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特許7524196動的閾値を使用して局所用組成物を選択的に適用するためのデバイス及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】動的閾値を使用して局所用組成物を選択的に適用するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240722BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
A61B5/00 M
A61K8/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021537798
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 US2019068485
(87)【国際公開番号】W WO2020139890
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】62/785,452
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エドガー・アルバート・デュール
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0302078(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0025747(US,A1)
【文献】特表2009-504272(JP,A)
【文献】特表2012-515062(JP,A)
【文献】特表2017-525657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/107
A61K 8/02
A61M 35/00
A45D 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケータ装置に組成物を選択的に放出させるための処理装置の作動方法であって、
(i)前記処理装置が、処置表面の撮像領域に対応する画像データを解析して、前記処置表面の前記撮像領域内の位置のアーチファクトの大きさを決定することと、
(ii)前記処理装置、前記位置の前記アーチファクトの大きさを所定の閾値と比較することと、
(iii)前記処理装置が前記位置の前記アーチファクトの大きさが前記所定の閾値を超えたと判定したときにのみ、前記アプリケータ装置に前記組成物の一定量を前記位置において放出させる指示を、前記処理装置が送信することであって、前記組成物の前記一定量は、前記アーチファクトの大きさを所定の被覆率レベルだけ低減するように選択され、前記所定の閾値は、前記所定の被覆率レベルを超えるように選択される、ことと、
(iv)前記処理装置が、所定の条件が満たされるまで、前記処置表面の後続領域について工程(i)~(iii)を繰り返すことと、
(v)前記処理装置が、前記所定の閾値を、前の前記所定の閾値よりも低い第2の値に調整することと、
(vi)前記処理装置が、前記第2の値に調整された前記所定の閾値を使用して、前記処置表面の更なる領域について工程(i)~(iii)を繰り返すことと、を含む、処理装置の作動方法。
【請求項2】
前記アーチファクトの大きさが、前記処置表面の前記撮像領域の反射率に基づいて決定される、請求項1に記載の処理装置の作動方法。
【請求項3】
前記アーチファクトの大きさが、前記処置表面の前記撮像領域の中間空間周波数内の空間周波数成分を含む前記位置の光反射率のパーセンテージとして決定される、請求項2に記載の処理装置の作動方法。
【請求項4】
前記組成物が、反射率修正剤を含む化粧品組成物である、請求項1に記載の処理装置の作動方法。
【請求項5】
前記組成物が、皮膚症状を治療するための有効成分を含む、請求項1に記載の処理装置の作動方法。
【請求項6】
前記第2の値が、前記所定の被覆率レベルよりも大きい、請求項に記載の処理装置の作動方法。
【請求項7】
前記所定の条件が、ユーザからの入力の受信時に満たされる、請求項に記載の処理装置の作動方法。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記アプリケータ装置の放出速度が所定の速度を下回るときに満たされる、請求項に記載の処理装置の作動方法。
【請求項9】
アプリケータ装置に組成物を選択的に放出させるための処理装置の作動方法であって、
(i)前記処理装置が、処置表面の撮像領域に対応する画像データを解析して、前記処置表面の前記撮像領域内の位置のアーチファクトの大きさを決定することと、
(ii)前記処理装置が、前記位置の前記アーチファクトの大きさを所定の閾値と比較することと、
(iii)前記処理装置が、前記位置の前記アーチファクトの大きさが前記所定の閾値を超えたと判定したときにのみ、前記アプリケータ装置に前記組成物の一定量を放出させる指示を送信することであって、前記組成物の前記一定量は、前記アーチファクトの大きさを所定の被覆率レベルだけ低減するように選択され、前記所定の閾値は、前記所定の被覆率レベルを超えるように選択される、ことと、
(iv)前記処理装置、前記アプリケータ装置の放出速度に基づいて前記所定の閾値を調整することと、
(v)前記処理装置が、前記処置表面の次の領域のための調整された前記所定の閾値を使用して、工程(i)~(iv)を繰り返すことと、を含む、処理装置の作動方法。
【請求項10】
前記所定の閾値が、前記アプリケータ装置の前記放出速度を実質的に一定に維持するように調整される、請求項に記載の処理装置の作動方法。
【請求項11】
組成物を処置表面に選択的に適用するためのハンドヘルドデバイスであって、
前記組成物の一定量を前記処置表面に適用するように構成されたアプリケータ装置と、
前記処置表面の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器と、
前記画像データを解析して、前記処置表面の前記領域内のフレクセルのアーチファクトの大きさを決定する処理装置であって、前記アプリケータ装置に対して、前記フレクセルの前記アーチファクトの大きさが所定の閾値よりも大きいときに、前記組成物の前記一定量を前記フレクセルに適用するように指示し、前記所定の閾値は、前記処置表面に適用されたときに前記組成物の前記一定量によって付与される前記所定のアーチファクト低減被覆率レベルを超えるように選択される、処理装置と、を備え、
前記処理装置は、所定の条件が満たされたときに前記所定の閾値を第2の値に調整し、前記第2の値は、前の前記所定の閾値よりも低い、ハンドヘルドデバイス。
【請求項12】
前記組成物が、反射率修正剤及び皮膚症状を治療するための有効成分のうちの少なくとも一方を含む、請求項11に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項13】
前記検出器が、前記処置表面の前記領域に光を送達するための光源と、前記処置表面の前記領域からの光を検出して前記画像データを取得するセンサと、を備える、請求項11に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項14】
前記アーチファクトの大きさが、前記画像内で検出された前記処置表面の反射率に基づいて決定される、請求項11に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項15】
前記アーチファクトの大きさが、前記処置表面の前記領域の中間空間周波数内の空間周波数成分を含むフレクセルの光反射率のパーセンテージとして決定される、請求項11に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項16】
前記第2の値が、前記所定のアーチファクト低減被覆率レベルよりも大きい、請求項11に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項17】
前記所定の閾値を調整すべきであることをユーザが前記処理装置に手動で信号を送ることを可能にするユーザインターフェースを更に備える、請求項16に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項18】
前記所定の条件は、前記アプリケータ装置の堆積速度が所定の速度を下回るときに満たされる、請求項16に記載のハンドヘルドデバイス。
【請求項19】
前記処理装置が、実質的に一定の堆積速度を維持するために前記所定の閾値を調整する、請求項16に記載のハンドヘルドデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年12月27日出願の米国仮特許出願第62/785,452号に対する優先権を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ユーザの角質表面(例えば、皮膚、毛髪、若しくは爪)、又はエナメル質(例えば、歯)などの処置表面上に組成物を選択的に適用するためのデバイス及び方法に関する。より詳細には、本発明は、望ましくない皮膚特徴の外観を低減し、かつ皮膚の審美的外観を向上させるために局所用組成物(例えば、化粧品組成物又は皮膚処置組成物)を選択的に適用するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
局所用組成物の手作業による適用は、不正確である場合が多い。例えば、メイクアップのためのベースファンデーションを大量に適用すると、望ましくない濃い外観となる場合がある。加えて、皮膚の広い部分にわたって物質を適用することにより、審美的外観を顕著に向上させることなく、この物質の大部分を無駄にする場合がある。更に、物質は、皮膚の広い部分にわたって連続薄膜を形成する場合があり、これにより、望ましくない、不自然な外観が付与される可能性がある及び/又は化粧品組成物の層を支持する皮膚に不快で不自然な感触がもたらされる場合がある。皮膚の広い部分にわたるこのような連続薄膜はまた、皮膚の通気性を低下させ、かつ、局所用物質への皮膚の曝露を増加させる場合があり、このことは、潜在的なアレルゲンに曝露される皮膚の表面積を増加させ、したがって、ユーザが局所用物質に対して望ましくない反応又はアレルギー反応を有し得るリスクを増大させる場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な一実施形態は、組成物(例えば、局所用組成物又は化粧品)を、処置表面、例えば、ユーザの顔の皮膚に選択的に適用するための方法に関する。組成物は、例えば、二酸化チタンなどの反射率修正剤(reflectance modifying agent)を含んでもよい。当該方法は、(i)検出器装置によって、処置表面の領域の画像に対応する画像データを取得することと、(ii)処理装置によって、画像データを解析して、撮像領域内のアーチファクト(外観が望ましくない効視覚効果を生成する位置)の大きさを決定することと、(iii)処理装置によって、位置のアーチファクトの大きさを所定の閾値と比較することと、(iv)アプリケータ装置によって、アーチファクトの大きさが所定の閾値を超えた位置に、組成物のある量を適用することと、を含む。アプリケータ装置によって適用される当該量は、処理装置によって可変的に選択されてもよく、又は所定の一定量であってもよい。組成物の一定量は、処置表面に適用されたときに、アーチファクトの大きさを所定の被覆率レベルだけ低減するように選択される。所定の閾値はまた、処置表面に適用されたときに組成物の一定量によって付与される、所定のアーチファクト低減被覆率レベルを超えるように選択されてもよい。例示的な一実施形態では、アーチファクトの大きさは、画像内で検出された処置表面の反射率に基づいて決定される。特定の実施形態では、アーチファクトの大きさは、アーチファクトに起因する空間周波数成分(望ましくない視覚効果を生成する空間周波数成分の強度)から構成される処置表面の撮像領域の光の反射率の合計強度のパーセンテージとして決定される。より詳細には、アーチファクトの大きさは、撮像領域の中間空間周波数内の空間周波数成分を含む処置表面の撮像領域内の位置の光の反射率のパーセンテージとして決定されてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、当該方法は、(v)所定の条件が満たされるまで、処置表面の後続領域について工程(i)~(iv)を繰り返すことと、(vi)処理装置によって、所定の閾値を、前の所定の閾値よりも低いが、組成物の一定量の適用によって付与されるアーチファクト低減のレベルよりも高い第2の値に調整することと、(vii)調整された所定の閾値を使用して、処置表面の更なる領域に対して工程(i)~(iv)を繰り返すことと、を更に含む。所定の条件は、ユーザインターフェースを介してユーザから手動入力を受信することによって満たされてもよく、又はアプリケータ装置の堆積速度が所定の速度を下回るときに満たされてもよい。他の実施形態では、当該方法は、(iv)処理装置によって、アプリケータ装置の堆積速度に基づいて所定の閾値を調整することと、(v)処置表面の次の領域のための調整された所定の閾値を使用して、工程(i)~(iv)を繰り返すことと、を更に含み得る。所定の閾値は、アプリケータ装置の堆積速度を実質的に一定に維持するように調整されてもよい。
