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特許7524204熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールおよび光センサ
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  • 特許-熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールおよび光センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールおよび光センサ
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/857 20230101AFI20240722BHJP
   H10N 10/851 20230101ALI20240722BHJP
   H10N 10/01 20230101ALI20240722BHJP
   H10N 10/17 20230101ALI20240722BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H10N10/857
H10N10/851
H10N10/01
H10N10/17 A
G01J1/02 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021548846
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(86)【国際出願番号】 JP2020035045
(87)【国際公開番号】W WO2021060101
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2019174467
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592032636
【氏名又は名称】学校法人トヨタ学園
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】足立 真寛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 恒博
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-216388(JP,A)
【文献】特開2017-084986(JP,A)
【文献】特開2015-135939(JP,A)
【文献】国際公開第2019/039320(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/225388(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/014126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/857
H10N 10/851
H10N 10/01
H10N 10/17
G01J 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成元素と、添加元素と、を含み、前記添加元素の濃度が0.01at%以上30at%以下である半導体から構成されており、
前記構成元素は、SiおよびGeのうちの少なくともいずれか一方であり、
前記添加元素は、Sb、Al、P、AsおよびNのうちの少なくともいずれか一つであり、
前記半導体の組織は、
アモルファス相と、
前記アモルファス相中に分散して存在する粒状の結晶相と、を含み、
前記アモルファス相は、
前記添加元素の濃度が第1の濃度である第1領域と、
前記添加元素の濃度が前記第1の濃度よりも小さい第2の濃度である第2領域と、を含み、
前記第1の濃度と前記第2の濃度との差は、15at%以上25at%以下である、熱電変換材料。
【請求項2】
前記構成元素は、
第1の構成元素と、
第2の構成元素と、を含み、
前記第1領域における前記構成元素全体に対する前記第1の構成元素の原子濃度の比率と前記第2領域における前記構成元素全体に対する前記第1の構成元素の原子濃度の比率との差は、5%以上10%以下である、請求項1に記載の熱電変換材料。
【請求項3】
前記第1領域の中心を含む断面における前記第1領域の円相当径は、3nm以上40nm以下である、請求項1または請求項2に記載の熱電変換材料。
【請求項4】
前記添加元素の濃度は、5at%以上25at%以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
【請求項5】
熱電変換材料部と、
前記熱電変換材料部に接触して配置される第1電極と、
前記熱電変換材料部に接触し、前記第1電極と離れて配置される第2電極と、を備え、
前記熱電変換材料部は、導電型がp型またはn型である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱電変換材料からなる、熱電変換素子。
【請求項6】
請求項5に記載の熱電変換素子を含む、熱電変換モジュール。
【請求項7】
光エネルギーを吸収する吸収体と、
