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特許75242061日ごとのソマトロピンよりも優れた効力を有する長時間作用性成長ホルモン剤形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】1日ごとのソマトロピンよりも優れた効力を有する長時間作用性成長ホルモン剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/27 20060101AFI20240722BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240722BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240722BHJP
   A61P 5/06 20060101ALI20240722BHJP
   C12N 15/18 20060101ALN20240722BHJP
【FI】
A61K38/27 ZNA
A61K9/08
A61K9/14
A61P5/06
C12N15/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021552133
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 EP2020055513
(87)【国際公開番号】W WO2020178273
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】19160459.4
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517172632
【氏名又は名称】アセンディス ファーマ エンドクライノロジー ディヴィジョン エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプローエ,ケネット
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/079302(WO,A1)
【文献】特表2017-535609(JP,A)
【文献】History of Changes for Study: NCT02781727 A Phase 3 Trial of the Safety, Tolerability and Efficacy of TransCon hGH Weekly Versus Daily hGH in Children With Growth Hormone,ClinicalTrials.gov archive,2019年02月15日,https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/history/NCT02781727?A=1&B=8&C=Side-by-Side#StudyPageTop
【文献】History of Changes for Study: NCT03305016 A Safety, Tolerability and Efficacy Study of TransCon hGH in Children With Growth Hormone Deficiency,ClinicalTrials.gov archive,2018年12月27日,https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/history/NCT03305016?A=1&B=3&C=Side-by-Side#StudyPageTop
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C12N
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において子供における成長ホルモン欠乏症を処置する方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤であって、
患者が、以前に1日ごとの成長ホルモンで処置されたことがあり且つ無応答個体であり、
各投与で投与される長時間作用性成長ホルモンの用量が、少なくとも0.16mg/kg/週であり、
2回の連続投与の間の時間が、1週間であり、
長時間作用性成長ホルモンが、式(IV)のhGHポリマープロドラッグ:
【化1】
(式中、
Dは、アミン官能基を介して、分子の残りに結合しているhGH部分であり、
p1、p2、p3及びp4は、独立して、170~284の範囲の整数である)
である、前記医薬製剤
【請求項2】
無応答個体の百分率が、10%未満に低減される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
p1、p2、p3及びp4が、独立して、198~255の範囲の整数である、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
hGH部分が、配列番号1のポリペプチドである、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
用量が、0.24mg/kg/週~0.3mg/kg/週の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
燥製剤である、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
状製剤である、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
成長ホルモン欠乏症が、少なくとも6か月の期間処置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
長時間作用性成長ホルモンが、ACP-011である、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
長時間作用性成長ホルモンが、自動注射器ペンを使用して投与される、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された転帰を伴う、成長ホルモン欠乏症を処置する方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト成長ホルモン(hGH)は、GH欠乏症(GHD)又は不足に起因する低身長症、及び他の成長障害の処置に広く使用されている。成長ホルモン(GH)は現在、ほとんどの分野において、毎日の注射を必要とする製剤としてのみ利用可能である。
【0003】
毎日の成長ホルモン製剤に関する処方実務は、投与を各患者の体重及び成長応答に基づいて個別化すべきであることを示している。典型的な用量は、成長ホルモン欠乏症の子供に対して0.17mg/kg/週~0.30mg/kg/週の範囲である。
【0004】
成長ホルモン治療に対するノンコンプライアンスが広がっている。薬物は長年にわたって毎日注射する必要があり、毎日の注射は侵襲性であると患者に認識されるので、現在のhGH処置に対するノンコンプライアンスは頻度が高い。ノンコンプライアンスは、処置の転帰に対する証明された負の影響を有する。注射装置の使い勝手、注射装置の特徴及び注射の頻度が、コンプライアンスにおいて重要な役割を果たし得る。
【0005】
コンプライアンス及び処置転帰を改善するために、いくつかの会社が、長時間作用性成長ホルモン製品を作り出すための技術を開発している。
【0006】
Nutropin Depot(登録商標)は、認可された最初の長時間作用性成長ホルモンであり、生分解性微粒子中の成長ホルモンのカプセル化に基づくものであった。Nutropin Depotは米国市場で入手可能であったが、2004年に撤退した。
【0007】
Nutropin Depotは、1.5mg/kg/月又は0.75mg/kg/月2回の用量での月1回又は月2回の注射が意図された。臨床研究において、Nutropin Depotは、成長ホルモン欠乏症の子供における年間身長成長速度を増加させたが、歴史的研究との比較により、毎日の治療で達成される成長速度の方がNutropin Depotで達成されるものよりも速いことが示された。
【0008】
ソマトロピン・バイオパートナーズ(Somatropin Biopartners)は欧州医薬品庁により認可されているが、その後、欧州連合における使用から撤退した。ソマトロピン・バイオパートナーズは、生分解性微粒子中の成長ホルモンのカプセル化に基づいた長時間作用性成長ホルモンである。ソマトロピン・バイオパートナーズは、毎週の投与が指示される。臨床試験は、0.5mg/kg/週の用量での成長ホルモン欠乏症を有する小児患者への投与が、7日間毎日の注射として与えられる0.21mg/kg/週での1日ごとの成長ホルモン用量と同等の身長成長速度をもたらすことを実証した。
【0009】
認可された長時間作用性成長ホルモンのうち、等モル用量の1日ごとのソマトロピンと比較して優れた効力を示したものはなかった。西欧諸国における規制認可を受けた2つの長時間作用性成長ホルモン調製物に加えて、開発中の長時間作用性成長ホルモン調製物がいくつか存在する。
【0010】
例えば、VRS-317が、小児GHD患者における第3相臨床試験で研究された。ソマバラタン(somavaratan)を月2回投与された患者は、9.44cmの年換算身長成長速度(AHV)を有することが見出された一方、Genotropinで毎日処置された患者の場合、これは10.7cmであった。この結果より、試験は、0.24mg/kg/週で投与される1日ごとの成長ホルモンGenotropinと比較して、一次効力変数、年間身長成長速度についての非劣性の一次エンドポイントを満たさないことが示された。
【0011】
ソマトロゴン(Somatrogon)(MOD-4023、hGH-CTP)は、1週間間隔の用量レジメンを使用する、小児GHD患者における第2相用量範囲研究において投与される。具体的には、患者に0.25mg/kg/週、0.48mg/kg/週又は0.66mg/kg/週の用量で投与された。0.66mg/kg/週の用量は、1日ごとの成長ホルモンと同等の効力をもたらすことが予期され、0.24mg/kg/週で投与される1日ごとのソマトロピンと効力を比較する第3相臨床試験におけるさらなる研究に選択されている。
【0012】
TV-1106(albutropin)は、毎週の固定用量レジメンを用いる、小児GHD患者における第2相用量範囲研究で研究されている。具体的には、患者に0.554mg/kg/週、0.924mg/kg/週又は1.20mg/kg/週の固定用量で投与された。TV-1106に対する中和抗体が検出されており、TV-1106の開発は中断している。
【0013】
ソマプシタン(Somapacitan)(NNC0195-0092)は、成長ホルモン欠乏症の子供における用量範囲研究で研究されている。試験では、3つのソマプシタン用量(0.04、0.08又は0.16mg/kg/週)と0.24mg/kg/週で1日ごとのソマトロピンとを比較した。年換算身長成長速度は、1日ごとのソマトロピンと比較して、0.08及び0.16mg/kg/週の用量では有意差がなかったのに対して、低用量では劣っていた。ソマプシタンの3つの用量レベルについての平均年換算身長成長速度はそれぞれ、8.0cm、10.9cm及び12.9cmであり、2つの最高用量については、1日ごとのソマトロピンについての11.4cmと同等であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
臨床開発中の長時間作用性成長ホルモンのうち、等モル用量の1日ごとのソマトロピンと比較して優れた効力を示したものはなかった。加えて、いくつかは、第3相臨床試験において1日ごとのソマトロピンと同等の効力を示すことができなかった。
【0015】
さらに、成長ホルモンによる処置はまた、一定の百分率の無応答個体、すなわち成長ホルモン処置を受けていない患者と比較して十分に増加したAHVで応答しない患者にも直面しており、これは患者にとって不満足なものである。したがって、無応答個体の数を低減させることが必要である。
【0016】
要約すると、いくつかの試みにもかかわらず、1日ごとのソマトロピンと比較して優れた効力結果を示す長時間作用性成長ホルモンを開発できていない。応答個体の百分率を増加させる、1日ごとのソマトロピンよりも優れた効力を提供する長時間作用性成長ホルモンも必要とされており、これは、最良の治療的処置転帰を得るために成長ホルモン治療を必要としている患者の助けとなり得る。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明の目的は、上記の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0018】
本目的は、長時間作用性成長ホルモン、又は長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤であって、成長ホルモン欠乏症を有する患者への長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤の投与が等モル量の1日ごとのソマトロピンの投与と比較して優れた効力をもたらす、長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
別の態様において、本発明は、優れた効力で成長ホルモン欠乏症を処置する方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又は長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物に関する。
【0020】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症に罹患している患者を処置する方法であって、有効量の長時間作用性成長ホルモン又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物を患者に投与するステップを含む、方法に関し、前記処置する方法は、優れた効力をもたらす。
【0021】
別の態様において、本発明は、長時間作用性成長ホルモン、又は長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤に関し、前記長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤は、0.24mg/kg/週の成長ホルモン又は成長ホルモン相当量の用量を含み、成長ホルモン欠乏症を有する患者への前記長時間作用性成長ホルモン製剤の投与は、0.24mg/kg/週の1日ごとのソマトロピンの用量の投与と比較して優れた効力をもたらす。
【0022】
別の態様において、本発明は、処置する方法に使用するための長時間作用性成長ホルモン、又は長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤に関し、前記長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤は、0.24mg/kg/週の成長ホルモン又は成長ホルモン相当量の用量で投与され、前記長時間作用性成長ホルモン又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物の投与は、0.24mg/kg/週の1日ごとのソマトロピンの用量の投与と比較して優れた効力をもたらす。
【0023】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症に罹患している患者を処置する方法であって、0.24mg/kg/週の成長ホルモン又は成長ホルモン相当量の用量の長時間作用性成長ホルモン、又は長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤を投与するステップを含む、方法に関し、そのような処置は、0.24mg/kg/週の1日ごとのソマトロピンの用量の投与と比較して優れた効力をもたらす。
【0024】
「0.24mg/kg/週の1日ごとのソマトロピンの用量の」という句は、1週間の投与後の1日ごとのソマトロピンの累積用量が0.24mg/kgであることを意味し、そのような1日ごとのソマトロピンの1日用量が(0.24mg/kg/週)/(7日間/週)=0.343mg/日(およそ)であることを意味することが理解される。
【0025】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症の処置に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤に関し、前記処置は、1日ごとのhGHの同等用量よりも少なくとも0.2多い標準偏差スコア(SDS)だけ血漿中のIGF-1レベルを増加させる。
【0026】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症を処置する方法であって、有効量の長時間作用性成長ホルモン又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物を、それを必要としている患者に投与するステップを含む、方法に関し、前記成長ホルモン欠乏症の前記処置は、1日ごとのhGHの同等用量よりも少なくとも0.2多いSDSだけ血漿中のIGF-1レベルを増加させる。
【0027】
SDSは、患者集団のレベルで計算してもよいし、又は個々の患者について、前記患者のデータと文献において入手可能なそれぞれの患者集団からのデータとを比較することにより計算してもよいことが理解される。ある実施形態において、増加は、少なくとも0.25SDSである。ある実施形態において、増加は、少なくとも0.3SDSである。ある実施形態において、増加は、少なくとも0.35SDSである。ある実施形態において、増加は、少なくとも0.4SDSである。
【0028】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症に罹患している患者集団における無応答個体の百分率を低減させる方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤に関する。
【0029】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症に罹患している患者集団中の無応答個体の百分率を低減させる方法であって、有効量の本発明の長時間作用性成長ホルモン又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤を前記患者集団の患者に投与するステップを含む、方法に関する。
【0030】
ある実施形態において、無応答個体の百分率は、10%未満に低減される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、9%未満に低減される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、8%未満に低減される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、7%未満に低減される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、6%未満に低減される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、5%未満に低減される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、4%未満に低減される。
