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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】表示パネル及び移動端末
(51)【国際特許分類】
   H10K 59/38 20230101AFI20240722BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240722BHJP
   H10K 50/85 20230101ALI20240722BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240722BHJP
   H10K 50/155 20230101ALI20240722BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20240722BHJP
【FI】
H10K59/38
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/30 309
H10K50/85
H10K59/35
H10K50/155
G02B5/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022502953
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2021123089
(87)【国際公開番号】W WO2023039963
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】202111091676.2
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517333336
【氏名又は名称】武漢華星光電半導体顕示技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUHAN CHINA STAR OPTOELECTRONICS SEMICONDUCTOR DISOLAY TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】305 Room,Building C5 Biolake of Optics Valley,No.666 Gaoxin Avenue,.Wuhan East Lake High-tech Development Zone Wuhan,Hubei 430079 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 穏華
【審査官】藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111816793(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108899438(CN,A)
【文献】特表2009-510696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光機能層と、前記発光機能層に設けられる薄膜封止層とを含む表示パネルであって、
前記発光機能層は、第1色光を発出する複数の第1発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記薄膜封止層との間に位置するように前記第1発光ユニットに対応して設けられる複数の第1光抽出ユニットとを含み、
前記第1色光は、青色光であり、
前記第1光抽出ユニットは、紫外光吸収材料を含み、
紫外光に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する前記薄膜封止層の消光係数よりも大きく、
前記発光機能層は、陽極層と、前記陽極層に位置する正孔輸送層と、前記正孔輸送層に位置する発光材料層と、前記発光材料層に位置する陰極層とを含み、
前記正孔輸送層は、電子吸引基を有する正孔型ドーパントを含み前記正孔型ドーパントは前記正孔輸送層における質量比率が0.8%~1.2%である、
表示パネル。
【請求項2】
前記紫外光吸収材料は、ベンゾトリアゾール誘導体、サリチル酸エステル類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、置換アクリロニトリル類、トリアジン類のうちの少なくとも一つを含み、
前記第1光抽出ユニットにおける前記紫外光吸収材料の質量比率は、0.01%~0.05%である、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
波長が390nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、0.85mol-1cm-1~0.95mol-1cm-1であり、
波長が400nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、0.55mol-1cm-1~0.65mol-1cm-1である、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記発光機能層は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニットと、第3色光を発出する複数の第3発光ユニットと、前記第2発光ユニットに対応して設けられる複数の第2光抽出ユニットと、前記第3発光ユニットに対応して設けられる複数の第3光抽出ユニットとをさらに含み、
前記第2色光は、赤色光であり、
前記第3色光は、緑色光であり、
