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特許7524235コアネットワーク装置、通信端末装置、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】コアネットワーク装置、通信端末装置、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/44 20180101AFI20240722BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20240722BHJP
   H04W 12/08 20210101ALI20240722BHJP
   H04W 12/72 20210101ALI20240722BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H04W4/44
H04W36/08
H04W12/08
H04W12/72
G08G1/09 F
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022011274
(22)【出願日】2022-01-27
(65)【公開番号】P2023109634
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 憲一
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】河村 浩彰
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195973(JP,A)
【文献】国際公開第2019/054372(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G08G 1/09
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信網のコアネットワーク装置であって、
前記移動通信網における通信端末装置から基地局への接続を管理する手段と、
移動経路を移動する移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に、前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を通知する手段と、
を備える、コアネットワーク装置。
【請求項2】
請求項1のコアネットワーク装置において、
前記情報処理装置に、前記通信端末装置と前記情報処理装置との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を送信する手段を備える、コアネットワーク装置。
【請求項3】
請求項1又は2のコアネットワーク装置において、
前記通信端末装置の通信アドレス情報は、前記移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信に用いられる前記通信端末装置の識別子、又は、前記移動通信網におけるIP通信に用いる前記通信端末装置のIPアドレスである、コアネットワーク装置。
【請求項4】
移動経路を移動する移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置であって、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置から通知された前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を受信する手段と、
前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を前記通信端末装置に通知する手段と、
を備える、情報処理装置。
【請求項5】
請求項4の情報処理装置において、
前記情報処理装置の通信アドレス情報は、前記情報処理装置における前記サービス提供のアプリケーションのURLである、情報処理装置。
【請求項6】
請求項4又は5の情報処理装置において、
当該情報処理装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたMEC(Multi-access Edge Computing)装置である、情報処理装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかの情報処理装置において、
前記コアネットワーク装置から、前記通信端末装置と前記情報処理装置との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を受信する手段を備え、
前記情報処理装置から前記通信端末装置への通知は前記セキュリティ情報を含む、情報処理装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかの情報処理装置において、
前記通信端末装置の通信アドレス情報は、前記移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信に用いられる前記通信端末装置の識別子、又は、前記移動通信網におけるIP通信に用いられる前記通信端末装置のIPアドレスである、情報処理装置。
【請求項9】
移動経路を移動する移動体に備える通信端末装置であって、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したとき、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置から、前記移動体の通信端末装置が前記移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置が前記情報処理装置に通知した前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて前記情報処理装置が送信した前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を受信する手段と、
前記接続要求に応じて、前記情報処理装置の通信アドレス情報に基づき前記基地局を介して前記情報処理装置に接続する手段と、
を備える、通信端末装置。
【請求項10】
