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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】音響結合インターフェイス
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20240722BHJP
   G01N 29/28 20060101ALI20240722BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20240722BHJP
   G10K 11/24 20060101ALI20240722BHJP
   A61B 8/00 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H04R1/00 330A
G01N29/28
H04R17/00 330J
G10K11/24
A61B8/00
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021547737
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020054016
(87)【国際公開番号】W WO2020182416
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】19162705.8
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514156563
【氏名又は名称】アイメック・ヴェーゼットウェー
【氏名又は名称原語表記】IMEC VZW
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ロッテンベルク,グザヴィエ
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-257017(JP,A)
【文献】特開2010-258602(JP,A)
【文献】特開2003-326226(JP,A)
【文献】特開2009-071393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0226006(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0046158(US,A1)
【文献】米国特許第05680863(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0011865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00 - 31/00
G10K 11/00 - 11/36
G01N 29/28
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル超音波トランスデューサ(2)と検査される湾曲した対象物(3)との間で使用するための音響結合インターフェイス(1)であって、前記インターフェイス(1)は、フレキシブル超音波トランスデューサ(2)の動作中に、シート(4)が前記湾曲した対象物(3)との連続的な接触を形成して、前記湾曲した対象物(3)の形状または曲率をフレキシブル超音波トランスデューサ(2)に伝達できる、曲げ可撓性を有するシート(4)の形態であり、前記シート(4)は、バルク材料(5)と、前記バルク材料(5)内に配置された複数の音響導波路構造(6)とを含み、前記複数の音響導波路構造(6)は、前記超音波トランスデューサ(2)によって放出される超音波信号(7)の双方向の結合を提供することを特徴とする音響結合インターフェイス。
【請求項2】
前記シートは、前記フレキシブル超音波トランスデューサ(2)に接触するように配置された第1の平面(4a)と、前記第1の平面(4a)とは反対側にあって、検査される前記湾曲した対象物(3)に接触するように配置された第2の平面(4b)とを有し、前記シート(4)は、動作中に前記シート(4)が前記湾曲した対象物(3)に接触しているときに、前記第1の平面(4a)と前記第2の平面(4b)の両方の表面プロファイルが、前記第2の平面(4b)が前記湾曲した対象物(3)に適合した状態で変化するような曲げ可撓性を有することを特徴とする請求項1に記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項3】
前記第1の平面(4a)および前記第2の平面(4b)は、長さおよび幅がともにシートの厚さの少なくとも5倍であることを特徴とする請求項2に記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項4】
前記シート(4)は、5cm未満の曲率半径(Rc)でシートを曲げることができる曲げ可撓性を有することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項5】
前記複数の音響導波路構造(6)は、細長い形態を有する導波路構造を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項6】
複数の音響導波路構造(6)は、バルク材料()と、バルク材料()とは異なる他の材料(6c)とを交互に配置した配列(7)を含み、前記配列(7)は、第1の平面(4a)から第2の平面(4b)まで延びていることを特徴とする請求項2~5のいずれかに記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項7】
