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特許7524299耐食性に優れる長寿命アルミニウム合金及びその合金から製造された螺旋溝付管
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  • 特許-耐食性に優れる長寿命アルミニウム合金及びその合金から製造された螺旋溝付管 図1
  • 特許-耐食性に優れる長寿命アルミニウム合金及びその合金から製造された螺旋溝付管 図2a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】耐食性に優れる長寿命アルミニウム合金及びその合金から製造された螺旋溝付管
(51)【国際特許分類】
   C22C 21/00 20060101AFI20240722BHJP
   B21C 23/10 20060101ALI20240722BHJP
   B21D 53/06 20060101ALI20240722BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20240722BHJP
   F28F 21/08 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
C22C21/00 L
C22C21/00 J
B21C23/10
B21D53/06 G
F28F1/40 A
F28F21/08 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022502397
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 IB2019060038
(87)【国際公開番号】W WO2021014203
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】201910661744.0
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522016833
【氏名又は名称】ヒドロ・プレシジョン・チュービング(スーチョウ)カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HYDRO PRECISION TUBING (SUZHOU) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 236 Songbei Road, Suzhou Industrial Park, Suzhou, Jiangsu 215024, China
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】リ、ミンシア
(72)【発明者】
【氏名】エスペダル、アルヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ゴヴィンダライ、ナガライ・ヴィナヤガム
(72)【発明者】
【氏名】エメルホフ、オーレ・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ピンチュァン、グオ
(72)【発明者】
【氏名】ス、ジンフイ
(72)【発明者】
【氏名】シュ、ホンピン
【審査官】鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-112000(JP,A)
【文献】国際公開第2011/152384(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0040634(US,A1)
【文献】国際公開第2012/008463(WO,A1)
【文献】特表2010-534766(JP,A)
【文献】特開2010-085065(JP,A)
【文献】特開2011-080121(JP,A)
【文献】特開2011-007384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0231170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00 - 21/18
C22F 1/04 - 1/057
B21C 23/10
B21D 53/06
F28F 1/40
F28F 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
.0~1.5重量%のMn、0.08重量%までのMg、0.10~0.15重量%のSi、0.3重量%までのFe、0.05重量%までのCu、0.05~0.1重量%のCr、0.05重量%までのNi、0.1~0.3重量%のZn、0.1重量%までのTi、0.2重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムからなるアルミニウム合金。
【請求項2】
