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▶ マイヤー ブルガー (ジャーマニー)ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】光起電力デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0745 20120101AFI20240722BHJP
【FI】
H01L31/06 450
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022502061
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020068903
(87)【国際公開番号】W WO2021018517
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】19188562.3
(32)【優先日】2019-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】522013289
【氏名又は名称】マイヤー ブルガー (ジャーマニー)ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュトラーム、ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ラシェナル、ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ベーツナー、デレク
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-532273(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079463(US,A1)
【文献】特開2014-183312(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0189813(US,A1)
【文献】特表2015-505167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互嵌合型バック・コンタクト(IBC)光起電力デバイスである光起電力デバイス(1)であって、
- p型又はn型のドーピングであり、X-Y平面を規定する第1の面(3a)を有するシリコン・ベースの基板(3)と、
- 前記第1の面(3a)上に位置する真性のアモルファス・シリコン層a-Si:H(i)(5)と、
- 前記真性層(5)上に位置する第1のパターン化されたシリコン層(2)であって、前記第1のパターン化されたシリコン層(2)は、p型又はn型のドーピングであり、
前記第1のパターン化されたシリコン層(2)は、電荷収集部分(2’)間の隙間(2’’)を含み、前記電荷収集部分(2’)は、前記シリコン・ベースの基板(3)から離れた側に、少なくとも部分的にナノ結晶シリコン層の第2の部分(2b)を含む、第1のパターン化されたシリコン層(2)と、
- 前記電荷収集部分(2’)及び前記隙間(2”)上に位置し、前記第1のパターン化されたシリコン層(2)のドーピング・タイプとは別のタイプのドーピングを有する第2のナノ結晶シリコン層(4)と
を備え、
- 前記電荷収集部分(2’)は、それぞれ、前記真性層(5)と前記第2の部分(2b)との間に位置するアモルファス層部分(2a)を含み、前記アモルファス層部分(2a)は、前記X-Y平面に平行であるその断面のいずれかについて、前記第2の部分(2b)の前記X-Y平面上の第2の投影面積よりも大きい前記X-Y平面上の第1の投影面積を有する、光起電力デバイス(1)。
【請求項2】
前記アモルファス層部分(2a)の前記第1の投影面積の最大幅(L2a)が、前記第2の部分(2b)の前記第2の投影面積の任意の幅(L2b)よりも少なくとも10%大きい、請求項1に記載の光起電力デバイス(1)。
【請求項3】
前記アモルファス層部分(2a)が1nmから25nmの間の高さ(Ha)を有し、前記電荷収集部分(2’)の高さ(H)が25nmから100nmの間である、請求項1又は2に記載の光起電力デバイス(1)。
【請求項4】
前記第1のパターン化されたシリコン層(2)及び/又は前記第2のナノ結晶シリコン層(4)が酸素及び/又は炭素を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の光起電力デバイス(1)。
【請求項5】
前記アモルファス層部分(2a)及び/又は前記第2の部分(2b)が、酸素(O)及び/又は炭素(C)を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の光起電力デバイス(1)。
【請求項6】
前記第2のナノ結晶シリコン層(4)が50%を超える結晶相を有する、請求項1から5までのいずれか一項に記載の光起電力デバイス(1)。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項に記載の光起電力デバイス(1)の製造方法であって、
a)n型又はp型のドーピングを有し、前記第1の面(3a)上に位置する真性のアモルファスa-Si:H(i)層(5)を含むシリコン・ベースの基板(3)を提供するステップと、
b)前記真性層(5)の所定の領域上に、n型又はp型のアモルファス・シリコン層(2a)の第1の堆積を実現して、複数の別個の分離されたアモルファス層アイランド(2a)を含むパターン化されたアモルファス層を作成するステップと、