前記吸収体に接続される熱電変換材料部と、を備え、
前記熱電変換材料部は、導電型がp型またはn型である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱電変換材料からなる、光センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールおよび光センサ関するものである。
【0002】
本出願は、2019年9月25日出願の日本出願第2019-174467号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、石油などの化石燃料に代わるクリーンなエネルギーとして、再生可能エネルギーが注目されている。再生可能エネルギーには、太陽光、水力および風力を利用した発電のほか、温度差を利用した熱電変換による発電で得られるエネルギーが含まれる。熱電変換においては、熱が電気へと直接変換されるため、変換の際に余分な廃棄物が排出されない。熱電変換を利用した発電装置は、モータなどの駆動部を必要としないため、装置のメンテナンスが容易であるなどの特長がある。
【0004】
熱電変換を実施するための材料(熱電変換材料)を用いた温度差(熱エネルギー)の電気エネルギーへの変換効率ηは以下の式(1)で与えられる。
【0005】
η=ΔT/T・(M-1)/(M+T/T)・・・(1)
【0006】
ηは変換効率、ΔTはTとTとの差、Tは高温側の温度、Tは低温側の温度、Mは(1+ZT)1/2、ZTはαST/κ、ZTは無次元性能指数、αはゼーベック係数、Sは導電率、Tは温度、κは熱伝導率である。変換効率はZTの単調増加関数である。ZTを増大させることが、熱電変換材料の開発において重要である。
【0007】
熱電変換材料として、Si、Ge、Auを用いた技術が報告されている(例えば、非特許文献1)。特許文献1には、構成元素で構成される半導体材料中に、構成元素と構成元素と異なる異種元素とを含むナノ粒子を含む熱電変換材料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2015-135939号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Shunsuke Nishino et al.、“Thermoelectric Properties of Nanograined Si-Ge-Au Thin Films Grown by Molecular Beam Deposition”、Journal of ELECTRONIC MATERIALS 47 (2018) 3267
【発明の概要】
【0010】
本開示に従った熱電変換材料は、構成元素と、構成元素に対して最外殻の電子数の差が1である添加元素と、を含み、添加元素の濃度が0.01at%以上30at%以下である半導体である。半導体の組織は、アモルファス相と、アモルファス相中に分散して存在する粒状の結晶相と、を含む。アモルファス相は、添加元素の濃度が第1の濃度である第1領域と、添加元素の濃度が第1の濃度よりも小さい第2の濃度である第2領域と、を含む。第1の濃度と第2の濃度との差は、15at%以上25at%以下である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施の形態1に係る熱電変換材料の一部を示す概略断面図である。
図2図2は、実施の形態1に係る熱電変換材料の一部のTEM像である。
図3図3は、結晶相の粒径と熱伝導率との関係を示すグラフである。
図4図4は、第1領域と第2領域との添加元素の濃度差と、熱伝導率との関係を示すグラフである。
図5図5は、熱電変換素子であるπ型熱電変換素子(発電素子)の構造を示す概略図である。
図6図6は、発電モジュールの構造の一例を示す図である。
図7図7は、赤外線センサの構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示が解決しようとする課題]
高い変換効率を有する熱電変換材料が求められている。ZTを増大させることができれば、熱電変換の効率を向上させることができる。熱伝導率κを低くすれば、ZTを増大させることができる。
【0013】
そこで、熱伝導率を低くしてZTを増大させた熱電変換材料、熱電変換素子、熱電変換モジュールおよび光センサを提供することを本開示の目的の1つとする。
【0014】
[本開示の効果]
上記熱電変換材料によれば、熱伝導率を低くしてZTを増大させることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る熱電変換材料は、構成元素と、構成元素に対して最外殻の電子数の差が1である添加元素と、を含み、添加元素の濃度が0.01at%以上30at%以下である半導体から構成されている。半導体の組織は、アモルファス相と、アモルファス相中に分散して存在する粒状の結晶相と、を含む。アモルファス相は、添加元素の濃度が第1の濃度である第1領域と、添加元素の濃度が第1の濃度よりも小さい第2の濃度である第2領域と、を含む。第1の濃度と第2の濃度との差は、15at%以上25at%以下である。
【0016】
