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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】射出成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/17 20060101AFI20240722BHJP
   B29C 45/62 20060101ALI20240722BHJP
   B29C 45/64 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
B29C45/17
B29C45/62
B29C45/64
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022126891
(22)【出願日】2022-08-09
(65)【公開番号】P2024024221
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】依田 穂積
(72)【発明者】
【氏名】碓井 和男
(72)【発明者】
【氏名】花岡 俊
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-285909(JP,A)
【文献】特開2015-182363(JP,A)
【文献】特開平07-186211(JP,A)
【文献】特開平05-237875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 15/00-17/32
B29C 33/00-33/76
B29C 39/26-39/36
B29C 41/38-41/44
B29C 43/36-43/42
B29C 43/50
B29C 45/00-45/84
B29C 49/48-49/56
B29C 49/70
B29C 51/30-51/40
B29C 51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型を型締めする型締装置と、前記金型へ樹脂材料を射出する射出装置とからなり、前記射出装置に備えられるスクリューが、標準スクリューからこの標準スクリューより短いショートスクリューに交換可能とされ、且つ前記標準スクリューを内蔵する標準加熱筒が前記ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒に交換可能とされる射出成形装置であって、
前記型締装置は型締ベッドを含み、前記射出装置は前記型締ベッドとは独立した射出ベッドを含み、
この射出ベッドは、射出軸に沿った長さが前記ショート加熱筒に基づいて設定されており、前記ショート加熱筒と前記標準加熱筒の長さの差だけ前記型締ベッドに対して移動可能とされ、
前記型締ベッドと、前記ショート加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結するショート連結具を備え、
前記型締ベッドと、前記標準加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結する標準連結具を備えていることを特徴とする射出成形装置。
【請求項2】
金型を型締めする型締装置と、前記金型へ樹脂材料を射出する射出装置とからなり、前記射出装置に備えられるスクリューが、標準スクリューからこの標準スクリューより短いショートスクリューに交換可能とされ、且つ前記標準スクリューを内蔵する標準加熱筒が前記ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒に交換可能とされる射出成形装置であって、
前記型締装置は型締ベッドを含み、前記射出装置は前記型締ベッドとは独立した射出ベッドを含み、
この射出ベッドは、射出軸に沿った長さが前記ショート加熱筒に基づいて設定されており、前記ショート加熱筒と前記標準加熱筒の長さの差だけ前記型締ベッドに対して移動可能とされ、
前記型締ベッドと、前記ショート加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結すると共に、前記型締ベッドと、前記標準加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結するショート・標準共用連結具を備えていることを特徴とする射出成形装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の射出成形装置であって、
前記型締ベッドは、床にアンカーボルトで固定され、前記射出ベッドは、床に防振台を介して載せられていることを特徴とする射出成形装置。
【請求項4】
金型を型締めする型締装置と、前記金型へ樹脂材料を射出する射出装置とからなり、前記射出装置に備えられるスクリューが、標準スクリューからこの標準スクリューより短いショートスクリューに交換可能とされ、且つ前記標準スクリューを内蔵する標準加熱筒が前記ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒に交換可能とされる射出成形装置であって、
前記型締装置は型締ベッドを含み、前記射出装置は前記型締ベッドとは独立した射出ベッドを含み、
前記型締ベッド及び前記射出ベッドは、共に床にアンカーボルトで固定され、
この射出ベッドは、射出軸に沿った長さが前記ショート加熱筒に基づいて設定されており、前記ショート加熱筒と前記標準加熱筒の長さの差だけ前記型締ベッドに対して移動可能とされることを特徴とする射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さが異なる2本のスクリューを交換することができる射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品(以下、樹脂製品と記す。)の需要増加に伴って、樹脂製品を大量に生産することができる射出成形装置が盛んに設置されてきた。そして、各種の構造の射出成形装置が実用に供されてきた(例えば、特許文献1(図1図2)参照)。
