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特許7524310タッチ感応式スクリーンシステムを備えたエレベータ操作デバイスの操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-19
(45)【発行日】2024-07-29
(54)【発明の名称】タッチ感応式スクリーンシステムを備えたエレベータ操作デバイスの操作方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/50 20060101AFI20240722BHJP
【FI】
B66B1/50 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022513168
(86)(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2020073520
(87)【国際公開番号】W WO2021037736
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】19194150.9
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390040729
【氏名又は名称】インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッカーマン,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】ヘフリガー,ニコラス
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/111407(WO,A1)
【文献】特開平01-022781(JP,A)
【文献】特開平09-142749(JP,A)
【文献】特開2013-056732(JP,A)
【文献】特開2012-056720(JP,A)
【文献】特開2008-033739(JP,A)
【文献】国際公開第2016/014313(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第106660739(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータかご(10)と、エレベータ制御部(13)とを備えるエレベータ設備(1)のエレベータ操作デバイス(6)を操作するための方法であって、エレベータ操作デバイス(6)が、エレベータ制御部(13)に通信可能に接続され、行先呼出しを入力するためにフロア(L1、L2)に配置されており、エレベータ操作デバイス(6)が、タッチ感応式スクリーンシステム(68)を有し、タッチ感応式スクリーンシステム(68)は、実質的に平滑なタッチ面(35)を装備し、複数の呼出し記号(23)を有するグラフィカルユーザインターフェース(34)を表示し、乗客(M)がタッチ面(35)に接触すると触覚的に知覚可能なフィードバックで応答するように構成されており、本方法が、
行先呼出しを入力する際に乗客(M)が行うエレベータ操作デバイス(6)のタッチ面(35)との接触を検出することであって、接触が、グラフィカルユーザインターフェース(34)に表示された第1の呼出し記号(23)に乗客(M)がタッチすることを含み、第1の呼出し記号(23)には第1の文字が割り当てられている、ことと、
第1の文字を示す音声メッセージと、触覚的に知覚可能なフィードバックとを生成することと、
乗客(M)の行先呼出し入力に割り当てられた第1の入力として、第1の文字を登録することであって、第1の文字が、タッチング中の乗客(M)による確認動作に応答して登録される、ことと、
乗客(M)の行先呼出し入力に割り当てられたさらなる入力として、少なくとも1つのさらなる文字を登録することであって、少なくとも1つのさらなる文字が、タッチング中の乗客(M)によるさらなる確認動作に応答して登録され、少なくとも1つのさらなる文字が、第1の呼出し記号(23)又はさらなる呼出し記号(23)用に記憶される、ことと、
タッチが中断された際に、登録された文字によって規定される行先フロア(L1、L2)を示す行先呼出しを生成することと
を含む、方法。
【請求項2】
タッチ面(35)がタッチされていることの検出が、乗客(M)がタッチ面(35)にタッチする圧力(P1)を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
乗客(M)によるタッチ面(35)上の上昇した圧力が、確認動作として規定され、第1の文字の登録が、圧力(P1)に対して規定された圧力閾値(P0)に達したことを検出することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
規定の時間間隔内のタッチ面(35)の繰り返されるタッピングが、確認動作として規定されており、タッピングは、タッチが検出されている間に検出され、タッピングは、タッチの位置から離隔している位置で検出される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなる文字の登録が、第1の文字を第1の入力として登録した直後に、ゼロよりは高いが、規定の圧力閾値(P0)よりも低い値までの圧力(P1)の降下を検出することを含み、圧力降下は、タッチ面(35)との継続した接触を示す、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
継続したタッチングは、第1の呼出し記号(23)又はさらなる呼出し記号(23)のタッチングを含み、さらなる呼出し記号(23)がタッチされると、さらなる文字を示す音声メッセージと、触覚的に知覚可能なフィードバックとが生成され、タッチされたさらなる呼出し記号(23)用のさらなる文字が記憶される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらなる文字の登録が、圧力(P1)に対して規定された圧力閾値(P0)に達したことを検出することであって、タッチされた第1の又はさらなる呼出し記号(23)用に記憶された文字が、入力として登録される、ことを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
エレベータ設備(1)において行先呼出しを入力するためのエレベータ操作デバイス(6)であって、
エレベータ設備(1)のエレベータ制御部(13)と通信するように構成された通信デバイス(53)、
通信デバイス(53)に通信可能に接続された中央制御及び処理デバイス(43)、
中央制御及び処理デバイス(43)に通信可能に接続され、音声メッセージを生成するように構成された音声デバイス(52)、
タッチ感応式スクリーンシステム(68)
を備え、
タッチ感応式スクリーンシステム(68)は、実質的に平滑なタッチ面(35)を装備し、中央制御及び処理デバイス(43)に通信可能に接続され、複数の呼出し記号(23)を有するグラフィカルユーザインターフェース(34)を表示し、乗客(M)がタッチ面(35)にタッチした際に、触覚的に知覚可能なフィードバックで応答するように構成され、
スクリーンシステム(68)が、
-行先呼出しを入力する際に乗客(M)が行うタッチ面(35)との接触を検出し、接触が、乗客(M)がグラフィカルユーザインターフェース(34)に表示された第1の呼出し記号(23)にタッチすることを含み、第1の呼出し記号(23)が第1の文字に割り当てられており、
-触覚的に知覚可能なフィードバックを生成する
ように構成されており、
音声デバイス(52)が、タッチされた第1の呼出し記号(23)の第1の文字を示す音声メッセージを生成するように構成されており、
中央制御及び処理デバイス(43)が、
-乗客(M)の行先呼出し入力に割り当てられた第1の入力として、第1の文字を登録し、第1の文字が、タッチング中の乗客(M)による確認動作に応答して登録され、
-乗客(M)の行先呼出し入力に割り当てられたさらなる入力として、少なくとも1つのさらなる文字を登録し、少なくとも1つのさらなる文字が、タッチング中の乗客(M)によるさらなる確認動作に応答して登録され、少なくとも1つのさらなる文字が、第1の呼出し記号(23)又はさらなる呼出し記号(23)用に記憶され、および、
-タッチが中断された際に、登録された文字によって規定される行先フロア(L1、L2)を指定する行先呼出しを生成し、前記呼出しをエレベータ制御部(13)に送信して、そこで登録されるように構成されている、
エレベータ操作デバイス(6)。
【請求項9】