紫外光に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する前記第2光抽出ユニットの消光係数よりも大きい、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記発光機能層は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニットと、第3色光を発出する複数の第3発光ユニットとをさらに含み、
前記表示パネルの平面視において、前記第1光抽出ユニットは、前記第1発光ユニット、前記第2発光ユニット及び前記第3発光ユニットを覆うように全層に亘って敷設される、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記薄膜封止層におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、前記第1光抽出ユニットの屈折率よりも小さい、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記薄膜封止層におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、1.78~1.85である、
請求項6に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記薄膜封止層は、前記発光機能層の一方側に近接する第1無機層と、前記第1無機層に位置する第2無機層とを含み、
前記第2無機層の屈折率は、前記第1無機層の屈折率よりも大きい、
請求項7に記載の表示パネル。
【請求項9】
HAT-CN、F4-TCNQ、SbCl5又はFeCl3のうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む、
請求項6に記載の表示パネル。
【請求項10】
HAT-CN、F4-TCNQ、SbCl5又はFeCl3のうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む、
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の表示パネルと、前記表示パネルと一体的に組み付けられる端末本体とを含む、
移動端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示分野に関し、特に表示パネル及び移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OLED(Organic Light-Emitting Diode,有機発光ダイオード)表示パネルは、高コントラスト、広色域、応答時間が速いなどの利点により、世界中で使用されるが、地域によって緯度と経度が異なるため、地域によって紫外線照射エネルギーが異なり、OLED表示パネルの太陽光照射実験条件の使用限界を研究するために、通常、人工太陽光照射又は紫外線フォトマスク実験を採用してOLED表示パネルの太陽光照射寿命をシミュレートするが、OLED表示パネルは、太陽光又は紫外光によって照射された後、表示色温度の低下を引き起こし、表示効果に影響を与えることになる。
【0003】
したがって、上記技術的問題を解決するための表示パネル及び移動端末が早急に必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、太陽光又は紫外光によって照射された後の現在のOLED表示パネルにおける表示色温度の低下という技術問題を解消することができる表示パネル及び移動端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本願によれば、以下の発明が提供される。
【0006】
本願の実施例によれば、発光機能層と、前記発光機能層に設けられる薄膜封止層とを含む表示パネルであって、
前記発光機能層は、第1色光を発出する複数の第1発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記薄膜封止層との間に位置するように前記第1発光ユニットに対応して設けられる複数の第1光抽出ユニットとを含み、
前記第1色光は、青色光であり、
前記第1光抽出ユニットは、紫外光吸収材料を含み、
紫外光に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する前記薄膜封止層の消光係数よりも大きい表示パネルが提供される。
【0007】
実施例において、前記紫外光吸収材料は、ベンゾトリアゾール誘導体、サリチル酸エステル類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、置換アクリロニトリル類、トリアジン類のうちの少なくとも一つを含み、
前記第1光抽出ユニットにおける前記紫外光吸収材料の質量比率は、0.01%~0.05%である。
【0008】
実施例において、波長が390nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、0.85mol-1cm-1~0.95mol-1cm-1であり、
波長が400nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、0.55mol-1cm-1~0.65mol-1cm-1である。
【0009】
実施例において、前記発光機能層は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニットと、第3色光を発出する複数の第3発光ユニットと、前記第2発光ユニットに対応して設けられる複数の第2光抽出ユニットと、前記第3発光ユニットに対応して設けられる複数の第3光抽出ユニットとをさらに含み、
