(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】肉類似物とそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
A23J 3/00 20060101AFI20240722BHJP
A23J 3/14 20060101ALI20240722BHJP
A23J 3/16 20060101ALI20240722BHJP
A23J 3/18 20060101ALI20240722BHJP
A23L 13/60 20160101ALI20240722BHJP
A23P 20/20 20160101ALI20240722BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240722BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240722BHJP
【FI】
A23J3/00 504
A23J3/14
A23J3/16 501
A23J3/18 501
A23L13/60 B
A23P20/20
B33Y10/00
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2021543507
(86)(22)【出願日】2020-01-26
(86)【国際出願番号】 IL2020050099
(87)【国際公開番号】W WO2020152689
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-12-08
(32)【優先日】2019-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521329420
【氏名又は名称】リディファイン ミート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン‐シトリット,エスカール
(72)【発明者】
【氏名】トスモブ,アレクセイ
(72)【発明者】
【氏名】マンデリック,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ディコブスキー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シルベルスタイン,シャイ
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-520554(JP,A)
【文献】特表2021-533749(JP,A)
【文献】Feature: Israeli startup makes first 3D-printed vegan steaks with uniquetechnology,[online],2018年12月01日,[2023年12月20日検索],Retrieved from the internet:<URL: https://www.xinhuanet.com/english/2018-12/01/c_137642859.htm>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23J
A23L
A23P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dプリントされたタンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素を含む3Dプリントされた肉塊類似物であって、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物をセグメントに分割するときに、前記セグメントは
、前記
3Dプリントされた肉塊
類似物の
少なくとも1つの他のセグメントとは化学的に異なる前記タンパク質ベースの構成要素から本質的に構成され、前記脂肪ベースの構成要素から本質的に構成される少なくとも1つのセグメントを含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物は、前記タンパク質ベースの構成要素の実質的に整列したストランドの層を含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物は、内部に別々に分布された脂肪ベースの構成要素およびタンパク質ベースの構成要素を含む少なくとも1つの層を含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物の立体サンプルは、物理的パラメータが前記立体サンプルの3つの異なる本質的に直交する方向から測定されるとき、異方性の物理的特性を示し、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物の寸法は、0.5cm~10cmの厚さを有する個々のステーキスライスを前記
3Dプリントされた肉塊類似物からスライスすることを、前記スライスすることが前記タンパク質ベースの構成要素の前記ストランドの方向に本質的に垂直な方向であるとき、可能にするのに十分なものである、
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項2】
3Dプリントされたタンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素を含む3Dプリントされた肉塊類似物であって、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物をセグメントに分割するときに、前記セグメントは、前記脂肪ベースの構成要素から本質的に構成される少なくとも1つの他のセグメントとは化学的に異なる前記タンパク質ベースの構成要素から本質的に構成される少なくとも1つのセグメントを含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物は、前記タンパク質ベースの構成要素の実質的に整列したストランドの層を含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物は、内部に別々に分布された脂肪ベースの構成要素およびタンパク質ベースの構成要素を含む少なくとも1つの層を含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物は、前記タンパク質ベースの構成要素および前記脂肪ベースの構成要素の非均質な分布を含み、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物の寸法は、0.5cm~10cmの厚さを有する個々のステーキスライスを前記
3Dプリントされた肉塊類似物からスライスすることを、前記スライスすることが前記タンパク質ベースの構成要素の前記ストランドの方向に本質的に垂直な方向であるとき、可能にするのに十分なものである、
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項3】
前記タンパク質ベースの構成要素および前記脂肪ベースの構成要素の非均質な分布を含む、請求項1に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項4】
前記タンパク質ベースの構成要素のセグメントの湿ったサンプルは、5重量%~60重量%のタンパク質材料を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項5】
前記脂肪ベースの構成要素は、(i)前記脂肪ベースの構成要素が30℃で3,000~1,000,000センチポアズ(cP)の粘度を有すること、(ii)前記脂肪ベースの構成要素が30℃~80℃の範囲の融点温度を有すること、の少なくとも一方を特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項6】
前記脂肪ベースの構成要素は、30℃で10,000~300,000センチポアズの粘度を有する、請求項5に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項7】
タンパク質含有量が異なる2つ以上のタンパク質ベースの構成要素を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項8】
脂肪含有量が異なる2つ以上の脂肪ベースの構成要素を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項9】
前記脂肪ベースの構成要素のセグメントの湿ったサンプルは、20重量%~100重量%の親油性物質を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項10】
前記脂肪ベースの構成要素のセグメントの湿ったサンプルは、60重量%~100重量%の親油性物質を含む、請求項9に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項11】
前記脂肪ベースの構成要素は、不飽和脂肪酸を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項12】
前記脂肪ベースの構成要素は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、オレオゲル、油中水型乳濁液、水中油型乳濁液、および油中油型乳濁液のいずれか1つまたは組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項13】
前記異方性の物理的特性が組織特性である、請求項1
及び3~12のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項14】
前記
異方性の物理的特性が3つの直交する方向で、少なくとも0.5ccの少なくとも1つのサンプルで測定されるとき、前記異方性の物理的特性が、少なくとも20%の値差で示される、請求項1
及び3~12のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項15】
水性ベースの構成要素を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項16】
前記水性ベースの構成要素は、少なくとも0.5ccの前記
3Dプリントされた肉
塊類似物のサンプルから抽出されたときに、70重量%~97重量%の量の水を含む、請求項15に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項17】
前記少なくとも0.5ccのサンプルは、少なくとも10個のそのようなサンプルで平均したとき、30%~80%の水を含む、請求項15に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項18】
結合剤を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項19】
前記結合剤が、グルテン、架橋酵素、架橋ゲル化剤、親水コロイド、およびガムのいずれか1つまたは組み合わせを含む、請求項18に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項20】
前記架橋酵素が、ジスルフィド結合およびイソペプチド結合のいずれか1つまたは組み合わせの形成に触媒作用を及ぼす酵素である、請求項19に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項21】
前記酵素がトランスグルタミナーゼである、請求項19に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項22】
前記親水コロイドの少なくとも一部分が、前記タンパク質ベースの構成要素を含むセグメントに存在する、請求項19に記載の
3Dプリントされた肉
塊類似物。
【請求項23】
前記架橋ゲル化剤が架橋アルギン酸カルシウムを形成する、請求項19に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項24】
幅、高さ、および長さによって定義され、長さが10cm~50cm、高さが10cm~15cm、幅が12cm~20
cmである、請求項1~23のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項25】
幅、高さ、および長さによって定義され、長さが30cm~100cm、高さが15cm~30cm、幅が20cm~40
cmである、請求項1~23のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項26】
前記タンパク質ベースの構成要素は、組織化植物性タンパク質(TVP)を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項27】
実質的に整列したスタンド脂肪構成要素を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物。
【請求項28】
請求項1~
27のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物を製造するための方法であって、前記方法が、タンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素の一方または両方を含む層をプリントすることを含み、
前記プリントすることは、
前記脂肪ベースの構成要素を含む他のセグメントとは化学的に異なる前記タンパク質ベースの構成要素を含む1つ以上のセグメントと、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物のプリント方向と実質的に整列している前記タンパク質ベースの構成要素のストランドを含む層と、
内部に別々に分布された脂肪ベースの構成要素およびタンパク質ベースの構成要素を有する少なくとも1つの層と、
物理的パラメータが立体サンプルの3つの異なる方向から測定されるときの、前記
3Dプリントされた肉塊類似物の前記立体サンプルにおける異方性の物理的特性と、
幅0.5cm~10cmの個々のステーキスライスを前記
3Dプリントされた肉塊類似物からスライスすることを、前記スライスすることが前記タンパク質ベースの構成要素の前記ストランドの方向に本質的に垂直な方向であるとき、可能にするのに十分な前記
3Dプリントされた肉塊類似物の寸法と、
を提供するように構成されている、方法。
【請求項29】
請求項1~25のいずれか1項に記載の
3Dプリントされた肉塊類似物を製造するための方法であって、前記方法は、タンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素の一方または両方を含む層をプリントすることを含み、
前記プリントすることは、
前記脂肪ベースの構成要素を含む他のセグメントとは化学的に異なる前記タンパク質ベースの構成要素を含む1つ以上のセグメントと、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物のプリント方向と実質的に整列している前記タンパク質ベースの構成要素のストランドを含む層と、
内部に別々に分布された脂肪ベースの構成要素およびタンパク質ベースの構成要素を有する少なくとも1つの層と、
前記
3Dプリントされた肉塊類似物内の前記タンパク質ベースの構成要素と前記脂肪ベースの構成要素の非均質な分布と、
幅0.5cm~10cmの個々のステーキスライスを前記
3Dプリントされた肉塊類似物からスライスすることを、前記スライスすることが前記タンパク質ベースの構成要素の前記ストランドの方向に本質的に垂直な方向であるとき、可能にするのに十分な前記
3Dプリントされた肉塊類似物の寸法と、
を提供するように構成されている、方法。
【請求項30】
前記プリントすることは、前記
3Dプリントされた肉塊類似物の立体サンプルにおける異方性の物理的特性を提供するように構成されている、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記プリントすることは、前記タンパク質ベースの構成要素および前記脂肪ベースの構成要素の一方の他方に対する空間的配置を定義する所定の編成プランに従う、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質ベースの構成要素のストランドをプリントすること含む、請求項29~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記脂肪ベースの構成要素のストランドをプリントすること含む、請求項29~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質ベースの構成要素のストランドをプリントベッド上に堆積させる前に、前記タンパク質ベースの構成要素を組織化することを含む、請求項29~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも1つの硬化段階を含み、前記硬化は、
-結合剤を塗布すること、
-組織化剤を塗布すること、
-赤外線(IR)放射への曝露
、
-加熱または冷却、
-水分の除去または導
入
のうちのいずれか1つまたは組み合わせを含む、請求項29~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