スクリーンシステム(68)が、制御電圧によって作動されると、スクリーンシステム(68)の表面を振動させるアクチュエータ(62)を備え、振動が、触覚的に知覚可能なフィードバックを表し、スクリーンシステム(68)が、力測定デバイス(60)と、制御デバイス(58)とを備え、力測定デバイス(60)が、乗客(M)がスクリーンシステム(68)のタッチ面(35)にタッチする圧力(P1)を測定するように構成され、制御デバイス(58)が、測定された圧力(P1)が規定の圧力閾値(P0)に達した場合にのみ、測定された圧力(P1)をトリガリング圧力として登録するように構成されている、請求項8に記載のエレベータ操作デバイス(6)。
【請求項10】
指定された時間間隔内のタッチ面(35)の繰り返されるタッピングが、確認動作として規定されており、タッピングが、タッチが検出されている間に、タッチの位置から離隔している位置で発生し、
中央制御及び処理デバイス(43)が、検出された接触に加えて、規定の時間間隔内の圧力変化を検出するように構成されている、
請求項9に記載のエレベータ操作デバイス(6)。
【請求項11】
乗客(M)によるタッチ面(35)上の上昇した圧力が、確認動作として規定され、中央制御及び処理デバイス(43)が、規定の圧力閾値(P0)に達したことを検出したときに、第1の文字を登録するように構成されている、請求項9に記載のエレベータ操作デバイス(6)。
【請求項12】
第1の文字を第1の入力として登録した直後の、ゼロよりは高いが、規定の圧力閾値(P0)よりも低い値までの圧力(P1)降下の場合に、タッチ面(35)との継続した接触を、中央制御及び処理デバイス(43)が検出するように構成されている、請求項11に記載のエレベータ操作デバイス(6)。
【請求項13】
継続したタッチングが、第1の呼出し記号(23)又はさらなる呼出し記号(23)のタッチングを含み、さらなる呼出し記号(23)をタッチすることが、さらなる文字を示す音声メッセージと、触覚的に知覚可能なフィードバックとを引き起こし、タッチされたさらなる呼出し記号(23)用のさらなる文字が記憶される、請求項12に記載のエレベータ操作デバイス(6)。
【請求項14】
さらなる文字の登録が、圧力(P1)に対して規定された圧力閾値(P0)に達したことを検出することであって、タッチされた第1の又はさらなる呼出し記号(23)用に記憶された文字が、入力として登録される、ことを含む、請求項13に記載のエレベータ操作デバイス(6)。
【請求項15】
請求項8から14のいずれか一項に記載のエレベータ操作デバイス(6)を備えるエレベータ設備(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、概してエレベータ設備に関する。本技術の実施形態は、より詳細には、タッチ感応式スクリーンシステムを有するエレベータ操作デバイスが各フロアに配置されているエレベータ設備、そのようなエレベータ設備のエレベータ操作デバイス、及びそのようなエレベータ操作デバイスを制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のエレベータ設備には、例えば、上下方向制御部又は行先呼出し制御部が装備され得る。エレベータ設備で使用される制御技術に応じて、種々のタイプのエレベータ操作デバイスが使用されている。フロアに配置され、上下方向制御部を有するエレベータ設備のエレベータ操作デバイスは、例えば、上方向走行用ボタンと、下方向走行用ボタンとを有する。これらのボタンのいずれかを押圧することにより、そのフロアにいる乗客は所望の走行方向を入力することができる。このようなエレベータ設備では、エレベータかごは、例えば行先フロアに割り当てられたボタンを押圧することによって乗客が所望の行先フロアを入力するためのかご端末を有する。フロアに配置され、行先呼出し制御部を有するエレベータ設備のエレベータ操作デバイスは、例えば、タッチ感応式スクリーン上に複数の押しボタン又はフィールドを有する。行先フロアに対しては、押しボタン又はフィールドが割り当てられ得る。これらのボタンのうちの1つを押圧するか、又はこれにタッチすることによって、当該フロアにいる乗客は所望の走行方向を入力することができる。その場合、通常、エレベータかご内での呼出し入力を行うことは、これ以上できなくなる。
【0003】
走行方向又は行先フロアを入力は、乗客に通常、光学的および/又は音響的に確認される。これを目的として、エレベータ操作デバイスは、照明デバイスと、例えばブザー、即ち可聴ブザー音又はビープ音を発生させることができる、電気的に駆動される音響信号発生器とを有する。照明デバイスは、例えばボタンごとに、押圧されたボタンに点灯したり、異なる照明効果を用いてそのボタンを強調表示したりする光源を有する。これらの機能は、例えば、欧州特許第1633669B1号明細書に記載のエレベータ操作デバイスに備えられている。欧州特許第1633669B1号明細書に記載されているエレベータ操作デバイスでは、これに加えて、触覚によって知覚され得、例えば視覚障害のある乗客にも知覚され得る(触覚)フィードバックによって、ボタンが押圧されたことを確認している。
【0004】
既知のエレベータ設備では、そのようなエレベータ操作デバイスは、触覚フィードバックによるものを含め、エレベータ呼出しが種々の方法で入力され、その呼出し入力を確認することができるが、その建物に応じて、エレベータ操作デバイスに追加要件が設けられている場合がある。とりわけ、その高さに対応して多数のフロアを有する高層建物では、設計(例えば、寸法及び形状)、ユーザフレンドリ性(特に身体障害のある乗客、例えば視覚障害のある乗客を考慮して)、及び/又はメンテナンスの容易さに関する要件が設けられている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】欧州特許第1633669号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、これらの要件のうちの1つ以上を満たす技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の技術の一態様は、エレベータかごと、エレベータ制御部とを有するエレベータ設備のエレベータ操作デバイスを操作するための方法に関する。本エレベータ操作デバイスは、エレベータ制御部に通信可能に接続され、行先呼出しの入力のために各フロアに配置されている。エレベータ操作デバイスは、タッチ感応式スクリーンシステムを有し、タッチ感応式スクリーンシステムは、実質的に平滑なタッチ面を装備し、複数の呼出し記号を有するグラフィカルユーザインターフェースを表示し、乗客がタッチ面にタッチすると触覚的に知覚可能なフィードバックで応答するように構成された、。本方法では、行先呼出しを入力する際に乗客が行うエレベータ操作デバイスのタッチ面との接触が検出される。この接触は、グラフィカルユーザインターフェースに表示された第1の呼出し記号に乗客がタッチすることを含み、この第1の呼出し記号は第1の文字に割り当てられている。本方法では、第1の文字を示す音声メッセージと、触覚的に知覚可能なフィードバックとが生成される。第1の文字は、乗客の行先呼出し入力に割り当てられた第1の入力として登録され、タッチング中の乗客による確認動作に応答して登録される。本方法では、乗客の行先呼出し入力に割り当てられたさらなる入力として、少なくとも1つのさらなる文字が登録され、この少なくとも1つのさらなる文字は、タッチング中の乗客によるさらなる確認動作に応答して登録され、この少なくとも1つのさらなる文字は、第1の呼出し記号又はさらなる呼出し記号用に記憶される。本方法では、タッチが中断された際に、これらの登録された文字によって規定される行先フロアを示す行先呼出しが生成される。
【0008】
