(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】分子状炭素の注入のためのイオン源の寿命を延長させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/08 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
H01J37/08
(21)【出願番号】P 2021570952
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020035723
(87)【国際公開番号】W WO2020247378
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-05-11
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413587
【氏名又は名称】アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】スポールダー,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バソム,ニール
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィン,ニール
(72)【発明者】
【氏名】アミーン,マイク
(72)【発明者】
【氏名】シュ,シャオ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0096828(US,A1)
【文献】特表2016-514352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン注入性能を改善するためのイオン源アセンブリであって、
イオン源チャンバと、
前記イオン源チャンバに
、p-キシレンを含む分子状炭素ソースガスを供給するように構成されたソースガス供給源と、
前記イオン源チャンバへの前記分子状炭素ソースガスの流れを制御するように構成されたソースガスフローコントローラと、
前記分子状炭素ソースガスを励起して炭素イオンおよびラジカルを形成するように構成された励起源と、
前記イオン源チャンバから前記炭素イオンを抽出してイオンビームを形成するように構成された引出し電極と、
前記イオン源チャンバに
酸素のみからなる酸化共ガスを供給するように構成された酸化共ガス供給源と、
前記イオン源チャンバに供給される前記酸化共ガスの流れを制御するように構成された酸化共ガスフローコントローラと、
真空ポンプシステムと、
を含み、
前記酸化共ガスは、前記イオン源チャンバ内で分解し、かつ、前記イオン源チャンバ内の前記分子状炭素ソースガスからの炭素残留物および原子状炭素と反応して、前記イオン源チャンバ内で一酸化炭素および二酸化炭素を形成するように構成されており、
前記真空ポンプシステムは、前記イオン源チャンバから前記一酸化炭素および前記二酸化炭素を除去するように構成されており、前記イオン源チャンバ内の原子状炭素の堆積が低減され、前記イオン源チャンバの寿命が延長される、
イオン源アセンブリ。
【請求項2】
前記分子状炭素ソースガスが、トルエン
およびシクロヘプタトリエ
ンのうちの1つ以上を
更に含む、
請求項1に記載のイオン源アセンブリ。
【請求項3】
前記ソースガスフローコントローラおよび前記酸化共ガスフローコントローラは、前記分子状炭素ソースガスおよび前記酸化共ガスのそれぞれを、前記イオン源チャンバに同時に導入するように構成されている、
請求項1に記載のイオン源アセンブリ。
【請求項4】
前記ソースガスフローコントローラおよび前記酸化共ガスフローコントローラは、前記分子状炭素ソースガスおよび前記酸化共ガスのそれぞれを、前記イオン源チャンバに連続的に導入するように構成されている、
請求項1に記載のイオン源アセンブリ。
【請求項5】
前記ソースガスフローコントローラおよび前記酸化共ガスフローコントローラは、前記イオン源チャンバへの導入の前に、前記分子状炭素ソースガスおよび前記酸化共ガスのそれぞれを予め混合するように構成されている、
請求項1に記載のイオン源アセンブリ。
【請求項6】
前記分子状炭素ソースガスに対する前記酸化共ガスの比率は、1.0~4.0である、
請求項1に記載のイオン源アセンブリ。
【請求項7】
前記分子状炭素ソースガスに対する前記酸化共ガスの比率は、1.5~3.5である、
請求項1に記載のイオン源アセンブリ。
【請求項8】
イオン注入装置におけるイオン源の性能を改善する装置であって、
イオン源チャンバへの
p-キシレンを含む分子状炭素ソースガスの供給および速度を制御する分子状炭素ソースガスコントローラと、
前記イオン源チャンバへの酸化共ガスの供給および速度を制御する共ガスコントローラと、
前記イオン源チャンバに連結した真空ポンプシステムと、
を含み、
前記酸化共ガスは、
酸素のみからなり、前記分子状炭素ソースガスおよび炭素残留物と反応して、少なくとも二酸化炭素および一酸化炭素を形成し、
前記真空ポンプシステムは、前記イオン源チャンバから少なくとも前記二酸化炭素および前記一酸化炭素を除去するように構成されており、チャンバ被毒が低減されるとともに、イオン源寿命が延長される、
