基づいて状態情報508を記憶するように構成されてもよい。一実施形態では、アプリケーションシステムは、システムレベルの使用情報509をタッチシステム500に提供し得る。例えば、アプリケーションシステムは、システムレベルの使用情報509として、システム内の他のデバイスに関する情報、それらのデバイスに関連付けられたEME限度に関する情報、及び/又は領域設定(例えば、北米、南米、又は欧州)などのアプリケーション固有の設定に関する情報を提供し得る。一実施形態では、EME制御回路505、タッチ検知システム502、又はより一般的にタッチシステム500は、アプリケーションシステムから、例えば、アプリケーションシステムのコンピュータ、サブシステム、又はスタックからシステムレベルの使用情報509を収集又は受信するための通信リンク又は通信プロトコルを含んでもよい。
【0088】
例えば、アプリケーションシステムが複数の無線送信機及び受信機を含む場合、システムレベルの使用情報509は、無線機がどの帯域及び/若しくは周波数を受信/送信するように構成されるか、並びに/又はどの帯域及び/若しくは周波数が実際に無線機によって受信/送信されているかに関する情報を含んでもよい。
【0089】
図13に示す実施形態では、基本及び関連する波形形状(例えば、nビットコードのシーケンス)は、定性的EME情報507と共に記憶されてもよく、又は選択論理506によってアクセス可能な別のメモリ場所(図示せず)に記憶されてもよい。実際に、図13に示す実施形態では、EME制御回路505は、DAC(図示しないが、例えば、図10のDAC303又は304)を制御するためのDACコントローラ(図10に示すDACコントローラ310など)であっても又はDACコントローラの一部であってもよく、選択信号510は、例えば、ドライバ基準信号であってもよい。別の実施形態では、EME制御回路505は、別個のモジュール(すなわち、DACコントローラとは別個のもの)であってもよく、タッチ検知回路504の一部であるDACコントローラに選択信号510を提供するように構成されてもよい。例えば、EME制御回路505は、好ましいEMEの特徴を有する選択された基本及び形状に関する情報をDACコントローラに提供するように構成されてもよく、かかるDACコントローラは、次いで、EME制御回路505によって提供される情報に対応するnビットコードのシーケンスを選択し得る。
【0090】
EME制御回路505は、状態情報508及び定性的EME情報507に少なくとも部分的に基づいて基本及び波形形状を動的に選択するように構成された基本及び波形形状選択論理506を含んでもよい。一実施形態では、基本及び波形形状選択論理506は、状態情報508を監視し、状態情報508の変化を検出するように構成されてもよい。基本及び波形形状選択論理506が変化を検出した場合、基本及び波形形状選択論理506は、定性的情報507及び新しい状態情報508に基づいて基本及び波形形状を選択し、選択に応答して選択信号510を提供するように構成されてもよい。
【0091】
図14は、アプリケーションシステムに応答して基本及び波形形状を動的に選択するためのプロセス520の一実施形態を示す。
【0092】
動作521では、第1の基準信号に応答して、第1の検知信号が提供される。第1の基準信号は、第1の基本周波数に関連付けられた第1の波形形状に対応する形状を有し得る。第1の基本周波数及び第1の波形形状は、第1の基本周波数と第1の波形との関連性を特徴付ける定性的EME情報に記載されているような、アプリケーションシステムに関する好ましいEMEの特徴を有し得る。動作522では、第1の検知信号に応答して、タッチ検知測定が実施される。一実施形態では、第1の検知信号は駆動信号であり、タッチ検知測定値は自己静電容量測定値である。動作523では、アプリケーションシステムに関する新しい状態情報が検出される。動作524では、新しい状態情報と、選択されたものを含む基本周波数及び波形形状のいくつかの対の関連性を特徴付ける定性的EME情報と、に応答して、第2の基本周波数及び/又は第2の波形形状が選択される。第2の基本周波数及び/又は第2の波形形状は、例えば、定性的EME情報が、第1の基本周波数及び第1の波形形状より、新しい情報を与えられたEMEの観点からより好ましい(好ましくは、利用可能な基本周波数及び波形形状の他の組み合わせよりも好ましい)関連性を特徴付けるために選択され得る。より好ましいEMEの特徴は、例えば、基本周波数及び関連する波形形状が、アプリケーションシステム内の様々なデバイスに対するEME限度内か、又はアプリケーションシステムが配備されている地理的領域内のEME限度内にあるEMEをもたらすことを示し得る。
【0093】
動作525では、第2の基準信号が提供される。第2の基準信号は、第1の波形形状とは異なる第2の波形形状を有する。動作526では、第2の基準信号に応答して第2の検知信号が提供され、動作527では、第2の検知信号に応答してタッチセンサ測定が実施される。