c)前記アモルファス層アイランド(2a)のそれぞれにおいて、前記アモルファス・シリコン層(2a)と同じドーピング・タイプを有する第2のナノ結晶層(2b)の第2の堆積を実現するステップであって、前記第2の堆積は、前記アモルファス層アイランド(2a)のそれぞれの上に作成するために、前記第1の堆積とは異なり、前記第2のナノ結晶層(2b)は、前記アモルファス層アイランド(2a)と共に複数の電荷収集部分(2’)を形成し、前記アモルファス層アイランド(2a)は、前記X-Y平面に平行なその断面のいずれかについて、前記第2のナノ結晶層(2b)の前記X-Y平面上の第2の投影面積よりも大きい前記X-Y平面上の第1の投影面積を有する、ステップと、
d)前記電荷収集部分(2’)上及び前記電荷収集部分(2’)間の隙間(2”)上に単一のナノ結晶シリコン層(4)を実現するステップであって、前記単一のナノ結晶シリコン層(4)は、前記電荷収集部分(2’)のドーピング・タイプとは異なるドーピング・タイプを有する、ステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記アモルファス・シリコン層(2a)及び前記第2のナノ結晶層(2b)の両方が、同じマスクを使用して堆積される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アモルファス・シリコン層(2a)及び前記第2のナノ結晶層(2b)の前記堆積が、2つの異なるマスクを使用することによって行われ、前記第1の堆積は、前記第2の堆積に使用される第2のマスクよりも大きな開口を有する第1のマスクを使用することによって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1及び第2の堆積を実現するステップは、同じマスクを使用することによって行われ、前記第1の堆積を実現するステップの間、前記マスクは前記基板(3)と接触しておらず、前記第2の堆積を実現するステップの間、前記マスクは前記基板(3)と接触し、前記第2のナノ結晶層(2b)よりも広い前記アモルファス・シリコン層(2a)を含む前記電荷収集部分(2’)を提供する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
前記アモルファス・シリコン層(2a)及び/又は前記第2のナノ結晶層(2b)を堆積させるための少なくとも1つのマスクが、INVAR又はステンレス鋼で作られた機械的マスクである、請求項7から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1及び第2の堆積を実現するステップは、円錐形の開口部を有する単一のマスクを使用して行われ、気相密度、温度、ガス混合物、反応性前駆体の生成、又はそれらの組み合わせを含む堆積パラメータを使用する場合に、前記アモルファス・シリコン層(2a)及び/又は前記第2のナノ結晶層(2b)の異なるサイズのパターンを提供する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力デバイスの分野に関する。より具体的には、コレクタ材料がパターン化され、デバイスの背面にトンネル接合を含むデバイスをもたらす、交互嵌合型バック・コンタクト(Interdigitated Back Contact:IBC)タイプのバック・コンタクトを備えた光起電力デバイスに関する。本発明はまた、この光起電力デバイスの製造方法に関する。
【0002】
本発明の特に有利な用途は、電気エネルギーを生成することを目的とした高効率の太陽電池の製造であるが、本発明は、より一般的には、入射放射線が電気信号に変換される任意の同様のデバイス、例えば、光検出器及び電離放射線検出器にも適用される。
【背景技術】
【0003】
交互嵌合型バック・コンタクト・シリコン・ヘテロ接合太陽電池(Interdigitated back-contact silicon heterojunction solar cells:IBC-SHJ)は、非常に効率的であるが、処理が非常に複雑であるため、問題が発生する。実際、IBC-SHJデバイスを実現するには、後部のa-Si:H層とTCO/金属スタックとを非常に高い精度で交互嵌合型コームにパターン化する必要がある。最先端の技術で知られている技術の殆どは、複雑で費用のかかるプロセスの使用に依存している。実例は、例えば非特許文献1、2で説明されている。
【0004】
特許文献1は、2つのパターン化ステップを必要とするデバイスの典型例を記載しているが、このデバイスは、プロセスを複雑にするnフィンガとpフィンガとの間に絶縁層を必要とする。
【0005】
選択されたパターン化技術に関係なく、従来技術の全てのアプローチは、電子コレクタ構造と正孔コレクタ構造の両方をパターン化する必要がある。これにより、既存の全てのIBC-SHJデバイスの実現が時間のかかるものとなり、扱いにくいものとなり、したがってコスト効率が大幅に低下する。
【0006】
この問題に取り組むために、nドープ層又はpドープ層である第1のシリコン層、即ち電子又は正孔コレクタ構造のみをパターン化することが提案されてきた。これらのデバイスでは、第2のタイプの第2のシリコン層が、パターン化された電荷コレクタ構造の上に堆積される。結果として得られるデバイスは、「トンネル接合IBC-HJTデバイス」と呼ばれる。
【0007】
デバイスの例示的な実現において、電荷コレクタ構造の第1のタイプは、パターン化されたn型のa-Si:H層であり、その層のパターン化により、電荷コレクタ構造が提供される。
【0008】