装置。
【請求項9】
前記分子状炭素ソースガスと前記酸化共ガスとは、別個の入口を通って前記イオン源チャンバに供給される、
請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記分子状炭素ソースガスと前記酸化共ガスとは、共通の入口を通って前記イオン源チャンバに供給される、
請求項
8に記載の装置。
【請求項11】
前記分子状炭素ソースガスが、トルエン
およびシクロヘプタトリエ
ンのうちの1つ以上を
更に含む、請求項
8に記載の装置。
【請求項12】
イオン注入装置におけるイオン源の寿命を延長させる方法であって、
前記イオン注入装置のイオン源チャンバに
、p-キシレンを含む分子状炭素ソースガスを導入することと、
前記イオン注入装置の前記イオン源チャンバに
、酸素のみからなる酸化共ガスを導入することと、
前記イオン源チャンバ内の前記分子状炭素ソースガスを励起して、解離されイオン化された炭素を含むプラズマを生成することと、
前記解離されイオン化された炭素を前記酸化共ガスと反応させて、一酸化炭素および二酸化炭素のうちの1つ以上を生成し、かつ、前記イオン源チャンバの被毒を低減させ、イオン源の寿命を延長させることと、
真空ポンプシステムによって前記イオン源チャンバから前記一酸化炭素および前記二酸化炭素のうちの1つ以上を除去することと、
を含む、
方法。
【請求項13】
前記分子状炭素ソースガスが、トルエン
およびシクロヘプタトリエ
ンのうちの1つ以上を
更に含
む、
請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記分子状炭素ソースガスおよび前記酸化共ガスが、前記イオン源チャンバに同時に導入される、
請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記分子状炭素ソースガスと前記酸化共ガスとが、前記イオン源チャンバ内に連続して導入される、
請求項
12に記載の方法。
【請求項16】
前記イオン源チャンバ内に不活性ガスを導入し、かつ、前記不活性ガスをイオン化して、前記イオン源チャンバのカソードに関連するカソード表面の酸化を概して防止することをさらに含む、
請求項
12に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガスが、アルゴンを含む、
請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願へのリファレンス〕
本出願は、2019年6月6日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR EXTENDING A LIFETIME OF AN ION SOURCE FOR MOLECULAR CARBON IMPLANTS」という名称の米国仮出願第62/857,883号の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔技術分野〕
本開示は、概して、半導体デバイスの製造およびイオン注入に関し、より詳細には、分子状炭素の注入のために構成されたイオン注入装置において、性能を改善し、イオン源の寿命を延ばす方法に関する。
【0003】
〔背景〕
半導体装置の製造においては、半導体に不純物をドープするためにイオン注入が用いられる。イオン注入システムはn型またはp型半導体を製造するため、または集積回路の製造中にパッシベーション層を形成するために、イオンビームからのイオンを用いて、半導体ウェハなどのワークピースをドープするためにしばしば利用される。このようなビーム処理は、集積回路の製造中に半導体材料を生成するために、所定のエネルギーレベルで、且つ制御された濃度において、指定されたドーパント材料の不純物をウェハに選択的に注入するためにしばしば使用される。半導体ウェハをドーピングするために使用される場合、イオン注入システムは、選択されたイオン種をワークピースに注入して、所望の外因性材料を生成する。一例として、アンチモン、ヒ素、またはリンなどのソース材料から生成されたイオンを注入すると、「n型」の外因性材料ウェハが得られ、「p型」外因性材料ウェハはホウ素、ガリウム、またはインジウムなどのソース材料で生成されたイオンから得られることが多い。
【0004】
典型的なイオン注入装置は、イオン源と、イオン抽出装置と、質量分析装置と、ビーム輸送装置と、ウエハ処理装置とを含む。イオン源は、所望の原子または分子ドーパント種のイオンを生成する。これらのイオンはイオン源からイオンの流れを励起し、方向付ける抽出システム、典型的には一組の電極によってイオン源から抽出され、イオンビームを形成する。所望のイオンは質量分析装置、典型的には抽出されたイオンビームの質量分散または分離を行う磁気双極子においてイオンビームから分離される。ビーム輸送装置は典型的には一連の集束装置を含む真空システムであり、イオンビームの所望の特性を維持しながら、イオンビームをウェハ処理装置に輸送する。最後に、半導体ウェハは処理されるウェハをイオンビームの前に配置し、処理されたウェハをイオン注入装置から除去するために、1つまたは複数のロボットアームを含むことができるウェハハンドリングシステムを介してウェハ処理装置に出し入れされる。
