IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シェンツェン・ヴォックステック・カンパニー・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-音響出力装置 図1
  • 特許-音響出力装置 図2
  • 特許-音響出力装置 図3
  • 特許-音響出力装置 図4
  • 特許-音響出力装置 図5
  • 特許-音響出力装置 図6
  • 特許-音響出力装置 図7
  • 特許-音響出力装置 図8
  • 特許-音響出力装置 図9
  • 特許-音響出力装置 図10A
  • 特許-音響出力装置 図10B
  • 特許-音響出力装置 図10C
  • 特許-音響出力装置 図10D
  • 特許-音響出力装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240722BHJP
   H04R 1/24 20060101ALI20240722BHJP
   H04R 1/32 20060101ALI20240722BHJP
   G10K 11/175 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H04R1/10 101Z
H04R1/24 Z
H04R1/32 310Z
G10K11/175
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021564581
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 CN2019130884
(87)【国際公開番号】W WO2020220720
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】201910888762.2
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910888067.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910364346.2
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】付 峻江
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 冰岩
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
【審査官】中嶋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0288518(US,A1)
【文献】国際公開第2017/213957(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/111298(WO,A1)
【文献】特表2019-506819(JP,A)
【文献】特表2010-516096(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017036(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/103983(WO,A1)
【文献】中国実用新案第208210280(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109417662(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108702561(CN,A)
【文献】英国特許出願公告第02461929(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0105568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0052954(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0028375(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109547906(CN,A)
【文献】米国特許第08256566(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第1783903(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0101589(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第104869515(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
H04R 1/24
H04R 1/32
G10K 11/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの第1の音誘導穴から音を出力する1つの低周波音響ドライバと、
2つの第2の音誘導穴から音を出力する1つの高周波音響ドライバと、
前記1つの高周波音響ドライバおよび前記1つの低周波音響ドライバを支持し、前記2つの第1の音誘導穴および前記2つの第2の音誘導穴を、ユーザの耳の位置から離れて配置するように構成された支持構成要素と、を備え、
前記2つの第1の音誘導穴から出力される前記音の振幅比が第1の振幅比であり、前記2つの第2の音誘導穴から出力される前記音の振幅比が第2の振幅比であり、前記第1の振幅比が前記第2の振幅比よりも大きく、
前記2つの第1の音誘導穴から出力される前記音の振幅比は、前記2つの第1の音誘導穴から出力される音のより大きな振幅とより小さな振幅との比を意味し、前記2つの第2の音誘導穴から出力される前記音の振幅比は、前記2つの第2の音誘導穴から出力される音のより大きな振幅とより小さな振幅との比を意味する、音響出力装置。
【請求項2】
前記低周波音響ドライバから出力される前記音が第1の周波数範囲にあり、前記高周波音響ドライバから出力される前記音が第2の周波数範囲にあり、前記第2の周波数範囲が前記第1の周波数範囲よりも高い周波数を含む、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記第1の周波数範囲が650Hz未満の周波数を含み、前記第2の周波数範囲が1000Hzを超える周波数を含む、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記第1の周波数範囲および前記第2の周波数範囲が重複する、請求項2または3に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第1の振幅比および前記第2の振幅比が1~1.5の範囲内にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記1つの低周波音響ドライバから前記2つの第1の音誘導穴への第1の音響経路が、音響抵抗材を含み、前記音響抵抗材が、音響インピーダンスを有するとともに前記第1の振幅比に影響を与え、または、
前記1つの高周波音響ドライバから前記2つの第2の音誘導穴への第2の音響経路が、音響抵抗材を含み、前記音響抵抗材が、音響インピーダンスを有するとともに前記第2の振幅比に影響を与える、請求項1から5のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記1つの低周波音響ドライバが、前記1つの低周波音響ドライバの第1の前部チャンバおよび第1の後部チャンバを画定する第1のハウジング内に配置されていて、前記1つの低周波音響ドライバの前記第1の前部チャンバが、前記2つの第1の音誘導穴のうちの一方に音響的に結合されていて、前記1つの低周波音響ドライバの前記第1の後部チャンバが、前記2つの第1の音誘導穴のうちの他方に音響的に結合されている、または、
前記1つの高周波音響ドライバが、前記1つの高周波音響ドライバの第2の前部チャンバおよび第2の後部チャンバを画定する第2のハウジング内に配置されていて、前記1つの高周波音響ドライバの前記第2の前部チャンバが、前記2つの第2の音誘導穴のうちの一方に音響的に結合されていて、前記1つの高周波音響ドライバの前記第2の後部チャンバが、前記2つの第2の音誘導穴のうちの他方に音響的に結合されている、請求項6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記1つの低周波音響ドライバの前記第1の前部チャンバおよび前記第1の後部チャンバが異なる音響インピーダンスを有し、前記1つの高周波音響ドライバの前記第2の前部チャンバおよび前記第2の後部チャンバが異なる音響インピーダンスを有する、請求項7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記1つの低周波音響ドライバの前記第1の前部チャンバの音響インピーダンスと前記第1の後部チャンバの音響インピーダンスとの音響インピーダンス比が、前記1つの高周波音響ドライバの前記第2の前部チャンバの音響インピーダンスと前記第2の後部チャンバの音響インピーダンスとの音響インピーダンス比を超える、請求項7または8に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記1つの低周波音響ドライバの前記第1の前部チャンバの音響インピーダンスと前記第1の後部チャンバの音響インピーダンスとの音響インピーダンス比が0.8~1.2の範囲内にある、請求項9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記第1の音響経路が、音誘導管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、または調整ネットワークのうちの少なくとも1つを含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記2つの第1の音誘導穴から出力される前記第1の周波数範囲における前記音の位相差が第1の位相差であり、前記2つの第2の音誘導穴から出力される前記第2の周波数範囲における前記音の位相差が第2の位相差であり、前記第1の位相差の絶対値が前記第2の位相差の絶対値よりも小さい、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記第1の位相差の前記絶対値が160~180度の範囲内にあり、前記第2の位相差の前記絶対値が170~180度の範囲内にある、請求項12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記1つの低周波音響ドライバが、異なる音路に基づいて前記2つの第1の音誘導穴から前記音を出力し、前記1つの高周波音響ドライバが、異なる音路に基づいて前記2つの第2の音誘導穴から前記音を出力する、請求項13に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年9月19日に提出された中国出願番号201910888067.6の優先権、2019年9月19日に提出された中国出願番号201910888762.2の優先権、および2019年4月30日に提出された中国出願番号201910364346.2の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、音響学の分野、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0003】
開放型両耳音響出力装置は、ユーザの特定の範囲内での音の伝導を容易にする携帯型オーディオ出力装置である。従来のインイヤーヘッドフォンやオーバーイヤーヘッドフォンと比較して、開放型両耳音響出力装置は、外耳道を塞いだり覆ったりしないという特徴があり、音楽を聴きながら周囲環境で音情報を取得できるため、安全性と快適性が向上する。開放型構造を採用しているため、開放型両耳音響出力装置の音漏れは、従来のヘッドフォンよりも深刻な場合がある。現在、業界では、2つまたは複数の音源を使用して特定の音場を構築し、音圧分布を調整して音漏れを低減するのが一般的である。この方法は、漏れた音をある程度低減する効果はあるが、それでも限界がある。例えば、この方法は、音漏れを抑える一方で、ユーザに送る音の音量も低減する。また、周波数の異なる音の波長が異なるため、高周波漏れの抑制効果が弱い。
【0004】
したがって、ユーザの聴取音量を上げ、漏れを低減するための音響出力装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態の1つは、音響出力装置を提供する。音響出力装置は、少なくとも2つの第1の音誘導穴から音を出力する少なくとも1つの低周波音響ドライバと、少なくとも2つの第2の音誘導穴から音を出力する少なくとも1つの高周波音響ドライバと、少なくとも1つの高周波音響ドライバおよび少なくとも1つの低周波音響ドライバを支持し、少なくとも2つの第1の音誘導穴および少なくとも2つの第2の音誘導穴を、ユーザの耳の位置から離れて配置するように構成された支持構成要素とを備える。
【0006】
いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバから出力される音は第1の周波数範囲にあり、高周波音響ドライバから出力される音は第2の周波数範囲にあり、第2の周波数範囲は第1の周波数範囲よりも高い周波数を含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲は650Hz未満の周波数を含み、第2の周波数範囲は1000Hzを超える周波数を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の周波数範囲および第2の周波数範囲は重複する。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの第1の音誘導穴および少なくとも2つの第2の音誘導穴が支持構成要素上に配置されている。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの第1の音誘導穴から出力される音の振幅比は、第1の振幅比であり得、少なくとも2つの第2の音誘導穴から出力される音の振幅比は、第2の振幅比であり得る。第1の振幅比は、第2の振幅比よりも大きくてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の振幅比および第2の振幅比は、1~1.5の範囲内にある。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波音響ドライバから少なくとも2つの第1の音誘導穴への第1の音響経路は、音響抵抗材を含む。音響抵抗材は音響インピーダンスを有し、第1の振幅比に影響を与える。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの高周波音響ドライバから少なくとも2つの第2の音誘導穴への第2の音響経路は、音響抵抗材を含む。音響抵抗材は音響インピーダンスを有し、第2の振幅比に影響を与える。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波音響ドライバは、少なくとも1つの低周波音響ドライバの第1の前部チャンバおよび第1の後部チャンバを画定する第1のハウジング内に配置され得る。少なくとも1つの低周波音響ドライバの第1の前部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴のうちの一方に音響的に結合され得る。少なくとも1つの低周波音響ドライバの第1の後部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴のうちの他方に音響的に結合され得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの高周波音響ドライバは、少なくとも1つの高周波音響ドライバの第2の前部チャンバおよび第2の後部チャンバを画定する第2のハウジング内に配置され得る。少なくとも1つの高周波音響ドライバの第2の前部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴のうちの一方に音響的に結合され得る。少なくとも1つの高周波音響ドライバの第2の後部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴のうちの他方に音響的に結合され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波音響ドライバの第1の前部チャンバおよび第1の後部チャンバは、異なる音響インピーダンスを有し、少なくとも1つの高周波音響ドライバの第2の前部チャンバおよび第2の後部チャンバは、異なる音響インピーダンスを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波音響ドライバの第1の前部チャンバおよび第1の後部チャンバの音響インピーダンス比は、少なくとも1つの高周波音響ドライバの第2の前部チャンバおよび第2の後部チャンバの音響インピーダンス比を超え得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波音響ドライバの第1の前部チャンバおよび第1の後部チャンバの音響インピーダンス比は、0.8~1.2の範囲であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の音響経路は、音誘導管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、または調整ネットワークのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の音響経路に対応する音誘導管の直径は、1.5mm以上であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の音響経路に対応する音誘導管の直径は、10mm以下であり得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、音響出力装置内の音誘導管の長さは、100mm以下であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの第1の音誘導穴から出力される音の位相差は、第1の位相差であり得、少なくとも2つの第2の音誘導穴から出力される音の位相差は、第2の位相差であり得る。第1の位相差の絶対値は、第2の位相差の絶対値よりも小さくてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の位相差の絶対値は、160~180度の範囲内にあり、第2の位相差の絶対値は、170~180度の範囲内にある。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの低周波音響ドライバは、異なる音響経路に基づいて少なくとも2つの第1の音誘導穴から音を出力し、少なくとも1つの高周波音響ドライバは、異なる音響経路に基づいて少なくとも2つの第2の音誘導穴から音を出力する。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの第1の音誘導穴に音響的に結合された少なくとも1つの低周波音響ドライバの音響経路の比は、0.5~2の範囲にある。
【0026】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの第1の音誘導穴は、異なるサイズまたは形状を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの第2の音誘導穴は、異なるサイズまたは形状を有する。
【0028】
本開示は、例示的な実施形態に関してさらに説明される。これらの例示的な実施形態は、図面を参照して詳細に説明されている。これらの例は限定的なものではない。これらの例では、同じ番号は同じ構造を示す。ここで、
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示的な二重点音源を示す概略図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態による、特定の距離を有する二重点音源および周波数を有する単一点音源の聴取音および漏れた音の変化を示す概略図である。
図3図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の振幅比を有する二重点音源の聴取音および漏れた音の変化を示すグラフである。図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の位相差を伴う、二重点音源の聴取音および漏れた音の変化を示すグラフである。
図4】本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態による2つの二重点音源を示す概略図である。
図6図6A図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、異なる音の周波数に対する音誘導管のパラメータの変化を示すグラフである。
図7】本開示のいくつかの実施形態による、音誘導管の長さおよび直径に対する音出力の変化を示すグラフである。
図8】本開示のいくつかの実施形態による、異なる長さの音誘導管によって出力される音圧の変化を示すグラフである。
図9】本開示のいくつかの実施形態による2つの二重点音源を示す概略図である。
図10A】本開示のいくつかの実施形態による、2つの二重点音源を備えた音響出力装置の漏れた音の例示的なグラフである。
図10B】本開示のいくつかの実施形態による、2つの二重点音源を備えた音響出力装置の漏れた音の例示的なグラフである。
図10C】本開示のいくつかの実施形態による、2つの二重点音源を備えた音響出力装置の漏れた音の例示的なグラフである。
図10D】本開示のいくつかの実施形態による、2つの二重点音源を備えた音響出力装置の漏れた音の例示的なグラフである。
図11】本開示のいくつかの実施形態による、複数の音誘導穴を備えた携帯電話を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示の実施形態に関連する技術的解決策を説明するために、実施形態の説明を参照した図面の簡単な紹介を以下に提供する。明らかに、以下に説明する図面は、本開示のいくつかの実施例または実施形態にすぎない。さらなる創造的な努力なしに、当技術分野で通常の技能を有する者は、これらの図面に従って、本開示を他の同様のシナリオに適用することができる。文脈から明らかに得られた場合、または文脈が別の方法で示した場合を除き、図面内の同じ数字は同じ構造または操作を指す。
【0031】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」、および/または「モジュール」という用語は、異なるレベルの異なる構成要素、要素、部品、部分、またはアセンブリを昇順で区別するための1つの方法であることが理解されよう。ただし、他の単語が同じ目的を達成し得る場合は、その単語を他の表現に置き換えることができる。
【0032】
本開示および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形での記載は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含む。一般に、「備える」、「有する」、「含む」という用語は、明確に識別されたステップおよび要素を含めるように促すだけであり、これらのステップおよび要素は排他的なリストを構成するものではない。方法または装置はまた、他のステップまたは要素を含み得る。
【0033】
本開示で使用されるフローチャートは、本開示のいくつかの実施形態に従ってシステムが実施する動作を示している。なお、上記または以下の動作は、この順序で正確に実行されなくてもよい。代わりに、ステップを逆の順序で、または同時に処理することができる。さらに、これらの手順に他の操作を追加したり、これらの手順から1つまたは複数のステップを削除したりすることもできる。
【0034】
本開示は、音響出力装置を提供する。ユーザが音響出力装置を装着するとき、音響出力装置は、少なくともユーザの頭の片側に、ユーザの耳の近くに、しかしユーザの耳を塞がないように配置され得る。音響出力装置は、ユーザの頭に装着することができる(例えば、眼鏡、ヘッドバンド、または他の構造的手段を装着した非耳開放ヘッドセット)か、またはユーザの他の身体部分に装着することができる(例えば、ユーザの首/肩の領域)か、または他の手段(ユーザがそれを保持する方法など)によってユーザの耳の近くに配置することができる。音響出力装置は、高周波音響ドライバの少なくとも1つのグループおよび低周波音響ドライバの1つのグループを含む、音響ドライバの少なくとも2つのグループを含み得る。音響ドライバの各グループは、特定の周波数範囲の音を生成するために使用することができ、音は、音響的に結合された少なくとも2つの音誘導穴を通して外側に伝達することができる。
【0035】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な二重点音源を示す概略図である。音響出力装置への音誘導穴の設定が音響出力装置の音響出力効果に及ぼす影響をさらに説明するために、音が音誘導穴から外側に伝播していると見なすことができると考えると、本開示は、音響出力装置の音誘導穴を、外部から音を出力するための音源として説明することができる。
【0036】
説明の便宜上および例示の目的で、音響出力装置の音誘導穴のサイズが小さい場合、各音誘導穴は、点音源とほぼ見なすことができる。いくつかの実施形態では、音を出力するために音響出力装置に設けられた任意の音誘導穴は、音響出力装置上の一点音源として近似することができる。一点音源によって生成される音場圧力pは、式(1)を満たすことができる。
【数1】
ここで、ωは角周波数、pは空気密度、rは対象点と音源との間の距離、Qは音源の音量速度、kは波数を示す。点音源の音場の音場圧力の大きさは、点音源までの距離に反比例すると結論付けることができる。
【0037】
なお、点音源として音を出力するための音誘導穴は、本開示の原理と効果を説明するものにすぎず、実際の用途では音誘導穴の形状や大きさを制限するものではない。いくつかの実施形態では、音誘導穴の面積が大きい場合、音誘導穴はまた、平面音響源と同等であり得る。いくつかの実施形態では、点音源は、振動面および音響放射面などの他の構造によっても実現され得る。当業者にとって、創造的な活動なしに、音誘導穴、振動面、および音響放射面などの構造によって生成される音は、本開示で論じられる空間スケールでの点音源と同等であり得ることが知られ得、一貫した音の伝播特性と同じ数学的記述方法を有し得る。さらに、当業者にとって、創造的な活動なしに、本開示で説明される「音響ドライバが少なくとも2つの第1の音誘導穴から音を出力する」ことによって達成される音響効果は、他の音響構造、例えば、「それぞれが少なくとも1つの音響放射面から音を出力する少なくとも2つの音響ドライバ」によっても同じ効果を達成することができることが知られ得る。実際の状況に応じて、調整および組み合わせのために他の音響構造を選択することができ、同じ音響出力効果を達成することもできる。表面音源などの構造で音を外側に放射する原理は、点音源の原理と類似している可能性があり、ここでは繰り返さない場合がある。