本開示の熱電変換材料においては、半導体の組織は、粒状の結晶相を含む。よって、熱電変換材料の導電率が高くなっている。アモルファス相は、添加元素の濃度の異なる第1領域と第2領域とを含む。よって、半導体の組織中の添加元素の組成むらによりフォノン散乱を生じさせて、熱伝導率を低減することができる。上記熱電変換材料は、粒状の結晶相を含むことによる導電率の向上を維持しながら、熱伝導率を低減することができる。したがって、上記熱電変換材料は、熱電変換の効率を向上することができる。
【0017】
上記熱電変換材料において、構成元素は、第1の構成元素と、第2の構成元素と、を含んでもよい。第1領域における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率と第2領域における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率との差は、5%以上10%以下であってもよい。このようにすることにより、半導体の組織中において、構成元素の組成むらによりフォノン散乱を生じさせて、熱伝導率を低減することができる。したがって、熱電変換の効率を向上することができる。
【0018】
上記熱電変換材料において、第1領域の円相当径は、3nm以上40nm以下であってもよい。このようにすることにより、確実に高い導電率を維持しながら熱伝導率の低減を図ることができる。したがって、確実に熱電変換の効率を向上することができる。
【0019】
上記熱電変換材料において、構成元素は、Si(珪素)およびGe(ゲルマニウム)のうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。このような構成元素は、熱電変換材料を構成する構成元素として好適である。
【0020】
上記熱電変換材料において、添加元素は、Sb(アンチモン)、Al(アルミニウム)、P(リン)、As(ヒ素)およびN(窒素)のうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。このような添加元素は、上記構成元素の添加元素として好適に用いられる。
【0021】
上記熱電変換材料において、添加元素の濃度は、5at%以上25at%以下であってもよい。このようにすることにより、より確実に熱電変換の効率を向上した熱電変換材料を得ることができる。
【0022】
本開示の熱電変換素子は、熱電変換材料部と、熱電変換材料部に接触して配置される第1電極と、熱電変換材料部に接触し、第1電極と離れて配置される第2電極と、を備える。熱電変換材料部を構成する材料は、導電型がp型またはn型である上記本開示の熱電変換材料である。
【0023】
本開示の熱電変換素子において、熱電変換材料部を構成する材料は、導電型がp型またはn型である上記熱電変換特性に優れた熱電変換材料である。そのため、変換効率に優れた熱電変換素子を提供することができる。
【0024】
本開示の熱電変換モジュールは、上記熱電変換素子を含む。本開示の熱電変換モジュールによれば、熱電変換の効率に優れた本開示の熱電変換素子を含むことにより、熱電変換の効率を向上させた熱電変換モジュールを得ることができる。
【0025】
本開示の光センサは、光エネルギーを吸収する吸収体と、吸収体に接続される熱電変換材料部と、を備える。熱電変換材料部を構成する材料は、導電型がp型またはn型である上記本開示の熱電変換材料である。
【0026】
本開示の光センサにおいて、熱電変換材料部を構成する材料は、導電型がp型またはn型である上記熱電変換特性に優れた熱電変換材料である。そのため、高感度な光センサを提供することができる。
【0027】
[本開示の実施の形態の詳細]
次に、本開示の熱電変換材料の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0028】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係る熱電変換材料の構成について説明する。図1は、本開示の実施の形態1に係る熱電変換材料の一部を示す概略断面図である。図1を参照して、本開示の実施の形態1に係る熱電変換材料11は、基板、具体的には、例えば、サファイア基板12の主面13上に配置される。熱電変換材料11は、構成元素と、構成元素に対して最外殻の電子数の差が1である添加元素と、を含む。本実施形態においては、熱電変換材料11は、複数の構成元素を含む半導体からなる。具体的には、半導体に含まれる複数の構成元素は、第1の構成元素としてのSiと第2の構成元素としてのGeとを含む。本実施形態においては、熱電変換材料11は、添加元素としてのPを含む。すなわち、本実施の形態においては、構成元素はSiとGeであり、添加元素は、Pである。SiおよびGeのそれぞれとPとは、最外殻の電子数の差が1である。添加元素であるPの濃度は、0.01at%以上30at%以下である。
【0029】
熱電変換材料11は、アモルファス相14と、結晶相15とを含む。結晶相15は、熱電変換材料11に複数含まれており、それぞれ粒状である。結晶相15は、アモルファス相14内に分散している。結晶相15は、アモルファス相14内において分散された微結晶の状態で存在する。すなわち、熱電変換材料11を構成する半導体の組織は、アモルファス相14と、アモルファス相14中に分散して存在する粒状の複数の結晶相15と、を含む。
【0030】