【0005】
〔発明の概要〕
本開示は分子炭素注入のためのイオン注入システムにおいて、性能を改善し、イオン源の寿命を延ばすためのシステム、装置、および方法を提供することによって、従来技術の制限を克服する。したがって、以下は本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を提示する。この概要は、本開示の広範な概要ではない。これは、本発明の重要な要素を識別しかつ正確に概説するものでもない。その目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本開示のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0006】
本開示の態様はイオン源に関連する構造上に蓄積し得る分子状炭素ソースガスの解離およびイオン化から生成される炭素質材料または残留物を除去し、それによってカソードを被毒し、カソードの効率を低下させることによって、イオン注入プロセスを容易にする。さらに、炭素残留物は、絶縁体および/またはブリッジ絶縁ギャップを被覆し得、電気的短絡およびソース故障を生じる。従って、イオン源の寿命は、形成された残留物の量を除去または減少させることによって増加される。本方法を実施するための関連装置およびイオン注入システムの実施例が、本明細書に開示される。
【0007】
例示的な一態様によれば、イオン注入装置の性能を改善するためのイオン源アセンブリが提供される。イオン源アセンブリは、イオン源チャンバと、分子状炭素ソースガスをイオン源チャンバに供給するように構成されたソースガス供給源とを備える。分子状炭素ソースガスは例えば、トルエンまたは他の炭化水素源物質を含む。イオン源チャンバへの分子状炭素ソースガスの流れを制御するように構成されたソースガスマスフローコントローラが提供される。
【0008】
一例として、励起源は分子状炭素ソースガスを励起し、その中で母体の分子をイオン化し、分子状炭素ソースガスの解離の結果として副生成物を形成するように構成される。このような副産物には、母体の分子のイオンおよび中性フラグメントの両方が含まれる。引出し電極はイオン源チャンバから炭素イオンを抽出し、その中でイオンビームを形成するようにさらに構成される。一例として、質量対電荷比によってイオンを分離し、残りのイオン種を濾過しながら所望のイオン種を通過させるために、質量フィルタを設けることができる。
【0009】
本開示によれば、酸化共ガス供給源が提供され、所定濃度の酸化ガスをイオン源チャンバに供給するように構成される。一例として、酸化ガスマスフローコントローラはイオン源チャンバへの酸化ガスの流れを制御するように構成され、酸化ガスはイオン源チャンバ内の炭素残留物と反応して、二酸化炭素、一酸化炭素、および水のうちの1つまたは塊などの追加の副産物をイオン源チャンバ内に形成する。イオン源チャンバから副産物を除去するように構成された真空ポンプシステムがさらに提供され、イオン源チャンバ内の炭素の堆積が低減され、イオン源チャンバの寿命が延長される。
【0010】
分子状炭素ソースガスおよび酸化共ガスは、イオン源チャンバ内に同時に又は連続的に導入される。一例として、酸化ガスは、注入と同時に分子状炭素ソースガスとの共ガスとして、非注入時のパージガスとして、またはその両方として利用することができる。例えば、炭素残留物は酸化ガスからの酸素と反応し、一酸化炭素または二酸化炭素ガスを形成し、これらはポンプで排出される。したがって、炭素材料の構築は、イオン源チャンバ内で最小限に抑えられる。例えばアルゴンのような不活性ガスをイオン源チャンバに導入することができ、不活性ガスは化学反応に著しく寄与することなくプラズマをさらに安定化させることができ、それによって、イオン源チャンバのカソードに関連するカソード表面の酸化を概して防止することができる。
【0011】
上記の概要は単に、本開示のいくつかの実施形態のいくつかの特徴の簡単な概要を与えることを意図したものであり、他の実施形態は、上記のものとは追加のおよび/または異なる特徴を含んでもよい。特に、この概要は、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。したがって、前述の目的および関連する目的を達成するために、本開示は、以下に記載され、特に特許請求の範囲で指摘される特徴を備える。以下の説明および添付の図面は、本開示の特定の例示的な実施形態を詳細に記載する。しかしながら、これらの実施形態は、本開示の原理が採用され得る様々な方法のうちのいくつかを示す。本開示の他の物体、利点、および新規な特徴は、以下の本開示の詳細な説明を図面と併せて考慮することによって明らかになるのであろう。
【0012】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本開示の1つまたは複数の態様を実施するのに適したイオン注入システムのブロック図である。
【0013】
図2は、本発明の一実施例による例示的な間接加熱カソードイオン源を示す模式図である。
【0014】
図3は、本発明の態様によるイオン源チャンバを用いて収集された分子状炭素の質量スペクトルを示すグラフであり、ここで、光線の強さはC7のピークに正規化されている。