【0006】
組成物を処置表面に選択的に適用するためのハンドヘルドデバイスも記載される。組成物は、例えば、反射率修正剤を含んでもよい。デバイスは、処置表面の領域の画像に対応する画像データを取得するように構成された検出器装置を備える。いくつかの実施形態では、検出器装置は、処置表面の領域に光を送達するための光源と、処置表面の領域から反射された光を検出して画像データを取得するセンサと、を備える。デバイスはまた、画像データの解析に基づいてデバイスによって選択的に決定された撮像領域内の位置に、組成物の一定量を適用するように構成されたアプリケータ装置を備える。一定量の組成物は、処置表面に適用されたときに、アーチファクトの大きさを所定の被覆率レベルだけ低減するように選択されてもよい。デバイスは、処理装置であって、画像データを検出器装置から受信することと、画像データを解析して、処置表面上のアーチファクトの位置におけるアーチファクトの大きさを決定することによって(すなわち、組成物が適用されるべき1つ又は2つ以上のフレクセルを識別することによって)画像データに基づいてアーチファクトを識別及び位置確認することと、を行う、処理装置を更に備える。処理装置は、アーチファクトの大きさを所定の閾値と比較し、アプリケータ装置に対して、アーチファクトの大きさが所定の閾値を上回る位置にのみ組成物の一定量を適用するように指示する。所定の閾値は、例えば、組成物の一定量を処置表面に適用することによって付与されるアーチファクト低減レベルを超えるように選択されてもよい。特定の実施形態では、アーチファクトの大きさは、画像内で検出された処置表面の反射率のレベルに基づいて決定される。より詳細には、アーチファクトの大きさは、中間空間周波数内の空間周波数成分を含む処置表面の撮像領域内の位置の光の反射率のパーセンテージとして決定されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、処理装置は、所定の条件が満たされたときに(例えば、選択された位置への組成物の適用がこれらの位置におけるアーチファクトの大きさを低減させた後に)、所定の閾値を第2の値に調整するように更に構成されている。これらの実施形態における第2の値は、前の所定の閾値よりも低く、組成物の一定量を処置表面に適用することによって付与されるアーチファクト低減のレベルよりも高い。所定の条件は、アプリケータ装置の堆積速度が所定の速度を下回るときに満たされてもよく、これは、検出されつつある、以前の閾値レベルを上回るアーチファクトの大きさを有する位置が少ないことを示す。他の実施形態では、処理装置は、所望の堆積速度を維持するために、堆積速度に基づいて所定の閾値を調整するように構成されている。
【0008】
本発明のこれら及び他の態様は、図面及び添付の特許請求の範囲を含む、本発明の以下の「発明を実施するための形態」の読了後に、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に組成物を選択的に適用するための例示的なデバイスのブロック図である。
図2】ユーザの皮膚上の例示的な長さに沿って異なる位置にわたって検出された皮膚アーチファクトの大きさ、及び化粧品組成物の例示的な適用後の皮膚アーチファクトの大きさの、例示的なグラフ表示である。
図3】ユーザの皮膚上の異なる例示的な長さに沿って異なる位置にわたって検出された皮膚アーチファクトの大きさ、及び化粧品組成物の別の例示的な適用後の皮膚アーチファクトの大きさの、別の例示的なグラフ表示である。
図4図3に示されるような皮膚アーチファクトの大きさ、及び化粧品組成物の代替的な例示的な適用後の皮膚アーチファクトの大きさの、更なる例示的なグラフ表示である。
図5】本出願の例示的実施形態による、ユーザの皮膚に局所用組成物を選択的に適用するための例示的な方法である。
図6】本明細書の実施例Iに記載の方法で動作する例示的なデバイスの経時的な例示的堆積パターンであり、デバイスの最初の通過の堆積パターンは左に示され、デバイスの最後の通過の堆積パターンは右に示されている。
図7】化粧品組成物の適用なしの、被験者の顔からの皮膚の領域の例示的な制御画像である。
図8図7の被験者からの皮膚の同じ領域の例示的な画像であり、中間空間周波数は、実施例Iに記載の方法で低減されるようにシミュレートされる。
図9図8の皮膚の領域に適用されるようにシミュレートされた化粧品組成物のパルスの分布である。
図10図7の被験者からの皮膚の同じ領域の例示的な画像であり、中間空間周波数は、所定の限界未満の大きさを有する皮膚アーチファクトのために低減されるようにシミュレートされる。
図11図10の皮膚の領域に適用されるようにシミュレートされた化粧品組成物のパルスの分布である。
図12図7の被験者からの皮膚の同じ領域の例示的な画像であり、中間空間周波数は、10%の皮膚アーチファクトよりも大きい大きさ、及び図10の所定の限界未満の大きさを有する皮膚アーチファクトのために低減されるようにシミュレートされる。
図13図12の皮膚の領域に適用されるようにシミュレートされた化粧品組成物のパルスの分布である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用するとき、「フレクセル」という用語は、皮膚の小さな画素のような領域を指し、これは、皮膚の対応する部分のデジタル的に得られた画像内の単一の大きい画素又は少数の画素に対応し得る。例えば、フレクセルは、約1/15~約1/5インチの平均直径を有する皮膚領域に対応し得る。
【0011】
本明細書で使用する「中間空間周波数」という用語については、以下で更に説明される。例えば、皮膚の画像に対応する画像データは、空間周波数のある範囲に及ぶ光反射率を捕捉することができ、この範囲は、画像データを生成する検出器(例えば、カメラ)によって観察される、皮膚を横切ってある距離にわたる画像内に存在する細部のレベルの尺度となる。空間周波数は、検出器によって観察される、皮膚を横切ってある距離にわたる画像内の、例えば、交互の暗い縞パターン及び明るい縞パターンの周期に対応する周期的な正弦波パターンとして記述される周期的特徴の数によって測定され得る。画像の空間周波数は、皮膚が検出器によって撮像される距離に基づいて較正及び/又は正規化されてもよい。空間周波数は、本明細書で使用するとき、光の波長又は色の尺度とはならないが、代わりに、画像内の、検出器によって捕捉された皮膚の細部構造の空間波長を指すことに留意されたい。空間領域内の画像に対応するデータ(例えば、ピクセル又はフレクセルの形態)は、フーリエ変換関数を使用してコンピュータプロセッサによって処理されて、空間周波数領域内の画像に関するデータを取得することができる。この空間周波数領域は、光の波長又は色とは異なる、撮像された画像の光学的解像度に関連している。当業者には理解されるように、画像の空間周波数成分は、一般に、例えば、フーリエ変換、フィルタリングなどの、画像解析のための任意の好適な方法を使用して、(1)高空間周波数、(2)中間空間周波数、及び(3)低空間周波数、を含む3つの異なるカテゴリーに分類され得る。当業者には理解されるように、高空間周波数を有する空間周波数成分は、画像内の急峻なエッジの出現及び小さい細部に寄与する、画像内の光反射率に対応する。例えば、皮膚の画像に関しては、高空間周波数を有する空間周波数成分は、人の遺伝情報に由来するものなどなど、例えば、毛穴、体毛、毛包、細胞、目の虹彩などの、皮膚における小さな自然変動とみなされる特徴に対応する。低空間周波数は、例えば、より大きな特徴(例えば、鼻、頬など)の色などの広い外観に寄与する、画像内の光反射率に対応する。低空間周波数と空間周波数との間の残りの空間周波数成分は、中間空間周波数と呼ばれる。
【0012】
中間空間周波数の範囲は、撮像された画像に対して決定され得る。例えば、顔面皮膚の領域に関する中間空間周波数の範囲は、脚の皮膚の領域に関する中間空間周波数の範囲と異なり得る。中間空間周波数の範囲はまた、撮像された皮膚の下層皮膚の色調に依存し得る。一実施例では、ヒトの皮膚の中間空間周波数は、約0.03サイクル/mm~約1.5サイクル/mm、又はより具体的には約0.05サイクル/mm~約1.0サイクル/mm、更により具体的には約0.07サイクル/mm~約0.5サイクル/mmの範囲であり得る。
【0013】
本出願は、組成物を処置表面に選択的に適用するためのデバイス及び方法を提供する。組成物は、生体表面と外部環境(例えば、空気)との界面、特に局所表面などの任意の好適な処置表面に適用され得ることが企図される。好適な生体表面としては、角質表面(皮膚、毛髪、及び/又は爪の表面などが挙げられるが、これらに限定されない)、及びエナメル質表面(例えば、歯の表面)を挙げることができる。好ましくは、処置表面は、哺乳動物又はヒトのものである。皮膚に関する例示的実施形態について本明細書で説明するが、本出願のデバイス及び方法は、任意の好適な組成物、特に局所用組成物を、処置表面に選択的に適用するために使用され得ることが企図される。より具体的には、本出願は、使用する組成物の総量を減少させながら、望ましくない特徴(アーチファクト)、例えば、瘢痕、しわ、染み、そばかす、日焼けによる損傷、加齢による染みなどの外観を変更又は低減するために、組成物をユーザの皮膚の表面に選択的に適用するためのデバイス及び方法を提供する。本出願のデバイス及び方法は、皮膚の領域の画像に対応する画像データを受信し、画像データを解析して、組成物が選択的に適用されるべき1つ又は2つ以上のフレクセルを識別及び位置確認することができる。したがって、本出願による組成物を選択的に適用することにより、廃棄物が減少し、また、局所用組成物の手作業による適用の場合に一般的であるよりも、組成物によって覆われる皮膚が少なくなるため、皮膚のより自然に見える外観を作り出すことができる。
【0014】
本出願のデバイス及び方法は、組成物を、例えば、顔の皮膚などの皮膚に適用するために使用されてもよい。皮膚に適用される組成物は、例えば、皮膚の外観を変更するのに適した化粧品成分、例えば、不透明物質、着色化粧料、又は皮膚の外観を向上させるための任意の他の好適な組成物を含んでもよい。組成物はまた、皮膚症状(例えば、座瘡、色素沈着過度、湿疹、蕁麻疹、白斑、乾癬、酒さ、いぼ、帯状疱疹、ヘルペス、色素沈着及び色調、発赤/皮膚における酸化的ストレス、しわ、増白、たるみ/弾性など)を治療及び/又は改善するために、水分補給のための保湿剤、担体、又は有益剤(例えば、有益な化合物/組成物/抽出物、又は有効成分)などの成分を含んでもよい。組成物に組み込まれ得る有益剤の例示的実施形態について、以下に更に説明する。
【0015】
有用な保湿活性有益剤の非限定的なリストには、ヒアルロン酸及び保湿剤が含まれる。ヒアルロン酸は、直鎖ヒアルロン酸、架橋ヒアルロン酸、又は直鎖ヒアルロン酸と架橋ヒアルロン酸との混合物であってよい。これは、塩形態、例えば、ヒアルロン酸ナトリウムであってよい。保湿剤は、皮膚の最上層の含水量を増加させることを目的としている化合物(例えば、吸湿性化合物)である。好適な保湿剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、トレハロース、又はこれらの塩若しくはエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