結晶相15の粒の平均粒径は、例えば約7~10nmである。このような粒径の結晶相15がアモルファス相14中に分散して存在することにより、熱電変換材料11の導電率が高くなっている。結晶相15の粒径、すなわち、結晶相15の粒の直径の測定については、熱電変換材料を撮影したTEM画像から観測することができる。具体的には、電界放出形透過電子顕微鏡(装置名:JEM-2100F(日本電子株式会社製))を用い、積層方向にFIB(Focused Ion Beam)で約100nmに薄片化した後に得た高分解TEM(Transmission Electron Microscopy)像を観察して、粒の直径を測定する。
【0031】
図2は、実施の形態1に係る熱電変換材料の一部のTEM像である。図2では、熱電変換材料11の断面を100nmの視野の範囲で示している。併せて図2を参照して、実施の形態1における熱電変換材料11において、アモルファス相14は、添加元素の濃度が第1の濃度である第1領域17と、添加元素の濃度が第1の濃度よりも小さい第2の濃度である第2領域18と、を含む。第1の濃度と第2の濃度との差は、15at%以上25at%以下である。図2において、第1領域17は、第2領域18よりも濃く示されている。第1領域17中の領域19Aにおける添加元素であるPの濃度である第1の濃度は、21at%である。第2領域18中の領域19Bにおける添加元素であるPの濃度である第2の濃度は、2at%である。第1の濃度と第2の濃度との差は、19at%である。すなわち、第1領域17における添加元素の濃度と第2領域18における添加元素の濃度の差は、19at%である。本実施形態においては、第1領域17におけるPの濃度が第2領域18におけるPの濃度よりも高くなっている。第1領域17の円相当径は、3nm以上40nm以下である。第1領域17の円相当径とは、図2に示す場合において、第1領域17と同じ面積を有する真円とした場合の円の直径に相当する長さをいう。
【0032】
第1領域17における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率と第2領域18における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率との差は、5%以上10%以下である。実施の形態1において、第1領域17における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率は、70%である。具体的には、第1領域17において、SiとGeの双方を足し合わせたものに対するSiの原子濃度の比率が70%である。また、第2領域18における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率は、62%である。すなわち、第2領域18において、SiとGeの双方を足し合わせたものに対するSiの原子濃度の比率が62%である。第1領域17におけるSiの原子濃度の比率と第2領域18におけるSiの原子濃度の比率との差は、8%である。
【0033】
次に、実施の形態1に係る熱電変換材料11の製造方法について説明する。主面を有する基板、例えば、ベースとなる基板として、主面13を有するサファイア基板12を準備する。次に、主面13の温度を200K以下として、主面上に複数の構成元素および添加元素を蒸着させて半導体からなるアモルファス層を形成する。この場合、例えば、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法により、所定の厚みとなるまで原料元素を主面13に照射するようにして行う。次に、アモルファス層を加熱してアモルファス相中に平均粒径が約7nm以上10nm以下の粒状の結晶相15を形成する。また、アモルファス層の加熱により、アモルファス相14中に添加元素が凝集し、第1領域17が形成される。この場合、例えば、所定の温度となるまでサファイア基板12を加熱し、その温度を所定時間維持することにより行う。このようにして、実施の形態1に係る熱電変換材料を得る。
【0034】
具体的な例としては、例えばSiを11.2nm/分、Geを0.6nm/分、Pを0.1nm/分の割合で同時に主面13に対して照射する。そして、総厚みが200nm以上のアモルファス層をサファイア基板12の主面13上に蒸着させ、成膜を行う。得られた生成物に対して、例えば900℃に加熱し、5~30分間保持する熱処理を行う。
【0035】
上記条件で作製した熱電変換材料11のサンプルについて、その特性を調査した。熱電特性については、薄膜熱物性測定装置(PicoTherm製PicoTR)で測定した。試料表面にMo(モリブデン)を100nmスパッタリングし、表面加熱/表面測温方式で測定した。加熱用のレーザパルスは10kHzとした。得られた反射率の時間波形に理論式をフィッティングすることで、熱伝導率を導出した。熱電特性測定装置(オザワ科学株式会社製RZ2001i)で測定した。また、熱電変換材料11の組成、すなわち、Siの原子濃度、Geの原子濃度およびPの原子濃度については、STEM/EDX(Energy Dispersive X-ray spectrometry)装置(JEM-2100F(日本電子株式会社製))により求めた。測定は、100nm角の視野に加速電圧200kVの条件で行った。