このような実現において、p型のa-Si:H層は、真性のa-Si:Hバッファ層と上記電荷コレクタ構造の両方を覆う。2種類の電荷コレクタをパターン化する必要がある手法と比較して、このようなプロセス・フローは、上記第1のシリコン層のドープされたタイプとは反対のドープされたタイプである第2のシリコン層が自己整合されたコレクタ構造を形成するので、よりシンプルで費用効果の高いプロセスがもたらされる。そのようなデバイスの製造プロセスは、電荷キャリア・コレクタ・フィンガ・タイプの両方が構造化されているものよりも単純であるが、例えば、特許文献2に記載されているデバイスの場合のように、効率はより低い。
【0009】
特許文献3で説明され、図1に示されているデバイスの設計は、トンネル層が均質であり、真性のバッファ層及びパターン化された正孔コレクタ・フィンガ上に配置されたときに同じ特性を有するという問題の解決策を提案している。特許文献3は、第1のタイプの第1のシリコン層が構造化され、電荷コレクタ「フィンガ」とも呼ばれる電荷コレクタ・アイランド(N)を形成し、実質的に微結晶構造であるが、バッファ層と接触するアモルファス部分を含む、交互嵌合型バック・コンタクト・シリコン・ヘテロ接合太陽電池について説明している。
【0010】
特許文献3の装置では、上記電荷コレクタ・アイランド上、及び上記電荷コレクタ・アイランドの間の上記隙間(I)に単一の層が提供される。層(図1のP)は、上記隙間(I)においてアモルファス真性層5と接触しているアモルファス部分(PA)を含み、したがって、微結晶構造上に存在する場合、又はこれらの構造の間に位置するアモルファス真性層上に存在する場合で、異なる特性を有する。接触パッド又は接触フィンガのような電極(E1~E3)は、トンネル層Pの上部に実現される。
【0011】
最高の性能を達成するために、トンネルIBC太陽電池は、電子と正孔の両方の接触に対して非常に低い接触抵抗を示す必要がある。特許文献3に示されているように、トンネル接合の概念は、正孔コレクタ(図1の3-5-P-E2)と電子コレクタ(図1の3-5-N-P-E1、3-5-N-P-E3)の間のシリコン(p)層の成長の違いに依存している。
【0012】
通常、シリコン(p)層は、最初は正孔コレクタ上でよりアモルファスに成長するが、電子コレクタ上ではすぐにナノ結晶に成長する。これは、正孔コレクタ領域のゾーンでのシリコン層の初期成長がアモルファス・シリコン層5上で実現される一方、電子コレクタ構造のゾーンでは、すでにナノ結晶シリコン層(図1のN)で成長が起こるという事実による。
【0013】
図1に示されているデバイスは、特許文献3に記載されているデバイスのアモルファスp層(PA)の比較的重要な厚さを示している。p層の非対称性により、電子コレクタ・スタック(図1の3/5/N/P/E1又は3/5/N/P/E3)の非常に低い接触抵抗、通常は20~50mOhm.cmに達することができ、一方、エミッタ又は正孔コレクタ・スタック(図1の3/5/PA/P/E2)は、部分的に非対称であるため、通常は50~300mOhm.cmのより高い接触抵抗を示す。アモルファス層とナノ結晶層との間の電気伝導率の大きな違いにより、正孔と電子との接点間の電気的横方向の伝導を無効にするか、大幅に減少させることができ、したがって、両方のタイプの接点間の短絡が防がれる。n型のドープ・アモルファス層の一般的な導電率は、0.001S/cmから0.01S/cmの範囲である。n型のドープ・ナノ結晶層の一般的な導電率は、1S/cmから100S/cmの範囲である。
【0014】
特許文献3に記載されているこのような構造の欠点は、横方向のシャントを防ぐために部分的にアモルファスのままである必要があるため、正孔接触抵抗が非常に低い値に達することに限界があることである。特にp層と正孔接触用の接触パッドとの界面で低い接触抵抗に到達するには、シリコン(p)層のアモルファス相を低減又は完全に回避するために、より積極的なプラズマ条件を使用する必要がある。この層のより高いナノ結晶化度は、接触パッドへの有利な低い接触抵抗を与えると同時に、より高い横方向の導電率を示す。横方向の導電率が高いと、一方のタイプの接点で収集されるはずの電荷がもう一方のタイプの接点領域に移動し、反対のタイプの電荷と再結合して失われる可能性が高くなる。したがって、太陽電池デバイスは、有利な低い接触抵抗があっても、より低いシャント抵抗及びセル効率を示すであろう。
【0015】
したがって、両方のタイプの接点についての低い接触抵抗の可能性を最大限に活用しながら、両方の接点間の低いシャント抵抗を防ぐための解決策を見つける必要がある。
【0016】
トンネル接合は、薄い絶縁層や2つの導電性材料間の電位などの障壁である。電子又は正孔は、障壁を通過する確率を提供する量子トンネリングのプロセスによって障壁を通過する。通常、PVセルのトンネル接合は、電子と正孔のキャリアの直接再結合を促進するために、縮退した高濃度にドープされた半導体を使用する。空乏領域は非常に薄く(ナノメートル範囲)、接合部の一方の側からもう一方の側への輸送が可能である。その結果、特許文献3によって提案されたトンネル接合に基づいてIBCを作成すると、トンネル接合が、実質的に真っ直ぐな側縁を含めて第1のタイプのドープ構造(図1のN)の周囲全体に形成され、このことは、前述したように、高度のナノ結晶層の使用を妨げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】国際公開第2006/077343号
【文献】欧州特許出願公開第1519422号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3371833号明細書
【非特許文献】
【0018】