【0094】
当業者であれば、開示される実施形態は多くの利点及び利益を有することを理解するであろう。例えば、無線アンテナの場所に基づいて、無線品質に基づいて、使用場所に基づいて(例えば、限定するものではないが、EMEに関連する特定の要件を有する国)、及び/又は他の機器(例えば、限定するものではないが、オーディオシステム、自動車のリモートエントリ機器、通信機器)の存在に基づいて、異なる電磁放射限度の遵守を可能にすること、世界中の無線帯域(例えば、限定するものではないが、周波数帯域)の割り当てに対するEME要件の遵守を可能にすること、並びにハードウェアパッシブフィルタを使用せずにソフトウェアによってスペクトルコンテンツを制御する能力、などがある。
【0095】
更なる例として、開示される実施形態は、製造後に、DACコントローラ及びより一般的にタッチ検知システムの調整を可能にし、それにより、そうでなければパッシブフィルタを使用するシステムに必要とされる再設計サイクルを省くことによって市場投入までの時間を短縮することができる。
【0096】
なお更なる例として、DACソリューションをチューニングソフトウェア(例えば、放射制御ソフトウェア150)と組み合わせることにより、そうでなければ不必要な高調波で信号を引き起こすドライバステージにおける非線形性を補正することができる。
【0097】
なお更なる例として、DACを制御するソフトウェアを使用して、ドライバのために整形された基準信号を生成することにより、ハードウェアパッシブフィルタなどの他のソリューションより高速な信号獲得を可能にする。
【0098】
本開示は、特定の例示される実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者は、本発明がそのように限定されないことを認識し、理解するであろう。むしろ、以下にそれらの法的等価物と共に特許請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく、例示され、説明される実施形態に対して数多くの追加、削除、及び修正を行うことができる。加えて、一実施形態の特徴は、本発明者(又は本発明者ら)によって想到されるように、別の開示した実施形態の特徴と組み合わせることができるが、それでも、本開示の範囲内に包含される。
【0099】
本開示の更なる非限定的な実施形態は、以下のとおりである。
【0100】
実施形態1:タッチ検知システムであって、波形形状に対するコードを出力するように構成されたデジタル・アナログ変換器(DAC)コントローラであって、前記コード又は前記波形形状は、前記タッチ検知システムにおいて限度を下回る電磁放射(EME)を示すことに関連付けられる、デジタル・アナログ変換器(DAC)コントローラと、前記DACコントローラによって出力された前記コードに応答して、第1の整形された基準信号を出力するように構成されたDACと、前記第1の整形された基準信号に応答して、タッチセンサに駆動信号を提供するように構成されたドライバと、前記駆動信号の変化した信号レベルに応答して、タッチを報告するように構成されたタッチ検出器と、を備える、タッチ検知システム。
【0101】
実施形態2:前記DACコントローラは、nビットコードのシーケンスを記憶するように構成され、前記DACコントローラによって出力される前記波形形状に対する前記コードは、前記記憶されたnビットコードのシーケンスのうちの1つを含むビットストリームである、実施形態1に記載のシステム。
【0102】
実施形態3:前記記憶されたnビットコードのシーケンスのうちの少なくとも1つの他のシーケンスは、前記タッチ検知システムにおいて異なる限度を下回るEMEを示すことに関連付けられる、実施形態1及び2のいずれかに記載のシステム。
【0103】
実施形態4:前記DACコントローラは、nビットコードのシーケンスを記憶するように構成され、前記記憶されたnビットコードのシーケンスのそれぞれは、異なるサンプリングレートに関連付けられる、実施形態1~3のいずれかに記載のシステム。
【0104】
実施形態5:前記DACコントローラは、第1の基本周波数に応答して、第1の波形形状に対する第1のコードを出力し、第2の基本周波数に応答して、第2の波形形状に対する第2のコードを出力するように構成され、前記第1の基本周波数は第1のサンプリングレートに関連付けられ、前記第2の基本周波数は第2のサンプリングレートに関連付けられる、実施形態1~4のいずれかに記載のシステム。
【0105】
実施形態6:前記DACコントローラは、前記第1の整形された基準信号の形状に対応する第1のnビットコードのシーケンスに少なくとも部分的に基づいた第1のビットストリームを提供し、第2の整形された基準信号の形状に対応する第2のnビットコードのシーケンスに少なくとも部分的に基づいた第2のビットストリームを提供するように構成される、実施形態1~5のいずれかに記載のシステム。