1つ以上のプリントされた層間に前記結合剤を塗布することを含む、請求項29~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも3つの層をプリントすることを含む、請求項29~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも3つの層のうちの少なくとも2つが同一ではない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
長さが10cm~50cm、高さが10cm~15cm、幅が12cm~20
cmの
3Dプリントされた肉塊類似物を得るために層をプリントすることを含む、請求項29~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
長さが30cm~100cm、高さが15cm~30cm、幅が20cm~40
cmの
3Dプリントされた肉塊類似物を得るために層をプリントすることを含む、請求項29~39のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、肉類似物の分野に属していた。
【0002】
背景技術
現在開示されている主題の背景として関連すると考えられる参考文献を以下に挙げる。
-米国特許第4,691,161号
-米国特許出願公開第20180192686号
-米国特許出願公開第US2017164650号
-米国特許出願公開第US2016066612号
-C Liu et al.“The Development of 3D Food Printer for Printing Fibrous Meat Material”IOP Conf.Series:Materials Science and Engineering 284(2017)012019 doi:10.1088/1757-899X/284/1/012019
-Davide SherおよびXavier Tuto“Review of 3D Food Printing”ELISAVA Temes de Disseny,N°.31(2015)ページ104~117 ISSN 2385-7951
【0003】
本明細書における上記の参考文献の認識は、これらが現在開示されている主題の特許性に何らかの形で関連していることを意味するものとして推論されるべきではない。
【背景技術】
【0004】
3Dプリント(積層造形)の開発は大幅に成長した。この技術は、医学、航空、自動車、建築模型などのさまざまな分野で適用されており、最近では食品加工への適用にも成功しており、食品科学の研究者から広く評価されている。3Dプリントの研究は通常、インクの特性、プリンタの設計、およびプリントパラメータに焦点を当てている。
【0005】
米国特許第4,169,161号は、植物性タンパク質、卵白、脂肪、および水を含む疑似多相肉様製品について記載しており、これは、無着色および着色乳濁液から調製され、それらがはっきりと着色された領域を生成するように、層状にされて一塊にされる。塊は熱で凝固し、細片にスライスされて、焼かれると、視覚的および食感的に焼いた肉、特にベーコンに類似している。
【0006】
米国特許出願公開第20180192686号は、栄養のある低カロリー食品、およびそれによって製造される食品を製造するための工程およびシステムを記載している。この工程は、少なくとも1つの栄養材料(例えば、タンパク質)および少なくとも1つの食用のノンカロリーのセルロースナノ材料のそれぞれを配合し、3次元プリント(3Dプリント)によって配合物(複数可)を所望の形態に堆積させて所定の食感と栄養とカロリー含有量を有する食品を形成することを含む。
【0007】
米国特許出願公開第US2017164650号は、食用粉体組成物および少なくとも1つの食用液体を提供することであって、食用粉体組成物は、水溶性タンパク質、親水コロイド、および可塑剤を含む、提供することと、組成物に対して、食用液体を粉体上に噴霧することによって堆積させて粉体層プリントを行い、それによって食用物を得ることと、を含む食用物体の製造方法を記載している。また、この方法で得られる食品、特にパスタ、固形物、プロテインバーについても説明している。
【0008】
米国特許出願公開第US2016066612号は、肉モデルの画像ファイルを事前に格納し、肉モデルの画像ファイルに対応する制御コマンドを出力するための制御コンピュータを含む3D肉代替品成形装置を記載している。粉体状の肉代替材料は、粉体状の非肉タンパク質食品材料である。3D肉代替品成形法は、前処理工程、浸漬および粉砕工程、スラリ沸騰および濾過工程、噴霧乾燥工程、粉体散布および層化工程、プリントおよび固化工程、積層工程、ならびに過剰粉体除去工程を含む。
【0009】
C Liuら(2017)は、繊維状の肉材料の3D食品プリントの開発について記載している。具体的には、2つの加圧タンクと2つの押出ノズルを使用するシステムであって、第1のセットのノズルと加圧タンクは繊維状材料を押し出して多孔質組織のブロック形状を形成し、第2のセットのノズルと加圧タンクは、多孔質材料に液体ポークエッセンス、チキンエッセンスなどを注入して、ジューシーで潤いのある食品材料を形成する、システムについて記載している。
【0010】
Davide SherとXavier Tuto(2015)は、3D食品プリントの批評を提供し、とりわけ、生地から刻んだ肉まで、さまざまなペースト材料を押し出すためにシリンジベースのシステムを利用するFoodini 3Dプリンタ、および3D肉生産を経済的に実行可能なソリューションへ変えていく、将来的な課題について言及している。
【発明の概要】
【0011】
その第1の態様によれば、本開示は、製品内に別個に分布されたタンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素を含む肉類似物を提供し、製品は、主に脂肪ベースの構成要素を含む、または、脂肪ベースの構成要素から本質的に構成される少なくとも1つの他のセグメントとは化学的に異なる、主にタンパク質ベースの構成要素を含む、または、タンパク質ベースの構成要素から本質的に構成される少なくとも1つのセグメントを含み、以下の、
-製品の立体サンプルにおける異方性の物理的特性
-タンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素の非均質な分布のうちの少なくとも1つを特徴とする。
【0012】
また、本開示は、本明細書に開示される肉類似物を製造するための方法を提供し、この方法は、タンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素の一方または両方を含む層をプリントすることを含み、
プリントすることは、
主に脂肪ベースの構成要素を含む、または、それから本質的に構成される他のセグメントとは化学的に異なるタンパク質ベースの構成要素を主に含む、または、それから本質的に構成される1つ以上のセグメントと、以下の、
タンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素の非均質な分布と、
製品の立体サンプルにおける異方性の物理的特性とのうちの少なくとも一方を提供するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に開示されている主題をより良く理解し、実際にそれがどのように実行され得るかを例証するために、添付の図面を参照して、非限定的な例としてのみ、実施形態をここで説明する。
【0014】
【
図1A】プリント(ストランド)方向が示された、牛肉様の肉代替品塊(
図1A)の3Dモデルおよび長さ軸、幅軸、高さ軸が示された、実際の牛肉塊の画像(
図1B)を示す。
【
図1B】プリント(ストランド)方向が示された、牛肉様の肉代替品塊(
図1A)の3Dモデルおよび長さ軸、幅軸、高さ軸が示された、実際の牛肉塊の画像(
図1B)を示す。
【
図2】本開示の非限定的な例に従って使用することができる3Dプリンタの要素の概略図である。
【
図3A】本開示の一例による、肉類似物の3Dモデルの立体サンプルの概略断面図を示しており、
図3Bは、
図3Aの3Dモデルのセグメントの拡大図である。
【
図3B】本開示の一例による、肉類似物の3Dモデルの立体サンプルの概略断面図を示しており、
図3Bは、
図3Aの3Dモデルのセグメントの拡大図である。
【
図4A】本開示の別の例による、肉類似物の3Dモデルの立体サンプルの概略断面図を示しており、
図4Bは、
図4Aの3Dモデルのセグメントの拡大図を示す。
【
図4B】本開示の別の例による、肉類似物の3Dモデルの立体サンプルの概略断面図を示しており、
図4Bは、
図4Aの3Dモデルのセグメントの拡大図を示す。
【
図5A】本開示のさらに別の例による、肉類似物の3Dモデルの立体サンプルの概略断面図を提供しており、
図5Bは、
図5Aの3Dモデルのセグメントの拡大図を示している。
【
図5B】本開示のさらに別の例による、肉類似物の3Dモデルの立体サンプルの概略断面図を提供しており、
図5Bは、
図5Aの3Dモデルのセグメントの拡大図を示している。
【
図6】本開示のいくつかの例による、肉類似物の可能なプリント構成の概略図を示し、円は、プリントされた構成要素材料の中心を示す。
【
図7A】本開示のさまざまな非限定的な例による、異なる3Dプリントモデルの図を示す。
【
図7B】本開示のさまざまな非限定的な例による、異なる3Dプリントモデルの図を示す。
【
図7C】本開示のさまざまな非限定的な例による、異なる3Dプリントモデルの図を示す。
【
図7D】本開示のさまざまな非限定的な例による、異なる3Dプリントモデルの図を示す。
【
図7E】本開示のさまざまな非限定的な例による、異なる3Dプリントモデルの図を示す。
【
図7F】本開示のさまざまな非限定的な例による、異なる3Dプリントモデルの図を示す。
【
図8】プリントされた全筋の塊の3Dモデルの図(
図8A)と、焼く前(
図8B)と焼いた後にスライスされた(
図8C)、結果として得られた3Dプリントされた肉代替品の塊の画像を示す。
【
図9】3Dプリントしたひき肉製品の画像(
図9A)、ならびに、脂肪構成要素でプリントされたテキスト(「BENNY」、
図9C)と、追加の(外部から追加された)油なしに焼いた後のそのスライス(
図9B)を示す断面図を示す。
【
図10】タンパク質ベースの構成要素をプリントせずに成形することによって生成されたタンパク質含有構成要素(5μmスライス厚で撮影された画像)と比較した、実施例14に基づいてデジタルプリントされたタンパク質含有構成要素の組織像を含む。
【
図11A】非プリント肉および本物の牛肉(
図11C)と比較した、実施例14に従って3Dプリントされた肉代替品の食感プロファイルパラメータの棒グラフである。
【
図11B】非プリント肉および本物の牛肉(
図11C)と比較した、実施例14に従って3Dプリントされた肉代替品の食感プロファイルパラメータの棒グラフである。
【
図11C】非プリント肉および本物の牛肉(
図11C)と比較した、実施例14に従って3Dプリントされた肉代替品の食感プロファイルパラメータの棒グラフである。
【
図13A】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13B】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13C】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13D】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13E】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13F】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13G】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【
図13H】本開示のいくつかの非限定的な例に従うさまざまな肉類似物の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、肉類似物およびそれを製造する方法を提供する。
【0016】
本開示の文脈において、本明細書で提供される肉類似物は、当業者が典型的に検査した際に、味、食感、消費者体験、および他の特性の点で本物の肉製品に類似している、または類似させることを目的としていることを理解されたい。
【0017】
したがって、本開示は、製品内に別々に分布されたタンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素を含む肉類似物を提供し、製品は
主に脂肪ベースの構成要素を含む、または、それから本質的に構成される少なくとも1つの他のセグメントとは化学的に異なるタンパク質ベースの構成要素を主に含む、または、それから本質的に構成される少なくとも1つのセグメントを含み、
製品の立体サンプルでは、製品は異方性の物理的(好ましくは組織)特性を示す。
【0018】
本開示の文脈において、「セグメント」という用語は、原則として、主にタンパク質ベースの構成要素のみを含む、もしくは、それから本質的に構成され得る、主に脂肪のみを含む、もしくは、それから本質的に構成され得る、またはタンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素の両方を含み得る製品のサンプルまたは一部分を示すと理解すべきである。
【0019】
さらに、本開示の文脈において、「化学的に異なる」と言及する場合、化学的/生物学的実体が存在するまたは存在しない、同じ化学的/生物学的実体の異なる量を含む、など、比較される構成要素が互いに異なるものであると理解されたい。
【0020】
本開示の文脈において、製品のセグメントの組成に関連して「主に含む、または、本質的に構成される」という表現を使用する場合、少なくとも50体積%、時には少なくとも60体積%、時には少なくとも70体積%、時には80体積%、さらに、時には少なくとも90体積%が、記載された構成要素から作られると理解されたい。同様に、タンパク質や脂肪などの構成要素の成分について、記載されている種類の成分(タンパク質や脂肪など)を「主に含む、または、本質的に構成されている」と言及する場合、その構成要素は記載されている種類の成分を他よりも多く含んでいると理解されたい。例えば、主にタンパク質を含むタンパク質ベースの構成要素は、脂肪、炭水化物、または他の非タンパク質材料よりも、少なくとも5%、時には少なくとも10%、時には少なくとも20%w/w以上のタンパク質を含むものと理解されたい。同様に、例えば、主に親油性材料を含む脂肪ベースの構成要素は、タンパク質やその他の非親油性材料よりも、少なくとも5%、時には少なくとも10%、時には少なくとも20%w/w以上の親油性材料を含むものと理解されたい。
【0021】
本開示の文脈において、タンパク質ベースの構成要素に言及する場合、それは、水および食用タンパク質材料を含む組成物として理解されたい。タンパク質材料は、タンパク質、ペプチド、オリゴペプチド、およびアミノ酸の単一のタイプまたは組み合わせを含むことができる。
【0022】
肉類似物内のタンパク質ベースの構成要素は、肉の筋肉部分を模倣するために使用され、したがって、具体的には、製品を調理した後でも、筋肉の組織を持つように設計および構築されている。タンパク質ベースの構成要素は、他の非タンパク質材料、例えば、水および脂肪と組み合わせた1つ以上のタンパク質を含むことができる。
【0023】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は、1つ以上のタンパク質を含む。
【0024】
タンパク質(複数可)は、人間の使用または消費に許容できる安全なものであれば、いかなる由来のものでもよい。
【0025】
いくつかの例では、タンパク質(複数可)は非哺乳動物由来のものである。非哺乳動物由来のものとしては、これらに限定されないが、植物由来のもの、節足動物(例えば、昆虫)、藻類、菌類(例えば、酵母)、細菌、または他の微生物を含むことができる。
【0026】
他のいくつかの例では、タンパク質(複数可)は非動物由来のものである。非動物由来のものには植物由来のものだけでなく、細胞が動物細胞であっても、細胞培養から得られたタンパク質材料も含まれる。
【0027】
いくつかの例では、タンパク質(複数可)は植物性タンパク質を含む。植物性タンパク質は、純粋なタンパク質、タンパク質分離物、タンパク質濃縮物、タンパク質粉、組織化植物性タンパク質(TVP)などの組織化タンパク質の形態をとることができる。
【0028】
本開示の文脈では、TVPは、乾燥形態の組織化植物性タンパク質(膨張TVPとみなされることもある)だけでなく、高水分押出成形(HME)または高水分押出調理(HMEC)などの結果として当技術分野で知られている高水分形態の両方を示すために使用される。
【0029】
タンパク質(複数可)は、植物由来のものであればなんでもよく、これらに限定されないが、小麦、マメ科植物(豆類、インゲン豆、エンドウ豆、レンズ豆、ナッツ)、植物の種子や穀物(例えば、ヒマワリ、カノーラ、米)、茎や塊根タンパク質(例えば、ジャガイモのタンパク質)などが含まれる。
【0030】
いくつかの例では、タンパク質はマメ科植物に由来する。マメ科植物/豆タンパク質の、特定の、ただし、非限定的な例には、大豆タンパク質、エンドウ豆タンパク質、ヒヨコ豆タンパク質、ハウチワ豆タンパク質、緑豆タンパク質、インゲン豆タンパク質、黒豆タンパク質、アルファルファタンパク質が含まれる。