本技術の別の態様は、そのようなエレベータ設備において行先呼出しを入力するためのエレベータ操作デバイスに関する。本エレベータ操作デバイスは、エレベータ設備のエレベータ制御部と通信するように構成された通信デバイスと、通信デバイスに通信可能に接続された中央制御及び処理デバイスと、中央制御及び処理デバイスに通信可能に接続され、音声メッセージを生成するように構成された音声デバイスと、実質的に平滑なタッチ面を装備し、中央制御及び処理デバイスに通信可能に接続されたタッチ感応式スクリーンシステムとを有する。本スクリーンシステムは、複数の呼出し記号を有するグラフィカルユーザインターフェースを表示し、乗客によるタッチ面へのタッチに対して触覚的に知覚可能なフィードバックで応答するように構成されている。本スクリーンシステムはまた、行先呼出しを入力する際に乗客が行うタッチ面との接触を検出するように構成され、この接触は、乗客がグラフィカルユーザインターフェースに表示された第1の呼出し記号にタッチすることを含み、この第1の呼出し記号は第1の文字に割り当てられている。本スクリーンシステムはまた、触覚的に知覚可能なフィードバックを生成するように構成されている。音声デバイスは、タッチされた第1の呼出し記号の第1の文字を示す音声メッセージを生成するように構成されている。中央制御及び処理デバイスは、乗客の行先呼出し入力に割り当てられた第1の入力として、第1の文字を登録し、この第1の文字は、タッチング中の乗客による確認動作に応答して登録され、また、乗客の行先呼出し入力に割り当てられたさらなる入力として、少なくとも1つのさらなる文字を登録するように構成される。少なくとも1つのさらなる文字は、タッチング中の乗客によるさらなる確認動作に応答して登録され、この少なくとも1つのさらなる文字は、第1の呼出し記号又はさらなる呼出し記号用に記憶される。中央制御及び処理デバイスはまた、タッチが中断された際に、登録された文字によって規定される行先フロアを指定する行先呼出しを生成し、前記呼出しをエレベータ制御部に送信して、そこで登録されるように構成されている。
【0009】
本技術の別の態様は、本明細書に記載の技術によるエレベータ操作デバイスを有する、エレベータ設備に関する。このようなエレベータ操作デバイスは、建物内の各フロアに設けられ得る。本技術の別の態様は、そのようなエレベータ設備を操作するための方法に関する。
【0010】
本明細書に記載の技術は、フロアに配置されたエレベータ操作デバイスが、そのタッチ感応式スクリーンシステムのタッチ面が実質的に平滑であるにもかかわらず、身体障害のある乗客によっても身体障害のない乗客によっても、快適かつ信頼性をもって操作され得るエレベータ設備を提供する。いくつかの呼出し記号がユーザインターフェース上に視覚的に表示され、そのうちの1つは、この呼出し記号用に記憶された文字を入力するために、タッチされる必要がある。視覚障害のある乗客は、そこで表示された呼出し記号を識別することができず、あるいは極めて不明瞭にしか識別することができず、その上平滑な表面上では前記記号を感じ取ることもできないので、本エレベータ操作デバイスは、本明細書に記載の技術による呼出し入力をサポートしている。
【0011】
エレベータ設備では、行先フロアを入力するために、いくつかの呼出し記号にタッチする必要があり得る。例えば、2桁の行先フロア(例えば、10、23、55、又は-1、-2など)では、乗客は、行先フロアに属する2つの呼出し記号に比較的素早く、次々とタッチする必要があり得る。これは、身体障害のある乗客、とりわけ盲目の乗客にとっては困難となり得る。ここに記載している技術は、とりわけ複数桁の行先フロアを入力する際に、その乗客をサポートするものである。以下に記載している実施形態では、行先フロアは2桁であるため、それに応じて、2つの文字、例えば、左から右への1桁目を入力し、次いで行先フロアの2桁目を入力する必要がある。ただし、ここに記載している技術は、2桁の行先フロアと共に使用される形態に限定されるものではない。
【0012】
ここに記載している技術によれば、第1のステップで、乗客は所望の呼出し記号に指でタッチし、これを確認することにより、行先フロアの1文字目又は1桁目を入力する。乗客は、音声デバイスによって生成される音声メッセージ及び触覚的に知覚可能なフィードバックによってサポートされる。この第1の入力の後、乗客はタッチ面上に指を残したままになるため、結果的に本エレベータ操作デバイスは、当該乗客に視覚障害があると認識することになる。乗客はタッチ面から指を離すことなく、次いで第2のステップで、行先フロアの2文字目又は2桁目の呼出し記号を探し出す。乗客は、音声デバイスによって生成される音声メッセージ及び触覚的に知覚可能なフィードバックによってサポートもされる。指が所望の呼出し記号にタッチすると、乗客はこれを確認して、行先フロアの2文字目又は2桁目を入力する。第1のステップ及び第2のステップにおいて指がいくつかの呼出し記号上を移動する場合、関連する音声メッセージ及び触覚的に知覚可能なフィードバックが、各呼出し記号に対して生成される。指がタッチ面にタッチしている限り、行先呼出しは発生しないため、この行先呼出しは、乗客が指を離した際にのみ生成され、入力が完了したことを示す。
【0013】
こうした設計にもかかわらず、身体障害のない乗客も本エレベータ操作デバイスを使用することができる。そのような乗客であれば、すべての呼出し記号を認識し、所望の呼出し記号にタッチ/押圧して、そのために記憶された文字を入力することができる。次いで、乗客は指を離して入力を終了するか、又は別の入力を行う。ただし、さらなる入力の場合は規定の時間間隔内に行われて、さらなる入力であると認識される必要がある。第2の入力が規定の時間間隔が経過した後にのみ行われる場合、一実施形態では、第1の入力に基づいて行先呼出しが発生してもよい。あるいは、第1の入力が破棄される場合もあり、乗客が別の入力を行うように要求され得る。したがって、本明細書に記載の技術によるエレベータ操作ユニットを、ほとんどの乗客が使用することができる。
【0014】
一実施形態では、ユーザインターフェース上に表示される呼出し記号は、押しボタン又は押しボタン用の記号を示す。図示の押しボタンは、例えば、既知の電気機械式押しボタン(例えば、円形形状又は長方形形状の)をモデルにし得る。表示される呼出し記号は、均一な形状及びサイズで示され得るが、これらの呼出し記号の1つ以上が他の呼出し記号とは異なるように示すことも可能である。呼出し記号は、着色された(単一色又は多色に)照明効果をさらに含み得る。照明効果を用いて、文字の入力を確認することもできる。上述の例は、本明細書に記載の技術により、呼出し記号の描写に関して高い柔軟性が得られることを示している。また、身体障害のない乗客であっても、本エレベータ操作デバイスを直感的に操作することができる。
【0015】
一実施形態では、本スクリーンシステムは、乗客が少なくとも1つの呼出し記号にタッチすると、触覚的に知覚可能なフィードバックで応答し、そのタッチが規定の押圧力に達すると、文字の入力を識別するように構成されている。これにより、例えば、意図しないものか、又は偶発的なものも含むタッチのすべてが、呼出し入力をもたらすようにはならないことが保証され、むしろこれにより、乗客が呼出し記号を十分強く押圧した場合にのみ、呼出し入力がもたらされる。
【0016】
音声メッセージに関して、本スクリーンシステムは、一実施形態では、軽いタッチ(即ち、低押圧力でのタッチ)に対して音声メッセージで応答する。乗客がタッチしたタッチ面の位置に呼出し記号がある場合、音声メッセージは、この呼出し記号に割り当てられた情報を乗客に伝達する。当該位置に呼出し記号又は情報フィールドがない場合、一実施形態では音声メッセージはない。音声メッセージが乗客の要求(例えば、1桁のフロア又は複数桁のフロアの入力)に対応する場合、乗客は、対応する位置又は対応する呼出し記号をより強く押圧することにより、その文字を入力することができる。これにより、身体障害のある乗客が本システムを操作する際にもサポートされる。加えて、このような2段階手順により、実際に行われた入力のみが登録される確率が高まる。
【0017】
一実施形態では、タッチ感応式スクリーンシステムは、制御電圧で作動されると、本スクリーンシステムの表面を振動させるアクチュエータを備え、この振動は、触覚的に知覚可能なフィードバックである。この振動のタイプ及び強度は、ここで柔軟に規定され得る。タッチ感応式スクリーンシステムは、力測定デバイスと、制御デバイスとをさらに備える。力測定デバイスは、乗客が本スクリーンシステムのユーザインターフェースを押圧する力を測定するように構成され、制御デバイスは、ここで測定された力が規定の閾値に達した場合にのみ、この測定された力をトリガリング力として登録するように構成されている。既に述べたように、乗客がより強く押圧することによって彼らの走行要求を示す必要があるため、この測定により、意図しないタッチによって発生する入力エラーが低減され得る。
【0018】
本明細書に記載の技術を使用すると、前記確認動作のタイプに関して柔軟性が得られる。一実施形態では、乗客がタッチ面を押圧する際に圧力が上昇した場合は、確認動作として規定される。圧力が上昇するにつれて、力測定デバイスによって測定される力は増加する。第1の文字を登録することは、圧力に対して設定された圧力閾値に達したことを検出すること、即ち、トリガリング力まで達したときに、文字が登録されることを含む。別の実施形態では、規定の時間間隔内にタッチ面を数回タップすることが、確認動作として規定されている。このタッピングは、タッチ(それ以前に続いて継続する)が検出されている間に検出される。このタッピングは、タッチの位置から離隔している位置で検出される。