【0031】
別の実施形態において、本発明は、成長ホルモン処置の無応答個体を処置する方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物に関する。言い換えると、本発明は、無応答個体である患者における成長ホルモン欠乏症の処置に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物に関する。ある実施形態において、そのような無応答個体は、以前に1日ごとの成長ホルモンで処置されたことがある。
【0032】
別の態様において、本発明は、無応答個体における成長ホルモン欠乏症を処置する方法であって、有効量の長時間作用性成長ホルモン又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物を、それを必要としている患者に投与するステップを含む、方法に関する。ある実施形態において、そのような患者は、以前に1日ごとの成長ホルモンで処置された患者である。
【0033】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症に罹患している患者集団における応答個体の百分率を増加させる方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤に関する。
【0034】
別の態様において、本発明は、成長ホルモン欠乏症に罹患している患者集団中の応答個体の百分率を増加させる方法であって、有効量の長時間作用性成長ホルモン又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物を前記患者集団の患者に投与するステップを含む、方法に関する。
【0035】
ある実施形態において、応答個体の百分率は、少なくとも90%に増加される。ある実施形態において、応答個体の百分率は、少なくとも91%に増加される。ある実施形態において、応答個体の百分率は、少なくとも92%に増加される。ある実施形態において、応答個体の百分率は、少なくとも93%に増加される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、少なくとも94%に増加される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、少なくとも95%に増加される。ある実施形態において、無応答個体の百分率は、少なくとも96%に増加される。
【0036】
驚くべきことに、長時間作用性成長ホルモンの等モル投与は、1日ごとのソマトロピンよりも優れた年間身長成長速度(AHV)を提供できることが見出された。
【0037】
驚くべきことに、投与頻度の過程にわたって持続曝露を提供するPKプロファイルを有する長時間作用性成長ホルモンを提供することは、優れたAHVと関連することが見出された。
【0038】
TransCon hGHからの放出されたhGHのPKプロファイルが、標的組織における成長ホルモン受容体の会合の改善をもたらす可能性があり、これが、同一用量の1日ごとのhGHと比較してより高いAHV及びIGF-1レベルをもたらしたと仮定される。
【0039】
優れたAHVは、1日ごとのhGH投与後の断続的な曝露と比較した、長時間作用性成長ホルモンからの持続的hGH放出後の末梢組織へのhGHの送達パターンにより説明することができる。
【0040】
標的組織における断続的対連続的hGH曝露の薬力学的効果は、健常な成人において研究されており、そこではhGHは連続注入により又は拍動性送達により送達された。ヒト成長ホルモン注入は、拍動性GH曝露と比較して、筋肉において血漿IGF-I濃度及びIGF-I mRNAの両方を増加させるのに約2倍効果的であった(Surya et al., J Clin Endocrinol Metab 94: 2828 -2834, 2009)。これらのデータは成長ホルモン欠乏成人における研究により裏付けられており、そこではGHの連続注入が、同等1日用量でのボーラス注射と比較して有意により高いIGF-1レベルと関連していた(Jorgensen et al., The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 70, Issue 6, 1 June 1990, Pages 1616-1623, Laursen et al., J Clin Endocrinol Metab 86:1222-1228, 2001)。しかし、臨床転帰における差異はこの研究では観察されなかった。
【0041】
投与頻度の過程にわたって持続曝露を提供するPKプロファイルを有する長時間作用性成長ホルモンの投与は、驚くべきことに優れたAHVと関連していた。以前、成長ホルモンのPLGAカプセル化に基づいた長時間作用性成長ホルモン、Nutropin Depotは、GHDを有する子供において優れた処置転帰を示すことができなかった。実際に、歴史的対照と比較して、毎日の成長ホルモン治療で達成される成長速度はNutropin Depotで達成されるものより速かった。加えて、毎日の成長ホルモン治療を受けている患者をNutropin Depotに切り替えた場合、患者は成長速度の減少を経験し、これは、毎日の成長ホルモン治療に残った患者による正常な減少経験に相当し得るものよりも大きな規模のものであった。Nutropin DepotのPKプロファイルは最適化されていなかった可能性があり、なぜならGH曝露のおよそ50~60%は最初の2日間に起こり、次の注射の前に成長ホルモンレベルがベースラインに戻っていたからである(J Clin Endocrinol Metab, October 2001, 86(10):4700-4706; J Clin Endocrinol Metab, July 2004, 89(7):3234-3240)。
【0042】
長時間作用性成長ホルモンの等モル投与が、1日ごとのソマトロピンと比較して無応答個体の割合の低下をもたらすことができることが見出されたことも驚くべきことであった。
【0043】
本発明の範囲内では、用語は、以下の意味で使用される。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「ヒト成長ホルモン(hGH)」とは、成長期において成長を促進し、正常な身体組成、同化作用及び脂質代謝を維持することを特徴とする、好ましくは哺乳動物種に由来する、より好ましくはヒト及び哺乳動物種に由来する、より好ましくはヒト及びネズミ科の種に由来する、hGHポリペプチド、並びにそれらの変異体、アナログ、オルソログ、ホモログ及び誘導体、並びにそれらのフラグメントのすべてを指す。好ましくは、用語「hGH」とは、配列番号1のhGHポリペプチド、並びに本質的に同じ生物活性を示す、すなわち成長期において成長を促進し、正常な身体組成、同化作用及び脂質代謝を維持する、その変異体、ホモログ及び誘導体を指す。より好ましくは、用語「hGH」とは、配列番号1のポリペプチドを指す。
【0045】
配列番号1は、以下の配列を有する:
【0046】
本明細書で使用する場合、用語「ソマトロピン」とは、配列番号1の配列を有するポリペプチドを指す。
【0047】
本明細書で使用する場合、用語「hGHポリペプチド変異体」とは、同じ種に由来するが参照hGHポリペプチドとは異なるポリペプチドを指す。好ましくは、そのような参照hGHポリペプチド配列は、配列番号1の配列である。一般に、差異は限定的であり、したがって、参照のアミノ酸配列と変異体のアミノ酸配列とが全体として極めて類似しており、多くの領域では同一である。好ましくは、hGHポリペプチド変異体は、参照hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のhGHポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%が同一である。照会元のアミノ酸配列と少なくとも、例えば95%「同一」であるアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチドの配列が、照会元のアミノ酸配列の各100個のアミノ酸当たり、最大で5個のアミノ酸の改変を含むことができることを除くと、対象ポリペプチドのアミノ酸配列がその照会元の配列と同一であることを意図する。参照配列のこうした改変は、参照アミノ酸配列のアミノ(N末端)位若しくはカルボキシ末端(C末端)位で、又はそうした末端位間のどこかで、参照配列中の残基間に個別に散在して、又は参照配列内の1つ以上の連続基中に散在して起こり得る。照会元の配列は、参照配列の全アミノ酸配列とすることができるか、又は本明細書に記載されている通りに指定されている任意のフラグメントとすることができる。好ましくは、照会元の配列は、配列番号1の配列である。
【0048】
そのようなhGHポリペプチド変異体は、天然変異体、例えば、染色体若しくは生物の所与の遺伝子座を占有するhGHのいくつかの代替形態のうちの1つによってコードされる天然の対立遺伝子変異体、又は単一の一次転写産物に由来する天然スプライス変異体によってコードされるアイソフォームとすることができる。或いは、hGHポリペプチド変異体は、天然に発生することが知られておらず、かつ当分野において公知の突然変異誘発技法を用いて作製することが可能な変異体であってもよい。
【0049】
生物活性なペプチド又はタンパク質のN末端又はC末端から、生物的機能を実質的に失うことなく、1つ以上のアミノ酸を欠失させることができることが当分野において公知である。
【0050】
hGHポリペプチドの一部のアミノ酸配列が、該タンパク質の構造又は機能に有意な影響を受けることなく変動され得ることも、当業者により認識される。そのような変異には、活性に対する影響をほとんど及ぼさないよう、当分野で公知の一般規則に従って選択される欠失、挿入、逆位、反復及び置換が含まれる。例えば、サイレントアミノ酸置換を表現型としてどのように行うかに関する手引きは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、Bowie et al. (1990), Science 247:1306-1310に提示されており、この中で、著者らは、アミノ酸配列の変化に対する寛容性の研究に関する主要な2つの手法があることを示している。
【0051】
用語のhGHポリペプチドはまた、hGHアナログ、オルソログ及び/又は種のホモログによってコードされるすべてのhGHポリペプチドも包含する。本明細書で使用する場合、用語「hGHアナログ」は、各生物において同じ機能を果たすが、該生物の祖先が共通して有していた祖先の構造を起源としない、異なる無関係な生物のhGHを指す。代わりに、類似のhGHは個別に発生し、次に、その後、同じ機能又は類似の機能を果たすように進化した。言い換えると、類似のhGHポリペプチドは、全く異なるアミノ酸配列を有するが、同じ生物活性を発揮するポリペプチド、すなわち、成長期において成長を促進し、正常な身体組成、同化作用及び脂質代謝を維持する、ポリペプチドである。
【0052】
本明細書で使用する場合、用語「hGHオルソログ」は、それらの配列が祖先の種において共通の同類のhGHを介して互いに関連しているが、進化を遂げて互いに異なるものになった、2種類の異なる種内のhGHを指す。
【0053】
本明細書で使用する場合、用語「hGHホモログ」は、各生物において同じ機能を果たし、該生物の祖先が共通して有していた祖先の構造を起源とする、異なる生物のhGHを指す。言い換えると、同類のhGHポリペプチドは、同じ生物活性を発揮する、完全に類似したアミノ酸配列を有するポリペプチド、すなわち、成長期において成長を促進し、正常な身体組成、同化作用及び脂質代謝を維持する、ポリペプチドである。好ましくは、hGHポリペプチドホモログは、参照hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のhGHポリペプチドに対して、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性を示すポリペプチドとして定義することができる。
【0054】
したがって、本発明によるhGHポリペプチドは、例えば、以下とすることができる:(i)アミノ酸残基のうちの少なくとも1つが、保存アミノ酸残基又は非保存アミノ酸残基、好ましくは保存アミノ酸残基により置換されており、そのような置換アミノ酸残基が遺伝子コードによりコードされたものとなり得るか、又はコードされたものとはなり得ないもの:及び/又は(ii)アミノ酸残基のうちの少なくとも1つが置換基を含んでいるもの、及び/又は(iii)hGHポリペプチドが、別の化合物、例えば、ポリペプチドの半減期を増大させる化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合しているもの、及び/又は(iv)さらなるアミノ酸が、hGHポリペプチド、例えば、IgG Fc融合領域ペプチド、又はリーダー配列若しくは分泌配列、又は上記の形態のポリペプチドの精製に使用される配列、又はプレタンパク質配列に融合しているもの。
【0055】
hGHポリペプチドは、モノマー又はマルチマーであってもよい。マルチマーは、ダイマー、トリマー、テトラマー、又は少なくとも5つのモノマー性ポリペプチド単位を含むマルチマーとすることができる。マルチマーはまた、ホモダイマー又はヘテロダイマーであってもよい。本発明のマルチマーは、疎水性会合、親水性会合、イオン性会合及び/若しくは共有結合性会合の結果とすることができ、かつ/又は、例えばリポソームの形成により、間接的に連結されていてもよい。好ましくは、hGHポリペプチドは、モノマーである。
【0056】
本明細書で使用する場合、用語「hGHポリペプチドフラグメント」とは、hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のポリペプチドのアミノ酸配列の一部の連続スパン(contiguous span)を含む任意のペプチド又はポリペプチドを指す。
【0057】
より具体的には、hGHポリペプチドフラグメントは、hGHポリペプチドの、より好ましくは配列番号1のポリペプチドの少なくとも6、好ましくは少なくとも8又は10、より好ましくは少なくとも12、15、20、25、30、35、40、50、60、75、100、125、150、175、191個の連続するアミノ酸を含む。hGHポリペプチドフラグメントは、少なくとも6個のアミノ酸を含むhGHポリペプチドの亜属としてさらに記載することができ、この場合、「少なくとも6」は、6とhGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のポリペプチドのC末端アミノ酸を表わす整数との間の任意の整数として定義される。N末端位及びC末端位に関して、さらに指定されている、上記の通りの長さが少なくとも6個のアミノ酸であるhGHポリペプチドフラグメントの種がさらに含まれる。同様に、特に、N末端位及びC末端位により指定され得る、上記の通りの長さが少なくとも6個のアミノ酸である、hGHポリペプチドフラグメントのすべてが、個々の種として用語「hGHポリペプチドフラグメント」によって包含される。すなわち、hGHポリペプチド、好ましくは配列番号1のhGHポリペプチドの所与の任意のアミノ酸配列に関して、長さが少なくとも6個の連続したアミノ酸残基であるフラグメントが占有することができる、N末端位及びC末端位の組合せのそれぞれが本発明において含まれる。
【0058】
ポリペプチドフラグメントの上記の種は、代替として、式「aからb」によって記載することができることが留意される。この場合、「a」は、ポリヌクレオチドにおける、N末端となる大部分のアミノ酸の位置に等しく、「b」は、C末端となる大部分のアミノ酸の位置に等しく、さらには、「a」は、1とhGHポリペプチド配列のアミノ酸数から6を引いたものとの間の整数に等しく、「b」は、7とhGHポリペプチド配列のアミノ酸数との間の整数に等しく、「a」は、好ましくは配列番号1のhGHポリペプチド配列の少なくとも6だけ「b」より小さい整数である。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「長時間作用性成長ホルモン」又は「長時間作用性成長ホルモン化合物」とは、結晶化形態でhGHを含む化合物、又はhGHが少なくとも1つの他の化合物若しくは部分、例えばポリマー若しくは脂肪酸由来部分に包埋、融合若しくはコンジュゲートしている状態でhGHを含む化合物であって、未修飾のhGHと比較して患者の体内での保持時間が増加した化合物を指す。保持時間は、未修飾のhGH、例えば配列番号1又は配列番号2のhGHの血漿中濃度が、治療有効濃度である、2回の連続投与の間の時間である。ある実施形態において、そのような治療有効レベルは、少なくとも2ng hGH/ml血漿の濃度である。hGHに関して、保持時間は約12時間である。ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンの保持時間は、少なくとも24時間である。ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンの保持時間は、少なくとも36時間である。ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンの保持時間は、少なくとも48時間である。ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンの保持時間は、少なくとも72時間である。
【0060】
長時間作用性成長ホルモンの2回の連続投与の間の時間が、1日1回投与されるhGHによる標準的処置と比較して増加されることも理解される。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、少なくとも2日間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、少なくとも3日間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、少なくとも4日間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、少なくとも5日間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、少なくとも6日間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、1週間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、2週間である。ある実施形態において、2回の連続投与の間の時間は、4週間である。
【0061】
ある実施形態において、各投与で投与される用量は、少なくとも0.16mg/kg/週である。ある実施形態において、用量は、0.16mg/kg/週~0.4mg/kg/週、例えば0.24mg/kg/週~0.3mg/kg/週の範囲である。ある実施形態において、用量は0.24mg/kg/週である。ある実施形態において、用量は0.3mg/kg/週である。