前記複数の音響導波路構造(6)は、前記第1の平面(4a)から前記第2の平面(4b)まで延びる導波路構造を含むことを特徴とする請求項2~6のいずれかに記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項8】
複数の音響導波路構造(6)は、バルク材料(5)とは異なる固体材料を含むことを特徴とする請求項1~7のいずれかに音響結合インターフェイス(1)。
【請求項9】
複数の音響導波路構造(6)は、第1の平面(4a)および/または第2の平面(4b)から突出していることを特徴とする請求項7に記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項10】
複数の音響導波路構造(6)は、バルク材料()内に空隙(8a)の形で導波路構造を規定するように、バルク材料()内の内壁(8)を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項11】
バルク材料(5)は、ポリマーを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の音響結合インターフェイス(1)。
【請求項12】
湾曲した対象物(3)の特徴を表すデータを作成するためのシステム(10)であって、
フレキシブル超音波トランスデューサ(2)と、
請求項1~11のいずれか1項に記載の音響結合インターフェイス(1)であって、前記超音波トランスデューサ(2)に取り外し可能に取り付けられ、前記超音波トランスデューサ(2)が発する超音波信号(11)が前記対象物(3)に送信され、前記対象物(3)からの結果のエコー信号(12)が前記超音波トランスデューサ(2)に戻るように送信されるように構成された音響結合インターフェイス(1)と、を含むシステム(10)。
【請求項13】
前記フレキシブル超音波トランスデューサ(2)は、超音波トランスデューサ(13a)のアレイ(13)を含むことを特徴とする請求項12に記載のシステム(10)。
【請求項14】
湾曲した対象物の特徴を表すデータを得る方法(100)であって、
請求項12または13に記載のシステムを用いて対象物に超音波信号を照射するステップ(101)と、
対象物からの結果のエコー信号を分析し、それにより結果のエコー信号に基づいて前記対象物の特徴を表すデータを得るステップ(102)と、を含む方法(100)。
【請求項15】
対象物に超音波信号を照射するステップは、音響結合インターフェイスと対象物の直接接触、および/または音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの直接接触で行われることを特徴とする請求項14に記載の方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の概念は、超音波検査の分野に関する。より詳細には、フレキシブル超音波トランスデューサと一緒に使用するための音響結合インターフェイスに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な2Dアレイの超音波アレイは、医療市場や民生用電子機器において多くの用途がある。例えば、医療用イメージング、ジェスチャー認識、指向性サウンド、指紋検出、空中ハプティクスなどである。
【0003】
圧電マイクロマシン加工された超音波トランスデューサ(pMUT)の標準的な構造は、当該技術分野では知られている。小型のドラムを作り、その上に吊り下げ式の膜を載せて小さなキャビティを作製する。このキャビティの寸法と膜の剛性との組み合わせによって、特定のMUTの共振周波数が決まる。一例として、MUTは圧電効果(pMUT)で駆動する。圧電材料に共振周波数の交流電界を印加すると、圧電材料と膜の間に応力差が発生し、これにより振動と音響波の放出が誘発される。典型的な周波数は50kHz~20MHzの範囲である。ビームフォーミングを利用して発光時に焦点スポットを形成したり、受信時に小さなスポットを画像化したりするアプリケーションでは、連携して動作する超音波トランスデューサのより大きなアレイが必要となる。
【0004】
当該技術分野では、平坦で剛性の高い基板上で製造された超音波トランスデューサは湾曲した対象物の走査に適していない場合があるため、湾曲した対象物の検査、例えばイメージングや対象物の特徴を表すデータを得るための超音波トランスデューサおよびシステムの改良設計が必要とされる。オペレータは、検査対象の湾曲した対象物に対して平らなトランスデューサを移動させたり押し付けたりしなければならず、画像の再生などが困難になる。
【0005】
フレキシブル超音波トランスデューサは、例えばUS2010168544において知られており、このUS2010168544は、フレキシブルトランスデューサを対象物に結合するための方法およびシステムを開示している。トランスデューサ位置決め装置は、膨張可能なブラダーとストラップとを含む。膨張可能なブラダーは、膨張したときに対象物に対して位置を維持するために、トランスデューサアレイに力を加えてもよい。ストラップは、トランスデューサアレイに対してブラダーを保持することができる。所定の位置に配置された後、ブラダーは流体で膨張させることができる。
【0006】
しかしながら、当該技術分野では、フレキシブル超音波トランスデューサを使用して湾曲した対象物の超音波検査を改善することができる解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、先行技術の1つまたは複数の制限を少なくとも部分的に克服することである。特に、湾曲した対象物の改善された超音波検査を提供する、フレキシブル超音波トランスデューサのための結合インターフェイスを提供することを目的とする。