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図16は従来の射出成形装置の正面図であり、射出成形装置100は、コモンベッドとも呼ばれる共通ベッド101と、この共通ベッド101の概ね右半分に載っている射出装置110と、共通ベッド101の概ね左半分に載っている型締装置120とを備えている。
【0004】
図17は従来の射出成形装置の構造を説明する図である。
射出装置110は、共通ベッド101の上面に敷設したレール111と、このレール111上を図面左右に移動するスライダ112と、このスライダ112に載っているスクリュー回転・移動機構113と、このスクリュー回転・移動機構113で支持されつつ型締装置120側へ延びている加熱筒114及びスクリュー115と、型締装置120側とスライダ112とを連結してスライダ112を移動する射出装置移動機構116とからなる。
【0005】
型締装置120は、共通ベッド101に固定される固定盤121と、この固定盤121と平行に且つ射出装置110から十分に離れた位置にて共通ベッド101で支持される圧受盤122と、この圧受盤122と固定盤121とに掛け渡される複数本のタイバー123と、圧受盤122と固定盤121との間に配置されタイバー123で案内される可動盤124と、この可動盤124と圧受盤122とに掛け渡されるトグルリンク機構125とからなる。
【0006】
固定盤121と可動盤124とに金型126が取付けられる。可動盤124がトグルリンク機構125で押されることで、金型126は型締めされる。
この型締めの際、固定盤121には、可動盤124及び金型126から発生する慣性力により、図面時計回りに倒れようとする。倒れが過大であると、金型126の型締めが不良になる。
そうならないように、共通ベッド101の剛性を高め、固定盤121を強固に支えるようにしている。
【0007】
また、射出装置移動機構116により、レール111に沿ってスライダ112が移動され、加熱筒114の先端が固定盤121を貫通して金型126に当たる。当たった形態はノズルタッチと呼ばれる。
【0008】
ホッパ117から加熱筒114内へ樹脂材料が供給される。スクリュー回転・移動機構113により、スクリュー115が所定方向に回される。樹脂材料はスクリュー115に沿って加熱筒114の先端へ移動する。この移動の間に樹脂材料は混錬され加熱筒114で加熱されることで可塑化する。可塑化した樹脂材料は加熱筒114の先端に溜まり、この溜まり量の増加に伴ってスクリュー115は後退する。この後退距離とスクリュー115の断面積との積が溜まり量となる。この溜まり量に基づいて計量がなされる。
【0009】
溜まり量が所定量になると計量が完了し、スクリュー回転・移動機構113により、スクリュー115を前進させる。この前進により、樹脂材料は、加熱筒114のノズル118から金型126へ射出される。
【0010】
以上の射出成形に用いるスクリュー115は重要部品の一つであり、スクリュー115の具体的な構造が、各種提案されてきた(例えば、特許文献2(段落0021)参照)。
特許文献2によれば、スクリューの有効長さをLとし、スクリューの外径(以下、スクリュー径と記す。)をDとしたときに、L/Dは、例えば、21.5である。
【0011】
本発明者らは、L/Dが21.5であるスクリュー115を装着した射出成形装置100で、多くの種類の樹脂材料により樹脂製品を生産した。すると、次のことが判明した。
樹脂材料が硬質塩化ビニルであるときに、樹脂製品に変色が認められた。この変色は製品の品質を低下させるため、許容されない。
【0012】
詳しく調べたところ、溶融樹脂材料の過度な温度上昇が認められた。硬質塩化ビニルは可塑化の際に他の樹脂材料に比較して、温度が上がり易いことが分かった。硬質塩化ビニルは熱感受性が高く、温度上昇により、変色したと推定される。
【0013】
対策の一つに、スクリュー115を短くすることで、温度上昇を抑制する手法がある。
そこで、短いスクリュー115及び対応する長さの加熱筒を複数セット準備し、硬質塩化ビニルの射出成形を試した。
結果、スクリュー115を20%程度短縮することで変色を抑制することができた。20%程度短縮すると、L/Dは17.0になる。
【0014】
以下、硬質塩化ビニル以外の樹脂材料を「普通の樹脂」と呼ぶ。
また、L/Dが21.5であるスクリュー115を、「標準スクリュー」と呼び、L/Dが17.0であるスクリュー115を「ショートスクリュー」と呼ぶことにする。
【0015】
「普通の樹脂」の射出成形と、硬質塩化ビニルの射出成形との両方に対する対策は、次の2つが考えられる。
第1に、「標準スクリュー」を装備した射出成形装置100と、「ショートスクリュー」を装備した射出成形装置(区別するために、100Aと記す。)とを、それぞれ設置する。
この対策では、射出成型装置が2基であるため、これらの設置面積が2倍になり、設備コストも2倍になる。
硬質塩化ビニルが少量の場合は、射出成形装置100Aの稼働率が下がる。
【0016】
第2は、「標準スクリュー」及び標準加熱筒を装備した射出成形装置100から、「標準スクリュー」及び標準加熱筒を外し、「ショートスクリュー」及びショート加熱筒に付け替える案である。この対策であれば、「ショートスクリュー」及びショート加熱筒を装備した射出成形装置100から、「ショートスクリュー」及びショート加熱筒を外し、「標準スクリュー」及び標準加熱筒に付け替えることもできる。