【0015】
図4Aは、本発明の態様によるイオン源アセンブリの一実施形態を示すイオン注入システムである。
【0016】
図4Bは、本発明の態様によるイオン源アセンブリの別の実施形態を示すイオン注入システムである。
【0017】
図5は、本発明の態様によるイオン源の寿命を延ばす手法を示すフローチャートである。
【0018】
〔詳細な説明〕
本開示は、概して、イオン源内の炭素堆積を最小限に抑え、イオン注入システムのイオン源の寿命を延ばすためのシステム、装置、および方法を対象とする。したがって、本開示は、ここで図面を参照して説明され、同様の符号は全体を通して同様の要素を指すために使用され得る。これらの態様の説明は単に例示的なものであり、限定的な意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。以下の説明において、説明の目的のために、本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本開示は、これらの特定の詳細なしに実施されてもよいことは当業者には明らかであろう。さらに、本発明の範囲は、添付の図面に関連して以下に記載される実施形態または実施例によって限定されることを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることを意図するものである。
【0019】
また、図面は、本開示の実施形態のいくつかの態様の例示を与えるために提供され、したがって、概略的なものに過ぎないと見なされるべきであることにも留意されたい。特に、図面に示される構成要素は互いに縮尺どおりである必要はなく、図面における様々な部材の配置はそれぞれの実施形態の明確な理解を提供するために選択され、本開示の実施形態による実装形態における様々な構成要素の実際の相対位置の表現であると必ずしも解釈されるべきではない。さらに、本明細書で説明される様々な実施形態および実施例の特徴は特に断りのない限り、互いに組み合わせることができる。
【0020】
また、以下の説明では、図面に示された、または本明細書で説明された、機能ブロック、装置、構成要素、回路要素、または他の物理的または機能的ユニット間の任意の直接的な接続または結合も、間接的な接続または結合によって実施され得ることを理解されたい。さらに、図面に示される機能ブロックまたはユニットは一実施形態では別個の特徴または回路として実装されてもよく、また、または代替として、別の実施形態では共通の特徴または回路で完全にまたは部分的に実装されてもよいことを理解されたい。一実施例として、いくつかの機能ブロックは、信号プロセッサなどの一般的なプロセッサ上で実行されるソフトウエアとして実装されてもよい。さらに、以下の明細書において有線ベースとして説明される任意の接続は逆に言及されない限り、無線通信として実装されてもよいことが理解されるべきである。
【0021】
イオン注入はワークピースの特性を変化させるために、1つまたは複数の元素のイオンを加速させてワークピース内に入れる半導体デバイス製造において採用されるプロセスである。一例として、ホウ素、ヒ素、およびリンなどのドーパントをシリコンに注入して、その電気的特性を変化させることが一般的である。例示的なイオン注入プロセスでは、対象の元素または分子がイオン化され、抽出され、静電的に加速されて、高エネルギーイオンビームを形成し、その質量電荷比によってフィルタリングされ、ワークピースに衝突するように向けられる。イオンは物理的にウェハに衝撃を与え、表面に入り、そのエネルギーに関係する深さで、表面の下で静止するようになる。
【0022】
図1に示すように、システム100は、ビーム経路106に沿ってイオンビーム104を生成するためのイオン源102を含む。ビームラインアセンブリ110は、イオン源102の下流に設けられ、イオン源102からビームを受け取る。ビームラインアセンブリ110は、質量分析器、加速構造、および角度エネルギフィルタを含んでもよい(図示せず)。加速構造は一例として1つまたは複数のギャップ含んでもよい。質量分析器は、フィールドを生成するための構成要素(磁石など)を含み、質量(一例としては質量対電荷比)に応じて変化する軌道でイオンビーム104からイオンを偏向させるようにして、ビーム経路106を横切るようにフィールドを提供するように動作する。磁場中を移動するイオンは、所望の質量の個々のイオンをビーム経路106に沿って導き、不要な質量のイオンをビーム経路から偏向させる力を受ける。
【0023】
処理チャンバ112は、システム100内に設けられ、処理チャンバ112は、ビームラインアセンブリ110からイオンビーム104を受け取るターゲット位置を含む。ターゲット位置は、最終的な質量分析イオンビームを使用する注入のためのビーム経路106に沿って半導体ウエハなどの1つ以上のワークピース114を支持する。次いで、処理チャンバ112は、ワークピース114の方へ向けられたイオンビーム104を受け取る。なお、システム100では、異なるタイプのプロセスチャンバ112を使用することができることを理解されたい。一例として、「バッチ」タイプの処理チャンバ112は回転支持構造上に複数のワーク114を同時に支持することができ、ここで、ワーク114は全てのワーク114が完全に注入されるまで、イオンビーム104の経路を通って回転される。「シリアル」タイプの処理チャンバ112は、反対に、注入のためにビーム経路106に沿って単一のワーク114を支持し、複数のワーク114はシリアル方式で一度に1つずつ注入され、各ワークピースは次のワークピースの注入が開始される前に完全に注入される。システム100はまた、ワークピース114に対してイオンビーム104を移動させるため、又はイオンビームに対してワークピースを移動させるための走査装置(図示せず)を含んでもよい。