請求項9の通信端末装置において、
前記情報処理装置から受信した前記情報処理装置の通信アドレス情報を、移動体間の直接無線通信又は路車間通信を介して、周辺に位置する他の移動体の通信端末装置に送信する手段を備える、通信端末装置。
【請求項11】
請求項9又は10の通信端末装置において、
前記情報処理装置の通信アドレス情報は、前記情報処理装置における前記サービス提供のアプリケーションのURLである、通信端末装置。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれかの通信端末装置において、
前記情報処理装置からの前記接続要求の通知は、前記通信端末装置と前記情報処理装置との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を含む、通信端末装置。
【請求項13】
請求項9乃至12のいずれかの通信端末装置において、
前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を、移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信により受信する、又は、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を、移動通信網におけるIP通信により受信する、通信端末装置。
【請求項14】
移動通信網のコアネットワーク装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記移動通信網における通信端末装置から基地局への接続を管理するためのプログラムコードと、
移動経路を移動する移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に、前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を通知するためのプログラムコードと、
を含む、プログラム。
【請求項15】
移動経路を移動する移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置から通知された前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を受信するためのプログラムコードと、
前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を前記通信端末装置に通知するためのプログラムコードと、
を含む、プログラム。
【請求項16】
移動経路を移動する移動体の通信端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムであって、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したとき、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置から、前記移動体の通信端末装置が前記移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置が前記情報処理装置に通知した前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて前記情報処理装置が送信した前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を受信するためのプログラムコードと、
前記接続要求に応じて、前記情報処理装置の通信アドレス情報に基づき前記基地局を介して前記情報処理装置に接続するためのプログラムコードと、
を含む、プログラム。
【請求項17】
移動通信網のコアネットワーク装置であって、
前記移動通信網における移動体の通信端末装置から基地局への接続を管理する手段と、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に、前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を通知する手段と、
を備える、コアネットワーク装置。
【請求項18】
移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置であって、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置から通知された前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を受信する手段と、
前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を前記通信端末装置に通知する手段と、
を備える、情報処理装置。
【請求項19】
移動体に備える通信端末装置であって、
前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したとき、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置から、前記移動体の通信端末装置が前記移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置が前記情報処理装置に通知した前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて前記情報処理装置が送信した前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を受信する手段と、
前記接続要求に応じて、前記情報処理装置の通信アドレス情報に基づき前記基地局を介して前記情報処理装置に接続する手段と、
を備える、通信端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信網のコアネットワーク装置を介した車両等の移動体の通信端末装置と情報処理装置との通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を移動する移動体である車両の自動運転において、移動通信網の基地局を介して車両に搭載した車載装置(通信端末装置)とサーバ(情報処理装置)とが通信を行う構成が知られている。
【0003】