【0008】
本発明の第1の態様として、フレキシブル超音波トランスデューサと検査対象の湾曲した対象物との間で使用する音響結合インターフェイスが提供され、このインターフェイスは、フレキシブル超音波トランスデューサの動作中にシートが湾曲した対象物と連続的な接触を形成することを可能にする曲げ可撓性を有するシートの形態であり、このシートは、バルク材料と、バルク材料内に配置された複数の音響導波路構造とを含み、複数の音響導波路構造は、超音波トランスデューサによって放出された超音波信号の双方向のカップリングを提供するためのものである。
【0009】
音響結合インターフェイスは、使い捨てのインターフェイスであってもよく、フレキシブル超音波トランスデューサと湾曲した検査対象物の間で使用される。
【0010】
検査対象物とは、超音波診断装置を用いた検査時に音響結合インターフェイスと接触する対象物をいう。検査中に、湾曲していないが、検査された湾曲した対象物内に存在する特徴を表すデータが収集されるにもかかわらず、この対象物はこのように湾曲していてもよい。
【0011】
好適な湾曲した対象物は、20cm未満、例えば10cm未満の曲率半径を有する曲率を含む対象物であってもよい。湾曲した対象物は、腕や脚など、患者の身体の一部であってもよい。音響結合インターフェイスは、湾曲した対象物の超音波検査時に、フレキシブル超音波トランスデューサの屈曲に追従し得るフレキシブルインターフェイスである。
【0012】
音響結合インターフェイスは、さらに、シートの形態である。音響結合インターフェイスのシートは、一般に、互いに対向して配置された、即ち、2つの異なった平行な方向を向く法線ベクトルを有する2つの平面である第1および第2の平面で構成されている。
【0013】
このように第1および第2の平面はX-Y平面上に延び、シートはX方向およびY方向に垂直なZ方向に定義された厚さを有してもよい。シートはさらに、曲げ可撓性、例えば正または負のZ方向のX-Y平面における曲げ可撓性を有しており、これにより、音響結合インターフェイスが湾曲した対象物の周りで曲がることができ、湾曲した対象物の検査中に壊れることなく湾曲した対象物と連続的に接触することができる。シートの表面上の2つの点の間に引かれた想像上の線は、シートがZ方向に曲げられているときには、この点はZ方向に離れて、直線ではなく曲線になる。
【0014】
音響インターフェイスのバルク材料は、複数の音響導波路構造を含む。このように、シートはバルク材料で構成されてもよい。
【0015】
バルク材料は、それ自体がフレキシブル材料であってもよい。
【0016】
バルク材料は、ゴムやポリマー材料を含んでもよいし、それらで構成されてもよい。このように、第1の態様の実施形態では、バルク材料はポリマーを含む。また、バルク材料はゴムであってもよいし、ゴムを含んでもよい。さらに、バルク材料は、SU-8、窒化珪素およびポリイミドからなる群から選択されてもよい。
【0017】
さらに、バルク材料は層状の材料であってもよい。このように、バルク材料は、互いに積層された個々の層を含む多層構造であってもよい。このような個々の層の1つはフレキシブルである必要はないが、多層構造全体はフレキシブルである。一例として、多層構造の個々の層は、酸化シリコンを含んでも、酸化シリコンで構成されてもよい。
【0018】
また、導波路構造は、音響導波路のアレイのような音響導波路を含んでも良い。さらに、音響導波路構造は、一緒になって音響導波路構造として機能する、バルク材料中に配置された一連の音響散乱体を含んでもよい。
【0019】
複数の音響導波路構造は、超音波トランスデューサによって放出される超音波信号の双方向の結合を提供するものである。このように、音響結合インターフェイスは、フレキシブル超音波トランスデューサによって放出された超音波信号の検査対象物への透過を容易にし、その結果、対象物からのエコー信号がフレキシブル超音波トランスデューサに戻って送信されることを可能にする。したがって、音響導波路構造は、超音波トランスデューサから放射された超音波および被検物から受信したエコー信号に対する音響レンズとして機能することができる。
【0020】
本発明の第1の態様は、フレキシブル音響インターフェイスが、人などの検査対象物と、超音波変換素子のアレイを含むフレキシブル超音波トランスデューサのようなフレキシブル超音波トランスデューサとの間の良好な音響的接触を可能にするという洞察に基づく。これにより、フレキシブル音響インターフェイスは、検査対象物の形状や曲率をフレキシブル超音波トランスデューサに伝達する。さらに、フレキシブル音響インターフェイスは、例えば人体の超音波検査を行う際に従来使用されていたゲルの代替品または補完品としても機能する。導波管構造により、音響インターフェイスは、検査対象物との不均一な、場合によっては非粘着性の接触を可能にする方法で音響波を結合する。
【0021】
さらに、音響インターフェイスは、使い捨てパッチとして機能してもよく、これにより、フレキシブル超音波トランスデューサの再利用が可能になる。
【0022】
第1の態様の実施形態では、シートは、フレキシブル超音波トランスデューサに接触するように配置された第1の平面と、第1の平面とは反対側の、湾曲した検査対象物に接触するように配置された第2の平面とを有し、シートは、動作中にシートが湾曲した検査対象物に接触しているときに、第2の平面が湾曲した検査対象物に適合するように、第1および第2の平面の両方の表面プロファイルが変更されるような曲げ可撓性を有している。