【0106】
実施形態7:前記DACコントローラは、第1のサンプリングレートに関連付けられた第1のレートで前記第1のビットストリームを提供し、第2のサンプリングレートに関連付けられた第2のレートで前記第2のビットストリームを提供するように構成される、実施形態1~6のいずれかに記載のシステム。
【0107】
実施形態8:1つ以上のメモリを更に備え、該1つ以上のメモリは、波形形状に対するnビットコードのシーケンスと、基本と前記nビットコードのシーケンスのうちの少なくともいくつかとの関連性を特徴付ける定性的電磁放射(EME)情報と、アプリケーションシステムに関する状態情報と、を記憶するように構成される、実施形態1~7のいずれかに記載のシステム。
【0108】
実施形態9:第1のnビットコードのシーケンス及び第2のnビットコードのシーケンスは、同じ基本周波数に関連付けられており、前記定性的EME情報は、前記基本周波数と第1のnビットコードのシーケンスとの高調波の第1の特徴付けと、前記基本周波数と前記第2のnビットコードのシーケンスとの高調波の第2の特徴付けと、を含む、実施形態1~8のいずれかに記載のシステム。
【0109】
実施形態10:前記状態情報及び前記定性的EME情報に応答して、前記nビットコードのシーケンスのうちの1つのnビットコードのシーケンスを選択するように構成された選択論理を更に備える、実施形態1~9のいずれかに記載のシステム。
【0110】
実施形態11:タッチ検知方法であって、デジタル・アナログ変換器(DAC)に波形形状に対する第1のコードを提供するステップであって、前記第1のコード又は前記波形形状は、タッチ検知システムにおける限度を下回る電磁放射(EME)に関連付けられる、提供するステップと、前記波形形状に対する前記第1のコードに応答して、ドライバに第1の整形された基準信号を提供するステップと、前記第1の整形された基準信号に応答して、タッチセンサに駆動信号を提供するステップと、前記駆動信号の変化した信号レベルに応答して、タッチを報告するステップと、を含む、タッチ検知方法。
【0111】
実施形態12:前記波形形状に対する前記第1のコードを提供するステップは、nビットコードのシーケンスを含むビットストリームを提供するステップを含む、実施形態11に記載の方法。
【0112】
実施形態13:前記駆動信号を第1のサンプリングレートで測定するステップと、サンプリングレートが第1のサンプリングレートから第2のサンプリングレートに変化したことを検出したことに応答して、前記DACに波形形状に対する第2のコードを提供するステップと、前記第2の波形形状に対する前記第2のコードに応答して、前記ドライバに第2の基準信号を提供するステップと、前記第2の基準信号に応答して、前記タッチセンサに第2の駆動信号を提供するステップと、前記第2の駆動信号を前記第2のサンプリングレートで測定するステップと、を更に含む、実施形態11~12のいずれかに記載の方法。
【0113】
実施形態14:前記第2のサンプリングレートは、前記第1のサンプリングレートより低い、外来ノイズに対する感受性に関連付けられる、実施形態11~13のいずれかに記載の方法。
【0114】
実施形態15:前記第1のサンプリングレートに関連付けられた第1のレートで、前記第1の波形形状に対する前記第1のコードの第1のビットストリームを提供するステップと、前記第2のサンプリングレートに関連付けられた第2のレートで、前記第2の波形形状に対する前記第2のコードの第2のビットストリームを提供するステップと、を更に含む、実施形態11~14のいずれかに記載の方法。
【0115】
実施形態16:前記駆動信号を提供する前記ステップに応答して、第1のタッチ測定を実施するステップと、アプリケーションシステムの状態情報が変化したことを検出したことに応答して、前記DACに第2の波形形状に対する第2のコードを提供するステップと、前記第2の波形形状に対する前記第2のコードに応答して、前記ドライバに第2の整形された基準信号を提供するステップと、前記第2の基準信号に応答して、前記タッチセンサに第2の駆動信号を提供するステップと、前記第2の駆動信号を提供するステップに応答して、第2のタッチ測定を実施するステップと、を含む、実施形態11~15のいずれかに記載の方法。
【0116】
実施形態17:前記第2の波形形状に関連付けられた高調波は、前記アプリケーションシステムに関する変化した状態情報、及び前記第2の波形形状に関連付けられた高調波に関する定性的EME情報に応答して、より好ましい電磁放射(EME)の特徴を有することを決定するステップを更に含む、実施形態11~16のいずれかに記載の方法。
【0117】