特許文献1には、移動通信網を介した路車間通信において、車両が基地局から受信する信号の強度が弱くなったことを契機に基地局を切り替える通信システムの構成が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-004468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動通信網を介して車両への運転支援等のサービスの提供を行う場合に、車両が基地局から受信する信号の強度に関係なく、車両は適切なサーバ(情報処理装置)に接続する必要がある、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る装置は、移動通信網のコアネットワーク装置である。このコアネットワーク装置は、前記移動通信網における通信端末装置から基地局への接続を管理する手段と、移動経路を移動する移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に、前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を通知する手段と、を備える。
【0007】
前記コアネットワーク装置において、前記情報処理装置に、前記通信端末装置と前記情報処理装置との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を送信する手段を備えてもよい。
【0008】
本発明の他の態様に係る装置は、移動経路を移動する移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置である。この情報処理装置は、前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置から通知された前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を受信する手段と、前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を前記通信端末装置に通知する手段と、を備える。
【0009】
前記情報処理装置において、前記情報処理装置の通信アドレス情報は、前記情報処理装置における前記サービス提供のアプリケーションのURLであってもよい。また、当該情報処理装置は、移動通信網の基地局又は前記基地局とコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けられたMEC(Multi-access Edge Computing)装置であってもよい。また、前記情報処理装置において、前記コアネットワーク装置から、前記通信端末装置と前記情報処理装置との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を受信する手段を備え、前記情報処理装置から前記通信端末装置への通知は前記セキュリティ情報を含んでもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る装置は、移動経路を移動する移動体に備える通信端末装置である。この通信端末装置は、前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したとき、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置から、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を受信する手段と、前記接続要求に応じて、前記情報処理装置の通信アドレス情報に基づき前記基地局を介して前記情報処理装置に接続する手段と、を備える。
【0011】
前記通信端末装置において、前記情報処理装置から受信した前記接続情報を、移動体間の直接無線通信又は路車間通信を介して、周辺に位置する他の移動体の通信端末装置に送信する手段を備えてもよい。また、前記情報処理装置の通信アドレス情報は、前記情報処理装置における前記サービス提供のアプリケーションのURLであってもよい。また、前記情報処理装置の通信アドレス情報及び前記情報処理装置への接続要求は、前記通信端末装置と前記情報処理装置との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を含んでもよい。また、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求は、移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信により受信してもよいし、又は、移動通信網におけるIP通信により受信してもよい。
【0012】
本発明の更に他の態様に係るシステムは、前記コアネットワーク装置と前記情報処理装置とを備える。
【0013】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動通信網のコアネットワーク装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記移動通信網における通信端末装置から基地局への接続を管理するためのプログラムコードと、移動経路を移動する移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に、前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を通知するためのプログラムコードと、を含む。
【0014】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動経路を移動する移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことを契機として移動通信網のコアネットワーク装置から通知された前記エリアの基地局に接続した前記通信端末装置の通信アドレス情報を受信するためのプログラムコードと、前記通信端末装置の通信アドレス情報に基づいて、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を前記通信端末装置に通知するためのプログラムコードと、を含む。
【0015】