座瘡に有用な有益剤の非限定的なリストには、過酸化ベンゾイル、レチノール、レチナール、レチノイン酸、酢酸レチニル、及びパルミチン酸レチニルを含むレチノイド、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、及び酒石酸を含むヒドロキシ酸、硫黄、亜鉛PCA(亜鉛ピロリドンカルボン酸)、アラントイン(5-ウレイドヒダントイン)、ローズマリー、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸、及びレスベラトロールが含まれる。
【0017】
有用な色素沈着活性有益剤の非限定的なリストには、レゾルシノール、例えば、ナイアシンアミド、4-ヘキシルレゾルシノール、クルクミノイド(例えばSabiwhite(テトラヒドロクルクミン)、フィチン酸、レスベラトロール、ダイズ(Glycine Soja)油、グルコノラクトン、アゼライン酸、及び、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルアセテート、及びレチニルパルミテートを含むレチノイド、酵素、例えば、ラッカーゼ、チロシナーゼ阻害物質、メラニン分解剤、メラノソーム移動阻害剤、例えば、PAR-2アンタゴニスト、スクラブ剤、日焼け止め、レチノイド、抗酸化物質、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩、皮膚漂白剤、リノール酸、アデノシン一リン酸二ナトリウム塩、カモミール抽出物、アラントイン、乳白剤、タルク及びシリカ、亜鉛塩などが含まれる。好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、アセチルグルコサミン、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール(Magnolignan)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンEの誘導体の例としては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール、例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール、フェニルエチルレゾルシノール、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパンなどの4-アルキルレゾルシノール、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、4-メトキシカリウムサリチレート、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体、又はビタミンE誘導体が挙げられる。
【0018】
有用な発赤/抗酸化活性有益剤の限定的なリストには、水溶性酸化防止剤、例えば、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、レスベラトロール、ラクトフェリン、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル及びアスコルビルポリペプチド)が含まれる。本発明の組成物において使用するのに適した油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイド並びにこれらの誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)を含有する抽出物、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、松の樹皮、プロポリス、及びナツシロギクの抽出物が挙げられる。「ナツシロギクの抽出物」とは、植物「タナセタム・パルテニウム(Tanacetum parthenium)」の抽出物を意味する。1つの特に好適なナツシロギク抽出物は、約20%の活性ナツシロギクとして市販されている。
【0019】
有用なしわ活性有益剤の非限定的なリストには、N-アセチルグルコサミン、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、アルジライン、シンエイク(syn-ake)などのペプチド、銅、コエンザイムQ10、ディル、ブラックベリー、キリ、ピキア・アノマーラ(Picia anomala)、及びチコリを含有するもの、4-ヘキシルレゾルシノールなどのレゾルシノール、クルクミノイド、並びに、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチニルアセテート、及びレチニルパルミテートを含むレチノイド、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、及び酒石酸を含むがこれらに限定されないヒドロキシ酸が含まれる。
【0020】
有用な増白活性有益剤の非限定的なリストには、ビタミンC及びアスコルビン酸2-グルコシドなどのその誘導体、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせなどのα-ヒドロキシ酸、サリチル酸などのβ-ヒドロキシ酸、ラクトビオン酸及びグルコン酸などのポリヒドロキシ酸が含まれる。
【0021】
皮膚のたるみのための有用な有益剤の非限定的なリストは、ブラックベリー抽出物、ハグマノキ抽出物、ナツシロギク抽出物、フィランサスニルリ(Phyllanthus niruri)の抽出物、並びに銅及び/又は亜鉛成分を有する二金属錯体が含まれる。銅及び/又は亜鉛成分を有する二金属錯体は、例えば、クエン酸銅-亜鉛、シュウ酸銅-亜鉛、酒石酸銅-亜鉛、リンゴ酸銅-亜鉛、コハク酸銅-亜鉛、マロン酸銅-亜鉛、マレイン酸銅-亜鉛、アスパラギン酸銅-亜鉛、グルタミン酸銅-亜鉛、グルタル酸銅-亜鉛、フマル酸銅-亜鉛、グルカル酸銅-亜鉛、ポリアクリル酸銅-亜鉛、アジピン酸銅-亜鉛、ピメリン酸銅-亜鉛、スベリン酸銅-亜鉛、アゼライン酸銅-亜鉛、セバシン酸銅-亜鉛、ドデカン酸銅-亜鉛、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0022】
更なる皮膚有益剤又は活性物質は、以下の段落に列挙される活性物質を含んでもよい。これらの活性物質の一部は上記に列挙されているが、それらは、リストをより堅牢なものにするのを確実にするために以下に含まれている。
【0023】
好適な追加の有益剤の例としては、皮膚美白剤、暗色化剤、抗老化剤、トロポエラスチン促進剤、コラーゲン促進剤、抗座瘡剤、光沢調整剤、抗微生物剤(例えば、抗酵母剤、抗真菌剤及び抗細菌剤)、抗炎症剤、抗寄生虫剤、外用鎮痛剤、日焼け止め剤、光防護剤、酸化防止剤、角質溶解剤、洗剤/界面活性剤、保湿剤、栄養素、ビタミン、エネルギーエンハンサ、制汗剤、皮膚収斂剤、防臭剤、脱毛剤、発毛強化剤、発毛遅延剤、安定剤、水和増進剤、有効性増進剤、抗たこ剤、皮膚コンディショニング剤、抗セルライト剤、フルオリド、歯ホワイトニング剤、歯石防止剤、及び歯石溶解剤、悪臭防止剤(例えば、悪臭マスキング剤)又はpH変更剤などが挙げられる。様々な好適な追加の化粧用として許容可能な活性物質の例としては、UVフィルタ、例えば、限定されるものではないが、アボベンゾン(Parsol1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、アントラニル酸メチル、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサラート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol5000)、メトキシケイ皮酸オクチル(Octinoxate)、サリチル酸オクチル(Octisalate)、パジメートO(Escalol507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロラミンサリチル酸、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イソコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex4360)、スルイソベンゾン、ビスオクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛、カロテノイド、フリーラジカル捕捉剤、スピントラップ、レチノイド及びレチノールなどのレチノイド前駆体、レチノイン酸及びパルミチン酸レチニル、セラミド、多価不飽和脂肪酸、必須脂肪酸、酵素、酵素阻害剤、ミネラル、エストロゲンなどのホルモン、ヒドロコルチゾンなどのステロイド、2-ジメチルアミノエタノール、塩化銅などの銅塩、Cu:Gly-His-Lysなどの銅を含有するペプチド、コエンザイムQ10、プロリンなどのアミノ酸、ビタミン、ラクトビオン酸、アセチル補酵素A、ナイアシン、リボフラビン、チアミン、リボース、NADH及びFADH2などの電子輸送体、並びにオーツ麦、アロエベラ、ナツシロギク、ダイズ、シイタケ抽出物などの他の植物抽出物、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。
【0024】
好適な皮膚美白有益剤の例としては、チロシナーゼ阻害物質、メラニン分解剤、メラノソーム移動阻害剤(PAR-2アンタゴニストを含む)、スクラブ剤、日焼け止め、レチノイド、抗酸化物質、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチルエステル塩酸塩、皮膚漂白剤、リノール酸、アデノシン一リン酸二ナトリウム塩、カモミール抽出物、アラントイン、乳白剤、タルク及びシリカ、亜鉛塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
好適なチロシナーゼ阻害物質の例としては、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、コウジ酸、アルブチン、レゾルシノール、ヒドロキノン、フラボン(例えば、カンゾウフラバノイド、カンゾウ根抽出物、クワ根抽出物、ディオスコレア・コポジータ(Dioscorea Coposita)根抽出物、ユキノシタ科抽出物など)、エラグ酸、サリチル酸塩及び誘導体、グルコサミン及び誘導体、フラーレン、ヒノキチオール、二酸、アセチルグルコサミン、5,5’-ジプロピル-ビフェニル-2,2’-ジオール(Magnolignan)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノール(4-HPB)、これらのうちの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンCの誘導体の例としては、アスコルビン酸及びその塩、アスコルビン酸-2-グルコシド、アスコルビン酸リン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、及びビタミンCを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。ビタミンEの誘導体の例としては、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、α-トコトリエノール、β-トコトリエノール、γ-トコトリエノール、δ-トコトリエノール、及びこれらの混合物、酢酸トコフェロール、リン酸トコフェロール、及びビタミンE誘導体を多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。レゾルシノール誘導体の例としては、レゾルシノール、4-置換レゾルシノール[例えば、4-ブチルレゾルシノール(ルシノール)、4-ヘキシルレゾルシノール(Synovea HR、Sytheon)、フェニルエチルレゾルシノール(Symwhite、Symrise)、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-3-(2,4-ジメトキシ-3-メチルフェニル)-プロパン(ニビトール、Unigen)などの4-アルキルレゾルシノール]、及びレゾルシノールを多く含む天然抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。サリチル酸塩の例としては、4-メトキシカリウムサリチレート、サリチル酸、アセチルサリチル酸、4-メトキシサリチル酸及びこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質としては、4-置換レゾルシノール、ビタミンC誘導体、又はビタミンE誘導体が挙げられる。より好ましい実施形態では、チロシナーゼ阻害物質は、フェニルエチルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、又はアスコルビル-2-グルコシドを含む。