【0019】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる文字を登録することは、ゼロよりは高いが、規定の圧力閾値よりも低い値までの圧力の降下を検出することを含む。この圧力降下は、第1の文字が第1の入力として登録された直後に認識されるため、この圧力降下は、タッチ面が依然としてタッチされていることを示す。
【0020】
タッチの継続は、第1の呼出し記号又はさらなる呼出し記号がタッチされていることを含み、これは即ち、乗客が第1の呼出し記号に指を残したままにしているか、又はタッチ面上の指をさらなる呼出し記号へと動かしていることを示す。さらなる呼出し記号がタッチされると、さらなる文字を示す音声メッセージと、触覚的に知覚可能なフィードバックとが生成される。一実施形態では、圧力に対して規定された圧力閾値に達したことが検出されると、そのさらなる文字が登録され、タッチされた第1の又はさらなる呼出し記号用に記憶された文字が、入力として登録される。
【0021】
一実施形態では、情報フィールドは、指定されたフロアに関する情報、例えば、どのサービス提供者がそのフロアに所在しているかを表示する。本エレベータ操作デバイスは、乗客が情報フィールドにタッチすると、触覚的に知覚可能なフィードバックと、情報フィールドに割り当てられた音声メッセージとを生成するように構成されている。音声メッセージは、例えば、サービス提供者の名称及びフロアを示すことができる。乗客が当該フロアまで移動したいと望む場合、その情報フィールドを押圧する。この押圧力が規定の閾値と等しい場合、本エレベータ操作デバイスは、指定されたフロアへの走行要求を登録する。このため、本エレベータ操作端末は、建物固有の要件に柔軟に構成され得る。さらに、乗客は、例えばエレベータ設備の計画的メンテナンスに関して適宜、最新状態として、より詳細に通知され得るが、また一方で、どのサービス提供者(例えば、医師、歯科医師、弁護士など)がある特定のフロアに所在しているかについても示され得る。
【0022】
本明細書に記載の技術により、ほとんどの乗客が快適かつ信頼性をもって使用できるエレベータ設備及び関連するエレベータ操作デバイスが実現するだけでなく、安全面をも考慮に入れることができるようになる。一実施形態では、エレベータ操作デバイスは、エレベータ制御部に通信可能に接続された、乗客のためのリーダーを有する。この認証情報のタイプは、例えば、建物内の諸状況に適合され得、一例として前記認証情報は、物理キー、手動入力パスワード(例えば、PINコード)、生体認証特徴(例えば、指紋、虹彩パターン、顔特徴、発声/音声特徴)あるいは磁気カード、ICカード、若しくはRFIDカードからか、又は携帯電子機器(NFCベース、Bluetoothベース、又はセルラーネットワークベースの)からキャプチャされるアクセスコードの形式となるように選択され得る。例えば、身体障害のある乗客の場合、携帯電子機器で、認証情報をリーダーに無線で送信することができる。当該認証情報が有効である場合、本エレベータ操作デバイスはエレベータ呼出しの入力を承認する。このことは、許可された乗客のみがエレベータを呼び出すことができ、その結果、エレベータへのアクセス、ひいてはフロアへのアクセスも同様に制御され得ることを意味する。
【0023】
本明細書に記載の技術に従って使用されるタッチ感応式スクリーンシステムは、タッチスクリーンを備える。タッチスクリーンは、用途及び要件に応じて、種々のサイズ又は寸法で作製され得る。したがって、本スクリーンシステムのサイズは、その建物の要件に従って選択されるようにすることもでき、例えば、呼出し記号のみを通常操作モードで表示させることが意図されている場合には、比較的小型のスクリーンシステムが選択され得る。1つ以上の情報フィールドがさらに表示されるように意図されている場合、それに応じて本スクリーンシステムのサイズも選択されるようにすることができる。
【0024】
サイズの面でこうした柔軟性が得られることに加えて、タッチスクリーンは、平滑な表面を有するという利点ももたらしている。汚れは、例えば、隆起並びに/又は溝及び隙間を有する1つ以上のボタンを有する構成から除去するよりも容易に、平滑な表面から除去され得る。これにより、メンテナンス費用が削減される。
【0025】
また、本明細書に記載の技術により、例えば乗客側のエレベータ操作デバイスの形状に関しても、設計に自由度が生じるようになる。それらの筐体は、乗客の側から見ると長方形となり得るが、例えば本タッチスクリーンが垂直(壁)と平行に、又はそれに対して傾斜して(使いやすさ(視認性)のために)配置されるようにすることもできる。とりわけ、現代的又は近代的な外観が望まれる建物では、タッチスクリーンを装備する本エレベータ操作デバイスは、この目的を達成するのに役立つ可能性がある。
【0026】
改善された技術の種々の態様は、図面と併せて実施形態を参照しながら、以下でより詳細に説明される。各図において、同一の要素には同一の参照符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】複数のフロアを有する建物内の状況の一例と、エレベータ設備の一例とを示す概略図である。
図2図1によるエレベータ設備に配置され、フロア上にあるエレベータ操作デバイスのユーザインターフェースの一例を示す概略図である。
図3】本エレベータ操作デバイス及び本エレベータ操作デバイスの構成要素の例の概略図である。
図4】エレベータ操作デバイスを操作するための方法の第1の実施形態の一例である。
図5】エレベータ操作デバイスを操作するための方法の第2の実施形態の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、エレベータ設備1によってサーブされる複数のフロアL1、L2を有する、建物2内の状況の一例を示す概略図である。フロアL1は、乗客Pが建物2をアクセスする際に入館し、乗客が再度建物2を後にする際にこれから退出する、建物2のエントランスホールとすることができる。乗客MがフロアL1に入館すると、そこからエレベータ設備1によってサーブされる建物2の各フロアL2まで、適切なアクセス認証を用いて到達することができる。例示を目的として、エレベータ設備1のうち、エレベータ制御部13、駆動機械14、懸架手段16(例えば、鋼鉄製ケーブル又は平ベルト)、懸架手段16に懸架され、シャフト18内で移動可能なエレベータかご10(以下、かご10とも称される)、及び通信ネットワーク22によってエレベータ制御部13に通信可能に接続された、いくつかのエレベータ操作デバイス6のみが図1に示されている。当業者であれば、エレベータ設備1が、グループ制御部によって制御される複数のかご10を、1つ以上のシャフト18内にさらに備え得ることを認識するであろう。エレベータ設備1は、牽引式エレベータ(図1に示す)の代わりに、1つ以上の油圧式エレベータを有することもできる。
【0029】
本明細書に記載のエレベータ設備1の実施形態では、フロアL1、L2のうちの一方にいる乗客Mは、そこに配置されたエレベータ操作デバイス6で走行要求を入力し、これにより、エレベータ呼出しが登録される。乗客Mが位置しており、そこから行先フロアまで搬送されることを乗客Mが望むフロアL1、L2は、以下では乗車フロアとも称される。本明細書の他の箇所でより詳細に説明しているように、乗客Mは、エレベータ操作デバイス6上の1つ以上の呼出し記号23にタッチして、呼出しを入力することができ、その際、エレベータ操作デバイス6へのエレベータ呼出しの登録が乗客Mに確認される。本明細書に記載の実施形態では、乗客Mは、1つ以上の呼出し記号23を介して、エレベータ操作デバイス6上に所望の行先フロアを入力する。この呼出し入力により、エレベータ操作デバイス6の位置によって示される乗車フロアと、行先フロアとを指定する行先呼出しがもたらされる。
【0030】
エレベータ制御部13は、このような行先呼出しを処理するように構成され、また、乗車フロアで乗車できるようにエレベータかご10を利用可能にするが、これは即ち、エレベータかご10が乗車フロアにない場合、エレベータかご10がその乗車フロアに移動し、次いでそのエレベータ扉が開き、そうでない場合は、既にその乗車フロアにあるエレベータかご10のエレベータ扉が単に開くということを意味する。このような行先呼出し制御部を有するエレベータ設備1では、エレベータかご10内にいる乗客Mは通常、その中に配置されたかご内デバイス4で行先フロアを入力することができないため、かご内デバイス4は、例えば、行先フロアを表示し、緊急通報を行い、扉の閉鎖を開始するか、又は遅延させる役割のみを果たす。かご内デバイス4は、通信回線20によってエレベータ制御部13に接続されている。