本発明の更に他の態様に係るプログラムは、移動経路を移動する移動体の通信端末装置に備えるコンピュータ又はプロセッサにおいて実行されるプログラムである。このプログラムは、前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したとき、前記エリアにおける前記移動体に対するサービス提供に用いられる情報処理装置から、前記情報処理装置の通信アドレス情報と前記情報処理装置への接続要求を受信するためのプログラムコードと、前記接続要求に応じて、前記情報処理装置の通信アドレス情報に基づき前記基地局を介して前記情報処理装置に接続するためのプログラムコードと、を含む。
【0016】
前記コアネットワーク装置、前記移動体、前記情報処理装置、前記システム及び前記プログラムにおいて、前記通信端末装置の通信アドレス情報は、前記移動通信網におけるSMS又はNIDD(Non-IP Data Deliver)の非IP通信に用いられる前記通信端末装置の識別子であってもよく、又は、前記移動通信網におけるIP通信に用いられる前記通信端末装置のIPアドレスであってもよい。NIDDは、3GPPの標準規格(例えば、TS23.401 V15.4.0(2018-06),TS23.682 V15.5.0(2018-06)参照)で定義された機能であり、IPを用いずに通信を行う非IP通信である。
【0017】
前記コアネットワーク装置、前記移動体、前記情報処理装置、前記システム及び前記プログラムにおいて、前記移動体は、地上、地中、空中、水上又は水中を移動する移動体であってもよく、地上を移動する車両であってもよい。
【0018】
また、前記コアネットワーク装置、前記移動体、前記情報処理装置、前記システム及び前記プログラムにおいて、前記移動体の通信端末装置が移動先のエリアの基地局に接続したことは、機械学習の学習済モデルを用いて推定又は判定してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、移動通信網を介した移動体へのサービス提供を行う場合に、移動体の通信端末装置が基地局から受信する信号の強度に関係なく、移動体の通信端末装置からサービス提供に用いられる情報処理装置に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態に係るシステムの全体構成の一例を示す説明図。
図2】本実施形態に係るコアネットワーク装置の主要な機能の一例を示すブロック図。
図3】本実施形態に係るMECサーバ(情報処理装置)の主要な機能の一例を示すブロック図。
図4】本実施形態に係る車両のUE(通信端末装置)の主要な機能の一例を示すブロック図。
図5】本実施形態に係るシステムの全体構成におけるMEC接続支援の情報の流れ及び処理の一例を示す説明図。
図6図5のシステムにおける車両のUE(通信端末装置)へのMEC接続支援の手順の一例を示すフローチャート。
図7図5のシステムにおける車両のUE(通信端末装置)へのMEC接続支援の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
本書に記載された実施形態に係るシステムは、C-V2X(Cellular Vehicle to X)の分野において車両の通信端末装置が適切な場所及びタイミングで、通信キャリア等の閉域ネットワーク(例えば、LADN:Local Area Data Network)に設置された特定のMECサーバ(情報処理装置)にアクセスできるようになる、移動通信網のコアネットワーク(例えば5GC)による車両の通信端末装置への接続を支援するMEC接続支援システムである。MECサーバ(情報処理装置)は、インターネット等のパブリックネットワーク上のサーバを意識せずに(連携せずに)、車両の通信端末装置に対して、当該MECサーバで起動しているアプリケーション(例えば、車両の合流点付近での合流支援のサービスを提供するアプリケーション)への接続トリガを通知することができる。
【0022】
また、閉域ネットワーク(LADN)の地理的エリア定義を変更することにより、合流路以外、例えば、大型ショッピングモールの駐車場内や、自動運転車両が自動運転モードとして走行できる地域内でも本発明は適用できる。
【0023】
なお、本実施形態では移動体が地上の移動経路である道路を走行する車両の場合について説明するが、移動体の種類及び移動経路の種類に特に制約はない。例えば、車両は、自動車、トラック、バス、バイクなどである。車両は、自動運転機能を有する車両でもよいし、自動運転機能を有していない手動運転の車両であってもよい。また、衝突可能性判定対象の移動体は、地上の車両のほか、所定高度の上空における移動経路を飛行して移動可能な飛行体などの移動体であってもよい。また、移動体は、地下における移動経路を移動する地下移動体、水上(例えば海上)などにおける移動経路を移動可能な船舶などの水上移動体、又は、水中(例えば海中)の移動経路を移動する潜水ロボットなどの水中移動体であってもよい。
【0024】
また、本実施形態の車両は、電気自動車、燃料電池自動車、内燃機関と電動機の双方を有するハイブリッド車であってもよい。また、車両は、当該車両が乗員又は乗客のために複数の席を有する場合、その最前列かつ最左端の席が運転席でない車両であってもよい。即ち、最前列かつ最右端の席のみが運転席である車両であってもよいし、そもそも運転席を有さない自動運転の車両であってもよい。
【0025】
また、本実施形態における移動通信網の構成及び通信方式などは、特定の世代の標準規格の準拠するものに限定されない。本実施形態における移動通信網の構成及び通信方式などは、例えばLTE、LTE-Advanced、第5世代、又は、その後の世代の標準規格の準拠するものであってもよい。
【0026】
図1は、本実施形態に係るシステムの全体構成の一例を示す説明図である。図1において、本実施形態のシステムは、移動通信網15を構成する後述のコアネットワーク装置を備える。また、本実施形態のシステムは、移動体としての車両30Aが走行している地上の移動経路である高速道路等の道路90の本線車道91,92に合流側道93から他の移動体としての車両30Bが合流する合流時における移動体同士の衝突の可能性を判定するサービスの提供に用いられる情報処理装置10を備える。本実施形態のシステムは、車両30A及び車両30B等の複数の移動体の通信端末装置31を含んでもよい。
【0027】