第2の対策によれば、第1の対策の欠点の多くを克服し得る。
【0017】
第2の対策による射出成形装置100Bの形態を、図18に基づいて説明する。
図18に示すように、射出成形装置100Bでは、スクリュー回転・移動機構113に、ショートスクリューを内蔵する短い加熱筒(ショート加熱筒)119を取付けた。
結果、スクリュー回転・移動機構113が、図面左に、少なくとも「標準スクリュー」と「ショートスクリュー」の長さの差DLだけ、移動した。結果、スクリュー回転・移動機構113の後面(図では右側)に、デッドスペース128が発生する。
【0018】
図16に示す射出成形装置100に比較して、図18に示す射出成形装置100Bは、デッドスペース128が存在するため、スペースの活用の点で難がある。
また、共通ベッド101の右端部102が、仮に無ければ、この部分に周辺機器の一部を置くことができる。しかし、「ショートスクリュー」を「標準スクリュー」に戻すことが将来起こり得るため、右端部102は残さざるを得ない。
すなわち、第2の対策には、スペースの有効活用の点で改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】特開2021-45938号公報
【文献】特開2006-88533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、「ショートスクリュー」を「標準スクリュー」に付け替える、又は「標準スクリュー」を「ショートスクリュー」に付け替えるような模様替えを行う場合、模様替えの前後でスペースの有効活用が図れる射出成形装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
図1に基づいて、「標準スクリュー」と「ショートスクリュー」とを説明する。
図1(a)に示すように、標準加熱筒11は、標準的長さの標準スクリュー12を内蔵している。標準的長さの標準スクリュー12は、L/Dが例えば21.5である。
図1(b)に示すように、ショート加熱筒15は、ショートスクリュー16を内蔵している。ショートスクリュー16は、L/Dが例えば17.0である。
【0022】
スクリュー径Dが共通であるため、ショートスクリュー16は、標準スクリュー12より短くなる。すると、ショートスクリュー16を内蔵するショート加熱筒15は、標準スクリュー12を内蔵する標準加熱筒11より短くなる。
【0023】
便宜的に、標準加熱筒11とショート加熱筒15の長さの差と、標準スクリュー12とショートスクリュー16の長さの差とを、共にDLとする。ただし、両者の差が同じでないときは、DLは標準加熱筒11とショート加熱筒15の長さの差と定義する。
【0024】
標準加熱筒11とショート加熱筒15の長さの差DLは、(21.5-17.0)×Dで計算される。スクリュー径Dが140mmであれば、(21.5-17.0)×140=630の計算により、DLは630mmとなる。
【0025】
本発明者らは、「標準スクリュー」を「ショートスクリュー」に交換することを検討する中で、次の図2に示す模様替え技術を見出すことに成功した。
【0026】
図2(a)は、図18と同じ図であるが、符号は振り直した。
図2(a)に示すように、射出成形装置20は、右端部21を有する共通ベッド22と、この共通ベッド22の左半部に載っている型締装置23と、共通ベッド22の右半部に載っている射出装置24とからなる。
【0027】
射出装置24は、レール25と、スライダ26と、スクリュー回転・移動機構27と、ショート加熱筒15とを含む。スクリュー回転・移動機構27の後面(図では右側)に、デッドスペース28が残っている。
【0028】
この形態において、切断線29Aにより、右端部21を切除する。
また、切断線29Bにより、型締装置23と射出装置24との境目にて、共通ベッド22を切断する。
【0029】
次に、図2(b)に示すように、切断されたことで、共用ベッド22は、型締装置23側のベッド半体22Bと、射出装置24側のベッド半体22Cとなった。
次に、ベッド半体22Bはそのままで、ベッド半体22Cを横移動することにより、DLに相当する距離だけ、ベッド半体22Cをベッド半体22Bから離す。
【0030】
次に、ショート加熱筒15をスクリュー回転・移動機構27から外す。
次に、スクリュー回転・移動機構27に、標準加熱筒11を取付ける。
以上で、ショート加熱筒15を、標準加熱筒11に交換することができた。
【0031】
標準加熱筒11をショート加熱筒15に交換するときは、次の手順による。
図2(b)において、スクリュー回転・移動機構27から標準加熱筒11を外す。
次に、スクリュー回転・移動機構27にショート加熱筒15を取付ける。
次に、ベッド半体22Bはそのままで、ベッド半体22Cを横移動することにより、ベッド半体22Bにベッド半体22Cを当てる(又は隙間αを置いて配置する)。結果、図2(c)となる。
以上で、標準加熱筒11をショート加熱筒15に交換することができた。
【0032】
図2(b)→図2(c)で、標準加熱筒11をショート加熱筒15に交換することができ、図2(c)→図2(b)で、ショート加熱筒15を標準加熱筒11に交換することができる。
【0033】
そして、図2(a)にて説明した右端部21とデッドスペース28が、図2(b)及び図2(c)では無くなっている。
図2(b)及び図2(c)では右端部21が無い。
図2(b)及び図2(c)ではデッドスペース28が無いためスペースの有効活用が図れる。
【0034】
図2(a)~(c)に基づき、本発明は次のように纏めることができる。