【0023】
シートの可撓性と厚さは、検査中、すなわち、フレキシブルトランスデューサが検査対象物に押し付けられたときに、第1および第2の平面の表面形状が影響を受けるようになっている。この結果、対象物の曲率をフレキシブル超音波トランスデューサに「転送」することができる。
【0024】
一例として、第1および第2の平面は、シートの厚さの少なくとも5倍、例えば少なくとも10倍、例えば少なくとも20倍、例えば少なくとも50倍の長さおよび幅を有してもよい。このように、シートの長さだけでなく、シートの幅も、厚さの5倍以上の長さを有してもよい。
【0025】
一例として、シートは、少なくとも0.2cm、例えば少なくとも1cm、例えば少なくとも5cm、例えば少なくとも10cm、例えば少なくとも50cmの長さと幅を有してもよい。
【0026】
一例として、シートは、0.20cmから0.50cmの間の表面積を有してもよい。さらなる例として、シートは、1cmから25cmの間の表面積を有してもよい。さらなる例として、シートは、30cmから70cmの間の表面積を有してもよい。
【0027】
さらなる例として、シートは、少なくとも80cm、例えば約100cmのような表面積を有してもよい。
【0028】
さらにシートは、0.10m以上、例えば0.20m以上の表面積を有してもよい。
【0029】
さらに、シートは、10μmと1cmの間の厚さ、例えば0.5mmと1.0mmの間の厚さを有してもよい。
【0030】
一例として、第1および第2の平面は、X方向およびY方向に延びてもよく、シートは、X方向およびY方向に垂直なZ方向に延びる厚さを有してもよい。シートは、少なくとも30度、例えば少なくとも45度、例えば少なくとも90度の曲げ角度でZ方向に曲げることができるような可撓性を有してもよい。
【0031】
第1の態様の実施形態では、シートは5cm未満、好ましくは3cm未満、より好ましくは2cm未満の曲率半径(Rc)でシートを曲げることができる曲げ可撓性を有する。
【0032】
第1の態様の他の実施形態では、シートは、10~30cm、例えば15~20cmの曲率半径(Rc)でシートを曲げることができる曲げ可撓性を有する。
【0033】
曲率半径は、正または負のZ方向、すなわち、第1および/または第2の平面の法線に沿った方向に曲げるときに定義されてもよい。最小曲率半径は、5cm未満、例えば1~4cmであってもよい。
【0034】
さらに、第1の態様の実施形態では、シート全体またはバルク材料は、フレキシブル超音波トランスデューサの動作中にシートが湾曲した対象物との連続的な接触を形成することを可能にする曲げ弾性率(modulus of elasticity)を有する。
【0035】
材料の曲げ弾性率は、その材料が曲がる能力を示す物理的特性である。機械的に言えば、曲げ変形、つまり曲げるときの応力とひずみの比である。シートがプラスチックの場合は、ポリマーの種類や分子量、厚さなどが可撓性に影響する。
【0036】
一例として、シート全体またはバルク材料は、50GPa未満、例えば20GPa未満の曲げ弾性率を有してもよく、それにより、フレキシブル超音波トランスデューサの動作中に、シートが湾曲した対象物との連続的な接触を形成することが可能になる。
【0037】
材料の曲げ弾性率は、幅wと高さhを持つ材料の長方形の梁に対して、既知の3点分析を用いて測定することができる。パラメータLは、梁の第1の面にある2つの支持点間の長さを規定し、梁の他の面に力Fが加えられる。変位またはたわみdが測定され、曲げ弾性率Ebend(面積当たりの力)は次のように計算される。
bend=(LF)/(4whd)
【0038】
第1の態様の実施形態では、複数の音響導波路構造が、バルク材料中にアレイ状に配置されている。アレイは、一次元、二次元及び/又は三次元であってもよい。
【0039】
一例として、複数の音響導波路構造は、20以上、例えば50以上の個々の音響導波路構造または音響導波路を含んでいてもよい。
【0040】
第1の態様の実施形態では、シートは伸縮可能なシートである。これにより、音響結合インターフェイスのシートは、可逆的に歪みに耐えることができる材料でもよい。このように、シートはまた、弾性材料を含んでも、弾性材料から構成されてもよい。
【0041】
しかしながら、シートは非弾性材料を含んでも、非弾性材料から構成されてもよい。
【0042】
第1の態様の実施形態では、複数の音響導波路構造は、細長い形状を有する導波路を含む。
【0043】
このように、導波管は、バルク材料の一部または全体を通って延びる柱の形態であってもよい。
【0044】
第1の態様の実施形態では、複数の音響導波路構造は、バルク材料とバルク材料とは異なる他の材料を交互に配置して構成され、この配置は、第1の平面から第2の平面まで延びている。
【0045】
代わりに、音響導波路構造は、バルク材料によって完全に囲まれてもよい。
【0046】
バルク材料と異なる材料は、空隙またはバルク材料と異なる音響インピーダンスを有する材料であってもよい。
【0047】
バルク材料と「他の材料」を交互に配置することで、バルク材料の中に「別の材料」の個別の要素の3次元アレイを形成してもよい。三次元アレイの個別の要素の列のような個別の要素は、音響導波構造として共に機能してもよい。
【0048】
一例として、複数の音響導波路構造は、第1の平面から第2の平面に向かって延びる導波路で構成されてもよい。この結果、音響導波路構造は、Z方向全体またはシートの厚さ全体に広がってもよい。したがって、導波管は、シートの第1または第2の平面に実質的に垂直な方向に、シートの厚さを通ってバルク材料内に延びる複数のピラーを形成してもよい。
【0049】