図1において、道路90の本線車道は走行車線91と追越車線92を有している。車両30A,30Cは走行車線91を走行し、車両30E,30Fは追越車線92を走行している。合流側道93は、合流可能範囲Wxで本線車道の走行車線91に接している。車両30B,30Dは、本線車道に向かって合流側道93を走行している。なお、以下の説明において、各車両に共通の説明をする場合は車両30と記載する。
【0028】
本実施形態の情報処理装置10は、例えば、移動通信網15の基地局16に設けられ、車両30の通信端末装置31との間で基地局16を介して送受信される各種のデータ処理を行うことができるMEC(Multi-access Edge Computing)装置である。情報処理装置(以下「MECサーバ」という。)10は、基地局16と移動通信網15のコアネットワークとの間のノード又はコアネットワークの外側に設けてもよい。
【0029】
基地局16は、一つ又は複数のセル(セクタ、セクタセルとも呼ばれる。)を形成する。セルは地上又は海上に2次元的に形成してもよいし、上空から地上又は海上に向けて3次元的に形成してもよい。セルは、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセル、大セル等であってもよい。複数のセルは、複二次元的に又は三次元的に隣り合うように分布するセルラー構造を構成してもよいし、階層的に一部又は全部が重なり合った階層セル構造を構成してもよい。基地局16は、マクロセル基地局、スモールセル基地局、フェムトセル基地局、ピコセル基地局、大セル基地局、地上等に固定設置された固定基地局、地上、海上、上空などを移動可能な移動型の基地局等であってもよい。基地局16は、eNodeB(evolved Node B:eNB)、gNodeB(gNB)、en-NodeB(en-gNB)、アクセスポイント等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。
【0030】
車両30の通信端末装置31は、移動通信サービスの加入者として使用可能なユーザ装置(UE)としての機能を有する。通信端末装置(以下「UE」ともいう。)31は、例えば、車両30に組み込んで設置された車載装置(例えばナビゲーション装置の一部として組み込まれた装置)である。車両30のUE31は、車両30の中で利用者(例えば、運転者又は同乗者)に所持又は装着された装置でもよい。UE31は、ユーザ端末、端末、端末装置、移動局、移動機等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。
【0031】
車両30のUE31は、車車間通信(例えば、Sidelink(PC-5)などの近距離無線通信)により周辺の他の車両との間で近接無線通信可能な機能を有してもよい。車車間通信は、例えばマイクロ波、ミリ波等の電波を用いられる。車車間通信の周波数は、例えば、1GHzよりも低い数百MHzでもよいし、1GHz以上の高周波数帯であってもよい。また、車車間通信の周波数は、ITS(Intelligent Transport Systems)やCACC(Cooperative Adaptive Cruise Control)で使用される700MHz帯(715MHz~725MHz)、5.8GHz帯(5770MHz~5850MHz)やLTE-V2X Sidelink(PC-5)で使用される5.9GHz帯(5850MHz~5925MHz)、NR-V2X Sidelink(PC-5)で使用される周波数等であってもよい。また、車車間通信のため所定のビーム幅を有する複数のアンテナを備えてもよい。例えば、車両30は、前方の車両と車車間通信するための指向性アンテナと、後方の車両と車車間通信するための指向性アンテナと、右側方の車両と車車間通信するための指向性アンテナと、左側方の車両と車車間通信するための指向性アンテナとを備えてもよい。車車間通信は、道路90の周辺に設けられた路側通信中継装置RSU(Road Side Unit)を介して行ってもよい。
【0032】
本実施形態のMECサーバ10は、車両30の外に位置する利用者の通信端末装置との間で基地局16を介して通信する機能を有してもよい。利用者の通信端末装置は、移動通信サービスの加入者として使用可能なスマートフォンなどのユーザ装置(UE)であり、ユーザ端末、端末、端末装置、移動局、移動機等と呼ばれる無線通信装置であってもよい。
【0033】
車両30のUE31及び車両30の外のUEは、現在位置情報を取得する機能及び通信機能を有するIoTデバイス、AR(Augmented Reality)デバイス、VR(Virtual Reality)デバイス、MR(Mixed Reality)デバイス又はスマートデバイスであってもよい。また、UEは、現在位置情報を取得する機能及び通信機能を有する眼鏡型デバイス(例えば、ARグラス、VRグラス、MRグラス、スマートグラス)、時計型デバイス(例えば、スマートウォッチ)などであってもよい。また、UEは、現在位置情報を取得する機能及び通信機能を有するGNSS(Global Navigation Satellite System)トラッカー、防犯ブザー、歩数計などであってもよい。
【0034】
図1のシステムにおいて、基地局16のセルは走行車線91と合流側道93との合流付近のエリアをカバーするように形成され、当該エリアに在圏する車両30のUE31と基地局16とMECサーバ10とを含む仮想的なネットワークスライスの閉域ネットワークであるLADN(Local Area Data Network)が定義されている。LADNでは、車両30のUE31は、基地局16を介してユーザデータのパケット転送を行うノードであるUPF(User Plane Function)との間でPDU(Protocol Data Unit)セッションを確立し、そのUPFを介してMECサーバ10に接続することができる。
【0035】