【0062】
ある実施形態において、治療有効濃度は、投与間隔の少なくとも50%について達成され、すなわち治療有効濃度は、長時間作用性成長ホルモンの2回の連続投与の間の期間の少なくとも50%について達成される。
【0063】
本明細書で使用する場合、用語「薬物」とは、疾患の処置、治癒、予防又は診断において使用される物質、又はその他には、患者の物理的若しくは精神的な健康を増強するために使用される物質を指す。薬物が別の部分にコンジュゲートしている場合、薬物に由来する得られた生成物の部分は「薬物部分」又は「生物活性部分」と呼ばれる。
【0064】
本明細書で使用する場合、用語「プロドラッグ」とは、親分子における望ましくない特性を改変又は排除するために、生物活性部分との可逆的な連結基を含む可逆性プロドラッグリンカー部分を介して、特定の保護基に可逆的かつ共有結合的に結合されている生物活性部分を指す。これには、薬物における所望の特性の増強、及び望ましくない特性の抑制も含まれる。特定の非毒性保護基は「担体」と呼ばれる。プロドラッグは、可逆的かつ共有結合的に結合されている生物活性部分をその対応する薬物の形態で放出する。
【0065】
本明細書で使用する場合、用語「成長ホルモン相当量」及び「hGH相当量」とは、長時間作用性成長ホルモン化合物中に含まれるhGH又はhGH部分の総質量を指す。言い換えると、長時間作用性成長ホルモン化合物が、例えばhGH部分がポリマーに可逆的にコンジュゲートしているプロドラッグである場合、用語「成長ホルモン相当量」は、hGH部分の総質量を指すが、hGHプロドラッグの総質量を指すものではない。長時間作用性成長ホルモン化合物が、例えば、hGH部分が天然又は非天然アミノ酸配列に融合している融合タンパク質である場合、用語「成長ホルモン相当量」は、hGH部分の総質量を指すが、融合タンパク質の総質量を指すものではない。
【0066】
本明細書で使用する場合、用語「等モル」は、同量のモルを有することを意味する。
【0067】
用語「製剤」、「医薬製剤」、「組成物」及び「医薬組成物」は、同義語として使用され、1つ以上の長時間作用性hGHと、1つ以上の賦形剤と、並びに、組成物の成分のうちの任意の2つ以上の組合せ、複合体形成若しくは凝集の結果として、又は1つ以上の成分の解離の結果として、又は1つ以上の成分の他タイプの反応若しくは相互作用の結果として直接的又は間接的に得られる任意の生成物との組合せを指す。ある実施形態において、用語「製剤」、「医薬製剤」、「組成物」及び「医薬組成物」とは、少なくとも1つの長時間作用性hGH及び少なくとも1つの賦形剤を指す。
【0068】
本明細書で使用する場合、用語「液状製剤」は、長時間作用性hGH及び少なくとも1つの溶媒を含む製剤を意味する。好ましい溶媒は水である。
【0069】
本明細書で使用する場合、用語「乾燥製剤」は、長時間作用性成長ホルモンが、乾燥形態で提供されることを意味する。乾燥に好適な方法は、スプレー乾燥、及び冷凍乾燥とも称される凍結乾燥である。そのような乾燥製剤は、カール・フィッシャーに準拠して決定される、最大10%、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満の残留する水含有量を有する。乾燥の好ましい方法は、凍結乾燥である。「凍結乾燥製剤」は、乾燥製剤が、最初に冷凍され、続いて、減圧手段により水分の低下が施されたことを意味する。この技術用語は、製造方法において、最終容器に製剤を充填する前に行うことができる追加の乾燥ステップを除外するものではない。
【0070】
本明細書で使用する場合、用語「再構成製剤」は、「再構成溶液」とも呼ばれる溶媒を乾燥製剤に加えた結果を意味する。好ましくは、溶媒の量は、得られた再構成製剤中に乾燥製剤が完全に溶解するような量である。
【0071】
本明細書で使用する場合、用語「優れた」とは、例えばAHVに関して、統計的に有意により良い治療転帰を指す。ある実施形態において、「統計的に有意により良い」は、好適な統計モデルを使用した、0.05未満のp値、例えば0.01未満のp値として定義される。ある実施形態において、そのような統計モデルは分散分析(ANOVA)である。ある実施形態において、そのような統計モデルは共分散分析(ANCOVA)である。
【0072】
本明細書で使用する場合、用語「単位投与量」とは、1用量、すなわち1回の投与に対応する薬物、特に長時間作用性成長ホルモン製剤の量を構成する、薬物の、特に長時間作用性成長ホルモン製剤の量を指す。
【0073】
本明細書で使用する場合、用語「単位剤形」とは、単位投与量の提示を指し、すなわち、薬物の、特に長時間作用性成長ホルモン製剤の単位用量を含む任意の施用装置を指す。好ましい施用装置は、針付きシリンジ、注射ペン、自動注射器ペン、針無し注射器、電子注射器及び二重チャンバーカートリッジからなる群から選択される。
【0074】
本明細書で使用する場合、用語「効力」とは、ナイーブな成長ホルモンの子供において達成される年換算身長成長速度、及び応答個体の割合の両方を指す。
【0075】
本明細書で使用する場合、「薬学的有効用量」とは、成長ホルモン欠乏症を処置するのに十分な成長ホルモン又は成長ホルモン相当量の量を指す。
【0076】
本明細書で使用する場合、用語「応答個体」とは、成長ホルモン治療を受けており、かつ1年当たり8.0cmを超える年換算身長成長速度を有する成長ホルモン欠乏症患者を指す。
【0077】
本明細書で使用する場合、用語「無応答個体」とは、成長ホルモン治療を受けており、かつ1年当たり8.0cm未満の年換算身長成長速度を有する成長ホルモン欠乏症患者を指す。前記成長ホルモン治療は、ヒト成長ホルモンによる標準的な治療、例えば、ある実施形態では0.17mg/kg/週~0.30mg/kg/週の範囲の用量で配列番号1のヒト成長ホルモンを毎日投与することであることが理解される。例示的用量は、0.24mg/kg/週及び0.3mg/kg/週の配列番号1のhGHである。
【0078】
本明細書で使用する場合、用語「年換算身長成長速度」又は「年間身長成長速度」(「AHV」)は、処置開始時とその約12か月後との身長差として定義される。
【0079】
本明細書で使用する場合、数値と組み合わせた用語「約」は、その数値そのものに加えて、数値プラス/マイナス10%以下、より好ましくは8%以下、さらにより好ましくは5%以下、最も好ましくは2%以下の範囲を示すために使用される。例えば、「約20%」という句は、20%そのものに加えて、20%+/-10%、好ましくは20%+/-8%、さらにより好ましくは20%+/-5%、最も好ましくは20%+/-2%の範囲を意味するために使用される。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「賦形剤」とは、治療剤と一緒に投与される、希釈剤、アジュバント又はビヒクルを指す。
【0081】
本明細書で使用する場合、用語「ヒドロゲル」は、共有結合の化学的架橋の存在のために不溶性である、ホモポリマー又はコポリマーから構成される親水性又は両親媒性ポリマー網状組織を意味する。この架橋は、網状組織構造及び物理的一体性をもたらす。ヒドロゲルは、それらを水性媒体中で膨潤させる水との熱力学的相溶性を示す。
【0082】
本明細書で使用する場合、用語「官能基」は、他の官能基と反応することができる原子群を意味する。官能基には、以下に限定されないが、以下の基:カルボン酸(-(C=O)OH)、第一級又は第二級アミン(-NH2、-NH-)、マレイミド、チオール(-SH)、スルホン酸(-(O=S=O)OH)、カーボネート、カルバメート(-O(C=O)N<)、ヒドロキシ(-OH)、アルデヒド(-(C=O)H)、ケトン(-(C=O)-)、ヒドラジン(>N-N<)、イソシアネート、イソチオシアネート、リン酸(-O(P=O)OHOH)、ホスホン酸(-O(P=O)OHH)、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アクリロイル、フッ化アリール、ヒドロキシルアミン、ジスルフィド、ビニルスルホン、ビニルケトン、ジアゾアルカン、オキシラン及びアジリジンが含まれる。
【0083】
本明細書で使用する場合、用語「部分」は、対応する試薬と比較して少なくとも1個の原子を欠く、分子の一部を意味する。例えば、式「H-X-H」の試薬が別の試薬と反応し、反応生成物の一部となる場合、この反応生成物の対応する部分は、構造「H-X-」又は「-X-」を有する一方、それぞれの「-」は、別の部分への結合を示す。したがって、生物活性部分は、薬物としてプロドラッグから放出される。
【0084】
原子群の配列又は化学構造が提示され、その原子群が2つの部分に結合しているか、又はある部分を中断している場合、前記配列又は化学構造は、特にはっきりと明記されていない限り、どちらか一方の方向でこの2つの部分に結合することができることが理解される。例えば、部分「-C(O)N(R)-」は、「-C(O)N(R)-」又は「-N(R)C(O)-」のどちらかとして、2つの部分に結合し得るか、又はある部分を中断し得る。同様に、ある部分
【0085】
【化1】
は、
【0086】
【化2】
又は
【0087】
【化3】
のどちらかとして、2つの部分に結合することができるか、又はある部分を中断することができる。
【0088】
長時間作用性成長ホルモンが1つ以上の酸性又は塩基性基を含む場合、本発明は、それらの対応する薬学的に又は毒物学的に許容される塩、特にそれらの薬学的に利用可能な塩も含む。したがって、酸性基を含む長時間作用性成長ホルモンは、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩として、又はアンモニウム塩として、本発明により使用することができる。そのような塩のより正確な例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニア若しくは有機アミン(例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン又はアミノ酸など)との塩が含まれる。1つ以上の塩基性基、すなわちプロトン化され得る基を含む、長時間作用性成長ホルモンが存在することができ、無機酸又は有機酸との付加塩の形態で、本発明により使用することができる。好適な酸の例には、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレン二スルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、及び当業者に公知の他の酸が含まれる。当業者にとって、正に帯電したアンモニウム基及びその塩の適切な対イオンをもたらす、アミン基のアルキル化のような、塩基性基を陽イオンに変換するさらなる方法が公知である。長時間作用性成長ホルモンが、分子中に酸性基及び塩基性基を同時に含む場合、本発明は、記載した塩の形態に加えて、分子内塩又はベタイン(双性イオン)も含む。それぞれの塩は、例えば、これらを溶媒若しくは分散液中で有機酸若しくは無機酸若しくは塩基に接触させることによる、又は他の塩との陰イオン交換若しくは陽イオン交換によるような、当業者に公知の慣用的な方法によって得ることができる。本発明はまた、生理的適合性が低いために、医薬品において使用するのに直接適していないが、例えば、化学反応の中間体として、又は薬学的に許容される塩を調製するために使用することができる長時間作用性成長ホルモンの塩をすべて含む。
【0089】
用語「薬学的に許容される」は、動物において、好ましくはヒトにおいて使用するために、規制機関、例えば、EMA(欧州)及び/若しくはFDA(米国)、並びに/又は任意の他の国による規制機関によって認可されたことを意味する。
【0090】
本明細書で使用する場合、第2の部分への第1の部分の結合に関して、用語「可逆的」、「可逆的に」、「分解性の」又は「分解的に」は、前記第1及び第2の部分を結合する連結基が、pH7.4及び37℃での水性緩衝液である生理的条件下で切断可能であって、半減期が1日~1か月、例えば2日~3週間、例えば3日~2週間の範囲であることを意味する。したがって、第2の部分への第1の部分の結合に関して、用語「安定な」は、前記第1及び第2の部分を結合する連結基が生理的条件下で1か月を超える半減期を示すことを意味する。
【0091】
本明細書で使用する場合、用語「水不溶性」とは、均質な溶液を形成するために、20℃で1リットルの水に1g未満しか溶解することができない化合物を指す。したがって、用語「水溶性」とは、均質な溶液を形成するために、20℃で1リットルの水に1g以上溶解することができる化合物を指す。
【0092】
本明細書で使用する場合、用語「ポリマー」は、合成起源若しくは生物学的起源、又はそれらの両方の組合せであってもよい、線状、環状、分枝状、架橋若しくはデンドリマー状、又はそれらの組合せにおける化学結合によって結合されている繰返し構造単位、すなわちモノマーを含む分子を意味する。ポリマーは、1つ以上の他の化学基及び/又は部分(単数)/部分(複数)、例えば1つ以上の官能基も含むことができることが理解される。好ましくは、可溶性ポリマーは、少なくとも0.5kDaの分子量、例えば、少なくとも1kDaの分子量、少なくとも2kDaの分子量、少なくとも3kDaの分子量、又は少なくとも5kDaの分子量を有する。ポリマーが可溶性である場合、最大でも1000kDa、例えば最大でも750kDa、例えば最大でも500kDa、例えば最大でも300kDa、例えば最大でも200kDa、例えば最大でも100kDaの分子量を有するのが好ましい。不溶性ポリマー、例えば架橋ヒドロゲルの場合、有意な分子量範囲を提示することができないことが理解される。
【0093】
本明細書で使用する場合、用語「ポリマー状の」は、1つ以上のポリマーを含む試薬又は部分を意味する。
【0094】
当業者であれば、重合反応から得られる重合生成物は、すべてが同じ分子量であるわけではなく、むしろ分子量分布を示すことを理解する。したがって、本明細書で使用する場合、分子量範囲、分子量、ポリマー中のモノマー数の範囲、及びポリマー中のモノマー数は、数平均分子量及びモノマーの数平均を指す。本明細書で使用する場合、用語「数平均分子量」は、個々のポリマーの分子量の通常の算術平均を意味する。
【0095】
本明細書で使用する場合、ある部分又は試薬に関連する「少なくともX%のPEGを含むPEGをベースとする」という用語は、前記部分又は試薬が、少なくともX%(w/w)のエチレングリコール単位(-CH2CH2O-)を含むことを意味し、この場合、このエチレングリコール単位は、ブロック状、交互に配列されていてもよく、又はその部分若しくは試薬内にランダムに分布していてもよく、好ましくは、前記部分又は試薬のエチレングリコール単位がすべて、1つのブロック中に存在しており、PEGをベースとする部分又は試薬の残部の重量百分率は、以下の部分及び連結基から好ましくは選択される他の部分である:
・ C1~50アルキル、C2~50アルケニル、C2~50アルキニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・ 以下を含む群から選択される連結基
【0096】
【化4】
(式中、
破線は、上記の部分又は試薬の残りへの結合を示し、
R及びRaは、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)。
【0097】
用語「置換されている」は、本明細書で使用する場合、ある分子又は部分の1個以上の-H原子が、「置換基」と称する、異なる原子又は原子群により置きかえられていることを意味する。
【0098】
好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1~50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニル;からなる群から互いに独立して選択され、-T0、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rx1、Rx1a、Rx1bは、-H、-T0、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、-T0、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-;-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
T0はそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル及び8~11員のヘテロビシクリルからなる群から独立して選択され、T0はそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されており、
Rx2はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
Rx3、Rx3a、Rx4、Rx4a、Rx4bはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0099】
より好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1~10アルキル、C2~10アルケニル、及びC2~10アルキニル;からなる群から互いに独立して選択され、-T0、C1~10アルキル、C2~10アルケニル及びC2~10アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されており、C1~10アルキル、C2~10アルケニル及びC2~10アルキニルは、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rx1、Rx1a、Rx1b、Rx3、Rx3aはそれぞれ、-H、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から独立して選択され、
T0はそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル及び8~11員のヘテロビシクリルからなる群から独立して選択され、T0はそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されており、
Rx2はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
Rx4、Rx4a、Rx4bはそれぞれ、-H、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から独立して選択される。
【0100】
さらにより好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、及びC2~6アルキニル;からなる群から互いに独立して選択され、-T0、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されており、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rx1、Rx1a、Rx1b、Rx2、Rx3、Rx3aはそれぞれ、-H、ハロゲン、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から独立して選択され、