第1の態様の実施形態では、複数の音響導波路構造は、バルク材料とは異なる固体材料を含む。
【0050】
バルク材料と異なる固体材料は、バルク材料と異なる音響インピーダンスを有してもよい。固体材料は、金属材料でもよいし、ポリマー材料でもよい。
【0051】
一例として、複数の音響導波路構造の固体材料は、第1の平面および/または第2の平面から突出してもよい。このように、複数の音響導波路構造は、シートの第1の平面からのみ突出してもよいし、シートの第1の平面および第2の平面の両方から突出してもよいし、シートの第2の平面からのみ突出してもよい。これは、突出した導波管構造が、動作中に、検査対象の湾曲した対象物の表面やフレキシブル超音波トランスデューサの表面のような他の平面への接着を容易にするという点で有利である。このように、固体材料の突出した導波路構造は、音響結合インターフェイスの接着特性を高める突出した素子のアレイを形成してもよい。
【0052】
第1の態様の実施形態では、複数の音響導波路構造は、バルク材料内の空隙の形で、導波路構造を規定する、バルク材料内の内壁を含む。上述のように、空隙は、細長い形態を有し、シートの第1の平面から第2の平面まで延びてもよい。
【0053】
本発明の第2の態様として、
フレキシブル超音波トランスデューサと、
超音波トランスデューサに取り外し可能に取り付けられるように構成され、超音波トランスデューサが発する超音波信号が対象物に送信され、対象物からの結果のエコー信号が超音波トランスデューサに戻るように送信される、第1の態様にかかる音響結合インターフェイスと、を含む、湾曲した対象物の特徴を表すデータを作成するシステムが提供される。この態様は、一般に、前者の態様と同じまたは対応する利点を提示することができる。
【0054】
形成される湾曲した対象物の特徴を表すデータは、湾曲した対象物の撮像に使用されてもよい。
【0055】
フレキシブル超音波トランスデューサは、超音波変換素子のアレイを含んでもよい。超音波変換素子は、主変換軸(Z)に沿って伝搬する超音波エネルギーを形成するように構成されてもよい。フレキシブル超音波トランスデューサは、検査中の湾曲した対象物に面し、主変換軸に平行な法線ベクトルを有する第1の外面を含んでもよい。このように、音響結合インターフェイスは、フレキシブル超音波トランスデューサのそのような第1の外面に取り外し可能に取り付けられるように構成されてもよい。超音波トランスデューサの第1の外面は、少なくとも100cm、例えば少なくとも400cmの表面積を有してもよい。このように、このようなフレキシブル超音波トランスデューサの変換素子のアレイは、少なくとも100cm、例えば少なくとも400cmの面積をカバーしてもよい。
【0056】
このように、システムは、上記第1の態様にかかるフレキシブル超音波トランスデューサおよび少なくとも1つの音響結合インターフェイスを備えたキットとして提供されてもよい。フレキシブル超音波トランスデューサは再利用可能であり、一方、音響結合インターフェイスは、超音波検査の間に交換される使い捨てのインターフェイスであってもよい。本システムは、例えば、検査対象物と超音波トランスデューサとの間の音響結合のために従来のゲルを使用することなく、撮像のような超音波検査を提供するという点で有利である。
【0057】
本発明の第3の態様として、
上記第2の態様にかかるシステムを用いて、対象物に超音波信号を照射するステップと、
対象物からの結果のエコー信号を分析し、これによって結果のエコー信号に基づいて対象物の特徴を表すデータを得るステップと、含む対象物の特徴を表すデータを取得する方法が提供される。
【0058】
この態様は、一般に、上述した前者の態様と同じまたは対応する利点を提示することができる。対象物は、20cm未満、例えば10cm未満のような曲率半径の曲率を有する曲率を含む湾曲対象物のような湾曲対象物であってもよい。湾曲した対象物は、腕や脚など、患者の身体の一部であってもよい。
【0059】
結果のエコー信号を分析するステップは、検査対象物の内部など、検査対象物の一部の画像を形成することを含んでもよい。
【0060】
第3の態様の実施形態では、対象物に超音波信号を与えるステップは、音響結合インターフェイスと対象物の直接接触、および/または、音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの直接接触で実行される。
【0061】
一例として、対象物に超音波信号を照射するステップは、音響結合インターフェイスと対象物を直接接触させて行うことができ、例えば、対象物と音響結合インターフェイスの間にゲルがない状態で行うことができる。
【0062】
さらなる例として、対象物に超音波信号を照射するステップは、音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサを直接接触させて行ってもよく、例えば、音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサとの間にゲルを介さずに行ってもよい。
【0063】
他の例として、対象物に超音波信号を照射するステップは、音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの直接接触、および音響結合インターフェイスと対象物の直接接触、例えば、音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの間にゲルがなく、対象物と音響結合インターフェイスの間にゲルがない状態で行われてもよい。
【0064】