【0024】
イオン注入装置内のイオン源は典型的にはその成分が所望のドーパント元素であり得るソースガスをソースチャンバ102内でイオン化し、イオン化されたソースガスをイオンビームの形態で抽出することによって、イオンビーム104を生成する。イオン化のプロセスは、熱的に加熱されたフィラメント、カソードを加熱するフィラメント(間接的に加熱されたカソード「IHC」(indirectly heated cathode))、または無線周波数(RF)アンテナの形態をとり得る励起器によってもたらされる。
【0025】
イオン注入装置のイオン源は一般にIHC型であるので、この種のイオン源は
図2に概略的に示されており、一例として、IHCイオン源120は、ソースチャンバ122と、1つまたは複数のガス入口124と、フィラメント126と、ソースチャンバ内の両端に配置されたカソード128およびリペラー130と、開口132とを含む。加えて、ソース磁石(図示せず)が、カソード128とリペラー130との間の軸に概ね沿った磁界136を提供する。IHCイオン源120の動作中において、フィラメント126は、電子を放出するのに十分な高温に抵抗加熱され、電子は、フィラメントに対して正電位が維持されるカソード128に衝撃を与えるように加速される。
【0026】
電子衝撃は、電子を加速させるためにカソード128に対して正の電位に維持されたソースチャンバ122内へ電子を熱的に放出するために十分な高温にカソード128を加熱する。磁界136は電子のソースチャンバ122のチャンバ壁138への損失を低減するために、カソード128とリペラー130との間の磁力線に沿って電子を閉じ込めるのを助ける。また、典型的にはカソード128の電位であるリペラー130によって電子がカソードに向かって跳ね返って戻されることで、電子の損失はさらに低減される。励起された電子は、ガス入口124を通ってチャンバ内に供給されるソースガスをイオン化し、プラズマを生成する。イオンは、開口132を通して引き出され、ソースチャンバ122の外側に配置された電極によって高エネルギーイオンビームを形成するように静電的に加速される。
【0027】
ソースガスが含まれる一般に注入される元素の例としては、炭素、ホウ素、リン、ヒ素、ゲルマニウム、ケイ素をとりわけ含むことができる。興味深いのは、材料改質のような多くのインプラント工程において利用され得る炭素の使用である。炭素注入のための最も一般的な前駆体ソースガスには、二酸化炭素および一酸化炭素が含まれる。
【0028】
図1に示されるイオン源チャンバ102を構成する際に、タングステンおよびモリブデンのような耐熱金属が、チャンバ102のカソード電極およびチャンバ102の内壁面を形成するために一般に使用する。炭素含有材料を利用した炭素イオンの生成中に、炭素原子がイオンチャンバ内で生成され、電極、チャンバライナ、チャンバ本体、および円弧スリットが構成される材料と反応し、チャンバ102を汚染する可能性がある。さらに、炭素残留物はこれらの表面上に蓄積する傾向があり、イオン源の効率および寿命に悪影響を及ぼす。
【0029】
最近、イオン注入システムにおいて予備アモルファス化種(a pre-amorphizing species)として炭素を使用することに大きな関心が寄せられている。炭素は低質量であるが故、ドーズ量が1×1015cm-2をはるかに超えない限り、従来のワークピース温度で原子状炭素でアモルファス化することは典型的には困難である。しかし、マサチューセッツ州ビーベリーのAxcelis Technologiesによって製造されたOptima HDxまたはPurion H注入機などのスポットイオンビーム注入機を介して注入する場合、注入中にウェハを冷却すると、ケイ素ウェハ中の炭素のアモルファス化しきい値を5×1014cm-2程度まで低下させることができ、炭素ビームの密度は十分に高くなる。シリコンウェハのアモルファス化は、-30℃~-50℃の範囲のウェハ温度で原子状炭素(C)注入を用いて行うことができる。しかしながら、原子状炭素を使用する冷却注入の1つの欠点は、単位時間当たりに注入されるウェハ(一般に、1時間当たりのウェハ(WPH:wafers per hour)として知られている)の量が減少することである。
【0030】
さらに、イオン注入中にワークピースの温度を低下させることは、結晶格子上の注入の「自己アニーリング」成分を最小限に抑える効果を有し、イオンがウェハの格子構造に侵入した後、非常に短時間で損傷の緩和が生じる。拡散過程も基板温度に反応しやすい。自己アニーリングを減らすか除去すると、原子のより大きな正味の変位と別の損傷プロフィルが生じ、より厚い非晶質層の形成と、デバイス漏れの原因となり得るエンドオブレンジ(EOR:end-of-range)ダメージの減少をもたらす。