【0036】
図3は、結晶相の粒径と熱伝導率との関係を示すグラフである。横軸は粒径(nm)を示し、縦軸は熱伝導率(W/mK)を示す。図3において、第1領域および第2領域を含む熱電変換材料の値を丸印により示す。Pを添加せずに製造した熱電変換材料の値を四角印により示す。
【0037】
図3を参照して、結晶相の粒径が小さい場合には、熱伝導率の差はあまりない。しかし、結晶相の粒径が大きい場合には、熱伝導率に大きな差が見られる。具体的には、Pを添加せずに製造された四角印で示される熱電変換材料については、結晶相の粒径が大きくなるにつれ、熱伝導率が上昇している。例えば結晶相の粒径が約7nmとなると、熱伝導率は2W/mK程度に大きくなる。結晶相の粒径が約9nmになると、熱伝導率は3W/mKよりも大きくなってしまう。これに対し、上記製造方法で製造した丸印で示される熱電変換材料については、結晶相の粒径が大きくなっても熱伝導率の上昇は抑制されている。結晶相の粒径が約8nmであっても、熱伝導率は1W/mK前後である。結晶相の粒径が約9nmになっても熱伝導率は1W/mK前後であり、非常に低い値を示している。
【0038】
図4は、第1領域と第2領域との添加元素の濃度差と、熱伝導率との関係を示すグラフである。図4において、横軸は第1領域と第2領域との濃度差(at%)を示し、縦軸は熱伝導率(W/mK)を示す。図4において、熱電変換材料の結晶相の粒径が7nm~10nmの場合を示す。図4においては、測定したサンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4およびサンプル5における値を示している。また、表1において、第1領域における添加元素(P)の第1の濃度、第2領域における添加元素(P)の第2の濃度、第1の濃度から第2の濃度を差し引いた濃度差(差分)および熱伝導率を、サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4およびサンプル5毎に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
図4および表1を参照して、結晶相の粒径が約7~10nmの場合において、第1領域と第2領域との添加元素の濃度差が5%程度であって、濃度差がほとんど無い場合には、熱伝導率は約2W/mKである。濃度差が大きくなるにつれ熱伝導率は小さくなる。濃度差が15at%以上となると、熱伝導率は約1W/mKになり、熱伝導率が非常に小さい値を示す。この傾向は、濃度差が25%になるまで続く。すなわち、濃度差が15at%以上25at%以下であれば、熱伝導率は非常に小さい値となる。これについては、半導体であるSiGeの組織中において、添加元素であるPの組成むらによりフォノン散乱を生じさせることにより、熱伝導率が小さくなっていると考えられる。
【0041】
よって、本開示の熱電変換材料においては、粒状の結晶相を含むことによる導電率の向上を維持しながら、熱伝導率を低減することができる。したがって、上記熱電変換材料は、熱電変換の効率を向上することができる。
【0042】
また、上記熱電変換材料において、第1領域における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率と第2領域における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率との差は、5%以上10%以下である。よって、半導体の組織中において、構成元素の組成むらによりフォノン散乱を生じさせて、熱伝導率を低減した熱電変換材料となっている。したがって、熱電変換の効率を向上することができる熱電変換材料となっている。
【0043】
また、上記熱電変換材料においては、第1領域17の円相当径は、3nm以上40nm以下である。よって、上記熱電変換材料は、確実に高い導電率を維持しながら熱伝導率の低減を図ることができる熱電変換材料となっている。したがって、確実に熱電変換の効率を向上することができる熱電変換材料となっている。
【0044】
熱電変換材料11において、添加元素をPとすることとしたが、これに限らず、添加元素は、Sb、Al、P、AsおよびNのうちの少なくともいずれか一つを含むようにしてもよい。このような添加元素は、上記構成元素の添加元素として好適に用いられる。
【0045】
上記の実施の形態においては、構成元素はSiとGeとを含むこととしたが、これに限らず、熱電変換材料11において、構成元素は、SiおよびGeのうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。このような構成元素は、熱電変換材料を構成する構成元素として好適である。具体的には、例えば半導体がSiの単体から構成されていてもよい。
【0046】
なお、上記熱電変換材料において、添加元素の濃度は、5at%以上25at%以下であってもよい。このようにすることにより、より確実に熱電変換の効率を向上した熱電変換材料を得ることができる。
【0047】
よって、本開示の熱電変換材料においては、粒状の結晶相を含むことによる導電率の向上を維持しながら、熱伝導率を低減することができる。したがって、上記熱電変換材料は、熱電変換の効率を向上することができる。
【0048】