【0038】
上記のように、本明細書で提供される音響出力装置には、同じ音響ドライバに対応する少なくとも2つの音誘導穴を設定することができる。この場合、2つの点音源(二重点音源とも呼ばれる)が形成され、周囲環境に伝達される音が減少し得る。便宜上、音響出力装置から周囲環境への音出力は、環境内の他の人に聞こえ得るため、遠距離場漏れと呼ばれることがある。音響出力装置から音響出力装置を装着しているユーザの耳への音響出力は、音響出力装置とユーザとの間の距離が比較的短い可能性があるため、近距離場音と呼ばれることもある。いくつかの実施形態では、2つの音誘導穴(すなわち、二重点音源)から出力される音は、特定の位相差を有する。本開示における2つの音誘導穴から出力される2つの音の間の位相差は、2つの音誘導穴の間の位相差、または2つの音誘導穴に対応する2つの点音源間の位相差または二重点音源の位相差とも呼ばれ得ることに留意されたい。2つの点音源の位置、振幅、位相差が一定の条件を満たす場合、音響出力装置は、近距離場(例えば、ユーザの耳の位置)と遠距離場で異なる効果音を出力することができる。例えば、2つの音誘導穴に対応する点音源の位相が逆である場合、すなわち、2つの点音源間の位相差の絶対値が180度である場合、逆位相キャンセルの原理に従って遠距離場漏れを低減することができる。
【0039】
図1に示すように、二重点音源によって生成される音場の音圧pは、次式(2)を満たし得る。
【数2】
ここで、AおよびAは2つの点音源の強度を示し、φおよびφはそれぞれ2つの点音源の位相を示し、dは2つの点音源間の距離を示し、rおよびrは式(3)を満たし得る。
【数3】
ここで、rは任意の対象点と空間内の二重点音源の中心との間の距離を示し、θは対象点と二重点音源の中心を結ぶ線と上の別の線との間の角度を示す。二重点音源を配置することができる。
【0040】
式(3)によれば、音場内の対象点の音圧pは、各点音源の強度、距離d、2つの点音源の位相、および2つの点音源までの距離に関係し得る。
【0041】
音誘導穴の設定を変えることで、出力効果の異なる二重点音源を形成することができる。この場合、近距離場音の音量が改善され、遠距離場の漏れが減少し得る。例えば、音響ドライバは、振動ダイアフラムを含み得る。振動ダイアフラムが振動すると、振動ダイアフラムの前側と後側からそれぞれ音が伝わり得る。音響出力装置の振動ダイアフラムの前側は、音を伝達するための前部チャンバを備えていてもよい。前部チャンバは、音響的に音誘導穴と結合することができる。振動ダイアフラムの前側から伝達された音は、前部チャンバを通って音誘導穴に伝達され、さらに外側に伝達され得る。音響出力装置の振動ダイアフラムの後側には、音を伝達するための後部チャンバを設けることができる。後部チャンバは、音響的に別の音誘導穴と結合され得、振動ダイアフラムの後側から伝達された音は、後部チャンバを通って音誘導穴に伝達され、さらに外側に伝播し得る。なお、振動ダイアフラムが振動する場合、振動ダイアフラムの前側と後側がそれぞれ逆位相の音を発生することがある。いくつかの実施形態では、前部チャンバおよび後部チャンバの構造は、異なる音誘導穴で音響ドライバによって出力される音が特定の条件を満たすことができるように特別に設定され得る。例えば、前部チャンバおよび後部チャンバの長さは、特定の位相関係(例えば、逆位相)を有する音が2つの音誘導穴で出力され得るように特別に設計され得る。その結果、音響出力装置の近距離場での音量が小さく、遠距離場での音漏れの問題が効果的に解決され得る。
【0042】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、特定の距離を有する二重点音源および周波数を有する単一点音源の聴取音および漏れた音の変化を示す概略図である。
【0043】
特定の条件下では、単一点音源と比較して、二重点音源の遠距離場漏れの音量が周波数とともに増加し得る。言い換えれば、遠距離場における二重点音源の漏れ低減能力は、周波数が高くなるにつれて低下し得る。さらなる説明のために、周波数を伴う遠距離場漏れの曲線が、図2に関連して説明され得る。
【0044】
図2の2つの点音源間の距離は固定され得、2つの点音源は同じ振幅および逆位相を有し得る。点線は、異なる周波数での単一点音源の音量の変動曲線を示し得る。実線は、異なる周波数での二重点音源の漏れた音の音量の変動曲線を示し得る。図の横軸は音の周波数(f)を表し、単位はヘルツ(Hz)である。ダイアグラムの縦軸は、正規化パラメータαを使用して、漏れた音の音量を評価することができる。パラメータαの計算式は次のようになる。
【数4】
ここで、Pfarは、遠距離場の音響出力装置の音圧(つまり、遠距離場音漏れの音圧)を示す。Pearは、ユーザの耳の周りの音圧(つまり、近距離場音の音圧)を示す。αの値が大きいほど、聞こえる近距離場音に比べて遠距離場漏れが大きくなる可能性があり、遠距離場漏れを低減するための音響出力装置の能力が悪化し得ることを示している。
【0045】
図2に示すように、周波数が6000Hz未満の場合、二重点音源によって生成される遠距離場漏れは、単一点音源によって生成される遠距離場漏れよりも少なく、周波数が高くなるにつれて増加し得る。周波数が10000Hzに近い場合(例えば、約8000Hz以上)、二重点音源によって生成される遠距離場漏れは、単一点音源によって生成される遠距離場漏れよりも大きくなり得る。いくつかの実施形態では、二重点音源と単一点音源の変動曲線の交点に対応する周波数は、二重点音源が漏れを低減することができる上限周波数として決定され得る。
【0046】
図2に関連して、周波数の分周点は、音漏れを低減する際の二重点音源の能力の変動傾向によって決定され得る。二重点音源のパラメータは、音響出力装置の音漏れを低減するために、分周点に応じて調整することができる。例えば、特定の値(例えば、-60dB、-70dB、-80dB、-90dBなど)のαに対応する周波数を分周点として使用することができる。二重点音源のパラメータは、周波数帯域を分周点より下に設定して近距離場音を改善し、周波数帯域を分周点より上に設定して遠距離場音漏れを低減することによって決定できる。説明のために、-80dBの値のαに対応する周波数1000Hzを分周点として使用することができる。周波数が比較的小さい場合(例えば、100Hzから1000Hzの範囲)、二重点音源の音漏れを低減する能力が比較的強い場合がある(つまり、αの値が、-80dB未満と小さい場合がある)。このような周波数帯域では、最適化の目標として、聞こえる音の音量を上げることが決定され得る。周波数が比較的高い場合(例えば、1000Hzから8000Hzの範囲)、二重点音源の音漏れを低減する能力は比較的弱い可能性がある(つまり、αの値が、-80dB超と大きい場合がある)。このような周波数帯域では、音漏れの減少が最適化の目標として決定され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、比較的高い音の周波数を有する高周波帯域(例えば、高周波音響ドライバによる音出力)および比較的低い音の周波数を有する低周波帯域(例えば、低周波音響ドライバによる音出力)は、分周点に基づいて決定され得る。本明細書で使用される場合、本開示の実施形態における低周波帯域は、比較的低い周波数を有する第1の周波数範囲を指し、高周波帯域は、比較的高い周波数を有する第2の周波数範囲を指す。第1の周波数範囲および第2の周波数範囲は、重複する周波数範囲を含んでも含まなくてもよい。第2の周波数範囲は、第1の周波数範囲よりも高い周波数を含み得る。単なる例として、第1の周波数範囲は、第1の周波数閾値よりも低い周波数を含み得、第2の周波数範囲は、第2の周波数閾値よりも高い周波数を含み得る。第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値よりも低いか、等しいか、または高い可能性がある。例えば、第1の周波数閾値が第2の周波数閾値よりも小さい場合があり(例えば、第1の周波数閾値が600Hzで、第2の周波数範囲が700Hzの場合がある)、これは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複がないことを示す。別の例として、第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値に等しくあり得る(例えば、第1の周波数閾値および第2の周波数閾値の両方は、650Hzまたは他の任意の周波数値であり得る)。さらなる例として、第1の周波数閾値は、第2の周波数閾値よりも大きくてもよく、これは、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複があることを示す。そのような場合、第1の周波数閾値と第2の周波数閾値との間の差は、第3の周波数閾値を超えてはならない。第3の周波数閾値は、一定値(例えば、20Hz、50Hz、100Hz、150Hz、200Hz)であり得るか、または第1の周波数閾値および/または第2の周波数閾値に関連する値(例えば、第1の周波数閾値の5%、10%、15%等)、または実際のシーンに応じてユーザが柔軟に設定する値であり、ここに限定されない。なお、第1の周波数閾値と第2の周波数閾値は、ここに限定されない様々な状況に応じて柔軟に設定することができる。
【0048】
上記のように、分周点は、第1の周波数範囲を第2の周波数範囲から区別する信号周波数であり得る。例えば、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲との間に重複する周波数範囲がある場合、分周点は、重複する周波数範囲の特徴点であり得る(例えば、重複する周波数範囲の低周波数境界点、高周波数境界点、または中心周波数点など)。いくつかの実施形態では、分周点は、周波数と音響出力装置の音漏れとの間の関係に従って決定され得る。例えば、音響出力装置の漏れた音が周波数によって変化することを考慮すると、ある条件を満たす漏れた音の音量に対応する周波数点を、図2の1000Hzなどの分周点として指定することができる。いくつかの代替の実施形態では、ユーザは、特定の周波数を分周点として直接指定することができる。例えば、人間の耳が20Hz~20kHzの音の周波数範囲を聞く可能性があることを考慮して、ユーザは、その範囲内の周波数点を分周点として選択することができる。例えば、分周点は、600Hz、800Hz、1000Hz、1200Hzなどであり得る。いくつかの実施形態では、分周点は、音響ドライバの性能に従って決定され得る。例えば、低周波音響ドライバと高周波音響ドライバの周波数応答曲線が異なることを考慮すると、分周点は、低周波音響ドライバの上限周波数の1/2よりも高く、高周波音響ドライバの下限周波数の2倍未満の周波数範囲から決定することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、音漏れを測定および計算するための方法は、実際の条件に従って調整され得る。例えば、半径40cmの二重点音源を中心とする球面上の複数点の音圧の振幅の平均値を音漏れの値として決定することができる。別の例として、遠距離場位置の1つまたは複数の点を音漏れを測定するための位置と見なすことができ、その位置の音量を音漏れの値と見なすことができる。別の例として、二重点音源の中心を円の中心として使用することができ、遠距離場の特定の空間角に従って均等にサンプリングされた2つ以上の点の音圧振幅を平均することができ、平均値は、音漏れの値と見なすことができる。これらの測定および計算方法は、実際の条件に従って当業者によって調整することができ、限定することを意図しない場合がある。
【0050】
図2によれば、高周波帯域(分周点に従って決定されるより高い周波数帯域)において、二重点音源は、音漏れを低減する弱い能力を有し得、低周波帯域において、周波数帯域(分周点に応じて決定される低周波帯域)では、二重点音源は音漏れを低減する強力な機能を有し得る。特定の音の周波数では、2つの点音源の振幅や位相差などが異なる場合があり、2つの点音源の音漏れを低減する能力が異なり得、聞こえる音や漏れた音の大きさも異なり得る。より良い説明のために、2つの点音源間の距離の関数としての遠距離場漏れの曲線が、図3Aおよび図3Bを参照して説明され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、二重点音源によって生成される聴取音および漏れた音は、二重点音源における2つの点音源の振幅に関連し得る。図3Aは、本開示のいくつかの実施形態による、2つの点音源の振幅比を有する二重点音源の聴取音および漏れた音の変化を示すグラフである。本明細書で使用される場合、振幅比は、2つの点音源から出力される音のより大きな振幅とより小さな振幅との比を指す。本開示における2つの音誘導穴から出力される2つの音の振幅比は、2つの音誘導穴の振幅比、または2つの音誘導穴に対応する2つの点音源の振幅比、または二重点音源の振幅比とも呼ばれ得ることに留意されたい。図3Aに示すように、実線は、振幅を伴う二重点音源の近距離場の聴取音の変動曲線を表し、点線は、振幅を伴う二重点音源の遠距離場の漏れた音の変動曲線を表す。横軸は2つの点音源間の振幅比を表し、縦軸は音量を表す。聴取音と漏れた音との相対的な変化をよりよく反映するために、聴取音量は漏れ音量に基づいて正規化することができる。つまり、縦軸は実際の音量と漏れ音量との比を反映する(つまり、|P|/|Pfar|)。
【0052】