T0はそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル及び8~11員のヘテロビシクリルからなる群から独立して選択され、T0はそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRx2により場合により置換されている。
【0101】
好ましくは、場合により置換される分子又は部分の最大6個の-H原子が、置換基によって独立して置きかえられている、例えば5個の-H原子が、置換基によって独立して置きかえられている、4個の-H原子が置換基によって独立して置きかえられている、3個の-H原子が置換基によって独立して置きかえられている、2個の-H原子が置換基によって独立して置きかえられている、又は1個の-H原子が置換基によって置きかえられている。
【0102】
用語「スペーサー」は、本明細書で使用する場合、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz1)-、-S(O)2N(Rz1)-、-S(O)N(Rz1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz1)S(O)2N(Rz1a)-、-S-、-N(Rz1)-、-OC(ORz1)(Rz1a)-、-N(Rz1)C(O)N(Rz1a)-、-OC(O)N(Rz1)-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニル;からなる群から選択される部分を好ましくは指し、-T-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz3)-、-S(O)2N(Rz3)-、-S(O)N(Rz3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz3)S(O)2N(Rz3a)-、-S-、-N(Rz3)-、-OC(ORz3)(Rz3a)-、-N(Rz3)C(O)N(Rz3a)-、及び-OC(O)N(Rz3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rz1及びRz1aは、-H、-T、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、-T、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz4)-、-S(O)2N(Rz4)-、-S(O)N(Rz4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz4)S(O)2N(Rz4a)-、-S-、-N(Rz4)-、-OC(ORz4)(Rz4a)-、-N(Rz4)C(O)N(Rz4a)-、及び-OC(O)N(Rz4)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Tはそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、Tはそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、
Rz2はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORz5、-ORz5、-C(O)Rz5、-C(O)N(Rz5Rz5a)、-S(O)2N(Rz5Rz5a)、-S(O)N(Rz5Rz5a)、-S(O)2Rz5、-S(O)Rz5、-N(Rz5)S(O)2N(Rz5aRz5b)、-SRz5、-N(Rz5Rz5a)、-NO2、-OC(O)Rz5、-N(Rz5)C(O)Rz5a、-N(Rz5)S(O)2Rz5a、-N(Rz5)S(O)Rz5a、-N(Rz5)C(O)ORz5a、-N(Rz5)C(O)N(Rz5aRz5b)、-OC(O)N(Rz5Rz5a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
Rz3、Rz3a、Rz4、Rz4a、Rz5、Rz5a及びRz5bはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0103】
より好ましくは、用語「スペーサー」は、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz1)-、-S(O)2N(Rz1)-、-S(O)N(Rz1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz1)S(O)2N(Rz1a)-、-S-、-N(Rz1)-、-OC(ORz1)(Rz1a)-、-N(Rz1)C(O)N(Rz1a)-、-OC(O)N(Rz1)-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニル;からなる群から選択される部分を指し、-T-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz3)-、-S(O)2N(Rz3)-、-S(O)N(Rz3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz3)S(O)2N(Rz3a)-、-S-、-N(Rz3)-、-OC(ORz3)(Rz3a)-、-N(Rz3)C(O)N(Rz3a)-、及び-OC(O)N(Rz3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rz1及びRz1aは、-H、-T、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、-T、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz4)-、-S(O)2N(Rz4)-、-S(O)N(Rz4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz4)S(O)2N(Rz4a)-、-S-、-N(Rz4)-、-OC(ORz4)(Rz4a)-、-N(Rz4)C(O)N(Rz4a)-、及び-OC(O)N(Rz4)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Tはそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、Tはそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、
Rz2はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORz5、-ORz5、-C(O)Rz5、-C(O)N(Rz5Rz5a)、-S(O)2N(Rz5Rz5a)、-S(O)N(Rz5Rz5a)、-S(O)2Rz5、-S(O)Rz5、-N(Rz5)S(O)2N(Rz5aRz5b)、-SRz5、-N(Rz5Rz5a)、-NO2、-OC(O)Rz5、-N(Rz5)C(O)Rz5a、-N(Rz5)S(O)2Rz5a、-N(Rz5)S(O)Rz5a、-N(Rz5)C(O)ORz5a、-N(Rz5)C(O)N(Rz5aRz5b)、-OC(O)N(Rz5Rz5a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
Rz3、Rz3a、Rz4、Rz4a、Rz5、Rz5a及びRz5bはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0104】
さらにより好ましくは、用語「スペーサー」は、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz1)-、-S(O)2N(Rz1)-、-S(O)N(Rz1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz1)S(O)2N(Rz1a)-、-S-、-N(Rz1)-、-OC(ORz1)(Rz1a)-、-N(Rz1)C(O)N(Rz1a)-、-OC(O)N(Rz1)-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニル;からなる群から選択される部分を指し、-T-、C1~20アルキル、C2~20アルケニル及びC2~20アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~20アルキル、C2~20アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz3)-、-S(O)2N(Rz3)-、-S(O)N(Rz3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz3)S(O)2N(Rz3a)-、-S-、-N(Rz3)-、-OC(ORz3)(Rz3a)-、-N(Rz3)C(O)N(Rz3a)-、及び-OC(O)N(Rz3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rz1及びRz1aは、-H、-T、C1~10アルキル、C2~10アルケニル及びC2~10アルキニルからなる群から独立して選択され、
Tはそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、
Rz2はそれぞれ、ハロゲン及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、
Rz3、Rz3a、Rz4、Rz4a、Rz5、Rz5a及びRz5bはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から互いに独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0105】
用語「中断されている」とは、原子群が、2個の炭素原子間のある部分に挿入されていること、又はこの挿入がその部分の末端の1つにある場合、炭素原子と水素原子との間に挿入されていることを意味する。ある部分が、その末端の1つにおいて原子群により中断されている場合、及び中断されている部分が、第2の部分に結合している場合、原子の中断基はまた、前記部分の最後の原子と第2の部分の第1の原子との間に配置されるよう位置していてもよいことが理解される。
【0106】
本明細書で使用する場合、用語「C1~4アルキル」は、単独で又は組み合わせて、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖又は分岐C1~4アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルである。分子の2つの部分が、C1~4アルキルによって連結されている場合、そのようなC1~4アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1~4アルキル炭素の水素はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、C1~4アルキルは、以下に定義されている1つ以上の部分によって中断されていてもよい。
【0107】
本明細書で使用する場合、用語「C1~6アルキル」は、単独で又は組み合わせて、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖及び分岐C1~6アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルである。分子の2つの部分が、C1~6アルキル基によって連結されている場合、そのようなC1~6アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-及び-C(CH3)2-である。C1~6炭素の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、C1~6アルキルは、以下に定義されている1つ以上の部分によって中断されていてもよい。
【0108】
したがって、「C1~10アルキル」、「C1~20アルキル」又は「C1~50アルキル」は、1~10個、1~20個又は1~50個の炭素原子をそれぞれ有するアルキル鎖を意味し、C1~10、C1~20又はC1~50炭素の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、C1~10アルキル又はC1~50アルキルは、以下に定義されている1つ以上の部分によって中断されていてもよい。
【0109】
本明細書で使用する場合、用語「C2~6アルケニル」は、単独で又は組み合わせて、2~6個の炭素原子を有する少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CHCH2-CH3及び-CH=CH-CH=CH2である。分子の2つの部分が、C2~6アルケニル基によって連結されている場合、そのようなC2~6アルケニルの例は-CH=CH-である。C2~6アルケニル部分の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、C2~6アルケニルは、以下に定義されている1つ以上の部分によって中断されていてもよい。
【0110】
したがって、用語「C2~10アルケニル」、「C2~20アルケニル」又は「C2~50アルケニル」は、単独で又は組み合わせて、2~10個、2~20個又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。C2~10アルケニル、C2~20アルケニル又はC2~50アルケニル基の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、C2~10アルケニル、C2~20アルケニル又はC2~50アルケニルは、下で定義されている1つ以上の部分により中断されていてもよい。
【0111】
本明細書で使用する場合、用語「C2~6アルキニル」は、単独で又は組み合わせて、2~6個の炭素原子を有する少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH及びCH2-C≡C-CH3である。分子の2つの部分が、アルキニル基によって連結されている場合、例は-C≡C-である。C2~6アルキニル基の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、1つ以上の二重結合が出現することがある。場合により、C2~6アルキニルは、以下に定義されている1つ以上の部分によって中断されていてもよい。
【0112】
したがって、本明細書で使用する場合、用語「C2~10アルキニル」、「C2~20アルキニル」及び「C2~50アルキニル」は、単独で又は組み合わせて、2~10個、2~20個又は2~50個の炭素原子をそれぞれ有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む直鎖又は分岐炭化水素部分を意味する。C2~10アルキニル、C2~20アルキニル又はC2~50アルキニル基の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により場合により置きかえられていてもよい。場合により、1つ以上の二重結合が出現することがある。場合により、C2~10アルキニル、C2~20アルキニル又はC2~50アルキニルは、下で定義されている1つ以上の部分により中断されていてもよい。
【0113】
上記の通り、C1~4アルキル、C1~6アルキル、C1~10アルキル、C1~20アルキル、C1~50アルキル、C2~6アルケニル、C2~10アルケニル、C2~20アルケニル、C2~50アルケニル、C2~6アルキニル、C2~10アルキニル、C2~20アルケニル又はC2~50アルキニルは、1つ以上の以下の部分:
【0114】
【化5】
(式中、
破線は、上記の部分又は試薬の残りへの結合を示し、
R及びRaは、H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から互いに独立して選択される)
により場合により中断されていてもよい。
【0115】
本明細書で使用する場合、用語「C3~10シクロアルキル」は、3~10個の炭素原子を有する環式アルキル鎖を意味し、これは、飽和又は不飽和の、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシルとすることができる。C3~10シクロアルキル炭素の水素原子はそれぞれ、上で定義されている置換基により置きかえられていてもよい。用語「C3~10シクロアルキル」は、ノルボルナン又はノルボルネンのような架橋二環も含む。
【0116】
用語「8~30員のカルボポリシクリル」又は「8~30員のカルボポリ環」は、8~30個の環原子を有する、2つ以上の環からなる環式部分を意味し、2つの隣接環は、少なくとも1個の環原子を共有し、二重結合の最大数までを含むことができる(芳香族環、又は完全に飽和されている、部分的に飽和されている、若しくは不飽和である非芳香族環)。好ましくは、8~30員のカルボポリシクリルは、2つ、3つ、4つ又は5つの環、より好ましくは2つ、3つ又は4つの環からなる環式部分を意味する。
【0117】
本明細書で使用する場合、用語「3~10員のヘテロシクリル」又は「3~10員の複素環」は、二重結合の最大数までを含むことができる、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個又は10個の環原子を有する環(芳香族環、又は完全に飽和されている、部分的に飽和されている、若しくは不飽和である非芳香族環)を意味し、少なくとも1個の環原子から最大4個の環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子により置きかえられており、この環は、炭素原子又は窒素原子を介して分子の残りに連結している。3~10員の複素環の例には、以下に限定されないが、アジリジン、オキシラン、チイラン、アジリン、オキシレン、チイレン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ジアゼパン、アゼピン及びホモピペラジンが含まれる。3~10員のヘテロシクリル又は3~10員の複素環式基の水素原子はそれぞれ、以下に定義されている置換基によって置きかえられていてもよい。
【0118】
本明細書で使用する場合、用語「8~11員のヘテロビシクリル」又は「8~11員の複素二環」は、8~11個の環原子を有する、2つの環の複素環式部分を意味し、少なくとも1個の環原子が、両方の環によって共有されており、二重結合の最大数まで含むことができ(芳香族環、又は完全に飽和されている、部分的に飽和されている、若しくは不飽和である非芳香族環)、少なくとも1個の環原子から最大6個の環原子は、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子により置きかえられており、この環は、炭素原子又は窒素原子を介して分子の残りに連結している。8~11員の複素二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、デカヒドロキノリン、イソキノリン、デカヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンズアゼピン、プリン及びプテリジンである。8~11員の複素二環という用語は、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンのような2つの環のスピロ構造、又は8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタンのような架橋複素環も含む。8~11員のヘテロビシクリル又は8~11員の複素二環の炭素の水素原子はそれぞれ、以下に定義されている置換基によって置きかえられていてもよい。