また、上記熱電変換材料において、第1領域における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率と第2領域における構成元素全体に対する第1の構成元素の原子濃度の比率との差は、5%以上10%以下である。よって、半導体の組織中において、構成元素の組成むらによりフォノン散乱を生じさせて、熱伝導率を低減した熱電変換材料となっている。したがって、熱電変換の効率を向上することができる熱電変換材料となっている。
【0049】
また、上記熱電変換材料においては、第1領域17の円相当径は、3nm以上40nm以下である。よって、上記熱電変換材料は、確実に高い導電率を維持しながら熱伝導率の低減を図ることができる熱電変換材料となっている。したがって、確実に熱電変換の効率を向上することができる熱電変換材料となっている。
【0050】
熱電変換材料11において、添加元素をPとすることとしたが、これに限らず、添加元素は、Sb、Al、P、AsおよびNのうちの少なくともいずれか一つを含むようにしてもよい。このような添加元素は、上記構成元素の添加元素として好適に用いられる。
【0051】
上記の実施の形態においては、構成元素はSiとGeとを含むこととしたが、これに限らず、熱電変換材料11において、構成元素は、SiおよびGeのうちの少なくともいずれか一方を含んでもよい。このような構成元素は、熱電変換材料を構成する構成元素として好適である。具体的には、例えば半導体がSiの単体から構成されていてもよい。
【0052】
なお、上記熱電変換材料において、添加元素の濃度は、5at%以上25at%以下であってもよい。このようにすることにより、より確実に熱電変換の効率を向上した熱電変換材料を得ることができる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、本開示の実施の形態1に係る熱電変換材料を用いた熱電変換素子及び熱電変換モジュールの一実施形態として、発電素子および発電モジュールについて説明する。
【0054】
図5は、実施の形態2における熱電変換素子であるπ型熱電変換素子(発電素子)21の構造を示す概略図である。図5を参照して、π型熱電変換素子21は、第1熱電変換材料部であるp型熱電変換材料部22と、第2熱電変換材料部であるn型熱電変換材料部23と、高温側電極24と、第1低温側電極25と、第2低温側電極26と、配線27とを備えている。
【0055】
p型熱電変換材料部22を構成する材料は、例えば導電型がp型である実施の形態1の熱電変換材料である。n型熱電変換材料部23を構成する材料は、例えば導電型がn型である実施の形態1の熱電変換材料である。
【0056】
p型熱電変換材料部22とn型熱電変換材料部23とは、間隔をおいて並べて配置される。高温側電極24は、p型熱電変換材料部22の一方の端部31からn型熱電変換材料部23の一方の端部32にまで延在するように配置される。高温側電極24は、p型熱電変換材料部22の一方の端部31およびn型熱電変換材料部23の一方の端部32の両方に接触するように配置される。高温側電極24は、p型熱電変換材料部22の一方の端部31とn型熱電変換材料部23の一方の端部32とを接続するように配置される。高温側電極24は、導電材料、例えば金属からなっている。高温側電極24は、p型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23にオーミック接触している。
【0057】
熱電変換材料部22もしくは熱電変換材料部23はp型あるいはn型であることが望ましいが、どちらかが金属導線としても良い。
【0058】
第1低温側電極25は、p型熱電変換材料部22の他方の端部33に接触して配置される。第1低温側電極25は、高温側電極24と離れて配置される。第1低温側電極25は、導電材料、例えば金属からなっている。第1低温側電極25は、p型熱電変換材料部22にオーミック接触している。
【0059】
第2低温側電極26は、n型熱電変換材料部23の他方の端部34に接触して配置される。第2低温側電極26は、高温側電極24および第1低温側電極25と離れて配置される。第2低温側電極26は、導電材料、例えば金属からなっている。第2低温側電極26は、n型熱電変換材料部23にオーミック接触している。
【0060】
配線27は、金属などの導電体からなる。配線27は、第1低温側電極35と第2低温側電極26とを電気的に接続する。
【0061】
π型熱電変換素子21において、例えばp型熱電変換材料部22の一方の端部31およびn型熱電変換材料部23の一方の端部32の側が高温、p型熱電変換材料部22の他方の端部33およびn型熱電変換材料部23の他方の端部34の側が低温、となるように温度差が形成されると、p型熱電変換材料部22においては、一方の端部31側から他方の端部33側に向けてp型キャリア(正孔)が移動する。このとき、n型熱電変換材料部23においては、一方の端部32側から他方の端部34側に向けてn型キャリア(電子)が移動する。その結果、配線27には、矢印Iの向きに電流が流れる。このようにして、π型熱電変換素子21において、温度差を利用した熱電変換による発電が達成される。すなわち、π型熱電変換素子21は発電素子である。
【0062】