【文献】Efficient interdigitated back-contacted silicon heterojunction solar cells, N.Mingirulli et al, Phys.status solidi-Rapid Res.Lett., vol.5, nr.4, pp.159-161, Apr. 2011
【文献】The role of back contact patterning on stability and performance of Si IBC heterojunction solar cells, U.K.DAS et al., Proceedings of the 40the IEEE Photovoltaic Specialist Conference, 2014, vol.1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、従来技術の不利な点を軽減することを可能にする光起電力デバイスに関する。特に、本発明は、従来技術のデバイスとは反対に、構造化電子又は正孔電荷コレクタなどの構造化された第1のタイプのドープされた電荷コレクタ上に堆積された高度にナノ結晶性の層を使用することを可能にする。
【0020】
したがって、本発明は、交互嵌合型バック・コンタクト(IBC)光起電力デバイスである光起電力デバイス光起電力デバイスであって、
- p型又はn型のドーピングであり、X-Y平面を規定する第1の面を有するシリコン・ベースの基板と、
- 上記第1の面に位置する真性のアモルファス・シリコン層a-Si:H(i)と、
- 上記真性層上に位置する第1のパターン化されたシリコン層であって、上記第1のシリコン層はp型又はn型のドーピングであり、
- 上記第1のパターン化されたシリコン層は、上記シリコン・ベースの基板から離れた側に少なくとも部分的にナノ結晶シリコン層の各第2の部分を含む電荷収集部分の間の隙間を含む、第1のパターン化されたシリコン層と、
- 上記電荷収集部分及び上記隙間に位置し、上記パターン化されたシリコン層のドーピング・タイプとは別のタイプのドーピングを有する第2のナノ結晶シリコン層と、
を備えた、光起電力デバイスに関する。
【0021】
電荷収集部分は、上記真性層と上記第2の部分との間に位置する各アモルファス層部分を含み、上記アモルファス層部分は、上記X-Y平面に平行であるその断面の少なくとも1つにおいて、及び任意の半径方向において、上記第2の部分の任意の幅よりも大きい最大幅を有し、上記アモルファス層部分及び上記第2の部分(2b)は、基本的に互いに中心に置かれている。
【0022】
一実施例では、アモルファス層部分の最大幅は、上記第2の部分の上記任意の幅よりも少なくとも10%大きい。
【0023】
一実施例では、上記アモルファス層は、1nmから25nmの間の高さを有し、上記第1の電荷収集部分の高さは、25nmから100nmの間である。
【0024】
一実施例では、上記第1のパターン化されたシリコン層及び/又は上記第2のナノ結晶シリコン層は、酸素及び/又は炭素を含む。
【0025】
一実施例では、上記アモルファス層及び/又は上記第2の部分は、酸素(O)及び/又は炭素(C)を含む。
【0026】
一実施例では、上記第2のナノ結晶シリコン層は、50%を超える結晶相を有する。
【0027】
本発明はまた、記載されたような光起電力デバイスの製造方法によって達成され、以下のステップ(a~d)、即ち、
a.n型又はp型のドーピングを有し、上記第1の面上に位置する真性のアモルファスa-Si:H(i)層を含むシリコン・ベースの基板を提供するステップと、
b.上記真性層の所定の領域上に、n型又はp型のアモルファス・シリコン層の第1の堆積を実現して、複数の別個の分離されたアモルファス層アイランドを含むパターン化されたアモルファス層を作成するステップと、
c.上記アモルファス層アイランドのそれぞれにおいて、上記アモルファス層と同じドーピング・タイプを有する第2のナノ結晶層の第2の堆積を実現するステップであって、上記第2の堆積は、上記アモルファス層アイランドのそれぞれの上に作成するために、上記第1の堆積とは異なり、上記第2のナノ結晶層部分は、上記アモルファス層アイランドと共に複数の電荷収集部分を形成し、上記アモルファス層部分は、上記X-Y平面に平行なその断面のいずれかについて、上記第2のナノ結晶層の上記X-Y平面上の第2の投影面積よりも大きい上記X-Y平面上の第1の投影面積を有する、ステップと、
d.上記電荷収集部分上及び上記電荷収集部分間の隙間上に単一のナノ結晶シリコン層を実現するステップであって、上記単一のナノ結晶シリコン層は、上記電荷収集部分のドーピング・タイプとは異なるドーピング・タイプを有する、ステップと、
を含む。
【0028】
一実施例では、上記アモルファス・シリコン層及び上記第2のナノ結晶層は両方とも、同じマスクを使用することによって堆積される。
【0029】
一実施例では、アモルファス・シリコン層及び上記第2のナノ結晶層の堆積は、2つの異なるマスクを使用することによって行われ、上記第1の堆積は、上記第2の堆積に使用される第2のマスクよりも大きな開口を有する第1のマスクを使用することによって行われる。
【0030】
一実施例では、上記第1及び第2の堆積ステップは、同じマスクを使用することによって行われ、上記第1の堆積の間、マスクは上記基板と接触しておらず、上記第2の堆積ステップの間、マスクは上記基板と接触しており、上記第2のナノ結晶層部分よりも広いアモルファス層部分を含む第1の電荷収集部分を提供する。
【0031】
一実施例では、上記アモルファス・シリコン層及び/又は上記第2のナノ結晶層を堆積させるための少なくとも1つのマスクは、INVAR又はステンレス鋼で作られた機械的マスクである。