【0031】
本明細書に開示される肉代替品に適したいくつかの特定の、しかし限定されないタンパク質は、ベータゴングリシニン、グリシニン、ビシリン、レグミン、アルブミン、グロブリン、グルテリン、グルテン、グリアジン、グルテニン、マイコプロテインである。
【0032】
タンパク質構成要素は、単一のタイプのタンパク質またはタンパク質のブレンドを含むことができる。単一のタンパク質として、または他のタンパク質と組み合わせて使用されるタンパク質の一例はグルテンである。
【0033】
タンパク質ベースの構成要素の唯一のタンパク質として、または他のタンパク質と組み合わせて使用できるタンパク質の他の1つの例は、ベータコングリシニン大豆タンパク質(分離物または濃縮物)である。
【0034】
さらに別の例では、タンパク質ベースの構成要素の少なくとも一部は、動物由来の構成要素、例えば、牛肉の筋肉、鶏の筋肉、卵タンパク質、乳タンパク質、昆虫ベースのタンパク質などを含むか、または細胞培養技術によって達成される。
【0035】
さらに別の例では、タンパク質ベースの構成要素の少なくとも一部は、例えば、植物、藻類、菌または微生物に由来する組換えタンパク質を含む。
【0036】
本明細書に開示される肉類似物内では、タンパク質ベースの構成要素は、任意の化学的または物理的形態であり得る。
【0037】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は生地(例えば、厚い可鍛性ペースト)である。
【0038】
他のいくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素はゲルの形態である。
【0039】
他のいくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は乳濁液の形態である。
【0040】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は、組織化タンパク質の形態である。この文脈において、組織化タンパク質物質について言及する場合、それは、構成要素内のタンパク質の物理的状態を定義するものと理解されたい。いくつかの例では、優れたタンパク質は、繊維構造を作り出すために組織化水に結合したタンパク質分子で構成されている。他の例では、組織化タンパク質構成要素は、実質的に整列した繊維構造を作り出すように、特定の方向に実質的に整列したタンパク質分子を含む。タンパク質材料の整列は、例えば、当技術分野でよく知られている調理押出工程、シェア(Couette)セル、およびスピニングによって、ならびに生地中の既存のタンパク質繊維の束を狭い通路に押し通して、押し出し方向に対して整列させる冷間押出によって達成することができる。
【0041】
いくつかの例では、組織化タンパク質は、例えば、組織化大豆、組織化エンドウ豆、組織化小麦グルテン、およびそれらの組み合わせを含む組織化植物性タンパク質(TVP)を含むか、またはTVPである。
【0042】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は、ゲル、乳濁液、および組織化タンパク質の組み合わせである。
【0043】
なお、これに関連して、本明細書に開示される製品は、製品全体に同じタンパク質ベースの構成要素を含むことができるが、いくつかの例では、製品は、異なるタイプのタンパク質ベースの構成要素の組み合わせを含むことができる。単一の製品内のタンパク質ベースの構成要素の違いは、次のいずれかによって示すことができる。
-構成要素の組成の違い、例えば、異なるタンパク質ベースの構成要素に含まれるタンパク質のタイプおよび/もしくは純度の違い、ならびに/または(同じタンパク質が単一の製品のさまざまなタンパク質ベースの構成要素間で使用されていても)異なるタンパク質ベースの構成要素に含まれるタンパク質の量の違い。
-水濃度、脂肪濃度、ならびに/または食品業界で知られている食品添加物(風味材料、着色料など)の異なる種類および/もしくは濃度の違い。
-タンパク質ベースの構成要素の組織の違いにより、例えば、製品内の一部のタンパク質ベースの構成要素は、高度に組織化され(好ましくは繊維状、好ましくは実質的に整列した繊維状)、一部の構成要素はあまり組織化されていない場合があるため、異なる組織上の挙動を示す。
-タンパク質ベースの構成要素の形態の違いにより、製品内の一部のタンパク質ベースの構成要素はゲルの形態であり、同じ製品内のそれ以外の構成要素は生地および/または乳濁液の形態である場合がある。
【0044】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は、製品のタンパク質ベースのセグメント全体で生地の形態である。
【0045】
他のいくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は、製品のタンパク質ベースのセグメント全体でゲルの形態である。
【0046】
他のいくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素は、製品のタンパク質ベースのセグメント全体で乳濁液の形態である。
【0047】
タンパク質ベースの構成要素中のタンパク質の量は、とりわけ、タンパク質のタイプ、所望の物理的(好ましくは少なくとも1つの組織)特性、それらが組み合わされる他の物質などに応じて変化し得る。しかし、タンパク質ベースの構成要素は、5重量%~60重量%、好ましくは10重量%~40重量%(ウェットベース)のタンパク質材料を含む。残りは通常、脂肪、炭水化物、そしてほとんどが水または水性ベースの媒体である。
【0048】
タンパク質の量は、当技術分野で知られている技術によって判定することができる。例えば、特定のジョーンズ係数を使用するケルダール法。
【0049】
本開示の文脈において、脂肪ベースの構成要素に言及する場合、それは、水および親油性材料を含む物質の組成物として理解されたい。
【0050】
脂肪ベースの構成要素は、乳化剤、例えば、タンパク質、ならびに当技術分野で知られている他の乳化剤を含んでもよい。
【0051】
肉類似物内の脂肪ベースの構成要素は、動物性脂肪組織を模倣するために使用され、したがって、加熱下での組織および液体放出特性などの動物性脂肪組織の性質を有するように設計および構築されている。具体的には、動物の肉の典型的な調理条件下では、溶けた脂肪は脂肪ベースの構成要素から徐々に放出されるので、脂肪ベースの構成要素はその全体的な構造的統合性を保持する(すなわち、ある程度収縮する場合があるが、製品から完全に溶け出ることはない)。脂肪ベースの構成要素は、他の非親油性材料、例えば、タンパク質と組み合わせて、親油性材料を構成するための1つ以上の親油性化合物を含むことができる。しかし、脂肪ベースの構成要素に言及する場合、水以外の親油性材料が構成要素の大部分を構成することを理解されたい。
【0052】
親油性材料という用語は、親油性化合物の単一のタイプまたは組み合わせを包含すると理解されるべきである。理解されるように、親油性化合物は、脂肪、油、脂質、および非極性溶媒に溶解する能力を有するものであり、本開示の文脈において、親油性材料は、限定されることなく、脂肪酸、脂肪アルコール、油、脂質、バター、および脂肪全体のいずれか1つまたは組み合わせを含むことができる。
【0053】
いくつかの例では、脂肪ベースの構成要素は、1つ以上の親油性化合物を含む。
【0054】
親油性材料は、人間の使用または消費に許容できる安全なものであれば、いかなる由来のものでもよい。
【0055】
いくつかの例では、親油性材料は非哺乳動物由来のものである。非哺乳動物由来のものとしては、これらに限定されないが、合成または半合成の親油性化合物、植物由来のものを含むことができる。
【0056】
いくつかの例では、親油性材料は、植物由来の親油性化合物を含む。
【0057】
いくつかの例では、親油性材料は、少なくとも1種の油、具体的には、植物由来の油を含む。植物由来の油の非限定的なリストには、コーン油、オリーブ油、大豆油、ピーナッツ油、クルミ油、アーモンド油、ゴマ油、綿実油、菜種油、カノーラ油、サフラワー油、ヒマワリ油、亜麻仁油、藻油、パーム油、パーム核油、ココナッツオイル、ババスオイル、小麦胚芽オイル、米ぬか油が含まれる。
【0058】
いくつかの例では、親油性材料は少なくともバターを含む。親油性材料内で使用できる食用バターの非限定的なリストには、シアバター、マンゴーバター、カカオバター、およびククムバターが含まれる。
【0059】
いくつかの例では、親油性材料は、少なくとも1つの脂肪酸(飽和および不飽和)を含む。いくつかの例では、脂肪酸は、C6-C24飽和または不飽和脂肪酸である。
【0060】
いくつかの例では、親油性材料は、これに限定されないが、グリセリド(モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド)などの脂肪材料を含む。トリグリセリドの具体的な、ただし非限定的な例は、レシチンまたはリゾレシチンである。
【0061】
いくつかの例では、親油性材料は、組換えであってもなくても、藻類、菌、または微生物(例えば、古細菌)に由来するものである。
【0062】
いくつかの例では、親油性材料は動物由来であるか、または動物ベースの材料と同一である組換え由来の製品を含む。これらに限定されないが、親油性材料は、動物から直接取り出すことも、または動物細胞培養から抽出することもできる。例としては、これらに限定されないが、豚脂肪(ラード)、牛脂肪、鶏脂肪、鴨脂肪が挙げられる。
【0063】
いくつかの例では、脂肪ベースの構成要素は、例えば、得られる製品のカロリーを減らすために、脂肪代替品を含むことができる。脂肪代替品は、当技術分野で知られており、炭水化物系(例えば、セルロース、デキストリン、改質デンプン、果物系繊維、穀物系繊維、ハイドロコロイドガム、マルトデキストリン、ペクチン)、タンパク質系(例えば、微粒子タンパク質、改質ホエイタンパク質濃縮物)、脂肪系(例えば、変性トリグリセリド、ショ糖ポリエステル、エステル化プロポキシル化グリセロール)、およびこれらの組み合わせの4つのカテゴリに分けることができる[Position of the American Dietetic Association:“Fat replacers”.Journal of the American Dietetic Association.105(2):266-275.2005、その内容は参照により本明細書に組み込まれる]。
【0064】
いくつかの例では、脂肪ベースの構成要素は、30℃で3,000~1,000,000センチポアズ(cP)、時には10,000~300,000センチポアズの粘度を有する親油性材料を含む。
【0065】
いくつかの例では、脂肪ベースの構成要素は、30℃から80℃の範囲の融点温度を有する親油性材料を含む。
【0066】
いくつかの例では、脂肪ベースの構成要素は、オレオゲルまたはオルガノゲルを含む。
【0067】
理解されるように、液相の極性に従って、ゲルは、ヒドロゲル、エマルゲル、およびオレオゲル/オルガノゲルとして分類することができる。ゲル化した液相が水である場合、ゲルはヒドロゲルと呼ばれ、乳濁液がゲル化する場合、二相性配合物はエマルゲルとして定義される。
【0068】
分散液が植物油、鉱油、または有機溶媒であり、有機ゲル化剤によって構造化されている場合、そのゲルはオレオゲル/オルガノゲルと呼ばれる。
【0069】
食品業界では、油の物理的特性を脂肪の物理的特性に類似するように変更し、それによって特定の組織とレオロジーを必要とする食品に油を組み合わせることができるようにするために、オレオゲルが開発された。オレオゲルは、ポリマー、両親媒性物質、ワックスなどの特定の分子をオイルに組み込むことに基づいており、オイルの物理的特性を変化させて流動性を低下させる。
【0070】
一般のオレオゲルおよび食用オレオゲルは当技術分野で知られており、本開示の文脈において、脂肪ベースの構成要素に、動物の脂肪組織を模倣する所望の組織およびレオロジーを提供するように選択される。より具体的には、食用オレオゲルは、構造剤ネットワークによって閉じ込められた食用液相で構成され、最終的にはゲルの形成につながる。
【0071】
オレオゲルは、疎水性液体(植物油など)で作られた連続相を備えた半固体系として定義でき、この場合、自己組織化ネットワーク(構造剤によって構成される)が液体の物理的閉じ込めに関与する。所望の物理的特性および食品タイプの用途に応じて、異なる特性を有するオレオゲルを生成することができる。構造コンフォメーションは、使用する構造剤のタイプに依存し、これにより、オレオゲルの所望の最終的な用途が決まる[Martins,A.J.,Vicente,A.A.,Cunha,R.L.,& Cerqueira,M.A.(2018).Edible oleogels: an opportunity for fat replacement in foods.Food & Function,9(2),758-773.Doi:10.1039/c7fo01641g、その内容は参照により本明細書に組み込まれる]。
【0072】
食用オレオゲルに使用される構造剤の非限定的なリストには、エチルセルロース(EC)、天然ワックス(植物および動物)および天然樹脂、フィトステロールおよびオリザノール、脂肪酸誘導体、ならびにレシチンが含まれる。
【0073】
いくつかの例では、構造剤はエチルセルロースである。いくつかの例では、US2015/0157038に記載される方法で、オレオゲルは、エチルセルロースを食用植物油、例えば、食用トリアシルグリセロールと、加熱下で、80℃~300℃の範囲内の温度で、典型的には不活性雰囲気下で混合することによって形成され、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
いくつかの例では、構造剤は、カンデリラワックス、ヒマワリワックス、カルナウバワックス、米ぬかワックス、ミツロウ、シェラックワックスなどの天然ワックスである。[Martins,A.J et al.2018 ibid.]。
【0075】
構造剤と油との比率は変えることができ、いくつかの例では、重量比は99:1~75:25の範囲内である。
【0076】
当技術分野は、これらに限定されないが、結晶性粒子オレオゲル、結晶性繊維オレオゲル、高分子ストランドオレオゲル、粒子充填ネットワークオレオゲル、および液晶メソフェーズオレオゲルを含む、さまざまなタイプのオレオゲルを提供する。
【0077】
結晶性粒子カテゴリのオレオゲルは、結晶性トリアシルグリセロール粒子のネットワーク内に閉じ込められた液体トリアシルグリセロールによって形成することができる。これらのオレオゲルの機械的特性は、サイズ、形状、および結晶粒子間の相互作用に依存する。このカテゴリの一般的な構造剤には、ジアシルグリセロール、モノアシルグリセロール、脂肪酸、ワックスエステル/モノステアリン酸ソルビタン、レシチン/トリステアリン酸ソルビタン、およびセラミドが含まれる。
【0078】
オレオゲルの結晶性繊維カテゴリには、分子量が低く、原繊維ネットワークに自己組織化することができる構造剤が含まれ得る。
【0079】
高分子ストランドオレオゲルは、セルロース、デンプン、ゼラチンなどの生体高分子によって形成することができる。
【0080】
粒子充填ネットワークオレオゲルは、連続的な液体(例えば、油)相が固体または液体の粒子で満たされているときに形成され得る。粒子充填ネットワークオレオゲルは、固体/液体粒子が不活性粒子として機能し、高濃度で存在しなければならないことを必要とする。粒子が最密充填率を超えて広がると、それらの間の機械的接触によってネットワークが形成される。ネットワークは、不活性粒子が固体の場合はサスペンションシステムを形成するが、不活性粒子が液体の場合は乳濁液を形成する。そのようなネットワークシステムの一例はピーナッツバターであり、システムの約50重量%がピーナッツ油に分散された固体の無脂肪粒子である場合がある。
【0081】
液晶メソフェーズシステムは、本開示の文脈で使用できる別のタイプのオレオゲルネットワークである。液晶メソフェーズシステムは、油中の足場によって形成され、その足場は、連続相として油を有し、連続相中に液晶空間を有する。
【0082】
本開示に従って使用されたオレオゲルの例(本開示の一部を構成する以下の例を参照)は、エチルセルロースと植物油(約1:2の重量比)を混合することによって得られた。
【0083】
いくつかの例では、脂肪ベースの構成要素は乳濁液を含む。乳濁液は、油中水型乳濁液、水中油型乳濁液、および油中油型乳濁液であり得る。場合によっては、乳濁液の形成を容易にするために、脂肪ベースの構成要素は、1つ以上の乳化剤を含む。
【0084】
脂肪ベースのセグメントの脂肪の量は異なる場合がある。いくつかの例では、製品の湿ったサンプル、すなわち、脂肪ベースの構成要素を含むサンプルから水または水分が積極的に除去されていない場合、親油性材料の量は、湿ったサンプルの重量の20重量%~100%重量%の範囲内である。いくつかの好ましい例では、脂肪ベースの構成要素を含む湿ったサンプルは、60重量%~97重量%の親油性物質を含む。
【0085】
脂肪ベースの構成要素内の親油性材料の量は、当技術分野で知られている技術によって判定することができる。たとえば、溶媒抽出-重量分析法および/またはガスクロマトグラフ(GC)である。
【0086】
本明細書に開示される肉類似物は、その中のタンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素などの構成要素の非均質な分布を特徴とする。「非均質な分布」という用語は、製品が、互いに組成が異なるセグメントを含むことができることを意味すると理解されるべきである。