【0031】
図1に示す実施形態によれば、エレベータ制御部13は、制御システム8及び行先呼出し制御システム12の2つのサブシステムを備え得る。制御システム8は、エレベータかご10の移動を制御している一方、行先呼出し制御システム12は、行先呼出しをサーブするエレベータかご10を決定する。ただし、例示を目的として、図1には1台のエレベータかご10又はエレベータのみを示している。当業者であれば、エレベータ設備1が複数のエレベータかご10又は複数のエレベータを備え得ることを認識するであろう。行先呼出し制御システム12は、例えば、どのエレベータが利用可能であるか、及び/又はどのエレベータが乗車フロアに最も近接しているかを確認することで、最も「効率の良い」エレベータを行先呼出しに割り振る。この手順は、とりわけ行先呼出し制御部に提供されるアルゴリズムと共に当業者には知られているため、この点に関して別途説明を行う必要はないと思われる。制御システム8は、中でも、ここで割り振られたエレベータかご10が乗客Mと共に乗車フロアから行先フロアまで移動するように、駆動機械14を作動する。当業者であれば、複数のエレベータを備える一実施形態では、エレベータがそれぞれ制御システム8を有することを認識するであろう。
【0032】
図1に示す実施形態によれば、各フロアL1、L2にエレベータ操作デバイス6が配置され、エレベータ操作デバイスはそれぞれ、通信ネットワーク22を介してエレベータ制御部13に通信可能に接続されている。一実施形態では、エレベータ操作デバイス6はそれぞれ、例えばフロア側エレベータ扉(エレベータシャフトの扉)へのアクセスエリア内にある建物の壁上に、又はその中に完全に、若しくはその中に部分的に配置される筐体を有する。一実施形態では、エレベータ操作デバイス6には、例えばパワーオーバーイーサネット(Power over Ethernet:PoE)として知られる技術によって、通信ネットワーク22を介して電気エネルギーが供給されている。
【0033】
図2は、図1によるエレベータ設備1に配置され、フロアL1、L2上にあるエレベータ操作デバイス6の一例を示す概略図である。エレベータ操作デバイス6は、タッチ感応式スクリーンシステム26を備え、タッチ感応式スクリーンシステム26は、乗客Mに対してユーザインターフェース34を視覚的に表示する、タッチ感応式(センサ)スクリーン(以下、タッチスクリーンとも称される)を含む。ユーザインターフェース34は、グラフィカルユーザインターフェース(graphic user interface:GUI)であり、これにより、乗客Mとエレベータ設備1との間の通信が可能になる。乗客Mは、例えば、表示された図形記号又は制御要素にタッチすることによりこれを選択することができ、例えば乗客Mは、表示されている1つの呼出し記号23又は複数の呼出し記号23にタッチして、所望の行先フロアを入力することができる。乗客Mが所望の呼出し記号23にタッチすると、エレベータ設備1又はエレベータ操作デバイス6は、このタッチを乗客Mに確認する。
【0034】
図2に示す実施形態では、ユーザインターフェース34は、テンキーパッドの形態で配置された情報フィールド24及び呼出し記号23を表示し、呼出し記号23の一部は、例示のために1から9まで番号付けされている。呼出し記号23は一例として長方形であるが、例えば円形又は楕円形など、異なる形状とすることもできる。例えば、乗客Mが番号「3」をもつ呼出し記号23にタッチすると、行先呼出し、即ち乗車フロアから3階までの走行要求が開始される。エレベータ制御部13は、エレベータかご10を、この行先呼出しに割り振り、次いでそれは、情報フィールド24に表示され得る。
【0035】
その高さに対応して多数のフロアを有する高層建物では、各フロアを呼出し記号23で表すことは望ましくない場合があり、これはなぜなら、分かりやすさが損なわれ、比較的広い配置空間が必要になるためである。これを回避するために、エレベータ操作デバイスが、上層階(例えば、フロア「11」からの)への行先呼出しにおいて、1桁ずつ入力しなければならないように構成されることもできる。これについては、38フロアへの行先呼出しを入力するために、軌跡28に沿って、数字「3」から数字「6」を通って数字「8」まで誘導される指によって図2に示されている。本明細書の他の箇所で述べているように、一実施形態では、乗客Mは、数字「3」と「8」をもつ呼出し記号23を意図的に押圧するが、数字「6」をもつ呼出し記号23上を滑るだけとなり、これは即ち、この滑り動作中にユーザインターフェース34にはタッチするが、その際、意識的に圧力を上昇させることはないということを意味する。表示されている呼出し記号23は、機械式ボタン又は電気機械式ボタンのように表面に対して垂直に移動することはできないが、「押圧する(press)」という用語は、これが乗客による意図的な行為であることを表すためにここで使用されている。
【0036】
本明細書で使用される「桁(digit)」「数字(digit)」及び「文字(character)」という用語は、呼出し記号23について記憶される情報に関するものである。文字は、数字、図形、番号、図形文字、記号、又は単語とすることができる。呼出し記号23は、例えば、数学的なマイナス記号(-)を含み得、このマイナス記号は、当該行先フロアが建物2の下層フロア又は地下フロアである場合にタッチされる必要がある。
【0037】
一実施形態では、ユーザインターフェース34は、例えば幅及び長さ(又は高さ)として、又はタッチスクリーンの(物理的な)サイズに依存し得る画面対角線として指定されるサイズを有する。この画面対角線は、例えば約4~約24インチとすることができる。別の実施形態では、ユーザインターフェース34のサイズはまた、タッチスクリーンのどのエリア又はどの部分が(情報にタッチしたり、および/又は表示したりするために)使用可能エリアとして規定されるかに依存し得る。当業者であれば、ユーザインターフェース34のサイズが、建物2に対して指定された要件、例えば、フロアの数及び/又は建物2の種類や用途(建物2に精通している常連乗客である場合は、情報をそれ程必要としないが、精通していない非常連乗客である場合は、より多くの情報を必要とする)に従って選択され得ることを認識するであろう。
【0038】
ユーザインターフェース34上の呼出し記号23及び情報フィールド24は、建物2内の要件に応じて、ユーザインターフェース34上に配置され得、寸法決めされ得、これは即ち、それらが表示される位置及びサイズが規定され得ることを意味する。呼出し記号23は、ユーザフレンドリな方法でグラフィカルに構成され得、例えば、直感的な操作ができるように、呼出し記号23がボタン又は押しボタンとして表示されるようにすることができる。乗客Mがこれらの呼出し記号23のうちの1つを意図的に押圧すると、一実施形態では、この押圧されたボタンが照明効果によって識別される。
【0039】
当業者であれば、追加情報、例えば割り当てられたエレベータかご10の移動方向、その到着時間、その占有率(即ち、エレベータかご10内の乗客の数)、及び/又はエレベータかご10へのガイダンスのための方向情報が、情報フィールド24に表示され得ることを認識するであろう。情報フィールド24が使用されて、フロア固有及び/又は建物固有の情報を表示することもできる。例えば、サービス提供者(医師、歯科医師、弁護士)の診療所又は事務所が特定のフロアに所在していることが、情報フィールド24に示されるようにすることができる。必要に応じて、例えばエレベータの計画的メンテナンスが行われる時期、又はあるフロアに現在アクセスできない旨などが、情報フィールド24に示され得る。情報フィールド24は、例えば、エレベータ操作デバイス6が配置されているフロアL1、L2を示すことができる。これにより、例えば、乗客Mが建物2内で自分の位置を確認するのが容易になる。当業者であれば、少なくとも1つの追加の情報フィールドが設けられ、ユーザインターフェース34に表示され得ることを認識するであろう。
【0040】