【0032】
一実施例では、上記第1及び第2の堆積ステップは、実質的に円錐形の開口部を有する単一のマスクを使用して行われ、気相密度、温度、ガス混合物、反応性前駆体の生成、又はそれらの組み合わせなどの様々なタイプの堆積パラメータを使用する場合に、上記アモルファス・シリコン層及び/又は上記第2のナノ結晶層の異なるサイズのパターンを提供する。
【0033】
次に、本発明は、以下の同封の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】一方のタイプの電荷収集構造のみがパターン化され、他方のタイプの層がパターン化された電荷収集構造とその隙間の両方を覆い、上記パターン化された構造及び上記隙間に異なる特性を有する、従来技術のトンネルIBC-HJT光起電力デバイスの概略断面図である。
図2】本発明の光起電力デバイスの概略断面図であり、基板の上部に位置する真性層と接触しているアモルファス・パターン化層の異なる接触ゾーン及びアモルファス・アイランドの形態を示している。図2はまた、第1の電荷収集構造が大きなアモルファス部分と幅の狭いナノ結晶部分とを含むことを示している。図2はまた、上記アモルファス・パターン化層の隙間を示しており、アモルファス・パターン化層を通して、第1の電荷とは反対の第2の電荷タイプが、図示されていない電極に伝達される。
図3】本発明のデバイスの電荷収集構造の一実施例を示している。
図4】本発明のIBC-SHJの裏側の上面図を示している。
図5】本発明のIBC-SHJの裏側にある図4の上面図の拡大部分を示している。
図6】本発明の電荷収集構造の様々な実施例と、アモルファス・アイランドと第2のナノ結晶層との間の接触面のより正確に可能な形態とを示している。
図7】本発明の電荷収集構造の様々な実施例と、アモルファス・アイランドと第2のナノ結晶層との間の接触面のより正確に可能な形態とを示している。
図8】本発明の電荷収集構造の様々な実施例と、アモルファス・アイランドと第2のナノ結晶層との間の接触面のより正確に可能な形態とを示している。
図9】本発明の電荷収集構造の様々な実施例と、アモルファス・アイランドと第2のナノ結晶層との間の接触面のより正確に可能な形態とを示している。
図10】本発明の電荷収集構造の様々な実施例と、アモルファス・アイランドと第2のナノ結晶層との間の接触面のより正確に可能な形態とを示している。
図11】構造化された電荷収集構造によって形成されたトンネル接合のエネルギー・レベルを示している。
図12】非トンネリング分離ゾーンのエネルギー・レベルを示している。
図13】本発明の電荷収集構造の断面を示している。
図14】第2のナノ結晶シリコン層を堆積する前の電荷収集構造の詳細の顕微鏡画像を示している。
図15】第1のナノ結晶層2bと第2のナノ結晶層4との間のトンネル接合接触を含む接触ゾーンを示す従来技術の構造を示している。
図16】本発明の電荷収集構造の断面を示しており、第1のナノ結晶層2bと第2のナノ結晶層との間のトンネル接合接触を含む接触ゾーンを示し、第1のアモルファス層2aと第2のナノ結晶層との間のブロッキング接触を含む分離ゾーンを示している。
図17】追加のより大きなアモルファス層を堆積することによって実現される、いわゆる分離ゾーンがある場合とない場合の電荷収集構造を含む、本発明の完成したIBC-HJT太陽電池のIV曲線(電流-電圧曲線)を示している。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、特定の実施例に関して、及び特定の図面を参照して説明されるが、本発明はそれに限定されない。記載されている図面は概略的なものであり、限定的なものではない。図面では、いくつかの要素のサイズは、説明の目的で誇張されており、縮尺どおりに描かれていない場合がある。寸法及び相対寸法は、本発明の実施に対する実際の縮小に対応していない。
【0036】
説明及び特許請求の範囲における「含む」という用語は、その後に記載された手段に限定されると解釈されるべきではなく、即ち、他の要素を除外しないことに留意されたい。
【0037】
本明細書全体での「実施例」への言及は、実施例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。したがって、説明全体の様々な場所での「実施例における」又は「変形例における」という文言の出現は、必ずしも全てが同じ実施例を指すわけではなく、いくつかを指す。さらに、特定の特徴、構造又は特徴は、1つ又は複数の実施例において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。同様に、本発明の様々な特徴は、本開示を読み易くし、様々な発明の態様のうちの1つ又は複数の理解を向上させる目的で、単一の実施例、図又は説明にまとめられることがある。さらに、以下に説明するいくつかの実施例は、他の実施例に含まれる他の特徴ではなくいくつかの特徴を含むが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にあり、異なる実施例を形成することを意味する。例えば、特許請求される実施例のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。本発明は、記載された多数の特定の詳細のいくつかなしで実施され得ることも理解される。他の例では、説明及び/又は図の理解を曖昧にしないために、全ての構造が詳細に示されているわけではない。
【0038】