【0026】
好適なメラニン分解剤の例としては、ペルオキシド及び酵素(例えば、ペルオキシダーゼ及びリグニナーゼ)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、メラニン阻害剤としては、ペルオキシド及びリグニナーゼが挙げられる。
【0027】
好適なメラノソーム移動阻害剤の例としては、PAR-2アンタゴニスト(例えば、ダイズトリプシン阻害物質又はボーマン-バーク阻害物質)、ビタミンB3及び誘導体(例えば、ナイアシンアミド)、必須ダイズ、全ダイズ、ダイズ抽出物が挙げられる。特定の好ましい実施形態では、メラノソーム移動阻害剤としては、ダイズ抽出物又はナイアシンアミドが挙げられる。
【0028】
剥離剤の例としては、α-ヒドロキシ酸(例えば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、又は前述のもののいずれかの任意の組み合わせ)、β-ヒドロキシ酸(例えば、サリチル酸、ポリヒドロキシ酸、例えば、ラクトビオン酸及びグルコン酸)、及び機械的剥離剤(例えば、マイクロ皮膚擦傷剤)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、剥離剤としては、グリコール酸又はサリチル酸が挙げられる。
【0029】
日焼け止めの例としては、アボベンゾン(Parsol1789)、ビスジスリゾール二ナトリウム(Neo Heliopan AP)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート(Uvinul A Plus)、エカムスル(Mexoryl SX)、メチルアントラニレート、4-アミノ安息香酸(PABA)、シノキセート、エチルヘキシルトリアゾン(Uvinul T150)、ホモサレート、4-メチルベンジリデンカンファー(Parsol5000)、オクチルメトキシシンナメート(Octinoxate)、オクチルサリチレート(Octisalate)、パジメートO(Escalol507)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(Ensulizole)、ポリシリコーン-15(Parsol SLX)、トロラミンサリチレート、ベモトリジノール(Tinosorb S)、ベンゾフェノン1-12、ジオキシベンゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、イスコトリジノール(Uvasorb HEB)、オクトクリレン、オキシベンゾン(Eusolex4360)、スルイソベンゾン、ビソクトリゾール(Tinosorb M)、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
レチノイドの例としては、レチノール(ビタミンAアルコール)、レチナール(ビタミンAアルデヒド)、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、アダパレン、これらの2つ又は3つ以上の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノール、レチナール、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、リノール酸レチニル、及びこれらの2つ又は3つ以上の組み合わせからなる群から選択される。特定のより好ましい実施形態では、レチノイドは、レチノールである。
【0031】
酸化防止剤の例としては、スルフヒドリル化合物及びその誘導体(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム及びN-アセチル-システイン、グルタチオン)、リポ酸及びジヒドロリポ酸、スチルベノイド(例えば、レスベラトロール及び誘導体)、ラクトフェリン、鉄及び銅キレート剤、並びにアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体(例えば、アスコビル-2-グルコシド、パルミチン酸アスコルビル及びアスコビルポリペプチド)などの水溶性酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した油溶性酸化防止剤としては、ブチル化ヒドロキシトルエン、レチノイド(例えば、レチノール及びパルミチン酸レチニル)、トコフェロール(例えば、酢酸トコフェロール)、トコトリエノール、及びユビキノンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物において使用するのに適した酸化防止剤を含有する天然抽出物としては、フラボノイド及びイソフラボノイド並びにこれらの誘導体(例えば、ゲニステイン及びダイゼイン)を含有する抽出物、レスベラトロールを含有する抽出物などが挙げられるが、これらに限定されない。このような天然抽出物の例としては、ブドウ種子、緑茶、紅茶、白茶、マツ樹皮、ナツシロギク、パルテノライドを含まないナツシロギク、オート麦抽出物、クロイチゴ抽出物、ハグマノキ抽出物、ダイズ抽出物、ザボン抽出物、小麦胚抽出物、ヘスペレジン、ブドウ抽出物、スベリヒユ抽出物、リコカルコン、カルコン、2,2’-ジヒドロキシカルコン、サクラソウ抽出物、プロポリスなどが挙げられる。
【0032】
いくつかの好ましい実施形態では、座瘡に有用な有益剤としては、サリチル酸、亜鉛PCA(ピロリドンカルボン酸亜鉛)、アラントイン(5-ウレイドヒダントイン)、ローズマリー、4-ヘキシルレソルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸、及びレスベラトロールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態では、有用な色素沈着活性有益剤のリストには、テトラヒドロクルクミン、フィチン酸、レスベラトロール、ダイズ(Glycine Soja)油、グルコノラクトン、ラッカーゼ、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸、及びレスベラトロールが含まれる。
【0034】
いくつかの好ましい実施形態では、有用な活性有益剤のリストには、座瘡及び色素沈着を同時に処置することが含まれ、4-ヘキシルレゾルシノール、N-アセチルグルコサミン、グルコノラクトン、ナイアシンアミド、アゼライン酸、及びレスベラトロールが含まれる。
【0035】
特定の一実施形態では、組成物は、1つ又は2つ以上の反射率修正剤(reflectance modifying agent、RMA)(皮膚の反射率を変化させるのに有用な任意の成分)を含む。例えば、好適なRMAとしては、インク、染料、顔料、漂白剤、化学的に変化する剤、及び皮膚の反射率を変化させるために使用され得る他の物質を挙げることができる。いくつかの好適なRMAとしては、染料又は希釈顔料などの透明なRMAを挙げることができる。他の好適なRMAとしては、高屈折率粒子を有する不透明なRMAを挙げることができる。具体的に言えば、高屈折率粒子は、2.0以上の屈折率を有する粒子を含んでもよい。特定の一実施例では、RMAは、二酸化チタンの粒子を含んでもよい。具体的には、二酸化チタン粒子は、化粧品組成物中に均一に分布及び/又は懸濁されてもよい。
【0036】
図1は、組成物を皮膚に選択的に適用するための例示的なデバイス100のブロック図を示す。デバイス100は、好ましくは、ユーザの手の掌の中に保持されるように設計されたハンドル部分104と、ヘッド部分102とを含むハンドヘルドデバイスとしてサイズ決め及び成形される。デバイス100のハンドル部分104は、内部に他の構成要素を収容する空洞を画定する細長い形状を有する。いくつかの実施形態では、ハンドル部分104は、ユーザの手の掌の中に保持されるような大きさ及び形状である。他の実施形態では、ハンドル部分104は、指先によって保持されるような大きさ及び形状である。
【0037】
使用中、ヘッド部分102は、処置される皮膚の領域上に配置され、この皮膚の領域の画像に対応する画像データが取得され、解析されて、デバイス100内に収容された組成物が適用される撮像領域内の領域(もしあれば)を識別する。例えば、画像データを解析して、組成物が適用される撮像領域内のフレクセルを識別することができる。使用中、デバイス100は、皮膚の複数の異なる領域を撮像するために利用されてもよい。例えば、ヘッド部分102を皮膚の表面を横切って移動させて、デバイス100が皮膚の異なる領域を(任意の所望のフレームレートで)連続的に撮像できるようにして画像データを取得し、この画像データを解析し、画像データの定量的解析に基づいて、ユーザが最小化又は変更を希望する外観を有するアーチファクトを識別し、これらのアーチファクトに組成物を選択的に適用することができる。より詳細には、以下で更に説明するように、デバイス100が以前に処置された領域を確認して、見逃された又は不完全に対処されたアーチファクトを検出し、皮膚上の識別されたアーチファクトに組成物を適用することができるように、ヘッド部分102を皮膚の表面を横切って複数回前後に移動させることができる。
【0038】
本実施形態による装置100のヘッド部分102は、皮膚のある領域の画像に対応する画像データを取得する検出器装置110を備え、これにより、処理装置130がこの画像データを解析して撮像領域内のアーチファクトを検出することができる。この実施形態のヘッド部分102はまた、アーチファクトが検出された皮膚の部分(フレクセル)に組成物を適用するためのアプリケータ装置120を備える。例えば、デバイス100は、皮膚のある領域の画像を捕捉することができ、続いて、この画像は、少なくとも1つのRMAを含む化粧品組成物などの組成物を適用することにより変更されることによって視覚的に利益を得ることができるフレクセルを識別するために、処理装置130によって処理されてもよい。一実施形態では、検出器装置110は、皮膚の領域に光(例えば、可視光)を送達するための少なくとも1つの光源と、皮膚の領域から反射された光を検出するためのセンサとを備える。光源は、皮膚の領域を照明するための任意の好適な発光デバイス、例えば1つ又は2つ以上のLEDを含んでもよい。光源はまた、皮膚による光の反射率を検出及び/又は測定するのに十分な量の照明を皮膚の領域上に提供するように選択され、配置されてもよい。好ましくは、光源(複数可)は、全体として、撮像されている皮膚の領域にわたって光の実質的に均一な分布を提供する。センサは、反射率を検出するための任意の好適な構成要素を含んでもよい。例えば、センサは、1つ又は2つ以上の波長の反射光の量に敏感であってもよい。好適なセンサとしては、例えば、当業者に理解されるように、例えば、写真用カメラ若しくはビデオカメラ、フォトダイオード及び/又はフォトトランジスタを挙げることができる。
【0039】
光源及びセンサを備える検出器装置110は、コンピュータアクセス可能媒体140に記憶された命令を実行するために、処理装置130に動作可能に接続される。この実施形態の処理装置130は、光源を制御し、センサから画像データを受信し、受信した画像データを分析する。処理装置130及びコンピュータアクセス可能媒体140は、デバイス100内又はデバイス100の外部の任意の場所に位置付けられてもよいことが企図される。一実施形態では、図1に示すように、処理装置130及びコンピュータアクセス可能媒体140は、ハンドル部分104内に位置する。この実施形態における処理装置130はまた、アーチファクトが識別されたフレクセルに組成物を選択的に適用するためのアプリケータ装置120を制御する。処理装置130は、例えば、限定するものではないが、例えば、完全に、1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサを含み得るコンピュータ/プロセッサであってもよく、若しくはその一部であってもよく、又はこれを含んでもよく、コンピュータアクセス可能媒体140(例えば、メモリ記憶装置)上に記憶された命令を使用することができる。コンピュータアクセス可能媒体140は、例えば、その中に実行可能な命令を含む非一時的コンピュータアクセス可能媒体であってもよい。記憶装置は、コンピュータアクセス可能媒体140とは別個に提供されてもよい。別個の記憶装置は、処理装置130に命令を与えて、特定の例示的な手順、プロセス、及び方法を実行するように処理装置130を構成することができる。