請求項1に係る発明は、金型を型締めする型締装置と、前記金型へ樹脂材料を射出する射出装置とからなり、前記射出装置に備えられるスクリューが、標準スクリューからこの標準スクリューより短いショートスクリューに交換可能とされ、且つ前記標準スクリューを内蔵する標準加熱筒が前記ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒に交換可能とされる射出成形装置であって、
前記型締装置は型締ベッドを含み、前記射出装置は前記型締ベッドとは独立した射出ベッドを含み、
この射出ベッドは、射出軸に沿った長さが前記ショート加熱筒に基づいて設定されており、前記ショート加熱筒と前記標準加熱筒の長さの差だけ前記型締ベッドに対して移動可能とされ、
前記型締ベッドと、前記ショート加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結するショート連結具を備え、
前記型締ベッドと、前記標準加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結する標準連結具を備えていることを特徴とする。
【0035】
請求項2に係る発明は、金型を型締めする型締装置と、前記金型へ樹脂材料を射出する射出装置とからなり、前記射出装置に備えられるスクリューが、標準スクリューからこの標準スクリューより短いショートスクリューに交換可能とされ、且つ前記標準スクリューを内蔵する標準加熱筒が前記ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒に交換可能とされる射出成形装置であって、
前記型締装置は型締ベッドを含み、前記射出装置は前記型締ベッドとは独立した射出ベッドを含み、
この射出ベッドは、射出軸に沿った長さが前記ショート加熱筒に基づいて設定されており、前記ショート加熱筒と前記標準加熱筒の長さの差だけ前記型締ベッドに対して移動可能とされ、
前記型締ベッドと、前記ショート加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結すると共に、前記型締ベッドと、前記標準加熱筒が取付けられているときの前記射出ベッドとを、機械的に連結するショート・標準共用連結具を備えていることを特徴とする。
【0036】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の射出成形装置であって、
前記型締ベッドは、床にアンカーボルトで固定され、前記射出ベッドは、床に防振台を介して載せられていることを特徴とする。
【0037】
請求項4に係る発明は、金型を型締めする型締装置と、前記金型へ樹脂材料を射出する射出装置とからなり、前記射出装置に備えられるスクリューが、標準スクリューからこの標準スクリューより短いショートスクリューに交換可能とされ、且つ前記標準スクリューを内蔵する標準加熱筒が前記ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒に交換可能とされる射出成形装置であって、
前記型締装置は型締ベッドを含み、前記射出装置は前記型締ベッドとは独立した射出ベッドを含み、
前記型締ベッド及び前記射出ベッドは、共に床にアンカーボルトで固定され、
この射出ベッドは、射出軸に沿った長さが前記ショート加熱筒に基づいて設定されており、前記ショート加熱筒と前記標準加熱筒の長さの差だけ前記型締ベッドに対して移動可能とされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
請求項1に係る発明では、型締ベッドに対して射出ベッドを横移動することで、模様替えを実施する。
射出ベッドは、ショート加熱筒に基づいて設定されるため、横寸法(射出軸に沿った長さ)が小さくなり、デッドスペースの発生が抑制される。
結果、本発明によれば、模様替えの前後でスペースの有効活用が図れる射出成形装置が提供される。
【0039】
請求項2に係る発明では、請求項1の効果に以下に述べる効果が加わる。
請求項2では、連結具に、ショート・標準共用連結具を採用した。ショート・標準共用連結具は、模様替えの前後で使用し続けることができ、型締ベッドや射出ベッドから外す必要がない。
【0040】
請求項3では、射出ベッドは、床に防振台を介して載せられている。
アンカーボルトで固定される場合に比べて、射出ベッドを極めて容易に横移動することができ、模様替えが容易になる。
【0041】
請求項4に係る発明では、請求項1の効果に以下に述べる効果が加わる。
請求項4では、射出ベッドは、床にアンカーボルトで固定されているので、ショート連結具、標準連結具又はショート・標準共用連結具が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】(a)、(b)は本発明に係る標準スクリューとショートスクリューとを説明する図である。
図2】(a)~(c)は本発明に係る模様替え技術を説明する図である。
図3】本発明に係る型締ベッドと射出ベッドの要部を説明する斜視図である。
図4】固定盤と射出装置移動機構との取り合いを説明する斜視図である。
図5】射出装置移動機構とスライダとの取り合いを説明する斜視図である。
図6】本発明に係る型締装置の正面図である。
図7】(a)、(b)は本発明に係る射出装置の正面図、(c)はアンカーボルトを説明する図、(d)は防振台を説明する図である。
図8】ショート加熱筒が取付けられている射出成形装置の構成図である。
図9図8の9-9矢視図である。
図10】標準加熱筒が取付けられている射出成形装置の構成図である。
図11図10の11-11矢視図である。
図12】(a)はショート・標準共用連結具の平面図、(b)、(c)は同連結図の作用図である。
図13】(a)は別のショート・標準共用連結具の平面図、(b)は同連結図の作用図である。
図14】(a)~(c)は射出装置移動機構に付属する継足しロッドの変更例を説明する図である。
図15】(a)、(b)は位置決め治具の構造及び取付けを説明する図である。