【0119】
同様に、用語「8~30員のヘテロポリシクリル」又は「8~30員のヘテロポリ環」は、8~30個の環原子を有する2超の環、好ましくは3つ、4つ又は5つの環の複素環式部分を意味し、2つの隣接する環は、少なくとも1個の環原子を共有しており、二重結合の最大数まで含むことができ(芳香族環、又は完全に飽和されている、部分的に飽和されている、若しくは不飽和である非芳香族環)、少なくとも1個の環原子から最大で10個の環原子までが、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子により置きかえられており、この環は、炭素原子又は窒素原子を介して分子の残りに連結している。
【0120】
本明細書で使用する場合、「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。ハロゲンはフルオロ又はクロロであることが一般に好ましい。
【0121】
一般に、用語「含む(comprise)」又は「含んでいる(comprising)」は、「からなる(consist of)」又は「からなっている(consisting of)」も包含する。
【0122】
本発明によれば、長時間作用性成長ホルモン製剤が提供され、成長ホルモン欠乏症を有する患者への前記長時間作用性成長ホルモン製剤の投与は、等モル用量の1日ごとのソマトロピンの投与と比較して優れた効力をもたらす。
【0123】
一実施形態において、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、針付きシリンジを使用して投与される。
【0124】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、注射ペンを使用して投与される。
【0125】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、自動注射器ペンを使用して投与される。
【0126】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、針無し注射器を使用して投与される。
【0127】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、電子注射器を使用して投与される。
【0128】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモン、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、二重チャンバーカートリッジ、好ましくはペン装置又は電子注射器内にロードされる二重チャンバーカートリッジを使用して投与される。
【0129】
一実施形態において、長時間作用性成長ホルモン製剤、又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、ポリマー又は脂質を含むマトリックス又はビヒクル中に包埋又はカプセル化された成長ホルモンを含む。好ましいポリマーマトリックスは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリル(phosphoyl)コリン類、ポリ(アクリル酸類)、ポリ(アクリレート類)、ポリ(アクリルアミド類)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー類、ポリ(アミド類)、ポリ(アミドアミン類)、ポリ(アミノ酸類)、ポリ(無水物)、ポリ(アスパルタミド類)、ポリ(酪酸類)、ポリ(グリコール酸類)、ポリブチレンテレフタレート類、ポリ(カプロラクトン類)、ポリ(カーボネート類)、ポリ(シアノアクリレート類)、ポリ(ジメチルアクリルアミド類)、ポリ(エステル類)、ポリ(エチレン類)、ポリ(エチレングリコール類)、ポリ(エチレンオキサイド類)、ポリ(エチルホスフェート類)、ポリ(エチルオキサゾリン類)、ポリ(グリコール酸類)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート類)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン類)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート類)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド類)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート類)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン類)、ポリ(イミノカーボネート類)、ポリ(乳酸類)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸類)、ポリ(メタクリルアミド類)、ポリ(メタクリレート類)、ポリ(メチルオキサゾリン類)、ポリ(有機ホスファゼン類)、ポリ(オルトエステル類)、ポリ(オキサゾリン類)、ポリ(プロピレングリコール類)、ポリ(シロキサン類)、ポリ(ウレタン類)、ポリ(ビニルアルコール類)、ポリ(ビニルアミン類)、ポリ(ビニルメチルエーテル類)、ポリ(ビニルピロリドン類)、シリコーン類、セルロース類、カルボメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース類、キチン類、キトサン類、デキストラン類、デキストリン類、ゼラチン類、ヒアルロン酸類及び誘導体類、官能化ヒアルロン酸類、マンナン類、ペクチン類、ラムノガラクツロナン類、デンプン類、ヒドロキシアルキルデンプン類、ヒドロキシエチルデンプン類及び他の炭化水素をベースとするポリマー類、キシラン類、並びにこれらのコポリマー類からなる群から選択されるポリマーを含む。
【0130】
好ましいポリマーは、PEG、ポリラクチド-co-グリコリド(PLGA)及びヒアルロン酸からなる群から選択される。最も好ましくは、ポリマーはPEGである。
【0131】
一実施形態において、ポリマーマトリックスは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン類、ポリ(アクリル酸類)、ポリ(アクリレート類)、ポリ(アクリルアミド類)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー類、ポリ(アミド類)、ポリ(アミドアミン類)、ポリ(アミノ酸類)、ポリ(無水物)、ポリ(アスパルタミド類)、ポリ(酪酸類)、ポリ(グリコール酸類)、ポリブチレンテレフタレート類、ポリ(カプロラクトン類)、ポリ(カーボネート類)、ポリ(シアノアクリレート類)、ポリ(ジメチルアクリルアミド類)、ポリ(エステル類)、ポリ(エチレン類)、ポリ(エチレングリコール類)、ポリ(エチレンオキサイド類)、ポリ(エチルホスフェート類)、ポリ(エチルオキサゾリン類)、ポリ(グリコール酸類)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート類)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン類)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート類)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド類)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート類)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン類)、ポリ(イミノカーボネート類)、ポリ(乳酸類)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸類)、ポリ(メタクリルアミド類)、ポリ(メタクリレート類)、ポリ(メチルオキサゾリン類)、ポリ(有機ホスファゼン類)、ポリ(オルトエステル類)、ポリ(オキサゾリン類)、ポリ(プロピレングリコール類)、ポリ(シロキサン類)、ポリ(ウレタン類)、ポリ(ビニルアルコール類)、ポリ(ビニルアミン類)、ポリ(ビニルメチルエーテル類)、ポリ(ビニルピロリドン類)、シリコーン類、セルロース類、カルボメチルセルロース類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース類、キチン類、キトサン類、デキストラン類、デキストリン類、ゼラチン類、ヒアルロン酸類及び誘導体類、官能化ヒアルロン酸類、マンナン類、ペクチン類、ラムノガラクツロナン類、デンプン類、ヒドロキシアルキルデンプン類、ヒドロキシエチルデンプン類及び他の炭化水素をベースとするポリマー類、キシラン類、並びにこれらのコポリマー類からなる群から選択されるポリマーを含むヒドロゲルである。
【0132】
好ましいヒドロゲルは、PEG、ポリラクチド-co-グリコリド(PLGA)及びヒアルロン酸からなる群から選択されるポリマーを含む。最も好ましくは、ヒドロゲルは、PEGをベースとするヒドロゲルである。
【0133】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモン製剤は、結晶成長ホルモンを含む。
【0134】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、天然又は非天然アミノ酸配列に融合している成長ホルモン部分を含む。好ましいアミノ酸配列は、US2012/0035101(参照により本明細書に組み込まれている)に記載の絨毛性ゴナドトロピンのカルボキシル末端ペプチド;アルブミン;WO2011123813A2(参照により本明細書に組み込まれている)に記載のXTEN配列;WO2011/144756A1(参照により本明細書に組み込まれている)に記載のプロリン/アラニンランダムコイル配列;WO2008/155134(参照により本明細書に組み込まれている)に記載のプロリン/アラニン/セリンランダムコイル配列;及びFc融合タンパク質からなる群から選択される。そのような融合は安定又は可逆的のいずれかであり得る。
【0135】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、PEG化hGH、及び脂肪酸誘導体類で修飾されたhGHを含む、化学的に修飾された成長ホルモン又はそのアナログを含む。好ましい脂肪酸誘導体類は、WO2005/027978A2及びWO2014/060512A1(参照により本明細書に組み込まれている)に開示のものである。PEG部分又は脂肪酸誘導体部分の形態でのそのような化学的修飾は、安定的又は可逆的にhGH部分に結合することができる。ある実施形態において、化学的修飾は、hGH部分に安定的に結合しているPEG部分である。ある実施形態において、化学的修飾は、hGH部分に可逆的に結合しているPEG部分である。ある実施形態において、化学的修飾は、hGH部分に安定的に結合している脂肪酸誘導体部分である。ある実施形態において、化学的修飾は、hGH部分に可逆的に結合している脂肪酸誘導体部分である。
【0136】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、hGH部分がポリマー部分又は脂肪酸由来部分に可逆的にコンジュゲートしているhGHプロドラッグである。ある実施形態において、hGH部分は、そのようなhGHプロドラッグから未修飾形態で放出される。
【0137】
好ましくは、長時間作用性成長ホルモンは、WO05099768A2及びWO2009/133137A2(参照により本明細書に組み込まれている)に開示のhGHポリマープロドラッグである。したがって、長時間作用性成長ホルモンは、好ましくは式(Ia)又は(Ib)のhGHポリマープロドラッグ
【0138】
【化6】
[式中、
-Dは、アミン官能基を介して、分子の残りに結合しているhGH部分であり、
nは、0、1、2、3又は4であり、
-X-は、化学結合又はスペーサーであり、
=Y1、=Y5は、=O及び=Sからなる群から独立して選択され、
-Y2-、-Y3-は、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y4-は、-O-、-NR5-及び-C(R6R6a)-からなる群から選択され、
-R1は、担体、好ましくは少なくとも40%のPEGを含む水溶性のPEGをベースとする部分であり、
-R2、-R3、-R5、-R6、-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から互いに独立して選択され、
-R4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から選択され、
-W-は、C3~10シクロアルキル、8~30員のカルボポリシクリル、3~10員のヘテロシクリル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-及び-N(R7)-からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されている、C1~20アルキルからなる群から選択され、
-Nuは、-N(R7R7a)、-N(R7OH)、-N(R7)-N(R7aR7b)、-S(R7)、-COOH、
【0139】
【化7】
からなる群から選択される求核剤であり、
-Ar-は、
【0140】
【化8】
(式中、
破線は、プロドラッグの残りへの結合を示し、
-Z1-は、-O-、-S-及び-N(R7)-からなる群から選択され、
-Z2-は、-N(R7)-である)
からなる群から選択され、
-R7、-R7a、-R7bは、-H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から互いに独立して選択される]
であって、
式(Ia)及び(Ib)のプロドラッグは、場合によりさらに置換されている、
hGHポリマープロドラッグである。
【0141】
ある実施形態において、長時間作用性hGHは、式(Ia)である。ある実施形態において、長時間作用性hGHは、式(Ib)である。
【0142】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の=Y1は、=Oである。
【0143】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-Y2-は、-O-である。
【0144】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-Y3-は、-O-である。
【0145】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-Y4-は、-NR5-である。
【0146】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の=Y5は、=Oである。
【0147】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)のnは、0又は1である。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のnは、0である。
【0148】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のR1は、10~250kDa、さらにより好ましくは15~150kDaの範囲の分子量を有する。
【0149】
特に好ましい一実施形態において、式(Ia)及び(Ib)のR1は、30~50kDa、さらにより好ましくは35~45kDa、さらにより好ましくは38~42kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは約40kDaの分子量を有する。
【0150】
別の同様に好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)のR1は、60~100kDa、さらにより好ましくは70~90kDa、さらにより好ましくは75~85kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは約80kDaの分子量を有する。
【0151】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のR1は分岐状であり、少なくとも3つのポリマー部分を含む。
【0152】
より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のR1は、少なくとも1つの分岐点、好ましくは少なくとも2つの分岐点、及び好ましくはPEGをベースとする少なくとも3つのポリマー鎖を含み、各分岐点は、-N<、-CR8<及び>C<からなる群から好ましくは選択され、R8は、-H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から選択され、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるR9により場合により置換されており、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2N(R10)-、-S(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R10)S(O)2N(R10a)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-;により場合により中断されており、R9、R10及びR10aは、-H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルから選択される。
【0153】
好ましい一実施形態において、式(Ia)及び(Ib)のR1は、第1の分岐点BP1を含み、この分岐点から少なくとも2つの部分C1及びC2が延びており、C1及びC2の少なくとも一方は、少なくとも第2の分岐点BP2を含んでおり、この分岐点から少なくとも2つの部分P1及びP2が延びている。より好ましくは、R1は、第1の分岐点BP1を含み、この分岐点から2つの部分C1及びC2が延びており、この部分C1は分岐点BP2を含み、この分岐点から、少なくとも2つの部分P1及びP2が延び、部分C2は第3の分岐点BP3を含み、この分岐点から少なくとも2つの部分P3及びP4が延びる。
【0154】