しかしながら、対象物に超音波信号を照射するステップは、代替として、音響結合インターフェイスと対象物の間接的な接触、および/または、音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの間接的な接触を用いて行うことができる。このように、音響結合インターフェイスと対象物の間、または音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの間にゲルを使用してもよい。さらに例を挙げると、音響結合インターフェイスと対象物の間、および音響結合インターフェイスとフレキシブル超音波トランスデューサの間にゲルを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明の概念の上記および追加の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照した、以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によって、より良く理解されるであろう。図面では、特に断らない限り、同様の要素には同様の参照数字が使用される。
【0066】
図1】本開示の音響結合インターフェイスの模式的な透視図である。
図2a】シートのバルク材料に配置された音響導波路構造の例示的な実施形態である。
図2b】シートのバルク材料に配置された音響導波路構造の例示的な実施形態である。
図2c】シートのバルク材料に配置された音響導波路構造の例示的な実施形態である。
図2d】シートのバルク材料に配置された音響導波路構造の例示的な実施形態である。
図2e】シートのバルク材料に配置された音響導波路構造の例示的な実施形態である。
図2f】シートのバルク材料に配置された音響導波路構造の例示的な実施形態である。
図3】音響結合インターフェイスが負のZ方向に曲げられた場合の曲げ角度と曲率半径を示す模式図である。
図4a】対象物の検査中に湾曲した対象物の特徴を表すデータを形成するためのシステムsの例示的な実施形態である。
図4b】対象物の検査中に湾曲した対象物の特徴を表すデータを形成するためのシステムsの例示的な実施形態である。
図4c】対象物の検査中に湾曲した対象物の特徴を表すデータを形成するためのシステムsの例示的な実施形態である。
図4d】対象物の検査中に湾曲した対象物の特徴を表すデータを形成するためのシステムsの例示的な実施形態である。
図5】対象物の特徴を表すデータを取得する方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、本開示にかかる音響結合インターフェイス1の模式的な例を示す。インターフェイス1は、X-Y平面に延びるシート4の形態をしており、X方向とY方向の両方に垂直なZ方向に延びる厚さを有している。シート4は、第1の平面4aと、第1の平面4aに対向する第2の平面4bとを有しており、インターフェイス1は、フレキシブル超音波トランスデューサ2と、湾曲した対象物3のような対象物との間で使用するためのものであるため、例えば、使用中に、平面の1つが検査される対象物3に面するのに対し、反対側の平面は超音波トランスデューサに面する。その結果、シート4は、フレキシブル超音波トランスデューサ2に接触するように配置された第1の平面4aと、第1の平面4aとは反対側の、湾曲した検査対象物3に接触するように配置された第2の平面4bとを有している。
【0068】
シート4は、この例では、X方向の長さd1が約5~20cm、例えば約10cm、Y方向の長さd2が約5~20cm、例えば約10cmの長方形または四角形の形状を有している。シートは、第1の平面2aおよび第2の平面2bの表面積に比べてさらに薄く、例えば、Z方向の厚さd3が約0.1mm~1.0mmである。このように、第1の平面4aおよび第2の平面4bは、ともにシートの厚さの50倍以上の長さおよび幅を有してもよい。
【0069】
さらに、シート4は、バルク材料5と、バルク材料5に配置された複数の音響導波路構造6とを備えている。図1の例では、音響導波路構造6は、バルク材料5内に2次元アレイ9として配置されている。
【0070】
複数の音響導波路構造6は、対象物3の検査時に超音波トランスデューサ2から発せられる超音波信号7の双方向の結合を行うためのものである。
【0071】
図2a~2fは、音響導波路構造6の異なる実施形態を示す。図2a~2fは、シート4の断面図であり、例えば、図1のシートの線Aに沿った断面図である。
【0072】
図2aは、バルク材料5内に配置された音響導波路構造6の概略的な実施形態を示している。導波管構造6は、第1の平面4aから第2の平面4bまで延びる細長い形態を有している。したがって、導波路構造6は、Z方向、すなわち、シート4の厚さが規定される方向に延びている。細長い導波管構造、または細長い導波管6は、円柱の形態、または凸状もしくは凹状の外形を有するなど、任意の適切な形態を有してもよい。
【0073】
図2bは、バルク材料5内に配置された音響導波路構造6の概略的な実施形態を示している。この例では、導波路構造6は、第2の平面4bから突出している。このように、導波路構造6は、第2の平面6bから延びる又は突出する部分6bを含んでいる。したがって、第2の平面4bは、突出部分6bのアレイを含んでもよい。突出部6bは、シート4の第2外側平面4bをより粘着性のあるものにすることによって、すなわち、検査中のインターフェイス1と対象物3との間の摩擦を増加させることによって、検査中の音響結合インターフェイス1と対象物3との間の接触を維持することを助けてもよい。
【0074】