図16】従来の射出成形装置の正面図である。
図17】従来の射出成形装置の構造を説明する図である。
図18】短い加熱筒に交換した後の従来の射出成形装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【実施例
【0044】
以下の説明においては、図2(b)で説明したベッド半体22Bを型締ベッド40と読み替え、ベッド半体22Cを射出ベッド60と読み替える。
【0045】
[型締ベッド]
図3に示すように、型締ベッド40は、固定盤41などを強固に支える丈夫な鋼構造物であり、例えば十分に肉厚の手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43と、これらを繋ぐクロスビーム44とからなる。クロスビーム44は複数本であるが、1本のみを図示した。
手前側長手ビーム42とクロスビーム44とを繋板45で繋ぎ、クロスビーム44と奥側長手ビーム43とを繋板45で繋いでもよい。
【0046】
手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の上面には可動盤受けレール46が設けられている。
また、手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43には、アンカーボルト穴47が設けられている。
【0047】
型締めの際に、固定盤41に大きな水平力が加わる。この水平力が手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の上面に加わる。
仮に、手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の高さ寸法が大きいと、大きな水平力により手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の変形量が大きくなる。
対して、本実施例のように、手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の高さ寸法が小さいと、手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の変形量は小さくなり、水平力が直ぐにアンカーボルトを介して床71で支承される。
よって、手前側長手ビーム42及び奥側長手ビーム43の高さ寸法が小さいことは、有利となる。
【0048】
また、固定盤41には、加熱筒(図1、符号11、15)のノズルが出入りする通孔48が設けられており、通孔48の下縁に射出装置移動機構(図4、符号18)に対応する座49が設けられている。
【0049】
[射出ベッド]
射出ベッド60は、隣の型締ベッド40の高さ寸法の2倍を超える高さ寸法を有する鋼構造物であり、例えば下部長手ビーム61と、手前と奥の下部長手ビーム61同士を繋ぐ複数本の下部クロスメンバー62と、下部長手ビーム61から立てた複数本の縦ビーム63と、これらの縦ビーム63に載せた上部長手ビーム64と、手前と奥の上部長手ビーム64同士を繋ぐ複数本の上部クロスメンバー65と、最も型締ベッド40に近い部位の縦ビーム63に渡した中位クロスメンバー66とからなる。この例では、上部クロスメンバー65で、レール25を支える。
【0050】
射出ベッド60は、隣の型締ベッド40に比較して低強度であり、十分に軽量である。アイプレート67に吊りワイヤを掛けることで、射出ベッド60は床71から浮かせ、横移動することが、容易に行える。
下部長手ビーム61には、アンカーボルト(図7(c)、符号82)を通す、又は防振台(図7(d)、符号83)を取付けるボルト穴68が設けられている。
【0051】
射出ベッド60の高さ寸法が大きくできる理由と、射出ベッド60が型締ベッド40より低強度にすることができる理由は、次に述べる通りである。
図2(a)において、射出装置移動機構18を縮動してノズルタッチをさせるが、この際の反力は水平力であり、この水平力は射出装置移動機構18が負担する。
レール25には、スライダ26とスクリュー回転・移動機構27とショート加熱筒15と若干の付属品との合計重量(質量)が下向きに掛かる。
加えて、レール25とスライダ26との間の摩擦係数(0.01~0.1)に合計重量(質量)を乗じて計算される摩擦力が、レール25に水平力として加わる。
【0052】
図3において、射出ベッド60に、上述した合計重量(質量)が下向きに掛かり、上述した摩擦力が水平に掛かる。合計重量(質量)は型締ベッド40に加わる下向き力より格段に小さい。加えて、摩擦力は型締力に比べて格段に小さい。
摩擦力が小さいため、射出ベッド60を高くすることができ、合計重量(質量)が小さいため、射出ベッド60の強度を下げることができる。
【0053】
大きな力が加わる型締ベッド40は、床71にアンカーボルト(図6、符号82)で強固に固定することを原則とする。
その理由は次の通りである。本発明は大型機に好適である。大型機で防振台を使うと、機械の振動が大きくなり、横にずれ動いてしまう可能性があり、結果、水平レベルが狂い易くなる。この不具合を解消するため、型締ベッド40はアンカーボルトによる固定が望ましい。
【0054】
対して、射出ベッド60は、アンカーボルトで床71に固定することは差し支えないが、加わる力が小さいため、防振台(図7(d)、符号83)を介して、床71に載せるだけでもよい。
【0055】
[射出装置移動機構]
図4に示すように、射出装置移動機構18は、例えば、油圧シリンダであって、この油圧シリンダの基部が、第1ピン72及び第1の二山ブラケット73を介して、固定盤41側の座49にボルト止めされている。第1ピン72が鉛直に延びているため、油圧シリンダは水平に揺動可能となる。
【0056】