【0087】
本開示の肉類似物の非均質性または均質性の欠如は、当技術分野で知られているように、肉代替品の寸法および偏差値によって定義することができる。
【0088】
さらに、この非均質性は、タンパク質ベースの構成要素、脂肪ベースの構成要素、水ベースの構成要素(後述)の分布だけでなく、本物の全筋の塊への類似性を高めるために着色料、風味料などの他の構成要素を含む、製品のさまざまな構成要素で示すことができる。
【0089】
例えば、
図1A~
図1Bに示す肉塊では、幅軸(「w」、XP軸とも呼ばれる)、高さ軸(「h」、Z軸とも呼ばれる)または長さ軸(「L」、ストランド方向に平行、P軸とも呼ばれる)を考慮して、空間寸法を使用して定義できる。
【0090】
3つの異なる軸の寸法に基づいて、塊は小塊、中塊、または大塊として定義できる。
【0091】
【0092】
したがって、ステーキの寸法を定義するときは、その長さ、高さ、および幅の寸法を参照する。具体的には、ステーキは通常、肉塊からP軸に垂直に切断され、切断された塊と同じ幅と高さになるが、長さの値(つまりステーキの厚さ)は塊が大、中、小のいずれの塊であったかに関係なく、通常0.5~10cmになる。
【0093】
塊の均質性の特性は、次の定量的パラメータ/値のいずれかによってさらに定義できる。
【0094】
高解像度偏差
プリント方向(P)に垂直に、肉代替品塊に沿ってスライスが取られる。スライス領域は、セルサイズ2mm×2mmの仮想グリッドに分割される。2mm×2mmの各セルで、脂肪構成要素の割合が測定される。
【0095】
これらの割合の標準偏差が取得され、比率は、これらの割合を、すべてのセルに測定された構成要素が100%または0%含まれている場合に得られる最大限の標準偏差で割ることによって計算される。この比率は、高解像度偏差として割り当てられる。
【0096】
各セルの割合がV
iの場合、高解像度の偏差は次のようになる。
【数1】
ここで、<>は平均を意味する。
【0097】
この偏差の高い値は、測定された材料の嚢(脂肪嚢など)を示し、低い値は、より均質な組織を示す。
【0098】
中解像度の偏差
高解像度偏差と同じ方法で計算されるが、セルサイズは1cm×1cmである。
【0099】
低い値は、一噛みごとの均質性を教示しており、一部の製品タイプに好ましい。例えば、ハンバーガーは、一噛みごとに同じ濃度の脂肪嚢を維持するために、偏差が少ないことが好ましい。ひき肉の生産では偏差を少なくすることはできないが、3Dプリントでは実現できる。
【0100】
低解像度の偏差
高解像度偏差と同じ方法で計算されるが、セルサイズは4cm×4cmである。
【0101】
一般的に、低解像度の偏差は中解像度よりも低く、中解像度は高解像度よりも低い。
【0102】
製品の方向性
製品のスライスは、XP/Z平面に沿って(プリント方向Pに垂直に)取られる。スライス領域は幅1cmの仮想列に分割され、列は特定の方向に沿っている。各列で脂肪の割合が測定される。
【0103】
標準偏差は、投影された全長による重み付けで計算される(長さは製品の形状によって異なる)。
【数2】
ここで、V
iは投影値、L
iは投影された全長である。
【0104】
この偏差は、XP軸に対する列の角度が0°~170°である複数の方向に対して10°刻みで計算される。すべての方向(Di)の値の変調は、製品の方向性である。
【0105】
変調は次のように計算される。
【数3】
式中、脂肪構成要素の低い濃度でD
iの自然変動を克服するために、定数が分母に追加される。
【0106】
全層製造法では方向性の高い製品が得られるが、プリント法では方向性が低い製品を得ることができる。
【0107】
局所的な方向性
製品のスライスは、XP/Z平面に沿って(プリント方向Pに垂直に)取られる。スライス領域は、1mm×1mmセルの仮想グリッドに分割される。
【0108】
製品の境界から少なくとも1cmの位置にある各セルについて、局所的な方向性が計算される。2×2cmのサイズのセルの周辺をいくつかの方向に投影し(0°~170°、10°刻みで取得)、各方向の標準偏差を計算し、製品の方向性の場合と同じ方法で変調を求める。
【0109】
測定された構成要素のランダム濃度の方向性を克服するために、0.035の補正係数が差し引かれる。
【0110】
最後に、この値に、セル周辺(半径2cm)の脂肪構成要素の平均濃度(C
i)を掛ける。
【数4】
【0111】
すべてのセルについて局所セルの方向性を計算した後、すべての平均を取り、製品全体の脂肪構成要素の濃度で除算する。
【0112】
製品の広がり
この値は、脂肪構成要素を高い割合で含む領域の広がりを測定する。
【0113】
高解像度偏差の場合と同様に、XP/Z平面(プリント方向に垂直)に沿った製品のスライスが取得され、セルサイズ2mm×2mmの仮想グリッドに分割される。領域に測定された構成要素がほとんど(>50%)含まれている場合、セルは正として割り当てられ、そうでない場合は負として割り当てられる。
【0114】
製品の広がりは、正セルの重み付け平均距離として定義され、次の式で計算される。
【数5】
ここで、137.83係数は、単一セルの最大重み付け距離の合計である。
【0115】
広がりが大きいということは、測定された構成要素が1~数センチメートルのサイズの大きなまとまりとして整列していることを意味する。これは、脂肪の多いタンパク質製品(ステーキや装飾が施された製品を模倣するため)に存在し得る。
【0116】
説明のために、本開示によるデジタルプリントされた肉類似物と、デジタルプリントを伴わない他の技術によって製造された従来技術の肉類似物との間で比較が行われた。
【0117】
表1Aは、本明細書に開示される例示的な3Dプリント肉代替品(略称RdMによって識別される)を含むさまざまな検査された代替肉製品の説明、およびパラメータの定性値を提供し、表1Bは、これらの例示的な3Dプリント肉代替品の定量値を提供し、両方の表は、当技術分野で知られているように、他の方法で製造された肉代替品の均質性に対して、本開示の対象となる肉類似物の非均質性を示している。表1Aおよび表1Bで論じられている例示的な3Dプリント肉代替品に関しては、
図13A~
図13Hも参照する。
【表2】
【表3】
【0118】
表1Aに示されるデータは、本明細書に開示される3Dプリント製品が、当技術分野で知られている他の肉類似製品とは異なる特有の構造的異質性特性を有することを示している。
【0119】
表1Bのデータは、
図13A~
図13Hに示すように、代表的な/例示的な3Dプリント製品の計算値を示している。表1Bはまた、本明細書に開示される製品の特性をカバーする各パラメータの範囲を示している。したがって、本開示のいくつかの例によれば、本明細書に開示される肉類似物は、少なくとも1つ、時には上記のパラメータ範囲の組み合わせを満たすであろう。
【0120】
いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、0.5よりも大きい、好ましくは0.7よりも大きい偏差[高]を有する。
【0121】
いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、0.2~0.95、好ましくは0.36~0.9の偏差[中]を有する。
【0122】
いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、0.6未満、好ましくは0.4未満の偏差[低]を有する。
【0123】
いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、0.05より大きい、好ましくは0.1より大きい広がりを有する。
【0124】
いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、0.6未満、好ましくは0.4未満の方向性を有する。
【0125】
いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、上記のすべてのパラメータを示し、これらはまとめて、本明細書に開示される肉類似物の特有の特性を表す。
【0126】
いくつかの追加の例では、肉類似物は、同じ塊から、または異なる塊間で切断されたときに、同じ構造を有する複数の製品を製造する能力を強調する製品の再現性を特徴とすることができる。再現性は次のように定義される。
【0127】
製品の再現性
製品の再現性は、同じタイプの2つの製品間の変化量を測定する。
【0128】
高解像度偏差の場合と同様に、製品のスライスがXP/Z平面(プリント方向Pに垂直)に沿って取得され、サイズ1mm×1mmのセルの仮想グリッドに分割される。各セルで、各構成要素(タンパク質、脂肪、その他)の割合が測定される。
【0129】
次に、同じことが別のスライス(同じ塊または異なる塊から)に対して実行され、2つのスライスの対応するセルの差が判定され、差の標準偏差が計算される。
【0130】
製品の再現性は、2つの製品の標準偏差とすべての構成要素の割合の平均との比率である。
【0131】
第1のスライス内の各セルの割合がV
i、第2のスライス内各セルの割合がW
iである場合、製品の再現性は、以下になる。
【数6】
場合によっては、毎回同じ製品を製造するためには、高い再現性が要求される。このような再現性は、ブレンドや混合などの確率的生産では実現できないが、3Dプリントでは実現できる。その他の場合、本物の肉製品を模倣するために低い再現性が要求され、3Dプリントは、製品内のさまざまな構成要素の分布を制御する能力のおかげで、低い再現性も提供できる。
【0132】
なお、これらの偏差は、面積(2D)セルの代わりに体積(3D)セルを使用して、塊全体で計算できる。
【0133】
計算された再現性の値を表1Cに示し、一方、列のタイトルは、XP軸とZ軸の両方で3Dプリントシステムの予想される不正確性を示している。
【表4】
【0134】
したがって、いくつかの例では、本明細書に開示される肉類似物は、0.8より大きい、時には0.85より大きい、時には0.9より大きい再現性基準を有する。
【0135】
さらに、塊の切身の大部分が表1Cに記載されている再現性基準を満たしている場合、脂肪要素がP方向に実質的に配向していることを示し、一般にRdM3Dプリントステーキ類似物の特徴であると述べられている。
【0136】
本明細書に開示される肉類似物は、少なくともタンパク質ベースの構成要素(複数可)および脂肪ベースの構成要素(複数可)を含み、後者が、製品の対称サンプル(例えば、立体)の3つの異なる本質的に直交する方向(例えば、それらの間で80°~100°)から測定されるとき、少なくとも1つの物理的パラメータに関して異方性の物理的(および具体的には組織)プロファイルを示すように構築される。この非対称の物理的(または、より具体的には組織)プロファイルは、製品の異方性の物理的(組織)特性と呼ばれる。
【0137】
本開示の文脈において、「立体サンプル」という用語は、3つの異なる本質的に直交する方向に沿って切断を実行することによって肉代替産物から取得されたサンプルを意味し、少なくとも第1の切断軸はタンパク質繊維の平均方向に沿っていて、他の切断は第一の切断軸に垂直な任意の軸に沿っていると理解されたい。これに関連して、肉塊の直交軸を示す
図1Aおよび
図1Bも参照する。
図1Aおよび
図1Bによれば、立体サンプルの切断は、長さ軸L(P軸)に沿った少なくとも1つの切断を含む。
【0138】
本開示の文脈では、製品の異方性の物理的特性は、以下にさらに説明するように、少なくとも0.5ccの製品のサンプルにおいて、本質的に3つの直交する異なる方向で物理的特性を測定したときに、少なくとも10%、時には少なくとも20%、時には少なくとも50%の値差で示されることを理解されたい。
【0139】
本明細書に開示される繊維肉類似物、より具体的には実質的に整列した繊維肉類似物の特定の非限定的な例において、異方性がその最大値に達する軸は、平均繊維方向に沿った軸および前者に垂直な任意の軸である。
【0140】
本明細書に開示されるプリント肉類似物の特定の非限定的な例では、異方性がその最大値に達する軸は、プリント方向P(通常、実質的に整列した繊維肉類似物の平均繊維方向に類似している)、およびP軸に垂直な任意の軸、つまりXP-Z平面内の任意の軸に沿った軸である。
【0141】
本明細書に開示される肉類似物を特徴づけることができる異方性の物理的特性の例の非限定的なリストには、熱伝導率、電気伝導率、弾性率、剪断弾性率、降伏強度、および歯ごたえ、粘着性、硬さ、ヤング率、凝集性、および付着性などの食品技術分野で知られている組織特性が含まれる。これらの特性のいずれかを独立して、または任意の組み合わせで使用して、本明細書に開示される肉類似物を定義することができる。
【0142】
いくつかの例では、異方性の物理的特性は、以下でさらに論じられるように、異方性の組織特性である。
【0143】
異方性食品の場合、食品材料/製品の特性は方向に依存する。肉は繊維質であるため、異方性の食品として知られている。例えば、牛肉に繊維束が存在すると、繊維に平行に測定した場合と繊維に垂直に測定した場合に、組織プロファイルと熱伝導率の値が異なる。
【0144】
例えば、肉の筋繊維方向に沿った引張強度(張力の破壊応力)は、それに対して直角の引っ張り強度よりも、生肉と調理済み肉の両方ではるかに大きくなる。鈍い刃を肉に打ち込むのに必要な力によって測定される調理済み肉の靭性は、筋繊維に沿ってではなく、筋繊維を横切って切断するときに大きい。[J.M.V.Blanshard,J.R.Mitchell“Food Structure:its creation and evaluation”,p 234(1988、その内容は参照により本明細書に組み込まれる]
【0145】
場合によっては、本明細書に開示される肉類似物は、本物の肉の組織挙動などの異方性の特性を模倣する。
【0146】
いくつかの例では、異方性の物理的特性は、硬さ、粘着性、歯ごたえ、ヤング率、凝集性、および付着性などの組織特性であり、それぞれが本開示の製品を特徴付ける別個の実施形態を構成する。
【0147】
異方性の組織プロファイルは、以下でさらに論じるように、例えば、組織プロファイル技術を使用して、当技術分野で知られている技術によって判定することができる。
【0148】
肉類似物はまた、他の構成要素を含むことができる。
【0149】
いくつかの例では、肉類似物はまた、本明細書において、水ベースまたは水性ベースまたは水分構成要素という用語によって交換可能に言及される第3の構成要素も含む。この構成要素は、以下でさらに詳述するように、着色剤、塩、増粘剤、充填剤、安定剤、乳化剤などのさまざまな溶質および/または懸濁/分散材料を担持する水溶液または水ベースのゲルを含む。
【0150】
それに拘束されることなく、水ベースの構成要素は、動物の筋肉の液体の代替として機能するように構築されている。
【0151】
いくつかの例では、製品中の水ベースの構成要素は、この製品の少なくとも0.5ccの少なくとも1つのサンプルから抽出された場合、70重量%~97重量%の量の水を含む。
【0152】
水ベースの構成要素の水分含有量は、水ベースの構成要素が保持されている製品内の「嚢」から抽出された水ベースの構成要素のサンプルから判定することができ、そのような嚢は製品からサンプリングされるのに十分な大きさである。次に、このような水ベースの構成要素は、TGA(熱重量分析装置)を使用して分析できる。さらに、一般的な水分含有量および嚢内に位置する水ベースの構成要素内の水分含有量は、タンパク質間の高水分含有量の領域を示すスーパー/ハイパースペクトルイメージングを実行することによって判定することができる。
【0153】
いくつかの例では、水ベースの構成要素は、15℃~80℃の範囲、時には20℃~65℃の範囲の温度で、ゲルの形態である。これは、約0.5mmより大きい嚢から採取されたサンプルから、レオロジー特性、例えば、貯蔵弾性率、温度範囲でのG’変化(例えば、温度掃引法)を測定することによって判定できる。
【0154】
いくつかの例では、水ベースの構成要素は、以下の食用添加物のいずれか1つまたは組み合わせを含む。
着色剤-これらに限定されないが、アナトー抽出物、キャラメル、モルト抽出物、ビート抽出物、エルダーベリー抽出物、リコピン、パプリカ、ターメリック、スピルリナ抽出物、カロテノイド、クロロフィリン、アントシアニン、およびベタニンを含み、時には、着色剤は、例えば、植物から、酵母から、またはヘムなどの細胞培養物からの天然着色剤でもあり得る。
乳化剤および安定剤-これらに限定されないが、エンドウ豆抽出物、マスタード、レシチン、セルロース、ジャガイモタンパク質抽出物を含む。乳化剤と安定剤は、時には、組織化剤と見なされる。
酸味料-これらに限定されないが、酢、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、およびフマル酸を含む。
風味料-これらに限定されないが、グルタミン酸ナトリウム、植物抽出物、黒コショウ、酵母抽出物、塩、芳香油を含む。
増粘剤-これらに限定されないが、デンプン、加工デンプン、マルトデキストリン、カラギーナン、グアーガム、アルギニン、寒天、穀物粉ミックス、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、ローカスビーンガム、およびキサンタンガムなどの多糖類およびガラクトマンナンを含む。増粘剤は、時には、組織化剤と見なされる。