別の好ましい実施形態において、R1は、第1の分岐点BP1、第2の分岐点BP2及び第3の分岐点BP3を含む部分C1を含み、少なくとも1つの部分P1はBP1から延び、少なくとも1つの部分P2はBP2から延び、少なくとも1つの部分P3はBP3から延びている。より好ましくは、R1は、第1の分岐点BP1、第2の分岐点BP2、第3の分岐点BP3及び第4の分岐点BP4を含む部分C1を含み、少なくとも1つの部分P1はBP1から延び、少なくとも1つの部分P2はBP2から延び、少なくとも1つの部分P3はBP3から延び、少なくとも1つの部分P4はBP4から延びている。
【0155】
好ましくは、BP1、BP2、BP3及びBP4は、-CR8<、>C<及び-N<から互いに独立して選択され、R8は、-H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルから選択され、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるR9により場合により置換されており、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2N(R10)-、-S(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R10)S(O)2N(R10a)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-;により場合により中断されており、R9、R10及びR10aは、-H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルから選択される。
【0156】
好ましくは、C1及びC2は、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルから互いに独立して選択され、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるR11により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
-T-は、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、各-T-は独立して、1つ以上の同一又は異なるR11により場合により置換されており、
R11はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR12、-OR12、-C(O)R12、-C(O)N(R12R12a)、-S(O)2N(R12R12a)、-S(O)N(R12R12a)、-S(O)2R12、-S(O)R12、-N(R12)S(O)2N(R12aR12b)、-SR12、-N(R12R12a)、-NO2、-OC(O)R12、-N(R12)C(O)R12a、-N(R12)S(O)2R12a、-N(R12)S(O)R12a、-N(R12)C(O)OR12a、-N(R12)C(O)N(R12aR12b)、-OC(O)N(R12R12a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
R12、R12a及びR12bはそれぞれ、-H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0157】
好ましくは、P1、P2、P3、P4は、互いに独立して、ポリマー部分、より好ましくはPEGをベースとする鎖であって、少なくとも40%のPEG、さらにより好ましくは少なくとも50%のPEG、さらにより好ましくは少なくとも60%のPEG、さらにより好ましくは少なくとも70%のPEG、さらにより好ましくは少なくとも80%のPEG、さらにより好ましくは少なくとも90%のPEG及び最も好ましくは少なくとも95%のPEGを含むPEGをベースとする鎖である。
【0158】
好ましい一実施形態において、P1、P2、P3及びP4は、互いに独立して、5kDa~20kDaの範囲、より好ましくは7~15kDaの範囲、さらにより好ましくは8~12kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは約10kDaの分子量を有する。
【0159】
同様に好ましい実施形態において、P1、P2、P3及びP4は、互いに独立して、10~30kDaの範囲、より好ましくは15~25kDaの範囲、さらにより好ましくは17~23kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは約20kDaの分子量を有する。
【0160】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-R1は、式(II)の部分
【0161】
【化9】
(式中、
-BP1<、-BP2<、-BP3<は、-N<及び-C(R8)<からなる群から互いに独立して選択され、
R8は、H、C1~6アルキル、C2~6アルケニル及びC2~6アルキニルからなる群から選択され、
-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、少なくとも40%のPEGを含み、かつ5~30kDaの範囲の分子量を有するPEGをベースとする鎖であり、
-C1-、-C2-は、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるR9により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R10)-、-S(O)2N(R10)-、-S(O)N(R10)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R10)S(O)2N(R10a)-、-S-、-N(R10)-、-OC(OR10)(R10a)-、-N(R10)C(O)N(R10a)-、及び-OC(O)N(R10)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Tはそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、Tはそれぞれ、1つ以上の同一又は異なるR9により場合により独立して置換されており、
R9はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR11、-OR11、-C(O)R11、-C(O)N(R11R11a)、-S(O)2N(R11R11a)、-S(O)N(R11R11a)、-S(O)2R11、-S(O)R11、-N(R11)S(O)2N(R11aR11b)、-SR11、-N(R11R11a)、-NO2、-OC(O)R11、-N(R11)C(O)R11a、-N(R11)S(O)2R11a、-N(R11)S(O)R11a、-N(R11)C(O)OR11a、-N(R11)C(O)N(R11aR11b)、-OC(O)N(R11R11a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
R10、R10a、R11、R11a及びR11bはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている)
を含む。
【0162】
好ましい実施形態において、式(II)のBP1は、-N<である。
【0163】
好ましい実施形態において、式(II)のBP2及びBP2は、どちらも-CH<である。
【0164】
第1の分岐点BP1、及びXの結合部位がある数より少ない原子によって分離されている場合、有利である。
【0165】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のプロドラッグ中の重要な距離は、60個未満の原子、より好ましくは50個未満の原子、さらにより好ましくは40個未満の原子、さらにより好ましくは30個未満の原子、さらにより好ましくは20個未満の原子、及び最も好ましくは10個未満の原子である。
【0166】
用語「重要な距離」とは、プロドラッグが式(Ia)である場合、R1に含まれる第1の分岐点BP1と式(a)中のアスタリスクで印を付けた原子との間の原子数として測定される最短距離を指すか、又は、プロドラッグが式(Ib)である場合、R1に含まれる第1の分岐点BP1と式(b)中のアスタリスクで印を付けた原子との間の原子数を指す:
【0167】
【化10】
(式中、破線は、(a)の場合、式(Ia)のプロドラッグの残りへの結合を示しており、(b)の場合、式(Ib)のプロドラッグの残りへの結合を示す)。
【0168】
好ましい実施形態において、式(II)の-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、5kDa~20kDaの範囲、より好ましくは7~15kDaの範囲、さらにより好ましくは8~12kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは約10kDaの分子量を有する。
【0169】
同様に好ましい実施形態において、式(II)の-P1、-P2、-P3、-P4は、互いに独立して、10~30kDaの範囲、より好ましくは15~25kDaの範囲、さらにより好ましくは17~23kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは約20kDaの分子量を有する。
【0170】
好ましい実施形態において、式(II)のC1及びC2は、-O-、-C(O)N(R10)-及び3~10員のヘテロシクリルからなる群から選択される1つ以上の基により中断されているC1~50アルキルであり、3~10員のヘテロシクリルは、少なくとも1つのオキソ(=O)により置換されている。
【0171】
最も好ましくは、式(II)のC1及びC2は、式(IIa)
【0172】
【化11】
(式中、
アスタリスクで印を付けた破線は、BP1への結合を示し、
印の付いていない破線は、それぞれBP2又はBP3への結合を示し、
q1は、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、好ましくはq1は、4、5、6、7又は8であり、より好ましくはq1は、5、6又は7であり、最も好ましくはq1は6であり、
q2は、1、2、3、4又は5であり、好ましくはq2は、1、2又は3であり、最も好ましくはq2は2であり、
q3は、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、好ましくはq3は、2、3、4又は5であり、より好ましくはq3は、2、3又は4であり、最も好ましくはq3は3であり、
q4は、1、2又は3であり、最も好ましくはq4は1である)
である。
【0173】
好ましい実施形態において、式(II)のP1、P2、P3及びP4は、互いに独立して、式(IIb)
【0174】
【化12】
(式中、
破線は、R1の残り、すなわちそれぞれ、BP2又はBP3への結合を示し、
mは、0又は1であり、
pは、57~1420、より好ましくは85~850の範囲の整数であり、
qは、1、2、3、4、5及び6からなる群から選択される)
である。
【0175】
好ましい実施形態において、式(IIb)のpは、170~284、さらにより好ましくは198~255、最も好ましくは215~238の範囲である。
【0176】
同様に好ましい実施形態において、式(IIb)のpは、340~568、さらにより好ましくは398~510、最も好ましくは426~482の範囲である。
【0177】
より好ましくは、-R1は、式(IIc)の部分:
【0178】
【化13】
(式中、
p1、p2、p3及びp4は、独立して、57~1420、さらにより好ましくは85~850の範囲の整数である)
を含む。
【0179】
好ましい実施形態において、式(IIc)のp1、p2、p3及びp4は、170~284、さらにより好ましくは198~255、最も好ましくは215~238から独立して選択される整数である。
【0180】
同様に好ましい実施形態において、式(IIc)のp1、p2、p3及びp4は、340~568、さらにより好ましくは398~510、最も好ましくは426~482から独立して選択される整数である。
【0181】
好ましい実施形態において、式(Ib)の-R2は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(Ib)の-R2は、-H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルからなる群から選択される。さらにより好ましくは、式(Ib)の-R2は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(Ib)の-R2は、-Hである。
【0182】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-R3は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R3は、-H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルからなる群から選択される。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R3は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R3は、-Hである。
【0183】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-R4はそれぞれ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルから独立して選択される。より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R4は、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルからなる群から選択される。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R4は、メチル及びエチルから選択される。
【0184】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-R5は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R5は、-H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルからなる群から選択される。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R5は、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R5は、メチルである。
【0185】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)の-R6及び-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルからなる群から独立して選択される。より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R6及び-R6aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルからなる群から独立して選択される。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R6及び-R6aは、-H、メチル及びエチルから独立して選択される。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R6及び-R6aは、どちらも-Hである。
【0186】
好ましい実施形態において、式(Ia)及び(Ib)のXは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz1)-、-S(O)2N(Rz1)-、-S(O)N(Rz1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz1)S(O)2N(Rz1a)-、-S-、-N(Rz1)-、-OC(ORz1)(Rz1a)-、-N(Rz1)C(O)N(Rz1a)-、-OC(O)N(Rz1)-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニル;からなる群から好ましくは選択され、-T-、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz3)-、-S(O)2N(Rz3)-、-S(O)N(Rz3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz3)S(O)2N(Rz3a)-、-S-、-N(Rz3)-、-OC(ORz3)(Rz3a)-、-N(Rz3)C(O)N(Rz3a)-、及び-OC(O)N(Rz3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Rz1及びRz1aは、-H、-T、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルからなる群から互いに独立して選択され、-T、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~50アルキル、C2~50アルケニル及びC2~50アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz4)-、-S(O)2N(Rz4)-、-S(O)N(Rz4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz4)S(O)2N(Rz4a)-、-S-、-N(Rz4)-、-OC(ORz4)(Rz4a)-、-N(Rz4)C(O)N(Rz4a)-、及び-OC(O)N(Rz4)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Tはそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、Tはそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、
Rz2はそれぞれ、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORz5、-ORz5、-C(O)Rz5、-C(O)N(Rz5Rz5a)、-S(O)2N(Rz5Rz5a)、-S(O)N(Rz5Rz5a)、-S(O)2Rz5、-S(O)Rz5、-N(Rz5)S(O)2N(Rz5aRz5b)、-SRz5、-N(Rz5Rz5a)、-NO2、-OC(O)Rz5、-N(Rz5)C(O)Rz5a、-N(Rz5)S(O)2Rz5a、-N(Rz5)S(O)Rz5a、-N(Rz5)C(O)ORz5a
-N(Rz5)C(O)N(Rz5aRz5b)、-OC(O)N(Rz5Rz5a)、及びC1~6アルキル;からなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