図5に示すように、スライダ26に第2の二山ブラケット75が取付けられ、この第2の二山ブラケット75に第2ピン76を介して標準継足しロッド77又はこの標準継足しロッド77より短いショート継足しロッド78が取付けられ、この標準継足しロッド77又はショート継足しロッド78に、油圧シリンダのピストンロッドがねじ込まれる。第2ピン76が鉛直に延びているため、油圧シリンダは水平に揺動可能となる。
【0057】
なお、射出装置移動機構18は、油圧シリンダの他、電動シリンダやエアシリンダであってもよい。
【0058】
[型締装置]
図6に示すように、型締装置23B(図2の符号23と差別化を図るために、Bを添える。)は、高さ寸法が小さい型締ベッド40を備え、固定盤41などを備えている。
詳細な構造の一例は、図17で説明済みであるため、割愛する。なお、図17に示すトグルリンク機構125は油圧シリンダ等でもよく、型締装置23Bの詳細構造は図17に限定されない。
【0059】
型締ベッド40は、底に所定のピッチで平ライナー81を備え、原則として床71にアンカーボルト82で固定される。ただし、型締ベッド40をアンカーボルト82と異なる固定具(クランパーなど)で床71に固定することは差し支えない。また、平ライナー81は省いてもよい。
【0060】
[射出装置]
図7(a)に示すように、射出装置24S(図2の符号24と差別化を図るために、Sを添える。)は、高さ寸法が大きい射出ベッド60と、この射出ベッド60の上面に敷設したレール25と、このレール25に水平移動可能に載っているスライダ26と、このスライダ26に載っているスクリュー回転・移動機構27と、このスクリュー回転・移動機構27に取付けられたショート加熱筒15と、スライダ26から延びる射出装置移動機構18とからなる。この射出装置移動機構18には、ショート継足しロッド78が含まれている。
【0061】
射出ベッド60は、図7(c)に示すように、床71にアンカーボルト82で固定する。または、図7(d)に示すように、防振台83を介して床71に載せる。
防振台83は、ブロック状の硬質ゴムに金具を付属してなり、構造は任意であるが、主たる構成要素である硬質ゴムが適度な支持性能と適度な防振性能を発揮する。
【0062】
ここで、重要な点は、射出ベッド60は、射出軸84に沿った長さ(図面左右長さ)が、ショート加熱筒15に基づいて設定されていることである。そのため、射出ベッド60の射出軸84に沿った長さが、標準加熱筒11に基づいて設定される場合に比較して、本発明によれば、DLだけ短くなり、射出ベッド60の小型、軽量化が図れる。
【0063】
図7(b)に示すように、射出装置24L(符号24Sと差別化するために、Lを添える。)は、高さ寸法が大きい射出ベッド60と、この射出ベッド60の上面に敷設したレール25と、このレール25に水平移動可能に載っているスライダ26と、このスライダ26に載っているスクリュー回転・移動機構27と、このスクリュー回転・移動機構27に取付けられた標準加熱筒11と、スライダ26から延びる射出装置移動機構18とからなる。この射出装置移動機構18には、標準継足しロッド77が含まれている。
見かけ上、図7(a)の射出装置24Sに比較して、図7(b)の射出装置24LはDLだけ横に長い。
【0064】
以上に述べた型締装置23Bに射出装置24Sを組合せてなる射出成形装置20Sを、図8に基づいて説明し、型締装置23Bに射出装置24Lを組合せてなる射出成形装置20Lを、図10に基づいて説明する。
【0065】
[ショート加熱筒を装備している射出成形装置]
図8に示すように、型締ベッド40に射出ベッド60を当てるようにして、型締装置23Bを基準にして射出装置24Sを位置決めすることで、射出成形装置20Sを得る。
なお、型締ベッド40に射出ベッド60を密に当てることを原則とするが、必要であれば隙間αを保って射出ベッド60を設置してもよい。
【0066】
このときに、好ましくは、図9に示すように、繋板45と中位クロスメンバー66とにショート連結具86を掛け渡し、このショート連結具86を複数本のボルト87で繋板45と中位クロスメンバー66とに強固に固定する。
【0067】
ショート連結具86(及び後述する標準連結具)は、次に述べる作用を発揮する。
第1に、射出ベッド60がy軸(射出軸(図7、符号84)と同じ。)に沿って移動することを防止する。
第2に、射出ベッド60をx軸に沿って移動することで、型締ベッド40の中心に、射出ベッド60の中心を合わせるが、このセンターリングの際に、ショート連結具86が位置決め作用を発揮する。そのため、センターリングが容易になる。
【0068】
ところで、図7(c)で説明したように、射出ベッド60はアンカーボルトで床に固定され、又は、図7(d)で説明したように、射出ベッド60は防振台を介して床に載っている。
射出ベッド60が防振台を介して床に載っているときは、水平移動が心配されるので、ショート連結具86の付設は有益である。
【0069】
対して、射出ベッド60がアンカーボルトで床に固定されているときは、水平移動の心配がないので、ショート連結具86は省くことができる。ただし、位置決め作用を期待して、ショート連結具86を使用することは差し支えない。
【0070】
図8に示すように、射出成形装置20Sに、ショート加熱筒15と、ショート連結具86と、ショート継足しロッド78が含まれる。
【0071】
保管部88に、ここでは使用しないパーツであるところの標準加熱筒11と、標準継足しロッド77と、標準連結具89とを保管する。
標準継足しロッド77は、ショート継足しロッド78よりDLだけ長い。
標準連結具89は、ショート連結具86よりDLだけ長い。
【0072】
なお、保管部88において、標準スクリュー12を内蔵した状態の標準加熱筒11を保管する他、標準加熱筒11から標準スクリュー12を分離した状態で保管することは差し支えない。
【0073】