図1に示す状況では、本明細書に記載の技術が有利な方法で使用され得る。簡潔に、かつ例示として、本明細書に記載の技術は、エレベータ操作デバイス6が配置されたエレベータ設備1を提供するものであり、エレベータ操作デバイス6はそれぞれ、実質的に平坦なタッチ面35を装備するタッチ感応式スクリーンシステム68(図3を参照のこと)を有し、視覚障害のある乗客が、なおも容易かつ快適にこれを操作することができる。乗客Mが呼出し記号23にタッチしてエレベータ呼出しを入力すると、スクリーンシステム68は触覚的に知覚可能なフィードバックで応答する。さらに、音響的に知覚可能なフィードバックが生成され得る。呼出し記号23は視覚障害のある乗客Mには視認できないか、あるいは不明瞭にしか視認することができず、その上平滑なタッチ面35上では呼出し記号23を感じ取ることもできないが、この乗客Mは、呼出しを入力する際にサポートされる。本明細書に記載の技術は、とりわけ行先が高層フロアであるために、乗客Mが、例えば第1のフロア数字を入力し、次いで1つ以上のフロア数字を入力するために、2つ以上の呼出し記号23に次々とタッチする必要があるときに、その呼出し入力をサポートしている。本明細書に記載の技術によれば、乗客Mは、第1のフロア数字を入力した後に、そのような呼出し入力のためにタッチ面35上で指を滑らせるか、又はスライドさせることができ、タッチされた呼出し記号23はそれぞれ、指が所望のフロア数字の呼出し記号23にタッチするまで、触覚的かつ音響的に知覚可能なフィードバックを生成し、次いで、一実施形態によれば、乗客Mは圧力を上昇させて、このフロア数字を入力することができる。これを目的とした一実施形態が、図4及び図5に関連して記載されている。この機能にもかかわらず、そのような障害のない乗客Pも、通常の方法でエレベータ操作デバイス6を操作することができる。
【0041】
図3は、図1によるエレベータ設備1に配置され、フロアL1、L2上にあるエレベータ操作デバイス6の一例の概略図を示す。エレベータ操作デバイス6の構成要素を図3に示しているが、当業者であれば、この図が例示によるものであり、任意の追加の構成要素を含むこれらの構成要素が、例えば異なる方法で互いに通信可能に接続され得ることを認識するであろう。エレベータ操作デバイス6は、通信ネットワーク22を介してエレベータ制御部13に通信可能に接続されている。エレベータ操作デバイス6は、以下に明示している構成要素が配置され得るキャリア装置44を備える。一実施形態では、キャリア装置44は筐体として構成され、これにより、エレベータ操作デバイス6が建物の壁上に配置されるか、又はフロア上で自立するように配置されることができる。当業者であれば、エレベータ操作デバイス6が建物の壁内又はフロア側エレベータ扉の扉枠内に完全に、若しくは部分的に設置されている場合、そのような筐体は必要ない場合があることを認識するであろう。この場合、キャリア装置は、例えば電気プリント回路板とすることができる。また、当業者であれば、ユーザフレンドリな高さ、又は規格によって規定されている高さにエレベータ操作デバイス6が配置されることも認識するであろう。以下に示す本技術の説明において、キャリア装置44は筐体として構成されており、「筐体44」と称される。
【0042】
図示の実施形態では、以下がエレベータ操作デバイス6の筐体44上に配置されており、これらは即ち、タッチスクリーン46を備えるスクリーンシステム68、通信デバイス53(PoE)、及び照明デバイス54である。一実施形態では、タッチスクリーン46は、筐体44を外部で、又はユーザ側で閉鎖する透明なガラスカバー若しくはプラスチックカバーを有する。ガラスカバー又はプラスチックカバーの外面は、例えば呼出しを入力する際に乗客Mがタッチするタッチ面35である。当業者であれば、このガラスカバー又はプラスチックカバーが、平面ガラスプレート若しくは平面プラスチックプレート又は湾曲ガラスプレート若しくは湾曲プラスチックプレートを有し得ることを認識するであろう。以下では、当該プレートはガラスプレートである。当該プレートが特定の形状を有するにもかかわらず、その外面は乗客Mには平滑に感じられ、これは即ち、当該プレートが、例えば隆起、窪み、粗面、又は点字標示を有しないことを意味する。
【0043】
筐体44上に配置された構成要素は、中でもユーザインターフェース34、通信(エネルギー供給を含む)、及び照明を表している。一実施形態では、例えばタッチスクリーン46にタッチした際に音響フィードバック(音声メッセージ)を生成するために、電気音響変換器52(例えば、ラウドスピーカ)が設けられている。タッチスクリーン46は、プロセッサ50及びユーザインターフェース34を備え、図3ではその上に、情報フィールド24及び呼出し記号23を有するキーパッドが示されている。
【0044】
プロセッサ50は、中央制御及び処理デバイス43(PU)に接続され、この中央制御及び処理デバイス43は、ユーザインターフェース34上に表示されるものや、その表示形式を制御しており、また、乗客Mがタッチ面35に指でタッチする際の信号を検出している。プロセッサ50はまた、指がタッチ面35を押圧する圧力の時間曲線を含む、当該タッチの時間曲線を求める。これを目的として、プロセッサ50に実装されたタイマ機能が使用されることができる。これにより、プロセッサ50は、例えば認識された入力(即ち、呼出し記号23のうちの1つに対する圧力の上昇が検出された)の後に指がタッチ面35上に留まっている(即ち、タッチが依然として検出されている)か、又は外されている(即ち、タッチがそれ以上検出されない)かを判定することができる。
【0045】
照明デバイス54は、エレベータ操作デバイス6のユーザインターフェース34、又はユーザインターフェース34の領域のみを照明するために使用される。中央制御及び処理デバイス43によって制御される方法で、照明デバイス54は、表示されている呼出し記号23と、表示されている情報フィールド24とが、とりわけ不十分な照明条件下でも乗客Mによって知覚され得るように、ユーザインターフェース34に点灯することができる。さらに、照明デバイス54は、例えば、エレベータ呼出しの入力を乗客Mに確認するために、ユーザインターフェース34又は呼出し記号23及び情報フィールド24を着色光で照明することができる。一実施形態では、照明デバイス54は、1つ以上のLED光源を備える。
【0046】
エレベータ操作デバイス6の一実施形態では、タッチスクリーン46はフィードバックデバイス64と組み合わされ、結果的にタッチ感応式スクリーンシステム68となる。例示を目的として、スクリーンシステム68は、図3において破線で縁取られており、当業者であれば、この境界が例示として示されており、スクリーンシステム68に属している構成要素の数に増減があると理解され得ることを認識するであろう。ユーザインターフェース34の操作モードはフィードバックデバイス64によって変更され、これにより、触覚的に知覚可能なフィードバックによる操作のサポートが可能になる。ユーザインターフェース34又はタッチ面35がある位置でタッチされると、このタッチに応答して、触覚的に知覚可能なフィードバックが付与される。設計に応じて、触覚的に知覚可能なフィードバックは、電気音響変換器52が提供する振動ノイズ及び/又は音声メッセージを伴うことができる。タッチによって誘導されるタッチスクリーンとユーザインターフェースとをそのように組み合わせることから作成される触覚フィードバックモジュールは、例えばオーストリアのウィーンにある企業でnext systemという販売会社から入手することができる。
【0047】
図3に示すフィードバックデバイス64は、力測定デバイス60(例えば、静電容量式圧力センサの薄い層の形態)と、アクチュエータ62と、力測定デバイス60及びアクチュエータ62に接続された制御デバイス58とを備える。力測定デバイス60は制御デバイス58と連携して、乗客Mがタッチスクリーン46のタッチ面35又はユーザインターフェース34を押圧する力を測定する。力測定デバイス60は、(わずかに可撓性の)ガラスプレートと静電容量式圧力センサの薄い層又は下位層との間の距離に生じる最小変化を検出する。一実施形態では、制御デバイス58は、測定された力が規定の圧力閾値に達した場合にのみ、この測定された力をトリガリング力として登録するように構成され、即ち、その場合にのみ、当該タッチが、意図的な押圧又は意図的な入力であると見なされる。
【0048】
一実施形態では、アクチュエータ62は、2つの電極板を備え、第1の電極板は、導電グリッドとして構成され、ガラスカバーにしっかりと接続され、第2の電極板は、共同移動させるためにタッチスクリーン46に接続されている。戻し(restoring)要素は、電極板を所望の間隔で保持している。このような構成は、静電平行板アクチュエータと呼ばれ得る。制御デバイス58が電圧(電圧、周波数、立上りエッジ及び立下りエッジなどのパラメータが指定され得る)を印加する(例えば、トリガリング力を超えた後に)ことによってアクチュエータ62を作動する場合、これらの電極板は、戻し要素によって印加される力に対抗して互いに相対移動し、それに応じてガラスカバーが移動し、その結果、触覚的に知覚可能なフィードバックが生成される。タッチ面35に対するアクチュエータ62の作用は、図3の矢印66によって示されている。