抗酸化剤-これらに限定されないが、アスコルビン酸、ローズマリー抽出物、アスパラチン、ケルセチン、およびトコフェロールを含む。
栄養強化剤-これらに限定されないが、アミノ酸、ミネラルを含む。
防腐剤-これらに限定されないが、ヒドロキシ安息香酸、亜硝酸塩、硝酸塩、ソルビン酸、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸乳酸、セロリ抽出物、プロピオン酸、安息香酸、およびプロピオン酸ナトリウムを含む。
ビタミン-これらに限定されないが、ナイアシン、ビタミンB12を含む。
甘味料-これらに限定されないが、ステビア、スクラロース、糖アルコール、ショ糖、ブドウ糖、果糖、およびアスパルテームを含む。
【0155】
いくつかの例では、水ベースの構成要素は、少なくとも0.5重量%の増粘剤またはゲル化剤を含む。
【0156】
いくつかの例では、製品は、水ベースの構成要素の一部として、加工デンプンを含む。
【0157】
いくつかの例では、製品は、水ベースの構成要素の一部として、マルトデキストリンを含む。
【0158】
いくつかの例では、製品は、水ベースの構成要素の一部として、寒天を含む。
【0159】
なお、上記の添加物のいずれか1つまたは組み合わせは、タンパク質ベースおよび/または脂肪ベースの構成要素にも含まれ得る。
【0160】
本明細書に開示される肉類似物はまた、いくつかの例によれば、少なくとも1つの結合剤/結着剤を含む。
【0161】
本発明の文脈において、結着剤は、製品の統合性に寄与する、すなわち、製品の凝集性および/または構造的安定性を確保および/または維持する任意の物質である。
【0162】
凝集性は、1回目と2回目の咀嚼で、食品がその形態をどれだけよく保持するかを表す。肉は凝集性が高いが、例えば、桃は凝集性が低い。この凝集性の値は、食品の引張強度と圧縮強度に直接関係している。
【0163】
いくつかの例では、結着剤は、小麦グルテン、卵白、ガムおよび親水コロイド、酵素、架橋ゲル化剤、ならびにデンプンなどのグルテンのいずれか1つまたは組み合わせである。
【0164】
いくつかの例では、酵素は、ジスルフィド結合および/またはイソペプチド結合の形成を触媒するタイプのものである。いくつかの例では、酵素はトランスグルタミナーゼである。
【0165】
いくつかの例では、結着剤は親水コロイドを含む。親水コロイドは、機能特性を改善し、時には脂肪分の減少、塩分の減少、および凍結/解凍工程の望ましくない影響を補うために肉製品にすでに使用されている。
【0166】
本開示の文脈で使用される親水コロイドは、これらに限定されないが、カラギーナン、アルギン酸塩(例えば、アルギン酸カルシウム)、こんにゃくガム、亜麻仁ガム、またはローカストビーンガムなどの単一のタイプの親水コロイドを含むことができる。
【0167】
いくつかの例では、親水コロイドは物質の組み合わせで形成され、上記のような相乗効果を生み出す。
【0168】
結着剤は、製品の任意の構成要素内に組み込むことができ、および/またはそれは、異なる構成要素によって形成されるセグメント間に存在することができる。
【0169】
いくつかの例では、結着剤、例えば、親水コロイドは、タンパク質ベースの構成要素の不可欠な部分である。
【0170】
いくつかの例では、肉類似物は、脂肪ベースの構成要素の嚢/ゾーンおよび/または水ベースの構成要素の嚢を含む。この文脈において、「嚢」は、主に、または本質的に脂肪ベースの構成要素または水ベースの構成要素から構成されるセグメントを示し、セグメントは、本質的にまたは全体的にタンパク質ベースの構成要素によって囲まれる/包まれる。理論にとらわれることなく、調理中、または別の方法で製品を扱う際に、脂肪および/または水ベースの構成要素をタンパク質ベースの構成要素で本質的に全体的に(例えば、90%以上)、または完全に包み込むことで、処理中に親油性材料および/または水ベースの構成要素が製品から漏出するのを防ぎ、それによって製品のジューシーさおよび/または口当たりを維持すると考えられる。これに関連して、以下の例11および12を参照すること。
【0171】
いくつかの例では、溝を作る、および/または構成要素(例えば、タンパク質構成要素と脂肪構成要素)間の色のコントラストを利用することによって、製品(肉塊)の外側にマークを形成してもよく、これは、そのような嚢を切り開かないように製品を切断するのに好ましい場所を示す。これに関連して、例示的な
図7D~
図7Fを参照されたい。
【0172】
いくつかの例では、肉代替品は、プリントされた製品、例えば、肉塊全体が、一部またはすべての方向(円周方向)からタンパク質ベースの構成要素で「コーティング」されるように構築されているため、製品を一緒にまとめ、崩壊する可能性を防ぐ。これに関連して、3D編成プラン#1および編成プラン#7の例を参照されたい。
【0173】
本明細書に開示される肉類似物は、認定された官能パネルおよび/またはテクスチュロメーター(組織プロファイルアナライザー-TPAとしても知られる)などの機器によって定義される値によって特徴付けることができる。組織メーターは、製品サンプルを2回圧縮し、力-時間曲線を分析してサンプルの組織プロファイル分析(TPA)パラメータを提供するテストを適用する。肉類であっても、官能パネルが感じるサンプルの硬さ、脆さ、歯ごたえ、粘着性、凝集性、および付着性の度合いを評価する尺度が開発されている[Szczesniak et al.The Texturometer-A New Instrument For Objective Texture Measurement,Journal of Food Science,Volume 28,pp 390-396(1963)、その内容は参照により本明細書に組み込まれる]。
【0174】
以下では、TPAテストが次の条件に従って実行された。
平面を塊軸系(
図1A-
図1BにL/w/hとして示されているP/XP/Z)に直交させたまま、20x20x20mmの試験片を3Dプリントされた塊から切り取った。
【0175】
機器:100Nロードセルを備えたLLOYD試験機
テストの設定:20×20×20mmの試験片は、3秒の遅延で分離された2つの圧縮サイクルで90mm/分の速度で2つの平行なプレート間(室温)で50%圧縮された。次の主要なパラメータが抽出された。
●ヤング率
●凝集性
●硬さ(第1ピーク、第2ピーク)
●歯ごたえ
【0176】
肉類似物は、構造、組成、および組織が全筋肉部分に類似している。そのため、牛肉の主要な切身や他の既知の食肉類似製品と同様に、ステーキを作るためにスライスすることができる食品のバルクを表す塊の形態で、または、スライスされた部分、例えば、ステーキ部分の形態で提供することができる。
【0177】
いくつかの例では、肉類似物は、後でステーキおよび/または他の所望の形態(例えば、シチュー用の長方形片)にスライスするために、塊全体としてプリントされる。
【0178】
次に、肉類似物は、焼く、煮る、刻む、調理するなどを含む従来の調理方法に従って処理することができる。
【0179】
本開示はまた、本明細書に記載されるような肉類似物を製造する方法を提供する。
【0180】
この方法は、本明細書で定義されるように、タンパク質ベースの構成要素および脂肪ベースの構成要素の一方または両方を含む層をプリントすることを含む。
【0181】
プリントは、所定の材料/マトリクスの編成プランに従って実行され、異なる構成要素の分配方法を指示することで、
肉類似物の中で、タンパク質ベースの構成要素からを主に含む、またはそれから本質的に構成される1つ以上のセグメントであって、タンパク質ベースの構成要素(複数可)は、脂肪ベースの構成要素を主に含む、またはそれから本質的に構成される肉類似品の他のセグメントとは、化学的に異なる、セグメント、
肉類似物の立体サンプルにおける異方性の物理的(好ましくは組織)特性、および、任意選択で、
タンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素の非均質な分布、のいずれかを特徴とする肉類似物を提供する。
【0182】
本明細書に開示される方法の非限定的な例では、異方性がその最大値に達する軸は、プリント方向(P)によって定義される軸および前者に垂直な任意の軸(例えば、XPまたはZ)である。これは、実質的に整列した繊維構造がタンパク質ベースの構成要素に存在し、通常、本明細書に開示されるようにプリント(P)方向に沿って整列している場合にさらに顕著である。
【0183】
本明細書に開示される方法は、手動で実行することができ、すなわち、各層を手動で適用するが、好ましくは、タンパク質ベースの構成要素と脂肪ベースの構成要素の、一方の他方に対する、空間分布および層化を制御する所定の編成プランに従って、肉類似物の構成要素の層化をデジタルで行う。
【0184】
いくつかの例では、この方法は、各層がタンパク質ベースの構成要素のプリント/堆積されたストランドの単層を含むように、層を重ねてプリントすることを含む。
【0185】
いくつかの例では、少なくともインクジェットによる構成要素の少なくとも1つの堆積。
【0186】
いくつかの例では、この方法は、各層が脂肪ベースの構成要素のプリントされた/堆積されたストランドの単層を含むように、層を重ねてプリントすることを含む。
【0187】
いくつかの例では、この方法は、各層が脂肪ベースの構成要素とタンパク質ベースの構成要素のプリント/堆積されたストランドの組み合わせの単層を含むように、層を重ねてプリントすることを含む。
【0188】
肉類似物は完全にプリントすることができる、つまり、肉類似物のすべての構成要素は、プリント技術を使用して肉類似物に組み込まれる。しかし、場合によっては、肉類似物の構成要素の一部が、プリントされた層またはプリントされた層の一部に噴霧および/または散布する、さっと浸す、浸漬するなど、異なる方法で塗布され、例えば、肉類似物に結着剤が存在している場合、層のプリントが完了した後に、結着剤を、例えば、噴霧および/または散布することによって、層上に塗布することができる。
【0189】
いくつかの例では、この方法は、少なくともタンパク質ベースの構成要素を組織化することを含む。組織化は、タンパク質ベースの構成要素の堆積前、タンパク質ベースの構成要素の堆積中、またはその直後に実施することができる。
【0190】
いくつかの例では、組織化は、少なくともタンパク質ベースの構成要素を押し出すことによって得られる。なお、他の構成要素も押し出しを受けることができる。
【0191】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素の組織化は、構成要素をプリントベッド上に、または以前にプリントされた層の上に堆積させる前に、全体的または部分的に行われる。
【0192】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素の組織化は、プリントベッド上に、または以前にプリントされた層の上への構成要素の堆積中に行われる。
【0193】
いくつかの例では、タンパク質ベースの構成要素の組織化は、構成要素をプリントベッド上または以前にプリントされた層上に堆積させた後に行われる。
【0194】
後者の場合、堆積後の組織化は、硬化技術を利用して行うことができる。これらに限定されないが、硬化は、以下の任意の1つまたは組み合わせによって行うことができる。
-結合剤を塗布すること。結合剤の非限定的な例は、上記に提供されている。
-アルギン酸カルシウム系の場合など、組織化剤を塗布すること。
-赤外線(IR)放射への曝露。
-紫外線(UV)放射線への曝露。水銀ランプやUV LED光源など、350nm~420nmのピークを生成し、光開始剤、例えば、CIBA Irgacure 2959を約0.1%~1%w/wで使用する。
-加熱または冷却。
-水分の除去または導入(再水和または脱水)。
【0195】
硬化は、層全体を堆積させた後、層の一部分を堆積させた後、いくつかの層を堆積させた後、または完全な肉類似物のプリントを完了した後でも行うことができる。
【0196】
硬化を行って、プリント後に肉類似物のさまざまな構成要素を固化させること、次の層をプリントする前に層を安定させること、プリント後の組織化を誘発または促進させること、構成要素の結合を誘発または促進させること、のいずれかを達成することができる。
【0197】
いくつかの例では、構成要素のプリントはストランドの形態で行われる。いくつかの例では、ストランドは、10~10,000、好ましくは50~1000、より好ましくは100~500の範囲の無次元アスペクト比(L/D)または中央値無次元アスペクト比(L/D)中央値を有し、Lはストランドの長さ、Dはその直径である。
【0198】
いくつかの例では、肉類似物は、タンパク質ベースの構成要素をプリントすることによって得られ、脂肪ベースの構成要素などの他の非タンパク質ベースの構成要素の少なくとも一部分は、他の方法で(すなわち、それ自体をプリントするのではなく)塗布される。
【0199】
いくつかの例では、非タンパク質ベースの構成要素の少なくとも一部は、すでにプリントされたタンパク質ベースの構成要素を他の成分の中にさっと浸すまたは浸漬することによって塗布され、後には流体の形態になる。例えば、すでにプリントされた層は、液化/溶融脂肪ベースの構成要素および/または水ベースの構成要素にさっと浸すことができ、したがって、通常、固化する前に、タンパク質ベースの構成要素のセグメント間の隙間を埋める。
【0200】
いくつかの例では、非タンパク質ベースの構成要素の少なくともいくつかは、すでにプリントされたタンパク質ベースの構成要素の上に他の構成要素を噴霧および/または散布することによって塗布される。例えば、水ベースの構成要素(血液の代用)および/または結着を主な機能とする他の構成要素を、少なくともタンパク質ベースの構成要素だが、典型的には脂肪ベースの構成要素も含む既にプリントされた層の上に、噴霧、および/または散布、および/または分配(例えば、粉体)することができる。
【0201】
他のいくつかの例では、非タンパク質ベースの構成要素の少なくとも一部は、既存の層またはそのタンパク質の上に分配され、これらの構成要素が乾燥粉体および/または凝集体の形態である場合、水溶液(水または所望の成分を含む溶液)を非タンパク質構成要素の沈殿が望まれる場所でのみ粉体上に分配する。水和した非タンパク質構成要素が所定の位置に沈殿したら、残りの粉体は利用可能な任意の手段で除去することができる。
【0202】
いくつかの例では、層のプリントは、層状の3次元肉類似物の少なくとも1つの外面に、水分含有構成要素および脂肪含有構成要素の少なくとも一方または両方がないように行う。
【0203】
いくつかの例では、層のプリントは、層状の3次元肉類似物のすべての外面(すなわち、周囲全体)に、水分含有構成要素および脂肪含有構成要素の少なくとも一方または両方がないように行う。
【0204】
いくつかの例では、層のプリントは、層状の3次元肉類似物の内部が、または少なくとも1つの外面上の水分含有構成要素の濃度に対して、より高い濃度の水分含有構成要素を含むように行う。
【0205】
いくつかの例では、層のプリントは、層状の3次元肉類似物の内部が、または少なくとも1つの外面上の脂肪含有構成要素の濃度に対して、より高い濃度の脂肪含有構成要素を含むように行う。
【0206】
層のプリントは、好ましくは3Dプリンタを使用して実施される。この方法は、少なくともタンパク質ベースの構成要素のストランドのプリントを可能にするように改変された市販の3Dプリンタを使用して行うことができる。例示のみを目的として、本発明の方法によって使用することができる3Dプリンタの要素が
図2に示されている。
【0207】
具体的には、
図2は、3Dプリンタシステム100を示し、3Dプリンタ110は、キャニスタ、カートリッジ、またはプリントベッド114上にプリントされる異なる構成要素を含む容器112A、112B、および112Cを含む。例えば、3つの容器112A、112B、および112Cは、それぞれ、タンパク質ベースの構成要素P、脂肪ベースの構成要素F、および/または血液代替品(水ベースの構成要素)Bを含むことができる。
【0208】
容器112A、112B、および112C内の構成要素は、専用のノズルユニット116A、116B、および116Cを介してプリントベッド114上に分配される。異なるノズルユニットは、モータ駆動のラム/オーガ押出機118A、118B、および118Cに関連付けられている。
【0209】
プリントベッド114は、3Dプリンタ110の下に垂直に配設され、水平XY平面に沿って整列される。さらに、3Dプリンタ110は、プリントベッド114を水平に移動させるように動作可能である。
【0210】
図2はまた、各ノズルユニット116A、116B、および116Cが、関連付けられたノズル116A、116B、および116Cから排出される前にそれぞれの構成要素を処理するように構成された先行要素118A、118B、および118Cを備えることを示す。具体的には示されていないが、要素118A、118B、および118Cは、圧力を加えてラムを押し、次に、押し出された構成要素をノズルを通して、好ましくは所望の速度で押すモータ(図示せず)によって動作可能な押し出し要素を含むことができる。あるいは、モータは、好ましくは所望の速度で、押し出された構成要素をノズルを通して直接押すために、オーガスクリューを駆動することができる。他の例では、要素118A、118B、および118Cは、独立して、ジェット送達ユニット(例えば、圧電ベース)、プログレッシブキャビティポンプ、および/または粉体分配ユニットを含むことができる。
【0211】