図3Aによれば、二重点音源の聴取音および漏れた音は、特定の周波数であり得る。特定の周波数では、2つの点音源間の振幅比が一定の範囲内で増加すると、二重点音源の聴取音量の増加が漏れ音量の増加よりも大幅に大きくなり得る。図3Aに示すように、2つの点音源間の振幅比A/Aが1~1.5の範囲内で変化する場合、聴取音量の増加は、漏れ音量の増加よりも明らかに大きい可能性がある。つまり、このような場合、2つの点音源間の振幅比が大きいほど、二重点音源の方が近距離場の聴取音量が大きくなり、遠距離場の漏れ音量が少なくなる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比がさらに増加するにつれて、聴取音源の正規化された曲線の勾配は徐々に0になる傾向があり、聴取音源の正規化された曲線は、正規化された漏れ音量の曲線と徐々に平行になる傾向があり、これは、聴取音量の増加が漏れ音量の増加と実質的に同じであることを示している。図3Aに示すように、2つの点音源間の振幅比A/Aが2より大きい範囲内で変化する場合、聴取音量の増加は、漏れ音量の増加と実質的に同じであり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、二重点音源がより大きな近距離場の聴取音量およびより小さな遠距離場の漏れ音量を生成できることを保証するために、2つの点音源間の振幅比を1~5の範囲内に設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比は、1~4.5の範囲に設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比は、1~4の範囲で設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比は、1~3.5の範囲に設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比は、1~3の範囲に設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比は、1~2の範囲に設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の振幅比は、1~1.5の範囲に設定することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、二重点音源によって生成される聴取音および漏れた音は、2つの点音源の位相に関連し得る。図3Bは、本開示のいくつかの実施形態による、二重点音源における2つの点音源間の位相差を伴う、二重点音源の聴取音および漏れた音の変化を示すグラフである。図3Aと同様に、図3Bに示されるように、実線は、位相差を伴う二重点音源の近距離場聴取音の変動曲線を表し、点線は、位相差のある二重点音源の遠距離場の漏れ音の変動曲線を表す。横軸は2つの点音源間の位相差を表し、縦軸は音量を表す。聴取音と漏れた音との相対的な変化をよりよく反映するために、聴取音量は漏れ音量に基づいて正規化することができる。つまり、縦軸は実際の音量と漏れ音量の比を反映する(つまり、|P|/|Pfar|)。
【0055】
図3Bによれば、二重点音源の聴取音および漏れた音は、特定の周波数であり得る。特定の周波数では、2つの点音源間の位相差が変化すると、二重点音源の聴取に対応する正規化された曲線がピークを形成し得る。図3Bに示すように、ピークに対応する2つの点音源間の位相差の絶対値は、約170度であり得る。ピーク時には、二重点音源の正規化された聴取音量が最大になる。これは、二重点音源が漏れ音量を変えずに大きな聴取音量を生成し得ること、または二重点音源が聴取音量を維持しながら漏れ音量を小さくし得ることを示している。
【0056】
異なる周波数では、聴取音量の正規化された曲線のピークに対応する位相差がシフトまたは変化し得ることに注意する必要がある。いくつかの実施形態では、特定の音の周波数範囲内(例えば、人間の耳の可聴周波数範囲内)で、二重点音源がより大きな近距離場の聴取音量およびより小さな遠距離場の漏れ音量を生成できることを確実にするために、2つの点音源間の位相差の絶対値を一定の範囲に設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の位相差の絶対値は、180度から120度の範囲で設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の位相差の絶対値は、180度から140度の範囲で設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の位相差の絶対値は、180度から150度の範囲で設定することができる。いくつかの実施形態では、2つの点音源間の位相差の絶対値は、180度から160度の範囲で設定することができる。
【0057】
上記の説明によれば、特定の手段によって二重点音源のパラメータを調整することにより、近距離場の聴取音量の増加は、遠距離場の漏れ音量の増加よりも大きくなり得ることが分かる。実際の用途では、二重点音源の振幅および/または位相差を制限または調整して、異なる周波数での二重点音源の音響特性に基づいて、二重点音源の音響出力効果をより良く改善することができる。例えば、高周波二重点音源と低周波二重点音源を設定することができる。各二重点音源の2つの音源の振幅比を一定の手段で調整することにより、高周波二重点音源の2つの音源間の振幅比が、低周波二重点音源の2つの音源間の振幅比と異なり得る。具体的には、低周波二重点音源は音漏れが少なく(つまり、漏れ低減能力が強い)、高周波二重点音源は音漏れが大きい(つまり、漏れ低減能力が弱い)ことを考慮すると、低周波二重点音源の2つの音源間の振幅比は、高周波二重点音源の2つの音源間の振幅比よりも大きくなるように設定して、低周波二重点音源の聴取音源を大きくすることができる。別の例として、高周波二重点音源および低周波二重点音源を設定することができる。各二重点音源の2つの音源の位相差を一定の手段で調整することにより、高周波二重点音源の2つの音源間の位相差の絶対値が低周波二重点音源の2つの音源間の位相差の絶対値と異なり得る。具体的には、低周波二重点音源と高周波二重点音源に対応する正規化された聴取音源が異なることを考慮すると、高周波の2つの音源間の位相差の絶対値二重点音源は、低周波二重点音源の2つの音源間の位相差の絶対値よりも大きい場合と小さい場合がある。
【0058】
図4は本開示のいくつかの実施形態による例示的な音響出力装置を示す概略図である。
【0059】
図4に示すように、音響出力装置100は、電子分周モジュール110、音響ドライバ140、音響ドライバ150、音響経路145、音響経路155、少なくとも2つの第1の音誘導穴147、および少なくとも2つの第2の音誘導穴157を備え得る。いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、コントローラ(図には示されていない)をさらに備え得る。コントローラの一部としての電子分周モジュール110は、異なる音響ドライバに入力される電気信号を生成するように構成され得る。音響出力装置100内の異なる構成要素間の接続は、有線または無線であり得る。例えば、電子分周モジュール110は、有線伝送または無線伝送を介して、音響ドライバ140および/または音響ドライバ150に信号を送信することができる。
【0060】
電子分周モジュール110は、ソース信号の周波数を分割することができる。ソース信号は、音響出力装置100に統合された1つまたは複数の音源装置(例えば、オーディオデータを格納するメモリ)から来ることができる。ソース信号はまた、音響出力装置100が有線または無線手段によって受信したオーディオ信号であり得る。いくつかの実施形態では、電子分周モジュール110は、入力ソース信号を、異なる周波数を含む2つ以上の分周信号に分解することができる。例えば、電子分周モジュール110は、ソース信号を、高周波音を伴う第1の分周信号(または分周信号1)と、低周波音を伴う第2の分周信号(または分周信号2)とに分解することができる。便宜上、高周波音を伴う分周信号を高周波信号と呼び、低周波音を伴う分周信号を直接低周波信号と呼ぶことができる。低周波信号は、第1の周波数範囲の周波数を有する音声信号を指す場合がある。高周波信号は、第2の周波数範囲の周波数を有する音声信号を指す場合がある。
【0061】
いくつかの実施形態では、電子分周モジュール110は、分周器115、信号プロセッサ120、および信号プロセッサ130を含み得る。分周器115を使用して、ソース信号を、異なる周波数成分を含む2つ以上の分周信号、例えば、高周波音成分を有する分周信号1および低周波音成分を有する分周信号2に分解することができる。いくつかの実施形態では、分周器115は、受動フィルタ、能動フィルタ、アナログフィルタ、デジタルフィルタ、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つを含むがこれらに限定されない、信号分解機能を実施することができる電子装置であり得る。
【0062】
信号プロセッサ120および130は、それぞれ、分周信号をさらに処理して、後続の音出力の要件を満たすことができる。いくつかの実施形態では、信号プロセッサ120または130は、1つまたは複数の信号処理構成要素を含み得る。例えば、信号プロセッサは、増幅器、振幅変調器、位相変調器、遅延器、または動的利得コントローラなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。単なる例として、信号プロセッサ120および/または信号プロセッサ130による音声信号の処理は、音声信号のいくつかの周波数に対応する振幅を調整することを含み得る。具体的には、第1の周波数範囲と第2の周波数範囲が重複する場合、信号プロセッサ120および130は、重複する周波数範囲の周波数に対応する音声信号の強度を調整する(例えば、重複する周波数範囲の周波数に対応する信号の振幅を小さくする)ことができる。これは、複数の音声信号の重ね合わせによって引き起こされる、後続の出力音の重複する周波数範囲での過度の音量を回避するためである。いくつかの実施形態では、信号プロセッサ120および/または信号プロセッサ130による音声信号の処理は、音声信号のいくつかの周波数に対応する位相を調整することを含み得る。
【0063】
処理動作が信号プロセッサ120または130によって実行された後、分周信号は、それぞれ、音響ドライバ140および150に送信され得る。いくつかの実施形態では、音響ドライバ140に送信される音声信号は、より低い周波数範囲(例えば、第1の周波数範囲)を含む音声信号であり得る。したがって、音響ドライバ140は、低周波音響ドライバと呼ばれることもある。音響ドライバ150に送信される音声信号は、より高い周波数範囲(例えば、第2の周波数範囲)を含む音声信号であり得る。したがって、音響ドライバ150は、高周波音響ドライバと呼ばれることもある。音響ドライバ140および音響ドライバ150は、音声信号をそれぞれ低周波音および高周波音に変換し、次に変換された信号を外側に伝播することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ140は、少なくとも2つの第1の音誘導穴(例えば、2つの第1の音誘導穴147など)に音響的に結合され得る(例えば、2つの音響経路145を介して2つの第1の音誘導穴147にそれぞれ接続される)。次に、音響ドライバ140は、少なくとも2つの第1の音誘導穴を通して音を伝播することができる。音響ドライバ150は、少なくとも2つの第2の音誘導穴(例えば、2つの第2の音誘導穴157など)に音響的に結合され得る(例えば、2つの音響経路155を介して2つの第2の音誘導穴157にそれぞれ接続される)。次に、音響ドライバ150は、少なくとも2つの第2の音誘導穴を通して音を伝播することができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置100の遠距離場漏れを低減するために、音響ドライバ140を使用して、それぞれ、少なくとも2つの第1の音誘導穴において等しい(またはほぼ等しい)振幅および逆の(またはほぼ逆の)位相を有する低周波音を生成することができる。音響ドライバ150を使用して、少なくとも2つの第2の音誘導穴で、それぞれ等しい(またはほぼ等しい)振幅および逆の(またはほぼ逆の)位相を有する高周波音を生成することができる。このようにして、音響干渉キャンセルの原理に従って、低周波音(または高周波音)の遠距離場漏れを低減することができる。いくつかの実施形態では、図2図3A、および図3Bによれば、低周波音の波長が高周波音の波長よりも長いことをさらに考慮し、近距離場(例えば、ユーザの耳の位置)での音の干渉キャンセルを低減するために、2つの第1の音誘導穴からの音出力のパラメータ、および2つの第2の音誘導穴からの音出力のパラメータは、異なる値に設定され得る。例えば、2つの第1の音誘導穴の間に第1の振幅比があり、2つの第2の音誘導穴の間に第2の振幅比があると仮定すると、第1の振幅比は、第2の振幅比よりも大きくなり得る。別の例として、2つの第1の音誘導穴の間に第1の位相差の絶対値があり、2つの第2の音誘導穴の間に第2の位相差の絶対値があると仮定すると、第1の位相差の絶対値は、第2の位相差の絶対値よりも小さい。二重点音源のパラメータの詳細は、本開示の他の場所で開示することができる(図5および図9、ならびにそれらの説明など)。
【0065】