【0049】
エレベータ操作デバイス6の設計に応じて、筐体44上に乗客Mの認証情報の読取デバイス40が配置され得る。読取デバイス40は、例えば、エレベータ操作デバイス6が呼出し入力に対して有効になる前に、乗客Mが最初に自身を許可されているとして識別する必要がある場合に提供され得る。この認証情報は、例えば、物理キー、手動入力用パスワード(例えば、PINコード)、生体認証特徴(例えば、指紋、虹彩パターン、発声/音声特徴)あるいは磁気カード、ICカード、若しくはRFIDカードからか、又は携帯電子機器(NFCベース、Bluetoothベース、又はセルラーネットワークベースの)から取得されるアクセスコードの形式とすることができる。乗客Mは、所望の行先フロアへの入館を望むときに、認証情報を提示する。読取デバイス40は、エレベータ設備1に提供された認証情報に従って構成されている。これは、例えば、キーシリンダ、生体認証特徴をキャプチャするためのデバイス、光学コードをキャプチャするためのデバイス、磁気ストライプカード若しくはICカード用のリーダー、キーパッド、又はパスワードを手動で入力するためのタッチ感応式スクリーン、あるいは無線信号用の送受信デバイスを読取デバイス40が備えることを意味する。
【0050】
一実施形態では、読取デバイス40によってキャプチャされた認証情報はエレベータ制御部13に転送され、このエレベータ制御部13は、例えばキャプチャされた認証コードがデータベース内の許可された乗客に割り当てられているかどうかを確認することによって、認証チェックを実行又は開始する。このチェックは、例えばエレベータ設備1やアクセス管理システムのアクセス管理機能によって実行され得る。乗客Mがアクセスを許可されている場合、エレベータ操作デバイス6が有効になり得る。
【0051】
図3に示す実施形態では、リーダー40は、無線信号の送受信デバイス(TX/RX)であり、アンテナ42を有する。このリーダー40は、以下では無線信号の送受信デバイス40とも称される(送受信デバイス40は、任意選択の構成要素として破線で示されている)。呼出し入力を行うことができるようにするために、送受信デバイス40は、乗客Mの携帯通信デバイス(例えば、携帯無線電話/携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)と通信するRFIDリーダー又は無線モジュールを備え得る。無線信号の送受信デバイス40の代わりに、又はそれに加えて、乗客Mによって提示される光学コード(例えば、バーコード、QRコード、又は色コード)用のリーダーも設けられ得、そのような読取デバイスは、スキャナ又はデジタルカメラを備え得る。
【0052】
通信ネットワーク22により、エレベータ操作デバイス6がエレベータ制御部13に接続され、その結果、エレベータ制御部13とエレベータ操作デバイス6との間の通信が可能になっている。この通信のために、エレベータ操作デバイス6とエレベータ制御部13とは、通信ネットワーク22に直接的又は間接的に接続され得る。通信ネットワーク22は、通信バスシステム、個々のデータ回線、又はそれらの組み合わせを含み得る。通信ネットワーク22の実装形態に応じて、個々のアドレス及び/又は識別子がエレベータ制御部13及び各エレベータ操作デバイス6に割り振られ得、これにより、例えばエレベータ制御部13は、対象を絞り込んで所望のエレベータ操作デバイス6にメッセージを送信することができる。通信は、有線通信用のプロトコル、例えば Ethernetプロトコルに従って行われ得る。上述したように、一実施形態では、エレベータ操作デバイス6には、通信ネットワーク22(PoE)を介して電気エネルギーが供給されている。
【0053】
一実施形態では、中央制御及び処理デバイス43は、電気エネルギーの消費を低減するために、エレベータ操作デバイス6を非アクティブ状態にするように構成されている。この待機状態又は省エネ状態において、制御及び処理デバイス43は、例えば照明デバイス54をオフにするので、ユーザインターフェース34は、一実施形態では暗(黒)エリアとして出現している。このスイッチオフは、エレベータ操作デバイス6に、又はエレベータ操作デバイス6の近傍に、乗客が設定された時間間隔中にいなかった場合に行われ得る。これを目的として、乗客の存在及び/又は移動を検出するセンサ(図3には図示せず)がエレベータ操作デバイス6内に設けられ得る。このセンサは、モーションセンサとすることができ、モーションセンサは、例えば電磁波(RF、マイクロ波、又はドップラーレーダ)を能動的に使用するか、超音波(超音波運動検出器)を使用するか、又は当該環境からの赤外線放射を受動的に使用する(PIRセンサ、焦電型赤外線センサ)など、既知の機能原理のうちの1つに従って動作する。エレベータ操作デバイス6が省エネ状態にある中で、モーションセンサが乗客Mの存在を検出した場合、中央制御及び処理デバイス43は、エレベータ操作デバイス6を、例えば図2に示すユーザインターフェース34が表示されるアクティブ状態へと切り替える。
【0054】
一実施形態では、エレベータかご10内のかご内デバイス4は、行先フロアを表示する。また、乗客Mは、このかご内デバイス4で緊急通報を行い、扉の閉鎖を加速させたり、遅延させたりすることができる。これを目的として、かご内デバイス4は、いくつかの既知の技術(例えば、タッチスクリーン上の名前(names)機能用の電気機械的押しボタン又は対応するフィールド(「ボタン」))のうちの1つに従って構成され得る。一実施形態では、かご内デバイス4は、フロア側エレベータ操作デバイス6の技術と同様の形式で、タッチ感応式スクリーンシステム及びフィードバックデバイスを装備する。上述したように、このフィードバックデバイスは、触覚的に知覚可能なフィードバックによって操作をサポートしている。
【0055】
図3に示すエレベータ操作デバイス6の実施形態は、プロセッサ50と、制御デバイス58と、中央制御及び処理デバイス43とを備える。図3では、これらは別個のユニットとして示されている。当業者であれば、別の実施形態では、例えば中央制御及び処理デバイス43において、それらの機能が1つのユニットに組み合わされ得ることを認識するであろう。その場合、図3では、プロセッサ50と制御デバイス58とが省略され得る。
【0056】
上述のエレベータ設備1と、その基本的なシステム構成要素及び機能とを理解して、図1に示すエレベータ設備1で使用されるようにエレベータ操作デバイス6を操作する方法の一例を、図4及び図5を参照しながら以下に記載する。図4は、ステップA1で開始され、ステップA8で終了する、ある方法の第1の例示的なフローチャートを示し、図5は、ステップS1で開始され、ステップS11で終了する、ある方法の第2の例示的なフローチャートを示す。当業者であれば、これらのステップに分割するのは一例であり、これらのステップのうちの1つ以上が1つ以上のサブステップに分割されてもよいし、又は複数のステップが1つのステップにまとめられてもよいことを認識するであろう。
【0057】
これらのフローチャートは、視覚障害があるか、又は盲目の乗客Mを基準にして記載されている。ここでは、乗客MはフロアL1、L2上で、そのフロアに配置されたエレベータ操作デバイス6に手の届く範囲におり、この乗車フロア(L1、L2)から行先フロアに移動するために、前記デバイスで行先呼出し(エレベータ呼出し)を入力することを望んでいると仮定される。本実施形態では、エレベータ設備1は、エレベータ操作デバイス6をアクティブ化し(即ち、省エネ状態ではなくなる)、図2に示すユーザインターフェース34を表示させるように構成されている。
【0058】
図4のステップA2で、行先呼出しを入力する際に乗客Mが行うエレベータ操作デバイス6のタッチ面35との接触が検出される。この接触は、グラフィカルユーザインターフェース34に表示された第1の呼出し記号23に乗客Mがタッチするステップを含む。第1の呼出し記号23には、第1の文字が割り当てられている。
【0059】
ステップA3で、第1の文字を示す音声メッセージと、触覚的に知覚可能なフィードバックとが生成される。乗客Mはこの音声メッセージを聞くことにより、彼らの指の位置について、例えば、彼らの指が所望の呼出し記号23に既にタッチしているかどうか、又はさらにその指を動かす必要があるかどうかを把握する。
【0060】