前記合金が、1.0~1.2重量%のMn、0.08重量%までのMg、0.10~0.15重量%のSi、0.3重量%までのFe、0.05重量%までのCu、0.05~0.1重量%のCr、0.05重量%までのNi、0.2~0.3重量%のZn、0.1重量%までのTi、0.2重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムからなる、請求項に記載のアルミニウム合金。
【請求項3】
前記合金が、1.0~1.1重量%のMn、0.05重量%までのMg、0.10~0.15重量%のSi、0.3重量%までのFe、0.05重量%までのCu、0.05~0.1重量%のCr、0.0~0.05重量%までのNi、0.2~0.25重量%のZn、0.05重量%までのTi、0.05重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムからなる、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の合金から製造されたアルミニウム管。
【請求項5】
内面に溝付きの表面を有する、請求項に記載のアルミニウム管。
【請求項6】
前記溝の高さが少なくとも0.05mmである、請求項に記載のアルミニウム管。
【請求項7】
管とフィンとを備える熱交換器であって、前記管が請求項に記載のアルミニウム管から製造される熱交換器。
【請求項8】
前記管が多孔押出管によって形成されている、請求項に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記管が熱交換器のフィンを形成するプレートの穴に挿入されている、請求項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器用管に使用されるアルミニウム合金及びその合金から製造された管に関する。この管は、好ましくは、内面螺旋溝、又は内面直線溝、又は直線溝と螺旋溝との組み合わせを有する。また、本発明は、この管を備える熱交換器にも関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器用の伝熱管を製造する際には、伝熱管の効率的な伝熱性能を保証することが重要である。内面に溝を交互に設けた伝熱管を提供することが知られている。この溝は、管内に供給される水などの流体熱伝達媒体の乱流を促進するために協力する。この乱流により、管の内面近くでの流体の混合が促進され、管の熱伝達抵抗を増加させる可能性のある管の内面近くでの流体媒体の境界層の形成を減少するか又は実質的に排除することができる。また、この溝及び隆起は、更なる熱交換のための追加の表面積を提供する。
【0003】
螺旋溝付管(以下、HG管)は、家庭用及び業務用エアコン、ヒートポンプ給湯器などの熱交換器に広く使用されている。熱交換器の管に溝を付ける方法は、欧州特許第1866119号などで知られている。市場で使用されているHG管の合金は、主に、AA3003又は耐食性向上のための亜鉛アーク溶射コーティングを有するAA3003である。耐食性のある熱交換器が求められており、その要求を満たすために、いわゆる「長寿命」合金が多くの用途で使用されている。しかし、既存の長寿命合金は、絞り加工性及び引張強度に限界があるため、螺旋溝付管の製造に適用することができない。AA3003合金製HG管は、優れた絞り加工性及び高い引張強度を有し、厳しい螺旋溝加工にも耐えられるが、市場の耐食性要件を満たしていない。耐食性は、管にZnコーティングを施すことで改善される可能性がある。しかし、亜鉛アーク溶射を追加してAA3003製HG管の耐食性を改善する場合、亜鉛アーク溶射及び亜鉛拡散焼鈍の工程があるため、コストが大幅に上昇する。そのため、螺旋溝付管の製造に適した長寿命合金が求められている。
【発明の概要】
【0004】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様は、好ましくは、1.0~1.5重量%のMn、0.1重量%までのMg、0.3重量%までのSi、0.3重量%までのFe、0.1重量%までのCu、0.25重量%までのCr、0.1重量%までのNi、0.3重量%までのZn、0.1重量%までのTi、0.2重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムを含むアルミニウム合金に関する。
【0005】
本発明の別の態様は、本発明による合金から製造されたアルミニウム管に関する。
【0006】
本発明の更なる態様は、管とフィンとを備える熱交換器であって、管が本発明によるアルミニウム管から製造される熱交換器に関する。
【0007】
本発明による合金は、熱交換器用の耐食性管の製造に適している。特に、この合金は、その機械的強度及び成形性と耐食性との組み合わせにより、螺旋溝付管の製造に適している。伝熱管は、自動車及びHVAC&R分野で使用されるエバポレーター、コンデンサー、クーラー及びヒーターなどの機器に一般的に使用される。これらの用途では、限定されるものではないが、純水、水グリコール混合物、任意のタイプの冷媒(R-22、R-134a、R-123、R410aなど)、アンモニア、石油化学流体及びその他の混合物を含む様々な熱伝達媒体を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明による合金Aの管、Znコーティングを施した合金Bから製造された管及びZnコーティングを施さない合金Bから製造された管の穿孔までの時間を示す。