【0040】
本実施形態によるアプリケータ装置120は、アーチファクトが識別された1つ又は2つ以上のフレクセル上に組成物を堆積させるための少なくとも1つの好適な組成物適用デバイスを備える。本実施形態における例示的な化粧品適用デバイスは、例えば、噴霧器(例えば、電子噴霧器若しくはエアブラシ噴霧器)、滴下制御デバイス、又は当業者に理解されるように、識別されたフレクセルに組成物を小液滴で適用するための任意の他の好適な適用デバイスを含み得る。例示的な一実施形態では、アプリケータ装置120は、加圧噴霧の形態の加圧された液体又は粘性組成物を皮膚上に堆積させさせるためのノズルを備え、これにより、識別されたフレクセルの位置に化粧品による被覆の薄層を形成する。ノズルは、化粧品組成物の薄層を皮膚上に堆積させるための任意の好適なデバイスであってよい。例示的な一実施形態では、ノズルは、液体組成物又は粘性組成物を保持する第1のチャンバと、組成物のパルスがフレクセルに分配されるときに組成物に圧力を加えるが組成物と混合されない噴射剤(例えば、圧縮空気又は窒素ガス)を収容する第2のチャンバとを有する、デュアルチャンバを備えていてもよい。別の実施例では、ノズルは、液体組成物又は粘性組成物を保持する第1のチャンバと、組成物のパルスがフレクセルに分配されるときに化粧品組成物と混合される噴射剤を収容する第2のチャンバとを備えていてもよい。ノズルの2つの例示的実施形態について上記に述べたが、本出願のデバイスは、当業者には理解されるように、圧力下で組成物の液滴を分配するための任意の好適なノズルを備えていてよいことが企図される。特定の実施形態では、アプリケータ装置120は、例えば、任意の所望の構成で配置されたノズルのアレイなどの複数のノズルを備える。複数のノズルの使用は、デバイス100がフレクセルに組成物を適用することができる全体的な速度を増加させ、所望のレベルのアーチファクトの処置が達成される前にユーザが皮膚の標的部分にわたってデバイス100を移動させる必要がある合計時間を短くする。例えば、アプリケータ装置120は、3~8個のノズル、又は4~6個のノズルを備えてもよく、各ノズルは、組成物が複数のフレクセル又はフレクセルの異なる部分に同時に適用され得るように、異なって狙いが定められる。例示的な一実施形態では、アプリケータ装置120は、5個のノズルを備える。
【0041】
アプリケータ装置120は、皮膚に適用される組成物を収容するリザーバ150に動作可能に接続される。具体的には、アプリケータ装置120は、一連の導管、弁、及び/又は圧力源によって、リザーバ150に流体接続される。リザーバ150は、デバイス100内の任意の場所に収容され得ることが企図される。例示的な一実施形態では、図1に示すように、リザーバ150はデバイス100のハンドル部分104内に収容される。リザーバ150内の組成物は、後述するように、組成物を堆積させるためにリザーバ150からアプリケータ装置120に移送される。いくつかの実施形態では、リザーバ150は、内部の内容物が使い果たされた際に交換することができる取り外し可能な容器である。例えば、リザーバ150は、皮膚に適用される組成物を内部に収容する加圧キャニスタであってもよい。
【0042】
一実施形態では、組成物は、上述したように、検出器装置110によって供給される画像データに基づいてアーチファクトの外観を変更又は最小化するために皮膚に適用される局所用組成物である。例えば、局所用組成物は、検出された皮膚内のアーチファクトの大きさの少なくとも一部分(例えば、望ましくない効視覚効果を生成する空間周波数成分の強度)を低減する化粧品組成物であってもよい。具体的に言えば、化粧品組成物は、例えば、高屈折率粒子を有する不透明RMAなどの少なくとも1つのRMAを含んでもよい。一実施例では、アーチファクトは、特に画像データからの中間空間周波数における皮膚の反射率を解析することによって検出及び定量化されてもよい。例えば、皮膚の外観及び/又は反射率を変化させるための組成物、及び/又は皮膚を処置して皮膚により健康的な外観を付与する組成物を適用することによって、中間空間周波数内で反射率を呈する皮膚の領域の外観を緩和することは、上述のように、アーチファクトの外観を修正又は最小化し、ユーザの審美的外観を改善する。
【0043】
この実施形態によるデバイス100は、デバイス100を制御する及び動作させる電力を供給するための電源160を更に備える。電源160は、デバイス100内の任意の場所に、又はデバイス100の外部に配置され得ることが企図される。例示的な一実施形態では、図1に示すように、デバイス100のハンドル部分104内に収容される電源160は、検出器装置110、アプリケータ装置120、及び/又は処理装置130に動作可能に接続される。当業者であれば、様々な既知の好適な電源を使用することができることを理解するであろう。例えば、電源160は、電池又は外部電源への接続を含んでもよい。具体的に言えば、電源160は、再充電可能なバッテリー装置を備えてもよい。
【0044】
上述のように、検出器装置110によって得られた画像データは、アーチファクトを識別し、撮像された皮膚領域内のフレクセルのいずれかに局所用組成物を適用するためにアプリケータ装置120をトリガすべきかどうかを決定するために、処理装置130によって解析される。検出器装置110によって得られた画像データは、アーチファクトを検出及び/又は定量化するために、任意の好適な方法で処理されてもよい。具体的には、画像データは、撮像領域内の1つ又は2つ以上のフレクセルが、外観が変更されるべきアーチファクトを表すかどうかを判定するために処理されることができる。具体的に言えば、デバイス100は、画像データを解析して、例えば、アーチファクトに起因する空間周波数成分から構成される光反射率の合計強度のパーセンテージとしてなど、定量的メトリックに従ってアーチファクトを識別及び位置確認する。
【0045】
例示的実施形態では、中間空間周波数を有する空間周波数成分を使用して、本実施形態におけるアーチファクトを識別及び/又は定量化する。画像の中間空間周波数の寄与が強い位置は、例えば、ユーザが変更又は最小化を希望し得る外観を有するアーチファクトを含み得る。中間空間周波数は、皮膚の画像の全体的な空間周波数及び/又は皮膚の視覚認知に対して、わずかな割合で(例えば、約5%)寄与すると考えられる。しかしながら、中間空間周波数内の空間周波数成分は、特に視覚的に顕著であり、したがって、皮膚の知覚される審美的外観に過度に影響をもたらすと考えられる。したがって、皮膚の画像の中間空間周波数内の細部に対応するフレクセルに化粧品を選択的に適用し、審美的に心地良い外観を皮膚に付与することによって、皮膚の外観を変更することが提案されている。中間空間周波数に対応するフレクセルのみの外観を選択的に変更又は最小化して、皮膚上の限られた数のフレクセルのみを修正しながら、皮膚の外観に視覚的に顕著な審美的変化を提供することが特に有益であり得る。したがって、審美的に顕著な改善を皮膚の外観に依然として提供すると同時に、皮膚に適用する組成物の量も低減することができる。
【0046】
例えば、検出器装置110が皮膚のある領域に関して取得した画像データを、処理装置130によって解析して、この領域内に含まれるフレクセルが、皮膚の撮像領域の中間空間周波数の範囲内に収まる空間周波数成分を含むかどうかを判定する。より具体的には、アーチファクトの大きさは、撮像領域の中間空間周波数内の空間周波数成分から構成される光反射率の合計強度のパーセンテージとして定量化されてもよい。好ましくは、中央空間周波数の範囲は、撮像領域全体の反射率に基づいて、各フレームごとに決定される。反射率及び中間空間周波数の解析を使用してアーチファクトを検出するための追加のデバイス及び方法が、例えば、米国特許第8,007,062号、同第9,020,184号、及び同第10,092,082号に記載されており、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
一実施例では、処理装置130は、アプリケータ装置120に対して、フレクセルが所定の閾値を超える大きさを有するアーチファクトを含むと判定されるときにのみフレクセルに組成物を選択的に堆積させるように指示する。アプリケータ装置120は、不透明な化粧品組成物を任意の所望の量又は任意の所望のパーセンテージレベルの不透明度で堆積させてもよい。具体的に言えば、アプリケータ装置120は、単一のパルス送達で、所望のパーセンテージレベルの不透明度で組成物を皮膚上に堆積させる。典型的には、組成物は低不透明度で色調の薄い化粧品を含んでもよく、送達される組成物の量は、所望の不透明度に基づいて調整されてもよい。本明細書で使用するとき、「不透明度」という用語は、組成物が基材(例えば、皮膚)表面上に提供する被覆量を指す。100%不透明度では、組成物は、基材の外観が組成物の純粋なバルクの色となるように皮膚を完全に覆うことになる。0%の不透明度では、化粧品は完全に透明であり、その結果、基材の外観は組成物からの寄与を受けることなく純粋な皮膚色となる。例えば、50%の不透明度では、組成物は、基材の外観が組成物及び皮膚色の50-50平均となるように、皮膚を部分的に被覆する。
【0048】
アプリケータ装置120は、アーチファクトを表すものとして識別されたフレクセル上に、検出された皮膚アーチファクトの割合を所望のレベルまで(すなわち、中間空間周波数における所望の反射率レベルが、このフレクセルに関して得られるまで)低減するのに十分な量の不透明な化粧品組成物を堆積させる。アーチファクトを表すものとして識別された各フレクセルの緩和の程度は、所望のレベルの反射率、例えば、問題のフレクセルを含む皮膚の撮像領域の残りの部分における反射率の平均レベルに等しい反射率を達成するために化粧品組成物によって適用されるべき不透明度のレベルとして選択されてもよい。例えば、緩和の程度(例えば、皮膚上のダークスポットの美白)は、所望の反射率(例えば、問題のフレクセルの周囲の領域の残りの部分内の反射率の平均レベルに対応する目標反射率)を達成するために皮膚に適用されるべき、所定のレベルの反射率(例えば、明度)を有する化粧品の不透明度として決定されてもよい。より詳細には、一例として、特定の化粧品の無限に厚い被覆が光の80%を反射し、皮膚上の対象点が光の70%を反射し、皮膚のその点に関する所望の目標反射が71%である場合には、反射率修正(この場合は美白)の望ましい程度は、10%である。反射率と化粧品組成物の不透明度とを直線的に相関させる不透明度の単純化された線形モデルでは、明度70%の皮膚上を明度80%の粧品組成物によって10%不透明度で覆うことによって、化粧品組成物の適用後の対象点において、所望の光反射率である71%がもたらされる。しかしながら、反射率が、反射率に加えて、例えば、化粧品組成物の密度及び波長などの他の追加の変数に依存し得る、不透明度の他のモデルも使用され得ることが企図される。
【0049】
特定の実施例では、アプリケータ装置120は、局所用組成物の一定量を単一パルスで堆積させる。単一パルスで送達される局所用組成物の一定量は、パルスが皮膚に適用されるときに所望の被覆率レベルだけアーチファクトの大きさを低減するように選択されてもよい。したがって、局所用組成物の一定の単一パルスは、局所用組成物の各パルスが皮膚に送達されるにつれて、所定の一定レベルの不透明度(及び反射率)を付与することができる。例えば、アプリケータ装置120は、各パルスごとに5%の不透明度で局所用組成物の一定量を送達するように構成されてもよい。20%不透明度で局所用組成物を適用することを必要とし得るアーチファクトの場合、それぞれが5%不透明度の局所用組成物を少なくとも4パルス用いて、局所用組成物をアーチファクトの上に積層させる必要があり得る。このような積層は、ヘッド部分102をアーチファクトの上に複数回通過させることによって適用されてもよい。しかしながら、局所用組成物の単一パルスがアーチファクトの全領域を完全に被覆しないほど十分に大きな面積をアーチファクトが有する場合、皮膚上のより大きな空間領域に広がる局所用組成物の所望の積層を提供するために、広い範囲のアーチファクトの上により多くの回数通過させること、したがって、局所用組成物のより多くのパルスを送達することが必要となり得る。