3Dプリンタは、プロセッサ120に動作可能に関連付けられている。プロセッサ120は、3Dプリンタ110内のみ、3Dプリンタ110の外側のみ(例えば、リモートまたはクラウドベースのシステム内)、または部分的に3Dプリンタ110の内側および部分的に外側に配設され得ることが当業者によって理解されるであろう。プロセッサ120は、水平XY平面に沿って任意選択で移動可能であるプリントベッド114と動作可能に関連付けられてもよい。
【0212】
プリントベッド114は、ノズルに対してすべての方向に動作可能に移動するように位置付けられ、かつ駆動される可動プリントベッドでもよい。容器112A、112B、および112C内の異なる構成要素は、例えば、以下のモードの1つで分配される。
a)堆積ラインの体積が制御される連続押出モード(ストランドごと)。
b)堆積される液滴の量を制御できる液滴ごとのモード。
c)連続モードと液滴ごとのモードを組み合わせたモード。
【0213】
あるいは、プリントベッド114と3Dプリンタ110の相対運動は、プリントベッド114ではなく3Dプリンタ110を動かすことによって、任意の軸について、独立してまたは集合的に達成できる。
【0214】
ノズルユニット116A、116B、および116Cは、独立してまたは集合的に、代替的に、単一のノズルではなくノズルアレイを構成して、3つのプリンタ110のスループットを向上させることができる。
【0215】
動作中、装置110は、ストランド122などの複数のタンパク質ベースのストランド、ストランド124などの複数の脂肪ベースのストランド、およびストランド126などの、複数の水ベースのストランドを含む3D肉類似物122を製造する。
【0216】
ここで、本開示のいくつかの例に従って、第1の肉編成プラン(以下、編成プラン#1と称する)に従って製造された3D肉類似物200の立体サンプルの概略的な断面図を示す
図3A~
図3Bを参照すると、
図3Bは、
図3Aの3D肉類似物のセグメントの拡大図を示す。
【0217】
図3Aおよび
図3Bは、複数のタンパク質含有ユニット230として配設されたタンパク質ベースの構成要素、複数の脂肪含有ユニット232として配設された脂肪含有構成要素、および複数の水含有ユニット234として配設された水含有構成要素を含む3D肉類似物200を示す。
【0218】
ここで、本開示のいくつかの他の例に従って、第2の肉編成プラン(以下、編成プラン#2と称する)に従って製造された3D肉類似物300の立体サンプルの概略的な断面図を提示する
図4Aおよび
図4Bを参照すると、
図4Bは、
図4Aの3D肉類似物のセグメントの拡大図を示す。
【0219】
簡単にするために、100だけシフトされた、
図3A~
図3Bで使用されているものと同様の参照番号が、同様の機能を持つ構成要素を識別するために使用されている。例えば、
図4Aの要素330は、
図3Aのタンパク質含有ユニット230と同じ機能を有するタンパク質含有ユニットである。
【0220】
具体的には、
図4Aは、肉類似物300の中心領域350における高濃度の水ベースの構成要素234を示している。例として、そのような編成プランは、塊300からそれに応じて切り取られたときに、ジューシーなステーキの口当たりを提供するであろう。
【0221】
ここで、本開示の他の例に従って、第3の編成プラン(編成プラン#3)に従って製造された別の3D肉類似物400の概略断面図を示す
図5A~
図5Bを参照すると、
図5Bは、
図5Aの肉類似物の一部分の拡大図を示す。
【0222】
具体的には、
図5A~
図5Bは、肉類似物400が、肉類似物400のさまざまなセグメント460に比較的高濃度の脂肪含有ユニット232を含むことを示している。例として、脂肪が豊富なセグメントを形成することによって、脂肪交雑とも呼ばれる脂肪の嚢を有するステーキの口当たりを提供することができる。
【0223】
ここで
図6A~
図6Zに目を向けると、これらは、本開示のいくつかの例に従って、肉類似物の可能なプリント構成の概略図を示す。
【0224】
図6A~
図6Zは、円が、プリントされた構成要素材料の中心を示すプリント位置の図を示している。
【0225】
図6A~6Zは、さまざまな空間次元(1D、2D、および3D)の層を示している。これは、プリント材料の形状だけでなく、その寸法も制御できるという事実を例示するためのものであることを理解されたい。図示のように、材料は、別のプリント材料のストランドが占める体積よりも大きいまたは小さい体積を占める連続ストランドとしてプリントすることができ、2つのプリント材料は両方ともタンパク質ベースの材料であり得、両方とも脂肪ベースの材料であり得、または異なるタイプの構成要素、例えば、1つはタンパク質ベースの構成要素に、もう1つは脂肪または水ベースの構成要素に属することができる。
【0226】
図6A~
図6Zは、編成プラン内の構成要素の周期的な配置を示しているが、人工的な非周期的な編成プランも同様に可能である。
【0227】
さらに、円筒形および楕円形の円筒のプリント材料が示されているが、プリント材料は、任意の形態、概して、直方体、六角柱、円筒、楕円形の円筒などのような角柱でもよい。
【0228】
なお、特に図示されていないが、肉類似物は、空隙、すなわち、材料がプリントされていない領域を含むことができる。
【0229】
肉代替品マトリックスの編成プランは、各層のタンパク質構成要素、脂肪構成要素、水分構成要素のさまざまな組み合わせ、および層が重ねて編成されるさまざまな順序を説明するデータ点の詳細なリストを構築することによって作成される。編成プランの実行は、所望の編成プランに従って複雑な3Dモデルを作成することができるコンピュータプログラムを使用して行われ、次いで、当技術分野で知られているスライスソフトウェアを使用して、肉編成プランのすべてのデータを含む最終ファイルを作成する。肉類似物の編成プランは通常デジタルであり、txt、xml、htmlなどの形式のデジタルファイルで提供される。場合によっては、肉類似物編成プランは、人間の言語ファイルまたはコンピュータで読み取り可能な言語であり得る。
【0230】
いくつかの例では、編成プランは、デジタルファイル、txtファイル、XMLファイル、CADファイル、3DSファイル、STLファイル、OBJファイル、またはgコードファイルの少なくとも1つとして表される。
【0231】
場合によっては、編成プランは、SolidworksやCADなどのような既知の産業用モデリングツール形式を利用したデジタル3Dモデルファイルである。
【0232】
いくつかの例では、編成プランは3Dモデルファイルであり、追加のソフトウェアによって変換されて、システムの操作リストを制御する。非限定的な例の1つは、3Dスライスソフトウェアによって、3DプリンタにアップロードされるGコード形式のファイルに変換されたSTL3Dモデルファイルであり得る。
【0233】
いくつかの例では、肉類似物は2台の3Dプリンタを使用してプリントされる。
【0234】
いくつかの例では、3Dプリンタは、2つ以上のプリンタヘッド/堆積ヘッドを含み、プリントされる構成要素を提供するカートリッジ/シリンジを交換する必要なしに、異なる構成要素の堆積を可能にする。いくつかの例では、2つ以上のプリンタヘッドを備えた3Dプリンタを使用すると、場合によっては、異なる構成要素のプリント間の相互参照なしに、異なる構成要素の同時プリントが可能になる。
【0235】
いくつかの例では、3Dプリンタのスループットを増大させるために、複数の塊を同時にプリントすることができる。
【0236】
分配する構成要素は、さまざまなサイズのシリンジ、または調整可能な先端と互換性のあるシリンジ(例えば、Luer-Lok(商標))に投入できる。各シリンジは、モータ、制御ユニット、および3Dプリンタで通常利用可能な調整可能なロッドで構成される堆積メカニズムを使用して、個別のプリントステーションに投入できる。プリンタプロセッサは、モータの動きの速度によって各シリンジの堆積速度を制御して、さまざまな量の構成要素材料がノズルを通過できるようにするか、または、プリントベッドのモータの動きと組み合わせて、単一のノズルサイズからさまざまな幅のストランドを作成することができる。
【0237】
関連するプリンタヘッドの操作、およびそれに使用される機器は、それを介して分配される構成要素に基づいて、例えば、構成要素の粘度または粘稠度に基づいて、調整または具体的に選択することができる。例えば、異なるモータおよび異なるギアを導入して、押し出しラム/オーガスクリュー/プログレッシブキャビティポンプにより強い力を与え、高粘度材料の流れを可能にすることができる。
【0238】
さらに、既存の3Dプリンタは、より大きな堆積シリンジまたはキャニスタ、例えば、少なくとも60ml、少なくとも80ml、少なくとも100ml、少なくとも120ml以上の容量を持つ、食品グレードのステンレス鋼で作られた容器を含むように再設計できる。
【0239】
加熱要素をそのようなカートリッジ/シリンジに取り付けて、分配された材料の組織および/または流動性に影響を与えることができる。例として、加熱は、その場でタンパク質構成要素のある程度の変性を引き起こす可能性があり、または脂肪、水分、およびタンパク質構成要素のいずれかの粘度の調整を可能にし得る。
【0240】
以下では、本明細書に開示される肉類似物の空間的寸法を一般的な用語で論じ、それを形成する異なる構成要素を空間的に配置して本明細書に開示される肉代替品を形成することができるいくつかの可能な構成を示す。
【0241】
概して、本明細書に開示される多層肉類似物のプリントは、2D連続マトリックス編成プランまたは3D非連続マトリックス編成プランとして実施することができる。本明細書に開示される単層肉類似物のプリントは、2D非連続マトリックス編成プランまたは1D連続編成プランとして実施することができる。本明細書で使用される連続とは、単一の構成要素が特定の次元に沿って連続的にプリントするために使用される状況を指す。
【0242】
2次元の連続マトリックス編成プランは、空間次元に関する1つの例である。この例では、2Dパターンは「2Dセル」に分割され、各セルは2Dパターンとその構成セルに垂直な方向に特定の構成要素(またはプリントされないままの空所)の連続プリントを示し、それによって完全な3Dモデル/肉類似物(例えば、タンパク質のストランドのプリント)を作成する。これに関連して、
図6I~
図6Pを参照されたい。
図6J、
図6L、
図6N、および
図6Pは、完全な3D肉類似物を示し、
図6I、
図6K、
図6M、および
図6Oは、対応する断面を示し、円/文字は堆積した構成要素の中心を表す。
【0243】
なお、3Dプリント用語で、この場合のボクセル(体積画素)は、実際は2D(または「2.5D」)であり、三次元はプリント方向に沿って生成されていない。
【0244】
特に、2D(または「2.5D」)セルは、プリントされた構成要素と空所(つまり、材料がプリントされていない場所)を表すことができる。
【0245】
2Dセルは、正方形(
図6I~6Jを参照)、長方形、六角形(
図6K~6Lを参照)など、任意の形態で表示できる。一般的に言えば、六角形の表現は、隣接するセルとの接触点が6箇所(正方形/長方形のセルは4箇所の接触点とは対照的に)あるため、構造的に安定しており、充填率も高い(セル間の空隙が少ない)。
【0246】
堆積されたストランドは、例えば、
図6M~6Nに示すように、同様の直径/断面サイズ、または異なる直径を有していてもよい。
図6Mの破線は、プリント材料の可能な寸法を示すことを目的としているに過ぎない。
【0247】
堆積されたストランドは、タンパク質ベースの構成要素、脂肪ベースの構成要素、および水ベースの(血液)構成要素を示す、例えば、
図6O~6Pに見られるように、類似の構成要素、または異なる構成要素のものであり得る。
【0248】
三次元の肉マトリックス編成プランは、肉類似物の空間的次元に関する別の例である。この例では、どの方向(プリント方向も含む)に沿った連続性も想定されていないため、編成プランの基本セルは、当技術分野ではボクセル(フル3Dセル)として知られている、前述の例のように2次元ではなく3次元で定義されている。これに関連して、
図6A~
図6Hを参照されたい。
【0249】
3Dセルは、正方形(
図6A~
図6Bを参照)、長方形、または六角形(
図6C~
図6Fを参照)など、任意の形態で相互に配置できる。
【0250】
3Dセルは、プリントされた構成要素の任意の形状および寸法を示す場合がある(
図6H)。
図6Gの破線は、プリント材料の可能な寸法を示すことを目的としているに過ぎない。
【0251】
一例では、これらに限定されないが、3Dセルは、個別の高さ位置に配置され、各個別の高さ位置は、プリントされた層を示す。特に、3Dセルは、プリントされた構成要素と空所(つまり、材料がプリントされていない場所)を表すことができる。
【0252】
単層製品の1次元連続ベクトル編成プラン。このようなベクトルでは、定義された編成プランには1つの次元(1Dセルを含む)があり、各1Dセルは、層(例えば、タンパク質ストランドのプリント)に沿って、ベクトル平面に垂直な方向にプリントされる材料の連続プリント(プリント/空所オプションなしを含む)を示す。これに関連して、
図6W-
図6Zを参照されたい。
【0253】
この場合も、
図6Y~
図6Zは、ストランド間の異なる距離、および異なる断面サイズおよび形状のストランドを示している。
【0254】
単層製品の2次元肉マトリックス編成プランこのようなマトリックスでは、プリントされる材料(プリントオプションなしを含む)は、所定の各2Dセルで定義される。2Dセルは、正方形(
図6Q-
図6R)、長方形、六角形(
図6S-
図6T)、またはその他の形態(
図6U-
図6V)など、任意の形態で並べ替えることができる。
【0255】
本明細書で提供される
図6A~
図6Zのいくつかは、編成プランにおける構成要素の周期的配置を示しているが、任意の非周期的編成プランは、上述のすべての次元カテゴリについても同様に可能である。
【0256】
さらに、円筒形および楕円形の円筒のプリント材料が示されているが、プリント材料は任意の形態、概して、直方体、六角柱、円筒、楕円形の円筒などの角柱である場合があり、これは上述のすべての次元カテゴリに当てはまる。
【0257】
図7A~
図7Fは、本開示のいくつかの非限定的な例に従う、3Dプリントモデルの図を示す。
【0258】
図7Aは、タンパク質ベースの構成要素内にテキストとしてプリントされている脂肪含有構成要素を利用してプリントされたテキストを含む肉代替品の塊を示している。これに関連して、以下の例12も参照されたい。
【0259】
図7Bは、
図7Cに示されている図示された断面図から明らかなように、塊の長さに沿って変化する脂肪交雑(いくつかの例示的な矢印で示されている)を含む肉代替品の塊の図を示している。
【0260】
図7D-
図7Fは、脂肪交雑(1つの例示的な完全な矢印で示されている)を含むが、血液の嚢(1つの例の点線の矢印で示されている)とステーキのスライスをガイドするための切断線(1つの例示的な破線の矢印で示されている)が追加された肉代替品の塊の図を示している。
【0261】
本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」の形式は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、単数形および複数形を含む。例えば、「タンパク質ベースの構成要素」という用語は、肉類似物内でタンパク質ベースのセグメントを形成することができる、タンパク質組成が異なる1つ以上の構成要素を含む。
【0262】
さらに、本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、例えば、構成要素、例えば、タンパク質ベースの構成要素は列挙されたタンパク質を含むが、他のタンパク質を含む他の物質を除外しないことを意味することを意図する。「から本質的に構成される」という用語は、例えば、記載された物質を含むが、得られる肉類似物の特性に本質的な重要性を有し得る他の物質を除外する構成要素を定義するために使用される。したがって、「から構成される」とは、微量を超える他の要素を除外することを意味するものとする。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0263】
さらに、すべての数値は、例えば、本明細書に開示される構成要素を構成する要素の量または範囲について言及する場合、表示した値の(+)または(-)最大20%、時には最大10%変動する近似値である。明示的に述べられていない場合でも、すべての数値指定の前に「約」という用語が付いていると理解するものとする。
【0264】
さらに、本明細書で使用される場合、「パーセント」または「%」という用語は、特に明記しない限り、重量パーセントを指す。
【0265】
ここで、本発明は、本発明に従って実施された実験の以下の説明において例示される。これらの例は、限定ではなく例示の性質を意図していると理解されたい。上記の教示を鑑み、これらの例には多くの修正および変形が可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲内で、本発明は、以下に具体的に記載されるよりも、無数の可能な方法で、別様に実施され得ることが理解されるべきである。
【0266】
非限定的な実施例
実施例1-肉類似物#1の調整とテスト
構成要素の準備
タンパク質ベースの構成要素(P)、脂肪ベースの構成要素(F)、および水性構成要素(W)の3つの構成要素を別々に調製した。
【0267】