図2a図2aは、SWAAT試験7日後の、合金Bからの漏れた管の断面を示す。
図2b図2bは、SWAAT試験118日後の、本発明による合金Aからの穿孔されなかった管の断面図である。
図3図3は、螺旋溝加工ツールボックスである。
図4図4は、本発明による押出管及び合金Bから製造された管の機械的特性である。
図5図5は、合金Bから製造された管と比較した、インライン焼鈍後の本発明による螺旋溝付管の機械的特性である。
図6図6は、螺旋溝付管の絞り加工工程の概要である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
表1の合金は、熱交換器管を製造するための本発明による長寿命合金の仕様である。その化学組成は、1.0~1.5重量%のMn、0.1重量%までのMg、好ましくは0.08重量%までのMg、0.3重量%までのSi、0.3重量%までのFe、0.1重量%までのCu、0.25重量%までのCr、0.1重量%までのNi、0.3重量%までのZn、0.2重量%までのTi、0.2重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムを含む。
【0010】
好ましくは、本発明の合金は、1.0~1.2重量%のMn、0.1重量%までのMg、好ましくは0.08重量%までのMg、0.10~0.15重量%のSi、0.3重量%までのFe、0.05重量%までのCu、最大0.03~0.2重量%のCr、0.05重量%までのNi、最大0.2~0.3重量%のZn、0.1重量%までのTi、0.2重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムを含むアルミニウム合金に関する。
【0011】
最も好ましくは、本発明の合金は、1.0~1.1重量%のMn、0.05重量%までのMg、0.10~0.15重量%のSi、0.3重量%までのFe、0.05重量%までのCu、0.05~0.1重量%のCr、好ましくは0.0~0.05重量%までのNi、0.2~0.25重量%のZn、0.05重量%までのTi、0.05重量%までのZr、及び不可避不純物であって、それぞれ最大0.05重量%であり、不純物の合計が最大0.15重量%である不可避不純物、残部アルミニウムを含むアルミニウム合金に関する。
【0012】
本発明は、そのようなアルミニウム合金から製造されたアルミニウム管、特に内面に溝付きの表面を有する管にも関する。内面の溝は、好ましくは、少なくとも0.05mmの高さを有する。
【0013】
本発明は、管とフィンとを備える熱交換器であって、その管が本発明のアルミニウム管から製造される熱交換器にも関し、熱交換器は、好ましくは、熱交換器のフィンを形成するプレートの穴に管を挿入して製造される。
【0014】
また、熱交換器は、波型アルミニウムフィンがろう付けされた平行な多孔押出管で形成されたサーペンタイン熱交換器であってもよい。
【0015】
【表1】
【0016】
本発明の合金は、内面に溝を有する熱交換器管に特に適した特性が得られる範囲で、慎重に選択された元素を組み合わせたものである。
【0017】
Mnは、合金強度を向上させるための主な添加元素であり、Mn含有量が1.0重量%未満であると、螺旋溝加工に耐える合金強度が不足し、管破損が起こるおそれがある。Mn含有量が1.5重量%を超えると、材料が硬くなりすぎて拡管に大きな力が必要になるため拡管が困難になり、管内のフィンが潰れたり、拡管時にフィンとビレットとの間の摩擦が大きくなって管が曲がったりして、ろう付け後の管の耐食性に影響を与える危険性がある。Mnの好ましい含有量は1.0~1.2重量%、より好ましくは1.0~1.1重量%である。
【0018】
Mgは、ノコロック(Nocolok)フラックスを塗布した熱交換器の良好なろう付けを得るために、0.1重量%以下、好ましくは0.08重量%以下、最も好ましくは0.05重量%以下とする。
【0019】
耐食性を向上させるために、Si及びFeは、それぞれ0.3重量%以下に制御される。Siの含有量は、耐食性を向上させるために、0.10~0.15重量%とすることが望ましい。
【0020】
Crは、結晶粒組織を微細化し、合金強度及び耐食性を向上させるために添加されるが、良好な押出成形性及び螺旋溝加工時の良好な成形性のために、0.25重量%以下、好ましくは0.05~0.2重量%、より好ましくは0.05~0.1重量%に制御する必要がある。
【0021】
Cuは0.1重量%以下とし、管の良好な耐食性のために、好ましくはCu含有量は0.05重量%以下とする。
【0022】
Znは、耐孔食性を向上させ、管の表面を均一に腐食させるために、0.3重量%まで添加する重要な元素である。好ましくは、Znの含有量は0.1重量%~0.3重量%、好ましくは0.2~0.3重量%、より好ましくは0.25~0.3重量%である。
【0023】
Feは、0.3重量%までのFeに制御される。これより多く含有すると耐食性に悪影響を及ぼす可能性があるためである。Fe高含有粒子は、アノード周囲を溶解するカソードとして作用する。