図4に示されるように、音響ドライバ140は、変換器143を含み得る。変換器143は、音響経路145を介して第1の音誘導穴147に音を伝達することができる。音響ドライバ150は、変換器153を含み得る。変換器153は、音響経路155を介して第2の音誘導穴157に音を伝達することができる。いくつかの実施形態では、変換器は、ガス伝導性音響出力装置の変換器、骨伝導性音響出力装置の変換器、水力音響変換器、超音波変換器など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、変換器は、可動コイル型、可動鉄型、圧電型、静電型、または磁気拘束型など、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、音響ドライバ(低周波音響ドライバ140、高周波音響ドライバ150など)は、異なる特性または数を有する変換器を含み得る。例えば、低周波音響ドライバ140および高周波音響ドライバ150のそれぞれは、異なる周波数応答特性を有する変換器(低周波スピーカユニットおよび高周波スピーカユニットなど)を含み得る。別の例として、低周波音響ドライバ140は、2つの変換器(2つの低周波スピーカユニットなど)を含み得、高周波音響ドライバ150は、2つの変換器153(2つの高周波スピーカユニットなど)を含み得る。
【0067】
いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置100は、他の手段によって異なる周波数範囲で音を生成することができる。例えば、変換器の分周、音響経路の分周など。音響出力装置100が変換器または音響経路を使用して音を分割する場合、電子分周モジュール110(点線の枠内の部分)を省略してもよい。音響出力装置100が変換器を使用して信号分周を達成する場合、音響ドライバ140および音響ドライバ150は、入力音源信号をそれぞれ低周波音および高周波音に変換することができる。具体的には、変換器143(低周波スピーカなど)を介して、低周波音響ドライバ140は、ソース信号を低周波成分を有する低周波音に変換することができる。低周波音は、少なくとも2つの異なる音響経路に沿って、少なくとも2つの第1の音誘導穴147に伝達され得る。次に、低周波音は、第1の音誘導穴147を通って外側に伝播され得る。変換器153(高周波スピーカなど)を介して、高周波音響ドライバ150は、ソース信号を高周波成分を有する高周波音に変換することができる。高周波音は、少なくとも2つの異なる音響経路に沿って、少なくとも2つの第2の音誘導穴157に伝達され得る。次に、高周波音は、第2の音誘導穴157を通って外側に伝播され得る。
【0068】
いくつかの代替の実施形態では、変換器と音誘導穴とを接続する音響経路(例えば、音響経路145および音響経路155)は、伝達される音の性質に影響を及ぼし得る。例えば、音響経路は、伝達される音の位相をある程度減衰または変化させ得る。いくつかの実施形態では、音響経路は、音響管、音響空洞、共鳴空洞、音穴、音スリット、または調整ネットワークなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、音響経路はまた、特定の音響インピーダンスを有し得る音響抵抗材を含み得る。例えば、音響インピーダンスは、5MKSレイリーから500MKSレイリーの範囲にあり得る。音響抵抗材には、プラスチック、繊維、金属、透過性材料、織物材料、スクリーン材料またはメッシュ材料、多孔質材料、粒子状材料、ポリマー材料など、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、これらに限定されない。異なる音響インピーダンスの音響経路を設定することにより、変換器の音響出力を音響的にフィルタリングすることができ、その結果、異なる音響経路を介して出力される音は、異なる成分(例えば、位相、振幅、周波数など)を有することができる。
【0069】
いくつかの代替の実施形態では、音響出力装置100は、信号分周を達成するために音響経路を利用することができる。具体的には、ソース信号を特定の音響ドライバに入力し、高周波数成分と低周波数成分を含む音に変換することができる。音声信号は、異なる周波数選択特性を有する音響経路に沿って伝播することができる。例えば、音声信号は、ローパス特性を備えた音響経路に沿って対応する音誘導穴に伝播されて、低周波音を生成することができる。この過程で、高周波音はローパス特性を持つ音響経路によって吸収または減衰され得る。同様に、音声信号は、高周波特性を有する音響経路に沿って、対応する音誘導穴に伝播されて、高周波音を生成することができる。この過程で、低周波音は、ハイパス特性を備えた音響経路によって吸収または減衰され得る。
【0070】
音誘導穴(例えば、第1の音誘導穴147、第2の音誘導穴157)は、特定の開口部を有し、音を通過させる音響出力装置上に形成された小さな穴であり得る。音誘導穴の形状は、円形、楕円形、正方形、台形、丸みを帯びた四角形、三角形、不規則な形状、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つを含み得る。また、音響ドライバ140または150に接続される音誘導穴の数は2つに限定されない場合があり、任意の値、例えば3、4、6等であり得る。いくつかの実施形態では、同じ音響ドライバとそれに対応する異なる音誘導穴との間の音響経路は、異なる状況に従って設計され得る。例えば、第1の音誘導穴147(または第2の音誘導穴157)の形状および/またはサイズを設定することによって、または音響経路において特定の減衰を伴う管腔構造または音響減衰材を設定することによって、同じ音響ドライバとそれに対応する異なる音誘導穴との間の音響経路は、ほぼ同じ等価音響インピーダンスを有するように構成することができる。この場合、同じ音響ドライバが同じ振幅と逆位相の2つのグループの音を出力するため、これら2つのグループの音は、異なる音響経路を介して対応する音誘導穴に到達したときに、同じ振幅と逆位相を持つ可能性がある。いくつかの実施形態では、第1の音誘導穴および第2の音誘導穴は、同じまたは異なる構造を有し得る。例えば、第1の音誘導穴の数または数は2であり得、第2の音誘導穴の数または数は4であり得る。別の例として、第1の音誘導穴および第2の音誘導穴の形状は、同じであっても異なっていてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、コントローラ(図には示されていない)を備え得る。コントローラは、低周波音響ドライバ140に第1の周波数範囲の音(すなわち、低周波音)を出力させ、高周波音響ドライバ150に第2の周波数範囲の音(すなわち、高周波音)を出力させることができる。いくつかの実施形態では、音響出力装置100はまた、支持構造を含み得る。支持構造は、音響ドライバ(高周波音響ドライバ150、低周波音響ドライバ140など)を支持するために使用され得、その結果、音響ドライバに対応する音誘導穴は、ユーザの耳から離れて配置される。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバ150と音響的に結合された音誘導穴は、ユーザの耳の予想される位置(例えば、耳道入口)の近くに配置され得、一方、低周波音響ドライバ140と音響的に結合された音誘導穴は、予想される位置からさらに離れて配置され得る。いくつかの実施形態では、支持構造を使用して、音響ドライバをパッケージ化することができる。パッケージ化された音響ドライバの支持構造は、プラスチック、金属、テープなどの様々な材料で作られたケーシングであり得る。ケーシングは、音響ドライバをカプセル化し、音響ドライバに対応する前部チャンバおよび後部チャンバを形成し得る。前部チャンバは、少なくとも2つの音誘導穴のうちの一方に音響的に結合され得る。後部チャンバは、少なくとも2つの音誘導穴のうちの他方に音響的に結合され得る。例えば、低周波音響ドライバ140の前部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴147のうちの一方に音響的に結合され得る。低周波音響ドライバ140の後部チャンバは、少なくとも2つの第1の音誘導穴147のうちの他方に音響的に結合され得る。高周波音響ドライバ150の前部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴157のうちの一方に音響的に結合され得る。高周波音響ドライバ150の後部チャンバは、少なくとも2つの第2の音誘導穴157のうちの他方に音響的に結合され得る。いくつかの実施形態では、音誘導穴(第1の音誘導穴147および第2の音誘導穴157など)をケーシング上に配置することができる。
【0072】
音響出力装置100の上記の説明は、単なる例にすぎない。当業者は、音響ドライバの構造、量などを調整および変更することができ、これは、本開示に限定されない。いくつかの実施形態では、音響出力装置100は、任意の数の音響ドライバ構造を備え得る。例えば、音響出力装置100は、高周波音響ドライバ150の2つのグループおよび低周波音響ドライバ140の2つのグループ、または高周波音響ドライバ150の1つのグループおよび低周波音響ドライバ140の2つのグループを備え得、これらの高周波/低周波数ドライバを使用して、特定の周波数範囲の音を生成することができる。別の例として、音響ドライバ140および/または音響ドライバ150は、追加の信号プロセッサを含み得る。信号プロセッサは、信号プロセッサ120または130と同じまたは異なる構造構成要素を有し得る。
【0073】
図4に示されている音響出力装置およびそのモジュールは、様々な方法で実装され得ることに留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、システムおよびモジュールは、ハードウェア、ソフトウェア、または両方の組み合わせによって実装され得る。ハードウェアは、専用のロジックで実装され得る。ソフトウェアは、適切な命令実行システム、例えば、マイクロプロセッサまたは専用の設計ハードウェアによって実行され得るストレージに格納され得る。上記の方法およびシステムは、コンピュータで実行可能な命令によって実装され、および/またはプロセッサの制御コードに埋め込まれ得ることが当業者には理解されるであろう。例えば、制御コードは、ディスク、CD、またはDVD-ROMなどの媒体、読み取り専用メモリ(例えば、ファームウェア)などのプログラム可能なメモリ装置、または光または電気信号キャリアのようなデータキャリアによって提供され得る。本開示のシステムおよびモジュールは、超大規模集積回路内のプログラマブルハードウェア装置内のハードウェア回路、ゲートアレイチップ、論理チップまたはトランジスタなどの半導体、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、またはプログラマブルロジック装置によっても実装され得る。本開示におけるシステムおよびモジュールはまた、様々なプロセッサによって実行されるソフトウェアによって、さらにはハードウェアおよびソフトウェア(例えば、ファームウェア)の組み合わせによっても実装され得る。
【0074】
音響出力装置100およびその構成要素の上記の説明は、説明の便宜のためだけであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではないことに留意されたい。当業者にとって、装置の原理を理解した後、この原理から逸脱することなく、各ユニットを組み合わせるか、または下部構造を形成して、他のユニットと任意に接続することが可能であることが理解され得る。例えば、信号プロセッサ120または130は、電子分周モジュール110から独立した部分であり得る。これらの変更は、本開示の範囲内に含まれ得る。
【0075】
音響ドライバ(例えば、低周波音響ドライバ140、高周波音響ドライバ150)が、少なくとも2つの音誘導穴(例えば、少なくとも2つの第1の音誘導穴147、少なくとも2つの第2の音誘導穴157)を通して音を出力するとき、少なくとも2つの音誘導穴は、同じまたは異なる音振幅を有する音を出力することができる。例えば、図2によれば、異なる音振幅を有する低周波音を出力する2つの第1の音誘導穴147について、振幅が大きい低周波音と振幅が小さい低周波音との振幅比が大きくなると、図3Aに示されるように、音響出力装置の近距離場の聴取音の増加は、遠距離場の漏れた音の増加よりも大きくてもよく、これは、低周波帯域において、より高い聴取音量およびより低い漏れ音量の出力を達成し得る。別の例として、異なる音振幅を有する高周波音を出力する2つの第2の音誘導穴157について、振幅が大きい高周波音と振幅が小さい高周波音との振幅比が大きくなると、図3Aに示されるように、音響出力装置の近距離場の聴取音の増加は、遠距離場の漏れた音の増加よりも大きくてもよく、これは、高周波帯域において、より高い聴取音量出力およびより低い漏れ音量の出力を達成し得る。したがって、電子分周モジュール、変換器、音響経路、または音誘導穴の構造を合理的に設計することにより、高周波音響ドライバに対応する音誘導穴(すなわち、高周波二重点音源)での高周波音の振幅比と、低周波音響ドライバに対応する音誘導穴(すなわち、低周波二重点音源)での低周波音の振幅比とは、音響出力装置がより良い音出力効果を有し得る特定の条件を満たし得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、低周波二重点音源において、振幅が大きい低周波音と振幅が小さい低周波音との間に第1の振幅比があり、高周波二重点音源において、振幅の大きい高周波音と振幅の小さい高周波音との間に第2の振幅比があると想定される。第1の振幅比および第2の振幅比は任意の値であり得る。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は1より小さくなくてもよく、第2の振幅比は5より大きくなくてもよく、第1の振幅比は第2の振幅比より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は1より小さくなくてもよく、第2の振幅比は4より大きくなくてもよく、第1の振幅比は第2の振幅比より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は1.2より小さくなくてもよく、第2の振幅比は3より大きくなくてもよく、第1の振幅比は第2の振幅比より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は、1.3より小さくなくてもよく、第2の振幅比は2より大きくなくてもよく、第1の振幅比は第2の振幅比より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は、1.3より小さくなくてもよく、第2の振幅比は1.5より大きくなくてもよく、第1の振幅比は第2の振幅比より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は1~3の範囲にあり得、第2の振幅比は1~2の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は、第2の振幅比の少なくとも1.2倍であり得る。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は、第2の振幅比の少なくとも1.5倍であり得る。いくつかの実施形態では、第1の振幅比は、第2の振幅比の少なくとも2倍であり得る。