Rz3、Rz3a、Rz4、Rz4a、Rz5、Rz5a及びRz5bはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0187】
より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のXは、C1~10アルキル、C2~10アルケニル及びC2~10アルキニルからなる群から選択され、C1~10アルキル、C2~10アルケニル及びC2~10アルキニルは、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、C1~10アルキル、C2~10アルケニル及びC2~10アルキニルは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz3)-、-S(O)2N(Rz3)-、-S(O)N(Rz3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rz3)S(O)2N(Rz3a)-、-S-、-N(Rz3)-、-OC(ORz3)(Rz3a)-、-N(Rz3)C(O)N(Rz3a)-、及び-OC(O)N(Rz3)-;からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されており、
Tはそれぞれ、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3~10シクロアルキル、3~10員のヘテロシクリル、8~11員のヘテロビシクリル、8~30員のカルボポリシクリル及び8~30員のヘテロポリシクリルからなる群から独立して選択され、Tはそれぞれ独立して、1つ以上の同一又は異なるRz2により場合により置換されており、
Rz2はそれぞれ、C1~6アルキルから独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されており、
Rz3、Rz3aはそれぞれ、-H及びC1~6アルキルからなる群から独立して選択され、C1~6アルキルは、1つ以上の同一又は異なるハロゲンにより場合により置換されている。
【0188】
さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のXは、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rz3)-、-S-、-N(Rz3)-、-OC(ORz3)(Rz3a)-及び-OC(O)N(Rz3)-からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されているC1~10アルキルであり、Rz3及びRz3aは、-H及びC1~6アルキルから独立して選択される。
【0189】
最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のXは、式(III)
【0190】
【化14】
(式中、
アスタリスクで印を付けた破線は、R1への結合を示し、
印の付いていない破線は、プロドラッグの残りへの結合を示し、
q5は、1、2、3、4、5、6、7又は8であり、好ましくはq5は、1、2、3、4又は5であり、より好ましくはq5は、2、3又は4であり、最も好ましくはq5は3である)
である。
【0191】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のArはフェニルである。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のArは、
【0192】
【化15】
(式中、破線は、式(Ia)又は(Ib)のプロドラッグの残りへの結合を示す)
である。
【0193】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のWは、C3~10シクロアルキル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-及び-N(R7)-により場合により中断されているC1~20アルキルである。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のWは、C3~10シクロアルキル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-及び-N(R7)-により場合により中断されているC1~10アルキルである。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のWは、C3~10シクロアルキル、-C(O)-、-C(O)N(R7)-、-O-、-S-及び-N(R7)-により場合により中断されているC1-6アルキルである。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)のWは、
【0194】
【化16】
(式中、
破線は、分子の残りへの結合を示す)
である。
【0195】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-Nuは、-N(R7R7a)である。
【0196】
好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R7及び-R7aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルからなる群から互いに独立して選択される。より好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R7及び-R7aは、-H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルから互いに独立して選択される。さらにより好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R7及び-R7aは、メチル又はエチルから互いに独立して選択される。最も好ましくは、式(Ia)及び(Ib)の-R7及び-R7aは、どちらもメチルである。
【0197】
最も好ましくは、長時間作用性成長ホルモンは、式(IV)のhGHポリマープロドラッグ
【0198】
【化17】
(式中、
Dは、アミン官能基を介して、分子の残りに結合しているhGH部分であり、
p1、p2、p3及びp4は、独立して、57~1420、さらにより好ましくは85~850の範囲の整数である)
である。
【0199】
好ましい実施形態において、式(IV)のp1、p2、p3及びp4は、170~284、さらにより好ましくは198~255、最も好ましくは215~238から独立して選択される整数である。
【0200】
同様に好ましい実施形態において、式(IV)のp1、p2、p3及びp4は、340~568、さらにより好ましくは398~510、最も好ましくは426~482から独立して選択される整数である。
【0201】
好ましくは、長時間作用性成長ホルモン製剤は、ACP-001、ACP-011、VRS-317、MOD-4023、ソマトロゴン、hGH-CTP、albutropin、ARX201、ALTU-238、PHA-794428、hGH-OctoDex、NNC126-0083、ソマプシタン、ソマバラタン、Nutropin Depot、LB03002、ソマトロピン・バイオパートナーズ、LAPS-hGH、NNC0195-0092、Hytropin、GX-H9、Jintrolong及びTV-1106からなる群から選択される少なくとも1つの長時間作用性成長ホルモンを含む。
【0202】
ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、ACP-001である。ACP-001は、式(IV)の構造を有し、式中、p1、p2、p3及びp4は398~510の範囲であり、これは4つのPEG部分の分子量が約80kDaであることを意味する。
【0203】
ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、ACP-011である。ACP-011は、式(IV)の構造を有し、式中、p1、p2、p3及びp4は198~255の範囲であり、これは4つのPEG部分の分子量が約40kDaであることを意味する。
【0204】
ある実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、ソマプシタンである。ソマプシタンは、以下の構造:
【0205】
【化18】
(式中、破線は、
である配列番号2の101位のシステインの硫黄への結合を示す)
を有する。
【0206】
配列番号2は配列番号1に対応し、その中において101位のロイシンはシステインによって置きかえられている。
【0207】
一実施形態において、長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、液状製剤である。
【0208】
別の実施形態において、長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、乾燥製剤である。
【0209】
好ましい実施形態において、長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、冷蔵温度で、すなわち2~8℃で少なくとも3か月間安定である。
【0210】
別の好ましい実施形態において、長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、室温で、すなわち18~30℃で少なくとも3か月間安定である。
【0211】
別の好ましい実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、C型ナトリウム利尿ペプチド作動薬と組み合わせて投与される。
【0212】
別の好ましい実施形態において、長時間作用性成長ホルモンは、可溶性FGFR3と組み合わせて投与される。
【0213】
長時間作用性成長ホルモンを含むそのような液状又は乾燥医薬組成物は、1つ以上の賦形剤を含む。非経口製剤において使用される賦形剤は、例えば、緩衝剤、等張性調整剤、保存剤、安定剤、抗吸着剤、酸化保護剤、粘稠化剤(viscosifier)/粘度増強剤、又は他の補助剤として分類することができる。しかし、一部の場合、1つの賦形剤が、2つ又は3つの機能を有することがある。長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物は、好ましくは、以下のものからなる群から選択される1つ以上の賦形剤を含む:
(i) 緩衝剤:pHを所望の範囲に維持する生理学的に許容される緩衝液、例えば、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジンナトリウム、クエン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム。制酸剤、例えばMg(OH)2又はZnCO3も使用することができる。
(ii) 等張性調整剤:注射デポ剤での浸透圧の差異による細胞損傷に起因する恐れのある疼痛を最小限にするため。例は、グリセリン及び塩化ナトリウムである。有効濃度は、血清の場合、285~315mOsmol/kgの推定オスモル濃度を用いて浸透圧法により決定することができる。
(iii) 保存剤及び/又は抗菌薬:多回用量向けの非経口製剤は、注射時に感染する患者のリスクを最小限にするのに十分な濃度で保存剤を添加する必要があり、対応する規制要件が確立されている。典型的な保存剤には、m-クレゾール、フェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール(thimerosol)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クロロクレゾール及び塩化ベンザルコニウムが含まれる。
(iv) 安定剤:安定化は、タンパク質安定化力の強化により、変性状態の不安定化により、又はタンパク質への賦形剤の直接結合により達成される。安定剤は、アミノ酸、例えばアラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リシン、プロリン、糖、例えばグルコース、スクロース、トレハロース、ポリオール、例えばグリセロール、マンニトール、ソルビトール、塩、例えばリン酸カリウム、硫酸ナトリウム、キレート剤、例えばEDTA、ヘキサホスフェート、配位子、例えば二価金属イオン(亜鉛、カルシウムなど)、他の塩又は有機分子、例えばフェノール誘導体とすることができる。さらに、オリゴマー又はポリマー、例えば、シクロデキストリン、デキストラン、デンドリマー、PEG又はPVP又はプロタミン又はHSAを使用することができる。
【0214】
(v) 抗吸着剤:製剤の容器の内面に競合的に被覆又は吸着させるために、主にイオン性若しくは非イオン性界面活性剤又は他のタンパク質又は可溶性ポリマーが使用される。例えば、ポロキサマー(Pluronic F-68)、PEGドデシルエーテル(Brij 35)、ポリソルベート20及び80、デキストラン、ポリエチレングリコール、PEG-ポリヒスチジン、BSA及びHSA、並びにゼラチン。賦形剤の選択される濃度及びタイプは、回避すべき作用に依存するが、通常、界面活性剤の単層は、CMC値のすぐ上で界面に形成される。
(vi) 酸化保護剤:抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、エクトイン、メチオニン、グルタチオン、モノチオグリセロール、モリン、ポリエチレンイミン(PEI)、没食子酸プロピル、及びビタミンE。キレート剤、例えば、クエン酸、EDTA、ヘキサホスフェート及びチオグリコール酸も使用することができる。
(vii) 粘稠化剤又は粘度増強剤:バイアル及びシリンジ内での粒子の沈降を遅延させるものであり、粒子の混合及び再懸濁を助長するために、並びに懸濁剤をより注射しやすく(すなわち、シリンジプランジャーに対して小さい力に)するために使用される。好適な粘稠化剤又は粘度増強剤は、例えば、カルボマー粘稠化剤、例えば、Carbopol 940、Carbopol Ultrez 10、セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)又はジエチルアミノエチルセルロース(DEAE若しくはDEAE-C)、コロイド状ケイ酸マグネシウム(Veegum)又はケイ酸ナトリウム、ヒドロキシアパタイトゲル、リン酸三カルシウムゲル、キサンタン、カラギーナン、例えば、Satia gum UTC 30、脂肪族ポリ(ヒドロキシ酸)、例えば、ポリ(D,L-又はL-乳酸)(PLA)及びポリ(グリコール酸)(PGA)並びにこれらのコポリマー(PLGA)、D,L-ラクチドとグリコリドとカプロラクトンのターポリマー、ポロキサマー、ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)の3ブロック(例えば、Pluronic(登録商標))を構成するための親水性ポリ(オキシエチレン)ブロック及び疎水性ポリ(オキシプロピレン)ブロック、ポリエーテルエステルコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートコポリマー、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB)、デキストラン又はその誘導体、デキストランとPEGの組合せ、ポリジメチルシロキサン、コラーゲン、キトサン、ポリビニルアルコール(PVA)及び誘導体、ポリアルキルイミド、ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウム(DADMA))、ポリビニルピロリドン(PVP)、グリコサミノグリカン(GAG)、例えば、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン、疎水性Aブロック、例えばポリラクチド(PLA)又はポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)と親水性Bブロック、例えばポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルピロリドンとで構成されている、ABAトリブロック又はABブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマー及び上述のポロキ
サマーは、逆熱ゲル化挙動(投与を助長するように室温では流動状態、及び注射後に体温でのゾル-ゲル転移温度より高い温度ではゲル状態)を示し得る。
(viii) 展着剤又は拡散剤:間質空間中の細胞外マトリックスの構成成分、例えば、以下に限定されないが、結合組織の細胞間空間に見出される多糖類であるヒアルロン酸の加水分解により、結合組織の透過性を修飾するもの。展着剤、例えば、以下に限定されないが、ヒアルロニダーゼは、細胞外マトリックスの粘度を一時的に低下させて、注射された薬物の拡散を促進する。
(ix) 他の補助剤:例えば、湿潤剤、粘度調整剤、抗生物質、ヒアルロニダーゼ。酸及び塩基、例えば塩酸及び水酸化ナトリウムは、製造中のpH調整のために必要な補助剤である。
【0215】
本発明の別の態様は、成長障害に罹患している患者を処置する方法であって、有効量の本発明の長時間作用性成長ホルモン製剤を患者に投与するステップを含む、方法である。長時間作用性成長ホルモンの前記投与は、1日ごとのソマトロピンの等モル投与と比較して優れた効力をもたらす。
【0216】
ある実施形態において、前記優れた効力は、年換算身長成長速度として測定される。
【0217】
本発明の別の態様は、成長ホルモン欠乏症を処置する方法であって、長時間作用性成長ホルモン製剤を、成長ホルモン欠乏症を有する患者に投与するステップを含む、方法であり、長時間作用性成長ホルモンの投与が、等モル用量の1日ごとのソマトロピンの投与と比較して無応答個体の低減をもたらす、方法である。
【0218】
好ましくは、長時間作用性成長ホルモン製剤は、2回の投与の間が少なくとも2日間の期間で患者に投与される。より好ましくは、2回の投与の間の期間は、少なくとも3日間、さらにより好ましくは少なくとも4日間、さらにより好ましくは少なくとも5日間、さらにより好ましくは少なくとも6日間であり、最も好ましくは、2回の投与の間の期間は7日間である。別の実施形態において、2回の投与の間の期間は、14日間又は1か月である。
【0219】
好ましくは、成長ホルモン欠乏症は、少なくとも6か月の、例えば少なくとも8か月の、例えば少なくとも10か月の、例えば少なくとも12か月の、例えば少なくとも14か月の、例えば少なくとも16か月の、例えば少なくとも20か月の、例えば少なくとも24か月の、例えば少なくとも30か月の、又は例えば少なくとも36か月の期間処置される。
【0220】
本発明の別の態様は、長時間作用性成長ホルモン製剤を、成長ホルモン欠乏症を有する患者に投与する方法であって、長時間作用性成長ホルモンの投与が、等モル用量の1日ごとのソマトロピンの投与と比較して優れた効力をもたらす、方法である。
【0221】