【0050】
複数回通過させる積層は非効率的であるように見える場合があるが、このような複数回通過させる戦略は、実用的デバイスにおいて良好な審美的最終結果を提供するために重要であると考えられる。第1に、デバイス100の各次の通過は、局所用組成物の層を皮膚上に適用した後の反射率を、検出器装置110が前の通過から測定するのを可能にするので、デバイス100は、各通過の間にほぼリアルタイムの反復フィードバックプロセスを提供し、この反復フィードバックにより、皮膚の異なる領域が局所用組成物とどのように相互作用するかに基づいて、そのような領域における予測不可能な変動を低減することができる。例えば、顔の異なる皮膚領域は、化粧品組成物の適用に異なって応答する場合があり、したがって、皮膚アーチファクトの外観の低下のレベルは、そのような皮膚領域と化粧品組成物との相互作用に応じて変化し得る。別の実施例として、典型的にはより油性であり得る顔の皮膚領域、例えば、顔のTゾーンへの、化粧品組成物の薄層の適用は、典型的には余り油性ではない場合がある顔の皮膚領域、例えば、顔の頬へと比較して、皮膚の反射率に異なるレベルの変化を付与することができる。第2に、アーチファクトは、アプリケータ装置120によって送達される局所用組成物の単一パルスから形成された薄層の形状に正確に対応する形状を有さない場合があるので、同じアーチファクト上にデバイス100を複数回通過させることにより、複数回通過する間に複数パルスの組成物を堆積させることによって、様々な形状及び寸法のアーチファクトに適切に対処することが可能になる。これら複数回の通過中に提供される反復フィードバックは、デバイスが皮膚の表面を横切って移動する際の局所用組成物の選択的適用に対する調節を可能にし、したがって、局所用組成物の総堆積に関して、アーチファクトを有するより大きなスポットに適合する全体的に広がった形状を提供する。
【0051】
以下で更に説明され、図2に図示されるように、アプリケータ装置120は、例えば、フレクセルのアーチファクトの大きさが所定の閾値を超えるとデバイス100が判定したときに、局所用組成物の一定量を単一のパルスでフレクセルに選択的に堆積させることができる。局所用組成物のこのような選択的適用は、例えば皮膚欠陥の大きさが5%以下であるアーチファクトなどの、アーチファクトの大きさが下限であるアーチファクトに特に有用であり得る。しかしながら、局所用組成物のこのような選択的適用は、任意の大きさの皮膚欠陥を有するアーチファクトに対して使用されてもよいことが企図される。図2は、ユーザの皮膚上の例示的な長さに沿って異なる位置にわたって検出された皮膚アーチファクトの大きさ(例えば、皮膚アーチファクトのパーセンテージ)の例示的なグラフ表示を示す。実線は、任意の化粧品組成物の適用前に検出された皮膚アーチファクトの大きさを表す。図2を見て分かるように、いくつかのアーチファクト204は、例示的な皮膚の長さに沿って存在する。破線206は、皮膚の例示的な長さに沿って、皮膚欠陥の大きさの5%低減を付与するように選択された化粧品組成物の一定量を均一に適用(「5%の化粧品の適用」)した後の皮膚アーチファクトの大きさを表す。図2に示すように、4%の皮膚アーチファクトを有する皮膚の領域への5%の化粧品の適用(適用前のアーチフェクトは230として示され、化粧品適用後は220として示されている)は、皮膚の外観を1%だけ過剰修正し得る。図2はまた、皮膚アーチファクトがわずか2%である皮膚の領域への5%の化粧品の適用(適用前のアーチフェクトは210として示され、化粧品適用後は212として示されている)は、皮膚の外観を3%だけ過剰修正し得、これは、アーチファクトの完全な低減から更に逸脱し、したがって、皮膚の審美的外観に対する利益よりも害の方が大きい。いくつかの実施例では、所定の閾値は、パルス不透明度の0.80であってもよく、これは、所定の閾値が、化粧品組成物の一定量が皮膚に適用されたときに低減するように選択されたレベルの80%に設定されることを意味する(すなわち、5%の化粧品の適用に対して4%の皮膚アーチファクト閾値)。この所定の閾値を設定することによって、デバイス100は、4%の皮膚アーチファクトの1%の過剰修正を許容するように動作する。
【0052】
局所用組成物の薄層は、所定の閾値を超えるアーチファクトを有するものとして通過ごとに識別されるフレクセルに適用されてもよい。所定の閾値をわずかに上回る大きさを有するアーチファクトは、最初の通過で実質的に又は完全に低減され得る。しかしながら、所定の閾値を大幅に上回る大きさを有するアーチファクトは、単一パルスで送達される一定のパルス不透明度を有する局所用組成物の一定量によって十分に緩和されない場合がある。この限界の効果は、図3の例示的なグラフ表示に更に示されており、この図は、ユーザの皮膚上の長さに沿って異なる位置にわたって検出された皮膚アーチファクトの大きさの別の例示的なグラフ表示を提供する。実線310は、任意の化粧品組成物の適用前に検出された皮膚アーチファクトの大きさを表す。図3を見て分かるように、より小さい大きさを有するアーチファクト312、及びより大きい大きさを有する別のアーチファクト314が、皮膚の例示的な長さに沿って存在する。破線320は、低い所定の閾値によってトリガされる各パルスごとに、低い不透明度を有するように設定された非常に少ない化粧品組成物一定量を、皮膚の例示的な長さにわたって非常に多くの回数通過させて繰り返し適用した後の、皮膚アーチファクトの大きさを表す。皮膚への化粧品組成物の適用をトリガするための閾値が低いため、皮膚のほぼ全ての領域、例えば、フレクセルの約半分は、この低い所定の閾値を超えており、化粧品組成物の小さなパルスの適用を引き起こし得る。十分な数のこれらの低閾値による通過が、目標レベルの総不透明度を達成した後(例えば、図3の破線320によって示される、5%の化粧品の適用)、例えば、312で示されるアーチファクトなどの、5%未満の大きさを有する全てのアーチファクトは、313で示されるように、皮膚に適用された化粧品組成物によって実質的に又は完全に緩和される。これにより、皮膚のほとんど全ての領域は化粧品の薄いコーティングによって覆われるものの、例えば、314で示されるものなどのより大きい大きさを有するアーチファクトは、315に示されるように、5%の化粧品の適用によって十分に軽減されることができないが、代わりに大きさは5%だけ低減される。
【0053】
不透明度の低い局所用組成物の、非常に少ない一定量での繰り返し適用は、理想的な視覚的に心地良い審美的外観を皮膚に提供しない。それどころか、低レベルのアーチファクトの大きさが存在する皮膚の領域では、上述の(above describe)パラメータを用いた組成物による被覆は、平滑化され過ぎた外観を付与し、皮膚の人工的な/不自然な外観をもたらし得る。その一方で、より大きな大きさを有するアーチファクトは、十分に低減されない場合がある。加えて、低い所定の閾値を超える、各位置でトリガされる局所用組成物の小さい一定のパルスのこのような繰り返し適用により、皮膚に適用される組成物の総量がより多くなり得、例えば、皮膚のほとんど全ての領域が、少なくとも少量の組成物を受け取る場合がある。したがって、組成物は、皮膚のほぼ全表面を覆う連続薄膜を形成して、皮膚の自然感がより少なくなる場合がある。
【0054】
このため、上記の欠点に悩まされない、各通過の間に皮膚に適用される局所用組成物の好適な所定の閾値及び量を選択することが最良である。具体的に言えば、より多くの組成物をより少ない数のより目立つアーチファクトに適用することによって、アーチファクトの外観をより良好に低減することが最良である。したがって、局所用組成物の適用を、皮膚の審美的外観に大きく寄与するより少ない数のフレクセルに選択的に標的化することが有用であり得る。例示的な一実施形態では、デバイス100は、例えば、キャンバス上の油絵などの、凹凸の付いた媒体において観察される模様を模倣するために、化粧品組成物を皮膚に選択的に適用する。そのような背景の凹凸は、画像が完璧である必要性を低減すると思われる。具体的には、このような画像内の少量のノイズは、人間の視覚システムが背景パターン又はノイズの閾値を下回るアーチファクトを見ることを妨げるように思われる。これは、芸術的な絵画で凹凸の付いた布製キヤンバスの使用が普及していることを説明し得る。キヤンバスは、キャンバスのパターンよりも弱い細部の必要性を除去する、連続的かつ均一なパターンを提供し得る。滑らかな表面に油絵を描くことは、特に、込み入った細部がアーティストの作品で明らかになるべき場合に行われることがある。しかしながら、このレベルの込み入った細部は、画像がキャンバス及び筆使いの質感によって目立たなくなるときに回避され得る。凹凸の付いた媒体又はキャンバス媒体上に印刷される写真は、通常の観察者に不完全に見えることなく、写真が完璧である必要性を低減することが観察されている。
【0055】
同様に、皮膚に適用される従来のメイクアップ用化粧品の量は、ユーザの審美的外観の視覚認知、例えば、ユーザの知覚される年齢を著しく変化させないことが観察されている。この結果は、1つには、従来のメイクアップ用化粧品が連続薄膜として適用され、したがって、皮膚全体にわたって滑らかであるためであり得ると考えられる。大きい大きさのアーチファクトが実質的に低減された状態で、自然で均一なパターンが皮膚上に残されると、目は、知覚量がそのままで正しいと満足し得る。目は、それに応じてアーチファクトの知覚量を再調整するようには思われず、それどころか、より完璧でより若い皮膚を知覚すると思われる。皮膚の自然でかすかな、均一な視覚的パターンは、油絵を描くことにおけるキヤンバス及び筆使いの知覚反応と同様の知覚反応を誘発するのに十分であるように思われる。
【0056】
デバイス100は、大きい大きさのアーチファクトが識別されたフレクセルのみに局所用組成物を選択的に適用し、他のフレクセルに組成物を適用するのを避けることによって、上述した理論を組み込む方法で動作し、それにより、皮膚の自然パターンを透かせて見せて、より若い及び/又は欠陥の少ない皮膚の知覚を生成することを可能にする。審美的に満足な皮膚の見た目は好みの問題であるため、閾値レベル、及び背景パターン平滑化の程度は、正確な定量的定義を有さない審美的選択である。しかしながら、化粧品による皮膚の全被覆及び/又は皮膚の外観の全体的な平滑化は、最も望ましいものであることはめったにないことが理解される。
【0057】
図4は、ユーザの皮膚上の長さに沿って異なる位置にわたって検出された皮膚アーチファクトの大きさ(例えば、皮膚アーチファクトのパーセンテージ)の別の例示的なグラフ表示を提供する。実線410は、任意の化粧品組成物の適用前に検出された皮膚アーチファクトの大きさを表す、図3の実線310に対応している。図3と同様に、図4もまた、皮膚の例示的な長さに沿って、より小さい大きさを有するアーチファクト412と、より大きい大きさを有する別のアーチファクト414とを有する。破線420は、所定の閾値レベルが、化粧品組成物の一定のパルスによって得られる所定の被覆率レベル(例えば、化粧品組成物の一定量を皮膚に適用したことによって付与されるアーチファクト低減のレベル)を超えたときにトリガされる化粧品組成物の一定のパルスの繰り返し適用後のアーチファクトの大きさを表す。図4を見て分かるように、破線420の部分は、実線410と一致するか、又は実質的に一致しており、化粧品組成物がそれらの部分に適用されていないか、又は最小限に適用されているかのいずれかを実証している。この実施例における所定の閾値は、背景パターン(例えば、5%の皮膚アーチファクト以内の変動、好ましくは実質的に均一な変動)に対応するアーチファクトの大きさのレベルに近いレベルに設定されている。デバイス100は、完了するまで、すなわち、所望の審美的外観が達成されるまで、又は組成物を適用することで、予め検出されたアーチファクトの全てのアーチファクトの大きさが所定の閾値未満の状態になるまで、ユーザが皮膚を横切って前後に複数回通過させることによって移動させられてもよい。結果として得られる皮膚アーチファクトのパーセンテージは、例えば、図4の破線420として示される。図4を見て分かるように、414などのアーチファクトは、それらが皮膚415の自然な連続パターン内に隠れるように、本明細書に記載される方法で緩和され得る。比較的少量又は知覚不可能な量の化粧品組成物のみが皮膚上に堆積しているにもかかわらず、目は、皮膚の連続パターンの範囲内の大きさのアーチファクトを有する残りの輪郭を、健康的で自然であると知覚すると考えられる。