前記第2色光は、赤色光であり、
前記第3色光は、緑色光であり、
紫外光に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する前記第2光抽出ユニットの消光係数よりも大きい。
【0010】
実施例において、前記発光機能層は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニットと、第3色光を発出する複数の第3発光ユニットとをさらに含み、
前記表示パネルの平面視において、前記第1光抽出ユニットは、前記第1発光ユニット、前記第2発光ユニット及び前記第3発光ユニットを覆うように全層に亘って敷設される。
【0011】
実施例において、前記薄膜封止層におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、前記第1光抽出ユニットの屈折率よりも小さい。
【0012】
実施例において、前記薄膜封止層におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、1.78~1.85である。
【0013】
実施例において、前記薄膜封止層は、前記発光機能層の一方側に近接する第1無機層と、前記第1無機層に位置する第2無機層とを含み、
前記第2無機層の屈折率は、前記第1無機層の屈折率よりも大きい。
【0014】
実施例において、前記発光機能層は、陽極層と、前記陽極層に位置する正孔輸送層と、前記正孔輸送層に位置する発光材料層と、前記発光材料層に位置する陰極層とを含み、
前記正孔輸送層は、電子吸引基を有し、前記正孔輸送層における質量比率が0.8%~1.2%であり、HAT-CN、F-TCNQ、SbCl又はFeClのうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む。
【0015】
実施例において、前記発光機能層は、陽極層と、前記陽極層に位置する正孔輸送層と、前記正孔輸送層に位置する発光材料層と、前記発光材料層に位置する陰極層とを含み、
前記正孔輸送層は、電子吸引基を有し、前記正孔輸送層における質量比率が0.8%~1.2%であり、HAT-CN、F-TCNQ、SbCl又はFeClのうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む。
【0016】
本願の実施例によれば、発光機能層と、前記発光機能層に設けられる薄膜封止層とを含む表示パネルと、前記表示パネルと一体的に組み付けられる端末本体とを含む移動端末であって、
前記発光機能層は、第1色光を発出する複数の第1発光ユニットと、前記第1発光ユニットと前記薄膜封止層との間に位置するように前記第1発光ユニットに対応して設けられる複数の第1光抽出ユニットとを含み、
前記第1色光は、青色光であり、
前記第1光抽出ユニットは、紫外光吸収材料を含み、
紫外光に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する前記薄膜封止層の消光係数よりも大きい移動端末がさらに提供される。
【0017】
実施例において、前記紫外光吸収材料は、ベンゾトリアゾール誘導体、サリチル酸エステル類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、置換アクリロニトリル類、トリアジン類のうちの少なくとも一つを含み、
前記第1光抽出ユニットにおける前記紫外光吸収材料の質量比率は、0.01%~0.05%である。
【0018】
実施例において、波長が390nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、0.85mol-1cm-1~0.95mol-1cm-1であり、
波長が400nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、0.55mol-1cm-1~0.65mol-1cm-1である。
【0019】
実施例において、前記発光機能層は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニットと、第3色光を発出する複数の第3発光ユニットと、前記第2発光ユニットに対応して設けられる複数の第2光抽出ユニットと、前記第3発光ユニットに対応して設けられる複数の第3光抽出ユニットとをさらに含み、
前記第2色光は、赤色光であり、
前記第3色光は、緑色光であり、
紫外光に対する前記第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する前記第2光抽出ユニットの消光係数よりも大きい。
【0020】
実施例において、前記発光機能層は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニットと、第3色光を発出する複数の第3発光ユニットとをさらに含み、
前記表示パネルの平面視において、前記第1光抽出ユニットは、前記第1発光ユニット、前記第2発光ユニット及び前記第3発光ユニットを覆うように全層に亘って敷設される。
【0021】
実施例において、前記薄膜封止層におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、前記第1光抽出ユニットの屈折率よりも小さい。
【0022】
実施例において、前記薄膜封止層におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、1.78~1.85である。
【0023】
実施例において、前記薄膜封止層は、前記発光機能層の一方側に近接する第1無機層と、前記第1無機層に位置する第2無機層とを含み、
前記第2無機層の屈折率は、前記第1無機層の屈折率よりも大きい。