ステップA4で、乗客Mの行先呼出し入力に割り当てられた第1の入力として、第1の文字が登録される。この第1の文字は、乗客Mによる確認動作に応答して登録され、その間、第1の呼出し記号23がタッチされ続けることになり、即ち乗客Mは、タッチ面35に連続的にタッチし、その過程で確認動作を実行する。そのような確認動作の実施形態は、本明細書の他の箇所にも示されている。
【0061】
ステップA5で、乗客Mの行先呼出し入力に割り当てられたさらなる入力として、少なくとも1つのさらなる文字が登録される。これは、2桁以上のフロアが行先フロアとして入力される場合に必要となり得る。このさらなる文字の登録は、乗客Mによるさらなる確認動作に応答して、具体的にはタッチ面35がタッチされ続けている間にさらに行われる。この少なくとも1つのさらなる文字は、第1の呼出し記号23又はさらなる呼出し記号23用に記憶され得、即ち、乗客Mは、第1の文字(第1の呼出し記号23)を2回入力するか、又は第1の文字とは異なる文字を入力することができる。後者の場合、乗客Mは、第1の呼出し記号23から新たな所望の呼出し記号23へと彼らの指を滑らせる。この場合、指は、例えば図2に示す軌跡28に沿って、1つ以上の不要な呼出し記号23の上を滑ることもある。
【0062】
ステップA6で、タッチが中断されると、行先呼出しが生成される。乗客Pがタッチ面35から自分の指を離すと、中断が起こる。生成された行先呼出しは、登録された文字によって規定される行先フロアL1、L2を示す。
【0063】
以下では、図5に示す例示的な方法を再度参照する。本方法のステップS2で、行先呼出しを入力する際に、乗客Mによるタッチ面35との接触及び呼出し記号23へのタッチが検出される。接触は、例えば乗客Mが最初にエレベータ操作デバイス6に接触し、結果として、例えばエレベータ操作デバイス6の寸法に対する感覚を得るためにタッチ面35にも接触する際に、タッチ面35と行われる。タッチは、タッチ面35内でタッチが発生した際に検出される。乗客Mは、エレベータ操作デバイス6と表示された呼出し記号23とを見ることができないため、タッチ面35に接触し、その過程で、次々に表示された呼出し記号23のうちの1つ以上にもタッチする。上述したように、各呼出し記号23には文字が割り当てられている。
【0064】
ステップS3で、タッチされる呼出し記号23用に記憶される音声メッセージが生成される。タッチスクリーン46の制御デバイス50は、タッチが発生し、この時点で呼出し記号23が割り当てられる位置を識別する。次いで中央制御及び処理デバイス43は、この位置又はボタンに割り当てられた文字を示す音声メッセージを生成するように、電気音響変換器52を制御する。それと同時に、触覚的に知覚可能なフィードバックがアクチュエータ62によって生成される。例えば、図2に示すように、指が最初にボタン「3」にタッチすると、触覚的に知覚可能なフィードバック及び音声メッセージの「三」(又はその数字を表す他の同様の表現)が生成される。
【0065】
乗客Mが所望の呼出し記号23にタッチすると、所望の(第1の)呼出し記号23用に記憶されている(第1の)文字を(第1の)入力として登録するかどうかが確認される。乗客Mが第1の呼出し記号23にタッチし続ける間に、この乗客Mによる確認動作に応じて第1の文字が登録される。一実施形態では、この確認動作は、乗客Mが表示された第1の呼出し記号23を意図的により強く押圧することによって実行され得る。別の実施形態では、この確認動作は、乗客Mが第1の呼出し記号23に指を残したままにし、別の指でタッチ面25を異なる位置で、例えば数回、具体的には2回、素早く連続してタップすることによって実行され得る。
【0066】
以下に示す本方法の説明において、この確認動作は、乗客Mが表示された第1の呼出し記号23を意図的により強く押圧することによって実行される。したがって、ステップS4で、第1の呼出し記号23が規定の圧力閾値P1以上の圧力Pでタッチされているかどうかが確認される。指が第1の呼出し記号23上にある場合、乗客はこの位置で意図的により強く押圧することができ、その結果として、圧力Pを上昇させることができる。圧力閾値P1に達するか又はそれを超える場合、本方法は「はい」の分岐に沿ってステップS5に進む。乗客Mが圧力Pを上昇させない場合、即ち、現在タッチされている呼出し記号23が所望の文字に一致していない場合、入力は登録されず、本方法は「いいえ」の分岐に沿ってステップS2に戻る。
【0067】
当業者であれば、ステップS2で呼出し記号23がタッチされるたびに、関連する音声メッセージがステップS3に従って生成されることを認識するであろう。乗客Mはこの音声メッセージを聞き、この情報を使用して、ユーザインターフェース34上で自分の位置を確認することができる。また、タッチされる呼出し記号23ごとに、ステップS4に従って確認が同様に行われ、関連する文字を入力として登録するかどうかが判定される。ステップS2、S3、S4、及びS5は、指が所望の呼出し記号23上に載り、乗客Mが関連する文字の音声メッセージを聞くまで、乗客Mがユーザインターフェース34上で彼らの指を動かすことを示す。
【0068】
ステップS5で、当該文字が入力として登録される。この入力は、乗客Mの行先呼出し入力に割り当てられる。
【0069】
ステップS5で入力が登録されると、本方法はステップS6で、乗客Mがタッチ面35にタッチし続けているか、又は彼らの指を離しているかどうかを確認する。乗客Mが自分の指を離さず、したがってタッチ面35にタッチし続けている場合、乗客Mは、別の文字を入力したいと望む視覚障害のある乗客Mであり得る。指がタッチ面35上に留まり、これによって乗客Mは、別の文字を入力するために、既にタッチされている第1の呼出し記号23から始めて、タッチ面35上で自分の位置を確かめることができる。例えば、より高層の(2桁以上の)フロアの行先呼出しを1桁ずつ入力しなければならない場合、別の文字を入力する必要があり得る。指がタッチ面35上に留まっている場合、本方法は「はい」の分岐に沿ってステップS8に進む。
【0070】
ステップS8で、タッチ面35上に指が留まっている間に、乗客Mの指がさらなる呼出し記号23、即ち、新たなボタンの上にあるかどうかが確認される。この場合、本方法は「はい」の分岐に沿ってステップS3に戻り、(新たに)タッチされた呼出し記号23用に記憶された文字がアナウンスされる。後続のステップS4、S5、及びS6は、次いで上述したように実行される。
【0071】
ステップS8で、乗客Mが新たな呼出し記号23にタッチしていない場合は、本方法は「いいえ」の分岐に沿ってステップS4に戻り、その接触が規定の圧力閾値P1以上の圧力Pで行われたかどうかが確認される。このような状況は、例えば、乗客Mが所望の行先フロアのためにぞろ目(数学では反復数とも呼ばれる)を入力する必要がある場合に生じる。後続のステップS5及びS6は、次いで上述したように実行される。
【0072】
ステップS6で、乗客Mが自分の指を離したと認識された場合、この乗客には視覚障害がなく、したがって呼出し記号23を認識できる可能性があるので、この乗客Mは、さらなる文字を入力して、所望の(より高層の)行先フロアまでの行先呼出しを入力することもできる。ただし、この乗客Mの場合、さらなる文字は、規定の時間間隔T1内に入力されなければならない。この場合、本方法は、「いいえ」の分岐に沿ってステップS7に進む。
【0073】
ステップS5に従って当該入力が登録され、ステップS6に従って乗客Mが彼らの指を離した後(即ち、接触が続かない)、ステップS7でタイマが起動する。このタイマは、例えば、プロセッサ50内又は中央制御及び処理デバイス43内に実装され得る。このタイマは、当該入力が登録されてから経過する時間間隔Tを決定する。
【0074】
ステップS9で、タイマによって決定された時間間隔Tが規定の時間T1と等しいかどうかが確認される。この場合、乗客Mは、呼出し入力を完了したいと望んでいるので、呼出し記号23にはそれ以上タッチしない。したがって、本方法は「はい」の分岐に沿ってステップS10に進み、このステップS10に従って、エレベータ設備1に行先呼出しが登録される。本方法は、この行先呼出しの登録をもってステップS11で終了する。
【0075】
ただし、乗客Mが別の文字を入力したいと望む場合、この入力は規定の時間間隔T1内に行われなければならない。ステップS9で、この時間間隔T1にまだ達していなければ、乗客Mは再度呼出し記号23にタッチすることができ、これは図5では、ステップS9からステップS2まで戻る「いいえ」の分岐によって示されている。次いで後続のステップS3からS8は、入力が登録された後、時間間隔T1内にそれ以上の接触が起こらなくなり、本方法がステップS11で終了するまで上述のように実行される。
図1
図2
図3
図4
図5