そして、p型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23を構成する材料として、熱伝導率を低くすることによりZTの値が増大した実施の形態1の熱電変換材料11が採用される。その結果、π型熱電変換素子21は高効率な発電素子となっている。
【0063】
なお、上記実施の形態においては、本開示の熱電変換素子の一例としてπ型熱電変換素子について説明したが、本開示の熱電変換素子はこれに限られない。本開示の熱電変換素子は、たとえばI型(ユニレグ型)熱電変換素子など、他の構造を有する熱電変換素子であってもよい。
【0064】
π型熱電変換素子21を複数個電気的に接続することにより、熱電変換モジュールとしての発電モジュールを得ることができる。本実施の形態の熱電変換モジュールである発電モジュール41は、π型熱電変換素子21が直列に複数個接続された構造を有する。
【0065】
図6は、発電モジュール41の構造の一例を示す図である。図6を参照して、本実施の形態の発電モジュール41は、p型熱電変換材料部22と、n型熱電変換材料部23と、第1低温側電極25および第2低温側電極26に対応する低温側電極25、26と、高温側電極24と、低温側絶縁体基板28と、高温側絶縁体基板29とを備える。低温側絶縁体基板28および高温側絶縁体基板29は、アルミナなどのセラミックからなる。p型熱電変換材料部22とn型熱電変換材料部23とは、交互に並べて配置される。低温側電極25、26は、上述のπ型熱電変換素子21と同様にp型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23に接触して配置される。高温側電極24は、上述のπ型熱電変換素子21と同様にp型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23に接触して配置される。p型熱電変換材料部22は、一方側に隣接するn型熱電変換材料部23と共通の高温側電極24により接続される。また、p型熱電変換材料部22は、上記一方側とは異なる側に隣接するn型熱電変換材料部23と共通の低温側電極25、26により接続される。このようにして、全てのp型熱電変換材料部22とn型熱電変換材料部23とが直列に接続される。
【0066】
低温側絶縁体基板28は、板状の形状を有する低温側電極25、26のp型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23に接触する側とは反対側の主面側に配置される。低温側絶縁体基板28は、複数の(全ての)低温側電極25、26に対して1枚配置される。高温側絶縁体基板29は、板状の形状を有する高温側電極24のp型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23に接触する側とは反対側に配置される。高温側絶縁体基板29は、複数の(全ての)高温側電極24に対して1枚配置される。
【0067】
直列に接続されたp型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23のうち両端に位置するp型熱電変換材料部22またはn型熱電変換材料部23に接触する高温側電極24または低温側電極25、26に対して、配線42、43が接続される。そして、高温側絶縁体基板29側が高温、低温側絶縁体基板28側が低温となるように温度差が形成されると、直列に接続されたp型熱電変換材料部22およびn型熱電変換材料部23により、上記π型熱電変換素子21の場合と同様に矢印Iの向きに電流が流れる。このようにして、発電モジュール41において、温度差を利用した熱電変換による発電が達成される。
【0068】
(実施の形態3)
次に、実施の形態1に係る熱電変換材料を用いた熱電変換素子の他の実施の形態として、光センサである赤外線センサについて説明する。
【0069】
図7は、赤外線センサ51の構造の一例を示す図である。図7を参照して、赤外線センサ51は、隣接して配置されるp型熱電変換部52と、n型熱電変換部53とを備える。p型熱電変換部52とn型熱電変換部53とは、基板54上に形成される。
【0070】
赤外線センサ51は、基板54と、エッチングストップ層55と、n型熱電変換材料層56と、n型オーミックコンタクト層57と、絶縁体層58と、p型熱電変換材料層59と、n側オーミックコンタクト電極61と、p側オーミックコンタクト電極62と、熱吸収用パッド63と、吸収体64と、保護膜65とを備えている。
【0071】
基板54は、二酸化珪素などの絶縁体からなる。基板54には、凹部66が形成されている。エッチングストップ層55は、基板54の表面を覆うように形成されている。エッチングストップ層55は、例えば窒化珪素などの絶縁体からなる。エッチングストップ層55と基板54の凹部66との間には空隙が形成される。
【0072】
n型熱電変換材料層56は、エッチングストップ層55の基板54とは反対側の主面上に形成される。n型熱電変換材料層56を構成する材料は、例えば導電型がn型である実施の形態1の熱電変換材料である。n型オーミックコンタクト層57は、n型熱電変換材料層56のエッチングストップ層55とは反対側の主面上に形成される。n型オーミックコンタクト層57は、例えば多数キャリアであるn型キャリア(電子)を生成させるn型不純物が、高濃度でドープされる。これにより、n型オーミックコンタクト層57の導電型はn型となっている。