【0031】
別のアプローチは、シリコン結晶の原子状炭素(C)アモルファス化の同様の効果を達成するために、より高いエネルギーで、しかし周囲温度で、分子状炭素を使用することである。材料損傷物理的過程は高温での固相エピタキシャル再成長後も同様であり、温度範囲末端転位ループを減少させて修復することができる。アニール中の改良された固相エピタキシャル再成長、より鋭いアモルファス/結晶境界、および過渡的増強拡散(TED:transient enhanced diffusion)からの低減されたドーパント運動のような他の改良もまた達成することができる。
【0032】
半導体プロセスにおけるダメージエンジニアリングのためにトルエン(C7H8)のような炭素分子を使用することにより、C7のような大きな分子を注入しながら、基板をゼロ以下の温度に冷却しなければならないという追加の費用および煩雑さが回避される。トルエン分子のサイズのために、所定のエネルギーでの衝撃は半導体ワークピースの結晶構造をアモルファス化し、したがって、より厚い損傷層および改善されたデバイス性能をもたらす。
【0033】
本開示はワークピースに注入するための分子状炭素イオンを生成するようにイオン源を動作させるときに、イオン源の性能を改善するためのシステムおよび方法を提供する。IHCイオン源において分子イオンを生成する際に以前に遭遇した1つの問題は、分子イオンが、高温および高電子密度の影響、および存在している高エネルギーの影響で、解離し得ることである。炭素含有分子の解離は、イオン源性能の2つの態様に悪影響を及ぼす。第1に、分子イオンビーム電流が、所望の分子イオンまたはより小さいフラグメントイオンの解離によって制限されるということである。第2に、炭素は源チャンバの内部に堆積し、そこに蓄積する傾向がある。そのような炭素堆積物は電気的絶縁間隙を橋渡しすることができ、および/または絶縁物を被覆することができ、その結果、電気的短絡、したがって、ソースの故障が生じる。
【0034】
本開示は、分子状炭素イオンを生成する際にイオン源の寿命を延ばすためのシステムおよび方法を提供する。一例では、イオン化チャンバ内で形成される炭素堆積物を酸化する酸化共ガスと共に、炭素ソース材料がイオン源内に供給される。一例では、炭素ソース材料として、とりわけ安定な炭素含有分子が用いられる。例えば、芳香族炭素分子(例えば、トルエンまたはp-キシレン)が、分子の安定性を提供し、ソース材料として用いることができる。例えば、その内容全体が本明細書中に参考として援用される、Leeらの本出願人による米国特許第8,350,236号に開示されるような原料として使用され得る。さらに、Colvinらの共有の米国特許第10,170,286号の全体の内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
あるいは、安定な分子イオンを形成するか、またはイオン化時に解離して安定な分子フラグメントイオンを形成する化合物を炭素ソース材料として使用してもよい。例えば、シクロヘプタトリエンは、安定なイオン、すなわち芳香族イオンであるトロピリウムカチオンを形成する分子の例である。酸化共ガス物質は、一例として、イオン源内で解離すると酸素原子を提供する酸化剤または分子である。酸化共ガスは、O
2、オゾン(O
3)、N
2O、NO
2、H
2O
2、H
2O、およびCO
2のリストから選択することができる。炭素堆積物は酸化されてCOおよびCO
2を形成し、これらはガスであり、真空ポンプを通して排出される。
図3は一例として、酸素共ガスの有無による、p-キシレンの質量スペクトルを示す。p-キシレンの質量28および32におけるピーク152、154はそれぞれCOおよびO
2によるものであり、前者は、イオン源中の炭素堆積物の量が共ガスを加えることによって減少することを証明している。
【0036】
一例として、本発明は、p-キシレンのソース材料とO2の酸化共ガスとを使用して、IHCイオン源内で分子状炭素イオンを生成することを意図する。一例では、ソース材料および共ガスが独立したガスラインによってイオン化チャンバに供給される。一例として、p-キシレン流量に対するO2共ガス流量の比率は高く(一例として、1よりも大きい)、イオン源は、O2共ガスよりも優先的にイオン化されたp-キシレン分子に調整される。本開示によって企図されるソース材料と共ガスとのさらなる組み合わせは、以下の通りである:
1. トルエンおよびO2
2. シクロヘプタトリエンおよびO2
3. p-キシレンおよびN2O
4. トルエンおよびN2O
5. シクロヘプタトリエンおよびN2O
さらに、芳香族化合物を含む他の炭化水素を分子状炭素ソースガスとして使用することができる。
【0037】
図4Aを参照すると、例示的なイオン注入システム200がブロック図形式で提供されており、イオン注入システムは、本開示の1つまたは複数の態様を実施するのに適している。システム200は、ビーム経路205に沿ってイオンビーム204を生成するためのイオン源アセンブリ202を含む。イオン源アセンブリ202は、一例として、関連する電源208を有するイオン源チャンバ206を含む。イオン源チャンバ206は、一例として、イオンビーム204が引き出されて加速される比較的長いプラズマ閉じ込めチャンバを含むことができる。引出し電極207は、イオン源チャンバ206からイオンビームを引き出すために配置される。