文書内の断面という文言は、水平断面として規定されており、基板の平面に平行なX-Y平面の断面を意味する。垂直という文言は、ここでは基板に垂直であることを意味する。垂直断面は、基板に直交する垂直軸Zを含む平面内の断面である。X-Z及びY-Z平面は、基板に直交する垂直面を規定する。水平面は、基板に平行なX-Y平面である。半径方向とは、水平断面で規定された方向を意味し、水平面でもそのように規定される。横方向は、水平面のX及び/又はY方向に規定される。幅は、構造物の幅として規定され、水平断面の仮想線と交差し、この幅は、直径としても規定される。
【0039】
本明細書では、厚さは、垂直方向、即ちZ軸方向の厚さとして規定される。
【0040】
本明細書では、第1の電荷収集構造2’は、デバイスが動作しているときに正又は負の電荷を収集するように構成される構造として規定される。そのような電荷は電子又は正孔であり得る。反対の符号の電荷は、動作中、その間、即ち、上記第1の電荷収集構造2’の隙間2”を介して収集される。
【0041】
従来技術の部分で説明したような問題を解決するために、他のタイプの接点の電荷収集構造2の形状を変更するとき、第2の層4は依然として高度にナノ結晶性の層として堆積できることが見出された。例えば、p型の高度にナノ結晶性の層4は、n型の電荷収集構造2’の上及び間に堆積され得、又は、n型の完全に高度にナノ結晶性の層4を、p型の電荷収集構造2’の上及び間に堆積させることができる。上記高度にナノ結晶性の層4は、連続層、即ち、開口を有さない層である。電荷収集構造2’の新しい設計は、アモルファス・タイプの組成を有する、アモルファス層部分2aとしても規定される第1の構造部分2aを堆積させることによって実現される。その上、これらの第1の構造部分2aの場合、より小さな第2の構造部分2bが堆積され、ナノ結晶タイプの組成を有し、第2のナノ結晶層部分2bとしても規定される。したがって、上記第1の構造部分2aは、上記第2の構造部分2bよりも大きい。これらの第2の構造部分2bは、好ましくは、上記第1の構造部分2aの中心に置かれる。
【0042】
構造2の新しい設計は、接触ゾーン10及び30を横方向に分離するのに役立つ新しいいわゆる分離ゾーン20を与える。これらの分離ゾーン20は、高度にナノ結晶性の層4を使用する場合でさえ、異なるタイプの接点10、30間の高いシャント抵抗を保証する。
【0043】
次に、異なる実施例について説明する。
【0044】
本発明の光起電力デバイス1は、交互嵌合型バック・コンタクト(IBC)光起電力デバイスであって、
- p型又はn型のドーピングを有し、X-Y平面及び上記X-Y平面に直交する垂直Z方向を規定する第1の面3aを有するシリコン・ベースの基板3と、
図2に示すように、所定の領域5aを規定する、上記第1の面3aに位置する真性のアモルファスa-Si:H(i)層5と、
- 上記真性層5上に位置する第1のパターン化されたシリコン層2、真性であって、上記第1のパターン化されたシリコン層2は、上記第1の電荷収集部分2’の間の隙間2’’を含み、上記第1の電荷収集部分2’は、第1の部分層2a及び第2の部分層2bを含む、第1のパターン化されたシリコン層2と、
- 上記第1の電荷収集部分2’及び上記隙間2”上に位置する第2のナノ結晶シリコン層4であって、上記第2のシリコン層4は、上記第1のパターン化されたシリコン層2とは別のタイプのドーピングを有する、第2のナノ結晶シリコン層4と、
- 図には示されていない、上記第2のナノ結晶シリコン層4上に配置された導電性パッドと、
を含む。
【0045】
例えば図2で明らかなように、上記隙間2”は、さらに説明されるように、堆積プロセスによって実現される、第1のパターン化されたシリコン層2の開口である。第1の部分層2aは、真性層5の上に直接堆積されたアモルファス構造を有し、第2の部分2bは、第1の部分層2aの上に堆積され、ナノ結晶構造を有する。
【0046】
本発明の本質的な態様は、上記アモルファス層部分2aが、上記X-Y平面に平行なその断面の少なくとも1つにおいて、及びその断面における任意の半径方向において、上記ナノ結晶層部分2bの寸法L2bよりも大きい寸法L2aを有することである。ナノ結晶層部分2bは、基本的にアモルファス部分2aに中心があり、それによって、層2aの一部は、アモルファス層2aとナノ結晶層4との間のアモルファス/ナノ結晶界面を規定し、いわゆる分離ゾーン20につながる第1の電荷収集部分2’の境界に沿って突き出ている。この分離ゾーン20は、あるタイプの接触ゾーン10を別のタイプの接触ゾーン30から分離する。次の組み合わせが可能である。
- 好ましい実施例である、n型の基板3及びn型の第1のパターン化されたシリコン層2及びp型の第2のナノ結晶シリコン層4。
- n型の基板3及びp型の第1のパターン化されたシリコン層2及びn型の第2のナノ結晶シリコン層4。
- p型の基板3及びn型の第1のパターン化されたシリコン層2及びp型の第2のナノ結晶シリコン層4。
- p型の基板3及びp型の第1のパターン化されたシリコン層2及びn型の第2のナノ結晶シリコン層4。
【0047】
本発明の特定の形状の第1のパターン化されたシリコン層2は、特許文献3に記載されているようなデバイスに関連する問題を解決するための本質である驚くべき効果を提供する。
【0048】
アモルファス・シリコン層とナノ結晶シリコン層の上記で使用された説明を区別するために、これらの用語がここで規定される。
【0049】
アモルファス・シリコン層は、隣接するシリコン原子に結合されていない結合が通常水素原子によって飽和されている、不規則でランダムに連結されたシリコン構造として理解されるべきである。アモルファス層という文言は、いくつかの原子の範囲にある近距離の規則正しい構造を持つアモルファス・シリコン・ネットワークも含む必要がある。