【0024】
実施例において、前記発光機能層は、陽極層と、前記陽極層に位置する正孔輸送層と、前記正孔輸送層に位置する発光材料層と、前記発光材料層に位置する陰極層とを含み、
前記正孔輸送層は、電子吸引基を有し、前記正孔輸送層における質量比率が0.8%~1.2%であり、HAT-CN、F-TCNQ、SbCl又はFeClのうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む。
【0025】
実施例において、前記発光機能層は、陽極層と、前記陽極層に位置する正孔輸送層と、前記正孔輸送層に位置する発光材料層と、前記発光材料層に位置する陰極層とを含み、
前記正孔輸送層は、電子吸引基を有し、前記正孔輸送層における質量比率が0.8%~1.2%であり、HAT-CN、F-TCNQ、SbCl又はFeClのうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施例によれば、第1発光ユニットと薄膜封止層との間に紫外光吸収材料を含む第1光抽出ユニットを設けることにより、太陽光又は紫外光が表示パネルに照射される際に、第1光抽出ユニットは、紫外光を吸収又は消光する役割を果たし、第1発光ユニットの発光材料に対する紫外光の破壊による表示パネルの色温度の低下を解消し、表示パネルの表示効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施例に係る表示パネルの第1の構造を示す概略図である。
図2】本発明の実施例に係る表示パネルの第2の構造を示す概略図である。
図3】本発明の実施例に係る表示パネルの第3の構造を示す概略図である。
図4】本発明の実施例に係る表示パネルの第1の特性評価効果図である。
図5】本発明の実施例に係る表示パネルの第2の特性評価効果図である。
図6】本発明の実施例に係る表示パネルの第3の特性評価効果図である。
図7】本発明の実施例に係る表示パネルの第4の特性評価効果図である。
図8】本発明の実施例に係る表示パネルの第5の特性評価効果図である。
図9】本発明の実施例に係る表示パネルの第6の特性評価効果図である。
図10】本発明の実施例に係る表示パネルの第7の特性評価効果図である。
図11】本発明の実施例に係る表示パネルの第8の特性評価効果図である。
図12】本発明の実施例に係る表示パネルの第9の特性評価効果図である。
図13】本発明の実施例に係る移動端末の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本願によれば、表示パネル及び移動端末が提供され、本願の目的、技術的手段及び効果をより明瞭かつ明確にするために、以下では、図面を参照しながら、実施例を挙げて本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載される具体的な実施例は、本願を説明するためにのみ使用され、本願を限定するものではないことを理解すべきである。
【0029】
本願の実施例によれば、表示パネル及び移動端末が提供される。以下、それぞれ詳細に説明する。なお、以下の実施例の説明順序は、実施例の好適順序を限定するものではない。
【0030】
図1図12を参照して、本発明の実施例によれば、発光機能層300と、前記発光機能層300に設けられる薄膜封止層400とを含む表示パネル100が提供される。
【0031】
前記発光機能層300は、第1色光を発出する複数の第1発光ユニット301と、前記第1発光ユニット301と前記薄膜封止層400との間に位置するように前記第1発光ユニット301に対応して設けられる複数の第1光抽出ユニットzとを含む。
【0032】
ここで、前記第1色光は、青色光であり、前記第1光抽出ユニットzは、紫外光吸収材料を含み、紫外光に対する前記第1光抽出ユニットzの消光係数は、紫外光に対する前記薄膜封止層400の消光係数よりも大きい。
【0033】
本発明の実施例によれば、第1発光ユニットと薄膜封止層との間に紫外光吸収材料を含む第1光抽出ユニットを設けることにより、太陽光又は紫外光が表示パネルに照射される際に、第1光抽出ユニットは、紫外光を吸収又は消光する役割を果たし、第1発光ユニットにおける発光材料に対する紫外光の破壊による表示パネルの色温度の低下を解消し、表示パネルの表示効果を向上させることができる。
【0034】
次に、具体的な実施例を参照しながら本発明の技術的手段について説明する。
【0035】
本実施例において、黒体が熱を受けた後、徐々に黒から赤に変わり、黄色に変わり、白くなり、最終的に青色光を発出する。青色発光ユニットに対する紫外光の影響を低減させ、青色光の輝度を向上させるように青色発光ユニットを保護することで、色温度を順方向に改善することができる。
【0036】
本実施例において、前記表示パネル100は、アレイ基板200をさらに含む。図1に示すように、前記アレイ基板200は、ベースと、前記ベースに位置するバッファ層と、前記バッファ層に位置する活性層と、前記活性層に位置する第1絶縁層と、前記第1絶縁層に位置するゲート層と、前記ゲート層に位置する第2絶縁層と、前記第2絶縁層に位置するソースドレイン層と、前記ソースドレイン層に位置する第3絶縁層とを含む。前記発光機能層300は、前記第3絶縁層に位置する。
【0037】
本実施例において、前記ベースの材料は、良好な引張性能を有するポリウレタンゴム、アクリル、シリコーンゴム又はポリイミドのうちの一つの材料であってもよい。
【0038】
本実施例において、第1光抽出ユニットzの材料は、前記第1光抽出ユニットzのベース材料を提供するために例えばベンゼン類、ピレン類を含む有機小分子材料をさらに含む。前記第1光抽出ユニットzは、前記第1発光ユニット301から発出される光に対して収束効果を有するため、前記表示パネル100の出光率を向上させることができる。