【0077】
音響出力装置の出力音に対する二重点音源の音源間の振幅比の影響は、図5に示される2つの二重点音源に基づいてさらに説明することができる。
【0078】
図5に示すように、左側の二重点音源(周波数ωの低周波音を出力)は、低周波音響ドライバに対応する2つの音誘導穴に相当し、右側の二重点音源(周波数ωの高周波音を出力)は、高周波音響ドライバに対応する2つの音誘導穴に相当する。簡単にするために、高周波二重点音源と低周波二重点音源の間隔dは同じであると仮定する。なお、実際の音響出力装置においては、音響出力装置は本明細書の他の箇所に記載の低周波二重点音源と高周波二重点音源との間隔関係(例えば、低周波二重点音源間の距離が高周波二重点音源間の距離よりも大きい)と組み合わせて設定することができるが、本開示では限定されない。
【0079】
高周波二重点音源と低周波二重点音源は、それぞれ、逆位相の高周波音のグループと逆位相の低周波音のグループを出力することができる。低周波二重点音源の振幅の大きい点音源と振幅の小さい点音源の振幅比はAであり、高周波二重点音源の振幅の大きい点音源と振幅が小さい点音源との振幅比はAであり、A>Aであり得る。図5によれば、聴取音の位置(聴取音位置とも呼ばれる)は、高周波二重点音源が配置されている線上にあり、聴取音位置と低周波二重点音源の点音源とを結ぶ線は、低周波二重点音源が配置されている線に垂直であり得る。ここでの聴取音位置の選択は、単なる例として使用することができ、本開示の限定ではないことを理解されたい。いくつかの代替の実施形態では、聴取音位置は、任意の適切な位置であり得る。例えば、聴取音位置は、二重点音源の中心線上に配置され得る。別の例として、聴取音位置は、二重点音源の垂直線上に配置され得る。さらなる例として、聴取音位置は、二重点音源の中心を中心とする円上に配置され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、要件を満たす振幅比は、音響出力装置内の異なる構成要素の構造パラメータを調整することによって得ることができる。例えば、音誘導穴で出力される音の振幅は、音響経路の音響インピーダンスを調整することによって変更することができる。例えば、調整ネット、調整綿などのような1つまたは複数の減衰材を、音響経路145または155に追加して、その音響インピーダンスを変更することができる。低周波音響ドライバの前部チャンバと後部チャンバの音響インピーダンス比が第1の音響インピーダンス比であり、高周波音響ドライバの前部チャンバと後部チャンバの音響インピーダンス比が第2の音響インピーダンスであると仮定すると、いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比および第2の音響インピーダンス比は任意の値であり得、第1の音響インピーダンス比は、第2の音響インピーダンス比よりも大きい、よりも小さい、または等しくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比は0.1より小さくなくてもよく、第2の音響インピーダンス比は3より大きくなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比は0.3より小さくなくてもよく、第2の音響インピーダンス比は2より大きくなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比は0.5より小さくなくてもよく、第2の音響インピーダンス比は1.5より大きくなくてもよい。いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比および第2の音響インピーダンス比は、0.8~1.2の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比は、0.5~1.6の範囲にあり得、第2の音響インピーダンス比は、0.6~1.5の範囲にあり得る。いくつかの実施形態では、第1の音響インピーダンス比は、1.0~1.5の範囲にあり得、第2の音響インピーダンス比は、0.7~1.3の範囲にあり得る。
【0081】
いくつかの代替の実施形態では、音響経路の音響インピーダンスは、音響出力装置の音響経路に対応する音誘導管の直径を調整することによって変更され、音誘導穴での音の振幅を調整する目的を達成することができる。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバの2つの音誘導管の管径の比(簡潔にするために直径比とも呼ばれる)(すなわち、より小さな半径の音誘導管の管径と、より大きな音誘導管の管径との比)は、0.8~1.0の範囲に設定され得る。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバの2つの音誘導管の管径の比は、0.95~1.0の範囲に設定され得る。いくつかの実施形態では、高周波音響ドライバの2つの音誘導管の管径は、同じになるように設定され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、音誘導管内の媒体の内部摩擦または粘性力は、音の伝播に重大な影響を及ぼし得る。音誘導管の管径が小さすぎると、過度の音の損失が発生し、音誘導穴での音量が低下し得る。音誘導管の管径が音量に及ぼす影響は、図6Aおよび図6Bと併せて、異なる周波数での音誘導管の管径に関する以下の説明に基づいてさらに説明することができる。
【0083】
図6Aは、本開示のいくつかの実施形態による、異なる音の周波数に対する音誘導管のパラメータの変化を示すグラフである。図6Aは、異なる音の周波数に対する音誘導管の管径の最小値の曲線を示している。縦軸は音誘導管の管径の最小値(センチメートル(cm))であり、横軸は音の周波数(ヘルツ(Hz))である。図6Aに示すように、音の周波数が20Hzから20kHzの範囲にあるとき、音誘導管の、管径(または同等の半径)は、3.5mm以上でなければならない。音の周波数が60Hzから20kHzの範囲にある場合、音誘導管の、管径(または同等の半径)は2mm以上である必要がある。したがって、直径が小さい音誘導管による音響出力装置による人間の耳の可聴範囲内の音の損失を低減するために、音響出力装置の音響経路に対応する音誘導管の管径は、1.5mm以上、2mm以上、または2.5mm以上であり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、音誘導管の管径が大きすぎ、送信音の周波数が特定の周波数よりも高い場合、高次波が音誘導管内で生成され、最終的には、音誘導穴から外側に伝播する音に影響を与え得る。したがって、音誘導管の設計では、送信する音響の周波数範囲で高次の波が生成されず、音誘導管の方向に伝播する平面波のみが生成されるようにする必要がある。図6Bは、本開示のいくつかの実施形態による、異なる音の周波数に対する音誘導管のパラメータの変化を示すグラフである。図6Bは、音伝達の異なる上限遮断周波数に対する音誘導管の管径の最大値の曲線を示している。横軸は音誘導管の管径の最大値(センチメートル(cm))、縦軸は音響伝送の上限カットオフ周波数(キロヘルツ(kHz))である。図6Bに示されるように、音伝達の上限遮断周波数が20kHzである場合、音誘導管の管径(または同等の半径)は5mmを超えてはならない。音伝達の上限遮断周波数が10kHzの場合、音誘導管の管径(または等価半径)は9mmを超えてはならない。したがって、人間の耳の可聴範囲内の音を出力するときに音響出力装置が高次波を生成しないことを保証するために、音響出力装置の音響経路に対応する音誘導管の管径は、例えば、10mmを超えてはならない、または8mmを超えてはならない。
【0085】
いくつかの実施形態では、音響経路の音響インピーダンスは、音響出力装置の音響経路に対応する音誘導管の長さを調整することによって変更され、音誘導穴での音の振幅を調整する目的を達成することができる。音誘導管の長さとアスペクト比(つまり、長さと直径の比)は、送信される音に影響を与え得る。単なる例として、音誘導管によって伝達される音の音圧、音誘導管の長さ、および半径は、式(5)を満たすことができる。
【数5】
ここで、Pは音源の音圧を示し、Lは音誘導管の長さを示し、βは式(6)を満たし得る。
【数6】
ここで、aは音誘導管の半径、cは音の伝播速度、ωは音波の角周波数、η/ρは媒体の動粘度を示す。音誘導管の異なる管径の場合、異なる周波数の音の減衰度は、図7に記載されているように、音誘導管の長さおよびアスペクト比に関連し得る。
【0086】
図7に示すように、音誘導管の管径が一定の場合、音誘導管の長さ(またはアスペクト比)が大きいほど、音誘導管内で伝達される音の減衰度が大きくなり、高周波数帯の音は、低周波数帯の音よりも減衰度が大きい場合がある。したがって、音響出力装置の音の減衰が大きすぎて聴取の音量に影響を及ぼさないようにするために、音響出力装置の音響経路に対応する音誘導管のアスペクト比は、200以下、150以下、または100以下などであり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、音誘導管と音誘導管のノズルの放射インピーダンスとの間の相互作用のために、音誘導管で送信される特定の周波数の音は、その中で定在波を形成し、出力音を特定の周波数で山/谷を形成し、音響出力効果に影響を与える。音誘導管の長さは、定在波の形成に影響を与え得る。図8は、本開示のいくつかの実施形態による、異なる長さの音誘導管によって出力される音圧の変化を示すグラフである。図8に示すように、異なる長さの音誘導管によって出力される音圧の相対値の曲線が示されている。図8によれば、音誘導管の長さが長いほど、音誘導管によって出力される音の山/谷の最小周波数が低くなる可能性があり、山/谷の数が多くなり得る。音響出力効果に対する山/谷の影響を減らすために、音誘導管の長さを特定の条件を満たすように調整することができる。いくつかの実施形態では、音誘導管の長さは200mmを超えてはならず、その結果、出力音は、20Hzから800Hzの範囲で比較的平坦である。いくつかの実施形態では、音誘導管の長さは100mmを超えてはならず、その結果、出力音は平坦であり、20Hzから1500Hzの範囲の山と谷がない。いくつかの実施形態では、音誘導管の長さは50mmを超えてはならず、その結果、出力音は平坦であり、20Hzから3200Hzの範囲の山と谷がない。いくつかの実施形態では、音誘導管の長さは30mmを超えてはならず、その結果、出力音は平坦であり、20Hzから5200Hzの範囲の山と谷がない。
【0088】
いくつかの実施形態では、音誘導管の長さおよび管径(または半径)は、特定の条件を満たすように同時に調整することができる。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は0.5mm以上であり得、音誘導管の長さは150mmを超えてはならない。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は0.5mm以上であり得、音誘導管の長さは100mmを超えてはならない。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は1mm以上であってよく、音誘導管の長さは200mmを超えてはならない。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は1mm以上であり得、音誘導管の長さは150mmを超えてはならない。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は2mm以上であり得、音誘導管の長さは300mmを超えてはならない。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は5mm以上であり得、音誘導管の長さは500mmを超えてはならない。いくつかの実施形態では、音誘導管の管径は5mm以上であり得、音誘導管の長さは350mmを超えてはならない。
【0089】
いくつかの実施形態では、二重点音源の、音源の振幅比の設定は、音響出力装置の音誘導穴の構造を調整することによって達成することができる。例えば、音響出力装置の各音響ドライバに対応する2つの音誘導穴は、それぞれ、異なるサイズ、異なる領域、および/または異なる形状に設定され得る。別の例として、高周波音響ドライバに対応する第2の音誘導穴のサイズと、低周波音響ドライバに対応する第1の音誘導穴のサイズは、異なっていてもよい。さらなる例として、音響出力装置の異なる音響ドライバに対応する音誘導穴は、異なる数に設定され得る。
【0090】