【0038】
分子状炭素ソースガス211を含むソースガス供給源210は、共通の入口212を介してイオン源チャンバ206に連結される。イオン源チャンバ206に関連する励起器214は一例として、分子状炭素ソースガス211を励起し、その中にプラズマを形成するように構成される。励起器214は、例えば、熱的に加熱されたフィラメント、カソード(間接的に加熱されたカソード「IHC」)を加熱するフィラメント、または電源208に動作可能に結合された高周波(RF)アンテナを備えることができる。次いで、イオンビーム204は引出し電極207を通して引き出され、処理チャンバ218内に配置されたワークピース216(例えばケイ素などの半導体ウェハ)の方へ向けられ、イオンはワークピースに注入される。
【0039】
炭化水素がIHCイオン源内で解離する傾向は、イオン源チャンバ206内および引出し電極207、並びに関連する光学系上に、原子状炭素および炭化水素ラジカルの堆積をもたらすことができる。このように、炭素残留物はイオン源チャンバ206の内部表面上に蓄積することがあり、極めてストレスを与えることがあり、それによって、炭素残留物はイオン源チャンバ206が冷却されるときに、概して表面から剥がれ落ちるか、または薄片になって落ちることがある。
【0040】
したがって、本発明によれば、ソースガスマスフローコントローラ219(例えば流量計)は、イオン源チャンバ206への分子状炭素ソースガス211の量および速度を制御する。さらに、酸化共ガス221(例えば、O2またはN2Oのうちの1つ以上を含む)を含む酸化共ガス供給源220は、共通の入口212を介してイオン源チャンバ206にさらに結合される。共ガスマスフローコントローラ222(例えば流量計)は、イオン源チャンバ206に供給される酸化共ガス221の量および速度を制御する。
【0041】
図4Bは、別の実施形態を示し、2つの別個の入口230、232が設けられている態様であり、1つは分子状炭素ソースガス211用の入口であり、1つは酸化共ガス221用の入口である。次いで、ガス211、221は、イオン源チャンバ206内で混合される。
分子状炭素ソースガス
211のためのソースガスマスフローコントローラ219および
酸化共ガス
221のための共ガスマスフローコントローラ222は、それぞれ、イオン源チャンバ206への入口230および232を通るガスの流量を制御する。分子状炭素ソースガス211および
酸化共ガス221は、イオン化されて、根源の炭素分子のイオン、分子フラグメント、および酸素を含む荷電粒子のプラズマを形成する。酸素イオンおよび中性粒子(neutrals)は炭素残留物と反応して一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、水分子、および水酸化物を形成し、これらは真空ポンプシステム234によってチャンバ206から除去される。一例では酸化共ガス221が酸素を含み、分子状炭素ソースガス211に対する酸化共ガスの比率は約1.0~4.0である。酸化共ガス221と分子状炭素ソースガス211との比率は例えば、イオン源アセンブリ202の様々な特徴および様々な調整パラメータに基づいて変更することができる。一例として、酸化共ガス221を添加することによってイオン源チャンバ206に関連する様々な構成要素の寿命を延ばすことと、イオンビーム204の特性に対する負の効果との間にトレードオフが存在し得る。したがって、分子状炭素ソースガス211に対する酸化共ガス221の比率を最適化することができる。一例として、分子状炭素ソースガス211に対する酸化共ガス221の比率は特定のトレードオフを得るために約1.5~3.5の範囲とすることができ、別の例では、分子状炭素ソースガスに対する酸化共ガスの比率を2.5~3.5の範囲とすることができる。
【0042】
本開示はさらに、イオン源の寿命を延ばすための、
図5に示される方法300を提供する。例示的な方法は一連の行為または事象として本明細書に示され、説明されるが、いくつかのステップは開示に従って、本明細書に示され、説明されたものとは別の他のステップと異なる順序で、および/または同時に起こり得るので、本開示はそのような行為または事象の示された順序によって限定されないことに留意されたい。さらに、本開示による方法を実施するために、図示されたすべての工程が必要とされるわけではない。さらに、これらの方法は、ここで図示しかつ記載されたシステムに関連して、また、説明しない他のシステムとも関連して包含させることができる。
【0043】
方法300は、分子状炭素ソースガスおよび酸化共ガスが供給されるブロック302で始まる。この方法は、ソースガスおよび共ガスがイオン源チャンバに供給される306が続き、そして、カソードによって放出された電子が加速され、イオン源チャンバ内において、ソースガスのガス分子をイオン化して、所望の種のイオンを生成する308。310では、酸化共ガスが、炭素堆積物と反応して、一酸化炭素(CO)および二酸化炭素(CO2)を形成する。312では、イオンが抽出されてイオンビームを形成する。次いで、314では、一酸化炭素および二酸化炭素を真空ポンプシステムによって除去する。316では、抽出された分子状炭素イオンが、イオンビームからワークピースに注入される。