車両30のUE31がMECサーバ10に接続するには、UE31が所在する地理的場所に紐付いたMECサーバ10の通信アドレス情報であるURL(IPアドレス)を知っている必要がある。車両30のUE31が所在する地理的場所に応じて適切なMECサーバ10のURL(IPアドレス)を提供する従来の方式(例えば、ETSIのホワイトペーパー: Enhanced DNS Support towards Distributed MEC Environment(参照URL:https://www.etsi.org/images/files/ETSIWhitePapers/etsi-wp39-Enhanced-DNS-Support-towards-Distributed-MEC-Environment.pdf)において検討された、端末が地理的に分散配置されたMECサーバを見つけて接続する「Service Discovery」と呼ばれる方式)では、特にC-V2Xの分野において実用化する場合に、下記(1)及び(2)のような課題が残されている。
【0036】
(1)車両30のUE31がMECサーバ10に接続可能なエリアに移動したとき、UE31に対してMECサーバにアクセスできる状態である旨の情報を提供しない。例えば、車両30が合流路付近に近づいたとき、合流支援を行う閉域NW(LADN:Local Area Data Network)上に展開されたMECサーバ10にアクセスしたい場合、車両30はMECサーバ10にアクセスするトリガを知ることができない。これを既存技術で解決するには、車両30に組み込まれるアプリケーションに予め地理的場所に紐付いた情報(MECサーバ10への接続情報)を作り込む必要が生じる。
【0037】
(2)閉域NW上にMECサーバ10が新たに追加された場合、その追加されたMECサーバ10の通信アドレス情報としてのMEC接続情報(例えば、閉域NW上のURL)が車両30のUE31に提供されない。
【0038】
本実施形態では、移動通信網のコアネットワーク装置が各基地局に接続しているすべてのUEの場所を基地局単位で把握していることに着目し、車両30のUE31が特定の場所(基地局16)に接続(初期接続又は再接続)されたことを契機として、コアネットワーク装置が、MECサーバ10にその旨を通知するとともに、MECサーバ10が、当該UE31に対して特定のMECサーバ10の提供対象サービスのアプリケーションへ接続させるトリガを通知する。このトリガの通知には、MECサーバ10の通信アドレス情報としてのMEC接続情報が含まれる。
【0039】
MECサーバ10が車両30のUE31へ前記トリガを通知する方法では、NWから端末へのIP通信を受け付けない実装をしているか否かに応じて通信経路を選択してもよい。例えば、UE31のサイバーセキュリティの観点で移動通信網の閉域NWからUE31へのIP通信を受け付けない実装をしている(Layer4のPortを閉じている)場合は、移動通信網15のC-Planeを使ったSMSやNIDDなどの非IP通信による通知手段を用いる。移動通信網の閉域NWからUE31へのIP通信を受け付ける実装をしている場合は、MECサーバ10から当該UE31へのIP通信による通知手段を行う。
【0040】
前記通知を受けた車両30のUE31のアプリケーションとMECサーバ10のアプリケーションとの間でセキュアな通信を高速に確立するために、当該通知の内容にUE31がMECサーバ10への接続に必要なコアネットワーク認証機能で払い出したid(識別情報)及びセキュリティキー(例えば、パスワート及び電子署名及び暗号化・復号化に使用される鍵情報)又はtoken(例えば、一度だけ使うことを前提とされた使い捨ての「ワンタイムパスワード」又はそのワンタイムパスワードを生成するソフトウェア)を含ませてもよい。
【0041】
前記通知を受けた車両30のUE31は、その周囲に位置する後続の車両に対して、PC-5等の車車間の直接無線通信方式又は路車間通方式で、MECサーバ10の通信アドレス情報としてのMEC接続情報を伝えてもよい。これにより、あらかじめ接続開始のトリガをコアネットワーク装置からの通知とは別の手法で得られることで、MECサーバ10への接続シーケンスを先行車のそれと比べて減らすことができる。
【0042】
図2は、本実施形態に係るコアネットワーク装置150の主要な機能の一例を示すブロック図である。図2において、移動通信網15のコアネットワークに設けられたコアネットワーク装置150は、情報取得・管理部1501と情報送信部1502と記憶部1503と制御部1504とを備える。
【0043】
情報取得・管理部1501は、基地局16を介して、対応する地域内に位置する複数の車両30のUE(通信端末装置)31と通信し、移動通信網15におけるUE31から基地局への接続を管理する手段としての機能を有する。情報取得・管理部1501は、例えば各車両30のUE31が基地局16のセルに接続していることを示す接続情報を取得して管理する。UE31の接続情報は、例えば第5世代の移動通信システムにおいて、UE31が接続している基地局のセルを識別する識別子(ncgi:NR Cell Global Identifier)として管理される。
【0044】
情報送信部1502は、道路90を移動する車両30のUE31が移動先のエリアの基地局16に接続したことを契機として、当該エリアにおける当該車両30に対する合流支援等のサービス提供に用いられるMECサーバ10に、当該エリアの基地局16に接続したUE31の通信アドレス情報(例えば端末識別子)を通知する手段としての機能を有する。UE31の通信アドレス情報は、移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信に用いられるUE31の識別子、又は、移動通信網におけるIP通信に用いるUE31のIPアドレスである。また、情報送信部1502は、MECサーバ10に、車両30のUE31とMECサーバ10との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を送信する手段としての機能も有する。セキュリティ情報は、例えば、車両30のUE31からMECサーバ10への接続に必要なコアネットワーク認証機能で払い出したid(識別情報)及びセキュリティキー又はtokenである。
【0045】
記憶部1503は、前記車両30のUE31の接続情報、MECサーバ10に通知するUE31の通信アドレス情報(例えば端末識別子)及びセキュリティ情報を記憶する手段としてのデータベースの機能を有する。
【0046】
制御部1504は、所定の制御プログラムを読み込んで実行し、各部を制御する。
【0047】