音響出力装置の前述の説明は、単なる例示および説明であり、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示のガイダンスの下で、音響出力装置に様々な修正および変更を行うことができる。しかしながら、これらの修正および変更は、依然として本開示の範囲内である。
【0091】
音響ドライバ(例えば、低周波音響ドライバ140、高周波音響ドライバ150)が、少なくとも2つの音誘導穴(例えば、少なくとも2つの第1の音誘導穴147、少なくとも2つの第2の音誘導穴157)を通して音を出力するとき、少なくとも2つの音誘導穴は、同じまたは異なる位相の音を出力することができる。例えば、異なる位相の低周波音が2つの第1の音誘導穴147から出力され、図3Bの説明によれば、低周波音の位相差の絶対値が170度に近づくと、音響出力装置は、遠距離場の漏れ音量を維持しながら、より大きな聴取音量を生成することができる。別の例として、異なる位相の高周波音が2つの第2の音誘導穴157から出力され、高周波音の位相差の絶対値が170度に近づくと、図3Bの説明によれば、音響出力装置は、近距離場の聴取音量を維持しながら、より小さな漏れ音量を生成することができる。したがって、電子分周モジュール、変換器、音響経路、または音誘導穴の構造を合理的に設計することにより、音誘導穴(すなわち、高周波二重点音源)での高周波音間の位相差高周波音響ドライバに対応する音源)と、低周波音響ドライバに対応する音誘導穴(すなわち、低周波二重点音源)での低周波音との位相差が、音響出力装置がより良い音出力効果を有し得る特定の条件を満たし得る。
【0092】
音響出力装置の出力音に対する二重点音源間の位相差の影響は、図9に示される2つの二重点音源に基づいてさらに説明することができる。
【0093】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による2つの二重点音源を示す概略図である。図9に示すように、左側の二重点音源は、低周波音響ドライバに対応する2つの音誘導穴に相当するものを表し、右側の二重点音源は、高周波音響ドライバに対応する2つの音誘導穴に相当するものを表す。簡単にするために、高周波二重点音源と低周波二重点音源の間隔dは同じであると仮定する。なお、実際の音響出力装置においては、音響出力装置は、本明細書の他の箇所に記載の、本開示では限定されない低周波二重点音源と高周波二重点音源との間隔関係と組み合わせて設定することができる。
【0094】
簡単にするために、高周波二重点音源および低周波二重点音源は、それぞれ、同じ振幅および特定の位相差を有する高周波音のセットと、同じ振幅および特定の位相差を有する低周波音のセットとを出力することができる。いくつかの実施形態では、高周波二重点音源によって出力される高周波音の間の位相差および/または低周波二重点音源によって出力される高周波音の間の位相差を合理的に設計することによって、二重点音源は、単一点音源よりも強力な漏れ低減能力を実現し得る。図9に示すように、聴取音の位置(聴取音位置とも呼ばれる)は、高周波二重点音源が位置する線上にあり、聴取音位置と低周波二重点音源の点音源とを結ぶ線は、低周波二重点音源が配置されている線に垂直であってもよい。ここでの聴取音位置の選択は、単なる例として使用することができ、本開示の限定ではないことを理解されたい。いくつかの代替の実施形態では、聴取音位置は、任意の適切な位置であり得る。例えば、聴取音位置は、二重点音源の中心線上に配置され得る。別の例として、聴取音位置は、二重点音源の垂直線上に配置され得る。さらなる例として、聴取音位置は、二重点音源の中心を中心とする円上に配置され得る。
【0095】
図9に示すように、低周波二重点音源における遠耳音源(左上の点音源)と近耳音源(左下の点音源)の位相差はφと表記でき、高周波二重点音源における遠耳音源(右上の点音源)と近耳音源(右下の点音源)の位相差はφ2と表記でき、φ1およびφ2は式(7)を満たし得る。
【数7】
【0096】
いくつかの実施形態では、要件を満たす位相差は、音響出力装置内の異なる構成要素の構造パラメータを調整することによって得ることができる。例えば、音誘導穴で出力される音の位相は、変換器から音響出力装置の対応する音誘導穴までの音響経路を調整することによって変更することができる。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の音響経路比は、0.4~2.5の範囲にあり得、高周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の音響経路は、同じであり得る。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の音響経路比は、0.5~2の範囲にあり得、高周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の音響経路比は、同じであり得る。いくつかの実施形態では、変換器から音誘導穴までの音響経路は、音誘導管の長さを調整することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の長さ比(すなわち、長い音誘導管の長さと短い音誘導管の長さの比)は、0.4~2.5の範囲内であり得、高周波音響ドライバの2つの音誘導管の長さは同じであり得る。いくつかの実施形態では、低周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の長さ比は、0.8~1.25の範囲にあり得、高周波音響ドライバに対応する2つの音誘導管の長さは、同じであり得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、1つの音響ドライバに対応する音響出力装置上の少なくとも2つの音誘導穴の間の位相差は、音響ドライバまたは上記の説明の1つまたは複数に入力される音声信号を調整することによって調整することができる。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差の絶対値は、2つの第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差の絶対値よりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差は、0度から180度の範囲にあり得、第2の第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差は、120度から180度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差は、90度から180度の範囲にあり得、第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差は、150度から180度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差は、120度から180度の範囲にあり得、第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差は、150度から180度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差は、150度から180度の範囲にあり得、第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差は、150度から180度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差は、160度から180度の範囲にあり得、第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差は、170度から180度の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、2つの第1の音誘導穴から出力される低周波音の位相差および2つの第2の音誘導穴から出力される高周波音の位相差は、両方とも180度であり得る。
【0098】
音響出力装置の前述の説明は、単なる例示および説明であり、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示のガイダンスの下で、音響出力装置に様々な修正および変更を行うことができる。しかしながら、これらの修正および変更は、依然として本開示の範囲内である。例えば、音響出力装置内の二重点音源の、音源の位相差は、音響出力装置の音漏れ低減能力を改善するために、任意の合理的な方法で調整することができる。
【0099】
図10Aから図10Dは、本開示のいくつかの実施形態による、2つの二重点音源を備えた音響出力装置の漏れた音の例示的なグラフである。
【0100】
図10Aに示すように、単一点音源と比較して、異なる振幅比を有する2つの二重点音源を設定することにより、漏れ低減能力を改善することができる。例えば、低周波二重点音源の振幅比はAであり得、高周波二重点音源の振幅比はAであり得る。低周波数範囲では、各二重点音源の振幅比を調整した後(例えば、Aが1より大きい値に設定されている場合)、近距離場の聴取音の増加は、遠距離場の漏れた音の増加よりも大きくなってもよく、これにより、低周波数範囲でより高い近距離場の聴取音量が発生し得る。低周波数域では、二重点音源の遠距離場の漏れた音は元々非常に低いため、二重点音源の振幅比を調整した後でも、わずかに増加した漏れ音は低く保たれ得る。高周波帯域では、高周波二重点音源の、音源の振幅比を設定することにより、Aを1に等しくするか、1に近づけることができるため、高周波帯域で開放型両耳音響出力装置のニーズを満たすためのより強い漏れ低減能力を得ることができる。図10Aによれば、2つの二重点音源から構成されるシステムによって生成される総漏れ音は、7000Hz未満の周波数範囲で低レベルに保たれ得、単一点音源のそれよりも小さくあり得る。
【0101】
図10Bに示すように、単一点音源と比較して、位相差の異なる2つの二重点音源を設定することにより、漏れ低減能力を向上させることができる。例えば、低周波二重点音源の位相差はφであり得、高周波二重点音源の位相差はφであり得る。低周波帯域では、各二重点音源の位相差を調整した後、近距離場の聴取音の増加が遠距離場の漏れた音の増加よりも大きくなってもよく、これにより、低周波数範囲でより高い近距離場の聴取音量が生成され得る。低周波帯域では、二重点音源の遠距離場の漏れた音は元々非常に低いため、二重点音源の位相差を調整した後でも、わずかに増加した漏れ音は低く保たれ得る。高周波域では、高周波二重点音源の、音源の位相差を設定することにより、φを180度または180度近くにすることができるため、高周波帯域において開放型両耳音響出力装置のニーズを満たすより強い漏れ低減能力を得ることができる。
【0102】
図10Aおよび図10Bの低減された総漏れ音の曲線は理想的な状況であり、原理および効果を説明するためだけであることに留意されたい。実際の回路フィルタ特性、変換器周波数特性、音響チャネル周波数特性などの1つまたは複数の要因の影響を受けて、実際の出力低周波音および高周波音は、図10Aおよび図10Bに示す音とは異なり得る。同時に、低周波音と高周波音は、分周点付近の周波数帯域で一定のオーバーラップ(エイリアシング)が発生し得、これにより、図10Aおよび/または図10Bに示されるように、実際の低減された総漏れ音が分周点で急激に変化せず、(例えば、図10Aおよび/または図10Bの細い実線によって示されるように)分周点付近の周波数帯域において漸進的に変化および遷移し得る。これらの違いは、本開示の実施形態によって提供される音響出力装置の全体的な音漏れ低減効果に影響を及ぼさない可能性があることは理解できる。
【0103】
図10Cは、異なる直径比の音誘導管の下での二重点音源の音漏れ低減曲線を示している。図10Cに示すように、特定の周波数範囲(例えば、800Hz~10kHzの範囲)内では、二重点音源の漏れ低減能力は、単一点音源のそれよりも優れている可能性がある。例えば、二重点音源の音誘導管の直径比が1の場合、二重点音源は、より強い音漏れ低減能力を有し得る。別の例として、二重点音源の音誘導管の直径比が1.1の場合、二重点音源の漏れ低減能力は、単一点音源の漏れ低減能力よりも800Hz~10kHzの範囲で優れている可能性がある。さらなる例として、二重点音源の音誘導管の直径比が0.95である場合、二重点音源の音漏れ低減能力は、単一点音源のそれよりもさらに優れている可能性がある。
【0104】
図10Dは、異なる長さの比の音誘導管の下での二重点音源の音漏れ低減曲線を示している。図10Dに示すように、100Hz~1kHzの範囲において、二重点音源の音誘導管の長さの比(すなわち、短い音誘導管の長さに対する長い音誘導管の長さの比)を調整することにより、二重点音源の漏れ低減能力を単一点音源よりも良好に設定することができる。例えば、長さの比は1、1.05、1.1、1.5、2などである。1kHz~10kHzの範囲で、二重点音源の音誘導管の長さの比を1に近く、または等しく調整することにより、二重点音源の漏れ低減能力は、単一点音源よりも優れているように設定することができる。
【0105】
いくつかの他の実施形態では、二重点音源によって出力される音はまた、他の振幅、他の位相、または他の間隔関係を有し得る。いくつかの代替の実施形態では、二重点音源のパラメータは、本開示に限定されない、遠距離場音漏れを低減する音響出力装置の能力を改善するために、他の実行可能な方法で調整され得る。例えば、低周波音響ドライバは1つの音誘導穴からのみ音を出力し(つまり、単一点音源に相当)、高周波音響ドライバは2つの音誘導穴(つまり、二重点音源に相当する)から音を出力するように設定できる。いくつかの実施形態では、複数の二重点音源を使用して、異なる周波数成分を有する音声信号を出力することもできる。
【0106】