【0044】
分子状炭素ソースガスおよび酸化共ガスの選択流量は、最大量の炭素堆積物がビーム電流に悪影響を及ぼすことなく除去されるように変化させることができる。供給される共ガスの量は、少なくとも部分的には動作中のビーム組成物の分析によって決定することができる。
【0045】
説明を簡単にするために、方法300は連続的に実行されるものとして示され、説明されるが、本開示によれば、いくつかの態様が本明細書で示され、説明されるものとは異なる順序で、および/または他の態様と同時に起こり得るので、示される順序によって限定されないことを理解され、認識されるべきである。例えば、イオン源チャンバ内への分子状炭素ソースガスおよび酸化共ガスの流れは、同時に起こり得ることが企図される。別の実施形態では、これらのガスの流れは、分子状炭素ソースガスがイオン源チャンバ内に導入され、続いて、酸化共ガスの流れがイオン源チャンバ内に導入されるように、連続的に生じ得ることが企図される。さらに、本発明の態様による方法を実施するために、すべての図示された特徴またはブロックが必要とされるわけではない。
【0046】
したがって、本開示は可能な限り高いイオンビーム電流で分子状炭素イオンビームを形成することを意図し、一方、休止時間を最小限に抑えるために、イオン源が可能な限り長く持続することを可能にする。本発明は炭素、とりわけO2およびオゾンを酸化し、カソード、リペラー、およびイオン化チャンバの内面上の炭素堆積物(例えばタングステン)の量を減少させるために排気され得るCOおよびCO2を形成するための酸化剤を提供する。
【0047】
図3に示す質量スペクトルは、p-キシレンと、p-キシレン単独の使用では提示しない酸素とを用いた2つのピーク152、154(一酸化炭素および酸素である質量28および32)を示す。スペクトルは、酸素が酸化共ガスとして導入される場合、COが形成され、ポンプで排出され、したがって、炭素堆積物の量を減少させる証拠を提供している。一方で、より良好なイオン源性能をさらに提供し、イオン源が、酸化剤なしの場合よりも長く持続することを示す。
【0048】
本開示は、芳香族炭素分子などの安定な炭素分子、またはプラズマ中で安定な(芳香族)イオンを形成するものを使用することを意図する。意図される特定の分子は、シクロヘプタリエン、トルエン、およびパラキシレン(p-キシレン)である。したがって、本開示は、酸化剤を有する「安定な炭素分子」または芳香族炭素分子を意図する。本開示は、たとえ元の分子自体が芳香族でなくても、芳香族イオンを形成する炭素分子を意図する。本発明は、一例として、酸化共ガスがイオン源内部の表面の現場洗浄を提供する炭素注入に関する。イオン源の調整は、一例として、イオン化から生じる分子イオンまたはフラグメントイオンに対してより高いビーム電流を好むために利用することができる。
【0049】
本発明を、1つまたは複数の実施形態に関して図示し、説明してきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解すると、他の当業者には同等の変更および修正が想起されるのであろう。特に、上述の構成要素(アセンブリ、装置、回路、システムなど)によって実行される様々な機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」への言及を含む)は別段の指示がない限り、本明細書に示された本開示の例示的な実装形態で機能を実行する開示された構成と構造的に同等ではないにもかかわらず、説明された構成要素の指定された機能を実行する任意の構成要素(例えば機能的に同等である)に対応することが意図される。加えて、本開示の特定の特徴はいくつかの実装形態のうちの1つのみに関して開示されているが、そのような特徴は任意の所与のまたは特定のアプリケーションに対して所望され、有利であり得るように、他の実装形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。さらに、「含む」、「含む」、「有する」、「有する」、「有る」、「有る」、またはその変異体がいずれかの詳細な明細書およびクレームにおいて使用される限り、そのような用語は「含む」という用語に類似した方法で包含されるように意図され、加えて、「例示的」という用語は最良または優れた態様または実施ではなく、一例を示すことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本開示の1つまたは複数の態様を実施するのに適したイオン注入システムのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施例による例示的な間接加熱カソードイオン源を示す模式図である。
【
図3】本発明の態様によるイオン源チャンバを用いて収集された分子状炭素の質量スペクトルを示すグラフであり、ここで、光線の強さはC7のピークに正規化されている。
【
図4A】本発明の態様によるイオン源アセンブリの一実施形態を示すイオン注入システムである。
【
図4B】本発明の態様によるイオン源アセンブリの別の実施形態を示すイオン注入システムである。
【
図5】本発明の態様によるイオン源の寿命を延ばす手法を示すフローチャートである。