【0073】
型オーミックコンタクト層57のn型熱電変換材料層56とは反対側の主面の中央部に接触するように、n側オーミックコンタクト電極61が配置される。n側オーミックコンタクト電極61は、n型オーミックコンタクト層57に対してオーミック接触可能な材料、例えば金属からなっている。n型オーミックコンタクト層57のn型熱電変換材料層56とは反対側の主面上に、例えば二酸化珪素などの絶縁体からなる絶縁体層58が配置される。絶縁体層58は、n側オーミックコンタクト電極61から見てp型熱電変換部52側のn型オーミックコンタクト層57の主面上に配置される。
【0074】
型オーミックコンタクト層57のn型熱電変換材料層56とは反対側の主面には、さらに保護膜65が配置される。保護膜65は、n側オーミックコンタクト電極61から見てp型熱電変換部52とは反対側のn型オーミックコンタクト層57の主面上に配置される。n型オーミックコンタクト層57のn型熱電変換材料層56とは反対側の主面上には、保護膜65を挟んで上記n側オーミックコンタクト電極61とは反対側に、他のn側オーミックコンタクト電極61が配置される。
【0075】
絶縁体層58のn型オーミックコンタクト層57とは反対側の主面上に、p型熱電変換材料層59が配置される。p型熱電変換材料層59を構成する材料は、例えば導電型がp型である実施の形態1の熱電変換材料である。
【0076】
p型熱電変換材料層59の絶縁体層58とは反対側の主面上の中央部には、保護膜65が配置される。p型熱電変換材料層59の絶縁体層58とは反対側の主面上には、保護膜65を挟む一対のp側オーミックコンタクト電極62が配置される。p側オーミックコンタクト電極62は、p型熱電変換材料層59に対してオーミック接触可能な材料、例えば金属からなっている。一対のp側オーミックコンタクト電極62のうち、n型熱電変換部53側のp側オーミックコンタクト電極62は、n側オーミックコンタクト電極61に接続されている。
【0077】
互いに接続されたp側オーミックコンタクト電極61およびn側オーミックコンタクト電極62のn型オーミックコンタクト層57とは反対側の主面を覆うように、吸収体64が配置される。吸収体64は、例えばチタンからなる。n側オーミックコンタクト電極62に接続されない側のp側オーミックコンタクト電極61上に接触するように、熱吸収用パッド63が配置される。また、p側オーミックコンタクト電極61に接続されない側のn側オーミックコンタクト電極62上に接触するように、熱吸収用パッド63が配置される。熱吸収用パッド63を構成する材料としては、例えばAu(金)/Ti(チタン)が採用される。すなわち、吸収体64とn型熱電変換材料層56とは、熱的に接続されている。吸収体64とp型熱電変換材料層59とは、熱的に接続されている。
【0078】
赤外線センサ51に赤外線が照射されると、吸収体64は赤外線のエネルギーを吸収する。その結果、吸収体64の温度が上昇する。一方、熱吸収用パッド63の温度上昇は抑制される。そのため、吸収体64と熱吸収用パッド63との間に温度差が形成される。そうすると、p型熱電変換材料層59においては、吸収体64側から熱吸収用パッド63側に向けてp型キャリア(正孔)が移動する。一方、n型熱電変換材料層56においては、吸収体64側から熱吸収用パッド63側に向けてn型キャリア(電子)が移動する。そして、n側オーミックコンタクト電極61およびp側オーミックコンタクト電極62からキャリアの移動の結果として生じる電流を取り出すことにより、赤外線が検出される。
【0079】
本実施の形態の赤外線センサ51においては、p型熱電変換材料層59およびn型熱電変換材料層56を構成する材料として、熱伝導率を低くすることによりZTの値が増大した実施の形態1の熱電変換材料が採用される。その結果、赤外線センサ51は、高感度な赤外線センサとなっている。
【0080】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、請求の範囲によって規定され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0081】
11 熱電変換材料
12 サファイア基板
13 主面
14 アモルファス相
15 結晶相
17 第1領域
18 第2領域
19A,19B 領域
21 π型熱電変換素子
22,52 p型熱電変換材料部
23,53 n型熱電変換材料部
24 高温側電極
25 第1低温側電極(低温側電極)
26 第2低温側電極(低温側電極)
27,42,43 配線
28 低温側絶縁体基板
29 高温側絶縁体基板
31,32,33,34 端部
41 熱電変換モジュール
51 赤外線センサ
54 基板
55 エッチングストップ層
56 n型熱電変換材料層
57 n型オーミックコンタクト層
58 絶縁体層
59 p型熱電変換材料層
61 n側オーミックコンタクト電極
62 p側オーミックコンタクト電極
63 熱吸収用パッド
64 吸収体
65 保護膜
66 凹部
I 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7