本明細書で使用する場合、用語「成長ホルモン欠乏症」は、成長ホルモンの投与が有効である任意の疾患に関する。好ましくは、成長ホルモン欠乏症は、子供における成長ホルモン欠乏症(GHD)、特発性低身長(ISS)、低身長ホメオボックス(SHOX)遺伝子変異、ターナー症候群(TS)、ヌーナン症候群(NS)、プラダー-ウィリー症候群(PWS)、胎内発育遅延性低身長症(SGA)、慢性腎不全(CRI)、成人における成長ホルモン欠乏症(GHD)、HIV又はAIDS又は他の悪性疾患による消耗症、短腸症候群(SBS)、サルコペニア及び虚弱からなる群から選択される。
【0222】
別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、成人におけるGHDである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、ISSである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、SHOX遺伝子変異である。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、TSである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、NSである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、PWSである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、SGAである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、CRIである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、HIV又はAIDS又は他の悪性疾患による消耗症である。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、SBSである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、サルコペニアである。別の実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、虚弱である。好ましい実施形態において、成長ホルモン欠乏症は、子供におけるGHDである。
【0223】
[実施例]
方法
陽イオン交換クロマトグラフィー
陽イオン交換クロマトグラフィーによるコンジュゲートの精製は、279mLのカラム容積を有するMacrocap SPカラムを装備したAKTA Pureシステム(GE Healthcare)を使用して行った。各反応混合物を、20mM酢酸ナトリウム、10mM L-メチオニン緩衝液、pH4.0(緩衝液A)中で予め平衡化したカラムに適用した。ロードした後、カラムを3本のカラム容積分の緩衝液Aにより洗浄し、いかなる未反応PEG試薬も除去した。モノ-コンジュゲートは、全体で15本のカラム容積分の、0~30%緩衝液B(20mM酢酸ナトリウム、1M塩化ナトリウム、pH4.5)のグラジエントを使用して溶出した。全体で3本のカラム容積分のB30~80%のグラジエントを使用して、未反応成長ホルモンを溶出した。3本のカラム容積分の100%の緩衝液Bにより、このカラムを清浄した。流速は、ロードには20mL/分とし、溶出中は25mL/分とした。溶出は、280nmの検出によりモニタリングした。
【0224】
身長及び身長成長速度測定
身長測定を、目盛り付き壁掛(例えばHarpenden又は同様の)スタジオメーターを使用して行った。結果は、各訪問時の3回の別々の測定からの算術平均として導出した。測定の時間及び成長学実施者(auxologist)の名前、並びに結果を記録した。身長成長速度の計算を集中的に行った。
【0225】
[実施例1]一過性4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1の合成
【0226】
【化19】
WO2009/133137A2に記載されているものと同様の手順に従って、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1を合成した。詳述すると、この製造方法を以下の通り実施した。
【0227】
hGHは、100mMホウ酸ナトリウムpH9に緩衝液交換を行い、hGHの濃度を10mg/mLに調節した。hGHの量に対して過剰モル数の4つのアームの分岐状40kDaのmPEG-ペンタフルオロフェニルカーボネート誘導体を水に溶解し、6%(w/w)試薬溶液を形成した。この試薬溶液を、1:1の比(重量基準)でhGH溶液に加えて混合した。この反応混合物を12~16℃で105分間、撹拌下でインキュベートし、続いて、この反応混合物の1容積分に27mM酢酸及び12.5mM L-メチオニンを含む溶液4容積分を加えることによりクエンチし、この溶液のpHを4~4.5まで低下させた。滅菌ろ過後、この反応混合物を16±4時間、室温でインキュベートした。4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1を陽イオン交換クロマトグラフィーによって精製した。
【0228】
緩衝液交換、及び4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1の所望の濃度への調節は、タンジェンシャルフローろ過システムを使用して達成した。このようにして、陽イオン交換クロマトグラフィーからの溶離液を限外ろ過及び透析ろ過し、製剤用緩衝液(10mMコハク酸、トレハロース二水和物85g/L、1M Tris-溶液によりpH5.0)にした。同じシステムを使用して、トレハロース濃度を65g/Lまで低下させ、この保存溶液の濃度を、105±3mg/mLの4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1(35±1mgのhGH相当量/mLに相当する)に調節した。表2に示されている製剤は、化合物1のこの保存溶液を元にして、高い強度の製剤用緩衝液(10mMコハク酸、トレハロース二水和物89g/L、1M Tris塩基によりpH5.0に調節)により保存溶液を希釈することによって調製した。
【0229】
【表1】
【0230】
[実施例2]臨床研究のための4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1を含む製剤の調製
【0231】
臨床研究において治験薬として使用するために、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1をガラスバイアル中の凍結乾燥薬物製品に変換し、sWFIによる再構成用の凍結乾燥粉末として単回使用のガラスバイアル中で提供し、小児患者のための臨床関連用量容積(≦0.60mL)を送達するのに好適な濃度で製剤化した。これは2つのバイアル構成:12.1mgのhGH/バイアル及び24.2mgのhGH/バイアルで供給した。
【0232】
【表2】
【0233】
注射用水(WFI)による再構成後、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1を、皮下(s.c.)注射用の単回使用滅菌溶液として提供した。
【0234】
[実施例3]第3相小児研究
4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1を含む実施例3の製剤を、第3相小児成長ホルモン欠乏症試験において研究した。身長及び身長成長速度により測定される低身長、2つのhGH刺激試験、骨年齢評価、並びに-1標準偏差スコア又はSDS未満のIGF-Iレベルを含む、GHDについての国際的に承認された基準を満たす、小児患者が、北米、欧州及びオセアニアにわたって登録された。この第3相試験は、多施設、非盲検の試験であり、GHDを有するおよそ161名の未処置の子供を登録し、2:1の比で無作為化して、週1回の4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1(皮下に0.24mg/kg/週)又は1日ごとのGenotropin(登録商標)(皮下に34μg/kg/日若しくは0.24mg/kg/週)のいずれかを52週間与えた。一次エンドポイントは、52週目での年換算HVであった。二次エンドポイントは、安全性及び耐容性;52週間にわたる年換算HV;52週間にわたる身長標準偏差スコア(SDS)の変化;血清IGF-1及びIGFBP-3レベルと、52週間にわたる対応するSDSの変化;並びに中和抗体を含む抗ヒト成長ホルモン抗体の発生率からなるものであった。さらに、両方のアームを無応答個体について分析した。
【0235】
結論として、無作為化、非盲検、実薬対照試験は、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1(n=105)が、その一次的な目的の非劣性を満たし、さらに、52週目における年換算身長成長速度(AHV)の一次エンドポイントで、1日ごとのGenotropin(n=56)よりも優れていることを実証した。ANCOVAを使用する処置意図集団の一次分析において、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1は、1日ごとのhGHの10.3cm/年と比較して、11.2cm/年のAHVを示した。処置による差異は、+0.22~+1.50cm/年の95パーセント信頼区間で0.86cm/年であり、優位性が実証された(p=0.0088)。
【0236】
AHVは、各訪問で4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1の方が1日ごとのhGHよりも大きく、処置による差異は26週目から統計的有意性に達し、試験を通じて継続した。低応答個体(AHV<8.0cm/年)の発生率は、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1及び1日ごとのhGHのアームにおいて、それぞれ4パーセント及び11パーセントであった。
【0237】
4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1は安全で耐容性が良好であり、有害事象は1日ごとのhGH治療に典型的なもの及びアーム間で同等なものであった。さらに、観察されたピーク及びトラフのインスリン様成長因子1(IGF-1)SDSは、1日ごとのhGHの52週目の0.0の近似平均IGF-1 SDSと比較して、4×10kDaのmPEG-リンカー-hGHモノコンジュゲート1ではそれぞれ、52週間にわたっておよそ+1.3及び-0.5であった。さらに、IGF-1 SDS>2.0の観察された偏位は珍しく(対象の<10パーセント)、IGF-1 SDS>3.0は稀であった(対象の<3パーセント)。各処置アームにおける2名の対象が、有害事象と考えられる注射部位反応を経験した。
【0238】
[実施例4]第2相小児研究ソマプシタン(NCT02616562、Novo Nordisk;https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02616562)
ソマプシタンは、本明細書の他の箇所に示されている構造を有する。
【0239】
設計:研究は、11か国において29箇所で行われた、26週の主相及び26週の延長相による、多施設、無作為化、対照、二重盲験(ソマプシタン用量)の第2相研究であった。GHDを有する59名のGH未処置で思春期前の子供を無作為化し、58名が試験を完了した。
【0240】
介入:3つのソマプシタン用量(0.04[n=16]、0.08[n=15]又は0.16mg/kg/週[n=14])及び1日ごとのGH(0.034mg/kg/日[n=14])を皮下投与した。
【0241】
主要転帰測定:一次エンドポイントは26週目のHVであった。二次効力エンドポイントには、HV SDS及びIGF-I SDSが含まれていた。
【0242】
結果:26週目で、ソマプシタン群の平均(SD)年換算HVは、それぞれ8.0(2.0)、10.9(1.9)及び12.9(3.5)cm/年であり、対して1日ごとのGHは11.4(3.3)cm/年であり、推定される処置による差異(ソマプシタン0.16mg/kg/週-1日ごとのGH):1.7[95%CI-0.2;3.6]cm/年であった。HVは52週目で維持され、1日ごとのGHに対してソマプシタン0.16mg/kg/週で有意により大きかった。52週目のHV SDSにおけるベースラインからの平均(SD)変化は、ソマプシタン群ではそれぞれ4.72(2.79)、6.14(3.36)及び8.60(3.15)であり、対して1日ごとのGHでは7.41(4.08)であった。ソマプシタン群のモデル由来平均(SD)IGF-I SDSは、それぞれ-1.62(0.86)、-1.09(0.78)及び0.31(1.06)であり、対して1日ごとのGHでは-0.40(1.50)が観察された。安全性及び耐容性は、1日ごとのGHのプロファイルと一致していた。
【0243】
略語
AHV 年間/年換算身長成長速度
API 活性医薬成分
cGMP 現行適正製造規範
GH 成長ホルモン
GHD 成長ホルモン欠乏症
hGH ヒト成長ホルモン
mPEG メトキシポリ(エチレングリコール)
PEG ポリ(エチレングリコール)
Ph. Eur. 欧州薬局方
USP 米国薬局方
Tris トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン
本発明は、以下の実施形態を包含する。
(実施形態1)
成長ホルモン欠乏症に罹患している患者集団における無応答個体の百分率を低減させる方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤。
(実施形態2)
無応答個体の百分率が、10%未満に低減される、実施形態1に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態3)
成長ホルモン欠乏症の処置に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤であって、前記処置が、1日ごとのhGHの同等用量よりも少なくとも0.2多い標準偏差スコアだけ血漿中のIGF-1レベルを増加させる、長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態4)
増加が、少なくとも0.3SDSである、実施形態3に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態5)
成長ホルモン欠乏症に罹患している患者集団における応答個体の百分率を増加させる方法に使用するための、長時間作用性成長ホルモン、又はそのような長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤。
(実施形態6)
応答個体の百分率が、少なくとも90%に増加される、実施形態5に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態7)
処置する方法に使用するための長時間作用性成長ホルモン、又は長時間作用性成長ホルモンを含む医薬製剤であって、前記長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤が、0.24mg/kg/週の成長ホルモン又は成長ホルモン相当量の用量で投与され、前記長時間作用性成長ホルモン又は前記長時間作用性成長ホルモンを含む医薬組成物の投与が、0.24mg/kg/週の1日ごとのソマトロピンの用量の投与と比較して優れた効力をもたらす、長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態8)
優れた効力が、年換算身長成長速度として測定される、実施形態7に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態9)
成長ホルモン欠乏症が、子供における成長ホルモン欠乏症である、実施形態1から8のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態10)
長時間作用性成長ホルモンが、1週間に1回以下投与される、実施形態1から9のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態11)
2回の連続投与の間の時間が、1週間である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態12)
医薬製剤が、乾燥製剤である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態13)
医薬製剤が、液状製剤である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態14)
長時間作用性成長ホルモンが、式(Ia)又は(Ib)
【化20】
[式中、
-Dは、アミン官能基を介して、分子の残りに結合しているhGH部分であり、
nは、0、1、2、3又は4であり、
-X-は、化学結合又はスペーサーであり、
=Y 1 、=Y 5 は、=O及び=Sからなる群から独立して選択され、
-Y 2 -、-Y 3 -は、-O-及び-S-からなる群から選択され、
-Y 4 -は、-O-、-NR 5 -及び-C(R 6 R 6a )-からなる群から選択され、
-R 1 は、担体、好ましくは少なくとも40%のPEGを含む水溶性のPEGをベースとする部分であり、
-R 2 、-R 3 、-R 5 、-R 6 、-R 6a は、-H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から互いに独立して選択され、
-R 4 は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルからなる群から選択され、
-W-は、C 3~10 シクロアルキル、8~30員のカルボポリシクリル、3~10員のヘテロシクリル、-C(O)-、-C(O)N(R 7 )-、-O-、-S-及び-N(R 7 )-からなる群から選択される1つ以上の基により場合により中断されている、C 1~20 アルキルからなる群から選択され、
-Nuは、-N(R 7 R 7a )、-N(R 7 OH)、-N(R 7 )-N(R 7a R 7b )、-S(R 7 )、-COOH、
【化21】
からなる群から選択される求核剤であり、
-Ar-は、
【化22】
(式中、
破線は、プロドラッグの残りへの結合を示し、
-Z 1 -は、-O-、-S-及び-N(R 7 )-からなる群から選択され、
-Z 2 -は、-N(R 7 )-である)
からなる群から選択され、
-R 7 、-R 7a 、-R 7b は、-H、C 1~6 アルキル、C 2~6 アルケニル及びC 2~6 アルキニルからなる群から互いに独立して選択される]
であって、
式(Ia)及び(Ib)のプロドラッグが、場合によりさらに置換されている、実施形態1から13のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態15)
長時間作用性成長ホルモンが、ACP-011である、実施形態1から14のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
(実施形態16)
長時間作用性成長ホルモンが、ソマプシタンである、実施形態1から14のいずれか一項に記載の長時間作用性成長ホルモン又は医薬製剤。
【配列表】
0007524206000001.app