図3は、本実施形態に係るMECサーバ(情報処理装置)10の主要な機能の一例を示すブロック図である。図3において、MECサーバ10は、網側通信部1001と端末側通信部1002と記憶部1003と制御部1004とを備える。
【0048】
網側通信部1001は、車両30のUE31が移動先のエリアの基地局16に接続したことを契機として移動通信網15のコアネットワーク装置150から通知された当該エリアの基地局16に接続したUE31の通信アドレス情報(例えば端末識別子)を受信する手段としての機能を有する。UE31の通信アドレス情報は、移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信に用いられるUE31の識別子、又は、移動通信網におけるIP通信に用いるUE31のIPアドレスである。また、網側通信部1001は、コアネットワーク装置150から、車両30のUE31とMECサーバ10との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を受信する手段としての機能も有する。
【0049】
端末側通信部1002は、コアネットワーク装置150から受信した車両30のUE31の通信アドレス情報に基づいて、MECサーバ10の通信アドレス情報(例えば、前記閉域NWにおけるMECサーバ10のURL)とMECサーバ10への接続要求(トリガー)をUE31に通知する手段としての機能を有する。MECサーバ10の通信アドレス情報は、MECサーバ10におけるサービス提供のアプリケーションのURLであってもよい。
【0050】
記憶部1003は、コアネットワーク装置150から受信したUE31の通信アドレス情報(例えば端末識別子)及びセキュリティ情報を記憶する手段としての機能を有する。
【0051】
制御部1004は、所定の制御プログラムを読み込んで実行し、各部を制御する。また、制御部1004は、MECサーバ10で実行されている合流支援などのサービス提供のアプリケーションを実行する手段としての機能も有する。
【0052】
図4は、本実施形態に係る車両30のUE(通信端末装置)31の主要な機能の一例を示すブロック図である。図4において、UE31は、サーバ側通信部3101と網側通信部3102と記憶部3103と制御部3104とを備える。
【0053】
サーバ側通信部3101は、車両30のUE31が移動先のエリアの基地局16に接続したとき、当該エリアにおける車両30に対する合流支援などのサービス提供に用いられるMECサーバ10から、そのMECサーバ10の通信アドレス情報(例えば、前記閉域NWにおけるMECサーバ10のURL)とMECサーバ10への接続要求(トリガー)を受信する手段としての機能を有する。ここで、MECサーバ10の通信アドレス情報は、MECサーバ10における前記合流支援などのサービス提供のアプリケーション(サーバアプリケーション)のURLであってもよい。また、前記接続要求の通知は、UE31とMECサーバ10との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を含んでもよい。MECサーバ10の通信アドレス情報とMECサーバ10への接続要求は、移動通信網におけるSMS又はNIDDの非IP通信により受信してもよいし、又は、移動通信網におけるIP通信により受信してもよい。
【0054】
前記MECサーバ10からの接続要求の通知は、UE31とMECサーバ10との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報を含んでもよい。
【0055】
また、サーバ側通信部3101は、前記接続要求(トリガー)に応じて、MECサーバ10の通信アドレス情報(例えば、MECサーバ10のURL)に基づき基地局16を介してMECサーバ10又は前記サーバアプリケーションに接続する手段としての機能を有する。
【0056】
網側通信部3102は、基地局16を介して移動通信網15の各コアネットワーク装置と通信する機能を有する。
【0057】
記憶部3103は、MECサーバ10の通信アドレス情報(例えば、前記閉域NWにおけるMECサーバ10のURL)及びセキュリティ情報を記憶する手段としての機能を有する。
【0058】
制御部3104は、所定の制御プログラムを読み込んで実行し、各部を制御する。
【0059】
なお、図4において、車両30のUE31は車車間通信部3105を備えてもよい。車車間通信部3105は、MECサーバ10から受信したMECサーバ10の通信アドレス情報(例えば、前記閉域NWにおけるMECサーバ10のURL)、セキュリティ情報又はその両方の情報を、車車間の直接無線通信又は路車間通信を介して、周辺に位置する他の車両のUEに送信する手段としての機能を有する。
【0060】
図5は、本実施形態に係るシステムの全体構成におけるMEC接続支援の情報の流れ及び処理の一例を示す説明図である。図6は、図5のシステムにおける車両30のUE(通信端末装置)31へのMEC接続支援の手順の一例を示すフローチャートである。図5及び図6の例は、UE31がIP通信を受け付けない場合の一例である。
【0061】
図5の例では、道路90の車両進行方向に複数の基地局16X及び基地局16Yが配置されている。車両進行方向の下流側の基地局16Yは、道路90を先行して移動している車両30Aの移動先のエリアである合流点を含むエリアにセル160Yを形成する。車両進行方向の上流側の基地局16Xは、後続の車両30Bが位置するエリアにセル160Xを形成する。
【0062】
また。図5の例は、第5世代又はその後の世代の移動通信システムの構成の例を示している。本実施形態のコアネットワーク装置150は、コアネットワークのC-plane(制御-プレーン)機能群の一部を構成するAMF(Access and Mobility management Function)151とSMF(Session Management Function)152とPCF(Policy Control Function)153とを有する。AMF151は基地局16を介してUE31との間で制御関係の情報の送受信を行い、UE31のモビリティ管理を行うノードである。SMF152は基地局16及びUPF(User Plane Function)18を介してUE31との間でユーザデータの送受信を行い、UE31のセッション管理を行うノードである。PCF153はポリシー制御を行うノードである。コアネットワーク装置150は、NEF(Network Exposure Function)154を介してMECサーバ10と通信することができる。UPF18は、U-plane(ユーザ-プレーン)機能群の一部を構成し、UE31とSMF152との間でユーザデータの転送を行う。また、UE31は、基地局16を介してUPF18との間にPDU(Protocol Data Unit)セッションを確立し、UPF18を介して、閉域ネットワークであるLADN17に配置されたMECサーバ10と通信することができる。