また、音響導波路構造6は、第1の平面4aから突出してもよい。この例は、図2cに示されており、導波管構造体6は、第1の平面6aから延びるまたは突出する部分6aを構成している。これにより、第1の平面4aは、突出部分6aのアレイを含んでもよい。突出部分6aは、シート4の第1外側平面4aをより粘着性のあるものにすることによって、すなわち、検査中のインターフェイス1とフレキシブル超音波トランスデューサ2との間の摩擦を増加させることによって、検査中の音響結合インターフェイス1とフレキシブル超音波トランスデューサ2との間の接触を維持することを助けてもよい。
【0075】
また、音響導波路構造6は、第1の平面4aおよび第2の平面4bの両方から突出していてもよい。このような例は、図2dに示されており、音響導波路構造6は、ともに第1の平面4aから突出した部分6aと、第2の平面4bから突出した部分6bとを含む。
【0076】
このように突出部6aおよび/または6bが配置されていると、インターフェイス1とトランスデューサアレイ2の間にゲルを使用したり、インターフェイスと検査対象物3の間にゲルを使用したりする必要がなくなる場合がある。
【0077】
図2eは、複数の音響導波路構造6がバルク材料6内に配置されたシート4の模式的な実施形態を示しており、バルク材料6とバルク料材6とは異なる別の材料6cが交互に配置された配列7を含む。配列7は、第1の平面4aから第2の平面4bに向かってZ方向に延びている。このように、バルク材料以外の材料6cは、バルク4内の離散的な要素として、例えば、第1の平面4aから第2の平面4bに延びる想像上の直線に沿って配置されている。離散的な要素のサイズおよび隣接する離散的な要素間の距離により、配列7は、シート4を伝搬する超音波のガイド構造として機能する。
【0078】
図2fは、上記の図2aに関連して説明した実施形態と同様の複数の音響導波構造を含むシート4のさらなる模式的な実施形態を示すが、音響導波路構造6は、バルク材料5内に配置された空隙8aの形態である。したがって、複数の音響導波路構造6は、この例では、バルク材料6内の空隙8aの形態で導波路構造を規定するように、バルク材料6内の内壁8を構成している。
【0079】
なお、音響導波路構造6は、バルク材料6とは異なる音響インピーダンスを有する材料であってもよい。このように、複数の音響導波路構造6は、バルク材料5とは異なる固体材料で構成されてもよい。
【0080】
音響導波路構造6は、金属やポリマーでもよいし、それらを含んでもよく、バルク材料6内に三次元音響インピーダンスオブジェクトを形成してもよい。
【0081】
バルク材料6は、ポリイミド(PI)などのポリマーを含んでもよい。バルク料材は、シート4がフレキシブルになるように、可撓性材料でもよい。このように、シート4は、フレキシブル超音波トランスデューサ2の動作中に湾曲した対象物3との連続的な接触を形成するように、フレキシブルであってもよい。一例として、シート4は、検査中に第1の平面4aおよび第2の平面4bの両方の表面プロファイルが変更されるような曲げ可撓性を有していてもよい。検査中にシート4が湾曲した対象物3と接触しているときに、検査対象物に接触している表面または最も近い表面である第2の平面は、湾曲した対象物3に適合してもよい。しかし、シート4は、検査中に第1の平面4aも湾曲した対象物に適合するように十分な可撓性を有していてもよい。その結果、音響結合インターフェイス1は、検査中に、検査対象物3の表面プロファイルをフレキシブル超音波トランスデューサに伝達することを容易にすることができる。
【0082】
図3は、シート4の可撓性がどのように測定されるかを示す図である。図1に示すものと類似して、第1の平面4aおよび第2の平面4bは、X方向およびY方向に延び、シート4は、X方向およびY方向に直交するZ方向に延びる厚さを有する。シートは、可撓性を有し、破断することなく、少なくとも30度の曲げ角度(α)で正または負のZ方向に曲がってもよい。シート4の厚さは、バルク材料の材質との組み合わせで、シート4の可撓性に影響を与える最も重要な要因となる。また、シート4を折り曲げる際の「破断」とは、折り曲げ時に外周面、すなわち折り曲げ時に張力がかかる領域を有する面に現れる亀裂をいう。図3の例では、この面積が第2の平面2bの表面積となる。
【0083】
さらに、曲率半径Rcは、シート4が破断しない程度の5cm以下でもよい。なお、曲率半径は、折り曲げ時の内側の曲率である。したがって、図3では、シート4が負のZ-方向に曲げられているので、曲率半径は第1の平面3aで測定される。
【0084】
図4a~4dは、対象物3の特徴を表すデータを作成するためのシステム10の異なる概略的かつ例示的な実施形態を示す。
【0085】
図4aに示すように、システム10は、フレキシブル超音波トランスデューサ2を含む。この超音波トランスデューサ2は、個々の超音波変換素子13aのアレイ13を含む。超音波トランスデューサ2は、超音波11を発信するとともに、検査対象物3からのエコー信号12を受信する。アレイ13の個々の超音波変換素子13aは、当該技術分野で知られているマイクロマシン加工された超音波変換器(MUT)でもよい。このような素子13aは、小さなキャビティの上に吊り下げられた膜を有する小さなドラムを加工することによって形成されてもよい。このキャビティの寸法と膜の剛性との組み合わせにより、特定のMUTの共振周波数が決定される。MUTは圧電効果で駆動することができ、pMUTを形成する。pMUTは、圧電材料に共振周波数の交流電界を印加し、圧電材料と膜の間に応力差を発生させることで機能する。これにより、振動が誘発され、音響波が放出される。一般的な周波数は50kHzから20MHzの範囲である。これは波長に換算すると、1cmから100μm以下の範囲になる。ビームフォーミングを用いて発光時に焦点スポットを形成したり、受信時に小さなスポットを画像化する応用では、より大きなアレイの超音波変換素子13aが必要になる場合がある。