【0039】
本実施例において、本願によれば、前記第1光抽出ユニットzに紫外光吸収材料を追加することにより、表示パネル100に外部の自然光又は紫外光が照射される際に、紫外光を吸収又は消光する役割を果たし、第1発光ユニット301における発光材料に対する紫外光の破壊を低減させ、太陽光又は紫外光が照射された後の表示パネル100の色温度の低下を解消し、表示パネル100の表示効果を高めることができる。
【0040】
本実施例において、前記紫外光吸収材料は、ベンゾトリアゾール誘導体、サリチル酸エステル類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、置換アクリロニトリル類、トリアジン類のうちの少なくとも一つを含む。
【0041】
前記紫外光吸収材料の種類としてベンゼン類を選択する目的は、紫外光吸収材料と前記第1光抽出ユニットzのベース材料との相互溶解性を向上させるとともに、前記第1光抽出材料のベース材料の性能への影響を最小限に抑えることである。
【0042】
本実施例において、前記第1光抽出ユニットzにおける前記紫外光吸収材料の質量比率は、0.01%~0.05%である。
【0043】
前記第1光抽出ユニットzにおける前記紫外光吸収材料の質量比率は、高すぎてはならない。高すぎる場合に、前記第1発光ユニット301に対する前記第1光抽出ユニットzの光の収束抽出効果が低下し、前記表示パネル100の出光率の低下が回避される。一方、前記第1光抽出ユニットzにおける前記紫外光吸収材料の質量比率が0.01%未満である場合に、紫外光吸収に対する効果が大幅に低下する。
【0044】
本実施例において、前記第1光抽出ユニットzに紫外光吸収材料を添加し、波長が390nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットzの消光係数は、0.85mol-1cm-1~0.95mol-1cm-1であり、波長が400nmである光線に対する前記第1光抽出ユニットzの消光係数は、0.55mol-1cm-1~0.65mol-1cm-1である。前記紫外光吸収材料の添加は、近紫外光に対する消光係数を向上させることができ、紫外光を効果的に吸収又は除去することができ、可視光の除去吸収効果が小さいため、可視光の正常な透過を保証することができる。消光係数が大きすぎる場合に、可視光の透過率に影響を与えることになり、消光係数が小さすぎる場合に、紫外光の吸収効果が悪くなる。
【0045】
本実施例において、図1に示すように、前記発光機能層300は、陽極層310と、前記陽極層310に位置する正孔輸送層320と、前記正孔輸送層320に位置する発光材料層と、前記発光材料層に位置する陰極層340とを含む。
【0046】
本実施例において、前記発光材料層は、赤緑青のうちのいずれかの色を発出する材料を含んでもよい。図1に示すように、対応する前記第1発光ユニット301、前記第2発光ユニット302及び前記第3発光ユニット303がそれぞれ構成されるように、第1発光材料ユニットB、第2発光材料ユニットR及び第3発光材料ユニットGを含む。
【0047】
本実施例において、図2に示すように、前記発光機能層300は、前記発光材料層と前記正孔輸送層320との間に位置するキャビティ長機能層をさらに含む。前記キャビティ長機能層は、前記第1発光ユニット301に対応する第1キャビティ長機能ユニットbと、前記第2発光ユニット302に対応する第2キャビティ長機能ユニットrと、前記第3発光ユニット303に対応する第3キャビティ長機能ユニットgとを含む。キャビティ長機能層における各キャビティ長機能ユニットは、各色光の最適なマイクロキャビティ効果に対応するキャビティ長が達成され、出光効率が向上するように、異なる色の発光ユニットの発光キャビティの長さを調整してもよい。
【0048】
本実施例において、前記発光機能層300は、陰極層340と前記発光材料層との間に位置する電子輸送層330をさらに含む。
【0049】
本実施例において、前記発光機能層300は、前記電子輸送層330と前記陰極層340との間に位置する電子注入層と、前記正孔輸送層320と前記陽極層310との間に位置する正孔注入層とをさらに含む。
【0050】
本実施例において、前記表示パネル100は、前記光抽出層500と前記薄膜封止層400との間に位置するLiF層600をさらに含む。前記LiF層600は、水蒸気及び酸素に対して一定のバリア効果を有し、発光機能層300への水蒸気及び酸素の侵入を防止することができる。
【0051】
本実施例において、図1に示すように、前記発光機能層300は、前記陰極層340と前記薄膜封止層400との間に位置する光抽出層500を含み、前記光抽出層500は、前記第1光抽出ユニットzのみを含むように全層に亘って設けてもよい。図2に示すように、前記光抽出層500は、異なる色の発光ユニットにそれぞれ対応するように、前記第1光抽出ユニットz、前記第2光抽出ユニットx及び前記第3光抽出ユニットyを含んでもよい。
【0052】
本実施例において、図2に示すように、前記発光機能層300は、第2色光を発出する複数の第2発光ユニット302と、第3色光を発出する複数の第3発光ユニット303と、前記第2発光ユニット302に対応して設けられる複数の第2光抽出ユニットxと、前記第3発光ユニット303に対応して設けられる複数の第3光抽出ユニットyとをさらに含む。ここで、前記第1色光は、青色光であり、前記第2色光は、赤色光であり、前記第3色光は、緑色光である。
【0053】