[保管部]
保管部88は、射出成形装置20Sが設置されるヤード(工場床)の一隅に区画されるエリヤや、ヤードに置かれる保管箱や、ヤード外に置かれる倉庫の何れであってもよい。
また、保管部88は、1箇所である他、複数箇所に分散保管するものであってもよい。
また、保管部88は、他の部品を保管する保管部と共用であってもよい。
【0074】
模様替えをするときには、図8において、ショート加熱筒15と、ショート連結具86と、ショート継足しロッド78とを外す。
そして、型締装置23Bはそのままで、射出ベッド60を型締装置23Bから離れるように(図右へ)移動する。
【0075】
[標準加熱筒を装備している射出成形装置]
図10に示すように、型締ベッド40から射出ベッド60を距離DL(又はDL+α)だけ離した上で、射出ベッド60を床に固定する(または載せる)。
そして、標準加熱筒11を取付け、標準継足しロッド77を取付ける。
以上により、型締装置23Bに射出装置24Lを組合せてなる射出成形装置20Lが得られた。
【0076】
このときに、好ましくは、図11に示すように、繋板45と中位クロスメンバー66とに、標準連結具89を掛け渡し、この標準連結具89を複数本のボルト87で繋板45と中位クロスメンバー66とに強固に固定する。
【0077】
図10に示すように、保管部88に、ここでは使用しないパーツであるところのショート加熱筒15と、ショート継足しロッド78と、ショート連結具86とを保管する。
なお、保管部88において、ショートスクリュー16を内蔵した状態のショート加熱筒15を保管する他、ショート加熱筒15からショートスクリュー16を分離した状態で保管することは差し支えない。
【0078】
ところで、保管部88に保管するパーツ(交換用部品、模様替え用部品)は少数ほど好まれる。保管部88の床面積が小さくなるからである。すなわち、保管部88の床面積を小さくすることが望まれる。
この要望に応え得る変更例を、次に説明する。
【0079】
[ショート・標準共用連結具]
図12(a)に示すように、X字形状のショート・標準共用連結具90が、推奨される。X字形状のショート・標準共用連結具90は、互いに交差する2本のレバー91と、交点に配置するピン92とからなる。
図12(b)に示すように、クロスビーム44と中位クロスメンバー66に、射出軸と直交する軸(x軸)に沿って延びるように、4個の長穴93を設ける。
【0080】
図12(b)に示すように、型締ベッド40に射出ベッド60を当てる(又は隙間αを置いて配置する)ときは、X字の開き角βを大きくし、この状態でボルト87で固定する。
また、図12(c)に示すように、型締ベッド40から射出ベッド60をDL(又はDL+α)だけ離したときは、X字の開き角βを小さくし、この状態でボルト87で固定する。
【0081】
このように、X字の開き角βを変更することで、図12(b)と図12(c)の両方にショート・標準共用連結具90が使える。ショート・標準共用連結具90は、外す必要がなく、保管部(図8図10、符号88)に保管する必要がない。
【0082】
さらなる変更例を、図13に基づいて説明する。
図13(a)に示すように、矩形板状のショート・標準共用連結具95が、推奨される。矩形板状のショート・標準共用連結具95は、長手軸96を有する矩形板97であり、矩形板97に6個のボルト穴98を有する。
【0083】
図13(a)では、型締ベッド40に、射出ベッド60を当てる(又は隙間αを置いて配置する)。そして、ショート・標準共用連結具95の長手軸96が射出軸に相当するy軸に合致するようにして、ショート・標準共用連結具95を置き、クロスビーム44と中位クロスメンバー66とに4本のボルト87で固定する。図面右端の上下2個のボルト穴98はボルト無しとする。
【0084】
また、図13(b)に示すように、型締ベッド40から射出ベッド60をDL(又はDL+α)だけ離す。そして、ショート・標準共用連結具90を、クロスビーム44と中位クロスメンバー66とに4本のボルト87で固定する。図面中間の上下2個のボルト穴98はボルト無しとする。
【0085】
以上に述べたX字形状のショート・標準共用連結具90又は矩形板状のショート・標準共用連結具95を採用すると、図8に示す保管部88から標準連結具89が削除され、図10に示す保管部88からショート連結具86が削除される。
よって、保管部88の床面積が小さくなる。
【0086】
なお、ショート・標準共用連結具90、95は、X字形状のショート・標準共用連結具90又は矩形板状のショート・標準共用連結具95の他、共用可能な構造であればよく、構造や形式は適宜変更することは差し支えない。
【0087】
次に、図8で示した標準継足しロッド77及びショート継足しロッド78の変更例を、図14に基づいて説明する。
図14(a)に示すように、L字継足しロッド99は、標準継足しロッド(図8、符号77)に相当する長ロッド部99aと、ショート継足しロッド(図8、符号78)に相当する短ロッド部99bとからなり、長ロッド部99aの一端と短ロッド部99bの一端が繋がっており、全体としてL字形状を呈する。
【0088】
図14(b)に示すように、y軸(射出軸)に沿って、長ロッド部99aを延ばす。この形態は、図10に相当する。
図14(c)に示すように、L字継足しロッド99を図面時計方向に90°回すと、短ロッド部99bの長手軸がy軸(射出軸)に合致する。この形態は、図8に相当する。
【0089】
以上に述べたL字継足しロッド99を採用することで、図8に示す保管部88から標準継足しロッド77が削除され、図10に示す保管部88からショート継足しロッド78が削除される。
よって、保管部88の床面積が小さくなる。
【0090】