【0063】
図6において、先行の車両30Aは移動先のエリアにセル160Yを形成している特定の基地局(g-NodeB)16Yに接続する(S101)。例えば、車両30Aは、閉域NWのLADN17として定義された基地局(g-NodeB)16Yに接続すると、その接続を契機として、当該LADN17のUPF18との間にPDU sessionを張る。
【0064】
コアネットワーク装置150は、先行の車両30AのUE31が基地局(g-NodeB)16Yに接続したことを認識し、ncgiとして管理する(S102)。
【0065】
コアネットワーク装置150は、UE31が移動先のエリアの基地局(g-NodeB)16Yに接続したことを契機として、NEF154を介して、UE31が接続したLADN17上のMECサーバ10に対して、あるUE31が接続したこととUE31の識別子を通知する(S103)。この通知には「EventNotification」を用いてもよい。
【0066】
MECサーバ10は、UE31の識別子を用いて、移動通信網15のSMS又はNIDD通信路にて、MECサーバのURLをUE31に通知する(S104)。
【0067】
MECサーバ10は、コアネットワーク装置150から、UE31とMECサーバ10との間の認証及び秘匿通信に用いるセキュリティ情報(例えば、セキュリティID/key又はtoken)を受領する(S105)。
【0068】
UE31で起動しているアプリケーションは、移動通信網15におけるコアネットワーク経由で受信したMECサーバ10の接続情報(URL)とセキュリティ情報(例えば、セキュリティID/key又はtoken)を用いて、MECサーバ10に接続を開始する(S106)。
【0069】
車両30AのUE31は、車車間直接通信方式のPC-5経由で、後続の車両30BにMECサーバ10の接続情報と接続の契機(トリガ)を送信して伝える(S107)。後続の車両30Bに送信する情報には、前記セキュリティ情報を含めてもよい。
【0070】
図7は、図5のシステムにおける車両30のUE(通信端末装置)31へのMEC接続支援の手順の他の例を示すフローチャートである。図7の例は、UE31がIP通信を受け付ける場合の例である。なお、図7におけるS201、S202、S205及びS207については、前述の図6におけるS101、S102、S105及びS107と共通するので、説明を省略する。
【0071】
図7において、コアネットワーク装置150は、UE31が移動先のエリアの基地局(g-NodeB)16Yに接続したことを契機として、NEF154を介して、UE31が接続したLADN17上のMECサーバ10に対して、UE31が接続したこととUE31のIPアドレスを通知する(S203)。この通知には「EventNotification」を用いてもよい。
【0072】
MECサーバ10は、UE31のIPアドレス宛に、MECサーバのURLをUE31に通知する(S204)。
【0073】
UE31で起動しているアプリケーションは、MECサーバ10から受信したMECサーバ10の接続情報(URL)と移動通信網15におけるコアネットワーク経由で受信したセキュリティ情報(例えば、セキュリティID/key又はtoken)を用いて、MECサーバ10に接続を開始する(S206)。
【0074】
以上、本実施形態によれば、移動通信網15を介した車両(移動体)30への合流支援等のサービス提供を行う場合に、車両30のUE(通信端末装置)31が基地局16から受信する信号の強度に関係なく、車両30のUE31からサービス提供に用いられるMECサーバ(情報処理装置)10に安定して接続することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、車両30のUE31は、適切な場所及びタイミングでMECサーバ10にアクセスできる。また、MECサーバ10は、パブリックサーバ上のアプリケーションを意識せず(連携せず)に、車両30のUE31に対して自身のアプリケーションを通知することができる。
【0076】
また、本発明は、車両30のUE31からMECサーバ10に安定して接続することができるため、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0077】
また、本明細書で説明された処理工程並びにシステム、コアネットワーク装置、情報処理装置(サーバ)、基地局及び通信端末装置(端末、端末装置、ユーザ装置(UE)、移動局、移動機)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。
【0078】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0079】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0080】
また、前記媒体は非一時的な記録媒体であってもよい。また、前記プログラムのコードは、コンピュータ、プロセッサ、又は他のデバイス若しくは装置機械で読み込んで実行可能であればよく、その形式は特定の形式に限定されない。例えば、前記プログラムのコードは、ソースコード、オブジェクトコード及びバイナリコードのいずれでもよく、また、それらのコードの2以上が混在したものであってもよい。
【0081】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0082】
10 :MECサーバ(情報処理装置)
15 :移動通信網
16 :基地局
16X :基地局
16Y :基地局
30 :車両(移動体)
31 :UE(通信端末装置)
90 :道路(移動経路)
150 :コアネットワーク装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7