本実施例において、光照射実験の実験条件としては、340nm光、強度が0.6W/mであり、表示パネル100の試験温度が60℃であり、周囲温度が40℃であり、一回の照射周期が16時間であり、一回の照射一時停止周期が8時間であり、一回の照射周期と一回の照射一時停止周期が一つのグループを構成し、一回の完全なフォトマスク実験は、五つのグループを含み、照射と照射一時停止を交互に動作させることである。
【0054】
本実施例において、図1に示すように、太陽光又は紫外光が照射された後、R輝度が上昇し、B輝度が低下することにより、モジュール全体の色温度変化量に負のずれが発生する。コストを節約するために、第1光抽出ユニットzが全層に亘って敷設されることを例として実験を行い、前記表示パネル100の平面視において、前記第1光抽出ユニットzは、前記第1発光ユニット301、前記第2発光ユニット302及び前記第3発光ユニット303を覆うように全層に亘って敷設される。すなわち、光抽出用膜層ユニットは、全層に亘って覆われており、光抽出層500は、前記第1光抽出ユニットzのみを含み、プロセスが簡単であり、コストが低い。
【0055】
本実施例において、前記第1光抽出ユニットzに紫外光吸収材料を添加することにより、表示色温度の改善に有利であり、具体的な特性評価結果は、以下のとおりである。
【0056】
波長が390nmである光線に対する消光係数が0.7mol-1cm-1であり、波長が400nmである光線に対する消光係数が0.53mol-1cm-1である前記第1光抽出ユニットzに紫外光吸収材料を添加していない第1条件実験を行う。
【0057】
本実施例において、図4図5に示すように、一回の完全な光照射実験を経た後、実験前と比較して、Rの輝度は、102.1%に上昇し、Gの輝度は、100.2%に上昇し、Bの輝度は、94.5%に低下し、実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-614Kである。
【0058】
前記第1光抽出ユニットzにおける紫外光吸収材料の質量比率を調整することにより、波長が390nmである光線に対する消光係数が0.9mol-1cm-1であり、波長が400nmである光線に対する消光係数が0.6mol-1cm-1である前記第1光抽出ユニットzに前記紫外光吸収材料を添加している第2条件実験を行う。
【0059】
本実施例において、図4図5に示すように、一回の完全な光照射実験を経た後、実験前の輝度との比較及び第1条件実験と比較する上下幅は、Rの輝度は、103.9%に上昇し、上昇幅は、1.8%増加し、Gの輝度は、101.3%に上昇し、上昇幅は、1.1%増加し、Bの輝度は、97.4%に低下し、減少幅は、2.9%減少する。実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-492Kであり、第1条件実験と比較して、色温度は、+122K順方向に改善することができるため、前記紫外光吸収材料は、表示色温度の改善に有利であることが容易に見られる。
【0060】
本実施例において、紫外光吸収材料を添加している前記第1光抽出ユニットz(第2条件実験に対応)と紫外光吸収材料を添加していない前記第1光抽出ユニットz(第1条件実験に対応)とを比較するとともに、可視光に対する屈折率を以下の表に示す。
【表1】
【0061】
図12を参照して、紫外光吸収材料を添加していない前記第1光抽出ユニットzは、波長が460nmである光線に対する屈折率が2.09であり、波長が530nmである光線に対する屈折率が1.96であり、620nm光線に対する屈折率が1.90であり、紫外光吸収材料を添加している前記第1光抽出ユニットzは、460nm光線に対する屈折率が2.07であり、530nm光線に対する屈折率が1.93であり、620nm光線に対する屈折率が1.87である。したがって、紫外光吸収材料の添加は、RGB可視光の通常の出光率にほとんど影響せず、通常使用することができる。
【0062】
本実施例において、前記第2光抽出ユニットx又は/及び前記第3光抽出ユニットyは、紫外光吸収材料を含む。
【0063】
本実施例において、紫外光に対する前記第1光抽出ユニットzの消光係数は、紫外光に対する前記第2光抽出ユニットxの消光係数よりも大きい。青色発光材料ユニットBに対し紫外光吸収を強化し、青色発光材料ユニットBは、紫外光に敏感であるため、大きな輝度変化や色温度変化が発生しやすくなる。紫外光に対する前記第2光抽出ユニットxの消光係数は、紫外光に対する前記第3光抽出ユニットyの消光係数よりも大きいことが好ましく、赤色発光材料ユニットRは、緑色発光材料ユニットGよりも紫外光に敏感であり、赤色発光材料ユニットRをさらに最適化する。異なる色の発光材料ユニットに異なる濃度の紫外光吸収材料を添加することで、紫外光吸収と出光率との関係を均衡させ、色温度を改善する状況において、表示パネル100の出光率を可能な限り向上させるように保証することができる。
【0064】
本実施例において、前記薄膜封止層400におけるいずれかの無機膜層の屈折率は、前記第1光抽出ユニットzの屈折率よりも小さい。前記薄膜封止層400は、窒化ケイ素化合物又は/及び酸化ケイ素化合物を含み、前記第1光抽出ユニットzは、有機物を含み、主に前記表示パネル100の出光率を向上させる膜層は、前記第1光抽出ユニットzであり(前記第2光抽出ユニットx及び前記第3光抽出ユニットyをさらに含んでもよい)、前記第1光抽出ユニットzの屈折率は、前記薄膜封止層400における無機膜層の屈折率よりも大きく、前記薄膜封止層400の屈折率が高すぎる場合に、発光するエッジ領域に色ずれが起こりやすくなる。同時に、前記第1光抽出ユニットzを用いてさらに光線を予め収束させることができ、一方では出光率が向上し、他方では隣接する色光のクロストークも回避される。
【0065】