得られた構成要素中のタンパク質および/または脂肪の示された割合は、使用された成分に従って計算された。
【0268】
タンパク質構成要素:
粉体の形態のタンパク質含有構成要素は、表2Aの乾燥成分を、Ninja(登録商標)BL862キッチンシステムミキサーで、最大デバイス速度10,000RPMで10分間混合することによって調製した。合計1000grの乾燥粉体が得られた。
【表5】
【0269】
タンパク質生地を得るために、乾燥したタンパク質ベースの構成要素を同じミキサーで1000グラムの水と5分間混合した。
【0270】
得られた塊は、生地の粘稠度と牛肉(ビーフ)に似た明赤色であった。
【0271】
この構成要素のタンパク質%(WB)は24.66%である。
【0272】
脂肪構成要素
パーム油を1.5%モノグリセリドおよびジグリセリドとともに65℃で撹拌した。次に、混合物を、攪拌機を通過させた後、研ぎ出し面熱交換器(17~28℃)に移した。次に、混合物を押し出し、25℃で24時間焼き戻した。得られた混合物は固化した植物性ショートニングであった。
【0273】
この構成要素の脂肪%(WB)は100%である。
【0274】
水/血液代替構成要素
風味、ジューシーさ、豊かな口当たりを提供する血液代替品を作成するために、次の表2Bの乾燥粉体を、透明な赤い液体が得られるまで水(タンパク質構成要素と同じミキサー)と完全に混合した。
【表6】
【0275】
次に、血液代替構成要素の混合物を、ゲルが形成されるまで70℃で15分間加熱した。
【0276】
肉類似物#1のタンパク質と脂肪の割合はウェットベースで
-タンパク質:19.12%wb
-脂肪:16.1%wb
-炭水化物:12.14%wbであった。
【0277】
肉類似物#1の編成プラン#1
上記の3つの構成要素から製造された肉類似物#1の3D編成プランの切断面を以下の表2Cに示す。
【0278】
3D編成プラン#1は、合計10層からなる肉類似物#1を定義し、ここで、Mはタンパク質ベースの構成要素を含む筋肉セクションを表し、Fは脂肪構成要素を含むセクションを表し、Bは水(血液代替品)構成要素を含む血液セクションを表す。
【表7】
【0279】
3D編成プラン#1に従い、タンパク質ベースの構成要素は5mmノズルを備えた60センチリットル(cl)シリンジに投入され、脂肪構成要素と水構成要素はそれぞれ1mmノズルを備えた専用の60clシリンジに投入された(Luer-Lok(商標)先端)。異なる構成要素の分配は、19℃の室温で3D編成プラン#1に従って手動で実施された。次に、得られた肉類似物塊を真空密封し、冷蔵庫で5時間保存した。次に、肉類似物を浸漬浴中で70℃で3時間調理した。
【0280】
結果と分析
編成プラン#1の肉類似物#1は、1kN LCヘッドを備えたLloyd(商標)組織アナライザーシステムTA1を使用して分析し(上記のテスト条件)、市場で入手可能な他の肉類似物、およびいくつかの牛肉の切身(ビーフ)と比較した。
【0281】
結果は、肉類似物#1による肉類似物が、硬さおよび粘着性(例えば、硬さ・凝集性を特徴とする)を含むいくつかの重要な組織パラメータにおいて牛肉と類似していることを示した(データは示されていない)。
【0282】
さらに、切身(約200グラム)を大さじ1杯(約13グラム)の植物油を入れたフライパンで7分間焼いた。焼いた調理品は、市販のグレービーソースと一緒に供され、ステーキに類似しているとみなされた。
【0283】
実施例2-肉類似物#2の調整とテスト
構成要素の調整
第2の肉類似物(#2)の調製のために、3つの構成要素、タンパク質構成要素(P)、脂肪構成要素(F)および水構成要素(W)を別々に調製した。
【0284】
タンパク質構成要素
粉体の形態のタンパク質含有構成要素は、以下の表3Aの乾燥成分を、Ninja(登録商標)BL862キッチンシステムミキサーで、最大デバイス速度10,000RPMで10分間混合することによって調製した。合計50グラムの粉体が得られた。
【表8】
【0285】
次に、粉体(すべて50グラム)を、Ninja(登録商標)キッチンシステムミキサーを使用して100グラムの水と5分間混合した。次に、市販のトランスグルタミナーゼ酵素粉体(8グラム、Activa(登録商標)TI)を液体混合物に添加し、37℃、200rpmで1時間振とうしながら培養し、その間に架橋が起こり、ゲル状のタンパク質構成要素が得られた。
【0286】
この構成要素のタンパク質%(WB)は15.77%であった
【0287】
脂肪ベースの構成要素
動物性脂肪の代替品として、市販のパーム油ショートニングをそのまま使用した(Spectrum Naturals、Organic All-Vegetable Shortening)。
【0288】
この構成要素の脂肪%(WB)は、100%であった。
【0289】
水性構成要素
水性ベースの構成要素(血液代替品と見なされる)を作成するために、表3Bに詳述されている乾燥粉体を水とよく混合して、透明な赤い液体を得た。
【表9】
【0290】
成分の組み合わせをThermomixミキサーで79℃で10分間、ゲルが形成されるまで混合した。
【0291】
肉類似物#2のタンパク質と脂肪の割合は、
-タンパク質:12.65%wb
-脂肪:17.44%wb
-炭水化物:7.38%wbであった。
【0292】
肉類似物#2の編成プラン#2
図3Aに示すように、Solidworksモデリングソフトウェアを使用して3D編成プラン#2を作成した。3D編成プラン#2をHy-Rel SR30 3Dプリンタに読み込み、Slic3rソフトウェアでスライスした。
【0293】
3D Assembly Plan#2に従い、タンパク質構成要素を、Luer-Lok(商標)先端を備えた2mmの60ccシリンジに投入し、脂肪構成要素と水分構成要素を、それぞれ0.5mmのLuer-Lok(商標)先端を備えた60ccシリンジに投入した。
【0294】
構成要素をHy-Rel SR30プリンタを使用してプリントし、肉類似物#2を得た。次に、肉類似物#2を真空密封し、次に75℃に設定された水槽に浸漬することによって調理した。
【0295】
結果と分析
編成プラン#2の肉類似物を、大さじ1杯(約13グラム)の植物油を入れたフライパンで2分間焼いた(75℃で真空調理した後)。焼いた調理品は市販のグレービーソースと一緒に供された。その結果、ステーキに似た肉のような料理となった。
【0296】
実施例3-編成プラン#3に従う肉類似物#3の調製とテスト
構成要素の調製
タンパク質ベースの構成要素(P)、脂肪構成要素(F)、水/水性構成要素(W)の3つの構成要素を別々に調製した。
【0297】
タンパク質構成要素:
編成プラン#1の肉類似物と同様に、粉体の形態のタンパク質ベースの構成要素は、表4Aの乾燥成分をNinja(登録商標)BL862キッチンシステムミキサーで、最大デバイス速度10,000RPMで10分間混合することによって調製した。合計1000grの乾燥粉体が得られた。
【表10】
【0298】
タンパク質生地を得るために、上記の構成要素を水(1000ml)と混合し、5000rpmで10分間混合を続けた。得られたタンパク質構成要素100mlを、2mmのLuer-Lok(商標)先端を備えたステンレス鋼チューブに投入した。
【0299】
この構成要素のタンパク質%(WB)は26.8%であった
【0300】
脂肪構成要素
植物油(パーム油、ココナッツオイル、米ぬか油の混合物)を固化(核形成とそれに続く結晶成長)させ、植物ショートニングを作成した。油を、65℃で連続的に攪拌しながら、1.5%のモノグリセリドおよびジグリセリドと混合した。次に、混合物を、攪拌機を通過させた後、研ぎ出し面熱交換器(17~28℃)に移した。次に、混合物を押し出し、25℃で24時間焼き戻した。
【0301】
生成されたショートニングを0.5mmのLuer-Lok(商標)先端を有する60ccシリンジに投入して、3Dプリントによって押し出した。
【0302】
この構成要素の脂肪%(WB)は、100%であった。
【0303】
水構成要素
水または水分含有構成要素(または血液代替品)に関しては、表4Bの乾燥粉体を水とよく混合して、透明な赤い液体を得た。
【表11】
【0304】
市販の牛肉風味調理品を血液代替配合物に混合し、水溶性風味を最終的な肉類似物に送達した。
【0305】
水または水分含有構成要素を、0.5mmのLuer-Lok(商標)先端を有する60ccシリンジに投入し、以下に説明する所定の肉の編成プランによって指示されたように最終的な肉類似物に適切な比率で、3Dプリント(追加の加熱なし)で押し出した。
【0306】
肉類似物#3のタンパク質と脂肪の割合は、
-タンパク質:21.45%wb
-脂肪:15.43%wb
-炭水化物:6.66%wbであった。
【0307】
肉類似物編成プラン#3
Solidworksモデリングソフトウェアを使用して、3D編成プラン#3を作成した。3D編成プラン#3をHy-Rel SR30 3Dプリンタに読み込み、Slic3rソフトウェアでスライスした。
【0308】
タンパク質含有構成要素は、分配中に80℃に加熱した。
【0309】
結果と分析
次に、最終的な肉類似物#3を、大さじ1杯(約13グラム)の植物油を入れたフライパンで2分間焼くという標準的な調理工程を使用してテストした。焼いた調理品は市販のグレービーソースと一緒に供された。その結果、ステーキに似た肉のような料理となった。
【0310】
実施例4-編成プラン#4に従う肉類似物の調製とテスト
タンパク質ベースの構成要素
表5Aの乾燥成分をNinja(登録商標)キッチンシステムミキサーで10分間混合することにより、次の粉体混合物1000グラムを調製した。
【表12】
【0311】
次に、混合物を1,500mlの水と10分間混合して(60%の水含有量を達成するために)、湿った、高水分の生地を得た。
【0312】
この構成要素のタンパク質%(WB)は19.84%であった
【0313】
水性ベースの構成要素
表5Bの乾燥粉体を水とよく混合して、透明な赤い液体を得た。
【表13】
【0314】
血液代替混合物として作用する水性ベースの構成要素を80℃に10分間加熱して、固いゲルを得た。
【0315】
脂肪含有構成要素
市販の赤いパームとココナッツのショートニングを動物性脂肪の代替品(Nutiva)として使用した。続いて、市販の牛肉風味を脂肪代替配合物に混合し、脂溶性風味を最終的な肉類似物に送った。
【0316】
この構成要素の脂肪%(wb)は100%であった
【0317】
肉類似物#3のタンパク質と脂肪の割合は、
-タンパク質:15.88%wb
-脂肪:15.36%wb
-炭水化物:8.63%wbであった。
【0318】
肉編成プラン#4
図5A-
図5Bに示すプランに従って、Solidworksモデリングソフトウェアを使用して3Dモデルを作成した。3DモデルをHy-Rel SR30 3Dプリンタに読み込み、Slic3rソフトウェアでスライスした。
【0319】
2mmの先端を備え、プリント中、70℃に設定される、Hy-Rel 3DプリンタKR2高粘度プリントモジュールと互換性のあるステンレス鋼シリンジにタンパク質押出物を移した。
【0320】
脂肪および水ベースの構成要素を、0.5mmのLuer-Lok(商標)先端を使用して60ccシリンジに投入した。
【0321】
肉類似物は、編成プラン#4に従って、Hy-Rel SR30プリンタを使用してプリントした。次に、得られた肉類似物マトリックスを、大さじ1杯(約13グラム)の植物油を入れたフライパンで2分間焼くという標準的な調理工程を利用してテストした。焼いた調理品は市販のグレービーソースと一緒に供された。官能評価に基づいて、焼いた調理品はステーキに似た肉のような料理であると結論付けられた。
【0322】
実施例5-編成プラン#5に従う肉類似物#5の調製とテスト
タンパク質含有構成要素
表6Aの乾燥成分をNinja(登録商標)キッチンシステムミキサーで10分間混合することにより、次の粉体混合物1000グラムを調製した。
【表14】
【0323】
続いて、粉体混合物を、ミキサー内で、1,000グラムの水と混合した。得られた塊をThermomixミキサーに供給し、そこで加熱と混合のステップを実行し、剪断応力と組み合わせた55℃の熱条件を10分間適用する。
【0324】
この構成要素のタンパク質%(WB)は27.4%である。
【0325】
水分含有構成要素
表6Bの乾燥粉体を水とよく混合して、透明な赤い液体を得た。
【表15】
【0326】
ゲルを形成した後、実質的に上記のように、ゲルを、以下に記載される所定の編成プランに従って、適切な比率および位置でシステムから押し出した。
【0327】
脂肪含有構成要素
脂肪含有構成要素については、150gのエチルセルロースと1400gの植物油を混合し、窒素を反応容器に流して窒素環境を作り出す。続いて、混合物を150℃に加熱し、60分間撹拌する。次に、混合および冷却工程全体を通して窒素の連続的な流れを維持しながら、溶液を25℃に冷却する。その結果、安定したオレオゲルが得られた。
【0328】
この構成要素の脂肪%(WB)は90.3%である。
【0329】
編成プラン#5に従う肉類似物#5
図5A-
図5Bに提供するように、Solidworksモデリングソフトウェアを使用して3Dモデルを作成した。3DモデルをHy-Rel SR30 3Dプリンタに読み込み、Slic3rソフトウェアでスライスした。
【0330】
2mmの先端を備え、プリント中、70℃に設定される、Hy-Rel 3DプリンタKR2高粘度プリントモジュールと互換性のあるステンレス鋼シリンジにタンパク質押出物を移した。次に、水分含有構成要素は、Hy-rel KR2プリントヘッドに備えられた15mlのステンレス鋼チューブに供給される。チューブには0.5mmのLuer-Lok(商標)先端が備えられている。ノズル内で、調製物を70℃で5分間加熱して、ゲルを形成する。
【0331】
脂肪および水/水分含有構成要素を、0.5mmのLuer-Lok(商標)先端を有する60ccシリンジに投入した。構成要素が、Hy-Rel SR30プリンタを使用してプリントされ、肉類似物が製造された。
【0332】
実施例6-編成プラン#6に従う肉類似物#6の調製とテスト
タンパク質含有構成要素
Ninja(登録商標)キッチンシステムミキサーで乾燥成分を10分間混合することによって表7Aの粉体混合物50グラムを調製した。
【表16】
【0333】
次に、Ninja(登録商標)キッチンシステムミキサーを使用して、50グラムの粉体を100グラムの水と5分間混合した。10グラムの乾燥架橋酵素粉体を混合物に加え、200rpmで振とうしながら37℃で1時間培養した。
【0334】
混合物は架橋反応を受け、その結果、ゲル状のマトリックスが得られた。
【0335】
この構成要素のタンパク質%(WB)は15.75%であった
【0336】
水含有構成要素
表7Bの乾燥粉体を水とよく混合して、透明な赤色の液体を得た。
【表17】
【0337】
次に、水構成要素/血液代替混合物を、79℃に加熱されたミキサー内で、10分間、攪拌しながら混合して、ゲルを形成した。
【0338】
脂肪含有構成要素
動物性脂肪代替品/脂肪ベースの構成要素として、市販のパームショートニング(SpectrumNaturals)を使用した。
【0339】
この構成要素の脂肪%(WB)は100%である。
【0340】
編成プラン#6に従う肉類似物#6
図5A-
図5Bに示すように、Solidworksモデリングソフトウェアを使用して3Dモデルを作成した。3DモデルをHy-Rel SR30 3Dプリンタに読み込み、Slic3rソフトウェアでスライスした。
【0341】
筋肉構成要素は、1mmのLuer-Lok(商標)先端を有する60ccシリンジに投入され、脂肪および血液の構成要素は、0.5mmのLuer-Lok(商標)先端を有する60ccシリンジに投入された。肉類似物はHy-Rel SR30プリンタを使用してプリントされ、肉類似物マトリックスが得られた。
【0342】
肉類似物#6のタンパク質と脂肪の割合は
-タンパク質:12.62%wb
-脂肪:17.49%wb
-炭水化物:6.94%wbであった。
【0343】
最終的な肉類似物は、Lloyd(商標)組織アナライザーシステムでさまざまな組織特性についてテストされ、一般的な肉の切身と比較され、同様の組織パラメータを示した。
【0344】
実施例7-編成プラン#7に従う肉類似物#7の調製とテスト
タンパク質含有構成要素
次の粉体混合物1000グラムは、表8Aの乾燥成分をNinja(登録商標)キッチンシステムミキサーで10分間混合することによって調製された。
【表18】
【0345】
続いて、粉体混合物を、ミキサー内で、1,000グラムの水と混合した。
【0346】
タンパク質含有構成要素を、5mmのLuer-Lok(商標)先端を備えたステンレス鋼チューブに投入した。
【0347】
この構成要素のタンパク質%(WB)は22.2%であった
【0348】
水含有構成要素
表8Bの乾燥粉体を水とよく混合して、血液代替品として機能する透明な赤い液体を得た。
【表19】
【0349】
次に、血液代替混合物を、70℃に加熱されたミキサーで、15分間連続的に攪拌しながら混合する。
【0350】
脂肪含有構成要素
動物性脂肪の代替品として、市販のパームショートニング(Spectrum Naturals)を使用した。
【0351】
この構成要素の脂肪%(WB)は100%である。
【0352】
肉類似物#7のタンパク質と脂肪の割合は
-タンパク質:18.33%wb
-脂肪:12.5%wb
-炭水化物:13.22%wbであった。
【0353】
肉代替品#7編成プラン#7