【0050】
ナノ結晶シリコン層は、水素化アモルファス・シリコン・ベースのマトリックスに埋め込まれた、ナノメートル・サイズのシリコン結晶を含む層と見なされる。ナノメートル・サイズの結晶のサイズは、数nm(>3nm)から数100nm(<500nm)までである。気相からナノ結晶層を堆積させるとき、それは、より高密度のナノ結晶及び/又はより大きなサイズのナノ結晶のいずれかによって、層の厚さが増すにつれてより結晶性を獲得し始めるアモルファス核形成層を示すことができる。
【0051】
通常、図2図8のような実施例である殆どの実際的なケースでは、上記X-Y平面に平行なその全ての断面において、及びその断面における任意の半径方向において、上記アモルファス層部分2aは、上記ナノ結晶層部分2bの幅よりも大きい幅を有する。殆どの実際的なケースでは、アモルファス層部分2aの最大幅は、バッファ層5との界面での幅となる。
【0052】
変形例では、上記第1の電荷収集部分2’は、図3に示されるように、垂直断面を有し得る。そのような場合は、一般に次のように説明することができる。つまり、アモルファス層部分2aは、上記部分的にナノ結晶層2bの最大幅L2bよりも大きい最大幅L2aを有する。第1の電荷収集部分2’は、上記X-Y平面に平行な任意の平面で規定された任意の形状を有し得る。第1の電荷収集部分2’の水平断面は、線形形状又は円形形状を有し得る。
【0053】
本発明において、電荷収集構造2の特定の構造は、アモルファス部分2a及びナノ結晶部分2bを含み、より正確には、第1のタイプの接点30と第2のタイプの接点10との間に分離ゾーン20を作成し、高度のナノ結晶第2層4を使用するときに横方向のシャントを防ぐことを可能にする。好ましい実施例では、第1のパターン化されたシリコン層2はn型であり、第2のナノ結晶シリコン層4はp型である。
【0054】
拡大図を図13に示し、接触ゾーン30と分離ゾーン20のエネルギー・レベルをそれぞれ図11図12に示す。より幅の狭いnドープ・ナノ結晶層2bを堆積する前に、例えば、nドープ・アモルファス・シリコンでできたより幅の広いバッファ層2aを提供する場合、接触構造2’の周りの分離ゾーン20には、図12に示すように、a-Si:H(n)層とnc-Si:H(p)層でできた標準のP-N(非トンネル)ダイオードが含まれる。このダイオードは、空乏領域に電界が組み込まれた一般的なP-Nダイオードのように動作する。この電界効果は、図2に示すように、電子と正孔の電荷が、上記分離ゾーン20の垂直断面の長さとして規定される所定の長さにわたって指の端で再結合するのを防ぐ。これらの分離ゾーン20は、高度にナノ結晶性の層4を使用する場合でさえ、異なるタイプの接点10、30間の高いシャント抵抗を保証する。方法の部分でさらに説明される本発明のプロセスにより、トンネル・ダイオードを含む接触構造2の接触ゾーン30は、接触構造2の中心領域に位置するだけである一方で、接触構造2のエッジに沿った電子正孔再結合を防止する分離ゾーン20が実現され、ナノ結晶層2bとナノ結晶層4との間の直接接触もまた、エネルギー準位が概略的に示されている図11に示されている。
【0055】
本発明の驚くべき利点を実証するために、本発明の広いa-Si(n)バッファ層2aがある場合とない場合で測定された少数キャリア寿命は、以下のように要約される。
- a-Si(n)バッファ2aの有無にかかわらず、a-Si:H(i)層を使用した両面パッシベーション後の少数キャリアの寿命は8000μsである。
- a-Si(n)バッファ2aなしでマスクを通して堆積されたナノ結晶(n)層2b後の少数キャリア寿命は6650μsであり、a-Si(n)バッファありで8200μsである。
- a-Si(n)バッファ2aなしのナノ結晶(p)層4aの堆積後の少数キャリア寿命は400μsであり、a-Si(n)バッファありの場合は7460μsである。
【0056】
太陽電池前駆体は、両面a-si:H(i)層を堆積した後、さらにパターン化されたより広いアモルファス層構造2aがある場合とない場合のナノ結晶パターン化層2bを堆積した後に測定され、個々のより小さな構造2bの下に配置された個々のより広いアモルファス構造2aは、互いに中心に置かれている。少数キャリア寿命の第3の測定は、第2のナノ結晶層4の堆積後に行われる。より広い層の構造2aを除去すると、構造2のエッジに沿ったキャリアの内部再結合により、少数キャリアの寿命(つまり、400μs)が大幅に低下し、IBC HJTデバイスが高効率に達することができなくなる一方、より広いアモルファス層構造2aを挿入すると、不働態化が優れたレベル(つまり、7460μs)に維持される。
【0057】
したがって、本発明は、驚くべき効果、つまり、接触構造2の縁に沿って横方向分離ゾーン20が(横方向に)電気的障壁を示し、電子正孔キャリアの再結合を防ぐ分離ゾーンのように機能する間、接触構造2の中央部分にのみ接触接合を提供する電子フィンガの特定の形態を提示する。分離ゾーンの長さ(通常5~100μm)は、以下に説明する様々な方法で変更され得る。
【0058】
特許文献3に記載されている従来技術の構造と本発明の電荷収集フィンガとの違いは、図15(特許文献3の構造)及び図16(本発明の構造)に示されている。
【0059】