本実施例において、前記薄膜封止層400のいずれかの無機膜層の屈折率は、1.78~1.85である。前記薄膜封止層400のいずれかの無機膜層の屈折率は、1.81であることが好ましく、実験では、前記薄膜封止層400におけるいずれかの無機膜層の屈折率が1.78未満であることよりも、前記薄膜封止層400の屈折率を消光効果が強化される範囲に限定することが見出され、前記薄膜封止層400の屈折率が高すぎる場合に、発光するエッジ領域の色ずれが起こりやすくなり、前記薄膜封止層400の屈折率が低すぎる場合に、試験では封止不良になりやすくなることが示される。
【0066】
本実施例において、前記薄膜封止層400の平均屈折率を向上させることにより、表示色温度の改善に有利であり、具体的な特性評価結果は、以下のとおりである。
【0067】
前記薄膜封止層400におけるいずれかの無機膜層の屈折率が1.76である第3条件実験を行う。
【0068】
本実施例において、図6図7に示すように、一回の完全な光照射実験を経た後、実験前と比較して、Rの輝度は、106%に上昇し、Gの輝度は、102%に上昇し、Bの輝度は、96%に低下し、実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-418Kである。
【0069】
前記薄膜封止層400のいずれかの無機膜層の屈折率が1.81である第4条件実験を行う。
【0070】
本実施例において、図6図7に示すように、実験前の輝度との比較及び第3条件実験と比較する上下幅は、Rの輝度は、104%に上昇し、上昇幅は、2%減少し、Gの輝度は、102%に上昇し、上昇幅は、4%減少し、Bの輝度は、99%に低下し、減少幅は、3%減少する。実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-285Kであり、第3条件実験と比較して、色温度は、+133K順方向に改善することができるため、前記薄膜封止層400の屈折率を適宜向上させるとともに、前記薄膜封止層400におけるいずれかの無機膜層の屈折率を1.78~1.85に限定することは、表示色温度の改善に有利であることが容易に見られる。
【0071】
本実施例において、前記薄膜封止層400は、前記発光機能層300の一方側に近接する第1無機層410と、前記第1無機層410に位置する第2無機層420とを含む。ここで、前記第2無機層420の屈折率は、前記第1無機層410の屈折率よりも大きい。前記薄膜封止層400の主な役割は、前記発光機能層を封止保護することであり、前記第2無機層420の屈折率が前記第1無機層410の屈折率よりも大きく、出光方向において二層の無機層の屈折率が徐々に増大するように、二層の無機層の窒素元素の割合を調整することにより、光線の出光率を向上させ、表示効果を高めることができる。
【0072】
本実施例において、前記正孔輸送層320は、電子吸引基を有し、前記正孔輸送層320における質量比率が0.8%~1.2%であり、HAT-CN、F-TCNQ、SbCl又はFeClのうちの少なくとも一つを含む正孔型ドーパントを含む。
【0073】
ここで、HAT-CN構造は、
【化1】
である。
【0074】
ここで、F-TCNQ構造は、
【化2】
である。
【0075】
本実施例において、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率を低下させることにより、表示色温度の改善に有利であり、具体的な特性評価結果は、以下のとおりである。
【0076】
電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率が1.5%である第5条件実験を行う。
【0077】
本実施例において、図8図9に示すように、一回の完全な光照射実験を経た後、実験前と比較して、Rの輝度は、108%に上昇し、Gの輝度は、102%に上昇し、Bの輝度は、99%に低下し、実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-551Kである。
【0078】
前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率が1.0%である第6条件実験を行う。
【0079】
本実施例において、図8図9に示すように、実験前の輝度との比較及び第5条件実験と比較する上下幅は、Rの輝度は、106%に上昇し、上昇幅は、2%減少し、Gの輝度幅は、100%に上昇し、上昇幅は、2%減少し、Bの輝度は、98%に低下し、減少幅は、1%増加し、実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-489Kであり、第5条件実験と比較して、色温度は、+62K順方向に改善することができるため、前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率を適宜低下させるとともに、前記正孔輸送層320における質量比率を0.8%~1.2%に限定することは、表示色温度の改善に有利であることが容易に見られる。
【0080】
本実施例において、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率が低下するにつれて、表示パネル100の順方向改善が大きくなり、前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率は、0.8%以上であり、0.8%~1.0%であることが好ましく、前記正孔輸送層320における電子吸引基を有する前記正孔型ドーパントの質量比率を紫外光の消光吸収効果が強化される範囲に限定する。
【0081】