【0086】
システム10は、本明細書に開示されているように、音響結合インターフェイス1をさらに含む。インターフェイス10は、トランスデューサ2と検査対象物3との間で、トランスデューサ2の外表面2a上に着脱可能に取り付けられる。対象物13は、腕や脚など、身体の一部であってもよい。このように、音響結合インターフェイス1は、トランスデューサ2が発する超音波信号11が対象物3に伝達され、対象物3からの結果としてのエコー信号12がトランスデューサ2のアレイ13aに戻って伝達されるような双方向の結合を提供する。
【0087】
超音波変換素子13aは、Z軸に平行な主変換軸に沿って伝搬する超音波エネルギーを発生させるように構成されており、フレキシブル超音波トランスデューサ2は、検査時に湾曲した対象物3に対向する第1外面2aを含んでもよい。トランスデューサ2のこの第1の外側表面2aは、したがって、主変換軸に平行な法線ベクトルを有し、音響結合インターフェイス1は、シート4の第1の外側平面4aがトランスデューサ2の第1の外側表面2aに面した状態で、対象物3とトランスデューサ2との間に配置される。図2aに示す実施形態では、フレキシブル超音波トランスデューサ2と音響結合インターフェイス1との間、および音響結合インターフェイス1と検査対象物14との間にゲル14が塗布されている。
【0088】
図4bは、音響結合インターフェイス1の導波管構造6が、シート4の第2の平面4b上に突出部6bを有するシステム10の実施形態を示す。これにより、音響結合インターフェイスと対象物3との間にゲルを有することなく、湾曲した対象物3の超音波検査を行うことができる。突起部6aは、検査される対象物3に対するインターフェイス1およびシステム全体10の接着を容易にする。また、対象物3とシステム10との間にドライコンタクトを有することは、特定の用途において有益である。
【0089】
図4cは、音響結合インターフェイス1の導波管構造6が、シート4の第1の平面4a上に突出部6aを有するシステム10の実施形態を示す。これにより、音響結合インターフェイスと超音波トランスデューサとの間にゲルを有することなく、湾曲した対象物3の超音波検査を行うことができる。図4bに示す実施形態と類似して、突出部6bは、インターフェイス1のフレキシブル超音波トランスデューサ2への接着を助けてもよい。超音波トランスデューサ2と使い捨ての音響結合インターフェイス1との間にドライコンタクトを有することは、特定の用途において有益である。
【0090】
図4dは、湾曲した対象物3を検査するためのシステム10の使用を示している。図4dに示すように、シート4の可撓性により、検査中にインターフェイス1全体を対象物3の曲面に適合させることが可能である。さらに、音響結合インターフェイス1の可撓性により、検査中にフレキシブル超音波トランスデューサ2を湾曲した対象物3の曲率に適合させることも可能である。本実施形態では、音響結合インターフェイス1と超音波トランスデューサ2との間のゲルも、音響結合インターフェイスと対象物3との間のゲルも使用していない。この結果、音響結合インターフェイスは、検査中のドライコンタクトを提供し、これにより、ゲルを排除することができ、これは、様々な用途において実用的な利点となり得る。
【0091】
図4a~4cに開示されているシステムは、対象物3の特徴を表すデータを作成するためのものである。得られたデータは、例えば、対象物3の内部の画像を作成するために、システム10内の制御ユニット15によって使用されてもよい。制御ユニット15は、送受信機などの通信インターフェイスを含んでもよく、それを介して超音波トランスデューサ2との間でデータの送受信を行うことができる。制御ユニット15は、超音波トランスデューサ2から得られたデータを用いて画像パラメータを計算するための、中央処理装置などの処理ユニットを含んでもよい。このような処理ユニットは、例えば、メモリ上に格納されているコンピュータコード命令を実行するように構成されてもよい。
【0092】
図5は、対象物の特徴を表すデータを取得する方法100を模式的に示す。この方法100は、対象物3の特徴を表すデータを作成するために本明細書で開示したようなシステム10を用いて、対象物に超音波信号に照射するステップ101を含む。
【0093】
さらに、方法100は、対象物3からの結果のエコー信号を分析し102し、それによって結果としてのエコー信号に基づいて、対象物の特徴を表すデータを得るステップを含む。分析は、例えば、上述の図4dに関連して説明したように、制御ユニットによって実行されてもよい。
【0094】
対象物に超音波信号を照射するステップ101は、図4bに示すような音響結合インターフェイス1と対象物3との直接接触、図4cに示すような音響結合インターフェイス1とフレキシブル超音波トランスデューサ2との直接接触、または、図4dに示すような音響結合インターフェイス1と対象物3および超音波トランスデューサ2との直接接触で行われてもよい。
【0095】
上記においては本発明の概念は主に限られた数の例を参照して説明されてきた。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、上記において開示した例以外の他の例も、添付の請求項によって規定される本発明の概念の範囲内において同様に可能である。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図5