さらには、X字形状のショート・標準共用連結具90又は矩形板状のショート・標準共用連結具95を採用すると共にL字継足しロッド99を採用すると、図8に示す保管部88から標準継足しロッド77及び標準連結具89が除去され、図10に示す保管部88からショート継足しロッド78及びショート連結具86が除去される。
【0091】
結果、保管部88には、ショートスクリューを内蔵するショート加熱筒15と、ロングスクリューを内蔵するロング加熱筒11の一方のみを保管する。
よって、保管部88の床面積が更に小さくなる。
【0092】
なお、長ロッド部99aは、短ロッド部99bより格段に重いため、図14(c)の形態のときに、第2の二山ブラケット75に、大きなねじり力や曲げ力が加わる。
対策として、スライダ26に、簡単な腕99cを付設する。この腕99cで長ロッド部99aを支承させる。結果、第2の二山ブラケット75の負担が軽減される。
【0093】
以上に述べた実施例は、次に述べる表1の通りに整理することができる。
【0094】
【表1】
【0095】
最右欄の評価は、〇+〇で「高」、〇+△又は△+〇で「中」、△+△で「低」とする。
ケース1では、型締装置はアンカーボルトで固定し、射出装置は防振台で支持し、ショート連結具と標準連結具を使用した。
防振台を採用したので、射出装置の横移動は「容易〇」となるが、ショート連結具と標準連結具を使用したので、保管部の面積は「大△」となり、評価は「中」となる。
【0096】
ケース2では、型締装置はアンカーボルトで固定し、射出装置はアンカーボルトで固定し、ショート連結具と標準連結具を使用した。
アンカーボルトで固定したので、射出装置の横移動は「難△」となり、ショート連結具と標準連結具を使用したので、保管部の面積は「大△」となり、評価は「低」となる。
【0097】
ケース3では、型締装置はアンカーボルトで固定し、射出装置はアンカーボルトで固定し、連結具は無とした。
アンカーボルトで固定したので、射出装置の横移動は「難△」となり、連結具が無であるため、保管部の面積は「小〇」となり、評価は「中」となる。
【0098】
ケース4では、型締装置はアンカーボルトで固定し、射出装置は防振台で支持し、ショート・標準共用連結具を使用した。
防振台を採用したので、射出装置の横移動は「容易〇」となり、ショート・標準共用連結具を使用したので、保管部の面積は「小〇」となり、評価は「高」となる。
【0099】
ケース5では、型締装置はアンカーボルトで固定し、射出装置もアンカーボルトで固定し、ショート・標準共用連結具を使用した。
アンカーボルトで固定したので、射出装置の横移動は「難△」となり、ショート・標準共用連結具を使用したので、保管部の面積は「小〇」となり、評価は「中」となる。
【0100】
以上に述べたように、本発明によれば、多岐に渡るケース(ケース1~ケース5)の形態が提供され、諸条件を考慮してケース1~ケース5の一つを選択することができる。
【0101】
上記ケース3では、型締装置はアンカーボルトで固定し、射出装置はアンカーボルトで固定し、連結具は無としたが、連結具による位置決め作用が無くなった。これを補うために位置決め治具を用いてもよい。
その具体例を図15に基づいて説明する。なお、図3と共通の要素は、図3の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
【0102】
図15(a)に示すように、この射出ベッド60では、最も型締ベッド40に近い部位の縦ビーム63にも上部クロスメンバー65を設ける。この上部クロスメンバー65に、第1位置決めピン穴58を予め設けておく。第1位置決めピン穴58の個数は2が好ましいが3以上であってもよい。
また、型締ベッド40側のクロスビーム44に、第2位置決めピン穴59を予め設けておく。第2位置決めピン穴59の個数は2が好ましいが3以上であってもよい。
【0103】
加えて、位置決め治具50を準備する。位置決め治具50は第1水平部51と、この第1水平部51から下がる立下り部52と、この立下り部52の下端から延びる第2水平部53とからなる。位置決め治具50を構成する鋼板の厚さは任意であるが、薄板が推奨される。すなわち、位置決め治具50は、薄い鋼板を板金加工により折り曲げ成形することで容易に得られ、軽量で安価である。
【0104】
第1水平部51に、第1位置決めピン穴58に対応する第1ピン穴54を設ける。第1ピン穴54に通す第1ピン55を準備する。
また、第2水平部53に、第2位置決めピン穴59に対応する第2ピン穴56を設ける。第2ピン穴56に通す第2ピン57を準備する。
【0105】
図15(b)に示すように、第2ピン57を挿入することで、型締ベッド40に対して位置決め治具50を位置決めする。次に、第1ピン55を挿入する。
以上により、位置決め治具50を介して型締ベッド40に対し、射出ベッド60を位置決めすることができる。
【0106】
尚、本発明は、長さが異なる3本(又は4本以上)のスクリューを交換する必要がある射出成形装置に適用することは差し支えない。この場合は、最も短いスクリューを内蔵する加熱筒に基づいて、射出ベッドが設定される。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、長さが異なる2本のスクリューを交換する必要がある射出成形装置に好適である。
【符号の説明】
【0108】
11…標準加熱筒、12…標準スクリュー、15…ショート加熱筒、16…ショートスクリュー、20S、20L…射出成形装置、23B…型締装置、24S、24L…射出装置、40…型締ベッド、60…射出ベッド、71…床、82…アンカーボルト、83…防振台、84…射出軸、86…ショート連結具、89…標準連結具、90、95…ショート・標準共用連結具、126…金型、DL…標準加熱筒とショート加熱筒の長さの差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18