本実施例において、赤色発光ユニットは、前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率に敏感であることが見られ、前記正孔輸送層320は、第1発光ユニット301に対応する青色正孔輸送ユニットpと、第2発光ユニット302に対応する赤色正孔輸送ユニットmと、前記第3発光ユニット303に対応する緑色正孔輸送ユニットnと、を含む。具体的には図3を参照し、前記赤色正孔輸送ユニットmにおける電子吸引基を含む前記正孔型ドーパントの含有量は、前記青色正孔輸送ユニットpにおける電子吸引基を含む前記正孔型ドーパントの含有量よりも小さく、前記青色正孔輸送ユニットpにおける電子吸引基を含む前記正孔型ドーパントの含有量は、前記緑色正孔輸送ユニットnにおける電子吸引基を含む前記正孔型ドーパントの含有量よりも小さく、発光品質及び発光効率が保証されるだけではなく、表示パネル100の色温度が順方向に改善される。
【0082】
本実施例において、前記第1光抽出ユニットzに紫外光吸収材料を添加し、前記薄膜封止層400におけるいずれかの無機膜層の屈折率を向上させ、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率を低下させるように上記三つのグループの単一変数実験を組み合わせ、前記第1発光ユニット301に紫外光吸収材料を添加しておらず、前記薄膜封止層400の平均屈折率が1.76であり、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率が1.5%である場合よりも、表示色温度の改善に有利であり、具体的な特性評価結果は、次のとおりである。
【0083】
本実施例において、前記第1発光ユニット301に紫外光吸収材料が添加しておらず、前記薄膜封止層400の屈折率が1.76であり、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率が1.5%である第7条件実験を行う。
【0084】
本実施例において、図10図11に示すように、一回の完全な光照射実験を経た後、実験前と比較して、Rの輝度は、100.8%に上昇し、Gの輝度は、99.8%に低下し、Bの輝度は、91.9%に低下し、実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-653.66Kである。
【0085】
前記第1光抽出ユニットzにおける紫外光吸収材料の質量比率を調整することにより、波長が390nmである光線に対する消光係数が0.9mol-1cm-1であり、波長が400nmである光線に対する消光係数が0.6mol-1cm-1である前記第1光抽出ユニットzに前記紫外光吸収材料を添加し、前記薄膜封止層400の屈折率が1.81であり、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率が1.0%である第8条件実験を行う。
【0086】
本実施例において、図10図11に示すように、一回の完全な光照射実験を経た後、実験前と比較して、Rの輝度は、104.5%に上昇し、Gの輝度は、101.8%に上昇し、Bの輝度は、98.4%に低下し、実験前と比較して、表示パネル100全体の色温度変化量は、-361.65Kであり、第7条件実験と比較して、+292.01K順方向に改善することができるため、第1光抽出ユニットzに紫外光吸収材料を添加し、前記薄膜封止層400におけるいずれかの無機膜層の屈折率を向上させ、電子吸引基を有する前記正孔輸送層320における前記正孔型ドーパントの質量比率を低下させる組み合わせ実験は、表示色温度の改善に有利であることが容易に見られ、かつ、表示パネル100全体の色温度変化量は、±400Kを超えず、優れた基準に達する。
【0087】
本発明の実施例によれば、第1発光ユニットと薄膜封止層との間に紫外光吸収材料を含む第1光抽出ユニットを設けることにより、太陽光又は紫外光が表示パネルに照射される際に、第1光抽出ユニットは、紫外光を吸収又は消光する役割を果たし、第1発光ユニットにおける発光材料に対する紫外光の破壊による表示パネルの色温度の低下を解消し、表示パネルの表示効果を向上させることができる。
【0088】
図13を参照して、本発明の実施例によれば、上記いずれかの表示パネル100と、前記表示パネル100と一体的に組み付けられる端末本体20とを含む移動端末10がさらに提供される。
【0089】
前記表示パネル100の具体的な構造については、上記表示パネル100のいずれかの実施例及び図1図12を参照し、ここでは説明を省略する。
【0090】
本実施例において、前記端末本体20は、中フレーム、フレーム接着剤などを含んでもよく、前記移動端末10は、携帯電話、タブレットなどの移動表示端末であってもよく、ここでは限定されない。
【0091】
本発明の実施例では、発光機能層と薄膜封止層とを含み表示パネル及び移動端末が開示され、当該発光機能層は、複数の第1発光ユニットと、当該第1発光ユニットと当該薄膜封止層との間に位置する複数の第1光抽出ユニットとを含み、紫外光に対する当該第1光抽出ユニットの消光係数は、紫外光に対する当該薄膜封止層の消光係数よりも大きい。本発明の実施例によれば、第1発光ユニットと薄膜封止層との間に紫外光吸収材料を含む第1光抽出ユニットを設けることにより、太陽光又は紫外光が表示パネルに照射される際に、第1光抽出ユニットは、紫外光を吸収又は消光する役割を果たし、第1発光ユニットにおける発光材料に対する紫外光の破壊による表示パネルの色温度の低下を解消し、表示パネルの表示効果を向上させることができる。
【0092】
なお、当業者にとっては、本願の技術的手段及びその発明の考え方に基づいて同等に置換又は変更することができ、これらすべての変更又は置換は、いずれも本願に添付される特許請求の範囲の保護範囲に属すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13