上記の肉代替品#7の肉編成プランは、ハンバーガー肉類似物(異方性の製品)に類似するように設計され、次の方法で構築された。
M-筋肉(タンパク質含有ユニットまたはストランド)(5mmノズルサイズ)、5cmストランド
F-脂肪(1mmノズルサイズ)、5cmストランド
B-血液代替品(水含有構成要素)(1mmノズルサイズ)、5cmストランド
【表20】
【0354】
肉類似物#7は、上記の肉編成プラン#7に従って手動で編成された。凝集性のパティを形成するために、調製された肉類似物を手動でわずかに押した。パティは中温で炭火焼きで両面を2分ずつ焼いた。
【0355】
最終的な肉類似物を、パンの中でマヨネーズとケチャップに接触させて、何人かの味見役に供した。味見役は、肉類似物はジューシーで、中程度に調理されたビーフハンバーガーに似た品質であると結論付けた。
【0356】
実施例8-追加/代替タンパク質ベースの構成要素
実施例8A-崩壊したTVPを有するタンパク質ベースの構成要素
組成:
TVPが崩壊したタンパク質ベースの構成要素の組成を表9Aに示す。
【表21】
【0357】
上記に、1グラムの乾燥構成要素あたり2.17グラムの水として水を加えた。
【0358】
調製の工程:
崩壊したTVP含有構成要素は、以下の手順に従って調製された。
-TVPを少なくとも2時間水に浸す
-TVPを絞る
-TVPをフードプロセッサー(切断刃なし)に挿入し、TVP繊維が崩壊するまで積極的に混合する。
-残りの粉体成分を挿入し、混合を続ける
-脂肪(予熱後、液体として)と水を加えて混合を続け、中程度の粘度の均質な塊にする
-直径1.55mmのノズルを備えたオーガスクリュー押出機を使用して、0.5リットル/時の速度でプリントする
【0359】
後工程処理
-80~90℃で45分間の熱処理(真空調理法またはスチームオーブン)。
-2cmのスライスにカットする
-細片の両面を1~2分ずつ、フライパンで焼く。
【0360】
結果
得られた構成要素は、両方の例で明確な肉のような繊維状の組織を示した。具体的には、実施例2は、おそらく実施例1と比較してより長いタンパク質繊維を含むため、より良好な組織(より繊維質であり、噛むのにより良好な硬さ)を有していた。
【0361】
この例のタンパク質%(wb)は18.3%である。
【0362】
実施例8B-グルテンを含むタンパク質ベースの構成要素(崩壊したTVPなし)
組成
グルテンを含むタンパク質ベースの構成要素の組成を表9Bに示す。
【表22】
【0363】
上記に、1グラムの乾燥構成要素あたり2.17グラムの水として水を加えた。
【0364】
調製の工程:
崩壊したTVP含有構成要素は、以下の手順に従って調製された。
-粉体成分をフードプロセッサーに挿入して、混ぜる。
-脂肪(液体、予熱済み)と水を加えて混合を続け、中程度の粘度の均質な塊にする。
-直径1.55mmのノズルを備えたオーガスクリュー押出機を使用して、0.5リットル/時の速度でプリントする
【0365】
後工程処理
-80℃-90℃で45分間の熱処理(真空調理法またはスチームオーブン)。
-2cmのスライスにカットする
-細片の両面を1~2分ずつ、フライパンで焼く。
【0366】
この例のタンパク質%(wb)は20%である。
【0367】
結果
得られた構成要素は、繊維が非常に少ない「オムレツのような」組織を示した。
【0368】
実施例8C-小さなTVPのフレーク/刻んだTVPに基づくタンパク質ベースの構成要素
組成
TVPのフレーク/刻んだTVPに基づくタンパク質ベースの構成要素の組成を表9Cに示す。
【表23】
【0369】
調製の工程:
崩壊したTVP含有構成要素は、以下の手順に従って調製された。
-組織化タンパク質と色に水を加える
-混合し、15分間休ませる
-残りの成分を混合物に加える
-10,000rpmの中混合速度(フードミキサー)で3分間混合する
-直径1.9mmのノズルを備えたオーガスクリュー押出機を使用して、0.5リットル/時の速度でプリントする
【0370】
後工程処理
-オーブンで、7分間、120℃で焼く
-真空密封して、40℃で保管する
-フライパンで、植物油で両面を2~3分ずつ、中火で焼く。
【0371】
この例のタンパク質%(wb)は11.2%である。
【0372】
結果
結果として得られた構成要素は、肉のケバブに似ていた-脂肪のひき肉の組織(脂肪は肉類似物全体に固体の塊で均質に広がっている)。その結果、芳香があり風味豊かであった。何回かの試食で-すべてが一般的に好ましかった。
【0373】
実施例8D-オンライン組織化用のタンパク質ベースの構成要素
組成:
オンライン組織化に適した、大豆/エンドウ豆/グルテン/インゲン豆をベースにした組成を表9Dに示す。
【表24】
【0374】
調製の工程
-10,000PMの高混合速度で4分間すべてを混合する
-次のパラメータを使用して、オーガ・メカニズムプリントヘッドを介してプリントする。
*単一ノズル、直径:1mm
*圧力:20バール
*温度:110℃
*ネジ径:8mm
*ネジピッチ:8mm
*ネジの長さ:250mm
*分配速度:0.3リットル/時間
実施例1のタンパク質%(wb)は17.1%である。
実施例2のタンパク質%(wb)は20.37%である。
実施例3のタンパク質%(wb)は19.8%である。
【0375】
後工程処理
-フライパンで、植物油で両面を1~3分ずつ、中火で焼く。
【0376】
結果
得られた構成要素は、本明細書に記載の条件下でTPAを使用してテストされ、結果はビーフテンダーロインと比較され、構成要素が組織の観点から肉標本に近いことを示した。
【0377】
実施例9-乳濁液ベースの脂肪含有構成要素の調製
乳濁液は、組成、調製方法、および特性が異なる場合があるが、この例では、乳濁液は、20%の水、79%の油(例、カノーラ油)、および1%の乳化剤(例えば、レシチン)から調製される。乳化剤は油と混合される。次に、攪拌しながら水を混合物に徐々に加える。次に、混合物をホモジナイザで約4分間乳化した。乳濁液は擬塑性流体として作用した。
【0378】
脂肪ベースの構成要素の脂肪率は79%であった。
【0379】
実施例9A-カノーラ油ベースの構成要素
組成:
カノーラ油を含む脂肪ベースの構成要素の組成を表10Aに示す。
【表25】
【0380】
調製の工程
thermomix(料理用標準ミキサー)の使用:
-TVPを冷水に浸す
-水と油を低速で混合し、55℃に加熱する
-メチルセルロースを低速で徐々に加える
-レシチンとモノグリセリドおよびジグリセリドを加える
-LBGを加え、高速でよく混合する
-加熱を停止する
-大豆タンパク質分離物を加え、高速でよく混合する
-浸したTVPを絞り、混合物に加える。高速で混合する
-混合物を一晩冷却する
-フライパンの上で/フライパンを使って加熱した後、本明細書で説明するようにTPAを使用して組織パラメータを判定する。
【0381】
得られた構成要素は、安定した、堅固で凝集性のある乳濁液であった。
【0382】
実施例9B-カノーラ油ベースの構成要素
組成:
カノーラ油を含む脂肪ベースの構成要素の組成を表10Bに示す。
【表26】
【0383】
調製の工程
thermomixの使用:
-蒸留水と油を中速で混合し、55℃に加熱する
-メチルセルロースを低速で徐々に加える
-モノグリセリドとジグリセリドを加える
-加熱を停止する
-オーツ麦を加え、中速でよく混合する
-アルギン酸ナトリウムを加える
-少量の水に分散させたCaCl2を加える。
-混合物を一晩冷却する
-オーブンで/フライパンを使用して加熱した後、TPAを使用して組織パラメータを確認する
この例の脂肪%(WB)は21%であった
【0384】
実施例10-ゲルとしての水ベースの構成要素の調製
実施例10A-メチルセルロース
4℃の水中に3%のメチルセルロース(重量)を含む配合物を、5,000RPMのミキサーで1分間ブレンドして、3Dプリンタで押し出せる保湿ゲルを生成し、ゲルの組織を50℃の温度に維持した。この水含有構成要素に、食品着色料、風味添加物などを添加することができる。
【0385】
実施例10B-ビートルート粉体
ビートルート粉体(10Bおよび10C)に基づいて2つの配合物を調製した。
【0386】
組成:
2つのビートルート粉体ベースの水構成要素の組成を表11Bに示す。
【表27】
【0387】
2つの配合物を調べると、実施例10Bは独特の組織を示さなかったが、実施例10Cはゲルを形成した。したがって、肉類似物の製造に適した水ベースの構成要素は、この方法を使用して達成可能であると結論付けられた。
【0388】
実施例11-脂肪およびタンパク質構成要素からの塊全体のプリント
以下は、さまざまな脂肪ベースの構成要素、タンパク質ベースの構成要素、および水ベースの構成要素を使用した、全筋の塊の3Dプリントの追加の例である。
【表28】
【0389】
脂肪ベースの構成要素を、以下の手順によって調製した。
Thermomix TM5ミキサーを使用して、
-3.5の速度で水と油を混合し、55℃に加熱する
-メチルセルロースを低速で徐々に加える(1.5-3)
-LBGを加えてからTVPを加え、激しく混合する(4.5-6)
-加熱を停止する
-大豆タンパク質分離物を加え、よく混合する(3.5)
-混合物を一晩冷却する
-オーブン/フライパンで加熱した後、組織パラメータを確認する。
【0390】
この例の脂肪%(WB)は37.4%であった。
【表29】
【0391】
タンパク質ベースの構成要素は、以下の手順によって調製された:
-TVPと春雨を冷水に浸漬し、絞る。配合物に必要な追加の水を計算するために浸漬の前後で重量を量る
-粉体をよく混ぜる
-油を加えてから水を加える
-TVPと春雨を加え、高速で5分間混合する
この例のタンパク質%(WB)は19.36%であった。
【0392】
次に、タンパク質ベースおよび脂肪ベースの構成要素を、直径1.55mmのステンレス鋼ノズルを備えた2台のオーガスクリュー押出機を使用して3Dプリントし、3Dモデルを
図8Aに示した。
図8Bは、得られた塊の断面画像を示している。
【0393】
3Dプリントされた塊は、真空調理法(90℃で45分間)を使用して処理され、70℃の内部温度になるまで焼いた。焼いたサンプルの画像を
図8Cに示し、これは、サンプルがその構造を維持していることを示している(調理中/焼いている間に崩壊しなかった)。
【0394】
得られた全塊は、全筋牛肉の切身に類似した組織プロファイルを持っていた。
【0395】
実施例12-カバブの3Dプリント
以下は、タンパク質構成要素(表13A)と脂肪構成要素(表13B)を含む非均質なひき肉類似物の3Dプリントの例である。
【表30】
【0396】
タンパク質ベースの構成要素は、さまざまなTVP構成要素を別々にふるいにかけ、次に着色料と混合することによって調製された。次に、混合物を、TVPを水和するために、新たに沸騰させた水で30分間蓋をしておいた。ココナッツ脂肪に、室温で脂肪指定の風味を付けた。次に、着色され、浸漬されたタンパク質をタマネギ-メチルセルロースと一緒にミキサーに移し、残りの成分を2分間混合した。混合後、材料を110℃で5分間焼いた。
【0397】
この例のタンパク質%(WB)は9.4%である
【表31】
【0398】
脂肪構成要素を脂肪風味と完全に混合し、プリントするまで室温で真空に保った。
【0399】
この例の脂肪%(WB)は99.12%であった
【0400】
プリントのために、350mlのタンパク質構成要素をフィーダーに導入した。プリントは、直径2mmのステンレス鋼ノズルを備えたオーガスクリュー押出機を使用して、1kg/時の流量で行った。タンパク質構成要素「筋肉」ストランドアレイ全体で、直径2mmの脂肪構成要素「脂肪」ストランドが合計14%wbに追加された。
【0401】
得られた3Dプリントされたカバブの画像を
図9Aに示す。
【0402】
同様の方法で、所定のプリントプランに従って、
図9Bに示すように、脂肪のプリントテキストを含むカバブが製造された。
図9Cに示すように、プリントされたカバブのスライスも、その統合性を維持しながら、正常に焼き上げられた。
【0403】
実施例13:3Dプリントされたタンパク質ベースの構成要素とプリントされていない構成要素の組織学的特性評価
概して、本開示によれば、塊は、プリントヘッドがP軸(長さ軸)で移動している間に材料が堆積される状態で作られる。材料の堆積は、押し出しと、任意選択で加熱によって行われる。少なくとも2つの材料、具体的にはタンパク質構成要素と脂肪構成要素が堆積される。この工程により、別個のストランドが一緒になってプリント層を形成する。ストランド間の接着は場合によって異なり得るが、すべての場合で、次の少なくとも1つが当てはまる。
【0404】
タンパク質構成要素は、溶解形態、凝固/凝集形態、原線維、微小線維または繊維の形態の分散形態のいずれかのタンパク質から構成される。すべての場合において、押し出し工程は、押し出された材料に剪断応力を与えることを意味し、これにより、一部またはすべてのタンパク質材料が少なくとも部分的に配向される。
【0405】
図10は、熱処理(真空調理法95℃で4時間)、ホルムアルデヒド固定、ゲルおよびパラフィンへの包埋、5、10、および20マイクロメートルスライスへの切断後、標準的な組織学的手順に従って、以下の実施例14に従って調製された肉類似物標本で観察されたような挙動を示している。次に、スライスをエオシンで染色し、Olympus、BX51顕微鏡(Olympus lifescience,Japan)で画像化した。倍率:10倍、20倍、X40倍。
【0406】
具体的には、
図10は、プリントされた標本が、プリントされていない標本(それぞれの図で識別)と比較して、より多くのタンパク質繊維を有し、好ましい配向を持っていることを示している。切断がP軸に平行に行われた場合(XP/P平面=幅/長さ平面)、配向は、P軸に垂直な断面(XP/Z平面=幅/高さ平面)よりも顕著で一方向であった。
【0407】
プリントの代わりに手動で成形され、プリントされた標本として扱われた、プリントされていないタンパク質含有構成要素と比較した場合、配向の欠如は顕著であった。
【0408】
剪断は押出機と材料の界面で最も高いため、場合によっては、ストランドの輪郭で配向が最大になる。タンパク質構成要素のストランドの外側領域は、内側(すなわちコア)領域とは異なる構造的特徴を示し得る。
【0409】
実施例14:3Dプリントされた肉代替品の塊の組織プロファイル分析
プリント工程は、肉類似物の物理的特性に影響を与え、異方性の挙動を与える。
【0410】
以下の構成要素の組成(表14)および調製手順を使用して、肉類似物を調製した。
【表32】
-TVPを水に浸す。配合物に必要な追加の水を計算するために、浸漬の前後で重量を量る。
-パーム核油をモノグリセリドとDIグリセリドで60℃で溶かす。
-プラスチックブレード付きのNinja(登録商標)BL862キッチンシステムミキサーを使用する。
-グルテンとSPIと牛肉風味を低速で混合する。
-溶けた油にモノグリセリドとジグリセリドを加える。
-残りの水をベータカロチンと赤色スパイスと混ぜてNinjaに加える。高速のミキサー
-TVPを追加し、均質な混合物を受け取るまで高速で混合する。
-配合物をプリントする前に一晩待つ。
-直径1.55mmのステンレス鋼ノズルを備えたオーガスクリュー押出機を使用してプリントする。
-市販の真空調理器を使用して、プリントされた塊を98℃で45分間調理する。
-焼く前に一晩待つ。
【0411】
具体的には、以下の組織パラメータをヤング率、硬さ、歯ごたえで調べ、P(長さ)軸とXP(幅)軸で測定したときに異なる値を示すことが示された。結果は、表15および
図11A(P軸)
図11B(XP軸)に示されており、
図11Cに示すように本物の肉と比較されている。
【表33】
【0412】
具体的には、組織パラメータは、本開示によるプリントされた肉類似物標本において、P軸と比較したとき、XP軸に平行に測定した場合にすべての測定されたTPAパラメータがより高い値を有したことを示す。それに拘束されることなく、これは、プリントされたストランド軸に圧縮応力が平行に加えられたときの原繊維およびストランドの剥離によって説明することができる。同様の挙動が、実際の調理済み肉でも部分的に観察され、繊維方向に垂直な方向でも硬さが高かった。プリントされた肉類似物の場合、P軸の硬さは36Nであるが、XP軸の硬さは53Nである。テンダーロイン切身の場合、P軸の硬さは67Nであるが、XP軸の硬さは82Nである。
【0413】
実施例15-実際の動物の肉との比較
堆積したストランドは、おそらくエアギャップまたはその間の相互作用が不十分なために隣接するストランドへの接着が不完全であり(例えば、あるストランドの高MW分子が別のストランドに浸透しない)、応力が加えられると、ストランドバルクの破壊によってよりむしろ、ストランド間の境界での層間剥離によって優先的に破損が発生する。これは、P軸に平行な場合(直線的に屈曲した割れ目)とP軸に垂直な場合(曲がりくねった割れ目や分岐した割れ目)の破損モードの異方性として現れている。この挙動を本物の肉の挙動と比較し、その比較を
図12A~
図12Gに示す。
【0414】
具体的には、
図12A~
図12Gは、調理済みテンダーロインビーフ(
図12A、
図12C、および
図12E)と、実施例14の肉類似物と同様に調製した調理済みプリント肉類似物(
図12B、
図12D、
図12F、および
図12G)の挙動の違いを示している。どちらの製品タイプでも、手動で応力を加えると、P軸に平行な場合(直線的に屈曲した割れ目)とP軸に垂直な場合(曲がりくねった割れ目や分岐した割れ目)で異なる破損モードが生じ、これは、3Dプリントされた肉代替品と本物の肉製品は異方性の組織挙動を示すことを示している。