【0058】
特定の実施形態では、デバイス100は、少なくとも2つの異なるモードで動作してもよい。デバイス100の各モードは、所定の閾値を超えるアーチファクトの大きさを有するフレクセルに反応して、局所用組成物の所定の一定量を単一パルスで堆積させてもよい。第1のモードでは、デバイス100は、フレクセルが第1の所定の閾値を超えるアーチファクトの大きさを有するときにのみ、局所用組成物の一定量を単一パルスでフレクセルに送達する。第1の所定の閾値は、局所用組成物の一定量を皮膚に適用することによって付与されるアーチファクト低減レベルを超えるように選択される。デバイス100は、最初に第1のモードで動作し、第2のモードに移行する前に、このモードで一定の時間にわたって動作し続けることができる。第2のモードでは、デバイス100は、フレクセルが第2の所定の閾値を超えるアーチファクトの大きさを有するときにのみ、局所用組成物の一定量を単一パルスでフレクセルに送達する。第2の所定の閾値は、第1の所定の閾値よりも低くなるように選択される。好ましくは、第2の所定の閾値はまた、一定のパルスの局所用組成物によって得られる所定の被覆率レベルを超えるように選択される。第1のモードのより高い閾値から開始することにより、デバイス100は、自然な皮膚の背景パターンを構成する範囲内の大きさのアーチファクトを有するフレクセルを処理することなく、局所用組成物の適用を、最初に、より大きな大きさを有するアーチファクトに標的化することができる。続いて、第2のモードでより低い閾値を使用して局所用組成物を適用することにより、背景パターンのアーチファクトの大きさを、好ましい及び制御された程度まで(すなわち、好ましい大きさの皮膚アーチファクトに)低減することができる。デバイスが、使用セッションの期間中、より低い閾値で第2のモードでのみ動作した場合、より大きい大きさを有するアーチファクトが化粧品組成物の適用によって低減される前に、このより低い閾値での又はこれを上回る背景パターンの構成要素は、局所用組成物によって被覆されることになる。したがって、第2のモードのみを使用して、大きい大きさのアーチファクトの実質的に完全な又は完全な低減に到達することは、自然な皮膚の望ましい背景パターンの完全な被覆をもたらすことになる。
【0059】
第1のモードから第2のモードへの移行は、ユーザによって、例えば、ユーザインターフェース170を介してユーザ入力を提供することによって手動でトリガされてもよい。ユーザインターフェース170は、処理装置120に動作可能に接続されており、ユーザが、所定の閾値を調整すべきであることを処理装置120に信号を手動で送ることを可能にする。ユーザインターフェース170の例示的な実施形態は、トグルボタン、タッチスクリーン、スイッチなどを含んでもよい。あるいは、デバイス100は、所定の基準が満たされたときに、第1のモードから第2のモードに自動的に移行してもよい。例えば、デバイス100を皮膚にわたって複数回の通過させることで局所用組成物をこれらの特定の領域に堆積させることによってアーチファクトの大きさが低減されると、デバイス100は、より大きな大きさのアーチファクトを有するフレクセルが局所用組成物で被覆されるにつれて、局所用組成物のパルスを少ない頻度で堆積させてもよい。したがって、アプリケータ装置120の堆積速度が所定の速度を下回るとき、デバイス100は、第1のモードから第2のモードに自動的に移行してもよい。第1のモードから第2のモードに移行することにより、より多くのフレクセルが処理される範囲内となるため、処理装置130は、アプリケータ装置120が局所用組成物のパルスを堆積させる速度を増加させる可能性が高い。
【0060】
追加の所定の閾値で動作する追加のモードもまた、使用されてもよいことが企図される。先行モードの所定の閾値よりも低くなるように選択された所定の閾値を利用する追加モードもまた、本出願によって企図される。いくつかの実施形態では、追加の所定の閾値はまた、皮膚に適用されたときに局所用組成物の一定量によって付与される、所定のアーチファクト低減被覆率レベルを超えてもよい。
【0061】
本出願の別の実施形態では、デバイス100は、アーチファクトが処理される大きさの閾値を動的に調整してもよい。動的に調整された閾値は、最初は、皮膚への局所用組成物の一定量の適用によって付与されるアーチファクト低減のレベルを超える任意の好適な値となるように選択されてもよい。デバイス100は、例えば、アプリケータ装置120の堆積速度に基づいて閾値を連続的又は周期的に調整してもよい。閾値は、実質的に一定の堆積速度(例えば、経時的な堆積速度の標準偏差内、±5%以内、±3%以内、±2%以内、又は±1%以内)を維持するように動的に調整されてもよい。例えば、圧縮機によって流動能力が制限され得るシステムでは、この動的に調整された閾値は、動的に調整された閾値を増加させ、それによって、デバイスの変更された動作パラメータに適応することによって、所望の審美的外観に達する前にユーザにデバイス100の使用を停止させることなく、デバイス100が、デバイスのハードウェアの最大制限未満で動作しながらも、実質的に一定の堆積速度を維持することを可能にするように調整されてもよい。アプリケータ装置120の堆積速度は、単位時間当たりのパルスとして決定されてもよい。あるいは、ユーザがデバイス100を皮膚を横切って手動で移動させる速度の変動を補償するために、堆積速度は、デバイス100が皮膚を横切って移動する単位距離当たりのパルスとして決定されてもよい。
【0062】
デバイス100はまた、単一パルスで堆積される局所用組成物の量を調節してもよい。例えば、アプリケータ装置120の流出圧力は、皮膚上に堆積した局所用組成物の量及び/又は不透明度を変化させるように調節されてもよい。各パルスで送達される局所用組成物、具体的には化粧品組成物の量を変化させることによって、各パルスで送達される不透明度を変化させることができる。不透明度が2倍になると、同等の審美的利益のための局所用組成物の使用率及び適用速度もまた2倍になると考えられる。不透明度の増大はまた、デバイス100を複数回通過させて連続的に使用した後に残存するアーチファクトの大きさのランダム性も増加させ得る。例えば、デバイス100は、化粧品組成物のパルスを10%の化粧品の適用で送達するように調節されてもよい。この増加した量の化粧品組成物は、送達される化粧品組成物の不透明度をパルスごとに増加させ得る。10%の化粧品の適用は、10%閾値を超えるアーチファクトの大きさを有するフレクセル上に堆積されてもよい。したがって、この実施例では、18%のアーチファクトは、化粧品組成物の単一パルスの適用によって8%のアーチファクトに低減され得る一方で、22%のアーチファクトは、2つのパルスで2%のアーチファクトに低減され得る。デバイス100の各通過は、局所用組成物の皮膚への各適用後の皮膚の外観に基づいた調整を可能にする、ほぼリアルタイムの反復フィードバックプロセスを提供するので、このランダム性の増加は、皮膚の知覚される質に有意に影響を及ぼさないと考えられる。しかしながら、速度を増加させること、したがって、完了前に連続的に複数回通過させるために必要な合計時間を減少させることが望ましくあり得る。
【0063】
本出願はまた、局所用組成物を皮膚に選択的に適用するための方法を含む。例示的な方法500を図5に示す。工程502において、ユーザは、デバイス100のヘッド部分102を皮膚の表面、具体的には顔の皮膚に対して配置することによって、デバイス100の使用を開始することができる。ヘッド部分102は、皮膚の領域、例えば、撮像されるフレームを構成し、かつデバイス100によって解析される領域を覆うことができる。工程504に示されるように、デバイス100は、上述のように、画像データを取得するためにデバイス100が上部に位置付けられる皮膚の領域を感知及び/又は撮像してもよい。工程506において、デバイス100(具体的には、処理装置130)は、画像データを解析して、皮膚の撮像部分内の1つ又は2つ以上のフレクセルのアーチファクトの大きさを決定する。工程508において、局所用組成物をフレクセルに適用すべきかどうかを判定するために、アーチファクトの大きさを所定の閾値と比較する。具体的に言えば、フレクセルの大きさが閾値を超える場合、方法500は工程510に進む。そうでなければ、方法500は、局所用組成物をフレクセルに適用せず、代わりに、以下で更に説明するように工程512に進む。
【0064】
工程510において、アプリケータ配置120は、局所用組成物の一定量をフレクセルに堆積させる。続いて、方法500は工程512に移り、ここで、工程508で使用される閾値を修正するための1つ又は2つ以上の所定の条件(複数可)(例えば、ユーザからの入力を受信した際、又は堆積速度が所定の速度を下回る場合)が満たされたかどうかを判定する。所定の条件(複数可)は、工程508で使用される閾値に対する修正をトリガするための任意の1つ又は2つ以上の基準を含んでもよい。例えば、上述のように、所定の条件(複数可)は、ユーザインターフェースを介してユーザから手動入力を受信すること、又は、上述のように、アプリケータ装置の堆積速度が所定の速度(例えば、所定の数のパルス/秒、又は所定の数のパルス/距離)を下回る場合、を含んでもよい。所定の条件(複数可)はまた、デバイスがそのハードウェア最大制限のうちのいずれか1つ又は2つ以上で又はその付近で動作しているときに、デバイス100が所定の閾値を調整することを要求することができる。更に、デバイス100の他の動作パラメータへの変更はまた、閾値の修正をトリガするための所定の条件(複数可)として使用されてもよいことが企図される。所定の条件(複数可)が満たされる場合、方法500は、工程508で使用される閾値が修正される工程514に進む。所定の条件(複数可)が満たされていない場合、デバイス100は、閾値の変化なしに、ユーザによって皮膚の新しいフレーム又は領域に移動されてもよい(工程516)。この移動きは、例えば、加速度計又は画像解析などの任意の好適な手段によって、デバイス100によって検出されてもよい。次に、方法500は工程504に戻り、デバイス100によって決定された通りに、上記に述べたのと同じ方法で、皮膚のこの新しい領域を、撮像、解析し、局所用組成物を当該領域に適用する。方法500は、例えば、デバイス100を皮膚から除去する、又はデバイス100のスイッチを切る(具体的には、デバイスの電源160を切る)など、任意の好適な動作によって、工程502~516のいずれか1つの前にユーザによって中断及び終了されてもよいことに留意されたい。
【0065】
特定の実施形態では、工程512は必須でなくてもよい。代わりに、閾値は、方法500の各反復を通じて継続的に更新されてもよい。閾値は、上述のように、動的に調整された閾値であってもよい。
【0066】
当業者であれば、本明細書に記載される例示的な実施形態は、別個のソフトウェアモジュールとして、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとしてなど、任意の数の方法で実装され得ることを理解するであろう。例えば、例示的な方法は、非一時的記憶媒体に記憶され、コンパイルされたときに1つ又は2つ以上のプロセッサコア又は別個のプロセッサによって実行され得るコードのラインを含む、1つ又は2つ以上のプログラム内で具体化されてよい。一実施形態によるシステムは、複数のプロセッサコアと、上記の例示的な方法を実行するためにこれら複数のプロセッサコア上で実行される命令セットとを備える。プロセッサコア又は別個のプロセッサは、任意の好適な電子デバイス、例えば、デバイスの内部のオンボード処理装置、又はデバイスの少なくとも一部と通信可能なデバイスの外部の処理装置、例えば、モバイルコンピューティングデバイス、スマートフォン、コンピューティングタブレット、コンピューティングデバイスなどに組み込まれてもよく、又はそれと通信してもよい。