音響出力装置の前述の説明は、単なる例示および説明であり、本開示の範囲を限定するものではないことに留意されたい。当業者にとって、本開示のガイダンスの下で、音響出力装置に様々な修正および変更を行うことができる。しかしながら、これらの修正および変更は、依然として本開示の範囲内である。例えば、音響ドライバに300Hz未満の低周波数範囲でより強い低周波数効果を得させるために、より大きな振幅を有する点音源とより小さな振幅を有する点音源の振幅比は、低周波二重点音源を大きく調整したり、低周波二重点音源における2つの点音源間の位相差を0度に近づけて調整したりすることができ、その結果、低周波二重点音源の音出力効果は、単一点音源に近い場合がある。その結果、音響出力装置は、低周波音を環境に出力してより大きくすることができ、近距離場聴取音の低周波成分を増強する効果を有することができる。別の例として、単一点音源を低周波帯域に直接設定して、音響出力装置の低周波信号出力を増強することができる。さらなる例として、実際の近距離場の聴取音および遠距離場漏れ低減の要件に従って、異なる二重点音源を異なる周波数帯域に設定することができる。周波数サブバンドの数は2つ以上であり得る。各周波数サブバンドに対応する二重点音源は、上記の方法の1つまたは組み合わせに基づいて設定することができる。
【0107】
本開示の説明は、音響出力装置の実際の使用シナリオを限定するものではないことを知る必要がある。音響出力装置は、ユーザに音を出力する必要がある任意の装置またはその一部であり得る。例えば、音響出力装置は、携帯電話に適用することができる。図11は、本開示のいくつかの実施形態による、複数の音誘導穴を備えた携帯電話を示す概略図である。図に示されるように、携帯電話1100の上部1120(すなわち、携帯電話ディスプレイの上端面に対して「垂直」)は、本開示の他の場所で説明されるように、複数の音誘導穴を備える。単なる例として、音誘導穴1101は、低周波音を出力するための二重点音源(または点音源アレイ)のグループを構成し得る。2つの音誘導穴1102は、高周波音を出力するための二重点音源(または点音源アレイ)の別のグループを形成することができる。音誘導穴1101の距離は、音誘導穴1102の距離より長くてもよい。携帯電話1100のケーシング内には、低周波音響ドライバ1130および高周波音響ドライバ1140が設けられている。低周波音響ドライバ1130によって生成された低周波音は、音誘導穴1101を通って外側に伝達され得、高周波音響ドライバ1140によって生成された高周波音は、音誘導穴1102を通して外側に伝達され得る。本開示に記載された他の実施形態によれば、ユーザが音声情報に応答するために耳の近くに音誘導穴1101および1102を配置すると、音誘導穴1101および1102は、強力な近距離場音をユーザに発し得、同時に、周囲環境への漏れを減らすことができる。また、携帯電話のディスプレイ上部ではなく、電話上部に音誘導穴を設置することで、携帯電話前側に音誘導穴を設置するためのスペースを節約することができ、携帯電話のディスプレイの面積をさらに拡大することができ、電話の外観もより簡潔で美しくできる。
【0108】
携帯電話の音誘導穴の設定に関する上記の説明は、説明のみを目的としている。原理から逸脱することなく、当業者は構造に調整を加えることができ、調整された構造は依然として本開示の保護範囲内にあることができる。例えば、音誘導穴1101または1102の全部または一部は、携帯電話1100の他の位置にも設定することができる。例えば、バックシェルの上部、サイドシェルの上部など、これらの設定は、ユーザが音声情報を受信するときに大音量を確実に聞くことができ、音声情報が周囲環境に漏れるのを防ぐこともできる。別の例として、低周波音響ドライバ1130および/または高周波音響ドライバ1140は必要ではなく、本開示に記載されている他の方法によって携帯電話1100によって出力された音を分割することもでき、これはここでは繰り返されない。
【0109】
本開示の有益な効果には、(1)高周波二重点音源および低周波二重点音源は、異なる周波数帯域で音を出力するために提供され得、それにより、より良い音響出力効果を達成する、(2)異なる振幅比の二重点音源を設定することにより、音響出力装置は、より高い周波数帯域での音漏れを低減するより強力な能力を有し得、これは、開放型両耳音響出力装置の要件を満たし、それによって静かな環境での良好な音出力効果を得ることができる、(3)位相差の異なる二重点音源を設定することにより、音響出力装置は、低周波帯域での聴取音量が大きくなり、高周波帯域での音漏れを低減する能力が強くなり、開放型両耳音響出力装置の音響出力効果が向上し得る、が含まれ得るが、これらに限定されない。異なる実施形態は、異なる有益な効果を有し得ることに留意されたい。様々な実施形態において、音響出力装置は、上に例示された利点のいずれか1つまたは組み合わせ、および得ることができる任意の他の有益な効果を有し得る。
【0110】
このように基本概念を説明したので、この詳細な開示を読んだ後、前述の詳細な開示は例としてのみ提示されることを意図し、限定するものではないことは当業者にはかなり明白であるかもしれない。本明細書に明示的に記載されていないが、様々な変更、改善、および修正が行われる可能性があり、当業者を対象としている。これらの変更、改善、および修正は、本開示によって示唆されることを意図しており、本開示の例示的な実施形態の精神および範囲内にある。
【0111】
さらに、本開示の実施形態を説明するために特定の用語が使用されてきた。例えば、「一実施形態」、「実施形態」、および/または「いくつかの実施形態」という用語は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「実施形態」または「一実施形態」または「代替の実施形態」への2つ以上の言及は、必ずしもすべて同じ実施形態を指すとは限らないことが強調され、理解されるべきである。さらに、特定の特徴、構造または特徴は、本開示の1つまたは複数の実施形態において適切であるように組み合わせることができる。
【0112】
さらに、本開示の態様は、任意の新規で有用な処理、機械、製造、または物質の組成、またはそれらの新しく有用な改善を含む、いくつかの特許性のあるクラスまたは文脈のいずれかで本明細書に図解および説明され得ることが当業者には理解されるであろう。したがって、本開示の態様は、完全にハードウェア、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、または本明細書で一般に「モジュール」、「ユニット」、「構成要素」、「装置」、または「システム」と呼ばれるソフトウェアとハードウェアの実装を組み合わせて実装することができる。さらに、本開示の態様は、コンピュータ可読プログラムコードが組み込まれた1つまたは複数のコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム製品の形をとることができる。
【0113】
コンピュータ記憶媒体は、例えばベースバンド上に、または搬送波の一部として、コンピュータプログラムコードを含む送信データ信号を含み得る。伝播信号は、電磁的形態、光学的形態など、または適切な組み合わせ形態を含む複数の兆候を有し得る。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であり得、これは、使用するプログラムの通信、伝播、または送信を可能にするために、命令実行システム、装置、または装置に接続され得る。コンピュータ記憶媒体上にあるプログラムコードは、ラジオ、ケーブル、光ファイバーケーブル、RF、または同様の媒体、または媒体の任意の組み合わせを含む、任意の適切な媒体を介して送信することができる。
【0114】
本開示の態様の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Scala、Smalltalk、Eiffel、JADE、Emerald、C++、C#、VB、NET、Pythonなど、「C」プログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語、Visual Basic、Fortran 2003、Perl、COBOL 2002、PHP、ABAP、Python、Ruby、Groovyなどの動的プログラミング言語などプログラミング言語などの対象物指向プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書くことができる。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、一部はユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はユーザのコンピュータ上で、一部はリモートコンピュータ上で、または完全にリモートコンピュータまたはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意の形式のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続するか、外部コンピュータに接続することができる(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用したインターネット経由)、クラウドコンピューティング環境、またはSoftware as a Service(SaaS)などのサービスとして提供される。
【0115】
さらに、処理要素またはシーケンスの列挙された順序、または数字、文字、または他の指定の使用は、したがって、請求項に指定されている場合を除き、請求された処理および方法を任意の順序に限定することを意図しない。上記の開示は、開示の様々な有用な実施形態であると現在考えられているものを様々な例を通して論じているが、そのような詳細はその目的のためだけであり、添付の特許請求の範囲は開示された実施形態に限定されないことを理解されたい。しかし、それどころか、開示された実施形態の精神および範囲内にある修正および同等の取り決めをカバーすることを意図している。例えば、上記の様々な構成要素の実装は、ハードウェア装置で具体化され得るが、それはまた、ソフトウェアのみの解決策として、例えば、既存のサーバまたはモバイル装置へのインストールとして実装され得る。
【0116】
同様に、本開示の実施形態の前述の説明において、様々な特徴は、様々な実施形態のうちの1つまたは複数の理解を助ける開示を合理化する目的で、単一の実施形態、図、またはその説明にまとめられ得ることを理解されたい。しかしながら、この開示方法は、本開示対象が特許請求の範囲に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とすることを意味するものではない。むしろ、クレームされた主題は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴にあり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、本出願の特定の実施形態を説明および請求するために使用される成分、特性などの量を表す数字は、場合によっては、「約」、「ほぼ」、または「実質的に」という用語によって変更されることを理解されたい。特に明記されていない限り、「約」、「ほぼ」、または「実質的に」は、記載されている値の±20%の変動を示し得る。したがって、いくつかの実施形態では、説明および添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、特定の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメータは、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本出願のいくつかの実施形態の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の例に示される数値は、実行可能な限り正確に報告される。
【0118】
各特許、特許出願、特許出願刊行物、および本明細書で引用されている記事、本、説明書、刊行物、文書などの他の資料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示の内容と矛盾または矛盾する出願履歴文書は除外され、本開示の範囲の最も広い範囲を制限する文書(現在または後に本開示に添付される)も除外される。本開示の添付の出願で使用される説明、定義、および/または用語が、本出願に記載される内容と矛盾または矛盾する場合、説明、定義、および/または用語は、本開示の対象となり得ることに留意されたい。
【0119】
最後に、本開示に記載されている実施形態は、本開示の実施形態の原理の単なる例示であることを理解されたい。採用され得る他の変更は、本出願の範囲内にあり得る。したがって、限定ではないが例として、本出願の実施形態の代替構成を、本明細書の教示に従って利用することができる。したがって、本開示の実施形態は、本明細書に明示的に導入および記載される実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0120】
100 音響出力装置
110 電子分周モジュール
115 分周器
120 信号プロセッサ
130 信号プロセッサ
140 低周波音響ドライバ
143 変換器
145 音響経路
147 第1の音誘導穴
150 高周波音響ドライバ
153 変換器
155 音響経路
157 第2の音誘導穴
1100 携帯電話
1101 音誘導穴
1102 音誘導穴
1120 上部
1130 低周波音響ドライバ
1140 高周波音響ドライバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11