図15において、電子接触構造は、「n型のアモルファス・シリコン若しくは原結晶シリコン若しくはナノ結晶シリコン若しくは微結晶シリコン、又はこれらの層の任意の組み合わせ又はスタック、又はこれらの層で作られた任意の合金(酸素又は炭素合金など)」で作られた層材料で、その厚さに沿って同じ幅を有する。図15の従来技術のデバイスと比較した場合、本発明(図16)は、上に配置されたナノ結晶nドープ層よりも大きい専用のnドープ・アモルファス層を挿入することによって異なる。層2bから突き出ている層2aの部分は、従来技術には存在しない接触構造2の縁に沿って電気的に絶縁ゾーンとして機能する分離ゾーン20を作成する。この分離ゾーンは、前に示したように、接触構造2のエッジでの電子キャリアと正孔キャリアの再結合を防ぐ(表1)。
【0060】
一実施例では、上記アモルファス層2aは、上記真性のアモルファスa-Si:H(i)層5と直接接触している。変形例では、図示されていないさらなる層が、層5とアモルファス層2aとの間に堆積され得る。
【0061】
図3に示される一実施例では、上記アモルファス層部分2aの上記幅L2aは、上記ナノ結晶層2bの上記幅L2bよりも、好ましくは10%大きく、さらにより好ましくは、20%大きい。変形例では、上記アモルファス層部分2aのX-Y平面における仮想投影面積は、上記少なくとも部分的なナノ結晶層2bのX-Y平面における仮想投影面積よりも5%大きく、好ましくは10%大きく、さらにより好ましくは20%大きくてもよい。
【0062】
一実施例では、上記アモルファス層2aは、1nmから45nmの間、好ましくは3nmから25nmの間の高さHaを有する。上記第1の電荷収集部分2’の高さHは、通常、25nmから100nmの間である。
【0063】
変形例では、アモルファス層2aは、好ましくは、80%を超えるアモルファスであり、ナノ結晶を含み得る。
【0064】
本発明のさらなる変形例では、第1のタイプのパターン化された層2aは、酸素、窒素、又は炭素を含み得る。
【0065】
さらなる変形例では、第2のタイプのパターン化された層2bは、酸素、窒素、又は炭素を含み得る。
【0066】
実行の変形例では、アモルファス層2a及び/又は上記第2の部分2bは、酸素(O)及び/又は炭素(C)を含み得る。
【0067】
さらなる変形例では、酸素又は炭素の密度は、層2aの外面で増強され得る。
【0068】
本発明はまた、記載されたような光起電力デバイス1の製造方法によって達成され、以下のステップ(a~d)、即ち、
a.n型のドーピングを有し、上記少なくとも第1の面3a上に位置する真性のアモルファスa-Si:H(i)層5を含むシリコン・ベースの基板3を提供するステップと、
b.所定の領域5a上で、n型のドープされたアモルファス・シリコン層2aの第1の堆積を実現するステップと、
c.上記アモルファス層アイランド2aのそれぞれにおいて、上記アモルファス層2aと同じドーピング・タイプを有する第2のナノ結晶層2bの第2の堆積を実現するステップであって、上記第2の堆積は、上記アモルファス層アイランド2aのそれぞれの上に作成するために、上記第1の堆積とは異なり、上記第2のナノ結晶層部分2bは、上記アモルファス層アイランド2aと共に複数の電荷収集部分2’を形成し、上記アモルファス層部分2aは、上記X-Y平面に平行なその断面のいずれかについて、上記第2のナノ結晶層2bの上記X-Y平面上の第2の投影面積よりも大きい上記X-Y平面上の第1の投影面積を有する、ステップと、
d.上記電荷収集部分2’上及び上記電荷収集部分2’の間の隙間2”上に単一のナノ結晶シリコン層4を実現するステップであって、上記単一のナノ結晶シリコン層4は、上記電荷収集部分2’のドーピング・タイプとは異なるドーピング・タイプを有する、ステップと、
を含む。
【0069】
「より広い」という用語は、上記のように定義され、即ち、アモルファス層部分2aの少なくとも1つの幅は、ナノ結晶層部分2bの最大幅よりも広い。実際の状況では、図2から図9に示されるように、アモルファス層部分2aの最大幅は、緩衝層5との接触における幅である。
【0070】
一実施例では、上記アモルファス・シリコン層2a及び上記n型のナノ結晶層2bは、同じマスクを使用することによって堆積される。
【0071】
一実施例では、上記アモルファス・シリコン層2a及び上記n型のナノ結晶層2bは、機械的マスクを使用することによって堆積される。
【0072】
一実施例では、上記アモルファス・シリコン層2a及び上記n型又はp型のナノ結晶層2bは、INVAR又はステンレス鋼で作られた機械的マスクを使用することによって堆積される。
【0073】
一実施例では、アモルファス・シリコン層2a及び上記ナノ結晶層2bの堆積は、2つの異なるマスクを使用することによって行われ、上記第1の堆積は、上記第2の堆積に使用される第2のマスクよりも大きな開口を有する第1のマスクを使用することによって行われる。
【0074】
一実施例では、上記第1及び第2の堆積ステップは、同じマスクを使用することによって行われ、上記第1の堆積の間、マスクは基板3と接触しておらず、上記第2の堆積ステップの間、マスクは上記基板と接触し、上記アモルファス層部分2aの上部にあるナノ結晶層部分2bよりも広いアモルファス層部分2aを含む第1の電荷収集部分2’につながる。
【0075】
一実施例では、上記第1及び第2の堆積ステップは、異なるタイプの堆積パラメータを使用するときに異なるサイズのパターンを与える設計を有する開口部を有する単一のマスクを使用して行われる。ウェーハ接触面の開口部が広く、堆積ゾーンに面する表面の開口部が狭いマスク設計は、堆積プロセスで選択されたプラズマ・パラメータに強く依存するパターン・サイズにつながり得る。堆積パラメータは、例えば、気相密度、温度、ガス混合物、多かれ少なかれ方向付けられた前駆体生成、又はそれらの組み合わせにおいて変化し得る。
図1
図2
図3
図4-5】
図6-10】
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17