【実施例
【0067】
(実施例I)
実施例Iでは、上述のように、14%の皮膚アーチファクトに閾値を持つ第1のモード、及び、第1のモードのより高い閾値の通過が完了した後により自然な外見を達成する、6%の皮膚アーチファクトに閾値を持つ第2のモード、の2つのモードで動作するように、例示的なデバイスでシュミレーションを行う。シミュレーションは、均一な照明の下で皮膚の領域の未補正画像から開始すること、画像に対応する画像データを解析して、画像内の各フレクセルのアーチファクトの大きさを決定すること、及び、上記のように、画像内の顔を横切って全てのフレクセルにわたって化粧品組成物のパルスを連続的に適用することをシミュレートすること、によって実行される。
【0068】
実施例Iの第1のモードと第2のモードとの間の移行は、図6に示されており、この図は、実施例Iに関して上述した方法で動作する例示的なデバイスの、経時的な例示的堆積パターンを示す。図6に示されるシミュレーションされた堆積パターンは、毛髪、口、及び目に対してマスクされており、これは、ユーザが顔の皮膚を横切ってデバイス100を複数回通過させて移動させることができ、化粧品組成物が毛髪上又は口及び目の中に適用されることを回避することができる例示的な方法に対応している。図6は、図の左に最初の通過601と、右に最後の通過610とを示している。最初の通過601と最後の通過610との間に介在するパターンは、画像602~609として順次ラベル付けされている。図6に示す堆積パターンの途中、特に画像605と606との間で、デバイスは第1のモードから第2のモードへと移行し、それによって、皮膚への化粧品組成物の堆積をトリガするための閾値を、14%のアーチファクトから6%のアーチファクトへと減少させる。図6を見て分かるように、堆積速度は、最初に経時的に減少した。閾値を上回る全てのアーチファクトが緩和されたとき、堆積速度はゼロに達し得る。図6の左半分に示すように(画像601~605)、化粧品組成物の堆積は、皮膚の大部分に対して停止されてもよい。図6の中央付近の残りの可視パルスは、化粧品組成物を繰り返し堆積させた後でさえも被覆される可能性が低い毛髪などの、極めて大きい大きさのアーチファクトを有する領域に対応する。図6はまた、例示的なデバイスが第1のモードから、閾値が6%のアーチファクトまで低減される第2のモードに移行すると、続いて堆積速度が上昇し、最終的に、後の通過において、6%のアーチファクトがデバイスの複数回通過によって満たされると堆積速度が低下するところを示している。
【0069】
(実施例II)
化粧品組成物を皮膚に選択的に適用するための異なる方法の審美的効果が、図7図13に示されている。図7は、化粧品組成物のシミュレートされた適用なしの被験者の顔の皮膚の領域の制御画像を示す。図8図13のそれぞれは、化粧品組成物を選択的に適用するための異なる方法で(例えば、異なる限界及び/又は閾値を適用する)、実施例Iと同様の方法でシミュレートされた同じ被験者の皮膚の同じ領域を示す。図8図10及び図12の画像は、緑チャネルで獲得し、緑チャネル画像を更に処理して画像コントラストを改善した点に留意されたい。
【0070】
図8は、実施例Iで上述した方法を使用したシミュレート画像を示す。見て分かるように、図8の画像は、皮膚を横切る複数回の通過にわたる化粧品組成物の一定のパルスの送達を利用することができると同時に、自然な審美的外観を示す。図9は、図8において適用されるようにシミュレートされたパルスの分布を示す。注目すべき点として、図8は、皮膚の審美性に対する顕著な改善を示すが、図9は、図8でシミュレートした化粧品のパルスが、皮膚の選択された領域に選択的に適用されているので、皮膚に改善された審美的外観を付与するのに必要な化粧品の総量を低減するであろうことを示す。
【0071】
図10図12は、それぞれ、低閾値モード及び高閾値モードで動作するデバイス間の審美的差異を示す。
【0072】
図10では、画像の中間空間周波数は、5%のアーチファクトの所定の限界まで低減されている。具体的には、各フレクセルの中央空間周波数を上述のように決定し、中間空間周波数に対する計算された補正レベルを、5%未満の皮膚アーチファクトを有するフレクセルについて、すなわち、所定の限界未満のフレクセルについてシミュレートした。図11は、図10において適用されるようにシミュレートされたパルスの分布を示す。図10を見て分かるように、シミュレートされた画像は、皮膚に対する不自然な見た目の滑らかさを示しているが、特定のアーチファクトは、皮膚の全体的な審美的外観内で目立つままである。加えて、図11に示すように、図10でシミュレートされた審美的外観は、各パルスでの化粧品組成物を非常に微量にした状態で、多数のパルスを堆積させる必要がある。したがって、実際の使用時には、皮膚を横切る複数回の通過にわたって、化粧品組成物を皮膚全体に堆積させることになる。
【0073】
図12では、アーチファクトは中間空間周波数を使用して識別され、中間空間周波数に対する計算された補正レベルは、図10と同様の方法でシミュレートされた。しかしながら、図12では、10%のアーチファクトよりも大きいアーチファクトの大きさを有するフレクセルにのみ補正が適用されるように、10%のアーチファクト閾値を使用した。図12を見て分かるように、10%アーチファクト未満の背景パターンは、この画像内の皮膚上に保持されるが、10%を上回るより強いアーチファクトは、そのパターンのレベルまで低減されるため、それら強いアーチファクトは、皮膚の背景パターンと視覚的に識別可能ではなくなっている。図7に示す元の画像は、大きい大きさのアーチファクトを含み、これらのアーチファクトは、図12に示される画像では審美的に顕著でないことに留意されたい。図13は、図12において適用されるようにシミュレートされたパルスの分布を示す。図13に示すように、図12に示される画像は、最小限の量の化粧品組成物及び皮膚面積被覆率を用いながら、皮膚の審美的外観の改善を付与している。したがって、この実施例は、より少ない化粧品組成物を使用しながら、外観をよりきれいにするために、皮膚に有意に少ない補正を適用するようにシミュレートされている。
【0074】
本明細書に開示される特定の実施形態は、本発明のいくつかの態様を例示することを目的としているため、本明細書に記載及び特許請求される発明は、これら実施形態により範囲が限定されるものではない。いかなる同等の実施形態も本発明の範囲内であることを意図するものである。実際、本明細書に示され及び説明されたものに加え、本発明の様々な改変が、上の記載から当業者に明らかとなるであろう。そのような改変はまた、付随する請求項の範囲内であることが意図される。本明細書に引用された全ての刊行物は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 組成物を処置表面に選択的に適用するための方法であって、
(i)処理装置によって、前記処置表面の撮像領域に対応する画像データを解析して、前記処置表面の前記撮像領域内の位置のアーチファクトの大きさを決定することと、
(ii)前記処理装置によって、前記位置の前記アーチファクトの大きさを所定の閾値と比較することと、
(iii)アプリケータ装置によって、前記位置の前記アーチファクトの大きさが前記所定の閾値を超えたときにのみ前記組成物の一定量を前記位置に適用することであって、前記組成物の前記一定量は、前記アーチファクトの大きさを所定の被覆率レベルだけ低減するように選択され、前記所定の閾値は、前記所定の被覆率レベルを超えるように選択される、ことと、を含む、方法。
(2) 前記アーチファクトの大きさが、前記処置表面の前記撮像領域の反射率に基づいて決定される、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記アーチファクトの大きさが、前記処置表面の前記撮像領域の中間空間周波数内の空間周波数成分を含む前記位置の光反射率のパーセンテージとして決定される、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記組成物が、反射率修正剤を含む化粧品組成物である、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記組成物が、皮膚症状を治療するための有効成分を含む、実施態様1に記載の方法。
【0076】
(6) (iv)所定の条件が満たされるまで、前記処置表面の後続領域について工程(i)~(iii)を繰り返すことと、
(v)前記所定の閾値を、前の前記所定の閾値よりも低い第2の値に調整することと、
(vi)調整された前記所定の閾値を使用して、前記処置表面の更なる領域について工程(i)~(iii)を繰り返すことと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第2の値が、前記所定の被覆率レベルよりも大きい、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記所定の条件が、ユーザからの入力の受信時に満たされる、実施態様6に記載の方法。
(9) 前記所定の条件は、前記アプリケータ装置の堆積速度が所定の速度を下回るときに満たされる、実施態様6に記載の方法。
(10) (iv)前記処理装置によって、前記アプリケータ装置の堆積速度に基づいて前記所定の閾値を調整することと、
(v)前記処置表面の次の領域のための調整された前記所定の閾値を使用して、工程(i)~(iv)を繰り返すことと、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0077】
(11) 前記所定の閾値が、前記アプリケータ装置の前記堆積速度を実質的に一定に維持するように調整される、実施態様10に記載の方法。
(12) 組成物を処置表面に選択的に適用するためのハンドヘルドデバイスであって、
前記組成物の一定量を前記処置表面に適用するように構成されたアプリケータ装置と、
前記処置表面の領域の画像に対応する画像データを取得する検出器と、
前記画像データを解析して、前記処置表面の前記領域内のフレクセル(frexel)のアーチファクトの大きさを決定する処理装置であって、前記アプリケータ装置に対して、前記フレクセルの前記アーチファクトの大きさが所定の閾値よりも大きいときに、前記組成物の前記一定量を前記フレクセルに適用するように指示し、前記所定の閾値は、前記処置表面に適用されたときに前記組成物の前記一定量によって付与される前記所定のアーチファクト低減被覆率レベルを超えるように選択される、処理装置と、を備える、ハンドヘルドデバイス。
(13) 前記組成物が、反射率修正剤及び皮膚症状を治療するための有効成分のうちの少なくとも一方を含む、実施態様12に記載のハンドヘルドデバイス。
(14) 前記検出器装置が、前記処置表面の前記領域に光を送達するための光源と、前記処置表面の前記領域からの光を検出して前記画像データを取得するセンサと、を備える、実施態様12に記載のハンドヘルドデバイス。
(15) 前記アーチファクトの大きさが、前記画像内で検出された前記処置表面の反射率に基づいて決定される、実施態様12に記載のハンドヘルドデバイス。
【0078】
(16) 前記アーチファクトの大きさが、前記処置表面の前記撮像領域の中間空間周波数内の空間周波数成分を含むフレクセルの光反射率のパーセンテージとして決定される、実施態様12に記載のハンドヘルドデバイス。
(17) 前記処理装置は、所定の条件が満たされたときに前記所定の閾値を第2の値に調整し、前記第2の値は、前の前記所定の閾値よりも低く、かつ前記所定の被覆率レベルよりも大きい、実施態様11に記載のハンドヘルドデバイス。
(18) 前記所定の閾値を調整すべきであることをユーザが前記処理装置に手動で信号を送ることを可能にするユーザインターフェースを更に備える、実施態様17に記載のハンドヘルドデバイス。
(19) 前記所定の条件は、前記アプリケータ装置の堆積速度が所定の速度を下回るときに満たされる、実施態様17に記載のハンドヘルドデバイス。
(20) 前記処理装置が、実質的に一定の堆積速度を維持するために前記所定の閾値を調整する、実施態様17に記載のハンドヘルドデバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13