実施形態18:電磁放射(EME)を制御するようにタッチ検知システムを構成するためのシステムであって、該システムは、検知された信号に応答して、タッチセンサにおけるタッチを検出するように構成されたタッチ検知システムと、放射制御ソフトウェアであって、プロセッサによって実行されたときに、検知動作中に前記タッチセンサによって放射されたEMEに応答して取得されたEME測定値を受信することと、前記EME測定値及び1つ以上の放射要件に応答して、前記タッチセンサにおける前記タッチを検出するために、前記タッチ検知システムによって使用される基準信号の形状を評価することと、タッチを検出するために使用される前記基準信号の改善された形状を使用するように、前記タッチ検知システムを構成することであって、前記改善された形状は、前記1つ以上の放射要件を下回る前記EME測定値に対応する、構成することと、を行うように構成される、放射制御ソフトウェアと、を備える、システム。
【0118】
実施形態19:前記改善された形状である前記形状は、実質的にフラットトップのエッジと、1つ以上の非単調部分を有する立ち上がりエッジと、1つ以上の非単調部分を有する立ち下がりエッジと、のうちの1つ以上によって特徴付けられる、実施形態18に記載のシステム。
【0119】
実施形態20:前記放射制御ソフトウェアは、前記改善された形状が前記基準信号の他の形状に対してEMEを最小化することを検出したことに応答して、前記改善された形状を選択するように構成される、実施形態18及び19のいずれかに記載のシステム。
【0120】
実施形態21:前記タッチ検知システムは、前記基準信号の前記改善された形状を記憶するように構成される、実施形態18~20のいずれかに記載のシステム。
【0121】
実施形態22:前記1つ以上の放射要件は、規格によって規定された放射要件を含む、実施形態18~21のいずれかに記載のシステム。
【0122】
実施形態23:前記1つ以上の放射要件は、カスタマ要件によって規定された放射要件を含む、実施形態18~22のいずれかに記載のシステム。
【0123】
実施形態24:前記タッチセンサによって示されたEMEに応答してEME測定値を提供するように構成された放射測定機器を更に備える、実施形態18~23のいずれかに記載のシステム。
【0124】
実施形態25:電磁輻射(EME)を制御するようにタッチ検知システムを構成する方法であって、該方法は、検知動作のために基準信号を提供するステップであって、前記基準信号のそれぞれは異なる形状を有する、提供するステップと、前記検知動作中にタッチセンサによって放射された電磁輻射(EME)を示す測定値に応答して、基準信号の改善された形状を検出するステップと、最適な形状を有する前記基準信号を生成するための命令を記憶するステップと、を含む、方法。
【0125】
実施形態26:前記検知動作中に前記基準信号を提供する前記ステップは、第1の検知動作中に第1の基準信号を提供するステップであって、前記第1の基準信号は予め選択された形状を有する、提供するステップと、前記第1の検知動作中に第1のEME測定値を受信するステップと、前記第1のEME測定値は放射要件より大きいことを決定するステップと、第2の検知動作中に第2の基準信号を提供するステップであって、前記第2の基準信号は第2の形状を有する、提供するステップと、前記第2の検知動作中に第2のEME測定値を受信するステップと、前記第2のEME測定値は前記放射要件より小さいことを決定するステップと、を含む、実施形態25に記載の方法。
【0126】
実施形態27:前記第1のEME測定値及び前記第2のEME測定値のうちの小さい方に対応する前記第1の形状及び前記第2の形状のうちの1つを選択するステップを更に含む、実施形態25及び26のいずれかに記載の方法。
【0127】
実施形態28:前記第1のEME測定値は前記放射要件以上であることを検出するステップと、検知動作中に前記タッチセンサによって放射されたEMEに影響を及ぼし得る、前記第1の形状の変化を決定するステップと、前記決定された変化に応答して、前記第2の形状に対応するnビットコードのシーケンスを選択するステップと、を更に含む、実施形態25~27のいずれかに記載の方法。
【0128】
実施形態29:前記第2の形状に対応する前記nビットコードのシーケンスを選択する前記ステップは、前記第1の形状の前記決定された変化に対応する前記nビットコードのシーケンスのうちの少なくともいくつかのnビットコードを選択するステップを含む、実施形態25~28のいずれかに記載の方法。
【0129】
実施形態30:少なくともいくつかのnビットコードを選択する前記ステップは、前記nビットコードのシーケンスの非単調部分に対応する少なくともいくつかのnビットコードを選択するステップを含む、実施形態25~29のいずれかに記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14