【0024】
Niは耐粒界腐食性に非常に悪影響を与えることが知られており、0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下に制限されるべきである。
【0025】
Tiは主に結晶粒の微細化に用いられるが、耐食性を向上させるためにも用いられる。Tiの含有量は、0.2重量%以下、0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下に制限されるべきである。
【0026】
Zrは、金属間化合物の大きさにプラスの効果があるため、腐食にプラスと考えられ、0.2重量%まで添加してもよい。形成される金属間化合物Al3Zrは、腐食環境で活性化することが知られていないため、耐食性に悪影響を与えない。0.2重量%を超えるZrを添加すると、Zrが高価な元素であるため、合金コストが高くなる。また、0.2重量%を超えるZrを含む合金は、リサイクルが困難になり且つ成形性が低下する。
【0027】
本発明による合金Aの耐食性を、Si、Fe及びTiの含有量がやや多く、Zn及びCrの含有量が少ない合金Bと比較する試験を行った。本発明による合金中の亜鉛、Si及びFeの組み合わされた含有量が、優れた耐食性の主な理由である。Crは合金強度を向上させ、Si及びFeの含有量が少ないことによる強度低下をある程度補っている。合金A及びB(Znコーティング「ZAS」を施したもの及び施さないもの)の螺旋溝付管の試験から得られたSWAATの結果を示す図1及び図2に見られるように、合金Aの耐食性は、合金Bの管よりも遥かに高い。合金BのZnコーティングされていない全ての管が、わずか7日間の暴露で漏れる。
【0028】
【表2】
【0029】
図2aは、合金Bから製造された管の断面の写真であり、SWAATでの試験の7日後には既に漏れが発生している。腐食の形態は孔食であるが、図2bの合金Aの管の断面では、より均一な腐食が起きており、合金Aの管はSWAATで118日後に初めて漏れた。
【0030】
螺旋溝付管の製造装置を図3に示す。
【0031】
合金ビレットは押出プレスでベース管(1)を形成するために押し出され、ベース管は連続絞り加工機で管(8)の大きさに絞り加工される(図3参照)。管は、固定プラグ(3)の位置にある絞り加工ステーション(2)を通過した後、スチールシャフト(5)の接続によって螺旋溝加工プラグ(4)の位置に固定される。管は、管の膨張を伴わずに管の内側に螺旋溝を形成するための螺旋溝加工プラグ(4)によって絞り加工される。管の内側に入れられたプラグは、管を必要な内径に成形する。螺旋溝加工の際には、ギアボックス6の中に管を取り囲むように鋼球(7)があり、その鋼球がモーターによって高速回転し、アルミニウムを螺旋溝加工用の金型に押し込む。外径は、ギアボックスの大きさと、管を取り囲むように回転する鋼球の直径との組立寸法によって決まる。溝加工を通過するためには、合金が良好な成形性及び高い強度を有することが必要である。
【0032】
螺旋溝加工後の管(1)にはボールマークが付く場合があり、外面を平滑にするための絞り加工金型及び絞り加工プラグを備えるへこみ絞り加工部(sink drawing unit)を通過させて、最終的な管の大きさを得る必要があることもある。
【0033】
図4は、EN 755-2に基づく試験を行った管の引張強度を示す。
【0034】
本発明による合金Aから製造されたHG管の引張強度は、合金Bから製造された管に比べて若干低いが、その強度は螺旋溝加工による確実な製造を保証するのに十分なものである。
【0035】
図5は、200m/分の絞り加工速度での絞り加工中に、管を450~550℃に加熱してインライン焼鈍した後の螺旋管の機械的特性を示している。
【0036】
図6には、絞り加工ステーションを異なる回数通過した後の、絞り加工中の管寸法の減少を示している。試験した管のサイズは、外径(OD)=7mm、肉厚(WT)=0.47mm、フィン高さ(FH)=0.25mm、溝数(FN)=50である。絞り加工試験の概要を図6に示します。グラフの柱は、各絞り加工での寸法減少率を示している。管の総絞り加工変形量は81%であった。
【0037】
本発明による合金から製造された管の絞り加工性に基づいて、外径は5~10mm、肉厚は0.35~0.7mm、フィン高さは最大0.35mm、フィン数は最大50とすることができる。
【0038】
アルミニウム製放熱フィン(フィンチューブ式熱交換器ともいう)に開けられた挿入孔に挿入される管の内側に内面溝を形成し、伝熱管の内径よりも大きな外径を有する拡管用マンドレルを挿入して、伝熱管の外周面をアルミニウム製放熱フィンの挿入孔に密着させることにより、伝熱性能を高めた熱交換器が製造される。
【0039】
本発明による合金は、通常の円管の製造及びマイクロチャネルフラットチューブ(MPE)の押出成形にも用いることができる。円管の好ましい寸法は、直径が5~30mmであり且つ肉厚が0.3mm以上である。MPEの好ましい寸法は、幅が8mm以下であり、最小高さが1mmであり且つ肉厚が0.15mm以上である。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6